JP5167752B2 - 液化アンモニアの充填方法および窒化物結晶の製造方法 - Google Patents
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(1) 凝縮器にガスアンモニアを供給する供給工程と、
前記凝縮器において前記ガスアンモニアを液化アンモニアにする液化工程と、
前記凝縮器において生じた液化アンモニアを容器に供給し、前記液化アンモニアの気化による潜熱によって前記容器を冷却する冷却工程と、
前記冷却工程において液化アンモニアの気化によって生じたガスアンモニアを前記凝縮器に供給する循環工程と、
前記凝縮器において生じた液化アンモニアを前記容器に供給し、前記容器内に液化アンモニアを充填する充填工程と、
を含むことを特徴とする液化アンモニアの充填方法。
(2) 前記供給工程において、質量流量計によって前記ガスアンモニアの供給量を計測することを特徴とする前記(1)に記載の液化アンモニアの充填方法。
(3) 前記供給工程において、前記質量流量計によって計測した計測値に応じて、前記ガスアンモニアの供給量を調整することを特徴とする前記(1)または(3)に記載の液化アンモニアの充填方法。
(4) 余剰のガスアンモニアを系外に排出する排出工程を有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の液化アンモニアの充填方法。
(5) 前記排出工程において、質量流量計によって前記ガスアンモニアの排出量を計測することを特徴とする前記(4)に記載の液化アンモニアの充填方法。
(6) 前記液化工程における前記凝縮器による前記ガスアンモニアの液化速度が、前記冷却工程における前記液化アンモニアの気化速度よりも速いことを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の液化アンモニアの充填方法。
(7) 前記容器は、前記液化アンモニアが供給される供給口と、前記ガスアンモニアを容器外に排出する排出口とを有することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の液化アンモニアの充填方法。
(8) 前記容器は、前記液化アンモニアを供給し且つ前記ガスアンモニアを容器外に排出するための送通口を1つ有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の液化アンモニアの充填方法。
(9) 原料を備えた容器に前記(1)〜(8)のいずれかに記載の液化アンモニアの充填方法によって液化アンモニアを充填するアンモニア充填工程と、
前記アンモニア充填工程において液化アンモニアを充填した前記容器を昇温し、窒化物結晶を生成する結晶化工程と、
を含むことを特徴とする窒化物結晶の製造方法。
(10) 前記結晶化工程において少なくとも前記容器内を20〜500MPaに保持することを特徴とする前記(9)に記載の窒化物結晶の製造方法。
(11) 前記結晶化工程において少なくとも前記容器内を150〜800℃に昇温することを特徴とする前記(9)または(10)に記載の窒化物結晶の製造方法。
(12) 前記容器内に少なくとも1種類の添加物を添加する工程を含むことを特徴とする前記(9)〜(11)のいずれかに記載の窒化物結晶の製造方法。
(13) 前記添加物が少なくとも1種類のハロゲン原子を含むことを特徴とする前記(12)に記載の窒化物結晶の製造方法。
(14) 前記原料中の酸素含有量が5質量%以下であることを特徴とする前記(9)〜(13)のいずれかに記載の窒化物結晶の製造方法。
(15) 前記原料中に窒化ガリウムを含有することを特徴とする前記(9)〜(14)のいずれかに記載の窒化物結晶の製造方法。
(16) 前記容器内に少なくとも1種類の種結晶を設置し、前記結晶化工程においてアンモニアに溶解した前記原料が前記種結晶上に析出することを特徴とする前記(9)〜(15)のいずれかに記載の窒化物結晶の製造方法。
(17) 耐圧性を有し、密閉可能な窒化物結晶成長用反応容器であって、
バルブを有する少なくとも2つの送通手段を有することを特徴とする窒化物結晶成長用反応容器。
本発明の液化アンモニアの充填方法は、凝縮器にガスアンモニアを供給する供給工程と、前記凝縮器において前記ガスアンモニアを液化アンモニアにする液化工程と、前記凝縮器において生じた液化アンモニアを容器に供給し、前記液化アンモニアの気化による潜熱によって前記容器を冷却する冷却工程と、前記冷却工程において液化アンモニアの気化によって生じたガスアンモニアを前記凝縮器に供給する循環工程と、前記凝縮器において生じた液化アンモニアを前記容器に供給し、前記容器内に液化アンモニアを充填する充填工程とを含む。
