JP4431944B2 - 磁性フェライト焼結体及び磁性フェライト焼結体の製造方法 - Google Patents

磁性フェライト焼結体及び磁性フェライト焼結体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は磁性フェライト焼結体に関し、特に高強度が必要なフェライト部品に使用するのに適した磁性フェライト焼結体等に関するものである。
フェライト材料が適用される部品には一層の小型化の要求がある。小型部品を得る場合に、フェライト材料の強度が不足すると、その加工過程で、欠け、割れといった不具合が生ずることがある。したがって、より高い強度を発現しうるフェライト材料の開発が望まれている。
これまでフェライト材料の強度を向上させる手法として、以下の提案がなされている。例えば、特許文献1では、Fe23を40〜52.5mol%、ZnOを35mol%以
下、CuOを2〜20mol%及び残部NiOからなる組成を主成分とし、これにZrO2を0.01〜3.0wt%添加することが提案されている。そして特許文献1では、その
実施例で154MPaの抗折強度を示す磁性フェライト焼結体が得られている(特許文献1 表1 No.6)。
また特許文献2では、Ni−Zn系ソフトフェライトの製造方法において、副成分としてBi23、PbO、V26のうち少なくとも1種類以上用いること、及びそれらの副成分を仮焼前と仮焼後にそれぞれ所定量ずつ添加することが提案されている。特許文献2では、その実施例で12.9kg/mm2(126.5MPa)の抗折強度を示す磁性フェ
ライト焼結体が得られている(特許文献2 第1表 No.9)。
特許第2599887号公報(特許請求の範囲) 特公平6−66177号公報(特許請求の範囲)
特許文献1の記載の副成分(ZrO2)を採用した場合には、特許文献2の記載の副成
分(Bi23、PbO、V26)を採用した場合よりも高強度なフェライト材料を得ることができる。しかしながら、得られる抗折強度は154MPaに留まっており、より高強度なフェライト材料が望まれている。しかも、ZrO2は比較的高価である。
そこで本発明は、従来よりも高強度な磁性フェライト焼結体を得るための技術を提供することを課題とする。
かかる目的のもと、本発明者は様々な検討を行った。その結果、副成分としてSi元素を含む化合物及びNa元素を含む化合物を複合添加すること、並びにSi元素を含む化合物及びK元素を含む化合物を複合添加することが、高強度な磁性フェライト焼結体を得る上で極めて有効であることを知見した。すなわち、本発明は、主成分としてFe :40〜51mol%、CuO:2〜10mol%、ZnO:10〜35mol%、残部実質的にNiOからなる磁性フェライト焼結体であり、第1副成分としてSiをSiO換算で0.005〜1.200wt%含有させるとともに、かつ、第2副成分としてNaをNaO換算で0〜0.6wt%(但し、0は含まず)及び/又はKをKO換算で0〜0.6wt%(但し、0は含まず)含有させたことを特徴とする磁性フェライト焼結体を提供する。ここで、本発明が推奨する第1副成分及び第2副成分はいずれも従来提案されているZrOと比べると安価である
本発明の磁性フェライト焼結体によれば、抗折強度が200MPa以上という特性を得ることができる。
また、本発明の磁性フェライト焼結体は、高強度であるのみならず、測定周波数100kHzにおける初透磁率が400以上という実用的な磁気特性も備えている。
本発明の磁性フェライト焼結体において、第1副成分に対する第2副成分の比が、0.05〜0.48であることが望ましい。この場合に、強度向上率が特に高いためである。
