以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は絶縁膜をSOD法によって形成するSODシステム100Aの概略構造を示す水平断面図であり、図2はその概略斜視図であり、図3はその側面図である。
このSODシステム100Aは、ウエハWに所定の処理を行う処理ブロック8と、所定枚数のウエハWが収納されたキャリアCが搬入出され、キャリアCと処理ブロック8との間でウエハWを搬送するキャリアブロック7と、を備えている。
キャリアブロック7は、例えば3個のキャリアC1〜C3をY方向に並べて載置することができるキャリア載置部11と、キャリア載置部11に載置されたキャリアC1〜C3と処理ブロック8との間でウエハWを搬送する受け渡し手段12とを備え、受け渡し手段12は筐体101内に配置されている。
キャリアC1〜C3はそれぞれ、例えば25枚のウエハWを略水平姿勢で鉛直方向(Z方向)に一定間隔で収容することができる。筐体101のキャリア載置部11側の壁には、シャッタ13aにより開閉自在なウエハ搬送口101aが設けられている。
受け渡し手段12は、キャリアC1〜C3からウエハWを取り出して処理ブロック8へ受け渡し、逆に処理ブロック8からウエハWを取り出してキャリアC1〜C3に収容することができるように、X方向およびY方向に進退自在な搬送ピック12aを備え、この搬送ピック12aはさらにXY面(水平面)内で回転自在であり、Z方向に昇降自在であり、ガイドレール12bに沿ってY方向に移動自在である。
筐体101の上部にはファンフィルタユニット(FFU)14が設けられており、ファンフィルタユニット(FFU)14から筐体101内に清浄な空気がダウンフローされるようになっている。これによりウエハWへのパーティクルの付着が抑制される。
処理ブロック8は、ウエハWに絶縁膜を形成するための所定の処理を行う処理タワーT1と、キャリアブロック7との間でウエハWの搬送を行うための受渡ユニット(TRS)16と、受渡ユニット(TRS)16の上段に設けられ、ウエハWの表面に紫外線照射処理を施すUV照射ユニット(DVT)17と、処理ブロック8内でウエハWを搬送する基板搬送手段15とを具備し、これらは筐体102内に配置されている。
筐体102のキャリアブロック7側の壁の受渡ユニット(TRS)16が配置されている部分には、シャッタ13bにより開閉自在なウエハ搬送口102aが形成されている。また、筐体102の上部には、図示しないファンフィルタユニット(FFU)が設けられており、筐体102内に清浄な空気がダウンフローされるようになっている。
処理タワーT1は、SOD法でウエハWに絶縁膜を形成するための一連の処理を行う複数の処理ユニットが上下方向に多段に積層して配列された構成を有している。ここでは、処理タワーT1で行われる一連の処理とは、薬液およびその排液を取り扱い、またウエハWに形成された塗布膜から蒸発または揮発する成分を有する排ガスを取り扱う処理であると定める。つまり、処理タワーT1は、絶縁膜の形成材料を含む薬液の塗布前にウエハを所定温度に温調する温調ユニット(CPL)20と、ウエハ表面に薬液を塗布して塗布膜を形成する処理を行う塗布ユニット(SCT)18と、ウエハ表面に形成された塗布膜に含まれる溶剤を熱により蒸発させて塗布膜を乾燥させる低温加熱ユニット(LHP)21と、ウエハWを加熱して塗布膜の化学反応を進行させる処理を行うベークユニット(DLB)22とを備え、さらに必ずしも必要ではないが、絶縁膜の膜厚を測定する膜厚測定ユニット19を備えている。
SODシステム100Aでは、このように処理タワーT1に一連の処理を行う複数の処理ユニットを集中配置しているために、処理ブロック8のフットプリントが最小限に抑えられている。これによりSODシステム100Aが設置されるクリーンルームや、処理ブロック8の上部に設けられるファンフィルタユニット(FFU)を小型化することができ、コスト面での負担も軽くなる。
また、処理タワーT1は、膜厚測定ユニット19の上側が、温調ユニット(CPL)20と低温加熱ユニット(LHP)21とベークユニット(DLB)22が下から上にこの順序で積層され、ウエハWに対して所定の熱処理を施す熱処理エリアとなっており、その下側がウエハWに塗布膜を形成する塗布ユニット(SCT)18からなる塗布処理エリアとなっている。このように処理タワーT1は、膜厚測定ユニット19が熱処理エリアから塗布処理エリアへの熱拡散を抑制する構造を有しているために、塗布ユニット(SCT)18では、温度変化による塗布膜の膜質のばらつきが抑えられ、安定した膜質の塗布膜を形成することができる。なお、ベークユニット(DLB)22の上側は、例えばモータや電気系統等の用力系の装置を収納するスペースや、排気管などを収納する排気エリアとして利用されている。
図4は、キャリア載置部11に載置されたキャリアC1〜C3と処理タワーT1との間でのウエハWの搬送経路を模式的に示す説明図である。ここで図4では、説明を容易とするために処理タワーT1を基板搬送手段15の左側に示しているが、実際は処理タワーT1は基板搬送手段15の紙面手前に配置されている(図1参照)。
受渡ユニット(TRS)16は、受け渡し手段12と基板搬送手段15がそれぞれウエハの受け渡しを行うことができるウエハWの受渡ステージ16aを有している。受け渡し手段12によってキャリアC1〜C3から搬出されたウエハWは受渡ステージ16aに載置され、そこから基板搬送手段15によって搬出される。逆に、処理タワーT1において所定の処理が施されたウエハWは基板搬送手段15によって受渡ユニット(TRS)16へ搬入され、そこから受け渡し手段12によって搬出される。
UV照射ユニット(DVT)17は、例えば、薬液を2回に分けて塗布する場合に、2度目の薬液の塗布前に、ウエハWの表面の薬液に対する濡れ性を高めるために、ウエハWの表面(つまり、最初の塗布膜の表面)に紫外線照射処理を施す処理ユニットである。その構造の詳細は図示しないが、ウエハWを載置するステージと、このステージに載置されたウエハWに所定波長の紫外線を照射する紫外線ランプと、を備えている。なお、UV照射ユニット(DVT)17は、処理タワーT1に設けてもよい。
処理タワーT1およびUV照射ユニット(DVT)17へは受け渡し手段12はアクセスできず、基板搬送手段15のみがアクセスできる。SODシステム100Aでは、処理ブロック8内でのウエハWの搬送が1台の基板搬送手段15によって行われるために、処理ブロック8のフットプリントが小さく抑えられる。また、処理タワーT1に一連の処理を行う複数の処理ユニットが集積されているためにウエハWの総搬送距離が短縮され、これによりウエハWの搬送効率が高められて搬送のスループットが向上し、ひいてはSODシステム100A全体としても高いスループットが得られる。
