JP3690655B2 - Ledアレイ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はLEDアレイに関し、特にページプリンタ用感光ドラムの露光用光源などに用いられるLEDアレイに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ページプリンタ用感光ドラムの露光用光源などのLEDアレイに対し、発光素子の高密度化や、その小型化が市場のニーズとしてある。
すなわち、このLEDアレイにおいては、外部接続点である電極パッドの数を減らしたり、外部回路との接続電極サイズを小さくしたり、チップサイズを小さくすることが求められていた。
【0003】
このような市場のニーズに応えるために、マトリクス配線電極で層間絶縁膜を介して設ける多層電極構造のLEDアレイが提案されている(特開平9−277592号と特開平11−40842号参照)。
【0004】
しかしながら、この提案のLEDアレイにおいては、各発光ダイオードの個別電極の形成と、それら発光ダイオードをグループに分け、各グループから重複無く1つずつ選択するためのマトリクス配線を形成する工程を2回行い、加えてそれぞれを絶縁膜等を介することで電気的に分離する工程とを含み、そのため多層電極構造でもってしか構成することができず、これにより、工程が複雑化し、製造コストがあがっていた。
【0005】
また、多くの発光素子を配列するに当り、各発光素子の発光強度にばらつきが生じないようにすることが望まれるが、いまだ満足し得る程度にまで向上していなかった。
【0006】
かかる課題を解消すべく、本願出願人は下記のような構成のLEDアレイを提案し、各発光素子の発光強度を均等にして、高性能かつ高信頼性のLEDアレイを提供した(特願平12−251378号参照)。
【0007】
このLEDアレイを図5と図6によって示す。
図5はLEDアレイの平面図であり、図6は図5にて切断面線B−B’による断面図である。
【0008】
21は単結晶基板であり、単結晶基板21上において、22は一導電型半導体層、23は逆導電型半導体層、24は個別電極、25は共通電極、26は外部接続用電極、27は窒化ケイ素やポリイミド膜などから成る保護膜としての絶縁膜である。なお、共通電極25は、符号として25a、25b、25c、25dでもって示し、外部接続用電極26も符号として26a、26bにて示す。
【0009】
単結晶基板21上に、各発光素子ごとに一導電型半導体層22と逆導電型半導体層23とが順次積層して形成され、その積層において、一導電型半導体層22の面積は逆導電型半導体層23の面積に比べて大きくして、一導電型半導体層22を引き出すことで、一導電型半導体層22と同一材からなる延在部28を設けている。
【0010】
一導電型半導体層22の上に絶縁膜27を被覆しているが、その露出部に共通電極25(25a、25b、25c、25d)を接続して設けている。
【0011】
また、逆導電型半導体層23についても、その上に絶縁膜27を被覆しているが、その露出部に個別電極24を接続して設けている。
【0012】
さらに図5に示すように、共通電極25(25a、25b、25c、25d)は隣接する各発光素子ごとに(島状半導体層22、23ごとに)異なる群に属するように4群に分けて接続して設けられ、隣接する発光素子(島状半導体層22、23)が同じ個別電極24に接続されている。
【0013】
かくして、この発光ダイオードアレイ構造によれば、個別電極24と共通電極25(25a、25b、25c、25d)の組み合わせを選択して電流を流すことによって、各発光素子を選択的に発光させることで、各発光素子の発光強度を均等にして、高性能かつ高信頼性のLEDアレイが提供できた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成のLEDアレイによれば、市場のニ−ズに十分に応じられるためには、製造コストのさらなる低減が求められているが、いまだ満足し得る程度にまで至っていなかった。
【0015】
この点を詳しく述べると、前記絶縁膜27においては、窒化ケイ素などの無機絶縁膜や電気的絶縁性の合成樹脂からなるポリイミド膜などの有機絶縁膜でもって保護膜としているが、双方の材質を比べた場合、無機絶縁膜を用いると、真空装置などを用いるなど製造装置や製造プロセスにて高コスト化を招きやすい。
