JP6245803B2 - 偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置 - Google Patents
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Description
少なくとも第1透明保護フィルムは、可塑剤およびセルロースエステルを含有してなり、かつ、前記可塑剤が一方の面に偏在している、可塑剤偏在セルロースエステルフィルムであり、
前記可塑剤偏在セルロースエステルフィルムにおいて可塑剤が偏在している面側が、前記接着剤層を介して貼り合わされていることを特徴とする偏光板、に関する。
偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性材料を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などポリエン系配向フィルムなどが挙げられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これら偏光子の厚みは特に制限されないが、一般的に80μm程度以下である。偏光子の厚みは、通常、15〜35μmであるのが好ましい。
本発明の第1透明保護フィルムは、セルロースエステルを主原料として含有する。セルロースエステルは任意の適切な材料が採用され得る。好ましくは、セルロースエステルはセルロースの炭素原子数が6以下の低級脂肪酸エステルである。具体例としては、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等のセルロースの水酸基が同じ低級脂肪酸でエステル化されたもの、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロースの水酸基が異なる低級脂肪酸でエステル化されたものが挙げられ、特に好ましくは、セルロースの水酸基がアセチル基および/またはプロピオニル基で置換されたセルロースエステルである。これらは1種を単独で使用、または2種以上を併用できる。
本発明の第2透明保護フィルムは特に制限されず、従来より偏光板に用いられている各種の透明保護フィルムを用いることができる。第2透明保護フィルムを構成する材料としては、例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロール等のセルロールエステル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ナイロンや芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有する環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、およびこれらの混合物があげられる。第2透明保護フィルムについても、第1透明保護フィルムと同様の添加剤を含有することができる。
本発明の偏光板において、偏光子と第1および第2透明保護フィルムの接着には、活性エネルギー線硬化型接着剤が用いられる。活性エネルギー線を照射することにより形成された接着剤層(硬化物層)は水系接着剤層に比べて、耐久性が高く、光学特性の点から好ましい。
(A)ラジカル重合性化合物は、少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を含むビニル基、(メタ)アクリロイル基などを有する化合物であれば、特に限定なく使用可能である。本発明においては、(A)ラジカル重合性化合物の中でも、下記一般式(1):
CH2=C(R1)−CONH2−m−(X−O−R2)m (1)
(R1は水素原子またはメチル基を示し、Xは−CH2−基または−CH2CH2−基を示し、R2は−(CH2)n−H基(ただし、nは0,1または2)を示し、mは1または2を示す)で表されるN−置換アミド系モノマーが好ましい。
(B)光重合開始剤は、活性エネルギー線を照射することによりラジカルを発生する。(B)光重合開始剤としては、水素引き抜き型光重合開始剤と開裂型光重合開始剤とが挙げられる。光重合開始剤は、いずれもそれぞれ単独で用いることができる他、複数を組み合わせて用いても良い。
本発明の偏光板は、偏光子の接着剤層を形成する面および/または第1、第2透明保護フィルムの接着剤層を形成する面に活性エネルギー線硬化型接着剤を塗工した後、偏光子と透明保護フィルムを貼り合わせ、次いで、活性エネルギー線照射によって活性エネルギー線硬化型接着剤を硬化して接着剤層を形成することにより製造することができる。前記第1透明保護フィルム(可塑剤偏在セルロースエステルフィルム)は、可塑剤が偏在しているフィルム面の偏在側を、接着剤層を介して、偏光子に貼り合わせる。
平均重合度2400、ケン化度99.9モル%の厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の温水中に60秒間浸漬し膨潤させた。次いで、ヨウ素/ヨウ化カリウム(重量比=0.5/8)の濃度0.3%の水溶液に浸漬し、3.5倍まで延伸させながらフィルムを染色した。その後、65℃のホウ酸エステル水溶液中で、トータルの延伸倍率が6倍となるように延伸を行った。延伸後に、40℃のオーブンにて3分間乾燥を行い、PVA系偏光子(厚み23μm)を得た。