図5は基板搬送手段15の概略構造を示す斜視図である。基板搬送手段15は、個々に1枚ずつウエハWを保持する3つのアーム61a〜61cと、これらのアーム61a〜61cを進退自在に支持する基台62と、この基台62を昇降自在に支持する一対の案内レール63a・63bと、これら案内レール63a・63bの上端および下端をそれぞれ連結する連結部材64a・64bと、案内レール63a・63bおよび連結部材64a・64bよりなる枠体を鉛直軸周りに回転自在に駆動するために連結部材64bに取り付けられた回転駆動部65と、を有している。これにより基板搬送手段15の3本のアーム61a〜61cは、一括して昇降自在かつ回動自在であり、それぞれ独立して水平方向に進退自在である。
次に、処理タワーT1に設けられた各処理ユニットについて詳細に説明する。
図6は塗布ユニット(SCT)18の概略構造を示す断面図である。塗布ユニット18(SCT)では、ウエハの表面に塗布液を塗布する処理が行われる。図6中31は基板保持部であるスピンチャックであり、真空吸着によりウエハWを水平に保持するように構成されている。このスピンチャック31はモータ及び昇降部を含む駆動部32により鉛直軸周りに回転でき、且つ昇降できるようになっている。またスピンチャック31の周囲にはウエハWからスピンチャック31に跨る側方部分を囲い、且つ下方側全周に亘って凹部が形成された液受けカップ33が設けられている。液受けカップ33の上方側には、例えばウエハWの略回転中心に塗布液を供給するための供給ノズル34が設けられており、このノズル34にはバルブV1を備えた供給路34aにより塗布タンク35が接続されている。
このように構成された塗布ユニット18(SCT)においては、前記基板搬送手段15によりウエハWが搬入されてスピンチャック31に受け渡される。そしてバルブV1を開いて供給ノズル34からウエハW表面の略中央部に、絶縁膜の塗布液を供給すると共に、予め設定された回転数でスピンチャック31を回転させる。これにより、塗布液はその遠心力によりウエハWの径方向に広がっていき、こうしてウエハW表面に絶縁膜の液膜が形成される。
なお、前記塗布ユニット18(SCT)の形態では、ウエハ中心部に滴下された塗布液をウエハの回転によって広げて、ウエハ上に塗布液を形成する塗布装置にて記載したが、塗布液を供給するためのノズルをウエハに対して相体的に移動させながら、例えば矩形波状に塗布液を供給し、ウエハ上に塗布液を形成する、いわゆる一筆書き塗布装置(スキャン塗布装置)に対しても適用できる。さらに塗布液を帯状に供給するスリットタイプのノズルを用いた塗布装置に対しても適用できる。
次いで、熱処理エリアについて説明する。図7は低温加熱ユニット(LHP)21の概略構造を示す断面図である。この低温加熱ユニット(LHP)21は、処理容器40を構成する加熱プレート41および蓋体42と、基板搬送手段15に対するウエハWの受け渡しおよび加熱プレート41に対するウエハWの受け渡しを行う昇降ピン43と、昇降ピン43を昇降させる昇降機構43aと、蓋体42を昇降させる昇降機構44と、を有している。
加熱プレート41には、電力供給部41bから供給される電力によって発熱するヒータ41aが埋設されており、加熱プレート41は所定温度、例えば100℃〜130℃に保持することができる。また、加熱プレート41の表面にはウエハWを支持するプロキシミティピン41cが設けられており、昇降ピン43は加熱プレート41を貫通して設けられている。蓋体42は、図示しない窒素ガス供給源から送られてくる窒素ガス(N2)を処理容器40内に供給するガス供給口42aと、処理容器40内の排気を行う排気口42bと、を備えている。
低温加熱ユニット(LHP)21においては、蓋体42を上昇させた状態で基板搬送手段15のウエハWを保持したアーム(例えば61a)が加熱プレート41と蓋体42との間に進入すると、昇降ピン43が上昇して、アーム61aからウエハWを受け取る。アーム61aを退出させた後に昇降ピン43を降下させると、ウエハWはプロキシミティピン41cに支持される。蓋体42を降下させて処理容器40を密閉し、処理容器40内をN2で置換して低酸素雰囲気とした後に、加熱プレート41を所定温度(例えば100℃)に加熱保持する。これにより、ウエハWに形成された塗布膜に含まれる溶剤を蒸発させ、塗布膜を乾燥させることができる。
ところで、温調ユニット(CPL)20は、その構造の詳細は図示しないが、ヒータ41aを備えた加熱プレート41に代えて、冷却機構が設けられたウエハ載置台、つまり、冷却プレートが設けられていることを除いて、概ね低温加熱ユニット(LHP)21と同様に構成されている。この冷却プレートにウエハWを所定時間載置することにより、ウエハWは所定温度に調整される。
図8はベークユニット(DLB)22の概略断面図である。ベークユニット(DLB)22は、処理容器45を構成する加熱プレート46および蓋体47と、加熱プレート46を囲うケーシング48と、加熱プレート46とケーシング48の底板を貫通して配置された昇降ピン49と、昇降ピン49を昇降させる昇降機構49aと、蓋体47を昇降させる昇降機構50と、を備えている。
ケーシング48の一側面には、基板搬送手段15のアーム61a〜61cがウエハWを搬送するために進入/退出可能なウエハ搬送口(図示せず)が設けられている。また、ケーシング48の他の側面には、ケーシング48内の排気を行う排気口48bが設けられている。ケーシング48の上面に設けられた開口部48aは、蓋体47によって閉塞される。
加熱プレート46には、電力供給部46bから供給される電力によって発熱するヒータ46aが埋設されており、加熱プレート46は所定温度、例えば150℃〜350℃に保持することができる。また、加熱プレート46の表面にはウエハWを支持するプロキシミティピン46cが設けられており、昇降ピン49は加熱プレート46とケーシング48の底板を貫通して設けられている。蓋体47は、図示しない窒素ガス供給源から送られてくるN2を処理容器45内に供給するガス供給口47aと、処理容器45内の排気を行う排気口47bと、を備えている。
ベークユニット(DLB)22におけるウエハWの熱処理形態は、先に説明した低温加熱ユニット(LHP)21における熱処理形態と概ね同じである。つまり、ケーシング48の図示しないウエハ搬送口を通して基板搬送手段15によって搬入されたウエハWは、昇降ピン49に受け渡された後に加熱プレート46上に載置される。処理容器45を密閉して、その内部をN2雰囲気とし、加熱プレート46を所定の温度に加熱保持することにより、ウエハWにベーク処理が施される。
図9は膜厚測定ユニット19の概略断面図である。膜厚測定ユニット19は、側面に搬送口51aを有するケーシング51と、このケーシング51内に設けられ、ウエハWを載置するための載置台52と、この載置台52を回転自在かつXおよびY方向に移動自在とする駆動機構53と、光干渉式膜厚計54と、を備えている。
光干渉式膜厚計54は、載置台52上のウエハW表面と対向するように設けられたプローブ54aと、光ファイバ54bと、分光器およびコントローラを含む分光器ユニット54cと、を備えている。光干渉式膜厚計54は、ウエハW表面に照射した光の反射光に基づいてスペクトルを得て、そのスペクトルの基づいて膜厚を検出する。
