JP4436528B2 - 半導体発光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体発光装置に関し、特にページプリンタ用感光ドラムの露光用光源などに用いられる半導体発光装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来の半導体発光装置を図3ないし図5に示す。図3および図4は断面図、図5は平面図である。図3ないし図5において、21は半導体基板、22は一導電型半導体層、24は逆導電型半導体層、25は個別電極、26は共通電極である。
【0003】
半導体基板21上に、一導電型半導体層22と逆導電型半導体層24を設けると共に、この一導電型半導体層22の露出部に共通電極26(26a、26b)を接続して設け、逆導電型半導体層24に個別電極25を接続して設けている。なお、図4および図5において、27は窒化シリコン膜などから成る保護膜であり、電極パタ−ンと半導体層を絶縁するための絶縁膜として設けられている。また、図5に示すように、共通電極26(26a、26b)は隣接する島状半導体層22、24ごとに異なる群に属するように二群に分けて接続して設けられ、隣接する島状半導体層22、24が同じ個別電極25に接続されている。
【0004】
このような発光ダイオードアレイでは、個別電極25と共通電極26(26a、26b)の組み合わせを選択して電流を流すことによって、各発光ダイオードを選択的に発光させることができる。
【0005】
ところが、この従来の半導体発光装置では、半導体層を発光素子に分離する際にメサエッチングを行い島状に形成しているが、電極25、26の取り出し部は、図3に示すように、断線を防止するために順メサ状に形成しており、横方向の断面は、図4に示すように、逆メサ状になっていた。
【0006】
この場合、横方向に発光した光が逆メサ状の側壁部分で反射されて島状半導体層22、24の上面側に放射され、図6に示すように、島状半導体層22、24の端面に近い部分で角状の突出した発光強度分布が発生し、発光ばらつきを発生させていた。これはとくに端面での強度が全体の発光強度に占める割合が高いほど顕著に現れると共に、端部の平坦性に左右されることが判っており、このような端部での発光ばらつきが印画品質を劣化させる原因になっていた。図6は、発光強度分布を示す図であり、任意強度で発光のピークポイントを最大として発光部に相当する逆導電型半導体層24上の各強度を相対的に表したものである。
【0007】
本発明はこのような従来装置の問題点に鑑みてなされたものであり、隣接する島状半導体層の側壁部が逆メサ構造であることに起因して発生する発光強度分布を改善することにより、印画品質の劣化を解消した半導体発光装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る半導体発光装置では、基板と、該基板の上に設けられている、一導電型半導体層および逆導電型半導体層を積層して成る複数の島状半導体層と、を備えており、前記複数の島状半導体層は、隣接している島状半導体層の間の側壁部に逆メサ形状が形成されている領域を有しており、前記一導電型半導体層は、屈折率の異なる複数の反射層が内部に積層されており、前記複数の反射層の一部は、前記逆メサ形状が形成されている領域に比べて周縁部の一部が中心側に位置している領域を含んでいることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明に係る半導体発光装置の一実施形態を示す断面図である。図1において、1は基板、2は一導電型半導体層、3は反射層、4は逆導電型半導体層、5は個別電極、6は共通電極、7は絶縁膜である。8は反射効果が得られる領域、9は反射層の一部の層を取り除いた領域、10は逆メサ形状が形成される領域を示している。
【0014】
基板1はシリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)などの単結晶半導体基板やサファイア(Al2O3)などの単結晶絶縁基板から成る。単結晶半導体基板の場合、(100)面を<011>方向に2〜7°オフさせた基板などが好適に用いられる。サファイアの場合、C面基板が好適に用いられる。
【0015】
一導電型半導体層2は、バッファ層2a、オーミックコンタクト層2b、第一のクラッド層2cで構成される。バッファ層2aは2〜4μm程度の厚みに形成され、オーミックコンタクト層2bは0.1〜1.0μm程度の厚みに形成され、電子の注入層2cは0.2〜0.4μm程度の厚みに形成される。バッファ層2aとオーミックコンタクト層2bはガリウム砒素などで形成され、第一のクラッド層2cはアルミニウムガリウム砒素などで形成される。オーミックコンタクト層2bはシリコンなどの一導電型半導体不純物を1×1016〜1×1017atoms/cm3程度含有し、第一のクラッド層2cはシリコンなどの一導電型半導体不純物を1×1016〜1×1019atoms/cm3程度含有する。また、このとき電子注入層2cのAlの組成はx=0.24〜0.5程度形成する。バッファ層2aは基板1と半導体層との格子定数の不整合に基づくミスフィット転位を防止するために設けるものであり、半導体不純物を含有させる必要はない。
