JP5244014B2 - 光学表示装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光学表示ユニットに、2以上のフィルム部材を積層してなる光学部材を貼り合わせて光学表示装置を製造する方法に関する。
従来から、特開2007−140046号公報(特許文献1)に記載の製造システムが知られている。この製造システムによれば、光学表示装置の部材である光学フィルムを有する帯状シート状製品が巻き取られたロールから帯状シート状製品を引き出して供給する供給手段と、供給手段によって引き出された帯状シート状製品の欠陥を検出する検出手段と、検出手段の検出結果に基づいて帯状シート状製品を切断し、個々のシート状製品に加工する切断加工手段と、切断加工手段で切断加工されたシート状製品を貼合わせ加工を行うために移送する移送手段と、移送手段によって移送されたシート状製品と光学表示装置の部材である光学表示ユニットを貼合わせる貼合わせ加工手段とを具備し、これら各手段を連続した製造ライン工程上に配置したことを特徴とする。すなわち、既に形成された光学フィルムを有する帯状シート状製品を用い、この帯状シート状製品から直接、所望のサイズに切断加工して、この切断された枚葉のシート状製品を光学表示ユニットに貼り合わせる構成である。
特開2007−140046号公報
しかしながら、上記特許文献1の場合、一旦、長尺のシート状製品の原反を製造した後に、液晶パネル等の光学表示ユニットに、長尺のシート状製品を貼り合せる構成であるため、長尺のシート状製品をロール状の巻き原反として保管、搬送する必要がある。この場合に、シート状製品をロール状に巻く際に、異物かみや、巻き不良の発生が懸念され、また、巻き作業が必要であり、作業性の面で改善の要求がある。
また、シート状製品が多層フィルムの場合に、積層されるフィルム部材のそれぞれの弾性率が異なると、シート幅方向に湾曲する場合がある。このように湾曲した状態で多層フィルムを光学表示ユニットに貼り合わせた場合、精度良く貼り合わせることが困難である。
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、光学部材を構成するフィルム部材を積層形成して、この光学部材を光学表示ユニットに貼り合わせることで得られる光学表示装置の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、以下の本発明を完成するに至ったものである。
本発明の光学表示装置の製造方法は、
光学表示ユニットに、2以上のフィルム部材を積層してなる光学部材を貼り合わせて光学表示装置を製造する方法であって、
前記フィルム部材のそれぞれを搬送しながら積層して前記光学部材を形成し、
前記形成によって得られた前記光学部材を前記光学表示ユニットに貼り合わせることを特徴とする。
この構成によれば、光学部材を構成する複数のフィルム部材を、フィルム部材ごとに順に積層して光学部材を形成し、この光学部材を光学表示ユニットに貼り合せることができる。よって、複数のフィルム部材の原反からそれぞれのフィルム部材を繰り出し積層して長尺の光学部材を製造し、ロールに巻き取ることがないため、作業性が改善される。また、フィルム部材のロール原反の状態では、フィルム部材が積層された状態の光学部材のような湾曲が生じていないため、フィルム部材同士の積層を簡単に行なえる。また、光学部材を構成した直後に、その光学部材を光学表示ユニットに貼り合わせることができるため、光学部材は湾曲しておらず、そのため光学部材を精度良く貼り合せることができる。上記「搬送」は、連続搬送でもよく、所定量の搬送と停止を繰り返す間欠搬送であってもよい。また、フィルム部材を積層して光学部材を形成する場合に、当該フィルム部材が単層でなく、複数のフィルム部材が積層された積層フィルム部材であってもよい。この積層フィルム部材を用いる場合、積層形成する工程を、本発明のフィルム部材の順次積層工程の前段階に設けてあってもよい。
また、本発明の一実施形態として、
前記フィルム部材を積層する際に、それぞれのフィルム部材を、順にキャリアセパレータに貼り合せて光学部材を形成し、
前記キャリアセパレータに積層された光学部材を検査し、当該検査結果に応じて当該キャリアセパレータを切断せずに光学部材を所定サイズに切断し、当該キャリアセパレータが剥離された光学部材を、粘着剤を介して、前記光学表示ユニットに貼り合わせることを特徴とする。
この構成によれば、光学部材を構成する複数のフィルム部材を、フィルム部材ごとに順にキャリアセパレータに貼り合わせて、光学部材を形成することができる。例えば、キャリアセパレータの厚みを大きくして構成することで、フィルム部材同士をヨレやシワが生じないように良好に貼り合わせることができる。そして、このように形成された光学部材について、欠点検査をし、当該検査結果に応じて当該キャリアセパレータを切断せずに光学部材を所定サイズに切断し、当該キャリアセパレータが剥離された光学部材を粘着剤を介して、前記光学表示ユニットに貼り合わせることができる。すなわち、キャリアセパレータ上に光学部材を形成したのちに、この光学部材を光学表示ユニットに貼り合せることができる。
よって、複数のフィルム部材の原反からそれぞれのフィルム部材を繰り出し積層して長尺の光学部材を製造し、ロールに巻き取ることがないため、作業性が改善される。また、フィルム部材のロール原反の状態では、フィルム部材が積層された状態の光学部材のような湾曲が生じないため、キャリアセパレータ上にフィルム部材を積層形成することが簡単に行なえ、さらに、光学表示ユニットに光学部材を精度よく貼り合わせることができる。
