JP4433696B2 - 窒化物結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は窒化物結晶の製造方法に関し、特に、窒化ガリウムに代表される周期表13族元素窒化物の高品質の塊状結晶の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化ガリウム(GaN)は発光ダイオード及びレーザーダイオード等の電子素子に適用される物質として有用である。この窒化ガリウム結晶の製造方法としては、現在サファイヤ又は炭化ケイ素等のような基板上にMOCVD(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition)法による気相エピタキシャル成長を行う方法が最も一般的である。しかしながら、該方法では基板とGaNの格子定数、熱膨張係数が異なるヘテロエピタキシャル成長であるために、得られるGaNに格子欠陥が発生しやすく、青色レーザー等で応用できるような品質を得ることが困難であるという問題がある。
【0003】
そこで、近年、上記方法に代わる、ホモエピタキシャル基板用の高品質の窒化ガリウムの塊状単結晶の新しい製造技術の確立が強く望まれている。かかる新しい窒化ガリウム結晶の製造方法として、各種の方法が提案されている。
S. Porowskiらは、約2000MPaの高圧下で、窒素とGaを反応させて窒化ガリム結晶を得ている(非特許文献1参照)。
また、R. Dwilinskiらは、100〜500MPaの高圧下、超臨界状態のアンモニアを溶媒とし、結晶化のための鉱化剤としてKNH2を用い、窒化ガリウム結晶を得ている(非特許文献2参照)。
一方、H.Yamaneらは、金属ナトリウムや金属リチウムをフラックスとして用い、金属ガリウムと溶解した窒素から窒化ガリウム結晶を得ている(非特許文献2参照)。
【0004】
【非特許文献1】
J.Crystal Growth178(1997)174-178
【非特許文献2】
ACTA PHYSICA POLONICA A Vol.88(1995)833-836
【非特許文献3】
J.Crystal Growth218(2000)7-12
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上のような方法による窒化物の結晶成長の方法は、工業的に確立されておらず、初歩的な検討に留まる。サイズの大きい塊状の高品質の単結晶を得る方法は明示されておらず、高圧装置のため非常に高価な設備が必要であったり、反応性の高い物質をフラックスとして使用するなど安全性の確保も厳重に行わなければならず、従って高い生産効率を得るのも難しい。アンモニアを溶媒とする溶液成長法による窒化ガリウムの成長方法は、一般的に言えば、水を溶媒とした水熱合成(育成)法による酸化物結晶の製造での操作、装置に制約された範囲での初歩的な条件検討に留まる。従って、結晶成長のメカニズムの詳細は不明であり、不純物が少なく、結晶性が高く、且つ、サイズの大きい塊状の高品質の単結晶を得る方法は確立されておらず、また、収率も不十分である。また、窒化物の結晶成長の実施のためには、水に比べて毒性や危険性の高いアンモニアを溶媒とするうえで、安全上の問題も十分に考慮しなければならない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題に鑑み、工業的にも十分適用可能な方法で、高品質の窒化物結晶を製造できる方法につき鋭意検討を行った結果、窒素含有溶媒の反応容器への供給条件に関する検討の中で、反応系外の外気、特に微量の水や酸素の反応系内への取り込みが、窒化物の結晶成長速度、及び、結晶品質に対して、予想以上に大きな悪影響を与えるとの知見などを見出し、本発明に到達した。即ち、本発明は、バルブを付属する反応容器内に、原料を充填後、前記バルブを介して、外気に触れることなく窒素含有溶媒を反応容器内に導入し、結晶を得ることを特徴とする窒化物結晶の製造方法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の窒化物結晶の製造方法において、製造対象の窒化物結晶としては特にその種類が限定されるものではないが、主として、B、Al、Ga、In等の13族元素の単独金属の窒化物(例えば、GaN、AlN)の結晶、ないし、合金族の窒化物(例えば、GaInN,GaAlN)の結晶の製造方法に関し、特に、窒化ガリウムの結晶を対象とするものである。
かかる窒化物結晶の製造原料としては、通常、窒化物の多結晶粉末原料(以下、多結晶原料と呼ぶ場合がある)を用い、これを、窒素含有溶媒中で結晶成長させる。かかる窒化物の多結晶原料は完全な窒化物であるという必要は特になく、条件によっては、むしろ、メタル状態(即ち、ゼロ価)の金属成分を含む方が好ましい場合がある。この理由については定かではないが、おそらく、反応系に微量の酸素が混入した場合に、メタル成分が、該酸素が窒素含有溶媒中に拡散するのを防ぐ酸素トラップ剤のような役割を果たしていものと推測される。また、メタル状態の金属の割合には特に制限はないが、これが多すぎる場合、窒化物結晶成長時の水素の発生が無視できなくなることを考慮する必要がある。
【0008】
原料となる多結晶原料の製造方法に特に制限はないが、例えば、アンモニアガスを流通させた反応容器内で、金属あるいは酸化物、水酸化物を前記アンモニアと反応させることで生成した窒化物多結晶を用いることができる。また、より反応性の高い金属化合物原料として、ハロゲン化物、アミド化合物、イミド化合物、及び、ガラザンなどの共有性M−N結合を有する化合物などを用いることができる。更には、Gaなどのメタルを高温高圧で窒素と反応させてつくった窒化物多結晶を用いることもできる。