【0016】
反射層3は、屈折率の異なる第一の反射膜3aと第二の反射膜3bから構成され、第一の反射膜3aは屈折率2.97のアルミニウム砒素(AlAs)などで形成し、第2の反射膜3bは屈折率3.59のガリウム砒素(GaAs)などで形成する。これらを交互に5~20周期分繰り返して最後にアルミニウム砒素(AlAs)を積層する。これは、第一のクラッド層2cとの屈折率差をもたせるためである。
【0017】
逆導電型半導体層4は、発光層4a、第2のクラッド層4b、および第2のオーミックコンタクト層4cで構成される。発光層4aと第2のクラッド層4bは0.2〜0.4μm程度の厚みに形成され、オーミックコンタクト層4cは0.01〜0.1μm程度の厚みに形成される。第2のオーミックコンタクト層4cはガリウム砒素などから成る。
【0018】
発光層4aと第2のクラッド層4bは、電子の閉じ込め効果と光の取り出し効果を考慮してアルミニウム砒素(AlAs)とガリウム砒素(GaAs)との混晶比を異ならしめる。発光層4aと第2のクラッド層4bは亜鉛(Zn)などの逆導電型半導体不純物を1×1016〜1×1018atoms/cm3程度含有し、第2のオーミックコンタクト層4cは亜鉛などの逆導電型半導体不純物を1×1019〜1×1020atoms/cm3程度含有する。
【0019】
絶縁膜7は窒化シリコンなどから成り、厚み3000〜5000Å程度に形成される。また、個別電極5と共通電極6は金/クロム(Au/AuGe/Cr)などから成り、厚み1μm程度に形成される。
【0020】
本発明の半導体発光装置では、図1に示すように、一導電型半導体層2と逆導電型半導体層4から成る島状半導体層2、4を基板1上に一列状に並べて、隣接する島状半導体層2、4毎に同じ個別電極4に接続し、同じ個別電極4に接続された下の一導電型半導体層2が異なる共通電極6に接続されるように二群に分けて接続される。個別電極4を選択して電流を流すことによってページプリンタ用感光ドラムの露光用光源として用いられる。
【0021】
島状半導体層2、3、4は、結晶の面方位とエッチングとの関係から一方の対向する壁面が順メサ構造で、他方の対向する壁面が逆メサ構造を有する。
【0022】
図2(a)は本発明を説明する平面図、図2(b)は図1のR部の拡大図である。本発明では、図2(a)(b)のように、反射効果が得られる領域8を発光体の中央部に形成する。このために、反射層3の一部の層を取り除いた領域9を形成し、なおかつ、この領域9が逆メサ形状が形成される領域10よりも中央部に近いところまで形成されるようにする。
【0023】
このようにすることで反射層3の反射効果が高い領域8では、発光強度がより高く、これまでの2倍の発光強度が得られるのに対して、反射効果が無くこれまでバラツキに影響していた一部除去領域9では、これまで以上の強度は得られない。
【0024】
図7には、周辺部の影響が小さい場合の面内の強度分布を示す。図7に示すように、中央部の強度に依存した比較的均一な強度分布が得られる。
【0025】
次に、上述のような半導体発光装置の製造方法を説明する。まず、単結晶基板1上に、一導電型半導体層2、反射層3、逆導電型半導体層4をMOCVD法などで順次積層して形成する。
【0026】
これらの半導体層2、3、4を形成する場合、基板温度をまず400〜500℃に設定して200〜2000Åの厚みにアモルファス状のガリウム砒素膜を形成した後、基板温度を700〜900℃に上げて所望厚みの半導体層2、4を形成する。
【0027】
この場合、原料ガスとしてはTMG((CH3)3Ga)、TEG((C2H5)3Ga)、アルシン(AsH3)、TMA((CH3)3Al)、TEA((C2H5)3Al)などが用いられ、導電型を制御するためのガスとしては、シラン(SiH4)、セレン化水素(H2Se)、TMZ((CH3)3Zn)などが用いられ、キャリアガスとしては、H2などが用いられる。
【0028】
次に、隣接する素子同士が電気的に分離されるように、半導体層2、3、4が島状にパターニングされる。このエッチングは、硫酸過酸化水素系のエッチング液を用いたウエットエッチングやCCl2F2ガスを用いたドライエッチングなどで行われる。
【0029】
反射層3のエッチングは、選択的にAlAs層をエッチングするHF系の液を用いて容易に行われる。
【0030】
次に、一導電型半導体層2の一端部側の一部を露出させるためにエッチングする。さらに、半導体層4cの表面の一部をエッチングする。それぞれのエッチングも硫酸過酸化水素系のエッチング液を用いたウエットエッチングやCCl2F2ガスを用いたドライエッチングなどで行なわれる。
【0031】
