JP4437445B2 - スライドファスナーの連続仕上装置 - Google Patents

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Description

本発明は、長尺のスライドファスナーチェーンから短尺なスライドファスナーに仕上げる仕上装置とその仕上方法に関し、特にスライドファスナーチェーンにスライダーを通すときのスライドファスナーチェーンの送り機構に特徴を有するスライドファスナーに仕上げる仕上装置に関する。
従来から、スライドファスナーの製造工程において互いに噛合部と務歯のないスペース部とが交互に配された連続する長尺のスライドファスナーチェーンに対するスライダーの取付けと上止具の取付けとが同一の工程で連続的に順次行なう方法が、例えば特公昭63−7761号公報(特許文献1)によって提案されている。この方法では、長尺の連続ファスナーチェーンのスペース部の下流側端部に予め下止具が取り付けられている。このファスナーチェーンは噛合する務歯の通過空間を有する上下のフィードローラにより一方向に移送され、スペース部の上流側端部がセンサーによって検出されると、この検出信号に基きグリッパーがスペース部の左右のファスナーテープ部分を把持して所定距離を前進するとともに、ファスナーチェーンの送りと直交方向で互いに離間する方向に移動してスペース部を拡開させる。この拡開による開口にスライダーホルダーに把持されたスライダーが突入してセツトされる。この状態でグリッパーの把持が解除され、左右のファスナーテープ部分の内側縁がスライダーの務歯案内路に挿通される。この間にグリッパーは待機位置に戻る。
続いて、スライドファスナーチエーンを逆送させて、スライダー頭部に下止具が当った位置又は近接した位置で停止する。この動作によりスペース部のテープ部分の内側縁は完全にスライダーの務歯案内路に入り込む。続いてファスナーチェーンを前進させ、スライダーの後口部に務歯列の前端に配され噛合状態にある複数個の務歯が嵌入した位置でファスナーチェーンの前進を停止させる。ここで、スライダーはスライダーホルダーによる保持から解放される。
一方、U字片からなる上止具は、予め上止具ホルダーの主動杆と副動杆との間に形成された溝部によって保持されている。主動杆の先端部は錨状に形成されており、副動杆は前記主動杆の基部側から先端部の錨部分に向けて移動可能とされている。この状態で上止具ホルダーが移動して、前記錨状先端部がスペース部に突入し、左右のファスナーテープ部分を拡開して、上止具がテープ内側縁にセツトされたのち、スライドファスナーチェーンを僅かに前進させて、スペース部の上流側端部の務歯を上止具の端面に当接させる。ここで、主動杆の先端がパンチにより押されて主動杆と副動杆との間の上記溝部に保持された上止具が加締られ、上止具がスペース端部のファスナーテープ部分に加締められて固着する。上止具の取付けが終ると、開拡レバーがスペース部に突入したのち開拡してスペース部を押し拡げ、上止具が上止具ホルダーから離脱する。上止具ホルダーと開拡レバーがスペース部から離れる。
また、例えば特公平6−71446号公報(特許文献2)によれば、グリツパー装置がスライドフアスナーチエーンの先端部を把持して仕上加工路に沿って所定の距離を前進する間に、カム板によりスペース部を開口させ、その開口にスライダーホルダーに保持されたスライダーが突入してスライダーにスライドフアスナーチエーンを挿通させる。このスライダー通しがなされる間に、後位のスペース部がセンサーにより検出され、同スペース部の上流側端部が下止具取付位置に達したときグリツパー装置の前進を停止させる。ここで、パンチが作動して予めベンダーによりU字状に形成された下止具をスペース部の上流側端部に加締めて取付ける。この下止具の取付けと同時に切断装置が作動して前記スペース部の中央でスライドフアスナーチエーンを切断する。この切断が終わると、上記グリッパー装置が再び前進を開始して、スライダーと下止具を取り付けたスライドファスナーの一単位を下流側に排出する。この排出が終わると、前記グリッパー装置は元のグリップ位置に戻って、切断後のスライドファスナーチェーンの先端を掴みに行く。従って、この特許文献2によるスライドファスナーチェーンの移送はグリッパー装置による先端の把持と前進動作によってなされることになる。
以上の特許文献1及び2は、一般的な連続するスライドファスナーチェーンからスライドファスナーに仕上げる方法についての提案であるが、これらのスライドファスナーチェーンに、例えばズボンの前立などの所謂フライと呼ばれる複数枚の細長い生地片をチェーン長さ方向にわたって予め縫着した状態で連続して上記仕上げがなされることがある。このときの仕上げには、例えば特公平7−4291号公報(特許文献3)に開示されているように、スライドファスナーチェーンに取付けられたフライを縫着線に沿って幅方向に二つ折りに折り畳まれて、噛合務歯列を露呈した状態で仕上装置に導入される。この二つ折りにされたフライ付きのスライドファスナーチェーンは、同チェーンの幅方向の生地厚は噛合務歯列を挟んで必然的に大きく異なることになる。
特許文献3にあっては、前述の生地厚の差異に基づきスライドファスナーチェーンの移送時に捩れ力が働いて噛合する務歯の位置がずれてしまうことを防ぐため、二つ折りにされたフライ付きのスライドファスナーチェーンが走行する間に、スライダーを挿通、下止め具を取付ける各仕上工程を行っている。この仕上工程にあって、スライダーを挿通する部位と下止め具を取付ける部位との中間部において、連続スライドファスナーチェーンを、そのフライが縫着された側のファスナーテープと縫着されていない側のファスナーテープにそれぞれ個々に当接する駆動ローラ上を走行させ、スライダーの挿通時には駆動ローラの上方に対向しフライ付きファスナーテープに当接する第1副動ローラと、フライが縫着されていない側のファスナーテープに当接する第2副動ローラとを共に各ファスナーテープ上に当接して送り、スライダーの挿通後の移送には前記第1副動ローラをフライ付きファスナーテープより上昇させて離間して、第2副動ローラのみで連続スライドファスナーチェーンを送るようにしている。
特公昭63−7761号公報 特公平6−71446号公報 特公平7−4291号公報
上記特許文献1及び3によれば、いずれもスライドファスナーチェーンは駆動ローラと従動ローラとの間にファスナーテープ部分が挟持された状態で移送される。このようローラによる移送ではローラとファスナーテープの間にスリップなどが生じ、或いは左右の相対するファスナーテープ間に移送速度差や引張力に差が生じたりするため、左右の噛合すべき務歯の位置がずれて対応する務歯との噛合が不可能になり、不良製品の発生原因を作っている。特許文献3のようなフライ付きのスライドファスナーチェーンの移送では、特にフライが縫着された側のファスナーテープと縫着されていないファスナーテープとの間では、両ファスナーテープに作用する引張力が均等とならないことが多く、テープの伸びにも差が生じ、特に前述のような務歯位置のずれが生じやすい。