【0009】
上記の多結晶原料については、これを結晶成長させて高品質の結晶を得るために、できるだけ水や酸素の混入を回避すべきである。そのために、多結晶原料中の酸素原子量は、通常5重量%以下、好ましくは2重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下とする。多結晶原料への酸素の混入しやすさは、水分との反応性あるいは吸収能との関連性がある。例えば、多結晶原料の結晶性が悪いほど表面等にNH基などの活性基が多く存在するため、それが水と反応して一部酸化物や水酸化物が生成する可能性があるためである。従って、多結晶原料としては、通常、できるだけ結晶性が高いものを使用することが望ましく、該結晶性は粉末X線回折の半値幅で見積もることが可能である。好ましい多結晶原料は、結晶形には特にこだわたないが(100)の回折線(ヘキサゴナル型窒化ガリウムでは2θ=約32.5°)の半値幅が、通常0.25°以下、好ましくは0.20°以下、特に好ましくは0.17°以下である。
【0010】
多結晶原料の粒径は好ましくは1〜20μmの範囲のものである。粒径が小さいものほど比表面積が大きくなり、溶媒への溶解速度が大きくなるので好ましい。但し、粒径が小さすぎると、該粒子が熱対流より反応器の結晶育成部に輸送され、種結晶を用いた場合は種結晶上に付着する恐れがあるので対策を講じる必要がある。
また、平均粒径の異なる2種の多結晶原料を用いることにより、小さい粒径の多結晶原料による速い溶解速度と、大きい粒径の遅い溶解速度のものが系内に混在することによりGa(含有)イオンなどの結晶育成部への供給切れを抑止し、その結果として、特に種結晶を用いた場合に、種結晶の溶出という塊状単結晶の育成上の不利益を抑止することもできる。
一方、多結晶原料の形状は、特に限定されるものではないが、溶媒への溶解均一性を考慮した場合、通常、球状のものが好ましい。
【0011】
以上のような多結晶原料は、通常、鉱化剤と呼ばれるような添加物と混合した後で結晶化工程に供される。かかる鉱化剤により、多結晶原料の溶媒への溶解性を高めるものと考えられている。鉱化剤は1種を用いる他、共鉱化剤としてもう1種を共存させたり、2種以上を混合して用いられることもある。多結晶原料と鉱化剤の量比は、例えば、GaNの場合、鉱化剤/Gaモル比として、通常0.01−10の範囲の比を選択でき、最適な比は原料、鉱化剤等の添加物の種類、および目的とする結晶の大きさなどによって選択される。
鉱化剤は、通常、ハロゲン原子、ないしは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属を含む化合物である。また、アンモニウムイオンやアミドなどの形で窒素原子を含むものが好ましい。ハロゲン原子を含む例としては、ハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化水素、アンモニウムヘキサハロシリケート、及びヒドロカルビルアンモニウムフルオリドや、ハロゲン化テトラメチルアンモニウム、ハロゲン化テトラエチルアンモニウム、ハロゲン化ベンジルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ジプロピルアンモニウム、及びハロゲン化イソプロピルアンモニウムなどのアルキルアンモニウム塩、フッ化アルキルナトリウムのようなハロゲン化アルキル金属等が例示されるが、好ましくはハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化水素、特に好ましくはハロゲン化アンモニウムである。これらの物質は溶媒への溶解性が高く、また、分解による窒化能を有するものである。
【0012】
アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属を含む硬化剤化合物としては、ハロゲン化アルカリ、アルカリ土類、希土類のハロゲン化物などの他、アンモニウムイオンやアミドなどの形で窒素原子を含むものが好ましい。なお、アルカリ、アルカリ土類、希土類のオキソ酸塩も使用可能であるが、生成する結晶が酸素を含まないようにする観点からは好ましい鉱化剤ではない。かかる硬化剤としては、ナトリウムアミド(NaNH2)、カリウムアミド(KNH2)、リチウムアミド(LiNH2)、リチウムジエチルアミド((C252NLi))等のアルカリ金属アミドや、Mg(NH22などのアルカリ度類金属アミド、La(NH23などの気土類アミド、Li3N、Mg32、Ca32、Na3N等の窒化アルカリ金属または窒化アルカリ土類金属が挙げられる。また、窒化クロム(CrN)、窒化ニオブ(NbN)、窒化ケイ素(Si34)、窒化亜鉛(Zn32)や、NH2NH3Clのようなヒドラジン類の塩、炭酸アンモニウム((NH42CO3)、カルバミン酸アンモニウム(NH2COONH4)が挙げられる。
【0013】
かくして、混合された多結晶原料と鉱化剤等の添加物は反応容器に充填されるが、特に必要でなければ、多結晶原料と一つ以上の鉱化剤等の添加物を別々に反応容器に充填してもかまわない。原料や鉱化剤等の添加物の種類によっては、反応容器の蓋を閉じた後に、液体として導入される場合もあり、その際に本発明の反応容器に付属したバルブを介してもかまわない。なお、多結晶原料や鉱化剤等の添加物が吸湿しやすい等の理由で必要となる場合には、充填前に加熱脱気するなどして十分乾燥することが好適に用いられる。更に、分解性の高い鉱化剤と多結晶原料との混合、充填が必要な場合は、酸素や水分を極力排した雰囲気下で速やかに行われる。例えば、不活性ガスを満たした容器あるいは部屋内で、反応容器の内部を十分にそれらの不活性ガスで置換した後、導入される。多結晶原料と鉱化剤等の添加物を混合し反応容器に充填した後、あるいは別々に反応容器に充填した後、蓋を閉める。その後、本発明の反応容器に付属したバルブを介して反応容器および配管部を加熱脱気することも有効に用いられる。また、反応容器の中に酸素や水分を選択的に吸収するスキャベンジャーの役割を果たす物質(例えば、チタンなどの金属片)を同伴させることも好適に用いられる。