さらに本発明は、コスト高を招くことなく磁性フェライトの強度を向上させるのに有効な方法を提供する。本発明における方法では、まず、Feを主体とする磁性フェライト焼結体を構成することとなる原料粉末に第1副成分としてSi元素を含む化合物を添加するとともに、第2副成分としてNa元素を含む化合物及び/又はK元素を含む化合物を添加する。そして、第1副成分及び第2副成分が添加された原料粉末を焼結し、磁性フェライト焼結体を得る。この磁性フェライト焼結体は、主成分としてFe :40〜51mol%、CuO:2〜10mol%、ZnO:10〜35mol%、残部実質的にNiOからなり、第1副成分としてSiをSiO 換算で0.005〜1.200wt%含有するとともに、かつ、第2副成分としてNaをNa O換算で0〜0.6wt%(但し、0は含まず)及び/又はKをK O換算で0〜0.6wt%(但し、0は含まず)含有する。第1副成分及び第2副成分の添加量は、強度向上という効果を得ることができる範囲内で適宜選択すればよい。なお、第1副成分及び第2副成分の添加のタイミングは特に限定されるものではなく、原料粉末の混合時に第1副成分及び第2副成分を添加してもよく、主成分を構成する原料粉末を仮焼した後に得られる仮焼粉末に添加してもよい。
本発明によれば、従来よりも高強度な磁性フェライト焼結体を得ることができる。しかも、この焼結体はコスト高を招くことがない。
本発明は、高強度な磁性フェライト焼結体を得るために、Feを主体とする磁性フェライト粉末に、第1副成分としてSi元素を含む化合物を添加するとともに、第2副成分としてNa元素を含む化合物及び/又はK元素を含む化合物を添加することを特徴とする。本発明は、Ni−Cu−Zn系の磁性フェライト焼結体を対象としている。
はじめに、Ni−Cu−Zn系の磁性フェライト焼結体の望ましい組成について言及する。
Feの量は透磁率に大きな影響を与える。Feが40mol%より少ないと初透磁率(μi)が低い。一方、フェライトとしての化学量論組成に近づくにしたがって透磁率は上昇するが、化学量論組成をピークとして急激に低下するとともに、焼結密度が低下して焼結体の強度が低下する。したがって、上限を51mol%とする。望ましいFe量は45〜51mol%、さらに望ましいFe量は48〜49.8mol%である。
ZnOは、その量の増加とともに透磁率を向上させるが、10mol%未満だとμiが不足し、一方35mol%を超えるとキュリー点が低くなりすぎる。したがって、本発明ではZnO量を10〜35mol%の範囲とする。望ましいZnO量は15〜30mol%、さらに望ましいZnO量は20〜30mol%である。
CuOは、その量が2mol%未満だと焼結密度が低く、強度が低下する。一方、10mol%を超えると結晶粒が異常成長し、強度が低下する。したがって、本発明では、CuO量を2〜10mol%の範囲とする。望ましいCuO量は4〜9mol%、さらに望ましいCuO量は5〜8mol%である。
以上、本発明の磁性フェライト焼結体における主成分について説明した。以下、本発明
において強度向上に貢献する特徴的な副成分について詳述する。
本発明の磁性フェライト焼結体は、第1副成分としてSiをSiO2換算で0.005
〜1.200wt%含有するとともに、第2副成分としてNaをNa2O換算で0〜0.
6wt%(但し、0は含まず)及び/又はKをK2O換算で0〜0.6wt%(但し、0
は含まず)含有する。なお、副成分としてのSi元素、Na元素及びK元素は、例えば酸化物粉末または炭酸塩粉末として主成分を構成する磁性フェライト粉末に焼結工程前に添加される。
SiO2が強度向上に有効な元素であることは既に知られているが、Si元素を含む化
合物(以下、「Si化合物」という)及びNa元素を含む化合物(以下、「Na化合物」という)の複合添加、Si化合物及びK元素を含む化合物(以下、「K化合物」という)、もしくはSi化合物、Na化合物及びK化合物の複合添加により、SiO2を単独で添
加した場合よりも高い強度を得ることができる。その理由は明らかではないが、Si化合物及びNa化合物の複合添加、Si化合物及びK化合物の複合添加、もしくはSi化合物、Na化合物及びK化合物の複合添加により新たな化合物が生成され、その新たな化合物が強度向上に寄与しているためであると考えられる。ここで、Si化合物としては、SiO2,SiC,H2SiO等が挙げられる。またNa化合物としては、Na2O,Na2CO3,NaNO3等が挙げられる。またK化合物としては、K2O,K2CO3,KNO3等が挙げられる。
本発明の磁性フェライト焼結体において、Si含有量はSiO2換算で0.005〜1
