JP2017061064A - 伸縮シートの製造方法及び紡糸装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高品質で取り扱い性に優れる伸縮シートを効率良く製造し得る伸縮シートの製造方法及び紡糸装置を提供すること。
【解決手段】溶融された弾性樹脂を紡糸ヘッド11の下端面11aに設けられた複数のノズル12から紡出させて、溶融又は軟化状態の弾性フィラメント4を複数得、それら複数の弾性フィラメント4を、所定速度で引き取って延伸しつつ、その固化前にシート材2,3に融着させる工程を有する。紡糸ヘッド11の下端面11aは、複数のノズル12が千鳥状に配置された千鳥配置部12Aを有している。千鳥配置部12Aにおいては、複数のノズル12が一方向Xに所定間隔を置いて配置されてなるノズル列12Lが、該一方向Xと直交する方向Yに複数配置され、且つ該方向Yにおいて、隣在するノズル列12L,12Lどうしで互いにノズル12がずれている。
【選択図】図5

Description

本発明は、弾性を有する繊維と不織布等のシート材との複合体である伸縮シートの製造方法、及び該製造方法に使用可能な紡糸装置に関する。
伸縮シートは、伸縮性、風合い、通気性等が良好であり、その特性を活かして、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品、医療用使い捨て衣類、清掃シート、眼帯、マスク、包帯等の各種用途に利用されている。斯かる伸縮シートに関し、例えば特許文献1には、不織布に複数の弾性フィラメントが接合され、それら複数の弾性フィラメントが互いに交差せずに一方向に延びるように配列している構成の伸縮シートが記載されている。特許文献1記載の伸縮シートは、いわゆる溶融紡糸法を利用して製造され、具体的には、溶融された弾性樹脂を紡糸ヘッドの下端面に設けられた複数のノズルから紡出させて、溶融又は軟化状態の弾性フィラメントを複数得、それら複数の弾性フィラメントを、所定速度で引き取って延伸しつつ、その固化前にシート材に融着させる工程を経て製造される。特許文献1には、斯かる製造方法に用いられる紡糸ヘッドのノズルの配置に関し、紡糸ヘッドには多数のノズルが直線状に一列に配置されている旨記載されている(特許文献1の〔0056〕参照)
特許文献2には、家具、ベッド等に用いられるクッション材として使用可能な網状構造体が記載されている。特許文献2記載の網状構造体は、複数のオリフィスを持つ多列ノズルより熱可塑性エラストマーをノズルオリフィスに分配し、該エラストマーを所定の溶融温度で該ノズルより下方に向けて吐出させ、溶融状態で互いに接触させて融着させ3次元構造を形成する工程を経て製造される。特許文献2の実施例では、熱可塑性エラストマーを吐出するノズルを千鳥配列としたことが記載されている(特許文献2の〔0046〕参照)。特許文献2記載技術において千鳥配列のノズルを採用している理由は、複数のノズルから紡出された複数の溶融状態の紡出物を意図的に接触・融着させて該膨出物の3次元構造を得るためであり、特許文献2記載技術においては、ノズルから紡出された複数の紡出物を互いに交差させずに一方向に延びるように配列することは想定されていない。
特開2008−179128号公報 特開2015−98654号公報
特許文献1記載の伸縮シートの製造方法、即ち、シート材に複数の弾性フィラメントが接合され、それら複数の弾性フィラメントが互いに交差せずに一方向に延びるように配列している伸縮シートの製造方法においては、ノズル間の距離を狭くすると、紡糸ヘッドの複数のノズルから紡出した複数のフィラメントどうしが、シート材に融着される前に結着してしまうという課題があった。即ち図12に示すように、従来の紡糸ヘッド91においては、その下端面91aに複数のノズル12が直線状に一列に配置されているところ、そのノズル列における隣り合う2個のノズル12,12から紡出した2本のフィラメント4,4が、紡糸ヘッド91の意図しない揺れ、気流の影響等により、紡出直後に交差して互いに結着してしまい、その結果、所望の太さよりも太いフィラメント4’が形成されてしまう場合があった。紡糸ヘッド91の下端面91aには、ノズルピッチ(隣り合うノズルの中心間の距離)が相対的に小さい小ピッチ部93と、ノズルピッチが相対的に大きい大ピッチ部94とが存在するところ、斯かるフィラメントの結着現象は、ノズルピッチが小さいほど起こりやすく、紡糸ヘッド91においては特に小ピッチ部93で起こりやすい。
このような、ノズルからの紡出直後のフィラメントどうしの結着は、製造目的物である伸縮シートの外観や取り扱い性等に悪影響を及ぼす。例えば、伸縮シートにおける複数のフィラメントの一部のみが、斯かるフィラメントどうしの結着により径の太いものとなった場合、該伸縮シートにおいては、相対的に径の細いフィラメントと相対的に径の太いフィラメントとが混在することになるところ、該伸縮シートを巻回してロール状に巻き取った伸縮シートロールは、そのロール周面にフィラメントの径の不均一に起因して凹凸が発生するため、ロール全体として形状が歪であり、そのため、該ロールの巻き取りや巻き出し等の操作に支障が生じるおそれがある。
また、紡糸ヘッドのノズル設置面(下端面)を形成する壁材には、紡糸ヘッドに溶融樹脂を供給する際に圧力がかかるため、該圧力では破損しない程度の耐圧性が求められるところ、該壁材に複数のノズルを直線状に一列に穿設する場合に、そのノズルピッチが小さくなるほど、該壁材の耐圧性が低下する傾向がある。一方で、伸縮シートにおけるフィラメントの配置態様には多様な要望があり、フィラメントのピッチが比較的小さいものも要望されているが、斯かる要望に応え得る技術は未だ提供されていない。
