JP4430775B2 - 身体サポート機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は身体サポート機構に関する。さらに詳述すると、本発明は、椅子やベッド、さらにはストレッチャーなどを含む身体保持・移動用器具において、身体の一部たとえば頭部や背をサポートするための身体サポート機構の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
一人で寝起きが困難な患者や老人など(本明細書では総称して「患者」という)が寝た状態のまま移動できるよう、キャスタを備えたストレッチャーが使用されている。このストレッチャーによれば、ベッドと同じように患者を仰向けに横たわらせたまま移動することができる。
【0003】
また、可撓性のあるマット材を採用するとともにフレームを折り曲げ可能に連結し、ベッドから椅子へと形態を変更可能としたストレッチャーも利用されている。このようなストレッチャーによれば、患者を寝せた状態でベッドストレッチャーへ移乗させた後に椅子に形態を変え、座らせた姿勢にして移動させることもできる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のストレッチャーにおいては患者頭部を支持することについて特に配慮がなされていない問題がある。例えば、一枚板のマットから成る平坦なストレッチャーでは、患者は頭部を低くした姿勢を余儀なくされてしまう。このことは、たとえ移動に要する時間が短くても支障をきたすこともあれば、患者に不快感を与えることもある。また、このようなストレッチャー上で頭部を適切に保持しようとすれば従来は枕などを配置するしか手段がなく、手間がかかってしまい不便でもである。一方、頭部支持部を設けたストレッチャーも開発されているが、首より下を支える部分から便宜的に区切っただけのものであり、患者の体格や症状にかかわらず画一的な姿勢をとらざるを得なかった。
【0005】
このような問題は椅子に形態を変更し得るストレッチャーでも同様である。患者は背凭れと面一に形成された平坦なクッション部のみによって頭部を支持しなければならなく、後頭部を凭れかけさせた安楽姿勢をとることが困難であった。特に、椅子の状態に形態を変えた場合における頭部の支えについて有効な手段がなかった。
【0006】
そこで、本願発明者は、上記問題を解決すべくストレッチャーにヘッドレストを備えさせることに想到するに至ったが、これにとどまることなく、ヘッドレストを使用するときの患者頭部のサポートをより安定させ確実かつ安全な身体保持を実現するサポート機構にまで想到するに至った。さらに、本願発明者は、想到するに至った身体サポート機構を、ストレッチャーのみならず他の身体保持・移動用器具にまで実施することについても想到し得た。
【0007】
本願は、頭部サポート機能をも備えたストレッチャーのヘッドレストを提供することと併せ、種々の身体保持・移動用器具において広範に利用可能な身体サポート機構を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の発明にかかる身体サポート機構は、間隔をおいて平行配置された複数の重合プレートを有する固定側部材と、該固定側部材の重合プレートと交互に重なり合う複数の重合プレートを有する傾動側部材と、固定側部材ならびに傾動側部材の各重合プレートが交互に重り合う箇所を貫通して固定側部材と可動側部材の複数の重合プレートを回転可能に締め付け連結する連結軸並びに重合プレートを重なり合う方向に常時付勢する付勢手段とを備える可撓機構によって、複数に分割された芯材もしくはサポート部材を固定側部材あるいは傾動側部材のいずれかに固定して互いに連結し、固定側部材に連結された芯材もしくはサポート部材に対して可動側部材に連結された芯材もしくはサポート部材を連結軸を中心に回転させて固定側部材の芯材もしくはサポート部材と可動側部材の芯材もしくはサポート部材との間に角度を与えるとともに両重合プレートの間の接触域で生ずる摩擦力を利用してその角度を維持し、サポート面の形状を保持させるようにしている
【0009】
本願の身体サポート機構では、まず、固定側部材と傾動側部材とに多重ブラケット状のプレートを複数設け、これらを多段に重ね合わせてヒンジ状の可撓機構を形成する。そして、この可撓機構で複数に分割されて荷重を支える芯材(またはサポート部材そのもの)を連結して一定の範囲で傾動部材を相対運動(傾動)させるようにしている。この場合、段重ねされた重合プレートの接触域で生じる摩擦力が傾動する際の抵抗力となり、身体サポート機構を一定の角度に維持するための保持力として働く。したがって、この保持力に抗して傾動させることで所望の傾動角を得るとともに、その位置で傾動角を維持できる。これにより、傾動して所望のサポート形状を形成した芯材の傾動角が保持でき、サポート面の変形を維持できる。
【0010】
しかも、本願では連結軸で重合プレートを締め付けるのみならず、付勢手段によって重合プレートを重合方向に付勢している。このため、接触し合う重合プレート同士をより強く圧接して摩擦力を増大させ、相対傾度が容易に変化するのを防止することができる。また、連結軸のみの場合におけるような弛みによる摩擦力低下も防止できる。
【0011】
請求項1記載の発明における付勢手段は、例えば請求項2記載のように連結軸と同軸上に配置されるばね部材とすることが好ましい。これにより、付勢手段を連結軸と一体的に形成した可撓機構とすることができる。ばね部材としては例えば圧縮コイルばねや皿ばねの使用が好ましい。
【0012】
