JP6292755B2 - 送信機、受信機および送信方法 - Google Patents

送信機、受信機および送信方法 Download PDF

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Description

本発明は、無線通信システムの送信機、受信機および送信方法に関する。
信号のピーク電力と平均電力の比をPAPR(Peak to Average Power Ratio)と呼ぶ。送信機において電力増幅器の動作効率を向上させるためには、電力増幅器でのバックオフを小さくする必要があり、そのためには送信信号のPAPRは小さいことが望ましい。
低PAPRを実現可能な変調方式にFSK(Frequency Shift Keying)がある。しばしば使用されるPSK(Phase Shift Keying)やQAM(Quadrature Amplitude Modulation)方式では情報を搬送波の位相や振幅に乗せて伝送するのに対し、FSK方式では情報を搬送波の周波数に乗せて伝送する。つまり、FSK方式を用いる場合、周波数は変化するが、常に正弦波が送信され続ける。この正弦波は定包絡線信号であり電力が一定であるため、低PAPRを実現できる。
一般に、通信システムにおいては、データ信号のみならず、そのデータ信号の復調/復号に必要な情報が制御信号として送信される。ここで、データ信号と制御信号を多重する方法として、周波数分割多重(FDM:Frequency Division Multiplexing)、時分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)、符号分割多重(CDM:Code Division Multiplexing)などが挙げられる。しかし、周波数分割多重や符号分割多重により多重すると、信号が正弦波の重ね合わせとなるため定包絡線信号ではなくなり、FSK方式を用いる場合であってもPAPRが大きくなる。そのため、PAPRを小さくするには時分割多重により制御信号とデータ信号を多重することが望ましいと言える。
無線通信システムにおいては誤りが発生しやすいため、送信機はしばしば誤り訂正符号(ECC:Error Correction Code)により送信データを符号化してから送信する。一方、受信機は受信信号に対し復号処理を行い、元の送信データを得る。このとき、受信信号に誤りがある場合であっても、その誤りが、使用した誤り訂正符号の訂正能力の範囲内であれば、復号処理の際に誤りを訂正可能であり、受信側は正しいデータを得ることができる。
ここで、前述の通り制御信号とデータ信号とを時分割多重で多重し、「制御信号+データ信号」という構成で信号を送受信するシステムを考える。なお、制御信号では、データ信号の復調/復号に必要な情報が送信されるものとする。このようなシステムにおいて、制御信号の誤り率を小さくしようとする場合、上記の誤り訂正符号を用いると、以下のような問題が生じる。
(a)制御信号は、データ信号よりも信頼度が高い(誤り率が小さい)ことが望ましい。そのためには、データ信号とは異なる方法で符号化をすることとなり、データ信号とは異なる誤り訂正回路が必要となる。そのため、回路規模や消費電力が増大する。
(b)一般的に制御信号はビット数が少なく、信号長が短い。そのため、高効率な符号化、或いは誤り訂正能力の高い符号化を適用することは難しい。
(c)制御信号の復号処理は、後続するデータ信号の復調開始よりも前に終わる必要がある。しかし、制御信号の復号遅延のため、これは難しい。制御信号の復号処理が終わるまでの間、データ信号の処理を待たせる必要がある。
そこで、このようなシステムにおいて、制御信号の誤り率特性を改善する方法が、特許文献1にて開示されている。本文献において、送信機は同一制御信号を複数回連送し、受信側はそれらに対し多数決判定を行い、正しい制御情報を得る。このようにして、制御情報の誤り率を小さくしている。
例えば、「H0」という制御情報を送信する場合に、送信機が8回、本信号を連送し、受信機にてこれらを各々復調した結果、「H0,H0,H0,H1,H0,H0,H2,H0」という結果になったとする。この様なケースでは、H0が6回、H1が1回、H2が1回受信されていることとなるため、多数決判定の結果、受信機はH0が正しい制御情報であると判断する。このようにして、誤りの発生しやすい環境であっても、誤り訂正符号を用いることなく、制御信号を受信機にて正しく受信できるようにすることが可能である。
特開2006−304351号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている方法では、マルチパスフェージングにより特定周波数の信号電力が落ち込んでいる場合、或いは他の送信機、他のシステムからの干渉波が特定の周波数に存在する場合、連送した制御信号が連続的に誤り、受信機にて多数決判定を行っても正しい制御情報が得られない可能性がある。
例えば図28のような周波数選択性フェージング伝搬路の場合を考える。周波数faで信号を送信する場合であれば、周波数選択性フェージングの影響を受けず、送信機にて連送された制御信号を受信機は正しく受信することができる。しかし、周波数fbで信号を送信すると、伝搬路が落ち込んでいるため、受信機では受信信号のCNR(Carrier to Noise Ratio)が非常に悪くなる。その結果、送信機が制御信号を連送しても、連送されたほぼ全ての信号が誤り、受信機にて正しい制御信号を得ることはできない。
このように、連送した制御信号が連続的に誤ってしまうような場合には、特許文献1の方法を適用しても制御信号の誤り率を低減することは難しい。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、マルチパスフェージングや特定周波数の干渉波が存在する環境における通信品質を向上させることが可能な送信機、受信機および送信方法を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、送信信号に応じて信号の周波数を変化させる変調方式を適用した送信機であって、同一内容の制御信号を複数生成する送信制御信号生成手段と、前記複数生成された制御信号のシンボル値と搬送波とのマッピングを所定の規則に従って変化させながら前記複数生成された制御信号を変調する変調手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、制御信号を連送する際にシンボル値と搬送波とのマッピングを変更するようにしたので、信号帯域を広げることなく周波数ダイバーシチ効果を得ることが可能となり、マルチパスフェージングにより特定周波数の信号電力が落ち込んでいる場合や他の送信機またはシステムからの干渉波が特定の周波数に存在する場合であっても、制御信号の誤り率を低減することができるという効果を奏する。
図1は、実施の形態1の送信機が送信する信号の構成例を示す図である。 図2は、実施の形態1の送信機の構成例を示す図である。 図3は、実施の形態1の受信機の構成例を示す図である。 図4は、マッピングパターンの一例を示す図である。 図5は、マッピングパターンの一例を示す図である。 図6は、図5のマッピングパターンに従った変調動作を示す図である。 図7は、制御信号処理部の構成例を示す図である。 図8は、制御信号処理部の構成例を示す図である。 図9は、制御信号処理部の構成例を示す図である。 図10は、マッピングパターンの一例を示す図である。 図11は、連送された制御信号ごとの復調結果の一例を示す図である。 図12は、多数決判定を実施して得られる復調結果の一例を示す図である。 図13は、多数決判定方法の一例を示す図である。 図14は、多数決判定方法の一例を示す図である。 図15は、多数決判定方法の一例を示す図である。 図16は、受信機におけるFFT結果の一例を示す図である。 図17は、復調シンボルの合成結果の一例を示す図である。 図18は、マッピングパターンの一例を示す図である。 図19は、実施の形態2の送信機が送信するデータ信号の構成例を示す図である。 図20は、実施の形態2の送信機の構成例を示す図である。 図21は、実施の形態2の受信機の構成例を示す図である。 図22は、受信信号処理部の構成例を示す図である。 図23は、実施の形態3の送信機の構成例を示す図である。 図24は、実施の形態3の受信機の構成例を示す図である。 図25は、受信信号処理部の構成例を示す図である。 図26は、受信信号処理部の構成例を示す図である。 図27は、図5のマッピングパターンに従ってデータ信号を再送する場合の変調動作を示す図である。 図28は、周波数選択性フェージング伝搬路の一例を示す図である。
以下に、本発明にかかる送信機、受信機および送信方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下では無線通信装置を前提に説明するが、本内容は有線通信の装置にも適用が可能である。
後述する各実施の形態では、送信信号に応じて信号の周波数を変化させる変調方式、すなわち、FSK(Frequency Shift Keying)、MSK(Minimum Shift Keying)、GMSK(Gaussian filtered Minimum Shift Keying)などの変調方式を適用した送信機、受信機および送信方法を説明する。各実施の形態では、一例として、変調方式にFSKを用いる場合を想定するが、送信信号に応じて信号の周波数を変化させる変調方式であれば、他の変調方式を用いる場合であっても、適用可能である。
実施の形態1.
