JP6296107B2 - 積層フィルム、積層フィルムの製造方法、偏光性積層フィルムの製造方法、偏光板の製造方法 - Google Patents
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(方法2)ポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を剥離する前の積層フィルムの厚みと、剥離後の基材フィルムの厚みとを測定し、その差分からポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層の厚みを算出する方法。この方法においては、測定位置がずれてしまうことがあった。
[1]長尺状の基材フィルム上にポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層が形成された積層フィルムであって、
前記樹脂層の幅方向の厚みの最大振幅が2.0μm以下である積層フィルム。
[2]樹脂層の幅方向における膜厚分布の周期強度が0.09以下であることを特徴とする[1]に記載の積層フィルム。
[3]樹脂層の幅方向の厚みの平均値が10μm以下である[1]又は[2]に記載の積層フィルム。
[4]以下の工程(1−1)及び工程(2−1)を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法。
工程(1−1) 基材フィルム上に、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液を塗工して塗工層を形成し、塗工層を有する基材フィルムを得る塗工工程
工程(2−1) 塗工層を有する基材フィルムを乾燥ゾーンへ搬送し、乾燥ゾーンにおいては、少なくとも1本のガイドロールにより塗工層を有する基材フィルムを支持しながら、塗工層を乾燥させてポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成し、積層フィルムを得る乾燥工程
[5]以下の工程(1−2)及び工程(2−2)を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法。
工程(1−2) 基材フィルム上に、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液を塗工して塗工層を形成し、塗工層を有する基材フィルムを得る塗工工程工程(2−2) 塗工層を有する基材フィルムをフローティング方式で乾燥ゾーンへ搬送することにより、塗工層を乾燥させて、厚みが10μm以下のポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成し、積層フィルムを得る乾燥工程であって、
前記乾燥ゾーンにおける雰囲気の露点が、50℃以下である乾燥工程
[6]以下の工程(3)及び工程(4)を含む偏光性積層フィルムの製造方法。
工程(3) [1]〜[3]のいずれかに記載の積層フィルムを一軸延伸し延伸積層フィルムを得る延伸工程
工程(4) 延伸積層フィルムを染色し、偏光子層及び基材フィルムを有する偏光性積層フィルムを得る染色工程
[7]以下の工程(3)〜工程(6)を含む偏光板の製造方法。
工程(3) [1]〜[3]のいずれかに記載の積層フィルムを一軸延伸し延伸積層フィルムを得る延伸工程
工程(4) 延伸積層フィルムを染色し、偏光子層及び基材フィルムを有する偏光性積層フィルムを得る染色工程
工程(5) 偏光性積層フィルムにおける偏光子層上に透明保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る貼合工程
工程(6) 多層フィルムから基材フィルムを剥離して、偏光子及び透明保護フィルムを有する偏光板を得る剥離工程
[8]以下の工程(7)を含む偏光板の枚葉体の製造方法。
工程(7) [7]に記載の偏光板を矩形に裁断することにより、偏光板の枚葉体を得る裁断工程
工程(2−1) 塗工層を有する基材フィルムを乾燥ゾーンへ搬送することにより、塗工層を乾燥させてポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成し、積層フィルムを得る乾燥工程であって、前記乾燥ゾーンにおいて、塗工層を有する基材フィルムは、少なくとも1本のガイドロールにより搬送される乾燥工程
工程(2−2) 塗工層を有する基材フィルムをフローティング方式で乾燥ゾーンへ搬送することにより、塗工層を乾燥させて、厚みが10μm以下のポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成し、積層フィルムを得る乾燥工程であって、前記乾燥ゾーンにおける露点が、50℃以下である乾燥工程
工程(1)では、基材フィルム上に、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液を塗工する。特に工程(1−2)では、基材フィルム上に、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液を、工程(2−2)を経たときの厚みが10μm以下となるように塗工する。
基材フィルムを構成する樹脂としては、透明性、機械的強度、熱安定性、延伸性などに優れる熱可塑性樹脂が好適に用いられ、それらのガラス転移温度(Tg)または融点(Tm)に応じて、適切な樹脂を選択できる。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)、(メタ)アクリル系樹脂、セルロースエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、およびこれらの混合物、共重合物などが挙げられる。
