JP4445239B2 - ペイントローラー - Google Patents
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Description
また、別の方法として、熱可塑性樹脂製の芯管を用い、該芯管と平行に配置した熱源によって芯管の表面を加熱溶融させ、それと同時にその表面に布製の表面材をスパイラル状に巻き付けることによって、芯管と表面材との間に接着剤を別途塗布することなく、熱可塑性樹脂製の芯管上に表面材が一体に接着・巻着されたペイントローラーを製造する方法が提案されている(特許文献2を参照)。
この特許文献3に記載されているペイントローラーでは、表面材は、感圧粘着剤によってペイントローラー本体の表面に貼着されているので、表面材が汚れたり損傷した時にペイントローラー本体から剥がして、再度新しい表面材を貼着することができ、ペイントローラー本体の再利用が可能である。
一方、上記した従来のペイントローラーや特許文献1〜3に記載されているペイントローラーでは、芯管(チューブ芯材)の表面全体に予め決められた所定の材料よりなる表面材がスパイラル状で巻き付けられているため、そのペイントローラーを用いて、所望のパターンを有する模様や図形などを適宜選択したり、変えたりして被塗装面に描くことは困難である。
そして、本発明の目的は、有機溶剤を含有する接着剤などを使用せずに、さらには高価な設備や複雑な工程を採用せずに、簡単な工程で、安全に且つ衛生的に、生産性良く製造することのできる、表面材の取り替えが可能で且つチューブ状ローラー芯材の再利用が可能なペイントローラーを提供することである。
さらに、本発明は、作業者が、塗装作業現場で、塗装する模様や図柄などを任意に且つ適宜に変更できて、被塗装面に所望の模様や図柄などを、同じペイントローラーを用いて形成することのできるペイントローラーを提供することである。
さらに、本発明者らは、裏面に雌材機能を有する表面材としては、チューブ状ローラー芯材の表面の前記係合素子と雄雌係合するループを裏面に有する布帛が好ましく用いられ、そのような布帛(表面材)は、ループを有する繊維糸条を少なくとも用いて地組織を製編織することによって製造できることを見出した。
また、表面材をなす布帛において、熱融着性繊維を用いて地組織を製編織した後、熱融着性繊維同士および熱融着性繊維と他の繊維とを熱融着させると、表面材(布帛)の表面に設けた立毛(パイル)が地組織に強固に固定されて毛抜けが生じず、また裏面に雌材機能用ループが存在する場合はそのループが安定且つ固定した状態となって雌材機能を長期にわたって良好に発揮することを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
(1) 面ファスナーの雄材機能を有する高さ0.3〜3.5mmの係合素子を表面に有する液体不浸透性のチューブ状ローラー芯材の表面に、裏面が面ファスナーの雌材機能を有する表面材を、チューブ状ローラー芯材の表面における係合素子の雄材機能と表面材の裏面の雌材機能によって雄雌係合させて取り付けてなるペイントローラーであって、当該表面材が、ループを有する繊維糸条を少なくとも用いて地組織を製編織して形成した、表面に立毛を有し、裏面にチューブ状ローラー芯材の表面に設けた雄材機能を有する係合素子と雄雌係合するループを有する織編物からなることを特徴とするペイントローラーである。
(2) チューブ状ローラー芯材表面における係合素子の素子密度が30〜150個/cm2である前記(1)のペイントローラー;
(3) チューブ状ローラー芯材の表面に、上記した表面材をスパイラル状に巻着した状態でチューブ状ローラー芯材表面に当該表面材を取り付けてなる前記(1)または(2)のペイントローラー;および、
(4) チューブ状ローラー芯材の表面に、所定の形状および寸法を有する片状の上記した表面材を、チューブ状ローラー芯材表面の係合素子と当該表面材の裏面との雄雌係合によって、所定のパターン状で取り付けてなる、所定パターンの転写が可能な前記(1)または(2)のペイントローラー;
である。
