WO2015029240A1

WO2015029240A1 - スライドファスナー製造装置

Info

Publication number: WO2015029240A1
Application number: PCT/JP2013/073428
Authority: WO
Inventors: 博徳滝山; 豊雄森田; 陽一郎金本; 俊一上田
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2013-08-30
Filing date: 2013-08-30
Publication date: 2015-03-05

Abstract

スライドファスナー製造装置(１０)は、スペース部(１４)を形成するスペース部形成機構(１００)と、スペース部(１４)より下流側のファスナーエレメント列(１３)の上流側端部に溶着部(１５)を形成する端部溶着機構(２００)と、ファスナーエレメント列(１３)の下流側端部に下止(１６)を取り付ける下止取付機構(３００)と、ファスナーエレメント列(１３)にスライダー(１７)を取り付けるスライダー取付機構(４００)と、ファスナーエレメント列(１３)の上流側端部に上止(１８)を取り付ける上止取付機構(５００)と、連続ファスナーチェーン(１１)を所定の長さに切断する切断機構(６００)と、スライドファスナー(１９)を搬出する搬出機構(７００)と、を備える。連続ファスナーチェーン(１１)は、端部溶着機構(２００)と下止取付機構(３００)との間で上下面が反転して搬送され、更に、スライダー取付機構(４００)又は上止取付機構(５００)と切断機構(６００)との間で、搬送経路(３３)から搬送経路(３４)に変更される間に、上下面が反転して搬送される。

Description

スライドファスナー製造装置

　本発明は、連続ファスナーチェーンから連続して効率よくスライドファスナーを製造することができるスライドファスナー製造装置に関する。

　従来のスライドファスナー製造装置としては、互いに独立したギャップ機、終端部機、ランナはめ機、始端部機、及び分離機を順に並設し、各装置間に最小最大制御装置を有するバッファ装置を配置して各装置を動作又は停止させて、連続スライドファスナー帯片からスライドファスナーを製造するようにした装置が開示されている（例えば、特許文献１参照）。

日本国特開平２－７４２０５号公報

　ところで、特許文献１のスライドファスナー製造装置は、ファスナーエレメント列を上に向けた状態で連続スライドファスナー帯片を搬送しながら、連続スライドファスナー帯片の上方からギャップ機でギャップを形成し、終端部機で終端部を取り付けると共に、始端部機で始端部を取り付けている。このため、連続スライドファスナー帯片の上面に終端部及び始端部作成時に発生する切断片などのごみが付着し易く、それ以降の加工工程で障壁となる虞があった。また、独立した複数の装置を工程順に並設して組立装置としているので、組立装置が全体として大型となり、比較的大きな設置スペースを要する問題があった。

　本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、連続ファスナーチェーンからスライドファスナーを連続して効率よく製作することができるスライドファスナー製造装置を提供することにある。

　本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
（１）　一対の連続ファスナーテープの対向するテープ側縁部に沿ってファスナーエレメント列が設けられた長尺の連続ファスナーチェーンを搬送しながらスライドファスナーを製造するスライドファスナー製造装置であって、
　ファスナーエレメント列が連続ファスナーテープに対して上方に位置する上向きの状態で連続ファスナーチェーンを搬送すると共に、前記ファスナーエレメント列に対して上方に位置するカッターによって、所定の間隔ごとにファスナーエレメント列の一部のファスナーエレメントを切断除去してスペース部を形成するスペース部形成機構と、
　連続ファスナーチェーンの搬送方向においてスペース部形成機構よりも下流側に配置され、ファスナーエレメント列が連続ファスナーテープに対して下方に位置する下向きの状態で連続ファスナーチェーンを搬送すると共に、連続ファスナーチェーンの搬送方向においてスペース部より上流側に位置するファスナーエレメント列の下流側端部に、連続ファスナーチェーンの搬送経路の下方から供給される第１止部材を取り付ける第１止部材取付機構と、
を備え、
　連続ファスナーチェーンは、スペース部形成機構と第１止部材取付機構との間で上下面が反転するように捻じられて搬送されることを特徴とするスライドファスナー製造装置。
（２）　スペース部形成機構と第１止部材取付機構との間に配置され、連続ファスナーチェーンを上向きの状態で搬送すると共に、スペース部より下流側のファスナーエレメント列の上流側端部を加熱溶融して溶着部を形成する端部溶着機構をさらに備え、
　連続ファスナーチェーンは、端部溶着機構と第１止部材取付機構との間で上下面が反転するように捻じられて搬送されることを特徴とする（１）に記載のスライドファスナー製造装置。
（３）　スペース部を介してファスナーエレメント列にスライダーを取り付けるスライダー取付機構と、ファスナーエレメント列の上流側端部に第２止部材を取り付ける第２止部材取付機構と、スペース部で連続ファスナーチェーンを所定の長さに切断する切断機構と、連続ファスナーチェーンから切断されたスライドファスナーを搬出する搬出機構と、を有する仕上げ装置を、第１止部材取付機構の下流側にさらに備え、
　切断機構を通過する連続ファスナーチェーンの搬送経路は、スライダー取付機構及び第２止部材取付機構を通過する連続ファスナーチェーンの搬送経路に対して、該搬送経路の搬送方向と直交する方向に離間して設けられており、
　搬出機構は、搬送経路での搬送方向と直交する方向にスライドファスナーを搬出することを特徴とする（１）又は（２）のいずれかに記載のスライドファスナー製造装置。
（４）　第２止部材取付機構の第２止部材が形成される金属線材が巻回されるスプールと、切断機構とは、搬送経路の搬送方向において、オーバーラップしていることを特徴とする（３）に記載のスライドファスナー製造装置。
（５）　搬出機構は、切断されたスライドファスナーが自重により移動するように傾斜して配置されると共に、下面に該スライドファスナーが落下するように開閉可能な排出扉を有するパレット部材と、
　パレット部材の上方に配置され、スライダーと当接して、スライドファスナーの移動を阻止するストッパー部材と、
　搬出経路での搬送方向と直交する方向にスライドファスナーを搬出する運搬機構と、
を有し、
　スライダー取付機構及び第２止部材取付機構では、連続ファスナーチェーンが下向きの状態で搬送され、
　切断機構では、連続ファスナーチェーンが上向きの状態で搬送され、
　連続ファスナーチェーンは、スライダー取付機構又は第２止部材取付機構と、切断機構との間で上下面が反転されるように捻じられて搬送されることを特徴とする（３）に記載のスライドファスナー製造装置。

　本発明のスライドファスナー製造装置によれば、スペース部形成機構では、連続ファスナーチェーンを上向きの状態で搬送し、ファスナーエレメント列に対して上方に位置するカッターによってスペース部を形成するので、連続ファスナーチェーンを下向きの状態で搬送し、下方に位置するカッターによってスペース部を形成する場合に比べて、歩留まりを向上することができる。また、第１止部材取付機構では、連続ファスナーチェーンが下向きの状態で搬送され、連続ファスナーチェーンの搬送経路の下方から第１止部材を取り付けるので、第１止部材取り付けの際に発生する切断片などのごみが連続ファスナーチェーンに付着するのを抑制することができる。さらに、連続ファスナーチェーンは、スペース部形成機構と第１止部材取付機構との間で上下面が反転するように捻じられて搬送されるので、連続ファスナーチェーンからスライドファスナーを連続して効率よく製作することができる。