また、ポリエチレンテレフタレートの骨格にさらに他種のモノマーを共重合することで、結晶性を下げた(もしくは、非晶性とした)共重合ポリエステルも好適に用いられる。このような樹脂の例として、例えば、シクロヘキサンジメタノールやイソフタル酸を共重合させたものなどが挙げられる。これらの樹脂も、延伸性に優れるので、好適に用いることができる。
基材フィルム中で上に例示した熱可塑性樹脂の占める割合は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。基材フィルム中の熱可塑性樹脂の割合が50重量%未満になると、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現されないおそれがあるからである。
[プライマー層]
ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液を基材フィルム上に塗工するのに先んじて、基材フィルム上にプライマー層が形成されていてもよい。プライマー層は、基材フィルムとポリビニルアルコール樹脂からなる樹脂層との両方にある程度強い密着力を発揮する材料で形成すればよい。たとえば、透明性、熱安定性、延伸性などに優れる熱可塑樹脂が用いられる。具体的には、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリビニルアルコール樹脂及びその誘導体が挙げられる。ポリビニルアルコール樹脂の誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタールなどの他、ポリビニルアルコール樹脂をエチレン、プロピレンのようなオレフィン類で変性したもの;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸のような不飽和カルボン酸類で変性したもの;不飽和カルボン酸のアルキルエステルで変性したもの;アクリルアミドで変性したものなどが挙げられる。変性の割合は30モル%未満であることが好ましく、10モル%未満であることがより好ましい。30モル%以上の変性を行った場合には、二色性色素を吸着しにくくなり、偏光性能が低くなってしまう不具合を生じ得る。
上述のポリビニルアルコール系樹脂の中でも、ポリビニルアルコール樹脂を使用することが好ましい。
ケン化度(モル%)=〔(水酸基の数)÷(水酸基の数+酢酸基の数)〕×100
で定義される。
工程(2−1)では、工程(1)で得られた塗工層を有する基材フィルムを乾燥ゾーンへ搬送することにより、塗工層を乾燥させる。塗工層を乾燥させることで、ポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成することができる。工程(2−1)では、前記乾燥ゾーンにおいて、塗工層を有する基材フィルムは、少なくとも1本のガイドロールにより搬送される。ただし、後述のように乾燥ゾーンが2以上あるときは、少なくとも1つの乾燥ゾーンにおいて、塗工層を有する基材フィルムがガイドロールにより支持されていればよい。
なお乾燥炉により乾燥するときの乾燥時間とは、搬送されるフィルムが乾燥炉に滞在している時間の合計のことをいう。
塗工層を有する基材フィルム2の搬送速度にもよるが、ガイドロール1の直径が5cm以上であると、塗工層を有する基材フィルム2が、ガイドロール1に接している時間を長くすることができる。このため、塗工層を有する基材フィルム2に弛みが生じることなく安定した状態で塗工層を有する基材フィルム2を搬送できるので、ポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層における幅方向の厚みの最大振幅を小さくしやすい。
工程(2−2)では、塗工層を有する基材フィルムをフローティング方式で乾燥ゾーンへ搬送する。塗工層を乾燥させることで、ポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成することができる。このとき前記乾燥ゾーンにおける雰囲気の露点は50℃以下であり、好ましくは47℃以下であり、より好ましくは20℃以下である。また通常露点は0℃以上である。露点を50℃以下とすることにより、乾燥時間を短縮することができ、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液の分布が基材フィルム上で不均一になるのをより抑制することができる。
ロール・トゥー・ロール方式により本発明の積層フィルムを製造する場合、工程(2−1)又は工程(2−2)を経た段階で、一度ロールに巻き取り積層フィルムロールとしてもよいし、巻き取らずにそのまま後工程へ搬送してもよい。本発明の積層フィルムをロールに巻き取った積層フィルムロールは、幅方向の膜厚分布が均一であるため、積層フィルムロール端部の巻締まりが起こりづらく、後工程である工程(3)〜工程(6)における歩留まりを改善することができる。また、巻き取らずにそのまま後工程へ搬送した場合、ロールに巻き取る工程を省略することができるので、生産性が向上する。
工程(4) 延伸積層フィルムを染色し、偏光子層及び基材フィルムを有する偏光性積層フィルムを得る染色工程
工程(5) 偏光性積層フィルムにおける偏光子層上に透明保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る貼合工程
工程(6) 多層フィルムから基材フィルムを剥離して、偏光子及び透明保護フィルムを有する偏光板を得る剥離工程
