JP2011128486A - 偏光板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生産性を損なうことなく薄膜な偏光板を供給できる偏光板の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の偏光板の製造方法は、基材フィルムの一方の表面上に第1の樹脂層およびポリビニルアルコール系樹脂よりなる第2の樹脂層をこの順に形成して積層フィルムとする工程(S10)、第2の樹脂層に偏光フィルム化処理を施して偏光フィルムとする工程(S20)、当該偏光フィルムの当該基材フィルム側の面とは反対側の面に保護フィルムを貼合する工程(S30)、当該基材フィルムを当該積層フィルムから剥離する工程(S40)をこの順に備え、工程(S20)は、当該積層フィルムを、一軸延伸する一軸延伸工程(S21)、および第2の樹脂層を、二色性物質を含む染色溶液に浸漬して染色する染色工程(S22)を含む。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の偏光板の製造方法は、基材フィルムの一方の表面上に第1の樹脂層およびポリビニルアルコール系樹脂よりなる第2の樹脂層をこの順に形成して積層フィルムとする工程(S10)、第2の樹脂層に偏光フィルム化処理を施して偏光フィルムとする工程(S20)、当該偏光フィルムの当該基材フィルム側の面とは反対側の面に保護フィルムを貼合する工程(S30)、当該基材フィルムを当該積層フィルムから剥離する工程(S40)をこの順に備え、工程(S20)は、当該積層フィルムを、一軸延伸する一軸延伸工程(S21)、および第2の樹脂層を、二色性物質を含む染色溶液に浸漬して染色する染色工程(S22)を含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、偏光板の製造方法に関する。
偏光板は、液晶表示装置における偏光の供給素子として、また偏光の検出素子として、広く用いられている。かかる偏光板として、従来より、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムにトリアセチルセルロースからなる保護フィルムを接着したものが使用されているが、近年、液晶表示装置のノート型パーソナルコンピュータや携帯電話などモバイル機器への展開、さらには大型テレビへの展開などに伴い、薄肉軽量化が求められている。
偏光板は、通常、偏光フィルムを2枚の保護フィルムで挟む構成となっているが、偏光板の薄肉化のために、保護フィルムを2枚から1枚に減らしたり(特許文献1)、あるいは保護フィルムの厚みを薄くしたりする方法が提案されてきた。更なる薄肉化の要求に対応するためには、保護フィルムのみではなく、偏光フィルムの厚みもより薄くすることが必要となっている。
しかしながら、偏光フィルムの厚みは、原材料であるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの厚みに依存しており、量産品として入手可能なポリビニルアルコール系樹脂フィルムの厚みが約70μm以上であることから、これを延伸して得られる偏光フィルムの厚みは、通常30μm程度である。これ以上の薄膜化は、延伸時のフィルムが破断し易くなる等の生産性の問題があり困難であった。
より薄い偏光フィルムを得る方法としては、特許文献2に示すように、高分子フィルムからなる基材上に直接ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液をコーティングすることでポリビニルアルコール層を設ける方法がある。基材上へのコーティングにより形成するために、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを原料として用いる場合よりも格段に薄いポリビニルアルコール層が得られ、基材とポリビニルアルコール層が一体となっているため延伸時の破断が少ないというメリットがある。
しかしながら、特許文献2では、基材上に直接ポリビニルアルコール層を設けているため、基材とポリビニルアルコール層の密着力が充分でなく、積層フィルム延伸時に、基材からポリビニルアルコール層が剥離する可能性があり、高倍率延伸ができない場合がある。また、染色工程において、通常の偏光板製造時のように染色溶液に浸漬した際にも、同様にポリビニルアルコール層が基材から剥離する可能性があるため、十分に染色ができない場合がある。
本発明は、生産性を損なうことなく薄膜な偏光板を供給できる偏光板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の偏光板の製造方法は、基材フィルムの一方の表面上に第1の樹脂層およびポリビニルアルコール系樹脂よりなる第2の樹脂層をこの順に形成して積層フィルムとする樹脂層形成工程、第2の樹脂層に偏光フィルム化処理を施して偏光フィルムとする偏光フィルム化処理工程、当該偏光フィルムの当該基材フィルム側の面とは反対側の面に保護フィルムを貼合する保護フィルム貼合工程、当該基材フィルムを当該積層フィルムから剥離する基材フィルム剥離工程をこの順に備え、当該偏光フィルム化処理工程は、当該積層フィルムを、一軸延伸する一軸延伸工程、および第2の樹脂層を、二色性物質を含む染色溶液に浸漬して染色する染色工程を含む。
上記樹脂層形成工程においては、第1の樹脂層の表面上にポリビニルアルコール系樹脂溶液を塗工して第2の樹脂層を形成することが好ましい。
上記樹脂層形成工程においては、厚さが0.05μm〜1μmとなるように第1の樹脂層を形成することが好ましい。
上記樹脂層形成工程においては、厚さが3μm超かつ30μm以下となるように第2の樹脂層を形成することが好ましい。
第1の樹脂層は、好ましくはポリビニルアルコール系樹脂よりなる。
上記一軸延伸工程においては、好ましくは5倍超の延伸倍率で一軸延伸する。
上記一軸延伸工程においては、好ましくは5倍超の延伸倍率で一軸延伸する。
上記基材フィルムは、好ましくは、ポリプロピレン系樹脂からなる。
第2の樹脂層を形成する上記ポリビニルアルコール系樹脂は、平均ケン化度が98モル%以上のものが好ましい。
第2の樹脂層を形成する上記ポリビニルアルコール系樹脂は、平均ケン化度が98モル%以上のものが好ましい。
本発明の製造方法によれば、薄い偏光板が得られ、さらに高倍率に延伸することができるので光学性能の良好な偏光板が得られる。
以下、図面を参照して本発明の偏光板の製造方法の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の偏光板の製造方法を示すフローチャートである。図1に示すように、本発明の偏光板の製造方法は、基材フィルムの一方の表面上に第1の樹脂層およびポリビニルアルコール系樹脂よりなる第2の樹脂層をこの順に形成して積層フィルムとする樹脂層形成工程(S10)、第2の樹脂層に偏光フィルム化処理を施して偏光フィルムとする偏光フィルム化処理工程(S20)、偏光フィルムの基材フィルム側の面とは反対側の面に保護フィルムを貼合する保護フィルム貼合工程(S30)、基材フィルムを積層フィルムから剥離する基材フィルム剥離工程(S40)をこの順に備える。偏光フィルム化処理工程(S20)は、積層フィルムを、一軸延伸する一軸延伸工程(S21)、および第2の樹脂層を、二色性物質で染色する染色工程(S22)を含む。すなわち、偏光フィルム化処理工程(S20)における偏光フィルム化処理は、一軸延伸する処理と、二色性物質で染色する処理とを含む。偏光フィルム化処理工程(S20)において、一軸延伸工程(S21)および染色工程(S22)は、この順に限定されることはなく、染色工程(S22)の後に一軸延伸工程(S21)を行っても、一軸延伸工程(S21)と染色工程(S22)とを同時に行ってもよい。
[基材フィルム]