本発明に係るスライドファスナー製造装置の概略構成図である。図１に示すスライドファスナー製造装置の平面図である。（ａ）は、加工前の連続ファスナーチェーンを示す平面図であり、（ｂ）は、切断前の連続ファスナーチェーンを示す平面図である。スペース部形成機構の概略側面図である。（ａ）はスペース部形成機構の要部断面図、（ｂ）はエレメント切断状態を示す要部断面図、（ｃ）はスペース形成時におけるエレメント屑の支持状態を示す要部断面図、（ｄ）はエレメント屑の排出状態を示す要部断面図である。端部溶着機構の概略側面図である。下止取付機構の要部斜視図である。下止取付機構の動作説明図である。下止取付機構の次の動作説明図である。下止取付機構の更に次の動作説明図である。下止が取り付けられた連続ファスナーチェーンの下面図である。スライダー取付機構及び上止取付機構の概略構成を示す要部斜視図である。図１２に示すスライダホルダの要部斜視図である。（ａ）は連続ファスナーチェーン供給時の順方向を示す平面図、（ｂ）はスペース部に対するチェーン割り部材及びスライダーのセット状態を示す平面図、（ｃ）はスペース部の芯紐部に対する芯紐部寄せ部材の作動状態を示す平面図、（ｄ）はスライダー取り付けを説明するための平面図、（ｅ）は上止取付時の状態を説明するための平面図である。搬出機構の要部斜視図である。

　以下、本発明に係るスライドファスナー製造装置の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
　なお、以後の説明において、連続ファスナーチェーン及びスライドファスナーに関しては、製造装置により搬送される方向に従い、上流側とは搬送方向手前側（図１の紙面に対して左側）、下流側とは搬送方向後側（図１の紙面に対して右側）、表側とはファスナーエレメント列が取り付けられた側、裏側とはファスナーエレメント列がない側とする。また、スライダーに関しては、スライダーの幅が広い側であってファスナーエレメントが分離して出てくる側を肩口側とし、スライダーの幅が狭い側であってファスナーエレメントが噛合して出てくる側を後口側とする。

　図１及び図２に示すように、本実施形態のスライドファスナー製造装置１０は、前処理装置３０と、仕上げ装置３１と、を備え、連続ファスナーチェーン１１を搬送しながら加工してスライドファスナー１９を製造する。

　なお、図３（ａ）は、前処理装置３０で加工する前の連続ファスナーチェーン１１を示し、図３（ｂ）は、仕上げ装置３１の後述する切断機構６００で切断する前の連続ファスナーチェーン１１を示す。連続ファスナーチェーン１１は、長尺の一対の連続ファスナーテープ１２と、この一対の連続ファスナーテープ１２の対向するテープ側縁部に沿ってそれぞれ設けられた一対の連続したファスナーエレメント列１３と、を備える。ファスナーエレメント列１３は、例えば、ポリアミドあるいはポリエステルのモノフィラメントをコイル状に捲回して形成されたコイル状ファスナーエレメントであり、内部に不図示の芯紐を挿通し、テープ側縁部に沿って連続ファスナーテープ１２の表側に縫着糸２０で縫着して固定されている。

　前処理装置３０は、連続ファスナーチェーン１１の所定の間隔ごとに連続したファスナーエレメント列１３の一部のファスナーエレメント１３ａ（図５（ｃ）参照）を切断除去してスペース部１４を形成するスペース部形成機構１００と、スペース部１４より下流側のファスナーエレメント列１３の上流側端部（以後、ファスナーエレメント列１３の上流側端部とも言う）を加熱溶融して溶着部１５を形成する端部溶着機構２００と、スペース部１４より上流側のファスナーエレメント列１３の下流側端部（以後、ファスナーエレメント列１３の下流側端部とも言う）に下止１６を取り付ける下止取付機構３００と、を備える。スペース部形成機構１００、端部溶着機構２００、及び下止取付機構３００は、１つのフレーム４０上にそれぞれ支柱４１，４２，４３を介して設置されてユニット化されている。

　また、仕上げ装置３１は、スペース部１４において、ファスナーエレメント列１３にスライダー１７を取り付けるスライダー取付機構４００と、ファスナーエレメント列１３の上流側端部に上止１８を取り付ける上止取付機構５００と、連続ファスナーチェーン１１をスペース部１４で所定の長さに切断する切断機構６００と、所定の長さに切断されたスライドファスナー１９を搬出する搬出機構７００と、を備える。スライダー取付機構４００、上止取付機構５００、切断機構６００、及び搬出機構７００も複数のフレーム部材によって接続されてユニット化されている。

　図２に示すように、前処理装置３０内で搬送される連続ファスナーチェーン１１の搬送経路３２は、平面視において、各機構１００，２００，３００を繋いだ一直線上に配置されている。また、連続ファスナーチェーン１１は、スペース部形成機構１００及び端部溶着機構２００においては、ファスナーエレメント列１３が連続ファスナーテープ１２に対して上向きの状態で搬送され（以後、連続ファスナーチェーン１１が上向きの状態で搬送されるとも言う）、下止取付機構３００においては、ファスナーエレメント列１３が連続ファスナーテープ１２に対して下向きの状態で搬送される（以後、連続ファスナーチェーン１１が下向きの状態で搬送されるとも言う）。即ち、連続ファスナーチェーン１１は、端部溶着機構２００と下止取付機構３００との間で上下面が反転するように捻じられて搬送される。

　なお、スペース部形成機構１００と端部溶着機構２００との間、及び端部溶着機構２００と下止取付機構３００との間には、連続ファスナーチェーン１１を収容して、次工程に必要な連続ファスナーチェーン１１の長さの要否を検知する検知部４４，４５がそれぞれ設けられている。このため、連続ファスナーチェーン１１は、端部溶着機構２００と下止取付機構３００との間に設けられた検知部４５内で、上下面を反転させている。

　また、スライダー取付機構４００及び上止取付機構５００において搬送される連続ファスナーチェーン１１の搬送経路３３と、切断機構６００において搬送される連続ファスナーチェーン１１の搬送経路３４とは、互いに平行、且つ、所定の距離離れて設定されている。また、連続ファスナーチェーン１１は、スライダー取付機構４００及び上止取付機構５００においては、ファスナーエレメント列１３が連続ファスナーテープ１２に対して下向きの状態で搬送され、切断機構６００においては、ファスナーエレメント列１３が連続ファスナーテープ１２に対して上向きの状態で搬送される。即ち、連続ファスナーチェーン１１は、スライダー取付機構４００又は上止取付機構５００と切断機構６００との間、つまり、搬送経路３３から搬送経路３４に変更される間に、上下面が反転するように捻じられて搬送される。