工程(3)では、基材フィルムおよびポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を有する積層フィルムを一軸延伸して、延伸積層フィルムを得る。好ましくは、5倍超かつ17倍以下の延伸倍率となるように一軸延伸する。さらに好ましい延伸倍率は、5倍超かつ8倍以下である。延伸倍率が5倍以下であると、ポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層が十分に配向しないため、結果として、偏光子層の偏光度が十分に高くならない不具合を生じることがある。一方、延伸倍率が17倍を超えると、延伸時に積層フィルムの破断を生じやすくなるとともに、延伸積層フィルムが必要以上に薄くなり、後工程での加工性やハンドリング性を低下させるおそれがある。工程(3)における延伸処理は、一段での延伸に限定されることはなく、多段で行うこともできる。この場合、二段階目以降の延伸工程は、工程(3)の中で行ってもよいが、工程(4)における染色処理や架橋処理と同時に行ってもよい。このように多段で延伸を行う場合は、延伸処理の全段を合わせて5倍超の延伸倍率となるように延伸処理を行う。工程(3)以外の工程で延伸を行う場合は、工程(3)における延伸倍率を1倍超3.5倍以下とすることができる。
工程(4)では、延伸積層フィルムの樹脂層を、二色性色素で染色する。二色性色素として、具体的にはヨウ素または二色性有機染料が用いられる。二色性有機染料としては、たとえば、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンイエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、イエロー3G、イエローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラックなどがある。これらの二色性有機染料は、市場から入手できる。二色性色素は、1種類だけを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
架橋剤も、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
ヨウ化物溶液が含有するヨウ化物としては、ヨウ化カリウムが挙げられ、その濃度は、通常0.5〜10重量%である。
工程(5)では、偏光子層の基材フィルム側の面とは反対側の面に透明保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る。保護フィルムの貼合には、粘着剤や接着剤を用いることができる。
保護フィルムは、光学機能を有さない単なる保護フィルムであってもよいし、位相差フィルムや輝度向上フィルムの如き光学機能を併せ持つ保護フィルムであってもよい。保護フィルムを構成する材料は特に限定されないが、たとえば、環状ポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースの如き酢酸セルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートの如きポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂など、当分野において従来から広く用いられてきている材料を用いることができる。
粘着剤は、通常、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂などをベースポリマーとし、そこに、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物の如き架橋剤を加えた組成物から形成される。さらに微粒子を含有して光散乱性を示す粘着剤層とすることもできる。
接着剤として、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤などからなる水系接着剤を用いることができる。中でもポリビニルアルコール系樹脂水溶液が好適に用いられる。接着剤として用いるポリビニルアルコール系樹脂には、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるビニルアルコール系共重合体、さらにはそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体などがある。水系接着剤には、多価アルデヒド、水溶性エポキシ化合物、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物などが、添加剤として添加されてもよい。このような水系の接着剤を用いた場合、それから得られる接着剤層は、通常1μmよりもはるかに薄く、通常の光学顕微鏡で断面を観察しても、その接着剤層は事実上観察されない。
ケン化処理は、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの如きアルカリの水溶液にフィルムを浸漬することによって行なわれる。
工程(6)では、保護フィルム、偏光子層、基材フィルムをこの順に有する多層フィルムから基材フィルムを剥離する。基材フィルムの剥離方法は特に限定されるものでなく、通常の粘着剤付偏光板において採用されている粘着剤層からの剥離フィルムの剥離工程と同様の方法で剥離できる。保護フィルムを貼合する工程(5)の後、そのまますぐ基材フィルムを剥離してもよいし、一度ロール状に巻き取った後、別に剥離工程を設けて、そこで基材フィルムを剥離してもよい。このようにして、保護フィルム、偏光子層を有する偏光板を製造することができる。