原料、鉱化剤等の添加物は、通常、反応器下部に収まる様に充填される。反応器下部と反応器上部に温度差を与えることにより、溶解した結晶を反応器上部に析出させることができるからである。このように、原料の溶解析出過程を経て結晶を得ることにより、純度の高い高品質で結晶性の高い塊状結晶を得ることが可能となる。
【0014】
また、反応器上部に種結晶を準備することにより、単結晶の生成を促進させ、より大きな単結晶を得ることができる。種結晶の装填は通常、原料、鉱化剤等の添加物を充填した後に行われ、必要な場合反応容器に装填した後、加熱脱気することも有効に用いられる。
種結晶としては目的とする窒化物の単結晶を用いることが望ましいが、必ずしも目的と同一の窒化物でなくてもよく、場合によっては酸化物単結晶でもかまわない。但し、その際場合、目的の窒化物と一致、適合した格子定数、結晶格子のサイズパラメータを有する、あるいは、ヘテロエピタキシー(即ち、若干の原子の結晶学的位置の一致)を保証するよう配位した単結晶材料片または多結晶材料片から構成されているものである必要がある。例えば、窒化ガリウム(GaN)の場合、GaNの単結晶の他、酸化亜鉛(ZnO)の単結晶、炭化ケイ素(SiC)の単結晶、ガリウム酸リチウム(LiGaO2)、二ホウ化ジルコニウム(ZrB2)の単結晶等が挙げられる。
種結晶は、使用する窒素含有溶媒への溶解度、及び、鉱化剤との反応性を考慮して決定されるべきである。GaNの種結晶としては、MPCVD法やHVPE法でサファイヤ等の異種基板上にエピタキシャル成長させた後に剥離させて得た単結晶や、金属GaからNaやLi、Biをフラックスとして結晶成長させて得た単結晶およびLPE法を用いて得たホモ/ヘテロエピタキシャル成長させた単結晶、あるいは、本発明法を含む溶液成長法に基づき作製された単結晶およびそれらの切断した結晶などが用いられる。
【0015】
結晶成長反応は、多結晶原料、鉱化剤等を導入した反応容器の蓋を閉じ、更に、窒素含有溶媒をバルブを介して反応容器内に導入して行う。窒素含有溶媒は、前述のように反応中で原料を溶解させることができるものであればよく、自らがカチオンとアニオンに解離して、原料等に対してイオン的に溶媒和して原料等を溶解させるものでもよいし、分子間力で原料等を溶解させるものであってもよい。例えば、アンモニア(NH3)、ヒドラジン(NH2NH2)、尿素、有機アミン類としてメチルアミンのような第1級アミン、ジメチルアミンのような第二級アミン、トリメチルアミンのような第三級アミン、エチレンジアミンのようなジアミンあるいはメラミンなど、及びイミダゾールやピリジンのようなN含有環状化合物、更には、これら窒素含有化合物のカチオンの塩やそれらから成るイオン性液体等の窒化物III−Vの安定性を損なうことのない他のすべての窒素含有溶媒を用いることができる。
【0016】
また、ハロゲン化アンモニウム、アルカリ窒化物やアルカリアミドなど高温で液体となる物質を窒素含有溶媒とすることも可能である。しかしながら、生成する窒化物結晶への炭素等の混入を避けることを考えれば、窒素含有溶媒は、好ましくはアンモニアあるいはヒドラジン、ハロゲン化アンモニウムやアルカリ窒化物やアルカリアミド、生成結晶へのアルカリの混入回避や安全な溶媒の取り扱い、除去を考えればさらに好ましくはアンモニアである。
また、不純物の観点からは雰囲気中に存在する酸素が、生成する結晶にとりこまれてしまうことが懸念され、特にアンモニアを溶媒に用いる場合は、アンモニアと水との親和性が高いために、系内に水由来の酸素を持ち込みやすく、生成する結晶の混入酸素量が多くなり、ひいては窒化物の結晶性が悪化する恐れがある。溶媒に含まれる水や酸素の量を少なくすることが望ましく、好ましくは1000ppm以下、特に好ましくは100ppm以下である。これらの溶媒は単独でも、あるいは複数種のものを混合しても用いることができる。
【0017】
これらの溶媒は、窒化物結晶合成中や育成中において亜臨界状態、さらには超臨界状態で用いることが好ましい。超臨界流体は、その臨界温度以上で維持される濃ガスを意味し、臨界温度とは圧力によってそのガスが液化させられ得ない温度である。超臨界流体は一般的には、粘度が低く、液体よりも容易に拡散されるが、しかしながら液体と同様の溶媒和力を有する。もとより、水熱合成(育成)法において溶媒として使われる水と違って、窒素含有溶媒の物性は明らかにされているとは言い難いので、亜臨界状態、あるいは超臨界状態で原料等の溶解や窒化物の生成、溶解析出が促進される理由は確定できないが、水において知られているイオン積の概念を窒素含有溶媒にあてはめれば、温度上昇に伴ってそれが増大し、水における加水分解に相当する加安分解のような作用の増大が寄与している可能性もある。
超臨界状態で用いる場合、反応混合物は、一般に溶媒の臨界点よりも高い温度に保持する。アンモニアを溶媒として用いる場合、臨界点は臨界温度132℃、臨界圧力11.35MPaであるが、反応容器に対する充填率が高ければ、臨界温度以下の温度でも圧力は臨界圧力をはるかに越える。ここでいう超臨界状態とはこのような臨界圧力を越えた状態を含む。反応混合物は一定容積(容器容積)内に封入されているので、温度上昇は、流体の圧力を増大する。一般に、T>Tc(1つの溶媒の臨界温度)およびP>Pc(1つの溶媒の臨界圧力)であれば、流体は、超臨界状態にある。