＜スペース部形成機構１００＞
　スペース部形成機構１００は、上向きの状態で搬送される連続ファスナーチェーン１１の所定の間隔ごとに、連続したファスナーエレメント列１３の一部のファスナーエレメント１３ａを切断除去してスペース部１４を形成する。

　図４に示すように、スペース部形成機構１００は、該機構１００に対して搬送経路３２の上流側に、押えローラ１２０及び測長ローラ１２１を備え、また、該機構１００に対して搬送経路３２の下流側に、押えローラ１２２及び送りローラ１２３を備える。送りローラ１２３は、モータにより正転および逆転方向に直接駆動され、押えローラ１２２とともに連続ファスナーチェーン１１を搬送する。また、測長ローラ１２１は、不図示のエンコーダに接続されており、連続ファスナーチェーン１１の送り長さを検出し、この検出に基づいて、送りローラ１２３は、所定の長さで連続ファスナーチェーン１１の搬送を停止する。

　また、スペース部形成機構１００には、該機構１００の上流側と下流側に位置決めピン１２７，１２８が近接して設けられている。そして、位置決めピン１２７，１２８の先端を連続ファスナーチェーン１１のファスナーエレメント１３ａの間に降下して正確な位置で連続ファスナーチェーン１１を停止させ、スペース部形成機構１００に設けた後述するノックアウト１０４、パンチ部１０５等を用いて、ファスナーエレメント１３ａを切断してスペース部１４を形成する。なお、双方の位置決めピン１２７，１２８には、それぞれ近接センサ１３０，１３１が設けられていて、位置決めピン１２７，１２８の先端が隣接するファスナーエレメント１３ａの間に降下したか否かを検出し、位置決めピン１２７，１２８の先端が、隣接するファスナーエレメント１３ａの間に降下していない場合には、送りローラ１２３の駆動モータを制御して正逆転させる。

　さらに、スペース部形成機構１００では、図５（ａ）に示すように、搬送経路３２を構成するファスナー挿入口１１４の下方に、不図示のエアシリンダなどにより上下に作動される平板状のノックアウト１０４と、該ノックアウト１０４を挟んだ状態で配置され、上面にグリップ面を有する一対の固設グリッパ１０２とが設けられている。一方、搬送経路３２を構成するファスナー挿入口１１４の上方には、筺体１０１に摺動案内されて、不図示の作動機構により上下に作動可動な一対の可動グリッパ１０３及びパンチ部１０５が配置されている。可動グリッパ１０３及びパンチ部１０５の搬送方向の長さは、スペース部１４の長さに略等しく設定されている。

　一対の可動グリッパ１０３は、下面にグリップ面を有し、また、筺体１０１に設けられた貫通孔１１２，１１３に対向する位置に、貫通孔１０３ａ、１０３ｂがそれぞれ形成されている。

　パンチ部１０５は、前後一対の上下動するカッター１０５ａと、カッター１０５ａの間に挟まれて独立して上下動するパンチ１０５ｂと、パンチ１０５ｂを常に上方に付勢するスプリング１０５ｃとを備えている。これらは、例えばエアシリンダのような同一の作動源によって異なる行程を移動する。

　また、スペース部形成機構１００の筺体１０１の一方の側面には、空圧源Ｐから延びる配管１１１が取り付けられる貫通孔１１２が形成されており、また、他方の側面には、外部に延設された排出シュート１１０が接続される貫通孔１１３が形成されている。このシュート１１０の排出端部には不図示の切断屑収容ケースが配される。

　次に、連続ファスナーチェーン１１に対するスペース部１４の形成手順を、図４及び図５（ａ）～（ｄ）を参照しつつ具体的に説明する。
　連続ファスナーチェーン１１は、送りローラ１２３によりファスナー挿入口１１４内を左から右方向に搬送されて、測長ローラ１２１により連続ファスナーチェーン１１の送り長さを測長し、送りローラ１２３の駆動モータに指令して搬送を停止し、ファスナーエレメント列１３のスペース部１４が形成される位置をスペース部形成機構１００のパンチ部１０５の直下にセットする。この時、位置決めピン１２７，１２８の先端を、隣接するファスナーエレメント１３ａの間に降下させるとともに、降下した先端の位置を近接センサー１３０，１３１により感知し、隣接するファスナーエレメント１３ａの間に降下していない場合には、送りローラ１２３の駆動モータを制御して正逆転させる。これにより、スペース部１４を形成するために、切断されるべき先端および後端となるファスナーエレメント１３ａが、パンチ部１０５に対して適切な位置にセットされる。

　そして、連続ファスナーチェーン１１が停止すると、図５（ｂ）に示すように、先ず可動グリッパ１０３が下降して、一対の固設グリッパ１０２との間で連続ファスナーチェーン１１のファスナーエレメント列１３の両側で連続ファスナーテープ１２を押圧挟持する。次いで、パンチ部１０５が下降して、固設グリッパ１０２間のノックアウト１０４の上面で支持されたファスナーエレメント列１３の噛合頭部部分に向けてパンチ１０５ｂが下降し、噛合頭部部分を押圧して位置決めを行う。引き続き、カッター１０５ａの刃先でファスナーエレメント列１３の脚部部分の切断を行う。

　切断が終了すると、図５（ｃ）に示すように、パンチ部１０５がノックアウト１０４と共に、切断したファスナーエレメント１３ａを挟持した状態で、一対の可動グリッパ１０３に形成された貫通孔１０３ａ，１０３ｂに対向する位置まで上昇する。このとき、可動グリッパ１０３は連続ファスナーチェーン１１の挟持位置を維持しているため、ノックアウト１０４とパンチ１０５ｂにより挟持されたファスナーエレメント１３ａは連続ファスナーチェーン１１の縫着糸２０から外され、単独で所定位置まで上方に持ち上げられる。

　ノックアウト１０４とパンチ１０５ｂが上昇位置に達すると、外部の空圧源Ｐが作動して、筺体１０１に形成された貫通孔１１２から圧縮空気が噴出する。ノックアウト１０４が上昇位置に達してもパンチ１０５ｂは上昇を続けるため、ノックアウト１０４の上端に残された、図５（ｄ）に仮想線で示すファスナーエレメント１３ａの切断屑は、実線で示すように圧縮空気により筺体１０１の他方の側面に形成された貫通孔１１３を通って外部へと排出される。従って、ファスナーエレメント１３ａの切断屑がまとめて排出され、排出シュート１１０を介して切断屑収容ケースに回収される。

　切断屑が除去されると、ノックアウト１０４は下降して、その上端が固設グリッパ１０２の上面と一致する位置で停止する。次いで、スペース部１４を形成した連続ファスナーチェーン１１を搬送し、以降同様の操作を繰り返して行って、長尺の連続ファスナーチェーン１１に所定の間隔をおいて所定の長さをもつスペース部１４を連続的に形成する。