また、上記の本発明において、
光学表示装置の仕様に応じて、前記フィルム部材の仕様が選択されるように、フィルム部材原反切り替え手段による切り替え工程を有することを特徴とする。
この構成によって、光学表示装置の仕様(サイズ、液晶パネルの種類等)によって、フィルム部材の仕様(サイズ、種類等)を切り換える切り替え手段を用いて、切り換えるように構成される。この切り換え工程としては、光学表示装置の仕様情報を取得し、この仕様情報に応じて、フィルム部材が選択され、選択されたフィルム部材の原反が製造ラインに自動的に切り換えられるように構成されることが好ましい。
また、上記の本発明において、
前記光学部材の検査の場合に、前記キャリアセパレータを剥離し、前記光学部材の検査をし、その後に、粘着剤を介してキャリアセパレータを前記光学部材に貼り合せることを特徴とする。
この構成によって、キャリアセパレータを除去してから光学部材の欠点の検査を行なえる。キャリアセパレータに内在する位相差および、キャリアセパレータに付着または内在する異物やキズ等の欠点を考慮する必要がなく、光学部材の欠点検査を行なえる。欠点検査の方法は後述する。
また、上記の本発明において、
光学部材の検査の結果、不良品判定された光学部材を所定サイズに切断し排除する排除工程を有することを特徴とする。
欠点検査において、欠点が検出され、不良品判定された場合には、切断装置は、光学表示ユニットに貼り合わせられる領域内に欠点を含まないように光学部材の欠点部分を避けて、所定サイズに切断する。そして、欠点を含む部分は、後述する排除装置によって、排除(除去)される。これにより、欠点部及びその周辺のみを排除することができるので、光学部材の歩留まりが大幅に向上し、さらに、欠点を含む光学部材を光学表示ユニットに設けないですむため、光学表示装置の歩留まりが大幅に向上する。
また、上記の本発明において、
前記光学部材が貼着される面とは異なる面側に、他の光学部材をさらに貼り合せることを特徴とする構成である。
この構成によって、光学表示ユニットの両面に光学部材を貼り合せることができる。光学表示ユニットが液晶パネルの場合に、その一方面の光学部材の構成と、他方の光学部材の構成とは、同一であってもよく、異なる構成であってもよい。光学表示装置の仕様に応じて設定される。
また、上記の本発明の光学表示装置の製造方法において、
片面あるいは両面に光学部材を光学表示ユニットに貼り合せた後に、貼り合わせ状態を検査する検査工程を、さらに有する構成である。さらに、前記それぞれの工程を連続した製造ラインで実行することを特徴とする。「貼り合わせ状態の検査」は、例えば、光学部材と光学表示ユニットの貼り合わせのズレ、ヨレ、気泡混入等についての検査が例示される。
また、上記の本発明の光学表示装置の製造方法において、
片面あるいは両面に光学部材を光学表示ユニットに貼り合せた後に、貼り合わせ後の欠点を検査する検査工程を、さらに有する構成である。さらに、前記それぞれの工程を連続した製造ラインで実行することを特徴とする。「欠点」は、例えば、表面又は内部の汚れ、傷、異物をかみ込んだ打痕状のひねったような特殊状欠点(クニックと称されることがある)、気泡、異物等を意味している。
「光学部材」は、2以上のフィルム部材を積層してなる。「フィルム部材」は、液晶表示装置などの画像表示装置に用いられる光学フィルムであって、単層のフィルムからなるものであっても、単層のフィルムを2以上積層した積層フィルムであってもよい。単層の光学フィルムとしては、偏光子(偏光フィルムともいう)、偏光子保護フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム等が例示される。積層フィルムからなる光学フィルムとしては、偏光子の両面または片面に偏光子保護フィルムを積層して構成した偏光板や、偏光板に位相差フィルムを積層した位相差フィルム付き偏光板、位相差フィルムを複数積層した積層位相差フィルム、偏光板に輝度向上フィルムを積層した輝度向上フィルム付き偏光板等が例示される。
また、積層フィルムとして、位相差フィルムや輝度向上フィルムを偏光子保護フィルムの機能を兼ねるように、偏光子に直接積層して構成されたものも例示される。
また、各フィルム部材を積層する場合に、粘着剤を用いている。粘着剤は、フィルム部材の種類に応じて設定される。
また、偏光子と粘着剤層とが直接に積層される場合に、その接着面の偏光子側に予めコート層を形成することが好ましい。このコート層は、偏光子の保護のため、あるいは粘着剤との密着性向上のために行なわれる。コート層としては、ポリビニルアルコール、イソシアネート、シアノアクリレート、アジリジン等を主成分とする接着剤が好ましい。
本発明の光学表示ユニットとしては、例えば、液晶セルのガラス基板ユニット(液晶パネルとも称される)、有機EL発光体ユニット等が挙げられる。また、光学表示ユニットは、光学部材との貼り合わせ前に予め洗浄処理されることが好ましい。
光学表示装置の製造方法のフローチャート フィルム部材の切り換え処理のフローチャート 光学表示装置の製造システムを説明するための図
(光学表示装置の製造フローチャート)
