以下、実施の形態を示して本発明に係る偏光性積層フィルムの製造方法及び偏光板の製造方法について詳細に説明する。
<偏光性積層フィルムの製造方法>
図1は、本発明に係る偏光性積層フィルムの製造方法及び偏光板の製造方法の好ましい実施形態を示すフローチャートである。本実施形態の偏光性積層フィルムの製造方法は、基材フィルムの少なくとも一方の面に偏光子層を備える偏光性フィルムを用意する工程と、偏光性フィルムの偏光子層を有する一方の面上に、接着剤層を介して保護フィルムを貼合し、偏光性フィルムの他方の面上に樹脂フィルムを配置して偏光性積層フィルムを得る貼合工程S40と、偏光性積層フィルムの幅方向両端部分を除去する除去工程S50とをこの順で含む。
また本実施形態において上記偏光性フィルムを用意する工程は、基材フィルムの少なくとも一方の面にポリビニルアルコール系樹脂層を形成する樹脂層形成工程S10と、ポリビニルアルコール系樹脂層を有する基材フィルムを一軸延伸する延伸工程S20と、一軸延伸されたフィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色して偏光子層とする染色工程S30とをこの順で含む。
上記貼合工程S40において、保護フィルム及び樹脂フィルムには偏光性フィルムよりも幅広のものが用いられる。保護フィルムは、偏光性フィルムとの貼合面が上記接着剤層に対して接着性を示すフィルムであり、樹脂フィルムは、偏光性フィルムに配置する側の面が上記接着剤層に対して非接着性を示すフィルムである。保護フィルムは、その幅方向両端がそれぞれ偏光性フィルムの幅方向両端よりも外側に位置するように、接着剤層を介して偏光性フィルムに貼合される。樹脂フィルムは、その幅方向両端がそれぞれ偏光性フィルムの幅方向両端よりも外側に位置するように、偏光性フィルムの他方の面上に配置される。この際、接着剤層の幅は、その幅方向両端がそれぞれ偏光性フィルムの幅方向両端よりも外側に位置し、かつ保護フィルム及び樹脂フィルムの幅方向両端よりも内側に位置するように調整される。
なお後述するように、本実施形態において偏光板は、除去工程S50までを実施して得られる幅方向両端部分が除去された偏光性積層フィルムから樹脂フィルムを剥離除去し(第1剥離工程S60)、次いで基材フィルムを剥離除去する(第2剥離工程S70)ことによって得ることができる。
以下、本実施形態の偏光性積層フィルムの製造方法が備えるS10〜S50の各工程についてより詳細に説明する。
〔1〕樹脂層形成工程S10
本工程は、基材フィルムの少なくとも一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成する工程である。このポリビニルアルコール系樹脂層は、延伸工程S20及び染色工程S30を経て偏光子層となる層である。本工程は、長尺の基材フィルムを巻き回してなるロール体から基材フィルムを連続的に巻き出し、巻き出された基材フィルム上に連続的にポリビニルアルコール系樹脂層を形成することにより連続的に実施することができる。
ポリビニルアルコール系樹脂層は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗工液を基材フィルム表面に塗工し、必要に応じて塗工層を乾燥させることにより形成することができる。このような方法によれば、ポリビニルアルコール系樹脂層、ひいては偏光子層の厚みを小さくすることができるため、偏光性積層フィルム及び偏光板の薄型化に有利である。
塗工液を塗工する方法は、ワイヤーバーコーティング法、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法;ダイコート法;カンマコート法;リップコート法;スピンコーティング法;スクリーンコーティング法;ファウンテンコーティング法;ディッピング法;又はスプレー法などの公知の方法から適宜選択することができる。
基材フィルムとポリビニルアルコール系樹脂層との密着性を向上させるために、基材フィルムとポリビニルアルコール系樹脂層の間にプライマー層を設けてもよい。密着性の観点から、プライマー層はポリビニルアルコール系樹脂及び架橋剤などを含有する樹脂組成物から形成することが好ましい。
塗工液を塗工する工程において、基材フィルムの幅方向両端部分に塗工液を塗工しない未塗工領域を設けてもよい。未塗工領域は、基材フィルムの幅方向両端から内側にそれぞれ0.5cm以上、20cm以下(好ましくは10cm以下)の領域であることができる。未塗工領域を設けることにより、塗工層乾燥時に生じ得る基材フィルムの幅方向両端部分の反り返りを抑制することができる。この未塗工領域は、延伸工程S20において、又はその後にフィルムを巻き取る場合はその際に、フィルムの破断を引き起こし得る波打ちを生じることがあるので、延伸工程S20に先立って、又は延伸工程S20の後であってフィルムの巻き取り前に、未塗工領域を切断により除去してもよい。
塗工液を基材フィルムの全面に塗工した場合、ポリビニルアルコール系樹脂層(したがって偏光子層)の幅は基材フィルムの幅と同じである。一方、上記未塗工領域を設けて塗工液を塗工する場合、ポリビニルアルコール系樹脂層(したがって偏光子層)の幅は基材フィルムの幅より狭くなる。
塗工層の乾燥は、塗工液が溶剤を含有する場合において塗工層から溶剤を除去するために実施される。乾燥温度及び乾燥時間は溶剤の種類に応じて設定される。乾燥温度は、例えば50〜200℃であり、好ましくは60〜150℃である。乾燥時間は、例えば2〜20分である。
ポリビニルアルコール系樹脂層は、基材フィルムの一方の面のみに形成するのが通常であるが、偏光性フィルムの反りを抑制することなどを目的として、基材フィルムの両面に形成してもよい。この場合、基材フィルムの両面に上記プライマー層を形成することが好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂層の厚みは、3μm超かつ30μm以下であることが好ましく、さらには5〜20μmが好ましい。この範囲内の厚みを有するポリビニルアルコール系樹脂層であれば、後述する延伸工程S20及び染色工程S30を経て、二色性色素の染色性が良好で偏光特性に優れ、かつ十分に厚みの小さい偏光子層を得ることができる。ポリビニルアルコール系樹脂層の厚みが30μmを超えると、偏光子層の厚みが10μmを超えることがある。
(塗工液)
上記塗工液は、好ましくはポリビニルアルコール系樹脂の粉末を良溶媒(例えば水)に溶解させて得られるポリビニルアルコール系樹脂溶液である。ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂及びその誘導体が挙げられる。ポリビニルアルコール樹脂の誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタールなどの他、ポリビニルアルコール樹脂をエチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のアルキルエステル、アクリルアミドなどで変性したものが挙げられる。上述のポリビニルアルコール系樹脂のなかでも、ポリビニルアルコール樹脂を用いることが好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、100〜10000が好ましく、1000〜10000がより好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂の平均ケン化度は、80〜100モル%であることが好ましく、94モル%以上であることがより好ましい。
塗工液は必要に応じて、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。可塑剤としては、ポリオール又はその縮合物などを用いることができ、例えばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどが例示される。添加剤の配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂の20重量%以下とするのが好適である。
(基材フィルム)
基材フィルムは熱可塑性樹脂から構成することができ、なかでも透明性、機械的強度、熱安定性、延伸性などに優れる熱可塑性樹脂から構成することが好ましい。このような熱可塑性樹脂の具体例は、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂など)等のポリオレフィン系樹脂;ポリエステル系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテート等のセルロースエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;及びこれらの混合物、共重合物などを含む。
塗工液を塗工するための平滑性に優れ、また延伸工程S20における延伸性に優れるなどの理由から、基材フィルムは、鎖状ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂及びセルロースエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