【0018】
実際、溶媒中の窒化物多結晶原料の溶解度は、亜臨界状態と超臨界状態との間で極めて異なるので、超臨界条件では、窒化物結晶の十分な成長速度が得られる。反応時間は、特に、鉱化剤または共鉱化剤の反応性および熱力学的パラメータ、即ち、温度および圧力の数値に依存する。窒化物結晶合成中あるいは育成中、反応容器は5MPa〜2GPa程度の圧力範囲で保持される。圧力の設定は窒素含有溶媒の種類や温度、および反応器容積に対する溶媒体積の充填率によって行われる。本来、窒素含有溶媒を選べば、あとは温度と充填率によって一義的に決まるものではあるが、実際には、原料、鉱化剤などの添加物、および、反応容器温度の不均一性、および圧力センサーおよびバルブまでの配管など熱せられていない部分(死容積と呼ぶ)の存在による若干異なってくる。また、例えば、アンモニアを窒素含有溶媒として用いた場合、高温ではその解離平衡が窒素と水素に大きく傾いているため、高温ではそれによる圧力の変化が無視できなくなる恐れがある。一般にその解離反応は金属成分によって触媒されるものであり、原料や鉱化剤等の添加物の種類によっては平衡に到達する可能性もある。しかしながら、これらを考慮した上でも、バルブを付属する反応容器内に、原料を充填後、前記バルブを介して、外気に触れることなく窒素含有溶媒を反応容器内に導入導入後、バルブを閉じ、反応容器内の温度範囲を、下限で、通常150℃以上、好ましくは200℃以上、特に好ましくは300℃以上、上限として、通常800℃以下、好ましくは700℃以下、特に好ましくは650℃以下の範囲とすることが望ましい。そして、この反応容器内の圧力範囲を、下限として通常20MPa以上、好ましくは30MPa以上、特に好ましくは50MPa以上、上限として通常500MPa以下、好ましくは400MPa以下、特に好ましくは200MPa以下に保持することが望ましい。
【0019】
窒素含有溶媒の注入の割合は、反応容器のフリー容積、即ち、該容器に多結晶原料を含んだ原料及び種結晶を用いる場合は、それとそれを設置する構造物およびバッフル板を設置する場合にはそのバッフル板の体積を反応容器から差し引いて残存する容積、および窒素含有溶媒の標準状態での液体密度、標準状態で気体である場合は沸点における液体密度を基準とし、充填率として通常20〜95%、好ましくは40〜90%、さらに好ましくは50〜80%とする。
窒素含有溶媒は、タンクからの配管を通じ、反応容器に付属したバルブを通って外気と触れることなく反応容器に導入される。その際、通常、窒素含有溶媒は液体として導入される。窒素含有溶媒を液体として導入する場合は、原料や鉱化剤等の添加物が該窒素含有溶媒に十分に可溶である場合は、あらかじめそれらを溶解させて同時に導入することもできる。また、窒素含有溶媒の沸点が低い場合は気体として導入することも好適に用いられる。気体や液体として導入する場合、途中に流量制御装置を設けて、あらかじめ設定された量を導入することも可能である。窒素含有溶媒の導入にあたっては、一般に液体より気体として導入するほうが反応容器に溶媒を充填するにあたって時間がかかるが、ガスとして反応器に導入する場合には、配管その他からに由来する不純物を反応容器内に持ち込むことが避けられ、また、一旦ガスとして反応容器を置換することも可能となるため、極めて純度の高い窒素含有溶媒を充填することが可能となる。
【0020】
反応は、一般に多結晶原料、鉱化剤を導入した反応容器の蓋を閉じ、次いで、窒素含有溶媒を入れて行われるが、窒素含有溶媒を入れる前に反応容器や配管部内を脱気することや、窒素などの不活性ガスを流通させることも好適に用いられる。ここで、バルブを付属する反応容器を用いることによって安全確実に窒素含有溶媒を導入することが可能となる。すなわち、蓋を閉じた後に反応容器を脱気する場合は、脱気した後真空に引いている側との接続部を少なくともひとつ以上のバルブを閉じることによって遮断でき、その後、窒素含有溶媒を導入する側のバルブを開けることによって、外気が漏れ混むことなく安全に窒素含有溶媒を導入することができるからである。また、蓋を閉じた後に反応容器を不活性ガスで流通させる場合にも、あらかじめ窒素含有溶媒を導入するバルブ付配管を反応器に付けておき、それを開けることによって、酸素や水が混入することなく、窒素含有溶媒を導入することが可能となる。通常の場合、バルブ付反応容器を用いなければ、たとえ一旦反応容器内を脱気、あるいは不活性ガス流通したとしても、その後、窒素含有溶媒を導入する際に再び、蓋を開けるか、開いている口から導入することになり、外気の混入、ひいては酸素や水の混入は避けられない。特にアンモニアを窒素含有溶媒として用いる場合、その潜熱により反応容器自体も冷たくなり、空気中の水分が凝縮して反応容器に混入することが避けられない。それを回避するとなれば、反応容器をあらかじめ不活性ガスを満たした入れ物、あるいは部屋に入れるか入れた後、その中で窒素含有溶媒を導入することとなり、その作業は非常に危険で大型の反応容器の場合は効率が悪く、特にアンモニアのような揮発性が高く有害な溶媒を用いる場合は作業を行う人が部屋中に入って行うことは不可能で、使用後に部屋内に漏れた溶媒成分を安全に除去、処理することも難しい。
【0021】