本発明の実施形態1について以下に説明する。図1に光学表示装置の製造方法のフローチャートを示す。ここでは、キャリアセパレータ上に光学部材が形成され、この光学部材を光学表示ユニットに積層する動作フローである。説明上、ここでの光学部材は、第1フィルム部材、第2フィルム部材、第3フィルム部材からなる構成である。
(1)第1フィルム部材のロール原反を準備する工程(図1、S1)。長尺の第1フィルム部材をロール原反として準備する。第1フィルム部材には、粘着剤を介在して離型フィルムが貼着され、この離型フィルムを剥離すると粘着剤は、第1フィルム部材側に形成される。この粘着剤により、第1フィルム部材が光学表示ユニット表面に粘着形成される。
第1フィルム部材としては、偏光子フィルム、偏光子保護フィルム、光学補償フィルム等が例示される。また、第1フィルム部材が、複数のフィルム部材が積層されたもので構成されている場合もあり、例えば、偏光子フィルムの両面あるいは一方面に接着剤を介して偏光子保護フィルムが積層されて偏光板を構成している場合や、偏光板または偏光子フィルムと、位相差フィルムが接着剤により積層されている場合が例示される。
また、第2フィルム部材のロール原反を準備する工程(S11)や、第3フィルム部材のロール原反を準備する工程(S21)が同時平行的に行なわれる。
(2)搬送工程(図1、S2)。準備された第1フィルム部材のロール原反から第1フィルム部材(離型フィルム付き)を繰り出し、下流側に搬送する。第1フィルム部材を搬送する搬送装置(不図示)は、例えば、ニップローラ対、テンションローラ、回転駆動装置、アキュムレート装置、センサー装置、制御装置等で構成されている。
また、第2、第3フィルム部材(離型フィルム付き)もそれぞれのロール原反から繰り出され、下流側に搬送される。
(3)キャリアセパレータへの貼り合わせ工程(図1、S3)。第1フィルム部材から離型フィルムが後述する剥離機構によって剥離される。粘着剤は第1フィルム部材に形成されたままである。この第1フィルム部材は、その粘着剤がキャリアセパレータ面に形成されるように、後述する貼り合わせ手段(ロール対)によって貼り合わされる。
(4)第1フィルム部材への貼り合わせ工程(図1、S4)。第2フィルム部材から離型フィルムが剥離機構によって剥離される。粘着剤は第2フィルム部材に形成されたままである。この第2フィルム部材は、その粘着剤が第1フィルム部材面に形成されるように、貼り合わせ手段(ロール対)によって貼り合わされる。
(5)第2フィルム部材への貼り合わせ工程(図1、S5)。第3フィルム部材から離型フィルムが剥離機構によって剥離される。粘着剤は第3フィルム部材に形成されたままである。この第3フィルム部材は、その粘着剤が第2フィルム部材面に形成されるように、貼り合わせ手段(ロール対)によって貼り合わされる。
(6)欠点検査工程(図1、S6)。それぞれのフィルム部材が積層された光学部材の欠点を、欠点検査装置を用いて検査する。ここでの欠点検査方法としては、光学部材に対し、透過光および反射光による画像撮影し画像処理して欠点を解析し、欠点判定し、不良品か否かを判定する方法がある。また、検査対象物の光学部材が偏光板の場合に、検査用偏光フィルムを撮像手段(例えばCCDカメラ)と検査対象物(偏光板)との間に、検査対象である偏光板の偏光軸とクロスニコルとなるように配置(0度クロスと称することがある)して画像撮影・画像処理する方法がある。また、検査用偏光フィルムをCCDカメラと検査対象物との間に、検査対象である偏光板の偏光軸と所定角度(例えば、0度より大きく10度以内の範囲)になるように配置(x度クロスと称することがある)して画像撮影・画像処理する方法が挙げられる。なお、画像処理のアルゴリズムは公知の方法を適用でき、例えば二値化処理による濃淡判定によって欠点を検出することができる。
欠点検査装置で得られた欠点の情報は、その位置情報(例えば、位置座標)とともに紐付けされて、制御装置(不図示)に送信され、後述する切断装置による切断方法に寄与される。
(別実施形態)
以上の欠点検査においては、光学部材にキャリアセパレータが積層されたままで欠点検査を行なっている。この場合、キャリアセパレータに内在する位相差、異物、キズ、汚れの影響を受け、欠点として認識しなくてもよい欠点まで、欠点として判定され不良品判定される場合がある。そこで、キャリアセパレータの影響を無くすために、欠点検査の前に、キャリアセパレータを剥離し、その後、光学部材の欠点検査を行ない、検査後に、新たにキャリアセパレータを光学部材に粘着剤を介して形成する構成とする。この場合、キャリアセパレータに内在する位相差および、キャリアセパレータに付着または内在する異物や傷等の欠点を考慮する必要がなく、光学部材の欠点検査を行なえる。
新たにキャリアセパレータを貼合せる場合、気泡等の泡がみが生じないように行なうことが、平面性維持のため好ましい。
(7)切断工程(図1、S7)。切断装置は、キャリアセパレータを残して(切断せずに)、光学部材(粘着剤層を含む)を所定サイズに切断する。切断手段としては、例えば、レーザ装置、カッター、その他の公知の切断手段等が挙げられる。欠点検査装置で得られた欠点の情報に基づいて、欠点部分については光学表示ユニットに積層されないように切断され、排除装置によって排除される。これにより、光学部材の歩留まりが大幅に向上する。
(5)良品判定(図1、S8)。欠点検査装置による欠点検査の結果、良品か否かが判定される。良品判定の判定基準は予め設定され、例えば、所定面積あたりの欠点数、欠点サイズ、欠点の種類によって設定される。高精度の表示性能が要求される程、良品判定は厳しいものとなる。
