JP3763750B2 - スライドファスナー仕上げ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の技術分野】
本発明はファスナーチェーンにスライダー及び止部を形成するスライドファスナー仕上げ装置に関し、特に、ファスナーチェーンの左右一対のエレメント列を噛み合わせた状態でスライダーの後口から挿入し、挿入後の分離した各エレメント列を再び噛合させて、そのエレメント噛合端部を結合する止部を形成するスライドファスナーの仕上げ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ズボン用前立部、衣服やカバン等に装着するファスナーチェーンにスライダー及び止具を取り付けてスライドファスナー完成品を得るためにスライドファスナー仕上げ装置が多用されている。
【0003】
この従来のスライドファスナー仕上げ装置は、例えばスライダーの引手を下側にした状態で支持台のスライダー保持部に保持させ、エレメント列が左右に分離したファスナーチェーンの各先端部を手指で持ち、その先端部を左右揃えてスライダーの肩口から挿入する。挿入後の各エレメント列を噛合した状態で前記スライダーの後口から後方へ送り出したのち、スライダー保持部のチェーン下流側に配された下止部形成部に供給された下止具をパンチによりファスナーテープに打ち込んで取り付ける。この種のスライドファスナー仕上げ装置の一例が、例えば特公昭51−1185号公報や特公昭59−48085号公報に記載されている。
【0004】
また、他のスライドファスナー仕上げ装置として、ファスナーチェーンに2個のスライダーを、その肩口同士又は後口同士を対向させて取り付けるスライダー嵌挿装置が、例えば実公平6−36737号公報に開示されている。同公報に開示されたスライダー嵌挿装置は、スライダー保持ブロックの上端部に設けられたスライダー保持部により、一方のスライダーの上翼板を水平状態として、下側に垂れ下がる引手を把持してスライダーを保持する。前記スライダー保持ブロックに隣接して、同様の構成を備えた複数のスライダー保持部を放射状に設けた回転盤を水平軸線周りに回動可能に並設してあり、供給部から順次送り込まれる他方のスライダーを引手を把持することにより、同回転盤を回転させながら順次スライダー保持部に保持させる。このスライダー保持部に保持された他方のスライダーの肩口又は後口は、前記回転盤が回転することにより、一方のスライダーの肩口又は後口に対向して位置決めされる。
【0005】
前記一方のスライダーは、手作業によりスライダーの肩口又は後口をチェーン導入側に向け、スライダーの引手を垂れ下げた状態で、上記スライダー保持ブロックのスライダー保持部に供給され、前述のごとく同スライダーを保持させる。他方のスライダーは、前記回転盤のスライダー保持部に保持されて回動し、同スライダーの肩口又は後口を前記一方のスライダーの肩口又は後口に対向させて、チェーン導入側に向けて停止する。
【0006】
前記他方のスライダーの供給後、前記回転盤の回動が停止すると、ファスナーチェーンがスライダーのファスナーチェーン挿通位置へと移送され、ファスナーチェーンの移送路上に沿って保持された前記一対のスライダーの肩口又は後口からファスナーチェーンを挿入する。
【0007】
また、他のスライドファスナー仕上げ装置の一例が、例えば特許第2631048号公報に開示されている。同公報に開示されたスライドファスナー仕上げ装置は、ファスナーチェーンの移送路上に沿うチェーン上流側に配され、下止具を取り付ける下止具取付装置と、同下止具取付装置のチェーン下流側であって水平軸線周りに回転可能に配され、スライダーを取り付けるスライダー保持装置とを備えている。ファスナーチェーンは、グリッパ装置により前記下止具取付装置及び前記スライダー保持装置を横切ってチェーン上流側から下流側へ向けて移送されるようになっている。
【0008】
この従来のスライドファスナー仕上げ装置を使ってスライドファスナーを仕上げるには、引手を垂れ下げ、スライダーの肩口をチェーン導入側に向けた状態で、前記スライダー保持装置の上方にあるスライダー供給位置にスライダーを供給する。供給されたスライダーは、スライダーの引手を、前記スライダー保持装置により保持させたのち、前記スライダー保持装置を下方向に180度回動させ、スライダーの引手を表側に配した状態で保持して、スライダーをスライダー挿通位置に待機させる。
【0009】
ファスナーチェーンの左右一対のエレメント列を噛合状態で前記グリッパ装置により把持し、ファスナーチェーンの移送路上に沿って移送し、スライダーの後口から挿入し、同スライダーをファスナーチェーンに装着すると共に、スライダー保持装置のチェーン上流側に配された前記下止具取付装置により、前記エレメント列が噛合した状態で、下止具を前記スライダーの上翼板側からファスナーチェーンの所要長さごとに取り付け、ファスナーチェーンを切断する。
【0010】
また、更に他のスライドファスナー仕上げ装置として、例えば特公昭59−51819号公報には、左右一対のエレメント列を互いに噛み合わせた状態で移送されるファスナーチェーンのエレメント列の頭部の一部を剪断により切り取って、連続するエレメント列にスペースを形成すると共に、そのスペース端部のファスナーテープに下止具を打ち込む下止具取付装置が記載されている。
【0011】
また、特公平6−71446号公報には、エレメント列が閉じた状態にあるファスナーチェーンの先端をグリッパ装置により把持して、引手を下側にしてスライダー保持装置に保持されたスライダーの後口から挿入してエレメント列を分離させ、スライダー保持装置のチェーン上流側に配された下止取付装置により下止具を取り付けるスライドファスナー製造装置が記載されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、ファスナーチェーンに単一のスライダー及び止具を取り付けてスライドファスナー完成品を得る場合には、例えば予めファスナーチェーンの一端部に分離した一対の上止部を形成し、ファスナーチェーンの左右のエレメント列を分離して開いた状態で、ファスナーチェーンの他端部をスライダーの肩口から挿入する。挿入後の各エレメント列を前記スライダーの後口から噛合した状態で後方へ送り出したのち、そのエレメント噛合端部を結合する下止部をファスナーチェーンに形成する。
【0013】
ところで、スライドファスナーにより開閉する、例えば旅行鞄などにおいて単一のスライダーをファスナーチェーンに挿入し、そのチェーンの両端にそれぞれエレメント噛合端部を結合する止部を形成する場合がある。
こうした旅行鞄などの開口部に使用されるスライドファスナーを仕上げるには、エレメント列が噛合状態にあるファスナーチェーンの一端から所定の長さだけ内側に入った部位に、先ずエレメント噛合端部を結合する止部を形成したのち、前記一端をスライダーの後口に挿入してファスナーチェーンのエレメント列を分離させる。分離されたエレメント列の先端部を人手により噛合させて、噛合したエレメント列の先端部に前記止部と同様の構造を有する止部を形成する。
【0014】
また、例えば、上下つなぎ服にあって、その前立部を上下側の双方から開口することが要望される場合がある。この上下つなぎ服の前立部に使用されるスライドファスナーの仕上げにあたり、ファスナーチェーンに2個のスライダー及び止部を取り付けるには2個のスライダーの後口が向かい合った状態でファスナーチェーンに挿入される必要がある。このようなスライドファスナー完成品を得る場合、予め一端部に上止部を形成し、左右のエレメント列が分離した状態のファスナーチェーンをスライドファスナー仕上げ装置のファスナーチェーン移送路上に沿って供給する。
【0015】
