JP4184521B2 - 半導体発光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体発光装置に関し、特にページプリンタ用感光ドラムの露光用光源などに用いられる半導体発光装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来の半導体発光装置を図3乃至図5に示す。図3は断面図、図4は拡大断面図、図5は平面図である。図3乃至図5において、21は半導体基板、22は一導電型半導体層、23は逆導電型半導体層、24は個別電極、25は共通電極である。
【0003】
半導体基板21上に、一導電型半導体層22と逆導電型半導体層23を一導電型半導体層22よりも逆導電型半導体層23が小面積となるように設けると共に、この一導電型半導体層22の露出部Rに共通電極25(25a、25b)を接続して設け、逆導電型半導体層23に個別電極24を接続して設けている。なお、図3および図4において、26は窒化シリコン膜などから成る保護膜である。また、図5に示すように、共通電極25(25a、25b)は隣接する島状半導体層22、23ごとに異なる群に属するように二群に分けて接続して設けられ、隣接する島状半導体層22、23が同じ個別電極24に接続されている。
【0004】
このような発光ダイオードアレイでは、個別電極24と共通電極25(25a、25b)の組み合わせを選択して電流を流すことによって、各発光ダイオードを選択的に発光させることができる。
【0005】
ところが、この従来の半導体発光装置では、逆導電型半導体層23と個別電極24とのオーミックコンタクトを取るために、逆導電型半導体層23の上層のオーミックコンタクト層23cの膜厚を厚くする必要があった。このオーミックコンタクト層23cの膜厚に応じて発光の吸収が増大し、発光効率の低下をまねくという問題があった。
【0006】
これを回避するために、オーミックコンタクト層23cの個別電極24との接触部分のみが残るように、その一部をエッチングして発光効率の低下を防止する方法もあるが、パターンニングのためのフォトファブ工程が煩雑となる。
【0007】
さらに、オーミックコンタクト層23cを厚くすると、図4に示すように、GaAsなどから成るオーミックコンタクト層23cとその直下のAlGaAsなどから成るクラッド層23bとのエッチングレートの違いから逆メサ形状が形成される。このためオーミックコンタクト層23cの膜厚に相当する厚みの範囲で結晶がくびれ、その結果個別電極24の断線が発生するという問題があった。
【0008】
本発明はこのような従来装置の問題点に鑑みてなされたものであり、オーミックコンタクト層で発光が吸収されることによる発光効率の低下と電極の断線の問題を解消した半導体発光装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る半導体発光装置では、単結晶基板上に一導電型半導体層と逆導電型半導体層を設け、この一導電型半導体層と逆導電型半導体層に電極をそれぞれ接続して設けた半導体発光装置において、前記逆導電型半導体層をAlxGa1−xAsからなる発光層とAlyGa1−yAsからなるクラッド層とGaAsからなるオーミックコンタクト層と、このクラッド層とオーミックコンタクト層との間に設けられたAl z Ga 1−z Asから成るキャップ層とで形成するとともに、前記キャップ層は、前記オーミックコンタクト層と合わせた厚みが0.15μm以上であり、アルミニウム組成比zが前記クラッド層のアルミニウム組成比yよりも大きいことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。
図1および図2は本発明に係る半導体発光装置の一実施形態を示す断面図である。図1および図2において、1は基板、2は一導電型半導体層、3は逆導電型半導体層、4は個別電極、5は共通電極、6は絶縁膜である。
【0012】
基板1はシリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)などの単結晶半導体基板やサファイア(Al2 O3 )などの単結晶絶縁基板から成る。単結晶半導体基板の場合、(100)面を<011>方向に2〜7°オフさせた基板などが好適に用いられる。サファイアの場合、C面基板などが好適に用いられる。
【0013】
一導電型半導体層2は、バッファ層2a、オーミックコンタクト層2b、電子注入層2cで構成される。バッファ層2aは2〜4μm程度の厚みに形成され、オーミックコンタクト層2bは0.1〜1.0μm程度の厚みに形成され、電子注入層2cは0.2〜0.4μm程度の厚みに形成される。バッファ層2aとオーミックコンタクト層2bはガリウム砒素などで形成され、電子注入層2cはアルミニウムガリウム砒素などで形成される。オーミックコンタクト層2bはシリコンなどの一導電型半導体不純物を1×1016〜1017atoms/cm3 程度含有し、電子注入層2cはシリコンなどの一導電型半導体不純物を1×1016〜1019atoms/cm3 程度含有する。バッファ層2aは基板1と半導体層との格子定数の不整合に基づくミスフィット転位を防止するために設けるものであり、半導体不純物を含有させる必要はない。
【0014】