(6)光学部材の貼合工程(図1、S9−1)。欠点検査で良品判定された光学部材の貼り合わせ処理が行なわれる。後述する剥離装置を用いてキャリアセパレータを除去しながら(剥離工程)、貼合装置を用いて当該キャリアセパレータが除去された光学部材を粘着剤層を介して光学表示ユニットに貼り合せる。貼り合せに際し、後述するように、光学部材と光学表示ユニットをロール対で挟んで圧着する。
(7)光学部材の排除工程(図1、S9−2)。欠点検査で不良品判定された光学部材の排除処理が行なわれる。排除処理の構成例は後述する。
(8)洗浄工程(図1、S30)。光学表示ユニットは、予め研磨洗浄装置および水洗浄装置等によって、その表面が洗浄される。洗浄された光学表示ユニットは、搬送機構によって、貼合装置まで搬送される。搬送機構は、例えば、搬送用ローラ、搬送方向切り替え機構、回転駆動装置、センサー装置、制御装置等で構成される。
第1フィルム部材、第2フィルム部材、第3フィルム部材の組合せ例としては、以下の組合せが例示される。例えば、偏光子保護フィルムと偏光子と偏光子保護フィルム、位相差フィルムと偏光子と偏光子保護フィルム、偏光子保護フィルムと偏光子と輝度向上フィルム、位相差フィルムと偏光板と輝度向上フィルム、位相差フィルムと位相差フィルムと偏光板等が挙げられる。さらに、第4フィルム部材、第5フィルム部材等が積層される構成や、さらに最表面に表面保護フィルムが積層される構成も例示される。第4、第5フィルム部材は、特に制限されず、上記記載のフィルム部材でもよい。また、最表面となるフィルム部材には、表面保護フィルムが予め積層されていてもよい。
(他の表面への光学部材の形成)
また、光学表示ユニットの他の表面にも、同様の方法で、光学部材を積層することができる。この場合、光学部材を光学表示ユニットの他方面に積層する前に、搬送機構の搬送方向切り替え機構によって光学表示ユニットを90度回転させ、一方面側の偏光子とクロスニコルの関係にする場合がある。
次いで、光学表示装置の検査工程について説明する。検査装置は、光学部材を両面に貼着されてなる光学表示装置を検査する。検査方法としては、光学表示装置の両面に対し、反射光による画像撮影・画像処理する方法が例示される。また、透過光像を撮像し画像処理する方法が例示される。また他の方法として、検査用偏光フィルムをCCDカメラと検査対象物との間に設置する方法も例示される。なお、画像処理のアルゴリズムは公知の方法を適用でき、例えば二値化処理による濃淡判定によって欠点を検出することができる。
検査装置で得られた欠点の情報に基づいて、光学表示装置の良品判定がなされる。良品判定された光学表示装置は、次の実装工程に搬送される。不良品判定された場合、リワーク処理が施され、新たに光学フィルムが貼られ、次いで検査され、良品判定の場合、実装工程に移行し、不良品判定の場合、再度リワーク処理に移行するかあるいは廃棄処分される。
上記各工程を工場内から隔離した隔離構造内部で行なうことで、清浄度が確保された環境で、キャリアセパレータのフィルム部材を順次積層して光学部材を形成し、この光学部材を光学表示ユニットに貼り合わせることができるので、高品質の光学表示装置を製造することができる。
また、複数のフィルム部材の原反からそれぞれのフィルム部材を繰り出し積層して長尺の光学部材を製造し、ロールに巻き取ることがないため、作業性が改善される。また、光学部材を形成してから、光学部材について欠点検査を実行する構成であるため、欠点を含む不良品の光学部材が光学表示ユニットに貼り合わされることがない。また、フィルム部材のロール原反の状態では、フィルム部材が積層された状態の光学部材のような湾曲が生じないため、キャリアセパレータ上にフィルム部材を形成することが簡単に行なえ、さらに、光学表示ユニットに光学部材を精度よく貼り合わせることができる。
(切り換え工程)
図2にフィルム部材の切り替え処理フローを示す。各種フィルム部材を準備する場合に、フィルム部材を自動的に選定し、セットする工程について説明する。光学表示装置の仕様が制御装置に取得される(S31)。仕様は、サイズ、種類、識別情報等が例示される。この取得は、オペレータによる操作パネルからの手動入力でもよく、光学表示ユニットに付された識別情報からリーダーによって得られた入力情報でもよい。次いで、制御装置は、光学表示装置の仕様の情報をキーに、メモリに記憶された製品仕様データベースから、フィルム部材を検索する(S32)。次いで、制御装置は、現在セットされているフィルム部材と、検索された必要なフィルム部材との照合を行なう(S33)。第1フィルム部材の設置手段に現にセットされているフィルム部材と、検索されたフィルム部材が同じであれば、フィルム部材の切り替えを行わない。一方、第1フィルム部材の設置手段に現にセットされているフィルム部材と、検索されたフィルム部材が同じでない場合に、フィルム部材の切り替え処理を行う(S34)。以上の動作は、全ての必要なフィルム部材について行なわれる。
以上によれば、フィルム部材の原反は、光学表示装置の仕様に応じて、自動的にフィルム部材の仕様を判定し、自動的に切り換えるように構成される。例えば、製造したい光学表示装置が携帯電話用の場合、それに応じて、第1フィルム部材のサイズ、種類が判定され、その原反が自動的にセットされる。他のフィルム部材の判定、セットも同様である。また、光学表示装置が、パソコン用や、テレビ用、機械の操作画面用等でも同様である。
