JP2005118665A - ペイントローラー - Google Patents

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Abstract

【課題】 表面材の汚れ、破損、消耗が生じたときに、表面材をローラー本体から取り外して、新しい表面材に付け替えることによってローラー本体を繰り返して再利用でき且つ良好な塗装面を形成することのできるペイントローラー、およびペイントローラーによる塗装パターンを任意に変更することのできるパターンローラーの提供。
【解決手段】 面ファスナーの雄材機能を有する高さ0.3〜3.5mmの係合素子を表面に有する液体不浸透性のチューブ状ローラー芯材の表面に、裏面が面ファスナーの雌材機能を有する表面材を、チューブ状ローラー芯材の表面における係合素子の雄材機能と表面材の裏面の雌材機能によって雄雌係合させて取り付けたペイントローラー。
【選択図】 図2

Description

本発明はペイントローラーに関する。より詳細には、本発明は、チューブ状ローラー芯材の表面に取り付けた表面材が汚れたり、損傷したり、消耗したときに、表面材をチューブ状ローラー芯材から取り外して、新しい表面材に簡単に取り替えることのできるペイントローラーに関するものであり、本発明のペイントローラーではチューブ状ローラー芯材を繰り返し再利用することができる。また、本発明は、所望のパターンを有する模様やマークなどを被塗装面に塗装することができ、各々の状況に応じて被塗装面に塗装するパターンの種類や内容を任意に変えることのできるペイントローラーを提供するものである。
ペイントローラーは、従来、ボール紙や樹脂含浸紙から形成したチューブ状芯材に、布帛などの表面材をスパイラル状に巻き付けて接着した後、チューブ内にハンドルを差し込んで取り付けることによって作製されている。具体的には、ペイントローラーは、ストリップ状(帯状)にしたボール紙または樹脂含浸紙の複数枚を同時に供給すると共に接着剤を塗布しながらマンドレルにスパイラル状に巻き付けてチューブ状芯材を形成する工程、その上にストリップ状(帯状)の布帛(表面材)を、裏面に接着剤を塗布しながら巻き付ける工程、それを大凡の長さ寸法に切断する工程、加熱炉で加熱して紙に含浸した樹脂の硬化、接着剤の乾燥や硬化などを行う工程、それをローラーの所定のサイズに切断する工程、針布ブラシなどにより表面の毛羽を整えて仕上げる工程、ハンドルを取り付ける工程などの一連の工程を経て製造されている。そのため、工程数が極めて多く、複雑であり、ペイントローラーの製造は手間および時間を要するものであった。しかも、ボール紙や樹脂含浸紙をマンドレルに巻き付ける工程、表面材用のストリップ状布帛を巻き付ける工程などで溶剤型接着剤を用いた場合には、マンドレルに巻き付けて形成した紙管が接着剤中の有機溶剤によって侵されたり、有機溶剤による作業環境の悪化や自然環境の汚染などの問題が生ずるため、そのような問題の生じない接着剤を選定する必要があった。
上記した従来技術の問題点を解決することを目的として、ボール紙または樹脂含浸紙を用いて芯管を形成する代わりに、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂からなるテープ(ストリップ)をマンドレルにスパイラル状に巻き付けて芯管を形成し、その上に溶融ポリプロピレンなどの樹脂溶融物からなる接着剤を施した後、ストリップ状の布帛製表面材をその上にスパイラル状に巻き付けて接着した後、所定の寸法に切断し、針布ブラシで表面の毛羽を整え、それにハンドルを取り付けてペイントローラーを製造する方法が提案されている(特許文献1を参照)。
また、別の方法として、熱可塑性樹脂製の芯管を用い、該芯管と平行に配置した熱源によって芯管の表面を加熱溶融させ、それと同時にその表面に布製の表面材をスパイラル状に巻き付けることによって、芯管と表面材との間に接着剤を別途塗布することなく、熱可塑性樹脂製の芯管上に表面材が一体に接着・巻着されたペイントローラーを製造する方法が提案されている(特許文献2を参照)。
特許文献1および2に記載されている方法は、有機溶剤を含む接着剤を用いなくてよいために、有機溶剤による作業環境の悪化や自然環境の汚染などの問題がなく、安全性および衛生面で優れている。しかしながら、特許文献1および2の方法で得られるペイントローラーは、前記した従来のペイントローラーと同様に、芯管(チューブ状芯材)と表面材とが強固に接着・一体化されているため、表面材の汚れ、破損、消耗などが生じたときに、芯管(チューブ状芯材)部分に何ら損傷が生じていない場合であっても、ペイントローラー全体を廃棄する必要があり、資源の有効利用、経済性などの点で問題があった。
上記の点から、ペイントローラーにおける表面材が汚れたり、損傷したときに、表面材のみを取り替えて、ペイントローラー本体部分(チューブ芯材部分)を再利用できるようにするために、表面材として裏面に感圧粘着剤を塗布したものを用い、その表面材を、表面に螺旋状の案内突起筋部を有するペイントローラー本体(チューブ状ローラー芯材)表面に案内突起筋部に沿って巻き付けるようにしたペイントローラーが提案されている(特許文献3を参照)。
この特許文献3に記載されているペイントローラーでは、表面材は、感圧粘着剤によってペイントローラー本体の表面に貼着されているので、表面材が汚れたり損傷した時にペイントローラー本体から剥がして、再度新しい表面材を貼着することができ、ペイントローラー本体の再利用が可能である。
しかしながら、ペイントローラーの表面材として用いられる布帛は、塗工作業時に塗料を十分に且つ良好に保持する必要があることから、汎用の粘着テープに用いられている紙や樹脂含浸布などの基材に比べて、厚みが大幅に大きく、しかも全体として繊維間に空隙が多く存在し多孔質である。そのため、そのような厚くて、空隙の多いペイントローラー用の表面材(布帛)の裏面に、感圧粘着剤層を均一な厚さで且つ過剰にならないようにして塗布するには、特別な設備や工程が別途必要であり、感圧粘着剤層付きのペイントローラー用の表面材の製造コストの大幅なアップは避けられない。その結果、ペイントローラー本体は繰り返して再利用することができても、感圧粘着剤層付きの表面材が高価になるため、使い捨てを防止してペイントローラーの使用コストを低減するという目的に合致しない。
さらに、近年の環境対応型塗料では、有機溶剤の使用の低減が図られていることなどにより塗料自体の粘度がかなり高くなっている。そのため、そのような高粘度塗料の塗装に用いられるペイントローラーでは、表面材をなすパイル布帛(立毛布帛)の毛抜けが生じ易く、特にハイパイル地よりなる表面材では毛抜けの問題が顕著になっている。表面材をなすパイル布帛における毛抜けの問題を防止するためには、パイル布帛の裏面にバッキング加工を施すことが必要であるが、パイル布帛の裏面にバッキング加工と感圧粘着剤層塗布の両方を円滑に施すことは、事実上困難である。
また、特許文献3のペイントローラーは、ペイントローラー本体(ロール状芯材)の表面に表面材を貼着する際の案内手段として螺旋状の案内突起筋部を有していて、ペイントローラー本体に表面材を巻き付けた後に、該案内突起筋部が表面材の外に突出してしまうことが多く、その場合には被塗装面に筋が生じ、良好な塗装ができないという問題がある。
