JP5454829B2 - 超臨界溶媒を用いた結晶製造方法および結晶製造装置 - Google Patents

超臨界溶媒を用いた結晶製造方法および結晶製造装置 Download PDF

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Description

本発明はソルボサーマル法による結晶製造方法および結晶製造装置に関し、詳細には、特に固体状の鉱化剤を用い、アンモニアなどの窒素含有溶媒を用いて窒化ガリウム(以下、窒化ガリウムの化学式「GaN」をもって同義の用語として使用する)に代表される周期表第13族元素(以下「第13族元素」という)窒化物などの結晶成長を行うアモノサーマル法等による結晶性に優れた結晶を製造することのできる結晶製造方法および結晶製造装置に関する。
ソルボサーマル法は超臨界状態および/または亜臨界状態の溶媒を用いた結晶製造方法の総称であり、使用する溶媒の種類によりハイドロサーマル法(水熱合成法)やアモノサーマル法などと称される。
前記ソルボサーマル法は、原料、溶媒、種結晶および鉱化剤等を含んだ高温高圧の系に温度差を設け、この温度差により溶媒への原料の結晶溶解度の差を利用して結晶成長を行うものである。ソルボサーマル法で結晶性の良い単結晶成長を行うためには、結晶の適切な成長速度を維持する必要がある。結晶の適切な成長速度を維持するためには、原料が十分に溶媒に溶解されることが重要となる。
従来、ソルボサーマル法のうち、ハイドロサーマル法を用いた水晶の結晶成長では粉体原料ではなく、「ラスカ」と呼ばれる水晶をある一定の大きさに破砕したものを原料として用いている。水晶の場合には、塊状の原料を使用した場合でも十分な原料の溶解速度が得られ大型の結晶成長が可能である。
しかし、GaNを成長させるアモノサーマル法では、塊状の原料が得られにくく、粉体原料を用いることが一般的である。例えば、第一段階として、原料に相当するGaN微結晶原料を合成した後に、第二段階として、これを原料としてGaN単結晶成長を実現している(例えば、特許文献1参照)。このGaN微結晶原料としては、好ましい範囲が平均粒径1〜5μm程度の粉体を使用している。しかし、粉体原料は、原料の充填の仕方によっては、一部分しか溶媒と接触できない。この場合、溶媒と接触した一部以外は溶媒に溶解できないことから十分な成長速度が得られなかった。
このようにGaNについては、原料と溶媒との接触面積を増加させて溶解速度を大きくすることが求められている。このため、溶媒との接触面積を稼ぐために表面積の大きい粉体を原料として使用すると、原料と溶媒との接触面積が大きくなり、原料の溶解速度が上がるようにも思われる。しかし、実際には原料の充填の仕方によっては、粉体は粒径が互いに密接しているため、溶媒が原料と原料の間に入りにくく、原料充填領域で直接原料と溶媒とが接触する部分でのみ、溶媒と粉体原料が接触することとなる。即ちオートクレーブ内の原料充填領域の断面積が、溶媒と原料との接触面積となってしまう。
特開2003−277182号公報 段落番号[0009]〜[0010]
本願発明は、以上のような従来技術における課題である、原料の溶媒に対する溶解速度を向上させ、十分な結晶の成長速度を安定して維持することができる結晶製造方法および結晶製造装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、原料充填部の開口部の面積を反応容器の内部水平断面積に対して一定以上とすることで、原料の溶媒に対する溶解速度を向上させることができることを見出し本発明に到達した。本発明の要旨は下記の通りである。
(1)反応容器中で、(1)超臨界状態および/または亜臨界状態の溶媒、並びに、(2)原料を用い、結晶を成長させる結晶製造方法であって、前記反応容器内がバッフル板によって結晶成長領域と原料充填領域とに区画された状態で前記結晶の成長を行い、その結晶の成長に先立って、前記反応容器の前記原料充填領域に前記原料を充填する1以上の原料充填部を設けて、前記原料充填部の各内部水平断面積の最大値の合計が、前記反応容器の内部水平断面積の1.1倍以上としておき、なおかつ、前記原料充填部に原料を充填しておくことを特徴とする結晶製造方法。
(2) 前記原料充填部が、前記反応容器内に設置された複数のるつぼであることを特徴とする前記(1)に記載の結晶製造方法。
(3) 前記原料の10質量%以上が、粒径10nm〜2mmの粒子であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の結晶製造方法。
(4) 得られる結晶が単結晶であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の結晶製造方法。
(5) 得られる結晶が周期表第13族元素窒化物であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の結晶製造方法。
(6) 前記溶媒が窒素含有溶媒であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の結晶製造方法。
(7) 前記反応容器がオートクレーブであることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の結晶製造方法。
