JP3657134B2 - 塗布膜形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイスの製造工程等において、基板上に塗布液を塗布して絶縁膜等を形成する塗布膜形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造工程においては、例えば、ゾル−ゲル法、シルク法、スピードフィルム法、およびフォックス法等により、ウエハ上に塗布膜をスピンコートし、化学的処理または加熱処理等を施して層間絶縁膜を形成している。
【0003】
上記ゾル−ゲル法により層間絶縁膜を形成する場合には、TEOSのコロイドを有機溶媒に分散させた塗布液をウエハの表面に塗布し、その塗布膜をゲル化させた後、塗布膜中の溶媒を他の溶媒に置き換え、その後、乾燥させて層間絶縁膜を得ている。
【0004】
また、上記シルク法、スピードフィルム法、およびフォックス法により層間絶縁膜を形成する場合には、冷却したウエハに塗布液を塗布し、加熱処理して冷却処理し、さらに、低酸素濃度雰囲気において加熱処理および冷却処理を施す硬化処理によって塗布膜を硬化(キュア)させ、層間絶縁膜を得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記絶縁膜の形成方法は、層間絶縁膜の種類に応じて、適宜選択して採用されるものであり、多種類の層間絶縁膜をそれぞれ上記別々の方法に基づいて形成する際、一つの塗布膜形成システムにより行うことが求められている。また、各方法において塗布膜を高スループットで形成することが求められている。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、一つの装置で、種々の塗布方法に対応した塗布膜を形成することができ、しかも、塗布膜形成のスループットが高い塗布膜形成装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点によれば、基板に塗布液を塗布して塗布膜を形成するための塗布膜形成装置であって、
基板に対して塗布膜を形成するための一連の処理を施す処理部と、
処理部内で基板を搬送する基板搬送機構と
を具備し、
前記処理部は、
基板に塗布液を塗布する塗布処理ユニットおよび基板に溶媒を塗布して塗布膜の溶媒を置換するソルベントイクスチェンジユニットを含む複数の液体処理系ユニットが多段配置されてなる第1の処理ユニット群と、
基板を冷却する冷却ユニット、基板を加熱する加熱処理ユニット、基板上の塗布膜をエージングしてゲル化処理するエージング処理ユニット、および低酸素濃度雰囲気において、基板に加熱および冷却処理を施して塗布膜を硬化させる硬化処理ユニットを含む熱処理系ユニットが多段配置されてなる第2の処理ユニット群とを有し、
前記搬送機構は、これら第1および第2の処理ユニット群に隣接して設けられ、各ユニットに対する基板の搬入出を行うことを特徴とする塗布膜形成装置が提供される。
【0009】
本発明の塗布膜形成装置においては、種々の塗布方法に対応した複数の処理ユニットからなる第1および第2の処理ユニット群を備えているので、一つの装置で、種々の塗布方法に対応した塗布膜を形成することができる。
【0010】
具体的には、層間絶縁膜の形成にゾル−ゲル法を採用する場合には、冷却処理ユニット→塗布処理ユニット→エージングユニット→ソルベントイクスチェンジユニット→加熱処理ユニットの順序で基板をフローさせることにより、塗布膜を形成することができる。
【0011】
また、シルク法およびスピードフィルム法を採用する場合には、冷却処理ユニット→塗布処理ユニット(アドヒージョンプロモータ塗布)→冷却処理ユニット→塗布処理ユニット(本薬液塗布)→加熱処理ユニット→冷却処理ユニット→硬化処理ユニットの順序で基板をフローさせることにより、塗布膜を形成することができる。
【0012】
さらに、フォックス法を採用する場合には、冷却処理ユニット→塗布処理ユニット→加熱処理ユニット→冷却処理ユニット→硬化処理ユニットの順序で基板をフローさせることにより、塗布膜を形成することができる。
【0013】
また、このように各処理ユニットを集約しているので、塗布膜形成のスループットが高い。特に、複数の液体処理系ユニットが多段配置されてなる第1の処理ユニット群と、複数の熱処理系ユニットが多段配置されてなる第2の処理ユニット群とを設け、これら処理ユニット群に隣接して基板の搬入出を行う搬送機構を設けた構成の場合には、装置自体をコンパクトにすることができ、搬送時間も短くなるので、塗布膜形成のスループットを著しく向上させることができる。
【0014】