従って本発明の課題は、高品質で取り扱い性に優れる伸縮シートを効率良く製造し得る伸縮シートの製造方法及び紡糸装置を提供することに関する。
本発明は、シート材に複数の弾性フィラメントが接合され、それら複数の弾性フィラメントが互いに交差せずに一方向に延びるように配列している、伸縮シートの製造方法であって、溶融された弾性樹脂を紡糸ヘッドの下端面に設けられた複数のノズルから紡出させて、溶融又は軟化状態の弾性フィラメントを複数得、それら複数の弾性フィラメントを、所定速度で引き取って延伸しつつ、その固化前にシート材に融着させる工程を有し、前記紡糸ヘッドの下端面は、複数の前記ノズルが千鳥状に配置された千鳥配置部を有し、前記千鳥配置部においては、複数の前記ノズルが一方向に所定間隔を置いて配置されてなるノズル列が、該一方向と直交する方向に複数配置され、且つ該一方向と直交する方向において、隣在する該ノズル列どうしで互いに該ノズルがずれている、伸縮シートの製造方法を提供するものである。
また本発明は、溶融樹脂をノズルから紡出して溶融又は軟化状態のフィラメントとする紡糸ヘッドを備えた紡糸装置であって、前記紡糸ヘッドの下端面に、複数の前記ノズルが千鳥状に配置された千鳥配置部を有し、前記千鳥配置部においては、複数の前記ノズルが一方向に所定間隔を置いて配置されてなるノズル列が、該一方向と直交する方向に複数配置され、且つ該一方向と直交する方向において、隣在する該ノズル列どうしで互いに該ノズルがずれている紡糸装置を提供するものである。
本発明によれば、高品質で取り扱い性に優れる伸縮シートを効率良く製造し得る伸縮シートの製造方法及び紡糸装置が提供される。本発明の伸縮シートの製造方法又は紡糸装置によって製造された伸縮シートは、シート材に複数の弾性フィラメントが接合され、それら複数の弾性フィラメントが互いに交差せずに一方向に延びるように配列しているところ、本発明によれば、該伸縮シートの製造時に弾性フィラメントの意図しない交差が起こり難いため、弾性フィラメントのピッチが比較的小さい伸縮シートを製造する場合であっても、高品質の伸縮シートを効率良く製造することができる。
図1は、本発明の伸縮シートの製造方法の一実施態様の実施に用いられる伸縮シートの製造装置の要部を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1に示す製造装置における紡糸ヘッドの下端面(ノズル設置面)側を上側に描いて模式的に示す斜視図である。 図3は、図2のI−I線断面を、紡糸ヘッドの下端面側を下側に描いて模式的に示す断面図である。 図4は、図1に示す製造装置における紡糸ヘッドにおけるノズルの配置を模式的に示す平面図である。 図5は、図1に示す製造装置における紡糸ヘッドのノズルから弾性フィラメントが紡出されている様子を模式的に示す斜視図である。 図6は、図1に示す製造装置を用いて製造された伸縮シートを一部破断して模式的に示す斜視図である。 図7は、本発明の伸縮シートの製造方法における弾性発現処理の実施に用いられる装置の要部を模式的に示す斜視図である。 図8は、本発明に係る紡糸ヘッドの他の実施態様における下端面(ノズル設置面)を模式的に示す平面図である。 図9は、図8に示す紡糸ヘッドを用いて製造された伸縮シートの平面図である。 図10は、本発明に係る紡糸ヘッドにおけるノズルの配置の他の実施態様を示す平面図である。 図11は、比較例の紡糸ヘッドにおけるノズルの配置を示す平面図である。 図12は、従来の紡糸ヘッドの図5相当図である。
以下、本発明をその好ましい実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。図1〜図5には、本発明の伸縮シートの製造方法の一実施態様の実施に用いられる伸縮シートの製造装置10の要部が示されている。また図6には、斯かる製造装置10によって製造された伸縮シート1が一部破断した状態で示されている。
伸縮シート1は、図6に示すように、2枚のシート材2,3に複数の糸状の弾性フィラメント4が接合された構成を有し、それら複数の弾性フィラメント4が互いに交差せずに一方向に延びるように配列している。複数の弾性フィラメント4は、2枚のシート材2,3間に挟持固定されている。弾性フィラメント4は、後述するように、弾性樹脂が溶融又は軟化した状態で延伸されて形成されたものである。複数の弾性フィラメント4は、それぞれ、伸縮シート30の一方向(符号Yで示す方向)の全長に亘って実質的に連続している。本明細書において「弾性」とは、伸ばすことができ且つ伸ばした力から解放したときに収縮する性質を意味する。図6中符号Pは、弾性フィラメント4のピッチ、即ち、隣り合う弾性フィラメント4,4の中心間の距離を示している。伸縮シート1においては、複数の弾性フィラメント4は等ピッチで配置されている。
製造装置10は、図1に示すように、溶融樹脂をノズルから紡出して溶融又は軟化状態のフィラメント4とする紡糸ヘッド11を備えた紡糸装置を具備している。この紡糸装置は、いわゆるメルトブロー法によってフィラメントを防止する紡糸装置であり、紡糸ヘッド11の他に、弾性樹脂のチップを溶融して紡糸ヘッド11に送出する溶融押出機(図示せず)等を具備しており、基本構成は公知のメルトブロー方式の紡糸装置と同じである。
