JP4435259B2 - 微量胃癌細胞の検出法 - Google Patents
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Description
No.1:
TTCGACGACACCGTTCGTGGGGTCCCCTGGTGCTTCTATCCTAATACCATCGAC(TFF1用)
No.2:
TTGAAGTGCCCTGGTGCTTCTTCCCGAACTCTGTGGAAGACTGCCATTACTAAGAGAGGC(TFF2用)
No.3:
CATTCTGCACGATTTCCGACACCCCCTTGATATCCTTCCCCTTCTGGATGAGCTCTTCCG(FABP1用)
No.4:
GTACGAAACCAACGCCCCGAGGGCTGGTCGCGACTACAGTGCATATTACAGAC(CK20用)
No.5:
CTTGAAGTCCCCGGGCTTCAGGATGACGTGCTGGTTGTCGGGCCGTTTGATGATA(MUC2用)
No.6:
GGTTGGGGTTGCTCTGATATAGCAGCCCTGGTGTAGTTTCTTCATTTCAGGAAGACTGAC(CEA用)
No.7:
GCAGGGTCTAAAAGCTGGTGTTATTGCTGTTATTGTGGTTGTGGTGATAGCAGTTGTTGC(TACSTD1用)
No.8:
GTAATTTGTAAAGTTGGGTGGATAAGCTATCCCTGTTGCCGGTTCATGGATTACTTCTCT(MASPIN用)
No.9:
GATGCTCCGGTGCTGACCCAGGCTGAGTGTAAAGCCTCCTACCCTGGAAAGATTACCAAC(PRSS4用)
No.10:
AACCAGACTTACTAACCAATTCCACCCCCCACCAACCCCCTTCTACTGCCTACTTTAAAA(GW112用)
No.11:
CCTGTGGCATCCACGAAACTACCTTCAACTCCATCATGAAGTGTGACGTGGACATCCGCA(ACTB用)
No.34:
ACTGTCGGCATCATGATTGGAGTGCTGGTTGGGGTTGCTCTGATATAGCAGCCC(CEA用)
No.35:
CATCATGATTGGAGTGCTGGTTGGGGTTGCTCTGATATAGCAGCCCTGGTGTAGTTTCTT(CEA用)
No.36:
GATATAGCAGCCCTGGTGTAGTTTCTTCATTTCAGGAAGACTGACAGTTGTTTTGCTTCT (CEA用)
No.37:
TGCTATATCAGAGCAACCCCAACCAGCACTCCAATCATGATGCCGACAGTGGCC (CEA用)
No.38:
GAACTGAGGTTCAACTAACGGAGCTGAGACGCACCTCCCAGAGCCTTGAGATAGAACTCC(CK20用)
No.39:
TCTGGAGGCCCAACTGATGCAGATTCGGAGTAACATGGAACGCCAGAACAACGAATACCA (CK20用)
No.40:
CGGAGGTTTCGTACGCCGGCTGCACCAAGACCGTCCTCATGAATCATTGCTC (MUC2用)
No.41:
TCACGTTACCTTGACACATAGTTTTTCAGTCTATGGGTTTAGTTACTTTAGATGGCAAGC(MASPIN用)
No.42:
TCTAGCTGACTCGCACAGGGATTCTCACAATAGCCGATATCAGAATTTGTGTTGAAGGAA(MASPIN用)
No.43:
AACACTTCGTTCGCAGAGCTTTTCAGATTGTGGAATGTTGGATAAGGAATTATAGACCTC(MASPIN用);
これらの相補配列;及びこれらの塩基配列において1または数個の塩基が、プローブ機能を維持し得る範囲で欠失、置換、または付加した塩基配列;からなる群から選択された1つの塩基配列からなるオリゴヌクレオチドであることを特徴とするプローブである。
各プローブが、上記のNo.1〜11及びNo.34〜43の塩基配列;これらの相補配列;及びこれらの塩基配列において1または数個の塩基がプローブ機能を維持し得る範囲で欠失、置換、または付加した塩基配列;からなる群から選択された1つの塩基配列からなるオリゴヌクレオチドであり、
かつ前記2以上のプローブが異なる塩基配列を有することを特徴とするプローブセットである。
下記の各組み合わせ:
TFF1の部分配列増幅用
No.12:CCTTTGGAGCAGAGAGGAGGCAAT及び
No.13:TCAGAGCAGTCAATCTGTGTTGTGAGC
TFF2の部分配列増幅用
No.14:ATAACAGGACGAACTGCGGCTTCC及び
No.15:AGCTGATAAGGCGAAGTTTCTTTCTTGG
FABP1の部分配列増幅用
No.16:TCATGAAGGCAATCGGTCTG及び
No.17:CAATGTCACCCAATGTCATGG
CK20の部分配列増幅用
No.18:ACACGGTGAACTATGGGAGCGATCT及び
No.19:CTTCCAGAAGGCGGCGGTAAGTAG
CEAの部分配列増幅用
No.20:AACTTCTCCTGGTCTCTCAGCT及び
No.21:GCAAATGCTTTAAGGAAGAAG
CEAの部分配列増幅用
No.44:TGCATCTGGAACTTCTCCTGGTCTC及び
No.45:TCACGATGTTGGCTAGGATGGTCT
TACSTD1の部分配列増幅用
No.22:TGCTGGGGTCAGAAGAACAG及び
No.23:TTGAGTTCCCTATGCATCTCA
MASPINの部分配列増幅用
No.32:TCCGGGGTAGTTGGCAGAAATACAG及び
No.33:TGCATGTCAAGGAAGAGATGGGAGA
MUC2の部分配列増幅用
No.26:CCGGGGAGTGCTGTAAGAAG及び
No.46:CTCCTCTTTGCAGCAGGAGC
GW112の部分配列増幅用
No.24:CAGAAGCCCCAGTAAGCTGTTTAGGA及び
No.25:GCACTTTGTCACTGCCATCAGATTTT
から選択された1種からなるものであることを特徴とするプライマーセットである。
下記の各組み合わせ:
TFF1の部分配列増幅用
No.12:CCTTTGGAGCAGAGAGGAGGCAAT及び
No.13:TCAGAGCAGTCAATCTGTGTTGTGAGC
TFF2の部分配列増幅用
No.14:ATAACAGGACGAACTGCGGCTTCC及び
No.15:AGCTGATAAGGCGAAGTTTCTTTCTTGG
FABP1の部分配列増幅用
No.16:TCATGAAGGCAATCGGTCTG及び
No.17:CAATGTCACCCAATGTCATGG
CK20の部分配列増幅用
No.18:ACACGGTGAACTATGGGAGCGATCT及び
No.19:CTTCCAGAAGGCGGCGGTAAGTAG
MUC2の部分配列増幅用
No.26:CCGGGGAGTGCTGTAAGAAG及び
No.27:GCTCTCGATGTGGGTGTAGG
MUC2の部分配列増幅用
No.26:CCGGGGAGTGCTGTAAGAAG及び
No.46:CTCCTCTTTGCAGCAGGAGC
CEAの部分配列増幅用
No.20:AACTTCTCCTGGTCTCTCAGCT及び
No.21:GCAAATGCTTTAAGGAAGAAG
CEAの部分配列増幅用
No.44:TGCATCTGGAACTTCTCCTGGTCTC及び
No.45:TCACGATGTTGGCTAGGATGGTCT
TACSTD1の部分配列増幅用
No.22:TGCTGGGGTCAGAAGAACAG及び
No.23:TTGAGTTCCCTATGCATCTCA
MASPINの部分配列増幅用
No.32:TCCGGGGTAGTTGGCAGAAATACAG及び
No.33:TGCATGTCAAGGAAGAGATGGGAGA
PRSS4の部分配列増幅用
No.28:CTGGGCACAGTTGCTGTCCC及び
No.29:GGCCACCAGAGTCACGCTGG
GW112の部分配列増幅用
No.24:CAGAAGCCCCAGTAAGCTGTTTAGGA及び
No.25:GCACTTTGTCACTGCCATCAGATTTT
ACTBの部分配列増幅用
No.30:TCATCACCATTGGCAATGAG及び
