JP4794832B2 - 核酸検出用プローブセット及び担体 - Google Patents
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Description
標的一本鎖核酸を少なくとも3つのプローブからなるプローブセットを用いて検出する検出方法であって、
前記プローブセットから選択した3つのプローブをそれぞれ第1から第3のプローブとして、
前記第1のプローブは前記一本鎖核酸の第1の部分と特異的に結合する塩基配列を有しており、
前記第2のプローブは前記一本鎖核酸の第2の部分と特異的に結合する塩基配列を有しており、
前記第3のプローブは前記一本鎖核酸の第3の部分と特異的に結合する塩基配列を有しており、
前記第1の部分は前記第2の部分よりも前記標的一本鎖核酸の5’末端から離れた位置にあり、
前記第2の部分は前記第3の部分よりも前記標的一本鎖核酸の5’末端から離れた位置にあり、
前記標的一本鎖核酸上で前記第1、第2および第3のプローブのいずれかとともにハイブリッド体を形成する領域の位置の5’末端からの距離が大きくなるに従い該ハイブリッドの安定性が低下することに基づき、同じ検出感度で各プローブがハイブリッド体を形成するように、第1のプローブが第2のプローブよりも高いTm値を有し、かつ第2のプローブが第3のプローブよりも高いTm値を有する
ことを特徴とする検出方法である。
これにより、ハイブリッド体の安定性によらず必要とされる任意のプローブ設定が可能となる。
L2≧L1
の関係を有する場合にハイブリッド体が安定することが明記されている。さらには、その相対比であるL2/L1の大きさが大きいほど、よりハイブリッド体が安定することがわかっている。
(第1のプローブセットについて)
本発明による第1のプローブセットは、検出対象核酸の配列において、複数箇所のプローブが望まれる場合に特に有効である。検出対象核酸とプローブから構成される、部分的に二本鎖構造を有するハイブリッド体は、二本鎖構造部の両側に一本鎖部分が存在する。このうち検出対象核酸の5’末端側に存在する部分をA鎖、反対に3’末端側に存在する部分をB鎖としたときに、A鎖とB鎖の長さの比に応じて、そのハイブリッド体の安定性は大きく異なる。A鎖の塩基数をL1、B鎖の塩基数をL2としたときに、
L2≧L1
の関係を満たすときにハイブリッド体は安定し、また、その安定性はL2/L1の値が大きいほど高まることが知られている。検出対象核酸において各プローブが結合する領域の位置を、検出対象核酸の5’末端からの塩基数Pで表したとき、Pの値が小さくなれば、すなわちL2/L1が大きくなれば、そのハイブリッド体の安定性は高まり、客観的にプローブの結合力は高くなる。
第2のプローブセットは、検出対象となる一本鎖核酸、および相補的な配列を有する相補鎖のそれぞれ少なくとも1つの異なる領域を検出するためのプローブを有することを特徴とするプローブセットである。
上記の第1及び第2のプローブセットの少なくとも一方を構成する各プローブをそれぞれ個々に固相上に結合してプローブ担体を形成することができる。例えば、先に挙げたファミリー遺伝子間で共通の配列を有する領域に1つのプローブを設定し、反対にファミリー遺伝子間で異なる配列を有する固有の領域にそれぞれ1つのプローブを設定して、ファミリー遺伝子の解析を行なう場合などに好適に利用できる。従って、各プローブセットを構成するプローブの種類は分析の用途に応じて2以上の所定数となる。
(実施例1)
I.pUC118 EcoRI/BAPのPCR
(1)プライマーの設計
検査対象の配列を有する検体のモデルとして、市販のTakara社製ベクター pUC118 EcoRI/BAP(全長3162bp)を選択し、その塩基配列中より、下記の配列を有するフォワードプライマーF1とリバースプライマーR1の計2種を設計した。なお、pUC118 EcoRI/BAPの全塩基配列情報に関しては、Takara社より提供されており、また、公開されているデータベース等からも入手可能である。
実施例1の(1)で設計した2種のプライマーを合成した。各プライマーの合成は、それぞれの塩基配列を有するDNA鎖を定法に従ってDNA合成機で合成した。精製は、カートリッジ精製により行い、2種のプライマーを得た。得られたプライマーは、TEバッファーにて10μMの濃度に希釈した。