さらに、付勢手段は、請求項3記載のようにばね部材の全長を調整する手段を備え、付勢力を調整可能として重合プレートの重合部分における摩擦力を可変とすることが好ましい。この場合、付勢力を調整して所望の摩擦力を得ることで、使用者等が自らカスタマイズつまり患者の体重・体格差に応じた折り曲げ強さを得ることができる。また、このような調整手段により、傾動側部材の所望相対角度が得られたところで締め付けて強い摩擦・保持力を得、緩めることで再び傾動側部材の相対角度の調整をすることも自在となる。この場合、調整手段をサポート部材の外、例えば被覆材の外に露出させておけば、ユーザーが任意に付勢力を調整してサポート部材の変形に要する力を好みの強さにしうる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の身体サポート機構において、複数の重合プレートのうち、一部の重合プレートは前記固定側部材または傾動側部材の前記重合プレートを支持するベース板に対して可動的に係合されて重ね合わされる方向に僅かに傾き可能に支持されているものである。したがって、固定側部材の重合プレートと傾動側部材の重合プレートとを段重ねする際に隙間調整できるので重ね合わせやすい。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載における身体サポート機構がストレッチャーのヘッドレストであり、左側部および右側部の少なくとも一方を平坦状態から上方に折り曲げ動可能としたものである。
【0015】
この場合、ストレッチャーはヘッドレストを備えることで患者の適切な頭部保持が可能となり、患者の体格や症状に合った姿勢をとることが可能となることに加え、椅子に形態変更した場合も後頭部を凭れかけさせた安楽姿勢を提供することが可能となる。また、ヘッドレストの少なくとも一側部を所望の角度に折り曲げ調整できるため、患者の頭部を一側あるいは両側からサポートすることが容易となる。
【0016】
また、ストレッチャーのヘッドレストは、請求項6記載のように、ストレッチャーに固定される中央部と該中央部の両側に可撓機構でそれぞれ連結される左側部及び右側部とで構成されると共に全体として台形状に形成され、そのヘッドレストの左側部及び右側部の傾斜した辺の周囲をストレッチャーのハンドル部の両端に回転可能に備えられた直角に曲がったグリップレバーが回転するように配置することが好ましい。これにより、ヘッドレストの身体サポート機能は維持したままでハンドル部を握ることができるし、さらにはハンドル部をヘッドレスト側部に収納することが可能となりハンドル不使用時のストレッチャーの小型化を図ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1〜図18に、本発明の身体サポート機構4をストレッチャー1に適用した一実施形態を示す。ストレッチャー1は、寝た状態あるいは座った状態のいずれの患者も移動できるよう図17に示すように上面を平坦としたベッドと図18に示すような着座可能な椅子とに形態を変更することができる。本実施形態では、ストレッチャー1のこのような形態変更を可能とするため折り曲げ可能に組み付けた丸パイプからなるフレーム2によって骨組みを形成している。このフレーム2は例えば軽合金製とすることでストレッチャー1の必要強度を備えつつ軽量化を図ることができる。
【0019】
フレーム2は、回転する機構は径の異なる丸パイプで形成したヒンジなどの回り対偶によって構成し、伸縮する機構は径の異なるパイプで構成したすべり対偶によって構成することができる。またフレーム2全体としては、形態をベッドあるいは椅子としたときの形状に応じて種々の構成をとり得る。例えば本実施形態では、椅子に形態変更したとき、椅子の両側に図18に示すように背凭れ22の腰部および座部23を含む平行四辺形の枠組みが形成され、これら枠組みの一部が肘掛け24として機能するようにフレーム2を構成している。このフレーム2は、ベッドに形態変更すると図17に示すように平坦となりその上に寝台を形成するのに好適な形状となる。なお、ベッドに形態変更したストレッチャー1をフレーム2とヘッドレスト3のみで示すと図16のようになる。
【0020】
また、フレーム2は両側に旋回可能なセーフティーバー34を備えている。このセーフティーバー34を、図17の二点鎖線で示すような上向き状態とすることで患者がベッドに形態変更したストレッチャー1上を移乗するとき転落するのを防止することができる。さらに、ストレッチャー1は患者を乗せて移動できるようキャスタ37を備えている。
【0021】
図16に示したヘッドレスト3はストレッチャー1に移乗した患者の頭部を保持するものだが、本実施形態ではこのヘッドレスト3を固定的な中央部18およびこの中央部に対して可動的な両側部19,20との3つの部位に分割し、左側部19および右側部20を平坦状態から上方に折り曲げ動可能とすることで、左側部19や右側部20を上方に折り曲げ患者の頭部を一方あるいは両側から保持できるようにしている。
【0022】
本実施形態のヘッドレスト3は、図4に示す形状の中央部18と、図5に示す形状の左側部19およびこの左側部19と対称形状の右側部20の3部構成で、これらの各芯材を図1〜図3に示すように組み合わせている。各部18〜20には、可撓機構21の固定側部材5または傾動側部材6を取り付けるための透孔18a,19a,20aを設けておき、さらに中央部18にはヘッドレスト3をフレーム2に取り付けるための透孔18bも設けておく。そして、左側部19および右側部20と中央部18との接続部分はそれぞれ屈曲可能構造とし、左側部19および右側部20をそれぞれ独立に屈曲可能とする。