No.31:CACTGTGTTGGCGTACAGGT
から選択された2種以上からなるものであることを特徴とするプライマーセットである。
胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112及びACTBのから選択された少なくとも1種に特異的な塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを増幅して検出するためのものであることを特徴とする遺伝子検査用キットである。
(i)胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112及びACTBから選択された1以上の遺伝子の、胃癌患者から採取した試料中における発現レベルを測定する工程と、
(ii)測定された発現レベルと、胃癌の再発の可能性を示す前記遺伝子の予め設定された基準の発現レベルと、を対比して、測定された発現レベルが基準の発現レベル以上である場合を胃癌の再発の可能性を示す情報として取り込む工程と、を含む術後の胃癌の再発予測のための情報を得るための方法であって、
前記工程(i)は、上記のNo.1〜11及びNo.34〜43からなる群から発現レベルの測定対象としての遺伝子に応じて選択した塩基配列を選択する工程を含み、
前記工程(ii)は、前記選択した塩基配列を用いて測定した、測定対象としての遺伝子の発現レベルを、その基準発現レベルと比較して、胃癌の再発の可能性を示す情報を得る工程を含む、
ことを特徴とする特徴とする胃癌の再発予測のための情報取得方法である。
(i)胃癌患者から採取した試料中に存在する胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112及びACTBから選択された1以上の遺伝子の発現の有無を免疫染色法で測定する工程と、
(ii)発現が検出された場合を胃癌の再発の可能性を示す情報として取り込む工程と、
を有することを特徴とする胃癌の再発予測のための情報取得方法である。
(TFF1検出用の組合せ)
配列表の配列番号1で表わされる塩基配列からなるTFF1検出用プローブと、配列表の配列番号12及び13で表わされる塩基配列からなるTFF1増幅用プライマーセットとの組合せ、
(TFF2検出用の組合せ)
配列表の配列番号2で表わされる塩基配列からなるTFF2検出用プローブと、配列表の配列番号14及び15で表わされる塩基配列からなるTFF2増幅用プライマーセットとの組合せ、
(FABP1検出用の組合せ)
配列表の配列番号3で表わされる塩基配列からなるFABP1検出用プローブと、配列表の配列番号16及び17からなる塩基配列を有するFABP1増幅用プライマーセットとの組合せ、
(CK20検出用の組合せ)
配列表の配列番号4、38又は39で表わされる塩基配列からなるCK20検出用プローブと、配列表の配列番号18及び19で表わされる塩基配列からなるCK20増幅用プライマーセットとの組合せ、
(MUC2検出用の組合せ)
配列表の配列番号5で表わされる塩基配列からなるMUC2検出用プローブと、配列表の配列番号26及び27で表わされる塩基配列からなるMUC2増幅用プライマーセットとの組合せ、
(MUC2検出用の組合せ)
配列表の配列番号5又は40で表わされる塩基配列からなるMUC2検出用プローブと、配列表の配列番号26及び46で表わされる塩基配列からなるMUC2増幅用プライマーセットとの組合せ、
(CEA検出用の組合せ)
配列表の配列番号6で表わされる塩基配列からなるCEA検出用プローブと、配列表の配列番号20及び21で表わされる塩基配列からなるCEA増幅用プライマーセットとの組合せ、
(CEA検出用の組合せ)
配列表の配列番号6、34、35、36又は37で表わされる塩基配列からなるCEA検出用プローブと、配列表の配列番号44及び45で表わされる塩基配列からなるCEA増幅用プライマーセットとの組合せ、
(TACSTD1検出用の組合せ)
配列表の配列番号7で表わされる塩基配列からなるTACSTD1検出用プローブと、配列表の配列番号22及び23で示される塩基配列からなるTACSTD1増幅用プライマーセットとの組合せ、
(MASPIN検出用の組合せ)
配列表の配列番号8、41、42又は43で表わされる塩基配列からなるMASPIN検出用プローブと、配列表の配列番号32及び33で示される塩基配列からなるMASPIN増幅用プライマーセットとの組合せ、
(PRSS4検出用の組合せ)
配列表の配列番号9で表わされる塩基配列からなるPRSS4検出用プローブと、配列表の配列番号28及び29で示される塩基配列からなるPRSS4増幅用プライマーセットとの組合せ、
(GW112検出用の組合せ)
配列表の配列番号10で表わされる塩基配列からなるGW112検出用プローブと、配列表の配列番号24及び25で示される塩基配列からなるGW112増幅用プライマーセットとの組合せ、
(ACTB検出用の組合せ)
配列表の配列番号11で表わされる塩基配列からなるACTB検出用プローブと、配列表の配列番号30及び31で示される塩基配列からなるACTB増幅用プライマーセットとの組合せ。
前記1種のプローブが、あるいは前記2種以上のプローブのそれぞれが、配列番号1から11及び34から43で表わされる塩基配列からなる群から選択された1つの塩基配列からなり、
該プローブと該プライマーセットとの組合せが、上記の組合せであることを特徴とするキットである。
前記1種のプローブが、あるいは前記2種以上のプローブのそれぞれが、配列番号1から11及び34から43で表わされる塩基配列からなる群から選択された1つの塩基配列からなり、
該プローブと該プライマーセットとの組合せが上記の組合せであることを特徴とする遺伝子検出キットである。
前記1種のプローブが、あるいは前記2種以上のプローブのそれぞれが、配列番号1から11及び34から43で表わされる塩基配列からなる群から選択された1つの塩基配列からなり、
該プローブと該プライマーセットとの組合せが上記の組合せであることを特徴とする遺伝子検出キットである。
(i)胃癌患者の腹腔内洗浄液中の遺伝子をPCRにより増幅するステップと、
(ii)前記ステップ(i)で得られた増幅物を、1種または2種以上のプローブが固相上に配置されているアレイとハイブリダイゼーション反応させるステップと、
(iii)前記ステップ(ii)の結果得られたアレイから、前記腹腔洗浄液中の、該プローブの検出対象たる遺伝子の有無を検出するステップと、
を含む胃癌の再発リスクの予測方法において、
前記1種のプローブが、あるいは前記2種以上のプローブのそれぞれが、配列番号1から11及び34から43で表わされる塩基配列からなる群から選択された1つの塩基配列からなり、
前記ステップ(i)が、該アレイが有しているプローブの検出対象たる遺伝子の一部の領域をPCRで増幅するためのプライマーセットを用いてPCRを行うステップを含み、且つ該プローブと該プライマーセットとの組合せが上記の組合せであることを特徴とする胃癌の再発リスクの予測方法である。
のプローブを含む、遺伝子検査用プローブである。
(i)配列番号1で表わされる塩基配列、これの相補配列、及びこれらの塩基配列において1または数個の塩基が、プローブ機能を維持し得る範囲で欠失、置換、又は付加した塩基配列及び配列番号1で示される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなる群から選択された少なくとも1つのTFF1遺伝子検出用プローブ、
(ii)配列番号2で表わされる塩基配列、これの相補配列、及びこれらの塩基配列において1または数個の塩基が、プローブ機能を維持し得る範囲で欠失、置換、又は付加した塩基配列及び配列番号2で示される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなる群から選択された少なくとも1つのTFF2遺伝子検出用プローブ、
(iii)配列番号3で表わされる塩基配列、これの相補配列、及びこれらの塩基配列において1または数個の塩基が、プローブ機能を維持し得る範囲で欠失、置換、又は付加した塩基配列及び配列番号3で示される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなる群から選択された少なくとも1つのFABP1遺伝子検出用プローブ、