本発明で用いられる基材フィルムの材料としては、たとえば、透明性、機械的強度、熱安定性、延伸性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、セルローストリアセテート等のセルロースエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、およびこれらの混合物などが挙げられる。基材フィルムの材料として、セルロースエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂および(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される少なくともいずれか1つが含まれることが好ましい。
本発明で用いられる基材フィルムの材料としては、たとえば、透明性、機械的強度、熱安定性、延伸性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、セルローストリアセテート等のセルロースエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、およびこれらの混合物などが挙げられる。基材フィルムの材料として、セルロースエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂および(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される少なくともいずれか1つが含まれることが好ましい。
セルロースエステル系樹脂は、セルロースと脂肪酸のエステルである。このようセルロースエステル系樹脂の具体例としては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートなどが挙げられる。これらの中でも、セルローストリアセテートが特に好ましい。セルローストリアセテートは多くの製品が市販されており、入手容易性やコストの点でも有利である。セルローストリアセテートの市販品の例としては、フジタック(登録商標)TD80(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD80UF(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD80UZ(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD40UZ(富士フィルム(株)製)、KC8UX2M(コニカミノルタオプト(株)製)、KC4UY(コニカミノルタオプト(株)製)などが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。ポリプロピレンからなる基材フィルムを用いた場合、安定的に高倍率に延伸しやすく好ましい。環状ポリオレフィン系樹脂としては、好ましくはノルボルネン系樹脂が用いられる。環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、たとえば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。具体例としては、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα−オレフィンとその共重合体(代表的にはランダム共重合体)、およびこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、ならびにそれらの水素化物などが挙げられる。環状オレフィンの具体例としては、ノルボルネン系モノマーが挙げられる。
環状ポリオレフィン系樹脂としては種々の製品が市販されている。具体例としては、Topas(登録商標)(Ticona社製)、アートン(登録商標)(JSR(株)製)、ゼオノア(ZEONOR)(登録商標)(日本ゼオン(株)製)、ゼオネックス(ZEONEX)(登録商標)(日本ゼオン(株)製)、アペル(登録商標)(三井化学(株)製)が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用し得る。たとえば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(たとえば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)が挙げられる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキルが挙げられる。(メタ)アクリル系樹脂として、より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が用いられる。
基材フィルムには、上記の熱可塑性樹脂の他に、任意の適切な添加剤が添加されていてもよい。このような添加剤としては、たとえば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、および着色剤などが挙げられる。基材フィルム中の上記にて例示した熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。基材フィルム中の熱可塑性樹脂の含有量が50重量%未満の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現されないおそれがあるからである。
基材フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性の点から1〜500μmが好ましく、1〜300μmがより好ましく、さらには5〜200μmが好ましい。基材フィルムの厚さは、5〜150μmが最も好ましい。
基材フィルムは、第1の樹脂層との密着性を向上させるために、少なくとも第1の樹脂層が形成される側の表面に、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理等を行ってもよい。
[樹脂層形成工程]
図1に示す樹脂層形成工程(S10)においては、基材フィルムの一方の表面上に第1の樹脂層およびポリビニルアルコール系樹脂よりなる第2の樹脂層をこの順に形成して積層フィルムとする。第1の樹脂層は、基材フィルムと第2の樹脂層と両方にある程度強い密着力を発揮し、後述の工程において第2の樹脂層の剥離を防止する機能を有する。
図1に示す樹脂層形成工程(S10)においては、基材フィルムの一方の表面上に第1の樹脂層およびポリビニルアルコール系樹脂よりなる第2の樹脂層をこの順に形成して積層フィルムとする。第1の樹脂層は、基材フィルムと第2の樹脂層と両方にある程度強い密着力を発揮し、後述の工程において第2の樹脂層の剥離を防止する機能を有する。
(第1の樹脂層)
本発明における第1の樹脂層の形成に用いられる樹脂としては、基材フィルムと第2の樹脂層との両方にある程度強い密着力を発揮する材料であれば特に限定されない。たとえば、透明性、熱安定性、延伸性などに優れる熱可塑樹脂が用いられる。具体的にはアクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂が挙げられる。中でも、第1の樹脂層の上に設けられるポリビニルアルコール系樹脂より形成される第2の樹脂層と密着性がよい、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましく用いられる。
本発明における第1の樹脂層の形成に用いられる樹脂としては、基材フィルムと第2の樹脂層との両方にある程度強い密着力を発揮する材料であれば特に限定されない。たとえば、透明性、熱安定性、延伸性などに優れる熱可塑樹脂が用いられる。具体的にはアクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂が挙げられる。中でも、第1の樹脂層の上に設けられるポリビニルアルコール系樹脂より形成される第2の樹脂層と密着性がよい、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましく用いられる。