フィルム部材の切り替え処理を実行する切り換え手段としては、例えば、フィルム部材のセット位置に、複数のフィルム部材を予め準備し、切り替え要求に応じて、検索されたフィルム部材を自動的にセットする機構が挙げられる。また、想定されるフィルム部材を全て製造ライン上に配置し、切り替え要求に応じて、検索されたフィルム部材のみが搬送されて光学部材を形成した後、検査、切断等され、光学表示ユニットに積層する構成が挙げられる。
(製造システム)
図3に光学表示装置の製造システムの全体構成を模式的に示す。図3においては、光学表示ユニット(図3では液晶パネルWとして示す)の一方表面に光学部材が貼り合わされる。この光学部材は、キャリアセパレータ30上に当該光学部材を構成する第1、第2、第3フィルム部材31、32,33を順に貼り合わせることで形成される。光学部材を構成するフィルム部材数は、これよりも少ない構成でも多い構成でも可能である。また、液晶パネルWのもう一方の表面(図3では下側の面)にも、同様に光学部材を貼り合わせることができる。この場合、図3に示す液晶パネルW上面からの積層機構を、下面からの積層機構に適用できる。図3において、キャリアセパレータ30上に光学部材を形成する構成で、図3の上部から下部の方へライン取りされているが、実際の設備ラインはこれに限定されず、地面に対し平行に設備が設置されていてもよい。
それぞれの第1、第2、第3フィルム部材31,32,33のロール原反は、自由回転あるいは一定の回転速度で回転するようにモータ等と連動されたローラ架台装置に設置される。制御装置によって回転速度が設定され、駆動制御される。また、上記の切り替え手段とも連動し、自動的にフィルム部材の切り替えが可能である。
搬送装置は、それぞれのフィルム部材を下流側に搬送する搬送機構である。それぞれの搬送装置は制御装置によって制御されている。
剥離装置20は、搬送されてきたフィルム部材から離型フィルムを剥離する。例えば、剥離装置20は、第1フィルム部材31の第1離型フィルム311を剥離し、ロールに巻き取る構成である。ロールへの巻取り速度は制御装置によって制御されている。剥離機構(不図示)としては、先端が先鋭なナイフエッジ部を有し、このナイフエッジ部に離型フィルムを巻き掛けて反転移送することにより、離型フィルムを剥離すると共に、離型フィルムを剥離した後のフィルム部材を搬送方向に搬送するように構成される。第2離型フィルム321、第3離型フィルム331の剥離処理も同様である。
キャリアセパレータ貼合装置22は、離型フィルムが剥離されたフィルム部材を粘着剤層を介してキャリアセパレータ30に貼り合せる。図3に示すように、第1フィルム部材31とキャリアセパレータ30とを、1または複数のローラ対で挟持し、当該ローラ対で所定の圧力を作用させて貼り合わせる。ローラ対の回転速度、圧力制御、搬送制御は、制御装置によって制御される。離型フィルムの剥離装置20やキャリアセパレータ貼合装置22は、フィルム部材ごとに設置され、その基本的構成は同じである。
検査前剥離装置24は、キャリアセパレータ30上に積層された光学部材から、キャリアセパレータ30を剥離し、ロールに巻き取る構成である。ロールへの巻取り速度は制御装置によって制御されている。剥離機構(不図示)としては、例えば、先端が先鋭なナイフエッジ部(不図示)を有し、このナイフエッジ部にキャリアセパレータ30を巻き掛けて反転移送することにより、キャリアセパレータ30を剥離すると共に、キャリアセパレータ30を剥離した後の光学部材を搬送方向に搬送するように構成される。
欠点検査装置40は、キャリアセパレータ30の剥離後に、欠点検査をする。欠点検査装置40は、CCDカメラで撮像された画像データを解析して欠点を検出し、さらにその位置座標を算出する。この欠点の位置座標は、後述の切断装置によるスキップカットに提供される。
新たなキャリアセパレータ30aの貼合装置26は、欠点検査後に、新たなキャリアセパレータ30aを粘着剤層を介して光学部材に貼り合せる。図3に示すように、キャリアセパレータ30aのロール原反からキャリアセパレータ30aを繰り出し、1または複数のローラ対で、キャリアセパレータ30aと光学部材を挟持し、当該ローラ対で所定の圧力を作用させて貼り合わせる。ローラ対の回転速度、圧力制御、搬送制御は、制御装置によって制御される。
切断装置50は、キャリアセパレータ30aを貼り合せた後に、当該キャリアセパレータ30aを残して(切断せずに)、光学部材と粘着剤層を所定サイズに切断する。切断装置は、例えばレーザ装置である。欠点検査処理で検出された欠点の位置座標に基づいて、切断装置50は、液晶パネルWに貼り合わせられる領域内に欠点を含まないように光学部材の欠点部分を避けて、所定サイズに切断する。すなわち、欠点部分を含む切断品は不良品として後工程で排除装置によって排除される。あるいは、切断装置50は、欠点の存在を無視して、連続的に所定サイズに切断してもよい。この場合、後述の貼り合せ処理において、当該部分を貼り合せずに除去するように構成できる。この場合の制御も制御装置の機能による。