【0016】
したがって、この無機絶縁膜に代えて、塗布工程という比較的容易なプロセスにて形成できる有機絶縁膜を用いる技術が提案されている。
【0017】
しかしながら、この有機絶縁膜の上に金属電極を接合させようとした場合、その密着性は低く、そのために、外部接続点との接着にワイヤーボンディングを用いると、接着不良が多発するという課題があった。
【0018】
この課題を解消すべく、有機絶縁膜の膜厚を薄くすることや、電極膜厚を厚くすることが考えられるが、何れも有効な手段とはなり得なかった。
【0019】
本発明は叙上に鑑みて案出されたものであり、その目的は外部回路との接続点において、その接続電極の密着性を大きくして、ワイヤーボンディング性能を高め、これによって製造歩留まりを高め、製造コストを下げ、その結果、低コストならびに高品質かつ高信頼性のLEDアレイを提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的は各発光素子の発光強度を均等にして、高性能かつ高信頼性のLEDアレイを提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明のLEDアレイは、単結晶基板上に一導電型半導体層と逆導電型半導体層と一方電極とを順次積層し、この一導電型半導体層を引き出した延在部の上に他方電極を形成して成る発光素子を複数個配列して発光素子群と成し、さらにこれら一導電型半導体層と逆導電型半導体層との双方を覆う合成樹脂からなる電気的絶縁性の絶縁膜を単結晶基板の非半導体被膜面にまで成膜せしめた構成において、単結晶基板の非半導体被膜面上における絶縁膜の非成膜部分にシリコン酸化物層を形成し、一方電極および/または他方電極を絶縁膜上を通して延在して、その端部を外部回路との接続電極と成して、この接続電極をシリコン酸化物層の上に設けたことを特徴とする。
【0022】
本発明の他のLEDアレイは、上記発光素子群内における各発光素子の延在部における他方電極に至る電極間隔が異なるとともに、一方の発光素子の電極間隔と他方の発光素子の電極間隔とを同じにして、双方の他方電極を通電せしめるように成したことを特徴とする。
【作用】
本発明のLEDアレイは、上記構成のように一導電型半導体層と逆導電型半導体層との双方ならびに単結晶基板の非半導体被膜面を覆う絶縁膜に対し電気的絶縁性の合成樹脂を用いるとともに、一方電極および/または他方電極の外部回路との接続電極を密着性の高い層の上に、すなわち単結晶基板の非半導体被膜面上における絶縁膜の非成膜部分にシリコン酸化物層を形成し、この層の上に設けたことで、従来のように有機絶縁膜上に接続電極を設けたものと比べて、その接続電極の密着性を大きくして、ワイヤーボンディング性能を高められる。これによって製造歩留まりを高め、製造コストを下げられる。
【0023】
しかも、このようなシリコン酸化物層と接続電極とを直接に接触させることで、漏れ電流が小さくなり、その結果、各素子間において発光バラツキが小さくなり、高性能なLEDアレイが得られる。
【0024】
また、本発明の他のLEDアレイは、発光素子群内における各発光素子の延在部における他方電極に至る電極間隔が異なるとともに、一方の発光素子の電極間隔と他方の発光素子の電極間隔とを同じにして、双方の他方電極を通電せしめるように成したことで、発光素子の高密度化や小型化が達成される。
【0025】
この点については、下記のとおりである。
複数の一方電極に対し共通に成した電極パッドを配設し、さらに複数の他方電極に対し共通に成した他の電極パッドを配設したことで、電極パッド数が少なくなり、その配設面積が小さくなり、これにより、発光素子の高密度化ならびにLEDアレイの小型化が達成される。
【0026】
また、特開平9−277592号や特開平11−40842にて提案されているような多層電極構造のLEDアレイと比べても、工程数が少なくなり、層間絶縁膜を介した多層電極構造を用いないことで、製造コストが下がり、発光素子の高密度化や小型化を達成したLEDアレイが得られる。
【0027】
また、本発明のLEDアレイにおいては、さらに前記電極間隔を同じにした各発光素子の他方電極を通電すべく、一導電型半導体層の延在部に形成した絶縁膜をまたがるように、接続線を発光素子の配列ラインと平行に形成している。