第1の樹脂層の形成に使用されるポリビニルアルコール系樹脂としては、たとえば、ポリビニルアルコール樹脂およびその誘導体が挙げられる。ポリビニルアルコール樹脂の誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタールなどの他、ポリビニルアルコール樹脂をエチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のアルキルエステル、アクリルアミドなどで変性したものが挙げられる。上述のポリビニルアルコール系樹脂材料の中でも、ポリビニルアルコール樹脂を用いるのが好ましい。
第1の樹脂層の強度を上げるために上記の熱可塑性樹脂に架橋剤を添加してもよい。樹脂に添加する架橋剤は、有機系、無機系など公知のものを使用することができる。使用する熱可塑性樹脂に対して、より適切なものを適宜選択すればよい。熱可塑性樹脂としてポリビニルアルコール系樹脂を使用する場合は、エポキシ系の架橋剤が好ましい。
第1の樹脂層の厚みは、0.05〜1μmが好ましい。さらに好ましくは0.1〜0.4μmである。0.05μmより薄くなると基材フィルムとポリビニルアルコール層との密着力が低下してしまい、1μmより厚くなると、偏光板が厚くなるため好ましくない。
(第2の樹脂層)
第2の樹脂層を形成するポリビニルアルコール系樹脂としては、たとえば、ポリビニルアルコール樹脂およびその誘導体が挙げられる。ポリビニルアルコール樹脂の誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタールなどの他、ポリビニルアルコール樹脂をエチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のアルキルエステル、アクリルアミドなどで変性したものが挙げられる。上述のポリビニルアルコール系樹脂材料の中でも、ポリビニルアルコール樹脂を用いるのが好ましい。
第2の樹脂層を形成するポリビニルアルコール系樹脂としては、たとえば、ポリビニルアルコール樹脂およびその誘導体が挙げられる。ポリビニルアルコール樹脂の誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタールなどの他、ポリビニルアルコール樹脂をエチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のアルキルエステル、アクリルアミドなどで変性したものが挙げられる。上述のポリビニルアルコール系樹脂材料の中でも、ポリビニルアルコール樹脂を用いるのが好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、100〜10000が好ましく、1000〜10000がより好ましい。平均重合度が100未満では好ましい光学特性を得るのが困難である。10000超では水への溶解性が悪化し樹脂層の形成が困難になってしまう。ポリビニルアルコール系樹脂の平均ケン化度は、80〜100モル%が好ましく、98モル%以上がさらに好ましい。平均ケン化度が80モル%未満では、好ましい光学特性を得るのが困難である。
上述のポリビニルアルコール系樹脂中には、必要に応じて、可塑剤、界面活性剤等の添加剤が添加されていてもよい。可塑剤としては、ポリオールおよびその縮合物などを用いることができ、たとえばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどが例示される。添加剤の配合量は、特に制限されないがポリビニルアルコール系樹脂中20重量%以下とするのが好適である。
第2の樹脂層の厚みは、3μm超かつ30μm以下が好ましく、さらには5〜20μmが好ましい。3μm以下であると延伸後に薄くなりすぎて染色性が著しく悪化してしまい、30μmを超えると、偏光板の厚みが厚くなるので好ましくない。
(第1の樹脂層および第2の樹脂層の形成方法)
第1の樹脂層は、好ましくは、使用する熱可塑性樹脂の粉末を良溶媒に溶解させて得た溶液を基材フィルムの一方の表面上に塗工し、溶剤を蒸発させることにより形成される。第2の樹脂層は、好ましくは、ポリビニルアルコール系樹脂の粉末を良溶媒に溶解させて得たポリビニルアルコール系樹脂溶液を第1の樹脂層の基材フィルム側の面とは反対側の面上に塗工し、溶剤を蒸発させることにより形成される。第1の樹脂層および第2の樹脂層は、このように形成することにより、所望の薄さに形成することが可能となる。
第1の樹脂層は、好ましくは、使用する熱可塑性樹脂の粉末を良溶媒に溶解させて得た溶液を基材フィルムの一方の表面上に塗工し、溶剤を蒸発させることにより形成される。第2の樹脂層は、好ましくは、ポリビニルアルコール系樹脂の粉末を良溶媒に溶解させて得たポリビニルアルコール系樹脂溶液を第1の樹脂層の基材フィルム側の面とは反対側の面上に塗工し、溶剤を蒸発させることにより形成される。第1の樹脂層および第2の樹脂層は、このように形成することにより、所望の薄さに形成することが可能となる。
第1の樹脂層、第2の樹脂層を形成するために樹脂溶液を基材フィルム上または第1の樹脂層上に塗工する方法としては、ワイヤーバーコーティング法、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法などを公知の方法から適宜選択して採用できる。乾燥温度は、たとえば50〜200℃であり、好ましくは60〜150℃である。乾燥時間は、たとえば5〜30分である。
[偏光フィルム化処理工程]
(一軸延伸工程)
図1に示す一軸延伸工程(S21)では、基材フィルム、第1の樹脂層および第2の樹脂層からなる積層フィルムを一軸延伸する。積層フィルムの元長に対して、好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは5倍超の延伸倍率となるように一軸延伸する。また、上限に関しては、好ましくは17倍以下、さらに好ましくは8倍以下の延伸倍率となるように一軸延伸する。延伸倍率が5倍以下だと、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の樹脂層が十分に配向しないため、結果として、偏光フィルムの偏光度が十分に高くならない場合がある。延伸倍率が1.5倍よりも低いと、偏光フィルムの偏光度が低く好ましくない。一方、延伸倍率が17倍を超えると延伸時の積層フィルムの破断が生じ易くなると同時に、積層フィルムの厚みが必要以上に薄くなり、後工程での加工性・ハンドリング性が低下するおそれがある。一軸延伸工程(S21)における延伸処理は、一段での延伸に限定されることはなく多段で行うこともできる。多段で行う場合は、延伸処理の全段合計の延伸倍率を一軸延伸の倍率とする。
(一軸延伸工程)
図1に示す一軸延伸工程(S21)では、基材フィルム、第1の樹脂層および第2の樹脂層からなる積層フィルムを一軸延伸する。積層フィルムの元長に対して、好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは5倍超の延伸倍率となるように一軸延伸する。また、上限に関しては、好ましくは17倍以下、さらに好ましくは8倍以下の延伸倍率となるように一軸延伸する。延伸倍率が5倍以下だと、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の樹脂層が十分に配向しないため、結果として、偏光フィルムの偏光度が十分に高くならない場合がある。延伸倍率が1.5倍よりも低いと、偏光フィルムの偏光度が低く好ましくない。一方、延伸倍率が17倍を超えると延伸時の積層フィルムの破断が生じ易くなると同時に、積層フィルムの厚みが必要以上に薄くなり、後工程での加工性・ハンドリング性が低下するおそれがある。一軸延伸工程(S21)における延伸処理は、一段での延伸に限定されることはなく多段で行うこともできる。多段で行う場合は、延伸処理の全段合計の延伸倍率を一軸延伸の倍率とする。
一軸延伸工程(S21)においては、積層フィルムの長手方向に対して行う縦延伸処理が好ましい。縦延伸方式としては、ロール間延伸方法、圧縮延伸方法、テンターを用いた延伸方法などが挙げられる。延伸処理は、縦延伸処理に限定されることはなく、斜め延伸処理等であってもよい。