バルブ付反応容器を用いれば、不活性ガスを流通させながら窒素含有溶媒を入れることも好適に用いられる。また、ひとつ以上のバルブ付き配管が付属することによって、例えば、窒素含有溶媒導入のバルブとは違うバルブを介して吸収塔に接続しておくことができ、溶媒導入時あるいは溶媒除去時にそのバルブを開けることで安全に余剰溶媒や除去溶媒を回収することが可能となる。窒素含有溶媒導入時は反応容器を窒素含有溶媒の沸点以下に冷却してもよいが、アンモニア未等の場合は沸点が室温以下であってもその潜熱の大きさ故に、特に液体として導入した場合には冷却することなしに液体を充填することは可能である。
【0022】
図1に、本発明に好適に使用することが可能なバルブ付反応容器の略図を示したが、本発明の窒化物の製造方法はこれに限定されるものではない。垂直に配置された長い円筒形の反応容器の上部は、配管により圧力制御装置や圧力センサに接続されており、また、溶媒等を導入あるいは除去するための少なくとも一つ以上の配管が付属しており、それらは少なくとも一つ以上のバルブによって閉鎖できる。バルブの反応容器と反対側の配管の先は、図示しないが、多くの場合枝分かれしており、多くの場合さらなるバルブを介して窒素含有溶媒のタンクや真空ポンプ等と連結されている。これにより外気と触れることのない連続したガスの脱気、置換交換や溶媒の導入、除去が可能となる。また、バルブの反応容器と反対側の配管の先にジョイント部を設けて、ガスの脱気、置換交換や溶媒の導入、除去を行う以外の時に反応容器を閉鎖したまま、ガスの脱気、置換交換や溶媒の導入、除去に関する諸設備と反応容器とを切り離すことも可能である。さらに少なくとも容器は、容器を全高さにわたって囲み容器軸線に沿って温度勾配を容器に加えることができる炉内に設けてあるか、炉に納められようになっている。
なお、実際は、本発明で使用できるバルブ付反応容器は、バルブ付き配管は反応容器本体に付属していてもよいし、蓋部分に付属していてもよい。バルブは反応器につながる一つの配管に直列に配置されていてもよいし、反応容器につながる1つ以上の配管に並列に配置されていてもよい。反応容器空洞部分に一番近いバルブから反応容器空洞部分までの配管部の、いわゆる死容積は小さい方が好ましい。
【0023】
また、反応容器内面および付属するバルブまでの配管部内面、およびバルブ内面の全てあるいは一部を周期表の4、5、6または10、11族元素から構成された面で被覆することが好適に用いられる。または、前記金属で作製した内筒を反応容器内に設置することもできる。例えば、周期表の10族の金属とは、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)である。本発明においては、必要に応じて、該反応容器内筒を封止し反応容器に設置する方法も用いることができる。以上により、反応容器材質からの生成窒化物結晶への不純物の混入を抑制することができる。
【0024】
更に、反応容器上部に種結晶を設ける場合、例えば、反応容器を、重畳する2つのゾーン、即ち、バッフル板によって分離された下部の原料充填部および上部の育成部に分割し、これら2つのゾーンの間の温度勾配ΔTが通常10〜100℃となるようにする。
そして、種結晶は、金属線によって保持され、この金属線を同じく金属製のフレームに締結することにより固定することができる。ここでの金属としては、周期表4、5、6または10、11族元素のものが好ましく、例えばニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、ニオブ(Nb)が例示される。
また、容器内にバッフル板を設置して、多結晶原料からなる原料を充填した原料充填部と種結晶を配置する結晶育成部とに区画するここともできる。このバッフル板としては、その開孔率が2〜5%(但し、5%を含まず。)のものが好ましく、バッフル板の表面の材質は、ニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、ニオブ(Nb)などが好ましい。バッフル板の開孔率を制御することにより、溶液成長条件下における結晶育成部での過飽和度を適正に制御することが容易になる。また、場合によっては、バッフル板上に、更に、多結晶原料を追加供給することもできる。このように、バッフル板上、即ち、原料充填部と種結晶配置部との間に多結晶原料をさらに介在させることにより、結晶育成部の過飽和状態への移行速度を上げることができ、種結晶の溶出における各種のデメリットを防止することができる。
【0025】
更に、反応容器には、種結晶の設置場所の上方、即ち溶媒の対流の集束点近傍に、析出物捕集ネットや析出防止の傘板を設けることもできる。この析出物捕集ネットや析出防止の傘板の役割は以下の通りである。即ち、反応容器の上部に行くに従って、溶媒の対流、すなわち溶質の輸送流はより低温な領域に向かうことになるが、このような低温部で過飽和状態になっている溶質は、種結晶上のみならず、種結晶を吊り下げている金属線、この金属線を締結する金属製フレームや反応容器の内壁にも析出物として析出する問題がある。このような場合に、析出物捕集ネットや析出防止の傘板を対流の集束点近傍に設けることにより、種結晶上に析出しきらなかった残余の溶質を頂部内壁によって下方向に反転させたり、捕集ネットにおいては、輸送流中の微結晶あるいは析出物を捕捉するとともに、この捕集ネット上に選択的に微結晶を析出させることができる。また反応容器内部上方の付属バルブまでの配管や圧力センサーにつながる配管口にも結晶析出防止の構造物を設けることができる。これによって、圧力センサーまでの配管や窒素含有溶媒を除去するために使う配管が析出結晶によって閉塞したり、窒素含有溶媒除去時に溶媒に溶解していた鉱化剤などの添加物が析出することによって閉塞したりすることを回避できる。この捕集ネットや析出防止の傘板、配管口の析出防止構造物の材質としては、ニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)またはニオブ(Nb)であることが好ましい。析出防止の傘板は開孔部を設けていてもよい。