【0023】
このヘッドレスト3における身体サポート機構4を構成する可撓機構21を以下に説明する。可撓機構21は図7〜図9に示すように固定側部材5と傾動側部材6とをヒンジ構造によって折り曲げ可能に結合したもので、これが図1〜図3に示すように中央部18の側部に2つずつ設けられて左側部19および右側部20を結合する。なお、本願明細書では説明の便宜を図り一方を固定側、他方を傾動側と称すが、固定側・傾動側の概念は相対なものに過ぎず、例えば固定側と傾動側の2部材のみからなる場合はこれらを逆にして考えることができる。
【0024】
固定側部材5は、図6に示すように1枚のベース板9と、このベース板9上に取り付けられる複数の重合プレート7,8とによって構成している。重合プレート7,8の枚数は特に限定されるものではなく、例えば本実施形態では図示するように4枚としているがこれより多くてもこれ未満でもいい。各重合プレート7,8にはベース板9に取り付けるための爪7a,8aを設け、ベース板9にはこれら爪7a,8aに対応する取付孔9aを設けている。なお、図6に示すように、複数の取付孔9aのうちベース板9の端に設けるものは取付溝であってもよい。
【0025】
複数の重合プレート7,8は、固定側のベース板9に間隔をおいて平行配置する。本実施形態では配置間隔を一定ピッチとし、かつ、このピッチ間隔は重合プレート7,8の厚みに一致させるようにしている。これら重合プレート7,8はすべてベース板9に対し固定的でも構わないが、4枚のうち内側に位置する2枚は僅かに傾き可能とすることが好適で、こうすることにより固定側部材5および傾動側部材6の4枚ずつの重合プレート7,8を重ね合わせるとき各プレート7,8を互いの隙間に潜り込ませることが容易となる。
【0026】
本実施形態では、外側に配置する2枚の重合プレート7を固定的とし、その爪は図12〜図14に示すようにベース板9の取付孔(取付溝)9aに嵌まって位置合わせしベース板9に溶接その他により固着するための突起状の爪7aとする(図10参照)。一方、内側に配置する2枚の重合プレート8は可動的とするためベース板9に溶接その他で固着することはせず、図11に示すような係合爪8aでベース板9に係合させている。この係合爪8aは、個々の重合プレート8が図15に示すように重合方向に傾くのは許容するが固定側ベース板9から外れないように係合させるためのもので、例えば図11に示したように同じ方向に鉤状に曲がるフック状に形成したものである。なお、この場合、図7、図8に示すように各爪8aを外側に向かせることで、可撓機構21が屈曲を繰り返しても係合爪8aが逆スライドして取付孔9aから外れにくくすることができる。
【0027】
これら重合プレート7,8を固定側のベース板9に取り付ける様子を示すと、まず外側の固定的重合プレート7をベース板9に固着した場合は図12〜図14に示すようになる。また、固着した両重合プレート7の隙間には、図15に示すように可動的な重合プレート8をフック状の係合爪8aを取付孔9aに差し込みスライドさせて取り付ける。固定的な可動プレート7に対し、可動的重合プレート8はいずれかの固定的重合プレート7に向かって僅かに傾動することが可能である。
【0028】
また、重合プレート7,8には図10および図11に示すように透孔7b,8bを設けている。透孔7b,8bは図13に示すように傾動の中心となるもので、固定側部材5と傾動側部材6をそれぞれの傾動中心が一致するように重ね合わせる。傾動中心には図9に示すように連結軸12を嵌め入れ、固定側部材5と傾動側部材6とを傾動可能に支持させる。
【0029】
以上のように、ベース板9に重合プレート7,8を取り付けて固定側部材5を構成するが、一方の傾動側部材6も、固定側部材5と同様に構成する。例えば本実施形態では、図6に示すように固定側ベース板9と同様に取付孔(取付溝)10aを備えた固定側ベース板10に、固定側部材5と同一形状の重合プレート7,8を上述したのと同様に取り付けて傾動側部材6を形成している。なお、ベース板9,10上の透孔9b,10bは、図1〜図3に示すように固定側部材5および傾動側部材6をヘッドレスト3にねじ止めするためのものである。
【0030】
このように形成した固定側部材5と傾動側部材6は、図9に示すように固定側重合プレート7,8と傾動側重合プレート7,8を交互に重ね合わせ、連結軸12でピン結合することで屈曲可能なヒンジ状の可撓機構21を構成する。本実施形態では、図7、図8に示すように、固定側部材5と傾動側部材6を180度開いたところで両ベース板9,10の内側縁同士が当接し、それ以上開くのを阻止する。したがって、この屈曲可能な可撓機構21は最大開き角度が180度までの範囲内で傾度を調整でき、本実施形態のようにヘッドレスト3の身体サポート機構4として用いた場合、ヘッドレスト3の両側部19,20を最大に開いたときに平坦状態とする。
【0031】
また、上述のように固定側重合プレート7,8と傾動側重合プレート7,8を段重ねした場合、重ね合わせ部分の接触摩擦力を利用して所望の角度を保持し得る。ただし、身体サポート機構4を構成する可撓機構21であるため、所望の角度に容易に調整でき、かつ調整後は外力に対し角度が容易に変わらないようにすることが好ましい。本実施形態では、上述の連結軸12で重合プレート7,8を締め付けるようにしているが、これに加え、重合プレート7,8を重合方向に付勢する付勢手段11を設けている。
【0032】