.200wt%とする。Si含有量がSiO2換算で0.005wt%未満だと強度向上の効果が不十分であり、抗折強度を200MPa以上とすることができない。一方、Si含有量がSiO2換算で1.200wt%を超えると焼結密度が低下するため強度が劣化す
るとともに、初透磁率(μi)も低下する。そこで本発明では、Si含有量はSiO2
算で0.005〜1.200wt%とする。望ましいSi含有量はSiO2換算で0.0
1〜1.00wt%、さらに望ましいSi含有量はSiO2換算で0.02〜0.60wt%である。
なお、Siは磁性フェライト焼結体の製造工程で不可避的に含有される元素であり、原料粉末に対してSi化合物を添加しない場合であっても、磁性フェライト焼結体中にはSiO2換算で0.001wt%程度のSiO2が検出される。
本発明の磁性フェライト焼結体は、以上の範囲でSi元素を含有するとともに、Na元素及びK元素の少なくともいずれかをさらに含有する。
本発明の磁性フェライト焼結体において、Na含有量はNa2O換算で0.6wt%以
下(但し、0を含まず)とする。本発明者の検討によると、Na元素の含有により焼結性が劣化する傾向が見られ、Na化合物を単独添加したとしても強度向上という効果はほとんど期待できない。ところが、Na化合物をSi化合物と複合添加することで、従来よりも高強度の磁性フェライト焼結体を得ることができる。但し、Na含有量がNa2O換算
で0.6wt%を超えると、強度が低下するとともに初透磁率も低下する。そこで本発明では、Na含有量はNa2O換算で0.6wt%以下(但し、0は含まず)とする。望ま
しいNa含有量はNa2O換算で0.01〜0.40wt%、さらに望ましいNa含有量
はNa2O換算で0.03〜0.30wt%である。
本発明の磁性フェライト焼結体において、K含有量はK2O換算で0.6wt%以下(
但し、0を含まず)とする。Na元素の場合と同様に、K元素の含有により焼結性が劣化する傾向が見られ、K元素の単独添加による強度向上という効果はほとんど期待できないが、K化合物をSi化合物と複合添加することで、従来よりも高強度の磁性フェライト焼結体を得ることができる。但し、K含有量がK2O換算で0.6wt%を超えると、強度
が低下するとともに初透磁率も低下する。そこで本発明では、K含有量はK2O換算で0
.6wt%以下(但し、0は含まず)とする。望ましいK含有量はK2O換算で0.01
〜0.40wt%、さらに望ましいK含有量はK2O換算で0.03〜0.30wt%で
ある。
Si化合物、Na化合物及びK化合物を複合添加する場合には、Si含有量、Na含有量及びK含有量をそれぞれ上記した範囲内とすればよい。但し、Na化合物及びK化合物がそれぞれSi化合物と反応して、強度向上に寄与する新たな化合物を生成することができるように、Si含有量を、Na含有量及びK含有量の合計量よりも多くすることが望ましい。
以上詳述したように、第1副成分としてSi元素を、第2副成分としてNa元素及び/又はK元素をそれぞれ所定量ずつ含有させることで、製造コストの上昇を招くことなく200MPa以上、さらには220MPa以上という従来よりも高い抗折強度を備えた磁性フェライト焼結体を得ることができる。また、本発明の磁性フェライト焼結体によれば、200MPa以上という高い抗折強度を維持しつつ、測定周波数100kHzにおける初透磁率が400以上、さらには500以上という磁気特性も得ることができる
次に、本発明に係る磁性フェライト焼結体にとって好適な製造方法を説明する。
<原料粉末、秤量>
主成分の原料として、酸化物または加熱により酸化物となる化合物の粉末を用いる。具体的にはFe23粉末、CuO粉末、ZnO粉末及びNiO粉末等を用いることができる。原料粉末を上記した範囲内の組成となるように、それぞれ秤量する。その後、秤量された各粉末の総重量に対して、副成分として粉末状のSi化合物(例えばSiO2粉末等)
を所定量添加するとともに、粉末状のNa化合物(例えばNa2CO3粉末等)及び/又はK化合物(例えばK2CO3粉末等)をそれぞれ所定量添加する。各原料粉末の平均粒径は0.1〜3.0μmの範囲で適宜選択すればよい。
なお、上述した原料粉末に限らず、2種以上の金属を含む複合酸化物の粉末を原料粉末としてもよい。