(8) 反応容器を備え、前記反応容器中で、(1)超臨界状態および/または亜臨界状態の溶媒、並びに、(2)原料を用い、結晶を成長させる結晶製造装置であって、前記反応容器内がバッフル板によって結晶成長領域と原料充填領域とに区画されており、前記反応容器は前記原料を充填する1以上の原料充填部を備え、且つ、前記原料充填部の各内部水平断面積の最大値の合計が、前記反応容器の内部水平断面積の1.1倍以上であることを特徴とする結晶製造装置。
(9) 前記原料充填部が、前記反応容器内に設置された複数のるつぼであることを特徴とする前記(8)に記載の結晶製造装置。
(10) 前記原料の10質量%以上が、粒径10nm〜2mmの粒子であることを特徴とする前記(8)または(9)に記載の結晶製造装置。
(11) 得られる結晶が単結晶であることを特徴とする前記(8)〜(10)のいずれかに記載の結晶製造装置。
(12) 得られる結晶が周期表第13族元素窒化物であることを特徴とする前記(8)〜(11)のいずれかに記載の結晶製造装置。
(13) 前記溶媒が窒素含有溶媒であることを特徴とする前記(8)〜(12)のいずれかに記載の結晶製造装置。
(14) 前記反応容器がオートクレーブであることを特徴とする前記(8)〜(13)のいずれかに記載の結晶製造装置。
本発明の結晶製造方法および結晶製造装置により、原料の溶媒に対する溶解速度を高めることができる。これにより、結晶の成長速度を向上させ且つ成長速度を安定して維持することができることから、結晶性に優れた結晶を工業的に効率良く製造することができる。
以下において、本発明の結晶製造方法および結晶製造装置について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明は、反応容器中で、(1)超臨界状態および/または亜臨界状態の溶媒、並びに、(2)原料を用い、更に、前記反応容器は前記原料を充填する1以上の原料充填部を備え、且つ、前記原料充填部の各内部水平断面積の最大値の合計が、前記反応容器の内部水平断面積の1.1倍以上であることを特徴とする。本発明の結晶製造方法およびこれに用いられる結晶製造装置は、1以上の原料充填部を有し、その各内部水平断面積の最大値の合計を前記反応容器の内部水平断面積の1.1倍以上とすることで、原料の溶媒に対する接触面積を増加させることができる。このため、原料の溶媒に対する溶解速度が向上し、結晶の成長速度を高め、且つ、好適に維持することができる。さらに、結晶の成長速度が安定して維持されるため、結晶の大型化が可能となり、原料の形態を問わずに結晶性の高い結晶を効率よく製造することができる。即ち、本発明によれば、原料が粉状体、または、粉状体と塊状体との混合物であっても効率良く結晶性に優れた結晶を得ることができる。また、本発明においては成形された原料を用いた場合であっても同様に、結晶の成長速度を高めることができる。
本発明は、ソルボサーマル法の中でも、塊状の原料が得られにくい等の理由により原料の形状に制限をうける方法に好適であり、特にGaNを成長させるアモノサーマル法に好適に使用することができる。また、本発明における反応容器は、超臨界状態および/または亜臨界状態の溶媒(以下、「超臨界溶媒」と称する)を用いた結晶成長に適用できるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、オートクレーブであることが好ましい。
前記原料充填部の各内部水平断面積の最大値の合計を1.1倍以上とするためには、例えば、反応容器の上部及下部の水平断面積が中心部の水平断面積より小さい縦型の反応容器においては、1個の原料充填部を用い、その内径の水平断面積の最大値を大きくすることで本発明の要件を満足させることもできるが、複数の原料充填部を有し、各原料充填部の内部水平断面積の最大値の合計を調整することで本発明の要件を満足させるのが好ましい。
原料充填部の各内部水平断面積の最大値の合計を反応容器(オートクレーブ)の内部水平断面積の1.1倍以上にするためには、例えば、複数のるつぼを使用して、溶媒と原料の接触を妨げない間隔で上下に配置する方法が挙げられる。
まず、本発明の結晶製造装置および本発明の製造方法に用いられる装置としてオートクレーブを用いた場合を例に図1〜図3を用いて本発明における基準について説明する。但し、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
図1は、複数のるつぼを用いた本発明の結晶製造装置を示す概略図である。図1において、結晶製造装置1は、アモノサーマル法に使用されるオートクレーブを有するものであり、反応容器(オートクレーブ)2と、導管3とから構成される。反応容器2は、結晶成長領域4と、原料充填領域5とを有し、その境界にはバッフル板6が設けられている。反応容器2の内部には、結晶充填領域5に粉状の原料が充填されたるつぼ7を一段に3つずつ有する5段の梯子状支持具8が備えられており、さらに、原料の溶解速度を向上させる鉱化剤10が複数のるつぼ7の間を埋めるように充填されている。複数のるつぼ7は同一の形状および容積である。また、反応容器2の結晶成長領域4には、複数の種結晶9が備えられている。尚、図1〜図3において、反応容器2、るつぼ7は円柱状であるものとする。また、以降の図において紙面上方から下方が重力方向となる。