供給されたファスナーチェーンを、移送路上に予め固定支持された一方のスライダーの肩口から挿入し、左右のエレメント列が噛合した状態で前記スライダーの後口からファスナーチェーンを後方へと送り出す。続いて、左右のエレメント列が閉じた状態のファスナーチェーンを前記移送路上に沿って供給を続け、同移送路上に予め固定支持された他方のスライダーの後口にファスナーチェーンを挿入する。挿入後の左右のエレメント列が開いた状態のファスナーチェーンをスライダーの肩口からチェーン移送方向へと送り出す。この左右のエレメント列が開いた状態にあるファスナーチェーンのエレメント列を、人手にて互いに噛合させて閉じたのち、エレメント噛合端部を結合する止部を形成する。
【0016】
通常、ファスナーチェーンに下止具のような単一止具を取り付けようとするときは、その止具取付位置にあるファスナーチェーンのエレメント列は噛合して閉じた状態となっていなければならない。ところが、上述のごとくスライダーの肩口側から引き出されるファスナーチェーンは、左右のエレメント列が分離しているため、ここにエレメント噛合端部を結合する止部を形成しようとすると、上述のごとく、人手によって分離した左右のエレメント列を一旦噛合させる必要がある。
【0017】
このように、左右のエレメント列が開いた状態で同スライダーの肩口から送り出したのち、左右のエレメント列が開いた状態にあるファスナーチェーンを人手により噛合させて前記エレメント列を閉じて、その状態でエレメント噛合端部を結合する止部形成装置に供給して止部を形成するようにしているため、前記人手による手作業と下止具取付作業との間で作業が一時的に中断されることになり、連続的な作業を行うことがず、作業効率が悪化すると共に、ファスナーチェーンの仕上げ加工における連続化及び自動化を困難にしている。
【0018】
本発明は、上記従来の課題を解消すべくなされたものであり、その具体的な目的は、ファスナーチェーンの移送路上で、ファスナーチェーンの左右一対のエレメント列を噛み合わせた状態でスライダーをその後口から挿入し、挿入後のエレメント列分離側端部を機械的に噛合させ、連続してそのエレメント噛合端部を結合する止部を形成することを可能にし、ファスナーチェーンのエレメント列噛合工程及び止部の形成工程を連続して効率的に行うことができるスライドファスナー仕上げ装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
本件請求項1に係る発明は、ファスナーチェーンの左右一対のエレメント列を噛合させた状態で、スライダーをその後口から挿入し、挿入後のエレメント列の分離側端部同士を結合するスライドファスナーの仕上げ装置であって、前記ファスナーチェーンの移送路(7) 上に配され、スライダーの後口をファスナーチェーンの導入側に向けて同スライダーを保持するスライダー通し部と、同スライダー通し部のチェーン下流側に配されたエレメント噛合部と、前記エレメント噛合部のチェーン下流側に左右のエレメント列の噛合端部を結合する止部形成部とを備えてなることを特徴とするスライドファスナー仕上げ装置にある。
【0020】
上記構成を備えることにより、前記ファスナーチェーンの移送路上に配されたスライダー通し部にスライダーの後口をファスナーチェーンの導入側に向けて保持し、噛合状態にあるファスナーチェーンの左右一対のエレメント列をスライダーの後口に挿入し、スライダーの肩口から送り出されたエレメント列分離側端部をスライダー通し部のチェーン下流側に配されたエレメント噛合部に挿入して再び各エレメント列を噛合させ、閉じた状態にある各エレメント列の先端部にエレメント噛合端部を結合する止部を形成する。
【0021】
前記ファスナーチェーンの移送路上で、スライダーの後口からファスナーチェーンを挿入して、エレメント列を分離させたファスナーチェーンのエレメント列を、機械的に再び噛合させて閉じるようにしたため、ファスナーチェーンの噛合作業及びエレメント噛合端部を結合する止部の形成作業を連続して行うことができるようになる。このように、ファスナーチェーンの噛合作業及び前記止部の形成作業が連続してなされるため、作業効率が大幅に向上し、生産性を増大させ、製造費を低減させることができ、しかも作業者の負担をも軽減させることができる。
【0022】
更にこの発明は、スライダー通し部で分離された左右のエレメント列が、上記エレメント噛合部で再び噛合した状態としたのち、その下流側に配された単一止部の止部形成部へと移送し、この止部形成部において、噛合したエレメント列の噛合端部を一体に結合する止部を形成する。
【0023】
止部としては、従来の横C字状又は断面横H字状などの金属製止具や、エレメント噛合端部を直接又は溶着テープ片を介して溶着させる溶着止部などが含まれ、従って本発明における前記止部形成部には、パンチとダイが備えられたり、或いは加熱溶着装置や超音波溶着装置などが設置される。従って、本明細書において、止部とは前記止具や溶着止部などを含み、止部の形成とは前記金属製止具の取付け、或いは溶着止部などの形成を含んでいる。
【0024】
前記エレメント噛合部から移送されるファスナーチェーンは、上記ファスナーチェーンの移送路上に沿って前記止部形成部に連続して移送できるため、ファスナーチェーンの噛合作業に連続して止部の形成作業ができるようになり、生産性の向上に繋がる。また、上述のような構成を備えたスライダー通し部、エレメント噛合部、止部形成部を順次設け、例えばグリッパーなどからなるファスナーチェーンの公知の移送手段を採用することにより、全自動化も可能となる。
【0025】
請求項2に係る発明は、前記スライダー通し部が、スライダーの下翼板を嵌合支持する嵌合凹部を有すると共に、その底面に吸引孔を有していることを特徴としている。
【0026】
前記スライダー通し部の嵌合凹部にスライダーの後口をファスナーチェーンの導入側に向けて、その下翼板を嵌合支持させて、その嵌合凹部の底面に形成された吸引孔を介して、吸引力によりスライダーを位置決め固定する。簡単な構造のスライダー設置構造であるにも関わらず、スライダーを確実に且つ安定して位置決め固定することができるため、前記ファスナーチェーンの移送路を移送されてくるファスナーチェーンを正確に且つ円滑にスライダーに挿入させることができる。
【0027】
請求項3に係る発明は、前記スライダー通し部の上方に、下面側にスライダーの上面の一部と当接する当接面を有する上下動可能なスライダー固定部材を備えていることを特徴としている。
【0028】
この発明にあっては、前記スライダー固定部材は、上記ファスナーチェーンの移送路上方の待機位置から前記スライダー通し部に向けて下降して前記スライダー通し部の嵌合凹部に嵌合支持され位置決めされたスライダーの上面の一部に当接し、同スライダーが動かないように挟着固定すると共に、スライダーに上記ファスナーチェーンを後口から挿入する。このとき、ファスナーチェーンの摺接によりスライダーに外力が働いたとしても、スライダーを不動状態におくことができ、ファスナーチェーンの円滑で且つ安定した挿入操作がなされる。
【0029】
請求項4に係る発明は、更に、前記スライダー固定部材はファスナーチェーンの導入案内部を有し、同導入案内部のチェーン導入口がチェーン導入方向に下傾斜する傾斜面を有していることを特徴としている。
【0030】
この発明によれば、前記スライダー固定部材は、上記スライダー通し部の嵌合凹部との間でスライダーを固定すると共に、同スライダー固定部材の導入案内部のチェーン導入口からスライダーの内部へ向けて前記ファスナーチェーンを導入案内する。前記導入案内部のチェーン導入口はチェーン導入方向に下傾斜する傾斜面に形成されているため、前記ファスナーチェーンの上下導入位置が多少ずれても、前記傾斜面によりファスナーチェーンをスライダーの内部に案内して円滑に挿入させることができる。