　なお、スペース部形成機構１００は、本実施形態のように、連続ファスナーチェーン１１を上向きの状態で搬送し、ファスナーエレメント列１３に対して上方に位置するカッター１０５ａによってスペース部１４を形成することが好ましい。これは、連続ファスナーチェーン１１を下向きの状態で搬送し、下方に位置するカッターによってスペース部１４を形成する場合、スペース形成後にエレメント屑が落下してカッターに付着してしまうが、本実施形態の場合には、エレメント屑はその自重で落下するのでカッター１０５ａへの付着が抑制され、歩留まりを向上することができる。

＜端部溶着機構２００＞
　端部溶着機構２００は、スペース部１４より下流側のファスナーエレメント列１３の上流側端部を加熱溶融して溶着部１５を形成する。

　図６に示すように、端部溶着機構２００は、連続ファスナーチェーン１１の搬送経路３２に対して下方に固定して配置されたダイ２３０と、搬送経路３２の上方で、ダイ２３０と対向して、上方からファスナーエレメント列１３へ向けて進退すべく昇降可能な超音波ホーン２３１と、ダイ２３０及び超音波ホーン２３１の上流側及び下流側に設けられ、連続ファスナーチェーン１１を挟持する挟持部材２３２，２３３と、ダイ２３０及び超音波ホーン２３１の上流側に設けられ、スペース部１４を検知するスペース部検知手段２３４と、を備える。

　端部溶着機構２００は、連続ファスナーチェーン１１を上向きの状態で搬送し、スペース部検知手段２３４によってスペース部１４を検知した後、送りローラ２３５（図１参照）によって所定の長さ搬送し、ファスナーエレメント列１３の上流側端部及びスペース部１４がダイ２３０と超音波ホーン２３１との間に位置した状態で停止される。そして、停止した連続ファスナーチェーン１１に対して、上方から超音波ホーン２３１を下降させ、ファスナーエレメント列１３の上流側端部、芯紐および縫着糸を超音波加工によって加熱溶融し、連続ファスナーテープ１２に圧着成形して溶着部１５をスペース部１４の下流側に成形する。

　これにより、スペース部形成機構１００においてカットされたファスナーエレメント列１３の切断端が、着用者の肌などに当たって不快感を与えることが防止される。なお、溶着部１５の形成は、超音波加工に限定されず、高周波加工、レーザービーム加工、電熱ヒータを内蔵した加熱体による溶着加工とすることもできる。

＜下止取付機構３００＞
　下止取付機構３００は、図７から図１０に示すように、下方待機位置から連続ファスナーチェーン１１の搬送経路３２へ向けて進退可能に設けられた止部形成部３２０と、止部形成部３２０の一側部に設けられた止部供給部３３０と、止部形成部３２０の進退路の途中に設けられた切断部３４０と、切断部３４０の切断位置に向けて開口して止部形成部３２０の進退路に溜まる廃材を外部に排出する廃材排出路３５０と、を備える。

　止部形成部３２０は、ドライバパンチ３２１と、このドライバパンチ３２１に対向して設けられたカーリングダイ３２２とを備える。ドライバパンチ３２１は、連続ファスナーチェーン１１に向けて上下動可能であり、下止１６の原材である金属線材１から所定の長さに切断された止片１ａを、連続ファスナーチェーン１１に向けて押出し、略横Ｃ字状に折り曲げて左右の連続ファスナーテープ１２に打ち込む（図１１参照）。

　カーリングダイ３２２は、ドライバパンチ３２１に対向して、連続ファスナーチェーン１１の搬送経路３２の上方に配設され、下面には左右のファスナーエレメント列１３の合計幅よりも幅広の凹溝部３２２ａが形成されている。凹溝部３２２ａは、ファスナーエレメント列１３の一部を収容し、ドライバパンチ３２１との間で連続ファスナーテープ１２を押圧固定する。カーリングダイ３２２は、ドライバパンチ３２１及び後述するカッティングパンチ３４１（３４１ａ，３４１ｂ）の上昇を規制すると共に、連続ファスナーテープ１２にＵ字状の止片１ａを安全に且つ正確に打ち込むことができるように形成される。

　止部供給部３３０は、線材供給装置３６０（図１参照）と、金属線材１が挿通される挿通案内路３３１とを有している。挿通案内路３３１は、金属線材１の導入側に配されたカッティングダイ３４２の内部に、カッティングパンチ３４１及びドライバパンチ３２１の進退路に直交して延設され、切断部３４０の切断位置に向けて開口して配置されている。

　切断部３４０は、上下動可能なカッティングパンチ３４１と、カッティングパンチ３４１を摺動案内するカッティングダイ３４２と、金属線材１を略Ｕ字状に折り曲げるベンダー３４３とから構成される。カッティングパンチ３４１は、カッティングダイ３４２に案内支持されると共に、所要の高さの下方待機位置とカッティングダイ３４２との間を、流体圧シリンダ等の作動手段により上下動するようになっている。

　カッティングパンチ３４１は、ドライバパンチ３２１を挟むようにして、カッティングダイ３４２の上端部に垂直方向に貫通する貫通孔３４２ａに昇降可能に支持されている。貫通孔３４２ａのカッティングパンチ３４１の摺動側の内壁面は、金属線材１の切断部分をジグザグに切断する２本の略三角柱をなす第１の刃部３４２ｂを上下方向に所定の間隔をおいて配している。この刃部３４２ｂの上下方向の中間部には、止部供給部３３０の挿通案内路３３１と連通するスリット状の開口３４２ｃが形成されている。この刃部３４２ｂの設置部分は、切断部３４０の切断位置に対応している。

　カッティングパンチ３４１は、ドライバパンチ３２１を挟んで両側に配置された一対の第１及び第２脚部３４１ａ，３４１ｂを有している。第１脚部３４１ａの上端部は、カッティングダイ３４２の刃部３４２ｂに噛合する略三角柱の第２の刃部３４１ｃを有している。

　カッティングパンチ３４１は、ドライバパンチ３２１と共に上下移動可能、且つ、ドライバパンチ３２１に対して相対移動可能である。具体的に、カッティングパンチ３４１は、止具取付時に、ドライバパンチ３２１が上昇位置に到達する以前に上昇位置に達し、カーリングダイ３２２との間で連続ファスナーテープ１２を押圧挟持する。

　ベンダー３４３は、直立部３４３ａと、この直立部３４３ａからカッティングパンチ３４１の一対の第１及び第２脚部３４１ａ，３４１ｂ間に延出する水平部３４３ｂと、を有する略逆Ｌ字状に形成されている。直立部３４３ａは、カッティングダイ３４２の貫通孔３４２ａを横切る方向に進退可能に支持されている。水平部３４３ｂは、その先端部を、略四角柱状のアンビル部として搬送経路３２に対向して水平に突設させている。水平部３４３ｂは、カッティングパンチ３４１と共に金属線材１を上方が開いた略Ｕ字状に形成するための受台を構成する。水平部３４３ｂの先端部は、カッティングパンチ３４１の上方にあって、ドライバパンチ３２１の行路内に突出する位置と行路外に退避する位置との間をカッティングパンチ３４１の昇降に合わせて往復動する。