基材フィルムは、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂からなる1つの樹脂層からなる単層構造であってもよいし、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂からなる樹脂層を複数積層した多層構造であってもよい。
鎖状ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの鎖状オレフィンの単独重合体の他、2種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体を挙げることができる。鎖状ポリオレフィン系樹脂からなる基材フィルムは、安定的に高倍率に延伸しやすい点で好ましい。なかでも基材フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(プロピレンの単独重合体であるポリプロピレン樹脂や、プロピレンを主体とする共重合体等)、ポリエチレン系樹脂(エチレンの単独重合体であるポリエチレン樹脂や、エチレンを主体とする共重合体等)などからなることがより好ましい。
基材フィルムを構成する熱可塑性樹脂として好適に用いられる例の1つであるプロピレンを主体とする共重合体は、プロピレンとこれに共重合可能な他のモノマーとの共重合体である。
プロピレンに共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、エチレン、α−オレフィンを挙げることができる。α−オレフィンとしては、炭素数4以上のα−オレフィンが好ましく用いられ、より好ましくは、炭素数4〜10のα−オレフィンである。炭素数4〜10のα−オレフィンの具体例は、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン等の直鎖状モノオレフィン類;3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の分岐状モノオレフィン類;ビニルシクロヘキサンなどを含む。プロピレンとこれに共重合可能な他のモノマーとの共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
上記他のモノマーの含有量は、共重合体中、例えば0.1〜20重量%であり、好ましくは0.5〜10重量%である。共重合体中の他のモノマーの含有量は、「高分子分析ハンドブック」(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている方法に従い、赤外線(IR)スペクトル測定を行うことにより求めることができる。
上記のなかでも、ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体又はプロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体が好ましく用いられる。
ポリプロピレン系樹脂の立体規則性は、実質的にアイソタクチック又はシンジオタクチックであることが好ましい。実質的にアイソタクチック又はシンジオタクチックの立体規則性を有するポリプロピレン系樹脂からなる基材フィルムは、その取扱性が比較的良好であるとともに、高温環境下における機械的強度に優れている。
基材フィルムは、1種の鎖状ポリオレフィン系樹脂から構成されていてもよいし、2種以上の鎖状ポリオレフィン系樹脂の混合物から構成されていてもよいし、2種以上の鎖状ポリオレフィン系樹脂の共重合物から構成されていてもよい。
環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。環状ポリオレフィン系樹脂の具体例を挙げれば、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等の鎖状オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、及びこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びにそれらの水素化物などである。なかでも、環状オレフィンとしてノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等のノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
環状ポリオレフィン系樹脂は種々の製品が市販されている。環状ポリオレフィン系樹脂の市販品の例としては、いずれも商品名で、「Topas」(TOPAS ADVANCED POLYMERS GmbH社製、ポリプラスチックス(株)から入手できる)、「アートン」(JSR(株)製)、「ゼオノア(ZEONOR)」(日本ゼオン(株)製)、「ゼオネックス(ZEONEX)」(日本ゼオン(株)製)、「アペル」(三井化学(株)製)などが挙げられる。
また、いずれも商品名で、「エスシーナ」(積水化学工業(株)製)、「SCA40」(積水化学工業(株)製)、「ゼオノアフィルム」(日本ゼオン(株)製)などの製膜された環状ポリオレフィン系樹脂フィルムの市販品を基材フィルムとして用いてもよい。
基材フィルムは、1種の環状ポリオレフィン系樹脂から構成されていてもよいし、2種以上の環状ポリオレフィン系樹脂の混合物から構成されていてもよいし、2種以上の環状ポリオレフィン系樹脂の共重合物から構成されていてもよい。
ポリエステル系樹脂は、エステル結合を有するポリマーであり、多価カルボン酸又はその誘導体と多価アルコールとの重縮合体からなるものが一般的である。多価カルボン酸又はその誘導体としては2価のジカルボン酸又はその誘導体を用いることができ、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸ジメチルなどが挙げられる。多価アルコールとしては2価のジオールを用いることができ、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
ポリエステル系樹脂の代表例として、テレフタル酸とエチレングリコールとの重縮合体であるポリエチレンテレフタレートが挙げられる。ポリエチレンテレフタレートは結晶性の樹脂であるが、結晶化処理する前の状態のものの方が延伸などの処理を施しやすく延伸性により優れる。必要であれば、延伸時、又は延伸後の熱処理などによって結晶化させることができる。また、ポリエチレンテレタレートの骨格にさらに他のモノマーを共重合することで結晶性を下げた(又は非晶性とした)共重合ポリエチレンテレタレートも、延伸性に優れており好適に用いられる。共重合ポリエチレンテレタレートの例として、例えばシクロヘキサンジメタノールやイソフタル酸などを共重合したものなどが挙げられる。
ポリエチレンテレフタレート及び共重合ポリエチレンテレタレート以外のポリエステル系樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリシクロへキサンジメチルテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルナフタレートなどが挙げられる。
基材フィルムは、1種のポリエステル系樹脂から構成されていてもよいし、2種以上のポリエステル系樹脂の混合物から構成されていてもよいし、2種以上のポリエステル系樹脂の共重合物から構成されていてもよい。
(メタ)アクリル系樹脂としては、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用し得る。(メタ)アクリル系樹脂の具体例は、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)を含む。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1-6アルキルが用いられ、より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が用いられる。
基材フィルムは、1種の(メタ)アクリル系樹脂から構成されていてもよいし、2種以上の(メタ)アクリル系樹脂の混合物から構成されていてもよいし、2種以上の(メタ)アクリル系樹脂の共重合物から構成されていてもよい。
セルロースエステル系樹脂は、セルロースと脂肪酸とのエステルである。セルロースエステル系樹脂の具体例は、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートなどを含む。これらのなかでも、セルローストリアセテート(トリアセチルセルロース)が特に好ましい。セルローストリアセテートは多くの製品が市販されており、入手容易性やコストの点でも有利である。セルローストリアセテートの市販品の例としては、いずれも商品名で、「フジタックTD80」(富士フイルム(株)製)、「フジタックTD80UF」(富士フイルム(株)製)、「フジタックTD80UZ」(富士フイルム(株)製)、「フジタックTD40UZ」(富士フイルム(株)製)、「KC8UX2M」(コニカミノルタオプト(株)製)、「KC4UY」(コニカミノルタオプト(株)製)などが挙げられる。
基材フィルムは、1種のセルロースエステル系樹脂から構成されていてもよいし、2種以上のセルロースエステル系樹脂の混合物から構成されていてもよいし、2種以上のセルロースエステル系樹脂の共重合物から構成されていてもよい。