この場合に、前記処理部に連接して設けられ、処理前の基板および処理後の基板を待機させるとともに、前記処理部に対する基板の搬入出を行うキャリアステーションと、このキャリアステーションと前記処理部との間で基板受け渡しを行う受け渡し部を有するように構成することができる。
【0015】
また、前記処理部は、少なくとも2つの塗布処理ユニットを有することにより、スループットを一層向上させることができる。特に、上記シルク法およびスピードフィルム法の場合には、アドヒージョンプロモータを塗布した後に本薬液を塗布するが、この場合に少なくとも2つの塗布処理ユニットがあれば、高いスループットを維持することができる。
【0016】
さらに、前記処理部が、少なくとも2つのエージング処理ユニットおよび少なくとも2つの硬化処理ユニットを有するように構成することにより、これらの処理におけるスループット低下を回避することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る塗布膜形成装置(SODシステム)について説明する。
【0018】
図1(a)は、本発明の実施の形態に係るSODシステムの上段の平面図であり、図1(b)は、そのSODシステムの下段の平面図であり、図2は、図1に示したSODシステムの側面図であり、図3は、図1に示したSODシステム内に装着された2個のユニット積層体の側面図である。
【0019】
このSODシステムは、大略的に、処理部1と、サイドキャビネット2と、キャリアステーション(CSB)3とを有している。
【0020】
処理部1は、図1(a)および図2に示すように、その手前側の上段に設けられた、ソルベントイクスチェンジユニット(DSE)11と、高粘度用の塗布処理ユニット(SCT)12とを有し、さらに、図1(b)および図2に示すように、その手前側の下段に設けられた、低粘度用の塗布処理ユニット(SCT)13と、薬品等を内蔵したケミカル室14とを有している。
【0021】
処理部1の中央部には、図1の(a)および(b)に示すように、複数の処理ユニットを多段に積層してなる処理ユニット群16,17が設けられ、これらの間に、昇降してウエハWを搬送するための搬送機構18が設けられている。左側の処理ユニット群16は、図3に示すように、その上側から順に、低温用のホットプレート(LHP)19と、硬化(キュア)処理ユニットである2個のDCC処理ユニット(Dielectric Oxygen Density Controlled Cure and Cooling-off)20と、2個のエージングユニット(DAC)21とが積層されて構成されている。また、右側の処理ユニット群17は、その上側から順に、2個の高温用のホットプレート(OHP)22と、低温用のホットプレート(LHP)23と、2個のクーリングプレート(CPL)24と、受け渡し部(TRS)25と、クーリングプレート(CPL)26とが積層されて構成されている。なお、受け渡し部(TRS)25はクーリングプレートの機能を兼ね備えることも可能である。
【0022】
また、サイドキャビネット2は、その上段に、薬液を供給するためのバブラー27と、排気ガスの洗浄のためのトラップ(TRAP)28とを有し、その下段に、電力供給源29と、HMDSやアンモニア等の薬液を貯留するための薬液室30と、廃液を排出するためのドレイン31とを有している。
【0023】
次に、上記のように構成されたSODシステムにおいて、ゾル−ゲル方法により層間絶縁膜を形成する場合について詳細に説明する。
【0024】
ゾルーゲル法では、クーリングプレート(CPL)24,26→低粘度用の塗布処理ユニット(SCT)13→エージングユニット(DAC)21→ソルベントイクスチェンジユニット(DSE)11→低温用のホットプレート(LHP)19,23→高温用のホットプレート(OHP)22の順序により、塗布膜が形成される。したがって、ゾル−ゲル法にて層間絶縁膜を形成する場合には、処理部1において、低粘度用の塗布処理ユニット(SCT)13、エージングユニット(DAC)21、ソルベントイクスチェンジユニット(DSE)11が主要のユニットとなる。
【0025】
低粘度用の塗布処理ユニット(SCT)13は、図4に示すように、上面が蓋41によって開閉される固定カップ42と、この固定カップ42の底面から挿入され、駆動部43によって昇降および回転できる回転軸44と、この回転軸44の上端に設けられたウエハ保持部であるバキュームチャック45と、蓋41に組み合わせて設けられて、ウエハWの中心部に塗布液を供給するための塗布液ノズル46とを具備している。固定カップ42には、塗布液で用いられている溶媒、例えばエチレングリコールの蒸気を供給するための溶媒蒸気供給管48が接続されているとともに、ドレイン管49、排気管50が接続されている。なお、このユニットにおいて用いられる塗布液および溶媒は、ケミカル室14から供給される。このケミカル室14は、アンモニアやHMDSのような処理に悪影響を及ぼす薬液以外の薬液が収容されている。なお、高粘度用の塗布処理ユニット(SCT)12も低粘度用の塗布処理ユニット(SCT)13とほぼ同様に構成されている。