反応容器2の外側には、高温高圧の系に温度差を設けるために、その近傍に複数のヒーター11、および、熱電対12が備えられている。オートクレーブ1は、ヒーター11および熱電対12によって反応容器2を複数のゾーンに分けて温度制御可能なように構成されており(図1では、紙面に対し上下2つのゾーンに分かれている)、ゾーン毎に出力を変更することができる。この温度差は、溶解度曲線が正の傾きを持つ(温度を高くすると溶解度が大きくなる)場合には、オートクレーブ1の上部に行くに従って、より低温になるように設定される。
オートクレーブ1は、図1に示す状態から真空脱気後に導管3を介してNH3等の超臨界溶媒を反応容器2内に充填させ、高圧下で結晶成長領域4および原料充填領域の間に温度差をつけながら昇温させる。更に、反応容器2の温度が所定の温度に達した後、一定時間保持することで、種結晶状に所望の単結晶を析出させることができる。
本発明の結晶製造方法においては、複数のるつぼの各内部水平断面積の最大値の合計が、反応容器2の内部水平断面積の1.1倍以上である。複数のるつぼの各内部水平断面積の最大値の合計が、反応容器の内部水平断面積の1.1倍未満であると、原料と溶媒との接触面面積が十分でなく、原料の溶解速度が遅くなり、結果として、十分な原料の結晶成長速度を得ることができない。
複数のるつぼの各内部水平断面積の最大値の合計は、鉱化剤の溶媒への溶解速度の観点から、反応容器の内部水平断面積に対して、2倍以上であることが好ましく、3倍以上であることが最も好ましい。また、特に限定はされないが、複数のるつぼの各内部水平断面積の最大値の合計の上限としては、オートクレーブの内部水平断面積、原料充填部の各内部水平断面積の最大値、および、それぞれの高さにより限界があり、大きいほど好ましいが、通常、反応容器の内部水平断面積に対して、50倍以下であることが好ましく、20倍以下であることが更に好ましく、10倍以下であることが最も好ましい。また、目的とする結晶成長速度を達成できる程度の原料の溶解速度が得られるように予め原料充填部の各水平断面積の最大値の合計を調節することもできる。
ここで、「原料充填部の各内部水平断面積の最大値の合計が、前記反応容器の内部水平断面積の1.1倍以上である」とは、複数のるつぼを用いる場合など、原料充填部が複数ある場合には、各原料充填部の内部水平断面積の最大値の合計が、反応容器の内部水平断面積の1.1倍以上であること意味する。
また、「原料充填部の各内部水平断面積の最大値」とは、各原料充填部の内径の水平断面積の最大値を意味し、「反応容器の内部水平断面積」とは、反応容器の原料充填領域において重力方向に対して水平方向にカットした際における、その内径の水平断面積の最小値を意味する。
具体的に図2および図3を用いて各水平断面積について説明する。図2は、るつぼの内部水平断面積の最大値を説明するための概略図であり、図3は、反応容器の内部水平断面積を説明するための反応容器の一部を示す説明図である。図2に示すようにるつぼ7には原料13が充填されている。また、るつぼ(原料充填部)7の開口部の内部水平断面積最大値の合計は、図2における矢印SAを直径とする円の面積の合計となる。即ち、図1において、るつぼ7は3個×5段の15個設置されているため、矢印SAを直径とする円の面積の15倍がるつぼ(原料充填剤)7の各内部水平断面積最大値の合計となる。
一方、図3に示すように原料充填領域5には、5段の梯子状支持具8が設置されており、各段にはるつぼ7が3つずつ載置されている。図1および3に示す反応容器2は円柱状であるため、その内部水平断面積は常に一定である。このため、本発明において基準となる反応容器2の内部水平断面積は、図3における矢印SBを直径とする円の面積となる。
このように、15個のるつぼ7の各内部水平断面積の最大値の合計を反応容器2の内部水平断面積の1.1倍以上とすることで、原料と溶媒との接触面積を向上させることができ、結晶の成長速度を向上させることができる。
以下、本発明について、アンモニア等の窒素含有溶媒を用いて第13族窒化物結晶を成長するアモノサーマル法を例に適宜図面を参照しながら説明する。
[結晶製造装置]
(反応容器)
本発明の結晶製造装置は、少なくとも本発明における反応容器を有する。前記反応容器としてはオートクレーブが好適である。
オートクレーブ(本発明における反応容器)の構造について説明する。オートクレーブは、通常、蓋体と容体のように分離されており、ガスケット等を用いて封止されている。また、熱電対等を挿入するための凹部を有していてもよい。尚、図1に示すように、本発明における反応容器には、導管を有するオートクレーブも含まれる。
オートクレーブは昇温反応中に超臨界溶媒(例えば、超臨界アンモニア)の超高圧に相当する圧力に耐え得るものであることが好ましい。オートクレーブを形成する材料としては、耐圧性を有し、耐浸食性を有するものであれば特に制限はなく用いることができる。特に、高温高圧に耐え、かつ、アンモニアに対する高い耐浸食性を示すNi系の合金、ステライト(デロロ・ステライト・カンパニー・インコーポレーテッドの登録商標)等のCo系合金を用いることが好ましく、Ni系の合金を用いることが特に好ましい。具体的な材料としては、Inconel625(Inconelはハンティントン アロイズ カナダ リミテッドの登録商標。以下同じ)、Nimonic90(Nimonicはスペシャル メタルズ ウィギン リミテッドの登録商標。以下同じ)、RENE41等が挙げられる。