付勢手段11は例えば図6、図9に示すように連結軸12の周囲に配置したコイルスプリングで、両端をそれぞれ挟む2つの座金13の一方を介して重合プレート7,8を付勢し圧接する。この場合、コイルスプリングの全長を調整することで付勢力を変え、摩擦力を可変とすることができる。本実施形態では連結軸12の一端を弛みの少ないダブルナット14で締結するが、レバーのような付勢力を手動で調整可能な手段を代わりに設けることで付勢力の調整が容易となる。なお、ここで示したコイルスプリングは付勢手段11の好適な一例ではあるが、締付力を調整でき、重合プレート7,8を圧接できるものであれば特に限定されず、例えば皿ばね、あるいは弾性力を有するゴムなどの適用も可能である。
【0033】
そして、以上のような構成の可撓機構21によって構成したヘッドレスト3の身体サポート機構4は、図1〜図3に示すようにヘッドレスト3の中央部18に対し左側部19および右側部20をそれぞれ独立して傾動させる。本実施形態では、図示するように左側部19および右側部20をそれぞれ2つの可撓機構21によって接続しているが、もちろん単一の可撓機構21で保持することも可能である。また、左側部19に設けた2つの可撓機構21の締付力調整は独立して行うが、連結軸12を連結するなどにより両調整を同時に行うことも可能である。図3に示すようにヘッドレスト3の裏面に取り付けた可撓機構21は、左側部19および右側部20を図2に示すように上方にのみ傾動させる。
【0034】
以上のようにヘッドレスト3の両側部19,20を傾動可能とした身体サポート機構4によれば、ストレッチャー1のヘッドレスト3を身体サポートに適した形状、すなわち左側部19あるいは右側部20を折り曲げ跳ね上げた形状とすることができ、ストレッチャー1の患者の頭部を適切にサポートできる。しかも、左側部19および右側部20はそれぞれ独立して傾動できるので簡単に所望形状とすることができるし、平坦状態より下側には下がらないのでサポートが外れるようなことも皆無である。また、連結軸12で重合プレート7,8を締め付けることに加え、付勢手段11を設けているので、付勢力を調整して所望の摩擦力を得ることで使用者等が自らカスタマイズ(患者の体重・体格差に応じた折り曲げ強さを得ること)も容易である。また、調整手段として手動のレバーなどを利用した場合は傾動調整も簡便で、患者が移乗した後に素早く調整することも可能となる。
【0035】
続いて、ヘッドレスト3の形状について述べる。ヘッドレスト3は、単に矩形とするなど形状は特に限定されないものだが、本実施形態では図1などに示すように左側部19および右側部20を斜めにカットしてヘッドレスト3を全体で台形状に形成し、図16に示すような一部が回転可能なグリップレバー16の動きを妨げないようにしている。
【0036】
ハンドルバー15はストレッチャー1の頭部に設けた水平状のパイプで、ストレッチャー1の搬送を補助するハンドル部として機能する。さらに本実施形態では、ハンドルバー15の両端にこのハンドルバー15の水平軸を中心に回転可能なグリップレバー16を設けている。このグリップレバー16は図示するように先端に向かって直角方向に曲がった形状で、先端に例えば球状など握りやすい形状のグリップ17を備えている。したがって、搬送者は、ストレッチャー1の搬送時にこのグリップレバー16を上向きに90度起こせばグリップ17を握って押し引きすることができるため、あまり前屈みにならずに楽な姿勢で搬送できる。
【0037】
また、ヘッドレスト3を上述のように台形状に形成したことから、図16に示すようにグリップレバー16を横向きにしてもグリップ17がヘッドレスト3に当たらない。したがって、グリップレバー16およびグリップ17を使用しないときはヘッドレスト3の側部に収納可能である。また、ハンドル部とヘッドレスト3との間に形成される空間が、グリップレバー16を横向きした状態のまま搬送者がハンドルバー15を握ることも可能としている。なお、ヘッドレスト3を台形状とするのは患者の頭部サポートを十分に可能としつつグリップレバー16の収納を可能とし、かつ空間を形成するための好適な一例に過ぎず、特にこの形状に限定されるものではない。また、グリップレバー16は使用時および収納時において容易に回転しないことが好ましく、例えば90度回転させるごとにハンドルバー15の端面溝に係合する突起を設けるなどすればよいが本実施形態ではこの機構についての詳しい説明は省略する。
【0038】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば本実施形態ではヘッドレスト3の両側部を無段階に傾動させ得るようにしたが、段階的に傾動させるようにしてもよい。一例を挙げれば、重合プレート7,8の接触領域において連結軸12を中心に設けた放射状凹凸であり、この凹凸の間隔で傾動時の段階幅を自由に設定できる。また、凹凸のうち少なくとも凸部を山形に形成することでスムーズな傾動を確保することもできる。
【0039】
また、本実施形態では重合プレート7,8をすべて同じ厚みとし、ベース板9,10に一定間隔で配置した場合について示したが、プレート厚みや配置間隔は一定である必要はなく、プレート厚みを不均一に形成した場合でも各プレート7,8が重ね合わされるプレート間隔を対応させれば重合させて可撓機構21を形成できるので問題はない。
【0040】
さらに、本実施形態では1つのヘッドレスト3を中央および両側の3つに分割し、各芯材を可撓機構21で連結した場合を説明したが、本発明の適用の範囲はこのようなものに限られない。例えば、このように1つのサポート部材を3つに分割した場合の他、3つの独立したサポート部材を2つないしそれ以上の可撓機構21で傾動可能に連結して全体として1つの身体サポート機構を構成するような場合であっても本発明は当然に適用することが可能である。