【0026】
エージングユニット(DAC)21は、図5に示すように、ヒータ51aを内蔵した例えばセラミックスからなる加熱プレート51と、この加熱プレート51の上方に処理室をなす空間Sを形成するように、この加熱プレート51の周縁部にシール部材52を介して密接するとともに、加熱プレート51に対して接離する蓋53と、加熱プレート51に置かれたウエハを囲むように、この加熱プレート51の表面に供給口が形成されたガス供給路54と、蓋53の中央部に吸い込み口が形成された排気路55と、加熱プレート51とのその上方位置との間でウエハWを昇降する3本の昇降ピン56とを具備している。
【0027】
このエージングユニット(DAC)21では、後述するように、アンモニアがサイドキャビネット2内のバブラー27およびマスフローコントローラ(図示せず)により蒸気化されて、上述したガス供給路54を介して処理室S内に供給され、排気路55からの排気は、サイドキャビネット2内のドレンタンク31によりトラップされる。
【0028】
ソルベントイクスチェンジユニット(DSE)11は、図6に示すように、ウエハWを水平に保持して回転させるバキュームチャック61と、このチャック61上のウエハWを囲むように設けられ、排液孔63を有する回転カップ62と、この回転カップ62の外側に設けられ、排液路65および排気路66が接続された固定カップ64と、ウエハWに溶媒を供給するためのノズル67とを具備している。また、図中、符号68は、チャック61の回転軸61aを回転および昇降させるための駆動部であり、符号69は、回転カップ62を回転させるための駆動部である。
【0029】
上述した固定カップ64の上面の開口部は、昇降可能な蓋70により開閉されるようになっている。また、ノズル67は、エタノール、HMDS、およびヘプタンをそれぞれ吐出する3個の交換ノズル67a,67b,67cを有しており、これら交換ノズル67a,67b,67cは、この順にそれぞれノズル受け部71a,71b,71cから把持して取り出され、ウエハWの中心部の上方側に搬送されるようになっている。また、ノズル67の交換ノズル67bにHMDSが供給される際には、サイドキャビネット2のHMDSタンク30aからHMDSが直接供給されるようになっており、また、排気路66からの液体が混合した排気は、キャビネット2内のミストトラップ28により気液分離され、排液路65からの排液は、ドレンタンク31に排出されるようになっている。
【0030】
サイドキャビネット2は、処理部1に隣接した位置に処理部1とは隔離されて設けられ、その上段に、薬液を供給するためのバブラー27と、気液混合流を気液分離して排気ガスを排出するためのミストトラップ(TRAP)28とを有し、その下段に、電力供給源29と、HMDSやアンモニア等の薬液を貯留するための薬液室30と、排液を排出するためのドレイン31とを有している。
【0031】
サイドキャビネット2がこのように構成されているため、エージングユニット(DAC)21にアンモニアが供給される際には、アンモニアのタンク30bからバブラー27にアンモニアが充填されており、アンモニアがバブラー27によりバブリングされ、蒸気化されてエージングユニット(DAC)21に供給される。また、ソルベントイクスチェンジユニット(DSE)11にHMDSが供給される際には、HMDSのタンク30aからHMDSが直接供給される。
【0032】
また、エージングユニット(DAC)21からの排気は、サイドキャビネット2内のドレンタンク31によりトラップされる。さらに、ソルベントイクスチェンジユニット(DSE)11からの液体が混合した排気は、キャビネット2内のミストトラップ28により気液分離され、排液はドレンタンク31へ排出される。
【0033】
このように、サイドキャビネット2から供給されるアンモニアおよびHMDSをそれぞれ必要とするエージングユニット(DAC)21およびソルベントイクスチェンジユニット(DSE)11が、サイドキャビネット2に隣接して設けられているため、薬液供給系の短縮化を図ることができる。
【0034】
また、塗布液をウエハWに塗布した後には、即座に(例えば10秒以内に)ゲル化処理を施すことが好ましいため、図1〜図3に示すように、低粘度用の塗布処理ユニット(SCT)13とエージングユニット(DAC)21とが比較的近接して配置されており、また、ゲル化処理の後には、溶媒の置換を即座に行うことが好ましいため、エージングユニット(DAC)21とソルベントイクスチェンジユニット(DSE)11とが比較的近接して配置されている。