<仮焼>
原料粉末を例えばボールミルにより湿式混合した後、700〜1000℃の範囲内で所定時間保持する仮焼を行う。このときの雰囲気は大気とすればよい。仮焼の保持時間は0.5〜5.0時間の範囲で適宜選択すればよい。仮焼後、仮焼体を例えば平均粒径0.5〜2.0μm程度まで粉砕する。
なお、主成分の原料粉末(Fe23粉末、CuO粉末、ZnO粉末及びNiO粉末)と副成分の原料粉末(SiO2粉末、Na2CO3粉末、K2CO3粉末)を混合した後に、両
者をともに仮焼に供する場合について示したが、副成分の原料粉末を添加するタイミングは上述したものに限定されるものではない。例えば、まず主成分の粉末のみを秤量、混合、仮焼および粉砕する。そして、仮焼粉砕後に得られた主成分の粉末に、副成分の原料粉末を所定量添加し混合するようにしてもよい。
<造粒・成形>
粉砕粉末は、後の成形工程を円滑に実行するために顆粒に造粒される。この際、粉砕粉末に適当なバインダ、例えばポリビニルアルコール(PVA)を少量添加することが望ましい。得られる顆粒の粒径は80〜200μm程度とすることが望ましい。
造粒粉末を200〜300MPaの圧力で加圧成形し、所望の形状の成形体を得る。
<焼成>
焼成工程においては、焼成温度と焼成雰囲気を制御する必要がある。
焼成温度は1000〜1200℃の範囲から適宜選択することができる。加熱保持時間は2〜6時間の範囲で適宜選択すればよい。本発明の磁性フェライト焼結体の効果を十分引き出すには、1050〜1150℃の範囲で焼成することが望ましい。本発明による磁性フェライト焼結体は5.0Mg/m3以上、さらには5.1Mg/m3以上の焼結密度を得ることができる。
以上の工程を経ることで、本発明における磁性フェライト焼結体を得ることができる。本発明における磁性フェライト焼結体は、抗折強度が200MPa以上、100kHzにおける初透磁率が400以上、さらには500以上、かつ焼結密度が5.0Mg/m3
上という特性を備える。こうした優れた特性を備えた本発明における磁性フェライト焼結体は、小型インダクタ用コア、コモンモードチョークコイル等の材料として好適である。
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
第1副成分としてSi化合物(SiO2)及び第2副成分としてNa化合物(Na2CO3)を複合添加した場合の特性を確認するために行った実験を実施例1として示す。
原料粉末として、Fe23 粉末、NiO粉末、CuO粉末、ZnO粉末、SiO2粉末及びNa2CO3粉末を準備した。なお、各原料粉末の平均粒径は0.1〜1.0μmである。
まず、主成分を構成するFe23粉末、NiO粉末、CuO粉末およびZnO粉末を、49.0Fe23 −15.0NiO−7.0CuO−29.0ZnO(mol%)とな
るように秤量した。次いで、最終的に得られる磁性フェライト焼結体中のSi含有量及びNa含有量がそれぞれSiO2換算、Na2O換算で表1の値となるように秤量し、主成分を構成する粉末に添加した後、ボールミルを用いて湿式混合を16時間行った。
湿式粉砕して得られたスラリにPVA(ポリビニルアルコール)を加えた後、PVAと粉砕粉末の混合物を、スプレー・ドライヤを用いてその平均径が30〜80μmの範囲内になるように造粒した。こうして得られた顆粒を用いて成形密度を3.20Mg/m3
なるように、トロイダル状のサンプルと角型形状のサンプルをプレス成形した。次にこのサンプルを大気中、1090℃でそれぞれ2時間焼成して4種類の磁性フェライト焼結体を得た。
得られた磁性フェライト焼結体について、焼結密度及び抗折強度を測定した。抗折強度は角型サンプルを用い、かつJIS R1601にしたがって測定した。測定結果を表1に示す。また、表1に、副成分の合計量、強度向上率(%)を併せて示す。ここでの強度向上率は、副成分を添加していない試料No.1の強度を基準として算出している。
なお、表1に示した試料No.1は、SiO2粉末及びNa2CO3粉末のいずれも添加
せずに作製されたものであるが、不純物としてのSiO2の含有を完全に排除することが
