JP3722683B2 - Ledアレイ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体発光装置に関し、特にページプリンター用感光ドラムの露光用光源などに用いられるプリンター用に適したLEDアレイに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のプリンター用LEDアレイを図3〜図5に示す。
図3は1つのLEDの断面図、図4はプリンター用LEDアレイ平面図、また、図5は他のプリンター用LEDアレイの平面図である。
【0003】
図3に示すLEDにおいて、21は高抵抗シリコン基板であり、高抵抗シリコン基板21の上に一導電型半導体層22と逆導電型半導体層23とを順次積層している。24は個別電極、25は共通電極、26は窒化シリコン膜などから成る保護膜である。
【0004】
そして、逆導電型半導体層23を一導電型半導体層22よりも小さな面積となるように設けると共に、この一導電型半導体層22の露出部に共通電極25を接続して設け、また、逆導電型半導体層23に個別電極24を接続して設けている。
【0005】
また、図4に示すプリンター用LEDアレイによれば、上記構成のLED(発光素子)を複数個配列したものであり、逆導電型半導体層23上に接続された電極2線分を1つのパッドPにまとめて、従来の2分の1の数のパッドにしている。共通電極25(25a〜25d)は隣接する発光素子ごとに異なる群に属するように二群に分けて接続して設けられ、そのために電極パッドDが設けられている。隣接する2個の発光素子が一単位となって、双方は同じ個別電極24に接続されている。
【0006】
このようなLEDアレイでは、個別電極24と共通電極25(25a〜25d)の組み合わせを選択して電流を流すことによって、各発光素子を選択的に発光させている。
【0007】
また、図5に示すプリンター用LEDアレイにおいては、逆導電型半導体層3上に接続された個別電極24を4線分でもって1つの電極パッドPにまとめることにより従来の4分の1の数にしている。しかも、すべての電極パッドPをLEDアレイの一方側に配列している。
【0008】
共通電極25(25a〜25d)は隣接する発光素子ごとに異なる群に属するように4群に分けて接続して設けられ、そのために電極パッドDが設けられている。
【0009】
そして、このLEDアレイにおいても、同様に個別電極24と共通電極25(25a〜25d)の組み合わせを選択して電流を流すことによって、各LEDを選択的に発光させる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に示すようなプリンター用LEDアレイによれば、LEDアレイの内側に配列される共通電極25a、25cと、外側に配列される共通電極25b、25dに分けられたことで、外側の共通電極25bと共通電極25dでもって接続される一導電型半導体層22とのコンタクト位置は、内側の共通電極25a、25cでもって接続される一導電型半導体層22とのコンタクト位置と対比するに、逆導電型半導体層23からより遠距離になり、一導電型半導体層22を電流がより長距離流れなければならず、その結果、駆動電圧が大きくなっていた。
【0011】
しかしながら、LED(発光素子)を駆動させるICは、所定の電圧値を超えると定電流を供給できなくなり、その値もばらつくという欠点があり、そのために、発光素子の駆動電圧にばらつきがあると、供給する電流がばらつき、これに起因して各発光素子間にて発光強度がばらつくという問題があった。
【0012】
したがって本発明は叙上に鑑みて完成されたものであり、その目的は各発光素子の間にて駆動電圧値のばらつきを小さくしたり、無くすことで、各発光素子間にて発光強度を均等にし、これによって高品質なLEDアレイを提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的はページプリンター用感光ドラムの露光用光源などに用いられるプリンター用に好適なLEDアレイを提供することにある。
【0014】
本発明のさらに他の目的は低消費型のLEDアレイを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明のLEDアレイは、単結晶基板上に一導電型半導体層と逆導電型半導体層と一方電極とを順次積層し、この一導電型半導体層を引き延ばした延在部の上に他方電極を形成して成る発光素子を複数個配列し、これら発光素子の各一方電極を共通に通電させる電極パッドを配設して発光素子群と成し、さらに複数の発光素子群をアレイ状に配列し、かつ一方の発光素子群内における各発光素子の延在部における他方電極に至る電極間隔が異なるとともに、他方の発光素子群の発光素子との間にて、その電極間隔が同じになるように各他方電極間を電気的に接続せしめた構成であって、前記発光素子の延在部における他方電極に至る電極間隔が長くなるにしたがって、その幅を広くするとともに、前記延在部と他方電極との接触面積を大きくしたことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1と図2により詳細に説明する。