工程(7)は、長尺状の偏光板を所定の大きさに切断するチップカット工程である。上記工程により製造された偏光板は、液晶表示装置などの表示装置を構成する部材として好適である。ロール・トゥー・ロール方式により偏光板を製造した場合は、長尺状の偏光板を、所定の大きさの枚葉体となるよう裁断し、表示装置に組み込めばよい。
<幅方向の樹脂層厚みの最大振幅>
干渉膜厚計(F20 フィルメトリクス社製)により、積層フィルムの幅方向全幅を走査して、幅方向の膜厚のプロファイルを測定した。測定したサンプルの層構成は、基材フィルム/プライマー層/ポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層である。測定間隔が2mm以下となるように、自動ステージでサンプルを動かしながら測定をした。 このようにして得られた幅方向の膜厚のプロファイルにおける、最も大きな山と最も大きな谷との差の大きさを最大振幅とした。
上記のようにして得られた幅方向の厚みプロファイルをマイクロソフトエクセル2010に組み込まれたフーリエ解析により、高速フーリエ変換した。このようにして得られる波数スペクトルのうち、周期が30〜70mmの領域における最大の振幅の値を膜厚分布の周期強度とした。具体的には、このとき計算に使用するデータ数(A)は、得られた幅方向の厚みプロファイルのデータ数(B)よりも小さく、かつBに最も近い2の乗数とした。振幅の値は、フーリエ変換の結果の絶対値をCとしたとき、2C/Aで表され、周期は、N番目のデータの幅位置をLnとしたとき、Ln/Nで表される。計算に使用したA個のデータに対して、それぞれ振幅と周期とを求め周期が30〜70mmの領域における最大の振幅を求めた。
<積層フィルムの作製>
(1)基材フィルム
基材フィルムとして、厚み90μmの未延伸のポリプロピレン(PP)フィルム(融点:163℃)を用意した。この基材フィルムの80℃での引っ張り弾性率は205MPaであった。
ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工業株式会社製「Z−200」、平均重合度1100、平均ケン化度99.5モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(住友化学株式会社製「スミレーズレジン(登録商標)650」)をポリビニルアルコール粉末2重量部に対して1重量部混合してプライマー層形成用塗工液を得た。
ポリビニルアルコール粉末(株式会社クラレ製「PVA124」、平均重合度2400、平均ケン化度98.0〜99.0モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度8重量%のポリビニルアルコール水溶液であるポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液を調製した。
・片面積層品
基材フィルムを連続的に搬送しながら、その片面にコロナ処理を施し、次いでコロナ処理された面にマイクログラビアコーターにより、上記プライマー層用塗工液を連続的に塗工した。その後60℃で3分間乾燥させることにより、厚み0.2μmのプライマー層を形成した。引き続き、フィルムを搬送しながら、プライマー層上にリップコーターにより上記ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液を連続的に塗工した。
さらに、基材フィルムにおける樹脂層を形成した面とは反対側の面に同様の処理を施して、基材の両面に厚み0.2μmのプライマー層、厚み9.5μmのポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成し、両面積層品の積層フィルムを作成した。乾燥炉内の露点は28℃であった。
上記(4)で得られた積層フィルム連続的に搬送しながら、ニップロール間での延伸方法により縦方向(フィルム搬送方向)に、延伸温度140℃で2.5倍に延伸し、ついで160℃で2.3倍に延伸(総延伸倍率:5.8倍)して延伸積層フィルムを得た。延伸積層フィルムにおけるポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層の厚みは、それぞれ5.2μm、5.3μmであった。
<偏光性積層フィルムの作製>
上記延伸積層フィルムをヨウ素とヨウ化カリウムとを含む30℃の染色溶液に滞留時間が150秒間程度となるように浸漬してポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層の染色処理を行い、次いで、10℃の純水で余分な染色溶液を洗い流した。引き続き、ホウ酸とヨウ化カリウムとを含む76℃の架橋溶液に滞留時間が600秒間となるように浸漬して架橋処理を行った。その後、10℃の純水で4秒間洗浄し、80℃で300秒間乾燥させることにより偏光性積層フィルムを得た。
(7)工程(5)、工程(6)
ポリビニルアルコール粉末((株)クラレ製「KL−318」、平均重合度1800)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(田岡化学工業株式会社製「スミレーズレジン(登録商標)650」)をポリビニルアルコール粉末2重量部に対して1重量部混合し、接着剤溶液とした。
それぞれの偏光板について吸収軸方向に150mm、吸収軸と直角の方向に対し全幅の大きさに切り出し105℃のオーブンに30分間投入したのち、バックライト上で他の偏光板とクロス二コルとして観察したところ両方の偏光板に特に目立つムラは確認されなかった。