【0031】
請求項5に係る発明は、前記エレメント噛合部は、前記スライダー通し部にて分離されたエレメント列を整列して導入する導入案内空間と、同導入案内空間のチェーン下流側に配され分離したエレメント列のエレメントを噛合させるエレメント噛合空間とを有していることを特徴としている。
【0032】
この発明は、前記スライダー通し部から送り出されたエレメント列が分離したファスナーチェーンを前記エレメント噛合部の導入案内空間に整列して案内して導入させ、その整列されたエレメント列を、導入案内空間のチェーン下流側に配されたエレメント噛合空間に送り込み、再びエレメント列同士を互いに噛合させる。
【0033】
このように、前記スライダー通し部から移送されるエレメント列が分離したファスナーチェーンは、上記ファスナーチェーンの移送路上に沿って前記エレメント噛合部に導入案内され、同エレメント噛合部を通過させるだけで分離したエレメント列を自動的に噛合状態とするため、面倒な作業を要することなくファスナーチェーンの噛合工程から次の止部の形成工程へと連続して効率的に移行させることができる。
【0034】
請求項6に係る発明は、前記エレメント噛合部は、前記スライダー固定部材と協働して上下動することを特徴としている。
この発明によれば、前記エレメント噛合部及び前記スライダー固定部材は、上記ファスナーチェーンの移送路上方の同一水平面上に配されており、上記ファスナーチェーンに向けて協働して上下動する。前記エレメント噛合部及び前記スライダー固定部材の双方が、同時にファスナーチェーン移送路上方の待機位置からファスナーチェーン移送路に向けて所望の距離、すなわち前記ファスナーチェーン移送路上のスライダー固定位置に形成された嵌合凹部に嵌着しているスライダーの上面当接位置まで下降する。このとき、前記エレメント噛合部のエレメント噛合部材の下面は前記ファスナーチェーン移送路上に当接し、前記エレメント噛合部及び前記スライダー固定部材とファスナーチェーン移送路との間にファスナーチェーン移送空間を直線的に連続して形成する。
【0035】
前記エレメント噛合部及び前記スライダー固定部材を含む前記ファスナーチェーン移送空間内において、前記スライダー固定位置にエレメント列が噛合した状態で導入され、同スライダー固定位置を通過すると左右に分離されるエレメント列を同一平面上に整列して、次の前記エレメント噛合部に向けて導入案内し、前記エレメント噛合部を通過する間に、分離したエレメント列は再び噛合状態とされて、次の止部の形成工程へと円滑に移行する。
【0036】
止部の形成作業を終了したのち、前記エレメント噛合部材及び前記スライダー固定部材の双方は、同時にファスナーチェーン移送路上方の待機位置へ上昇して戻り、前記エレメント噛合部及び前記スライダー固定部材の直下のファスナーチェーン移送路を開放して、ファスナーチェーン完成品を容易に且つ円滑に取り出すことができるようになる。ファスナーチェーン完成品を同移送路上から取り出したのち、前記スライダー固定位置の嵌合凹部に次のスライダーを嵌着し、以降は上述の操作を繰り返す。
【0037】
前記エレメント噛合部材及び前記スライダー固定部材は、前述のごとく協働して昇降するため同一の支持枠体に組み付けてユニット化することができるようになり、同時に装置のコンパクト化や小型化に繋がる。
【0038】
請求項7に係る発明は、前記エレメント噛合部と前記スライダー固定部材との間の間隔を変更可能な間隔変更手段を有していることを特徴としている。
この発明は、例えば前記エレメント噛合部及び前記スライダー固定部材が共通の支持枠体に摺動可能に固定支持されるように構成され、前記エレメント噛合部及び前記スライダー固定部材の間の間隔を上記ファスナーチェーンの移送路上に沿って変更可能としている。前記エレメント噛合部及び前記スライダー固定部材の間の距離を変えることにより、最終製品であるスライドファスナーの柔軟度の違いや長さに応じて自由に設定することができる。前記間隔変更手段は、前記支持枠体に対して前記エレメント噛合部及び前記スライダー固定部材を摺動可能な従来公知の構造が適用できる。
【0039】
請求項に係る発明は、前記止部形成部は、ファスナーチェーンへ向けて昇降可能に設けられ、ファスナーチェーンの噛合端部に止部を形成する止部形成部材と、ファスナーチェーンへ向けて昇降可能に設けられ、左右のファスナーテープを支持台に押圧して保持するテープ押圧保持部材とを有していることを特徴としている。
【0040】
テープ押圧保持部材は、前記ファスナーチェーンが上記エレメント噛合部及びスライダー固定部材の直下のファスナーチェーン移送路から上記止部形成部へ移送されたとき、前記止部形成部材が下降する以前に、前記テープ押圧保持部材が、前記止部形成部材の下降路上であって同記止部形成部材と支持台との間を前記ファスナーチェーンに向けて独立して下降し、前記エレメント列を跨いで、左右のファスナーテープを前記支持台に押圧保持して位置決め固定する。前記ファスナーチェーンを前記支持台上に位置決めして不動状態に固定したのち、上記止部形成部材により止部の上記形成がなされるため、ファスナーチェーンがみだりに移動せず、同止部の形成を正確に行うことができるようになる。
【0041】
請求項に係る発明は、前記テープ押圧保持部材が、前記止部形成部材と支持台との間に配され、止部形成部材が挿通可能な挿通案内路を有し、前記エレメント列を跨いで左右のファスナーテープを前記支持台に押圧保持することを特徴としている。
【0042】
テープ押圧保持部材は、止部形成部の非作動時に止部形成部材の下方位置にあり、前記押圧保持部材が最初に下降し、ファスナーチェーンの左右のファスナーテープを押圧保持したのちに前記止部形成部材が下降し始める。前記止部形成部材が前記テープ押圧保持部材の挿通路内を下降して、ファスナーチェーンのエレメント噛合端部に止部を形成する。
【0043】
前記テープ押圧保持部材が、止部を形成するエレメント噛合端部の近傍のファスナーテープを押圧保持するので、同エレメント噛合端部が止部形成時に位置ずれすることなく、安定した状態で止部の形成が行われる。また、前記止部形成部材が前記テープ押圧保持部材の挿通路内に挿通する状態で止部の形成がなされるため、止部形成時に止部形成部材と作業者の指などが接触することがなく、作業の安全性を確保することができる。
【0044】
更に、好ましくはテープ押圧保持部材の下面と支持台との間の間隙を指が挿入できないように狭く設定する。これにより、前記止部形成部が作動を開始する以前に、前記テープ押圧保持部材と前記支持台との間の間隙に指などを挟むことがない。
【0045】
請求項10に係る発明は、前記テープ押圧保持部材が、前記止部形成部材の進退を案内する筒部を有していることを特徴としている。
前記止部形成部材は、止部を形成するための止片をその上面を押圧しながら前記テープ押圧保持部材の筒部内に挿入し、止片をファスナーチェーンのエレメント噛合端部へと向けて移送する。止片の移送が筒部によって案内されるため、移送中に止片の姿勢が変化することなく、止片を正しい姿勢でエレメント噛合端部に供給でき、安定した形態の止部を形成することができる。
【0046】
請求項11に係る発明は、前記止部形成部材が、止部の原材である線材を所定の長さの止片に切断して逆U字状に屈曲させるカッティングパンチと、前記止片の上面を押圧し、同片をファスナーテープに打ち込むドライバパンチとからなり、前記テープ押圧保持部材は、カッティングパンチの下降位置を規定すると共に、前記ドライバパンチの下降を案内する筒部を有していることを特徴としている。
【0047】