できなかったため、試料No.1においても極微量のSiO2が含有されている。同様に
、表1に示した試料No.3にはNa2CO3粉末のみを添加しSiO2粉末は添加してい
ないが、試料No.3においても極微量のSiO2が含有されている。
Figure 0004431944
まず、試料No.1〜3の抗折強度に着目する。試料No.2(SiO2を単独添加)
は試料No.1(副成分添加なし)よりも高い抗折強度を示すが、試料No.2の抗折強度は190MPa以下に留まり、強度向上率も8.6%に留まった。
一方、試料No.3(Na2CO3を単独添加)は試料No.1(副成分添加なし)と同等の抗折強度を示す。つまり、Na2CO3の単独添加では強度に対して影響するところがなく、強度向上という効果が期待できないことが伺える。
次に、試料No.1〜3の中で最も高い抗折強度を示した試料No.2(SiO2を単
独添加)と、試料No.4(SiO2及びNa2CO3を複合添加)とを比較すると、Si
2及びNa2CO3を複合添加した試料No.4の方が強度向上率がはるかに高い。
以上の結果から、副成分としてSiO2及びNa2CO3を複合添加することが、高強度
な磁性フェライト焼結体を得る上で有効であることがわかった。そして、副成分としてSiO2及びNa2CO3を複合添加した試料No.4によれば、250MPa以上という高
い抗折強度を得ることができることが確認された。
望ましいSi含有量及びNa含有量を確認するために行った実験を実施例2として示す。
最終的に得られる磁性フェライト焼結体中のSi含有量及びNa含有量がそれぞれSiO2換算、Na2O換算で表2の値となるように秤量した以外は、実施例1と同様の条件で6種類の磁性フェライト焼結体を得た。そして、実施例1と同様の条件で焼結密度及び抗折強度を測定した。その結果を表2に示す。また、表2には「第1副成分に対する第2副成分の比」(Na含有量/Si含有量)の値も併せて示すとともに、比較の便宜のために、実施例1で作製した試料No.4についての各データも併せて示している。
Figure 0004431944
試料No.5、6、7、4はこの順に副成分の合計量が増加している。そして、試料No.5、6、7、4の順に高い抗折強度を得ている。このことから、210MPa以上、さらには230MPa以上という高い抗折強度を得るには、第1副成分及び/又は第2副成分の含有量を増加させることが有効であるといえる。但し、Na含有量がNa2O換算
で0.690wt%(試料No.8)になると、抗折強度が180MPa以下まで低下する。よって、200MPa以上の高い抗折強度を得るには、Na含有量をNa2O換算で
0.6wt%以下とすることが望ましい。
また、試料No.9のようにSi含有量が少ない場合(SiO2換算で0.003wt
%)及び試料No.10のようにSi含有量が多い場合(SiO2換算で1.470wt
%)には、強度向上率がマイナスとなる。このことから、望ましいSi含有量はSiO2
換算で0.005〜1.200wt%程度であるといえる。
さらに「第1副成分に対する第2副成分の比」の個所に着目すると、本発明による試料No.4〜7は0.05〜0.46の範囲内にある。また焼結密度については、本発明による試料No.4〜7はいずれも5.1Mg/m3以上の値を示すとともに、15%以上
の強度向上率を示した。特に、副成分の合計量が0.200〜1.000wt%の範囲内にある試料No.4及び7によれば、230MPa以上という高い抗折強度を得ることができることが確認された。
第1副成分としてSi化合物(SiO2)及び第2副成分としてK化合物(K2CO3
を複合添加した場合の特性を確認するために行った実験を実施例3として示す。
原料粉末としてK2CO3粉末をさらに準備し、最終的に得られる磁性フェライト焼結体中のSi含有量及びNa含有量がそれぞれSiO2換算、Na2O換算で表3の値となるように秤量した以外は、実施例1と同様の条件で7種類の磁性フェライト焼結体を得た。そして、実施例1と同様の条件で焼結密度及び抗折強度を測定した。その結果を表3に示す。また、表3には「第1副成分に対する第2副成分の比」(K含有量/Si含有量)の値も併せて示すとともに、比較の便宜のために、実施例1で作製した試料No.1、2についての各データも併せて示している。なお、表3に示した試料No.11にはK2CO3粉末のみを添加しSiO2粉末は添加していないが、SiO2の含有を完全に排除することができなかったため、試料No.11においても極微量のSiO2が含有されている。