【0041】
ここまで説明したように、本実施形態では複数の可撓機構21および中央部18、両側部19,20からなる身体サポート機構4をヘッドレスト3で利用した一形態を説明した。ただし、この身体サポート機構4は他の身体保持・移動用器具において身体を部分的にサポートするのに用いることができるのはもちろんである。そこで、上述したヘッドレスト3以外の他の形態について簡単に説明すると、例えば椅子においては、背中の両側を保持するサイドサポートとして機能し得る。この場合は、背凭れの両側にサポート幅の調整が可能な一対の身体サポート機構4を設けることとなる。また、設置部位や形態を適宜変えることにより、頸部や頭部あるいは臀部をサポートする機構としても機能する。この場合、椅子として事務用椅子が含まれることはいうまでもないが、そのほか自動車のドライバーズシート、座椅子、さらにはチャイルドシートなどにも適用可能である。また、サポート面の変形が要求される部位の分割数は適用される機器や部位により異なるが、固定的な部材に対して少なくとも1の傾動可能な部材があれば本発明の適用が可能となる。
【0042】
次に、本発明の身体サポート機構4を、ストレッチャー1のヘッドレスト3に適用する場合の他の実施形態について説明する。
【0043】
ストレッチャー1にヘッドレスト3を取り付ける構成は、ヘッドレスト3をストレッチャー1に固着するものに限らず、例えば、フレーム2に対してヘッドレスト3が傾き調整および移動調整可能であるように取り付けることができる。図19〜図26に、本発明の身体サポート機構4を芯材としたヘッドレスト3を、フレーム2に対して、傾き調整可能および接近離反するように移動調整可能であるように取り付けるための構成を示す。
【0044】
ストレッチャー1は、図17および図18に示すように本体を形成するフレーム2のうち患者の頭部を支持する頭部部分2aにヘッドレスト3を備えている。このヘッドレスト3は、図19に示すように、例えば板材などからなるベース3aとこのベース3a上に取り付けたクッション部3bから主に構成され、クッション部3bの芯材として身体サポート機構4が用いられる。またヘッドレスト3は、図17に示すように、退避位置にあるときのヘッドレスト3のクッション部3bと、ベッドに形態変更したストレッチャー1のマット部36とが面一になるように形成されている。ただし、必ずしも面一にする必要はなく、例えばヘッドレスト3のクッション部3bをマット部36より高く設定するなど使用状況に応じて設計を変更することができる。
【0045】
また、このヘッドレスト3が設けられるフレーム2は、図19に示すように、頭部部分2aにかけて下がるように折り曲げて設けられている。これにより、当該折り曲げ部分から先端にかけて逃げができ、ヘッドレスト3、ブラケット35、ブラケット25などを収容するスペースが形成される。
【0046】
そして、このヘッドレスト3は傾きの調整が可能となるように設けられている。例えば、フレーム2の頭部部分2aに第1のブラケット35を固着し、さらにヘッドレスト3のベース3aの裏側に第2のブラケット25を固着し、両ブラケット35,25を重なり合った状態で回転可能に連結することでヘッドレスト3の傾き調整を可能としている。この連結は、図21に示すように、第1ブラケット35の透孔35aおよび第2ブラケット25の透孔25aを通過する連結手段26によって行う。
【0047】
また、図20に示すように第1ブラケット35および第2ブラケット25を左右両側にそれぞれ設けるようにしている。図20に示すように両側に対称配置した第1ブラケット35,35は、図21に示すようにフレーム2の頭部部分2aの内側へ溶接付けしている。一方、第2ブラケット25,25は図20に示すように第1ブラケット35,35の内側に対称配置している。この第2ブラケット25は、例えば図21に示すような2箇所のねじ孔25b,25bをねじ止めすることによってヘッドレスト3のベース3aの裏面に固着している。
【0048】
ここで、第1ブラケット35と第2ブラケット25とは互いの面が接触し合うように隣り合わせて設けてもよいが、フレーム2とヘッドレスト3にそれぞれクラッチ板を固着し、両ブラケット35,25の間にこれらクラッチ板を介在させることによって接触領域を増やすことが好適である。この場合、連結手段26でヘッドレスト3の傾動を阻止したときにより大きな摩擦力が得られることからヘッドレスト3を確実に固定することが可能となる。
【0049】
例えば、図21に示すように、第1ブラケット35と第2ブラケット25との間にフレーム側クラッチ板32およびヘッドレスト側クラッチ板33をそれぞれ介在させている。この場合、フレーム側クラッチ板32は第2ブラケット25側に、ヘッドレスト側クラッチ板33は第1ブラケット35側にそれぞれ配置してブラケット35,25およびクラッチ板32,33の接触領域が増すようにする。
【0050】
また、フレーム側クラッチ板32は第1ブラケット35に対して回転しないように設ける。例えば、図21に示すように、第1ブラケット35から内側へ突出させた係合ピン35b,35bに、対応して設けた係合孔32b,32bを嵌め合わせて位置決めしている。また、第1ブラケット35の透孔35aと同軸上となる位置に透孔32aを設け、支持ボルト27を貫通させている。一方、ヘッドレスト側クラッチ板33は第2ブラケット25に対して回転しないように設ける。第2ブラケット25から突出する規制ピン31,31を利用し、対応して設けた係合孔33b,33bを嵌め合わせて位置決めしている。第2ブラケット25の透孔25aの同軸上には同形状の透孔33aを設けている。