【0028】
したがって、従来のLEDアレイにおいて、周知のとおり形成されていた絶縁膜以外に、配線同士の電気的絶縁のために不可欠な層間絶縁膜を形成することもなくなり、これによって製造コストが下がり、低コストなLEDアレイが提供される。
【0029】
また、本発明のLEDアレイにおいては、さらに一方の発光素子群と他方の発光素子群に対し、発光素子群内にて個々の電極間隔を配列順に違えることで、対称的な電極間隔パターンにしており、そのように規則的なパターンにしたことで、LEDヘッド搭載時の発光順番の信号処理を比較的容易にし、これにより、搭載基板の設計をも容易にすることができる。
【0030】
そして、その規則的パターンをLEDアレイに整然と設けることで、それ以外の領域に電極パッドを設けることが設計上容易になり、対称的な電極間隔のもっとも短い部分でのスペースが大きく取ることができ、これにより、LEDアレイチップサイズの縮小化ならびにLEDアレイを搭載する際のワイヤーボンディングパッドを大きく取ることができ、その結果、LEDアレイのチップ縮小化ならびにLEDヘッドの製造上の歩留りを向上できる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。
図1〜図3は本発明のLEDアレイの一実施形態を示す。
図1はLEDアレイの要部拡大の平面図であり、図2は図1に示すA−A’線による断面図、図3は図1に示すV−V’線による断面図、図4は図1に示すH−H’線による断面図である。なお、図2〜図4には、参照符号として、A、A’、V、V’、H、H’を明示することでもって、その断面図の方向を示す。
【0032】
1は単結晶基板であり、この単結晶基板1上に各発光素子ごとに一導電型半導体層2と逆導電型半導体層3とが順次積層して形成され、その積層において、一導電型半導体層2の面積は逆導電型半導体層3の面積に比べて大きくして、一導電型半導体層2を引き出すことで、一導電型半導体層2と同一材からなる延在部8を設けている。
【0033】
また、図2に示すように一導電型半導体層2の上にポリイミド膜などから成る保護膜としての電気的絶縁性の絶縁膜7を被覆しているが、その露出部に前記他方電極である共通電極5(5a、5b、5c、5d)を接続して設けている。この絶縁膜7は単結晶基板1の非半導体被膜面にまで成膜している。
【0034】
さらに逆導電型半導体層3の上にも絶縁膜7を被覆しているが、その露出部に前記一方電極である個別電極4を接続して設けている。
【0035】
そして、本発明においては、個別電極4と共通電極5を絶縁膜7上を通して延在して、その端部を外部回路との接続電極である外部接続用電極6と成し、この外部接続用電極6を単結晶基板1の非半導体被膜面上に設けたシリコン酸化物層9の上に形成している。
【0036】
次に各構成部材を図3により詳述する。
単結晶基板1は半導体乃至絶縁性の基板からなり、高抵抗シリコン単結晶でもって構成した場合には、(100)面を<011>方向に2〜7°オフさせた基板などが好適である。
【0037】
一導電型半導体層2はバッファ層2a、オーミックコンタクト層2bおよび電子注入層2cで構成される。
【0038】
バッファ層2aとオーミックコンタクト層2bはガリウム砒素などで形成され、電子注入層2cはアルミニウムガリウム砒素などで形成される。
【0039】
オーミックコンタクト層2bにはシリコンなどの一導電型半導体不純物を1×1016〜1019atoms/cm3 程度含有し、電子注入層2cにはシリコンなどの一導電型半導体不純物を程度含有する。
【0040】
バッファ層2aは単結晶基板1と半導体層との格子定数の不整合に基づくミスフィット転位を防止するために設けるものであり、半導体不純物を1×1015〜1017atoms/cm3含有させる。
【0041】
バッファ層2aは2〜4μm程度の厚みに形成され、オーミックコンタクト層2bは0.1〜3.0μm程度の厚みに形成され、電子注入層2cは0.2〜0.4μm程度の厚みに形成される。
【0042】
逆導電型半導体層3は発光層3a、クラッド層3bおよび他のオーミックコンタクト層3cで構成される。
【0043】
発光層3aとクラッド層3bはアルミニウムガリウム砒素などから成り、オーミックコンタクト層3cはガリウム砒素などから成る。
【0044】