また、ペイントローラーを用いて被塗装面に所定の模様や図柄などを描く場合は、通常、パターンローラーと称される、ペイントローラーの表面に予め所定の模様や図柄などを刻んだパターンローラーが用いられている。そのような従来のパターンローラーでは、塗装によって被塗装面に発現させる図柄が予め刻まれているために、パターンを任意に変更することができず、別の模様や図柄を塗工したい場合は、別の模様や図柄が刻まれているパターンローラーを別途購入したり、作製する必要がある。
一方、上記した従来のペイントローラーや特許文献1〜3に記載されているペイントローラーでは、芯管(チューブ芯材)の表面全体に予め決められた所定の材料よりなる表面材がスパイラル状で巻き付けられているため、そのペイントローラーを用いて、所望のパターンを有する模様や図形などを適宜選択したり、変えたりして被塗装面に描くことは困難である。
米国特許第5572970号明細書 米国特許第4692975号明細書 実開昭57−76879号公報
本発明の目的は、ペイントローラーの表面材が汚れたり、破損したり、摩耗したときに、表面材のみを新しいものと取り替えて、チューブ状ローラー芯材を繰り返して再利用することのできるペイントローラーを提供することである。
そして、本発明の目的は、有機溶剤を含有する接着剤などを使用せずに、さらには高価な設備や複雑な工程を採用せずに、簡単な工程で、安全に且つ衛生的に、生産性良く製造することのできる、表面材の取り替えが可能で且つチューブ状ローラー芯材の再利用が可能なペイントローラーを提供することである。
さらに、本発明は、作業者が、塗装作業現場で、塗装する模様や図柄などを任意に且つ適宜に変更できて、被塗装面に所望の模様や図柄などを、同じペイントローラーを用いて形成することのできるペイントローラーを提供することである。
上記の目的を達成すべく本発明者らは鋭意検討を重ねてきた。その結果、芯管(チューブ状ローラー芯材)の表面への表面材の取り付けを、上記した従来法や特許文献1〜3に記載されているような接着剤、感圧粘着剤、芯材自体の熱融着作用などを利用して行う代わりに、ペイントローラー本体を構成するチューブ状ローラー芯材の表面に、面ファスナーの雄材機能を有する係合素子を多数突設させると共に、表面材として裏面が面ファスナーの雌材機能を有するものを使用し、チューブ状ローラー芯材の表面に設けた係合素子の雄材機能と表面材の裏面の雌材機能によって雄雌係合させて表面材をチューブ状ローラー芯材の表面に取り付けると、使用時には表面材がチューブ状ローラー芯材表面に安定した状態で強固に係合していて塗装作業を良好に行うことができ、その一方で、表面材が汚れたり、損傷したり、摩耗して取り替える必要が生じたときに、手などで表面材をチューブ状ローラー芯材の表面から簡単に剥がして、新しい表面材を、チューブ状ローラー芯材表面の係合素子と表面材裏面の雌材機能とによる雄雌係合によって極めて簡単に且つ強固に取り付け得ることを見出した。
さらに、本発明者らは、上記した雄雌係合を利用して表面材をチューブ状ローラー芯材表面に交換可能に取り付けるにあたっては、チューブ状ローラー芯材表面に設ける雄材機能を有する係合素子の高さを0.3〜3.5mmにすると、係合素子と表面材裏面の係合強力が高く維持されると共に、チューブ状ローラー芯材表面と表面材裏面との間に隙間が生じず、その間への塗料の浸入が防止されて塗料漏れによる被塗装面の汚れや塗装不良が生じないことを見出した。
また、本発明者らは、上記した面ファスナー方式を利用したペイントローラーのチューブ状ローラー芯材表面への表面材の取り付けは、従来法などにみるように、表面材をチューブ状ローラー芯材表面にスパイラル状に巻き付けて行うことができ、その場合には、チューブ状ローラー芯材の表面全体が表面材で覆われたペイントローラーを簡単に得ることができることを見出した。
さらに、本発明者らは、本発明者らの見出した面ファスナー方式を利用する場合には、表面材を所定の寸法および形状を有する片状に裁断しておき、それをチューブ状ローラー芯材の表面の任意の箇所に、任意の配置で、所望のパターン(模様や図柄)で取り付けることができ、それによって所望のパターンローラーを得ることができて、該パターンローラーのパターンに応じて所望の模様や図柄を被塗装面に描けることを見出した。しかも、面ファスナー方式を利用したそのようなパターンローラーでは、そのパターンの内容は、チューブ状ローラー芯材表面に取り付ける表面材片の形状、寸法、種類などを塗装現場などで変えることによって、適宜変更でき、一本のペイントローラーで任意の模様や図柄などを被塗装面に極めて簡単に描くことができることを見出した。
また、本発明者らは、表面に雄材機能を有する係合素子を有する前記チューブ状ローラー芯材は、チューブ状ローラー芯材芯材の表面に、雄材機能を有する係合素子を表面に有する面ファスナー雄材テープをスパイラル状に巻着することによって、簡単に製造できることを見出した。
さらに、本発明者らは、裏面に雌材機能を有する表面材としては、チューブ状ローラー芯材の表面の前記係合素子と雄雌係合するループを裏面に有する布帛が好ましく用いられ、そのような布帛(表面材)は、ループを有する繊維糸条を少なくとも用いて地組織を製編織することによって製造できることを見出した。
また、表面材をなす布帛において、熱融着性繊維を用いて地組織を製編織した後、熱融着性繊維同士および熱融着性繊維と他の繊維とを熱融着させると、表面材(布帛)の表面に設けた立毛(パイル)が地組織に強固に固定されて毛抜けが生じず、また裏面に雌材機能用ループが存在する場合はそのループが安定且つ固定した状態となって雌材機能を長期にわたって良好に発揮することを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1) 面ファスナーの雄材機能を有する高さ0.3〜3.5mmの係合素子を表面に有する液体不浸透性のチューブ状ローラー芯材の表面に、裏面が面ファスナーの雌材機能を有する表面材を、チューブ状ローラー芯材の表面における係合素子の雄材機能と表面材の裏面の雌材機能によって雄雌係合させて取り付けてなることを特徴とするペイントローラーである。
そして、本発明は、
(2) チューブ状ローラー芯材表面における係合素子の素子密度が30〜150個/cm2である前記(1)のペイントローラー;
(3) チューブ状ローラー芯材の表面に、表面材をスパイラル状に巻着した状態でチューブ状ローラー芯材表面に表面材を取り付けてなる前記(1)または(2)のペイントローラー;および、
(4) チューブ状ローラー芯材の表面に、所定の形状および寸法を有する片状の表面材を、チューブ状ローラー芯材表面の係合素子と表面材の裏面との雄雌係合によって、所定のパターン状で取り付けてなる、所定パターンの転写が可能な前記(1)または(2)のペイントローラー;
である。
さらに、本発明は、
(5) 雄材機能を有する係合素子を表面に有するチューブ状ローラー芯材が、チューブ状体の表面に、雄材機能を有する係合素子を表面に有する面ファスナー雄材テープをスパイラル状に巻着して形成したものである前記(1)〜(4)のいずれかのペイントローラー;