以下、図を用いて、本発明の液化アンモニアの充填方法を用いた窒化物結晶の製造方法について説明する。尚、本発明はこの形態に限定されるものでない。図1は、本発明に用いられる液化アンモニア充填装置を示す概略図である。図1に示すように、液化アンモニア充填装置は、アンモニアボンベ1と、コンデンサー(凝縮器)2と、耐圧性を有するオートクレーブ(反応容器)3と、を備えて構成される。オートクレーブ3には、アンモニア供給口4と、アンモニア排出口5と、オートクレーブ内の温度および/または圧力を測定するためのセンサ6と、が設けられている。更に、図1に示される液化アンモニア充填装置には、アンモニアを系外に排出するためのアンモニア除去塔7が設けられている。
制御部8に接続されていないバルブV2とV3は手動弁(例えばニードル弁)とし、容器内への液化アンモニアの滴下や容器からのガスアンモニアの排出の制御が急激にならないように手動制御している。ただし、制御部8に、バルブV1〜V5のすべてを接続させたり、センサ6の温度センサとしての測定値を利用して制御したりすることも可能である。これらの改変は、当業者に自明の範囲内で適宜行うことができる。
以下、各工程について図を用いて説明する。
調整工程に先だって、まずコンデンサー2および配管に残ったアンモニアを計測し、目標とする充填率に対して過剰なアンモニア量を算出しておくことが好ましい。このとき、図5に示すように、バルブV1、V2、V3とマスフローコントローラMFC1を閉状態とし、バルブV4、V5とマスフローコントローラMFC2を開状態として、Dの流れにしたがってガスアンモニアを排出する。このときの排出量をマスフローコントローラMFC2で計測し、コンデンサー2および配管に残っていたアンモニア量とする。そのアンモニア量を考慮したうえで、調整工程におけるガスアンモニア排出量を計算し、マスフローコントローラMFC2にその排出量を設定する。
調整工程について図6を用いて説明する。図6は、調整工程時におけるバルブの開閉状態を示す概略図である。調整工程へ移行する際には、バルブV1、V2、V5とマスフローコントローラMFC1を閉状態とし、バルブV3、V4とマスフローコントローラMFC2を開状態とする。すると、オートクレーブ3中のガスアンモニアが、図6に示すEの流れに従って、アンモニア除去塔7に排出し、水に吸収され回収される。制御部8は、マスフローコントローラMFC2によって系外に排出されるガスアンモニア量を計測し、予め設定した過剰量のアンモニアを排出したと制御部8が判断した際には、バルブV4を閉じて調整工程を終了する。
次に、本発明の窒化物結晶の製造方法で用いられる原料、溶媒、容器および本発明で得られる窒化物結晶について適宜図面を参照しながら説明する。
図8は、本発明の窒化物結晶の製造方法で用いられるオートクレーブの概略図である。図8に示されるオートクレーブは、図1等に用いられているオートクレーブ3と同様のものを表し、同様の部材については同様の符号を付し、その説明を省略する。図8に示すように、オートクレーブ3は、結晶育成部3Aと、原料充填部3Bとを備え、図1等では省略されているが、電気炉9によって周りを囲われている。本発明の液化アンモニアの充填方法に用いられるオートクレーブ(窒化物結晶成長用反応容器)3は、耐圧性を有する密閉可能な容器あって、更に、バルブを有する少なくとも1つの送通手段(送通口)を有する。好ましいのは、送通手段(送通口)が1つまたは2つである場合である。1つの送通手段を有するオートクレーブを用いる場合は、オートクレーブ内に還流状態を形成することにより、液化アンモニアの充填とガスアンモニアの排出を良好に行うことができる。還流状態を形成するためには、送通口の内径が大きいことが好ましい。また、2つの送通手段(アンモニア供給口4およびアンモニア排出口5)を有するオートクレーブを用いる場合は、オートクレーブ内に還流状態が形成されていなくても、液化アンモニアの充填とガスアンモニアの排出を同時に行うことができる。特に送通口の内径が小さい場合は、2つの送通手段を有するオートクレーブを用いることが好ましい。
次に、本発明の窒化物結晶の製造方法における手順について説明する。
本発明では、原料、鉱化剤等の添加物(必要に応じて種結晶)等をオートクレーブ3内に充填した後、本発明のアンモニアの充填方法によりアンモニアを充填する(アンモニア充填工程)。
オートクレーブ3内温度が十分高い場合は、アンモニア溶媒はガスとして移動し、水などに吸収される。このとき移動時間を短くするためにオートクレーブ3を再度加熱することも好ましい。また、移動させる側の容器内を水などで満たすことなく冷却することも好ましい。水などの溶媒に吸収させる方法を用いなかった場合には、回収したアンモニア溶媒を再使用することが容易となる。