【0035】
次に、上記SODシステムを用いてゾル−ゲル法により層間絶縁膜を形成する場合のメカニズムについて、図7を参照しながら説明する。
図7(a)に示すように、塗布液をウエハに塗布したときには、TEOSの粒子あるいはコロイド100が溶媒101中に分散された状態になっており、次いで、この塗布液をアルカリ性雰囲気に晒すことにより、図7(b)に示すように、TEOSを縮重合するとともに加水分解して塗布膜がゲル化され、TEOSの網状構造102が形成される。次いで、図7(c)に示すように、塗布液中の水分を除去するため、塗布膜中の溶媒を他の溶媒103に置き換え、その後、乾燥させて層間絶縁膜を得る。
【0036】
次に、上記SODシステムにおいて、ゾル−ゲル法により層間絶縁膜を形成する場合の処理動作について説明する。
まず、キャリアステーション(CSB)3から受け渡し部(TRS)25に搬送されたウエハWは、搬送機構18によりクーリングプレート(CPL)24,26に搬送されて冷却される。これにより塗布前のウエハ温度を一致にすることができ、膜厚および膜質の均一化を図ることができる。
【0037】
次いで、ウエハWは、低粘度用の塗布処理ユニット(SCT)13に搬送されて、図4に示すように、チャック45に受け渡され、蓋41により回転カップ42が密閉される。ここで用いられる塗布液は、TEOSのコロイドまたは粒子を有機溶媒に分散させて、水および微量の塩酸を含ませたものである。排気管50から排気しながら、溶媒蒸気供給管48から有機溶媒の蒸気が回転カップ42内に供給され、回転カップ42内が有機溶媒の蒸気で充満された後に、排気が停止されて、ノズル46から塗布液がウエハWの中心部に滴下される。次いで、ウエハWがチャック45により回転されて、塗布液がウエハW表面に伸展されて、塗布膜が形成される。このように、回転カップ42内を有機溶剤の蒸気で充満させた状態で塗布処理を行うのは、塗布液中の溶媒の蒸発を抑制するためである。
【0038】
このようにして塗布膜が形成されたウエハWは、エージングユニット(DAC)21に搬送される。この場合に、塗布液をウエハWに塗布した後には、即座にゲル化処理を施すことが好ましいため、低粘度用の塗布処理ユニット(SCT)13とエージングユニット(DAC)21とが近接して配置されている。
【0039】
エージングユニット(DAC)21においては、図5に示すように、蓋53が上昇されて、ウエハWが昇降ピン56に受け渡されて、加熱プレート51に近接される。蓋53が閉鎖された後、排気路55から排気されながら、キャビネット2内のバブラー27からガス供給路54を介してアンモニアが処理室S内に供給される。この時、ウエハWは例えば100℃で加熱されている。これにより、ウエハWの塗布膜に含まれるコロイドがゲル化されて、網目状に連鎖される。
【0040】
次いで、ウエハWは、ソルベントイクスチェンジユニット(DSE)11に搬送される。なお、この際、ゲル化処理の後には、溶媒の置換を即座に行うことが好ましいため、エージングユニット(DAC)21とソルベントイクスチェンジユニット(DSE)11とが近接して配置されている。
【0041】
ソルベントイクスチェンジユニット(DSE)11においては、図6に示すように、ウエハWがバキュームチャック61に受け渡され、ノズル67の交換ノズル67aから水分が可溶な薬品例えばエタノールがウエハWの中心部に滴下され、ウエハWと回転カップ62が回転されて、エタノールがウエハW全面に拡散される。これにより、塗布膜中の水分にエタノールが溶け込み、結果として水分がエタノールで置換される。
【0042】
続いて、蓋70が開けられ、同様にしてHMDSがウエハWの中心部に滴下され、塗布膜中の水酸塩が除去される。さらに、ヘプタンがウエハWに滴下され、塗布膜中の溶媒がヘプタンによって置換される。ヘプタンを用いる理由は、表面張力が小さい溶媒を用いることによりポーラスな構造体すなわちTEOSの網状構造体に加わる力を小さくして崩れないようにするためである。
【0043】
その後、ウエハWは、低温用のホットプレート(LHP)19,23、高温用のホットプレート(OHP)22により適宜加熱処理され、層間絶縁膜が完成する。このようにして層間絶縁膜が形成されたウエハWは、受け渡し部(TCP)25を介してキャリアステーション(CSB)3に戻される。
【0044】
なお、上記エージングユニット(DAC)21ではアンモニアを使用し、ソルベントイクスチェンジユニット(DSE)11ではHMDSおよびヘプタンを使用したが、これらに限定されない。
【0045】
次に、上記SODシステムにおいて、シルク方法およびスピードフィルム方法方法により層間絶縁膜を形成する場合について詳細に説明する。