実施の形態1では、図1のように制御信号とデータ信号とを時分割多重により多重し、「制御信号+データ信号」という構成で信号を送信する。制御信号では、データ信号の復調/復号に必要な情報が送信されるものとする。さらに、制御信号の誤り率を低減すべく、同一制御信号を連送する。
ここで、1個の制御信号はFSKシンボルNc(≧1)個で構成されているとし、連送回数をR(≧1)とする。ただし、R=1の場合は制御信号を1個だけ送信することとなり、連送しない場合に相当する。また、後続のデータ信号のシンボル数をNd(≧0)とする。なお、Ndについては固定値ではなく可変であってもよい。その場合は、例えば制御信号にて後続するデータシンボル数Ndを受信機に通知するようにしてやればよい。Nd=0の場合はデータ信号が存在せず、制御信号のみが送信されることを意味する。
図2は、本発明にかかる送信機の実施の形態1の構成例を示す図、図3は、本発明にかかる受信機の実施の形態1の構成例を示す図である。
<送信機の説明>
図2に示したように、本実施の形態の送信機は、データ信号符号化部101、データ信号変調部102、制御信号変調部103、マッピング部104、多重化部105、帯域制限フィルタ106およびアンテナ107を備える。
本実施の形態の送信機は、データ信号に対し、データ信号符号化部101にて誤り訂正符号や誤り検出符号により符号化を実施し、その後、データ信号変調部102にて変調処理を行う。ここで、変調方式にMd値FSKを用いる場合、Md本の搬送波を使用し、1シンボルでndビットの伝送を行う。ただし、ndは自然数であり、Md=2ndが成立する。シンボル値とFSK搬送波とのマッピングは予め決められており、受信機もどのようなマッピングかを知っているものとする。
例えばMd=4の場合のマッピングの例を図4に示す。4本の搬送波f0〜f3を使用し、それにより2ビットのシンボル値が伝送される。図4の場合、搬送波f0を伝送すると「00」、搬送波f1を伝送すると「01」、搬送波f2を伝送すると「10」、搬送波f3を伝送すると「11」が伝送される。
一方、制御信号については、制御信号変調部103にて変調される。変調方式にMc値FSKを用いる場合、Mc本の搬送波を使用し、1シンボルでncビットの伝送を行う。ただし、ncは自然数であり、Mc=2ncが成立する。また、制御信号を変調する際は、シンボル値と搬送波とのマッピングがマッピング部104より指示され、それに従って、制御信号変調部103は制御信号の変調処理を行う。そして、多重化部105にて、図1のような構成となるように制御信号とデータ信号を多重する。
次に、制御信号変調部103およびマッピング部104の動作の詳細を説明する。マッピング部104ではシンボル値とFSK搬送波とのマッピングをR連送の間に変化させる。制御信号のR連送化(R個の同一制御信号を並べる処理)は制御信号変調部103の前段で行い、R連送化された状態の制御信号を制御信号変調部103へ入力するようにしてもよいし(制御信号のR連送化手段を別途設けた構成)、1個の制御信号を制御信号変調部103へ入力して制御信号変調部103で行うようにしてもよい(制御信号のR連送化手段としての機能を制御信号変調部103が有する構成)。Ncシンボルの制御信号をR連送するため、制御信号としてはNc×RシンボルのFSK信号が送信されることとなるが、このとき、マッピング部104は以下のようにマッピングパターンを変更する。
最初のN1シンボルはマッピングパターン1で送信し、
次のN2シンボルはマッピングパターン2で送信し、
次のN3シンボルはマッピングパターン3で送信し、



最後のNKシンボルはマッピングパターンKで送信する。
ただし、N1+N2+・・・+NK=Nc×Rとなる。つまり、K通りのマッピングパターンが制御情報の変調に使用される。Kは1以上の整数であり、K=1の場合は、マッピングパターンが連送中に変更されないことになる。
なお、KおよびN1〜NKの決定方法は特に限定しないが、可能な限り、合計R回送信される同一シンボルが異なるマッピングパターンで送信されるようにすることが望ましい。同一シンボルが同じマッピングパターンで送信される回数が少ないほど通信品質の向上が期待できる。
また、K=Rとし、N1=N2=・・・=NK=Ncとすれば、1個の制御信号を送信中はマッピングパターンが変化せず、連送のたびにマッピングパターンが変化するようにすることができる。
また、K個のマッピングパターンの中に、同一のマッピングパターンのものが存在しても良い。例えばマッピングパターン1と3が同一のマッピングパターンである場合、最初のN1シンボル送信後、次のN2シンボルは異なるマッピングパターンで送信されるが、その次のN3シンボルは、再度最初のN1シンボルと同一のマッピングパターンで送信されることになる。
図5にマッピングパターンの例を、図6にこのマッピングパターンに従って制御信号を変調する場合の例を示す。なお、Mc=4,Nc=2,R=4,N1=N2=N3=N4=2の場合の例を示している。つまり、4値FSKにより変調し、2シンボルで構成される制御信号を4連送する。また、マッピングパターンは2シンボル毎に変更される場合の例を示している。
図5では、マッピング変更時にシンボル値と搬送波との対応を1個ずつずらしている。Nc=N1=N2=N3=N4としているため、連送毎にマッピングパターンが変更されることとなる。
図6は、制御信号0010を送信する場合(1シンボル目で00、2シンボル目で10を送信する場合)である。このように、連送中、マッピングパターンを変えるたびに同一信号を送信する搬送波が変更される。
また、図5ではシンボル値が1個ずつシフトするようにマッピングパターンを変化させているが、マッピングパターンの変更方法は他にどのような方法であっても良い。たとえば図10のような、ランダムな変化のさせ方であっても良い。ただし、可能な限り、同一シンボル値が多くの搬送波によって送信されるようにすることが望ましい。例えば図5や図10の例では4種類のシンボル値00,01,10,11のいずれについても、4種類の搬送波で送信されることになる。
なお、FSKに使用可能な搬送波の数がFSK多値数Mcよりも多い場合、シンボル値と搬送波のマッピングを変更することに加え、どの搬送波をFSKに使用するかについても併せて変更することが考えられる。図18に、使用可能な搬送波数=8、FSK多値数Mc=4の場合の例を示す。連送毎に、シンボル値と搬送波のマッピングを変更し、且つFSKに使用する搬送波も併せて変更している。このような、FSKに使用可能な搬送波の数がFSK多値数Mcよりも多い状況は、例えば、データ送信時のFSKの変調多値数Mdが制御信号送信時のFSKの変調多値数Mcよりも大きい場合などに起こると考えられる。
