JP2011221278A - 偏光性積層フィルム、偏光板、およびそれらの製造方法 - Google Patents

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【課題】クラックの発生がなく転写して用いることができる偏光子層を備えた偏光性積層フィルムを提供する。
【解決手段】基材フィルム11と基材フィルム11の一方の面に積層した延伸軸方向に延伸してなる偏光子層12とを備える偏光性積層フィルム10であって、偏光性積層フィルム10から切り出した試験片に対する昇温速度5℃/分で30℃から100℃までの昇温に伴う上記延伸軸方向の寸法伸縮率の測定試験において、昇温前の30℃における試験片の延伸軸方向の長さをL1、昇温後の100℃における試験片の延伸軸方向の長さをL2とすると、下記式(1)で算出される寸法伸縮率Sが、下記式(2)の関係を満たす。
S={(L2−L1)/L1}×100 式(1)
−1.25≦S≦0 式(2)
【選択図】図1

Description

本発明は、偏光性積層フィルム、偏光板、それらの製造方法、およびそれらを用いた液晶表示装置に関する。
近年、液晶表示装置のノート型パーソナルコンピュータや携帯電話などモバイル機器への展開などに伴い、偏光板の薄肉軽量化が求められている。偏光板は偏光フィルムの片面または両面に保護フィルムを積層してなるが、偏光フィルムの厚みは、通常20〜30μm程度から薄型化が進んでおらず、保護膜の薄型化に比べるとその検討が遅れている。この理由として、20〜30μmの偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂のフィルム原反(通常、厚み75μm程度)の単独膜を延伸、染色して製造していることが挙げられる。この製造方法では、20μmを下回る薄型のフィルムを単独でハンドリングしようと思っても、延伸や染色の工程でフィルムの破断が起こりやすく、安定的な生産が困難であった。特に15μmを下回る薄型偏光フィルムの作成は著しく困難であった。
このような状況を打破すべく、特許文献1〜3には、偏光フィルムの薄膜化を実現する方法が開示されている。この方法は、基材上に直接ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液をコーティングして、積層フィルムとする工程、得られた積層フィルムを延伸する工程、得られた延伸フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を二色性物質で染色する工程、染色されたポリビニルアルコール系樹脂層を架橋剤で架橋する工程、架橋後のフィルムを乾燥させる工程をこの順に備えるものであり、さらに上記の乾燥工程を経たポリビニルアルコール系樹脂層を他基材に転写し偏光板としてもよい。
上記の染色工程を経ることでポリビニルアルコール系樹脂層は偏光性を有する。本明細書においては、上記の乾燥工程を経た積層フィルムを偏光性積層フィルムといい、偏光性積層フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を偏光子層という。
特開2000−338329号公報 特開2003−93074号公報 特開2003−43257号公報
上記の製造方法によると、基材とポリビニルアルコール系樹脂層とが一体となっているため延伸時の破断が少ないというメリットがあり、偏光性積層フィルムを破断なく安定的に生産できるメリットがある。
偏光性積層フィルムは、そのままでも偏光板として用いることも可能であるが、多種多様なニーズにこたえるため偏光性積層フィルムの偏光子層を他の保護フィルムに転写して用いることが好ましい。しかしながら、上記の偏光子層を実際に保護フィルムに転写して偏光板を作ろうとした場合、偏光子層にクラックが入ってしまうという問題が発生することあった。特に、良好な偏光性能を得るために5倍超の延伸倍率で延伸すると、偏光子層においてよりクラックが発生しやすくなるという問題があった。
本発明は、クラックの発生がなく転写して用いることができる偏光子層を備えた偏光性積層フィルム、あるいはクラックの発生がなく転写されている偏光子層を備えた偏光板、およびそれらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、基材フィルムと当該基材フィルムの一方の面に積層した延伸軸方向に延伸してなる偏光子層とを備える偏光性積層フィルムであって、偏光性積層フィルムから切り出した試験片に対する昇温速度5℃/分で30℃から100℃までの昇温に伴う上記延伸軸方向の寸法伸縮率の測定試験において、上記の昇温前の30℃における試験片の延伸軸方向の長さをL1、上記の昇温後の100℃における試験片の延伸軸方向の長さをL2とすると、下記式(1)で算出される寸法伸縮率Sが、下記式(2)の関係を満たす、偏光性積層フィルムである。
S={(L2−L1)/L1}×100 式(1)
−1.25≦S≦0 式(2)
上記偏光子層は、例えば、二色性物質を吸着配向させたポリビニルアルコール系樹脂からなる。また、上記基材フィルムは、例えば、ポリプロピレン系樹脂からなる。上記偏光子層は、好ましくは、厚みが10μm以下である。
また、本発明は、上記の偏光性積層フィルムの製造方法であって、上記基材フィルムの一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程と、上記の積層フィルムを5倍超の延伸倍率で一軸延伸して延伸フィルムを得る延伸工程と、上記の延伸フィルムの上記樹脂層を二色性色素で染色して偏光子層を形成し、染色フィルムを得る染色工程と、上記染色フィルムの上記偏光子層を架橋剤を含む溶液に浸漬して架橋フィルムを得る架橋工程と、上記架橋フィルムを70℃〜95℃の温度範囲で乾燥して偏光性積層フィルムを得る乾燥工程と、をこの順で備える、偏光性積層フィルムの製造方法である。
また、本発明は、上記の偏光性積層フィルムを用意する工程と、上記偏光性積層フィルムの上記偏光子層の上記基材フィルム側の面とは反対側の面に保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る貼合工程と、上記多層フィルムから上記基材フィルムを剥離する剥離工程と、をこの順で備える、偏光板の製造方法である。
上記貼合工程においては、例えば、接着剤層を介して上記保護フィルムを貼合する。
また、本発明は、上記の偏光性積層フィルムと、液晶セルと、を備える、液晶表示装置である。
また、本発明は、上記の偏光性積層フィルムと、液晶セルと、を備える、液晶表示装置である。
また、本発明は、上記の偏光板の製造方法により製造された偏光板と、液晶セルと、を備える、液晶表示装置である。
本発明によると、クラックの発生がない偏光性積層フィルム、偏光板を提供することができる。また、本発明によると、クラックの発生がない偏光性積層フィルム、偏光板を製造することができる。
本発明に係る偏光性積層フィルムの基本的な層構成の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る偏光板の基本的な層構成の一例を示す概略断面図である。 図1に示す偏光性積層フィルムの製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。 図2に示す偏光板の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して、本発明について詳細に説明する。