【0046】
シルク方法およびスピードフィルム方法では、クーリングプレート(CPL)24,26→第1の塗布処理ユニット(SCT)13(アドヒージョンプロモータの塗布)→低温用のホットプレート(LHP)19,23→クーリングプレート(CPL)24,26→第2の塗布処理ユニット(SCT)12(本薬液塗布)→低温用のホットプレート(LHP)19,23→高温用のホットプレート(OHP)22→DCC処理ユニット(DCC)20の順序により、塗布膜が形成される。
【0047】
これらの中で、DCC処理ユニット20は、上記ゾル−ゲル法では用いる必要がなかったが、シルク方法およびスピードフィルム法では必要なユニットである。このDCC処理ユニット20について、図8および図9を参照して説明する。
【0048】
図8および図9に示すように、DCC処理ユニット20は、加熱処理室81と、これに隣接して設けられた冷却処理室82とを有しており、この加熱処理室81には、設定温度が200〜470℃とすることが可能なホットプレート83を有している。また、このDCC処理ユニット20は、さらに、メインの搬送機構18(図1および図3)との間でウエハWを受け渡しする際に開閉される第1のゲートシャッター84と、加熱処理室81と冷却処理室82との間を開閉するための第2のゲートシャッター85と、ホットプレート83の周囲でウエハWを包囲しながら第2のゲートシャッター85と共に昇降されるリングシャッター86とを有している。さらに、ホットプレート83には、ウエハWを載置して昇降するための3個のリフトピン87が昇降自在に設けられている。なお、ホットプレート83とリングシャッター86との間に遮蔽板スクリーンを設けてもよい。
【0049】
加熱処理室81の下方には、上記3個のリフトピン87を昇降するための昇降機構88と、リングシャッター86を第2のゲートシャッター85と共に昇降するための昇降機構89と、第1のゲートシャッター84を昇降して開閉するための昇降機構90とが設けられている。
【0050】
また、加熱処理室81内には、図示しない供給源から、N等の不活性ガスが供給されるように構成され、さらに、その中が排気管91を介して排気されるように構成されている。そして、このように不活性ガスを供給しながら排気することにより、加熱処理室81内は、低酸素濃度(例えば50ppm以下)雰囲気に維持されるようになっている。
【0051】
この加熱処理室81と冷却処理室82とは、連通口92を介して連通されており、ウエハWを載置して冷却するためのクーリングプレート93がガイドプレート94に沿って移動機構95により水平方向に移動自在に構成されている。これにより、クーリングプレート92は、連通口92を介して加熱処理室81内に進入することができ、加熱処理室81内のホットプレート83により加熱された後のウエハWをリフトピン87から受け取って冷却処理室82内に搬入し、ウエハWの冷却後、ウエハWをリフトピン87に戻すようになっている。
【0052】
なお、クーリングプレート93の設定温度は、例えば15〜25℃であり、冷却されるウエハWの適用温度範囲は、例えば200〜470℃である。
【0053】
冷却処理室82は、供給管95を介してその中にN等の不活性ガスが充填されるように構成され、さらに、冷却処理室82内は、排気管97を介して外部に排気されるように構成されている。これにより、加熱処理室81と同様に、冷却処理室82内は、低酸素濃度(例えば50ppm以下)雰囲気に維持されるようになっている。
【0054】
次に、シルク方法およびスピードフィルム方法により層間絶縁膜を形成する処理動作について説明する。
キャリアステーション(CSB)3から受け渡し部(TRS)25に搬送されたウエハWは、搬送機構18によりクーリングプレート(CPL)24,26に搬送されて冷却される。この場合にも、上述のゾル−ゲル法の場合と同様、塗布前に冷却することによりウエハWの温度を一定にすることができ、膜厚および膜質の均一化を図ることができる。
【0055】
次いで、ウエハWは、低粘度用の塗布処理ユニット(SCT)13に搬送されて、第1の塗布液としてアドヒージョンプロモータが上述したスピンコートにより塗布される。このアドヒージョンプロモータを本塗布液に先立って塗布することにより、膜の密着性を促進する。その後、クーリングプレート(CPL)24,26に搬送されて温調される。
【0056】
次いで、ウエハWは、高粘度用の塗布処理ユニット(SCT)12に搬送されて、第2の塗布液として層間絶縁膜用の本塗布液が上述したスピンコートにより塗布される。その後、低温用のホットプレート(LHP)19,23により適宜加熱処理され、クーリングプレート(CPL)24,26に搬送されて冷却される。
【0057】
