JP5932176B2 - ゴム帯状部材の巻取りライナー - Google Patents
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Description
<1>熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス層が、ポリエステル系樹脂シート層によって挟まれた構成の帯状積層体であって、該ポリエステル系樹脂シートが離型処理剤を含有しているか、または該ポリエステル系樹脂シートが離型処理層を有しており、該帯状積層体の両表面が離型性を有するゴム帯状部材の巻取りライナー。
<2>前記熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス層と前記ポリエステル系樹脂シート層とが、ポリオレフィン系の樹脂による層を介在して積層されている前記<1>記載の巻取りライナー。
<3>前記ポリエステル系樹脂シートが、ポリエチレンテレフタレートシートである前記<1>または<2>に記載の巻取りライナー。
<4>前記ポリエステル系樹脂シートの厚みが、20〜200μmである前記<1>〜<3>のいずれかに記載の巻取りライナー。
<5>前記熱可塑性樹脂の不撚糸からなる不撚糸クロスが、3軸または4軸格子目状のフラットヤーンクロスである前記<1>〜<4>のいずれかに記載の巻取りライナー。
<6>前記熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス層が、ポリオレフィン系樹脂からなる不撚糸のクロス層である前記<1>〜<5>のいずれかに記載の巻取りライナー。
<7>前記離型処理層が、架橋オレフィン系樹脂を主成分とする離型処理層である前記<1>〜<6>のいずれかに記載の巻取りライナー。
<8>前記熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス層と前記ポリエステル系樹脂シート層との間に介在するポリオレフィン系の樹脂による層がTダイ押出し法により供給され、ラミネート加工されてなる前記<2>〜<7>のいずれかに記載の巻取りライナー。
本発明は、熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス層が、ポリエステル系樹脂シート層によって挟まれた構成の帯状積層体であって、該ポリエステル系樹脂シートが離型処理剤を含有しているか、または該ポリエステル系樹脂シートが離型処理層を有しており、該帯状積層体の両表面が離型性を有することを特徴とするゴム帯状部材の巻取りライナーにかかるものである。
ここで、巻取りライナーとは、帯状ゴム部材をロール状に巻き取って保存する際、帯状ゴム部材の表裏面が直に接触しないように用いられるものである。
本発明の巻取りライナーは、帯状積層体であって、タイヤ用途等に用いられるゴム部材(例えばインナーライナーやコーテイッドコード等の粘着性を有する未加硫ゴムシート)が連続的に形成された帯状ゴム部材等を巻き取るために好適に使用される。巻取りライナーの幅と長さは作製される帯状ゴム部材の形状や製造装置、場所等により適宜決定されるが、通常、幅5cm〜1m,長さは5m〜500mのものが使用されている。
本発明にかかる巻取りライナーは熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス層を有する。ここで熱可塑性樹脂の不撚糸とは、熱可塑性樹脂を延伸して得られる糸条であり、撚っていない糸条である。具体的には熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂などを用いて作製されるもので、モノフィラメントやフラットヤーン、スプリットヤーンが挙げられる。
ここで用いられる熱可塑性樹脂は、前述したポリオレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂が一般的であるが、これらの他にも、不撚糸を得ることができるポリマーを用いることができる。熱可塑性樹脂は、成型性、柔軟性、入手しやすさなどの点からポリオレフィン系樹脂が好ましく、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが好ましい。また、熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂、特にポリエチレン系樹脂を用いることは、後述するラミネート加工を行った時に接着層として好適に用いられるポリエチレン系樹脂との相溶性がよい点から好ましい。
本発明にかかる巻取りライナーは、ポリエステル系樹脂シート層を有する。なお、ここでシートとはフィルムを含む概念である。ポリエステル系樹脂シートは、剛性、耐久性、耐熱性、入手しやすさ等の観点からポリエチレンテレフタレート(PET)シートであることが好ましい。
