JP4012716B2 - Ledアレイおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はLEDアレイに関し、特にページプリンタ用感光ドラムの露光用光源などに用いられるLEDアレイとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のLEDアレイを図5と図6によって示す。
図5はLEDアレイの平面図であり、図6は図5に示す切断面線V−V’による横断面図である。
【0003】
21は単結晶基板であり、単結晶基板21上において、22(22a、22b、22c)は一導電型半導体層、23(23a、23b、23c)は逆導電型半導体層、24は個別電極、25(25a、25b、25c、25d)は共通電極、26はポリイミド等の有機材料膜などから成る保護膜としての絶縁膜、27は窒化シリコン膜などの無機絶縁膜である。
【0004】
単結晶基板21上に、各発光素子ごとに一導電型半導体層22と逆導電型半導体層23とが順次積層して形成され、その積層において、一導電型半導体層22の面積は逆導電型半導体層23の面積に比べて大きくしている。
【0005】
一導電型半導体層22は、バッファ層22a、オーミックコンタクト層22bおよび電子注入層22cで構成される。
【0006】
逆導電型半導体層23は、発光層23a、クラッド層23bおよび他のオーミックコンタクト層23cで構成される。
【0007】
また、一導電型半導体層22の上に絶縁膜26を被覆しているが、その露出部に共通電極25(25a、25b、25c、25d)を接続して設けたことで、絶縁膜26と共通電極25とを延在部29の上で並設している。
【0008】
さらに逆導電型半導体層23の上にも絶縁膜26を被覆しているが、その露出部に個別電極24を接続して設けている。
【0009】
この発光ダイオードアレイ構造では、個別電極24と共通電極25(25a、25b、25c、25d)の組み合わせを選択して電流を流すことによって、各発光素子を選択的に発光させることができる。
【0010】
また、ワイヤーボンディング性を向上させるため、ワイヤーボンディングパッド28の下地には超音波伝導性の良好な窒化シリコンなどの無機絶縁膜27を設けている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ポリイミド等の有機絶縁層の途切れる段差部において、段差部が急峻に傾いているため、蒸着などで形成した引き回し電極が断線しやすいという問題があった。
【0012】
この点を図7に示す段差部の断面図にて説明する。
24は個別電極24と共通電極25(同図において24にて示す)からワイヤーボンディングパッドへの引き回し電極、26はポリイミドなどの有機絶縁層、27は窒化シリコンなどの無機絶縁膜である。
【0013】
有機絶縁膜26はチップ全体のカバレッジを良好にするために、1〜5μm必要であり、このような厚さでポリイミドを設けた場合、図7で示すように段差部が急峻に傾いていると断線が発生するという課題があった。
【0014】
したがって本発明の目的は、かかる段差部での断線を無くしたり、減少することで、製造歩留まりを高め、製造コストを下げた低コストかつ高信頼性のLEDアレイを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明のLEDアレイは、単結晶基板上に一導電型半導体層と逆導電型半導体層とを順次積層してなる発光素子を複数個配列し、各発光素子および単結晶基板上の一部分に亘って有機絶縁膜を被覆し、単結晶基板の他の部分に前記有機絶縁膜に対して膜厚小の無機絶縁膜を設けるとともに、一導電型半導体層と逆導電型半導体層の双方に設けた金属電極の少なくとも一方を有機絶縁膜上を通して無機絶縁膜上にまで延在せしめた構成において、前記有機絶縁膜の無機絶縁膜と隣接する端部に複数の切欠部を配列して、前記端部をなだらかな傾斜形状とし、これらの切欠部上に金属電極を配したことを特徴とする。また、同構成のLEDアレイの製造方法として、前記有機絶縁膜の無機絶縁膜と隣接する端部に、最小解像限界より小さい複数の切欠部を有するフォトマスクを用いてこれらの切欠部の像をフォトエッチングで配列形成し、これらの切欠部の像の上に金属電極を配することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、上記の如く、有機絶縁膜の無機絶縁膜と隣接する端部に複数の切欠部を配列して、これらの切欠部上に金属電極を配したことで、双方の絶縁膜での段差部において、電極の断線を防ぐことができ、製造歩留が向上する。