最後に端面の荒れを押さえるために、硫酸過酸化水素系のエッチング液を再び用いてライトエッチングを行う。このとき島状半導体層2、4における反射層3よりも上部の層4の端面の算術表面粗さを100Å以下とする。これは、島状半導体層2、4の端部の発光強度を均一にする効果がある。つまり、一導電型半導体層2と逆導電型半導体層4との間に反射層3を挿入すると、発光強度が端部よりも中央部が大きくなるために、全体の発光強度に占める端部の発光強度の割合は小さくなり、発光強度ばらつきも小さくなるが、反射層3よりも上層4の逆メサ部を平滑にすることで、この発光強度ばらつきはさらに改善できる。
【0032】
図8に反射層3のない場合で端面処理の有無と発光分布の比較を示す。図8(a)は端部に表面処理を施して逆メサ部の算術平均粗さを100Åにした場合の発光強度分布であり、図8(b)は端部に表面処理を施さない場合の発光強度分布である。つまり、この反射層3が有効な領域を逆メサ形状よりも内側に形成し、また島状の半導体層の端面をより平滑にする工程を含むと同時に、そのときの算術平均粗さを100Å以下とすることで、隣接する島状半導体層の側壁部が逆メサ構造であることに起因して発生する発光強度分布を改善し、印画品質の劣化を解消できる。
【0033】
次に、プラズマCVD法で、シランガス(SiH4)とアンモニアガス(NH3)を用いて窒化シリコンから成る絶縁膜を形成してパターニングする。次に、クロムと金を蒸着法やスパッタリング法で形成してパターニングし、さらに、もう一度プラズマCVD法で、シランガス(SiH4)とアンモニアガス(NH3)を用いて窒化シリコンから成る絶縁膜を形成してパターニングすることにより完成する。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る半導体発光装置では、基板と、該基板の上に設けられている、一導電型半導体層および逆導電型半導体層を積層して成る複数の島状半導体層と、を備えており、複数の島状半導体層は、隣接している島状半導体層の間の側壁部に逆メサ形状が形成されている領域を有しており、一導電型半導体層は、屈折率の異なる複数の反射層が内部に積層されており、複数の反射層の一部は、逆メサ形状が形成されている領域に比べて周縁部の一部が中心側に位置している領域を含んでいることから、発光効率を島状半導体層の中央部でより高めることができ、隣接する島状半導体層の側壁部が逆メサ構造であることに起因して発生する発光強度分布を改善することにより、印画品質の劣化を解消した半導体発光装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体発光装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1のR部のを拡大して示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図3】従来の半導体発光装置を示す断面図である。
【図4】従来の半導体発光装置を示す他の部分の断面図である。
【図5】従来の半導体発光装置を示す平面図である。
【図6】従来の半導体発光装置の発光強度分布を示す図である。
【図7】本発明の半導体発光装置の発光強度分布を示す図である。
【図8】(a)は島状半導体層の端面処理を施した場合の発光分布、(b)は島状半導体層の端面処理を施さない場合の発光分布である。
【符号の説明】
1:基板、2:一導電型半導体層、4:逆導電型半導体層、4:個別電極、6:共通電極、7:絶縁膜、8:反射効果が得られる領域、9:反射層の一部の層を取り除いた領域、10:逆メサ形状が形成される領域
Claims (4)
- 基板と、該基板の上に設けられている、一導電型半導体層および逆導電型半導体層を積層して成る複数の島状半導体層と、を備えており、
前記複数の島状半導体層は、隣接している島状半導体層の間の側壁部に逆メサ形状が形成されている領域を有しており、
前記一導電型半導体層は、屈折率の異なる複数の反射層が内部に積層されており、
前記複数の反射層の一部は、前記逆メサ形状が形成されている領域に比べて周縁部の一部が中心側に位置している領域を含んでいる、ことを特徴とする半導体発光装置。 - 前記複数の反射層は、第一の反射膜と、該第一の反射膜と屈折率の異なる第二の反射膜と、が交互に複数層設けられており、
前記第一の反射膜および前記第二の反射膜は、前記逆メサ形状が形成されている領域に比べて周縁部の一部が中心側に位置している領域が交互に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。 - 前記反射層は、アルミニウム砒素から成る第一の反射膜と、ガリウム砒素から成る第二の反射膜と、が交互に積層して設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。
- 前記島状半導体層における前記反射層よりも上部の端面の算術平均粗さが100Å以下である、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の半導体発光装置。
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