本発明の巻取りライナーは、その両表面が離型性を有している。一般的にポリエステル系樹脂シート層は、ゴムとの剥離性が悪いため後述する離型処理層をコーティングしたものを用いることがあるが、離型剤を含有させて得られるポリエステル系樹脂シート層は離型処理層をコートすることなくゴムとの離型性を有するものとすることができる。このようなシートを用いる場合、ポリエステル系樹脂シート層が本発明に係る帯状積層体の両面に求められる離型処理層の機能も兼ねることができるため、熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス層が、離型処理剤を含有するポリエステル系樹脂シート層によって挟まれた構成の帯状積層体とすることで本発明を達成することもできる。
離型剤を含有しないポリエステル系樹脂シートを用いる場合、ポリエステル系樹脂シートに離型処理層をコートして、帯状積層体の両表面が離型処理層を有したものにする。コートする離型処理層としては、非汚染性に優れていてシリコーンフリーである、架橋オレフィン系樹脂を主成分とする離型処理層を設けることが好ましい。架橋オレフィン系樹脂を主成分とする離型処理層とは、少なくとも炭素数2〜4のオレフィン成分70〜99質量%と酸成分1〜30質量%とからなる酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する離型処理層が挙げられ、この離型処理層は、架橋により耐久性を高くし、また他の添加成分を用いて濡れ性や剥離性の制御を行ったりするものである。たとえばこのような離型処理層を有するシートとして、ユニチカ株式会社製ユニピール(登録商標)がある。ユニピール(登録商標)は、PETシート上に当該架橋オレフィン系の離型処理層を積層した形で市販されているため、本発明のポリエステル系樹脂シート層と架橋オレフィン系コートによる離型処理層を合わせたものとして、本発明の巻取りライナーの製造に好適に用いることができる。
本発明の巻取りライナーは、ポリエステル系樹脂シート層により熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス層が挟まれている構成である帯状積層体であることが求められる。たとえば、図1に示すように、熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス層は、ポリエステル系樹脂シート層に挟まれている構成である。熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロスと、ポリエステル系樹脂シート層を有することで、適切な剛性、優れた耐引裂性を有する積層体を得ることができる。また、さらに、本発明の巻取りライナーは離型処理層をその帯状積層体の両面に有しているため、ゴム部材の巻取りライナーとして用いたとき、ゴム部材を容易に剥離することができる。
本発明に係る帯状積層体は、熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス層とポリエステル系樹脂シート層が積層されたものである。該積層体を得る方法としては、ポリエステル系樹脂シートと熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロスとを巻出し、シートとクロスを重ね合わせ、接着することで積層体を得ることができる。接着する方法として代表的なものは、ホットメルトフィルムをポリエステル系樹脂シートとクロスとの間に用いてホットメルトにより接着する方法や、各種ポリマーや接着剤を流し込むまたは塗工して接着する方法などがある。各種ポリマーを流し込み接着する方法としては、接着剤として機能するポリマーを流し込み(必要に応じて溶媒に溶かした状態で行う)、その後、熱風乾燥等により乾燥することで接着するドライラミネート法や、溶融させた樹脂を用いる押出しラミネート法、サンドイッチラミネート法やタンデムラミネート法がある。