一方、上記特許文献2はローラ移送ではなくグリップ装置によりスライドファスナーチェーンを移送するためスリップなどの懸念はないが、左右のファスナーテープを直接把持して引っ張りながらスライドファスナーチェーンを搬送すると同時に、そのスペース部に対する開閉動作が加わるため、左右のファスナーテープにはローラによる搬送以上の伸長差などが生じやすく、左右の務歯間に位置ずれが起きやすい。
また、上記特許文献1〜3によれば、いずれの方法によっても仕上工程は個々の仕上ごとに独立しており、工程ごとに必要な仕上部材が独立して作動するため、スライドファスナーチェーンに無用な力が複数回にわたって作用するばかりでなく、その作動タイミングを高精度に調整する煩雑な作業が必要であり、処理速度を上げることと仕上時間を短縮化することを極めて難しくしている。
本発明は、かかる従来の連続仕上工程の合理化を図るとともに、仕上工程中に発生する左右の務歯位置の変動を皆無にして歩留りを向上させると同時に高速度の処理を可能にするスライドファスナーの連続仕上装置と同仕上方法を提供することを目的としている。
前述の目的は、本発明装置としての主要な構成である、噛合務歯列と務歯が取着されていないスペース部とが長手方向に交互に配されたスライドファスナーチェーンを断続的に走行させてスライダーを順次挿通させるスライダー挿通部を備えたスライドファスナーの連続仕上装置であって、前記スライドファスナーチェーンの前記スペース部に向け突入・離脱可能であり、同スペース部を開閉する開閉部材と、前記開閉部材のチェーン下流側に配され、同開閉部材によって開口されたスペース部に向け進退するスライダー保持部材と、前記スライダー保持部材のチェーン下流側に配され、開口した前記スペース部に向け突入・離脱が可能で、開口した同スペース部内への突入位置である第1位置と前記スライダー保持部材によるスライダー挿通終了時の前記スペース部の下端位置である第2位置との間を往復動し、その往動時には前記スペース部のチェーン下流側の第2端部に配される務歯を支持して、スライドファスナーチェーンを引っ張りながら前記第2位置まで移動し、前記スライダー保持部材に保持されたスライダーを前記スペース部のチェーン上流側の上端位置である第1端部に配された務歯列に挿通するスライダー挿通部材とを備えてなることにより効果的に達成される。
そして、本発明にあって前記開閉部材に前記スペース部のチェーン上流側の第1端部の停止位置を位置決めする機能を備えるようにすることができる。また、前記スライダー挿通部材を上止具取着部材を兼ねさせることができる。具体的には、前記スライダー挿通部材が上止具を保持するとともに前記スペース部のファスナーテープ側縁を挿通案内する切欠部と、同切欠部に支持された前記上止具を前記スペース部の第2端部に取着させる上止具取着部とを有しており、この場合には特に前記上止具取着部が、上記切欠部の切欠幅の変更手段を有していることが望ましい。更に本発明にあっては、前記上止具の取着に加えて、前記スライダー保持部材のチェーン下流側に配され、前記スペース部の前記第1端部に下止具を取着する下止具取着手段の一部を構成するパンチ部を更に備えさせることもできる。また、前記下止具取着手段が前記パンチ部とダイとからなる加締め手段を有し、前記スライダー挿通部材と前記ダイとの間に配され、前記スペース部に突入して同スペース部の開口幅を拡張するスペース部拡幅部材を更に備えているとよい。
本発明は、仕上時のスライドファスナーチェーンの搬送を、前記スライダー挿通部材によりなされることが重要ではあるが、前記スライダー挿通部材の一方の移動限であるチェーン下流側の第2位置の更にチェーン下流側に駆動ローラ及び圧接ローラからなるフィードローラ部を更に配しておき、駆動ローラがスライダー挿通部材の移動に合わせて回転可能にしておくことが望ましい。
ライドファスナーチェーンの走行面を挟む第1配設領域に、前記位置決め開閉部材と、前記スライダー保持部材と、前記パンチ部とが配され、スライドファスナーチェーン走行面を挟む2配設領域に、前記下止具取着手段のダイ、スペース部拡幅部材及びスライダー挿通部材が配されている。このとき好ましくは、前記位置決め開閉部材、前記スライダー支持部材、及び前記下止具取着手段のパンチ部、スライドファスナーチェーンの搬送方向に対して不動位置に配され、前記下止具取着手段のダイとスペース部拡幅部材とスライダー挿通部材とが単一の支持部材に支持されてユニット化され、前記ダイ及び前記スペース部拡幅部材が前記スライダー挿通部材の上記第1及び第2位置間の往復動と一緒に往復動するように構成する。
作用効果
上記基本的な構成を備えた本発明に係るスライドファスナーの連続仕上装置によれば、同仕上げ装置に搬送されてくるスライドファスナーチェーンの次位のスペース部が、例えば光電式センサーにより検出されると、上記開閉部材が前記スペース部に突入する。この開閉部材にスペース部の上流側端部である第1端部が当接するとスライドファスナーチェーンの搬送は停止されてスライドファスナーチェーンの停止位置の位置決めがなされる。この場合には、前記開閉部材はには位置決め機能をも合わせてもたせている。この位置決めが終了した直後に、前記開閉部材を前記第1端部から僅かに離間させて、スライドファスナーチェーンの引っ張り力を一時的に除く。
ここで、上記スライダー保持部材がスライダーを保持した状態で前記スペース部に向けて前進を開始する。続いて、開閉部材をチェーン搬送方向と直交する方向に開いてスペース部を開口させてスライダーをスペース部内にセットする。ほぼ同時に、上記スライダー挿通部材が同スペース部に向けて前進して、スペース部の第1位置に突入する。この突入が終わると、上記開閉部材が拡開状態から閉鎖状態へと戻り、スペース部から退出する。この開閉部材の退出によって、スペース部のファスナーテープ部分の側縁部がスライダーの務歯案内路に挿通される。
前記スライダー挿通部材が同スペース部に突入すると同時に、スペース部内をチェーン下流側の第2位置へと向けて移動する。この移動により、スライダー挿通部材がスペース部のチェーン下流側端部である第2端部に配された務歯に当接するとともに同務歯を支持して、更に移動を続ける。この移動により、スライドファスナーチェーンはスライダー挿通部材によって同じ方向に引っ張られて移動し、スライドファスナーチェーンにスライダー保持部材に保持されたスライダーが挿通される。