ポリカーボネート系樹脂は、カルボナート基を介してモノマー単位が結合されたポリマーからなるエンジニアリングプラスチックであり、高い耐衝撃性、耐熱性、難燃性、透明性を有する樹脂である。基材フィルムを構成するポリカーボネート系樹脂は、光弾性係数を下げるためにポリマー骨格を修飾したような変性ポリカーボネートと呼ばれる樹脂や、波長依存性を改良した共重合ポリカーボネートなどであってもよい。
ポリカーボネート系樹脂は種々の製品が市販されている。ポリカーボネート系樹脂の市販品の例としては、いずれも商品名で、「パンライト」(帝人化成(株)製)、「ユーピロン」(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)、「SDポリカ」(住友ダウ(株)製)、「カリバー」(ダウケミカル(株)製)などが挙げられる。
基材フィルムは、1種のポリカーボネート系樹脂から構成されていてもよいし、2種以上のポリカーボネート系樹脂の混合物から構成されていてもよいし、2種以上のポリカーボネート系樹脂の共重合物から構成されていてもよい。
基材フィルムには、上記の熱可塑性樹脂の他に、任意の適切な添加剤が添加されていてもよい。このような添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、及び着色剤などが挙げられる。基材フィルム中の熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。基材フィルム中の熱可塑性樹脂の含有量が50重量%未満の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現されないおそれがある。
基材フィルムの厚みは適宜に決定し得るが、一般には強度や取扱性等の作業性の点から1〜500μmが好ましく、1〜300μmがより好ましく、さらには5〜200μmが好ましく、5〜150μmが最も好ましい。
基材フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂層との密着性を向上させるために、少なくともポリビニルアルコール系樹脂層が形成される側の表面に、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理等を行ってもよい。
なお他の実施形態においてポリビニルアルコール系樹脂層は、基材フィルム上にポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムを貼着することにより形成することもできるが、この場合、フィルム間の貼着には接着剤を用いることができる。このようにポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムを使用する場合においても、ポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムとしては、偏光子層の幅が基材フィルムの幅と同じか又はこれより狭くなるよう、基材フィルムの幅と同じであるか又はこれより幅の狭いポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムを用いることが好ましい。
〔2〕延伸工程S20
本工程は、ポリビニルアルコール系樹脂層を有する基材フィルムを一軸延伸して延伸フィルムを得る工程である。本工程もまた、樹脂層形成工程S10を経て得られた長尺のフィルムを搬送しながら連続的に延伸処理することにより、又は樹脂層形成工程S10を経て得られた長尺のフィルムを一旦ロール状に巻き取り、該ロール体からフィルムを連続的に巻き出しながら連続的に延伸処理することにより連続的に実施することができる。
フィルムの延伸倍率は、所望する偏光特性に応じて適宜選択することができるが、好ましくは、フィルムの元長に対して5倍超17倍以下であり、より好ましくは5倍超8倍以下である。延伸倍率が5倍以下であると、ポリビニルアルコール系樹脂層が十分に配向しないため、偏光子層の偏光度が十分に高くならないことがある。一方、延伸倍率が17倍を超えると、延伸時にフィルムの破断が生じ易くなるとともに、延伸フィルムの厚みが必要以上に薄くなり、後工程での加工性及び取扱性が低下するおそれがある。
延伸処理は、一段での延伸に限定されることはなく多段で行うこともできる。この場合、多段階の延伸処理のすべてを染色工程S30の前に連続的に行ってもよいし、二段階目以降の延伸処理を染色工程S30における染色処理及び/又は架橋処理と同時に行ってもよい。このように多段で延伸処理を行う場合は、延伸処理の全段を合わせて5倍超の延伸倍率となるように延伸処理を行うことが好ましい。
延伸処理は、フィルム長手方向(フィルム搬送方向)に延伸する縦延伸であることができるほか、フィルム幅方向に延伸する横延伸又は斜め延伸などであってもよい。縦延伸方式としては、ロール間延伸、圧縮延伸などが挙げられ、横延伸方式としては、テンター法などが挙げられる。
延伸処理は、湿潤式延伸方法、乾式延伸方法のいずれも採用できるが、乾式延伸方法を用いる方が、延伸温度を広い範囲から選択することができる点で好ましい。
延伸温度は、ポリビニルアルコール系樹脂層及び基材フィルム全体が延伸可能な程度に流動性を示す温度以上に設定され、好ましくは、基材フィルムの相転移温度の−30℃から+30℃の範囲であり、より好ましくは、基材フィルムの相転移温度の−25℃から+5℃の範囲である。基材フィルムの相転移温度とは、基材フィルムを構成する樹脂が非晶性樹脂である場合にはガラス転移温度Tg、結晶性樹脂である場合には融点(結晶融点)Tmを意味し、ともにJIS K 7121に準拠して測定される。基材フィルムが複数の樹脂層からなる場合、上記相転移温度は該複数の樹脂層が示す相転移温度のうち、最も高い相転移温度を意味する。
延伸温度を相転移温度の−30℃より低くすると、5倍超の高倍率延伸が達成されにくい。延伸温度が相転移温度の+30℃を超えると、基材フィルムの流動性が大きすぎて延伸が困難になる傾向にある。5倍超の高延伸倍率をより達成しやすいことから、延伸温度は上記範囲内であって、さらに好ましくは120℃以上である。延伸処理の温度調整は通常、加熱炉の温度調整による。
〔3〕染色工程S30
本工程は、延伸フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色してこれを吸着配向させ、偏光子層とする工程である。本工程を経て基材フィルムの片面又は両面に偏光子層が積層された偏光性フィルムが得られる。本工程もまた、延伸工程S20を経て得られた長尺の延伸フィルムを搬送しながら連続的に染色処理することにより、又は延伸工程S20を経て得られた延伸フィルムを一旦ロール状に巻き取り、該ロール体からフィルムを連続的に巻き出しながら連続的に染色処理することにより連続的に実施することができる。
二色性色素としては、例えばヨウ素や有機染料などが挙げられる。有機染料の具体例は、例えば、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンイエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、イエロー3G、イエローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラックなどを含む。二色性色素は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
染色工程は、二色性色素を含有する溶液(染色溶液)に延伸フィルム全体を浸漬することにより行うことができる。染色溶液としては、上記二色性色素を溶剤に溶解した溶液を使用できる。染色溶液の溶剤としては、一般的には水が使用されるが、水と相溶性のある有機溶剤がさらに添加されてもよい。二色性色素の濃度は、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.02〜7重量%であることがより好ましく、0.025〜5重量%であることが特に好ましい。
二色性色素としてヨウ素を使用する場合、染色効率をより一層向上できることから、ヨウ素を含有する染色溶液にヨウ化物をさらに添加することが好ましい。ヨウ化物としては、例えばヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタンなどが挙げられる。染色溶液におけるヨウ化物の濃度は、0.01〜10重量%であることが好ましい。ヨウ化物のなかでも、ヨウ化カリウムを添加することが好ましい。ヨウ化カリウムを添加する場合、ヨウ素とヨウ化カリウムとの割合は重量比で、1:5〜1:100の範囲にあることが好ましく、1:6〜1:80の範囲にあることがより好ましく、1:7〜1:70の範囲にあることが特に好ましい。
染色溶液への延伸フィルムの浸漬時間は、通常15秒〜15分間の範囲であり、30秒〜3分間であることが好ましい。また、染色溶液の温度は、10〜60℃の範囲にあることが好ましく、20〜40℃の範囲にあることがより好ましい。