【0051】
連結手段26は、第1ブラケット35と第2ブラケット25の相対回転を許容しまたは阻止する機能を備えるもので、両ブラケット35,25を相対回転可能に連結する。本実施形態では、図20および図26に示すように、両側の第1ブラケット35,35および第2ブラケット25,25を貫通する支持ボルト27と、この支持ボルト27の先端部と係合する締結手段28と、支持ボルト27が貫通する押さえパイプ29によってこの連結手段26を構成している。
【0052】
支持ボルト27は第1ブラケット35と第2ブラケット25の相対回転の中心軸として機能する。この支持ボルト27は第1ブラケット35および第2ブラケット25の各透孔35a,5aを単に通過させるだけでも構わないが、締結手段28を締めたり緩めたりするとき回転しないようにしていることが好ましい。例えば、図21に示すように第1ブラケット35と接触する頭部内側面に矩形状の係合部27aを突出させ、この係合部27aを同じ矩形に形成した透孔35aに填め合わせることによって支持ボルト27が回転しないようにすることができる。
【0053】
締結手段28は、支持ボルト27とともに第1ブラケット35および第2ブラケット25に内側への押圧力を与え相対回転を阻止する部材である。この締結手段28は支持ボルト27の頭部との間隔を自在に変え得るものであればよく、例えば支持ボルト27の先端部のねじ部と噛合するナットを用いることができる。ここでは、第1ブラケット35および第2ブラケット25を締め付け、あるいは緩めるときの操作性の観点から図20に示すようなクランプレバーを締結手段28として採用している。
【0054】
クランプレバーは、詳しく図示していないが、例えば軸方向へ引っ張る動作と回転させる動作の組み合わせによって締め付けた状態と緩めた状態とを切り換えることができる装置である。このようなクランプレバーによれば簡単な操作によって両ブラケット35,25の相対回転の許容および阻止の切り換えが可能となる。このクランプレバーは、図20に示すように握りやすいグリップを備えたものが好ましい。本実施形態のストレッチャー1では、一般的に市販されているような公知のクランプレバーを採用して構わない。
【0055】
また、連結手段26は上記の支持ボルト27と締結手段28とで構成することも可能だが、両側の第2ブラケット25,25が押圧力を受けたとき内側に反るのを防止する部材を備えていることが好ましい。例えば、丸パイプからなる押さえパイプ29を第2ブラケット25,25の間隔と同じ長さに形成し、支持ボルト27を通過させた状態で第2ブラケット25,25の間に配置している。このため、第2ブラケット25,25は内側への押圧力を受けてもこの押さえパイプ29の両端面によって支持され、内側に反ることがない。したがって第1および第2のブラケット35,25を強く押し付け合わせ、より強力な摩擦力を発揮させることができる。また第2ブラケット25の耐久性も向上する。なお、押さえパイプ29の両端部にフランジを形成することによって第2ブラケット25との接触領域を大きくするようにしてもよい。
【0056】
以上の構成によりストレッチャー1のヘッドレスト3は傾きを調整することが可能となるが、この傾き調整機構に加え、フレーム2に対して接近離反するように上下動する機構も備えさせている。この上下動機構は、第1ブラケット35の透孔35aあるいは第2ブラケット25の透孔25aのうちいずれか一方をヘッドレスト3の上下動方向に延びる長孔とすることによって形成することができる。ここでは、図21に示すように第2ブラケット25側の透孔25aを長孔とし、この長透孔25aのストローク範囲内でヘッドレスト3が上下動できるようにしている。
【0057】
この上下動機構によれば、ヘッドレスト3は傾き調整機能とともに高さ調整機能も備えることとなり、いずれの高さにおいても傾き調整を行うことが可能となる。ただし、ヘッドレスト3は、高さ調整とともに傾き調整できることが便宜であるが、上述した退避位置に戻したときはベッドのマット部36と面一となり、かつ傾動できない状態となって患者の移乗に備えることが好適である。このような機構は、例えば、相対移動する第1ブラケット35と第2ブラケット25に退避位置にあるときにのみ係合し回転を阻止するように設けた部材で形成することができる。
【0058】
ここでは、第1ブラケット35の両側に図19および図21に示すように対称形状の段部30,30を形成し、一方、第2ブラケット25にはこの段部30,30と当接可能に外側へ突出する規制ピン31,31を形成している。段部30は退避位置において規制ピン31と当接し得るものであれば特に形状は限定されないが、ここでは、円柱形状の規制ピン31に合わせて図22に示すように円弧形状とし、面圧の分散を図っている。
【0059】
また、第1ブラケット35の形状は、退避位置でのみ規制ピン31,31と当接し、ヘッドレスト3がフレーム2から離反して上方移動したときは規制ピン31,31の動きを妨げない外形となるように形成する。例えば、図22などに示すようにこの第1ブラケット35の中心上部を透孔35aを中心とした半円形状に形成している。この場合、ヘッドレスト3が図23に示すようにひとたび上方移動すれば、図24および図35に示すように傾き調整が行われても第1ブラケット35は規制ピン31,31の動きを妨げない。なお、ヘッドレスト3は、長透孔25aの上ストローク端に到達しなくても退避位置に位置しなければ傾き調整可能となる。また、長透孔25aのどの位置でヘッドレスト3の傾動範囲がどの程度となるかは段部30の形状や規制ピン31の相対位置などによって定まる。