紡糸ヘッド11は、図2及び図3に示すように、該ヘッド11の下端面11aを形成する平面視長方形形状の底壁部11Lと、該底壁部11Lの周縁に連接された側壁部11Sとを含んで構成され、これらの壁部11L,11Sで画成された紡糸ヘッド11の内部空間は、前記溶融押出機から供給された溶融樹脂の貯留部13となっている。紡糸ヘッド11の下端面11aには複数のノズル12が穿設されており、紡糸ヘッド11の貯留部13は、各ノズル12を介して外部と連通している。紡糸ヘッド11の材質は、公知のものと同様に設定することができ、通常は金属である。
本発明の主たる特徴の1つとして、図2及び図4に示すように、紡糸ヘッド11のノズル設置面である下端面11aに、複数のノズル12が千鳥状に配置された千鳥配置部12Aが設けられている点が挙げられる。千鳥配置部12Aにおいては、複数のノズル12が一方向、具体的には下端面11aの長手方向Xに所定間隔を置いて配置されてなるノズル列12L(図4中、点線で囲まれた部分)が、該一方向と直交する方向即ち下端面11aの幅方向Yに複数(本実施態様においては2列)配置され、且つ幅方向Yにおいて、隣在するノズル列12L,12Lどうしで互いにノズル12がずれている。
換言すれば、千鳥配置部12Aにおいては、複数のノズル12が一方向(長手方向X)に所定間隔を置いて配置されてなる複数(本実施態様においては2列)のノズル列12Lを、それぞれ、該一方向と直交する方向(幅方向Y)に投影したときに、特定のノズル列12Lにおける各ノズル12の投影像の間(例えば、特定のノズル列12Lにおいて隣り合う2個のノズル12,12の中間位置)に、該特定のノズル列12Lと幅方向Yにおいて隣り合う別のノズル列12Lにおけるノズル12の投影像が配置されるように、複数のノズル12が千鳥状に配置されている。尚、本発明でいう「千鳥状に配置」には、複数のノズル12が前記の説明通りに完璧に配置されている態様のみならず、製造上不可避的なずれなど、意図しないわずかな配置のずれが生じている態様も含まれる。
前述した通り、図12に示す紡糸ヘッド91の如き従来の紡糸ヘッドにおいては、複数のノズル12が、千鳥状ではなく、直線状に一列に配置されているため、特にノズルピッチが相対的に小さい小ピッチ部93では、ノズル12から紡出した複数の弾性フィラメント4どうしが、紡糸直後に意図せずに結着しやすく、そのため所望の太さの弾性フィラメント4が得られないという課題があった。これに対し、本実施態様においては、紡糸ヘッド11における複数のノズル12を千鳥状に配置することにより斯かる課題を解決しており、通常の製造装置10の平時における稼働状態であれば、図5に示すように、複数のノズル12から紡出された複数の弾性フィラメント4は、互いに交差することなく下方に向かって延び、単一の弾性フィラメント4の形態を保ったままの状態で、2枚のシート材2,3間に挟持固定される。従って製造装置10によれば、製造目的物である伸縮シート1における弾性フィラメント4のピッチP(図6参照)が比較的小さい場合であっても、各弾性フィラメント4の太さが均一であり、高品質で取り扱い性に優れる伸縮シート1を効率良く製造することができる。
製造目的物である伸縮シート1における弾性フィラメント4のピッチP(図6参照)は、弾性フィラメント4を紡出するノズルの実質ノズルピッチNP(図4参照)によって決定され、製造上特に問題が起こらなければ通常、実質ノズルピッチNPと同一である。この実質ノズルピッチNPは、「紡糸ヘッドのノズル設置面における複数のノズルをそれぞれ、該ノズル設置面の長手方向と直交する幅方向に投影したときの投影像におけるノズルピッチ」に相当する。ノズルピッチは、隣り合う2個のノズルの中心間の距離である。
例えば図11に示すように、複数のノズル12が紡糸ヘッドの長手方向Xに沿って直線状に一列に配置されている場合、その実質ノズルピッチNPは、該一列において隣り合う2個のノズル12,12の中心間の距離(ノズルピッチP1)と同じである。これに対し、紡糸ヘッド11の千鳥配置部12Aにおける実質ノズルピッチNPは、図4に示すように、千鳥配置部12Aを構成する2列のノズル列12L,12Lをそれぞれ幅方向Yに投影したときの投影像において隣り合う2個のノズル12,12の中心間の距離である。従って仮に、図4の千鳥配置部12Aと図11の一列のノズル列とで実質ノズルピッチNPが同一であっても、千鳥配置部12Aにおいては、実質ノズルピッチNPを構成する2個のノズル12,12が長手方向Xのみならず幅方向Yにも離間しており、そのため図11の一列のノズル列に比して、該2個のノズル12,12の中心間距離が長い。これが、千鳥配置部12Aを備えた紡糸ヘッド11において弾性フィラメント4どうしの意図しない交差・結着が起こり難い主な理由である。
また、紡糸ヘッド11においては、このように、千鳥配置部12Aにおける複数のノズル12どうしの中心間距離が比較的十分にとられており、複数のノズル12それぞれを包囲する、底壁部11Lを構成する金属等の部材が比較的多く存在するため、紡糸ヘッド11は、少なくとも通常の溶融樹脂の供給圧力では破損し難い実用上十分な耐圧性を有し、装置の耐久性に優れる。