【0026】
本発明においては、上記のような過飽和度を適正に制御するためには、原料充填部容積に対する結晶育成部容積の割合を1〜5倍の範囲内にすることが好ましい。なお、過飽和度が通常1.5を超える場合には、種結晶上に析出する速度が速すぎるため育成される結晶内部の整合性が悪化するとともに、欠陥が導入され好ましくない。また、育成容器内壁及びフレームに析出する量が多くなるため、その析出物が肥大化した場合には、GaN単結晶と接触し、単結晶の成長を阻害することもあり好ましくない。
ここで、「過飽和」とは、溶解量が飽和状態より以上に増加した状態をいう。また、「過飽和度」とは、過飽和状態の溶解量と飽和状態の溶解量との比をいう。溶液成長法においては、原料充填部からの熱対流による窒化物の輸送により過飽和状態になっている結晶育成部の窒化物の溶解量の、結晶育成部の飽和状態での窒化物の溶解量に対する比率をいう。
以上のような過飽和度は、多結晶窒化物の密度、バッフル板の開孔率、原料充填部と結晶育成部との温度差等を適宜変更・選定することにより制御することができる。
【0027】
以上のようなバルブ付反応容器内での結晶成長反応は、電気炉などを用いて反応容器内を加熱昇温することで、窒素含有溶媒の亜臨界状態、超臨界状態とした状態に保持することにより行われる。反応容器の加熱の方法、所定の反応温度への昇温速度に付いては特にこだわらないが、通常、数時間から数日かけて行われる。必要に応じて、多段の昇温を行ったり、温度域において昇温スピードを変えたりすることも好適に用いられる。また、反応容器を部分的に温度差をつけて加熱したり、部分的に冷却しながら加熱したりすることもできる。
【0028】
なお、ここでいう、反応温度は反応容器外面に接するように設けた熱電対によって測定されるもので、厳密には、実際の反応容器内部の温度ではない。反応容器内部方向への温度勾配は反応容器の形状や納める炉の形状、およびその位置関係に代表される加熱、保温状況により異なるが、熱電対用に一部反応容器外面から内方向に開けた、反応容器内空洞部までは貫通しない穴などを利用して、反応容器内部方向への温度勾配を推測、あるいは外挿し、反応容器内部の温度を推定することとなる。同様に反応容器の上下方向の温度も、反応容器の形状や納める炉の形状、およびその位置関係に代表される加熱、保温状況により異なる。よって、反応容器外面の上下で温度を数点測定し、および各位置の反応容器の内部の温度を推定した上で温度制御を行うことが望ましい。反応容器の形状や保温状況によっては、反応容器外面の温度が上下で同じ、あるいは上部のほうが数十℃高い場合でも、反応容器内部の温度が上部のほうが数十℃低いということもありうる。また、先述のように、結晶の溶解析出を促進するために、反応中に上下の温度勾配をあらかじめ設ける場合は反応容器外面の数点の温度を測定するとともに、多段に分けたヒーターを用いて、反応容器の主に上下方向に分けた温度制御を行うことも効果的である。
【0029】
所定の温度に達した後の反応時間については、窒化物結晶の種類、用いる原料、窒素含有溶媒、求める結晶の大きさや量によっても異なるが通常数時間から数百日である。反応中、反応温度は一定にしてもよいし、徐々に昇温、降下させるなどしてもかまわない。所望の結晶を生成させるための反応時間を経た後、温度を降下させる。温度降下の方法は特に拘らないがヒーターの加熱を停止してそのまま炉内に反応容器を設置したまま放冷してもかまわないし、反応容器を炉からはずして空冷してもかまわない。必要であれば、冷媒を用いて急冷することも好適に用いられる。また、温度降下時の結晶の偏析出や特定の鉱化剤等の添加物によってはその偏析出を防ぐために、反応容器を部分的に温度差をつけて冷却したり、部分的に微加熱しながら冷却したりすることもできる。
【0030】
反応容器外面の温度、あるいは推定する反応容器内部の温度が所定温度以下になった後、反応容器を下記のごとく開栓する。このときの所定温度は窒素含有溶媒の種類にもよる。本発明の反応容器に付属したバルブの反応容器側でない側を、水などを満たした容器に通じた配管の該バルブとは異なるバルブを開けることによって通じておき、反応容器に付属したバルブを開ける。このときに不活性ガスを通じながらでもかまわない。窒素含有溶媒の沸点が低い場合には、窒素含有溶媒はガスとして反応容器から容器に移動し、水などに吸収される。このとき窒素含有溶媒の蒸発熱が大きい場合には、移動時間を短くするために反応容器を加熱することも好適に用いられる。また、移動させる側の容器を水などを満たすことなく冷却することも好適に用いられる。水などの溶媒に吸収させる方法を用いなかった場合、回収した窒素含有溶媒を再使用することが容易となる。また、窒素含有溶媒の沸点が高い場合は本発明の反応容器に付属したバルブを開けた後、ポンプ等によって直接溶媒を抜き取り、除去してもよい。これらの方法で、窒素含有溶媒を除去するときに鉱化剤等の添加物や未反応の原料を同時に除去できることもできる。
【0031】
窒素含有溶媒を除去した後、生成した窒化物結晶および未反応の原料や鉱化剤等の添加物を取り出すために蓋を開けることになるが、本発明の反応容器に付属したバルブを設けておくことで、その前に完全に窒素含有溶媒の残存ガスを除去するために、不活性ガス等で反応容器を置換することや、加熱脱気することも可能となる。