実施例1の(2)で合成した3種のプライマー、鋳型遺伝子DNAとするTakara社製ベクター pUC118 EcoRI/BAP、およびQIAGEN社製PCRキット HotStarTaq Master Mix を用いて、PCR増幅反応を行った。Master Mix中にはdATP、dCTP、dTTP、dGTPの4種のデオキシヌクレオチドが含まれているが、PCR産物を蛍光標識により標識するため、アマシャムファルマシア社製のCy3dUTPを加えて、PCR産物をCy3により標識した。
(1)プローブの設計
上記、PCR産物1に対して、3種のプローブを設計した。設計はプライマーの設計と同様、各プローブが設計した部分塩基配列を特異的に認識できるように充分配慮して設計を行った。このプローブ設計においては、プローブとハイブリダイゼーションし、プローブとハイブリッド体を形成するのは、R1のプライマーから伸長したDNA鎖である。
各プローブの配列はハイブリッド体の安定性に考慮し、塩基長を調整するなどして充分配慮して設計を行った。
プローブの合成およびDNAマイクロアレイの作製は、キヤノン社から開示されているDNAマイクロアレイの作製法に従って行なった。すなわち、基板プロセスに関しては、石英ガラスにシランカップリング剤処理及びEMCSを結合し、それにより表面にマレイミド基を導入した。またプローブ合成に関しては、5’末端にチオール基が導入されたプローブを合成しHPLC精製した。
DNAマイクロアレイ作製にあたっては、バブルジェットプリンター(商品名:BJF−850 キヤノン社製)の改造機を使用し、ガラス基板(サイズ(W×L×T):25mm×75mm×1mm)の基板上に、各プローブが16ずつスポットされたDNAマイクロアレイを作製した。
IIで作製したDNAマイクロアレイと、サンプル核酸検体としてIで作製したPCR増幅産物1を用いて、マイクロアレイ上でのハイブリダイゼーションを行った。
BSA(牛血清アルブミンFraction V:Sigma社製)を1重量%となるように、100mM NaCl/10mM リン酸バッファーに溶解し、この溶液にIIで作製したDNAマイクロアレイを室温で2時間浸し、ガラス基板面のブロッキングを行った。ブロッキング終了後、0.1重量%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を含む2×SSC溶液(NaCl 300mM、Sodium Citrate(trisodium citrate dihydrate,C6H5Na3・2H2O) 30mM、pH7.0)で洗浄を行った後、純水でリンスした。その後、スピン・ドライ装置でDNAマイクロアレイの水切りを行った。
各PCR産物は互いに等モルとなるよう調製したうえで、PCR増幅産物溶液2マイクロリットルを用いて最終濃度が下記の構成となるよう、ハイブリダイゼーション溶液を調製した。
6×SSPE/ 10% Formamide/ PCR増幅産物溶液
(6×SSPE: NaCl 900mM、NaH2PO4・H2O 60mM、EDTA 6mM、pH7.4)
(3)ハイブリダイゼーション
水切りしたDNAチップを、ハイブリダイゼーション装置(Genomic Solutions Inc. Hybridization Station)にセットし、上記組成のハイブリダイゼーション溶液を用いて、下記手順および条件でハイブリダイゼーション反応を行った。
上記ハイブリダイゼーション溶液を、65℃に加温し3分間保持したあと、さらに92℃で2分間、続いて55℃で4時間保持した。そのあと、その後、2×SSCおよび0.1%SDSを用いて、25℃で洗浄をした。さらに2×SSCを用いて20℃で洗浄を行い、必要に応じて通常のマニュアルに従い純水でリンスして、最後にスピン・ドライ装置で水切りを行い乾燥させた。
ハイブリダイゼーション反応終了後、スピン・ドライ乾燥したDNAチップについて、DNAマイクロアレイ用蛍光検出装置(Axon社製、Genepix 4000B)を用いて、ハイブリッド体に由来する蛍光測定を行った。各プローブごとに測定した結果を下記の表7に示す。
(1)プローブの設計
実施例1で合成したPCR産物1に対して、新たに1種のプローブを設計した。新たに設計したプローブは、実施例1のP1領域に相当する部分で、F1プライマーからの伸長鎖を検出するよう設定したプローブである。プローブの設計においては、設計した部分塩基配列を特異的に認識できるように充分配慮して設計を行った。設計したプローブの塩基配列およびTm値を表8に示す。
実施例1と同様、プローブ合成、チップ作製、同一のPCR産物1を用いてのハイブリダイゼーションまで行なった。DNAマイクロアレイにはP4のほかに実施例1で設計、使用したP3もスポッティングし、他は全て実施例1と同様に行なった。
実施例1と同様に蛍光輝度を測定した結果を下記表10に示す。