この塗布の際、特に、シルク法を採用した場合に、回転カップ42内の温度・湿度、モータフランジの温度、および塗布前のクーリング温度を一括して制御しつつ処理することにより、ムラの発生を抑制することができ、膜厚および膜質の均一化の向上を図ることができる。このような制御を上述のゾル−ゲル法および以下に示すフォックス法、およびスピードフィルム法に採用してもよいが、シルク法に適用することによりその効果が大きい。
【0058】
なお、この第2の塗布液である本塗布液の塗布の直前に、第1の塗布液であるアドヒージョンプロモータを塗布するレシピを作成することにより、つまり同一の処理ユニットで2液を吐出するレシピを作成することにより、膜の密着性を一層向上させることができるとともに、最初の塗布処理工程を省くことができるので、工程スループットの向上およびユニット数の減少が可能となる。
【0059】
次いで、ウエハWは、DCC処理ユニット20により硬化(キュア)処理が施される。具体的には、まず、第1のゲートシャッター84が開かれ、メインの搬送機構18(図1および図3)からウエハWが加熱処理室81内の3個のリフトピン87上に搬入される。第1のゲートシャッター84が閉じられ、リングシャッター86および第2のゲートシャッター85が上昇され、ウエハWがリングシャッター86により包囲される。この時、加熱処理室81内へのN等の不活性ガスの充填が開始され、加熱処理室81内は、低酸素濃度(例えば50ppm以下)雰囲気に維持される。
【0060】
その後、リフトピン87が降下されて、ウエハWがホットプレート83に近接され、低酸素濃度(例えば50ppm以下)雰囲気において加熱処理される。この加熱温度は、例えば、200〜470℃である。また、加熱炉による加熱ではなく、ホットプレート83による加熱であるため、面内均一性が良好である。
【0061】
加熱処理の終了後、リングシャッター86および第2のゲートシャッター85が降下され、リフトピン87が上昇される。この時、加熱処理室81内へのN等の不活性ガスの供給が停止され、また、冷却処理室82内へのN等の不活性ガスの供給が開始され、冷却処理室82内は、低酸素濃度(例えば50ppm以下)雰囲気に維持される。その後、クーリングプレート93が加熱処理室81内に進入して、リフトピン87からウエハWを受け取り、リフトピン87が降下される。
【0062】
そして、クーリングプレート93が冷却処理室82内に戻され、第2のゲートシャッター85が上昇され、ウエハWが低酸素濃度(例えば50ppm以下)雰囲気において冷却される。この時の冷却温度は、例えば、200〜400℃であり、また、低酸素濃度雰囲気で冷却されているため、膜の酸化が効果的に防止される。冷却処理の終了後、冷却処理室82内へのN等の不活性ガスの供給が停止される。
【0063】
その後、第2のゲートシャッター85が降下され、クーリングプレート93が加熱処理室81に進入する。次いで、リフトピン87が上昇され、ウエハWがクーリングプレート93からリフトピン87に戻される。ウエハWを搬出した後のクーリングプレート93が冷却処理室82内に戻され、第1のゲートシャッター84が開かれる。そして、ウエハWがメインの搬送機構18(図1および図3)に戻される。以上により、塗布膜硬化(キュア)のための加熱処理および冷却処理が終了する。その後、層間絶縁膜が完成したウエハWは、受け渡し部(TRS)25を介して搬送機構18によりキャリアステーション(CSB)3に戻される。
【0064】
次に、上記SODシステムにおいて、フォックス方法により層間絶縁膜を形成する場合について詳細に説明する。
【0065】
フォックス方法では、クーリングプレート(CPL)24,26→塗布処理ユニット(SCT)12→低温用のホットプレート(LHP)19,23→高温用のホットプレート(OHP)22→DCC処理ユニット(DCC)20の順序により、塗布膜が形成される。
【0066】
この際の層間絶縁膜を形成する動作について具体的に説明する。
キャリアステーション(CSB)3から受け渡し部(TRS)25を介して、ウエハWがクーリングプレート(CPL)24,26に搬送されて冷却される。上述したように、この冷却処理により、ウエハWの温度を一定にすることができ、膜厚および膜質の均一化を図ることができる。
【0067】
次いで、ウエハWは、塗布処理ユニット(SCT)12または13に搬送されて、塗布液が塗布される。その後、低温用のホットプレート(LHP)19,23により適宜加熱処理され、クーリングプレート(CPL)24,26に搬送されて冷却される。
【0068】