いま、かかる構成にあって、前記止部形成部においてファスナーチェーンに止部を形成するには、前記止部が、例えば横C字状の金属製止具である場合に、止部形成部材の一つであるカッティングパンチの真下には、通常、ベンダーが配されており、このベンダーの上面に前記止具の原材である線材を供給したのち、この止具用の線材に向けて前記カッティングパンチを下降させ、同カッティングパンチの下降に伴い前記線材を所定の長さの止片に切断する。このとき、上記止部形成部材の一つであるドライバパンチもカッティングパンチと共に下降する。線材を切断したのち、前記カッティングパンチ及びドライバパンチを更に下降させ、カッティングパンチが前記ベンダーとの間で前記止片を下端が開いた二つの脚部を有する略逆U字状に折り曲げる。
【0048】
前記止片を折り曲げたのち、前記カッティングパンチを更に下降させるとき、前記ベンダーは前記カッティングパンチの下降路から外れた位置へと移動する。前記ベンダーが前記カッティングパンチの下降路外に移動したのち、前記カッティングパンチの下降を停止させるが、同カッティングパンチと協働して下降するドライバパンチは引き続きを継続する。このドライバパンチの下降により、前記折り曲げられた止片を更に押し下げ、上記エレメント噛合部から供給されてきた左右のエレメント列が噛合状態にある前記ファスナーチェーンの噛合エレメント列の先端部を跨いでファスナーテープに押付け、その脚部をファスナーテープに挿通させると共に、略横C字状に折り曲げて前記ファスナーテープに打ち込む。
【0049】
テープ押圧保持部材は、前記ファスナーチェーンが上記エレメント噛合部及びスライダー固定部材の直下のファスナーチェーン移送路から上記止部形成部へ移送されたとき、前記カッティングパンチが下降する以前に、前記テープ押圧保持部材が、前記カッティングパンチの下降路上であって前記カッティングパンチと支持台との間を前記ファスナーチェーンに向けて独立して下降し、前記エレメント列を跨いで、左右のファスナーテープを前記支持台に押圧保持して位置決め固定する。
【0050】
前記テープ押圧保持部材が最初に下降し、ファスナーチェーンの左右ファスナーテープを押圧保持したのち、前記カッティングパンチ及びドライバパンチが下降すると、カッティングパンチが前記テープ押圧保持部材の上面に当接して下降が停止される。一方、ドライバパンチは前記テープ押圧保持部材の筒部内を挿通案内しながら下降を続け、上述のごとく、止具を前記ファスナーテープに打ち込む。
【0051】
カッティングパンチがファスナーテープの表面まで下降しないので、カッティングパンチと止部を形成するエレメント列の噛合端部近傍のファスナーテープを把持している作業者の指とが接触することがなく、作業者のあんぜんを確保することができる。また、ドライバパンチは止片と一緒にテープ押圧保持部材の津粒内を下降するので、作業者の指と接触することがないとともに、止片の姿勢を乱す外的要因がくわわることがなく、前記ファスナーテープに前記止具を安全に且つ確実に打ち込むことができるようになる。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本発明の代表的な実施形態であるスライドファスナー仕上げ装置を概略的に示す縦断面図であり、図2は同装置に適用されるスライダー固定部材を拡大して示す斜視図、図3は同装置に適用されるエレメント噛合部材を拡大して示す斜視図であり、図4は同装置に適用される支持台及びスライダーを拡大して示す斜視図である。
【0053】
図1において、符号10は本実施形態のスライドファスナー仕上げ装置を示している。このスライドファスナー仕上げ装置10は、図1に示すように、基板5の上面に固設された支持台6に、スライダー通し部20、エレメント噛合部30、及び止部形成部40の構成部材の一部が順次設けられている。前記支持台6の上方には支持枠体2が設置されており、この支持枠体2が前記スライダー通し部20、エレメント噛合部30、及び止部形成部40の他の構成部材を支持している。
【0054】
前記スライダー通し部20は、スライダー3を下方から支持する嵌合凹部6aとスライダー3を上部から当接固定するスライダー固定部材21とからなり、前記嵌合凹部6aが前記支持台6の上面に形成され、前記スライダー固定部材21は上記支持枠体2に昇降可能に支持された略L字状の屈曲アーム12に取り付けられている。この屈曲アーム12は前記支持枠体2を上下方向に貫通する貫通孔2aに挿通され、同貫通孔2aに安定されて上下方向に摺動する垂直部分12aと、同垂直部分12aの下端からファスナーチェーン4の導入側に向けて水平に延びる水平部分12bから構成され、前記スライダー固定部材21は前記水平部分12bの延出側端部の下面に取り付けられている。この垂直部分12aの上部は前記支持枠体2と独立して昇降可能な図示せぬ駆動手段に固定支持されている。
【0055】
前記嵌合凹部6aは、図4に示すようにスライダー3の後口を前記チェーン移送路7のチェーン上流側へ向けた状態でスライダー3の下翼板3aを嵌合支持するものであり、その嵌合凹部6aの底面には吸引口6bが設けられている。この吸引口6bは、前記支持台6の内部であって上下方向に設けられた吸引路6cと連通している。同吸引路6cは、図1に示すように前記支持台6の下部に装着された図示せぬ吸引装置の吸引ノズル8と接続している。
【0056】
いま、前記スライドファスナー仕上げ装置1に設けられた図示せぬ起動スイッチを入れて前記吸引装置を作動させると、前記吸引口6bから前記吸引路6cを通って空気が吸い込まれる。前記吸引装置を作動させたのち、スライダー3の引手3bを表側に向けてスライダー3の肩口の先端側へ倒した状態で、作業者が手指で摘んでスライダー3の後口をチェーン上流側に向けて前記嵌合凹部6a内に載置固定すると、前記吸引装置の吸引力によりスライダー3の位置決め固定がなされる。このように、簡単な構造のスライダー位置決め構造が得られ、スライダー3を確実に且つ安定して位置決め固定することができる。
【0057】
なお、スライダー3は図示せぬスライダー供給部から前記嵌合凹部6a内へ自動的に供給してもよい。また、本実施形態によれば、スライダー3の位置決め手段としてエアによる吸引を行なっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばスライダー3が金属材料で構成されている場合に、前記嵌合凹部6aの底面を磁石にて構成したり、或いは後述する止具1がファスナーチェーン4に取り付けられるとき、同チェーン4の裏面側から取り付けられるが、支持台にスライダーの引手を固定する、例えば特許第2631048号に開示されているような機械的手段を設け、スライダーの裏側を上方に向けた状態で支持台の嵌合凹部内に配置固定する構成であってもよい。
【0058】
前記屈曲アーム12は、前記支持台6の上方の待機位置及び同支持台6上のスライダー固定位置の間を昇降し、図示せぬリミットスイッチにより各位置において自動的に停止するようになっている。前記屈曲アーム12が前記待機位置から前記スライダー固定位置へ向けて下降を完了したとき、同じく図示を省略した感知装置により感知して上記吸引装置による吸引が停止するようになっている。
【0059】
前記屈曲アーム12の水平部分12bの下面先端部に配された前記スライダー固定部材21は、図2に示すように側面形状が略逆凹字状をなすブロック体により構成されている。前記スライダー固定部材21の上部は、前記屈曲アーム12の水平部分12b下面であって幅方向の略中央部を長さ方向に沿って形成された長溝12c内に摺動可能に嵌着される突条部21aを突設している。前記水平部分12bに穿設された図示せぬ取付孔に挿通された同じく図示を省略した取付ボルトにより、前記スライダー固定部材21が前記水平部分12bの下部に着脱可能に固定される。