図1に示す液化アンモニア充填装置を用いて実施例1を行った。バルブV1、V4、V5は電磁弁(オンオフ弁)であり、図2に示す制御部8により自動制御した。バルブV2、V3はニードル弁であり、手動制御した。オートクレーブ3は、内径が100mmで5.61kgの液化アンモニアを充填することができる内容積を有している。オートクレーブには白金が内張りされているが、中には原料は入れなかった。
まず、系内の空気を取り除くため、バルブV1、マスフローコントローラMFC1を閉止し、バルブV2〜V5およびマスフローコントローラMFC2を開状態とし、MFC2排出側から真空ポンプにより吸引して系内全体を真空状態にした。アンモニア仕込み量は、充填率50%(2.805kg)になるアンモニア量と充填率調整用のアンモニア量(0.695kg)とを合計した3.500kgとした。マスフローコントローラMFC1を仕込み量3.500kg、仕込み流速50NL/minに設定し、バルブV2とバルブV4を閉め、バルブV1とマスフローコントローラMFC1を開くことにより、アンモニアボンベ1から排出されたガスアンモニアを図3中のAで示される流れに従ってコンデンサー2に供給した。同時に、ガスアンモニアを、図3中のA’で示される流れに従ってバルブV5およびバルブV3を通してオートクレーブ3内に導いた。このとき、実際にマスフローコントローラMFC1を経由して供給したガスアンモニア量は3.4998kgであった。コンデンサー2に供給したガスアンモニアは、コンデンサー2中で凝縮されて液化アンモニアとなり、バルブV2とコンデンサー2との間(図3におけるB)に蓄積された。
(3.4998±0.035)−(0.6952±0.007)=2.8046±0.042
目標充填率を20%(1.122kg)に変更し、アンモニアボンベ1から系内に供給するガスアンモニア供給量とオートクレーブ3内の液化アンモニア充填率を以下に示すように変更して、実施例1と同じ方法にしたがってオートクレーブ3内に液化アンモニアを充填した。
実施例2では、マスフローコントローラMFC1を経由して3.4055kg(実際の供給量)を系内に供給した。実施例1と同じ方法により液化工程、冷却工程、循環工程、充填工程を行った後、図5のDの流れに従って系外にガスアンモニアを2.0932kg排出した。マスフローコントローラMFC1を経由して供給した実際の供給量(3.4055kg)から充填率20%分(1.122kg)とコンデンサーおよび配管内の残存分(2.0932kg)を差し引き、充填率調整に必要なアンモニア量を算出(0.1904kg)し、マスフローコントローラMFC2に設定した。その後、実施例1と同じ方法によりアンモニアを排出した。マスフローコントローラMFC2を通過したガスアンモニアの積算流量は2.2834kgであった。マスフローコントローラMFC1とマスフローコントローラMFC2で測定された流量値から求められる充填量は1.1222kgで、充填率20.00%であり、充填率の誤差は0.00%であった。
実施例1と同じ液化アンモニア充填装置を用いて、いわゆるフロー法により目標充填率50%で液化アンモニアをオートクレーブ3内に充填した。
まず、系内の空気を取り除くため、バルブV1、マスフローコントローラMFC1を閉止し、バルブV2〜V5およびマスフローコントローラMFC2を開状態とし、MFC2排出側から真空ポンプにより吸引して系内全体を真空状態にした。アンモニア仕込み量は、充填率50%(2.805kg)になるアンモニア量と充填率調整用のアンモニア量(0.695kg)とを合計した3.500kgとした。マスフローコントローラMFC1を仕込み量3.500kg、仕込み流速50NL/minに設定し、バルブV2とバルブV4を閉め、バルブV1とマスフローコントローラMFC1を開くことにより、アンモニアボンベ1から排出されたガスアンモニアを図3中のAで示される流れに従ってコンデンサー2に供給した。同時に、ガスアンモニアを、図3中のA’で示される流れに従ってバルブV5およびバルブV3を通してオートクレーブ3内に導いた。コンデンサー2に供給したガスアンモニアは、コンデンサー2中で凝縮されて液化アンモニアとなり、バルブV2とコンデンサー2との間(図3におけるB)に蓄積された。
比較例1の後にさらに以下の工程を実施した。
系内残存量(3.5000kg)から充填率50%分(2.805kg)とコンデンサーおよび配管内の残存分(0.3499kg)を差し引き、充填率調整に必要なアンモニア量を算出(0.3450kg)し、マスフローコントローラMFC2に設定した。次に、バルブV1、V2、V5およびMF1を閉状態、V3、V4およびマスフローコントローラMFC2を開状態にして、設定値のアンモニア量をアンモニア除去塔7に排出した。最後にバルブV1とV2とV3を閉状態、バルブV4とV5とマスフローコントローラMFC2を開状態にして、MFC2排出側から吸引して配管内のアンモニアをガスアンモニアとして除去した。このときマスフローコントローラMFC2を通過したガスアンモニアの流量は0.3499kgであった。マスフローコントローラMFC1とマスフローコントローラMFC2で測定された流量値から求められる充填量は2.8001kgで、充填率49.91%であり、充填率の誤差は0.09%であった。