<偏光性積層フィルムの構成>
図1は、本発明に係る偏光性積層フィルムの基本的な層構成の一例を示す概略断面図である。偏光性積層フィルム10は、基材フィルム11と、基材フィルム11の一方の面に積層した延伸軸方向に延伸してなる偏光子層12とを備える。
偏光性積層フィルム10は、偏光性積層フィルム10から切り出した試験片に対する昇温速度5℃/分で30℃から100℃までの昇温に伴う上記延伸軸方向の寸法伸縮率の測定試験において、昇温前の30℃における試験片の延伸軸方向の長さをL1、昇温後の100℃における試験片の延伸軸方向の長さをL2とすると、下記式(1)で算出される寸法伸縮率Sが、下記式(2)の関係を満たす。
S={(L2−L1)/L1}×100 式(1)
−1.25≦S≦0 式(2)
寸法伸縮率Sが上記の式(2)の関係を満たす本発明に係る偏光性積層フィルムにおいては、偏光子層の転写におけるクラックの発生が低減される。なお、上記式(1)において寸法伸縮率Sの値のマイナスは、L2がL1より小さい場合の値であり、すなわち昇温に伴い試験片が延伸軸方向に収縮していることを示す。
上記寸法伸縮率の測定試験においては、熱機械分析装置(TMA)を用いることが好ましい。この装置のメーカー、型式などには、特に制限はない。TMAによると、0.01%程度の伸縮変化も十分な精度で測定可能であるため、本発明に係る偏光性積層フィルムのようにごく僅かな寸法伸縮率が大きな特性差をもたらす現象の試験方法としては、上記試験装置が通常の熱収縮試験装置より好適である。
TMA試験の測定モードとしては、荷重制御モードを用いることが好ましい。試験片が負荷する静荷重は、できるだけ小さいことが好ましいが、測定時の試料のたわみを防止する目的で、本発明に適用する測定条件として、例えば、幅2mmの試験片に対して19.6mNの静荷重を負荷する。試験片は、上記延伸軸方向が長さ方向となり、延伸軸方向に対して垂直方向が幅方向となるように切り出す。
本発明に係る寸法伸縮率の測定試験における30℃から100℃までの昇温の昇温速度は、5℃/分とする。昇温速度は、試験装置付属の加熱炉をそのまま用い、加熱炉内の温度をプログラム制御するモードを選択することにより調整することができる。
本発明に係る検討の結果、延伸軸方向における昇温による寸法伸縮率と、転写における偏光子層のクラックの発生との間に関係があることがわかった。偏光性積層フィルムの上記寸法伸縮率Sは、−1.20%〜0%であることがさらに好ましい。
本発明に係る偏光性積層フィルムは、基材フィルムを保護フィルムにしそのまま偏光板として用いることもできるし、後述するように、偏光子層を保護フィルムへ転写するための中間体製品として用いることもできる。
上記式(2)の関係を満たす偏光性積層フィルムを得るための方法として、例えば、後述の実施形態に示すように樹脂層の染色後の乾燥工程における乾燥温度を70℃〜95℃の範囲とする方法が挙げられる。以下、各構成要素について詳細に説明する。
[基材フィルム]
本発明で用いられる基材フィルム11の材料としては、たとえば、透明性、機械的強度、熱安定性、延伸性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、セルローストリアセテート等のセルロースエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、およびこれらの混合物などが挙げられる。基材フィルムの材料として、セルロースエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂および(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される少なくともいずれか1つが含まれることが好ましい。
セルロースエステル系樹脂は、セルロースと脂肪酸のエステルである。このようセルロースエステル系樹脂の具体例としては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートなどが挙げられる。これらの中でも、セルローストリアセテートが特に好ましい。セルローストリアセテートは多くの製品が市販されており、入手容易性やコストの点でも有利である。セルローストリアセテートの市販品の例としては、フジタック(登録商標)TD80(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD80UF(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD80UZ(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD40UZ(富士フィルム(株)製)、KC8UX2M(コニカミノルタオプト(株)製)、KC4UY(コニカミノルタオプト(株)製)などが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。ポリプロピレンからなる基材フィルムを用いた場合、安定的に高倍率に延伸しやすく好ましい。環状ポリオレフィン系樹脂としては、好ましくはノルボルネン系樹脂が用いられる。環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、たとえば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。具体例としては、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα−オレフィンとその共重合体(代表的にはランダム共重合体)、およびこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、ならびにそれらの水素化物などが挙げられる。環状オレフィンの具体例としては、ノルボルネン系モノマーが挙げられる。
環状ポリオレフィン系樹脂としては種々の製品が市販されている。具体例としては、Topas(登録商標)(Ticona社製)、アートン(登録商標)(JSR(株)製)、ゼオノア(ZEONOR)(登録商標)(日本ゼオン(株)製)、ゼオネックス(ZEONEX)(登録商標)(日本ゼオン(株)製)、アペル(登録商標)(三井化学(株)製)が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用し得る。たとえば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(たとえば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)が挙げられる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキルが挙げられる。(メタ)アクリル系樹脂として、より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が用いられる。
基材フィルム11には、上記の熱可塑性樹脂の他に、任意の適切な添加剤が添加されていてもよい。このような添加剤としては、たとえば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、および着色剤などが挙げられる。基材フィルム中の上記にて例示した熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。基材フィルム中の熱可塑性樹脂の含有量が50重量%未満の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現されないおそれがあるからである。