なお、染色工程S30を延伸工程S20の前又は同時に行うことも可能であるが、ポリビニルアルコール系樹脂層に吸着させた二色性色素を良好に配向させることができるよう、延伸工程S20における延伸処理の少なくとも一部を実施した後に染色工程S30を実施することが好ましい。この場合における実施態様としては、1)目標の倍率で延伸処理を行った後、延伸処理を伴うことなく染色工程S30を実施する態様、2)目標より低い倍率で延伸処理を行った後、染色工程S30における染色処理(染色工程S30が架橋処理工程を含む場合、染色処理及び/又は架橋処理)中に、トータルの倍率が目標の倍率となるように延伸処理を行う、3)目標より低い倍率で延伸処理を行った後、染色工程S30における染色処理(染色工程S30が架橋処理工程を含む場合、染色処理及び/又は架橋処理)中に、トータルの倍率が目標の倍率に達しない程度まで延伸処理を行い、次いで、トータルの倍率が目標の倍率となるように延伸処理を行う態様などを挙げることができる。
染色工程S30は、染色処理に引き続いて実施される架橋処理工程を含むことができる。架橋処理は、架橋剤を含む溶液(架橋溶液)中に染色されたフィルムを浸漬することにより行うことができる。架橋剤としては、従来公知の物質を使用することができ、例えば、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物や、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどが挙げられる。架橋剤は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋溶液は、具体的には架橋剤を溶剤に溶解した溶液であることができる。溶剤としては、例えば水が使用できるが、水と相溶性のある有機溶剤をさらに含んでもよい。架橋溶液における架橋剤の濃度は、1〜20重量%の範囲であることが好ましく、6〜15重量%の範囲であることがより好ましい。
架橋溶液はヨウ化物を含むことができる。ヨウ化物の添加により、偏光子層の面内における偏光特性をより均一化させることができる。ヨウ化物としては、例えばヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタンなどが挙げられる。架橋溶液におけるヨウ化物の濃度は、0.05〜15重量%であることが好ましく、0.5〜8重量%であることがより好ましい。
架橋溶液への染色されたフィルムの浸漬時間は、通常15秒〜20分間であり、30秒〜15分間であることが好ましい。また、架橋溶液の温度は、10〜90℃の範囲にあることが好ましい。
なお架橋処理は、架橋剤を染色溶液中に配合することにより、染色処理と同時に行うこともできる。また、架橋処理と延伸処理の一部とを同時に行ってもよい。架橋処理中に延伸処理を実施する具体的態様は上述のとおりである。
染色工程S30の後、貼合工程S40の前に洗浄工程及び乾燥工程を行うことが好ましい。洗浄工程は通常、水洗浄工程を含む。水洗浄処理は、イオン交換水、蒸留水などの純水に染色処理後の又は架橋処理後のフィルムを浸漬することにより行うことができる。水洗浄温度は、通常3〜50℃、好ましくは4〜20℃の範囲である。水への浸漬時間は通常2〜300秒間、好ましくは3〜240秒間である。
洗浄工程は、水洗浄工程とヨウ化物溶液による洗浄工程との組み合わせであってもよい。また、水洗浄工程及び/又はヨウ化物溶液による洗浄処理で使用する洗浄液は、水のほか、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、プロパノール等の液体アルコールを適宜含有させることができる。
洗浄工程の後に行われる乾燥工程としては、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥などの任意の適切な方法を採用し得る。例えば加熱乾燥の場合、乾燥温度は、通常20〜95℃であり、乾燥時間は、通常1〜15分間程度である。
〔4〕貼合工程S40
本工程は、偏光性フィルムの偏光子層を有する一方の面上に、接着剤層を介して保護フィルムを貼合し、偏光性フィルムの他方の面上に樹脂フィルムを配置して偏光性積層フィルムを得る工程である。偏光性フィルムが片面にのみ偏光子層を有する場合、保護フィルムは、この偏光子層上に接着剤層を介して貼合される。偏光性フィルムが両面に偏光子層を有する場合、保護フィルムは、いずれの偏光子層上に貼合されてもよい。
本工程もまた、染色工程S30を経て得られた偏光性フィルムを搬送しながら、長尺の保護フィルム及び樹脂フィルムを巻き回してなる各ロール体からそれぞれ保護フィルム及び樹脂フィルムを連続的に巻き出すとともに、偏光性フィルムと保護フィルムとの間に接着剤を連続的に供給しながら保護フィルム及び樹脂フィルムを連続的に貼合あるいは配置することにより、又は染色工程S30を経て得られた偏光性フィルムを一旦ロール状に巻き取り、該ロール体から偏光性フィルムを連続的に巻き出しながら、長尺の保護フィルム及び樹脂フィルムを巻き回してなる各ロール体からそれぞれ保護フィルム及び樹脂フィルムを連続的に巻き出すとともに、偏光性フィルムと保護フィルムとの間に接着剤を連続的に供給しながら保護フィルム及び樹脂フィルムを連続的に貼合あるいは配置することにより連続的に実施することができる。
図2は、貼合工程S40の一例を模式的に示す斜視図である。図3は、貼合工程S40において偏光性フィルムに保護フィルム及び樹脂フィルムが積層された状態の一例を示す概略上面図であり、偏光性フィルムと保護フィルムとの間に介在する接着剤層の形成領域を模式的に示したものである。また図4は、図3に示されるIV−IV線における概略断面図である。
図2〜図4を参照して貼合工程S40を詳細に説明すると、基材フィルム100の片面又は両面に偏光子層110が積層されてなる偏光性フィルムの一方の面上(偏光子層110上)に貼合される保護フィルム200、他方の面上(基材フィルム100上又は偏光子層110上)に配置される樹脂フィルム300としては、いずれも偏光性フィルム(換言すれば基材フィルム100)よりも幅広のものが用いられる。すなわち、保護フィルム200の幅W2>偏光性フィルム(基材フィルム100)の幅W1を満たし、かつ樹脂フィルム300の幅W3>偏光性フィルム(基材フィルム100)の幅W1を満たす。なお、図2〜図4は、偏光性フィルムとして、基材フィルム100の片面にのみ偏光子層110を有し、その偏光子層110が基材フィルム100の幅方向両端部分に塗工液を塗工しない未塗工領域120,130(偏光子層110が形成されていない領域)を有する例を示している。
貼合工程S40において保護フィルム200及び樹脂フィルム300は、それらの幅方向両端がそれぞれ偏光性フィルム(基材フィルム100)の幅方向両端よりも外側に位置するように、保護フィルム200については接着剤層250を介して偏光性フィルムに積層される。保護フィルム200及び樹脂フィルム300は、それらの幅方向中心が偏光性フィルムの幅方向中心と一致又は略一致するように積層することができる。なお、貼合温度は通常15〜40℃の範囲である。
この際、接着剤層250は、その幅方向両端がそれぞれ偏光性フィルムの幅方向両端よりも外側に位置し、かつ保護フィルム200及び樹脂フィルム300の幅方向両端よりも内側に位置するように、その幅が調整されて形成される。
したがって、偏光性フィルムに保護フィルム200及び樹脂フィルム300が積層された状態の積層フィルムにおいて幅方向両端部分は、保護フィルム200と樹脂フィルム300との間に偏光性フィルムが存在しない部分となっており、この部分の一部にまで接着剤層が形成される程度に接着剤層250の幅が偏光性フィルム(基材フィルム100)の幅よりも広くなっている。
以上のような貼合方法によれば、接着剤層の不存在領域が生じることなく、偏光性フィルムにおける保護フィルム200との貼合面全面にわたって均一に接着剤層が形成されるので、偏光性フィルムと保護フィルム200との接着性に優れる偏光性積層フィルム、ひいては偏光子層110と保護フィルム200との接着性に優れる偏光板を安定して製造することができる。
また、偏光性フィルムよりも幅広の保護フィルムを用いるとともに、偏光性フィルムの他面には、同じくこれより幅広の樹脂フィルムを配置しているので、保護フィルム貼合時における上記積層フィルムの幅方向端部からの接着剤のはみ出し及びこれに伴う貼合ロールなどの圧着装置の汚染を防止することができる。長尺の偏光性フィルム、保護フィルム200及び樹脂フィルム300を用いて連続貼合を行う場合においても、接着剤のはみ出しによる圧着装置の汚染及びこれに伴う積層フィルム表面の汚染を防止しながら偏光性積層フィルム、ひいては偏光板を安定して連続製造することができる。
偏光性フィルムと保護フィルム200及び樹脂フィルム300とは、例えば、偏光性フィルムと保護フィルム200との間に接着剤を供給するか又は貼合される少なくとも一方のフィルム上に塗工し、次いで偏光性フィルムの一方の面に上記接着剤からなる接着剤層250を介して保護フィルム200を積層するとともに、他方の面に樹脂フィルム300を配置することにより積層フィルムとし、該積層フィルムを一対の貼合ロール間に通すなど、圧着装置を用いて圧着する方法によって貼合することができる。