次いで、ウエハWは、DCC処理ユニット20により硬化処理が施される。具体的には、上述したのと同様の手順に従って、ウエハWが低酸素濃度(例えば50ppm以下)雰囲気において加熱処理され、加熱処理の終了後、低酸素濃度(例えば50ppm以下)雰囲気において冷却され、塗布膜が硬化(キュア)される。冷却後、ウエハWは、加熱処理室41を介してメインの搬送機構18(図1および図3)に戻される。その後、層間絶縁膜が完成したウエハWは、受け渡し部(TRS)25を介して搬送機構18によりキャリアステーション(CSB)3に戻される。
【0069】
以上のように、上記SODシステムにおいては、ゾル−ゲル法、シルク法、スピードフィルム法、フォックス法の種々の塗布方法に対応した処理ユニットを備えているので、一つのシステムで、上述のように種々の塗布方法に対応した塗布膜を形成することができる。
【0070】
また、上記SODシステムでは、各処理ユニットを集約しているので、塗布膜形成のスループットが高い。特に、搬送装置18の周囲に、塗布処理ユニット(SCT)12,13およびソルベントイクスチェンジユニット(DSE)11といった液体処理系ユニットを多段配置してなるユニット群、および熱処理系ユニットを多段に積層してなる処理ユニット群16,17を設けたので、システム自体がコンパクトであり、各ユニット間の搬送時間も短くなるので、塗布膜形成のスループットを著しく向上させることができる。
【0071】
さらに、キャリアステーション3との間の受け渡しをユニット群17に設けた受け渡し部25を介して行うようにしたので、ウエハWの搬入出をスムースに行うことができる。
【0072】
さらにまた、処理部1に、2つの塗布処理ユニット(SCT)12,13を設けたので、特に上記シルク法およびスピードフィルム法のように2回の塗布処理を行う場合に、スループットを高める上で効果的である。
【0073】
さらに、2つのエージングユニット(DAC)21および2つのDCC処理ユニット20を設けたので、これらの処理におけるスループット低下を回避することができる。
【0074】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されず、種々変形可能である。例えば、処理する基板は半導体ウエハに限らず、LCD基板等の他のものであってもよい。また、膜の種類は層間絶縁膜に限らない。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、種々の塗布方法に対応した処理ユニットを備えているので、一つの装置で、種々の塗布方法に対応した塗布膜を形成することができる。具体的には、層間絶縁膜を形成する際に、ゾル−ゲル法、シルク法、スピードフィルム法、フォックス法に対応したフローで基板に対して塗布膜を形成することが可能となる。
【0076】
また、本発明では各処理ユニットを集約しているので、塗布膜形成のスループットが高い。特に、複数の液体処理系ユニットが多段配置されてなる第1の処理ユニット群と、複数の熱処理系ユニットが多段配置されてなる第2の処理ユニット群とを設け、これら処理ユニット群に隣接して基板の搬入出を行う搬送機構を設けた構成の場合には、装置自体をコンパクトにすることができ、搬送時間も短くなるので、塗布膜形成のスループットを著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る塗布膜形成装置(SODシステム)の上段の平面図および下段の平面図。
【図2】図1に示した塗布膜形成装置(SODシステム)の側面図。
【図3】図1に示した塗布膜形成装置(SODシステム)内に装着された、複数の処理ユニットを多段に積層してなる2つの処理ユニット群を示す側面図。
【図4】低粘度用の塗布処理ユニット(SCT)を模式的に示す断面図。
【図5】エージングユニット(DAC)を模式的に示す断面図。
【図6】ソルベントイクスチェンジユニット(DSE)を模式的に示す断面図。
【図7】ゾルーゲル法における塗布膜の変性の様子を示す説明図。
【図8】DCC処理ユニットを模式的に示す平面図。
【図9】図8に示したDCC処理ユニットを模式的に示す断面図。
【符号の説明】
1;処理部
2;サイドキャビネット
3;キャリアステーション(CSB)
11;ソルベントイクスチェンジユニット(DSE)
12:高粘度用の塗布処理ユニット(SCT)
13;低粘度用の塗布処理ユニット(SCT)
19,23;低温用のホットプレート(LHP)
20;DCC処理ユニット(DCC)
21;エージングユニット(DAC)
22;高温用のホットプレート(OHP)
23,26;クーリングプレート(CPL)

Claims (14)

  1. 基板に塗布液を塗布して塗布膜を形成するための塗布膜形成装置であって、
    基板に対して塗布膜を形成するための一連の処理を施す処理部と、
    処理部内で基板を搬送する基板搬送機構と
    を具備し、
    前記処理部は、