(5) 雄材機能を有する係合素子を表面に有するチューブ状ローラー芯材が、チューブ状体の表面に、雄材機能を有する係合素子を表面に有する面ファスナー雄材テープをスパイラル状に巻着して形成したものである前記(1)〜(4)のいずれかのペイントローラー;
(6) チューブ状体および面ファスナー雄材テープが合成樹脂製である前記(5)のペイントローラー;
である。
(7) 表面に立毛を有し、裏面にループを有する織編物からなる上記した表面材が、織編物を形成する地組織中に熱融着性繊維を含み、地組織中で熱融着性繊維によって熱融着性繊維同士および熱融着性繊維と他の繊維とが熱融着している前記(1)〜(6)のいずれかのペイントローラーである。
である。
本発明のペイントローラーでは、チューブ状ローラー芯材の表面に存在する雄材機能を有する係合素子と表面材裏面の係合強力が高く維持されると共に、チューブ状ローラー芯材表面と表面材裏面との境界部分に隙間が生じず、該境界部分への塗料の浸入が防止されて塗料漏れによる被塗装面の汚れや塗装不良が生じない。
本発明では、チューブ状ローラー芯材の表面に取り付ける表面材を所望の形状および寸法の表面材片とし、それを所望の数および配置状態で所望のパターンでチューブ状ローラー芯材の表面に雄雌係合作用を利用して簡単に取り付けることができ、また必要に応じてそのパターンを適宜変更することができるので、一本のペイントローラーで任意の模様や図柄などを被塗装面に極めて簡単に描くことができる。
本発明のペイントローラーは、環境に有害な有機溶剤などを使用せずに、極めて簡単に且つ生産性良く製造することができる。
本発明は、面ファスナーの雄材機能を有する高さ0.3〜3.5mmの係合素子を表面に多数有する液体不浸透性のチューブ状ローラー芯材の表面に対して、裏面が面ファスナーの雌材機能を有する表面材を、チューブ状ローラー芯材表面の雄材機能を有する係合素子(以下これを「雄係合素子」ということがある)と表面材裏面との間の雄雌係合によって取り付ける形式のペイントローラーである。
本発明は、(1)チューブ状ローラー芯材の表面の全体またはほぼ全体に、裏面が面ファスナーの雌材機能を有する表面材を、チューブ状ローラー芯材表面の雄係合素子と表面材裏面との雄雌係合によって取り付けてあるペイントローラー(チューブ状ローラー芯材の全表面またはほぼ全表面が表面材で覆われているペイントローラー);および(2)チューブ状ローラー芯材の表面の一部に、裏面が面ファスナーの雌材機能を有する表面材(表面材片)を、チューブ状ローラー芯材表面の雄係合素子と表面材裏面との雄雌係合によって取り付けてあるペイントローラー(チューブ状ローラー芯材の一部が表面材で覆われているパターンローラー)の両方を包含する。
なお、本明細書でいう「雄係合素子」の高さとは、雄係合素子が起立している基部表面と、雄係合素子の頂部(最も高い部分)との間の距離をいう。図1の(a)〜(e)の雄係合素子で説明すると、それぞれの図に、Hで示している寸法をいう。
その際に、合成樹脂製の管状体としては、予め製造しておいた合成樹脂製の管状体(チューブ)を使用してもよいし、または管状体を製造しながらその上に雄係合素子を表面に有する雄材テープを巻付けて接着するようにしてもよい。工程を連続化して生産性を更に向上させ得る点から、ストリップ状の雄材テープの巻き付け作業と同期させて管状体の製造を行う後者の製造方法が望ましく、特に以下の製造方法が好ましく採用される。
表面材の表面側は、塗料の保持性、均一塗装性などの点から、立毛を有している。
すなわち、ループを有する繊維糸条(以下これを「ループ糸」ということがある)を地組織用の糸条(地糸)の少なくとも一部として用いて地組織を製編織して上記(1)の表面材[布帛(織編物)]を製造する方法が好ましく採用され、この方法による場合は、表面材(織編物)の裏面に小さなループが多数露出した織編物が形成され、そのループが雌材機能を発揮して、チューブ状ローラー芯材の表面に存在する雄係合素子と雄雌係合して、チューブ状ローラー芯材の表面に表面材が取り付けることができる。