図1は本発明のLEDアレイを構成する各LED(発光素子)の断面概略図であり、図2は本発明のプリンター用のLEDアレイの一実施形態を示す平面図である。
【0017】
図1に示すLEDにおいては、1は高抵抗シリコン基板であり、高抵抗シリコン基板1の上に一導電型半導体層2と逆導電型半導体層3とを順次積層している。4は前記一方電極である個別電極、5は前記他方電極である共通電極、6は窒化シリコン膜などから成る保護膜であり、個別電極4と共通電極5は保護膜6が被覆されていない領域に形成される。
【0018】
このように積層構成において、逆導電型半導体層3を一導電型半導体層2よりも小さな面積となるように設けると共に、一導電型半導体層2を引き延ばした延在部7の上に共通電極5を接続して設けている。
【0019】
上記高抵抗シリコン基板1には、高抵抗シリコン単結晶でもって構成するのがよく、特にその(100)面を<011>方向に2〜7°オフさせた基板などが好適である。
【0020】
上記一導電型半導体層2は、バッファ層2a、オーミックコンタクト層2b、電子注入層2cにて構成される。
【0021】
バッファ層2aは2〜4μm程度の厚みに形成され、オーミックコンタクト層2bは0.1〜4μm程度の厚みに形成され、電子注入層2cは0.2〜4μm程度の厚みに形成される。
【0022】
バッファ層2aとオーミックコンタクト層2bはガリウム砒素などで形成され、電子注入層2cはアルミニウムガリウム砒素などで形成される。
【0023】
オーミックコンタクト層2bはシリコンなどの一導電型半導体不純物を1×1016〜1019atoms/cm3 程度含有し、電子注入層2cもシリコンなどの一導電型半導体不純物を1×1016〜1019atoms/cm3 程度含有する。
【0024】
バッファ層2aは高抵抗シリコン基板1と半導体層との格子定数の不整合に基づくミスフィット転位を防止するために設けるものであり、半導体不純物を含有させなければならないというものではない。
【0025】
前記逆導電型半導体層3は、発光層3a、第2のクラッド層3bおよび第2のオーミックコンタクト層3cで構成される。
【0026】
発光層3aと第2のクラッド層3bは0.2〜4μm程度の厚みに形成され、オーミックコンタクト層3cは膜厚d0.01μm〜1μm程度の厚みに形成される。
【0027】
発光層3aと第2のクラッド層3bはアルミニウムガリウム砒素などから成り、第2のオーミックコンタクト層3cはガリウム砒素などから成る。
【0028】
発光層3aと第2のクラッド層3bおよびオーミックコンタクト抵抗低減層3cは、電子の閉じ込め効果と光の取り出し効果を出すために、アルミニウム砒素(AlAs)とガリウム砒素(GaAs)との混晶比を異ならしめる。
【0029】
発光層3aおよび第2のクラッド層3bは亜鉛(Zn)などの逆導電型半導体不純物を1×1016〜1021atoms/cm3 程度含有し、第2のオーミックコンタクト層3cは亜鉛などの逆導電型半導体不純物を1×1019〜1021atoms/cm3 程度含有する。
【0030】
保護膜6は窒化シリコンなどから成り、厚み3000Å程度に形成される。
【0031】
個別電極4と共通電極5は金/クロム(Au/Cr)などから成り、厚み1μm程度に形成される。
【0032】
上記構成のLEDアレイにおいては、図2に示すように4個の発光素子を並べて、それらの個別電極4を共通に通電させる電極パッド8を配設して発光素子群と成し、さらに複数の発光素子群をアレイ状に配列している。
【0033】
同図においては、図1に示す発光素子を矩形状の一導電型半導体層2と矩形状の逆導電型半導体層3との重ね合わせ構造でもって示す。
【0034】
各逆導電型半導体層3の延在部7には、共通電極5を接続するが、前記延在部と他方電極との接触部は図中、コンタクト部として示す。共通電極5を他の発光素子に延ばすに当たっては、保護膜6の上をまたがって形成すればよい。
【0035】
発光素子群においては、各発光素子間において逆導電型半導体層3の延在部7における共通電極5に至る電極間隔Sが異なる。そして、他方の発光素子群の発光素子との間にて、その電極間隔Sが同じになるように各共通電極5との間を電気的に接続している。
【0036】