　また、カッティングダイ３４２には、刃部３４２ｂの上端面に開口すると共に、吸引装置の吸引ノズルＳ１に接続される廃材排出路３５０が設けられている。カッティングパンチ３４１が上昇すると、その刃部３４１ｃと刃部３４２ｂとによって金属線材１を切断し、各刃部３４１ｃ，３４２ｂに付着した切断屑が廃材排出路３５０から吸引排出される。

　このように構成された下止取付機構３００に対して、スペース部１４及び溶着部１５が形成された連続ファスナーチェーン１１は下向きの状態で供給される。

　下止取付機構３００は、図１１に示すように、金属線材１を所定の長さに切断し、略Ｕ字状に折り曲げた止片１ａを、下向きの状態で搬送される連続ファスナーチェーン１１に向けて押し上げ、一対のファスナーエレメント列１３の下流側端部を跨いで連続ファスナーテープ１２に挿通させた後、略Ｃ字状に折り曲げて、ファスナーエレメント列１３の下流側端部に下止１６を取り付ける。

　具体的には、図７～図１０に示すように、下止取付機構３００は、不図示の検出装置によりカーリングダイ３２２の下面に形成された凹溝部３２２ａ内にファスナーエレメント列１３の下流側端部が収容されたことが確認されると、ドライバパンチ３２１の上昇に先立って、カッティングパンチ３４１が連続ファスナーチェーン１１に向けて上昇する。

　カッティングパンチ３４１が上昇すると、カッティングパンチ３４１の脚部３４１ａの刃部３４１ｃとカッティングダイ３４２の刃部３４２ｂとがベンダー３４３の下面にある金属線材１を所定の長さに切断し、更に、脚部３４１ａ，３４１ｂがベンダー３４３の水平部３４３ｂを跨ぐようにして上方に向けて押圧し、略Ｕ字状に折り曲げる。そして、ベンダー３４３はチェーン移送方向下流側に向けて後退する。

　略Ｕ字形の止片１ａ（下止１６）は、カッティングパンチ３４１の脚部３４１ａ，３４１ｂの間に挟まれた状態で保持され、カッティングパンチ３４１とともに上昇するドライバパンチ３２１が、下止１６の下面に当接して下止１６の端部を連続ファスナーテープ１２に打ち込んでカーリングダイ３２２の凹溝部３２２ａに導入する。ファスナーエレメント列１３を跨いで連続ファスナーテープ１２に差し通された下止１６は、ドライバパンチ３２１による押圧によって凹溝部３２２ａ内で互いに内方に向けて略横Ｃ字状に折り曲げられて固定される。

　このように、ドライバパンチ３２１は、カッティングパンチ３４１の脚部３４１ａ，３４１ｂ間に挟まれた下止１６と一緒に垂直方向に上昇するため、従来のごとくドライバパンチ３２１の摺動部分に潤滑される潤滑剤や止片１ａ切断時の切り屑等が連続ファスナーテープ１２に向けて落下することが防止されるとともに、連続ファスナーテープ１２に下止１６を安全に且つ確実に打ち込むことができる。

＜スライダー取付機構４００及び上止取付機構５００＞
　スライダー取付機構４００は、図１２及び図１３に示すように、幅方向中央に長手方向に沿ってエレメント列案内溝４０１ａ，４０２ａが形成された第１及び第２のチェーンガイド４０１，４０２を備える。ファスナーエレメント列１３の下流側端部に下止１６が取り付けられた連続ファスナーチェーン１１は、下向きの状態でスライダー取付機構４００に連続的に送り込まれる。連続ファスナーチェーン１１の下流側に配設される第２チェーンガイド４０２の後端部には、左右に一対の芯紐部寄せ部材４０２ｂが連続ファスナーチェーン１１の横断方向に直交して設置されている。一対の芯紐部寄せ部材４０２ｂは、不図示のシリンダ等により、互いの先端が接離する方向に移動可能である。

　第１及び第２のチェーンガイド４０１，４０２の間には、第２チェーンガイド４０２の上流側端面に近接してスライダホルダ４０３が配設されている。スライダホルダ４０３は、不図示の流体圧シリンダ等の作動手段により上方の作動位置と、下方の待機位置との間を上下移動可能である。作動位置は、スライダホルダ４０３を構成するブロック本体４３１の上面に形成されたスライダー収容ポケット部４３１ａに収容されるスライダー１７が、スライダー取付機構４００の搬送経路３３上に配置される位置であり、待機位置は、ブロック本体４３１の上面位置がスライダー１７の供給シュート４０４の出口に対応する位置である。このため、スライダー１７は、スライダー１７の肩口１７ａ側が上流側に向いた状態で供給シュート４０４から供給され、待機位置に位置するブロック本体４３１のスライダー収容ポケット部４３１ａに収容される。

　スライダホルダ４０３は全体が肉厚板状のブロック本体４３１を有する。図１３に示すように、ブロック本体４３１の上部には、チェーン上流側の表面が段状に切り欠かれた切欠き部４３１ｂが形成され、スライダー収容ポケット部４３１ａにスライダー１７を保持すると、スライダー１７の引手（図示せず）が切欠き部４３１ｂに懸垂状態で収容される。また、ブロック本体４３１の上面幅方向のほぼ中央部には、スライダー収容ポケット部４３１ａと、スライダー収容ポケット部４３１ａの下流側に連続するエレメント列案内溝４３１ｃとが形成されており、スライダー収容ポケット部４３１ａ及びエレメント列案内溝４３１ｃの下方には上下に縦長のスリット４３１ｄが形成されている。

　更に、ブロック本体４３１の下流側の表面には、上端にスリット４３１ｄに嵌挿してスライダー１７の引手の孔部に係着する係着爪部４３４ａを有する回動レバー４３４が鉛直面内を回動自在に軸支されている。この回動レバー４３４は、係着爪部４３４ａをスライダー１７の引手に係着させるとき、下端が不図示の押動部材により押されて、係着爪部４３４ａを上流方向に回動させて引手に係着させる。

　スライダホルダ４０３の上流側には、スライダホルダ４０３に保持されるスライダー１７の肩口１７ａに近接するチェーン走行位置を、例えばエアシリンダ等の不図示の作動手段により所定のタイミングで上下動するチェーン割り部材４０５が設置されている。チェーン割り部材４０５は、図１２に示すごとく下端部４０５ａが山形に形成された板状部材であり、スペース部１４にチェーン割り部材４０５を挿入することにより、スペース部１４を所定の幅で左右に拡開するようになっている。

　図１２に示すように、上止取付機構５００は、チェーン割り部材４０５の上流側に隣接して配置されている。上止取付機構５００は、搬送経路３３を挟んで上方に配置される加締パンチ５６１と、第１及び第２のチェーンガイド４０１，４０２に上面を一致させて固設されるカーリングダイ５６２と、を有する。加締パンチ５６１は、下面に左右の上止１８を加締めるための左右のパンチ面５６１ａを有しており、不図示の流体圧シリンダ等の作動手段により上下動する。