これらの合金の組成比率は、系内の溶媒の温度・圧力の条件および系内に含まれる前記各種の鉱化剤およびそれらの反応物との反応性および/または酸化力・還元力、pHの条件に従い、適宜選択すればよい。これらをオートクレーブの内面を構成する材料として用いる方法としては、オートクレーブ自体をこれらの合金を用いて製造する方法や、内筒として薄膜を形成してオートクレーブ内に設置する方法でもよく、任意のオートクレーブの材料の内面にメッキ処理を施す方法でもよい。
オートクレーブの耐浸食性をより向上させるため、貴金属の優れた耐浸食性を利用して、貴金属をオートクレーブの内表面にライニングまたはコーティングしてもよい。また、オートクレーブの材質自体を貴金属とすることもできる。前記貴金属としてはPt、Au、Ir、Ru、Rh、Pd、Ag、Osならびにこれらの貴金属を主成分とする合金が挙げられ、中でも優れた耐浸食性を有するPtを用いることが好ましい。
オートクレーブの内表面を貴金属でライニングまたはコーティングする場合、内表面全てをライニングまたはコーティングすることが困難である場合には、オートクレーブの上部の一部および/または下部の一部にライニングまたはコーティングすることができない部分が存してもよい。
オートクレーブは、所要に応じて、内部にバッフル板(図1におけるバッフル板6)を設置して、GaN多結晶窒化物等からなる原料を充填した原料充填領域とGaN等の種結晶を配置する結晶成長領域とに区画される。尚、以下、原料として、GaN多結晶窒化物を、種結晶としてGaNを用いた場合を例に本発明について説明されることがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。
(原料充填部)
本発明においては、反応容器内部に原料を充填する原料充填部が設けられる。原料充填部は、るつぼとして、反応容器内に、反応容器とは別に(一体ではなく)設置されていてもよく、本発明の要件を満たすならば、反応容器の容器内底部と一体に設けられていてもよい。また、本発明の要件を満たす限り、原料充填部の数、サイズおよび容量は目的に応じて適宜選択することができる。
また、原料充填部の開口部の部位およびその数は特に限定されないが、上方に一つの開口部を有するものが好ましい。また、原料充填部の形状は特に限定されないが、円筒状であることが好ましい。更に、原料充填部の断面形状は、多角形でも円形でもよいが、正円であることが好ましい。また、原料充填部に原料を設置後、上から原料を押すなどして圧縮し、原料間の空隙を無くしてもよい。
また、原料充填部としてるつぼを用いる場合、るつぼの数は特に限定されず、目的に応じて1または複数のるつぼを用いることができるが、複数のるつぼを用いることが好ましい。また、るつぼの材質としては、超臨界アンモニア等の超臨界溶媒に対して耐触性を有するものであれば特に限定されず、例えば、pBN(Pyrolitic Boron Nitride)、白金、イリジウムなどが挙げられる。るつぼの形状は特に限定されないが、円筒状であることが好ましい。更に、るつぼの断面形状は、多角形でも円形でもよいが、正円であることが好ましい。
更に、るつぼは、原料の粒径よりも小さい孔を有するバスケット(かご状)のものであってもよいが、好ましくは、上面にのみ開口部を一つ有する箱状のものが好ましい。
(バッフル板)
本発明の結晶製造装置は、結晶成長領域と原料充填領域とを区画するために少なくとも1枚のバッフル板を備えていてもよい。前記バッフル板としては、その開孔率が2〜20%のものが好ましい。バッフル板の開孔率を制御することにより、超臨界溶媒の対流を制御し、成長条件下における結晶成長領域でのGaNの過飽和度を適正に制御することが容易になる。
ここで、「過飽和」とは、溶解量が飽和状態より以上に増加した状態をいい、「過飽和度」とは、下記式(1)に表わされるように、過飽和状態の溶解量と飽和状態の溶解量との比をいう。溶液成長法においては、原料充填領域からの対流によるGaNの輸送により過飽和状態になっている結晶成長領域のGaNの溶解量と、結晶成長領域の飽和状態でのGaNの溶解量との比をいう。
Figure 0005454829
なお、本発明において、過飽和度は、原料窒化物の充填量、バッフル板の開孔率、原料充填領域と結晶成長領域との温度差等を適宜変更・選定することにより制御できる。
前記バッフル板は、前記オートクレーブと同様の材質で構成されていてもよいが、さらに耐浸食性をもたせ、結晶を高純度化するためにバッフル板の表面を、ニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)ニオブ(Nb)またはpBNで構成することが好ましい。より好ましくはイリジウム(Ir),パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)等の貴金属であり、最も好ましくは白金(Pt)である。
[結晶製造]
アモノサーマル法の場合、製造する対象となる結晶は第13族窒化物結晶であり、原料中の第13族元素に依存する。製造の対象となる結晶は、主としてB、Al、Ga、In等の第13族元素の単独金属の窒化物の結晶または合金の窒化物(例えば、GaInN、GaAlN)の結晶であることが好ましく、窒化ガリウム結晶および窒化アルミニウム結晶であることがさらに好ましい。
また、製造される結晶は単結晶である。アモノサーマル法で得られる単結晶の大きさは、オートクレーブのサイズや種結晶のサイズ等の条件により異なるが、内径100mmのオートクレーブの場合φ3インチの大きさのものを得ることが可能である。