図12に示す紡糸ヘッド91のような、複数のノズルが直線状に一列に配置されている従来の紡糸ヘッドにおいては、ノズルピッチ(実質ノズルピッチNP)を小さくすると前述した問題が起こり得るが、千鳥配置部12Aにおいては前述した通り、ノズルピッチを小さくしても問題は起こり難く、従って、弾性フィラメント4のピッチが小さい伸縮シート1を効率良く製造することができる。千鳥配置部12Aにおける複数のノズル列12Lそれぞれのノズル12のピッチP1(図4参照)は、例えば1mm以下に設定することができる。一方、ピッチP1の下限値は、紡糸ヘッド11の材質等にもよるが、該材質が通常の金属であれば、0.2mm程度である。
また、千鳥配置部12Aにおける隣り合うノズル列12L,12Lにおいて、「一方のノズル列12Lにおける任意の1個のノズル12(以下、特定ノズル12という)と、他方のノズル列12における該特定ノズル12に最も近接するノズル12との中心間の距離」(ピッチP2)は、ピッチP1と同範囲に設定することができる。
紡糸ヘッド11の下端面11aにおける複数のノズル列12Lそれぞれにおいては、複数のノズル12が等ピッチで配置されている、即ちピッチP1(図4参照)が均一であるが、本発明においては、各ノズル列12LにおいてピッチP1は均一でなくても良い。
紡糸ヘッド11におけるノズル12は、平面視円形状であるが、本発明においてはノズルの平面視形状は特に限定されず、多角形形状等の任意の形状とすることができる。平面視円形状ノズル12の直径は、弾性フィラメント4の直径及び延伸倍率に影響を及ぼす。この観点から、ノズル12の直径は好ましくは0.1mm以上、さらに好ましくは0.2mm以上、そして、好ましくは2mm以下、さらに好ましくは0.6mm以下である。
また、ノズル12の直径が前記範囲内にある場合において、ノズル12のノズルピッチP1及びP2(図4参照)は、それぞれ、好ましくは0.3mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下、そして、好ましくは4.1mm以下、さらに好ましくは1.3mm以下である。
本発明の伸縮シートの製造方法は、例えば製造装置10を用いて次のように実施することができる。製造装置10を用いた伸縮シート1の製造方法は、図1に示すように、溶融された弾性樹脂を紡糸ヘッド11の下端面11aに設けられた複数のノズル12から紡出させて、溶融又は軟化状態の弾性フィラメント4を複数得、それら複数の弾性フィラメント4を、所定速度で引き取って延伸しつつ、その固化前にシート材2,3に融着させる工程を有している。
先ず、紡糸ヘッド11に接続された図示しない溶融押出機により、弾性フィラメント4の原料である弾性樹脂のチップを溶融混練し、その溶融状態の弾性樹脂を紡糸ヘッド11内の貯留部13(図3参照)に供給する。こうして供給された溶融状態の弾性樹脂は、図5に示すように、紡糸ヘッド11の下端面に穿設された複数のノズル12から、溶融又は軟化状態の弾性フィラメント4として紡出される。前述した通り、複数のノズル12は千鳥状に配置されているため、各ノズル12から紡出された複数の弾性フィラメント4は、互いに交差することなく単一の弾性フィラメント4の形態を保ったまま、シート材2,3との合流位置へと延びる。
図1に示すように、紡出された溶融又は軟化状態の複数の弾性フィラメント4は、それぞれ、原反から同速度で繰り出されたシート材2,3と合流し、両シート材2,3間に挟持されて所定速度で引き取られる。弾性フィラメント4の引き取り速度は、両シート材2,3の繰り出し速度と一致している。弾性フィラメント4の引き取り速度は、弾性フィラメント4の直径及び延伸倍率に影響を及ぼす。延伸によって弾性フィラメント4に生じる張力は、弾性フィラメント4をシート材2,3と貼り合わせるときの風や静電気に起因する弾性フィラメント4の乱れを防止する。図6に示すように弾性フィラメント4どうしを交差させずに一方向へ配列させるためには、斯かる弾性フィラメント4の引き取り速度、張力等の調整が有効であることは勿論であるが、本実施態様においては、前述したように複数のノズル12が千鳥状に配置されているため、基本的に、弾性フィラメント4どうしの交差という不都合が生じ難い。
溶融又は軟化状態の弾性フィラメント4は、その固化前に、即ち融着可能な状態でシート材2,3と合流する。その結果、弾性フィラメント4は、シート材2,3に挟持された状態で、これらのシート材2,3に融着する。つまり、固化前の弾性フィラメント4を搬送されるシート材2,3に融着させることで、弾性フィラメント4は引き取られて延伸される。弾性フィラメント4の融着に際してはシート材2,3には、外部から熱は付与されていない。つまり、融着可能になっている弾性フィラメント4に起因する溶融熱によってのみ、弾性フィラメント4と両シート材2,3とが融着する。その結果、両シート材2,3の構成繊維のうち、弾性フィラメント4の周囲に存在する繊維のみが弾性フィラメント4と融着し、それよりも離れた位置に存在する繊維は融着しない。その結果、両シート材2,3に加わる熱は最小限にとどまるので、両シート材2,3が例えば不織布であれば、その不織布自身が本来的に有する良好な風合いが維持される。それによって、得られる伸縮シート1の風合いが良好になる。
紡出された溶融又は軟化状態の弾性フィラメント4が、シート材2,3と合流するまでの間、該弾性フィラメント4は延伸されて延伸方向に分子が配向する。また直径が小さくなる。弾性フィラメント4を十分に延伸させる観点及び弾性フィラメント4の糸切れを防止する観点から、紡出された弾性フィラメント4に所定温度の風(熱風、冷風)を吹き付けて、弾性フィラメント4の温度を調整しても良い。また、弾性フィラメント4の延伸は、弾性フィラメント4を構成する樹脂組成物(弾性樹脂)の溶融状態での延伸(溶融延伸)だけでなく、その冷却過程における軟化状態の延伸(軟化延伸)であっても良い。