【0060】
前記スライダー固定部材21はファスナーチェーン4の導入案内部22及び引手当接部23を有している。前記導入案内部22は、スライダー固定部材21のファスナーチェーン導入側に設けられており、奥に向かう下傾斜面22dの左右両側にチェーン案内突片22cを有している。前記下傾斜面22d及びチェーン案内突片22cの先端には共通の水平面を有しており、この水平面がスライダー3の上翼片3cの上面に当接する第1当接面22aを構成する。一方、前記チェーン案内突片22cの先端面はスライダー3の上翼片3cの後口側の後端面に当接する第2当接面22bを構成する。
【0061】
前記突片22cの間に形成された上記下傾斜面22dは、前記突片22cの間にファスナーチェーン4のエレメント列4aをスライダー3の後口に容易に案内できるようにしている。前記突片22cのチェーン導入側の先端縁部は、前記下傾斜面22dと略同一の傾斜勾配をもってチェーン導入方向に向けて下斜めに面縁取りされたテープ案内面22eを有している。このテープ案内面22eを備えることにより、ファスナーチェーン4のファスナーテープ4bが前記突片22c及び前記支持台6の間の隙間へ容易に挿入できるようになっている。
【0062】
スライダー固定部材21の上記引手当接部23は、前記導入案内部22のチェーン下流側に所要の間隔をおいて設けられており、ファスナーチェーン移送路7の嵌合凹部6aに嵌着されたスライダー3の肩口側に向けられた引手3bを上面から圧接する部分である。そのため、引手当接部23は矩形状ブロック体から構成され、その引手当接面23aの高さは、前記導入案内部22の第1当接面22aの高さよりも引手3bの肉厚分だけ低く設定されている。
【0063】
前記導入案内部22と引手当接部23との間に形成される空隙部24は、スライダー固定部材21が下降してファスナーチェーン移送路7上に嵌着したスライダー3に当接したとき、スライダー3の引手連結環3fを収容する空間部となる。
【0064】
図5はファスナーチェーン4をスライダー3に挿入する直前の状態を模式的に示している。同図において、スライダー3の上翼板3cに設けられた引手3bを上側に向けてチェーン移送方向に倒伏した状態で、スライダー3の下翼板3aを前記支持台6の嵌合凹部6a内に嵌着固定している。いま、作業者が図示せぬフットスイッチを押すと前記屈曲アーム12が下降し始める。同屈曲アーム12が上記スライダー固定位置に向けて所望の距離だけ下降すると、同屈曲アーム12に固着されたチェーン上流側の前記第1当接面22aは、スライダー3の上翼板3cの上面に当接し、前記第2当接面22bはスライダー3の上翼板3c及びガイドフランジ3eの後端面に当接して前記スライダー3を挟着固定する。
【0065】
前記導入案内部22に突設された左右一対の突片22cは、前記支持台6との間に前記ファスナーチェーン4のファスナーテープ4bを挿入可能な間隔をおいてチェーン導入口側に配される。前記導入案内部22の下流側の前記引手当接部23の当接面23aはスライダー3の肩口先端側に倒伏した状態にある引手3bの上面に当接して前記スライダー3を挟着固定する。このとき、スライダー3の引手連結環3f及び停止爪3gは前記スライダー固定部材21の空隙部24に収容される。
【0066】
このように、スライダー通し部20においてスライダー3の後口をファスナーチェーン4の導入側に向けて、スライダー3を不動状態に挟着固定したのち、作業者は各エレメント列4aが噛合したファスナーチェーン4の先端部を摘んで、前記スライダー固定部材21の前記突片22c間に形成された導入案内部22のチェーン導入口からスライダー3の後口に向けて前記ファスナーチェーン4を導入する。前記ファスナーチェーン4を前記スライダー3の後口から導入して、柱部3hを通過させ、再び各エレメント列4aが左右に分離して開いた状態で、ファスナーチェーン4の先端部を前記スライダー3の肩口から、次工程である上記エレメント噛合部30へ向けて送り出す。
【0067】
このエレメント噛合部30は、エレメント噛合部材31と上記支持台6とから構成される。前記エレメント噛合部材31は、上記スライダー通し部20のスライダー固定部材21が取り付けられた屈曲アーム12の水平部分12bの屈曲部側端部に取り付けられており、前記スライダー固定部材21と協働して昇降する。前記エレメント噛合部30は、前記スライダー通し部20から左右のエレメント列4aが分離して開いた状態で移送されてくるファスナーチェーン4を導入案内して、各エレメント列4aを再び噛合させる。
【0068】
前記エレメント噛合部材31は、上記チェーン移送路7の上方であって前記スライダー固定部材21と同一水平面上に配されており、前記スライダー固定部材21及び前記エレメント噛合部材31の双方は、図5に示すように同時にチェーン移送路7の上方の待機位置から前記支持台6の嵌合凹部6a内に載置固定されているスライダー3の上面当接位置まで一緒に下降する。このとき、前記エレメント噛合部材31の下面は前記支持台6上に当接し、前記エレメント噛合部材31、前記スライダー固定部材21及び前記支持台6の間にチェーン移送空間を直線的に連続して形成する。
【0069】
前記エレメント噛合部材31は、図3に示すようにチェーン移送路7に向けて延在するブロック体により構成されている。前記エレメント噛合部材31の上部は、前記スライダー固定部材21と同様に前記屈曲アーム12の長溝12cに摺動可能に嵌着される突条部31aを有しており、前記水平部分12bの下部にボルトなどにより着脱可能に固定される。前記エレメント噛合部材31及び前記スライダー固定部材21は同一の前記支持枠体2に組み付けてユニット化している。
【0070】
本実施形態にあっては、前記スライダー固定部材21及び前記エレメント噛合部材31の双方は、単一の屈曲アーム12の所定の位置に固定して支持されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば前記エレメント噛合部材31及び前記屈曲アーム12のいずれか一方にチェーン移送方向前後に長い長孔を設け、その長孔を介して取付ボルトにより前記エレメント噛合部材31の突条部31aを前記屈曲アーム12に取り付けることもできる。
【0071】
この場合には、取付ボルトを緩めて前記スライダー固定部材21又は前記エレメント噛合部材31の取り付け側に形成された長孔内を移動させたのち、取付ボルトを締め込むようにすることにより、スライダー固定部材21及び前記エレメント噛合部材31の位置間隔を変更可能にでき、本発明のスライダー固定部材21及びエレメント噛合部材31の位置間隔変更手段として構成される。前記エレメント噛合部材31及び前記スライダー固定部材21の間の距離は、図12〜図15に示す最終製品であるスライドファスナーの柔軟度の違いや長さに応じて自由に設定することができる。
【0072】
前記エレメント噛合部材31の導入側下面には、ファスナーチェーン4の分離したエレメント列4aを導入案内する舌片状の導入案内片31bが、エレメン噛合部材31の幅方向の略中央部であってチェーン上流側の前端部から中間部を越えて延在して突設されている。前記導入案内片31bの幅方向の両側部はチェーン導入方向に向けて下斜傾斜するエレメント列案内面31cが形成されている。同案内面31c及び前記導入案内片31bの間は、前記スライダー固定部材21により分離したファスナーチェーン4のエレメント列4aを整列して導入する導入案内空間を形成しており、分離した各エレメント列4aを前記導入案内片31bの左右両壁面に沿わせて容易に導入案内することができるようになっている。
【0073】
