JP6472712B2 - 積層フィルムの製造方法、及び、積層フィルム - Google Patents
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Description
De−Dc≦0.4μm
De−Dc≦1.6μm
De−Dc≦2.0μm
De−Dc≦1.6μm
De−Dc≦2.0μm
(積層フィルムの製造方法)
図1は、本発明の実施形態に係る積層フィルムの製造方法を示すフロー図である。なお、TDは基材フィルムの幅方向、MDは基材フィルムの長手方向(基材フィルムの搬送方向)示す。
まず、長尺な基材フィルム1を用意する。基材フィルム1は、熱可塑性樹脂からなることができる。熱可塑性樹脂の例は、鎖状ポリオレフィン樹脂及び環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂等)等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタラートなどのポリエステル系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテート等のセルロースエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリアリレート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド系樹脂である。
ポリビニルアルコール系樹脂層との密着性を向上させるために、必要に応じて前処理手段によって基材フィルム1の表面に前処理を行うことができる。
(表面活性化)
例えば、図1の(a)に示すように、巻出部30から供給される基材フィルム1の表面に、コロナ処理、プラズマ処理又は火炎処理等の表面活性化手段42により基材フィルム1の表面の活性化処理を行い、処理済みの基材フィルム1を巻取部31で巻き取ることができる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂層との密着性を向上させるために、基材フィルム1の表面、好ましくは、上記表面活性化処理がなされた表面に、プライマー層形成手段によってプライマー層を形成することもできる。
前処理の後、例えば、図1の(c)に示すように、巻出部34から供給される基材フィルム1の表面に、塗工手段48によりポリビニルアルコール系樹脂の溶液を塗工する。ポリビニルアルコール系樹脂の溶液は、ポリビニルアルコール系樹脂の粉末を水等の水系溶媒に溶解させて得ることができる。
ケン化度(モル%)=(水酸基の数)/(水酸基の数+酢酸基の数)×100
で定義される数値であり、JIS K 6726(1994)で規定されている方法で求めることができる。
続いて、図1の(c)に示すように、溶液が塗工された基材フィルム1をその長手方向に搬送しながら塗工された溶液を乾燥手段50により乾燥して、基材フィルム1上にポリビニルアルコール系樹脂層2を有する積層フィルム10を得、その後、積層フィルム10を巻取部35に巻き取る。得られた積層フィルム10は、図2の(a)に示すように、基材フィルム1及びポリビニルアルコール系樹脂層2を有する。
乾燥温度、例えば、乾燥時の樹脂層の温度、又は、基材フィルム1に熱風を与える場合の熱風の温度は、例えば、50〜200℃とすることができ、60〜150℃とすることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。溶液が水を含む場合には、これらの温度を80℃以上とすることが好ましい。乾燥時間、すなわち、乾燥手段内を搬送フィルムが走行する時間は2〜20分とすることができる。また、乾燥工程では、基材フィルム1の上面に溶液が塗工されていることが好ましい。
De−Dc≦0.4μm
De−Dc≦0.3μmであることができ、De−Dc≦0μmであることもできる。
De−Dcの下限値は特にないが、中央部の弛みを抑制する観点から、De−Dc≧−0.5μm以上であることができる。
平均膜厚の測定において、各領域の長手方向の長さは特に限定されないが、例えば、1〜2mmとすることができる。