保護フィルム200は、基材フィルム100側の表面が接着剤層250に対して接着性を示すフィルムであるので、上記のような貼合工程を経て保護フィルム200と偏光性フィルムとは良好に接着される。上記のような貼合工程を経て得られる積層フィルムにおいて樹脂フィルム300は、積層フィルムの幅方向両端部分において接着剤層250と接触し得るが(図4参照)、樹脂フィルム300は、基材フィルム100側の表面が接着剤層250に対して非接着性を示すフィルムであるので、後の第1剥離工程S60において容易に剥離することができる。
接着剤をフィルム間に供給するか又は貼合される少なくとも一方のフィルム上に塗工する方法としては、接着剤フィード用のノズルの先をフィルム間に配置し、ポンプなどを用いて該ノズルから接着剤を供給する方法;流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、カンマコーター法、ドクタープレート法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法などにより少なくとも一方のフィルムの接着面に接着剤を塗工する方法などを挙げることができる。上記いずれの方法によっても接着剤の連続供給及び連続塗工が可能である。
接着剤層250の幅を上記所定の幅に調整するには、接着剤の供給量又は塗工量、圧着装置による印加圧力(貼合ロールを用いる場合には、貼合ロール間の距離)、フィルムの搬送速度などを調整すればよい。また、長尺の偏光性フィルム、保護フィルム200及び樹脂フィルム300を用いて連続貼合を行う場合には、フィルム間に接着剤を連続供給する一方で、接着剤層を介して積層されたフィルムの幅方向端部から溢れ出る過剰分の接着剤を、サクション装置を用いて連続吸引しながら貼合工程を実施することができるが、この場合、接着剤の吸引量を調整することによっても接着剤層250の幅を調整することができる。
(保護フィルム、樹脂フィルム、接着剤)
保護フィルム200、樹脂フィルム300としては、上述のようにそれらの幅W2、W3が偏光性フィルム(基材フィルム100)の幅W1よりも広いものが用いられる(W2、W3>W1)。幅W2とW3は同じであってもよいし、異なっていてもよいが、通常は同じ幅である。
幅W2、W3と幅W1との差は、上述した積層フィルムの幅方向両端部分において保護フィルム200と樹脂フィルム300との間に偏光性フィルムが存在しない部分を十分に広くし、接着剤のはみ出しを有効に防止するために、40mm以上とすることが好ましく、80mm以上とすることがより好ましい。上記偏光性フィルムが存在しない部分の幅方向長さは、積層フィルムの幅方向両端部分それぞれについて20mm以上とすることが好ましく、40mm以上とすることがより好ましい。
一方、幅W2、W3をあまり広くすると、後述する除去工程S50において切断除去される部分が大きくなり生産性の面(原材料の有効利用)で不利にあるため、幅W2、W3と幅W1との差は、100cm以下とすることが好ましく、60cm以下とすることがより好ましく、40cm以下とすることがさらに好ましい。
保護フィルム200,樹脂フィルム300はそれぞれ、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂など)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂など)等のポリオレフィン系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテート等のセルロースエステル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;又はこれらの混合物、共重合物などからなるフィルムであることができる。環状ポリオレフィン系樹脂及びそのフィルム、並びにセルローストリアセテートの使用可能な市販品の例は上述のとおりである。
保護フィルム200と樹脂フィルム300とは同種の材料から構成されていてもよく、異種の材料から構成されていてもよい。
保護フィルム200は、位相差フィルム、輝度向上フィルムなど、光学機能を併せ持つ保護フィルムであることもできる。例えば、上記材料からなる透明樹脂フィルムを延伸(一軸延伸又は二軸延伸など)したり、該フィルム上に液晶層などを形成したりすることにより、任意の位相差値が付与された位相差フィルムとすることができる。
保護フィルム200の偏光子層とは反対側の表面には、ハードコート層、防眩層、反射防止層などの光学層を形成することもできる。保護フィルム表面にこれらの光学層を形成する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。光学層は、貼合工程S40の実施に先立って保護フィルム上に予め形成しておいてもよいし、貼合工程S40実施後、後述する除去工程S50実施後、第1剥離工程S60実施後又は第2剥離工程S70実施後に形成してもよい。
保護フィルム200の厚みは、偏光性積層フィルム及び偏光板の薄型化の観点から、90μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。一方、強度確保の観点から、保護フィルム200の厚みは5μm以上であることが好ましい。樹脂フィルム300の厚みも保護フィルム200と同様、例えば5μm以上90μm以下(好ましくは50μm以下)であることができる。
上述のように保護フィルム200は、基材フィルム100側の表面が接着剤層250に対して接着性を示すフィルムであり、樹脂フィルム300は、基材フィルム100側の表面が接着剤層250に対して非接着性を示すフィルムである。
保護フィルム200及び樹脂フィルム300と、接着剤層250との接着性又は非接着性については、保護フィルム200及び樹脂フィルム300を構成する樹脂の種類、接着剤層250を形成する接着剤の種類、並びに、表面処理の有無及びその種類に応じて選択される。
例えば、接着剤層250を形成する接着剤として水系接着剤を用いる場合、保護フィルム200の表面には、接着剤層250に対する接着性を付与するために、プライマー処理、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理(易接着処理)を行うことができ、中でも、コロナ処理、ケン化処理を行うことが好ましい。
また、水系接着剤を用いる場合において、保護フィルム200がセルロースエステル系樹脂からなる場合には、ケン化処理が好適である。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリ水溶液に浸漬する方法が挙げられる。また、水系接着剤を用いる場合において、保護フィルム200が鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂など)、環状ポリオレフィン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂又は(メタ)アクリル系樹脂などからなる場合には、コロナ処理が好適である。
水系接着剤を用いる場合、樹脂フィルム300としては、上で例示した樹脂から構成されるフィルムを、表面処理を施さずにそのまま用いることができる。
接着剤層250を形成する接着剤として光硬化性接着剤を用いる場合、セルロースエステル系樹脂フィルムは、光硬化性接着剤層に対して接着性を示すため、表面処理を施さずにそのまま保護フィルム200として用いることができる。一方、セルロースエステル系樹脂フィルムにケン化処理を施すと、光硬化性接着剤層に対して非接着性を示すため、ケン化処理を施したセルロースエステル系樹脂フィルムを樹脂フィルム300として用いることができる。
接着剤層250を形成する接着剤として光硬化性接着剤を用いる場合、ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、及び、(メタ)アクリル系樹脂フィルムは、コロナ処理を施すことにより光硬化性接着剤層に対する接着性を付与することができるため、これらを保護フィルム200として用いることができる。一方、これらのフィルム自体は、光硬化性接着剤層に対して非接着性を示すため、表面処理を施さずにそのまま樹脂フィルム300として用いることができる。
ここでいう接着剤層に対する接着性とは、偏光性フィルムに接着されたフィルムを剥がせないか、又は、剥がした後のフィルム表面に凝集破壊が生じることを意味し、接着剤層に対する非接着性とは、偏光性フィルムに接着されたフィルムを剥がすことができ、かつ、剥がした後のフィルム表面に凝集破壊が生じていないことを意味するものである。凝集破壊の有無は、フィルム表面を飛行時間二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)などの元素分析法により分析することができる。
水系接着剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤などが挙げられる。とりわけ保護フィルム200としてケン化処理などで表面処理(親水化処理)されたセルロースエステル系樹脂フィルムを用いる場合には、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる水系接着剤を用いることが好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるポリビニルアルコール系共重合体又はその水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体などを用いることができる。
