JPH084525B2 - スライドファスナーの上止め取付け装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、連続スライドファスナーチェーンからスラ
イドファスナーに仕上げる加工中に、連続スライドファ
スナーチェーンに設けたスペース部に、合成樹脂製でＵ
字状に屈曲した上止めを取付ける場合に適用するスライ
ドファスナーの上止め取付け装置に関する。

（従来の技術） 従来のスライドファスナーに取付ける合成樹脂製の上
止めとして、合成樹脂フィルムを連続スライドファスナ
ーチェーンの所定位置の表面に載置し、これを超音波ホ
ーンあるいは高周波ホーンで溶融すると同時に所定形状
に成形して取付ける手段のものが知られている。

（発明が解決しようとする問題点） 上述のフィルムによる方法で取付けた上止めは、スラ
イドファスナーの表面に溶着したものであるから、その
止着強度に難点があり、またフィルムを溶融して成形す
るものであり、その相手のファスナーテープは織成ある
いは編成したもので表面に凹凸があることから、上止め
の成形時にとげのようなバリが生じる欠点があった。そ
こで、合成樹脂の偏平な線材からＵ字状に屈曲した上止
め、あるいは断面Ｕ字状をなす異形線を切断した上止め
を、ファスナーテープの側縁に差し挟み、ホーンで上止
めのファスナーテープとの接融する内面層のみを溶融し
て付着するものが提案された。しかし、その取付ける自
動的手段が確立しておらず、工業生産上に問題があっ
た。

本発明は、特にＵ字状の上止めをファスナーテープの
側縁に差し挟む手段、挾んだ上止めを溶着する手段、及
び上記の加工部から溶着した上止めを脱出する手段を能
率よく、且つ確実性を高め得るように開発したスライド
ファスナーの上止め取付け装置を提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 本発明で処理する連続スライドファスナーチェーン
は、等間隔おきにファスナーエレメントを欠除したスペ
ース部を有するものであって、以後この連続スライドフ
ァスナーチェーンを単に連続チェーンと略称する。

本発明による取付け装置の要旨は、連続チェーンの架
設部より下方部に、上あごとアンビルとを上下に相対向
して備え、上あごとアンビル間の左右部に、合成樹脂製
のＵ字状に屈曲した上止めを上あごとアンビルで上下よ
り挟持する一対のポケットを形成し、上あごまたはアン
ビルの何れか一方の部材が対向する部材位置より転移し
てポケットの上面を開放可能に設けていること、及び連
続チェーンの架設部より上方部に上下動するホーンを、
前記上面を開放した両ポケットに相対向して設けている
こと、並びに、前記上あごにほぼ三角状の頭部を形成
し、該頭部と平行して上端部をほぼ三角状にした突き矢
をアンビルに沿って上下動可能に設けることにより解決
するものである。

（実 施 例） 本発明の装置で取付けた上止めは第12図と第13図に示
しており、上止め１は熱可塑性合成樹脂の帯状線材を所
定の長さに切断しＵ字状に屈曲成形するか、あるいは断
面Ｕ字状をなす熱可塑性合成樹脂の異形線を所要の巾ご
とに切断したもので、その取付け位置は、スライドファ
スナーを構成する左右のファスナーテープ2,2における
ファスナーエレメント3,3に連続し、スライダー４がフ
ァスナーエレメント3,3を閉鎖する方向に摺動した際
に、スライダー４の摺動を停止する位置に設ける。ま
た、上止め１のファスナーテープ２に対する溶着状態
は、第12図図示の如く、上止め１のテープ２と接触する
内面層のみを溶融し、しかも上止め１の表裏面末端部に
おいて、テープ２と互いに一体に連結しているものであ
る。

上記上止め付きスライドファスナーを成形する時に
は、連続チェーンを成形機に供給し、スライダー４を挿
通し、下止め５を取付け、次いで上止め１を取付けた後
に所定長さに切断する一連の加工によって仕上げられ
る。その際第１図図示の如く、連続チェーン６をその裏
面を上にして送って順次加工するもので、この連続チェ
ーン６にはファスナーエレメント３を欠除したスペース
部７を等間隔おきに備え、上止め１を取付ける時にはス
ペース部７よりファスナーエレメント３を僅かの区間に
亘って開放した割込み部８を成形してから行なわれるも
のである。但し割込み部８は、上止め取付けと同時にフ
ァスナーエレメント３を割り込んでも良い。