また、延伸処理は、湿潤式延伸方法と乾式延伸方法のいずれも採用できるが、乾式延伸方法を用いる方が、積層フィルムを延伸する際の温度を広い範囲から選択することができる点で好ましい。乾式延伸方法では、通常、積層フィルムを50〜200℃、好ましくは100〜180℃に加熱した状態で延伸処理が行われる。
(染色工程)
図1に示す染色工程(S22)では、積層フィルムの第2の樹脂層を、二色性物質で染色する。二色性物質としては、たとえば、ヨウ素や有機染料などが挙げられる。有機染料としては、たとえば、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンイエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、イエロー3G、イエローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラックなどが使用できる。これらの二色性物質は、一種類でも良いし、二種類以上を併用して用いても良い。
図1に示す染色工程(S22)では、積層フィルムの第2の樹脂層を、二色性物質で染色する。二色性物質としては、たとえば、ヨウ素や有機染料などが挙げられる。有機染料としては、たとえば、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンイエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、イエロー3G、イエローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラックなどが使用できる。これらの二色性物質は、一種類でも良いし、二種類以上を併用して用いても良い。
染色工程は、たとえば、上記二色性物質を含有する溶液(染色溶液)に、基材フィルム、第1の樹脂層および第2の樹脂層からなる積層フィルム全体を浸漬することにより行う。なお、第2の樹脂層が染色溶液に浸漬されれば十分であるが、処理の容易性の点から積層フィルム全体を染色溶液に浸漬する処理を行うことが好ましい。染色溶液としては、上記二色性物質を溶媒に溶解した溶液を使用できる。染色溶液の溶媒としては、一般的には水が使用されるが、水と相溶性のある有機溶媒がさらに添加されても良い。二色性物質の濃度としては、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.02〜7重量%であることがより好ましく、0.025〜5重量%であることが特に好ましい。
二色性物質としてヨウ素を使用する場合、染色効率をより一層向上できることから、さらにヨウ化物を添加することが好ましい。このヨウ化物としては、たとえば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタンなどが挙げられる。これらヨウ化物の添加割合は、染色溶液において、0.01〜10重量%であることが好ましい。ヨウ化物の中でも、ヨウ化カリウムを添加することが好ましい。ヨウ化カリウムを添加する場合、ヨウ素とヨウ化カリウムの割合は重量比で、1:5〜1:100の範囲にあることが好ましく、1:6〜1:80の範囲にあることがより好ましく、1:7〜1:70の範囲にあることが特に好ましい。
染色溶液への積層フィルムの浸漬時間は、特に限定されないが、通常は15秒〜15分間の範囲であることが好ましく、1分〜3分間であることがより好ましい。また、染色溶液の温度は、10〜60℃の範囲にあることが好ましく、20〜40℃の範囲にあることがより好ましい。なお、染色工程においては、積層フィルムを染色溶液に浸漬する前に、まず温浴に浸漬させて、第2の樹脂層を形成するポリビニルアルコール系樹脂を膨潤させてから染色溶液に浸漬させる方が均一に染色されやすく好ましい。この場合、温浴の温度は、15〜70℃が好ましく、また浸漬時間はたとえば10〜300秒とすることができる。
染色工程においては、積層フィルムのポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の樹脂層に、二色性物質が吸着されて、二色性物質が配向される。染色工程(S22)は、一軸延伸工程(S21)の前、同時または後に行うことができるが、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の樹脂層に吸着させた二色性物質を良好に配向させる点から、積層フィルムに一軸延伸工程(S21)を施した後に行うのが好ましい。
(その他の工程)
図1に示す偏光フィルム化処理工程(S20)において、一軸延伸工程(S21)および染色工程(S22)に加えて、架橋工程を行うことができる。架橋工程は、たとえば、架橋剤を含む溶液(架橋溶液)中に積層フィルムを浸漬することにより行うことができる。架橋剤としては、従来公知の物質を使用することができる。たとえば、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物や、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどが挙げられる。これらは一種類でも良いし、二種類以上を併用しても良い。
図1に示す偏光フィルム化処理工程(S20)において、一軸延伸工程(S21)および染色工程(S22)に加えて、架橋工程を行うことができる。架橋工程は、たとえば、架橋剤を含む溶液(架橋溶液)中に積層フィルムを浸漬することにより行うことができる。架橋剤としては、従来公知の物質を使用することができる。たとえば、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物や、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどが挙げられる。これらは一種類でも良いし、二種類以上を併用しても良い。
架橋溶液として、架橋剤を溶媒に溶解した溶液を使用できる。溶媒としては、たとえば水が使用できるが、さらに、水と相溶性のある有機溶媒を含んでも良い。架橋溶液における架橋剤の濃度は、これに限定されるものではないが、1〜10重量%の範囲にあることが好ましく、2〜6重量%であることがより好ましい。
架橋溶液中には、ヨウ化物を添加してもよい。ヨウ化物の添加により、第2の樹脂層の面内における偏光特性をより均一化させることができる。ヨウ化物としては、たとえば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタンが挙げられる。ヨウ化物の含有量は、0.05〜15重量%、より好ましくは0.5〜8重量%である。
架橋溶液への積層フィルムの浸漬時間は、通常、15秒〜20分間であることが好ましく、30秒〜15分間であることがより好ましい。また、架橋溶液の温度は、10〜80℃の範囲にあることが好ましい。
架橋工程は、架橋剤を染色溶液中に配合することにより、架橋工程と染色工程(S22)とを同時に行うこともできる。また、架橋工程と一軸延伸工程(S21)とを同時に行ってもよい。
偏光フィルム化処理工程(S20)においては、最後に洗浄工程および乾燥工程を行うことが好ましい。洗浄工程としては、水洗浄処理を施すことができる。水洗浄処理は、通常、イオン交換水、蒸留水などの純水に一軸延伸工程(S21)および染色工程(S22)を経た積層フィルムを浸漬することにより行うことができる。水洗浄温度は、通常3〜50℃、好ましくは4℃〜20℃の範囲である。浸漬時間は通常2〜300秒間、好ましくは5秒〜240秒間である。
洗浄工程は、ヨウ化物溶液による洗浄処理と水洗浄処理を組み合わせてもよく、適宜にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、プロパノール等の液体アルコールを配合した溶液を用いることもできる。
洗浄工程の後に、乾燥工程を施すことが好ましい。乾燥工程として、任意の適切な方法(たとえば、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥)を採用しうる。たとえば、加熱乾燥の場合の乾燥温度は、通常、20〜95℃であり、乾燥時間は、通常、1〜15分間程度である。以上の偏光フィルム化処理工程(S20)により、第2の樹脂層が偏光フィルムとしての機能を有することになる。本明細書においては、偏光フィルム化処理工程(S20)を経た第2の樹脂層を偏光フィルムとも言う。