【0060】
以上のように構成したストレッチャー1のヘッドレスト3は、以下に説明するように作用する。
【0061】
まず、ヘッドレスト3は、図17に示すようにベッドに形態変更したストレッチャー1において退避位置に位置することによって水平なマット部36とともに平坦面を形成し、あるいは、図18に示すように椅子に形態変更したストレッチャー1において背凭れ1aと面一となる。このとき、規制ピン31,31は図22に示すように段部30,30と当接し、ヘッドレスト3を退避位置に位置決めして傾動するのを阻止している。このためヘッドレスト3は水平に保たれ、患者がストレッチャー1とベッドの間を移乗するときの妨げとならない。この場合、締結手段28を締めておくことでヘッドレスト3の不意な動きも阻止される。
【0062】
次に、患者の体格や症状に合わせてヘッドレスト3の高さ・角度を調整する場合、まず締結手段28を緩め、移動可能となったヘッドレスト3を図23に示すように高くする。高さ移動は手動で行うことができる。このとき、規制ピン31,31は段部30,30から離れ、阻止していたヘッドレスト3の傾動を解除する。そこで、図24あるいは図25に示すようにヘッドレスト3を傾かせ、所望の高さおよび角度が得られたところで締結手段28を締めて固定すればよい。図24のようにヘッドレスト3を患者側へ傾ければ後頭部にそった広い保持面が得られるし、図25のように逆側へ傾かせれば後頭部を保持する領域は少なくなるが高さを獲得しやすい。図23〜図25ではヘッドレスト3を上ストローク端まで移動させた場合を例示したが、移動途中で好適な高さおよび角度が得られたらその状態で固定することもできる。なお、ヘッドレスト3は、ストレッチャー1がベッドとなっているときには上下動するが、椅子に形態変更しているときは斜め前後方向へ移動することはいうまでもない。
【0063】
また、このように固定したヘッドレスト3は、例えばベッドとしたストレッチャー1においては、締結手段28を再び緩めれば自重で元の退避位置に戻り得る。この場合、規制ピン31,31が段部30,30に当接して位置決め状態となるため、ヘッドレスト3は自然に水平状態となりマット部36と面一になる。したがって、例えば患者の迅速かつ安全な移動が要請される状況下でも、ヘッドレスト3を素早くかつ確実に退避位置に戻し患者の移乗あるいは移動に備えることが可能となる。
【0064】
なお、第1ブラケット35に設けた段部30,30に対し、第2ブラケット25に設けた規制ピン31,31を当接させることでヘッドレスト3を位置決めしたが、位置決めするための態様は特にこれに限られない。例えば、図21に示したように、フレーム側クラッチ板32を第1ブラケット35に係合させるために設けた係合ピン35b,35bを利用してヘッドレスト3を位置決めすることもできる。この場合は、第2ブラケット25とヘッドレスト側クラッチ板33のいずれか一方あるいは両方に、ヘッドレスト3が退避位置にあるときにのみ係合ピン35b,35bと当接する段部を設けるようにすればよい。これにより、上述した実施形態と同様にヘッドレスト3を位置決めすることができる。
【0065】
また、図23などに示したように、長透孔25aをフレーム2の長軸に対し垂直となる方向に設けた場合を例示したが、この長透孔25aの形態はこれに限定されない。この長透孔25aはフレーム2に対してヘッドレスト3が接近離反し得るように設けたものであればよく、例えばフレーム2の長軸方向に対し斜め方向に延びる長透孔25aとしてもよい。
【0066】
さらに、フレーム側クラッチ板32およびヘッドレスト側クラッチ板33を1組のクラッチ板とし、これを第1ブラケット35と第2ブラケット25の間に介在させた場合について説明したが、クラッチ板の態様もこれに特に限られない。1組のクラッチ板は左右両側の第1ブラケット35および第2ブラケット25に対して設けてもよいし、左右いずれかにのみ設けることもできる。また、複数組のクラッチ板により構成したクラッチを介在させ、さらに接触領域を増やすこともできる。
【0067】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、請求項1記載の身体サポート機構では、重合プレートを備えた固定側部材、傾動側部材、各重合プレートを締め付ける連結軸および重合プレートを重合方向に付勢する付勢手段とを備えた可撓機構によって芯材(またはサポート部材そのもの)の一部に角度を与えるとともに重合プレート同士の接触部における摩擦力を利用してその角度を維持し、サポート面の形状を保持させることができる。したがって、この保持力に抗して傾動させることで所望の傾動角を得、身体サポート機構の一部を所望の角度に調整することが容易となる。しかも、この可撓機構を利用した身体サポート機構は種々の身体保持・移動用器具において広範に利用できる。
【0068】
しかも、連結軸で重合プレートを締め付けるのみならず、付勢手段によって重合プレートを重合方向に付勢しているため、接触し合う重合プレート同士をより強く圧接して摩擦力を増大させ、相対傾度が容易に変化するのを防止することができる。また、連結軸のみの場合におけるような弛みによる摩擦力低下も防止できる。
【0069】
また請求項2記載の身体サポート機構によると、付勢手段を連結軸と同軸上に配置されるばね部材としたため、付勢手段と連結軸を一体的に形成した可撓機構とし、重合プレートで所望の摩擦力を得ることが可能となる。
【0070】