基材フィルム11の厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性の点から1〜500μmが好ましく、1〜300μmがより好ましく、さらには5〜200μmが好ましい。基材フィルム11の厚さは、5〜150μmが最も好ましい。
基材フィルム11は、偏光子層12との密着性を向上させるために、少なくとも偏光子層12が形成される側の表面に、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理等を行ってもよい。また密着性を向上させるために、基材フィルム11の偏光子層12が形成される側の表面にプライマー層等の薄層を形成してもよい。
[偏光子層]
偏光子層12は、具体的には、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層に二色性色素を吸着配向させたものである。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、好ましくは、98.0モル%以上である。ケン化度が98.0モル%未満では、十分な光学性能が得られない場合がある。
ここでいうケン化度とは、ポリビニルアルコール系樹脂の原料であるポリ酢酸ビニル系樹脂に含まれる酢酸基がケン化工程により水酸基に変化した割合をユニット比(モル%)で表したものであり、下記式で定義される数値である。JIS K 6726(1994)で規定されている方法で求めることができる。
ケン化度(モル%)=(水酸基の数)÷(水酸基の数+酢酸基の数)×100
ケン化度が高いほど、水酸基の割合が高いことを示しており、すなわち結晶化を阻害する酢酸基の割合が低いことを示している。また、本発明に用いるポリビニルアルコール系樹脂は、一部が変性されている変性ポリビニルアルコールでもよい。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂をエチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のアルキルエステル、アクリルアミドなどで数%ほど変性したものなどが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度も特に限定されるものではないが、100〜10000が好ましく、1500〜10000がより好ましい。
このような特性を有するポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば(株)クラレ製のPVA124H(ケン化度:99.9モル%以上)、PVA124(ケン化度:98.0〜99.0モル%)、PVA117H(ケン化度:99.3モル%以上)、PVA117(ケン化度:98.0〜99.0モル%);例えば日本合成化学工業(株)製のNH−18(ケン化度:98.0〜99.0モル%)、N−300(ケン化度:98.0〜99.0モル%);例えば日本酢ビ・ポバール(株)製のJF−17(ケン化度:98.0〜99.0モル%)、JF−17L(ケン化度:98.0〜99.0モル%)、JF−20(ケン化度:98.0〜99.0モル%)などが挙げられ、本発明において好適に用いることができる。
かかるポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが本発明にかかる偏光子層12を構成する。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法で製膜することができるが、所望の厚さの偏光子層12を得やすいという点から、ポリビニルアルコール系樹脂の溶液を基材フィルム11上に塗布して製膜することが好ましい。偏光子層12は、好ましくは5倍超、さらに好ましくは5倍超でかつ17倍以下の延伸倍率で一軸延伸されている。
偏光子層12は、上述のようなポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向されている。偏光子層12の厚さは10μm以下が好ましく、さらに好ましくは7μm以下である。偏光子層12の厚さを10μm以下とすることにより、薄型の偏光性積層フィルムを構成することができる。
<偏光板の構成>
図2は、本発明に係る偏光板の基本的な層構成の一例を示す概略断面図である。偏光板13は、保護フィルム14と、保護フィルム14の一方の面に形成されている偏光子層12とを備える。偏光子層12は、図1に示す偏光性積層フィルム10の偏光子層12を保護フィルム14上に転写して形成したものである。
偏光板13において、保護フィルム14と偏光子層12とは、例えば、粘着剤層または接着剤層を介して貼合されている。なお、保護フィルム14は、接着剤層を介して貼合した場合に本発明の効果がより顕著となるので好ましい。接着剤層を介して保護フィルム14を貼合する場合に、偏光子層12においてよりクラックが発生しやすいからである。以下、各構成要素について詳細に説明する。
[保護フィルム]
保護フィルム14としては、光学機能を有さない単なる保護フィルムであってもよいし、位相差フィルムや輝度向上フィルムといった光学機能を併せ持つ保護フィルムであってもよい。保護フィルム14の材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂フィルム、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのような樹脂からなる酢酸セルロース系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのような樹脂からなるポリエステル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルムなど、当分野において従来より広く用いられてきているフィルムを挙げることができる。
環状ポリオレフィン系樹脂としては、適宜の市販品、例えば、Topas(登録商標)(Ticona社製)、アートン(登録商標)(JSR(株)製)、ゼオノア(ZEONOR)(登録商標)(日本ゼオン(株)製)、ゼオネックス(登録商標)(ZEONEX)(日本ゼオン(株)製)、アペル(登録商標)(三井化学(株)製)を好適に用いることができる。このような環状ポリオレフィン系樹脂を製膜してフィルムとする際には、溶剤キャスト法、溶融押出法などの公知の方法が適宜用いられる。また、エスシーナ(登録商標)(積水化学工業(株)製)、SCA40(積水化学工業(株)製)、ゼオノア(登録商標)フィルム((株)オプテス製)などの予め製膜された環状ポリオレフィン系樹脂製のフィルムの市販品を用いてもよい。
環状ポリオレフィン系樹脂フィルムは、一軸延伸又は二軸延伸されたものであってもよい。延伸することで、環状ポリオレフィン系樹脂フィルムに任意の位相差値を付与することができる。延伸は、通常、フィルムロールを巻き出しながら連続的に行われ、加熱炉にて、ロールの進行方向、その進行方向と垂直の方向、またはその両方へ延伸される。加熱炉の温度は、通常、環状ポリオレフィン系樹脂のガラス転移温度近傍からガラス転移温度+100℃までの範囲である。延伸の倍率は、一つの方向につき通常1.1〜6倍、好ましくは1.1〜3.5倍である。