逆導電型半導体層3は、発光層3a、第2のクラッド層3b、および第2のオーミックコンタクト層3cから成り、さらに第2のクラッド層3bと第2のオーミックコンタクト層3cの間にオーミックコンタクト抵抗を低減するたのキャップ層3dを挿入して構成される。発光層3aと第2のクラッド層3bは0.2〜0.4μm程度の厚みに形成され、オーミックコンタクト層3cはキャップ層3dと合わせた厚みが0.15μm以上となるように形成される。発光層3a、第2のクラッド層3b、およびキャップ層3dはアルミニウムガリウム砒素などから成り、第2のオーミックコンタクト層3cはガリウム砒素などから成る。
【0015】
発光層3a、第2のクラッド層3b、およびキャップ層3dは、電子の閉じ込め効果と光の取り出し効果を考慮してアルミニウム砒素(AlAs)とガリウム砒素(GaAs)との混晶比を異ならしめる。本発明では、特に第2のクラッド層(Aly Ga1-y As)3bとキャップ層(Alz Ga1-z As)3dにおけるアルミニウム砒素(AlAs)とガリウム砒素(GaAs)との混晶比のAl組成がy≦zとなるようにする。
【0016】
発光層3a、第2のクラッド層3b、およびキャップ層3dは亜鉛(Zn)などの逆導電型半導体不純物を1×1016〜1021atoms/cm3 程度含有し、第2のオーミックコンタクト層3cは亜鉛などの逆導電型半導体不純物を1×1019〜1021atoms/cm3 程度含有する。
【0017】
オーミックコンタクト層3cとキャップ層3dとを合わせて0.15μm以上の膜厚にする。このように、オーミックコンタクト層3cとキャップ層3dとを合わせて0.15μm以上の膜厚にすると、図2のように、逆メサ形状の高さとなるオーミックコンタクト層3cの膜厚を薄く設定できることから、個別電極4の断線が回避できる。この膜厚0.15μmは、図7に示すような電極の熱処理工程で結晶内に拡散する拡散長を基準にしている。すなわち、図7は熱処理後の結晶中への電極材料の拡散深さを示す図であり、測定開始点から2000Åの深さのところから結晶となり、3500Åのところまで、すなわち結晶中の1500Åの深さで電極材料が拡散していることがわかる。したがって、キャップ層3dはオーミックコンタクト層3cと合わせた厚みが0.15μm以上となるように形成される。
【0018】
また、電極がコンタクトに必要な膜厚0.15μm以上を確保するため、オーミックコンタクト層3cの膜厚を薄くしてもその分キャップ層3dを厚くすればLEDの抵抗に相関性のある駆動電圧も2V以下で良好あると同時に発光強度の効率も高いことが図6から分かる。図6は駆動電圧のオーミックコンタクト層3cの膜厚依存性とキャップ層3dの有無との関係を示す図であるが、キャップ層3dが無い場合(図6中の□の線)、オーミックコンタクト層3cの膜厚を厚くしなければ駆動電圧を低くすることはできないが、キャップ層3dがある場合(図6中の△の線)、オーミックコンタクト層3cの膜厚に拘らず、駆動電圧(V)を低く抑えても一定以上の発光強度を得ることができる。これは、オーミックコンタクト層3cのGaAsの膜厚を薄く設定することで光の吸収を低減し、キャップ層3dを閉じ込め効果と光の取り出し効果を考慮してアルミニウム砒素(AlAs)とガリウム砒素(GaAs)との混晶比を第2のクラッド層の混晶比に比べて大きくするという効果である。このように本発明を構成することで断線と発光効率の低下を改善できる。
【0019】
絶縁膜6は窒化シリコンなどから成り、厚み3000Å程度に形成される。個別電極4と共通電極5は金/クロム(Au/Cr)などから成り、厚み1μm程度に形成される。
【0020】
本発明の半導体発光装置では、図2に示すように、一導電型半導体層2と逆導電型半導体層3から成る島状半導体層2、3を基板1上に一列状に並べて隣接する島状半導体層2、3毎に同じ個別電極4に接続し、同じ個別電極4に接続された下の一導電型半導体層2が異なる共通電極5に接続されるように二群に分けて接続される。個別電極4を選択して電流を流すことによってページプリンタ用感光ドラムの露光用光源として用いられる。
【0021】
次に、上述のような半導体発光装置の製造方法を説明する。まず、単結晶基板1上に、一導電型半導体層2、逆導電型半導体層3をMOCVD法などで順次積層して形成する。
【0022】
これらの半導体層2、3を形成する場合、基板温度をまず400〜500℃に設定して200〜2000Åの厚みにアモルファス状のガリウム砒素膜を形成した後、基板温度を700〜900℃に上げて所望厚みの半導体層2、3を形成する。
【0023】
この場合、原料ガスとしてはTMG((CH3 )3 Ga)、TEG((C2 H5 )3 Ga)、アルシン(AsH3 )、TMA((CH3 )3 Al)、TEA((C2 H5 )3 Al)などが用いられ、導電型を制御するためのガスとしてはシラン(SiH4 )、セレン化水素(H2 Se)、TMZ((CH3 )3 Zn)などが用いられ、キャリアガスとしてはH2 などが用いられる。
【0024】
次に、隣接する素子同志が電気的に分離されるように、半導体層2、3が島状にパターニングされる。このエッチングは硫酸過酸化水素系のエッチング液を用いたウエットエッチングやCCl2 F2 ガスを用いたドライエッチングなどで行われる。