≪参考例1≫
厚み80μmの可塑剤偏在セルロースエステルフィルムを得た。当該フィルムの偏在側のリン原子に基づくリン系可塑剤の割合(a)は0.5atomic%;当該フィルムの偏在側の反対側のリン原子に基づくリン系可塑剤の割合(b)は0atomic%;であった。
セルローストリアセテート 100重量部(アセチル置換度2.88、数平均分子量15万)、
トリフェニルホスフェート 10重量部(リン系可塑剤)、
エチルフタリルエチルグリコレート 2重量部
チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 1重量部
AEROSIL 200V(日本アエロジル社製)0.1重量部
針状TiO2(石原産業社製、商品名FTL−100)5重量部
メチレンクロライド(沸点:40.2℃) 660重量部
エタノール 40重量部
上記の材料を、順次、ドープ溶解釜1に導入し、釜内温度を20℃から80℃まで昇温した後、温度を80℃に保ったままで3時間攪拌を行なって、セルローストリアセテートを完全に溶解した。その後、攪拌を停止し、液温を55℃まで下げた後、直ちに連結した配管を経て送液ポンプを介して濾過器に送液し、ドープを、これの主たる溶剤であるメチレンクロライドの1気圧における沸点(40.2℃)+5℃以上の温度(55℃)で、濾過を施した。
厚み80μmの可塑剤偏在のセルロースエステルフィルムを得た。当該フィルムの偏在側のリン原子に基づくリン系可塑剤の割合(a)は3atomic%;当該フィルムの偏在側の反対側のリン原子に基づくリン系可塑剤の割合(b)は0atomic%;であった。当該フィルムの調製は、参考例1において、トリフェニルホスフェートの配合割合を60重量部に変えたこと以外は、参考例1と同様にして行った。
前記可塑剤偏在セルロースエステルフィルム中の可塑剤の割合(a:atomic%)、(b:atomic%)の測定は、可塑剤中のリン原子に基づいて、ESCAにより行った。なお、前記割合(a)は可塑剤が偏在している面側から厚さ5nmまでの範囲(偏在側)について、前記割合(b)は前記偏在側とは反対側について面側から厚さ5nmまでの範囲(非偏在側)について、行った。
・厚み60μm、透湿度30g/m2/24hのアクリル系樹脂フィルム。
・厚み60μm、透湿度30g/m2/24hのポリエチレテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学製:T602E50)
・厚み50μm、透湿度9g/m2/24hの環状ポリオレフィン系樹脂フィルム(ゼオノアフィルム,日本ゼオン社製:ZB12−52125)。
透湿度の測定は、JIS Z0208の透湿度試験(カップ法)に準じて測定した。直径60mmに切断したサンプルを約15gの塩化カルシウムを入れた透湿カップにセットし、温度40℃、湿度90%R.H.の恒温機に入れ、24時間放置した前後の塩化カルシウムの重量増加を測定することで透湿度(g/m2/24h)を求めた。
活性エネルギー線として、紫外線(ガリウム封入メタルハライドランプ) 照射装置:Fusion UV Systems,Inc社製Light HAMMER10 バルブ:Vバルブ ピーク照度:1600mW/cm2、積算照射量1000/mJ/cm2(波長380〜440nm)を使用した。なお、紫外線の照度は、Solatell社製Sola−Checkシステムを使用して測定した。
ラジカル重合性化合物(A)として、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(興人社製)を38.3部、
ラジカル重合性化合物(B)として、トリプロピレングリコールジアクリレート(商品名:アロニックスM−220,東亞合成社製)を19.1部、
ラジカル重合性化合物(C)として、アクリロイルモルホリン(興人社製)を38.3部、および
光重合開始剤(商品名:KAYACURE DETX−S,ジエチルチオキサントン,日本化薬社製)1.4部を混合して50℃で1時間撹拌して活性エネルギー線硬化型接着剤を得た。
アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂(平均重合度:1200,ケン化度:98.5モル%,アセトアセチル化度:5モル%)100部に対し、メチロールメラミン50部を、30℃の温度条件下に、純水に溶解し、固形分濃度3.7%に調整した水溶液を調製した。前記水溶液100部に対し、アルミナコロイド水溶液(平均粒子径15nm,固形分濃度10%,正電荷)18部を加えて接着剤水溶液を調製した。
<偏光板の作製>