このスライダー挿通部材によるスライドファスナーチェーンの搬送は、本発明装置及び方法の最も特徴とする構成部分である。すなわち、スライドファスナーチェーンのスライダー挿通工程では、従来のようにファスナーテープの部分をローラ又はグリップ装置によって把持するようにして搬送せずに、スライダー挿通部材がスライドファスナーチェーンのスペース部の端部に位置する噛合状態にある務歯を支持して、この務歯を介してファスナーテープの芯紐部分を緊張させながら搬送するため、ファスナーテープには搬送力が一切かからず、従ってテープの伸長による影響が皆無となり、務歯位置のずれも生じない。
前記スライダー挿通部材に上止具取着部材を兼ねさせるときは、同スライダー挿通部材が第1位置からスペース部内を移動し始めると同時に、上止具をファスナーテープの側縁に取着する操作を開始されることが好ましい。具体的な態様によれば、前記スライダー挿通部材の先端部に形成された切欠部に支持されているU字片からなる上止具を、スライダー挿通部材が第1位置から第2位置に向けて移動しはじめたとき、上止具取着手段の作動を開始して前記切欠部の幅を狭めながら上止具をファスナーテープの側縁に加締めていき、スライダー挿通部材がスペース部の第2端部に達したとき同上止具取着手段による上止具の加締め動作を終えさせるようにして、上止具を前記スペース部の第2端部のファスナーテープ部分に取り付ける。
この上止具の取着が終了したのちも、引き続きスライダー挿通部材は移動を続けており、このときからファスナーテープ側縁に取着され同スライダー挿通部材の切欠部にて強固に支持された上止具を支持したまま、スライドファスナーチェーンを引っ張って第2位置まで移動する。前記上止具の取着終了位置から第2位置までの移動の間に、スライダー保持部材に保持されたスライダーは、前記スペース部のチェーン上流側の第1端部に配された数個の噛合務歯をスライダーの肩口から挿通させる。このとき、数個の噛合務歯をスライダーに挿通させたのち、スライダー保持部材によるスライダーの保持を解除して、スライダー保持部材をスライドファスナーチェーンから後退させて離間するようにしておけば、噛合務歯列が短い場合にも確実に務歯をスライドファスナーに挿通させることができるので好ましい。
更に本発明にあって、前記スライダー挿通部材のチェーン下流側に更に下止具取着部材を備えているときは、スライダーを挿通した側の前記スペース部の第1端部に下止具が自動的に取着することができる。この場合の前記下止具取着部材の設置位置は、前記スライダー挿通部材の移動とともに移動するスライドファスナーチェーンの移動距離、すなわちスライダー挿通距離、換言すればスペース部の移動位置によって決まり、同スペース部の移動終了時におけるチェーン上流側の第1端部の位置となる。前記下止具取着部材が、止具屈曲手段とパンチ及びダイからなる加締め手段とを有しているときは、止具屈曲手段によって止具片をU字状に屈曲させたのち、ダイ上に配されるスペース部の第1端部に向けてパンチが作動し、第1端部に下止具を加締めることにより取り付ける。
また、前記スライダー挿通部材と前記下止具取着部材との間にスペース部の開口幅を拡張するスペース部拡幅部材が配されている場合には、下止具が第1端部に取着されると同時に、スペース部拡幅部材がスペース部に突入してスペース部を拡幅し、その拡幅にともなって前記スライダー挿通部材が上止具を解放してスペース部外へと移動する。また本発明にあって、チェーン下流側の前記第2位置の更にチェーン下流側に上述のようなフィードローラを配している場合、スライダー挿通部材が移動してスライドファスナーチェーンの搬送時に、スライドファスナーチェーンがスライダー挿通部材により搬送された長さと、駆動ローラの回転により次工程へと送り出された長さとを同じ長さとすることができ、搬送時に、スライダー挿通部材がスペース部の下流側端部に当接する状態を維持させるとともに、スライドファスナーチェーンを緊張させないようにする。
特に、スライドファスナーチェーンの走行面を挟む第2配設領域に配される、前記下止具取着部材のダイ、スペース部拡幅部材及びスライダー挿通部材が単一の支持部材に支持されてユニット化されているときは、それらの部材のスペース部に向けての進退動作のタイミングを除けば、全てスライダー挿通部材の上記第1及び第2位置間の往復動に共動する。そのため、個々の部材間の間隔は常に一定の状態で移動するため、上述のようにスライダー挿通部材の第1位置から第2位置への移動だけで上止具の取着、スライダー挿通及び下止具の取着が順次自動的になされるようになり、装置のコンパクト化と仕上げの高速化が実現できる。このとき、前記ダイと前記スライダー挿通部材との配置間隔が前記スペース部の第1端部と第2端部との間の寸法に等しく設定しておけば、スライダー挿通部材が第2位置に達したとき、その場でスペース部のチェーン上流側の第1端部に下止具を正確に取着することができる。
更には、前記スライダー挿通部材によるスライドファスナーチェーンの送出し開始時から所定の時間差をもって、前記第2位置のチェーン下流側に配される駆動ローラ及び従動ローラからなるフィードローラ部よるスライドファスナーチェーンの送出しを開始するようにすれば、スライダー挿通部材が上止具と務歯とに当接した状態で送り出しを行うことができる。また、スライダー挿通部材とフィードローラ部との間のスライドファスナーチェーンに、フィードローラ部による過度の緊張を与えることがなくなる。
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明に係るスライドファスナーの連続仕上装置の代表的な実施形態を示す概略構成図である。
同図に示すように、本実施形態ではスライドファスナーチェーンFCは前工程から水平に搬送され、本仕上装置100の上方にて第1ガイドローラ101により90度転向して垂直下方へと搬送されたのち、直下に配された排出路102に沿って装置外へと排出される。しかるに、本発明に係る連続仕上装置にあっては前記スライドファスナーチェーンFCを水平なチェーン搬送路に沿って水平に搬送させる間に全ての仕上げを連続して行うことも可能である。
本実施形態によれば、前記スライドファスナーチェーンFCが垂直に搬送される間に、本発明のスライドファスナーの連続仕上げ装置100によって、同スライドファスナーチェーンFCのスペース部のチェーン下流側端部の第2端部に図示せぬ上止具が取着され、同スライドファスナーチェーンFCに図示せぬスライダーが挿通されたのち、前記スペース部の上流側端部の第1端部に下止具を連続して取着する。前記スライドファスナーチェーンFCには、図2及び図21に示すようにズボンの前立てなどに使われるフライ(生地片)Fが一方のファスナーテープTに縫着されたフライ付きファスナーチェーンFC1と、図20及び図22に示すようなフライが縫着されていないファスナーチェーンFC2とがある。いずれのファスナーチェーンFC1,FC2にあっても、左右一対のファスナーテープTと、同ファスナーテープTの対向側縁部に間欠的に取着された多数の務歯列ERと、各務歯列ER間に形成される務歯Eが取着されていないスペース部SPとを備えている。以下の本実施形態では、フライ付きスライドファスナーチェーンFC1の仕上げについて述べるが、通常のスライドファスナーチェーンFC2についてもフィードローラ部によるローラ搬送を除いて全く同じ手順により仕上げがなされる。