弾性フィラメント4とシート材2,3とを合流させるときの弾性フィラメント4の温度は、繊維融着を確実にするために100℃以上であることが好ましい。また弾性フィラメント4の形状を保持して伸縮特性の良好な伸縮シート1を得る観点から、斯かる合流時の弾性フィラメント4の温度は180℃以下であることが好ましい。より好ましくは120〜160℃の範囲である。斯かる合流時、即ち弾性フィラメント4とシート材2,3との接合時の温度は、弾性フィラメント4と接合させるラミネート基材として、弾性フィラメント4を構成する樹脂組成物の融点と異なる融点を有する変性ポリエチレンや変性ポリプロピレン等からなるフィルムを用いて、その接合状態を観察することで測定できる。このとき、弾性フィラメント4とラミネート基材とが融着していれば、接合温度はラミネート基材の融点以上である。
弾性フィラメント4とシート材2,3との合流時(接合時)には、弾性フィラメント4は実質的に非伸長状態(外力を取り除いたときに縮まない状態)である。両者の接合状態においては、シート材2,3の構成繊維の少なくとも一部が、弾性フィラメント4へ融着するか、さらには弾性フィラメント4とシート材2,3の構成繊維の少なくとも一部との両方が融着することがより好ましい。十分な接合強度が得られるからである。得られる伸縮シート1の伸縮特性は、弾性フィラメント4とシート材2,3との接合点の密度に影響を受ける。また、伸縮特性は、接合温度、接合圧力の他、後述する弾性発現処理によるシート材2,3の延伸(図7参照)によっても調整することができる。シート材2,3の構成繊維を弾性フィラメント4に融着させることで、接合点1つ1つの接合強度が高くなる。接合点の密度を低くすると、シート材2,3による伸縮阻害が少なくなり、且つ十分な接合強度を有する伸縮シート1が得られるので好ましい。
複数の弾性フィラメント4をシート材2,3と合流させるときには、各弾性フィラメント4が互いに交差せず一方向に配列するようにする。そして図1に示すように、弾性フィラメント4をシート材2,3と合流させて両シート材2,3間に弾性フィラメント4を挟持させた状態で、これら三者を一対のニップロール15,15によって挟圧する。挟圧の条件は、得られる伸縮シート1の風合いに影響を及ぼす。挟圧力が大きすぎると弾性フィラメント4が両シート材2,3内に食い込みやすくなり、それに起因して得られる伸縮シート1の風合いが低下しやすい。この観点から、ニップロール15,15による挟圧力は、弾性フィラメント4が両シート材2,3に接触する程度で足り、過度に高い挟圧力は必要とされない。
ニップロール15による挟圧の別の条件として、ニップロール15の温度が挙げられる。本発明者らの知見によれば、ニップロール15を加熱した状態で挟圧を行うよりもむしろ、加熱しないか(つまり成り行きにまかせるか)、又は冷却しながら挟圧を行う方が、風合いの良好な伸縮シート1が得られる。ニップロール15を冷却する場合には、冷却水等の冷媒を用い、ニップロール15の表面設定温度が10〜50℃になるように温度調節することが好ましい。
以上の工程を経ることで、図6に示す伸縮シート1、即ち、2枚のシート材2,3間に弾性フィラメント4が挟持固定された複合シートが得られる。但し、シート材2,3の種類如何によっては、以上の工程だけでは伸縮シートが得られない場合がある。即ち、シート材2,3として本来的に伸長性を有するものを用いた場合には、以上の工程のみで目的とする伸縮シート1が得られるが、シート材2,3として本来的に伸長性を有しないものを用いた場合には、以上の工程を経て得られた前記複合シートに対し、さらに以下に述べる弾性発現処理を施す必要がある。
図7には、前記弾性発現処理の一実施態様の実施の様子が示されている。前記弾性発現処理は、弾性フィラメント4をシート材2,3に融着させた後、該シート材2,3を該弾性フィラメント4の延びる方向に延伸する処理であり、斯かる処理により、本来的に伸長性を有しないシート材2,3に、伸長性が付与される。前記弾性発現処理の処理対象物は、図1に示す工程を経て得られた、弾性フィラメント4をシート材2,3に融着させてなる複合シート1’である。
図7に示す弾性発現処理は、歯と歯底とが周方向に交互に形成された一対の歯溝ロール17,17を備えた延伸装置を用い、両ロール17,17間に複合シート1’を導入してこれを搬送することで実施され、これによって複合シート1’は、その搬送方向、即ち弾性フィラメント4の延びる方向に沿って延伸され、目的とする伸縮シート1となる。この延伸装置は、原反から繰り出された複合シート1’を歯溝ロール17,17間に通すための手段として、歯溝ロール17に対して複合シート1’の搬送方向の上流側に配置された一対のニップロール16,16と、歯溝ロール17に対して該搬送方向の下流側に配置された一対のニップロール18,18とを備えており、両ロール16,18によって複合シート1’の搬送速度を適宜調整することで、複合シート1’の延伸の程度を調整可能になされている。