(原料)
目的物が第13族窒素化合物結晶の場合、その原料としては、通常、第13族窒化物結晶の多結晶原料が用いられる。前記原料としては、窒化ガリウムを含有する原料が好ましい。多結晶原料は、完全な窒化物である必要はなく、条件によっては、第13族元素がメタルの状態(すなわちゼロ価)である金属成分を含有してもよく、例えば、結晶が窒化ガリウムである場合には、窒化ガリウムと金属ガリウムの混合物が挙げられる。
原料となる多結晶原料の製造方法は特に制限されず、例えば、アンモニアガスを流通させた反応容器内で、金属またはその酸化物もしくは水酸化物をアンモニアと反応させることにより生成した窒化物多結晶を用いることができる。また、より反応性の高い金属化合物原料として、ハロゲン化物、アミド化合物、イミド化合物、ガラザンなどの共有結合性M−N結合を有する化合物などを用いることができる。さらに、Gaなどの金属を高温高圧で窒素と反応させて作製した窒化物多結晶(例えばGaN)を用いることもできる。
前記多結晶原料は、これを結晶成長させて高品質の結晶を得るために、できるだけ水や酸素の混入を回避すべきである。そのために、多結晶原料中の酸素含有量は、通常5質量%以下、好ましくは2質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下である。多結晶原料への酸素の混入しやすさは、水分との反応性または吸収能との関連がある。多結晶原料の結晶性が悪いほど表面等にNH基などの活性基が多く存在し、それが水と反応して一部酸化物や水酸化物が生成する可能性があるためである。このため、多結晶原料としては、通常、できるだけ結晶性が高いものを使用することが望ましく、該結晶性は粉末X線回折の半値幅で見積もることができる。好ましい多結晶原料は、(100)の回折線(ヘキサゴナル型窒化ガリウムでは2θ=約32.5°)の半値幅が、通常0.25°以下、好ましくは0.20°以下、さらに好ましくは0.17°以下である。
原料は後述する鉱化剤と別に配置してもよいし、鉱化剤と原料がまざっていてもよい。また、原料充填部に原料を設置した後、上から原料を押すなどして圧縮して原料間の空隙を無くすこともできる。また、原料は成形されていてもよく、ここで、成形されるとは「ペレタイズ」など、圧縮成形等を含み、また、圧縮成形後に焼結等を行ったものでもよい。この際、成形された原料のサイズおよび形状はるつぼの形状等目的に応じて適宜選択することができる。
また、原料を成形等しない場合には、前記原料の10質量%以上が、粒径10nm〜2mmの粒子であることが好ましい。即ち、この場合原料には、粒径10nm〜2mmであるものを10質量%以上含まれる。尚、原料が2mmを超える大きな粒径の原料を含んでいても、粉体原料が隙間を埋めることができるので好ましい。
例えば、粒径5〜10mm程度も粉体原料は入手しやすいことから、粒径が10nm〜2mmである粉体原料を10質量%以上、好ましくは30質量%以上、特に好ましくは50質量%以上含み、粒径が50nm〜1mmの粉体原料を30質量%以上、好ましくは50質量%以上含み、特に好ましくは粒径が1〜500μmである粉体原料を50質量%以上含むような場合であれば、原料間の隙間を埋めることできる。尚、粉体原料の上限は100%、つまりすべて粉体原料であってもよい。
ここで、「粒径」とは、該当するメッシュのふるいで分けたものである。更に、粉体原料の含有質量%については、ふるいで分けた各々の質量を測定すれば算出することができる。
(溶媒)
結晶成長がアモノサーマル法による窒化物結晶の成長の場合、溶媒は窒素含有溶媒(例えば、ヒドラジンN24、アンモニアNH3、アミン類、メラミンからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物)または窒化物III−Vと混和できるすべての溶媒を充填することができるが、アンモニアNH3を溶媒に用いることが好ましい。
また、オートクレーブ内に窒素含有溶媒を入れる前に、オートクレーブ内を脱気することや、窒素などの不活性ガスを流通させながら、窒素含有溶媒を入れることも好適に用いられる。その際、反応容器を窒素含有溶媒の沸点以下に冷却してもよい。さらに、これらの溶媒が含む水や酸素の濃度は低いほうが好ましく、これらの濃度は、好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは100ppm以下であり、さらに好ましくは10ppm以下である。なお溶媒は1種を用いても2種以上を混合して用いてもよい。
アンモニアを溶媒に使用する場合の純度は通常99.9%以上、好ましくは99.99%以上、さらに好ましくは99.999%以上、特に好ましくは99.9999%以上である。アンモニアは、一般に水との親和性が高いため、アンモニアをオートクレーブに充填する場合、水に由来する酸素をオートクレーブに持ち込みやすく、それが原因で生成する結晶の混入酸素量が多くなり、得られる窒素化合物結晶の結晶性が悪化するおそれがある。そのような観点からも、アンモニア溶媒に含まれる水や酸素の量はできるだけ少なくすることが望ましく、好ましくは1000ppm以下であり、さらに好ましくは100ppm以下であり、特に好ましくは10ppm以下である。