さらに本発明においては、発光素子の延在部7における共通電極5に至る電極間隔Sが長くなるにしたがって、その幅を広くし、これによって各発光素子ごとの駆動電圧を一定にする。すなわち、電極間隔Sが大きくなると、電気的抵抗が増大し、駆動電圧が大きくなるが、電極間隔Sの幅を広くすることで、電気的抵抗の増大が抑制され、小さくなることで、駆動電圧の増大も抑えられる。
【0037】
しかも、発光素子の延在部7における共通電極5に至る電極間隔Sが長くなるにしたがって、このコンタクト部の接触面積は大きくし、これによっても各発光素子ごとの駆動電圧を一定にできる。すなわち、電極間隔Sが大きくなると、電気的抵抗が増大し、駆動電圧が大きくなるが、コンタクト部の接触面積を広くすることで、電気的抵抗の増大が抑制され、小さくなることで、駆動電圧の増大も抑えられる。
【0038】
このように本発明においては、発光素子の延在部7における共通電極5に至る電極間隔Sが長くなるにしたがって、その幅を広く、さらにはコンタクト部の接触面積は大きくすることが特徴である。
【0039】
ちなみに、発光素子の延在部7における共通電極5に至る電極間隔Sが長くしたことで、その幅を広くしただけでは、発光素子のピッチとの関係にて限界がある。そこで、逆に共通電極5に至る電極間隔Sがもっとも短い発光素子において、その延在部7の幅を小さくする必要があり、これによって駆動電圧が上がり、さらには全体的にも駆動電圧が上昇する傾向にある。
【0040】
また、発光素子の延在部7における共通電極5に至る電極間隔Sが長くなるにしたがって、その幅を一定にしながらも、コンタクト部の接触面積は大きくする技術も提案されているが、そのようにコンタクト部の接触面積を大きくしただけでは、発光素子のピッチとの関係にて限界がある。したがって、同様に共通電極5に至る電極間隔Sがもっとも短い発光素子において、そのコンタクト部の接触面積を小さくする必要があり、これによって駆動電圧が上がり、さらには全体的にも駆動電圧が上昇する傾向にある。
【0041】
(プリンター用LEDアレイの製造方法)
次に、上述のようなプリンター用LEDアレイの製造方法を説明する。
まず、高抵抗シリコン単結晶からなる高抵抗シリコン基板1の上に、一導電型半導体層2および逆導電型半導体層3をMOCVD法などで順次積層して形成する。
【0042】
これらの半導体層2、3を形成する場合、基板温度をまず400〜500℃に設定して200〜2000Åの厚みにアモルファス状のガリウム砒素膜を形成し、その後、基板温度を700〜900℃に上げて所望厚みの半導体層2、3を形成する。
【0043】
この場合、原料ガスとしてはTMG((CH3)3 Ga)、TEG((C2 H5)3 Ga)、アルシン(AsH3 )、TMA((CH3 )3 Al)、TEA((C2 H5 )3 Al)などが用いられ、導電型を制御するためのガスとしては、シラン(SiH4 )、セレン化水素(H2 Se)、DMZ((CH3 )2 Zn)などが用いられ、キャリアガスとしては、H2などが用いられる。
【0044】
次に、隣接する素子同志が電気的に分離されるように、半導体層2、3が島状にパターニングされる。このエッチングは、硫酸過酸化水素系のエッチング液を用いたウエットエッチングやCCl2 F2 ガスを用いたドライエッチングなどで行われる。
【0045】
その後、一導電型半導体層2の一端部側の一部が露出し、且つこの一導電型半導体層2の隣接する領域部分が露出するように逆導電型半導体層3が一導電型半導体層2よりも幅狭に形成されるように逆導電型半導体層3をエッチングする。このエッチングも硫酸過酸化水素系のエッチング液を用いたウェットエッチングやCCl2 F2 ガスを用いたドライエッチングなどで行なわれる。
【0046】
しかる後に、プラズマCVD法で、シランガス(SiH4 )とアンモニアガス(NH3 )を用いて窒化シリコンから成る絶縁膜を形成してパターニングする。
【0047】
最後に、クロムと金を蒸着法やスパッタリング法で形成してパターニングすることにより完成する。
【0048】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更や改良等は何ら差し支えない。たとえば、本例では4個の発光素子でもって発光素子群としたが、5個、6個あるいはそれ以上の発光素子数にて発光素子群としてもよい。
【0049】
(参考例)
本発明は上述のように、発光素子の延在部7における共通電極5に至る電極間隔Sが長くなるにしたがって、その幅を広く、さらにはコンタクト部の接触面積は大きくするが、これに対して、発光素子の延在部7における共通電極5に至る電極間隔Sが長くして、その幅を広くしただけでは、発光素子のピッチとの関係にて限界があり、全体的にも駆動電圧が上昇する傾向にある。
【0050】
図6はこの発光素子の延在部7における共通電極5に至る電極間隔Sが長くしたことで、その幅を広くしただけのLEDヘッドを示す。
【0051】