前記スライドファスナーの連続仕上げ装置100は、架台103の上面の前記スライドファスナーチェーンFCの搬送面を挟んだ図面左側の第1配設領域Aにはコラム110が立設されており、同コラム110には上方から位置決め開閉部材111、スライダー保持部材112、下止具取着部材113の一部であるパンチ部119及びチェーンフィード部の一部である圧接ローラ114が順に取り付けられている。一方、前記架台103の上面の前記スライドファスナーチェーンFCの搬送面を挟んだ図面右側の第2配設領域Bには複数本のガイドロッド104が垂直に立設され、同ガイドロッド104の上端にはシリンダー載置台105が固設されており、同シリンダー載置台105の上面には第1シリンダ106がロッド端を下方に向けて固設されている。前記第1シリンダ106のロッド端には、前記ガイドロッド104を挿通したチェーン搬送ユニット120が固設支持されており、また架台103の前記第2配設領域Bの上面にあって、上記圧接ローラ114に相対する位置にはモータ107aの駆動により回転する駆動ローラ107が設けられている。前記圧接ローラ114は自由回転ローラであり、前記コラム110に固設した第4シリンダー114aのロッド端に固設されており、架台103に固設された前記駆動ローラ107とともにスライドファスナーチェーンFC1のチェーンフィード部を構成する。
上記位置決め開閉部材111は、図1及び図2に示すように、上記コラム110の上端からスライドファスナーチェーンFC1の垂直搬送面に向けて突設されたブラケット115の先端部に前記垂直搬送面に向けて揺動する二股の揺動片111aの上端を枢着するとともに、同揺動片111aの下端に垂直搬送面を横切る方向に揺動する一対の第1及び第2の揺動杆111b,111cの上端が枢着して構成されている。第1及び第2の各揺動杆111b,111cは、その下端に垂直搬送面に向けて突出するストッパー片111b−1,111c−1を有しており、揺動片111aと第1及び第2の111b〜111cは垂直搬送面に向けて協働して一緒に揺動し、同時に第1及び第2揺動杆111b,111cが垂直搬送面を横切る方向で接近及び離開するように揺動する。これらの動きは、図示を省略するが、例えば押動杆及びカム機構を利用することにより実行される。
上記スライダー保持部材112は、図2及び図5に示すように、上記コラム110の前記開閉部材111の設置位置の下方に隣接して設置されており、第2シリンダー117と同シリンダー117のロッド端に固設されたスライダー保持部118とから構成されている。第2シリンダー117は前記コラム110の背面に固設され、同コラム110には第2シリンダー117の作動により前記スライダー保持部118をチェーン搬送路に向けて進退させる第1の案内通路110aが水平に貫設されている。前記スライダー保持部118は、図5に示すように上下のグリッパー118aを有しており、同グリッパー118aの前面にスライダーSLの胴体を当接させるとともに、上下のグリッパー118aで引手Pを挟持して、スライダーSLを保持する。上下のグリッパー118aは、図示せぬカム及びスプリングを使って引手Pの挟持を開放可能にしている。
前記コラム110の前記スライダー保持部材112の下方位置に、上記下止具取着部材113の構成部材の一部であるパンチ部119が設置されている。このパンチ部119は、図2及び図12〜図14に示すとおり、コラム110の背面に固設される第3のシリンダー119aと、同シリンダー119aの作動により上記チェーン搬送路に向けて進退するパンチ119bを有している。そのため、前記コラム110には前記パンチ部119が進退するための第2の案内通路110bが水平に貫設されている。パンチ119bは、図2及び図13から理解できるように、第1〜第3の4角柱片119b−1〜119b−3を相対的に摺動可能に並列して構成され、その中央に配される第2の4角柱片119b−2がパンチ本体となる。第1〜第3の4角柱片119b−1〜119b−3は前記第3シリンダー119aによってチェーン搬送路に向けて一緒に進退するとともに、前記パンチ本体を構成する中央の第2の4角柱片119b−2は、第1及び第3の4角柱片119b−1,119b−3の間を独立して進退させる。
第1シリンダ106の作動により、架台103に立設された上記ガイドロッド104に案内されて上下動する上記チェーン搬送ユニット120のブロック状本体120aには、図1に示すように、上方から順に下止具取着部材113の構成部の一部であるダイ121と、スライドファスナーチェーンFC1に形成された務歯の取着していない後述するスペース部を拡開するスペース部拡幅部材122と、本発明の最も特徴部を構成するスライダー挿通部材123とが一体的に設けられている。前記ダイ121とスペース部拡幅部材122とは、チェーン搬送路とは反対側の背面が連結部材124によって連結一体化されている。その連結部材124には、前記ブロック状本体120aの背面に固設された第5のシリンダー125のロッド端が固設されている。これらのダイ121及びスペース部拡幅部材122は、前記ブロック状本体120aに水平に貫設された第3及び第4の案内通路120b,120cに案内され、前記第5シリンダー125の作動によりチェーン搬送路に向けて一緒に進退する。また、前記スペース部拡幅部材122の下方に配された前記スライダー挿通部材123は、前記ブロック状本体120aの背面に固設された第6シリンダー126のロッド端に取り付けられており、ブロック状本体120aに水平に貫設された第5の案内通路120dに沿って上記チェーン搬送路に向けて単独で進退する。
上記ダイ121は、図1及び図2に示すように矩形状の板材からなり、そのチェーン搬送路と対面する側の端面中央部には凹欠部121aが形成されている。また、上記スペース部拡幅部材122も矩形状の板材からなり、そのチェーン搬送路と対面する側の端部は上面視で2等辺3角形状の楔形をしている。前記ダイ121の肉厚及び板幅は前記スペース部拡幅部材122の肉厚及び板幅よりも大きく、且つ前記スペース部拡幅部材122の先端位置は前記ダイ121の先端位置よりもチェーン搬送路側に長く延出している。