また、表面材の裏面に露出させるループの大きさは、チューブ状ローラー芯材の表面に存在する雄係合素子の形状や大きさ(高さ、径、太さなど)、可撓性度合いなどに応じて、両者間の雄雌係合が良好に行われ得る大きさにすることが必要である。表面材の裏面に露出させるループの大きさ(ループの径)は、一般に、100μm〜3mmであることが好ましい。
地組織の製編織に用いるループ糸は、例えば、複数本の糸条を絡合装置に供給して絡合した加工糸を製造する際に、該複数本の糸条の供給速度を互いに異ならせて絡合装置に供給し、遅い速度で供給した糸条を速い速度で供給した糸条の回りにループを形成しながら絡み付かせる既知の方法などにより製造することができる。
表面材(織編物)の製造に用いるループ糸におけるループの個数はループ糸10cm当たり20〜40個程度であることが、表面材(織編物)の裏面に良好な雌材機能を発現させ得ることから好ましい。
裏面に雌材機能を有するループが存在する上記(1)の布帛(地組織)の製編織時に、パイル糸(立毛糸)用の糸を同時に用いて製編織することによって、裏面が雌材機能を有し、表面に立毛(パイル)を有する布帛(織編物)を製造することができる。
表面材の表面側に存在する立毛(パイル)は、均一塗装性、塗料の保持性、塗料の吐出性などの点から、ループパイルであるよりは、カットパイルであることが好ましい。
表面材を構成する布帛における地組織および立毛(パイル)を形成する繊維の単繊維繊度は特に制限されないが、従来のペイントローラーにおけるのと同様に、1〜20デシテックス程度とすることが好ましい。
カーペットなどのような通常の立毛製品(パイル製品)では、パイルの抜けを防止するために裏面にバッキングと称される樹脂コートなどの処理が一般に施されている。しかしながら、本発明で用いる表面材では、そのようなバッキング処理を施すと、裏面に露出して存在する雌材機能を有するループが樹脂コーティング層(バッキング層)中に埋没して雌材機能を発揮しなくなるの、カーペットなどの通常の立毛製品で採用されているバッキング処理を行うことができない。
更に、熱融着性繊維を用いて地組織内で繊維間の融着・固定を行うことによって、表面材をチューブ状ローラー芯材に巻き付ける際に、表面材にかかる張力によって表面材の幅が変動するのを抑制できるという効果を奏することができる。
表面材を製造する際の熱融着性繊維の使用割合は特に制限されないが、一般的には、地組織を形成している糸条の全質量に対して、30〜100質量%程度であることが、立毛(パイル)の固定機能、表面材の寸法安定性などの点から好ましい。
また、不織布を表面材として用いてチューブ状ローラー芯材に巻き付けた際には、巻き目が完全に消えず、それが被塗装面にそのまま筋などとして現れることがある。
表面材が立毛(パイル)布帛よりなる場合は、所定の寸法に切断する前または切断した後に、ブラシがけなどを行って毛羽を整えることが好ましい。
図2の(a)は、チューブ状ローラー芯材の表面に表面材を取り付けたペイントローラー用のチューブ状本体の製造法の一例を示した図であり、図2の(b)は、表面に雄係合素子を有するチューブ状ローラー芯材の一例を示した図である。
図中、1は回転しないマンドレル、2はポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂よりなるストリップ状シート(テープ)、3は溶融した熱可塑性樹脂(ポリプロピレンなど)をテープ状(帯状)で供給するためのアプリケーター、4は溶融したテープ状の熱可塑性樹脂、5は雄係合素子を表面に有するポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂よりなる雄材テープ、6は雄係合素子を表面に有するチューブ状ローラー芯材、7はチューブ状ローラー芯材6をマンドレル1上で回転させながら下流側に移動させるための送り出しベルト、8は表面材、9は雄係合素子を示す。
図3の(a)の表面材8は、表面材8を製編織する際の地組織用の糸の一部として、図3の(b)に例示するループ糸を用いて作製されており、それによって、表面材8の裏面に多数のループ11が露出して存在し、そのループ11が雌材機能を有し、図2の(b)に示すチューブ状ローラー芯材6の表面に存在する雄係合素子9と雄雌係合して、表面材8をチューブ状ローラー芯材6の表面に安定した状態で取り付けることができる。