水系接着剤は、多価アルデヒド、水溶性エポキシ化合物、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物などの添加剤を含むことができる。水系接着剤を用いた場合、それから得られる接着剤層の厚みは、通常1μm以下である。
水系接着剤を用いる場合、上述の貼合(接着剤層250を介した保護フィルム200の貼合及び樹脂フィルム300の積層並びに圧着装置による圧力印加)を実施した後、水系接着剤中に含まれる水を除去するためにフィルムを乾燥させる乾燥工程を実施することが好ましい。乾燥はフィルムを乾燥炉に導入することによって行うことができる。
乾燥温度(乾燥炉の温度)は、好ましくは30〜90℃である。30℃未満であると、偏光性フィルムと保護フィルム200とが剥離しやすくなる傾向がある。また乾燥温度が90℃を超えると、熱によって偏光性能が劣化するおそれがある。乾燥時間は10〜1000秒とすることができ、生産性の観点からは、好ましくは60〜750秒、より好ましくは150〜600秒である。
乾燥工程後、室温又はそれよりやや高い温度、例えば20〜45℃程度の温度で12〜600時間程度養生する養生工程を設けてもよい。養生温度は、乾燥温度よりも低く設定されるのが一般的である。
上記乾燥工程及び養生工程は、後述する除去工程S50を実施する場合において、除去工程S50の前に行ってもよいし、除去工程S50の後に行ってもよい。ただし、貼合工程S40を経て得られる偏光性積層フィルムを用いて偏光板を作製する場合(すなわち第1及び第2剥離工程S60,S70を実施する場合)には、乾燥工程及び養生工程は第2剥離工程S70の前に行う。
上記光硬化性接着剤とは、紫外線等の活性エネルギー線を照射することで硬化する接着剤をいい、例えば、重合性化合物及び光重合開始剤を含むもの、光反応性樹脂を含むもの、バインダー樹脂及び光反応性架橋剤を含むものなどを挙げることができる。重合性化合物としては、光硬化性エポキシ系モノマー、光硬化性アクリル系モノマー、光硬化性ウレタン系モノマーなどの光重合性モノマーや、光重合性モノマーに由来するオリゴマーなどを挙げることができる。光重合開始剤としては、紫外線等の活性エネルギー線の照射により中性ラジカル、アニオンラジカル、カチオンラジカルといった活性種を発生する物質を含むものを挙げることができる。重合性化合物及び光重合開始剤を含む光硬化性接着剤として、光硬化性エポキシ系モノマー及び光カチオン重合開始剤を含むものを好ましく用いることができる。
上記したように、樹脂層形成工程S10において未塗工領域を設けた場合には、延伸工程S20などにおいてその未塗工領域に波打ちが生じることがある。このような波打ちが生じた状態で光硬化性接着剤を用いて貼合工程S40を実施すると、一部の光硬化性接着剤が波打ち部分に溜まり、活性エネルギー線照射時の熱により黄変劣化するおそれがある。したがってこの黄変劣化を回避する観点からも、未塗工領域を除去することが好ましい。
光硬化性接着剤を用いる場合、上述の貼合(接着剤層250を介した保護フィルム200の貼合及び樹脂フィルム300の積層並びに圧着装置による圧力印加)を実施した後、必要に応じて乾燥工程を行い(光硬化性接着剤が溶剤を含む場合など)、次いで活性エネルギー線を照射することによって光硬化性接着剤を硬化させる硬化工程を行う。活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する活性エネルギー線が好ましく、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが好ましく用いられる。
光硬化性接着剤への光照射強度は、光硬化性接着剤の組成によって適宜決定され、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜6000mW/cm2となるように設定されることが好ましい。照射強度が0.1mW/cm2以上である場合、反応時間が長くなりすぎず、6000mW/cm2以下である場合、光源から輻射される熱および光硬化性接着剤の硬化時の発熱による光硬化性接着剤の黄変や偏光子層の劣化を生じるおそれが少ない。
光硬化性接着剤への光照射時間についても、光硬化性接着剤の組成によって適宜決定され、上記照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜10000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。積算光量が10mJ/cm2以上である場合、重合開始剤由来の活性種を十分量発生させて硬化反応をより確実に進行させることができ、10000mJ/cm2以下である場合、照射時間が長くなりすぎず、良好な生産性を維持できる。
なお、活性エネルギー線照射後の接着剤層の厚みは、通常0.001〜5μm程度であり、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.01〜1μmである。
上記乾燥工程及び硬化工程は、後述する除去工程S50を実施する場合において、除去工程S50の前に行ってもよいし、除去工程S50の後に行ってもよい。ただし、貼合工程S40を経て得られる偏光性積層フィルムを用いて偏光板を作製する場合(すなわち第1及び第2剥離工程S60,S70を実施する場合)には、乾燥工程及び硬化工程は第2剥離工程S70の前に行う。
〔5〕除去工程S50
本工程は、貼合工程S40(又は乾燥工程や養生工程あるいは硬化工程)を経て得られた偏光性積層フィルムの幅方向両端部分を切断により除去する工程である。本工程もまた、貼合工程S40を経て得られた長尺の偏光性積層フィルムを搬送しながら連続的に除去処理を行うことにより、又は貼合工程S40を経て得られた長尺の偏光性積層フィルムを一旦ロール状に巻き取り、該ロール体から偏光性積層フィルムを連続的に巻き出しながら連続的に除去処理を行うことにより連続的に実施することができる。本工程は、後述する第1剥離工程S60の後に実施してもよい。
本工程は任意の工程であり、省略することも可能である。ただし、後述する第2剥離工程S70を実施する場合には、基材フィルムの剥離除去がより容易になるため実施することが好ましい。
フィルムの切断位置は、その一例を図3に示すように、偏光子層110の幅方向両端の位置又はこれより内側の位置であり、これはすなわち、保護フィルム200と基材フィルム100とが接着剤によって接着されている部分を少なくとも除去できる位置である。このような切断位置でフィルム幅方向両端部分を除去することにより、第2剥離工程S70において基材フィルム100を偏光子層110から容易に剥離することが可能になる。
フィルム幅方向両端部分の除去は、型抜き法又はスリッターを用いたスリット法により行うことができる。なかでも、長尺の偏光性積層フィルムに対して連続的に除去処理を施すことができるスリット法が好ましい。
スリット法としては、例えばレザー刃と呼ばれる剃刀刃をスリッターとして用いる方法が挙げられる。剃刀刃を用いたスリット法は、特にバックアップガイドを設けずに空中でスリットする中空切り;バックアップガイドとして、溝を切ったロールに刃を入れ込んでスリットの蛇行を安定させる溝ロール法などを含む。
スリット法の他の例を挙げれば、シヤー刃と呼ばれる円形の刃を2枚用いて、フィルムの搬送にあわせて回転させながら上刃で下刃に接圧をかけてスリットする方法;スコアー刃と呼ばれる刃を焼き入れロール等に押し付けてスリットする方法;シヤー刃を2枚組み合わせてハサミのようにカットしながらスリットする方法などがある。
なかでも、フィルムの切断(スリット)位置を簡単に変更でき、かつ、走行が安定しやすい方法である「レザー刃を用いた溝ロール法」などが好適に用いられる。
除去工程S50に使用する装置はさほど大掛かりな装置ではないため、上記S10〜S40のいずれかの工程のインラインに組み込むことができる。例えば、貼合工程S40を経て得られた偏光性積層フィルムを巻き取る巻き取り部にスリッターを配置すれば、偏光性積層フィルムを巻き取りながらスリットを行うことができる。
また、上記S10〜S40のいずれかの工程のインラインに組み込むことなく、これらの工程とは独立して除去工程S50に使用する装置を設けることも勿論可能である。このような例としては、ロールの巻き替えなどを行うリワインダーなどと呼ばれる装置にスリッターを設置することなどが挙げられる。
フィルム幅方向両端部分の除去された偏光性積層フィルム又は後述する第1剥離工程S60を経て得られる偏光性積層フィルムはそのまま偏光要素として使用することができるとともに、偏光子層と保護フィルムとからなる偏光板を作製するための中間物としても有用である。
<偏光板の製造方法>
本発明の偏光板の製造方法は、上述の偏光性フィルムを用意する工程、貼合工程S40、除去工程S50、第1剥離工程S60及び第2剥離工程S70を含む(図1参照)。第1剥離工程S60及び第2剥離工程S70以外については上述したとおりであるので説明は割愛する。本発明の方法によれば、偏光性積層フィルムの場合と同様、接着剤のはみ出し、これに伴う貼合ロールなどの圧着装置の汚染及びフィルム表面の汚染を防止しながら、偏光子層と保護フィルムとの接着性に優れる偏光板を安定して製造することができる。