(iv)配列番号4、38又は39で表わされる塩基配列、これの相補配列、及びこれらの塩基配列において1または数個の塩基が、プローブ機能を維持し得る範囲で欠失、置換、又は付加した塩基配列及び配列番号4、38又は39で示される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなる群から選択された少なくとも1つのCK20遺伝子検出用プローブ、
(v)配列番号5又は40で表わされる塩基配列、これの相補配列、及びこれらの塩基配列において1または数個の塩基が、プローブ機能を維持し得る範囲で欠失、置換、又は付加した塩基配列及び配列番号5又は40で示される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなる群から選択された少なくとも1つのMUC2遺伝子検出用プローブ、
(vi)配列番号6、34、35、36又は37で表わされる塩基配列、これの相補配列、及びこれらの塩基配列において1または数個の塩基が、プローブ機能を維持し得る範囲で欠失、置換、又は付加した塩基配列及び配列番号6、34、35、36又は37で示される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなる群から選択された少なくとも1つのCEA遺伝子検出用プローブ、
(vii)配列番号7で表わされる塩基配列、これの相補配列、及びこれらの塩基配列において1または数個の塩基が、プローブ機能を維持し得る範囲で欠失、置換、又は付加した塩基配列及び配列番号7で示される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなる群から選択された少なくとも1つのTACSTD1遺伝子検出用プローブ、
(viii)配列番号8、41、42又は43で表わされる塩基配列、これの相補配列、及びこれらの塩基配列において1または数個の塩基が、プローブ機能を維持し得る範囲で欠失、置換、又は付加した塩基配列及び配列番号8、41、42又は43で示される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなる群から選択された少なくとも1つのMASPIN遺伝子検出用プローブ、
(ix)配列番号9で表わされる塩基配列、これの相補配列、及びこれらの塩基配列において1または数個の塩基が、プローブ機能を維持し得る範囲で欠失、置換、又は付加した塩基配列及び配列番号9で示される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなる群から選択された少なくとも1つのPRSS4遺伝子検出用プローブ、
(x)配列番号10で表わされる塩基配列、これの相補配列、及びこれらの塩基配列において1または数個の塩基が、プローブ機能を維持し得る範囲で欠失、置換、又は付加した塩基配列及び配列番号10で示される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなる群から選択された少なくとも1つのGW112遺伝子検出用プローブ、
(xi)配列番号11で表わされる塩基配列、これの相補配列、及びこれらの塩基配列において1または数個の塩基が、プローブ機能を維持し得る範囲で欠失、置換、又は付加した塩基配列及び配列番号11で示される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなる群から選択された少なくとも1つのACTB遺伝子検出用プローブ、
である。
(i)TFF1検出用の組合せ
配列表の配列番号1で表わされる塩基配列からなるTFF1検出用プローブと、配列表の配列番号12及び13で表わされる塩基配列からなるTFF1増幅用プライマーセットとの組合せ。
(ii)TFF2検出用の組合せ
配列表の配列番号2で表わされる塩基配列からなるTFF2検出用プローブと、配列表の配列番号14及び15で表わされる塩基配列からなるTFF2増幅用プライマーセットとの組合せ。
(iii)FABP1検出用の組合せ
配列表の配列番号3で表わされる塩基配列からなるFABP1検出用プローブと、配列表の配列番号16及び17で表わされる塩基配列からなるFABP1増幅用プライマーセットとの組合せ。
(iv)CK20検出用の組合せ
配列表の配列番号4、38又は39で表わされる塩基配列からなるCK20検出用プローブと、配列表の配列番号18及び19で表わされる塩基配列からなるCK20増幅用プライマーセットとの組合せ。
(v)MUC2検出用の組合せ
配列表の配列番号5で表わされる塩基配列からなるMUC2検出用プローブと、配列表の配列番号26及び27で表わされる塩基配列からなるMUC2増幅用プライマーセットとの組合せ。
(vi)MUC2検出用の組合せ
配列表の配列番号5又は40で表わされる塩基配列からなるMUC2検出用プローブと、配列表の配列番号26及び46で表わされる塩基配列からなるMUC2増幅用プライマーセットとの組合せ。
(vii)CEA検出用の組合せ
配列表の配列番号6で表わされる塩基配列からなるCEA検出用プローブと、配列表の配列番号20及び21で表わされる塩基配列からなるCEA増幅用プライマーセットとの組合せ。
(viii)CEA検出用の組合せ
配列表の配列番号6、34、35、36又は37で表わされる塩基配列からなるCEA検出用プローブと、配列表の配列番号44及び45で表わされる塩基配列からなるCEA増幅用プライマーセットとの組合せ。
(ix)TACSTD1検出用の組合せ
配列表の配列番号7で表わされる塩基配列からなるTACSTD1検出用プローブと、配列表の配列番号22及び23で示される塩基配列からなるTACSTD1増幅用プライマーセットとの組合せ。
(x)MASPIN検出用の組合せ
配列表の配列番号8、41、42又は43で表わされる塩基配列からなるMASPIN検出用プローブと、配列表の配列番号32及び33で示される塩基配列からなるMASPIN増幅用プライマーセットとの組合せ。
(xi)PRSS4検出用の組合せ
配列表の配列番号9で表わされる塩基配列からなるPRSS4検出用プローブと、配列表の配列番号28及び29で示される塩基配列からなるPRSS4増幅用プライマーセットとの組合せ。
(xii)GW112検出用の組合せ
配列表の配列番号10で表わされる塩基配列からなるGW112検出用プローブと、配列表の配列番号24及び25で示される塩基配列からなるGW112増幅用プライマーセットとの組合せ。
(xiii)ACTB検出用の組合せ
配列表の配列番号11で表わされる塩基配列からなるACTB検出用プローブと、配列表の配列番号30及び31で示される塩基配列からなるACTB増幅用プライマーセットとの組合せ。
(i)胃癌患者の腹腔内洗浄液中の遺伝子をPCRにより増幅するステップと、
(ii)上記ステップ(i)で得られた増幅物を配列表の配列番号1〜11及び34〜43で表わされる塩基配列からなるプローブとハイブリダイゼーション反応させるステップと、
(iii)上記ステップ(ii)の結果物から、該プローブとのハイブリッドを検出することで該腹腔洗浄液中の対象遺伝子の有無を検出するステップを含み、且つ
上記ステップ(i)が、上記ステップ(ii)に係るプローブの検出対象たる遺伝子の一部の領域をPCRで増幅するためのプライマーセットを用いてPCRを行うステップを有する胃癌の再発リスクの予測方法において、
該プローブと該プライマーセットの組合せを上記(i)〜(xiii)からなる群から選ばれる少なくとも1つの組合せとすることによって、胃癌再発リスクの予測精度をより高めることができる。
A群:TFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2及びCEA
B群:TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112及びACTB
また、TFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN及びACTBのプライマーセットも良いプライマーセットの一例である。
1.配列番号34〜37で表わされる塩基配列からなるCEA検出用プローブから選ばれる何れか。
2.配列番号1で表わされる塩基配列からなるTFF1検出用プローブ。
3.配列番号2で表わされる塩基配列からなるTFF2検出用プローブ。
4.配列番号3で表わされる塩基配列からなるFABP1検出用プローブ、
5.配列番号38又は39で表わされる塩基配列からなるCK20検出用プローブ。
6.配列番号40で表わされる塩基配列からなるMUC2検出用プローブ。