実施例1の片面積層品において、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液の乾燥ゾーンのガイドロールの本数を3本とし、乾燥炉により90℃で5分間、乾燥させたこと以外は実施例1と同様にしてプライマー層上に厚み9.6μmのポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成した。乾燥炉内の露点は26℃であり、3本目のロールの直前で、塗工層に指で触れて確認したところ湿り気を感じなかったので、樹脂層は固化しているものと判断することができた。
実施例2の片面積層品において、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液の乾燥ゾーンのガイドロールの本数を1本とし、乾燥炉により90℃で5分間、乾燥させたこと以外は実施例2と同様にしてプライマー層上に厚み9.4μmのポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成した。燥炉内の露点は27℃であり、乾燥炉の出口前で、塗工層に指で触れて確認したところ湿り気を感じなかったので、樹脂層は固化しているものと判断することができた。
実施例3において、ポリビニルアルコール系樹脂層を含有する水溶液の乾燥ゾーンをフローティング方式とし、乾燥炉及び送風により80℃で20分間、乾燥させたこと以外は実施例3同様にして、プライマー層上に厚み9.9μmのポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成した。乾燥炉内の露点は45℃であった。
実施例4において、乾燥炉内の露点を20℃とした以外は実施例4と同様にしてプライマー層上に厚み9.1μmのポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成した。
ポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層の厚みを11.9μmとした以外は、実施例3と同様にしてプライマー層上にポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成した。
基材フィルムとして80℃における弾性率が100MPaのものを使用したところプライマー層形成時に収縮が非常に大きくシワが生じた。
2:塗工層を有する基材フィルム
3:矢印
4:ノズル
5:矢印
Claims (6)
- 80℃における引張弾性率が180MPa以上である長尺状の基材フィルム上に、幅方向の厚みの平均値が10μm以下であるポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層が形成された積層フィルムであって、
測定間隔が0.05mm以上2mm以下となるように干渉膜厚計により測定した前記樹脂層の幅方向の厚みの最大振幅が1.3μm以下であり、
前記樹脂層の幅方向における膜厚分布を高速フーリエ変換したときに、周期が30mm以上70mm以下の領域における最大の振幅の値が0.09以下であり、
前記基材フィルムは後に剥離されるフィルムである積層フィルム。 - 以下の工程(1−1)及び工程(2−1)を含む、請求項1に記載の積層フィルムの製造方法。
工程(1−1) 80℃における引張弾性率が180MPa以上である基材フィルム上に、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液を塗工して塗工層を形成し、塗工層を有する基材フィルムを得る塗工工程
工程(2−1) 塗工層を有する基材フィルムを乾燥ゾーンへ搬送し、乾燥ゾーンにおいては、少なくとも1本のガイドロールにより塗工層を有する基材フィルムを支持しながら、塗工層を乾燥させてポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成し、積層フィルムを得る乾燥工程 - 以下の工程(1−2)及び工程(2−2)を含む、請求項1に記載の積層フィルムの製造方法。
工程(1−2) 80℃における引張弾性率が180MPa以上である基材フィルム上に、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶液を塗工して塗工層を形成し、塗工層を有する基材フィルムを得る塗工工程
工程(2−2) 塗工層を有する基材フィルムをフローティング方式で乾燥ゾーンへ搬送することにより、塗工層を乾燥させて、厚みが10μm以下のポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成し、積層フィルムを得る乾燥工程であって、
前記乾燥ゾーンにおける雰囲気の露点が、50℃以下である乾燥工程 - 以下の工程(3)及び工程(4)を含む偏光性積層フィルムの製造方法。
工程(3) 請求項1に記載の積層フィルムを一軸延伸し延伸積層フィルムを得る延伸工程
工程(4) 延伸積層フィルムを染色し、偏光子層及び基材フィルムを有する偏光性積層フィルムを得る染色工程 - 以下の工程(3)〜工程(6)を含む偏光板の製造方法。
工程(3) 請求項1に記載の積層フィルムを一軸延伸し延伸積層フィルムを得る延伸工程
工程(4) 延伸積層フィルムを染色し、偏光子層及び基材フィルムを有する偏光性積層フィルムを得る染色工程
工程(5) 偏光性積層フィルムにおける偏光子層上に透明保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る貼合工程
工程(6) 多層フィルムから基材フィルムを剥離して、偏光子及び透明保護フィルムを有する偏光板を得る剥離工程 - 以下の工程(7)を含む偏光板の枚葉体の製造方法。
工程(7) 請求項5に記載の偏光板を矩形に裁断することにより、偏光板の枚葉体を得る裁断工程
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