これらの溶媒は、結晶製造中に、亜臨界状態および/または超臨界状態で用いられる。超臨界状態は、その臨界温度以上で維持される濃ガスを意味し、臨界温度とは圧力によってそのガスが液化させられ得ない温度である。超臨界状態では一般的には、粘度が低く、液体よりも容易に拡散されるが、液体と同様の溶媒和力を有する。亜臨界状態とは、臨界温度近傍で臨界密度とほぼ等しい密度を有する液体の状態を言う。例えば、原料充填領域では、超臨界状態として原料を溶解し、結晶成長領域は亜臨界状態となるように温度を変化させて超臨界状態と亜臨界状態の原料の溶解度差を利用した結晶成長も可能である。
(鉱化剤)
本発明においては、結晶成長に際して結晶成長速度を上げるために、鉱化剤を用いることができる。鉱化剤(または溶解剤とも称される)は溶媒における原料の溶解度を高めて結晶成長領域へ結晶原料を移送するための物質であり当該分野において周知である。本明細書中の溶解には、物理溶解と化学溶解のどちらの場合をも含む。
鉱化剤は、通常、ハロゲン原子またはアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属を含む化合物である。中でも生成する結晶が酸素を含まないようにする観点からは、アンモニウムイオンやアミドなどの形で窒素原子を含むものを鉱化剤として使用することが好ましい。これらの鉱化剤は、1種類を用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。窒化物結晶への不純物の混入を防ぐため、必要な場合は鉱化剤を精製、乾燥することが行われる。鉱化剤の純度は、通常95%以上、好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上、特に好ましくは99.5%以上である。鉱化剤が含む水や酸素はできるだけ少なくすることが望ましく、これらの濃度は、好ましくは1000ppm以下であり、さらに好ましくは100ppm以下である。
鉱化剤は酸性鉱化剤、塩基性鉱化剤に分けられる。前記塩基性鉱化剤としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属と窒素原子を含む化合物で、アルカリ土類金属アミド、希土類アミド、窒化アルカリ金属、窒化アルカリ土類金属、アジド化合物、その他ヒドラジン類の塩が挙げられる。好ましくは、アルカリ金属アミドで、具体例としてはナトリウムアミド(NaNH2)、カリウムアミド(KNH2)、リチウムアミド(LiNH2)が挙げられる。また、前記酸性鉱化剤としては、ハロゲン原子を含む化合物で、ハロゲン化アンモニウム等が挙げられる、例えば塩化アンモニウム(NH4Cl)、ヨウ化アンモニウム(NH4I)、臭化アンモニウム(NH4Br)で、このうち、好ましくは塩化アンモニウム(NH4Cl)である。
アンモニアを溶媒に用いたアモノサーマル法の場合には、酸性鉱化剤は超臨界状態のアンモニア溶媒への溶解性が高く、またアンモニア中において窒化能を有し、かつPt等の貴金属に対する反応性が小さいので酸性鉱化剤がより好ましい。
鉱化剤と原料の使用割合は、鉱化剤/13族金属元素(モル比)が通常0.001〜100である。例えば、GaNの場合では、鉱化剤/Gaモル比として、通常0.001〜20の範囲が好ましく、原料、鉱化剤等の添加物の種類および目的とする結晶の大きさなどを考慮して適宜選択できる。
また、鉱化剤はバッフル板より上(結晶成長領域)に存在しなければ、原料と別に配置してもよいし、鉱化剤と原料がまざっていてもよい。さらに、原料充填領域に鉱化剤を設置した後、上から鉱化剤を押加などして圧縮し、鉱化剤間の空隙を無くすことができる。
本発明において鉱化剤は、粉体状や成形されたもの固体状のものであってもよく特に限定されない。ここで、成形されるとは「ペレタイズ」など、圧縮成形等を含み、また、圧縮成形後に焼結等を行ったものでもよい。この際、成形された鉱化剤のサイズおよび形状は目的に応じて適宜選択することができる。
(種結晶)
本発明では、所定の位置に結晶を成長させるため、種結晶を使用することが好ましい。種結晶を用いると種結晶上への単結晶の生成を促進させ、より大きな単結晶を得ることができる。種結晶の装填は通常、原料、鉱化剤等の添加物を充填すると同時または充填した後に行われ、オートクレーブ内表面を構成する貴金属と同様の貴金属製の治具に種結晶が固定される。必要な場合には、オートクレーブに装填した後、加熱脱気することも有効に用いられる。
アモノサーマル法により、窒化物の単結晶を結晶成長させる場合には、目的とする窒化物の単結晶を用いることが望ましいが、必ずしも目的と同一の窒化物でなくてもよい。但し、その場合には、目的の窒化物と一致する、もしくは適合する格子定数および/または結晶格子を有する種結晶であるか、またはヘテロエピタキシー(すなわち若干の原子の結晶学的位置の一致)を保証するよう配位した単結晶材料片もしくは多結晶材料片から構成されている種結晶を用いることが好ましい。種結晶の具体例としては、例えば窒化ガリウム(GaN)の場合、GaNの単結晶の他、AlN等の窒化物単結晶、炭化ケイ素(SiC)の単結晶等が挙げられる。