7.配列番号41〜43で表わされる塩基配列からなるMASPIN検出用プローブから選ばれる何れか。
8.配列番号11で表わされる塩基配列からなるACTB検出用プローブ。
9.配列番号7で表わされる塩基配列からなるTACSTD1検出用プローブ。
1.配列番号44及び45で表わされる塩基配列からなるCEA増幅用プライマーセット。
2.配列番号12及び13で表わされる塩基配列からなるTFF1検出用プライマーセット。
3.配列番号14及び15で表わされる塩基配列からなるTFF2検出用プライマーセット。
4.配列番号16及び17で表わされる塩基配列からなるFABP1検出用プライマーセット。
5.配列番号18及び19で表わされる塩基配列からなるCK20検出用プライマーセット。
6.配列番号26及び46で表わされる塩基配列からなるMUC2検出用プライマーセット。
7.配列番号32及び33で表わされる塩基配列からなるMASPIN検出用プライマーセット。
8.配列番号30及び31で表わされる塩基配列からなるACTB検出用プライマーセット。
9.配列番号22及び23で表わされる塩基配列からなるTACSTD1検出用プライマーセット。
・A群としてTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA
・B群としてTACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112、ACTB
の遺伝子を組み合わせ、それぞれを適切な条件下でPCR増幅すると、好適な増幅が可能である。また、簡便性等を考慮し、一本のPCRチューブでの増幅反応を行うことも可能である。その場合には、全遺伝子を同時増幅することも可能であるが、例えば、TFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、ACTBの9種の組合せは良い増幅を行うことが出来る組合せのひとつである。
(1)ヒト胃癌細胞、KATOIII
ヒト胃癌由来細胞株であるKATOIII(大日本製薬株式会社)を培養し、約1×106個の培養細胞を得た。得られた細胞からのtotal RNAの回収は常法に従い、以下に示す方法で行った。細胞に株式会社 ニッポンジーン社製ISOGENを加えてホモジナイズし、少量のクロロホルムを入れ、8000rpmで15分間遠心分離させ、上清を採取した。さらに採取量と等量のイソプロパノールを加え、15分以上室温でインキュベートした後、15000rpmで15分間遠心して、ペレットに回収し、エタノール沈殿(70%)によりtotal RNAを得た。
胃癌術中患者に対し、通常行われる術式に従って100mlの生理食塩水を用いて腹腔内洗浄を行い、洗浄液を回収した。回収された腹腔内洗浄液のうち病理部に検査検体として提出するのに必要な分量を抜き取った余剰検体を検査対象検体とし、1500rpm、10分、常温遠心し、上清を除去することによりペレット状になった沈渣成分を腹腔内浮遊細胞として回収した。回収した細胞からのtotal RNAの回収、およびcDNAの合成までは、実施例1の(1)に記載のKATOIII 細胞からの回収と同様に行った。
<実施例2>癌マーカー遺伝子のRT-PCR
(1)シングルPCR
実施例1で得られた胃癌細胞KATOIIIのcDNAを用いて、表3の記載のプライマーによる増幅を確認した。PCR増幅はインビトロジェン社から市販されているキットを用いて常法に従って行った。PCR増幅反応の液組成は下記表5に記載の通りである。
マルチプレックスRT-PCR
続いて、実施例2の(1)と同様にKATOIIIの全cDNAを鋳型に下記の遺伝子のcDNAを増幅、検出するためのPCRを行った。同一反応液中に複数のプライマーを用いるマルチプレックスPCR法によりcDNAの増幅を行った。同一の検体RNAまたはcDNAに対し、プライマーとして下記のA群及びB群の2組のプライマーセットをそれぞれ独立して用い、それぞれ異なるサイクル数でPCRを行った。
A群:TFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA
B群:TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112、ACTB
A群の各遺伝子を増幅するために用いたプライマーの配列番号は、No.12〜No.21、No.26,No.27である。B群の各遺伝子を増幅するために用いたプライマーの配列番号は、No.22〜No.25、No.28〜No.33である。プライマーの濃度は各プライマーごとに下記の所定の濃度になるよう設定した。反応液の組成を表7に示した。
<実施例3>チップの作製
(1)ガラス基板の洗浄
合成石英のガラス基板(サイズ:25mm×75mm×1mm、飯山特殊ガラス社製)を耐熱、耐アルカリのラックに入れ、所定の濃度に調製した超音波洗浄用の洗浄液に浸した。一晩洗浄液中で浸した後、20分間超音波洗浄を行った。続いて基板を取り出し、軽く純水ですすいだ後、超純水中で20分間超音波洗浄を行った。次に80℃に加熱した1N水酸化ナトリウム水溶液中に10分間基板を浸した。再び純水洗浄と超純水洗浄を行い、DNAマイクロアレイ用の石英ガラス基板を用意した。
シランカップリング剤KBM−603(信越シリコーン社製)を、1%の濃度となるように純水中に溶解させ、2時間室温で攪拌した。続いて、先に洗浄したガラス基板をシランカップリング剤水溶液に浸し、20分間室温で放置した。ガラス基板を引き上げ、軽く純水で表面を洗浄した後、窒素ガスを基板の両面に吹き付けて乾燥させた。次に乾燥した基板を120℃に加熱したオーブン中で1時間ベークし、カップリング剤処理を完結させ、基板表面にアミノ基を導入した。次いで同仁化学研究所社製のN−マレイミドカプロイロキシスクシイミド(N-(6-Maleimidocaproyloxy)succinimide)(以下EMCSと略す)を、ジメチルスルホキシドとエタノールの1:1混合溶媒中に溶解させた。濃度は最終濃度が0.3mg/mlとなるように調製した。ベークの終了したガラス基板を放冷し、調製したEMCS溶液中に室温で2時間浸した。この処理により、シランカップリング剤によって表面に導入されたアミノ基とEMCSのスクシイミド基が反応し、ガラス基板表面にマレイミド基が導入された。EMCS溶液から引き上げたガラス基板を、先述のEMCSを溶解した混合溶媒を用いて洗浄し、さらにエタノールにより洗浄した後、窒素ガス雰囲気下で乾燥させた。
プローブDNAは5'末端がチオール化したオリゴヌクレオチドプローブを用意した。用意したプローブは表1に記載した11種の遺伝子に対応したプローブである。各遺伝子に対応したプローブの配列番号は、TFF1検出用としてNo.1、TFF2検出用としてNo.2、FABP1検出用としてNo.3、CK20検出用としてNo.4、MUC2検出用としてNo.5、CEA検出用としてNo.6、TACSTD1検出用としてNo.7、MASPIN検出用としてNo.8、PRSS4検出用としてNo.9、GW112検出用としてNo.10、ACTB検出用としてNo.11のプローブである。
グリセリン7.5質量%、チオジグリコール7.5質量%、尿素7.5質量%、アセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)1.0質量%を含む水溶液を用意した。続いて、先に用意した11種類のプローブを上記の混合溶媒に5μMの濃度となるように溶解した。得られたDNA(プローブ)溶液をバブルジェットプリンター(商品名:BJF−850、キヤノン社製)用インクタンクに充填し、印字ヘッドに装着した。
30分間の反応後、100mMのNaClを含む10mMのリン酸緩衝液(pH7.0)により表面に残ったDNA溶液を洗い流し、ガラス基板表面に一本鎖DNAが固定したDNAマイクロアレイを得た。
<実施例4>多検体評価I
(1)マルチプレックスPCR
実施例1の(2)で回収した胃癌患者(国立がんセンター収集)118検体のcDNAを用いた評価実験を行った。実施例2の(2)と同様に、同一反応液中に複数のプライマーを用いるマルチプレックスPCR法によりPCR増幅を行った。
A群:TFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA
B群:TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112、ACTB