前記導入案内片31bのチェーン下流側には、分離した各エレメント列4aを互いに噛合させる左右一対の側壁片31d,31dが配されている。この側壁片31dは、前記導入案内片31bよりも小さい突出量で前記エレメント噛合部材31の幅方向の両側縁部に突設されており、前記導入案内片31bと平行に延在している。各側壁片31dのチェーン上流側の端部対向壁面は、導入側が広く供給方向に漸次狭くなるように、それぞれがテーパ面31eとされている。前記側壁片31dの間に形成される空間は、上記導入案内片31bのチェーン下流側延長線上に形成され、前記分離したエレメント列4aを噛合させるエレメント噛合空間を構成する。
【0074】
図6に上記スライダー通し部20から前記エレメント噛合部30へとファスナーチェーン4を挿入した状態を模式的に示している。同図において、上述したように、作業者が左右のエレメント列4aが噛合状態にあるファスナーチェーン4の先端を摘みながら、上記スライダー通し部20に配されたスライダー3の後口3dからガイドフランジ3e間の挿通空間及び柱部3hの左右空間へと順次挿通させて、スライダー3の肩口から左右のエレメント列4aを同一平面上に整列して分離させながら送り出す。
【0075】
続いて、作業者は前記ファスナーテープ4bの先端部を摘んだまま、前記スライダー通し部20から送り出された左右に分離したエレメント列4aを上記エレメント噛合部30の導入案内片31bの左右に形成された導入案内空間内に同一平面上を整列して導入する。整列して導入された左右のエレメント列4aは前記側壁片31dの入り口の前記テーパ面31eを介して前記側壁片31dの間のエレメント噛合空間内に円滑に導入される。分離した前記ファスナーチェーン4はエレメント噛合空間内を通過する間に、分離したエレメント列4a同士は自動的に再び噛合する。左右のエレメント列4aが噛合した状態にあるファスナーチェーン4は、作業者により次の止部形成部40へ送り込まれる。
【0076】
こうして、スライダー通し部20において、エレメント列が噛合状態にあるファスナーチェーン4をスライダー3の後口から通して左右に分離しながらスライダー3を取り付けたのち、スライダー通し部20を通過したエレメント列が分離状態にあるファスナーチェーンをエレメント噛合部30に導入して、分離したエレメント列を自動的に再び噛合状態としたのち、作業を中断させることなく続く単一止具の取付工程へと効率的に連続して移行させることができるようになる。
【0077】
図7は、本発明の代表的な実施形態である止部形成部40の要部を概略的に示している。同図において、この止部形成部40は、前記止具1の原材である線材1aを所定の長さの止片に切断するカッティングパンチ41と、前記線材1aを略逆U字状に折り曲げるベンダー42と、前記線材1aを略横C字状に折り曲げて前記ファスナーチェーン4のファスナーテープ4bに打ち込むドライバパンチ43とを有している。更に、前記止部形成部40は、前記ファスナーチェーン4のエレメント列4aを跨いで、同ファスナーチェーン4のファスナーテープ4bを上記支持台6に押圧保持して位置決め固定するテープ押圧保持部材44を有している。
【0078】
前記止部形成部40は、前記カッティングパンチ41、ベンダー42、ドライバパンチ43、テープ押圧保持部材44などの止部形成部材と上記支持台6とから構成される。これらの止部形成部材41〜44は、上記支持枠体2に案内支持されると共に、上記エレメント噛合部30から移送されたファスナーチェーン4に向けて独立して上下動するようになっている。
【0079】
前記カッティングパンチ41は、前記ドライバパンチ43を挟むようにして、前記支持枠体2の先端部に垂直方向に貫通する貫通孔2bに昇降可能に支持されている。前記ドライバパンチ43は、カッティングパンチ41と共に昇降するが、止具取付時には、カッティングパンチ41の下降位置を超えて、更に単独に下降する。前記カッティングパンチ41は、その下端に、チェーン移送路7を横断する方向に所定の間隔をおいて一対の第1及び第2脚部41a,41bを有している。各脚部41a,41bの対向する内壁面は階段状をなす段部形状をなしており、段部を介してチェーン移送方向に広狭空間を形成している。この段部の間の広空間は、前記ドライバパンチ43を摺動させる摺動路41cを形成する。前記ドライバパンチ43は、前記摺動路41c内を前記カッティングパンチ41に対して相対的に昇降するようになっている。
【0080】
前記カッティングパンチ41の線材1aの導入側に配された第1脚部41aは、その下端に前記線材1aの切断部分をジグザグに切断する2本の略三角柱をなす刃部41dを有している。前記カッティングパンチ41の第2脚部41bの下面には、チェーン導入方向に向けて上傾斜するカム面41eが設けられている。
【0081】
前記支持枠体2のチェーン移送側の下端部には、図1に示すように、チェーン導入方向に向けて水平に貫通する貫通孔2cが形成されている。前記貫通孔2cの内部には、前記ベンダー42が圧縮コイルバネ45に抗して摺動自在に挿入されており、その先端部が前記貫通孔2cから前記カッティングパンチ41及び前記ドライバパンチ43の下方位置に向けて弾性的に進退する。
【0082】
このベンダー42の先端部は前記止具用線材1aが供給される側であって、後述するカム部42cと並列した下端中央部に、略四角柱状のアンビル部42bを水平に突設させている。同アンビル部42bは、前記カッティングパンチ41と共に前記線材1aを下方が開いた略逆U字状に形成するための受台を構成する。このアンビル部42bは、前記カッティングパンチ41の下方にあって前記ドライバパンチ43の行路内に突出する位置と前記ドライバパンチ43の行路外に退避する位置との間を、前記カッティングパンチ41の昇降に合わせて上記チェーン移送路7に沿って往復動する。
【0083】
また、前記ベンダー42の先端部の前記カッティングパンチ41の第2脚部41bに対応する位置に、上面に斜面をもつ略台形のカム部42cが水平に突設されている。前記カム部42cの上面傾斜面は前記カッティングパンチ41のカム面41eとは逆方向に傾斜し、同カム面41eに摺接するカム面42aを有している。このベンダー42は、前記カッティングパンチ41の下降に伴って前記カム面42aを介して弾性的にチェーン下流側に後退する。すなわち、ベンダー42の前記カム面42aと前記カッティングパンチ41のカム面41eとの摺接により、格別の駆動源を不要としてタイミングを合わせて所定の行程を円滑に往復動する。
【0084】
更に、前記エレメント噛合部材31と前記カッティングパンチ41との間には、前記ファスナーチェーン4のファスナーテープ4bを上記支持台6との間で押圧保持して位置決め固定するテープ押圧保持部材44が設けられている。このテープ押圧保持部材44は、図1に示すように上記支持枠体2に形成された屈曲アーム用及びカッティングパンチ用の各貫通孔2a及び2cの間であって垂直方向に貫通する貫通孔2dに摺動可能に収容され、前記所要の高さの待機位置と支持台6との間を前記ファスナーチェーン4に向けて独立して昇降可能に配されている。
【0085】
前記テープ押圧保持部材44は上記屈曲アーム12とは反対の略逆L字状に屈曲した直立部44a及び水平部44bにより構成されている。このテープ押圧保持部材44の垂直部44aは、前記貫通孔2d内を昇降自在に支持されている。前記テープ押圧保持部材44の水平部44bは前記カッティングパンチ41と支持台6との間に延出しており、前記チェーン移送路7に対向して配されている。
【0086】
前記テープ押圧保持部材44の水平部44bの先端部に、上下方向に貫通する筒部44cを有している。この筒部44cの上端開口周辺部は前記カッティングパンチ41に当接する当接面を構成する。同筒部44cの内部は、図10に示すように、前記ドライバパンチ43が導入可能な大きさをもつ導入孔44dを有している。この導入孔44dは前記ドライバパンチ43を挿通案内する挿通案内路とされる。