また、図4の(b)に例示するように、表面材を所定の形状および寸法を有する表面材片8’にして所定のパターンでチューブ状ローラー芯材6の表面に、雄係合素子9と表面材片8’の裏面の雌材機能との雄雌係合によって取り付けることによって、図4の(b)に示す所定のパターンを有するパターンローラー14が作製される。図4の(b)に示すパターンローラーでは、表面材片8’の形状、大きさ、配置、取り付け数などを変えることによって、パターンの内容を種々変えることができる。そのような変更は、塗装現場においても容易に行うことができる。
以下の例において、各種測定および評価は次のようにして行った。
デジタルHFマイクロスコープ(キーエンス社製「VH−8000」)を使用して、拡大倍率50倍で、雄材テープに形成されている雄係合素子部分を観察して、雄係合素子の柱状部のシート状基材部への結合部と雄係合素子の最も高い部分の間の距離(図1に示す高さH)を測定して、雄係合素子の高さ(mm)とした。
図5に示すように、チューブ状ローラー芯材6の表面にスパイラル状に巻き付けた表面材8を、チューブ状ローラー芯材6から5cmだけ剥離し、その一端をインストロン試験機(島津製作所製「オートAGS−100型」)のチャックに1cm幅(高さ方向幅)で把持させた後、チューブ状ローラー芯材6の内部に鉄芯16を通し、鉄芯16の両端を固定した後、インストロン試験機のチャック15を300mm/分の速度で上昇させて、その時の剥離強力を測定して、雄雌係合強力とした。なお、チャック15の上昇時に、チューブ状ローラー芯材6は回転しながら表面材8がチューブ状ローラー芯材6の表面から剥離される。
ペイントローラーの表面に塗料(日本ペイント社製「1液ファインウレタンU100」)160gを供給保持させ、そのローラーを用いてコート紙上に往復100回塗装して(同じ箇所を100往復)(その間の塗料の補給なし)、仕上がりの審美性を目視により観察して評価した。
(1)ループ糸の製造:
ナイロン製フィラメント糸(東レ株式会社製;140dtex/14フィラメント)1本を鞘糸として用い、芯糸として熱融着性繊維(芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分がエチレン−ビニルアルコール系共重合体よりなる芯鞘型複合繊維;165dtex/48フィラメント)1本を用いて、芯糸のフィード率1.10、鞘糸のフィード率1.50としてタスラン(ヘバライン ファイバー テクノロジー Inc.の登録商標)ノズル(ヘバライン社製「#15」)に供給して、空気圧540kPa(5.5kg/cm2)、加工速度200m/分でタスラン加工を行って、410dtex/62フィラメントの加工糸(ループ糸)(糸長1cm当りの平均ループ数22個)を製造した。
パイル糸用にポリエステル製フィラメント糸(276dtex/48フィラメント)を2本準備し、地糸として上記(1)で得られたループ糸1本と熱融着性繊維糸条(フィラメント糸;165dtex/48フィラメント;株式会社クラレ製「ソフィスタ」)1本を引き揃えて、熱融着性繊維糸条に10gの張力をかけながら、シールフライス編機により製編して、表面にポリエステル製フィラメント糸よりなるパイルを有し(パイル密度21個/cm2、平均パイル高さ7mm)、裏面にナイロン製フィラメントよりなるループが多数露出している表面材(編地)(編地の目付560g/m2、編地の厚さ6mm)を製造した。
(i) 図2の(a)に示すように、マンドレル1(外径3.8cm)に、幅50mmのポリプロピレン製ストリップ状シートをスパイラル状に巻き付けながら、アプリケータ3からポリプロピレンを0.03g/cm2の塗布量となるように溶融状態でテープ状にして流下させてスパイラル状に巻き付けた前記ポリプロピレン製ストリップ状シートの上に巻き付け塗布し、次いで幅50mmのポリプロピレン製面ファスナー雄材テープ(雄係合素子の高さ0.7mm、雄係合素子密度81個/cm2)(株式会社クラレ製「マジロック」)をスパイラル状(マンドレル1の中心軸とのなす角度21°)に巻き付けて固定した。