得られたアミノアリル標識PCR産物に対して、Cy3標識を行った。具体的には下記の手順で行った。(1)で得られた精製済のアミノアリル標識PCR産物を遠心濃縮器によりドライアップした。ドライアップしたPCR産物を0.2Mの炭酸バッファー(pH9.0)9μlに完全に溶解させた。得られた溶液に対し、Cy3標識試薬、2μlを添加し、室温暗所にて1時間攪拌した。Cy3標識試薬は、アマシャムバイオサイエンス社製のCy3 Mono-reactive NHS esterを用い、キット中の1ボトルを50μlのジメチルスルホキシドに溶解した溶液をCy3標識試薬として用いている。1時間攪拌した後、Cy3標識試薬2μlを加え、さらに室温暗所にて1時間攪拌した。反応終了後、37μlの蒸留水を加え、反応を停止し、Cy3標識PCR産物の粗精製物を得た。得られた粗精製物の精製は、(1)と同様にキアゲン社製の精製キットQIAquick PCR Purification Kitを用いて行った。最後の溶出は50μlの蒸留水によって行った。
得られたCy3標識PCR産物全量に対し、バッファー等を加え、最終濃度が下記の構成となるようハイブリダイゼーション溶液を調製した。
6×SSPE/10% ホルムアミド/0.05% SDS/PCR増幅産物溶液
(6×SSPEの組成は、NaCl 900mM、NaH2PO4・H2O 60mM、EDTA 6mM、p.H. 7.4)
実施例3で作製したDNAマイクロアレイを、ハイブリダイゼーション装置(Genomic Solutions Inc. Hybridization Station)にセットし、上記組成のハイブリダイゼーション溶液を用いて、下記表11に示す手順・条件でハイブリダイゼーション反応を行った。
輝度の算出にあたっては、プローブ(スポット)周辺部から測定される蛍光輝度値をバックグランド値として、各スポットから得られる輝度値からバックグランド値を差し引いた値を実測値とした。各プローブごとに18個の輝度値が得られるが、各プローブごとに平均値を算出し、これを蛍光輝度値とした。テンプレート量のバラツキによる輝度値への影響を補正するため、ベータアクチンを同時に増幅している。表12−1〜12−4に118症例の蛍光輝度値を示す。
得られた118症例の輝度値のうち、最終病期診断においてStage Iaの症例39症例をもとに、判定値の設定を行った。判定値は、「早期胃癌症例において存在しうる最大の輝度値」と定義し、この判定値を上回る輝度値が得られた場合に、「有意な発現があった」、すなわち早期胃癌症例のレベルを超えた発現と認めることとした。そのために、多数の早期胃癌症例を測定し、その中で最大の輝度値を判定値として採用する等の方法が考えられるが、統計学的な観点で一定のバラツキを加味するため、具体的な判定値の設定は下記の数式に基づいて計算を行った。なお、本実施例においては判定値の計算方法として2種の方法を採用した。
判定値(1)=早期胃癌症例(Stage Ia)の最大標準化輝度値+同標準偏差
判定値(2)=早期胃癌症例(Stage Ia)の平均標準化輝度値+同標準偏差×2
算出された判定値は下記表14の通りであった。
上記2つの判定値を利用し、早期胃癌も含めた全118症例の胃癌細胞の有無(再発予測)の判定を行った。判定方法として下記の2種類の方法を行った。
判定方法A:
各症例(各遺伝子)の標準化輝度値を判定値(1)と比較し、判定値を上回った遺伝子数をカウントする。全10遺伝子中2遺伝子以上が上回った場合に再発の可能性を示すがん細胞が検出される可能性、すなわち再発の可能性が高いとする情報(指標)とする。
判定方法B:
判定への寄与度が良好な6遺伝子(TFF1、TFF2、FABP1、CK20、MASPIN、TACSTD1)の標準化輝度値を判定値(2)と比較し、判定値を上回った遺伝子数をカウントする。6遺伝子中2遺伝子以上が上回った場合に再発の可能性を示すがん細胞が検出される可能性、すなわち再発の可能性が高いとする情報(指標)とする。
早期胃癌症例(stage Ia)で再発判定がないのは、判定値の数式から当然として、無再発の32症例において全て正しく無再発判定(0%)がなされている。一方、細胞診陽性症例において17症例中12症例(71%)で再発判定、免疫染色陽性症例において6症例中5症例(83%)で再発判定がなされており、本法が、癌専門病院レベルの細胞診の判定能を十分備えていることがわかる。さらに、細胞診では陰性とされた再発症例(腹膜外再発および腹膜再発)においても、34症例中7症例(21%)が本法によって再発を予測できており、本発明による高感度な癌細胞の検出方法の優位性が確認できた。
早期胃癌症例(stage Ia)において39症例中3症例(8%)、無再発症例において32症例中1症例(3%)で擬陽性判定がなされているが、誤判定率は極めて低い。再発症例では、細胞診陽性症例において17症例中15症例(88%)で再発判定、免疫染色陽性症例において6症例全て(100%)で再発判定がなされており、判定方法Aと同様に、癌専門病院レベルの細胞診の判定能を十分備えていることがわかる。さらに細胞診陰性であった再発症例(腹膜外再発および腹膜再発)においても、34症例中5症例(14%)が本法によって再発を予測できており、本発明による高感度な癌細胞の検出方法の優位性が確認できた。
<実施例5>
(1)胃癌患者の術中腹腔内洗浄液中の細胞
国立がんセンターにておいて行われた胃癌手術において、胃癌術中患者に対し、通常行われる術式に従って100mlの生理食塩水を用いて腹腔内洗浄を行い、洗浄液を回収した。回収された腹腔内洗浄液のうち、病理学診断等に提供される検体を抜き取った余剰検体を本研究の検体として用いた。なお、余剰検体の本研究への利用にあたっては、インフォームドコンセントに従って、当該患者に対する説明および同意の下に行われた。回収した検体のうち、様々な原因により不適合とされた検体を除き、全部で47の検体数(患者数)であった。回収した検体は、遠心チューブに入れ、常温下で15000rpmにて遠心し、上澄みを取り除いたペレット状の沈渣成分を腹腔内浮遊細胞として回収した。
各検体の臨床情報については、予後観察期間が不十分(2年未満)であり、一部、確定していない症例もあるが、本実施例を行った時点での臨床情報は下表16の通りである。
得られた浮遊細胞に対し、ISOGEN(ニッポンジーン社製) 600μlを加えた。よくホモジナイズし5分ほど室温放置した後、クロロホルム120μlを加えさらにホモジナイズした。15000rpmにて10分間遠心し、上澄みの水層成分を回収した。回収した水層成分に対し、グリコーゲン20μgおよびイソプロパノール400μlを加え、室温で15分間放置した後、15000rpmにて10分間遠心した。遠心チューブの下部に集積しているペレット状の成分を吸引しないように注意し、上澄み成分を除去した後、70%エタノールを加え15000rpmにて10分間遠心した。チューブの下部に集積しているペレット状の成分を吸引しないように注意し、上澄み成分を除去した後、室温にて風乾し、エタノール成分を除去した。超純水21μlを加え回収したtotal RNAをよく溶解した。チューブ壁面へのtotal RNA成分の付着を防ぐため、total RNAの溶液全量を新品のマイクロチューブに移した。回収したtotal RNA から1μlを抜き取り、260nmの吸光度を測定し回収total RNAの濃度および収量を測定した。
(3)逆転写反応
回収したtotal RNAから10μgを取り、超純水を加えて10μlのボリュームとなるよう調製した。0.5μg/μlの濃度になっているランダムヘキサマー(アマシャムバイオサイエンス社製)を1μl加えたのち、65℃で10分間加熱し、2分間以上氷上にて急冷した。続いて、逆転写酵素SuperScript IIキット(インビトロジェン社製)による逆転写反応を行った。 すなわち、キットに付属している、反応バッファー4μlおよび0.1MのDTT溶液2μl、10mMのdNTP Mix 1μl、リボヌクレアーゼインヒビター(タカラ社製)1μlを加え、簡単に攪拌した後、37℃に2分間置いた。続いてSuperScript IIを1μl加え、37℃で1時間反応させた。これによりmRNAの逆転写産物(一本鎖cDNA)の組精製物が得られた。
(4)マルチプレックスPCR