膜厚測定ユニット19においては、ウエハWをX,Y方向に移動させて、例えばウエハWの直径に沿った多数の位置にプローブ54aを位置させることにより、各位置の膜厚をプローブ54aにより測定する。
上述した各種処理ユニットを有する処理タワーT1は、図2に示すように、筐体102に対して着脱自在である。つまり、処理タワーT1は別の処理タワーと交換することができるようになっている。SOD法では薬液の種類が多く、これに対応して処理工程や処理雰囲気等のプロセス条件が異なるため、薬液の種類ごとに必要な処理ユニットからなる処理タワーを予め用意しておいて、必要な処理タワーを処理ブロック8に組み込むようにすれば、塗布ユニットの洗浄処理や各熱処理ユニットの処理レシピの変更等の種々の作業を行うことなく、SODシステム100Aを薬液の種類に応じた構成に容易に変更することができる。また、1台の処理タワーで排液および排ガスを取り扱う一連の処理を完結させることができるために、混合により有害物質が発生するおそれがある等の混合してはならない薬品等の完全分離が可能となり、安全性が高められる。さらに、処理タワーT1に設けられた一部の処理ユニットが故障した場合に、その処理タワーT1を別の(または予備の)処理タワーに交換することができ、これによってウエハWの処理を続行することができる。
処理タワーT1においては、処理タワーT1に設けられている各種の処理ユニットを別の処理ユニットに交換できるようになっている。図10は処理タワーT1における処理ユニットの交換形態を模式的に示す説明図である。処理タワーT1においては、先に説明した膜厚測定ユニット19、温調ユニット(CPL)20、低温加熱ユニット(LHP)21、ベークユニット(DLB)22はこの順番でケーシング55b〜55eにそれぞれ収納されており、ケーシング55aは塗布ユニット(SCT)18を構成している。ケーシング55a〜55eにはそれぞれ、ケーシング55a〜55e内にウエハWを搬入出するためのウエハ搬送口56a〜56eが設けられている。
処理タワーT1では、例えば図10に示すように、ケーシング55dとその内部に収容された低温加熱ユニット(LHP)21を引き出して、代わりに所定の処理ユニットが収容されたケーシング55d´を装着することができる。より具体的には、処理タワーT1は例えば直方体の外形をなすフレームと各処理ユニットを装着するための棚を形成するフレームとを備えており、各処理ユニットは、棚を形成するフレームに装着、取り外し可能なように構成されている。このような構成により、処理タワーT1の処理ユニット構成を、ウエハWの処理プロセスに合わせて最適化することができる。また、一部の処理ユニットに故障等が生じた場合には、その処理ユニットだけを別の(または予備の)処理ユニットと簡単に交換することができるために、生産性の低下を回避することができる。
図11はケーシング55a〜55eを収容する筐体57へのケーシング55a〜55eの配置状態を示す説明図である。ケーシング55a〜55eは筐体57(図12では図示省略)に対して着脱自在である。ケーシング55a〜55eと筐体57との間には間隙部58が設けられており、この間隙部58には、塗布ユニット(SCT)18のケーシング55aに設けられた排気口68(図6参照)から排出された温湿度調整された空気が流れるようになっている。間隙部58を流れる空気は、排気装置59によって、筐体57に設けられた排気口57aを通して排気される。
次に、SODシステム100Aの制御について説明する。図12はSODシステム100A全体のおおよその制御形態を示す説明図である。SODシステム100A全体の制御を行うシステム制御装置AS1は、CPUやメモリ、メモリに記憶されたプログラム等により構成されており、SODシステム100Aの必須の構成要素であるシャッタ13a・13b、受け渡し手段12、基板搬送手段15、ファンフィルタユニット(FFU)14等の制御を直接的に行う。また、システム制御装置AS1には、後述するように、各種の処理ユニットのユニット制御装置、処理タワーのタワー制御装置、増設ブロックのブロック制御装置を所定数接続できるようになっている。
UV照射ユニット(DVT)17の制御はユニット制御装置90Aによって行われ、ユニット制御装置90Aとシステム制御装置AS1との間では、例えば、UV照射ユニット(DVT)17に対するウエハWの搬入出がスムーズに行われるように、ウエハWの搬送等の信号伝達が行われる。UV照射ユニット(DVT)17とユニット制御装置90Aは固有のID番号を有しており、ユニット制御装置90Aをシステム制御装置AS1に接続すると、UV照射ユニット(DVT)17の制御パラメータ等のユニット情報がシステム制御装置AS1に自動認識(図12中に‘AD’で示す)されるように、ユニット制御装置90Aとシステム制御装置AS1はそれぞれ所定のハードウェアおよびソフトウェアを備えている。
このような自動認識の方法としては、ユニット制御装置90Aからシステム制御装置AS1にID番号とユニット情報を伝達する方法や、システム制御装置AS1にID番号ごとのユニット情報が蓄積されたデータベースを設け、ユニット制御装置90AからID番号がシステム制御装置AS1に送られると、システム制御装置AS1がデータベースからそのIDに関するユニット情報を検索する方法等が挙げられる。
処理タワーT1全体の制御、つまり処理タワーT1に設けられている各処理ユニットのプロセスレシピの作成や管理等は、CPU、メモリおよびメモリに記憶されたプログラム等により構成されたタワー制御装置AT1によって行われる。
処理タワーT1に設けられている塗布ユニット(SCT)18、膜厚測定ユニット19、温調ユニット(CPL)20、低温加熱ユニット(LHP)21、ベークユニット(DLB)22はそれぞれ、専用のユニット制御装置90B、90C、90D、90E、90Fによって運転されるようになっている。例えば、塗布ユニット(SCT)18とそのユニット制御装置90Bは固有のID番号を有しており、ユニット制御装置90Bがタワー制御装置AT1に接続されると、塗布ユニット(SCT)18のユニット情報がタワー制御装置AT1に自動認識される。このような構成は、膜厚測定ユニット19、温調ユニット(CPL)20、低温加熱ユニット(LHP)21、ベークユニット(DLB)22についても同様である。
なお、塗布ユニット(SCT)18のユニット制御装置90Bは、スピンチャック31の昇降と回転、供給ノズル34の移動や薬液の吐出、バルブV1の動作等を行う。膜厚測定ユニット19のユニット制御装置90Cは、駆動機構53により載置台52をX,Y方向に移動制御したり、分光器ユニット54cから得られた信号を処理してウエハWの各位置における膜厚を求め、さらに膜厚分布を作成したり膜厚の平均値などを求める。低温加熱ユニット(LHP)21のユニット制御装置90Eは、電力供給部41bからヒータ41aへの出力制御や、昇降機構43a・44の制御、N2の供給と排気の制御等を行う。ベークユニット(DLB)22のユニット制御装置90Fは、電力供給部46bからヒータ46aへの出力制御や、昇降機構49a・50の制御、N2の供給と排気の制御等を行う。