　また、カーリングダイ５６２も同じく不図示の作動手段により上下動可能であり、その上限位置はカーリングダイ５６２の上面が搬送経路３３上に配置される位置となる。カーリングダイ５６２の上面の加締パンチ５６１の左右パンチ面５６１ａに対応する部位には、上止１８を所定の形状に湾曲させながら案内する左右のカーリング面５６２ａが設けられる。また、カーリング面５６２ａの下流側には、ファスナーエレメント列１３の左右案内溝５６２ｂが形成され、カーリング面５６２ａの上流側には、左右一対の芯紐部案内溝５６２ｃが形成されている。この左右の芯紐部案内溝５６２ｃの対向する距離は、チェーン割り部材４０５の幅にファスナーエレメント１３ａの大きさを加えた寸法にほぼ等しい。

　上止取付機構５００と第１チェーンガイド４０１との間には、テープ拡開部材５０７が配設されている。テープ拡開部材５０７はチェーン割り部材４０５と同様の構造を有しており、その板幅はチェーン割り部材４０５の板幅よりもファスナーエレメント１３ａの大きさだけ大きく設定されている。そして、テープ拡開部材５０７は、チェーン割り部材４０５と同様に不図示のエアシリンダ等の作動手段により上下動して、チェーン割り部材４０５と協働してスペース部１４を平行な状態で拡開する。

　次に、連続ファスナーチェーン１１に対するスライダー１７と上止１８の取付けについて図１４（ａ）～１４（ｅ）を参照して説明する。先ず、フィードローラ４４０（図１参照）等のチェーン送り手段が駆動されて連続ファスナーチェーン１１を図１４（ａ）に示すごとく順方向（矢印Ａ方向）に送り出す。このとき、スペース部１４の上流側端部（ファスナーエレメント列１３の下流側端部）には、既に下止１６が取り付けられ、ファスナーエレメント列１３の上流側端部には、溶着部１５が形成されている。そして、搬送経路３３において次回にスライダ通しがなされるスペース部１４がスペース部検出手段４４１（図１参照）により検出された後、所定の時間が経過して連続ファスナーチェーン１１の搬送が停止される。この停止時において、連続ファスナーチェーン１１のスペース部１４の略中央部が、スライダホルダ４０３及びチェーン割り部材４０５の設置位置に対応している。

　連続ファスナーチェーン１１の搬送が停止すると、図１４（ｂ）に示すように、チェーン割り部材４０５が下降して下端部４０５ａがスペース部１４に差し込まれ、スペース部１４を左右に拡開する。スペース部１４が拡開されると、スライダー供給シュート４０４（図１２参照）から供給されたスライダー１７を上面のスライダー収容ポケット部４３１ａに収容すると共に、スライダホルダ４０３が上昇し、スライダー１７が、その肩口１７ａを上流側に向けて連続ファスナーチェーン１１の搬送経路３３内に水平に位置決め固定される。このとき、スライダー引手は、スライダホルダ４０３の切欠き部４３１ｂに垂下状態で収容され、回動レバー４３４の係着爪部４３４ａにより係止されて同一姿勢を保持する。

　スライダホルダ４０３が前述の位置に達すると、第２チェーンガイド４０２に設けられた芯紐部寄せ部材４０２ｂが、図１４（ｃ）に矢印で示すごとく接近方向に作動され、左右の相対するスペース部１４の一端部（ファスナーエレメント列１３の上流側端部）の芯紐の間隔を図１４（ｄ）に示すように狭める。

　続いて、それまで停止していた連続ファスナーチェーン１１は、下止１６が下止ストッパ５１０に当接する位置まで所定の距離を逆送（矢印Ｂ方向）されて、左右のファスナーエレメント列１３がスライダー１７の後口１７ｂから挿入されることでスペース部１４を介してスライダー１７が取り付けられ、更に不図示の案内柱で順次左右に分離される。このときの連続ファスナーチェーン１１の逆送距離は、左右に分離されたファスナーエレメント列１３の上流側端部が、カーリングダイ５６２のカーリング面５６２ａの直上に到達する距離であり、下止ストッパ５１０を用いて逆送距離を規制することで、上止取付位置を安定化させることができる。

　連続ファスナーチェーン１１が逆送されてファスナーエレメント列１３の上流側端部がカーリング面５６２ａの直上に到達すると、連続ファスナーチェーン１１は搬送を停止してテープ拡開部材５０７が下降し、その下端がスペース部１４に差し込まれ、図１４（ｅ）に示すごとくスペース部１４を左右に拡開する。このとき、テープ拡開部材５０７の板幅がチェーン割り部材４０５の板幅よりファスナーエレメント１３ａの大きさだけ大きく設定されているため、テープ拡開部材５０７によるスペース部１４の拡開幅は、チェーン割り部材４０５による拡開幅にほぼ等しくなり、チェーン割り部材４０５とテープ拡開部材５０７との間では左右のファスナーエレメント列１３がほぼ平行状態に保持される。

　こうしてチェーン割り部材４０５及びテープ拡開部材５０７によりスペース部１４が平行状態に保持されて拡開されると、カーリングダイ５６２が上昇し、ファスナーエレメント列１３の上流側端部のファスナーエレメント１３ａを案内溝５６２ｂに嵌合させると共に、左右のカーリング面５６２ａに位置させる。このとき、上止１８は加締パンチ５６１のパンチ面５６１ａに不図示の供給シュートを通して供給され、パンチ面５６１ａの不図示のポケット部に保持されている。

　この状態で、カーリングダイ５６２が上限位置で停止すると、加締パンチ５６１が下降して上止１８をファスナーエレメント列１３の上流側端部に加締め付ける（図１４（ｅ）参照）。

　上止１８の取付けが終了すると、作動部材は全て搬送経路３３から退避して待機位置に戻る。続いて、フィードローラ４４０が駆動されて連続ファスナーチェーン１１の順送を開始する。かかる操作が順次繰り返されて、連続ファスナーチェーン１１に所定の間隔をもって間欠的にスペース部１４からスライダー１７が通されると共に、ファスナーエレメント列１３の上流側端部に上止１８が順次自動的に取り付けられる。

＜切断機構６００＞
　切断機構６００は、図１に示すように、搬送経路３４の下方に固設された固定刃６０１と、この固定刃６０１に対向して搬送経路３４の上方に、上下移動可能に配設された可動刃６０２とを備える。図２に示すように、切断機構６００における連続ファスナーチェーン１１の搬送経路３４は、スライダー取付機構４００及び上止取付機構５００における連続ファスナーチェーン１１の搬送経路３３に対して、該搬送経路３３の搬送方向と直交する方向（図２において上側）に所定の距離離れて設定されている。

　下止１６、上止１８、及びスライダー１７が装着された連続ファスナーチェーン１１は、上向きの状態で切断機構６００に供給される。このため、連続ファスナーチェーン１１は、スライダー取付機構４００と切断機構６００との間、即ち、スライダー取付機構４００のフィードローラ４４０と切断機構６００のガイドローラ６０５との間で、上下面が反転するように捻じられて搬送される。スペース部検出手段６０４（図１参照）によって、次回切断させるスペース部１４が検知されると、チェーン送り手段６０３が駆動されて、切断されるべきスペース部１４が切断機構６００に対応する位置に搬送され、連続ファスナーチェーン１１は、固定刃６０１と可動刃６０２とによりスペース部１４において所定の長さに切断され、スライドファスナー１９を構成する。