(6) チューブ状体および面ファスナー雄材テープが合成樹脂製である前記(5)のペイントローラー;
である。
そして、本発明は、
(7) 表面材が、表面に立毛を有し、裏面にチューブ状ローラー芯材の表面に設けた雄材機能を有する係合素子と雄雌係合するループを有する布帛である前記(1)〜(6)のいずれかのペイントローラー;
(8) 表面材が、ループを有する繊維糸条を少なくとも用いて地組織を製編織して形成した、チューブ状ローラー芯材の表面の係合素子と雄雌係合可能なループを裏面に有する布帛である前記(1)〜(7)のいずれかのペイントローラー;および、
(9) 表面材が、表面に立毛を有する布帛であって、布帛を形成する地組織中に熱融着性繊維を含み、地組織中で熱融着性繊維によって熱融着性繊維同士および熱融着性繊維と他の繊維とが熱融着している前記(1)〜(8)のいずれかのペイントローラー;
である。
本発明のペイントローラーでは、表面材が汚れたり、損傷したり、摩耗して取り替える必要が生じたときに、手などで表面材をチューブ状ローラー芯材の表面から簡単に剥がして、新しい表面材を、チューブ状ローラー芯材表面の係合素子と表面材裏面の雌材機能とによる雄雌係合によって極めて簡単に且つ強固に取り付けることができ、そのためチューブ状ローラー芯材を繰り返して再利用することができる。
本発明のペイントローラーでは、チューブ状ローラー芯材の表面に存在する雄材機能を有する係合素子と表面材裏面の係合強力が高く維持されると共に、チューブ状ローラー芯材表面と表面材裏面との境界部分に隙間が生じず、該境界部分への塗料の浸入が防止されて塗料漏れによる被塗装面の汚れや塗装不良が生じない。
本発明では、チューブ状ローラー芯材の表面に取り付ける表面材を所望の形状および寸法の表面材片とし、それを所望の数および配置状態で所望のパターンでチューブ状ローラー芯材の表面に雄雌係合作用を利用して簡単に取り付けることができ、また必要に応じてそのパターンを適宜変更することができるので、一本のペイントローラーで任意の模様や図柄などを被塗装面に極めて簡単に描くことができる。
本発明のペイントローラーは、環境に有害な有機溶剤などを使用せずに、極めて簡単に且つ生産性良く製造することができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明は、面ファスナーの雄材機能を有する高さ0.3〜3.5mmの係合素子を表面に多数有する液体不浸透性のチューブ状ローラー芯材の表面に対して、裏面が面ファスナーの雌材機能を有する表面材を、チューブ状ローラー芯材表面の雄材機能を有する係合素子(以下これを「雄係合素子」ということがある)と表面材裏面との間の雄雌係合によって取り付ける形式のペイントローラーのいずれをも包含する。
したがって、本発明は、(1)チューブ状ローラー芯材の表面の全体またはほぼ全体に、裏面が面ファスナーの雌材機能を有する表面材を、チューブ状ローラー芯材表面の雄係合素子と表面材裏面との雄雌係合によって取り付けてあるペイントローラー(チューブ状ローラー芯材の全表面またはほぼ全表面が表面材で覆われているペイントローラー);および(2)チューブ状ローラー芯材の表面の一部に、裏面が面ファスナーの雌材機能を有する表面材(表面材片)を、チューブ状ローラー芯材表面の雄係合素子と表面材裏面との雄雌係合によって取り付けてあるペイントローラー(チューブ状ローラー芯材の一部が表面材で覆われているパターンローラー)の両方を包含する。
上記(1)の本発明のペイントローラーは、被塗装面の均一塗装などに好適に用い得る。上記(1)のペイントローラーでは、雄係合素子を表面に有するチューブ状ローラー芯材の表面への表面材の取り付け方としては、チューブ状ローラー芯材表面の雄係合素子と表面材裏面とを雄雌係合させながら、チューブ状ローラー芯材の表面に帯状(ストリップ状)の表面材をスパイラル状に巻き付けて取り付ける方式が好ましく採用される。この方式による場合は、チューブ状ローラー芯材の表面全体に、表面材を安定した状態で強固に取り付けることができ、塗装作業時などにチューブ状ローラー芯材表面での表面材のズレや剥がれなどが生じにくい。しかも、表面材をチューブ状ローラー芯材の表面全体に均一に巻き付けることができるため、塗装斑などの生じないペイントローラーを得ることができる。もしチューブ状ローラー芯材への表面材の巻き付け時に、巻き付け方に多少不具合が生じた場合(例えば隙間なくきれいに巻き付けられなかった場合など)には、巻き付けた表面材を一旦剥がして再度巻き付け直すという簡単な手直しで、均一塗装が可能なペイントローラーを得ることができる。
また、表面材をチューブ状ローラー芯材表面に一部に取り付けてなる上記(2)の本発明のペイントローラーは、被塗装面に所望の模様やパターンを描くのに好適に用いられる。上記(2)のペイントローラーでは、雄係合素子を表面に有するチューブ状ローラー芯材表面への表面材片の取り付け位置、チューブ状ローラー芯材表面に取り付ける表面材片の形状、寸法、数などはいずれでもよく、被塗装面に描こうとする模様、図柄、パターンなどに応じて、適当な形状およびサイズの表面材片を、適当な数および配置状態で、チューブ状ローラー芯材表面に、該表面に存在する雄係合素子と表面材片裏面の雌材機能部との雄雌係合によって、簡単に且つ強固に取り付けることができる。チューブ状ローラー芯材表面に取り付けた表面材片は、塗装現場などで、被塗装面に描こうとする模様やパターンなどに応じて、別の大きさや形を有する表面材片と簡単に取り替えることができる。
本発明のペイントローラーの本体を構成するチューブ状ローラー芯材は、多数の雄係合素子をローラー表面全体にわたって均一またはほぼ均一に有する液体不浸透性の材料からなる管状の芯材であって、強度および剛性に優れ塗装作業時などに芯材の変形や破損がなく、軽量で取扱性に優れ、しかもチューブ状ローラー芯材の表面に存在する雄係合素子の高さが0.3〜3.5mmであって且つ該雄係合素子が、表面材の多数回にわたる取り付け/剥がしによっても変形したり破損したりせずに雌材との係合機能を良好に維持できるものであればいずれでもよく、その材質、細部構造などは特に制限されない。
そのうちでも、チューブ状ローラー芯材の管状体部分は、合成樹脂から形成されていることが好ましく、特に強度、剛性、耐衝撃性などに優れる液体不浸透性の熱可塑性樹脂から形成されていることが好ましい。チューブ状ローラー芯材の管状体部分の直径(外形)は特に限定されず、ペイントローラーの用途、使用形態などに応じて決めることができ、一般的には、1.5〜6cmであることが取扱性、塗工性、製造の容易性などの点から好ましく、1.4〜4.5cmであることがより好ましい。また、最終的なペイントローラーにおけるチューブ状ローラー芯材の長さも、ペイントローラーの用途や使用形態などに応じて選択できるが、一般的には、2〜50cm、特に15〜30cmであることが好ましい。