タワー制御装置AT1が有する、処理タワーT1に設けられた各処理ユニットのユニット情報は、タワー制御装置AT1がシステム制御装置AS1と接続された際にシステム制御装置AS1に自動認識され、これによりシステム制御装置AS1がSODシステム100Aの構成を把握するようになっている。このような制御形態により、SODシステム100Aでは、ウエハWのプロセス管理が容易である。
前述したように、処理タワーT1に設けられた各処理ユニットは別の処理ユニットに交換自在であるから、処理タワーT1に設けられた一の処理ユニットを別の処理ユニットに交換する場合には、別の処理ユニットに付随するユニット制御装置をタワー制御装置AT1に接続する。これによりタワー制御装置AT1は別の処理ユニットを自動認識し、新しい構成となった処理タワーT1の処理レシピを作製し、新しい処理タワーT1でのウエハWの処理を制御する。このように処理タワーT1の制御をタワー制御装置AT1によって行う構成とすることにより、処理タワーT1における処理ユニットの交換に柔軟に対処することができる。
また、処理タワーT1は筐体102に対して着脱自在であるため、処理タワーT1を他の処理タワーと交換する場合には、同時に、タワー制御装置AT1を他の処理タワーのタワー制御装置と交換し、これをシステム制御装置AS1に接続する。これによりシステム制御装置AS1は、新しい処理タワーとその処理ユニット構成を自動認識して、新しい構成となったSODシステムの制御を行う。
なお、タワー制御装置AT1には、処理タワーT1に設けられた各処理ユニットの処理パラメータを、膜厚測定ユニット19において測定された膜厚データに基づいて補正する機能をもたせることができる。膜厚測定ユニット19で測定された膜厚データはタワー制御装置AT1に取り込まれ、タワー制御装置AT1はこの測定データに基づいて対応する処理パラメータを補正し、補正後のパラメータを関係するユニット制御装置へ出力する。
タワー制御装置AT1において補正されるパラメータとしては、例えば塗布ユニット(SCT)18において形成された塗布膜の膜厚が測定される場合には、スピンチャック35の回転数や回転時間、塗布ユニット(SCT)18内の温湿度、薬液の温度、薬液の吐出量等が挙げられ、ベークユニット(DLB)22における処理によって形成された絶縁膜の膜厚が測定される場合には、ベークユニット(DLB)22の加熱時間や加熱温度、N2濃度、酸素濃度等が挙げられる。
処理タワーT1に設けられた膜厚測定ユニット19が、タワー制御装置AT1による処理タワーT1に設けられた各処理ユニットの処理パラメータの補正では対処できない異常を示す膜厚を計測した場合には、警報を発するようにすることが好ましい。この場合には、SODシステム100Aから処理タワーT1を撤去し、代わりに別の処理タワーを装着することによって、SODシステム100AにおけるウエハWの処理を続行することができる。取り外された処理タワーT1については、徹底した原因追求や修理・改善等を行うことができる。
次に、SODシステム100AにおけるウエハWの処理工程について説明する。最初に、例えば25枚のウエハWが収納されたキャリアC1〜C3が、外部から自動搬送ロボット(または作業者等)によりキャリアブロック7のキャリア載置部11に搬入される。例えば、受け渡し手段12はキャリアC1からウエハWを取り出して処理ブロック8の受渡ユニット(TRS)16に搬送する。基板搬送手段15はこのウエハWを受渡ユニット(TRS)16から取り出してウエハWを処理タワーT1に設けられた温調ユニット(CPL)20に搬入し、そこでウエハWは所定温度(例えば23℃)に調整される。温調されたウエハWは、そこから基板搬送手段15によって塗布ユニット(SCT)18に搬送され、そこでウエハWに薬液が塗布され、塗布膜が形成される。
ここで、キャリアC1から搬出された1枚目のウエハWは、塗布ユニット(SCT)18において塗布膜が形成された後に、基板搬送手段15によって膜厚測定ユニット19に搬送され、そこで塗布膜の膜厚測定が行われる。測定された膜厚データは膜厚測定ユニット19のユニット制御装置90Cからタワー制御装置AT1に出力される。タワー制御装置AT1は、この膜厚データが予め設定された規格範囲以内であれば、塗布ユニット(SCT)18の制御パラメータを変更することなく、引き続き、処理タワーT1における所定の処理を行う。一方、膜厚データが規格範囲以外であっても補正可能範囲以内であれば、塗布ユニット(SCT)18における所定の処理パラメータ(例えばスピンチャック35の回転数)はタワー制御装置AT1によって補正され、その補正値が塗布ユニット(SCT)18のユニット制御装置90Bに出力される。以降、塗布ユニット(SCT)18においては補正後の処理パラメータにしたがって塗布膜を形成する処理が行われる。これに対して、膜厚データが規格範囲以外であって補正可能範囲以外である場合には、タワー制御装置AT1は、ブザー音の鳴動、警報ランプの点灯、操作画面へのアラーム表示等によりSODシステム100Aのオペレータに警告を発する。
塗布膜が形成されたウエハWは、基板搬送手段15により低温加熱ユニット(LHP)21に搬送され、ここで約100℃〜130℃に加熱されることにより、塗布膜の乾燥が行われる。次いで、ウエハWは基板搬送手段15によりベークユニット(DLB)22に搬送されて、そこで、例えば約200℃〜300℃で、所定のベーク処理が行われ、絶縁膜が形成される。例えばベーク処理温度は、商品名「LKD」という薬液の場合は200℃であり、商品名「シルク」という薬液の場合は約300℃であり、商品名「AlCap」という薬液の場合は約240℃であり、商品名「DUO」という薬液の場合は約200℃である。
ここで、キャリアC1から搬出された1枚目のウエハWは、ベークユニット(DLB)22にてベーク処理が行われた後、基板搬送手段15によって膜厚測定ユニット19に搬送され、ここでベーク処理によって形成された絶縁膜の膜厚が測定される。測定された膜厚データはタワー制御装置AT1に送られ、タワー制御装置AT1は、この膜厚データが予め設定された規格範囲以内であれば、2枚目以降のウエハWについて、引き続き、処理タワーT1における処理を行う。一方、この膜厚データが規格範囲以外であって補正可能範囲以内であれば、例えばベークユニット(DLB)22における加熱温度や加熱時間、N2の濃度等の処理パラメータが補正され、2枚目以降のウエハWについては、この補正後の処理パラメータにしたがってベークユニット(DLB)22における処理が行われる。これに対して、この膜厚データが規格範囲以外であって補正可能範囲以外であれば、所定のアラームが表示されて処理タワーT1における処理が停止される。