(1)プローブの設計
実施例1で合成したPCR産物1に対して、新たに2種のプローブP5,P6を設計した。新たに設計したプローブは、実施例1のP1、P2領域に相当する部分で、R1プライマーからの伸長鎖を検出するよう設定したプローブである。2つのプローブはいずれもP3と同じ結合力(Tm値)を有するようにプローブを設計してある。設計したプローブの塩基配列およびTm値を表11に示す。
実施例1と同様、プローブ合成、チップ作製、同一のPCR産物1を用いてのハイブリダイゼーションまで行なった。DNAマイクロアレイにはP5、P6のほかに実施例1で設計、使用したP3もスポッティングし、他は全て実施例1と同様に行なった。
実施例1と同様に蛍光輝度を測定した結果を下記表13に示す。
Claims (15)
- 標的一本鎖核酸を少なくとも3つのプローブからなるプローブセットを用いて検出する検出方法であって、
前記プローブセットから選択した3つのプローブをそれぞれ第1から第3のプローブとして、
前記第1のプローブは前記一本鎖核酸の第1の部分と特異的に結合する塩基配列を有しており、
前記第2のプローブは前記一本鎖核酸の第2の部分と特異的に結合する塩基配列を有しており、
前記第3のプローブは前記一本鎖核酸の第3の部分と特異的に結合する塩基配列を有しており、
前記第1の部分は前記第2の部分よりも前記標的一本鎖核酸の5’末端から離れた位置にあり、
前記第2の部分は前記第3の部分よりも前記標的一本鎖核酸の5’末端から離れた位置にあり、
前記標的一本鎖核酸上で前記第1、第2および第3のプローブのいずれかとともにハイブリッド体を形成する領域の位置の5’末端からの距離が大きくなるに従い該ハイブリッドの安定性が低下することに基づき、同じ検出感度で各プローブがハイブリッド体を形成するように、第1のプローブが第2のプローブよりも高いTm値を有し、かつ第2のプローブが第3のプローブよりも高いTm値を有する
ことを特徴とする検出方法。 - 前記プローブがDNAである請求項1に記載の検出方法。
- 各プローブ間でのTm値の差が、各プローブの有する塩基配列の塩基鎖長の差によるTm値の差を有する請求項1または2に記載の検出方法。
- 各プローブ間でのTm値の差が、各プローブの有する塩基配列のCG%の差によるTm値の差を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検出方法。
- 各プローブのTm値の差が、各プローブの有する塩基配列に基づいて最近接塩基対法により計算されるTmの差を有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の検出方法。
- 各プローブのTm値の差が、各プローブの有する塩基配列に基づいてワレース法(Wallace法)により計算されるTmの差を有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の検出方法。
- 各プローブのTm値の差が、各プローブの有する塩基配列に基づいてGC%法により計算されるTmの差を有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の検出方法。
- 前記プローブがPNAである請求項1乃至7のいずれか1項に記載の検出方法。
- 前記第1〜第3のプローブのそれぞれのTm値が、前記一本鎖核酸の第1〜第3の部分のそれぞれと、これらの第1〜第3のプローブにおける前記前記一本鎖核酸の第1〜第3の部分と特異的に結合する塩基配列のそれぞれとの結合部におけるTm値である請求項1〜8のいずれか1項に記載の検出方法。
- 前記一本鎖核酸の第1の部分が、前記標的一本鎖核酸の中央部よりも3’末端側に位置する請求項1〜10のいずれか1項に記載の検出方法。
- 前記プローブセットのプローブが、各プローブごとに固相上の識別可能な異なる領域に固定されている請求項1乃至7、9及び10のいずれか1項に記載の検出方法。
- 各プローブが、5'側の末端に導入された固定用部位を介して前記固相に固定されている、請求項11に記載の検出方法。
- 各プローブが、3'側の末端に導入された固定用部位を介して前記固相に固定されている、請求項11に記載の検出方法。
- 各プローブが、プローブ配列中に導入された固定用部位を介して前記固相に固定されている、請求項11に記載の検出方法。
- 前記各プローブが固定された固相が、平面状のマイクロアレイである請求項11〜14のいずれか1項に記載の検出方法。
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