本実施例において、窒化ガリウム単結晶を成長させた。
図8に示すオートクレーブ3内の原料充填部3Bに鉱化剤として十分に乾燥した粉体のNH4Cl(純度99.999%)を充填し、結晶育成部3Aのバッフル板上に窒化ガリウムの種結晶を入れて蓋を閉じた。次いで、図1の液化アンモニア充填装置を組み立て、上記各実施例と各比較例と同じ方法によりそれぞれ液化アンモニアをオートクレーブ3内に充填した。
2 コンデンサー(凝縮器)
3 オートクレーブ(反応容器)
4 アンモニア供給口
5 アンモニア排出口
6 センサ
7 アンモニア除去塔
8 制御部
9 電気炉
10 熱電対
3A 結晶育成部
3B 原料充填部
Claims (16)
- 凝縮器にガスアンモニアを供給する供給工程と、
前記凝縮器において前記ガスアンモニアを液化アンモニアにする液化工程と、
前記凝縮器において生じた液化アンモニアを容器に供給し、前記液化アンモニアの気化による潜熱によって前記容器を冷却する冷却工程と、
前記冷却工程において液化アンモニアの気化によって生じたガスアンモニアを前記凝縮器に供給する循環工程と、
前記凝縮器において生じた液化アンモニアを前記容器に供給し、前記容器内に液化アンモニアを充填する充填工程と、
を含むことを特徴とする液化アンモニアの充填方法。 - 前記供給工程において、質量流量計によって前記ガスアンモニアの供給量を計測することを特徴とする請求項1に記載の液化アンモニアの充填方法。
- 前記供給工程において、前記質量流量計によって計測した計測値に応じて、前記ガスアンモニアの供給量を調整することを特徴とする請求項2に記載の液化アンモニアの充填方法。
- 余剰のガスアンモニアを系外に排出する排出工程を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液化アンモニアの充填方法。
- 前記排出工程において、質量流量計によって前記ガスアンモニアの排出量を計測することを特徴とする請求項4に記載の液化アンモニアの充填方法。
- 前記液化工程における前記凝縮器による前記ガスアンモニアの液化速度が、前記冷却工程における前記液化アンモニアの気化速度よりも速いことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液化アンモニアの充填方法。
- 前記容器は、前記液化アンモニアが供給される供給口と、前記ガスアンモニアを容器外に排出する排出口とを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液化アンモニアの充填方法。
- 前記容器は、前記液化アンモニアを供給し且つ前記ガスアンモニアを容器外に排出するための送通口を1つ有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液化アンモニアの充填方法。
- 原料を備えた容器に請求項1〜8のいずれか1項に記載の液化アンモニアの充填方法によって液化アンモニアを充填するアンモニア充填工程と、
前記アンモニア充填工程において液化アンモニアを充填した前記容器を昇温し、窒化物結晶を生成する結晶化工程と、
を含むことを特徴とする窒化物結晶の製造方法。 - 前記結晶化工程において少なくとも前記容器内を20〜500MPaに保持することを特徴とする請求項9に記載の窒化物結晶の製造方法。
- 前記結晶化工程において少なくとも前記容器内を150〜800℃に昇温することを特徴とする請求項9または10に記載の窒化物結晶の製造方法。
- 前記容器内に少なくとも1種類の添加物を添加する工程を含むことを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
- 前記添加物が少なくとも1種類のハロゲン原子を含むことを特徴とする請求項12に記載の窒化物結晶の製造方法。
- 前記原料中の酸素含有量が5質量%以下であることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
- 前記原料中に窒化ガリウムを含有することを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
- 前記容器内に少なくとも1種類の種結晶を設置し、前記結晶化工程においてアンモニアに溶解した前記原料が前記種結晶上に析出することを特徴とする請求項9〜15のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
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