チューブ状ローラー芯材の表面に存在する雄係合素子は、織物製の面ファスナー雄材または編物製の面ファスナー雄材に基づく雄係合素子であってもよいが、溶融押出成形などの溶融成形によって得られる面ファスナー雄材(すなわち熱可塑性樹脂製の雄係合素子が同じ熱可塑性樹脂よりなる基体に対して一体に結合して形成されている面ファスナー雄材)に由来する雄係合素子であることが、ホツレなどを生じず、しかもチューブ状ローラー芯材への雄材シートなど取り付け・一体化が容易であることなどから好ましい。その場合には、溶融成形による面ファスナー雄材は、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、芳香族ポリエステルなどの熱可塑性樹脂から製造されていることが、面ファスナー雄材の製造が容易で、しかも雄係合素子の係合性能が高く、且つ雄係合素子が耐久性に優れていることから好ましく、特にポリプロピレンから製造されていることが前記した優れた特性に加えて、容易に焼却可能である点からより好ましい。
チューブ状ローラー芯材の表面に存在する雄係合素子の形状および構造は、表面材裏面の雌材機能部の形状や形態に応じて、表面材の裏面との雄雌係合が良好に行われるように、従来から知られている種々の雄係合素子形状のうちから、適当な形状および構造のものを選択することができる。何ら限定されるものではないが、本発明で採用し得る雄係合素子の形状および構造としては、例えば、図1の(a)〜(c)に例示するようなカギ形、(d)に例示するようなキノコ形、(e)に例示するようなT字形などを挙げることができる。
チューブ状ローラー芯材の表面に存在する雄係合素子は、その高さが0.3〜3.5mmであることが必要であり、0.5〜2.5mmであることが好ましく、0.5〜1.5mmであることがより好ましい。雄係合素子の高さが0.3mm未満であると、表面材裏面の雌材機能部との雄雌係合時の係合強力が低下し、小さな外力で表面材がチューブ状ローラー芯材表面から剥離してしまい塗装作業が良好に行われなくなる。一方、雄係合素子の高さが3.5mmを超えると、チューブ状ローラー芯材表面と該表面に雄雌係合によって取り付けた表面材との間に隙間が生じ、その隙間に塗料が浸入して、塗料漏れを生じ、塗装作業が円滑に行われなくなる。
なお、本明細書でいう「雄係合素子」の高さとは、雄係合素子が起立している基部表面と、雄係合素子の頂部(最も高い部分)との間の距離をいう。図1の(a)〜(e)の雄係合素子で説明すると、それぞれの図に、Hで示している寸法をいう。
チューブ状ローラー芯材の表面における雄係合素子の密度は、雄係合素子の形状や構造、雄係合素子の高さ、雄係合素子の係合部分の寸法、雄係合素子の厚み寸法や径、表面材裏面の雌材機能部の構造や密度などに応じて選択する必要があるが、一般的には、30〜150個/cm2、特に60〜100個/cm2であることが、表面材裏面の雌材機能部との雄雌係合が良好に行われ、しかも表面材を剥がす必要が生じた時に、表面材の裏面や雄係合素子自体に破損が生ずるような過剰な力を加えなくても表面材をチューブ状ローラー芯材表面から円滑に剥がすことができるので好ましい。
本発明のペイントローラーを構成するチューブ状ローラー芯材の製法は特に制限されず、上記した構造のチューブ状ローラー芯材を製造し得るいずれの方法で製造してもよい。そのうちでも、合成樹脂製の管状体(チューブ)の表面に、ホットメルト接着剤を用いて、雄係合素子を表面に有するストリップ状の雄材テープを巻き付けながら接着して、表面に雄係合素子を有するチューブ状ローラー芯材を製造する方法が、作業性および生産性に優れ、しかも作業環境の悪化や環境汚染などを招く溶剤型接着剤を使用しないことから、好ましく採用される。
その際に、合成樹脂製の管状体としては、予め製造しておいた合成樹脂製の管状体(チューブ)を使用してもよいし、または管状体を製造しながらその上に雄係合素子を表面に有する雄材テープを巻付けて接着するようにしてもよい。工程を連続化して生産性を更に向上させ得る点から、ストリップ状の雄材テープの巻き付け作業と同期させて管状体の製造を行う後者の製造方法が望ましく、特に以下の製造方法が好ましく採用される。
すなわち、熱可塑性樹脂よりなるストリップ状シート(帯状シート、テープ)をマンドレルにスパイラル状に巻き付けて管状体(チューブ状体)を形成し、その上に溶融した熱可塑性樹脂をテープ状(帯状フイルム状)で供給して(巻き付け被覆して)接着剤層を形成し、更にその上に、雄係合素子を表面に有するストリップ状の熱可塑性樹脂製の雄材テープを、雄係合素子を有する面を外側に向けて(表面にして)巻き付ける方法が、雄係合素子を表面に有するチューブ状ローラー芯材を、良好な作業性、より高い生産性で、円滑に製造できるので特に好ましく採用される。
上記において、チューブ状ローラー芯材を構成する合成樹脂としては、強度、剛性、耐衝撃性、軽量性に優れ且つ液体不浸透性である合成樹脂、特に熱可塑性樹脂であればいずれでもよく、例えば、ポリプロピレン、芳香族ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニルなどを挙げることができ、そのうちでも、焼却処理が可能である点からポリプロピレンが好ましい。マンドレルを用いる上記した方法において、チューブ状体を形成するためのストリップ状シート、ホットメルト接着剤として用いる熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂製の雄材テープのすべてをポリプロピレン製にすると、管状体(チューブ状体)およびその上に巻き付けた雄材テープの接着・一体化がより良好になされて、耐久性に優れる雄係合素子付きのチューブ状ローラー芯材を得ることができる。しかも、チューブ状ローラー芯材の表面に存在するポリプロピレン製の雄係合素子は変形や破損が生じにくく、長期にわたってその係合機能を良好に維持する。
チューブ状ローラー芯材の表面に取り付ける表面材としては、表面側が塗料の保持能および塗装性能に優れ、裏面側がチューブ状ローラー芯材の表面に存在する雄係合素子と雄雌係合する雌材機能を有し、塗装作業に耐え得る耐久性を有する材料からなるものであればいずれでもよいが、塗料の保持能および塗装性能が良好で、雌材機能を有する裏面を形成し易いなどの点から、布帛が好ましく用いられる。ペイントローラーの表面材としては、従来、一般に織編物が用いられているが、本発明では、織編物および不織布のいずれであっても表面材として使用できる。
表面材の表面側は立毛を有していても、有していなくてもよいが、塗料の保持性、均一塗装性などの点から、表面に立毛を有していることが好ましい。
本発明における表面材としては、(1)表面材(布帛)の製造時にその裏面側に雌材機能が同時に発現するようにして製造した表面材(布帛)、または(2)塗料の保持性および均一塗装性を有する立毛布帛などの布帛を予め準備または作製しておき、その布帛の裏面に、面ファスナーの雌材機能を有する別のシートや布帛などを貼り合わせる(積層する)ことによって製造した表面材(積層布帛)などを用いることができる。
特に、前記(1)の表面材(布帛)は、表面材(布帛)の製造時にその裏面側に雌材機能が同時に発現するようにして製造されることから、製造工程および製造設備が簡単なもので済み、手間および時間がかからず、しかも経済的であることから、好ましく用いられる。
上記(1)の表面材の製法は特に制限されず、塗料の保持性や均一塗装性に優れると共に裏面側が雌材機能を有する表面材(布帛)を製造し得る方法であればいずれの方法で製造してもよく、特に以下の方法によって、円滑に且つ生産性良く製造することができる。