　なお、切断機構６００は、上止取付機構５００の上止１８が形成される金属線材が巻回されるスプール５７０と、連続ファスナーチェーン１１の搬送経路３３の搬送方向において、オーバーラップして配置されている。これにより、上止１８のスプール５７０と切断機構６００とが干渉することなく、小型化された仕上げ装置３１を構成することができる。

＜搬出機構７００＞
　図１５に示すように、搬出機構７００は、パレット部材７０１と、ストッパー部材７０２と、運搬機構７０３と、を備える。パレット部材７０１は、断面略Ｕ字型に形成され、下流側に向かうに従って下方に傾斜して配置された排出シュート７０４を備える。排出シュート７０４の底板７０５の一部は、下方に向かって開閉可能な排出扉７０６となっている。切断機構６００で所定の長さに切断されたスライドファスナー１９は、スライドファスナー１９の自重により傾斜する排出シュート７０４内を下方に移動し、排出扉７０６が開くと後述するベルトコンベアなどの運搬機構７０３上に落下する。

　ストッパー部材７０２は、パレット部材７０１の上方に配置され、不図示のエアシリンダなどで駆動されてパレット部材７０１の底板７０５に向かって上下移動可能な板状のストッパー７０７を有する。ストッパー７０７が底板７０５に向かって突出している下方位置にあるとき、ストッパー７０７はスライダー１７の上翼板と当接してスライドファスナー１９の排出シュート７０４内での移動を阻止して、スライドファスナー１９を位置決めする。そして、排出扉７０６が開くと、ストッパー７０７により位置決めされたスライドファスナー１９は、一定の位置で排出扉７０６から落下して、運搬機構７０３上でのスライドファスナー１９の位置が一定に揃えられる。

　なお、自重により排出シュート７０４内を下方に移動するスライドファスナー１９は、上翼板が上向きの状態で搬送されるので、下翼板と比較して連続ファスナーテープ１２からの突出高さが大きく、ストッパー７０７に確実に当接して位置決めされる。また、不図示のセンサによりスライドファスナー１９に欠陥が検出されると、エアシリンダが作動してストッパー７０７が上昇するので、スライドファスナー１９はストッパー７０７を通過して移動し、不良品箱７０９に排出される。

　運搬機構７０３は、不図示の一対のプーリに無端ベルト７０８が巻き掛けられた、所謂ベルトコンベアであり、パレット部材７０１の下方に配設されて、排出扉７０６から落下するスライドファスナー１９を無端ベルト７０８で受け取り、搬送する。運搬機構７０３は、設定された所定の本数、例えば２５本のスライドファスナー１９が排出扉７０６から落下するごとに、無端ベルト７０８を間欠走行させることで、スライドファスナー１９を自動的に一定本数に揃えることができ、以後の検査、梱包作業が容易となる。なお、運搬機構７０３を連続走行させてスライドファスナー１９を１本ずつ処理するようにしてもよい。

　以上説明したように、本実施形態のスライドファスナー製造装置１０によれば、スペース部形成機構１００は、ファスナーエレメント列１３が連続ファスナーテープ１２に対して上方に位置する上向きの状態で搬送される連続ファスナーチェーン１１に、ファスナーエレメント列１３に対して上方に位置するカッター１０５ａによって、一部のファスナーエレメント１３ａが切断除去されたスペース部１４を所定の間隔ごとに形成し、また、下止取付機構３００は、連続ファスナーチェーン１１の搬送方向においてスペース部形成機構１００よりも下流側に配置され、ファスナーエレメント列１３が下向きの状態で搬送される連続ファスナーチェーン１１に、連続ファスナーチェーン１１の搬送方向においてスペース部１４より上流側に位置するファスナーエレメント列１３の下流側端部に、連続ファスナーチェーン１１の搬送経路３２の下方から下止１６を取り付ける。これにより、スペース部形成機構１００によってスペース部１４を形成する際の歩留まりを向上することができ、下止取付機構３００によって下止１６を取り付ける際の切断片などのごみの付着を抑制することができる。また、連続ファスナーチェーン１１は、スペース部形成機構１００と下止取付機構３００との間で上下面が反転するように捻じられて搬送されるので、連続ファスナーチェーン１１からスライドファスナー１９を連続して効率よく製作することができる。

　また、スペース部形成機構１００と下止取付機構３００との間に、スペース部１４より下流側のファスナーエレメント列１３の上流側端部を加熱溶融して溶着部１５を形成する端部溶着機構２００を配置し、連続ファスナーチェーン１１は、端部溶着機構２００と下止取付機構３００との間で上下面を反転して搬送される。これにより、端部溶着機構２００によって溶着部１５を形成する場合にも、連続ファスナーチェーン１１からスライドファスナー１９を連続して効率よく製作することができる。また、ファスナーエレメント１３ａのカットされたままの切断端が、着用者の肌などに当たって不快感を与えることが防止される。

　また、スライドファスナー製造装置１０は、ファスナーエレメント列１３にスライダー１７を取り付けるスライダー取付機構４００と、スペース部１４より下流側のファスナーエレメント列１３の上流側端部に上止１８を取り付ける上止取付機構５００と、連続ファスナーチェーン１１をスペース部１４で切断する切断機構６００と、スライドファスナー１９を搬出する搬出機構７００と、を有する仕上げ装置３１を、下止取付機構３００の下流側にさらに備える。そして、切断機構６００を通過する連続ファスナーチェーン１１の搬送経路３４は、スライダー取付機構４００及び上止取付機構５００を通過する連続ファスナーチェーン１１の搬送経路３３に対して、該搬送経路３３の搬送方向と直交する方向に離間して設けられており、搬出機構７００は、搬送経路３３，３４での搬送方向と直交する方向にスライドファスナー１９を搬出する。これにより、搬出機構７００による完成したスライドファスナー１９の搬出位置が、スライダー取付機構４００及び上止取付機構５００での連続ファスナーチェーン１１の搬送経路３３に近づくので、スライダー取付機構４００と上止取付機構５００のメンテナンスと、スライドファスナー１９の搬出作業などを容易に行うことができる。また、搬出機構７００は、搬送経路３３，３４での搬送方向と直交する方向にスライドファスナー１９を搬出するので、搬出機構７００の搬送長さに関わらず、スライドファスナー製造装置１０の前処理装置３０及び仕上げ装置３１の並び方向における長さを短縮することができる。

　また、上止１８の金属線材が巻回されるスプール５７０と、切断機構６００とは、連続ファスナーチェーン１１の搬送経路３３，３４での搬送方向において、オーバーラップして配置されるので、上止１８のスプール５７０と切断機構６００とが干渉することなく、小型化された仕上げ装置３１を構成することができる。