ここで、マッピングパターンを変更することの効果を説明する。前述の通り、従来の連送方法では、マルチパスフェージングにより特定周波数の信号電力が落ち込んでいる場合、或いは他の送信機、他のシステムからの干渉波が特定の周波数に存在する場合、連送した制御信号が連続的に誤る可能性がある。このような場合、連送しても誤り率を低減できない。これに対して、本実施の形態では連送中にマッピングを変更するため、同一の制御信号が異なる搬送波を用いて繰り返し送信されるようになる。その結果、特定の周波数の信号がフェージングにより落ち込む場合、或いは特定の周波数に干渉波が存在する場合であっても、周波数ダイバーシチ効果が得られ、連送による誤り率の低減が可能となる。
例えば、図5と図6の例で、搬送波f0の周波数がフェージングにより落ち込んでいる場合を考える。この場合、従来の連送方法で、図4のマッピングを維持しながらで制御信号「0010」を連送したとすると、最初の2ビットの00の送信に搬送波f0が常に用いられるため、例え連送しても、受信側にて正しく受信することができない。しかし、図5のようにマッピングパターンを変更して図6のように送信する場合、1連送目は最初の2ビットの00の送信に搬送波f0が使用されて正しく受信されないが、2〜4連送では他の搬送波が用いられるため、正しく受信される。また、次の2ビットの10の送信の際は3連送目にf0が用いられるが、1,2,4連送目はf0以外の搬送波が用いられるため、このときに正しく受信できる。その結果、受信側で正しく制御信号0010を得ることができる。
なお、このような周波数ダイバーシチ効果を得るためには、従来から周波数ホッピングと呼ばれる技術があるが、この周波数ホッピングを用いる場合、信号帯域が本来のFSKに必要な帯域よりも大きく広がるという問題点がある。しかし、本実施の形態の方法では、シンボル値の搬送波のマッピングを変更するだけであるため、信号帯域が広がるようなことはなく、使用可能な帯域に制限がある場合であっても、本実施の形態の方法を用いることができる。
以上が、制御信号変調部103およびマッピング部104の説明である。多重化部105から出力される信号は帯域制限フィルタ106により帯域制限後、アンテナ107より送信される。
<受信機の説明>
図3に示したように、本実施の形態の受信機は、アンテナ201、帯域制限フィルタ202、データ信号復調部203、データ信号復号部204および制御信号処理部300を備える。
本実施の形態の受信機において、アンテナ201にて受信された信号は、帯域制限フィルタ202により帯域制限され、必要な周波数の信号が取り出される。データ信号についてはデータ信号復調部203にて復調処理が行われる。例えば図4のようなマッピングを用いて送信機がデータ信号の変調処理を行っている場合、データ信号復調部203にて搬送波f0を受信したと判断した場合のデータは00、搬送波f1を受信したと判断した場合のデータは01、搬送波f2を受信したと判断した場合のデータは10、搬送波f3を受信したと判断した場合のデータは11と、復調される。
その後、データ信号復号部204にて復号処理が行われ、符号化前の元のデータ信号が得られる。
一方、制御信号については、制御信号処理部300にて処理が行われる。制御信号処理部300の構成は3通り考えられ、それらを図7、図8および図9に示す。
図7は多数決判定を用いる場合の制御信号処理部300の構成例を示す図であり、制御信号処理部300は、マッピング部301、制御信号復調部302および多数決判定部303を備える。
マッピング部301は、送信機のマッピング部と同様に、制御信号送信時のシンボル値と搬送波とのマッピングパターンを作り出す。送信機のマッピング部がどのようにしてマッピングパターンを作るかを受信機は知っているものとする。
制御信号復調部302は、マッピング部301から通知されるマッピングパターンを用いて連送された全ての制御信号の復調処理を行う。そして、多数決判定部303にて多数決判定を実施し、制御信号を得る。得られた制御信号の情報は、データ信号の復調、復号処理にて利用される。
例えば、4値FSKにより変調し、2シンボルで構成される制御信号が4連送され、マッピングパターンは2シンボル毎に変更される場合を考える。図5に示すマッピンパターンにしたがって、図6のように制御信号が送信されるとする。即ち、Mc=4,Nc=2,R=4,N1=N2=N3=N4=2とする。そして、受信機の制御信号復調部302にて、8シンボル(2シンボル×4連送)の間に「f2,f2,f1,f3,f2,f2,f3,f1」が順に送信されてきたと判断したとする(図11参照)。この場合、1シンボル目のf2と6シンボル目のf2が誤った判断ということになるが、受信機はこの時点では、その誤りを知ることはできない。そこで、多数決判定を実施する。マッピング部301からのマッピング情報に従い復調処理を実施すると、図12に示した結果が得られる。多数決判定は、ビット毎に実施する方法、シンボル毎に実施する方法および制御情報毎に実施する方法があり、各方法を図13、図14および図15に示す。
図13は、ビット毎に多数決判定を実施する場合である。ビット毎に、0,1の受信回数を集計すると図13のようになる。よって、多数決をとると、1ビット目は0,2ビット目は0,3ビット目は1,4ビット目は0と判定されるため、制御信号0010が得られる。
図14は、シンボル毎に多数決判定を実施する場合である。シンボル毎に、00,01,10,11の受信回数を集計すると図14のようになる。よって、多数決をとると、1シンボル目は00,2シンボル目は10と判定されるため、この場合も制御信号0010が得られる。
図15は制御情報毎に多数決判定を実施する場合である。0000〜1111の受信回数を集計すると図15のようになる。多数決をとると、この場合も制御信号0010が得られる。
以上のように、多数決判定を実施することで制御信号を得ることができる。
図8は、合成を用いる場合の制御信号処理部300の構成例を示す図である。制御信号処理部300は、FFT部310、合成部311、合成後信号復調部312およびマッピング部313を備える。
マッピング部313の処理は図7に示した制御信号処理部300のマッピング部301と同様である。
FFT部310では信号をN_FFTポイントのFFT(Fast Fourier Transform)(或いはDFT(Discrete Fourier Transform))により周波数領域の信号に変換し、周波数領域に変換されたN_FFT個の複素信号を得る。
合成部311では、N_FFT個の複素信号の中から、制御信号の変調に使用したMc値FSKのMc個の搬送波に対応したMc個の値を取り出す。そして、マッピング部313からのマッピング情報を元に、制御情報内の各FSKシンボルについて、同一シンボル値に対応するFSK搬送波に対応する複素信号同士を同相加算により加算することで、合成を実施する。
例えば、4値FSKにより変調し、2シンボルで構成される制御信号が4連送され、マッピングパターンは2シンボル毎に変更される場合を考える。図5に示すマッピンパターンにしたがって、図6のように制御信号が送信されるとする。即ち、Mc=4,Nc=2,R=4,N1=N2=N3=N4=2とする。そしてFFTの結果、4値FSKの4個の搬送波f0〜f3に対応した4個の値が図16のようになったとする。ここで、Ichは複素信号の実部、Qchは複素信号の虚部を表す。