Aは電極間隔Sがもっとも短い発光素子であり、発光素子B、C、Dと順次、その電極間隔Sが長くなっている。なお、図2に示すLEDヘッドと同一個所には同一符号を付す。
【0052】
本発明者がおこなった実験によれば、電極間隔Sがもっとも短い発光素子Aの駆動電圧が1.85V、そのつぎに電極間隔Sが短い発光素子Bの駆動電圧が1.90V、つづけて発光素子Cの駆動電圧が1.95V、発光素子Dの駆動電圧が2.00Vとなる。
【0053】
この例では、このように電極間隔Sが順次長くなると、発光素子が1.85Vから2.00Vにまで増大する傾向にあり、そのために、発光素子の駆動電圧が2.00Vに至ることで、その素子において設定した延在部7の幅が、最大限の幅となり、これ以上に広げることができない。したがって、各発光素子の駆動電圧をそろえるためには、各発光素子の延在部7の幅を狭くすることで、その駆動電圧を2.00Vにそろえなければならなかった。
【0054】
これに対し、本発明においては、発光素子の延在部7における共通電極5に至る電極間隔Sが長くなるにしたがって、その幅を広く、さらにはコンタクト部の接触面積は大きくすることで、図2に示すLEDヘッドにおいては、全体の駆動電圧を上げることもなく、各発光素子の駆動電圧を1.85Vにそろえることができ、パターンによる影響をなくすことができた。
【0055】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明のLEDアレイによれば、単結晶基板上に一導電型半導体層と逆導電型半導体層と一方電極とを順次積層し、この一導電型半導体層を引き延ばした延在部の上に他方電極を形成して成る発光素子を複数個配列し、これら発光素子の各一方電極を共通に通電させる電極パッドを配設して発光素子群と成し、さらに複数の発光素子群をアレイ状に配列し、かつ一方の発光素子群内における各発光素子の延在部における他方電極に至る電極間隔が異なるとともに、他方の発光素子群の発光素子との間にて、その電極間隔が同じになるように各他方電極間を電気的に接続せしめた構成において、前記発光素子の延在部における他方電極に至る電極間隔が長くなるにしたがって、その幅を広くするとともに、前記延在部と他方電極との接触面積を大きくしたことで、各発光素子の間にて駆動電圧値のばらつきを小さくしたり、無くすことができ、これにより、各発光素子間にて発光強度が均等になり、その結果、高品質かつ高信頼性のLEDアレイが提供できた。
【0056】
また、本発明によれば、各発光素子間にて発光強度が均等になったことで、ページプリンター用感光ドラムの露光用光源などに用いられるプリンター用に好適なLEDアレイが提供できた。
【0057】
しかも、本発明においては、発光素子の延在部における他方電極に至る電極間隔が長くなるにしたがって、その幅と、延在部と他方電極との接触面積との双方でもって制御することができたことで、発光素子のピッチとの関係で、最適な駆動電圧に設定することができ、その電圧値を全体的に下げられ、これによって電力量が下がり、低電力型のLEDアレイが提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のLEDアレイを成す発光素子の概略断面図である。
【図2】本発明のLEDアレイの一実施形態を示す平面図である。
【図3】従来のLEDアレイを成す発光素子の概略断面図である。
【図4】従来のLEDアレイの一実施形態を示す平面図である。
【図5】従来の他のLEDアレイを成す発光素子の概略断面図である。
【図6】参考例としてのLEDアレイの一実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
1・・・高抵抗シリコン基板
2・・・一導電型半導体層
3・・・逆導電型半導体層
4・・・個別電極
5・・・共通電極
6・・・保護膜
7・・・延在部
8・・・電極パッド
Claims (1)
- 単結晶基板上に一導電型半導体層と逆導電型半導体層と一方電極とを順次積層し、この一導電型半導体層を引き延ばした延在部の上に他方電極を形成して成る発光素子を複数個配列し、これら発光素子の各一方電極を共通に通電させる電極パッドを配設して発光素子群と成し、さらに複数の発光素子群をアレイ状に配列し、かつ一方の発光素子群内における各発光素子の延在部における他方電極に至る電極間隔が異なるとともに、他方の発光素子群の発光素子との間にて、その電極間隔が同じになるように各他方電極間を電気的に接続せしめたLEDアレイであって、前記発光素子の延在部における他方電極に至る電極間隔が長くなるにしたがって、その幅を広くするとともに、前記延在部と他方電極との接触面積を大きくしたことを特徴とするLEDアレイ。
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