また、切断装置50は、光学部材を裏面から吸着保持する保持テーブルを配置し、レーザ装置を光学部材の上方に備える。光学部材の幅方向にレーザを走査させるように平行移動し、最下部のキャリアセパレータ30aを残して光学部材、粘着剤層をその搬送方向に所定ピッチで切断(以下、適宜「ハーフカット」という)する。また、このレーザ装置は、光学部材の幅方向から挟むようにして、切断部位に向けて温風を吹き付けるエアーノズルと、この温風により搬送される切断部位から発生したガス(煙)を集煙する集煙ダクトとが対向した状態で一体構成されていることが好ましい。光学部材を保持テーブルで吸着する場合に、その下流側と上流側の光学部材の連続搬送を停止しないように、搬送機構にアキュムレート装置(不図示)が機能する構成である。この動作も制御装置の制御による。
光学表示ユニットへの貼合装置60は、上記切断処理後に、剥離装置63によってキャリアセパレータ30aが剥離された光学部材を、粘着剤層を介して液晶パネルWに貼り合せる。欠点検査装置40によって、良品判定された光学部材のみが、液晶パネルWと貼り合わされる。良品判定された光学部材と液晶パネルWが貼り合わせ位置に同期して搬送される。光学部材および液晶パネルWのそれぞれの先端部分が重なり合うように搬送される。これは、制御装置が、搬送装置(アキュムレート装置を含む)および搬送機構を連動するように制御し実現している。
貼り合せる動作においては、ロール対(61,62)によって光学部材を液晶パネルW面に圧接しながら貼り合わせる。ロール対(61,62)の押さえ圧力、駆動動作は、制御装置によって制御される。
キャリアセパレータ30aの剥離装置63の剥離機構としては、先端が先鋭なナイフエッジ部を有し、このナイフエッジ部にキャリアセパレータ30aを巻き掛けて反転移送することにより、キャリアセパレータ30aを剥離すると共に、キャリアセパレータ30aを剥離した後の光学部材を液晶パネルW面に送り出すように構成される。剥離されたキャリアセパレータ30aはロールに巻き取られる。このロールの巻取り制御は、制御装置によって制御される。
ロール対(61,62)による貼合せ機構としては、押さえロ一ラ62とそれに対向して配置される案内ローラ61とから構成されている。押さえローラ62は、図3において搬送される液晶パネルWの上方に配置され、案内ローラ61は、図3において搬送される液晶パネルWの下方に配置される。案内ローラ61は、モータにより回転駆動するゴムローラで構成され、昇降可能に配備されている。また、その直上方にはモータにより回転駆動する金属ローラからなる押さえローラ62が昇降可能に配備されている。液晶パネルWを貼合せ位置に送り込む際には押さえローラ62はその上面より高い位置まで上昇されてローラ間隔を開けるようになっている。なお、案内ローラ61および押さえローラ62は、いずれもゴムローラであってもよいし金属ローラであってもよい。液晶パネルWは、例えば、表面研磨装置、水洗装置、ブラシ洗浄装置等によって洗浄され、搬送機構によって搬送される構成である。搬送機構の搬送制御も制御装置の制御による。
(排除装置)
光学部材を排除する排除装置について説明する。排除装置は、光学部材と光学表示ユニットとの貼り合わせ位置で、光学部材を排除する構成である。除去用フィルム71は、光学部材の粘着剤層の粘着力を利用して、排除対象の光学部材を貼着することができるが、除去用フィルム71として粘着テープを使用することも可能である。
(1)例えば欠点を含む不良品判定された光学部材が貼り合わせ位置に搬送されてくると、光学表示ユニットの搬送送りが停止する(搬送機構にアキュムレート機構が具備されている)。そして、案内ローラ61は垂直下方に移動する。
(2)次いで、除去用フィルム71が掛け渡された排除用ローラ72は案内ローラ61の定位置である貼り合わせ位置に移動する。
(3)押さえローラ62は垂直下方に移動する。
(4)押さえローラ62は、粘着剤付き光学部材を排除用ローラ72側に押さえつけて、光学部材を粘着剤によって除去用フィルム71に貼り付ける。そして除去用フィルム71とともに光学部材を巻き取りローラ73に巻き取る。
(5)排除後、押さえローラ62は上昇し、除去用フィルム71が掛け渡された排除用ローラ72は原位置に復帰し、案内ローラ61は原位置に復帰する。以上の動作は、制御装置によって制御される。
なお、排除装置は、光学部材と光学表示ユニットとの貼り合わせ位置で、光学部材を排除する構成に限定されず、切断処理後に不良品判定された光学部材をキャリアセパレータから剥離する機構構成も採用できる。
次いで、光学表示装置の検査装置について説明する。光学部材が積層されて得られた光学表示装置は、検査装置に搬送される。検査装置は、搬送されてきた光学表示装置の両面に対し検査を実行する。装置の一例としては、光源を光学表示装置の上面から垂直に光を照射し、その透過光像をCCDカメラによって画像データとして撮像する。この場合、光学表示装置の両面に形成された偏光子(光学フィルム)がクロスニコルの関係になっている、欠点は輝点として検出され、貼り合わせ面やパネル自体の欠点を検出できる。また、他の光源を所定角度で光学表示装置表面を照射し、その反射光像をCCDカメラによって画像データとして撮像する。これら画像データから欠点が画像処理解析され、良品判定される。なお、CCDカメラの前面に検査用の偏光板を介在させるように構成してもよい。
それぞれの装置の動作タイミングは、例えば、所定の位置にセンサーを配置して検知する方法で算出され、または、搬送装置や搬送機構Rの回転部材をロータリーエンコーダ等で検出するようにして算出される。制御装置は、ソフトウエアプログラムとCPU、メモリ等のハードウエア資源との協同作用によって実現されてもよく、この場合プログラムソフトウエア、処理手順、各種設定等はメモリが予め記憶されている。また、専用回路やファームウエア等で構成できる。