環状ポリオレフィン系樹脂フィルムは、一般に表面活性が劣るため、偏光フィルムと接着させる表面には、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を行うのが好ましい。中でも、比較的容易に実施可能なプラズマ処理、コロナ処理が好適である。
酢酸セルロース系樹脂フィルムとしては、適宜の市販品、たとえば、フジタック(登録商標)TD80(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD80UF(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD80UZ(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD40UZ(富士フィルム(株)製)、KC8UX2M(コニカミノルタオプト(株)製)、KC4UY(コニカミノルタオプト(株)製)を好適に用いることができる。
酢酸セルロース系樹脂フィルムの表面には、視野角特性を改良するために液晶層などを形成してもよい。また、位相差を付与するため酢酸セルロース系樹脂フィルムを延伸させたものでもよい。酢酸セルロース系樹脂フィルムは、偏光フィルムとの接着性を高めるため、通常はケン化処理が施される。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリの水溶液に浸漬する方法が採用できる。
上述したような保護フィルム14の表面には、ハードコート層、防眩層、反射防止層などの光学層を形成することもできる。保護フィルム表面にこれらの光学層を形成する方法はとくに限定されず、公知の方法を用いることができる。
保護フィルム14の厚みは薄型化の要求から、できるだけ薄いものが好ましく、88μm以下が好ましく、48μm以下がより好ましい。逆に薄すぎると強度が低下して加工性に劣るため、5μm以上であることが好ましい。
[接着剤層]
保護フィルム14と偏光子層12との貼合に用いられる接着剤は、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤などを用いた水系接着剤が挙げられる。保護フィルム14としてケン化処理などで親水化処理された酢酸セルロース系フィルムを用いる場合、偏光子層12との貼合用の水系接着剤として、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液が好適に用いられる。接着剤として用いるポリビニルアルコール系樹脂には、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるビニルアルコール系共重合体、さらにはそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体などがある。水系接着剤には、多価アルデヒド、水溶性エポキシ化合物、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物などが添加剤として添加されてもよい。このような水系の接着剤を用いた場合、それから得られる接着剤層は、通常1μm以下となり、通常の光学顕微鏡で断面を観察しても、その接着剤層は事実上観察されない。
水系接着剤を用いて偏光子層12と保護フィルム14とを貼合する方法は特に限定されるものではなく、たとえば偏光子層12および/または保護フィルム14の表面に接着剤を均一に塗布し、塗布面にもう一方のフィルムを重ねてロールなどにより貼合し、乾燥する方法などが挙げられる。通常、接着剤は、その調製後、15〜40℃の温度下で塗布され、貼合温度は、通常15〜30℃の範囲である。
水系接着剤を使用する場合は、偏光子層12と保護フィルム14とを貼合した後、水系接着剤中に含まれる水を除去するため、乾燥させる。乾燥炉の温度は、30℃〜90℃が好ましい。30℃未満であると偏光子層12と保護フィルム14との接着面が剥離しやすくなる傾向がある。90℃以上であると熱によって光学性能が劣化するおそれがある。乾燥時間は10〜1000秒とすることができ、特に生産性の観点からは、好ましくは60〜750秒、更に好ましくは150〜600秒である。
乾燥後はさらに、室温またはそれよりやや高い温度、たとえば、20〜45℃程度の温度で12〜600時間程度養生しても良い。養生のときの温度は、乾燥時に採用した温度よりも低く設定されるのが一般的である。
また偏光子層12と保護フィルム14を貼合する際の接着剤として、光硬化性接着剤を用いることもできる。光硬化性接着剤としては、たとえば、光硬化性エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤との混合物などを挙げることができる。
偏光子層12と保護フィルム14を光硬化性接着剤にて貼合する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、たとえば、流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、カンマコーター法、ドクタープレート法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法などにより、偏光子層12および/または保護フィルム14の接着面に接着剤を塗布し、両者を重ね合わせる方法が挙げられる。流延法とは、被塗布物である偏光子層12または保護フィルム14を、概ね垂直方向、概ね水平方向、または両者の間の斜め方向に移動させながら、その表面に接着剤を流下して拡布させる方法である。
偏光子層12または保護フィルム14の表面に接着剤を塗布した後、偏光子層12および保護フィルム14を接着剤塗布面を介してニップロールなどで挟んで貼り合わせることにより接着される。また、偏光子層12と保護フィルム14とを重ね合わせた状態で偏光子層12と保護フィルム14との間に接着剤を滴下した後、この積層体をロール等で加圧して均一に押し広げる方法も好適に使用することができる。この場合、ロールの材質としては金属やゴム等を用いることが可能である。さらに、偏光子層12と保護フィルム14の間に接着剤を滴下した後、この積層体をロールとロールとの間に通し、加圧して押し広げる方法も好ましく採用される。この場合、これらロールは同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。上記ニップロール等を用いて貼り合わされた後の接着剤層の、乾燥または硬化前の厚さは、5μm以下かつ0.01μm以上であることが好ましい。
偏光子層12および/または保護フィルム14の接着表面には、接着性を向上させるために、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を適宜施してもよい。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリの水溶液に浸漬する方法が挙げられる。
接着剤として光硬化性樹脂を用いた場合は、偏光子層12と保護フィルム14とを接合後、活性エネルギー線を照射することによって光硬化性接着剤を硬化させる。活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する活性エネルギー線が好ましく、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが好ましく用いられる。
