JP4436527B2 - 半導体発光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体発光装置に関し、特にページプリンタ用感光ドラムの露光用光源などに用いられる半導体発光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の半導体発光装置を図5から図8に示す。図5は断面図、図6は平面図、図7は図6のA−A'で切った断面図、図8は図7の平面図(図6の一部拡大図)である。図5において、21は単結晶基板、22は一導電型半導体層、23は逆導電型半導体層、24は個別電極、25は共通電極、26は絶縁層である。
【0003】
単結晶基板21上に、一導電型半導体層22と逆導電型半導体層23を一導電型半導体層22よりも逆導電型半導体層23が小面積となるように設けると共に、この一導電型半導体層22の露出部に共通電極25を接続して設け、逆導電型半導体層23に個別電極24を接続して設けている。なお、図5において、26は窒化シリコン膜などから成る保護膜である。
【0004】
また、図6に示すように、共通電極25は隣接する島状半導体層22ごとに異なる群に属するように二群に分けて接続して設けられ、隣接する島状半導体層23は同じ個別電極24に接続されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような発光ダイオードアレイでは、個別電極24と共通電極25の組み合わせを選択して電流を流すことによって、各発光ダイオードを選択的に発光させることができる。
【0006】
ところが、この従来の半導体発光装置では、発光層で発光した光が複数の島状半導体層22、23間に形成される配線パターン27によって反射し、この配線パターン27で反射した光そのものが発光素子一つ一つの発光径を広げることから、光プリンターヘッドとして用いた場合、解像度が悪くなるという欠点があった。
【0007】
また、半導体層22、23を島状にパターンニングする際、エッチング液の条件によっては島状半導体層22、23が並ぶ方向における島状半導体層22、23の断面が、図7に示すように、高抵抗シリコン基板21に近い所では裾を長く引くような形状になっていた。そのため、島状半導体層22、23と隣接する島状半導体22、23間を通る電極配線パターン27は、パターンニングの露光工程において、照射光の散乱により、図8に示すように、パターンの周縁部が非常にみだれていた。そして、このみだれにより、発光層から島状半導体層22、23が並ぶ方向に漏れて島状半導体層22、23と隣接する島状半導体22、23間を通る電極配線パターン27で反射する光量にばらつきが発生するという欠点があった。
【0008】
本発明はこのような従来装置の問題点に鑑みてなされたものであり、発光した光が複数の島状半導体層間に形成される配線パターンによって反射して、半導体発光装置一つ一つの発光径が広がって光プリンターヘッドの解像度が悪くなるという従来の問題点を解消した半導体発光装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、複数の島状半導体層間に形成される配線パターンの周縁部が凹凸状に形成されて反射光自体もばらつくという従来の問題点を解消した半導体発光装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る半導体発光装置では、単結晶基板と、該単結晶基板の上に列状に設けられている、一導電型半導体層の上に逆導電型半導体層を重ねて成る複数の島状の半導体層と、前記一導電型半導体層に接続して設けられている電極と、前記逆導電型半導体層に接続して設けられている電極と、前記一導電型半導体層に接続して設けられている前記電極同士、または前記逆導電型半導体層に接続して設けられている前記電極同士、を接続している、前記複数の半導体層の間に設けられている配線パターンと、を有しており、隣接する前記半導体層の間に、当該半導体層を構成する前記一導電型半導体層の下層部分を張り出しており、当該張り出している一導電型半導体層の下層部分の表面部が粗面状に成されており、当該粗面状に成された一導電型半導体層の下層部分の上に設けられている前記配線パターンの表面部が粗面状に成されていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。
図1から図3は本発明に係る半導体発光装置の一実施形態を示し、図1は島状半導体層が並ぶ方向と交差する方向の断面図、図2は島状半導体層が並ぶ方向の断面図、図3は複数の島状半導体層の平面図である。それぞれの図において、1は単結晶基板、2は一導電型半導体層、3は逆導電型半導体層、4は個別電極、5は共通電極である。
【0013】
本発明は高抵抗シリコン単結晶の(100)面を<011>方向に2〜7°オフさせた基板などが好適に用いられる。
【0014】