上記スライダー挿通部材123も上記スペース部拡幅部材122と同様に矩形板材からなり、そのチェーン搬送路と対面する側の先端部も、図2及び図7に示すように、スペース部拡幅部材122と同様、上面視で楔形に形成されているが、その楔形の基部近傍に隣りあった部位には、左右側面から板幅方向に内側に向かって互いに延びる矩形状の第1及び第2切欠部123a−1,123b−1が形成されている。このスライダー挿通部材123は、第1部材123aと第2部材123bとの2部材から構成されている。前記第1部材123aには前記第1切欠部123a−1の全てと前記第2切欠部123b−1の底面及びその先端側の内壁面とを形成し、前記第2部材123bは前記第2切欠部123b−1の後端側の内壁面を形成する。
前記第1部材123aに対して前記第2部材123bは前記第2切欠部123b−1の切欠幅を拡縮するように第1部材123aの内側側面に沿って摺動可能とされている。前記第1及び第2切欠部123a−1,123b−1はスライドファスナーチェーンFC1の上記スペース部に露呈する左右のファスナーテープTの対向する側縁を挿通案内する。前記第2切欠部123b−1には、図7に示すように、更に上止具S1を包持した状態で一方のファスナーテープTの側縁を挿通案内する。そのため、同図に示すように、第2切欠部123b−1の下面側には前記上止具S1を包持するに十分な広さをもつ拡大切欠部123b−2が段部を介して形成されている。また、前記第1切欠部123a−1の下面側にも務歯Eを収容するに十分な大きさの拡大切欠部123a−2が形成されている。
上記第2部材123bは、上止具S1を抱持する拡大切欠部123b−2の切欠幅の大きさを変更する手段として機能し、上止具S1を変形させることなく密接保持する場合の切欠幅と、同切欠幅よりも狭く、上止具S1を塑性変形させてファスナーテープTに固着する場合の切欠幅とに変更することができる。
本実施形態にあっては、前述のようにスライダー挿通部材123を左右一対の第1及び第2部材123a,123bの2部材にて構成し、上止具S1を第1部材123aと第2部材123bとの間に形成した第2切欠部123b−1に包持させるとともに,第1切欠部123a−1の拡大切欠部123a−2に務歯Eを収容して、左右のファスナーテープTの対向側縁をそれぞれ挿通案内するようにしているが、スライダー挿通部材123を左右部材と中央部材の3部材から構成して、左右の部材が中央部材に沿って摺動可能として、左右の第1及び第2切欠部123a−1,123b−1にそれぞれ前述のような拡大切欠部123a−2,123b−2を段部を介して形成し、各拡大切欠部をもって左右一対の上止具S1を包持させるようにすることもできる。
上記チェーン搬送ユニット120は、第1シリンダ106の作動により、上記スライダー挿通部材123がスライドファスナーチェーンFC1の上記スペース部SPに突入する図5に示す第1位置(上限位置)P1と、スライダーSLを挿通したのち、下止具取着部材113のダイ121が下止具S2の取着位置に達したときのスライダー挿通部材123の移動位置である図13に示す第2位置(下限位置)P2との間を往復動する。
次に、以上の構成を備えた本実施形態に係る上記スライドファスナーの連続仕上装置100による連続仕上げの手順を図面を参照しながら具体的に説明する。
水平に搬送されてくるスライドファスナーチェーンFC1は、第1ガイドローラ101により90度転向して垂直下方へと搬送される。スライドファスナーチェーンFC1が垂直下方へと搬送される間に、本実施形態に係る連続仕上装置100によってスライダーSLの挿通、上止具S1の取着及び下止具S2の取着が連続して自動的になされる。
いま、前回の仕上げがなされたのち、連続して搬送されるスライドファスナーチェーンFC1の次回の仕上げがなされるスペース部SPが、図示せぬセンサーにより検出される。この検出後に予め所定の長さの搬送が続行され、その長さに達すると上記位置決め開閉部材111がスライドファスナーチェーンFC1に向けて前進して、左右の第1及び第2揺動杆111b,111cの下端から前方に突出する各ストッパー片111b−1,111c−1を密接させたまま、第1及び第2の揺動杆111b,111cを前方へと揺動させて、各ストッパー片111b−1,111c−1を図3に示すように前記スペース部SPに突入させる。この突入時の揺動動作により、前記ストッパー片111b−1,111c−1の上面を前記スペース部SPの第1端部C1にある務歯Eの下面が当接した状態でスライドファスナーチェーンFC1を僅かに緊張させて位置決めがなされる。本実施形態にあっては、緊張後に上記開閉部材を111を下流側に僅かに移動してスライドファスナーチェーンFC1の緊張を緩和させている。スライドファスナーチェーンFC1を上流側に僅かに逆送して同スライドファスナーチェーンFC1の緊張を緩和させてもよい。
前記第1端部C1の位置決めについては、上述のごとき開閉部材111が位置決めを行うことに代えて、位置決め用のストッパー部材を前記開閉部材111とは別に設け、このストッパー部材を第1端部C1と当接させて行なってもよい。または光電管や近接スイッチ等の位置決め用センサーを設け、同センサーが第1端部C1を検出した後、制御部が前記フィードローラ部の駆動ローラ107を所定の角度回転させることを指令し、スライドファスナーチェーンFC1を所定長さ搬送後に停止させることで位置決めを果たすものであってもよい。
次いで、上記開閉部材111の第2及び第3揺動杆111b,111cが、図4に示すように、上端を揺動中心としてスライドファスナーチェーンFC1の幅方向で互いが離間する方向に揺動して前記スペース部SPを拡開させる。ここで、上記第2シリンダー117が伸長方向に作動し、スライダーSLの肩口を上に向けてスライダーSLを保持したまま、上記スライダー保持部材112をスペース部SPに向けて前進させ、図5に示すようにスライダーSLだけをスペース部SPに侵入させて、所定位置にて停止する。なお、スライダー保持部材112の前進に連動して開閉部材111の第2及び第3揺動杆111b,111cを揺動させるためのカムを設け、第2及び第3揺動杆111b,111cがスライダー保持部材112の前進中に揺動してスペース部SPを拡開するようにしてもよい。
前記スライダー保持部118の前進とほぼ同時に、第2配設領域Bに配された上記チェーン搬送ユニット120の上記第6シリンダー126が作動し、図6に示すように、U字状の1個の上止具P1を第2切欠部123b−1に保持した状態で、前記スライダー挿通部材123を同じく上記スペース部SPに向けて前進させる。このスライダー挿通部材123がスペース部SPに侵入すると、上記位置決め開閉部材111の第2及び第3揺動杆111b,111cが閉じられると同時に元の待機位置へと後退する。この後退により、スペース部SPの開口が狭まろうとする。このとき、図9に示すように、スペース部SPの一対のファスナーテープTの側縁部分が、スライダーSLの上下翼板SL1,SL2間の間隙に挿通されるとともに、前記側縁部分の一つがスライダー挿通部材123の上記拡大切欠部123b−2に保持されたU字状の上止具S1の脚部間に嵌挿され、他の側縁部分が第1切欠部123a−1に嵌挿される。