ベーク処理が行われたウエハWは、基板搬送手段15により受渡ユニット(TRS)16に搬送され、受け渡し手段12によってキャリアC1内に戻される。
なお、薬液の種類によっては、ベーク処理では絶縁膜の形成が完結せずにベーク処理温度よりもさらに高い温度に加熱等することによって架橋またはポロジェンの離脱を進行させて塗布膜を硬化させる、いわゆる、キュア処理を行うことによって、完全な絶縁膜が得られる場合がある。この場合には、SODシステム100Aによる所定の処理が終了したウエハWには、SODシステム100Aとは別に設けられたキュア装置にて所定のキュア処理が施される。
SODシステム100Aによるこのような一連の処理において、膜厚測定ユニット19による膜厚測定は、ウエハWの全数について行うようにしてもよいし、または例えばベアウエハからなるモニタウエハを用いて行うようにしてもよい。塗布膜の膜厚を、適宜、監視することによって、膜厚に異常が現れたときにどの処理タワーのどの処理ユニットに原因があるかを容易にサーチすることができ、ウエハWの管理が容易となる。
SODシステム100AにおけるウエハWの処理方法としては、絶縁膜を厚く形成するために、薬液の塗布を2回に分けて行う方法がある。この場合の処理は、塗布ユニット(SCT)18における第1の塗布膜の形成、低温加熱ユニット(LHP)21における乾燥処理、ベークユニット(DLB)22におけるベーク処理、UV照射ユニット(DVT)17における表面改質処理、第2の塗布膜の形成、乾燥処理、ベーク処理の順で行われる。または、1層目の塗布膜の形成、乾燥処理、表面改質処理、第2の塗布膜の形成、乾燥処理、ベーク処理の順で処理してもよい。このような方法を用いれば、高粘度の薬液を用いる場合と比較して膜厚均一性を高めることができ、また、薬液の配管内やノズル先端で固化が抑制される。
次に、SODシステムの別の実施形態について説明する。図13は、先に説明したSODシステム100Aに1台の増設ブロック9を設けたSODシステム100Bの概略構造を示す水平断面図である。増設ブロック9の構成は処理ブロック8の構成と同じであり、増設ブロック9は、ウエハWに絶縁膜を形成するための所定の処理を行う処理タワーT2と、処理ブロック8との間でウエハWの搬送を行うための受渡ユニット(TRS)(図示せず)と、その上段に設けられたUV照射ユニット(DVT)17´と、増設ブロック9内でウエハWを搬送する基板搬送手段15´とを具備している。処理タワーT2は、処理タワーT1と同様に、具備する複数の処理ユニットを別の処理ユニットに交換することができる。また、増設ブロック9において処理タワーT2は別の処理タワーと交換自在である。
図14はSODシステム100Bの制御システムを示す説明図である。先に説明したタワー制御装置AT1と同じ構成を有し、処理タワーT2の制御を行うタワー制御装置AT2を、増設ブロック9の制御を行うブロック制御装置AB1に接続すると、ブロック制御装置AB1は処理タワーT2に設けられた各種処理ユニットのユニット情報を自動認識する。また、UV照射ユニット(DVT)17´のユニット制御装置は直接にブロック制御装置AB1に接続される。これによりブロック制御装置AB1は増設ブロック9での処理レシピを作成する。また、基板搬送手段15´の制御装置も直接にブロック制御装置AB1に接続される。このブロック制御装置AB1がシステム制御装置AS1に接続された際に、システム制御装置AS1は増設ブロック9が配置されたことを自動認識し、SODシステム100B全体のウエハWの搬送や処理のレシピを作成する。このようにSODシステム100Bでは、増設ブロック9の配置による制御システムの構築が容易である。
SODシステム100Bでは、例えば、第1のキャリアC1に収容されたウエハWを処理タワーT1で処理し、第2のキャリアC2に収容されたウエハWを処理タワーT2で処理することができる。このとき、処理タワーT1と処理タワーT2とで、同種の絶縁膜が形成されるようにしてもよいし、異なる絶縁膜が形成されるようにしてもよい。さらに、処理タワーT1で第1の絶縁膜を形成し、次いで処理タワーT2において第1の絶縁膜の上に第2の絶縁膜を形成する処理を行うこともできる。この場合において、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜とは同種の絶縁膜であってもよいし、異種の絶縁膜であってもよい。2層構造の絶縁膜を形成する場合には、ウエハWのUV照射ユニット(DVT)17・17´による処理は、第2の絶縁膜を形成するための薬液をウエハWに塗布する直前に行われる。なお、処理タワーT1と処理タワーT2とで異種の絶縁膜を形成する場合には、各処理タワーT1・T2の処理ユニットの構成を変えてもよい。
SODシステム100Bは既存のSODシステム100Aを活かした設備増強を可能とする。例えば、生産量を上げるための設備増強が必要となった場合に、新たにSODシステム100Aを設置したのではコストやフットプリントの点での不利益が大きくなる。しかし、SODシステム100Aに増設ブロック9を追加配置してSODシステム100Bとすることにより、フットプリントの増大と設備コストを抑え、かつ、ウエハWの処理能力を高めることができる。
図15はさらに別のSODシステム100Cの水平断面図である。SODシステム100Cの処理ブロック8aには、処理タワーT1´・T2´が基板搬送手段15を挟んで配置されている。SODシステム100Cでは、2つの処理タワーT1´・T2´に対するウエハWの搬送を1台の基板搬送手段15によって行うために、搬送スループットが高い。また、SODシステム100Cは、先に説明したSODシステム100Bと比べると、フットプリントが小さいという利点を有している。
図16はSODシステム100Cの処理ブロック8aの概略構成を示す説明図である。温調ユニット(CPL)20は、処理タワーT1´・T2´にではなく、受渡ユニット(TRS)16とUV照射ユニット(DVT)17との中間に配置されている。
温調ユニット(CPL)20で所定温度に温調されたウエハWは、処理タワーT1´・T2´にそれぞれ設けられた塗布ユニット(SCT)18に搬送される。このように処理タワーT1´・T2´で温調ユニット(CPL)20を共用することができるのは、温調ユニット(CPL)20は塗布ユニット(SCT)18において絶縁膜を形成するための薬液を塗布する前にウエハを所定温度(例えば23℃)に調整するものであるが、その際のウエハWの温調温度は使用する薬液の種類に関係なく、一律の温調温度としても構わないからである。
なお、受渡ユニット(TRS)16に設けられている受渡ステージ16aを温調ユニット(CPL)20の機能を備えた構成とし、ここで温調されたウエハWを処理タワーT1´または処理タワーT2´に搬送してもよい。また、受渡ユニット(TRS)16に2台以上の温調ユニット(CPL)20を併設してもよい。