すなわち、ループを有する繊維糸条(以下これを「ループ糸」ということがある)を地組織用の糸条(地糸)の少なくとも一部として用いて地組織を製編織して上記(1)の表面材(布帛)を製造する方法が好ましく採用され、この方法による場合は、表面材(布帛)の裏面に小さなループが多数露出した布帛が形成され、そのループが雌材機能を発揮して、チューブ状ローラー芯材の表面に存在する雄係合素子と雄雌係合して、チューブ状ローラー芯材の表面に表面材が取り付けることができる。
上記(1)の表面材において、裏面に露出して存在させるループの数は、チューブ状ローラー芯材表面に存在する雄係合素子との雄雌係合強力を十分なものにするために、通常、チューブ状ローラー芯材表面における雄係合素子の単位面積当りの個数をA個/cm2としたときに、0.5A〜3A個/cm2、特に1A〜2.5A個/cm2とすることが好ましい。
また、表面材の裏面に露出させるループの大きさは、チューブ状ローラー芯材の表面に存在する雄係合素子の形状や大きさ(高さ、径、太さなど)、可撓性度合いなどに応じて、両者間の雄雌係合が良好に行われ得る大きさにすることが必要である。表面材の裏面に露出ループの大きさ(ループの径)は、一般に、100μm〜3mmであることが好ましい。
表面材(布帛)の裏面に露出させるループの数やループの大きさなどは、地組織の製編織に用いるループ糸におけるループの数や大きさ、表面材(布帛)を製造する際のループ糸の使用本数、地組織の織組織または編組織の種類、表面材(布帛)の目付、密度などを調整することにより決めることができる。
地組織の製編織に用いるループ糸は、例えば、複数本の糸条を絡合装置に供給して絡合した加工糸を製造する際に、該複数本の糸条の供給速度を互いに異ならせて絡合装置に供給し、遅い速度で供給した糸条を速い速度で供給した糸条の回りにループを形成しながら絡み付かせる既知の方法などにより製造することができる。
表面材(布帛)の製造に用いるループ糸におけるループの個数はループ糸10cm当たり20〜40個程度であることが、表面材(布帛)の裏面に良好な雌材機能を発現させ得ることから好ましい。
裏面に雌材機能を有するループが存在する上記(1)の布帛(地組織)の製編織時に、パイル糸(立毛糸)用の糸を同時に用いて製編織することによって、裏面が雌材機能を有し、表面に立毛(パイル)を有する布帛(表面材)を製造することができる。
また、上記(2)の表面材(布帛)は、例えば、表面に立毛(パイル)を有する布帛(a)を予め製造しておき、該布帛(a)の裏面側に、裏面側が雌材機能を有するようにして予め製造しておいた別の布帛(b)をラミネート加工やその他の適当な方法で積層することによって製造することができる。その場合に、裏面側が雌材機能を有する前記(b)の布帛としては、例えば、仮撚加工糸を用いて製造したトリコット製起毛布などを挙げることができ、該トリコット製起毛布における起毛面は、チューブ状ローラー芯材の表面に存在する雄係合素子と良好な雄雌係合作用を有する。
表面材の表面側に存在させる立毛(パイル)の高さや本数(単位面積当たりの立毛密度)などは、ペイントローラーの種類や、ペイントローラーで塗装する塗料の種類、使用形態などに応じて、従来のペイントローラーにおけるのと同様にして、それぞれに適するようにして選択するとよい。一般的には、立毛(パイル)の高さは、3〜30mm、特に5〜25mm、立毛(パイル)密度は、18〜80個/cm2、特に20〜50個/cm2であることが、塗料の保持性、均一塗装性などの点から好ましい。
表面材の表面側に存在する立毛(パイル)は、均一塗装性、塗料の保持性、塗料の吐出性などの点から、ループパイルであるよりは、カットパイルであることが好ましい。
また、裏面にループが露出している上記(1)の表面材(布帛)では、ループ糸におけるループを形成している繊維と、それ以外の地組織用繊維、パイル用繊維は同じあっても、または異なっていてもよい。
上記(1)および(2)の表面材のいずれの場合も、表面材を構成する布帛の地組織および立毛(パイル)は、例えば、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの合成繊維、それらの併用などによって形成することができ、そのうちでもポリアミド繊維および/またはポリエステル繊維から形成されていることが、塗料の保持性などの点から好ましい。
表面材を構成する布帛における地組織および立毛(パイル)を形成する繊維の単繊維繊度は特に制限されないが、従来のペイントローラーにおけるのと同様に、1〜20デシテックス程度とすることが好ましい。
本発明で用いる表面材、特に表面に立毛(パイル)を有する表面材においては、立毛(パイル)などの繊維が塗装作業中などに抜けない(毛抜けがない)ことが、良好な塗装面を形成する上で重要であり、そのため立毛(パイル)が表面材から脱落しないようにする必要がある。
カーペットなどのような通常の立毛製品(パイル製品)では、パイルの抜けを防止するために裏面にバッキングと称される樹脂コートなどの処理が一般に施されている。しかしながら、本発明で用いる表面材では、そのようなバッキング処理を施すと、裏面に露出して存在する雌材機能を有するループ、表面材裏面に存在する雌材機能を有するその他の繊維部分が樹脂コーティング層(バッキング層)中に埋没して雌材機能を発揮しなくなるの、カーペットなどの通常の立毛製品で採用されているバッキング処理を行うことができない。
そこで、本発明では、表面材の表面に存在する立毛(パイル)の抜け防止のために、地組織を形成する地糸の1種として、熱融着性繊維(熱融着性繊維よりなる糸条)を用いて地組織中に熱融着性繊維を含有する表面材(布帛)をつくり、その表面材(布帛)を熱融着性繊維の融点以上に加熱し溶融して、熱融着性繊維同士および熱融着性繊維と立毛などを形成している繊維や他の繊維を地組織内で融着して固定する方法が好ましく採用される。この方法を採用すると、立毛(パイル)の抜け防止と同時に、ループ糸も地組織内で固着されるため、表面材裏面に露出して存在するループのずれなどが生じなくなり、より良好な雄雌係合機能を発揮させることができる。
更に、熱融着性繊維を用いて地組織内で繊維間の融着・固定を行うことによって、表面材をチューブ状ローラー芯材に巻き付ける際に、表面材にかかる張力によって表面材の幅が変動するのを抑制できるという効果を奏することができる。
表面材を製造する際の熱融着性繊維の使用割合は特に制限されないが、一般的には、地組織を形成している糸条の全質量に対して、30〜100質量%程度であることが、立毛(パイル)の固定機能、表面材の寸法安定性などの点から好ましい。
熱融着性繊維としては、地組織のベースをなす繊維や、立毛(パイル)を形成するパイル糸との熱融着性に優れ、低温で少なくとも一部が溶融する繊維を用いる。何ら限定されるものではないが、例えば、熱融着性繊維としては、鞘成分または海成分がポリエチレンで芯成分または島成分がポリプロピレンよりなる芯鞘型または海島型の複合繊維や混合紡糸繊維、鞘成分または海成分がエチレン−ビニルアルコール系共重合体であり芯成分または島成分がポリプロピレン、ポリエステルまたはポリアミドである芯鞘型または海島型の複合繊維や混合紡糸繊維、低融点ポリエステルを鞘成分または海成分とし高融点ポリエステルを芯成分または島成分として用いてなるポリエステル芯鞘型または海島型の複合繊維または混合紡糸繊維、低融点ポリアミドを鞘成分または海成分とし高融点ポリアミドを芯成分または島成分として用いてなるポリアミド芯鞘型または海島型の複合繊維または混合紡糸繊維などを挙げることができる。