光硬化性接着剤への光照射強度は、光硬化性接着剤の組成によって適宜決定され、特に限定されないが、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜6000mW/cmであることが好ましい。照射強度が0.1mW/cm以上である場合、反応時間が長くなりすぎず、6000mW/cm以下である場合、光源から輻射される熱および光硬化性接着剤の硬化時の発熱によるエポキシ樹脂の黄変や偏光フィルムの劣化を生じるおそれが少ない。光硬化性接着剤への光照射時間は、硬化させる光硬化性接着剤に応じて適用されるものであって特に限定されないが、上記の照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜10000mJ/cmとなるように設定されることが好ましい。光硬化性接着剤への積算光量が10mJ/cm以上である場合、重合開始剤由来の活性種を十分量発生させて硬化反応をより確実に進行させることができ、10000mJ/cm以下である場合、照射時間が長くなりすぎず、良好な生産性を維持できる。なお、活性エネルギー線照射後の接着剤層の厚みは、通常0.001〜5μm程度であり、好ましくは0.01μm以上でかつ2μm以下、さらに好ましくは0.01μm以上でかつ1μm以下である。
活性エネルギー線の照射によって光硬化性接着剤を硬化させる場合、偏光子層12の偏光度、透過率および色相、ならびに保護フィルム14の透明性など、偏光板の諸機能が低下しない条件で硬化を行うことが好ましい。
[粘着剤層]
保護フィルム14と偏光子層12との貼合に用いられる粘着剤は、通常、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂などをベースポリマーとし、そこに、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物などの架橋剤を加えた組成物からなる。さらに微粒子を含有して光散乱性を示す粘着剤層とすることもできる。
粘着剤層の厚みは1〜40μmであることが好ましいが、加工性、耐久性の特性を損なわない範囲で、薄く塗るのが好ましく、より好ましくは3〜25μmである。3〜25μmであると良好な加工性を有し、かつ偏光フィルムの寸法変化を押さえる上でも好適な厚みである。粘着剤層が1μm未満であると粘着性が低下し、40μmを超えると粘着剤がはみ出すなどの不具合を生じ易くなる。
粘着剤により保護フィルム14を偏光子層12に貼合する方法においては、保護フィルム14面に粘着剤層を設けた後、偏光子層12に貼合してもよいし、偏光子層12の表面に粘着剤層を設けた後、ここに保護フィルム14を貼合してもよい。
粘着剤層を形成する方法は特に限定されるものではなく、保護フィルム14面、もしくは偏光子層12面に、上記したベースポリマーをはじめとする各成分を含む溶液を塗布し、乾燥して粘着剤層を形成した後、保護フィルム14と偏光子層12とを貼り合わせてもよいし、セパレータ上に粘着剤層を形成した後、保護フィルム14面もしくは偏光子層12面に転写して積層してもよい。また、粘着剤層を保護フィルム14もしくは偏光子層12面に形成する際には必要に応じて保護フィルム14もしくは偏光子層12面、または粘着剤層の片方若しくは両方に密着処理、たとえば、コロナ処理等を施してもよい。
[他の光学層]
以上のようして製造される本発明の偏光板は、実用に際して他の光学層を積層した偏光板として用いることができる。また、上記保護フィルム14がこれらの光学層の機能を有していてもよい。他の光学層の例としては、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルム、表面に凹凸形状を有する防眩機能付きフィルム、表面反射防止機能付きフィルム、表面に反射機能を有する反射フィルム、反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルム、視野角補償フィルムが挙げられる。
ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルムに相当する市販品としては、例えばDBEF(3M社製、住友スリーエム(株)から入手可能)、APF(3M社製、住友スリーエム(株)から入手可能)が挙げられる。視野角補償フィルムとしては基材表面に液晶性化合物が塗布され、配向されている光学補償フィルム、ポリカーボネート系樹脂からなる位相差フィルム、環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルムが挙げられる。基材表面に液晶性化合物が塗布され、配向されている光学補償フィルムに相当する市販品としては、WVフィルム(富士フィルム(株)製)、NHフィルム(新日本石油(株)製)、NRフィルム(新日本石油(株)製)などが挙げられる。また、環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルムに相当する市販品としては、アートン(登録商標)フィルム(JSR(株)製)、エスシーナ(登録商標)(積水化学工業(株)製)、ゼオノア(登録商標)フィルム((株)オプテス製)などが挙げられる。
<偏光性積層フィルムの製造方法>
図3は、図1に示す偏光性積層フィルム10の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。これによると、偏光性積層フィルム10の製造方法は、基材フィルム11の一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成して積層フィルムとする樹脂層形成工程(S10)、上記積層フィルムを5倍超の延伸倍率で一軸延伸処理を施し延伸フィルムとする延伸工程(S20)、上記樹脂層を二色性色素で染色して偏光子層12を形成して染色フィルムを得る染色工程(S30)、上記染色フィルムの上記偏光子層を架橋剤を含む溶液に浸漬して架橋フィルムを得る架橋工程(S40)、上記架橋フィルムを70℃〜95℃の温度範囲で乾燥させる乾燥工程(S50)をこの順番に実施するものである。この製造方法により、図1に示す偏光性積層フィルム10が得られる。
<偏光板の製造方法>
図4は、図2に示す偏光板13の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。これによると、偏光板13の製造方法は、基材フィルムの一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成して積層フィルムとする樹脂層形成工程(S10)、上記積層フィルムに5倍超の延伸倍率で一軸延伸処理を施し延伸フィルムとする延伸工程(S20)、二色性色素で染色して偏光子層12として染色フィルムを得る染色工程(S30)、上記染色フィルムの上記偏光子層を架橋剤を含む溶液に浸漬して架橋フィルムを得る架橋工程(S40)、上記架橋フィルムを70℃〜95℃の温度範囲で乾燥させ偏光性積層フィルムを得る乾燥工程(S50)をこの順番に実施した後、上記偏光性積層フィルムの偏光子層の基材フィルム側の面とは反対側の面に保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る貼合工程(S60)、上記多層フィルムから基材フィルムを剥離する剥離工程(S70)をこの順に備える。この製造方法により、図2に示す偏光板13が得られる。
以下、図3および図4におけるS10〜S70の各工程について、詳しく説明する。なお、図3および図4のS10〜S50の各工程は同様の工程である。