SODシステム100CによるウエハWの処理方法は、先に説明したSODシステム100Bに準ずるので、ここでは説明を割愛する。処理タワーT1´・T2´の空スペースには、適宜、必要とされる所定の処理ユニットを配置することができる。また、通常は使用しないベーク処理ユニット(DLB)22等を予備的に配置しておいてもよい。
図17はSODシステム100Dの水平断面図である。SODシステム100Dの処理ブロック8bには、基板搬送手段15aを囲むように、4個の処理タワーT1〜T4が設けられている。ここで、基板搬送手段15aは、SODシステム100Aに設けられている基板搬送手段15を案内レールRに沿ってX方向にスライド自在としたものである。これにより、基板搬送手段15aは、処理タワーT1〜T4に設けられた各処理ユニットに対してウエハの受け渡しを行うことができる。
SODシステム100Dにおいて、4個の処理タワーT1〜T4にはそれぞれ、ウエハWに対して1層の絶縁膜を形成するために必要な処理ユニットが組み合わせて備えられている。また、処理タワーT1〜T4ごとに個別に処理が制御されるように、処理タワーT1〜T4ごとにタワー制御装置AT1〜AT4が設けられている。
処理タワーT1〜T4では、同じ絶縁膜を形成してもよいし、異なる絶縁膜を形成してもよい。また、最初に処理タワーT1で第1の絶縁膜を形成し、次いで処理タワーT2においてこの第1の絶縁膜の上に第2の絶縁膜を形成し、続いて処理タワーT3においてこの第2の絶縁膜の上に第3の絶縁膜を形成し、最後に処理タワーT4においてこの第3の絶縁膜の上に第4の絶縁膜を形成することにより、4層の絶縁膜を連続して形成してもよい。さらに、処理タワーT1と処理タワーT2に1枚ずつウエハWを搬送してそこで各ウエハWに第1の絶縁膜を形成し、次いでこれらのウエハWを処理タワーT3と処理タワーT4に1枚ずつ搬送して、そこで第1の絶縁膜の上に第2の絶縁膜を形成してもよい。
SODシステム100Dでは、4個の処理タワーT1〜T4に対して共通の基板搬送手段15aによりウエハWを搬送しているので、処理タワーごとに基板搬送手段15を備える場合と比べると、フットプリントを小さくすることができる。また、上述したように、単層や2層または4層の絶縁膜を形成する等の多様な処理に対応することができる。
図18はSODシステム100Eの水平断面図であり、図19はその概略背面図である。SODシステム100Eは、その処理ブロック8cに、塗布ユニット(SCT)18と、膜厚測定ユニット19と、低温加熱ユニット(LHP)21と、ベークユニット(DLB)22と、ベーク処理後のキュア処理を行うキュアユニット(DLC)36とが積層された処理タワーT1″・T2″が配置された構造を有している。
図20は、キュアユニット(DLC)36の概略構造を示す断面図である。キュアユニット(DLC)36は、ウエハWを加熱する加熱室71と、加熱室71に隣接して設けられ、ロードロック室を兼用する温調処理室73とを備えており、加熱室71と温調処理室73との間には、ウエハWの受け渡しを行うための開閉自在なゲートバルブ74が設けられている。
加熱室71には、電力供給部72eから電力供給されるヒータ72aが埋設され、例えば200℃〜450℃に設定可能な加熱プレート72が備えられている。加熱プレート72の表面にはウエハWを加熱プレート72の表面に近接させて支持するプロキシミティピン72bが設けられており、また、加熱プレート72上でウエハWを昇降させる昇降ピン72cが加熱プレート72を貫通して配置されている。昇降ピン72cの駆動は昇降機構72dによって行われる。
温調処理室73にはウエハWを保持してウエハWの温度を例えば20℃〜35℃に調整し、かつ、ガイドレール76aに沿って移動機構76bにより加熱室71に対して進退自在な移送温調プレート76と、昇降機構76dにより昇降自在であり、移送温調プレート76上でウエハWを昇降させる昇降ピン76cとが設けられている。基板搬送手段15とキュアユニット(DLC)36との間でのウエハWの受け渡しは、温調処理室73側のウエハ搬送口73a(図18参照)を通して行われる。このウエハ搬送口73aはシャッタ73b(図18参照)により開閉される。
加熱室71と温調処理室73にはそれぞれ、窒素ガス供給機構75からN2が供給されるようになっており、一方、加熱室71と温調処理室73の内部雰囲気はそれぞれ図示しない排気装置(例えば真空ポンプ)により、排気可能となっている。
キュアユニット(DLC)36では、加熱室71内に窒素ガス供給機構75からN2を供給し、その一方で加熱室71内の雰囲気を排気することにより、加熱室71内を低酸素濃度、かつ、所定の減圧状態とする。温調処理室73のウエハ搬送口73aを通して基板搬送手段15によって温調処理室73内に搬入されたウエハWを昇降ピン76cが受け取り、その後、ウエハWは移送温調プレート76に載置される。続いて、温調処理室73内に窒素ガス供給機構75からN2を供給し、その一方で温調処理室73内の雰囲気を排気することにより、温調処理室73内を低酸素濃度、かつ、所定の減圧状態とする。次に、ゲートバルブ74を開いて移送温調プレート76を加熱室71へ移動させ、ウエハWは移送温調プレート76から昇降ピン72cに受け渡される。移送温調プレート76が温調処理室73に戻されるとゲートバルブ74が閉じられ、一方、昇降ピン72cを降下させることによりウエハWは加熱プレート72上に載置される。加熱室71内を所定の低酸素雰囲気かつ所定の減圧状態に再調整して、加熱プレート72にてウエハWを所定温度に加熱し、所定のキュア処理を行う。こうしてキュア処理が終了したウエハWは、加熱室71内に進入させた移送温調プレート76に受け渡され、温調処理室73に戻された後に所定の温度に温調される。その後、温調処理室73内を常圧とし、ウエハ搬送口73aを開き、キュア処理後のウエハWを基板搬送手段15によって搬出する。
キュアユニット(DLC)36における各種動作制御、例えば電力供給部72eからヒータ72aへの出力制御(つまり加熱プレート72の温度制御)や、昇降ピン72c・76cの昇降動作、ゲートバルブ74の開閉動作、移送温調プレート76の移動動作、加熱室71と温調処理室73の真空度およびN2濃度調整等は、ユニット制御装置90Gによって行われる。例えば、処理タワーT1″の場合、ユニット制御装置90Gがタワー制御装置AT1に接続されると、キュアユニット(DLC)36のユニット情報がタワー制御装置AT1に送られて、タワー制御装置AT1はキュア処理を含めた処理レシピを作成する。また、タワー制御装置AT1は、キュアユニット(DLC)36の制御パラメータを、膜厚測定ユニット19における膜厚測定結果に基づいて、適切な値に変更することができるようになっている。
SODシステム100Eにおいては、キュア処理を装置外部で行う場合、つまり、キュア処理装置をSODシステムと別に設ける場合と比較すると、トータルで装置設置のための占有面積を小さくすることができる。また、ベークユニット(DLB)22とキュアユニット(DLC)36との間のウエハの搬送距離が短くなるので、搬送スループットを高めることができる。