【0017】
また、この断線を防ぐことができることで、有機絶縁層を2000Å以上にまで厚く設けることができ、これによって有機絶縁層が薄くなりすぎることによって起こる絶縁不良を低減したり、防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。
図1と図2は本発明のLEDアレイの一例を示す。
【0019】
図1はLEDアレイの要部拡大の平面図であり、図2は図1に示す切断面線X-X'線による横断面図である。図2には、参照記号として、X、X'を明示し、その断面の方向を示す。
【0020】
1は単結晶基板であり、単結晶基板1上において、2(2a、2b、2c)は一導電型半導体層、3(3a、3b、3c)は逆導電型半導体層、4は個別電極、5(5a、5b、5c、5d)は共通電極、6はポリイミド合成樹脂、オレフィン系合成樹脂、BCB(ベンゾシクロブテン)などの有機絶縁材料から成る絶縁膜、7は窒化シリコンなどの無機絶縁膜である。
【0021】
単結晶基板1上に、各発光素子ごとに一導電型半導体層2と逆導電型半導体層3とが順次形成され、その積層において一導電型半導体層2の面積は逆導電型半導体層3の面積に比べて大きくして、一導電型半導体層2を引き出すことで、一導電型半導体層2と同一材からなる延在部9を設けている。
【0022】
また、図2に示されるように、一導電型半導体層2の上に有機絶縁膜6を被覆しているが、その露出部に共通電極5(5a、5b)を接続して設けることで有機絶縁膜6と共通電極5とを延在部9の上で並設している。
【0023】
さらに逆導電型半導体層3の上にも有機絶縁層6を被覆しているが、その露出部に個別電極4を接続して設けている。
【0024】
つぎに各部材の構成を述べる。
単結晶基板は半導体基板からなり、高抵抗シリコン単結晶でもって構成した場合には、(100)面を<011>方向に2〜7°オフさせた基板などが好適である。
【0025】
一導電型半導体層2は、バッファ層2a、オーミックコンタクト層2bおよび電子注入層2cで構成される。
【0026】
バッファ層2aとオーミックコンタクト層2bはガリウム砒素などで形成され、電子の注入層2cはアルミニウムガリウム砒素などで形成される。
【0027】
オーミックコンタクト層2bにはシリコンなどの一導電型半導体不純物を1×1016〜1017atoms(原子)/cm3程度含有し、電子注入層2cにはシリコンなどの一導電型半導体不純物を1×1016〜1019atoms/cm3程度含有する。
【0028】
バッファ層2aは単結晶基板1と半導体層との格子定数の不整合に基づくミスフィット転位を防止するために設けるものであり、半導体不純物を1×1016〜1019atoms/cm3含有させる。
【0029】
バッファ層2aは2〜4μm程度の厚みに形成され、オーミックコンタクト層2bは0.1〜3.0μm程度の厚みに形成され、電子注入層2cは0.2〜0.4μm程度の厚みに形成される。
【0030】
逆導電型半導体層3は、発光層3a、クラッド層3bおよび他のオーミックコンタクト層3cで構成される。
【0031】
発光層3aとクラッド層3bはアルミニウムガリウム砒素などから成り、オーミックコンタクト層3cはガリウム砒素などから成る。
【0032】
発光層3a、クラッド層3bおよびオーミックコンタクト層3cは、電子の閉じ込め効果と光の取り出し効果を考慮して、各層の間にてアルミニウム砒素(AlAs)とガリウム砒素(GaAs)との混晶比を異ならしめる。
【0033】
発光層3aとクラッド層3bは亜鉛(Zn)などの逆導電型半導体不純物を1×1016〜1021atoms/cm3 程度含有し、オーミックコンタクト層3cは亜鉛などの逆導電型半導体不純物を1×1019〜1021atoms/cm3 程度含有する。
【0034】
発光層3aとクラッド層3bは0.2〜0.4μm程度の厚みに形成され、オーミックコンタクト層3cの膜厚dについては、膜厚d>(0.15μm−オーミックコンタクト層膜厚)程度の厚みに形成される。