次に本発明に係る帯状積層体の製造方法について図5を用いて具体的に説明する。各種ポリマーを流し込み接着させる方法は一般的にラミネート加工と呼ばれる。本発明に係る帯状積層体は、この一つであるサンドイッチラミネート法により製造することができ、溶融させた樹脂を一方の層に押出し、他の巻出し機から別の層を供給し貼りあわせるものである。ポリエステル系樹脂シート15と、熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス層17とを貼りあわせる工程において、たとえば溶融させる樹脂としてポリエチレンを用いる場合、押出し機11を用いてTダイ12から溶融させたポリエチレン16をポリエステル系樹脂シート15上に押出し、他の巻出し機から熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス17を供給し貼りあわせた積層体(A)18を得る。さらに、この積層体(A)と別のポリエステル系樹脂シートを貼りあわせる工程において、溶融させたポリエチレン16を別のポリエステル系樹脂シート15上に押出し、他の巻出し機から先ほどの積層体(A)17を供給し貼りあわせることで得られた積層体(B)18を得る。本発明において、帯状積層体は、このようなラミネート加工により得ることができる。よって、前記熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス層と前記ポリエステル系樹脂シート層とは、ポリエチレン系樹脂による層を介在して接着されていることがある。このポリエチレン系樹脂(溶融させた樹脂)による層を用いて、接着している場合、熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス層と、ポリエステル系樹脂シート層との接着性が特に優れており、積層体の一体性が優れたものとなる。
なお、本発明の別の態様としては、タンデムラミネート法を使用することができる。タンデムラミネート法とは、サンドイッチラミネート機を2台つないで、連続するライン上において、上記積層体(B)と同様の5層積層体を得るものである。巻き返し等の作業が減るため、より少ない工程でラミネート加工を行うことができる。
JIS K7128−1に則って、引裂抵抗値(mN)を評価した。
東洋精機製PICMAタックテスタを用いて、シート上に圧着した未加硫のイソプレンゴムを剥離するときにかかる力を評価した。なお、上昇速度は30mm/分、圧着時間1分とした。
本発明のクロス層として、熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス、ソフTS705(積水化学工業株式会社製;幅1000mm、3軸格子、繊維太さ750デシテックス、打ち込み本数各軸5本/インチ;以下、「ソフ」と略記する。)を用いた。ポリエステル系樹脂シート層としてユニピールTR−1(ユニチカ株式会社製;幅1000mm、厚み38μm)を2層に用いた。ユニピールTR−1はオレフィン系コートの離形処理層を有するPETシートであるため、離形処理層ではない方の面(非離型処理面)をクロス層であるソフと重ねあわせて、後述するラミネート処理方法で貼りあわせて、ソフをユニピールTR−1で挟んだ構成でありユニピールの離型処理層が両面にある、巻取りライナー(1)を得た。
ラミネート加工は、サンドイッチラミネート法によりおこなった。接着層として用いるポリマーには、ポリエチレン「ノバテックLC605Y(日本ポリエチレン株式会社製)」を用いた。ポリエステル系樹脂シート層であるユニピールの非離型処理面に、溶融させたポリエチレンを厚み約40μmとなるように、Tダイ押出し機からの供給量およびシートの搬送速度を調節し、他の巻出し機からクロス層であるソフを供給し貼りあわせることで、積層体(1−A)を得た。この積層体(1−A)のソフ面側に、さらに、溶融させたポリエチレンを厚み約35μmとなるように供給しながら、もう1層のユニピールを非離型処理面側が積層体(1−A)のソフ面側と貼りあわされるように供給し貼りあわせることで、積層体(1−B)を得た。ここで、ポリエチレン供給量が、積層体(1−A)を製造する先のラミネート加工工程と、積層体(1−B)を製造する後のラミネート加工工程とで異なる理由は、先のラミネート加工工程においてはクロス層として用いるソフの開口部にポリエチレンがはいりこみ見かけの厚みが薄くなるため多めに供給する。後のラミネート加工工程においてはソフの開口部がある程度充填されているため、ポリエチレン層の厚みの減少がほとんどないためである。
本発明の熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロスとして、ポリエチレンのフラットヤーンクロス(幅1000mm、2軸格子、打ち込み本数各軸8本/インチ;以下「フラットヤーンクロス8×8」)、ポリエステル系樹脂シート層としてユニピールTR−1(幅1000mm、厚み38μm)を2層に用いてフラットヤーンクロス8×8を挟む構成とした。ユニピールはオレフィン系コートの離形処理層を有するPETシートであるため、離形処理層の反対の面をフラットヤーンクロス8×8と重ねあわせて、前記ラミネート加工工程と同様の方法で巻取りライナー(2)を得た。
厚み約200μmのPETシート(ユニチカ株式会社製、エンブレット(登録商標)「SA−188」)を、比較例1の巻取りライナーとして評価した。