【0087】
前記筒部44cの下端開口周辺部には、チェーン導入方向に沿って形成され、前記導入孔44dを横切るエレメント収容溝44eを有している。同エレメント収容溝44e内に、前記ファスナーチェーン4の噛合したエレメント列4aを収容し、同エレメント列4aと干渉することなく前記支持台6との間で前記ファスナーテープ4bを押圧して位置決め固定がなされる。前記筒部44cの待機位置における下端面位置とチェーン移送路7との間の間隔は、指先が入りにくい狭い間隔とされている。
【0088】
上記のごとく構成された筒部44cは、前記カッティングパンチ41とチェーン移送路7との間にあって、カッティングパンチ41の下降を規制すると共に、前記ドライバパンチ43の更なる下降を案内するが、筒部44cとチェーン移送路7との間の間隙に不用意に指を差し込むようなことが危険性がなく、前記ファスナーチェーン4のファスナーテープ4bに前記逆U字状の単一止具1を安全に且つ正確に打ち込むことができるようになる。
【0089】
次に、上記のごとく構成された本実施形態における止部形成部40の動作を図8〜図10に基づいて説明する。
ファスナーチェーン4がスライダー通し部20及びチェーン噛合部30を通り、ファスナーチェーン4の止部形成部分が上記止部形成部40に到達する以前に、作業者は予め図示せぬ線材供給装置から供給される金属製の止具用線材1aを、図8に示すように、上記ベンダー42のアンビル部42b上面を横切るようにして送り込んでいる。ファスナーチェーン4の止部形成部分が上記止部形成部40に到達すると、図示せぬフットスイッチが押される。前記テープ押圧保持部材44は、前記カッティングパンチ41及び前記ドライバパンチ43の下降に先立って、前記カッティングパンチ41と前記支持台6との間をファスナーチェーン4に向けて単独に下降して、前記ファスナーチェーン4の噛合状態にあるエレメント列4aを前記支持台6の上面に形成された凹溝部6dを横断させて、その凹溝部6dの周辺にてファスナーテープ4bを押圧固定する。
【0090】
ここで図示せぬ検出装置により前記テープ押圧保持部材44によるテープ4bの押圧が確認されると、図示せぬ駆動装置にて前記カッティングパンチ41及びドライバパンチ43が同時に下降を開始する。前記カッティングパンチ41の下降すると、同カッティングパンチ41の各脚部41a,41bの刃部41dがベンダー42上にある前記線材1aを所定の長さに切断する。この切断と同時に、前記脚部41a,41bがベンダー42のアンビル部42bを跨ぐようにして下方に向けて押圧し、前記切断された線材1aの両端部を、図9に示すごとく、下端が開いた二つの脚部を有する略逆U字状に折り曲げる。こうして単一の逆U字状止具1を形成したのちも前記カッティングパンチ41は下降を続ける。このカッティングパンチ41の下降時に、脚部41aのカム面41eが前記ベンダー42のカム面42aに摺接し、同ベンダー42はアンビル部42bを伴って前記圧縮コイルバネ45に抗してチェーン下流側に向けて弾性的に後退する。
【0091】
このとき、前記止具1は、図10に示すように、前記カッティングパンチ41の脚部41a,41bの間に挟まれた状態で保持されて下降し、カッティングパンチ41の脚部41a,41bが前記テープ押圧保持部材44の筒部44cの上面に当接すると、前記カッティングパンチ41の下降は停止する。一方、同カッティングパンチ41と協働して下降するドライバパンチ43は、カッティングパンチ41の停止後も下降を続け、前記カッティングパンチ41の脚部41a,41b間に挟まれた止具1を押し下げながら前記筒部44cの導入孔44bに導入される。
【0092】
前記ドライバパンチ43の下降に伴って前記止具1の二つの尖った脚部が前記ファスナーテープ4b上に達し、前記支持台6の上面に形成された凹溝部6dにおいて、止具1の左右脚部は噛合状態にあるエレメント列4aを跨いで左右のファスナーテープ4bに差し通されると同時に、前記ドライバパンチ43による押圧により、前記凹溝部6d内で互いに内方に向けて略横C字状に折り曲げられて前記ファスナーテープ4bに打ち込まれる。
【0093】
このように、前記止具1の取付けが完了すると、前記カッティングパンチ41及びドライバパンチ43はチェーン移送路7の上方待機位置への戻り動作の開始と同時に、上記テープ押圧保持部材44及び屈曲アーム12もチェーン移送路7の上方待機位置へと戻り、全ての作動が停止する。こうして、全ての工程が終了したのち、チェーン移送路7を開放してファスナーチェーン完成品を取り出す。ファスナーチェーン完成品をチェーン移送路7上から取り出したのち、上記嵌合凹部6aに次のスライダー3を嵌着固定して上述の操作を繰り返す。
【0094】
このように、上記チェーン移送路7上で、スライダー3の後口3dからエレメント列4aが噛合状態にあるファスナーチェーン4を挿入したのち、ファスナーチェーン4を更に移動させるだけで分離したエレメント列4aを再び自動的に噛合させて、単一止具取付工程に連続して送り込むことができるようになり、作業効率が大幅に向上して生産性を増大させることができると共に、製造費を低減させることができ、しかも作業者の負担をも軽減させることができる。
【0095】
本実施形態にあっては、金属製の止具1を止具用線材1aにより切断して形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば予め取付爪を有する止具1を形成しておき、これを供給シュートを介して止部形成部40に供給してファスナーチェーン4の表側に取り付けてもよい。また、ファスナーチェーンのエレメント列が合成樹脂製であるならば、合成樹脂製の止具用線材を使用し、この止具用線材をファスナーチェーンのエレメント列に供給して超音波加工等により加圧加熱して取り付けることもできる。
【0096】
ここで、本発明による止部とは、従来の横C字状又は断面横H字状などの金属製止具や、エレメント噛合端部を直接又は溶着テープ片を介して溶着させる溶着止部などが含まれ、本発明における前記止部形成部には、パンチとダイが備えられ、或いは加熱溶着装置や超音波溶着装置などが設置される。従って、本発明における止部の形成とは前記金属製止具の取付け、或いは溶着止部などの形成を含んでいる。
【0097】
本実施形態にあっては、ファスナーチェーン4の移送を人手により行なっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばファスナーチェーン4の先端部を把持したグリッパー装置により移送されるファスナーチェーンにスライダー及び止具の装着等を行なう構成にすることもできる。
【0098】
上述の構成を備えた本発明のスライドファスナー仕上げ装置10によれば、図13〜図15に示すような1個〜2個のスライダー3を取り付けたスライドファスナー4−1〜4−3を作りだすことができる。
図12は、図13に示すスライドファスナー4−1にあって、上止具9側に予め1個のスライダー3が取り付けられており、噛合状態にある下止め側のエレメント列4aから2個目のスライダー3を、その後口から挿入するときの状態を示している。
【0099】
この状態で、本発明のスライドファスナー仕上げ装置10を使用して、上述のごとく噛合状態にあるエレメント列4aをスライダー3の後口から挿入し、スライダー3の肩口側から送り出されて分離状態にあるエレメント列4aを再び噛合させ、前記単一止具1を取り付けて、図13に示すような2個のスライダー3,3を後口を向かい合わせに取り付けたスライドファスナー4−1が得られる。このスライドファスナー4−1は、例えばつなぎ服や子供服などに用いられ、服の上下側の双方からスライドファスナー4−1を開くことができ、小用が簡易に行えるようになる。