前述の通り、合成の際は同一シンボル値に対応するFSK搬送波に対応する複素信号同士を同相加算する必要があるため、以下のように加算処理を行うことになる。
シンボル値00:1連送目のf0+2連送目のf1+3連送目のf2+4連送目のf3
シンボル値01:1連送目のf1+2連送目のf2+3連送目のf3+4連送目のf0
シンボル値10:1連送目のf2+2連送目のf3+3連送目のf0+4連送目のf1
シンボル値11:1連送目のf3+2連送目のf0+3連送目のf1+4連送目のf2
まず、1シンボル目の合成を実施する。シンボル値00の合成を実施するには、図16のハッチング付きの値をIchとQchの各々について加算する。
Ich:−10+30+(−8)+(−7)=5
Qch:7+(−20)+1+(−4)=−16
同様に、シンボル値01,10,11に対する合成結果も以下のように求まる。
<シンボル値01>
Ich:−3+3+(−7)+0=−7
Qch:−1+9+(−6)+(−5)=−3
<シンボル値10>
Ich:−7+5+1+1=0
Qch:10+(−3)+(−3)+(−3)=1
<シンボル値11>
Ich:−3+(−1)+(−8)+(−1)=−13
Qch:2+3+1+0=6
このようにして、図17に示すように、1シンボル目のシンボル値00〜11に対する合成結果を得る。同様に、2シンボル目についても得ることができる。
合成後信号復調部312では、合成部311にて合成された複素信号を元に、制御信号の復調処理を行う。FSKの復調方法には大きく分けて、同期検波と包絡線検波とがあるが、複素信号で表現されている場合、Ichが最大のシンボル値を選択すれば同期検波、電力値が最大のシンボル値を選択すれば包絡線検波に相当する。ここで、電力値は以下の式により求めることができる。
電力値=Ichの2乗+Qchの2乗
図17の例で考えると、同期検波と包絡線検波のどちらを用いる場合であっても、1シンボル目は00、2シンボル目は10が選択され、制御信号0010が得られることが分かる。
以上のように、合成を実施することで制御信号を得ることができる。得られた制御信号の情報は、データ信号の復調,復号処理にて利用される。
図9は、合成と多数決判定の両方を用いる場合の制御信号処理部300の構成例を示す図である。制御信号処理部300は、マッピング部320、FFT部321、合成部322、合成後信号復調部323および多数決判定部324を備える。
マッピング部320の処理は図7に示した制御信号処理部300のマッピング部301と同様である。また、FFT部321の処理は図8に示した制御信号処理部300のFFT部310と同様である。
Ncシンボルの制御信号をR連送する場合を考える。R連送された制御信号はG個のグループに分割され、g(1≦g≦G)番目のグループにはNUM(g)個の制御信号が属しているとする。グループ分けの方法については特に限定しない。ただし、以下の式が成立する。
NUM(1)+NUM(2)+・・・+NUM(G)=R
合成部322では、同一グループに属するNUM(g)個の制御信号の合成を行う。合成の方法は、図8に示した制御信号処理部300の合成部311と同様である。グループ毎の合成結果が後段に出力される。
合成後信号復調323には、G個のグループ各々の合成結果が入力され、各々に対して復調処理を行う。復調処理の実施方法は、図8に示した制御信号処理部300の合成後信号復調部312と同様である。そして、G個の復調結果が後段に出力される。
多数決判定部324にはG個の復調結果が入力される。これらの復調結果に対し、多数決判定部324は、図7に示した制御信号処理部300の多数決判定部303と同様の方法で多数決判定を実施し、制御信号を得る。得られた制御信号の情報は、データ信号の復調、復号処理にて利用される。
なお、本実施の形態では、データ信号は符号化されることを想定しており、送信機にデータ信号符号化部101、受信機にデータ信号復号部204が存在するが、本実施の形態において、データ信号は必ずしも符号化される必要は無い。データ信号の符号化を実施しない場合、図2のデータ信号符号化部101および図3のデータ信号復号部204は不要となる。
一方、制御信号は符号化されないとしてきたが、本実施の形態で説明した方法により制御信号の誤り率を低減することに加え、制御信号の符号化を実施し、さらに誤り率を低減するようにしてもよい。
制御信号の符号化を実施する場合、送信機では図2の制御信号変調部にてまず制御信号に対し、誤り訂正符号や誤り検出符号により符号化を実施し、その後、前述の変調処理を行うようにする。この場合、受信機では復号処理が必要となる。制御信号処理部300が図7や図9の構成の場合、多数決判定部(多数決判定部303、324)にて復号処理を行う。このとき、復号処理をまず実施し、その後、前述の多数決判定を実施するようにしても良いし、先に多数決判定を実施し、その結果得られた信号に対し、復号処理を実施するようにしても良い。また、制御信号処理部300が図8の構成の場合、合成後信号復調部312にて復号処理を行う。具体的には、まず前述のように合成後の信号に対する復調処理を実施し、その復調結果に対し復号処理を行い、その復号結果を出力する。
また、本実施の形態では制御信号を構成するNcシンボルを全て同一回数(R回)連送することとしたが、Ncシンボルを複数のグループに分割し、グループ毎に連送回数を変えるようにしてもよい。もちろん、連送回数が1のグループ(連送しないグループ)が存在しても良い。例えば、重要度に応じて複数のグループに分割し、重要な制御信号ほど連送回数を大きくするといった方法が考えられる。
本実施の形態によれば以下の効果が得られる。すなわち、本実施の形態の送信機は、制御信号を連送する際にシンボル値とFSK搬送波とのマッピングを変更するようにしたので、信号帯域を広げることなく周波数ダイバーシチ効果を得ることが可能となる。その結果、マルチパスフェージングにより特定周波数の信号電力が落ち込んでいる場合、或いは他の送信機、他のシステムからの干渉波が特定の周波数に存在する場合であっても、制御信号の誤り率を低減することができる。また、低PAPRを実現でき、装置の小型化と省電力化が可能となる。
また、受信機では合成、多数決判定のいずれか、または両方を使用して連送された信号の復調処理を行う。合成処理においては、連送された制御信号に対し、同一シンボル値に対応するFSK搬送波どうしを合成する。このようにすることで、シンボル値とFSK搬送波とのマッピングが変化するような場合であっても受信信号の合成を実現できる。その結果、制御信号の誤り率を低減することが可能となる。また、この合成を多数決判定と組み合わせて使用することで、さらなる誤り率の低減が可能となる。
実施の形態2.