[保護フィルム貼合工程]
図1に示す保護フィルム貼合工程(S30)では、偏光フィルムの基材フィルム側の面とは反対側の面に保護フィルムを貼合する。保護フィルムを貼合する方法としては、粘着剤で偏光フィルムと保護フィルムを貼合する方法、接着剤で偏光フィルム面と保護フィルムを貼合する方法が挙げられる。
図1に示す保護フィルム貼合工程(S30)では、偏光フィルムの基材フィルム側の面とは反対側の面に保護フィルムを貼合する。保護フィルムを貼合する方法としては、粘着剤で偏光フィルムと保護フィルムを貼合する方法、接着剤で偏光フィルム面と保護フィルムを貼合する方法が挙げられる。
(保護フィルム)
本発明に用いられる保護フィルムとしては、環状ポリオレフィン系樹脂フィルム、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのような樹脂からなる酢酸セルロース系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのような樹脂からなるポリエステル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルムなど、当分野において従来より広く用いられてきているフィルムを挙げることができる。
本発明に用いられる保護フィルムとしては、環状ポリオレフィン系樹脂フィルム、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのような樹脂からなる酢酸セルロース系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのような樹脂からなるポリエステル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルムなど、当分野において従来より広く用いられてきているフィルムを挙げることができる。
環状ポリオレフィン系樹脂としては、適宜の市販品、例えば、Topas(登録商標)(Ticona社製)、アートン(登録商標)(JSR(株)製)、ゼオノア(ZEONOR)(登録商標)(日本ゼオン(株)製)、ゼオネックス(登録商標)(ZEONEX)(日本ゼオン(株)製)、アペル(登録商標)(三井化学(株)製)を好適に用いることができる。このような環状ポリオレフィン系樹脂を製膜してフィルムとする際には、溶剤キャスト法、溶融押出法などの公知の方法が適宜用いられる。また、エスシーナ(登録商標)(積水化学工業(株)製)、SCA40(積水化学工業(株)製)、ゼオノア(登録商標)フィルム((株)オプテス製)などの予め製膜された環状ポリオレフィン系樹脂製のフィルムの市販品を用いてもよい。
環状ポリオレフィン系樹脂フィルムは、一軸延伸又は二軸延伸されたものであってもよい。延伸することで、環状ポリオレフィン系樹脂フィルムに任意の位相差値を付与することができる。延伸は、通常、フィルムロールを巻き出しながら連続的に行われ、加熱炉にて、ロールの進行方向、その進行方向と垂直の方向、またはその両方へ延伸される。加熱炉の温度は、通常、環状ポリオレフィン系樹脂のガラス転移温度近傍からガラス転移温度+100℃までの範囲である。延伸の倍率は、一つの方向につき通常1.1〜6倍、好ましくは1.1〜3.5倍である。
環状ポリオレフィン系樹脂フィルムは、一般に表面活性が劣るため、偏光フィルムと接着させる表面には、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を行うのが好ましい。中でも、比較的容易に実施可能なプラズマ処理、コロナ処理が好適である。
酢酸セルロース系樹脂フィルムとしては、適宜の市販品、たとえば、フジタック(登録商標)TD80(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD80UF(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD80UZ(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD40UZ(富士フィルム(株)製)、KC8UX2M(コニカミノルタオプト(株)製)、KC4UY(コニカミノルタオプト(株)製)を好適に用いることができる。
酢酸セルロース系樹脂フィルムの表面には、視野角特性を改良するために液晶層などを形成してもよい。また、位相差を付与するため酢酸セルロース系樹脂フィルムを延伸させたものでもよい。酢酸セルロース系樹脂フィルムは、偏光フィルムとの接着性を高めるため、通常はケン化処理が施される。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリの水溶液に浸漬する方法が採用できる。
上述したような保護フィルムは、ロール状態にあると、フィルム同士が接着してブロッキングを生じ易い傾向にあるので、好ましくは、ロール端部に凹凸加工を施したり、端部にリボンを挿入したり、プロテクトフィルムを貼合したりして、ロール巻きされる。
保護フィルムの厚みは薄いものが好ましいが、薄すぎると、強度が低下し、加工性に劣る。一方、厚すぎると、透明性が低下したり、積層後に必要な養生時間が長くなったりするなどの問題が生じる。したがって、保護フィルムの厚みは、80μm以下が好ましく、より好ましくは5〜60μmである。また、市場からはパネル、モジュールを含めた薄型化への要求があるため、偏光板に関しても薄さが求められていることから、偏光フィルムと保護フィルムの合計の厚みが100μm以下であることが好ましく、より好ましくは90μm以下、さらに好ましくは80μm以下である。
また、保護フィルム表面に、直接、ハードコート層、防眩層、反射防止層などの光学層を形成することもできる。保護フィルム表面にこれらの光学層を形成する方法はとくに限定されず、公知の方法を用いることができる。
(粘着剤)
保護フィルムと偏光フィルムとの貼合に用いられる粘着剤は、通常、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂などをベースポリマーとし、そこに、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物などの架橋剤を加えた組成物からなる。さらに微粒子を含有して光散乱性を示す粘着剤層とすることもできる。
保護フィルムと偏光フィルムとの貼合に用いられる粘着剤は、通常、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂などをベースポリマーとし、そこに、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物などの架橋剤を加えた組成物からなる。さらに微粒子を含有して光散乱性を示す粘着剤層とすることもできる。
粘着剤層の厚みは1〜40μmであることが好ましいが、加工性、耐久性の特性を損なわない範囲で、薄く塗るのが好ましく、より好ましくは3〜25μmである。3〜25μmであると良好な加工性を有し、かつ偏光フィルムの寸法変化を押さえる上でも好適な厚みである。粘着剤層が1μm未満であると粘着性が低下し、40μmを超えると粘着剤がはみ出すなどの不具合を生じ易くなる。
粘着剤により保護フィルムを偏光フィルムに貼合する方法においては、保護フィルム面に粘着剤層を設けた後、偏光フィルムに貼合してもよいし、偏光フィルム面に粘着剤層を設けた後、ここに保護フィルムを貼合してもよい。
粘着剤層を形成する方法は特に限定されるものではなく、保護フィルム面、もしくは偏光フィルム面に、上記したベースポリマーをはじめとする各成分を含む溶液を塗布し、乾燥して粘着剤層を形成した後、保護フィルムと偏光フィルムとを貼り合わせてもよいし、セパレータ上に粘着剤層を形成した後、保護フィルム面もしくは偏光フィルム面に転写して積層してもよい。また、粘着剤層を保護フィルムもしくは偏光フィルム面に形成する際には必要に応じて保護フィルムもしくは偏光フィルム面、または粘着剤の片方若しくは両方に密着処理、たとえば、コロナ処理等を施してもよい。