種結晶は、アンモニア溶媒への溶解度および鉱化剤との反応性を考慮して決定することができる。例えば、GaNの種結晶としては、MOCVD法やHVPE法(ハイドライド気相エピタキシ(Hydride Vapor Phase Epitaxy))でサファイア等の異種基板上にエピタキシャル成長させた後に剥離させて得た単結晶、金属GaからNaやLi、Biをフラックスとして結晶成長させて得た単結晶、LPE法を用いて得たホモ/ヘテロエピタキシャル成長させた単結晶、本発明法を含む溶液成長法に基づき作製された単結晶およびそれらを切断した結晶などを用いることができる。
[製造条件]
次に、本発明における結晶成長の各条件について説明する。本発明においては、超臨界状態および/または亜臨界状態で結晶製造を行うため、一般に溶媒の臨界点よりも高い温度に保持する。アンモニアを溶媒として用いる場合、臨界点は臨界温度132℃、臨界圧力11.35MPaであるが、オートクレーブに対する充填率が高ければ、臨界温度以下の温度でも圧力は臨界圧力をはるかに越える。本発明において超臨界状態とはこのような臨界圧力を越えた状態を含む。反応混合物は一定容積(容器容積)内に封入されているので、温度上昇は、流体の圧力を増大する。一般に、温度TはT>Tc(Tc:溶媒の臨界温度)および圧力P>Pc(Pc:溶媒の臨界圧力)であれば、超臨界状態にある。前記条件において、GaNの微結晶の生成が認められる。実際に、溶媒中に導入された多結晶原料の溶解度は、亜臨界条件と超臨界条件との間で極めて異なるので、超臨界条件では、GaN単結晶の十分な成長速度が得られる。反応時間は、特に、鉱化剤の反応性および熱力学的パラメータ、即ち、温度および圧力の数値に依存する。
アンモニア溶媒の場合、少なくともオートクレーブ内の温度範囲を、下限としては、通常150℃以上であり、好ましくは200℃以上であり、特に好ましくは300℃以上である。また、その上限としては通常800℃以下であり、好ましくは700℃以下であり、特に好ましくは650℃以下の範囲とすることが望ましい。
オートクレーブは、重畳する2つのゾーン、即ち、バッフル板によって分離された下部の原料充填領域および上部の結晶成長領域に分割されている。これら2つのゾーン間の温度勾配△Tは、10〜100℃である。勾配の方向は、特に、温度の関数としての原料の溶解度に依存する。
結晶成長中には、オートクレーブは、約15MPa〜600MPaの範囲の圧力に保持することが好ましい。溶媒がアンモニアである場合には、オートクレーブ内の圧力範囲は、下限として通常20MPa以上、好ましくは30MPa以上、特に好ましくは50MPa以上、上限として通常500MPa以下、好ましくは400MPa以下、特に好ましくは200MPa以下に保持することが望ましい。
オートクレーブ内の前記の温度範囲、圧力範囲を達成するためのアンモニア溶媒の注入の割合、すなわち充填率は、オートクレーブのフリー容積、すなわち、オートクレーブに原料、および種結晶を用いる場合には、種結晶とそれを設置する構造物の体積をオートクレーブの全容積から差し引いて残存する容積、またバッフル板を設置する場合には、さらにそのバッフル板の体積を差し引いて残存する容積のアンモニアの標準状態での液体密度(標準状態で気体の場合は沸点における液体密度)を基準として、通常20〜95%、好ましくは30〜85%、さらに好ましくは40〜75%とするのが望ましい。
所定の温度に達した後の反応時間については、窒化物結晶の種類、用いる原料、鉱化剤の種類、製造する結晶の大きさや量によっても異なるが、通常、数時間から数ヶ月とすることができる。反応中、反応温度は一定にしてもよいし、徐々に昇温または降温させることもできる。所望の結晶を生成させるための反応時間を経た後、降温させる。降温方法は特に限定されないが、ヒーターの加熱を停止してそのまま炉内にオートクレーブを設置したまま放冷してもかまわないし、オートクレーブを電気炉から取り外して空冷してもかまわない。必要であれば、冷媒を用いて急冷することも好適に用いられる。
導管から溶媒を排出後、さらに必要に応じて、真空状態にするなどしてオートクレーブ内の溶媒を十分に除去した後、乾燥し、オートクレーブを開けて結晶成長した窒素化合物結晶および未反応の原料や鉱化剤等の添加物を取り出すことができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
白金を内張りした内寸が直径20mm、長さ350mmのInconel625製のオートクレーブ(約110ml)を用い、内径7mm、長さ20mmのpBN製るつぼに原料として(セラック(CERAC)社製の99.99%のGaNの粉体結晶(型番G−1030、粒径:100mesh(100meshはJIS規格だと150μm以下))を1.5g入れ、このるつぼ3個をまとめて1段とし、白金製の梯子状支持具に各段上下方向に5mmの間隔を空け5段セットした。従ってるつぼは計15個でGaNの総質量は22.5gであった。また、原料充填部の内部水平断面積の最大値の合計は、オートクレーブの内部水平断面積の1.8倍であった。
さらに鉱化剤として十分に乾燥した純度99.99%のNH4Cl 7.5gを入れた後、バッフル板および種結晶(10mm×10mm×300μm)を設置し、素早く、バルブが装着されたオートクレーブの蓋を閉じ、オートクレーブの計量を行った。次いでオートクレーブに付属したバルブを介して導管を真空ポンプに通じるように操作し、バルブを開けて真空脱気した。その後、真空状態を維持しながらオートクレーブをドライアイスメタノール溶媒によって冷却し、一旦バルブを閉じた。次いで、導管をNH3ボンベに通じるように操作した後、再びバルブを開け連続して外気に触れることなくNH3をオートクレーブに充填した。流量制御に基づき、NH3をオートクレーブの空洞部の約65%に相当する液体として充填(−33℃のNH3密度で換算)した後、再びバルブを閉じた。オートクレーブの温度を室温に戻し、外表面を十分に乾燥させ充填したNH3の増加分の計量を行った。