【0035】
有機絶縁膜6は、たとえばポリイミドなどの有機絶縁材から成り、厚み1〜5μm程度に形成される。
【0036】
また、ワイヤーボンディング性を向上させるため、ワイヤーボンディングパッド8の下地には超音波伝導性の良好な窒化シリコンなどの無機絶縁膜7を設けている。この無機絶縁膜7はたとえば窒化シリコンなどからなり、2000Å程度に形成される。
【0037】
さらにまた、個別電極4と共通電極5(5a、5b、5c、5d)は金/クロム(Au/Cr)などから成り、厚み1μm程度に形成される。
【0038】
つぎに本発明の特徴を図3と図4により述べる。
図3は図1に示すY部の拡大図であり、図4は図1に示す切断面線Z-Z'線による横断面図である。図4には、参照記号として、Z、Z'を明示し、その断面の方向を示す。
【0039】
これらの図においては、個別電極4について説明するが、これに代えて共通電極5でも同じである。
【0040】
1は単結晶基板、4は電極、6はオレフィン系樹脂、BCB(ベンゾシクロブテン)、ポリイミド系樹脂などの有機絶縁層、7は窒化シリコンなどの無機絶縁層である。
【0041】
そして、図3に示すように有機絶縁膜6の無機絶縁膜7と隣接する端部に複数の切欠部pを配列して、これらの切欠部p上に金属の電極4を配している。
【0042】
このように複数の切欠部pを配列したことで、凹凸形状となり、これにより、図4に示すように有機絶縁膜6の端部をなだらかな傾斜形状となり、その結果、電極の断線が防止できる。
【0043】
本発明においては、かかる切欠部pを所要とおりの形状(たとえば矩形状)にするためには、その辺の長さを有機絶縁膜の厚み(たとえば1〜5μm程度)以上にすると、オーバーエッチングによる形状の崩れが小さくなったり、無くなるという点でよい。
【0044】
よって、有機絶縁膜を膜厚1〜5μmにて形成した場合には、矩形状の切欠部pにて、その辺の長さを1〜5μmもしくは、それ以上の長さにするとよい。
【0045】
また、有機絶縁膜6の端部に複数の切欠部pを配列形成するには、あらかじめ有機絶縁膜を塗布形成し、そして、この有機絶縁膜に対しフォトエッチングをおこなうが、それに用いるファトマスクの解像性に鑑みて、所要とおりの切欠形状を得るために、最小解像限界(10μm程度)以下にすることが望ましい。最小解像限界以上になると綺麗に解像されてしまい、エッチング後のポリイミドのエッジの形状が急峻になるためである。
【0046】
つぎに上述のようなLEDアレイの製造方法を説明する。
まず、高抵抗シリコン単結晶基板1上に、一導電型半導体層2、逆導電型半導体層3をMOCVD法などで順次積層して形成する。
【0047】
これらの半導体層2、3を形成する場合、基板温度を400〜500℃に設定し、これによって200〜2000Åの厚みでもってアモルファス状のガリウム砒素膜を形成した後、基板温度を700〜900℃に上げて所望とおりの厚みの一導電型半導体層2と逆導電型半導体層3とを形成する。
【0048】
この成膜において、原料ガスとしてはTMG((CH3 )3 Ga)、TEG((C2 H5 )3 Ga)、アルシン(AsH3 )、TMA((CH3 )3 Al)、TEA((C2 H5 )3 Al)などが用いられ、導電型を制御するためのガスとしては、シラン(SiH4 )、セレン化水素(H2 Se)、DMZ((CH3 )2 Zn)などが用いられ、キャリアガスとしては、H2などが用いられる。
【0049】
次いで、隣接する素子同志が電気的に分離されるように、半導体層2、3が島状にパターニングされる。そのためのエッチングは、硫酸過酸化水素系のエッチング液を用いたウエットエッチングやCCl2 F2 ガスを用いたドライエッチングなどで行われる。
【0050】
しかる後に、一導電型半導体層2の一端部側に延在部9を設け、この延在部9の上にその一部が露出し、かつこの一導電型半導体層2の隣接する領域部分が露出するようにエッチングする。また、逆導電型半導体層3が一導電型半導体層2よりも幅狭に形成されるように逆導電型半導体層3をエッチングする。
【0051】
このようなエッチングも硫酸過酸化水素系のエッチング液を用いたウェットエッチングやCCl2 F2 ガスを用いたドライエッチングなどで行なわれる。
【0052】