(ii) 次いで、上記(i)の工程に引き続いて、巻き付けられた面ファスナー雄材テープの表面に、上記(2)で得られた表面材(幅50mmにスリットしたもの)をスパイラル状(マンドレル1の中心軸とのなす角度21°)に巻き付けて、面ファスナー雄材テープにおける雄係合素子と表面材裏面の雄雌係合によって表面材を表面に取り付けて、表面材で全面を被覆したペイントローラー用のチューブ状本体を製造した。
(iv) 上記(iii)で得られたペイントローラー(ハンドルを取り付ける前のもの)について、その雄雌係合強力を上記した方法で測定したところ、剥離時の強力は10〜26g/cmであり、表面に雄係合素子を有するチューブ状ローラー芯材の表面に表面材が十分に係合していることが確認された。
また、上記(iii)で得られたペイントローラー(ハンドルを取り付けたもの)を使用して、上記した方法で塗装性を評価したところ、その塗装面は巻き目の転写がなく、塗装性に優れていた。しかも、塗装時にチューブ状ローラー芯材と表面材との境界部分への塗料の浸入がなく、液漏れなどのトラブルを全く生じなかった。
(1) 実施例1の(2)で得られたのと同じ表面材を、雲形模様、幾何学模様に適宜裁断して、複数の表面材片を作製した。
(2) 実施例1の(i)と同じ工程を行って、表面に雄係合素子を有するチューブ状ローラー芯材を製造し、それをそのまま(表面材を取り付けずに)長さ23cmに切断して、所定長さ(23cm)のチューブ状ローラー芯材を作製した。
(3) 上記(2)で製造した長さ23cmのチューブ状ローラー芯材の表面に、上記(1)で作製した複数の表面材片を互いに間隔をあけて取り付けて、パターンローラーを作製した。
(4) 上記(3)で作製したパターンローラーを用いて塗装を行ったところ、被塗装面に、パターンローラーの表面におけるのと同じパターン模様を円滑に描くことができた。
(1)表面材の製造:
(i) パイル糸用にポリエステル製フィラメント糸(276dtex/48フィラメント)を2本準備し、地糸としてポリエステル製フィラメント仮撚加工糸(220dtex/72フィラメント)2本と熱融着性繊維糸条(フィラメント糸;165dtex/48フィラメント;株式会社クラレ製「ソフィスタ」)1本を引き揃えて、シールフライス編機により製編して、表面にポリエステル製フィラメント糸よりなるパイルが形成された編地を製造した(編地の目付540g/m2、編地の厚さ6mm、表面でのパイル密度22個/cm2、平均パイル高さ7mm)。
(ii) ポリエステル仮撚加工糸(80dtex/24フィラメント)を使用して、トリコット編地を作製し(編地の目付150g/m2、厚さ1.5mm)、その一方の表面を起毛機により起毛して、トリコット製起毛布を製造した。
(iii) 上記(i)で製造した布帛の非立毛面(パイルの形成されていない面)に対して、上記(ii)で製造したトリコット製起毛布の非起毛面が接合するようにして、接着剤として東洋紡績株式会社製「ダイナック」を用いて両者を積層・接着して、積層布帛(表面材)を製造した。
(i) 表面材として、上記(1)の(iii)で得られた積層布帛を使用し、それ以外は、実施例1と同じ操作を行って、ペイントローラーを製造した。
(ii) 上記(i)で得られたペイントローラーについて、その雄雌係合強力を上記した方法で測定したところ、剥離時の強力は67〜121g/cmであり、表面に雄係合素子を有するチューブ状ローラー芯材の表面に表面材が高い係合力で取り付けられていることが確認された。
また、上記(i)で得られたペイントローラーを使用して、上記した方法で塗装性を評価したところ、その塗装面は巻き目の転写がなく、塗装性に優れていた。さらに、塗装時にチューブ状ローラー芯材と表面材との境界部分への塗料の浸入がなく、液漏れなどのトラブルを全く生じなかった。