続いて、一本鎖cDNAをテンプレートとしたマルチプレックスPCRを行った。増幅対象とした遺伝子は、CEA、TFF1、TFF2、FABP1、CK20、Muc2、Maspin、TACSTD1、ACTBの全9遺伝子である。全9遺伝子を一括して増幅するマルチプレックスPCR法により増幅反応を行った。各プライマーの配列は表18に示した通りである。また、実施例4と同様に、インビトロジェン社製のAccuPrime酵素を用い、PCR産物の標識のためにアミノアリルdUTP(5-(3-aminoallyl)-dUTP)を基質としてPCRの反応溶液に加えた。反応液の組成を下記表17に示した。
本実施例を行うにあたって、新たにマイクロアレイの作製を行った。胃癌特異的遺伝子として特定されている11種の遺伝子のうち、PRSS4、GW112を除き、9種の遺伝子による検出を行うためのマイクロアレイの作製を行った。マイクロアレイの作製方法は、実施例3に記載の作製方法と同じであるが、9種の遺伝子を検出するためのプローブとして下記表20に記載のプローブをスポットした。
作製したマイクロアレイに対し、実施例4の(2)で合成したCy3標識済みの増幅検体をハイブリダイゼーションさせた。ハイブリダイゼーションは実施例4と同様、精製した増幅検体全量を用い、ハイブリダイゼーション装置を用いて行った。
実施例4と同様に、得られたデータをもとに判定値および判定方法の設定を行った。本実施例においては、「リンパ節転移の無い早期胃癌症例20症例」をもとに各遺伝子の判定値を設定した。本実施例においてはβアクチンによる規格化は行わず、βアクチン以外の8遺伝子のプローブから得られた輝度値を直接用い、判定値の設定等を行った。本実施例で取り扱った47症例の輝度値のうち、「リンパ節転移が無く早期胃癌症例」である20症例をもとに判定値の設定を行った。判定値は、実施例4と同様に「早期胃癌症例において存在しうる最大の輝度値」と定義し、この判定値を上回る輝度値が得られた場合に、「有意な発現があった」、すなわち早期胃癌症例のレベルを超えた発現と認めることとした。そのために、多数の早期胃癌症例を測定し、その中で最大の輝度値を判定値として採用する等の方法が考えられるが、統計学的な観点で一定のバラツキを加味するため、具体的な判定値の設定は下記の数式に基づいて計算を行った。
(計算式)
判定値=早期胃癌症例の平均標準化輝度値+早期胃癌症例の標準偏差×2
算出された標準化輝度値における判定値は下記表22の通りであった。
(8)判定方法II
次に、各プローブの絶対輝度を基準にした判定を行った。表21に記載の輝度データのうち、細胞の種類によらず発現するβアクチンを除いた8遺伝子の輝度値をもとに、各遺伝子の輝度値を「点数化」したうえで症例ごとに点数を合算し、その合計点により判定を行った。各遺伝子の点数化の方法は下記表24の通りである。
各症例の臨床情報、合計点、判定結果を下記表25に示す。
<実施例6>
各遺伝子のシングルPCRおよびマイクロアレイによる検出
実施例1で得られた胃癌細胞KATOIIIのcDNAをテンプレートとし、下記のCEA用プライマーを用いてPCR増幅を行った。
CEA用フォワードプライマー:AACTTCTCCTGGTCTCTCAGCT(配列番号20)
CEA用リバースプライマー:GCAAATGCTTTAAGGAAGAAG(配列番号21)
PCR増幅はTakara社から市販されているExTaq酵素のキットを用いて常法に従って行った。 増幅反応においては、標識化のためアマシャムファルマシア社製の蛍光標識基質Cy3dUTPを用いた。PCR反応液の組成を下記表26に示す。
<比較例1>電気泳動法による検出との感度比較
本発明により作成されたプローブ担体の感度について確認するため、電気泳動法との比較実験を行った。比較実験にあたっては、実施例4−(1)において得られたマルチプレックスPCR産物を利用した。すなわちA群とB群のマルチプレックスPCR産物を混合し、精製キットにて精製した約50μlの精製済PCR産物を利用した。電気泳動はアジレント社製バイオアナライザー2100(キット名DNA12000)を用い、添付のマニュアルに従って得られた精製済のPCR反応産物50μlのうち1μlを電気泳動した。
<比較例2>免疫染色による検出
国立がんセンターにおいて収集された上記実施例中の118検体の中で、検体No.113から118の6検体については免疫染色法による細胞観察を行っており、その結果、陽性であったことについては表4中に示してある。免疫染色方法は定法に従って行った。下記にその代表的な免疫染色画像を図3〜7に示す。なお、図中に示す番号は表4に示す検体番号、遺伝子名は染色した抗体の名称を示す。免疫染色は極めて特異性の高い癌細胞の検出方法であり、免疫染色法による陽性判定は、その細胞が確実に癌細胞であることを示している。これら免疫染色法陽性の6症例のうち判定方法Aにより5症例が、判定方法Bにより6症例すべてが、遺伝子の発現レベルからも癌細胞であることが強く示されている。すなわち、本発明による癌細胞の検出方法は、免疫染色法と同等の検出精度を持つことがわかり、感度と精度の高い検出方法であることが示された。また同時に、本発明において検出対象となっている遺伝子の発現を検出することによって、癌細胞を確実に検出できていることが示された。
Claims (12)
- 検査対象としての患者から採取した試料中での胃癌細胞の存在の有無を検出するための方法であって、
(i)胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112、ならびに、ACTBの合計11種類の遺伝子の発現を示すmRNAの試料中での有無をプローブ・ハイブリダイゼーション法により測定する工程と、
(ii)胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112、ならびに、ACTBの合計11種類の遺伝子の発現を示す遺伝子産物の試料中での有無を免疫染色法により測定する工程を具え、
該試料中での胃癌細胞の存在の検出は、下記の二つの基準に基づき行う
ACTB遺伝子の発現を示すmRNAに加えて、胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112のうち、少なくとも二つの遺伝子の発現を示すmRNAが、前記試料中に存在すること;
当該遺伝子の発現を示すmRNAが前記試料中に存在している、胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112の少なくとも一つの遺伝子の発現を示す遺伝子産物が、前記試料中に存在すること;
ことを特徴とする胃癌細胞の検出方法。 - 該試料中での胃癌細胞の存在の検出は、下記の二つの基準に基づき行う
ACTB遺伝子の発現を示すmRNAに加えて、胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112のうち、少なくともTFF1、FABP1、CK20、MUC2、MASPIN、TACSTD1からなる群に含まれる二つの遺伝子の発現を示すmRNAが、前記試料中に存在すること;
当該遺伝子の発現を示すmRNAが前記試料中に存在している、胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112の少なくとも一つの遺伝子の発現を示す遺伝子産物が、前記試料中に存在すること;
ことを特徴とする請求項1に記載の検出方法。 - 前記試料が腹腔内洗浄液、血液、リンパ液およびリンパ節から得られたものである
ことを特徴とする請求項1または2に記載の検出方法。 - 術後の胃癌の再発予測のための情報を得るための方法であって、
(i)胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112、ならびに、ACTBの合計11種類の遺伝子の発現を示すmRNAの術後の胃癌患者から採取した試料中での有無をプローブ・ハイブリダイゼーション法で測定する工程と、
(ii)胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112、ならびに、ACTBの合計11種類の遺伝子の発現を示す遺伝子産物の術後の胃癌患者から採取した試料中での有無を免疫染色法で測定する工程と、
(iii)発現が検出された場合を胃癌の再発の可能性を示す情報として取り込む工程と、
を有し、
前記発現の検出は、下記の二つの基準に基づき行う
ACTB遺伝子の発現を示すmRNAに加えて、胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112のうち、少なくとも二つの遺伝子の発現を示すmRNAが、前記試料中に存在すること;