Figure 0004431944
試料No.1(副成分添加なし)と試料No.11(K2CO3を単独添加)との比較か
ら、K2CO3の単独添加では強度向上という効果が期待できないことがわかる。これに対し、SiO2及びNa2CO3を複合添加した本発明による試料No.12〜15によれば
、200MPa以上、さらには240MPa以上という抗折強度を得ることができる。
以上の結果から、K2CO3はSiO2とともに添加された場合に、強度向上に寄与する
化合物であることがわかった。そして、SiO2及びK2CO3を複合添加することで、2
00MPa以上という高い抗折強度を示す磁性フェライト焼結体を得ることができることが確認された。
但し、試料No.16(K含有量:K2O換算で0.6900wt%)のようにK含有
量が多くなると、強度向上率がマイナスとなる。このことから、望ましいK含有量はK2
O換算で0.6wt%以下(但し、0を含まず)であるといえる。また、K含有量がK2
O換算で0.0580wt%(試料No.17)と、本発明が推奨する範囲内であっても、Si含有量がSiO2換算で0.0030wt%と少なくなると強度向上率はマイナス
となる。よって、第1副成分としてSi化合物(SiO2)及び第2副成分としてK化合
物(K2CO3粉末)を複合添加する場合にも、Si含有量はSiO2換算で0.005w
t%以上とすべきであろう。
また、試料No.15と試料No.16との比較から、「第1副成分に対する第2副成分の比」は1以下、さらには0.2〜0.8程度の範囲内とすることが望ましいと推察される。
第1副成分としてSi化合物(SiO2)、第2副成分としてNa化合物(Na2CO3
)及びK化合物(K2CO3)を複合添加した場合の特性を確認するために行った実験を実施例4として示す。
2CO3粉末をさらに準備し、最終的に得られる磁性フェライト焼結体中のSi含有量、Na含有量及びK含有量がそれぞれSiO2換算、Na2O換算及びK2O換算で表4の
値となるように秤量した以外は、実施例1と同様の条件で磁性フェライト焼結体を得た。そして、実施例1と同様の条件で焼結密度及び抗折強度を測定した。その結果を表4に示す。また、初透磁率(測定温度:25℃、測定周波数100kHz)についても測定した。その結果を表4に併せて示す。
なお、比較の便宜のために、実施例1で作製した試料No.2、3、実施例2で作製した試料No.5、6、実施例3で作製した試料No.11〜13についても初透磁率(測定温度:25℃、測定周波数100kHz)を測定した。その結果も表4に併せて示す。
Figure 0004431944
表4に示すように、SiO2、Na2CO3及びK2CO3を複合添加した場合(試料No
.18)にも、230MPa以上という高い抗折強度を得ることができた。
また、表4の「初透磁率」の個所に着目すると、本発明による試料(試料No.18、5、6、12、13)はいずれも400以上という実用的な初透磁率を示している。よって、本発明が推奨する第1副成分及び第2副成分の複合添加は、実用的な初透磁率を得つつ、抗折強度を向上させる上で有効であることが確認できた。特に、試料No.5、6(SiO2及びNa2CO3を複合添加)、試料No.12、13(SiO2及びK2CO3を複合添加)によれば、200MPa以上の抗折強度と500以上の初透磁率を兼備することができる。
主組成と強度向上率の関係を確認するために行った実験を実施例5として示す。
原料粉末として、Fe23 粉末、NiO粉末、CuO粉末、ZnO粉末、SiO2粉末及びK2CO3粉末を準備した。なお、各原料粉末の平均粒径は0.1〜1.0μmである。
表5に示す組成となるように、主成分を構成するFe23 粉末、NiO粉末、CuO