本発明では、表面材として、織編物を地組織とする上記した布帛の外に、不織布を使用することもできる。不織布では、雄雌係合における雌材をなすループの露出はないが、不織布内では繊維同士が絡合して固定されているため、チューブ状ローラー芯材の表面に存在する雄係合素子が不織布の裏面から内部へと食い込んだときに、その絡合している繊維に雄係合素子が引っ掛かって雄雌係合を形成するため、不織布よりなる表面材を、チューブ状ローラー芯材の表面に存在する雄係合素子との雄雌係合によって、チューブ状ローラー芯材表面に固定して取り付けることができる。
但し、場合によっては、不織布よりなる表面材から脱落する短繊維が被塗装面を汚すことがあるので、被塗装面に要求される性能などに応じて、問題のない場合に、不織布を表面材として用いることが好ましい。
また、不織布を表面材として用いてチューブ状ローラー芯材に巻き付けた際には、巻き目が完全に消えず、それが被塗装面にそのまま筋などとして現れることがあるので注意を要する。しかし、表面材を所定の大きさおよび寸法に裁断して所定のパターンでチューブ状ローラー芯材の表面に取り付けるパターンローラーでは、そのような巻き目の問題が元々ないので、パターンローラーの場合は、不織布も表面材として有効に使用することができる。
表面材の厚さ、目付などは特に制限されず、ペイントローラーの種類、用途、使用形態などに応じて選択することができるが、一般的には、塗料の保持性、均一塗装性、取扱性、巻着性などの点から、表面材の厚さは2〜30mm、特に4〜25mm[表面材が立毛(パイル)布帛である場合は立毛部を含めた厚さ]であることが好ましく、目付は200〜1000g/m2、特に500〜900g/m2であることが好ましい。
本発明のペイントローラーは、表面に雄係合素子を有する上記したチューブ状ローラー芯材の表面に、裏面が雌材機能を有する上記した表面材を、雄係合素子と表面材裏面の雌材機能との雄雌係合を利用して取り付けて、表面の全部または一部が表面材で被覆されたペイントローラー用のチューブ状本体を作製し、それをペイントローラーの所定の寸法に切断した後、ハンドルを取り付けることによって作製される。取り付けるハンドルとしては、ペイントローラーの用途や使用形態などに応じて、従来から用いられているのと同様のものを使用することができる。
表面材が立毛(パイル)布帛よりなる場合は、所定の寸法に切断する前または切断した後に、ブラシがけなどを行って毛羽を整えることが好ましい。
本発明のペイントローラーを流通、販売するに当っては、ペイントローラーにおける表面材が汚れたり、損傷したり、摩耗したときに取り替えられるように、取り替え用(予備)の表面材の1枚または2枚以上を、ペイントローラーと一緒に組み合わせて流通、販売するか、または表面材が汚れたり、損傷したり、摩耗したときに、ペイントローラーの使用者が表面材のみを別途購入して古い表面材と取り替えられるように、表面材のみを単独で「ペイントローラー用表面材」として流通、販売することができる。
何ら限定されるものではないが、以下で図を参照して、本発明について具体的に説明する。
図2の(a)は、チューブ状ローラー芯材の表面に表面材を取り付けたペイントローラー用のチューブ状本体の製造法の一例を示した図であり、図2の(b)は、表面に雄係合素子を有するチューブ状ローラー芯材の一例を示した図である。
図中、1は回転しないマンドレル、2はポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂よりなるストリップ状シート(テープ)、3は溶融した熱可塑性樹脂(ポリプロピレンなど)をテープ状(帯状)で供給するためのアプリケーター、4は溶融したテープ状の熱可塑性樹脂、5は雄係合素子を表面に有するポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂よりなる雄材テープ、6は雄係合素子を表面に有するチューブ状ローラー芯材、7はチューブ状ローラー芯材6をマンドレル1上で回転させながら下流側に移動させるための送り出しベルト、8は表面材、9は雄係合素子を示す。
回転しないマンドレル1に、熱可塑性樹脂よりなるストリップ状シート2を所定の角度で供給しながらスパイラル状に巻き付けると共に、アプリケーター3から溶融したテープ状の熱可塑性樹脂4を、マンドレル1に巻き付けたストリップ状シート2の上に供給し、さらに溶融したテープ状の熱可塑性樹脂4が溶融状態にあるうちに、雄係合素子9を表面に有する雄材テープ5をその上に更にスパイラル状に巻き付けて、溶融したテープ状の熱可塑性樹脂4のホットメルト接着作用によって、マンドレル1上に巻き付けたストリップ状シート2と雄材テープ5を接着・一体化して、図2の(b)に示すような、表面に雄係合素子9を有するチューブ状ローラー芯材6を形成させ、そのチューブ状ローラー芯材6を送り出しベルト7によってマンドレル1上で回転させながら下流側に送り出すと共に、その上に表面材8をスパイラル状に巻き付けると同時に、チューブ状ローラー芯材6の表面に存在する雄係合素子9と表面材8の裏面の雄雌係合によって表面材8をチューブ状ローラー芯材6の表面に取り付けて、本発明のペイントローラーに使用するにペイントローラー用のチューブ状本体を作製する。なお、図2の(a)に示した製造工程においては、送り出しベルト7によってチューブ状ローラー芯材6をマンドレル1上で回転させながら下流側に送り出す際に、その上流側にあるマンドレル1上に巻き付けられたストリップ状シート2も同時にマンドレル1上を回転しながら巻き付けが行われる。そして、図2の(a)で得られた表面材で被覆されたペイントローラー用のチューブ状本体は、図示されていない切断装置で所定の寸法に切断した後、ハンドルを取り付けることによって、ペイントローラーが作製される。その際に、切断の前または後の段階で、表面材の表面を、必要に応じてブラシがけなどを施して毛羽を整える。
図3の(a)は、本発明のペイントローラーに用いる表面材の一例を示した図である。また、図3の(b)は、図3の(a)の表面材の製造に用いられるループ糸の一例を示した図である。図中、8は表面材、10は地組織を形成する緯糸、11はループ、12は立毛(パイル)を示す。
図3の(a)の表面材8は、表面材8を製編織する際の地組織用の糸の一部として、図3の(b)に例示するループ糸を用いて作製されており、それによって、表面材8の裏面に多数のループ11が露出して存在し、そのループ11が雌材機能を有し、図2の(b)に示すチューブ状ローラー芯材6の表面に存在する雄係合素子9と雄雌係合して、表面材8をチューブ状ローラー芯材6の表面に安定した状態で取り付けることができる。