ここで、上記第1シリンダー106が作動して上記チェーン搬送ユニット120を所定の移動距離を下降させる。このときの移動距離は前記スライダー挿通部材123がスペースに突入する第1位置P1から上記下止具取着部材113のダイ121が第1配設領域Aに設置された上記パンチ部119と相対する第2位置P2までの距離である。第1位置P1から下降を開始したスライダー挿通部材123は、移動の途中で早々にスペース部SPのチェーン下流端である第2端部C2に達し、図10に示すように、その拡大切欠部123b−2に保持された上止具S1と第1切欠部123a−1とが、それぞれスペース部SPの第2端部C2の各ファスナーテープ部分に取着された務歯E,Eに当接する。このときまでは、スライドファスナーチェーンFC1には引っ張り力などは働いていない。
こうしてスライダー挿通部材123が移動する間に、図12に示すように、スライダー挿通部材123の第2部材123bが前記拡大切欠部123b−2の切欠幅を狭める方向に動き、上止具S1がスペース部SPの第2端部C2のファスナーテープ部分に取着された務歯Eの一つに当接し、更に下降を続けて第2位置P2の直前に達したとき、その当接位置にて上止具S1の加締めが丁度終了して、ファスナーテープTに上止具S1が取着されるようにしている。本実施形態によれば、上記前記移動の間に同第2部材123bが第2切欠部123b−1(拡大切欠部123b−2)の切欠幅を狭める方向に押し出すための図示せぬカム面をもつ固定カムがチェーン搬送ユニット120の外に配されている。前記第2部材123bの作動は、前記チェーン搬送ユニット120の下降に従って前記第2部材123bの後端を前記固定カムのカム面上を摺動しながら下降して、前記第2部材123bを第2切欠部123b−1の切欠幅が狭まる方向に押し出すことによりなされる。
この上止具S1の取着は、第2切欠部123b−1に上止具S1を保持し、同時に第1切欠部123a−1に務歯を当接させた状態で、前記チェーン搬送ユニット120の下降を続けながら取着を完了する。すなわち、上記スライダー挿通部材123はスライドファスナーチェーンFC1のスペース部SPのチェーン下流側の第2端部C2に配された左右一対の務歯Eの一方を把持するとともに、他方の務歯に当接させたまま、下降を続けることになる。換言すると、スライドファスナーチェーンFC1は、従来のように左右のファスナーテープTを、グリッパーにより把持したり、或いはローラ間に挟んで搬送するものではなく、務歯Eを把持し或いは押して搬送するため、ファスナーテープTの伸縮しにくい芯紐が配されたテープ縁部を通して引っ張ることになり、ファスナーテープTのテープ本体には格別の張力が作用することがなくなり、同時にスペース部SPのチェーン下流側の第2端部C2に配された左右一対の務歯E,Eの位置関係も不変となるため、務歯Eのずれによる不具合が全くなくなる。本実施形態にあっては、スライダー挿通部材123によるスライドファスナーチェーンFC1の搬送開始より僅かに時間差をおいて上記駆動ローラ107を回転させて、スライダー挿通部材123が上止具S1及び務歯に当接した状態でスライドファスナーチェーンFC1を搬送するようにしている。
前記駆動ローラ107がスライダー挿通部材123によるスライドファスナーチェーンFC1の搬送と同調して回転する動作は、電気的手段又は機械的手段のいずれかが採用される。例えば電気的手段であれば、スライダー挿通部材123の搬送開始信号を受信した図示せぬ制御装置が、駆動モータ107aへ駆動開始信号を発信し、スライダー挿通部材123の移動に合わせて駆動ローラ107を駆動回転させることができる。
また、機械的手段であれば、チェーン搬送ユニット120にラックを固設し、同ラックとかみ合うピニオンを駆動ローラ107の回転軸に固設し、スライダー挿通部材123によるスライドファスナーチェーンFC1の搬送時において駆動モータ107aの電源を切った状態として、チェーン搬送ユニット120の移動すなわちスライダー挿通部材123の移動に応じて駆動ローラ107を強制的に回転させることができる。
上述のごとく、駆動ローラ107がスライダー挿通部材123の移動に合わせて回転することにより、スライドファスナーチェーンFC1W 、スライダー挿通部材123により搬送された長さと、駆動ローラ107の回転により次工程である排出部102へと送りだされた長さとを同じ長さにすることができる。
このようにして、スライドファスナーチェーンFC1の搬送が開始されると、その直後に、図11に示すように、スペース部SPのチェーン上流側の第1端部C1に配された左右の複数個の務歯EがスライダーSLの肩口から挿通される。このスライダーSLの挿通がなされている間に、スライダー挿通部材123が図13に示す下降限位置である第2位置P2に達すると、前記チェーン搬送ユニット120の下降も停止する。この時点で、スライダー挿通部材123によるスライダー通しが完了する。このとき、スペース部SPの上流側端部である第1端部C1の位置は、丁度、下止具取着部材113による下止具S2の取着位置で停止するように設定されている。チェーン搬送ユニット120の下降が停止すると、同チェーン搬送ユニット120に設置された第5シリンダー125が伸長方向に作動して、下止具取着部材113の構成部の一部であるダイ121とスペース部を拡開するスペース部拡幅部材122とをスライドファスナーチェーンFC1の下止具取着位置に向けて前進させる。
前記スペース部拡幅部材122の先端位置は、図15に示すように、前記ダイ121の先端位置よりもスライドファスナーチェーンFC1に向かう方向に長くされており、前記ダイ121が下止具取着位置に達するときには、スペース部拡幅部材122の先端楔部は既にスペース部SPに突入して、同スペース部SPを拡開している。このときの拡開幅は、図14に示すようにスライダー挿通部材123の切欠部からファスナーテープ部分及び上止具S1が外れるに十分な幅に設定される。スペース部拡幅部材122によるスペース部SPの拡開が終了すると同時に、図15に示すように、前記スライダー挿通部材123がスライドファスナーチェーンFC1から離れる方向に後退して、スペース部SPから離脱する。