本実施の形態では、実施の形態1で説明した動作と同じ動作についての詳細説明は省略し、異なる部分を中心に説明する。
本実施の形態では、短いデータ信号をバースト的に送信するシステムを考える。データ信号であっても、信号長が短い場合は高効率な符号化、或いは誤り訂正能力の高い符号化を適用することは難しい。そこで、このような場合にデータ信号に対し、実施の形態1のように連送により誤り率を低減する方法を説明する。
図19は、実施の形態2の送信機と受信機の間で送受信されるデータ信号の構成例を示す図である。1個のデータ信号はNd(≧1)シンボルにより構成されており、これがRd(≧1)回連送される。Nd,Rdはデータによって異なっていても良いし、同じであっても良い。ただし、Rd=1の場合はデータ信号を1個だけ送信することとなり、連送しない場合に相当する。また、変調多値数をMdとし、1シンボルでndビットの伝送を行う。ただし、ndは自然数であり、Md=2ndが成立する。
図20は、実施の形態2の送信機の構成例を示す図、図21は、実施の形態2の受信機の構成例を示す図である。
<送信機の説明>
図20に示したように、本実施の形態の送信機は、変調部401、マッピング部402、帯域制限フィルタ403およびアンテナ404を備える。
マッピング部401、帯域制限フィルタ403およびアンテナ404の動作は実施の形態1の送信機(図2参照)が備えていたマッピング部104、帯域制限フィルタ106およびアンテナ107と同様である。また、変調部401の動作は実施の形態1の送信機が備えていた制御信号変調部103と同様である。ただし、1信号を構成するシンボル数がNcではなくNd、変調多値数がMcではなくMd、連送回数がRではなくRdとなる(すなわち、処理対象をデータ信号とする)。
<受信機の説明>
図21に示したように、本実施の形態の受信機は、アンテナ501、帯域制限フィルタ502および受信信号処理部600を備える。
アンテナ501および帯域制限フィルタ502の動作は実施の形態1の受信機(図3参照)が備えていたアンテナ201および帯域制限フィルタ202と同様である。受信信号処理部600は、実施の形態1の受信機が備えていた制御信号処理部300に対応する。受信信号処理部600の構成は実施の形態1で説明した制御信号処理部300と同様に3通り考えられる。
図22は多数決判定を用いる場合の受信信号処理部600の構成例を示す図であり、受信信号処理部600は、マッピング部601、復調部602および多数決判定部603を備える。
マッピング部601および多数決判定部603の動作は、実施の形態1において説明した制御信号処理部300のうち、図7に示したマッピング301および多数決判定部603と同様である。また、復調部602の動作は図7に示した制御信号復調部302と同様である。
また、合成を用いる場合の受信信号処理部600の構成および動作は、実施の形態1において説明した制御信号処理部300のうち、図8に示したものと同様であり、合成と多数決判定の両方を用いる場合の構成および動作は、実施の形態1において説明した制御信号処理部300のうち、図9に示したものと同様である。
ただし、送信機と同様に、1信号を構成するシンボル数がNcではなくNd、変調多値数がMcではなくMd、連送回数がRではなくRdとなる。
本実施の形態において、データ信号は符号化されないとしてきたが、本実施の形態で説明した方法によりデータ信号の誤り率を低減することに加え、データ信号の符号化を実施し、さらに誤り率を低減するようにしてもよい。この場合、送信機では図20の変調部401において、まずデータ信号に対し、誤り訂正符号や誤り検出符号により符号化を実施し、その後、変調処理を行うようにする。一方、受信機では、受信信号処理部600が多数決判定を用いる場合(図22参照),合成と多数決判定の両方を用いる場合(図9参照)、それぞれの多数決判定部(多数決判定部603,多数決判定部324に相当する多数決判定部)にて復号処理を行う。このとき、復号処理をまず実施し、その後、前述の多数決判定を実施するようにしても良いし、先に多数決判定を実施し、その結果得られた信号に対し、復号処理を実施するようにしても良い。受信信号処理部600が合成を実施する場合(図8参照)、合成後信号復調部312に相当する合成後信号復調部にて復号処理を行う。具体的には、まず前述のように合成後の信号に対する復調処理を実施し、その復調結果に対し復号処理を行い、その復号結果を出力する。
また、本実施の形態では1個のデータ信号を構成するNdシンボルを全て同一回数(R回)連送することとしたが、Ndシンボルを複数のグループに分割し、グループ毎に連送回数を変えるようにしてもよい。もちろん、連送回数が1のグループ(連送しないグループ)が存在しても良い。例えば、重要度に応じて複数のグループに分割し、重要なデータ信号ほど連送回数を大きくするといった方法が考えられる。
本実施の形態によれば、短いデータ信号をバースト的に送信するシステムにおいて実施の形態1と同様の効果が得られる。ただし、対象は制御信号ではなくデータ信号である。すなわち、データ信号の誤り率を低減することができ、マルチパスフェージングが存在する環境における通信品質を向上させることができる。
なお、本実施の形態の構成(シンボル値とFSK搬送波とのマッピングを変更しながらデータ信号を連送する構成)と実施の形態1の構成(シンボル値とFSK搬送波とのマッピングを変更しながら制御信号を連送する構成)とを組み合わせても構わない。
実施の形態3.