発光層3a、クラッド層3bおよびオーミックコンタクト層3cは、電子の閉じ込め効果と光の取り出し効果を考慮して、各層の間にてアルミニウム砒素(AlAs)とガリウム砒素(GaAs)との混晶比を異ならしめる。
【0045】
発光層3aとクラッド層3bは亜鉛(Zn)などの逆導電型半導体不純物を1×1016〜1021atoms/cm3 程度含有し、オーミックコンタクト層3cは亜鉛などの逆導電型半導体不純物を1×1019〜1021atoms/cm3 程度含有する。
【0046】
発光層3aとクラッド層3bは0.2〜0.4μm程度の厚みに形成され、オーミックコンタクト層3cの膜厚dについては、膜厚d>(0.15μm−オーミックコンタクト層膜厚)程度の厚みに形成される。
【0047】
また、絶縁膜7は、たとえばポリイミド合成樹脂、オレフィン系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フッ素系樹脂などから成り、厚み0.5〜2μm程度に形成される。
【0048】
個別電極4と共通電極5(5a、5b、5c、5d)は金/クロム/金ゲルマニウム合金/クロム(Au/Cr/AuGe/Cr)などから成り、厚み1μm程度に形成される。
【0049】
シリコン酸化物層9は、0.5〜1μm、好適には0.6〜0.8μmの範囲にするとよく、0.5μm未満の場合には、電気的な絶縁性としての耐圧を保つことができず、1μmを超えると膜にクラックが発生しやすくなる。したがって、この範囲内にすることで、クラックが生じない2メガボルト/cm以上の耐圧を得ることができる。
【0050】
また、シリコン酸化物層9はアモルファス状もしくは多結晶性のいずれでもよいが、通常、アモルファス状になっている。
そして、このシリコン酸化物層9の上に外部接続用電極6を形成する。
【0051】
(LEDアレイの製造方法)
次に本発明のLEDアレイの製造方法を説明する。
【0052】
まず、高抵抗シリコン単結晶基板1上に、一導電型半導体層2、逆導電型半導体層3をMOCVD法などで順次積層して形成する。
【0053】
これらの半導体層2、3を形成する場合、基板温度を400〜500℃に設定し、これによって200〜2000Åの厚みでもってアモルファス状のガリウム砒素膜を形成した後、基板温度を700〜900℃に上げて所望とおりの厚みの一導電型半導体層2と逆導電型半導体層3と成す。
【0054】
この成膜において、原料ガスとしてはTMG((CH3 )3 Ga)、TEG((C2 H5 )3 Ga)、アルシン(AsH3 )、TMA((CH3 )3 Al)、TEA((C2 H5 )3 Al)などが用いられ、導電型を制御するためのガスとしては、シラン(SiH4 )、セレン化水素(H2 Se)、DMZ((CH3 )2 Zn)などが用いられ、キャリアガスとしては、H2などが用いられる。
【0055】
次に、隣接する素子同志が電気的に分離されるように、半導体層2、3が島状にパターニングされる。そのためのエッチングは、硫酸過酸化水素系のエッチング液を用いたウエットエッチングやCCl2 F2 ガスを用いたドライエッチングなどで行われる。
【0056】
その後、一導電型半導体層2の一端部側に延在部8を設け、この延在部8の上にその一部が露出し、かつこの一導電型半導体層2の隣接する基板領域部分が露出するようにエッチングする。また、逆導電型半導体層3が一導電型半導体層2よりも幅狭に形成されるように逆導電型半導体層3をエッチングする。
【0057】
このようなエッチングも硫酸過酸化水素系のエッチング液を用いたウェットエッチングやCCl2 F2 ガスを用いたドライエッチングなどで行なわれる。
【0058】
次に、隣接する発光素子が基板上でも電気的に分離されるように、たとえばアルカリ性水溶液でエッチングする。この時、一導電型半導体層2の延在部8の一部が露出し、かつこの一導電型半導体層2の隣接する領域部分が露出するように、そして、逆導電型半導体層3が一導電型半導体層2よりも幅狭に形成されるように逆導電型半導体層3をエッチングした際に用いたパターンを残したままで行ない、これによって逆導電型半導体層3を一切おかすことなく電気的に分離する。
【0059】
そして、熱酸化法やスパッタリング法、もしくはCVD法等を用いて、シリコン酸化物層9を形成し、パターニングする。その際、外部接続用電極6の直下にシリコン酸化物層9を存在させる。