そこで、本発明による上止め取付け装置を説明する
と、第１図に概要を示しており、連続チェーン６の走行
装置については図示してないが、上止めを取付ける時に
は、走行を停止した状態で架設し、しかもチェーンスト
ッパー９をスペース部７内に突入すると共に、既に取付
けた下止め５側に向って引き、連続チェーン６を緊張保
持しておく。この連続チェーン６を架設する部分より下
方両側にそれぞれポケット10,10を設け、ポケット10,10
の側方に上止め成形部11,11を備え、連続チェーン６の
架設部より上方に、超音波あるいは高周波のホーン12を
前記両ポケット10,10に相対向して上下動可能に設け、
更に連続チェーン６上に近接して、連続チェーン６を僅
かに下方へ押し付けるチェーン押圧片13を設けている。

上記のポケット10について更に詳細すると、第３図に
示している如く、基台14にアンビル15を上下に駆動する
第１シリンダー16に連結して設け、アンビル15にこれと
平行して起立するレバー17を、その中間部においてピン
18でアンビル15に枢支して設け、レバー17の下端部に水
平方向に駆動する第２シリンダー19を連結し、レバー17
の上端にアンビル15の上方を覆う上あご20を突設すると
共に、上あご20にほぼ三角状をなす頭部21を設けたもの
で、上記のアンビル15と上あご20間の両側部に第２図図
示の如く、上止め１の上脚1aと下脚1bを上あご20とアン
ビル15で上下より挾むポケット10,10を形成したもので
あり、頭部21の両傾斜面の下端よりアンビル15間にポケ
ット10,10の開放口をあけている。更にポケット10には
アンビル15の上面に上止め１の下脚1bが落ち込む凹部22
を備えるものである。

上記のポケット10は、第３図図示の鎖線で示す如く、
レバー17を傾倒することにより上あご20をアンビル15上
より転移されて、ポケット10の上面を開放するものであ
る。ところで、上面を開放する他の例として、第４図と
第５図に示す如く、アンビル15を左右に分割できるよう
に形成し、左右のアンビル15aと15bとの下面の双方に亘
って接する押拡杆23を上昇することによって、左右のア
ンビル15aと15bを上あご20より左右へ突出して、ポケッ
ト10の上面を開放するものである。

従って、ポケット10の上面を開放する手段には、前述
のように上あご20をアンビル15上より他へ転移するか、
アンビル15を上あご20の下方部より側方へ転移して行う
ことが出来るものである。

また、第１図と第３図に示す如く、アンビル15に平行
して上下動する突き矢24を第３シリンダー25に連結して
設け、突き矢24の上端部を三角状に先細をなす楔状に形
成したものである。

次に上止め成形部11の構造は、第１図に概要を示す如
く、熱可塑性合成樹脂の帯状線材26を下方より垂直に上
方へ供給し、切断後に切断した線材をプランジャー27で
ポケット10に向って押し送り、その送り中にＵ字状に屈
曲してポケット10内に供給するようになっている。これ
を更に第６図と第７図によって詳説すると、ケーシング
28内に断面コ状のカッター29を第４シリンダー30でポケ
ット10に向って直線往復動可能に設け、該カッター29の
下片先端部に線材26が突入する透孔31があけている。ま
た断面コ状のカッター29内に前記プランジャー27を第５
シリンダー32でポケット10に向って直線往復動可能に設
け、ケーシング28の先端部に上下の型33,34を固着し、
両型33,34間に成形溝35を設けている。また、上記カッ
ター29の透孔31より下方にフィーダー36が備えてあり、
フィーダー36は、線材26を挿通するハンド37を第６シリ
ンダー38で上下動し、そのハンド37内に線材26を押し挾
むフィンガー39を第７シリンダー40で駆動するように設
け、更にハンド37の下方に線材ガイド41が固定してあっ
て、線材ガイド41にスプリング42の付勢力で線材26を圧
接する爪片43を設けている。