続いて、オートクレーブを上下に2分割されたヒーターで構成された電気炉内に収納した。オートクレーブの下部外面の温度が520℃に、上部外面の温度が430℃になるように温度差をつけながら12時間かけて昇温し、オートクレーブの下部外面の温度が520℃に、上部外面の温度が430℃に達した後、その温度でさらに240時間保持した。オートクレーブの圧力は約140MPaであった。また保持中の温度幅は±5℃以下であった。
その後、オートクレーブの下部外面の温度が150℃になるまでおよそ8時間を掛け降温した後、ヒーターによる加熱を止め、電気炉内で自然放冷した。オートクレーブの下部外面の温度がほぼ室温まで降下したことを確認した後、まず、オートクレーブに付属したバルブを開放し、オートクレーブ内のNH3を取り除いた。その後オートクレーブを計量しNH3の排出を確認した後、一旦バルブを閉じ、真空ポンプに通ずるように操作した。次いで、バルブを再び開放し、オートクレーブのNH3をほぼ完全に除去した。その後、オートクレーブの蓋を開け、内部を確認したところ、10mm角の種結晶全面に厚み270μmの窒化ガリウム結晶が析出していた。また、るつぼの中には、原料の溶け残りが2.2gあり原料の溶解が十分であった。得られた窒化ガリウム結晶を取り出してX線回折測定した結果、結晶形はヘキサゴナル型であり、種結晶と同じ方位でC軸配向していた。
[比較例1]
実施例1と同じオートクレーブを用いて、内径12mm、長さ120mmのpBN製るつぼに十分に乾燥させたセラック(CERAC社製の99.99%のGaNの粉体結晶(型番G−1030))を22.5g入れた。次いで、鉱化剤として十分に乾燥した純度99.99%のNH4Cl 7.5gを入れた後、実施例1と同様の手順で同じ成長を行った。尚、この際原料充填部の水平断面積の最大値の合計は、オートクレーブの内部水平断面積の0.36倍であった。オートクレーブを室温まで冷却しNH3を排出した後、オートクレーブの蓋を開け、内部を確認したところ、種結晶には窒化ガリウム結晶の析出が見られず、一部の種結晶では質量が減少していた。また、原料を入れたるつぼには16gのGaNの粉体結晶の溶け残りが見られ原料の溶解が十分でなかった。
以上の結果から、実施例1のように本発明の結晶製造方法によって溶媒と粉体原料との接触面積を増やすことで、溶解反応が容易になり、原料の溶解速度が上がっていることが判った。
本発明の結晶製造方法および結晶製造装置で得られた窒素化合物結晶は、結晶性がよいため、VPEやMOCVD等で各種デバイスを製造するにあたり、エピタキシャル成長用基板として利用することができる。
複数のるつぼを用いた本発明の結晶製造装置を示す概略図である。 るつぼの内部水平断面積の最大値を説明するための概略図である。 反応容器の内部水平断面積を説明するための反応容器の一部を示す説明図である。
符号の説明
1 結晶製造装置
2 反応容器(オートクレーブ)
3 導管
4 結晶成長領域
5 原料充填領域
6 バッフル板
7 るつぼ
8 梯子状支持具
9 種結晶
10 鉱化剤
11 ヒーター
12 熱電対
13 原料

Claims (6)

  1. 円柱状の反応容器中で、(1)超臨界状態および/または亜臨界状態の窒素含有溶媒、並びに、(2)原料を用い、種結晶上に周期表第13族元素窒化物単結晶を成長させるソルボサーマル法による結晶製造方法であって、
    前記反応容器内がバッフル板によって結晶成長領域と原料充填領域とに区画された状態で前記結晶の成長を行い、
    その結晶の成長に先立って、前記反応容器の前記原料充填領域に前記原料を充填する円柱状の複数のるつぼを設けて、前記円柱状の複数のるつぼの各内部水平断面積の合計が、前記反応容器の内部水平断面積の1.1倍以上としておき、なおかつ、前記複数のるつぼに原料を充填しておくことを特徴とする結晶製造方法。
  2. 前記原料の10質量%以上が、粒径10nm〜2mmの粒子であることを特徴とする請求項1に記載の結晶製造方法。
  3. 前記反応容器がオートクレーブであることを特徴とする請求項1又は2に記載の結晶製造方法。
  4. 円柱状の反応容器を備え、前記反応容器中で、(1)超臨界状態および/または亜臨界状態の窒素含有溶媒、並びに、(2)原料を用い、種結晶上に周期表第13族元素窒化物単結晶を成長させるソルボサーマル法による結晶製造装置であって、
    前記反応容器内がバッフル板によって結晶成長領域と原料充填領域とに区画されており、
    前記反応容器は前記原料充填領域に前記原料を充填する円柱状の複数のるつぼを備え、且つ、前記円柱状の複数のるつぼの各内部水平断面積の合計が、前記反応容器の内部水平断面積の1.1倍以上であることを特徴とする結晶製造装置。
  5. 前記原料の10質量%以上が、粒径10nm〜2mmの粒子であることを特徴とする請求項に記載の結晶製造装置。
  6. 前記反応容器がオートクレーブであることを特徴とする請求項4又は5のいずれか1項に記載の結晶製造装置。
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