(i) 実施例1において、ポリプロピレン製面ファスナー雄材テープとして、雄係合素子の高さ3.8mm、雄係合素子密度が81個/cm2である面ファスナー雄材テープ(株式会社クラレ製「マジロック」)を使用した以外は、実施例1と全く同じに行って、ペイントローラーを製造した。
(ii) 上記(i)で得られたペイントローラーについて、その雄雌係合強力を上記した方法で測定したところ、剥離時の強力は10〜21g/cmであり、表面に雄係合素子を有するチューブ状ローラー芯材の表面に表面材が充分な係合力でして固定されていたが、塗装作業時にチューブ状ローラー芯材と表面材との境界部の隙間に塗料が浸入して液漏れを生じ、被塗装面に規則的な斜め方向の筋が発生し、均一な塗装を行うことができなかった。
(i) 実施例1において、ポリプロピレン製面ファスナー雄材テープとして、雄係合素子の高さ0.1mm、雄係合素子密度が81個/cm2である面ファスナー雄材テープ(株式会社クラレ製「マジロック」)を使用した以外は、実施例1と全く同じに行って、ペイントローラーを製造した。
(ii) 上記(i)で得られたペイントローラーについて、その雄雌係合強力を上記した方法で測定したところ、剥離時の強力は1〜4g/cmと極めて低く、チューブ状ローラー芯材表面の雄係合素子と表面材の裏面とは殆ど係合しなかった。
本発明のペイントローラーでは、チューブ状ローラー芯材の表面に取り付ける表面材として、所定の形や寸法を有する表面材片を使用し、それをチューブ状ローラー芯材の表面に任意のパターンで取り付けることが可能なため、ペイントローラーによって被塗装面に描く塗装パターンを任意に且つ簡便に変えることのできるパターンローラーとして有効に使用することができる。
2 熱可塑性樹脂製テープ
3 アプリケーター
4 溶融した熱可塑性樹脂のテープ状フイルム
5 面ファスナー雄材テープ
6 チューブ状ローラー芯材
7 送り出しベルト
8 表面材
8’ 表面材片
9 雄係合素子
10 経糸
11 ループ
12 立毛(パイル)
13 ペイントローラー
14 パターンローラー
15 チャック
16 鉄芯
Claims (7)
- 面ファスナーの雄材機能を有する高さ0.3〜3.5mmの係合素子を表面に有する液体不浸透性のチューブ状ローラー芯材の表面に、裏面が面ファスナーの雌材機能を有する表面材を、チューブ状ローラー芯材の表面における係合素子の雄材機能と表面材の裏面の雌材機能によって雄雌係合させて取り付けてなるペイントローラーであって、当該表面材が、ループを有する繊維糸条を少なくとも用いて地組織を製編織して形成した、表面に立毛を有し、裏面にチューブ状ローラー芯材の表面に設けた雄材機能を有する係合素子と雄雌係合するループを有する織編物からなることを特徴とするペイントローラー。
- チューブ状ローラー芯材表面における係合素子の素子密度が30〜150個/cm2である請求項1に記載のペイントローラー。
- チューブ状ローラー芯材の表面に、上記した表面材をスパイラル状に巻着した状態でチューブ状ローラー芯材表面に当該表面材を取り付けてなる請求項1または2に記載のペイントローラー。
- チューブ状ローラー芯材の表面に、所定の形状および寸法を有する片状の上記した表面材を、チューブ状ローラー芯材表面の係合素子と当該表面材の裏面との雄雌係合によって、所定のパターン状で取り付けてなる、所定パターンの転写が可能な請求項1または2に記載のペイントローラー。
- 雄材機能を有する係合素子を表面に有するチューブ状ローラー芯材が、チューブ状体の表面に、雄材機能を有する係合素子を表面に有する面ファスナー雄材テープをスパイラル状に巻着して形成したものである請求項1〜4のいずれか1項に記載のペイントローラー。
- チューブ状体および面ファスナー雄材テープが合成樹脂製である請求項5に記載のペイントローラー。
- 表面に立毛を有し、裏面にループを有する織編物からなる上記した表面材が、織編物を形成する地組織中に熱融着性繊維を含み、地組織中で熱融着性繊維によって熱融着性繊維同士および熱融着性繊維と他の繊維とが熱融着している請求項1〜6のいずれか1項に記載のペイントローラー。
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