なお、上記実施形態では、前処理、プライマー層形成、及び、樹脂層の形成(塗工及び乾燥)の各工程を、それぞれ、バッチ式で行う、すなわち、各工程後にフィルムのロールを得て、次工程でそのロールからフィルムを巻き出して処理しているが、これらの工程の内の任意の2以上の工程を連続的に、すなわち、ロールに巻き取ることなく2以上の工程を続けて行っても良い。
次に得られた積層フィルム10(基材フィルム1の一方面のみにポリビニルアルコール系樹脂層2を有していてもよく、基材フィルム1の両面にポリビニルアルコール系樹脂層2を有していてもよい)をロールから巻き出して、延伸及び染色し、ポリビニルアルコール系樹脂層2に偏光機能を付与する。延伸が先で染色が後でもよく、染色が先で延伸が後でもよく、延伸と染色を同時に行ってもよい。延伸は空中でおこなってもよいし、水中で行ってもよい。ここで、延伸後かつ染色前の積層フィルムを延伸積層フィルムと呼び、延伸及び染色後のフィルムを偏光性積層フィルムと呼ぶ。
ここで、De及びDcは、厚みの対象となる層が異なることを除いて、前述と同様に定義される。
そして、本実施形態では、偏光性積層フィルム10’における基材フィルム1及び一方の偏光子層2’の合計厚みにおけるDe−Dcを1.6μm以下とすることができ、好ましくは1.2μm以下とすることができ、通常−1.6μm以上とすることができる。偏光性積層フィルム10’における基材フィルム1及び両方の偏光子層2’の合計厚みにおけるDe−Dcは2.0μm以下とすることができ、好ましくは1.5μm以下とすることができ、通常−2.0μm以上とすることができる。延伸積層フィルム10’’における基材フィルム1及び一方の延伸された樹脂層2’’の合計厚みにおけるDe−Dcは1.6μm以下とすることができ、好ましくは1.4μm以下とすることができ、通常−1.6μm以上とすることができる。延伸積層フィルム10’’における基材フィルム1及び両方の延伸された樹脂層2’’の合計厚みにおけるDe−Dcは2.0μm以下とすることができ、好ましくは1.5μm以下とすることができ、通常−2.0μm以上とすることができる。
これに対して、本実施形態では、延伸前の積層フィルム10における全体の厚み及び偏光子層において、幅方向端部の厚みが中央部に比べてあまり厚くなりにくいので、延伸後に得られる延伸積層フィルム10’’、及び、偏光性積層フィルム10’も、幅方向の端部においての厚みが中央部に比べて大きくなりにくい。したがって、これらをロールとして保管した後の弛みの問題が起こりにくい。
続いて、偏光板の製造方法を説明する。まず、図7の(a)に示すように、偏光性積層フィルム10’の偏光子層2’上に接着剤を介して保護フィルム3を貼りつける。偏光子層2’が基材フィルム1の両面に設けられている場合には、保護フィルム3を各偏光子層2’の上に貼りつける。続いて、図7の(b)に示すように、基材フィルム1から保護フィルム3及び偏光子層2’の積層体を剥離し、保護フィルム3が接着剤を介して偏光子層2’と貼り合わされた2枚の偏光板20を得る。偏光性積層フィルム10’が、1面のみに偏光子層2’を有す得る場合には、1枚の偏光板20が得られる。
(積層フィルムの作製)
(基材フィルムの作製)
プロピレンの単独重合体であるホモポリプロピレン(住友化学株式会社製「住友ノーブレン(登録商標)FLX80E4」、融点Tm=163℃)に、高密度ポリエチレンからなる造核剤を1重量%配合して、造核剤入りポリプロピレンを作製した。これと、エチレンユニットを約5重量%含むプロピレン/エチレンのランダム共重合体「住友ノーブレン(登録商標) W151」とから、多層押出成形機を用いた共押出成形により、「住友ノーブレン(登録商標) W151」からなる樹脂層の両側に、上の造核剤入りポリプロピレンからなる樹脂層が配置された3層構造の長尺のポリプロピレン系積層フィルムを作製し、基材フィルムとした。この基材フィルムの合計厚みは100μmであり、各層の厚み比(造核剤入りポリプロピレン/W151/造核剤入りポリプロピレン)は3/4/3であった。この基材フィルムにつき、80℃における押し出し方向、すなわち、長手方向の引張弾性率は209MPaであった。
ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工業株式会社製「Z−200」、平均分子量1100、平均ケン化度99.5モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調整した。得られた水溶液に架橋剤(住友化学株式会社製「スミレーズレジン(登録商標)650」)をポリビニルアルコール2重量部に対して1重量部混合してプライマー層形成用の塗工液を調整した。
基材フィルムを長手方向に連続的に搬送しながら、その片面にコロナ処理を施し、ついでコロナ処理された面にマイクログラビアコーターを用いて上記プライマー層用塗工液を連続的に塗工し、60℃で3分間乾燥させることにより厚み0.2μmのプライマー層を片面に形成した。引き続きフィルムを長手方向に搬送しながら各プライマー層上にカンマコーターを用いて上記ポリビニルアルコール系樹脂層形成用の塗工液を連続的に塗工し、90℃の熱風を用いたフローティング乾燥法で4分間乾燥させることにより、プライマー層上に平均厚み9μmのポリビニルアルコール系樹脂層を形成し、軸に巻き取って積層フィルムのロールを得た。乾燥工程において基材フィルムに対して長手方向(搬送方向)に印加される幅方向の長さ1mあたりの張力を64Nとした。長手方向の基材フィルムの寸法変化率は0.10%、基材フィルムの80℃の弾性率に対する基材フィルムの幅方向単位面積当たりの長手方向張力の比は0.30%であった。
得られた積層フィルムをロールから巻き出して連続的に搬送しながら、ロール間空中延伸装置を用いて160℃の延伸温度で縦方向(フィルム搬送方向)に5.8倍の倍率で自由端一軸延伸を施し、軸に巻き取って延伸積層フィルムのロールを得た。延伸後のポリビニルアルコール系樹脂層の厚みはそれぞれ5.5μm、5.6μmであった。延伸処理において特に不具合は認められず、ロールから巻き出したフィルムの幅方向の端部の弛みも殆ど確認されなかった。
得られた延伸積層フィルムを連続的に搬送しながら、60℃の温水浴に滞留時間が60秒間となるように浸漬した後、ヨウ素とヨウ化カリウムとを含む30℃の染色溶液に滞留時間が150秒間程度となるように浸漬してポリビニルアルコール系樹脂層の染色処理を行い、次いで、10℃の純水で余分な染色溶液を洗い流した。引き続き、ホウ酸とヨウ化カリウムとを含む76℃の架橋溶液に滞留時間が600秒間となるように浸漬して架橋処理を行った。その後、10℃の純水で4秒間洗浄し、80℃で300秒間乾燥させることにより偏光性積層フィルムを得、軸に巻き取って偏光性積層フィルムのロールを得た。ロールから巻き出したフィルムの幅方向端部に弛みは殆ど確認されなかった。
(1)接着剤の調液
ポリビニルアルコール粉末(株式会社クラレ製「KL−318」、平均重合度1800)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(住友化学株式会社製「スミレーズレジン(登録商標)650」)をポリビニルアルコールの固形分2重量部に対して1重量部の割合で混合し、接着剤溶液とした。
次に、上記(1)で得られた偏光性積層フィルムを連続的に搬送しながら、上記接着剤溶液を各偏光子層上に塗工した後、貼合面にケン化処理が施されたトリアセチルセルロース(TAC)フィルム〔コニカミノルタオプト株式会社製「KC4UY」、厚み40μm〕を偏光子層上の接着剤溶液塗工面に貼合し、一対の貼合ロール間に通すことにより圧着し、偏光子層及び保護フィルムの積層体を得た。次いで、各積層体から基材フィルムを剥離除去して、偏光子層上に接着剤層を介してTACフィルムからなる保護フィルムが積層された偏光板を得、軸に巻き取ってロールを得た。ロールから巻き出した偏光板の幅方向端部の弛みは改善されており、基材フィルムは容易に剥離することができ、特に不具合は認められなかった。