つぎに、隣接する発光素子が基板上でも電気的に分離されるように、たとえばアルカリ性水溶液でエッチングする。この時、一導電型半導体層2の延在部9の一部が露出し、かつこの一導電型半導体層2の隣接する領域部分が露出するように、そして、逆導電型半導体層3が一導電型半導体層2よりも幅狭に形成されるように逆導電型半導体層3をエッチングした際に用いたパターンを残したままで行ない、これによって逆導電型半導体層3を一切おかすことなく電気的に分離する。
【0053】
その後、プラズマCVD法で、シランガス(SiH4 )とアンモニアガス(NH3 )を用いて窒化シリコンから成る絶縁膜7を形成してパターニングする。
【0054】
しかる後に、有機絶縁層6は、ポリイミド等の有機絶縁材料を形成し、フォトエッチングをおこなってパターンニングし、有機絶縁層にの切欠部pを設ける。
【0055】
最後に、クロムと金を蒸着法やスパッタリング法で形成してパターニングすることで個別電極4および共通電極5を形成する。
【0056】
なお、本発明は上述したような実施形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて種々の変更や改良等は何ら差し支えない。
【0057】
たとえば、矩形状の切欠形状以外に、楕円状、円状、三角状などのさまざまな形状にしてもよい。
【0058】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明のLEDアレイによれば、有機絶縁膜の無機絶縁膜と隣接する端部に複数の切欠部を配列して、これらの切欠部上に金属電極を配したことで、双方の絶縁膜での段差部において、電極の断線を防ぐことができ、製造歩留が向上し、その結果、低コストかつ高信頼性のLEDアレイが提供できた。
【0059】
また、本発明によれば、このような断線を防ぐことができることで、有機絶縁層を2000Å以上にまで厚く設けることができ、これによって有機絶縁層が薄くなりすぎることによって起こる絶縁不良を低減したり、防止することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のLEDアレイの概略平面図である。
【図2】図1に示す切断面線X-X'線による断面図である。
【図3】図1に示すY部の拡大図である。
【図4】図1に示す切断面線Z-Z'線による断面図である。
【図5】従来のLEDアレイの概略平面図である。
【図6】図5に示す切断面線V-V'線による断面図である。
【図7】図5に示す切断面線W-W'線による断面図である。
【符号の説明】
1...単結晶基板
2...一導電型半導体層
3...逆導電型半導体層
4...個別電極
5...共通電極
6...有機絶縁膜
7...無機絶縁膜
8...ワイヤーボンディングパッド
9...延在部
Claims (2)
- 単結晶基板上に一導電型半導体層と逆導電型半導体層とを順次積層してなる発光素子を複数個配列し、各発光素子および単結晶基板上の一部分に亘って有機絶縁膜を被覆し、単結晶基板の他の部分に前記有機絶縁膜に対し膜厚小の無機絶縁膜を設けるとともに、一導電型半導体層と逆導電型半導体層の双方に設けた金属電極の少なくとも一方を、有機絶縁膜上を通して無機絶縁膜上にまで延在せしめたLEDアレイであって、
前記有機絶縁膜の無機絶縁膜と隣接する端部に複数の切欠部を配列して、前記端部をなだらかな傾斜形状とし、これらの切欠部上に金属電極を配したことを特徴とするLEDアレイ。 - 単結晶基板上に一導電型半導体層と逆導電型半導体層とを順次積層してなる発光素子を複数個配列し、各発光素子および単結晶基板上の一部分に亘って有機絶縁膜を被覆し、単結晶基板の他の部分に前記有機絶縁膜に対し膜厚小の無機絶縁膜を設けるとともに、一導電型半導体層と逆導電型半導体層の双方に設けた金属電極の少なくとも一方を、有機絶縁膜上を通して無機絶縁膜上にまで延在せしめたLEDアレイを製造する方法であって、
前記有機絶縁膜の無機絶縁膜と隣接する端部に、最小解像限界より小さい複数の切欠部を有するフォトマスクを用いてこれらの切欠部の像をフォトエッチングで配列形成し、これらの切欠部の像の上に金属電極を配することを特徴とするLEDアレイの製造方法。
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