　更に、搬出機構７００は、スライドファスナー１９を落下させるように開閉可能な排出扉７０６を有し、スライドファスナー１９が自重により移動するように傾斜して配置されるパレット部材７０１と、パレット部材７０１の上方に配置され、スライダー１７に当接してスライドファスナー１９の移動を阻止するストッパー部材７０２と、連続ファスナーチェーン１１の搬送経路３３，３４での搬送方向と直交する方向にスライドファスナー１９を搬出する運搬機構７０３と、を有するので、完成したスライドファスナー１９を所定数ごとに搬出することができる。また、スライダー取付機構４００及び上止取付機構５００では、連続ファスナーチェーン１１を下向きの状態で搬送し、切断機構６００では、連続ファスナーチェーン１１を上向きの状態で搬送するように、スライダー取付機構４００と切断機構６００との間で連続ファスナーチェーン１１の上下面を反転して搬送するので、連続ファスナーチェーン１１を捻ってスライドファスナー製造装置１０にセットするだけで、連続ファスナーチェーン１１からスライドファスナー１９を連続して作成することができる。

　なお、本発明は上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
　例えば、本実施形態では、スライダー取付機構４００と切断機構６００との間で、連続ファスナーチェーン１１の上下面を反転して搬送しているが、上止取付機構５００がスライダー取付機構４００よりも連続ファスナーチェーン１１の搬送経路３３の下流側に配置される場合には、上止取付機構５００と切断機構６００との間で、連続ファスナーチェーン１１の上下面を反転して搬送して搬送してもよい。

１０   　スライドファスナー製造装置
１１   　連続ファスナーチェーン
１２   　連続ファスナーテープ
１３   　ファスナーエレメント列
１３ａ　ファスナーエレメント
１４   　スペース部
１５   　溶着部
１６   　下止（第１止部材）
１７   　スライダー
１８   　上止（第２止部材）
１９   　スライドファスナー
３０   　前処理装置
３１   　仕上げ装置
３２，３３，３４　搬送経路
１００　スペース部形成機構
２００　端部溶着機構
３００　下止取付機構（第１止部材取付機構）
４００　スライダー取付機構
５００　上止取付機構（第２止部材取付機構）
６００　切断機構
５７０　スプール
７００　搬出機構
７０１　パレット部材
７０２　ストッパー部材
７０３　運搬機構

Claims

　一対の連続ファスナーテープ（１２）の対向するテープ側縁部に沿ってファスナーエレメント列（１３）が設けられた長尺の連続ファスナーチェーン（１１）を搬送しながらスライドファスナー（１９）を製造するスライドファスナー製造装置（１０）であって、
　前記ファスナーエレメント列（１３）が前記連続ファスナーテープ（１２）に対して上方に位置する上向きの状態で前記連続ファスナーチェーン（１１）を搬送すると共に、前記ファスナーエレメント列（１３）に対して上方に位置するカッター（１０５ａ）によって、所定の間隔ごとに前記ファスナーエレメント列（１３）の一部のファスナーエレメント（１３ａ）を切断除去してスペース部（１４）を形成するスペース部形成機構（１００）と、
　前記連続ファスナーチェーン（１１）の搬送方向において前記スペース部形成機構（１００）よりも下流側に配置され、前記ファスナーエレメント列（１３）が前記連続ファスナーテープ（１２）に対して下方に位置する下向きの状態で前記連続ファスナーチェーン（１１）を搬送すると共に、前記連続ファスナーチェーン（１１）の搬送方向において前記スペース部（１４）より上流側に位置する前記ファスナーエレメント列（１３）の下流側端部に、前記連続ファスナーチェーン（１１）の搬送経路（３２）の下方から供給される第１止部材（１６）を取り付ける第１止部材取付機構（３００）と、
を備え、
　前記連続ファスナーチェーン（１１）は、前記スペース部形成機構（１００）と前記第１止部材取付機構（３００）との間で上下面が反転するように捻じられて搬送されることを特徴とするスライドファスナー製造装置（１０）。
　前記スペース部形成機構（１００）と前記第１止部材取付機構（３００）との間に配置され、前記連続ファスナーチェーン（１１）を前記上向きの状態で搬送すると共に、前記スペース部（１４）より下流側の前記ファスナーエレメント列（１３）の上流側端部を加熱溶融して溶着部（１５）を形成する端部溶着機構（２００）をさらに備え、
　前記連続ファスナーチェーン（１１）は、前記端部溶着機構（２００）と前記第１止部材取付機構（３００）との間で上下面が反転するように捻じられて搬送されることを特徴とする請求項１に記載のスライドファスナー製造装置（１０）。
　前記スペース部（１４）を介して前記ファスナーエレメント列（１３）にスライダー（１７）を取り付けるスライダー取付機構（４００）と、前記ファスナーエレメント列（１３）の上流側端部に第２止部材（１８）を取り付ける第２止部材取付機構（５００）と、前記スペース部（１４）で前記連続ファスナーチェーン（１１）を所定の長さに切断する切断機構（６００）と、前記連続ファスナーチェーン（１１）から切断された前記スライドファスナー（１９）を搬出する搬出機構（７００）と、を有する仕上げ装置（３１）を、前記第１止部材取付機構（３００）の下流側にさらに備え、
　前記切断機構（６００）を通過する前記連続ファスナーチェーン（１１）の搬送経路（３４）は、前記スライダー取付機構（４００）及び前記第２止部材取付機構（５００）を通過する前記連続ファスナーチェーン（１１）の搬送経路（３３）に対して、該搬送経路（３３）の搬送方向と直交する方向に離間して設けられており、
　前記搬出機構（７００）は、前記搬送経路（３３）の搬送方向と直交する方向に前記スライドファスナー（１９）を搬出することを特徴とする請求項１又は２に記載のスライドファスナー製造装置（１０）。
　前記第２止部材取付機構（５００）の第２止部材（１８）が形成される金属線材が巻回されるスプール（５７０）と、前記切断機構（６００）とは、前記搬送経路（３３）の搬送方向において、オーバーラップしていることを特徴とする請求項３に記載のスライドファスナー製造装置（１０）。
　前記搬出機構（７００）は、前記切断されたスライドファスナー（１９）が自重により移動するように傾斜して配置されると共に、下面に該スライドファスナー（１９）が落下するように開閉可能な排出扉（７０６）を有するパレット部材（７０１）と、
　前記パレット部材（７０１）の上方に配置され、前記スライダー（１７）と当接して、前記スライドファスナー（１９）の移動を阻止するストッパー部材（７０２）と、
　前記搬出経路（３３，３４）での搬送方向と直交する方向にスライドファスナー（１９）を搬出する運搬機構（７０３）と、
を有し、
　前記スライダー取付機構（４００）及び前記第２止部材取付機構（５００）では、前記連続ファスナーチェーン（１１）が前記下向きの状態で搬送され、
　前記切断機構（６００）では、連続ファスナーチェーン（１１）が前記上向きの状態で搬送され、
　前記連続ファスナーチェーン（１１）は、前記スライダー取付機構（４００）又は第２止部材取付機構（５００）と、前記切断機構（６００）との間で上下面が反転されるように捻じられて搬送されることを特徴とする請求項３に記載のスライドファスナー製造装置（１０）。