本実施の形態では、実施の形態1,2で説明した動作と同じ動作についての詳細説明は省略し、異なる部分を中心に説明する。
本実施の形態では、受信機はデータ信号を受信後、誤りの有無を確認し、誤りが無ければACKを、有ればNACKを送信機に返す。一方、送信機はデータ送信後にNACKを受信した場合、データ信号を再送する。このようなシステムにおいて、再送時に実施の形態1,2に記載の方法でシンボル値と搬送波のマッピングを変更するようにし、信号の誤り率を低減する方法を説明する。
本実施の形態において、送信信号はNd(≧1)シンボルにより構成されている。変調多値数をMdとし、1シンボルでndビットの伝送を行う。ただし、ndは自然数であり、Md=2ndが成立する。
図23は、実施の形態3の送信機(データ送信側の通信装置)の構成例を示す図、図24は、実施の形態3の受信機(データ受信側の通信装置)の構成例を示す図である。
<送信機の説明>
図23に示したように、本実施の形態の送信機は、符号化部701、マッピング部702、変調部703、帯域制限フィルタ704、送信アンテナ705、受信アンテナ706、ACK/NACK信号受信部707および送信信号メモリ708を備える。
本実施の形態の送信機においては、データ信号に対し、符号化部701にて誤り訂正符号や誤り検出符号により符号化を実施する。なお、誤り訂正符号は必須ではなく、用いても用いなくてもよい。ただし、受信機にて誤りの有無を判定できるように、誤り検出符号は必ず用いる。その後、変調部703にてMd値FSKによる変調を行う。なお、このときのシンボル値と搬送波とのマッピングについては、マッピング部702からの指示に従う。また、符号化部701からの出力は同時に送信信号メモリ708に蓄積される。マッピング部702の動作については後述する。
変調部703からの出力は帯域制限フィルタ704により帯域制限後、送信アンテナ705より送信される。
送信機は、上記の手順でデータ信号を送信後、受信アンテナ706にて、受信機からのACKまたはNACKを受信する。ACK/NACK信号受信部707にて、ACKを受信したのかNACKを受信したのかを判定する。そして、ACKを受信した場合、送信信号メモリ708に格納されている、本ACKに対応したデータ信号を破棄する。一方、NACKを受信した場合、送信信号メモリ708に格納されている、本NACKに対応したデータ信号を再送する必要がある。この場合、送信信号メモリ708に格納されたデータ信号(受信したNACKに対応するデータ信号)を変調部703に出力し、再度変調処理を行い、帯域制限フィルタ704を経由して送信アンテナ705から送信する。また、予め決められた規定の時間待ってもACK/NACKを受信できない場合も、NACK受信時と同様に再送を行う。
ただし、予め決められた最大再送回数をPとし、既にP回の再送を実施している場合は、NACK受信時、及びACK/NACKを受信できない場合のいずれの場合も、再送を実施せず、対応するデータ信号を送信信号メモリ708から破棄する。
次にマッピング部702の動作を説明する。最大再送回数をPとすると、初送を含め、同一データ信号が最大P+1回送信されることとなる。また1個のデータ信号のシンボル数はNdであるから、最大でNd×(P+1)シンボルのFSK信号が送信されることとなる。このとき、マッピング部702は、以下のように各シンボルが送信されるよう、変調部703に指示を出す。
最初のN1シンボルはマッピングパターン1で送信し、
次のN2シンボルはマッピングパターン2で送信し、
次のN3シンボルはマッピングパターン3で送信し、



最後のNKシンボルはマッピングパターンKで送信する。
ただし、N1+N2+・・・+NK=Nd×(P+1)となる。Kは1以上の整数であり、K=1の場合は、マッピングパターンが変更されないことになる。
なお、KおよびN1〜NKの決定方法は特に限定しないが、可能な限り、最大P+1回送信される同一シンボルが異なるマッピングパターンで送信されるようにすることが望ましい。同一シンボルが同じマッピングパターンで送信される回数が少ないほど通信品質の向上が期待できる。
また、K=P+1とし、N1=N2=・・・=NK=Ndとすれば、1個のデータ信号を送信中はマッピングパターンが変化せず、再送のたびにマッピングパターンが変化するようにすることができる。
また、Pはあくまで最大再送回数である。ACKを受信した時点で再送処理は終了するため、必ずP回再送されるわけではない。そのため、実施の形態1,2とは異なり、必ずK個全てのマッピングパターンが使用されるわけではない。
一例として、実施の形態1の図5に示したマッピングパターンを用いる場合を考える。このマッピングパターンに従ってデータ信号を再送する場合の例を図27に示す。ただし、Md=4、Nd=2,P=3,N1=N2=N3=N4=2の場合の例である。つまり、4値FSKにより変調し、2シンボルで構成されるデータ信号を送信する。最大再送回数は3回である。また、マッピングパターンは2シンボル毎に変更される場合である。
図5では、マッピング変更時にシンボル値と搬送波との対応を1個ずつずらしている。Nd=N1=N2=N3=N4としているため、再送毎にマッピングパターンが変更されることとなる。図27はデータ信号0010を送信する場合(1シンボル目で00、2シンボル目で10を送信する場合)である。このように、再送中、マッピングパターンを変えるたびに同一信号を送信する搬送波が変更される。
また、図5ではシンボル値が1個ずつシフトするようにマッピングパターンを変化させているが、マッピングパターンの変更方法は他にどのような方法であっても良い。たとえば図10のような、ランダムな変化のさせ方であっても良い。ただし、可能な限り、同一シンボル値が多くの搬送波によって送信されるようにすることが望ましい。図5および図10の例では4種類のシンボル値00,01,10,11のいずれについても、4種類の搬送波で送信されることになる。
なお、FSKに使用可能な搬送波の数がFSK多値数Mdよりも多い場合、シンボル値と搬送波のマッピングを変更することに加え、どの搬送波をFSKに使用するかについても併せて変更することが考えられる。図18に、使用可能な搬送波数=8、FSK多値数Md=4の場合の例を示す。再送毎に、シンボル値と搬送波のマッピングを変更し、且つFSKに使用する搬送波も併せて変更している。
ここで、マッピングパターンを変更することの効果を説明する。マルチパスフェージングにより特定周波数の信号電力が落ち込んでいる場合、或いは他の送信機、他のシステムからの干渉波が特定の周波数に存在する場合、例えデータ信号を再送しても、再送したデータ信号が連続的に誤る可能性がある。このような場合、再送しても受信側で正しく受信される可能性は小さく、再送の効果がほとんど得られないこととなる。これに対して、本実施の形態では再送中にマッピングを変更するため、同一のデータ信号が異なる搬送波を用いて繰り返し送信されるようになる。その結果、特定の周波数の信号がフェージングにより落ち込む場合、或いは特定の周波数に干渉波が存在する場合であっても、周波数ダイバーシチ効果が得られ、再送により、受信側にて正しく受信される可能性を高めることが可能となる。