上記ダイ121の前進に続いて、第1配設部A側に設置された第3シリンダー119aが作動して、パンチ119bを下止具取着位置に向けて前進させる。同パンチ119bの構成部材である第1及び第3の4角柱片119b−1,119b−3が図16に示す下止具取着位置に達すると、先行して下止具取着位置に達している上記ダイ121の先端面と第1及び第3の4角柱片119b−1,119b−3との間で左右のファスナーテープT,Tを挟持する。ここで、パンチ119の中央に配される第2の4角柱片119b−2が、第3シリンダー119aの作動によって前記ダイ121に向けて前進し、第1及び第3の4角柱片119b−1,119b−3の間で保持しているU字状の下止具S2を押し出して加締め、図17に示すように、同下止具S2をスペース部SPの第2端部C2に配されている噛合務歯E,Eに隣接して露呈する左右のファスナーテープT,T間を連結状態で取着する。
この下止具S2の取着が終了すると、上記パンチ119b及びダイ121がスライドファスナーチェーンFC1から離れて、図18に示す位置に後退する。この後退がなされると、第1シリンダー106が縮長方向に作動され、上記チェーン搬送ユニット120が図1に示す元の待機位置へと戻る。このとき、駆動ローラ107も回転を始め、スライドファスナーチェーンFC1を下方へと送り出す。以上の操作が繰り返されて、連続するスライドファスナーチェーンFCに対して、上述のようなスペース部SPのチェーン下流側の第2端部C2に上止具S1が取着され、続いてスライダー通しがなされたのち、スペース部SPのチェーン上流側の第1端部C1に下止具S2が取着されて、連続仕上げが順次なされる。
ところで、本実施形態にあってはフライ付きスライドファスナーチェーンFC1に対して上述のように仕上げを行っているが、既述したとおり図22に示すようなフライが縫着されていない通常のスライドファスナーチェーンFC2に対しても同様の操作で仕上げを行うことができる。その場合には、前述の駆動ローラと圧接ローラは、左右の各第1ローラ部と第2ローラ部とを同一径として、それぞれを個別に同じ軸部をもって支持させることができる。しかし、フライ付きのスライドファスナーチェーンFC1にあっては、図19に示すように、スライドファスナーチェーンFC1における左右のファスナーテープTの一方にフライFが縫着され、且つスライドファスナーチェーンFC1の搬送時においてふらいFは二つ折りにされていることにより、フライFが縫着されている側ではフライ2枚分だけ厚みが増している。その結果、駆動ローラ107の第1及び第2ローラ部と、圧接ローラ114の第1及び第2ローラ部とを、それぞれ同一径で且つそれぞれを単一の軸部に設けてスライドファスナーチェーンFC1を搬送する場合には、二つ折りのフライFが縫着されている側の圧接力が大きくなり、スライドファスナーチェーンFC1に捩れが発生し、搬送が安定しなくなる。一方、圧接ローラ114の第1ローラ部と第2ローラ部の径を異ならせる場合には、第1及び第2ローラ部による左右のファスナーテープTの送り速度に差が生じ、前述の場合よりも捻れが大きくなる。
そこで本実施形態では、図19に示すように、フライFが縫着されていない側にファスナーテープTに駆動ローラ107が当接するように配置し、圧接ローラ114をファスナーテープTを挟んで駆動ローラ107とは反対側のテープ面に当接するように配置する。前記駆動ローラ107の第1ローラ部107aと第2ローラ部107bとは同一径で且つ同一軸部107cによって支持させている。一方、圧接ローラ114の第1及び第2ローラ部114b,114cは同一径ではあるが、それぞれ別個の第1及び第2軸部114d,114eを以て支持させるとともに、第1及び第2軸部114d,114eを同一軸線上に配置せず、スライドファスナーチェーンFC1に対する間隔を2枚のフライFの厚み分だけずらせて配置する。かかる配置により、駆動ローラ107と圧接ローラ114とでフライ付きスライドファスナーチェーンFC1を送り出すとき、同フライ付きスライドファスナーチェーンFC1に捩れ力が作用せず、左右のファスナーテープTを同一の圧接力で且つ送り速度に差がなく確実に、しかも正確に送り出すことができる。
図20は、上記実施形態の変形例を示しており、この変形例によれば上止具S1を取着せず、上記スライダー挿通部材123を以てスライドファスナーチェーンFC2のスペース部SPのチェーン下流側端部(第2端部C2)に取着されている務歯を搬送するようにしている。この場合、スライダー挿通部材123は第1部材123aのみにより構成される。第1部材123aの左右一側面に形成した第2切欠部123b−1は第1部材123aの表裏面に連通する単一形状の切欠部であり、同第2切欠部123b−1は単にファスナーテープTの側縁を挿通案内するだけであり、スペース部SPの第2端部C2に配される務歯Eを前記第2切欠部123b−1から外れた第1部材123aの一部に当接させている。一方、第1部材123aの左右他側面においては上記実施形態と同様に第1切欠部123a−1の拡大切欠部123a−2に一方の務歯Eを収容する。このように、本発明は多様な変形が可能であり、上記実施形態に限定されるものではない。
本発明のスライドファスナーの連続仕上装置の全容を一部切開して概略で示す側面図である。 前記連続仕上装置の各構成部材の配列と要部の構成とを概略で示す斜視図である。 位置決め開閉部材がフライ付きスライドファスナーチェーンのスペース部に突入した状態を示す部分正面図である。 位置決め開閉部材がスペース部を拡開し、スライダーがスペース部に侵入したときの状態を示す部分正面図である。 スライダー侵入時のスライダー保持部材に保持されたスライダーの状態を一部切開して示す側面図である。 スライダー侵入後のスペース部に突入したスライダー挿通部材の突入状態を部分断面で示す背面図である。 スライダー挿通部材の先端部の構造を示す部分斜視図である。 上止具の取着前のスライダー挿通部材によるテープ案内状態を示す部分断面図である。 スライダー及びスライダー挿通部材にスペース部の左右テープ側縁が嵌挿した状態を断面で示す背面図である。 スライダー挿通部材がスペース部の第2端部に配された左右の務歯に当接した状態を断面で示す部分拡大背面図である。 スライダー挿通部材によるスライダーの挿通状態を部分的に断面で示す背面図である。 スライダー挿通部材の第2部材の摺動による上止具の加締時の説明図である。 チェーン搬送ユニットの下降限における下止具取着部材の位置関係とダイの移動工程を示す側面図である。 スペース部拡幅部材のスペース部突入時のスペース部の拡開幅とスライダー挿通部材との位置関係を示す説明図である。 下止具取着直前の同取着部材のパンチ部材とダイとの位置関係を示す側面図である。 下止具取着時のパンチによる下止具加締動作を示す説明図である。 下止具取着時の瞬間を示す説明図である。 スライダー仕上げ完了時の状態を示す側面図である。 フライ付きスライドファスナーチェーンのフィード部の構成を示す説明図である。 上止具を取着しないときの上記実施形態の変形例を示す説明図である。 フライ付きスライドファスナーチェーンの背面図である。 フライ無しのスライドファスナーチェーンの背面図である。