粉末、ZnO粉末を秤量するとともに副成分を添加しなかった以外は、実施例1と同様の条件で磁性フェライト焼結体を作製した。そして、実施例1と同様の条件で抗折強度を測定した。その結果を表5に示す。
Figure 0004431944
表5に示した組成Cを基準とすると、組成A、B、D〜Fはそれぞれ以下の特徴を有している。なお、組成A〜Fはいずれも本発明が推奨する範囲内の主組成を有しており、組成Cは実施例1〜4で採用した主組成と一致している。
組成A:Fe23 量多め
組成B:CuO量少な目、ZnO量少な目
組成D:ZnO量多め
組成E:CuO量多め
組成F:Fe23 量少な目
また、表5に示した組成A〜Fに、それぞれ第1副成分としてSi化合物(SiO2
、第2副成分としてK化合物(K2CO3)を複合添加した以外は、実施例1と同様の条件で磁性フェライト焼結体を作製し、焼結密度及び抗折強度を測定した。その結果を表6に
示す。
Figure 0004431944
表5から、Fe23 量が45.0〜48.0mol%である組成D〜Fの方が、Fe23 量が49.0〜51.0mol%である組成A〜Cよりも高い抗折強度を示しており、そもそも強度の高い組成であるといえる。
そして表6から、抗折強度のポテンシャルが高い組成D〜Fについては3.0〜19.0%の強度向上率を、一方、抗折強度のポテンシャルが組成D〜Fよりは低い組成A〜Cを採用した試料No.18、19、14については、30.0〜51.0%という強度向上率を得ることができることがわかる。
以上の結果から、主組成の範囲を変動させた場合においても、本発明が推奨する第1副成分及び第2副成分の複合添加による強度向上という効果を享受できることが確認できた。ここで、磁気特性については副成分よりも主成分の関与が大きい。よって、主組成を適宜変更することで所望の磁気特性を得つつ、本発明が推奨する第1副成分及び第2副成分の複合添加によって強度特性を向上させることで、高強度かつ高磁気特性の磁性フェライト焼結体を得ることができる。

Claims (5)

  1. 主成分としてFe :40〜51mol%、CuO:2〜10mol%、ZnO:10〜35mol%、残部実質的にNiOからなる磁性フェライト焼結体であって、
    第1副成分としてSiをSiO換算で0.005〜1.200wt%含有させるとともに、かつ、
    第2副成分としてNaをNaO換算で0〜0.6wt%(但し、0は含まず)及び/又はKをKO換算で0〜0.6wt%(但し、0は含まず)含有させたことを特徴とする磁性フェライト焼結体。
  2. 抗折強度が200MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の磁性フェライト焼結体。
  3. 測定周波数100kHzにおける初透磁率が400以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性フェライト焼結体。
  4. 前記第1副成分に対する前記第2副成分の比が、0.05〜0.48であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の磁性フェライト焼結体。
  5. Feを主体とする磁性フェライト焼結体を構成することとなる原料粉末に第1副成分としてSi元素を含む化合物を添加するとともに、第2副成分としてNa元素を含む化合物及び/又はK元素を含む化合物を添加する工程と、
    前記第1副成分及び前記第2副成分が添加された前記原料粉末を焼結し、磁性フェライト焼結体を得る工程と、を含み、
    前記磁性フェライト焼結体は、主成分としてFe :40〜51mol%、CuO:2〜10mol%、ZnO:10〜35mol%、残部実質的にNiOからなり、
    前記第1副成分としてSiをSiO 換算で0.005〜1.200wt%含有するとともに、かつ、
    前記第2副成分としてNaをNa O換算で0〜0.6wt%(但し、0は含まず)及び/又はKをK O換算で0〜0.6wt%(但し、0は含まず)含有することを特徴とする磁性フェライト焼結体の製造方法
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