【0060】
熱酸化法によれば、Si単結晶基板を700℃以上の高温中で酸素雰囲気中で形成する。もしくは、水蒸気酸化法により酸素と水素の混合雰囲気であってもよく、温度は700℃以上、1000℃程度がもっともよい。
【0061】
スパッタリング法においては、SiO2ターゲットを用いて、アルゴンガス等を打ち込み、その脱離したSiO2をSi単結晶基板に堆積する。
【0062】
さらにプラズマCVD法では、SiH4ガスとN2Oなどの混合ガスをRFプラズマ発生させ、これによってSiO2をSi単結晶基板に堆積する。
【0063】
次にスピンコート法などで塗布したポリイミドなどから成る絶縁膜7を形成してパターニングする。この際、ポリイミドから成る絶縁膜7は、電極とのコンタクトをとるための小孔を逆導電型半導体層3上と、一導電型半導体層2の延在部8上に設ける。その際、同時に外部接続用電極6(外部回路との接続電極部6a,6b)についても同様に、ポリイミドから成る絶縁膜7をパターンニングして除去する。
【0064】
この除去は次のとおりである。
ポリイミド絶縁膜上にポジ型フォトレジストを塗布し、所定の取り除きたい部分をフォトマスクを使ってを露光する。アルカリ現像液を用いてフォトレジストの感光された部分を取り除くと同時に、アルカリ現像液に溶けるポリイミド絶縁層も同時に、すなわち正確にはレジストが溶けた後、引き続き取り除く。最後にレジストを剥離すると所定の場所のみポリイミドが除去できる。
【0065】
最後に、クロムと金、金ゲルマニウムを蒸着法やスパッタリング法で形成してパターニングすることで個別電極4と共通電極5ならびにこれらの接続線を形成する。
【0066】
かくして上記の製造方法におり得られたLEDアレイは、外部回路との接続電極部6a,6bについても、その部分に対しポリイミドから成る絶縁膜7がパターンニングして除去され、そして、かかる接続電極部6a,6b部に対しワイヤーボンディングをおこなった場合、そのワイヤーボンディング強度が向上した。
【0067】
【実施例】
本発明者は、上記のようなワイヤーボンディング強度でもって電極の密着性を測定した。
【0068】
まず図9に示すような測定用のサンプルを作製した。同図(a)は参考例のサンプルであり、高抵抗シリコン単結晶基板1に相当するシリコン(Si)基板の上に個別電極4や共通電極5に相当する電極をAuCr合金にて1μmの層厚にて形成し、そして、この電極上に対しワイヤーボンディングをおこなった。
【0069】
図9の(b)は比較例のサンプルであり、シリコン(Si)基板の上にポリイミド合成樹脂層を1〜3μmの厚みにて成膜し、この樹脂層の上に電極をAuCr合金にて1μmの層厚にて形成し、そして、この電極上に対しワイヤーボンディングをおこなった。
【0070】
また、図9の(c)も参考例のサンプルであり、シリコン(Si)基板の上にGaAs層を1〜3μmの厚みにて成膜し、この樹脂層の上に電極をAuCr合金にて1μmの層厚にて形成し、そして、この電極上に対しワイヤーボンディングをおこなった。
【0071】
さらにまた、図9の(d)は本発明のサンプルであり、シリコン(Si)基板の上にシリコン酸化物層9を1〜3μmの厚みにて成膜し、この樹脂層の上に電極をAuCr合金にて1μmの層厚にて形成し、そして、この電極上に対しワイヤーボンディングをおこなった。
【0072】
本発明のサンプルについては、4個作成し、参考例のサンプルは3〜4個、比較例のサンプルは4個作成し、これらサンプルに対するワイヤーボンディング強度の測定には、バネばかりであるマイクロゲージを使って、ワイヤーボンディングのループを引っ掛けてワイヤー接着強度を測定した。剥がれるまで引っ張り上げることで、マイクロゲージに表示される値をワイヤー強度とした。
【0073】
その測定結果を図7に示す。同図の横軸における「電極/ポリイミド」は比較例であり、「電極/Si」と「電極/GaAs」は参考例であり、「電極/SiO2」は本発明である。縦軸はワイヤー強度(g)である。
【0074】
同図に示すボンディングワイヤーの引っ張り強度試験の結果から明かなとおり、本発明での電極密着性は比較例に比べ2倍程度大きくなっていることがわかる。
【0075】