[樹脂層形成工程(S10)]
ここでは、基材フィルムの一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成する。
基材フィルムに適した材料は、上記にて偏光性積層フィルムの構成の説明で述べた通りである。なお、本実施形態において、基材フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂の延伸に適した温度範囲で延伸できるように、融点が110℃以上のものを用いることが好ましい。好ましくは、融点が130℃以上のものを用いる。基材フィルムの融点が110℃未満であると、後述の延伸工程(S20)において、基材フィルムが融解しやすく延伸温度を十分に上げることができず、5倍超の延伸が困難になるためである。基材フィルムの融点とは、ISO3146に基づいて昇温速度10℃/minで測定した値である。
樹脂層を形成するために適したポリビニルアルコール系樹脂の材料は、偏光性積層フィルムの構成の説明で述べた通りである。形成する樹脂層の厚みは、3μm超かつ30μm以下であることが好ましく、さらには5〜20μmが好ましい。3μm以下であると延伸後に薄くなりすぎて染色性が著しく悪化してしまい、30μmを超えると、最終的に得られる偏光子層の厚みが10μmを超えてしまうことがあり好ましくない。
樹脂層は、好ましくは、ポリビニルアルコール系樹脂の粉末を良溶媒に溶解させて得たポリビニルアルコール系樹脂溶液を基材フィルムの一方の表面上に塗工し、溶剤を蒸発させて乾燥することにより形成される。樹脂層をこのように形成することにより、薄く形成することが可能となる。ポリビニルアルコール系樹脂溶液を基材フィルムに塗工する方法としては、ワイヤーバーコーティング法、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、ダイコート法、カンマコート法、リップコート法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法、などを公知の方法から適宜選択して採用できる。乾燥温度は、たとえば50〜200℃であり、好ましくは60〜150℃である。乾燥時間は、たとえば2〜20分である。
なお、本実施形態における樹脂層は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムを基材フィルムの一方の表面上に貼着することにより形成することも可能である
また、基材フィルムとポリビニルアルコール系樹脂の密着性を向上させるために、基材フィルムと樹脂層の間にプライマー層を設けても良い。プライマー層はポリビニルアルコール系樹脂に架橋剤などを含有する組成物で形成することが密着性の観点から好ましい。
[延伸工程(S20)]
ここでは、基材フィルムおよび樹脂層からなる積層フィルムを、積層フィルムの元長に対して、5倍超の延伸倍率となるように一軸延伸し延伸フィルムを得る。好ましくは、5倍超かつ17倍以下の延伸倍率となるように一軸延伸する。さらに好ましくは5倍超かつ8倍以下の延伸倍率となるように一軸延伸する。延伸倍率が5倍以下だと、ポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層が十分に配向しないため、結果として、偏光子層の偏光度が十分に高くならない。一方、延伸倍率が17倍を超えると延伸時の積層フィルムの破断が生じ易くなると同時に、延伸フィルムの厚みが必要以上に薄くなり、後工程での加工性・ハンドリング性が低下するおそれがある。延伸工程(S20)における延伸処理は、一段での延伸に限定されることはなく多段で行うこともできる。多段で行う場合は、延伸処理の全段を合わせて5倍超の延伸倍率となるように延伸処理を行う。
本実施形態における延伸工程(S20)においては、積層フィルムの長手方向に対して行なう縦延伸処理が好ましい。縦延伸方式としては、ロール間延伸方法、圧縮延伸方法、テンターを用いた延伸方法などが挙げられる。延伸処理は、縦延伸処理に限定されることはなく、斜め延伸処理等であってもよい。また、自由端一軸延伸であることが好ましい。
また、延伸処理は、湿潤式延伸方法と乾式延伸方法のいずれも採用できるが、乾式延伸方法を用いる方が、積層フィルムを延伸する際の温度を広い範囲から選択することができる点で好ましい。
本実施形態においては、基材フィルムの融点の−30℃から+5℃の温度範囲で延伸処理を行なうことが好ましい。さらに好ましくは、基材フィルムの融点の−25℃から融点の温度範囲で延伸処理を行う。延伸温度を基材フィルム11の融点の−30℃より低くすると、5倍超の高倍率延伸が困難になる。延伸温度が基材フィルムの融点の+5℃を超えると、基材フィルムの融解により延伸が困難となるため好ましくない。なお、延伸温度は上記範囲内であって、さらに好ましくは120℃以上である。延伸温度が120℃以上の場合、5倍超の高延伸倍率であっても延伸処理に困難性を伴わないからである。延伸処理の温度調整は、通常、加熱炉の温度調整による。
[染色工程(S30)]
ここでは、延伸フィルムの樹脂層を、二色性色素で染色する。二色性色素としては、たとえば、ヨウ素や有機染料などが挙げられる。有機染料としては、たとえば、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンイエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、イエロー3G、イエローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラックなどが使用できる。これらの二色性物質は、一種類でも良いし、二種類以上を併用して用いても良い。
染色工程は、たとえば、上記二色性色素を含有する溶液(染色溶液)に、延伸フィルム全体を浸漬することにより行う。染色溶液としては、上記二色性色素を溶媒に溶解した溶液を使用できる。染色溶液の溶媒としては、一般的には水が使用されるが、水と相溶性のある有機溶媒がさらに添加されても良い。二色性色素の濃度としては、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.02〜7重量%であることがより好ましく、0.025〜5重量%であることが特に好ましい。
二色性色素としてヨウ素を使用する場合、染色効率をより一層向上できることから、さらにヨウ化物を添加することが好ましい。このヨウ化物としては、たとえば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタンなどが挙げられる。これらヨウ化物の添加割合は、染色溶液において、0.01〜10重量%であることが好ましい。ヨウ化物の中でも、ヨウ化カリウムを添加することが好ましい。ヨウ化カリウムを添加する場合、ヨウ素とヨウ化カリウムの割合は重量比で、1:5〜1:100の範囲にあることが好ましく、1:6〜1:80の範囲にあることがより好ましく、1:7〜1:70の範囲にあることが特に好ましい。
染色溶液への延伸フィルムの浸漬時間は、特に限定されないが、通常は15秒〜15分間の範囲であることが好ましく、1分〜3分間であることがより好ましい。また、染色溶液の温度は、10〜60℃の範囲にあることが好ましく、20〜40℃の範囲にあることがより好ましい。
[架橋工程(S40)]