一導電型半導体層2は、バッファ層2a、オーミックコンタクト層2b、キャリア注入層2cで構成される。バッファ層2aは1〜4μm程度の厚みに形成され、オーミックコンタクト層2bは0.1〜1.0μm程度の厚みに形成され、キャリア注入層2cは0.2〜0.4μm程度の厚みに形成される。バッファ層2aとオーミックコンタクト層2bはガリウム砒素などで形成され、キャリア注入層2cはアルミニウムガリウム砒素などで形成される。オーミックコンタクト層2bはシリコンなどの一導電型半導体不純物を1×1016〜1×1019atom/cm3程度含有し、キャリア注入層2cもシリコンなどの一導電型半導体不純物を1×1016〜1×1019atom/cm3程度含有する。バッファ層2aは高抵抗シリコン基板1と半導体層との格子定数の不整合に基づくミスフィット転位を防止するために設けるものであり、半導体不純物を含有させる必要はない。
【0015】
逆導電型半導体層3は、発光層3a、クラッド層3b、および第2のオーミックコンタクト層3cで構成される。発光層3aとクラッド層3bは0.2〜4μm程度の厚みに形成され、オーミックコンタクト層3cは0.01μm〜1μm程度の厚みに形成される。発光層3aとクラッド層3bはアルミニウムガリウム砒素などから成り、第2のオーミックコンタクト層3cはガリウム砒素などから成る。
【0016】
発光層3aとクラッド層3b及びオーミックコンタクト抵抗低減層3cは、電子の閉じ込め効果と光の取り出し効果を考慮してアルミニウム砒素(AlAs)とガリウム砒素(GaAs)との混晶比を異ならしめる。発光層3a及びクラッド層3bは亜鉛(Zn)などの逆導電型半導体不純物を1×1016〜1×1021atom/cm3程度含有し、第2のオーミックコンタクト層3cは亜鉛などの逆導電型半導体不純物を1×1019〜1
【0017】
絶縁膜6は窒化シリコンなどから成り、厚み3000Å程度に形成される。個別電極4と共通電極5は金/クロム(Au/Cr)などから成り、厚み1μm程度に形成される。
【0018】
本発明の半導体発光装置でも、図6の従来例に示すように、一導電型半導体層2(22)と逆導電型半導体層3(23)から成る島状半導体層2(22)、3(23)を基板1(21)上に一列状に並べて、隣接する島状半導体層2(22)、3(23)毎に同じ個別電極4(24)に接続し、同じ個別電極4(24)に接続された下の一導電型半導体層2(22)が異なる共通電極5(25)に接続されるように複数群に分けて接続される。個別電極4(24)を選択して電流を流すことによってページプリンタ用感光ドラムの露光用光源として用いられる。
【0019】
一般にガリウム砒素のウエットエッチングでは、H2SO4(98%)/H2O2(30%)/H2Oを適当な比で混合した液が用いられ、異方性エッチングによって、{100}面のエッチングで[110]方向に順メサ形状、[1−10]方向に逆メサ形状になることが知られているが、ガリウム砒素の上にアルミニウムガリウム砒素が積層されていると、アルミニウムガリウム砒素のエッチングレートがガリウム砒素のそれより大きいため、アルミニウムガリウム砒素層での逆メサ形状が支配的となり、下層のガリウム砒素はそこだけ見れば必ずしも逆メサ形状にはならない。よって、液組成によっては図7に示すような形状になるが、エッチング液のH2SO4/H2O2/H2Oのうち、H2O2比により島状半導体層が並ぶ方向における島状半導体層の断面形状を変化させることができる。例えば、上層がアルミニウム(0.3)ガリウム(0.7)砒素の場合で、H2O2が30%くらいで逆導電型半導体層3の上端3cと一導電型半導体層2の下端2aが基板1に対してほぼ垂直線上になる。このH2O2比を小さくすると一導電型半導体層2の下端2aが逆導電型半導体層3の上端3cより外になり、図7に示したように、基板1付近で長く裾を引く形になるが、さらにエッチング時間を短くして一導電型半導体層2の下層(バッファ層)部分2aを露出させた時点でエッチングを止めて、図4に示すように、一導電型半導体層2の下層(バッファ層)部分2aが残るような形状を作成する。また、H2O比を大きくした(50%以上)状態では、表面が荒れることがわかっており、このときに一導電型半導体層2の下層(バッファ層)部分2aの表面が粗面状になる。こうして各島状半導体層の下層(バッファ層)部分2aが一部残され、その後の電極形成工程において、複数の島状半導体層間を通る配線パターン7に対し、バッファ層2a上の粗面がそのまま反映される。できあがった半導体発光装置は複数の島状半導体層間を通る配線パターン7での反射光は表面の粗面状部分で散乱される。
【0020】
図9(a)(b)に粗面の有無による反射の違いを示す。図9(a)は従来の発光装置のように、配線パターン7の表面を粗面状にしなかった場合の発光プロファイルであり、図9(b)は本発明の発光装置のように、配線パターン7の表面を粗面状にした場合の発光プロファイルである。島状半導体層間を通る配線パターン7の表面を粗面状とすることによって、図9(a)のサブピークPの高さからわかるように、1/2以下にすることができる。