図2の(a)に示すようにしてチューブ状ローラー芯材6の全表面に表面材8を巻き付けなどによって取り付けた場合は、チューブ状ローラー芯材6の全面が表面材8で覆われた、図4の(a)に例示するような、ペイントローラー13(ペイントローラー用のチューブ状本体)が作製される。
また、図4の(b)に例示するように、表面材を所定の形状および寸法を有する表面材片8’にして所定のパターンでチューブ状ローラー芯材6の表面に、雄係合素子9と表面材片8’の裏面の雌材機能との雄雌係合によって取り付けることによって、図4の(b)に示す所定のパターンを有するパターンローラー14が作製される。図4の(b)に示すパターンローラーでは、表面材片8’の形状、大きさ、配置、取り付け数などを変えることによって、パターンの内容を種々変えることができる。そのような変更は、塗装現場においても容易に行うことができる。
以下に実施例などにより本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されない。
以下の例において、各種測定および評価は次のようにして行った。
(1)雄係合素子の高さの測定:
デジタルHFマイクロスコープ(キーエンス社製「VH−8000」)を使用して、拡大倍率50倍で、雄材テープに形成されている雄係合素子部分を観察して、雄係合素子の柱状部のシート状基材部への結合部と雄係合素子の最も高い部分の間の距離(図1に示す高さH)を測定して、雄係合素子の高さ(mm)とした。
(2)雄雌係合強力の測定:
図5に示すように、チューブ状ローラー芯材6の表面にスパイラル状に巻き付けた表面材8を、チューブ状ローラー芯材6から5cmだけ剥離し、その一端をインストロン試験機(島津製作所製「オートAGS−100型」)のチャックに1cm幅(高さ方向幅)で把持させた後、チューブ状ローラー芯材6の内部に鉄芯16を通し、鉄芯16の両端を固定した後、インストロン試験機のチャック15を300mm/分の速度で上昇させて、その時の剥離強力を測定して、雄雌係合強力とした。なお、チャック15の上昇時に、チューブ状ローラー芯材6は回転しながら表面材8がチューブ状ローラー芯材6の表面から剥離される。
(3)塗装性の評価:
ペイントローラーの表面に塗料(日本ペイント社製「1液ファインウレタンU100」)160gを供給保持させ、そのローラーを用いてコート紙上に往復100回塗装して(同じ箇所を100往復)(その間の塗料の補給なし)、仕上がりの審美性を目視により観察して評価した。
《実施例1》
(1)ループ糸の製造:
ナイロン製フィラメント糸(東レ株式会社製;140dtex/14フィラメント)1本を鞘糸として用い、芯糸として熱融着性繊維(芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分がエチレン−ビニルアルコール系共重合体よりなる芯鞘型複合繊維;165dtex/48フィラメント)1本を用いて、芯糸のフィード率1.10、鞘糸のフィード率1.50としてタスラン(ヘバライン ファイバー テクノロジー Inc.の登録商標)ノズル(ヘバライン社製「#15」)に供給して、空気圧540kPa(5.5kg/cm2)、加工速度200m/分でタスラン加工を行って、410dtex/62フィラメントの加工糸(ループ糸)(糸長1cm当りの平均ループ数22個)を製造した。
(2)表面材の製造:
パイル糸用にポリエステル製フィラメント糸(276dtex/48フィラメント)を2本準備し、地糸として上記(1)で得られたループ糸1本と熱融着性繊維糸条(フィラメント糸;165dtex/48フィラメント;株式会社クラレ製「ソフィスタ」)1本を引き揃えて、熱融着性繊維糸条に10gの張力をかけながら、シールフライス編機により製編して、表面にポリエステル製フィラメント糸よりなるパイルを有し(パイル密度21個/cm2、平均パイル高さ7mm)、裏面にナイロン製フィラメントよりなるループが多数露出している表面材(編地)(編地の目付560g/m2、編地の厚さ6mm)を製造した。
(3)ペイントローラーの製造:
(i) 図2の(a)に示すように、マンドレル1(外径3.8cm)に、幅50mmのポリプロピレン製ストリップ状シートをスパイラル状に巻き付けながら、アプリケータ3からポリプロピレンを0.03g/cm2の塗布量となるように溶融状態でテープ状にして流下させてスパイラル状に巻き付けた前記ポリプロピレン製ストリップ状シートの上に巻き付け塗布し、次いで幅50mmのポリプロピレン製面ファスナー雄材テープ(雄係合素子の高さ0.7mm、雄係合素子密度81個/cm2)(株式会社クラレ製「マジロック」)をスパイラル状(マンドレル1の中心軸とのなす角度21°)に巻き付けて固定した。
(ii) 次いで、上記(i)の工程に引き続いて、巻き付けられた面ファスナー雄材テープの表面に、上記(2)で得られた表面材(幅50mmにスリットしたもの)をスパイラル状(マンドレル1の中心軸とのなす角度21°)に巻き付けて、面ファスナー雄材テープにおける雄係合素子と表面材裏面の雄雌係合によって表面材を表面に取り付けて、表面材で全面を被覆したペイントローラー用のチューブ状本体を製造した。
(iii) 上記(ii)で製造したペイントローラー用のチューブ状本体を23cmの長さに切断した後、表面をブラッシングして毛羽を整え、バネ式ハンドルを取り付けてペイントローラーを作製した。
(iv) 上記(iii)で得られたペイントローラー(ハンドルを取り付ける前のもの)について、その雄雌係合強力を上記した方法で測定したところ、剥離時の強力は10〜26g/cmであり、表面に雄係合素子を有するチューブ状ローラー芯材の表面に表面材が十分に係合していることが確認された。
また、上記(iii)で得られたペイントローラー(ハンドルを取り付けたもの)を使用して、上記した方法で塗装性を評価したところ、その塗装面は巻き目の転写がなく、塗装性に優れていた。しかも、塗装時にチューブ状ローラー芯材と表面材との境界部分への塗料の浸入がなく、液漏れなどのトラブルを全く生じなかった。
《実施例2》
(1) 実施例1の(2)で得られたのと同じ表面材を、雲形模様、幾何学模様に適宜裁断して、複数の表面材片を作製した。
(2) 実施例1の(i)と同じ工程を行って、表面に雄係合素子を有するチューブ状ローラー芯材を製造し、それをそのまま(表面材を取り付けずに)長さ23cmに切断して、所定長さ(23cm)のチューブ状ローラー芯材を作製した。
(3) 上記(2)で製造した長さ23cmのチューブ状ローラー芯材の表面に、上記(1)で作製した複数の表面材片を互いに間隔をあけて取り付けて、パターンローラーを作製した。
(4) 上記(3)で作製したパターンローラーを用いて塗装を行ったところ、被塗装面に、パターンローラーの表面におけるのと同じパターン模様を円滑に描くことができた。
《実施例3》
(1)表面材の製造:
(i) パイル糸用にポリエステル製フィラメント糸(276dtex/48フィラメント)を2本準備し、地糸としてポリエステル製フィラメント仮撚加工糸(220dtex/72フィラメント)2本と熱融着性繊維糸条(フィラメント糸;165dtex/48フィラメント;株式会社クラレ製「ソフィスタ」)1本を引き揃えて、シールフライス編機により製編して、表面にポリエステル製フィラメント糸よりなるパイルが形成された編地を製造した(編地の目付540g/m2、編地の厚さ6mm、表面でのパイル密度22個/cm2、平均パイル高さ7mm)。