染色工程(S30)により得られた染色フィルムに架橋処理を行う。架橋処理は、たとえば架橋剤を含む溶液(架橋溶液)中に染色フィルムを浸漬することにより行うことができる。架橋剤としては、従来公知の物質を使用することができる。たとえば、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物や、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどが挙げられる。これらは一種類でも良いし、二種類以上を併用しても良い。
架橋溶液として、架橋剤を溶媒に溶解した溶液を使用できる。溶媒としては、たとえば水が使用できるが、さらに、水と相溶性のある有機溶媒を含んでも良い。架橋溶液における架橋剤の濃度は、これに限定されるものではないが、1〜10重量%の範囲にあることが好ましく、2〜6重量%であることがより好ましい。
架橋溶液中には、ヨウ化物を添加してもよい。ヨウ化物の添加により、偏光子層の面内における偏光特性をより均一化させることができる。ヨウ化物としては、たとえば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタンが挙げられる。ヨウ化物の含有量は、0.05〜15重量%、より好ましくは0.5〜8重量%である。
架橋溶液への染色フィルムの浸漬時間は、通常、15秒〜20分間であることが好ましく、30秒〜15分間であることがより好ましい。また、架橋溶液の温度は、10℃〜90℃の範囲にあることが好ましく、70℃〜85℃の範囲にあることがより好ましい。
架橋工程の後には洗浄工程を行なうことが好ましい。洗浄工程としては、水洗浄処理を施すことができる。水洗浄処理は、通常、イオン交換水、蒸留水などの純水に延伸フィルムを浸漬することにより行なうことができる。水洗浄温度は、通常3〜50℃、好ましくは4℃〜20℃の範囲である。浸漬時間は通常2〜300秒間、好ましくは3秒〜240秒間である。
洗浄工程は、ヨウ化物溶液による洗浄処理と水洗浄処理を組み合わせてもよく、適宜にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、プロパノール等の液体アルコールを配合した溶液を用いることもできる。
[乾燥工程(S50)]
洗浄工程の後に乾燥工程を行なう。乾燥工程として、任意の適切な方法(たとえば、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥)を採用しうる。乾燥温度は70〜95℃であり、乾燥時間は、通常、1〜15分間程度である。以上の工程により、基材フィルムの上に偏光子層を備えた偏光性積層フィルムが得られる。偏光子層は、樹脂層が上述の一連の工程を経た後に偏光機能を有するようになったものである。この偏光性積層フィルムを、そのまま偏光板として用いることができることは、上述の通りである。以下、図4におけるS60およびS70について詳細に説明する。
[貼合工程(S60)]
ここでは、偏光子層の基材フィルム側の面とは反対側の面に保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る。保護フィルムを貼合する方法としては、粘着剤で偏光子層12と保護フィルム14を貼合する方法、接着剤で偏光子層12面と保護フィルム14を貼合する方法が挙げられる。保護フィルムとして適した材料は、上述の偏光板の構成の説明で述べた通りである。また、使用に適した接着剤、粘着剤の材料、およびこれらを用いて偏光子層12と保護フィルム14を貼合する好ましい方法は、上述の偏光板の構成の説明で述べた通りである。
[剥離工程(S70)]
本実施形態の偏光板の製造方法では、図4に示すように、保護フィルムを偏光子層12に貼合する貼合工程(S60)の後、基材フィルムの剥離工程(S70)を行なう。基材フィルムの剥離工程(S70)では、基材フィルムを多層フィルムから剥離する。基材フィルムの剥離方法は特に限定されるものでなく、通常の粘着剤付偏光板で行われる剥離フィルムの剥離工程と同様の方法で剥離できる。保護フィルムの貼合工程(S60)の後、そのまますぐ剥離してもよいし、一度ロール状に巻き取った後、別に剥離工程を設けて剥離してもよい。
<液晶表示装置>
図1に示す偏光性積層シートを偏光板として備えた液晶表示装置、図2に示す偏光板を備えた液晶表示装置、図3に示す製造方法にて製造された偏光性積層シートを偏光板として備えた液晶表示装置、図4に示す製造方法にて製造された偏光板を備えた液晶表示装置を構成することができる。液晶表示装置の製造は、従来公知の方法にしたがって行なうことができる。すなわち液晶表示装置は、一般に、液晶セル、偏光板、および必要に応じて照明システム等他の構成部品を適宜組み立てて、さらに駆動回路を組むことにより形成されるが、本発明においては上記のような本発明に係る偏光板を用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準ずる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型などの任意のタイプのものを用いることができる。
液晶セルの片側または両側に偏光板を配置して、さらに照明システムにバックライトあるいは反射板を適宜用いて液晶表示装置を構成することができる。このような液晶表示装置において、液晶セルの片側または両側に配置される偏光板の少なくとも一つは、本発明に係る偏光板とする。両側に偏光板を設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置は、上記以外にも、例えば拡散板、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシートなどの適宜の要素を組み合わせて構成することができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<実施例1>
[偏光性積層フィルム]
(基材フィルム)
基材フィルムとして、厚み100μmの未延伸のホモポリプロピレン(PP)フィルムを用いた。
(プライマー層の形成)
ゴーセファイマーZ−200(日本合成化学工業(株)製)を95℃の熱水に溶解させ濃度3重量%の水溶液を調整した。得られた水溶液に架橋剤(住友化学(株)製、商品名:スミレーズ(登録商標)レジン650)をポリビニルアルコール粉末6重量部に対して5重量部を混ぜた。得られた混合水溶液をコロナ処理を施した基材フィルム上に塗工し、80℃で10分間乾燥させ厚み0.2μmのプライマー層を形成した。
(ポリビニルアルコール系樹脂層の形成)
ポリビニルアルコール粉末(クラレ(株)製、平均重合度2400、ケン化度98〜99モル%)を95℃の熱水中に溶解させ濃度8重量%のポリビニルアルコール水溶液を調整した。得られた水溶液を上記プライマー層の上に塗工し80℃で20分間乾燥させ、基材フィルム、プライマー層、樹脂層からなる三層の積層フィルムを作成した。
(染色工程、架橋工程、乾燥工程)
上記積層フィルムをテンター装置を用いて予熱140℃、延伸温度150℃〜160℃の範囲で縦方向の自由端一軸延伸により5.8倍に延伸し延伸フィルムを得た。その後、延伸フィルムを延伸軸方向に60℃の温浴に60秒浸漬し、30℃のヨウ素とヨウ化カリウムの混合水溶液420秒浸漬した後、10℃の純水で余分なヨウ素液を洗い流した。次いで76℃のホウ酸とヨウ化カリウムの混合水溶液に300秒浸漬させた。その後10℃の純水で4秒間洗浄し、90℃で300秒間乾燥させ(乾燥工程)、基材フィルム上に偏光子層を有する偏光性積層フィルムを得た。このような偏光性積層フィルムを2枚作製した。偏光性積層フィルムの偏光子層の厚みは6.6μmであった。2枚の偏光性積層フィルムの内、1枚は下記の偏光板の作製に用い、1枚は下記の寸法伸縮率の測定試験に供した。