当該遺伝子の発現を示すmRNAが前記試料中に存在している、胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112の少なくとも一つの遺伝子の発現を示す遺伝子産物が、前記試料中に存在すること;
ことを特徴とする胃癌の再発予測のための情報取得方法。 - 前記発現の検出は、下記の二つの基準に基づき行う
ACTB遺伝子の発現を示すmRNAに加えて、胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112のうち、少なくともTFF1、FABP1、CK20、MUC2、MASPIN、TACSTD1からなる群に含まれる二つの遺伝子の発現を示すmRNAが、前記試料中に存在すること;
当該遺伝子の発現を示すmRNAが前記試料中に存在している、胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112の少なくとも一つの遺伝子の発現を示す遺伝子産物が、前記試料中に存在すること;
ことを特徴とする請求項4に記載の情報取得方法。 - 前記試料が腹腔内洗浄液、血液、リンパ液およびリンパ節から得られたものである
ことを特徴とする請求項4または5に記載の情報取得方法。 - 前記(i)胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112、ならびに、ACTBの合計11種類の遺伝子の発現を示すmRNAの試料中での有無をプローブ・ハイブリダイゼーション法により測定する工程は、
胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112、ならびに、ACTBの合計11種類の検出対象遺伝子の転写により産生されるmRNAの検出に使用される、合計11種類のプローブと、該プローブの検出対象たる遺伝子の一部の領域をPCRにより増幅するためのプライマーセットの組み合わせとして、下記の11種類の組み合わせを選択し、
(TFF1検出用の組合せ)
配列表の配列番号1で表わされる塩基配列からなるTFF1検出用プローブと、
配列表の配列番号12及び13で表わされる塩基配列からなるTFF1増幅用プライマーセットとの組合せ;
(TFF2検出用の組合せ)
配列表の配列番号2で表わされる塩基配列からなるTFF2検出用プローブと、
配列表の配列番号14及び15で表わされる塩基配列からなるTFF2増幅用プライマーセットとの組合せ;
(FABP1検出用の組合せ)
配列表の配列番号3で表わされる塩基配列からなるFABP1検出用プローブと、
配列表の配列番号16及び17からなる塩基配列を有するFABP1増幅用プライマーセットとの組合せ;
(CK20検出用の組合せ)
配列表の配列番号4で表わされる塩基配列からなるCK20検出用プローブと、
配列表の配列番号18及び19で表わされる塩基配列からなるCK20増幅用プライマーセットとの組合せ;
(MUC2検出用の組合せ)
配列表の配列番号5で表わされる塩基配列からなるMUC2検出用プローブと、
配列表の配列番号26及び27で表わされる塩基配列からなるMUC2増幅用プライマーセットとの組合せ;
(CEA検出用の組合せ)
配列表の配列番号6で表わされる塩基配列からなるCEA検出用プローブと、
配列表の配列番号20及び21で表わされる塩基配列からなるCEA増幅用プライマーセットとの組合せ;
(TACSTD1検出用の組合せ)
配列表の配列番号7で表わされる塩基配列からなるTACSTD1検出用プローブと、
配列表の配列番号22及び23で示される塩基配列からなるTACSTD1増幅用プライマーセットとの組合せ;
(MASPIN検出用の組合せ)
配列表の配列番号8で表わされる塩基配列からなるMASPIN検出用プローブと、
配列表の配列番号32及び33で示される塩基配列からなるMASPIN増幅用プライマーセットとの組合せ;
(PRSS4検出用の組合せ)
配列表の配列番号9で表わされる塩基配列からなるPRSS4検出用プローブと、
配列表の配列番号28及び29で示される塩基配列からなるPRSS4増幅用プライマーセットとの組合せ;
(GW112検出用の組合せ)
配列表の配列番号10で表わされる塩基配列からなるGW112検出用プローブと、
配列表の配列番号24及び25で示される塩基配列からなるGW112増幅用プライマーセットとの組合せ;
(ACTB検出用の組合せ)
配列表の配列番号11で表わされる塩基配列からなるACTB検出用プローブと、
配列表の配列番号30及び31で示される塩基配列からなるACTB増幅用プライマーセットとの組合せ、
前記合計11種の検出対象遺伝子の転写により産生されるmRNAの測定は、
(i−1)前記試料中のmRNAをRT−PCRにより増幅し、該mRNAに由来するc−DNAを調製するステップと、
(i−2)前記ステップ(i−1)で得られた増幅物を、前記配列番号1〜11で表わされる塩基配列からなる、11種類のプローブが固相上に配置されているアレイとハイブリダイゼーション反応させるステップと、
(i−3)前記ステップ(i−2)の結果得られたアレイから、前記試料中の、該プローブの検出対象たる遺伝子の転写により産生されるmRNAに由来するc−DNAの有無を検出するステップと、
を含み、
前記ステップ(i−1)は、該アレイが有しているプローブの検出対象たる遺伝子の転写により産生されるmRNAの一部の領域をPCRで増幅するための前記プライマーセットを用いてRT−PCRを行うステップを含み、
該アレイが、
配列番号1〜11で表わされる塩基配列からなる、11種類のプローブの全てを固相上に互いに隔離されたスポットとして配置されている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の検出方法。 - 前記(i)胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112、ならびに、ACTBの合計11種類の遺伝子の発現を示すmRNAの術後の胃癌患者から採取した試料中での有無をプローブ・ハイブリダイゼーション法により測定する工程は、
胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112、ならびに、ACTBの合計11種類の検出対象遺伝子の転写により産生されるmRNAの検出に使用される、合計11種類のプローブと、該プローブの検出対象たる遺伝子の一部の領域をPCRにより増幅するためのプライマーセットの組み合わせとして、下記の11種類の組み合わせを選択し、
(TFF1検出用の組合せ)
配列表の配列番号1で表わされる塩基配列からなるTFF1検出用プローブと、
配列表の配列番号12及び13で表わされる塩基配列からなるTFF1増幅用プライマーセットとの組合せ;
(TFF2検出用の組合せ)
配列表の配列番号2で表わされる塩基配列からなるTFF2検出用プローブと、
配列表の配列番号14及び15で表わされる塩基配列からなるTFF2増幅用プライマーセットとの組合せ;
(FABP1検出用の組合せ)
配列表の配列番号3で表わされる塩基配列からなるFABP1検出用プローブと、
配列表の配列番号16及び17からなる塩基配列を有するFABP1増幅用プライマーセットとの組合せ;
(CK20検出用の組合せ)
配列表の配列番号4で表わされる塩基配列からなるCK20検出用プローブと、
配列表の配列番号18及び19で表わされる塩基配列からなるCK20増幅用プライマーセットとの組合せ;
(MUC2検出用の組合せ)
配列表の配列番号5で表わされる塩基配列からなるMUC2検出用プローブと、
配列表の配列番号26及び27で表わされる塩基配列からなるMUC2増幅用プライマーセットとの組合せ;
(CEA検出用の組合せ)
配列表の配列番号6で表わされる塩基配列からなるCEA検出用プローブと、
配列表の配列番号20及び21で表わされる塩基配列からなるCEA増幅用プライマーセットとの組合せ;
(TACSTD1検出用の組合せ)
配列表の配列番号7で表わされる塩基配列からなるTACSTD1検出用プローブと、
配列表の配列番号22及び23で示される塩基配列からなるTACSTD1増幅用プライマーセットとの組合せ;
(MASPIN検出用の組合せ)
配列表の配列番号8で表わされる塩基配列からなるMASPIN検出用プローブと、
配列表の配列番号32及び33で示される塩基配列からなるMASPIN増幅用プライマーセットとの組合せ;
(PRSS4検出用の組合せ)
配列表の配列番号9で表わされる塩基配列からなるPRSS4検出用プローブと、