【0021】
なお、この場合用いるエッチング液はH2SO4/H2O2/H2O系に限らず、酸においてはH2SO4の代わりにHCl(aq)、HF(aq)等でもよい。
【0022】
次に、上述のような半導体発光装置の製造方法を説明する。まず、高抵抗シリコン単結晶基板1上に、一導電型半導体層2、逆導電型半導体層3をMOCVD法などで順次積層して形成する。
【0023】
この場合、原料ガスとしてはTMG((CH3)3Ga)、TEG((C2H5)3Ga)、アルシン(AsH3)、TMA((CH3)3Al)、TEA((C2H5)3Al)などが用いられ、導電型を制御するためのガスとしては、シラン(SiH4)、セレン化水素(H2Se)、DMZ((CH3)2Zn)などが用いられ、キャリアガスとしては、H2などが用いられる。
【0024】
次に、隣接する素子同士が電気的に分離されるように、半導体層2、3が島状にパターニングされる。その際、例えばH2SO4/H2O2/H2O系のH2O2比の小さい液を用い、一導電型半導体層2を薄く残すようにする。
【0025】
次に、一導電型半導体層2の一端部側の一部が露出し、且つこの一導電型半導体層2の隣接する領域部分が露出するように逆導電型半導体層3が一導電型半導体層2よりも幅狭に形成されるように逆導電型半導体層3をエッチングする。このときに各々の島状半導体層が隣接する島状半導体層と分離されるように島状半導体層の周囲にシリコン基板が露出するように薄く残した一導電型半導体層2をエッチングする。このエッチングもH2SO4/H2O2/H2O系の液を用いたウエットエッチングで行なったり、CCl2F2ガスを用いたドライエッチングなどで行なわれる。
【0026】
次に、シランガス(SiH4)とアンモニアガス(NH3)を用いたプラズマCVD法で窒化シリコンから成る絶縁膜を形成してパターニングする。最後に、クロムと金を蒸着法やスパッタリング法で形成してパターニングすることにより完成する。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る半導体発光装置によれば、隣接する半導体層の間に、当該半導体層を構成する一導電型半導体層の下層部分を張り出しており、当該張り出している一導電型半導体層の下層部分の表面部が粗面状に成されており、当該粗面状に成された一導電型半導体層の下層部分の上に設けられている配線パターンの表面部が粗面状に成されているから、複数の島状半導体間を通る配線パターンで反射する光を散乱させることができ、もって発光素子の発光径を小さく維持して光プリンターヘッドの解像度が高く維持できると共に、反射光のばらつきも低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体発光装置の一実施形態を示す発光素子の配列方向と交差する方向の断面図である。
【図2】本発明に係る半導体発光装置の一実施形態を示す発光素子の配列方向の断面図である。
【図3】本発明に係る半導体発光装置の一実施形態を示す平面図である。
【図4】本発明に係る半導体発光装置の製造方法を示す図である。
【図5】従来の半導体発光装置の発光素子の配列方向と交差する方向の断面図である。
【図6】従来の半導体発光装置を示す平面図である。
【図7】従来の半導体発光装置の発光素子の配列方向の断面図である。
【図8】従来の半導体発光装置の発光素子部分を拡大して示す平面図である。
【図9】半導体発光装置の発光プロファイルを示す図であり、(a)は従来の半導体発光装置の発光プロファイルを示す図、(b)は本発明の半導体発光装置の発光プロファイルを示す図である。
【符号の説明】
1:基板、2:一導電型半導体層、3:逆導電型半導体層、4:個別電極、5:共通電極配線、6:絶縁膜
Claims (1)
- 単結晶基板と、
該単結晶基板の上に列状に設けられている、一導電型半導体層の上に逆導電型半導体層を重ねて成る複数の島状の半導体層と、
前記一導電型半導体層に接続して設けられている電極と、
前記逆導電型半導体層に接続して設けられている電極と、
前記一導電型半導体層に接続して設けられている前記電極同士、または前記逆導電型半導体層に接続して設けられている前記電極同士、を接続している、前記複数の半導体層の間に設けられている配線パターンと、を有しており、
隣接する前記半導体層の間に、当該半導体層を構成する前記一導電型半導体層の下層部分を張り出しており、
当該張り出している一導電型半導体層の下層部分の表面部が粗面状に成されており、
当該粗面状に成された一導電型半導体層の下層部分の上に設けられている前記配線パターンの表面部が粗面状に成されていることを特徴とする半導体発光装置。
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