前記延伸装置は、一対の歯溝ロール17,17の一方又は双方の枢支部を上下に変位させる公知の昇降機構(図示せず)を有し、両ロール17,17間の間隔が調節可能になされている。例えば、一対の歯溝ロール17,17を、一方の歯が他方の歯間に遊挿され、他方の歯が一方の歯間に遊挿されるように組み合わせ、その状態の両歯溝ロール17,17間に、複合シート1’を挿入してこれを弾性発現処理させる。一対の歯溝ロール17,17の両方が駆動源によって駆動するようになっていても良く(共回りロール)、一方のみが駆動源によって駆動するようになっていても良い(連れ回りロール)。歯溝ロール17の歯形としては、一般的なインボリュート歯形、サイクロイド歯形が用いられ、特にこれらの歯幅を細くしたものが好ましい。前記弾性発現処理については、特許文献1に記載の弾性発現処理を適宜利用することができる。
前記弾性発現処理によって、伸縮シート1の厚みは、該弾性発現処理前の複合シート1’の厚みに対して1.1倍〜4倍、特に1.3倍〜3倍に増すことが好ましい。これによって、両シート材2,3の構成繊維が塑性変形して伸びることで繊維が細くなる。これと同時に、両シート材2,3が一層嵩高となり、肌触りが良く、クッション性が良好になる。
本発明の製造方法によって製造された伸縮シート1は、前記弾性発現処理を経ているか否かを問わず、弾性フィラメント4の延びる方向(図6中符号Yで示す方向)と同方向に伸縮可能になっている。伸縮シート1の伸縮性は、弾性フィラメント4の弾性に起因して発現する。伸縮シート1を、弾性フィラメント4の延びる方向と同方向に引き伸ばすと、弾性フィラメント4及びシート材2,3が伸長する。そして伸縮シート1の引き伸ばしを解除すると、弾性フィラメント4が収縮し、その収縮に連れてシート材2,3が引き伸ばし前の状態に復帰する。また、伸縮シート1においては、弾性フィラメント4と直交した状態で結合している他の弾性フィラメントは存在していないので、伸縮シート1を、弾性フィラメント4の延びる方向と同方向に引き伸ばしたときには、該伸縮シート1がその引き伸ばし方向と直交する方向に縮む、いわゆる幅縮みをほとんど起こさずに伸長する。
伸縮シート1は、弾性フィラメント4の延びる方向に沿って100%伸長させ、その状態から50%戻したときの荷重A(以下、50%戻り強度ともいう)と、弾性フィラメント4の延びる方向に沿って50%伸長させたときの荷重B(以下、50%行き強度ともいう)との比(A/B)が50%以上、特に65%以上となることが、十分な伸縮特性の発現の点から好ましい。
また、具体的な用途にもよるが、伸縮シート1は、その全体の坪量が、好ましくは10g/m2以上、さらに好ましくは25g/m2以上、そして、好ましくは150g/m2以下、さらに好ましくは60g/m2以下である。伸縮シート1の厚みに関しては、好ましくは0.05mm以上、さらに好ましくは0.5mm以上、そして、好ましくは5mm以下、さらに好ましくは2mm以下である。伸縮シート1の厚みの測定は、次のようにして測定される。即ち、測定対象シートを0.5cN/cm2の荷重にて平板間に挟み、平板間の距離を測ることで、該測定対象シートの厚みを測定することができる。
伸縮シート1を構成する弾性フィラメント4の直径は、特に制限されないが、伸縮シート1の風合いと弾性フィラメント4の生産性とのバランス等の観点から、好ましくは10μm以上、更に好ましくは20μm以上、そして、好ましくは200μm以下、更に好ましくは130μm以下である。弾性フィラメント4の直径は、ノズル12の直径によって決定される。
また、伸縮シート1において弾性フィラメント4のピッチP(図6参照)は、伸縮シート1が十分な伸縮性及び布様の良好な風合いを発現する等の観点から、弾性フィラメント4の直径が前記範囲であることを条件として、好ましくは0.1mm以上、更に好ましくは0.4mm以上、そして、好ましくは5mm以下、更に好ましくは1mm以下である。
伸縮シート1の形成材料について説明すると、シート材2,3としては、例えば、エアスルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等の不織布を用いることができる。これらの不織布は、連続フィラメント又は短繊維の不織布であり得る。シート材2とシート材3とは、同種のものでも良く、異種のものでも良い。ここでいう、「同種のシート材」とは、シート材の製造プロセス、シート材の構成繊維の種類、構成繊維の繊維径や長さ、シート材の厚みや坪量等がすべて同じであるシート材どうしを意味する。これらのうちの少なくとも一つが異なる場合には、「異種のシート材」である。シート材2,3の坪量は、風合い、厚み及び意匠性等の観点から、それぞれ、好ましくは3g/m以上、更に好ましくは5g/m以上、そして、好ましくは100g/m以下、更に好ましくは30g/m以下である。
シート材2,3の構成繊維としては、例えば、実質的に非弾性の非弾性繊維を用いることができ、その場合、シート材2,3は、該非弾性繊維を主体とする伸長可能な繊維層となり得る。斯かる非弾性繊維としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリアミド等からなる繊維等が挙げられる。シート材2,3の構成繊維は、短繊維でも長繊維でも良く、親水性でも撥水性でも良い。また、芯鞘型又はサイド・バイ・サイド型の複合繊維、分割繊維、異形断面繊維、捲縮繊維、熱収縮繊維等を用いることもできる。これらの繊維は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