符号の説明
100 スライドファスナー連続仕上装置
101 第1ガイドローラ
102 排出路
103 架台
104 ガイドロッド
105 シリンダー載置台
106 第1シリンダー
107 駆動ローラ
107a,107b 第1及び第2ローラ部
107c 軸部
110 コラム
110a,110b 第1及び第2案内通路
111 位置決め開閉部材
111a 揺動片
111b,111c 第1及び第2揺動杆
111b-1,111c-1 ストッパー片
112 スライダー保持部材
113 下止具取着部材
114 圧接ローラ
114a 第4シリンダー
114b,114c 第1及び第2ローラ部
114d,114e 第1及び第2軸部
117 第2シリンダー
118 スライダー保持部
118a 上下グリッパー
119 パンチ部
119a 第3シリンダー
119b パンチ部
119b-1〜119b-3 第1〜第3の4角柱片
120 チェーン搬送ユニット
120a ブロック状本体
120b〜120d 第3及び第4案内通路
121 ダイ
121a 凹欠部
122 スペース部拡幅部材
123 スライダー挿通部材
123a,123b 第1及び第2部材
123a-1,123b-1 第1及び第2切欠部
123a-2,123b-2 拡大切欠部
124 連結部材
125,126 第5及び第6シリンダー
A 第1配設領域
B 第2配設領域
FC,FC1,FC2 スライドファスナーチェーン
T ファスナーテープ
F フライ
ER 務歯列
E 務歯
SP スペース部
C1,C2 第1及び第2端部
S1 上止具
S2 下止具
P1,P2 第1及び第2位置

Claims (10)

  1. 噛合務歯列(ER)と務歯(E) が取着されていないスペース部(SP)とが長手方向に交互に配されたスライドファスナーチェーン(FC,FC1,FC2)を断続的に走行させてスライダー(SL)を順次挿通させるスライダー挿通部を備えたスライドファスナーの連続仕上装置であって、 前記スライドファスナーチェーン(FC,FC1,FC2)の前記スペース部(SP)に向け突入・離脱可能であり、同スペース部(SP)を開閉する開閉部材(111) と、
    前記開閉部材(111) のチェーン下流側に配され、同開閉部材(111) によって開口されたスペース部(SP)に向け進退するスライダー保持部材(112) と、
    前記スライダー保持部材(112) のチェーン下流側に配され、開口した前記スペース部(SP)に向け突入・離脱が可能で、開口した同スペース部内への突入位置である第1位置(P1)と前記スライダー保持部材(112) によるスライダー挿通終了時の前記スペース部の下端位置である第2位置(P2)との間を往復動し、その往動時には前記スペース部(SP)のチェーン下流側の第2端部(C2)に配される務歯(E) を支持して、スライドファスナーチェーン(FC,FC1,FC2)を引っ張りながら前記第2位置(P2)まで移動し、前記スライダー保持部材(112) に保持されたスライダー(SL)を前記スペース部(SP)のチェーン上流側の上端位置である第1端部(C1)に配された務歯列(ER)に挿通するスライダー挿通部材(123) と、
    を備えてなることを特徴とするスライドファスナーの連続仕上装置。
  2. 前記開閉部材(111) が前記スペース部のチェーン上流側の第1端部(C1)の停止位置を位置決めする位置決め機能をも有してなる請求項1記載の連続仕上装置。
  3. 前記スライダー挿通部材(123) が上止具取着部材を兼ねてなることを特徴とする請求項1記載の連続仕上装置。
  4. 前記スライダー挿通部材(123) が、上止具(S1)を支持するとともに前記スペース部(SP)のファスナーテープ側縁を係合案内する切欠部(123a-1,123b-1; 123a-2,123b-2)と、同切欠部(123a-1,123b-1; 123a-2,123b-2)に支持された前記上止具(S1)を前記スペース部(SP)の第2端部(C2)に取着させる上止具取着手段(123a,123b) とを有してなる請求項3記載の連続仕上装置。
  5. 前記上止具取着手段(123a,123b) は上記切欠部(123a-1,123b-1; 123a-2,123b-2)の切欠幅を変更する変更手段を有してなる請求項4記載の連続仕上装置。
  6. 前記スライダー保持部材(112) のチェーン下流側に配され、前記スペース部(SP)の前記第1端部(C1)に下止具(S2)を取着する下止具取着手段(113) の一部を構成するパンチ部(119) を更に備えてなる請求項1に記載の連続仕上装置。
  7. 前記下止具取着手段(113) が前記パンチ部(119) とダイ(121) とからなる加締め手段を有し、前記スライダー挿通部材(123) と前記ダイ(121) との間に配され、前記スペース部(SP)に突入して同スペース部(SP)の開口幅を拡張するスペース部拡幅部材(122) を更に備えてなる請求項6記載の連続仕上装置。
  8. 前記スライダー挿通部材(123) の一方の移動限であるチェーン下流側の第2位置(P2)の更にチェーン下流側に駆動ローラ(107) 及び圧接ローラ(114) からなるフィードローラ部が更に配されてなり、前記駆動ローラ(107) は前記スライダー挿通部材(123) の移動に同期して回転可能とされてなる請求項1記載の連続仕上装置。
  9. スライドファスナーチェーン(FC,FC1,FC2)の走行面を挟む第1配設領域(A) に、前記位置決め開閉部材(111) と、前記スライダー保持部材(112) と、前記パンチ部(119) とが配され、スライドファスナーチェーン(FC,FC1,FC2)走行面を挟む第2配設領域(B) に、前記下止具取着手段(113) のダイ(121) 、スペース部拡幅部材(122) 及びスライダー挿通部材(123) が配されてなる請求項7記載の連続仕上装置。
  10. 前記位置決め開閉部材(111) 、前記スライダー保持部材(112) 、前記下止具取着手段(113) の前記パンチ部(119)が、スライドファスナーチェーン(FC,FC1,FC2)の搬送方向に対して不動位置に配され、前記下止具取着手段(113) のダイ(121) と、スペース部拡幅部材(122) と、スライダー挿通部材(123) とが単一の支持部材に支持されてユニット化され、前記ダイ(121) 及び前記スペース部拡幅部材(122) が前記スライダー挿通部材(123) の上記第1及び第2位置(P1,P2) 間の往復動と共動して往復動する請求項9記載の連続仕上装置。
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