【0100】
図14及び図15は本発明のスライドファスナー仕上げ装置10を使って製造されたスライドファスナーの変形例をそれぞれ示している。図14は2つのスライダー3,3を備えた点では図13に示すスライドファスナー4−1と同様であるが、エレメント列4aの両端部に分離不可能な単一の止具1を取り付けた点で異なる。このスライドファスナー4−2は、例えば鞄や文具ケースなどの開口部に使用することができる。また、図15は図14に示すスライドファスナー4−1に単一のスライダー3を装着した一例を示している。このスライドファスナー4−3は、例えばハンドバッグ、小銭入れ、米袋、衣服類のポケットなどに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な実施形態であるスライドファスナー仕上げ装置を概略的に示す縦断面図である。
【図2】同装置に適用されるスライダー固定部材の要部を拡大して示す斜視図である。
【図3】同装置に適用されるエレメント噛合部材の要部を拡大して示す斜視図である。
【図4】同装置に適用される支持台及びスライダーを拡大して示す斜視図である。
【図5】同スライダーにファスナーチェーンを挿入する直前の状態を模式的に示す説明図である。
【図6】同スライダー通し部からエレメント噛合部へファスナーチェーンを挿入した状態を模式的に示す説明図である。
【図7】同装置に適用される止部形成部の要部を拡大して示す斜視図である。
【図8】同止部形成部の動作を示す説明図である。
【図9】図8の次の動作を示す説明図である。
【図10】図9の次の動作を示す説明図である。
【図11】図10の次の動作を示す説明図である。
【図12】単一止具を取り付ける前のファスナーチェーンの平面図である。
【図13】同装置により製造されたスライドファスナーの一例を示す平面図である。
【図14】同スライドファスナーの変形例を示す平面図である。
【図15】同スライドファスナーの他の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 単一止具
1a 線材
2 支持枠体
2a〜2d 貫通孔
3 スライダー
3a 下翼板
3b 引手
3c 上翼板
3d 後口
3e ガイドフランジ
3f 引手連結環
3g 停止爪
3h 柱部
4 ファスナーチェーン
4-1 〜4-3 スライドファスナー
4a エレメント列
4b ファスナーテープ
5 基板
6 支持台
6a 嵌合凹部
6b 吸引口
6c 吸引路
6d 凹溝部
7 チェーン移送路
8 吸引ノズル
9 上止具
10 スライドファスナー仕上げ装置
12 屈曲アーム
12a 垂直部分
12b 水平部分
12c 長溝
20 スライダー通し部
21 スライダー固定部材
21a 突条部
22 導入案内部
22a 第1当接面
22b 第2当接面
22c チェーン案内突片
22d 下傾斜面
22e テープ案内面
23 引手当接部
23a 当接面
24 空隙部
30 エレメント噛合部
31 エレメント噛合部材
31a 突条部
31b 導入案内片
31c エレメント列案内面
31d 側壁片
31e テーパ面
40 止部形成部
41 カッティングパンチ
41a 第1脚部
41b 第2脚部
41c 摺動路
41d 刃部
41e カム面
42 ベンダー
42a カム面
42b アンビル部
42c カム部
43 ドライバパンチ
44 テープ押圧保持部材
44a 直立部
44b 水平部
44c 筒部
44d 導入孔
44e エレメント収容溝
45 コイルバネ

Claims (11)

  1. ファスナーチェーン(4) の左右一対のエレメント列(4a)を噛合させた状態で、スライダー(3) をその後口(3d)から挿入し、挿入後のエレメント列の分離側端部同士を結合するスライドファスナーの仕上げ装置であって、
    前記ファスナーチェーン(4) の移送路(7) 上に配され、スライダー(3) の後口(3d)をファスナーチェーン(4) の導入側に向けて同スライダー(3) を保持するスライダー通し部(20)と、
    同スライダー通し部(20)のチェーン下流側に配されたエレメント噛合部(30)と、
    前記エレメント噛合部 (30) のチェーン下流側に左右のエレメント列 (4a) の噛合端部を結合する止部形成部 (40) と、
    を備えてなることを特徴とするスライドファスナー仕上げ装置。
  2. 前記スライダー通し部(20)は、スライダー(3) の下翼板(3a)を嵌合支持する嵌合凹部(6a)を有すると共に、その底面に吸引孔(6b)を有してなることを特徴とする請求項1記載のスライドファスナー仕上げ装置。
  3. 前記スライダー通し部(20)の上方に、下面側にスライダー(3) の上面の一部と当接する当接面(22a,22b) を有する上下動可能なスライダー固定部材(21)を備えてなることを特徴とする請求項1又は2記載のスライドファスナー仕上げ装置。
  4. 更に、前記スライダー固定部材(21)はファスナーチェーン(4) の導入案内部(22)を有し、同導入案内部(22)のチェーン導入口がチェーン導入方向に下傾斜する傾斜面(22d) を有してなることを特徴とする請求項3記載のスライドファスナー仕上げ装置。
  5. 前記エレメント噛合部(30)は、前記スライダー通し部(20)にて分離されたエレメント列(4a)を整列して導入する導入案内空間と、同導入案内空間のチェーン下流側に配され分離したエレメント列(4a)のエレメントを噛合させるエレメント噛合空間とを有してなることを特徴とする請求項1記載のスライドファスナー仕上げ装置。
  6. 前記エレメント噛合部(30)は、前記スライダー固定部材(21)と協働して上下動することを特徴とする請求項記載のスライドファスナー仕上げ装置。
  7. 前記エレメント噛合部(30)と前記スライダー固定部材(21)との間の間隔を変更可能とする間隔変更手段を有してなることを特徴とする請求項6記載のスライドファスナー仕上げ装置。
  8. 前記止部形成部(40)は、
    ファスナーチェーン(4) へ向けて進退可能に設けられ、ファスナーチェーン(4) の噛合端部に止部(1) を形成する止部形成部材(41,43) と、
    ファスナーチェーン(4) へ向けて進退可能に設けられ、左右のファスナーテープ(4b)を支持台(6) に押圧して保持するテープ押圧保持部材(44)と、
    を有してなることを特徴とする請求項記載のスライドファスナー仕上げ装置。
  9. 前記テープ押圧保持部材(44)は、前記止部形成部材(41,43) と支持台(6) との間に配され、止部形成部材(41,43) が挿通可能な挿通案内路(44d) を有し、前記エレメント列(4a)を跨いで左右のファスナーテープ(4b)を前記支持台(6) に押圧保持することを特徴とする請求項記載のスライドファスナー仕上げ装置。
  10. 前記テープ押圧保持部材(44)は、前記止部形成部材(41,43) の進退を案内する筒部(44c) を有してなることを特徴とする請求項記載のスライドファスナー仕上げ装置。
  11. 前記止部形成部材(41,43) は、止部(1) の原材である線材(1a)を所定の長さの止片に切断するカッティングパンチ(41)と、前記止片の上面を押圧し、同片をファスナーテープ(4b)に打ち込むドライバパンチ(43)とからなり、前記テープ押圧保持部材(44)は、カッティングパンチ(41)の下降位置を規制すると共に、ドライバパンチ(43)の昇降を案内することを特徴とする請求項記載のスライドファスナー仕上げ装置。
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