配列表の配列番号28及び29で示される塩基配列からなるPRSS4増幅用プライマーセットとの組合せ;
(GW112検出用の組合せ)
配列表の配列番号10で表わされる塩基配列からなるGW112検出用プローブと、
配列表の配列番号24及び25で示される塩基配列からなるGW112増幅用プライマーセットとの組合せ;
(ACTB検出用の組合せ)
配列表の配列番号11で表わされる塩基配列からなるACTB検出用プローブと、
配列表の配列番号30及び31で示される塩基配列からなるACTB増幅用プライマーセットとの組合せ、
前記合計11種の検出対象遺伝子の転写により産生されるmRNAの測定は、
(i−1)前記試料中のmRNAをRT−PCRにより増幅し、該mRNAに由来するc−DNAを調製するステップと、
(i−2)前記ステップ(i−1)で得られた増幅物を、前記配列番号1〜11で表わされる塩基配列からなる、11種類のプローブが固相上に配置されているアレイとハイブリダイゼーション反応させるステップと、
(i−3)前記ステップ(i−2)の結果得られたアレイから、前記試料中の、該プローブの検出対象たる遺伝子の転写により産生されるmRNAに由来するc−DNAの有無を検出するステップと、
を含み、
前記ステップ(i−1)は、該アレイが有しているプローブの検出対象たる遺伝子の転写により産生されるmRNAの一部の領域をPCRで増幅するための前記プライマーセットを用いてRT−PCRを行うステップを含み、
該アレイが、
配列番号1〜11で表わされる塩基配列からなる、11種類のプローブの全てを固相上に互いに隔離されたスポットとして配置されている
ことを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の情報取得方法。 - 術後の胃癌の再発予測のための情報を得るための方法であって、
(i)胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、ならびに、ACTBの合計9種類の遺伝子の発現を示すmRNAの術後の胃癌患者から採取した試料中での有無をプローブ・ハイブリダイゼーション法で測定する工程と、
(ii)胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、ならびに、ACTBの合計9種類の遺伝子の発現を示す遺伝子産物の術後の胃癌患者から採取した試料中での有無を免疫染色法で測定する工程と、
(iii)発現が検出された場合を胃癌の再発の可能性を示す情報として取り込む工程と、
を有し、
前記発現の検出は、下記の二つの基準に基づき行う
ACTB遺伝子の発現を示すmRNAに加えて、胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPINのうち、少なくとも二つの遺伝子の発現を示すmRNAが、前記試料中に存在すること;
当該遺伝子の発現を示すmRNAが前記試料中に存在している、胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPINの少なくとも一つの遺伝子の発現を示す遺伝子産物が、前記試料中に存在すること;
ことを特徴とする胃癌の再発予測のための情報取得方法。 - 前記発現の検出は、下記の二つの基準に基づき行う
ACTB遺伝子の発現を示すmRNAに加えて、胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPINのうち、少なくともTFF1、FABP1、CK20、MUC2、MASPIN、TACSTD1からなる群に含まれる二つの遺伝子の発現を示すmRNAが、前記試料中に存在すること;
当該遺伝子の発現を示すmRNAが前記試料中に存在している、胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPINの少なくとも一つの遺伝子の発現を示す遺伝子産物が、前記試料中に存在すること;
ことを特徴とする請求項9に記載の情報取得方法。 - 前記試料が腹腔内洗浄液、血液、リンパ液およびリンパ節から得られたものである
ことを特徴とする請求項9または10に記載の情報取得方法。 - 前記(i)胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、ならびに、ACTBの合計9種類の遺伝子の発現を示すmRNAの術後の胃癌患者から採取した試料中での有無をプローブ・ハイブリダイゼーション法により測定する工程は、
胃癌細胞に特異的な遺伝子であるTFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、ならびに、ACTBの合計9種類の検出対象遺伝子の転写により産生されるmRNAの検出に使用される、プローブと、該プローブの検出対象たる遺伝子の一部の領域をPCRにより増幅するためのプライマーセットの組み合わせとして、下記の9種類の組み合わせを選択し、
(TFF1検出用の組合せ)
配列表の配列番号1で表わされる塩基配列からなるTFF1検出用プローブと、
配列表の配列番号12及び13で表わされる塩基配列からなるTFF1増幅用プライマーセットとの組合せ;
(TFF2検出用の組合せ)
配列表の配列番号2で表わされる塩基配列からなるTFF2検出用プローブと、
配列表の配列番号14及び15で表わされる塩基配列からなるTFF2増幅用プライマーセットとの組合せ;
(FABP1検出用の組合せ)
配列表の配列番号3で表わされる塩基配列からなるFABP1検出用プローブと、
配列表の配列番号16及び17からなる塩基配列を有するFABP1増幅用プライマーセットとの組合せ;
(CK20検出用の組合せ)
配列表の配列番号39で表わされる塩基配列からなるCK20検出用プローブと、
配列表の配列番号18及び19で表わされる塩基配列からなるCK20増幅用プライマーセットとの組合せ;
(MUC2検出用の組合せ)
配列表の配列番号40で表わされる塩基配列からなるMUC2検出用プローブと、
配列表の配列番号26及び46で表わされる塩基配列からなるMUC2増幅用プライマーセットとの組合せ;
(CEA検出用の組合せ)
配列表の配列番号37で表わされる塩基配列からなるCEA検出用プローブと、
配列表の配列番号44及び45で表わされる塩基配列からなるCEA増幅用プライマーセットとの組合せ;
(TACSTD1検出用の組合せ)
配列表の配列番号7で表わされる塩基配列からなるTACSTD1検出用プローブと、
配列表の配列番号22及び23で示される塩基配列からなるTACSTD1増幅用プライマーセットとの組合せ;
(MASPIN検出用の組合せ)
配列表の配列番号8、41、42又は43で表わされる塩基配列からなるMASPIN検出用プローブと、
配列表の配列番号32及び33で示される塩基配列からなるMASPIN増幅用プライマーセットとの組合せ;
(ACTB検出用の組合せ)
配列表の配列番号11で表わされる塩基配列からなるACTB検出用プローブと、
配列表の配列番号30及び31で示される塩基配列からなるACTB増幅用プライマーセットとの組合せ;
前記合計9種の検出対象遺伝子の転写により産生されるmRNAの測定は、
(i−1)前記試料中のmRNAをRT−PCRにより増幅し、該mRNAに由来するc−DNAを調製するステップと、
(i−2)前記ステップ(i−1)で得られた増幅物を、前記配列番号1〜3、7、8、11、37、39、40で表わされる塩基配列からなる、9種類のプローブが固相上に配置されているアレイとハイブリダイゼーション反応させるステップと、
(i−3)前記ステップ(i−2)の結果得られたアレイから、前記試料中の、該プローブの検出対象たる遺伝子の転写により産生されるmRNAに由来するc−DNAの有無を検出するステップと、
を含み、
前記ステップ(i−1)は、該アレイが有しているプローブの検出対象たる遺伝子の転写により産生されるmRNAの一部の領域をPCRで増幅するための前記プライマーセットを用いてRT−PCRを行うステップを含み、
該アレイが、
配列番号1〜3、7、8、11、37、39、40で表わされる塩基配列からなる、9種類のプローブの全てを固相上に互いに隔離されたスポットとして配置されている
ことを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の情報取得方法。
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