撚糸によるクロス層をPETシートで挟む構成として、クロス層とPETシートを接着剤で接着させた積層体を比較例2として評価した。
実施例1により得られた巻取りライナーの、引裂抵抗値を測定した。MD方向の引裂抵抗値は、16898mNであり、TD方向の引裂抵抗値は、12863mNであった。
実施例2により得られた巻取りライナーの、引裂抵抗値を測定した。MD方向の引裂抵抗値は、6759mNであり、TD方向の引裂抵抗値は、6431mNであった。
一方、比較例1のPETシートの引裂き抵抗値は、MD方向が2803mN、TD方向が2176mNであった。
このように、本発明の巻取りライナーは、PETシートよりも明らかに引き裂きにくいものであることがわかる。
実施例1、2の巻取りライナーの剥離性を前述した方法で評価した。剥離に要する力は、両面とも0.6〜0.8N/13mmであり、容易に剥離することができるものであった。一方、比較例1のPETシートは、離型性を有さないため、剥離性を評価したが、ゴムがシート側に残り、正確な評価ができない、剥離性に劣るものであった。
2 クロス層
3 ポリエステル系樹脂シート層
4 離型処理層
5 離型剤を含有するポリエステル系樹脂シート層
6 ポリオレフィン系樹脂による接着剤層
11 押出機
12 Tダイ
13 プレスロール
14 冷却ロール
15 貼りあわせる層(ポリエステル系樹脂シートまたは積層体)
16 溶融ポリマー
17 貼りあわせる層(クロスまたはポリエステル系樹脂シート、積層体)
18 積層体
Claims (8)
- 熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス層が、ポリエステル系樹脂シート層によって挟まれた構成の帯状積層体であって、該ポリエステル系樹脂シートが離型処理剤を含有しているか、または該ポリエステル系樹脂シートが離型処理層を有しており、該帯状積層体の両表面が離型性を有し、
前記熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス層が、格子目状に配置した糸の交点を接着させた網状体であり、
前記熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス層と前記ポリエステル系樹脂シート層とが、ポリオレフィン系樹脂による層を介在して積層されていることを特徴とするゴム帯状部材の巻取りライナー。 - 熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス層が、ポリエステル系樹脂シート層によって挟まれた構成の帯状積層体であって、該ポリエステル系樹脂シートが離型処理剤を含有しているか、または該ポリエステル系樹脂シートが離型処理層を有しており、該帯状積層体の両表面が離型性を有し、
前記熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス層が、格子目状に配置した糸の交点を接着させた網状体であり、
前記ポリエステル系樹脂シートの厚みが、20〜200μmであることを特徴とするゴム帯状部材の巻取りライナー。 - 熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス層が、ポリエステル系樹脂シート層によって挟まれた構成の帯状積層体であって、該ポリエステル系樹脂シートが離型処理層を有しており、該帯状積層体の両表面が離型性を有し、
前記熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス層が、格子目状に配置した糸の交点を接着させた網状体であり、
前記離型処理層が、架橋オレフィン系樹脂を主成分とする離型処理層であることを特徴とするゴム帯状部材の巻取りライナー。 - 前記ポリエステル系樹脂シートの厚みが、20〜200μmである請求項1に記載の巻取りライナー。
- 前記離型処理層が、架橋オレフィン系樹脂を主成分とする離型処理層である請求項1、2または4のいずれか1項に記載の巻取りライナー。
- 前記ポリエステル系樹脂シートが、ポリエチレンテレフタレートシートである請求項1〜5のいずれか1項に記載の巻取りライナー。
- 前記熱可塑性樹脂の不撚糸からなるクロス層が、ポリオレフィン系樹脂からなる不撚糸のクロス層である請求項1〜6のいずれか1項に記載の巻取りライナー。
- 前記不撚糸が、モノフィラメント、フラットヤーンおよびスプリットヤーンからなる群から選択される不撚糸であり、かつ、
前記不燃糸の太さが100デシテックス〜2000デシテックスである請求項1〜7のいずれか1項に記載の巻き取りライナー。
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