第2透明保護フィルムとして上記アクリル系樹脂フィルムを用いた。アクリル系樹脂フィルム上に、厚さ0.5μmのウレタン系易接着剤層を形成した後に、当該易接着剤層に、上記活性エネルギー線硬化型接着剤を、MCDコーター(富士機械社製)(セル形状:ハニカム、グラビアロール線数:1000本/inch、回転速度140%/対ライン速)を用いて、接着剤層の厚みが0.5μmになるように塗工した。次いで、前記接着剤を介して、前記第1透明保護フィルム(可塑剤偏在セルロースエステルフィルム)および第2透明保護フィルム(アクリル系樹脂フィルム)を、上記偏光子の両面にロール機で貼り合わせた。第1透明保護フィルムは、可塑剤が偏在している面を貼り合わせた。その後、貼り合わせた第1および第2透明保護フィルムの両側から、IRヒーターを用いて50℃に加温し、上記紫外線を両面に照射して、活性エネルギー線硬化型接着剤を硬化させた。さらに、70℃で3分間熱風乾燥して、偏光子の両面に透明保護フィルムを有する偏光板を得た。貼り合わせのライン速度は25m/minで行った。
実施例1において、第1、2透明保護フィルムの種類、第1透明保護フィルムの貼り合わせる側、接着剤の種類を表1に示すように変えたこと以外は、実施例1と同様にして、偏光板を得た。なお、第2透明保護フィルムとして環状ポリオレフィン系樹脂フィルムを用いた場合には、アクリル系樹脂フィルムにおいて易接着剤層を形成する代わりに、コロナ処理を施した。
実施例および比較例で得られた偏光板について下記評価を行った。結果を表2に示す。
偏光板の単体透過率T、平行透過率Tp、直交透過率Tcは、紫外可視分光光度計(日本分光社製のV7100)を用いて測定した。これらの透過率は、JISZ8701の2度視野(C光源)により測定して視感度補正を行なったY値である。偏光度Pを上記の透過率を用い、次式により求めた。
偏光度P(%)={(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
表1には単体透過率が42.8%の時の偏光度を示す。
得られた偏光板を、15mm×150mmのサイズに裁断してサンプルとした。サンプルを両面接着テープ(日東電工(株)製,No.500)によりガラス板上に貼り付けた。サンプル(偏光板)には、透明保護フィルムと偏光子の間に予めキッカケを設けておき、そのキッカケを変角度ピール試験機(アサヒセイコウ社製)にチャックしてピール強度(N/15mm)を測定した。測定条件は、常温(23℃)、ピール角:90度、ピール速度:3000mm/minとした。得られた測定データの50mm〜100mm間のデータを平均化した値を表1に示す。
Claims (9)
- 偏光子の両面に、活性エネルギー線硬化型接着剤に活性エネルギー線を照射することにより形成された接着剤層を介して、第1および第2透明保護フィルムが貼り合わされている偏光板であって、
少なくとも第1透明保護フィルムは、可塑剤およびセルロースエステルを含有してなり、かつ、前記可塑剤が一方の面に偏在している、可塑剤偏在セルロースエステルフィルムであり、
前記第2透明保護フィルムが、(メタ)アクリル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、またはポリエステル系樹脂であり、
前記可塑剤偏在セルロースエステルフィルムにおいて可塑剤が偏在している面側が、前記接着剤層を介して貼り合わされていることを特徴とする偏光板。 - 前記可塑剤偏在セルロースエステルフィルムは、厚さが1μm以上であり、かつ、
前記可塑剤偏在セルロースエステルフィルムにおいて可塑剤が偏在している面側から厚さ5nmまでの範囲における可塑剤の割合(a)が、可塑剤が偏在していない面側から5nmまでの範囲における可塑剤の割合(b)より大きいことを特徴とする請求項1記載の偏光板。 - 前記可塑剤偏在セルロースエステルフィルムが含有する可塑剤がリン系可塑剤を含有することを特徴とする請求項2記載の偏光板。
- リン系可塑剤中のリン原子に基づく、リン系可塑剤の前記割合(a)が0.5〜3atomic%であることを特徴とする請求項3記載の偏光板。
- 前記可塑剤偏在セルロースエステルフィルムは、nx>ny>nz(但し、面内屈折率が最大となる方向をX軸、X軸に垂直な方向をY軸、厚さ方向をZ軸とし、それぞれの軸方向の屈折率をnx、ny、nzとする)の関係を満足する位相差板であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板。
- 前記第2透明保護フィルムが、透湿度が120g/m2/24h以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の偏光板。
- 前記活性エネルギー線硬化型接着剤が、ラジカル重合性化合物を含有するラジカル硬化型の活性エネルギー線硬化型接着剤であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の偏光板。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の偏光板が、少なくとも1枚積層されていることを特徴とする光学フィルム。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の偏光板または請求項8記載の光学フィルムが用いられていることを特徴とする画像表示装置。
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