【0025】
次に、一導電型半導体層2の一端部側の一部が露出し、且つこの一導電型半導体層2の隣接する領域部分が露出するように逆導電型半導体層3が一導電型半導体層2よりも幅狭に形成されるように逆導電型半導体層3をエッチングする。このエッチングも硫酸過酸化水素系のエッチング液を用いたウェットエッチングやCCl2 F2 ガスを用いたドライエッチングなどで行なわれる。
【0026】
次に、プラズマCVD法で、シランガス(SiH4 )とアンモニアガス(NH3 )を用いて窒化シリコンから成る絶縁膜を形成してパターニングする。最後に、クロムと金を蒸着法やスパッタリング法で形成してパターニングすることにより完成する。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る半導体発光装置では、逆導電型半導体層をAlxGa1−xAsからなる発光層とAlyGa1−yAsからなるクラッド層とGaAsからなるオーミックコンタクト層と、このクラッド層とオーミックコンタクト層との間に設けられたAl z Ga 1−z Asから成るキャップ層とで形成するとともに、このキャップ層を、オーミックコンタクト層と合わせた厚みが0.15μm以上となるようにすることで、逆メサ形状に起因した断線についても膜厚を薄く設定して電極の断線が回避できる。
【0028】
また、電極がコンタクトに必要な膜厚0.15μm以上を確保するため、オーミックコンタクト層の膜厚を薄くしてもその分キャップ層を厚くすればLEDの抵抗を下げることが可能となる。
【0029】
また、オーミックコンタクト層を薄く設定することで光の吸収を低減し発光効率を高めることも可能である。
【0030】
さらに、キャップ層のアルミニウム組成比zをクラッド層のアルミニウム組成比yよりも大きく設定することで閉じ込め効果と光の取り出し効果を大きくすることができ、より発光効率を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体発光装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1のA部拡大断面図である。
【図3】従来の半導体発光装置を示す断面図である。
【図4】図3のB部拡大断面図である。
【図5】従来の半導体発光装置を示す平面図である。
【図6】本発明の半導体発光装置の強度吸収による変化、キャップ層の有無、および駆動電圧の関係を示す図である。
【図7】本発明の半導体発光装置における電極の拡散状態を示す図である。
【符号の説明】
1………基板、2………一導電型半導体層、3………逆導電型半導体層、3a‥‥‥発光層、3b‥‥‥クラッド層、3c‥‥‥オーミックコンタクト層、3d‥‥‥キャップ層、4………個別電極、5………共通電極、6………絶縁膜
Claims (1)
- 単結晶基板上に一導電型半導体層と逆導電型半導体層を設け、この一導電型半導体層と逆導電型半導体層に電極をそれぞれ接続して設けた半導体発光装置において、前記逆導電型半導体層をAlxGa1−xAsからなる発光層とAlyGa1−yAsからなるクラッド層とGaAsからなるオーミックコンタクト層と、このクラッド層とオーミックコンタクト層との間に設けられたAl z Ga 1−z Asから成るキャップ層とで形成するとともに、前記キャップ層は、前記オーミックコンタクト層と合わせた厚みが0.15μm以上であり、アルミニウム組成比zが前記クラッド層のアルミニウム組成比yよりも大きいことを特徴とする半導体発光装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP02071199A JP4184521B2 (ja) | 1999-01-28 | 1999-01-28 | 半導体発光装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP02071199A JP4184521B2 (ja) | 1999-01-28 | 1999-01-28 | 半導体発光装置 |
Publications (2)
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JP2000223739A JP2000223739A (ja) | 2000-08-11 |
JP4184521B2 true JP4184521B2 (ja) | 2008-11-19 |
Family
ID=12034744
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP02071199A Expired - Lifetime JP4184521B2 (ja) | 1999-01-28 | 1999-01-28 | 半導体発光装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP4184521B2 (ja) |
-
1999
- 1999-01-28 JP JP02071199A patent/JP4184521B2/ja not_active Expired - Lifetime
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