シート材2,3の構成繊維の好ましい一例として、低融点成分及び高融点成分の2成分以上からなるものが挙げられる。その場合には、少なくとも低融点成分の熱融着により、その構成繊維同士が繊維交点で接合される。低融点成分及び高融点成分の2成分以上からなる芯鞘型の複合繊維としては、芯が高融点PET、PPで、鞘が低融点PET、PP、PEのものが好ましい。特にこれらの複合繊維を用いると、弾性フィラメント4との融着が強くなり、両者間での剥離が起こりにくくなるので好ましい。
弾性フィラメント4は、例えば熱可塑性エラストマーやゴム等の弾性樹脂を原料とするものである。特に熱可塑性エラストマーを原料として用いると、通常の熱可塑性樹脂と同様に押出機を用いた溶融紡糸が可能であり、またそのようにして得られた弾性フィラメントは熱融着させやすいので、伸縮シート1に好適である。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)、SEBS(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン)、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン)等のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー(エチレン系のα−オレフィンエラストマー、エチレン・ブテン・オクテン等を共重合したプロピレン系エラストマー)、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
以下、本発明の他の実施態様について図面を参照して説明する。後述する他の実施態様については、前記実施態様と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は前記実施態様と同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、前記実施態様についての説明が適宜適用される。
図8に示す紡糸ヘッド11Aの下端面11aは、千鳥配置部12Aに加えてさらに、複数のノズル12が千鳥状に配置されていない非千鳥配置部12Bを有し、千鳥配置部12Aと非千鳥配置部12Bとが、一方向即ち紡糸ヘッド11Aの長手方向Xにおいて隣接している。本実施形態においては、非千鳥配置部12Bは、千鳥配置部12Aを構成する1列のノズル列12Lにおける千鳥配置部12Aからの延出部からなる。即ち、非千鳥配置部12Bは、1列のノズル列12Lからなる。非千鳥配置部12Bの配置はこの例に限られず、例えばY方向において12L,12Lの間に配されても良い。
図9には、図8に示す紡糸ヘッド11Aを用いて製造された伸縮シート1Aが示されている。伸縮シート1Aは、千鳥配置部12Aから紡出された複数の弾性フィラメント4が配置された強伸縮部5と、非千鳥配置部12Bから紡出された複数の弾性フィラメント4が配置された弱伸縮部6とを有している。強伸縮部5は、弱伸縮部6に比して弾性フィラメント4のピッチが小さく、それ故、弱伸縮部6に比して伸縮力が強い。つまり、伸縮シート1Aは、図中Xで示す一方向、即ち伸縮シート1Aの長手方向(弾性フィラメント4の延びる方向)と直交する幅方向における伸縮性が不均一であり、この点で、複数の弾性フィラメント4が等ピッチで配置され、該幅方向における伸縮性が均一な伸縮シート1(図6参照)と異なる。このような、伸縮性の異なる部位を幅方向に複数有する伸縮シート1Aは、例えば使い捨ておむつ等の着用物品の構成部材として用いた場合、着用者の体型の変位に対する追従性に優れ、良好なフィット性が得られる。
本発明に係る紡糸ヘッドにおけるノズルの配置は、前記実施態様に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば千鳥配置部12Aを構成するノズル列12Lの数は特に制限されず、図4に示す如き2列の他、図10に示すように3列にすることもでき、図示していないが4列以上とすることもできる。また、ノズル12の平面視形状、ノズルピッチP1,P2、実質ノズルピッチNP等は、製造目的物である伸縮シートの用途等に応じて適宜調整すれば良く、特に制限されない。
本発明の製造方法の実施により、又は本発明の紡糸装置を用いて製造された伸縮シートは、例えば、パンツ型使い捨ておむつの外包材として好適に用いられる。またこの用途以外に、その良好な風合いや、毛羽立ち防止性、伸縮性、通気性等の利点を生かし、医療用使い捨て衣類や清掃シート、眼帯、マスク、包帯等の各種の用途に用いることもできる。特に生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の構成材料として好ましく用いられる。吸収性物品の構成材料としては、例えば、吸収体よりも肌側に位置する液透過性のシート(表面シート、サブレイヤー等を含む)や、使い捨ておむつの外面を構成するシート、胴回り部やウエスト部、脚周り部等に弾性伸縮性を付与するためのシート等が挙げられる。また、ナプキンのウイングを形成するシート等として用いることができる。また、それ以外の部位であっても、伸縮性を付与したい部位等に用いることができる。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