また、素子間の漏れ電流値を測定したところ、図8に示すような結果が得られた。これらは、上述した如く実際にLEDアレイを作製し、そして、共通電極5において、カソード5aと、カソード5b,5c,5dとの間の平均の漏れ電流を測定することで求めた。その電流は、電極に通電用の先端25μmの針を立てて微少電流測定装置につないで、バイアスをかけることで、電流の漏れを測定する。
【0076】
「電極/SiO2」である本発明は、「電極/Si」や「電極/GaAs」である参考例に比べて、漏れ電流が小さいことがわかる。
【0077】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更や改良等はなんら差し支えない。
【0078】
たとえばこの例では、個別電極4と共通電極5を絶縁膜7上を通して延在して、その端部を外部回路との接続電極である外部接続用電極6と成し、この外部接続用電極6を単結晶基板1の非半導体被膜面上における絶縁膜7の非成膜部分に設けているが、それら個別電極4と共通電極5のうち一方だけを、かかる外部接続用電極6と接続して単結晶基板1の非半導体被膜面上におけるシリコン酸化物層9に設けてもよい。
【0079】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明のLEDアレイによれば、一導電型半導体層と逆導電型半導体層との双方ならびに単結晶基板の非半導体被膜面を覆う絶縁膜に対し電気的絶縁性の合成樹脂を用いるとともに、一方電極および/または他方電極の外部回路との接続電極を単結晶基板の非半導体被膜面上における設けたシリコン酸化物層に設けたことで、従来のように有機絶縁膜上に接続電極を設けたものと比べて、その接続電極の密着性を大きくして、ワイヤーボンディング性能を高められる。これによって製造歩留まりを高め、製造コストを下げ、しかも、漏れ電流が小さくなり、その結果、低コストならびに高品質かつ高信頼性のLEDアレイが提供できた。
【0080】
また、本発明のLEDアレイにおいては、発光素子群内における各発光素子の延在部における他方電極に至る電極間隔が異なるとともに、一方の発光素子の電極間隔と他方の発光素子の電極間隔とを同じにして、双方の他方電極を通電せしめるように成したことで、発光素子の高密度化や小型化が達成された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のLEDアレイの一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示すA−A‘線による断面図である。
【図3】図1に示すV−V’線による断面図である。
【図4】図1に示すH−H’線による断面図である。
【図5】従来のLEDアレイの一実施形態を示す平面図である。
【図6】図5に示すB−B‘線による断面図である。
【図7】本発明の接着強度効果を説明する図である。
【図8】本発明の漏れ電流の効果を説明する図である。
【図9】(a)〜(c)は接着強度テスト用サンプルの構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・単結晶基板
2・・・一導電型半導体層
3・・・逆導電型半導体層
4・・・個別電極
5・・・共通電極
6・・・外部回路との接続用電極
7・・・絶縁膜
8・・・延在部
9・・・シリコン酸化物層
Claims (2)
- 単結晶基板上に一導電型半導体層と逆導電型半導体層と一方電極とを順次積層し、この一導電型半導体層を引き出した延在部の上に他方電極を形成して成る発光素子を複数個配列して発光素子群と成し、さらにこれら一導電型半導体層と逆導電型半導体層との双方を覆う合成樹脂からなる電気的絶縁性の絶縁膜を単結晶基板の非半導体被膜面にまで成膜せしめたLEDアレイであって、単結晶基板の非半導体被膜面上における絶縁膜の非成膜部分にシリコン酸化物層を形成し、一方電極および/または他方電極を絶縁膜上を通して延在して、その端部を外部回路との接続電極と成して、この接続電極をシリコン酸化物層の上に設けたことを特徴とするLEDアレイ。
- 請求項1の発光素子群内における各発光素子の延在部における他方電極に至る電極間隔が異なるとともに、一方の発光素子の電極間隔と他方の発光素子の電極間隔とを同じにして、双方の他方電極を通電せしめるように成したことを特徴とするLEDアレイ。
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