(ii) ポリエステル仮撚加工糸(80dtex/24フィラメント)を使用して、トリコット編地を作製し(編地の目付150g/m2、厚さ1.5mm)、その一方の表面を起毛機により起毛して、トリコット製起毛布を製造した。
(iii) 上記(i)で製造した布帛の非立毛面(パイルの形成されていない面)に対して、上記(ii)で製造したトリコット製起毛布の非起毛面が接合するようにして、接着剤として東洋紡績株式会社製「ダイナック」を用いて両者を積層・接着して、積層布帛(表面材)を製造した。
(2)ペイントローラーの製造:
(i) 表面材として、上記(1)の(iii)で得られた積層布帛を使用し、それ以外は、実施例1と同じ操作を行って、ペイントローラーを製造した。
(ii) 上記(i)で得られたペイントローラーについて、その雄雌係合強力を上記した方法で測定したところ、剥離時の強力は67〜121g/cmであり、表面に雄係合素子を有するチューブ状ローラー芯材の表面に表面材が高い係合力で取り付けられていることが確認された。
また、上記(i)で得られたペイントローラーを使用して、上記した方法で塗装性を評価したところ、その塗装面は巻き目の転写がなく、塗装性に優れていた。さらに、塗装時にチューブ状ローラー芯材と表面材との境界部分への塗料の浸入がなく、液漏れなどのトラブルを全く生じなかった。
《比較例1》
(i) 実施例1において、ポリプロピレン製面ファスナー雄材テープとして、雄係合素子の高さ3.8mm、雄係合素子密度が81個/cm2である面ファスナー雄材テープ(株式会社クラレ製「マジロック」)を使用した以外は、実施例1と全く同じに行って、ペイントローラーを製造した。
(ii) 上記(i)で得られたペイントローラーについて、その雄雌係合強力を上記した方法で測定したところ、剥離時の強力は10〜21g/cmであり、表面に雄係合素子を有するチューブ状ローラー芯材の表面に表面材が充分な係合力でして固定されていたが、塗装作業時にチューブ状ローラー芯材と表面材との境界部の隙間に塗料が浸入して液漏れを生じ、被塗装面に規則的な斜め方向の筋が発生し、均一な塗装を行うことができなかった。
《比較例2》
(i) 実施例1において、ポリプロピレン製面ファスナー雄材テープとして、雄係合素子の高さ0.1mm、雄係合素子密度が81個/cm2である面ファスナー雄材テープ(株式会社クラレ製「マジロック」)を使用した以外は、実施例1と全く同じに行って、ペイントローラーを製造した。
(ii) 上記(i)で得られたペイントローラーについて、その雄雌係合強力を上記した方法で測定したところ、剥離時の強力は1〜4g/cmと極めて低く、チューブ状ローラー芯材表面の雄係合素子と表面材の裏面とは殆ど係合しなかった。
本発明のペイントローラーによる場合は、表面材が汚れたり、破損したり、消耗したときに、表面材をチューブ状ローラー芯材から剥がして、新しい表面材に簡単に取り替えることができ、チューブ状ローラー芯材を繰り返して何度も利用できるので、省資源型のペイントローラーとして有効に使用することができる。
本発明のペイントローラーでは、チューブ状ローラー芯材の表面に取り付ける表面材として、所定の形や寸法を有する表面材片を使用し、それをチューブ状ローラー芯材の表面に任意のパターンで取り付けることが可能なため、ペイントローラーによって被塗装面に描く塗装パターンを任意に且つ簡便に変えることのできるパターンローラーとして有効に使用することができる。
本発明のペイントローラーを構成するチューブ状ローラー芯材の表面に存在する雄係合素子の形状の例を示す図である。 本発明のペイントローラーに用いられるチューブ状本体の製造法の一例[図2の(a)]および本発明のペイントローラーにおけるチューブ状ローラー芯材の一例[図2の(b)]を示す図である。 本発明のペイントローラーに用いられる表面材の一例[図3の(a)]、および該表面材の製造に用いられるループ糸の一例[図3の(b)]を示す図である。 本発明のペイントローラーの例を示す図であり、(a)はチューブ状ローラー芯材の全面に表面材を取り付けたペイントローラー、(b)はチューブ状ローラー芯材の表面に、所定の形状および寸法の複数の表面材片を所定のパターンで取り付けたパターンローラーの例を示す図である。 実施例および比較例において、チューブ状ローラー芯材表面の雄係合素子と表面材裏面の雌材機能部との雄雌係合強力の測定法を示す図である。
符号の説明
1 マンドレル
2 熱可塑性樹脂製テープ
3 アプリケーター
4 溶融した熱可塑性樹脂のテープ状フイルム
5 面ファスナー雄材テープ
6 チューブ状ローラー芯材
7 送り出しベルト
8 表面材
8’ 表面材片
9 雄係合素子
10 経糸
11 ループ
12 立毛(パイル)
13 ペイントローラー
14 パターンローラー
15 チャック
16 鉄芯

Claims (9)

  1. 面ファスナーの雄材機能を有する高さ0.3〜3.5mmの係合素子を表面に有する液体不浸透性のチューブ状ローラー芯材の表面に、裏面が面ファスナーの雌材機能を有する表面材を、チューブ状ローラー芯材の表面における係合素子の雄材機能と表面材の裏面の雌材機能によって雄雌係合させて取り付けてなることを特徴とするペイントローラー。
  2. チューブ状ローラー芯材表面における係合素子の素子密度が30〜150個/cm2である請求項1に記載のペイントローラー。
  3. チューブ状ローラー芯材の表面に、表面材をスパイラル状に巻着した状態でチューブ状ローラー芯材表面に表面材を取り付けてなる請求項1または2に記載のペイントローラー。
  4. チューブ状ローラー芯材の表面に、所定の形状および寸法を有する片状の表面材を、チューブ状ローラー芯材表面の係合素子と表面材の裏面との雄雌係合によって、所定のパターン状で取り付けてなる、所定パターンの転写が可能な請求項1または2に記載のペイントローラー。
  5. 雄材機能を有する係合素子を表面に有するチューブ状ローラー芯材が、チューブ状体の表面に、雄材機能を有する係合素子を表面に有する面ファスナー雄材テープをスパイラル状に巻着して形成したものである請求項1〜4のいずれか1項に記載のペイントローラー。
  6. チューブ状体および面ファスナー雄材テープが合成樹脂製である請求項5に記載のペイントローラー。
  7. 表面材が、表面に立毛を有し、裏面にチューブ状ローラー芯材の表面に設けた雄材機能を有する係合素子と雄雌係合するループを有する布帛である請求項1〜6のいずれか1項に記載のペイントローラー。
  8. 表面材が、ループを有する繊維糸条を少なくとも用いて地組織を製編織して形成した、チューブ状ローラー芯材の表面の係合素子と雄雌係合可能なループを裏面に有する布帛である請求項1〜7のいずれか1項に記載のペイントローラー。
  9. 表面材が、表面に立毛を有する布帛であって、布帛を形成する地組織中に熱融着性繊維を含み、地組織中で熱融着性繊維によって熱融着性繊維同士および熱融着性繊維と他の繊維とが熱融着している請求項1〜8のいずれか1項に記載のペイントローラー。
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