〔6〕第1剥離工程S60
本工程は、除去工程S50を経て得られる幅方向両端部分が除去された偏光性積層フィルムから樹脂フィルム300を剥離除去する工程である。ただし上述のように、除去工程S50は第1剥離工程S60の後に実施してもよく、この場合、貼合工程S40を経て得られる偏光性積層フィルムから樹脂フィルム300を剥離除去する。樹脂フィルム300は接着剤層250に対して非接着性であるため、除去工程S50を実施する前であっても容易に剥離することができる。
本工程もまた、貼合工程S40あるいはさらに除去工程S50を経て得られた長尺の偏光性積層フィルムを搬送しながら連続的に剥離処理を行うことにより、又は貼合工程S40あるいは除去工程S50を経て得られた長尺の偏光性積層フィルムを一旦ロール状に巻き取り、該ロール体から偏光性積層フィルムを連続的に巻き出しながら連続的に剥離処理を行うことにより連続的に実施することができる。
樹脂フィルム300を剥離除去する方法は特に限定されるものでなく、例えば、後述する第2剥離工程S70と同様の方法で剥離できる。
〔7〕第2剥離工程S70
本工程は、樹脂フィルム300が剥離除去された偏光性積層フィルムから基材フィルム100(偏光性フィルムが樹脂フィルム300側にも偏光子層を有する場合にはこの偏光子層とともに)を剥離除去して、偏光子層110に保護フィルム200が貼合された偏光板を得る工程である。
本工程もまた、樹脂フィルム300が剥離除去された長尺の偏光性積層フィルムを搬送しながら連続的に剥離処理を行うことにより、又は樹脂フィルム300が剥離除去された長尺の偏光性積層フィルムを一旦ロール状に巻き取り、該ロール体から偏光性積層フィルムを連続的に巻き出しながら連続的に剥離処理を行うことにより連続的に実施することができる。
基材フィルム100を剥離除去する方法は特に限定されるものでなく、通常の粘着剤付偏光板で行われるセパレータ(剥離フィルム)の剥離工程と同様の方法で剥離できる。
図5は、第2剥離工程S70における基材フィルムの剥離方法の一例を示す図であり、基材フィルムの剥離方向と偏光子層の配向方向の関係を模式的に示す上面図である。図5において、樹脂フィルムが除去された偏光性積層フィルム500から基材フィルム600が剥離され、保護フィルムと偏光子層とからなる偏光板700が形成される。
偏光子層の配向方向を矢印Aで示し、基材フィルム600の剥離方向を矢印Bで示し、基材フィルム600の剥離方向(矢印B)と偏光子層の配向方向(矢印A)とのなす角度をθで示す。このとき、基材フィルム600の剥離方向(矢印B)と偏光子層の配向方向(矢印A)とのなす角度θが20度以下、好ましくは10度以下、さらに好ましくは5度以下(例えば0度)となるように剥離することが好ましい。角度θが20度以下となるように剥離することにより、偏光子層に凝集破壊を生じさせることなく、基材フィルム600をきれいに、かつスムーズに剥離することができる。偏光子層の配向方向とは、偏光子層を構成するポリビニルアルコール系樹脂の主鎖が延伸により並んでいる方向であり、偏光子層の面内において屈折率が最も高い方向である。
また図6に示されるように、基材フィルム600と偏光板700との剥離点Cにおいて、基材フィルム剥離前の偏光性積層フィルム500と偏光板700とのなす角度φpが、基材フィルム剥離前の偏光性積層フィルム500と基材フィルム600とのなす角度φkより小さくなるように基材フィルム600を剥離することが好ましい。φpは好ましくは45度以下であり、より好ましくは0度である。φp<φk、さらにはφp≦45度となるように基材フィルム600を剥離することにより、偏光子層に生じる凝集破壊を抑制するとともに、基材フィルム600をスムーズに剥離することができる。
図6においては、剥離点Cで偏光性積層フィルム500に対して基材フィルム600と偏光板700とが反対方向に角度をなすように剥離される様子を示すが、剥離点Cで偏光性積層フィルム500に対して基材フィルム600と偏光板700とが同一方向に角度をなすように剥離されてもよく、この場合であっても、角度φpおよびφkに関する上述の条件は有効である。
以上のようして製造される偏光板は、実用に際して他の光学層を積層した光学フィルムとして用いることができる。また、保護フィルム200がこのような光学層の機能を有していてもよい。他の光学層としては、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルム;表面に凹凸形状を有する防眩機能付きフィルム;表面反射防止機能付きフィルム;表面に反射機能を有する反射フィルム;反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルム;視野角補償フィルムなどが挙げられる。
ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルムに相当する市販品としては、たとえば、「DBEF」(3M社製、住友スリーエム(株)から入手可能)、「APF」(3M社製、住友スリーエム(株)から入手可能)が挙げられる。
視野角補償フィルムとしては、基材表面に液晶性化合物が塗布され、配向されている光学補償フィルム、ポリカーボネート系樹脂からなる位相差フィルム、環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルムが挙げられる。
基材表面に液晶性化合物が塗布され、配向されている光学補償フィルムに相当する市販品としては、「WVフィルム」(富士フイルム(株)製)、「NHフィルム」(新日本石油(株)製)、「NRフィルム」(新日本石油(株)製)などが挙げられる。
環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルムに相当する市販品としては、「アートンフィルム」(JSR(株)製)、「エスシーナ」(積水化学工業(株)製)、「ゼオノアフィルム」(日本ゼオン(株)製)などが挙げられる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<実施例1>
(1)基材フィルムの作製
エチレンユニットを約5重量%含むプロピレン/エチレンのランダム共重合体(住友化学(株)製「住友ノーブレン W151」、融点Tm=138℃)からなる樹脂層の両側にプロピレンの単独重合体であるホモポリプロピレン(住友化学(株)製「住友ノーブレンFLX80E4」、融点Tm=163℃)からなる樹脂層を配置した3層構造の基材フィルムロール(長尺の基材フィルムの巻回品)を、多層押出成形機を用いた共押出成形により作製した。基材フィルムの合計厚みは100μmであり、各層の厚み比(FLX80E4/W151/FLX80E4)は3/4/3であった。
(2)プライマー層及びポリビニルアルコール系樹脂層の形成
ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工業(株)製「Z−200」、平均重合度1100、平均ケン化度99.5モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(住友化学(株)製「スミレーズレジン650」)をポリビニルアルコール粉末6重量部に対して5重量部混合してプライマー層用塗工液を得た。
また、ポリビニルアルコール粉末(クラレ(株)製「PVA124」、平均重合度2400、平均ケン化度98.0〜99.0モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度8重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。
次に、上記(1)で得られた基材フィルムロールから基材フィルムを連続的に巻き出しながら、その片面にコロナ処理を施し、次いでコロナ処理された面にグラビアコーターを用いて上記プライマー層用塗工液を連続的に塗工し、80℃で10分間乾燥させることにより、厚み0.2μmのプライマー層を片面に有するフィルムを作製した。
引き続き、フィルムを搬送しながら、プライマー層上にカンマコーターを用いて上記ポリビニルアルコール水溶液を連続的に塗工し、80℃で5分間乾燥させることにより、プライマー層上に厚み10.6μmのポリビニルアルコール系樹脂層を形成した。この際、基材フィルムの幅方向両端から内側にそれぞれ1cmの部分を、ポリビニルアルコール水溶液を塗工しない未塗工領域とした。このフィルムは一旦ロール状に巻き取った。
(3)延伸フィルムの作製
上記(2)で得られたフィルムロールからフィルムを連続的に巻き出しながら、ポリビニルアルコール系樹脂層の未塗工領域を、レザー刃を用いたスリット法により連続的に切断除去し、引き続き、ロール間空中延伸装置を用いて160℃の延伸温度で縦方向(フィルム搬送方向)に5.8倍の倍率で自由端一軸延伸して厚み63.2μmの延伸フィルムとし、これを巻き取って延伸フィルムロールを得た。延伸フィルムにおけるポリビニルアルコール系樹脂層の厚みは5.0μmであった。
(4)偏光性フィルムの作製