以上のような操作の後、安全に反応容器の蓋を開け、生成結晶や未反応原料などを取り出すこととなるが、本発明の反応容器に付属したバルブがなければ、それらを取り出すために、まず最初に蓋を開けることになるため、沸点の低い窒素含有溶媒の場合は、反応容器をその沸点以下にまで冷却しなければ、蓋を開けることは危険となり、生産効率が低下する。また、有害な窒素含有溶媒の場合は、あらかじめ雰囲気を遮断した入れ物や部屋の中で蓋を開けなければならず、生産効率は低いものとなる。さらには、原料によっては、窒化物の合成と結晶育成を同時に行うことになるため、例えば金属を含む原料を用いた場合には容器内で水素が発生することになる。その際には反応容器をいくら冷却したとしても、圧力が残存する場合があり、圧力を逃がさないまま蓋を開けることが危険になることも予想される。
【0032】
以上、本発明の窒化物結晶の製造方法については、窒化物多結晶を原料にした場合を例に述べてきたが、原理的には窒化物多結晶を原料としなくても、それに類した、あるいは準じた化合物、およびそれに転化しうる前駆体を原料にして上記方法を実施することは可能である。それに類した、あるいは準じた化合物、およびそれに転化しうる前駆体としては、すでに原料になりうるとして挙げた純金属や、ガラザンなどの共有性M−N結合を有する化合物、Ga(NH23などの金属アミド、KGa(NH24などのアルカリ金属アミド、金属イミド、GaCl3などのハロゲン塩、ハロゲン化物アンモニア付加物、アンモニウムハロガレートなどハロ金属塩などがある。また、不純物の混入を避ける意味においては積極的に用いるべきではないが、水酸化物や酸化物、オキソ酸塩などを使用することも不可能ではない。
【0033】
これらの、窒化物多結晶そのものではない原料を用いて、塊状窒化物結晶を得ようとする場合には、窒化物合成と窒化物の窒素含有溶媒への溶解析出を同時に行うことが必要になるため、より厳密な反応条件のコントロールが求められる。それが非常に難しく、またより大きな塊状結晶を得たいとする場合は、多段に分けた製造方法を行うことが好適に用いられる。すなわち、本発明の反応容器に付属したバルブを用いた製造方法によって、上述したような窒化物多結晶原料に類したあるいは準じた化合物、およびそれに転化しうる前駆体を原料にして、最初にある反応条件によってまず多結晶窒化物を製造し、その後、それを原料にして、同様に本発明の反応容器に付属したバルブを用いた製造方法によって塊状窒化物結晶を育成する。このような原料を用いる場合は、この多段に分けた方法によって塊状窒化物結晶の製造は容易になる。この時、多段に分けた反応は同一の反応器で窒素含有溶媒など除去せずにそのまま行ってもよいし、同一、あるいは別の窒素含有溶媒や鉱化剤に入れ替えて行ってもよい。合成された窒化物多結晶原料を一度取り出して、洗浄などの処理などを施した後、同じ反応器または別の反応器に充填し窒化物結晶を育成してもかまわない。その際、先述したように種結晶を設置することも好適に用いられる。
【0034】
以上述べてきたように、本発明の反応容器に付属したバルブを用いた製造方法により、効率よくかつ安全に窒化物結晶を製造することが可能となる。本発明において得られた塊状窒化物結晶は、必要な場合、塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)等で洗浄することができる。また、生成した結晶および未反応の原料や鉱化剤等の添加物を取り除いた後の反応容器も、必要な場合も同様に洗浄することができる。
【0035】
【実施例】
以下に本発明を実施するための具体的な態様について実施例を挙げて述べるが、本発明はその要旨を越えない限り、下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
内面がPtでコートされた30ml(+死容積6ml)の反応器の中に内壁にほぼ密着するようにつくったPt内筒を装着後、真空脱気、不活性ガス置換を繰り返し、乾燥する。不活性ガス雰囲気中で反応容器の蓋を開け、内筒の底に原料として、XRDで(100)の回折線(2θ=約32.5°)の半値幅(2θ)が0.17度以下で、LECO社製酸素窒素分析装置TC−436型で測定した酸素量が0.2wt%の十分に乾燥させた多結晶h−GaN(ヘキサゴナル型窒化ガリウム)原料1.0gを入れた。さらに十分に乾燥したNH4Cl0.2gを入れた後蓋を閉じた。つづいて反応容器に付属したバルブを介して配管を真空ポンプに通じるように操作し、バルブを開けて真空脱気した後、一旦バルブを閉じ、反応容器をドライアイスエタノール溶媒によって冷却した。続いてNH3タンクに通じるように操作した後、再びバルブを開け、連続して外気に触れることなくNH3を反応容器に導入した。流量制御に基づき、NH3を反応容器空洞部の60%に相当する液体として導入(−33℃のNH3密度で換算)した後、バルブを閉じ、反応容器を上下に2分割程度に分割されたヒーターで構成された電気炉内に納めた。6時間かけて反応容器下部外面の温度が530℃になるように昇温し、反応容器下部外面の温度が530℃に達した後、その温度で72時間保持した。反応容器内の圧力は約130MPaであった。保持中の温度のぶれはプラスマイナス10℃以下であった。その後、炉のヒーターの加熱を辞め、炉内で自然放冷した。反応容器下部外面の温度がほぼ室温まで降下したのを確認した後、反応容器に付属したバルブの反応容器側でない配管部に不活性ガスを流し、それが水で満たした吸収タンクを通ずるように操作した後該バルブを開け、反応容器内部のNH3をパージした。十分に反応容器内部のNH3を除去した後、一旦バルブを閉じ、今度は真空ポンプに通ずるように操作した後、バルブを再び開け、反応容器内部のNH3をほぼ完全に除去した。その後、蓋を開け、内部を確認したところ、反応容器上部に約0.3gの塊状窒化物結晶が析出していた。該窒化物結晶を取り出し、粉砕して粉末X線回折を測定した。結晶形はヘキサゴナル型で(100)の回折線(2θ=約32.5°)の半値幅(2θ)が0.18°であった。LECO社製酸素窒素分析装置TC−436型で測定した酸素量は0.4wt%であった。