(別実施形態の製造方法・システム)
以上の製造システムにおいては、それぞれのフィルム部材を、順にキャリアセパレータに貼り合せる構成であったが、キャリアセパレータを用いずに、それぞれのフィルム部材を積層し、光学部材を構成することができる。例えば、第1フィルム部材の離型フィルムをキャリアセパレータとして機能させることができる。第1フィルム部材はそのまま搬送され、第1フィルム部材の次に、離型フィルムを剥離した後の第2フィルム部材を貼り合せ、この第2フィルム部材の次に、離型フィルムを剥離した後の第3フィルム部材を貼り合せるように構成できる。次いで、欠点検査工程において、第1フィルム部材の離型フィルムを剥離して欠点検査を実行する。次いで、新たにキャリアセパレータを粘着剤層を介して第1フィルム部材側に貼り合わせ、切断工程において、このキャリアセパレータを残して(切断せずに)、積層された第1、第2、第3フィルム部材(光学部材を構成している)を切断する。次いで、キャリアセパレータを剥離しつつ、積層された第1、第2、第3フィルム部材を液晶パネルWに貼り合せる構成である。
以下において、光学部材を構成するフィルム部材の構成例について以下に説明する。
(偏光子)
ポリビニルアルコール系フィルムの染色、架橋、延伸の各処理は、別々に行う必要はなく同時に行ってもよく、また、各処理の順番も任意でよい。なお、ポリビニルアルコール系フィルムとして、膨潤処理を施したポリビニルアルコール系フィルムを用いてもよい。一般には、ポリビニルアルコール系フィルムを、ヨウ素や二色性色素を含む溶液に浸漬し、ヨウ素や二色性色素を吸着させて染色した後洗浄し、ホウ酸やホウ砂等を含む溶液中で延伸倍率3倍〜7倍で一軸延伸した後、乾燥する。ヨウ素や二色性色素を含む溶液中で延伸した後、ホウ酸やホウ砂等を含む溶液中でさらに延伸(二段延伸)した後、乾燥することにより、ヨウ素の配向が高くなり、偏光度特性が良くなるため、特に好ましい。
偏光子とその保護層である透明の偏光子保護フィルムとの接着処理は、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルアルコール系ポリマーからなる接着剤、あるいは、ホウ酸やホウ砂、グルタルアルデヒドやメラミン、シュウ酸などのビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤から少なくともなる接着剤等を介して行うことができる。かかる接着層は、水溶液の塗布乾燥層等として形成されるが、その水溶液の調製に際しては必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒も配合することができる。
(偏光子保護層:偏光子保護フィルム)
偏光子の片側又は両側に設ける偏光子保護層には、適宜な透明フィルムを用いることができる。例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物があげられる。なお、偏光子の片側には、透明保護フィルムが接着剤層により貼り合わされるが、他の片側には、透明保護フィルムとして、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を用いることができる。透明保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などがあげられる。
透明保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。特に1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましい。透明保護フィルムは、5〜150μmの場合に特に好適である。
前記透明保護フィルムは、接着剤を塗工する前に、偏光子との接着性を向上させるために、表面改質処理を行ってもよい。具体的な処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、オゾン処理、プライマー処理、グロー処理、ケン化処理、カップリング剤による処理などがあげられる。また適宜に帯電防止層を形成することができる。
本発明によるフィルム部材は、実用に際して各種光学層を積層した多層積層構造のフィルム部材も例示できる。その光学層については特に限定されるものではないが、例えば、前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面(前記接着剤塗布層を設けない面)に対して、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした表面処理を施したり、視角補償等を目的とした配向液晶層を積層する方法があげられる。また、反射板や半透過板、位相差フィルム(1/2や1/4等の波長板(λ板)を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられるフィルム部材を1層または2層以上貼りあわせたものもあげられる。特に偏光板の場合、反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、視角補償層または視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板として好ましく適用される。