[偏光板]
(保護フィルム貼合工程、基材フィルム剥離工程)
上記基積層フィルムの樹脂層側にアルコール系接着剤を塗布した後に保護フィルム(コニカ(株)製、膜厚40μm、TAC)を貼合し80℃で300秒乾燥させ、保護フィルム、偏光子層、プライマー層、基材フィルムの四層からなる多層フィルムを得た。このとき偏光子層にはクラックは見られなかった。結果を表1に示す。
得られた多層フィルムから基材フィルムを剥離した。基材フィルムは容易に剥離され、保護フィルム、偏光子層、プライマー層の三層からなる偏光板を得た。
[寸法伸縮率の測定試験]
上記乾燥工程の後の偏光性積層フィルムを延伸軸方向が長軸となるように幅2mm、長さ50mmにスーパーカッターでカットした。得られた短冊状の試験片について熱機械分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、型式TMA/6100)を用い、30℃から100℃までの昇温に伴う前記延伸軸方向の寸法伸縮率Sを測定した。この測定は、引張り・荷重制御モードにおいて実施し、このときの昇温速度は5℃/分とし、静荷重は19.6mNとした。また引張り用の治具には、SUS製のプローブを使用した。
昇温開始前の30℃における試験片の延伸軸方向における長さL1は10.05mmであり、昇温後の100℃における試験片の延伸軸方向における長さL2を測定し、L2−L1を算出したところ−74.3μmであった。したがって、寸法伸縮率Sは−0.74%であった。表1に結果を示す。
<実施例2>
[偏光性積層フィルム]
乾燥工程における乾燥温度を70℃とした点以外は、実施例1と同様にして基材フィルム上に偏光子層を有する偏光性積層フィルムを2枚作製した。偏光性積層フィルムにおける偏光子層の厚みは6.4μmであった。2枚の偏光性積層フィルムの内、1枚は下記の偏光板の作製に用い、1枚は下記の寸法伸縮率の測定試験に供した。
[偏光板]
1枚の偏光性積層フィルムについて、実施例1と同様に保護フィルムを貼合して多層フィルムを得た。多層フィルムの偏光子層において、クラックは見られなかった。表1に結果を示す。
得られた多層フィルムから基材フィルムを剥離した。基材フィルムは容易に剥離され、保護フィルム、偏光子層、プライマー層の三層からなる偏光板を得た。
[寸法伸縮率の測定試験]
また実施例1と同様に偏光性積層フィルムについて寸法伸縮率を測定したところ、昇温開始前の30℃における試験片の延伸軸方向における長さL1は10.07mmであり、昇温後の100℃における試験片の延伸軸方向における長さL2を測定し、L2−L1を算出したところ−113.6μmであった。したがって、寸法伸縮率Sは−1.13%であった。表1に結果を示す。
<比較例1>
[偏光性積層フィルム]
乾燥工程における乾燥温度を50℃とした点以外は、実施例1と同様にして基材フィルム上に偏光子層を有する偏光性積層フィルムを2枚作製した。偏光性積層フィルムにおける偏光子層の厚みは6.5μmであった。2枚の偏光性積層フィルムの内、1枚は下記の偏光板の作製に用い、1枚は下記の寸法伸縮率の測定試験に供した。
[偏光板]
1枚の偏光性積層フィルムについて、実施例1と同様に保護フィルムを貼合して多層フィルムを得た。多層フィルムの偏光子層において、延伸軸方向にクラックが多数見られた。表1に結果を示す。
[寸法伸縮率の測定試験]
また実施例1と同様に偏光性積層フィルムについて寸法伸縮率を測定したところ、昇温開始前の30℃における試験片の延伸軸方向における長さL1は10.19mmであり、昇温後の100℃における試験片の延伸軸方向における長さL2を測定し、L2−L1を算出したところ−130.9μmであった。したがって、寸法伸縮率Sは−1.29%であった。表1に結果を示す。
Figure 2011221278
表1に示す結果より、乾燥工程における乾燥温度が70℃以上である実施例1、2においては、転写後のクラック発生が観察されなかった。また、実施例1、2における寸法伸縮率Sは−1.25%以上の値であった。
10 偏光性積層フィルム、11 基材フィルム、12 偏光子層、13 偏光板、14 保護フィルム。

Claims (10)

  1. 基材フィルムと前記基材フィルムの一方の面に積層した延伸軸方向に延伸してなる偏光子層とを備える偏光性積層フィルムであって、
    偏光性積層フィルムから切り出した試験片に対する昇温速度5℃/分で30℃から100℃までの昇温に伴う前記延伸軸方向の寸法伸縮率の測定試験において、前記昇温前の30℃における試験片の前記延伸軸方向の長さをL1、前記昇温後の100℃における試験片の前記延伸軸方向の長さをL2とすると、下記式(1)で算出される寸法伸縮率Sが、下記式(2)の関係を満たす、偏光性積層フィルム。
    S={(L2−L1)/L1}×100 式(1)
    −1.25≦S≦0 式(2)
  2. 前記偏光子層は、二色性物質を吸着配向させたポリビニルアルコール系樹脂からなる、請求項1に記載の偏光性積層フィルム。
  3. 前記基材フィルムは、ポリプロピレン系樹脂からなる、請求項1または2に記載の偏光性積層フィルム。
  4. 前記偏光子層は、厚みが10μm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の偏光性積層フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の偏光性積層フィルムの製造方法であって、
    前記基材フィルムの一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程と、
    前記積層フィルムを5倍超の延伸倍率で一軸延伸して延伸フィルムを得る延伸工程と、
    前記延伸フィルムの前記樹脂層を二色性色素で染色して偏光子層を形成し、染色フィルムを得る染色工程と、
    前記染色フィルムの前記偏光子層を架橋剤を含む溶液に浸漬して架橋フィルムを得る架橋工程と、
    前記架橋フィルムを70℃〜95℃の温度範囲で乾燥して偏光性積層フィルムを得る乾燥工程と、をこの順で備える、偏光性積層フィルムの製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の偏光性積層フィルムを用意する工程と、
    前記偏光性積層フィルムの前記偏光子層の前記基材フィルム側の面とは反対側の面に保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る貼合工程と、
    前記多層フィルムから前記基材フィルムを剥離する剥離工程と、をこの順で備える、偏光板の製造方法。
  7. 前記貼合工程において、接着剤層を介して前記保護フィルムを貼合する、請求項6に記載の偏光板の製造方法。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載の偏光性積層フィルムと、液晶セルと、を備える、液晶表示装置。
  9. 請求項5に記載の製造方法により製造された偏光性積層フィルムと、液晶セルと、を備える、液晶表示装置。
  10. 請求項6または7に記載の製造方法により製造された偏光板と、液晶セルと、を備える、液晶表示装置。
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