【0036】
実施例2
原料として純度99.9999%の金属Ga2.0gを用い、十分に乾燥させたNH4Cl0.48gを用いた以外は実施例1と同様にしてNH3導入(−33℃のNH3液体密度で充填率60%)、昇温、反応、およびNH3除去操作を行った。蓋を開け、内部を確認したところ、反応容器上部に約0.3gの塊状窒化物結晶が析出していた。該窒化物結晶を取り出し、粉砕して粉末X線回折を測定した。結晶形はヘキサゴナル型で(100)の回折線の半値幅(2θ)が0.2°であり、酸素量は0.4wt%であった。
また、反応容器の底に灰色の物質が確認されたため、取り出して粉砕し粉末X線回折を測定したところh−GaNであった。(100)の回折線の半値幅(2θ)が0.17°であり、酸素量は1.8wt%であった。
【0037】
比較例1
原料として、実施例1で用いたのと同じh−GaN多結晶とNH4Clを用い、バルブを用いることの効果を実証するため、NH3を導入する際に反応器の蓋を一部開けたまま、NH3を導入した以外は実施例1と同様にしてNH3導入(−33℃のNH3液体密度で充填率60%)、昇温、反応、およびNH3除去操作を行った。蓋を開け、内部を確認したところ、反応容器上部に約0.2gの結晶が析出していた。該結晶を取り出し、粉砕して粉末X線回折を測定した。結晶形はヘキサゴナル型で(100)の回折線の半値幅(2θ)が0.25°であり、酸素量は4.2wt%であった。
【0038】
比較例2
原料として、XRDで(100)の回折線の半値幅が0.24で、LECO社製酸素窒素分析装置TC−436型で測定した酸素量が5.2wt%の十分に乾燥させた多結晶h−GaN原料3.0gを用い、十分に乾燥させたNH4Cl0.6gを用いた以外は比較例1と同様にしてNH3導入(−33℃のNH3液体密度で充填率60%)、昇温、反応、およびNH3除去操作を行った。蓋を開け、内部を確認したところ、反応容器上部に約0.2gの結晶が析出していた。該結晶を取り出し、粉砕して粉末X線回折を測定したところ、その結晶はα−Ga23であり、O/N原子比は1を越えた。
以上の実施例と比較例との結果から、実施例の本発明の方法で得られる窒化物結晶が、比較例である従来の方法のものよりも、結晶性が高く、高品質であることがわかる。また、本発明の方法で得られる窒化ガリウム結晶は、通常、以下のような特徴を有する。
1)XRDの(100)の回折線の半値幅(2θ)が0.2°以下
2)酸素量が4wt%以下
【0039】
【発明の効果】
本発明の窒化物結晶の製造方法により、従来より簡易かつ安全な方法によって、結晶性のよい高品質な塊状の窒化物結晶を効率良く得ることができる。本発明によれば、反応系内への酸素の混入を極力回避することことで、窒化物原料の窒素含有溶媒への溶解性、溶媒対流中のイオン可搬性、種結晶への再結晶要因の制御を容易ならしめ、また、生成する塊状窒化物結晶への酸素不純物の蓄積、および結晶性低下を回避することが可能となる。また、本発明で使用するような反応装置系では、温度、圧力条件が緩和され、また、反応容器内の原料ガスが漏れることもないので、安全性が高く、工業的実施も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による窒化物結晶の製造方法に用いる反応容器の一例の概念図を示す。
【符号の説明】
1 バルブ
2 圧力計
3 反応容器
4 結晶育成部
5 原料充填部
6 電気炉
7 熱電対

Claims (9)

  1. バルブを付属する反応容器内に、含有酸素量が5重量%以下である原料を充填する工程、前記バルブを介して、外気に触れることなく窒素含有溶媒を反応容器内に導入する工程、結晶を得る工程、を含むことを特徴とする窒化物結晶の製造方法。
  2. 窒素含有溶媒を導入後、バルブを閉じ、昇温することを特徴とする請求項1の窒化物結晶の製造方法。
  3. 昇温して、窒素含有溶媒を亜臨界状態又は超臨界状態で保持することを特徴とする請求項2の窒化物結晶の製造方法。
  4. 温度を200℃以上、700℃以下まで昇温することを特徴とする請求項2又は3記載の窒化物結晶の製造方法。
  5. 昇温して、圧力を20MP以上、500MPa以下の範囲に保持することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の窒化物結晶の製造方法。
  6. 窒素含有溶媒がアンモニアであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の窒化物結晶の製造方法。
  7. 原料の充填に際し、原料と鉱化剤を混合して充填するか、又は、原料と一つ以上の鉱化剤を別々に充填することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の窒化物結晶の製造方法。
  8. 原料として窒化ガリウムを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の窒化物結晶の製造法。
  9. 原料として金属ガリウムを含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の窒化物結晶の製造方法。
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