例えば、図5と図27の例で、搬送波f0の周波数がフェージングにより落ち込んでいる場合を考える。この場合、再送のたびにマッピングを変更せず、常にマッピングパターン1に従ってデータ信号「0010」を再送したとすると、最初の2ビットの00の送信に搬送波f0が常に用いられるため、例え再送しても、00を受信側にて正しく受信することができない。しかし、図5のようにマッピングパターンを変更して図27のように再送する場合、初送時は最初の2ビットの00の送信に搬送波f0が使用されて正しく受信されないが、1回目の再送では、最初の2ビット00も次の2ビット10もf0以外の他の搬送波が用いられるため、正しく受信される。その結果、受信側で正しくデータ信号0010を得ることができる。
<受信機の説明>
図24に示したように、本実施の形態の受信機は、受信アンテナ801、帯域制限フィルタ802、復号部803、ACK/NACK信号生成部804、送信アンテナ805および受信信号処理部900を備える。
本実施の形態の受信機において、受信アンテナ801にて受信された信号は、帯域制限フィルタ802により帯域制限され、必要な周波数の信号が取り出される。そして、受信信号処理部900にて復調処理を行う。受信信号処理部900の詳細な説明は後述する。その後、復号部803にて復号処理を行う。このとき、誤りが検出されなかった場合は、ACK/NACK信号生成部804にてACKを生成する。誤りが検出された場合は、ACK/NACK信号生成部804にてNACKを生成する。そして、送信アンテナ805から、ACKまたはNACKが送信される。
続いて、受信信号処理部900の説明を行う。受信信号処理部900の構成は、送信されてきたデータ信号を1個ずつ復調する場合と、受信済みの信号を全て合成後に復調する場合の2通り考えられる。それらを図25および図26に示す。
図25は、送信されてきたデータ信号を1個ずつ復調する場合の受信信号処理部900の構成例を示す図であり、この場合の受信信号処理部900は、復調部901およびマッピング部902を備える。これらは、実施の形態1で説明した図7の制御信号処理部300が備えていた制御信号復調部302およびマッピング部301と同様の動作をする。
すなわち、マッピング部902は、送信機のマッピング部702と同様に、データ信号初送時、再送時のシンボル値と搬送波とのマッピングパターンを作り出す。送信機のマッピング部702がどのようにしてマッピングパターンを作るかを受信機は知っているものとする。また、復調部901は、マッピング部902から通知されるマッピングパターンを用いて受信信号の復調処理を行う。復調結果は受信信号処理部900から出力され復号部803へ入力される。
図26は、受信済みの信号を全て合成後に復調する場合の受信信号処理部900の構成例を示す図であり、この場合の受信信号処理部900は、FFT部910、合成部911、合成後信号復調部912およびマッピング部913を備える。これらのうち、FFT部910、合成後信号復調部912およびマッピング部913は、実施の形態1で説明した図8の制御信号処理部300が備えていたFFT部310、合成後信号復調部312およびマッピング部313と同様の動作を行う。本実施の形態では合成部911の動作のみ説明する。
図8の制御信号処理部300と同様に、FFT部910から合成部911にはN_FFT個の複素信号が入力される。合成部911では、N_FFT個の複素信号の中から、変調に使用したMd値FSKのMd個の搬送波に対応したMd個の値を取り出す。そして、初送の場合、それらを合成後信号復調部912に出力すると共に、合成部911内部で記憶しておく。
再送1回目の場合、Md個の入力信号と、内部で記憶している初送時のMd個の信号とを同相加算により合成する。合成の方法は図8に示した合成部311と同様であり、同一シンボル値に対応するFSK搬送波に対応する複素信号同士を同相加算により加算することで、合成を実施する。合成後の信号は合成後信号復調部912に出力すると共に、合成部911内部で記憶しておく。再送2回目の場合、Md個の入力信号と、内部で記憶しているMd個の信号(初送時の信号と1回目再送時の信号との合成結果)とを同相加算により合成する。合成後の信号は合成後信号復調部912に出力すると共に、合成部911内部で記憶しておく。以下、同様にして、再送p回目の場合、Md個の入力信号と、内部で記憶しているMd個の信号(初送時から(p−1)回目再送時までの信号の合成結果)とを同相加算により合成する。合成後の信号は合成後信号復調部912に出力すると共に、合成部911内部で記憶しておく。
なお、再送P回目の信号受信時は、これ以上再送されてくる可能性が無いため、合成後信号は内部で記憶せず、合成後信号復調部912に出力するのみでよい。
また、復号部803(図24参照)で誤りが検出されず、ACKを送信機に返す場合も、これ以上再送されてくることはないため、合成部911内部で記憶している合成後信号を破棄する。
本実施の形態によれば以下の効果が得られる。すなわち、本実施の形態の送信機は、制御信号を再送する際にシンボル値とFSK搬送波とのマッピングを変更するようにしたので、信号帯域を広げることなく周波数ダイバーシチ効果を得ることが可能となる。その結果、マルチパスフェージングにより特定周波数の信号電力が落ち込んでいる場合、或いは他の送信機、他のシステムからの干渉波が特定の周波数に存在する場合であっても、再送により信号の誤り率を低減することができる。
また、受信機では、再送されてきた信号を合成する場合、同一シンボル値に対応するFSK搬送波同士を合成するようにする。このようにすることで、シンボル値とFSK搬送波とのマッピングが変化するような場合であっても受信信号の合成を実現できる。その結果、信号の誤り率を低減することが可能となる。
なお、本実施の形態の構成(データ信号を再送する際にシンボル値とFSK搬送波とのマッピングを変更する構成)と実施の形態1の構成(シンボル値とFSK搬送波とのマッピングを変更しながら制御信号を連送する構成)とを組み合わせても構わない。
以上のように、本発明は、情報を搬送波の周波数に乗せて伝送する変調方式が適用された通信システムの送信機および受信機として有用である。
101 データ信号符号化部、102 データ信号変調部、103 制御信号変調部、104,301,313,320,402,601,702,902,913 マッピング部、105 多重化部、106,202,403,502,704,802 帯域制限フィルタ、107,201,404,501 アンテナ、203 データ信号復調部、204 データ信号復号部、302 制御信号復調部、303,324,603 多数決判定部、310,321,910 FFT部、311,322,911 合成部、312,323,912 合成後信号復調部、401,703 変調部、600,900 受信信号処理部、602,901 復調部、701 符号化部、705,805 送信アンテナ、706,801 受信アンテナ、707 ACK/NACK信号受信部、708 送信信号メモリ、803 復号部、804 ACK/NACK信号生成部。

Claims (13)

  1. 送信信号に応じて信号の周波数を変化させる変調方式を適用した送信機であって、
    同一内容の制御信号を複数生成する送信制御信号生成手段と、
    前記複数生成された制御信号のシンボル値と搬送波とのマッピングを所定の規則に従って変化させながら前記複数生成された制御信号を変調する変調手段と、
    データ信号を生成する送信データ信号生成手段と、