上記(3)で得られた延伸フィルムロールから延伸フィルムを連続的に巻き出しながら、延伸フィルムをヨウ素とヨウ化カリウムとを含む30℃の染色溶液に150秒間程度の滞留時間となるように浸漬してポリビニルアルコール系樹脂層の染色処理を行い、次いで、10℃の純水で余分な染色溶液を洗い流した。引き続き、ホウ酸とヨウ化カリウムとを含む72℃の架橋溶液に600秒間程度の滞留時間となるように浸漬して架橋処理を行った。その後、10℃の純水で4秒間洗浄し、80℃で300秒間乾燥させることにより偏光子層を有する偏光性フィルムとし、これを巻き取って偏光性フィルムロールを得た。
(5)偏光性積層フィルムの作製
ポリビニルアルコール粉末((株)クラレ製「KL−318」、平均重合度1800)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(住友化学(株)製「スミレーズレジン650」)をポリビニルアルコール粉末2重量部に対して1重量部混合し、接着剤溶液とした。
次に、上記(4)で得られた偏光性フィルムロールから偏光性フィルムを連続的に巻き出すとともに、保護フィルムロールから保護フィルム〔トリアセチルセルロース(TAC)からなる透明保護フィルム(コニカミノルタオプト(株)製「KC4UY」)、厚み40μm〕を、樹脂フィルムロールから樹脂フィルム〔環状ポリオレフィン系樹脂(COP)からなる透明樹脂フィルム(日本ゼオン(株)製「ゼオノア」)、厚み60μm〕を連続的に巻き出した。引き続き、上記保護フィルムの貼合面にケン化処理を施した後、偏光性フィルムの一方の面上(偏光子層上)に保護フィルムを、他方の面上(すなわち基材フィルムにおける偏光子層を有しない側の面上)に上記樹脂フィルムを、保護フィルムと偏光子層との間にのみ上記接着剤溶液を供給(フィード)しながら積層し、積層体を一対の貼合ロール間に通すことにより圧着し、保護フィルム及び樹脂フィルムを連続的に積層した。樹脂フィルムについては表面処理を行わなかった。
保護フィルム及び樹脂フィルムとしては、偏光性フィルムよりも幅が8.0cm広いものを用い、保護フィルム及び樹脂フィルムの幅方向中心と偏光性フィルムの幅方向中心とが一致するように貼合した(したがって保護フィルム及び樹脂フィルムは、幅方向両端部分において偏光性フィルムよりそれぞれ4.0cm外側に突出している)。
また貼合時、接着剤層の幅方向両端がそれぞれ偏光性フィルムの幅方向両端よりも外側に位置し、かつ保護フィルム及び樹脂フィルムの幅方向両端よりも内側に位置するように、接着剤溶液の供給量を調整した。
その後引き続き、80℃で5分間乾燥させ偏光性積層フィルムとし、これを巻き取って偏光性積層フィルムロールを得た。この偏光性積層フィルムは、樹脂フィルム/基材フィルム/プライマー層/偏光子層/接着剤層/保護フィルムの6層からなる。
得られた偏光性積層フィルムにおいて、フィルム端部からの接着剤のはみ出し、並びに保護フィルム及び樹脂フィルムの外側表面への接着剤の付着は認められず良好な状態であった。また、偏光性積層フィルムの端部を確認したところ、偏光子層と保護フィルムとの間に接着剤層が存在しない部分は認められず、偏光子層の全面にわたって接着剤層が形成されていることが確認された。貼合ロールについても接着剤による汚染は認められなかった。
(6)偏光板の作製
上記(5)で得られた偏光性積層フィルムロールから偏光性積層フィルムを連続的に巻き出しながら、樹脂フィルムを連続的に剥離除去した。樹脂フィルムには表面処理(易接着処理)が施されていないため、樹脂フィルムと接着剤層との接触界面においても樹脂フィルムを容易に剥離することができた。樹脂フィルムを除去した偏光性積層フィルムは一旦ロール状に巻き取った。
その後引き続き、ロール体から樹脂フィルムを除去した偏光性積層フィルムを連続的に巻き出しながら、基材フィルムを連続的に剥離除去して、「保護フィルム/接着剤層/偏光子層/プライマー層」の構成の偏光板を得た。基材フィルムを剥離する際、基材フィルム/プライマー層界面において、基材フィルムと偏光板との剥離点における上述の角度θ、φp、φkはそれぞれ、0度、0度、45度程度とした。ブロッキング等の不具合もなくスムーズに偏光性積層フィルムの巻き出しを行うことができた。また、基材フィルムの剥離もスムーズに行うことができた。
<実施例2>
樹脂フィルムとして、厚み100μmのポリプロピレンフィルム(PP、表面処理なし)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして偏光性積層フィルム及び偏光板を作製した。得られた偏光性積層フィルムにおいて、フィルム端部からの接着剤のはみ出し、並びに保護フィルム及び樹脂フィルムの外側表面への接着剤の付着は認められず良好な状態であった。偏光性積層フィルムの端部を確認したところ、偏光子層と保護フィルムとの間に接着剤層が存在しない部分は認められず、偏光子層の全面にわたって接着剤層が形成されていることが確認された。貼合ロールについても接着剤による汚染は認められなかった。さらに、樹脂フィルムの剥離、樹脂フィルムを除去した偏光性積層フィルムの巻き出し、及び基材フィルムの剥離も実施例1と同様、スムーズに行うことができた。
<実施例3>
樹脂フィルムとして、厚み40μmのトリアセチルセルロースフィルム(TAC、表面処理なし)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして偏光性積層フィルム及び偏光板を作製した。得られた偏光性積層フィルムにおいて、フィルム端部からの接着剤のはみ出し、並びに保護フィルム及び樹脂フィルムの外側表面への接着剤の付着は認められず良好な状態であった。偏光性積層フィルムの端部を確認したところ、偏光子層と保護フィルムとの間に接着剤層が存在しない部分は認められず、偏光子層の全面にわたって接着剤層が形成されていることが確認された。貼合ロールについても接着剤による汚染は認められなかった。さらに、樹脂フィルムの剥離、樹脂フィルムを除去した偏光性積層フィルムの巻き出し、及び基材フィルムの剥離も実施例1と同様、スムーズに行うことができた。
<比較例1>
実施例1の(1)〜(4)に記載の方法により偏光性フィルムロールを作製した。この偏光性フィルムロールから偏光性フィルムを連続的に巻き出すとともに、保護フィルムロールから保護フィルム〔トリアセチルセルロース(TAC)からなる透明保護フィルム(コニカミノルタオプト(株)製「KC4UY」)、厚み40μm〕を連続的に巻き出した。引き続き、保護フィルムの貼合面にケン化処理を施した後、偏光性フィルムの一方の面上(偏光子層上)に保護フィルムを、保護フィルムと偏光子層との間に実施例1で使用したものと同じ接着剤溶液を供給(フィード)しながら積層し、積層体を一対の貼合ロール間に通すことにより圧着し、保護フィルムの連続貼合を行った。本比較例においては、樹脂フィルムの積層は行わなかった。
保護フィルムとしては、偏光性フィルムと同じ幅のものを用い、保護フィルムの幅方向中心と偏光性フィルムの幅方向中心とが一致するように貼合した(したがって保護フィルムの端面は、偏光性フィルムの端面と一致している)。
また貼合時、偏光性フィルムの貼合面全面にわたって接着剤が行き渡るような量となるよう接着剤溶液の供給量を調整した。しかしながら、このような接着剤溶液の供給量調整にもかかわらず、搬送時におけるフィルムの蛇行や接着剤溶液の供給量の揺らぎにより、接着剤がフィルム幅方向端部から少しずつはみ出して貼合ロールに付着していった。フィルムを数十m貼合したところで基材フィルム及び保護フィルムの外側表面に貼合ロールに付着した接着剤が転写され始め、当該表面の汚れが目立ち始めた。
その後引き続き、80℃で5分間乾燥させて、樹脂フィルムを有しないこと以外は実施例1と同じ層構成を有する偏光性積層フィルムを得た。
得られた偏光性積層フィルムの接着剤層を確認したところ、上記のような接着剤溶液の供給量調整にもかかわらず、フィルム幅方向端部からはみ出している部分に加えて、接着剤層の端部がフィルム幅方向端部よりも内側に存在する部分(すなわち偏光子層と保護フィルムとの間に接着剤層が存在しない部分)が認められた。このような接着剤層の不均一性に伴う乾燥収縮の差により偏光性積層フィルムの幅方向端部に波打ちが生じていた。
次に、上記の偏光性積層フィルムをロール状に巻き取った後、偏光性積層フィルムを巻き出したところ、基材フィルム及び保護フィルムの外側表面に転写された接着剤により、フィルム端部の領域ではフィルム同士が貼り付き、巻き出し時にこの接着剤が凝集破壊して白い凝集破壊跡が残った。また、巻き出し時の張力も安定しなかった。
次に、巻き出した偏光性積層フィルムから基材フィルムを剥離してみたところ、剥離自体は可能であったが、フィルム端部の波打ちが原因で剥離時における剥離方向が刻々と変化し、張力が安定しないためにスムーズに剥離できなかった。
<比較例2>
樹脂フィルムとして、基材フィルム側の表面をケン化処理したトリアセチルセルロースフィルム〔コニカミノルタオプト(株)製「KC4UY」)、厚み40μm〕を用いたこと以外は、実施例1と同様にして偏光性積層フィルムを作製した。樹脂フィルムを積層しているために、フィルム端部からの接着剤のはみ出しによる保護フィルム及び樹脂フィルムの外側表面への接着剤の付着、並びにフィルム端部における接着不良(接着剤層の不存在)という不具合はなかったものの、樹脂フィルムと接着剤層とが強固に接着しており、樹脂フィルムを剥離除去することが容易にはできなかった。