(接着剤)
保護フィルムと偏光フィルムとの貼合に用いられる接着剤は、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤などを用いた水系接着剤が挙げられる。保護フィルムとしてケン化処理などで親水化処理された酢酸セルロース系フィルムを用いる場合、偏光フィルムとの貼合用の水系接着剤として、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液が好適に用いられる。接着剤として用いるポリビニルアルコール系樹脂には、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるビニルアルコール系共重合体、さらにはそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体などがある。水系接着剤には、多価アルデヒド、水溶性エポキシ化合物、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物などが添加剤として添加されてもよい。このような水系の接着剤を用いた場合、それから得られる接着剤層は、通常1μm以下となり、通常の光学顕微鏡で断面を観察しても、その接着剤層は事実上観察されない。
保護フィルムと偏光フィルムとの貼合に用いられる接着剤は、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤などを用いた水系接着剤が挙げられる。保護フィルムとしてケン化処理などで親水化処理された酢酸セルロース系フィルムを用いる場合、偏光フィルムとの貼合用の水系接着剤として、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液が好適に用いられる。接着剤として用いるポリビニルアルコール系樹脂には、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるビニルアルコール系共重合体、さらにはそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体などがある。水系接着剤には、多価アルデヒド、水溶性エポキシ化合物、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物などが添加剤として添加されてもよい。このような水系の接着剤を用いた場合、それから得られる接着剤層は、通常1μm以下となり、通常の光学顕微鏡で断面を観察しても、その接着剤層は事実上観察されない。
水系接着剤を用いて偏光フィルムと保護フィルムとを貼合する方法は特に限定されるものではなく、たとえば偏光フィルムおよび/または保護フィルムの表面に接着剤を均一に塗布し、塗布面にもう一方のフィルムを重ねてロールなどにより貼合し、乾燥する方法などが挙げられる。通常、接着剤は、その調製後、15〜40℃の温度下で塗布され、貼合温度は、通常15〜30℃の範囲である。
水系接着剤を使用する場合は、偏光フィルムと保護フィルムとを貼合した後、水系接着剤中に含まれる水を除去するため、積層フィルムを乾燥させる。乾燥炉の温度は、30℃〜90℃が好ましい。30℃未満であると偏光フィルム面と保護フィルム面が剥離しやすくなる傾向がある。90℃以上であると熱によって光学性能が劣化するおそれがある。乾燥時間は10〜1000秒とすることができ、特に生産性の観点からは、好ましくは60〜750秒、更に好ましくは150〜600秒である。
乾燥後はさらに、室温またはそれよりやや高い温度、たとえば、20〜45℃程度の温度で12〜600時間程度養生しても良い。養生のときの温度は、乾燥時に採用した温度よりも低く設定されるのが一般的である。
また偏光フィルムと保護フィルムを貼合する際の接着剤として、光硬化性接着剤を用いることもできる。光硬化性接着剤としては、たとえば、光硬化性エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤との混合物などを挙げることができる。
偏光フィルムと保護フィルムを光硬化性接着剤にて貼合する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、たとえば、流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、カンマコーター法、ドクタープレート法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法などにより、偏光フィルムおよび/または保護フィルムの接着面に接着剤を塗布し、両者を重ね合わせる方法が挙げられる。流延法とは、被塗布物である偏光フィルムまたは保護フィルムを、概ね垂直方向、概ね水平方向、または両者の間の斜め方向に移動させながら、その表面に接着剤を流下して拡布させる方法である。
偏光フィルムまたは保護フィルムの表面に接着剤を塗布した後、偏光フィルムおよび保護フィルムを接着剤塗布面を介してニップロールなどで挟んで貼り合わせることにより接着される。また、偏光フィルムと保護フィルムとを重ね合わせた状態で偏光フィルムと保護フィルムとの間に接着剤を滴下した後、この積層フィルムをロール等で加圧して均一に押し広げる方法も好適に使用することができる。この場合、ロールの材質としては金属やゴム等を用いることが可能である。さらに、偏光フィルムと保護フィルムの間に接着剤を滴下した後、この積層フィルムをロールとロールとの間に通し、加圧して押し広げる方法も好ましく採用される。この場合、これらロールは同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。上記ニップロール等を用いて貼り合わされた後の接着剤層の、乾燥または硬化前の厚さは、5μm以下かつ0.01μm以上であることが好ましい。
偏光フィルムおよび/または保護フィルムの接着表面には、接着性を向上させるために、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を適宜施してもよい。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリの水溶液に浸漬する方法が挙げられる。
接着剤として光硬化性樹脂を用いた場合は、偏光フィルムと保護フィルムとを接合後、活性エネルギー線を照射することによって光硬化性接着剤を硬化させる。活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する活性エネルギー線が好ましく、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが好ましく用いられる。
光硬化性接着剤への光照射強度は、光硬化性接着剤の組成によって適宜決定され、特に限定されないが、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜6000mW/cm2であることが好ましい。照射強度が0.1mW/cm2以上である場合、反応時間が長くなりすぎず、6000mW/cm2以下である場合、光源から輻射される熱および光硬化性接着剤の硬化時の発熱によるエポキシ樹脂の黄変や偏光フィルムの劣化を生じるおそれが少ない。光硬化性接着剤への光照射時間は、硬化させる光硬化性接着剤に応じて適用されるものであって特に限定されないが、上記の照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜10000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。光硬化性接着剤への積算光量が10mJ/cm2以上である場合、重合開始剤由来の活性種を十分量発生させて硬化反応をより確実に進行させることができ、10000mJ/cm2以下である場合、照射時間が長くなりすぎず、良好な生産性を維持できる。なお、活性エネルギー線照射後の接着剤層の厚みは、通常0.001〜5μm程度であり、好ましくは0.01μm以上でかつ2μm以下、さらに好ましくは0.01μm以上でかつ1μm以下である。