積層フィルムの作製において、基材フィルムの幅方向の長さ1mあたり85Nの張力を長手方向(搬送方向)に加えたこと以外は実施例1と同様とした。長手方向の基材フィルムの寸法変化率は0.25%、基材フィルムの80℃の弾性率に対する基材フィルムの幅方向単位面積当たりの長手方向の張力の比は0.50%であり、De−Dcは0.1μmであった。また、巻き出した各フィルムの幅方向端部に弛みはとくに確認されなかった。
積層フィルムの作製において、基材フィルムの幅方向の長さ1mあたり107Nの張力を長手方向(搬送方向)に加えたこと以外は実施例1と同様とした。長手方向の基材フィルムの寸法変化率は0.40%、基材フィルムの80℃の弾性率に対する基材フィルムの幅方向単位面積当たりの長手方向の張力の比は0.60%であり、De−Dcは0.3μmであった。また、巻き出した各フィルムの幅方向端部に弛みはとくに確認されなかった。
基材フィルムとして厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタラート系フィルムを選択し、積層フィルムの作製において、基材フィルムの幅方向の長さ1mあたり64Nの張力を長手方向(搬送方向)に加えたこと以外は実施例1と同様とした。長手方向の基材フィルムの寸法変化率は0.01%、基材フィルムの80℃の弾性率に対する基材フィルムの幅方向単位面積当たりの長手方向の張力の比は0.04%であり、De−Dcは0.3μmであった。また、巻き出した各フィルムの幅方向端部に弛みはとくに確認されなかった。基材フィルムの80℃弾性率は3900MPaであった。また、延伸工程、染色工程及び偏光性積層フィルム化工程を実施していないが、積層フィルムのロールからフィルムを巻き出したところ、幅方向端部に弛みは確認されなかった。
積層フィルムの作製において、基材フィルムの幅方向の長さ1mあたり74Nの張力を長手方向(搬送方法)に加えたこと以外は実施例4と同様とした。長手方向の基材フィルムの寸法変化率は0.05%、基材フィルムの80℃の弾性率に対する基材フィルムの幅方向単位面積当たりの長手方向の張力の比は0.05%であり、De−Dcは−0.2μmであった。また、巻き出した各フィルムの幅方向端部に弛みはとくに確認されなかった。
積層フィルムの作製において、基材フィルムの幅方向の長さ1mあたり43Nの張力を長手方向(搬送方向)に加えたこと以外は実施例1と同様とした。長手方向の基材フィルムの寸法変化率は−0.1%、基材フィルムの80℃の弾性率に対する基材フィルムの幅方向単位面積当たりの長手方向の張力の比は0.2%であり、De−Dcは0.7μmであった。平均厚みの分布を図8の(a)に示す。巻き出した各フィルムの幅方向端部に弛みが確認された。
Claims (5)
- 長尺の基材フィルムの少なくとも一方の表面にポリビニルアルコール系樹脂の溶液を塗工する塗工工程、
前記基材フィルムを長手方向に搬送しながら塗工された前記溶液を乾燥させて前記基材フィルム及び樹脂層を有する積層フィルムを得る乾燥工程、及び、
前記積層フィルムを延伸及び染色して前記基材フィルム及び偏光子層を有する偏光性積層フィルムを得る工程、を備え、
前記基材フィルムの幅が500mm以上であり、
前記乾燥工程において、前記基材フィルムに対して前記長手方向に前記基材フィルムの幅方向の長さ1m当たり45N以上500N以下の張力を与える、偏光性積層フィルムの製造方法。 - 前記積層フィルムを軸に巻き取って前記積層フィルムのロールを得る巻取工程を更に備える、請求項1に記載の方法。
- 前記偏光性積層フィルムを軸に巻き取って前記偏光性積層フィルムのロールを得る巻取工程を更に備える、請求項1又は2に記載の方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の偏光性積層フィルムの製造方法により偏光性積層フィルムを製造する工程、
前記偏光性積層フィルムの前記偏光子層上に接着剤を介して保護フィルムを貼合する工程、及び、
前記偏光子層から前記基材フィルムを剥離して偏光板を得る工程、をこの順に備える、偏光板の製造方法。 - 前記偏光板を軸に巻き取って前記偏光板のロールを得る巻取工程を更に備える、請求項4に記載の方法。
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