    基板に塗布液を塗布する塗布処理ユニットおよび基板に溶媒を塗布して塗布膜の溶媒を置換するソルベントイクスチェンジユニットを含む複数の液体処理系ユニットが多段配置されてなる第1の処理ユニット群と、
    基板を冷却する冷却ユニット、基板を加熱する加熱処理ユニット、基板上の塗布膜をエージングしてゲル化処理するエージング処理ユニット、および低酸素濃度雰囲気において、基板に加熱および冷却処理を施して塗布膜を硬化させる硬化処理ユニットを含む熱処理系ユニットが多段配置されてなる第2の処理ユニット群とを有し、
    前記搬送機構は、これら第1および第2の処理ユニット群に隣接して設けられ、各ユニットに対する基板の搬入出を行うことを特徴とする塗布膜形成装置。
  2. 前記処理部は、少なくとも2つの塗布処理ユニットを有することを特徴とする請求項1に記載の塗布膜形成装置。
  3. 前記処理部は、少なくとも2つのエージング処理ユニットおよび少なくとも2つの硬化処理ユニットを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗布膜形成装置。
  4. 前記硬化処理ユニットは、前記エージング処理ユニットより上方に配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の塗布膜形成装置。
  5. 前記処理部に隣接した位置に処理部とは隔離されて設けられ、前記エージングユニットおよびソルベントイクスチェンジユニットにそれぞれ薬液を供給するための薬液供給系、およびこれらのユニットからの排液および排気を処理する排液・排気処理系を有する薬液部とを具備することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の塗布膜形成装置。
  6. 前記薬液部は、前記処理部に隣接した位置に処理部とは隔離されて設けられたキャビネット内に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の塗布膜形成装置。
  7. 前記薬液部はバブラーを有し、所定の薬液がこのバブラーにより蒸気化されて前記エージングユニットに供給されることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の塗布膜形成装置。
  8. 前記薬液部は所定の薬液を貯留するタンクを有し、所定の薬液がこのタンクからソルベントイクスチェンジユニットに供給されることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の塗布膜形成装置。
  9. 前記薬液部はドレンタンクを有し、前記エージングユニットからの排気が前記ドレンタンクによりトラップされることを特徴とする請求項5ないし請求項8のいずれか1項に記載の塗布膜形成装置。
  10. 前記薬液部はドレンタンクおよびトラップを有し、前記ソルベントイクスチェンジユニットからの、液体が混入した排気が前記トラップにより気液分離され、排液はドレンタンクに排出されることを特徴とする請求項5ないし請求項8のいずれか1項に記載の塗布膜形成装置。
  11. 前記エージングユニットおよび/または前記ソルベントイクスチェンジユニットは、前記処理部内の前記薬液部に面した側に配置されることを特徴とする請求項5ないし請求項10のいずれか1項に記載の塗布膜形成装置。
  12. 前記処理部に連接して設けられ、処理前の基板および処理後の基板を待機させるとともに、前記処理部に対する基板搬入出を行うキャリアステーショ と、このキャリアステーションと前記処理部との間で基板の受け渡しを行う受け渡し部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の塗布膜形成装置。
  13. さらに前記処理部に隣接して設けられたキャビネットを具備し、
    前記キャビネットは、電力供給部と、前記処理部のうちソルベントイクスチェンジユニットに対して供給される塗布処理に影響を与える薬液のタンクと、当該ソルベントイクスチェンジユニットから排液を排出するためのドレイン部とを有し、
    前記キャビネット内において、前記ソルベントイクスチェンジユニットの配置位置から順に遠ざかるように、前記ドレイン部、前記タンク、および前記電力供給部が配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の塗布膜形成装置。
  14. さらに前記処理部は、塗布処理に影響を与えない薬液を内蔵するケミカル室を有することを特徴とする請求項13に記載の塗布膜形成装置。
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