活性エネルギー線の照射によって光硬化性接着剤を硬化させる場合、偏光フィルムの偏光度、透過率および色相、ならびに保護フィルムの透明性など、偏光板の諸機能が低下しない条件で硬化を行うことが好ましい。
[基材フィルム剥離工程]
本発明の偏光板の製造方法では、図1に示すように、保護フィルムを偏光フィルムに貼合する保護フィルム貼合工程(S30)の後、基材フィルム剥離工程(S40)を行う。基材フィルム剥離工程(S40)では、基材フィルムを積層フィルムから剥離する。基材フィルムの剥離方法は特に限定されるものでなく、通常の粘着剤付偏光板で行われる剥離フィルムの剥離工程と同様の方法で剥離できる。保護フィルム貼合工程(S30)の後、そのまますぐ剥離してもよいし、保護フィルムを貼合工程(S30)の後、一度ロール状に巻き取った後、後工程で巻き出しながら剥離してもよい。
本発明の偏光板の製造方法では、図1に示すように、保護フィルムを偏光フィルムに貼合する保護フィルム貼合工程(S30)の後、基材フィルム剥離工程(S40)を行う。基材フィルム剥離工程(S40)では、基材フィルムを積層フィルムから剥離する。基材フィルムの剥離方法は特に限定されるものでなく、通常の粘着剤付偏光板で行われる剥離フィルムの剥離工程と同様の方法で剥離できる。保護フィルム貼合工程(S30)の後、そのまますぐ剥離してもよいし、保護フィルムを貼合工程(S30)の後、一度ロール状に巻き取った後、後工程で巻き出しながら剥離してもよい。
基材フィルムが積層フィルムから剥離されるに際して、基材フィルムは、基材フィルムと第1の樹脂層との接着面で剥離されてもよいし、第1の樹脂層と第2の樹脂層との接着面で剥離されてもよい。後者の場合、基材フィルムとともに第1の樹脂層も、積層フィルムから剥離される。前者のように剥離されるか、あるいは後者のように剥離されるかは、基材フィルム、第1の樹脂層および第2の樹脂層の各層間の接着強度による。第1の樹脂層において、第2の樹脂層と同じく、ポリビニルアルコール系樹脂が用いられている場合、第2の樹脂層との接着強度が高く、したがって、基材フィルムは、基材フィルムと第1の樹脂層との接着面で剥離される可能性が高い。
[他の光学層]
以上のようして製造される本発明の偏光板は、実用に際して他の光学層を積層した光学フィルムとして用いることができる。また、上記保護フィルムがこれらの光学層の機能を有していてもよい。他の光学層の例としては、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルム、表面に凹凸形状を有する防眩機能付きフィルム、表面反射防止機能付きフィルム、表面に反射機能を有する反射フィルム、反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルム、視野角補償フィルムが挙げられる。
以上のようして製造される本発明の偏光板は、実用に際して他の光学層を積層した光学フィルムとして用いることができる。また、上記保護フィルムがこれらの光学層の機能を有していてもよい。他の光学層の例としては、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルム、表面に凹凸形状を有する防眩機能付きフィルム、表面反射防止機能付きフィルム、表面に反射機能を有する反射フィルム、反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルム、視野角補償フィルムが挙げられる。
ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルムに相当する市販品としては、例えばDBEF(3M社製、住友スリーエム(株)から入手可能)、APF(3M社製、住友スリーエム(株)から入手可能)が挙げられる。視野角補償フィルムとしては基材表面に液晶性化合物が塗布され、配向されている光学補償フィルム、ポリカーボネート系樹脂からなる位相差フィルム、環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルムが挙げられる。基材表面に液晶性化合物が塗布され、配向されている光学補償フィルムに相当する市販品としては、WVフィルム(富士フィルム(株)製)、NHフィルム(新日本石油(株)製)、NRフィルム(新日本石油(株)製)などが挙げられる。また、環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルムに相当する市販品としては、アートン(登録商標)フィルム(JSR(株)製)、エスシーナ(登録商標)(積水化学工業(株)製)、ゼオノア(登録商標)フィルム((株)オプテス製)などが挙げられる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[実施例1]
(基材フィルム)
基材フィルムとして、厚み110μmの未延伸のランダムポリプロピレン(PP)フィルムを用いた。
(基材フィルム)
基材フィルムとして、厚み110μmの未延伸のランダムポリプロピレン(PP)フィルムを用いた。
(第1の樹脂層の形成)
ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工業(株)製、平均重合度1100、平均ケン化度99.5モル%、商品名:Z−200)を95℃の熱水に溶解させ濃度3重量%の水溶液を調整した。得られた水溶液に架橋剤(住友化学(株)製、商品名:スミレーズ(登録商標)レジン650)をポリビニルアルコール粉末6重量部に対して5重量部を混ぜた。得られた混合水溶液をコロナ処理を施した基材フィルム上に塗工し、80℃で10分間乾燥させ厚み0.2μmの第1の樹脂層を形成した。
ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工業(株)製、平均重合度1100、平均ケン化度99.5モル%、商品名:Z−200)を95℃の熱水に溶解させ濃度3重量%の水溶液を調整した。得られた水溶液に架橋剤(住友化学(株)製、商品名:スミレーズ(登録商標)レジン650)をポリビニルアルコール粉末6重量部に対して5重量部を混ぜた。得られた混合水溶液をコロナ処理を施した基材フィルム上に塗工し、80℃で10分間乾燥させ厚み0.2μmの第1の樹脂層を形成した。
(第2の樹脂層の形成)
ポリビニルアルコール粉末(クラレ(株)製、平均重合度2400、平均ケン化度98〜99モル%)を95℃の熱水中に溶解させ濃度8重量%のポリビニルアルコール水溶液を調整した。得られた水溶液を上記第1の樹脂層の上に塗工し80℃で20分間乾燥させ、基材フィルム、第1の樹脂層、第2の樹脂層からなる三層の積層フィルムを作成した。樹脂層形成工程後で、偏光フィルム化処理工程前の第2の樹脂層の厚みは15μmであった。
ポリビニルアルコール粉末(クラレ(株)製、平均重合度2400、平均ケン化度98〜99モル%)を95℃の熱水中に溶解させ濃度8重量%のポリビニルアルコール水溶液を調整した。得られた水溶液を上記第1の樹脂層の上に塗工し80℃で20分間乾燥させ、基材フィルム、第1の樹脂層、第2の樹脂層からなる三層の積層フィルムを作成した。樹脂層形成工程後で、偏光フィルム化処理工程前の第2の樹脂層の厚みは15μmであった。
(偏光フィルム化処理工程)
上記積層フィルムをテンター装置を用いて加熱温度126℃で縦方向の自由端一軸延伸により5.8倍に延伸し延伸フィルムを得た。その後、延伸フィルムを60℃の温浴に60秒浸漬し、30℃のヨウ素とヨウ化カリウムの混合水溶液に180秒浸漬した後、10℃の純水で余分なヨウ素液を洗い流した。次いで76℃のホウ酸とヨウ化カリウムの混合水溶液に300秒浸漬させた。その後10℃の純水で4秒間洗浄し、最後に50℃で300秒間乾燥させ基材フィルム付き偏光フィルムを得た。偏光フィルム化処理工程後の偏光フィルムの厚みは7μmであった。染色工程において、第2の樹脂層の剥離は見られなかった。表1に結果を示す。