SODシステム100Eを用いて、例えばウエハWに2層の絶縁膜を連続して形成する場合には、処理タワーT1″において第1の絶縁膜を形成する処理をベーク処理で終了させ、次に処理タワーT2″で第2の絶縁膜を形成する処理をキュア処理で終了させることもできる。この場合には、処理タワーT2″におけるキュア処理時に第1の絶縁膜と第2の絶縁膜が同時にキュア処理されるために、処理タワーT1″には必ずしもキュアユニット(DLC)36は必要ではない。
図21はSODシステム100Fの水平断面図であり、図22はその概略背面図である。SODシステム100Fは、先に説明したSODシステム100Cの処理ブロック8aを変形させた処理ブロック8d、つまり処理タワーT2に代えてキュアユニット(DLC)36が多段に積み重ねられたキュア処理タワーTCが設けられた処理ブロック8d、を備えている。処理タワーT1でベーク処理が終了したウエハWは、逐次、基板搬送手段15によってキュア処理タワーTCのキュアユニット(DLC)36のいずれかへ搬送され、そこで所定のキュア処理が行われる。
キュア処理タワーTCの制御はタワー制御装置Acによって行われる。システム制御装置AS1はタワー制御装置Acが接続されるとキュア処理タワーTCの構成を認識し、SODシステム100FでのウエハWの処理レシピを作成する。キュアユニット(DLC)36の制御パラメータは、膜厚測定ユニット19における膜厚測定結果に基づいて、システム制御装置AS1が適切な値に変更することができるようになっている。
SODシステム100Fでは、SODシステム100Eと同様に、キュアユニット(DLC)36を備えているために、キュア処理装置をSODシステムと別に設ける場合と比較すると、ベークユニット(DLB)22とキュアユニット(DLC)36との間のウエハの搬送距離が短いので、搬送スループットを高めることができる。また、処理温度が高く、処理時間が長いキュアユニット(DLC)36が他の処理ユニットから分けられているために、キュアユニット(DLC)36から他の処理ユニットへの熱影響を抑制することができる。
なお、このようにキュア処理装置専用のタワーTCを設ける構成は、SODシステム100B〜100Dに適用してもよく、即ち、既述の一連の処理を行うタワー(T1〜T4)が複数設けられていると共にキュア処理専用のタワーTCが設けられていてもよい。またキュア処理タワーTCに代えて、例えば25枚〜50枚のウエハを同時にキュア処理するバッチ式の熱処理炉等を配置してもよい。
絶縁膜を形成するためのキュア処理は、上述したように、ウエハWを熱処理する方法に代えて、電子線によってキュア処理を行う装置、いわゆる、EBキュアユニットを用いることができる。
図23はEBキュアユニット(EBC)37の概略構造を示す水平断面図であり、図24はその垂直断面図である。EBキュアユニット(EBC)37は、ケーシング80の内部に、電子線処理室81とロードロック室を兼用するウエハ搬入出室82とがゲートバルブ83によって隔てられて設けられた構造を有する。電子線処理室81とウエハ搬入出室82にはそれぞれ、図示しない窒素ガス供給機構からN2ガスが供給されるようになっており、一方、電子線処理室81とウエハ搬入出室82の内部雰囲気はそれぞれ図示しない排気装置(例えば真空ポンプ)により、排気可能となっている。
ウエハ搬入出室82には多関節構造を有する内部搬送アーム84(関節部分の詳細な図示は省略する)が設けられている。ウエハ搬入出室82は、ウエハ受渡ゾーンP1とアーム退避ゾーンP2とに大別することができ、内部搬送アーム84は、ウエハ受渡ゾーンP1とアーム退避ゾーンP2と電子線処理室81との間を移動自在である。ウエハ受渡ゾーンP1には昇降機構85bにより昇降自在な昇降ピン85aが設けられており、ウエハ搬入出室82のウエハ受渡ゾーンP1側には、シャッタ86bにより開閉自在なウエハ搬送口86aが設けられている。
電子線処理室81には、ウエハWを載置するステージ87と、ステージ87に載置されたウエハWに電子線を照射する電子線発生装置88と、ステージ87を貫通して設けられ、昇降機構89bにより昇降自在な昇降ピン89aが設けられている。図25は電子線照射装置88の平面図であり、電子線照射装置88は、複数の電子線照射管88aが所定の直径の円内に密集して配置された構造を有している。なお、ステージ87には、ウエハWを所望の温度に調整する温調器を設けてもよい。
このような構造を有するEBキュアユニット(EBC)37においては、先ず、ウエハ搬入出室82をN2雰囲気かつ常圧に保持し、内部搬送アーム84をアーム退避ゾーンP2に退避させた状態で、シャッタ86bを駆動してウエハ搬送口86aを開く。続いて、ベーク処理が終了したウエハWを保持したアーム61をウエハ搬送口86aを通してウエハ受渡ゾーンP1へ進入させ、その後に昇降ピン85aを上昇させる。これにより昇降ピン85aにウエハWは支持される。アーム61を退避させた後にウエハ搬送口86aを閉じ、ウエハ搬入出室82と電子線処理室81とを所定の低酸素減圧雰囲気に保持する。次いで、内部搬送アーム84をウエハ受渡ゾーンP1へ移動させて昇降ピン85aを降下させることにより、ウエハWは内部搬送アーム84に保持される。続いて、ゲートバルブ83を開いて内部搬送アーム84を電子線処理室81へ進入させた後に昇降ピン89aを上昇させ、ウエハWを昇降ピン89aに持ち替える。内部搬送アーム84をウエハ搬入出室82へ戻し、昇降ピン89aを降下させてステージ87にウエハWを載置する。電子線処理室81を所定の真空雰囲気とした後に、電子線発生装置88を動作させてウエハWに電子線を照射し、キュア処理を行う。なお、キュア処理の際、電子線照射管88aの冷却やプロセス反応促進を目的として、アルゴンガスやメタンガス等のプロセスガスを導入することが好ましい。
キュア処理が終了したら、プロセスガスを排気し、電子線処理室81にN2を供給し、ウエハ搬入出室82と電子線処理室81を同等雰囲気としてゲートバルブ83を開き、先にウエハWをステージ87に載置させた手順と逆の手順によって内部搬送アーム84にウエハWを保持させる。内部搬送アーム84をウエハ搬入出室82のウエハ受渡ゾーンP1へ移動させて、ウエハWを昇降ピン85aに受け渡す。その後、内部搬送アーム84をアーム退避ゾーンP2に退避させ、ウエハ搬送口86aを開き、ウエハWを保持していないアーム61をウエハ受渡ゾーンP1に進入させ、このアーム61にウエハWを受け渡す。次にキュア処理を行うウエハWを別のアーム61が保持している場合には、そのウエハWをウエハ受渡ゾーンP1に搬入し、以下、前述した方法によりウエハWをEBキュアユニット(EBC)37内で搬送し、処理する。
このようなEBキュアユニット(EBC)37(またはキュアユニット(DLC)36)は、先に説明したSODシステム100A〜100Dに付加設置することができ、また、SODシステム100E・100Fのキュアユニット(DLC)36と置換して配置することができる。