    前記データ信号を、シンボル値と搬送波とのマッピングが固定化されたマッピング規則に従って変調するデータ信号変調手段と、
    を備えることを特徴とする送信機。
  2. 前記変調手段は、同一内容のシンボル値が同じ搬送波に割り当てられる回数が少なくなるように、前記制御信号のシンボル値と搬送波とのマッピングを変化させることを特徴とする請求項1に記載の送信機。
  3. 前記データ信号変調手段は、データ信号を再送する場合、再送するデータ信号のシンボル値を、以前に送信したときとは異なるマッピング規則に従って搬送波に割り当てる、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の送信機。
  4. 前記データ信号変調手段は、再送するシンボル値を過去に割り当てたものと同じ搬送波に割り当てられる回数が少なくなるように、前記再送するデータ信号のシンボル値を搬送波に割り当てることを特徴とする請求項3に記載の送信機。
  5. 送信信号に応じて信号の周波数を変化させる変調方式を適用した送信機であって、
    同一内容のデータ信号を複数生成する送信データ信号生成手段と、
    前記複数生成されたデータ信号のシンボル値と搬送波とのマッピングを所定の規則に従って変化させながら前記複数生成されたデータ信号を変調するデータ信号変調手段と、
    制御信号を生成する送信制御信号生成手段と、
    前記制御信号を、シンボル値と搬送波との対応が固定化されたマッピング規則に従って変調する変調手段と、
    を備えることを特徴とする送信機。
  6. 送信信号に応じて信号の周波数を変化させる変調方式が適用され、かつ同一内容の複数の制御信号を、シンボル値と搬送波とのマッピングを所定の規則に従って変化させながら変調し、かつデータ信号を、シンボル値と搬送波との対応が固定化されたマッピング規則に従って変調して送信する送信機、が送信した信号を受信する受信機であって、
    前記所定の規則に従って複数の制御信号を復調する復調手段と、
    復調後の複数の制御信号に対し多数決判定を実行して最終的な復調結果を得る多数決判定手段と、
    を備えることを特徴とする受信機。
  7. 送信信号に応じて信号の周波数を変化させる変調方式が適用され、かつ同一内容の複数の制御信号を、シンボル値と搬送波とのマッピングを所定の規則に従って変化させながら変調し、かつデータ信号を、シンボル値と搬送波との対応が固定化されたマッピング規則に従って変調して送信する送信機、が送信した信号を受信する受信機であって、
    前記所定の規則に従って、同一シンボル値に対応する搬送波同士を合成することにより複数の制御信号を合成する合成手段と、
    合成後の制御信号を復調する合成後信号復調手段と、
    を備えることを特徴とする受信機。
  8. 送信信号に応じて信号の周波数を変化させる変調方式が適用され、かつ同一内容の複数の制御信号を、シンボル値と搬送波とのマッピングを所定の規則に従って変化させながら変調し、かつデータ信号を、シンボル値と搬送波との対応が固定化されたマッピング規則に従って変調して送信する送信機、が送信した信号を受信する受信機であって、
    受信した複数の制御信号を複数のグループに分類し、グループごとに、前記所定の規則に従って、同一シンボル値に対応する搬送波同士を合成して複数の合成後制御信号を生成する合成手段と、
    前記複数の合成後制御信号を復調する合成後信号復調手段と、
    復調後の複数の合成後制御信号に対し多数決判定を実行して最終的な復調結果を得る多数決判定手段と、
    を備えることを特徴とする受信機。
  9. 送信信号に応じて信号の周波数を変化させる変調方式が適用され、かつ同一内容の複数のデータ信号を、シンボル値と搬送波とのマッピングを所定の規則に従って変化させながら変調し、かつ制御信号を、シンボル値と搬送波との対応が固定化されたマッピング規則に従って変調して送信する送信機、が送信した信号を受信する受信機であって、
    前記所定の規則に従って複数のデータ信号を復調する復調手段と、
    復調後の複数のデータ信号に対し多数決判定を実行して最終的なデータ復調結果を得る多数決判定手段と、
    を備えることを特徴とする受信機。
  10. 送信信号に応じて信号の周波数を変化させる変調方式が適用され、かつ同一内容の複数のデータ信号を、シンボル値と搬送波とのマッピングを所定の規則に従って変化させながら変調し、かつ制御信号を、シンボル値と搬送波との対応が固定化されたマッピング規則に従って変調して送信する送信機、が送信した信号を受信する受信機であって、
    前記所定の規則に従って、同一シンボル値に対応する搬送波同士を合成することにより複数のデータ信号を合成する合成手段と、
    合成後のデータ信号を復調する合成後信号復調手段と、
    を備えることを特徴とする受信機。
  11. 送信信号に応じて信号の周波数を変化させる変調方式が適用され、かつ同一内容の複数のデータ信号を、シンボル値と搬送波とのマッピングを所定の規則に従って変化させながら変調し、かつ制御信号を、シンボル値と搬送波との対応が固定化されたマッピング規則に従って変調して送信する送信機、が送信した信号を受信する受信機であって、
    受信した複数のデータ信号を複数のグループに分類し、グループごとに、前記所定の規則に従って、同一シンボル値に対応する搬送波同士を合成して複数の合成後データ信号を生成する合成手段と、
    前記複数の合成後データ信号を復調する合成後信号復調手段と、
    復調後の複数の合成後データ信号に対し多数決判定を実行して最終的な復調結果を得る多数決判定手段と、
    を備えることを特徴とする受信機。
  12. 送信信号に応じて信号の周波数を変化させる変調方式を適用した送信機において実行する送信方法であって、
    同一内容の制御信号を複数生成する送信制御信号生成ステップと、
    前記複数生成した制御信号のシンボル値と搬送波とのマッピングを所定の規則に従って変化させながら前記複数生成された制御信号を変調する変調ステップと、
    データ信号を生成する送信データ信号生成ステップと、
    前記データ信号を、シンボル値と搬送波とのマッピングが固定化されたマッピング規則に従って変調するデータ信号変調ステップと、
    変調後の制御信号と変調後のデータ信号とを多重化して送信する送信ステップと、
    を含むことを特徴とする送信方法。
  13. 送信信号に応じて信号の周波数を変化させる変調方式を適用した送信機において実行する送信方法であって、
    同一内容のデータ信号を複数生成する送信データ信号生成ステップと、
    前記複数生成したデータ信号のシンボル値と搬送波とのマッピングを所定の規則に従って変化させながら前記複数生成されたデータ信号を変調するデータ信号変調ステップと、
    制御信号を生成する送信制御信号生成ステップと、
    前記制御信号を、シンボル値と搬送波との対応が固定化されたマッピング規則に従って変調する変調ステップと、
    変調後の制御信号と変調後のデータ信号とを多重化して送信する送信ステップと、
    を含むことを特徴とする送信方法。
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