従って、フィーダー36で線材26を透孔31よりカッター
29内へ供給し、カッター29とプランジャー27を前進駆動
して、まず線材26を切断した後に、プランジャー27で切
断した線材を上下両型33,34に向って押し、更にプラン
ジャー27を前進することにより、線材が成形溝35内でＵ
字状に屈曲され、そのままポケット10内に第８図図示の
如く供給する。

そこで、第９図図示の如くアンビル15を連続チェーン
６の割込み部８に向って上昇する。上昇する時、三角状
の頭部21で割込み部８を押し拡げられ、割込み部８の両
側縁が上止め１の開口に向合した時、緊張に対する復元
力で両側縁が上止め１内に挿入する。次いで第10図図示
の如く上あご20をアンビル15上より転移してポケット10
の上面を開放した後に、ホーン12を下降して、ホーン12
とアンビル15とで上止め１を第12図に示す如く溶着す
る。溶着が終了した後、第11図図示の如くホーン12を上
昇すると共に、突き矢24を上昇して割込み部８の両側縁
間を押し拡げることにより、上止め1,1がアンビル15の
凹部22より左右へ脱出する。以後、アンビル15及び突き
矢24をそれぞれ下降し、次の取付け態勢に戻るものであ
る。

〔発明の効果〕

本発明によるスライドファスナーの上止め取付け装置
によれば、ほぼ三角状の頭部を設けた上あごとアンビル
とを上下に配し、上あごとアンビルとの相対向面におけ
る両側に合成樹脂のＵ字状に屈曲する上止めを上下より
挾持するポケットを備え、上あごまたはアンビルの何れ
か一方を転移可能に設けたものであって、上あごとアン
ビルとを同時に上昇して連続チェーンのスペース部内に
割り込んで挿入することにより、スペース部が三角状の
頭部によって左右に押し拡げられて両縁部がポケット内
に挿入され、その両縁部がポケット内に挾持している上
止め内に挿入されるもので、取付ける操作が容易であ
り、しかもＵ字状に屈曲した上止めに連続チェーンの縁
部を確実に取り付けることができようになる。

また上あごまたはアンビルの何れか一方を転移するこ
とにより、ポケットの上面を開放するもので、その際ポ
ケットに保持している上止めが脱落する恐れがなく、ホ
ーンによる溶着が容易に行うことができる。

更に、上止めを連続チェーンの縁部に溶着した後、三
角状に形成した突き矢を上昇することにより、ポケット
に保持されていた上止めが連続チェーンと共にポケット
内より簡単に脱出することができることから、上止め取
付けのための各工程を順次淀みなく遂行することが出
来、その能率を高め得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるスライドファスナーの上止め取付
け装置の概要を示す斜視図、第２図はポケットの構造を
拡大して示す正面図、第３図はポケットを構成する部分
の構造を示す断面図、第４図はポケットを構成する他の
例の構造を示す断面図、第５図はポケットの上面を開放
した状態を示す断面図、第６図は線材のフィーダーをそ
の要部を切断して示す正面図、第７図は同じく平面図、
第８図、第９図、第10図及び第11図は上止めの取付け工
程を示す正面図、第12図は本発明の装置で取付けた上止
めを示す斜視図、第13図は同じくスライドファスナーを
示す正面図である。 １……上止め、６……連続スライドファスナーチェー
ン、７……スペース部、８……割込み部、10……ポケッ
ト、11……上止め成形部、12……ホーン、15……アンビ
ル、20……上あご、21……頭部、24……突き矢、26……
線材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】連続スライドファスナーチェーンの架設部
   より下方部に上あご20とアンビル15とを上下に相対向し
   て備え、上あご20とアンビル15間の左右部に、合成樹脂
   製のＵ字状に屈曲した上止め1,1を上あご20とアンビル1
   5で上下より挟持する一対のポケット10,10が形成してあ
   ると共に、上記上あご20またはアンビル15の何れか一方
   の部材が対向する部材位置より転移してポケット10,10
   の上面を開放可能に設け、連続スライドファスナーチェ
   ーンの架設部より上方部にホーン12を、前記上面を開放
   した両ポケット10,10に相対向して設け、前記上あご20
   にはほぼ三角状の頭部21を備え、該頭部21と平行して上
   端部をほぼ三角状に形成した突き矢24をアンビル15に沿
   って上下動可能に設けていることを特徴とするスライド
   ファスナーの上止め取付け装置。