図1〜図5に示す製造装置(紡糸装置)と同様の構成の装置を用いて、図6に示す伸縮シート1と同様の構成を有し、複数の弾性フィラメントが等ピッチで配置された伸縮シートを製造した。より具体的には、前記紡糸ヘッド11の如き、全ノズルが千鳥状に配置された紡糸ヘッドを具備する紡糸装置を用いて複合シートを得、該複合シートを、図7に示すように、一対の歯溝ロール17,17の如き、歯と歯底が周方向(実長方向)に交互に形成された一対の歯溝ロールを備えた弾性発現処理装置(延伸装置)を通すことにより、該複合シートに伸縮性を付与し、目的とする、伸縮シートを製造した。使用した装置におけるノズルピッチ等は下記表1の通りであり、また、使用した材料等は下記の通りである。
・弾性フィラメント:スチレン系の熱可塑性エラストマー、繊維径110μm
・弾性フィラメントの坪量:10g/m
・シート材(繊維層):芯部がPET、鞘がPEからなる複合繊維(非弾性繊維、繊維太さ3.3dtex)からなる坪量20g/mのエアスルー不織布
・伸縮シートの坪量:50g/m
〔比較例1〕
全ノズルが図11に示すように直線状に一列に配置された紡糸ヘッドを用いた以外は、実施例1と同様にして伸縮シートを製造した。
〔評価試験〕
実施例及び比較例において、伸縮シートの製造中に、ノズルから紡出された複数の弾性フィラメントが、シート材に融着される前に交差して結着するか否か(フィラメント結着現象の有り無し)を目視で観察した。また、実施例及び比較例で製造した伸縮シートを、公知の巻き取り手段を用いてロール状に巻回して伸縮シートロールとし、この伸縮シートロールの外観及び取り扱い性をそれぞれ評価した。以上の結果を下記表1に示す。
伸縮シートロールの外観の評価は、評価対象のロールを目視観察することによって実施し、ロール外周表面に段差が見られず略平滑の場合を○(最高評価)、ロール外周表面に5mm程度の段差がある場合を△、ロール外周表面に6mm以上の段差がある場合を×(最低評価)とした。
伸縮シートロールの取り扱い性は、評価対象のロールを加工機に供することすることによって実施し、加工機においてロールから巻き出されて搬送中の伸縮シートの蛇行、即ち搬送方向と直交する方向(伸縮シートの幅方向)における適正な搬送位置からのズレ量が3mm以下の場合を○(最高評価)、蛇行が3mmを超えて6mm以下の場合を△、蛇行が7mm以上の場合を×(最低評価)とした。
1,1A 伸縮シート
1’ 複合シート
2,3 シート材
4 弾性フィラメント
5 強伸縮部
6 弱伸縮部
10 伸縮シートの製造装置
11,11A,91 紡糸ヘッド
11L 底壁部
11S 側壁部
12 ノズル
12A 千鳥配置部
12B 非千鳥配置部
11a,91a 紡糸ヘッドの下端面(ノズル設置面)
15,16,18 ニップロール
17 歯溝ロール

Claims (9)

  1. シート材に複数の弾性フィラメントが接合され、それら複数の弾性フィラメントが互いに交差せずに一方向に延びるように配列している、伸縮シートの製造方法であって、
    溶融された弾性樹脂を紡糸ヘッドの下端面に設けられた複数のノズルから紡出させて、溶融又は軟化状態の弾性フィラメントを複数得、それら複数の弾性フィラメントを、所定速度で引き取って延伸しつつ、その固化前にシート材に融着させる工程を有し、
    前記紡糸ヘッドの下端面は、複数の前記ノズルが千鳥状に配置された千鳥配置部を有し、
    前記千鳥配置部においては、複数の前記ノズルが一方向に所定間隔を置いて配置されてなるノズル列が、該一方向と直交する方向に複数配置され、且つ該一方向と直交する方向において、隣在する該ノズル列どうしで互いに該ノズルがずれている、伸縮シートの製造方法。
  2. 前記千鳥配置部における複数の前記ノズル列それぞれの前記ノズルのピッチが1mm以下である請求項1に記載の伸縮シートの製造方法。
  3. 前記紡糸ヘッドの下端面は、複数の前記ノズルが千鳥状に配置されていない非千鳥配置部を有し、前記千鳥配置部と該非千鳥配置部とが前記一方向において隣接している請求項1又は2に記載の伸縮シートの製造方法。
  4. 複数の前記ノズル列それぞれにおいて、複数の前記ノズルが等ピッチで配置されている請求項1〜3の何れか一項に記載の伸縮シートの製造方法。
  5. 前記弾性フィラメントを前記シート材に融着させた後、該シート材を該弾性フィラメントの延びる方向に延伸する工程を有する請求項1〜4の何れか一項に記載の伸縮シートの製造方法。
  6. 溶融樹脂をノズルから紡出して溶融又は軟化状態のフィラメントとする紡糸ヘッドを備えた紡糸装置であって、
    前記紡糸ヘッドの下端面に、複数の前記ノズルが千鳥状に配置された千鳥配置部を有し、
    前記千鳥配置部においては、複数の前記ノズルが一方向に所定間隔を置いて配置されてなるノズル列が、該一方向と直交する方向に複数配置され、且つ該一方向と直交する方向において、隣在する該ノズル列どうしで互いに該ノズルがずれている紡糸装置。
  7. 前記千鳥配置部における複数の前記ノズル列それぞれの前記ノズルのピッチが1mm以下である請求項6に記載の紡糸装置。
  8. 前記紡糸ヘッドの下端面は、複数の前記ノズルが千鳥状に配置されていない非千鳥配置部を有し、前記千鳥配置部と該非千鳥配置部とが前記一方向において隣接している請求項6又は7に記載の紡糸装置。
  9. 複数の前記ノズル列それぞれにおいて、複数の前記ノズルが等ピッチで配置されている請求項6〜8の何れか一項に記載の紡糸装置。
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