上記積層フィルムをテンター装置を用いて加熱温度126℃で縦方向の自由端一軸延伸により5.8倍に延伸し延伸フィルムを得た。その後、延伸フィルムを60℃の温浴に60秒浸漬し、30℃のヨウ素とヨウ化カリウムの混合水溶液に180秒浸漬した後、10℃の純水で余分なヨウ素液を洗い流した。次いで76℃のホウ酸とヨウ化カリウムの混合水溶液に300秒浸漬させた。その後10℃の純水で4秒間洗浄し、最後に50℃で300秒間乾燥させ基材フィルム付き偏光フィルムを得た。偏光フィルム化処理工程後の偏光フィルムの厚みは7μmであった。染色工程において、第2の樹脂層の剥離は見られなかった。表1に結果を示す。
(保護フィルム貼合工程、基材フィルム剥離工程)
上記基材フィルム付き偏光フィルムの基材フィルム側の面とは反対側の面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布した後に保護フィルム(コニカ(株)製、膜厚40μm、TAC)を貼合し、保護フィルム、偏光フィルム(第2の樹脂層)、第1の樹脂層、基材フィルムの四層からなる偏光板を得た。得られた偏光板から基材フィルムを剥離した。基材フィルムは第1の樹脂層との接着面で容易に剥離され、保護フィルム、偏光フィルム(第2の樹脂層)、第1の樹脂層の三層からなる偏光板を得た。
上記基材フィルム付き偏光フィルムの基材フィルム側の面とは反対側の面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布した後に保護フィルム(コニカ(株)製、膜厚40μm、TAC)を貼合し、保護フィルム、偏光フィルム(第2の樹脂層)、第1の樹脂層、基材フィルムの四層からなる偏光板を得た。得られた偏光板から基材フィルムを剥離した。基材フィルムは第1の樹脂層との接着面で容易に剥離され、保護フィルム、偏光フィルム(第2の樹脂層)、第1の樹脂層の三層からなる偏光板を得た。
(光学特性測定)
基材フィルムを剥離して得られた保護フィルム、偏光フィルム(第2の樹脂層)、第1の樹脂層の三層からなる偏光板の光学特性を、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製、V7100)にて測定した。波長380nm〜780nmの範囲においてMD透過率とTD透過率を求め、式(1)、式(2)に基づいて各波長における単体透過率、偏光度を算出し、さらにJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行い、視感度補正単体透過率(Ty)および視感度補正偏光度(Py)を求めた。
基材フィルムを剥離して得られた保護フィルム、偏光フィルム(第2の樹脂層)、第1の樹脂層の三層からなる偏光板の光学特性を、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製、V7100)にて測定した。波長380nm〜780nmの範囲においてMD透過率とTD透過率を求め、式(1)、式(2)に基づいて各波長における単体透過率、偏光度を算出し、さらにJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行い、視感度補正単体透過率(Ty)および視感度補正偏光度(Py)を求めた。
上記において、「MD透過率」とは、グラントムソンプリズムから出る偏光の向きと偏光板サンプルの透過軸を平行にしたときの透過率であり、式(1)、式(2)においては「MD」と表す。また、「TD透過率」とは、グラントムソンプリズムから出る偏光の向きと偏光板サンプルを透過軸を直交にしたときの透過率であり、式(1)、式(2)においては「TD」と表す。
単体透過率(%)=(MD+TD)/2 式(1)
偏光度(%)={(MD−TD)/(MD+TD)}1/2×100 式(2)
実施例1の偏光板において、Ty、PyはそれぞれTy:41.4%、Py:99.99%であった。
偏光度(%)={(MD−TD)/(MD+TD)}1/2×100 式(2)
実施例1の偏光板において、Ty、PyはそれぞれTy:41.4%、Py:99.99%であった。
液晶表示装置に用いられる偏光板のTy、Pyの目標値はそれぞれTy:40%以上、Py:99.9%以上であり、実施例1で得られた偏光板は、この目標を十分に満足するものであった。
[比較例1]
実施例1において、第1の樹脂層を形成せず基材フィルム上に直接第2の樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様の方法で一軸延伸工程までを施し延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムに染色工程を施すため、60℃の温浴に浸漬したところ、基材フィルムから第2の樹脂層の剥離が発生した。表1に結果を示す。
実施例1において、第1の樹脂層を形成せず基材フィルム上に直接第2の樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様の方法で一軸延伸工程までを施し延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムに染色工程を施すため、60℃の温浴に浸漬したところ、基材フィルムから第2の樹脂層の剥離が発生した。表1に結果を示す。
実施例1の偏光板においては、比較例1と異なり第1の樹脂層が形成されていることにより染色工程において第2の樹脂層の剥離が発生しなかった。したがって、実施例1の偏光板の製造方法によると、安定して偏光板を製造することができる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は前記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
Claims (8)
- 基材フィルムの一方の表面上に第1の樹脂層およびポリビニルアルコール系樹脂よりなる第2の樹脂層をこの順に形成して積層フィルムとする樹脂層形成工程、
前記第2の樹脂層に偏光フィルム化処理を施して偏光フィルムとする偏光フィルム化処理工程、
前記偏光フィルムの前記基材フィルム側の面とは反対側の面に保護フィルムを貼合する保護フィルム貼合工程、
前記基材フィルムを前記積層フィルムから剥離する基材フィルム剥離工程をこの順に備え、
前記偏光フィルム化処理工程は、前記積層フィルムを、一軸延伸する一軸延伸工程、および第2の樹脂層を、二色性物質を含む染色溶液に浸漬して染色する染色工程を含む、偏光板の製造方法。 - 前記樹脂層形成工程において、前記第1の樹脂層の表面上にポリビニルアルコール系樹脂溶液を塗工して第2の樹脂層を形成する、請求項1に記載の偏光板の製造方法。
- 前記樹脂層形成工程において、前記第1の樹脂層を厚さが0.05μm〜1μmとなるように形成する、請求項1または2に記載の偏光板の製造方法。
- 前記樹脂層形成工程において、前記第2の樹脂層を厚さが3μm超かつ30μm以下となるように形成する、請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
- 前記第1の樹脂層が、ポリビニルアルコール系樹脂よりなる、請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
- 前記一軸延伸工程において、5倍超の延伸倍率で一軸延伸する、請求項1〜5のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
- 前記基材フィルムが、ポリプロピレン系樹脂からなる、請求項1〜6のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
- 前記第2の樹脂層を形成する前記ポリビニルアルコール系樹脂の平均ケン化度が98モル%以上である、請求項1〜7のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
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