例えば、図26に、先に説明したSODシステム100BにEBキュアユニット(EBC)37を併設してなるSODシステム100B´の水平断面図を示す。SODシステム100B´には、EBキュアユニット(EBC)37における各種の制御、例えば、電子線発生装置88の電源、ステージ87の温調器用制御装置や内部搬送アーム84の制御装置等の各種制御装置等が搭載された電装ユニット70が、EBキュアユニット(EBC)37に隣接して配置されている。
EBキュアユニット(EBC)37の電装ユニット70がシステム制御装置AS1に接続されると、システム制御装置AS1はSODシステム100B´全体のユニット構成等を把握し、SODシステム100B´全体でのウエハWの処理レシピや搬送レシピを作成する。SODシステム100B´では、処理タワーT1・T2でのベーク処理が終了したウエハWのEBキュアユニット(EBC)37のウエハ受渡ゾーンP1に対する受渡を基板搬送手段15が行う。
SODシステム100B´では、EBキュアユニット(EBC)37がシステムの外側に配置されているために、EBキュアユニット(EBC)37が故障した際のメンテナンスが容易である。
なお、EBキュアユニット(EBC)37は多段に積層されていてもよい。EBキュアユニット(EBC)37の配設位置は、図26に示される位置に限定されるものではなく、増設ブロック9に設けられている基板搬送手段15´がEBキュアユニット(EBC)37のウエハ受渡ゾーンP1に対する受渡を行うことができる位置、例えば、図26における増設ブロック9の左側に設けてもよい。さらに、EBキュアユニット(EBC)37は、図26に示す位置と増設ブロック9の左側の位置の両方に設けてもよい。
図27の水平断面図に示すSODシステム100F´は、先に説明したSODシステム100Fの処理ブロック8dを変形させた処理ブロック8e、つまりキュア処理タワーTCに代えてEBキュアユニット(EBC)37が例えば2段に積層されてなるEBキュア処理タワーTC´が設けられた処理ブロック8e、を備えている。処理タワーT1と同様にEBキュア処理タワーTC´もまた、処理ブロック8eに対して着脱自在である。このため、EBキュアユニット(EBC)37に故障が生じた場合でも、EBキュア処理タワーTC´を処理ブロック8eから引き出すことにより、容易に修理を行うことができる。
EBキュアユニット(EBC)37を、例えば、SODシステム100Aの処理ブロック8内に設ける場合には、図28に示すSODシステム100A´のように、EBキュアユニット(EBC)37をUV照射ユニット(DVT)(図28には図示せず)の上側に設けることもできる。この場合にも、EBキュアユニット(EBC)37のメンテナンスが容易となるように、EBキュアユニット(EBC)37が単独で処理ブロック8fに対して着脱可能な構成とすることが好ましい。
これらSODシステム100A´・100B´・100F´のように、EBキュアユニット(EBC)37をSODシステムに配置する場合には、主にその真空部(電子線処理部81とウエハ搬入出室82)のメンテナンスを容易に行うことができるように、この真空部(つまりケーシング80)と電装ユニット70とを、一定間隔空けて配置することが好ましい。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、SODシステム100Aの処理タワーT1において、低温加熱ユニット(LHP)21を設けることなく、ベークユニット(DLB)22を2台以上配置し、ベークユニット(DLB)22において塗布膜の乾燥処理とベーク処理とを連続して行ってもよい。
また、SODシステム100Aにその処理ブロック8と同様の構成を有する増設ブロック9を付加する場合、その台数は1台に限定されず2台以上であってもよい。SODシステム100Aにその処理ブロック8と同様の構成を有する増設ブロック9を付加することによりSODシステム100Bとし、さらにSODシステム100BにEBキュアユニット(EBC)37を付加してSODシステム100B´としたように、SODシステム100Cにその処理ブロック8aと同様の構成を有する増設ブロック9aを付加し、さらにこれにたEBキュアユニット(EBC)37を付加したSODシステムを構築することができる。図29はこのようなSODシステム100C´の概略構造を示す水平断面図である。SODシステム100C´は、4台の処理タワーT1〜T4を有するので、ウエハWを、例えば、SODシステム100Dと同様のレシピで処理することができ、さらにEBキュアユニット(EBC)37においてキュア処理を行うことができる。
これと同様に、SODシステム100Dにその処理ブロック8bと同様の構成を有する増設ブロック9bを付加したSODシステムを構築することができる。図30はこのSODシステム100D´の概略構造を示す水平断面図である。SODシステム100D´では、8台の処理タワーT1〜T8のそれぞれにおいて、同種の絶縁膜を形成してもよいし、異なる絶縁膜を形成してもよい。また、8枚のウエハWを1枚ずつ処理タワーT1〜T8にそれぞれ搬送して、そこでウエハWに1層の絶縁膜を形成してもよい。さらに、処理ブロック8bで第1の絶縁膜を形成した後に、増設ブロック9bで第2の絶縁膜を形成するようにしてもよい。
SODシステム100A・100C・100Dを比較してわかるように、処理ブロックに設けられる処理タワーの数は任意である。また、SODシステム100Cの処理ブロック8aに隣接させて、SODシステム100Dの処理ブロック8bと同様の構成を有する増設ブロック9bを付加した、6台の処理タワーを備えた新たなSODシステムを構築することもできる。
上述した各種のSODシステムにおいては、処理タワーに代えて、複数の膜厚測定ユニット19が積層されてなる検査タワーを配置することも可能である。また、例えば、タワー制御装置AT1は、処理タワーT1を構成する各処理ユニットの制御パラメータを修正する機能を有することなく、所定の異常がある場合に所定のアラームを出力する機能のみを有するものであってもよい。
さらに、使用するSOD材料によっては、塗布後にアンモニア雰囲気による処理や溶剤置換処理などの化学的処理を追加する必要があるため、前述した種々の処理ユニットに加えて、エージングユニットや溶剤置換ユニット等を処理タワーに搭載してもよい。
上記説明においてはウエハWを処理する装置について説明したが、液晶ディスプレイ等に使用されるガラス基板を処理する装置についても本発明は適用可能である。本発明は、SOD法による絶縁膜の形成のみならず、SOG(Spin on Glass)膜の形成に適用することができる。ここでSOG膜とは、CVDで形成された膜は表面が凹凸状態であるので、これを平坦化するために、このCVD法により形成された膜の表面に形成されるSiO2膜である。SOG膜は、SOD法と同様に、薬液をウエハ表面にスピンコートした、その後にウエハに対して加熱処理を施すことにより形成される。