(位相差フィルム)
偏光子に積層されるフィルム部材の一例として位相差フィルムが挙げられる。位相差フィルムとしては、高分子材料を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。延伸処理は、例えばロール延伸法、長間隙沿延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法などにより行うことができる。延伸倍率は、一軸延伸の場合には1.1〜3倍程度が一般的である。位相差フィルムの厚さも特に制限されないが、一般的には10〜200μm、好ましくは20〜100μmである。
前記高分子材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネイト、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。これら高分子素材は延伸等により配向物(延伸フィルム)となる。
位相差フィルムは、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差フィルムを積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
(粘着剤)
本発明による光学部材には、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層が設けられる。その粘着層は、特に限定されるものではないが、アクリル系等の従来に準じた適宜な粘着剤にて形成することができる。吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨脹差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる画像表示装置の形成性等の点により、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層であることが好ましい。また、微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などとすることができる。粘着層は必要に応じて必要な面に設ければよく、例えば、偏光子と偏光子保護層からなる偏光板について言及するならば、必要に応じて、偏光子保護層の片面または両面に粘着層を設ければよい。
(離型フィルム)
前記粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的に離型フィルムが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
(表面保護フィルム)
このセパレータが設けられた面と反対面の偏光板には、表面保護フィルムが弱粘着剤を介して形成される。その目的は、傷防止、汚染防止等が主目的である。表面保護フィルムとしては、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
W 光学表示ユニット(液晶パネル)

Claims (7)

  1. 光学表示ユニットに、2以上のフィルム部材を積層してなる光学部材を貼り合わせて光学表示装置を製造する方法であって、
    前記フィルム部材のそれぞれを搬送しながら積層して前記光学部材を形成する際に、それぞれのフィルム部材を、順にキャリアセパレータまたは少なくともキャリアセパレータを有するフィルム部材に貼り合せてキャリアセパレータに積層された光学部材を形成し、
    前記形成によって得られた前記光学部材を前記光学表示ユニットに貼り合わせることを特徴とする光学表示装置の製造方法。
  2. 前記形成によって得られたキャリアセパレータに積層された光学部材を、前記キャリアセパレータを切断せずに所定サイズに切断し、当該キャリアセパレータを除去しながら光学部材を粘着剤を介して前記光学表示ユニットに貼り合わせることを特徴とする請求項1に記載の光学表示装置の製造方法。
  3. 前記キャリアセパレータに積層された光学部材を検査し、当該検査結果に応じて当該キャリアセパレータを切断せずに光学部材を所定サイズに切断することを特徴とする請求項に記載の光学表示装置の製造方法。
  4. 光学表示装置の仕様に応じて、前記フィルム部材の仕様が選択されるように、フィルム部材原反切り替え手段による切り替え工程を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の光学表示装置の製造方法。
  5. 前記光学部材の検査の場合に、前記キャリアセパレータを剥離し、前記光学部材の検査をし、その後に、キャリアセパレータを前記光学部材に貼り合せる、請求項3または4に記載の光学表示装置の製造方法。
  6. 前記光学部材の検査の結果、不良品判定された光学部材を所定サイズに切断し排除する排除工程を有する、請求項3から5のいずれか1項に記載の光学表示装置の製造方法。
  7. 前記光学表示ユニットの光学部材が貼着される面とは異なる面側に、他の光学部材をさらに貼り合せることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の光学表示装置の製造方法。
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