さらに請求項3記載の身体サポート機構によると、ばね部材の全長を調整する手段を備え、付勢手段の付勢力を調整可能として重合プレートの重合部分における摩擦力を可変としたことから、付勢力を調整して所望の摩擦力を得ることで容易にカスタマイズすることができ、また、傾動側部材の所望相対角度が得られたところで締め付けて強い摩擦・保持力を得、緩めることで再び傾動側部材の相対角度の調整をすることも自在となる。
【0071】
また、請求項4記載の身体サポート機構によると、複数の重合プレートのうち、一部の重合プレートは前記固定側部材または傾動側部材の前記重合プレートを支持するベース板に対して可動的に係合されて重ね合わされる方向に僅かに傾き可能としたため、固定側部材の重合プレートと傾動側部材の重合プレートとを段重ねする際に隙間調整できて重ね合わせやすくなる。
【0072】
請求項5記載の発明では、身体サポート機構をストレッチャーのヘッドレストとし、左側部および右側部の少なくとも一方を平坦状態から上方に折り曲げ可能としている。ヘッドレストを備えたストレッチャーは患者の適切な頭部保持が可能となり、患者の体格や症状に合った姿勢をとることが可能となることに加え、椅子に形態変更した場合も後頭部を凭れかけさせた安楽姿勢を提供することが可能となる。また、ヘッドレストの少なくとも一側部を所望の角度に傾動させることができるため、患者の頭部を一側あるいは両側からサポートすることが容易となる。
【0073】
また、請求項6記載の身体サポート機構では、ストレッチャーに固定される中央部と該中央部の両側に可撓機構でそれぞれ連結される左側部及び右側部とで構成されると共に全体として台形状に形成され、そのヘッドレストの左側部及び右側部の傾斜した辺の周囲をストレッチャーのハンドル部の両端に回転可能に備えられた直角に曲がったグリップレバーが回転するように配置したので、ヘッドレストの身体サポート機能を維持したままでハンドル部を握ることができることとなり、さらにはハンドル部をヘッドレスト側部に収納することが可能となりハンドル不使用時のストレッチャーの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】身体サポート機構を備えたヘッドレストの平面図である。
【図2】図1に示したヘッドレストの正面図である。
【図3】図1に示したヘッドレストの裏面図である。
【図4】ヘッドレストを構成する中央部の形状を示す(A)平面図と(B)正面図である。
【図5】ヘッドレストを構成する左側部(右側部)の形状を示す(A)平面図と(B)正面図である。
【図6】各部品が組み合わされた可撓機構の平面、正面、裏面の各図(中央)および各部品を示す図である(周囲)。
【図7】可撓機構を示す平面図である。
【図8】図7に示した可撓機構の正面図である。
【図9】図7に示した可撓機構の裏面図である。
【図10】固定的重合プレートの形状を示す図である。
【図11】可動的重合プレートの形状を示す図である。
【図12】固定的重合プレートが固着された固定側部材および傾動側部材を組み合わせた状態を示す平面図である。
【図13】図12に示した固定側部材および傾動側部材の正面図である。
【図14】図12に示した固定側部材および傾動側部材の裏面図である。
【図15】ベース板上の固定的重合プレートおよび可動的重合プレートを示す図である。
【図16】フレームおよびヘッドレストのみのストレッチャーの平面図である。
【図17】ベッドに形態を変更したストレッチャーの側面図である。
【図18】椅子に形態を変更したストレッチャーの側面図である。
【図19】ストレッチャーのヘッドレスト周辺の側面図である。
【図20】図19に示したヘッドレスト周辺の構成を示す平面図である。
【図21】支持ボルトの頭部側におけるブラケット周辺の構成を示す分解斜視図である。
【図22】退避位置にあるヘッドレストを示す部分側面図である。
【図23】上方へ移動したヘッドレストを示す部分側面図である。
【図24】図23に示した状態から患者側へ傾動したヘッドレストを示す部分側面図である。
【図25】図23に示した状態から患者と逆側へ傾動したヘッドレストを示す部分側面図である。
【図26】ストレッチャーの底面図である。
【符号の説明】
1 ストレッチャー
2 フレーム
3 ヘッドレスト
4 身体サポート機構
5 固定側部材
6 傾動側部材
7 (固定的な)重合プレート
8 (可動的な)重合プレート
9 (固定側部材の)ベース板
10 (傾動側部材の)ベース板
11 付勢手段
12 連結軸
21 可撓機構

Claims (6)

  1. 間隔をおいて平行配置された複数の重合プレートを有する固定側部材と、該固定側部材の前記重合プレートと交互に重なり合う複数の重合プレートを有する傾動側部材と、前記固定側部材ならびに傾動側部材の各重合プレートが交互に重り合う箇所を貫通して前記固定側部材と前記可動側部材の複数の前記重合プレートを回転可能に締め付け連結する連結軸並びに前記重合プレートを重なり合う方向に常時付勢する付勢手段とを備える可撓機構によって、複数に分割された芯材もしくはサポート部材を前記固定側部材あるいは前記傾動側部材のいずれかに固定して互いに連結し、前記固定側部材に連結された前記芯材もしくはサポート部材に対して前記可動側部材に連結された前記芯材もしくはサポート部材を前記連結軸を中心に回転させて前記固定側部材の前記芯材もしくはサポート部材と前記可動側部材の前記芯材もしくはサポート部材との間に角度を与えるとともに前記両重合プレートの間の接触域で生ずる摩擦力を利用してその角度を維持し、サポート面の形状を保持させることを特徴とする身体サポート機構。
  2. 前記付勢手段は前記連結軸と同軸上に配置されるばね部材であることを特徴とする請求項1記載の身体サポート機構。
  3. 前記ばね部材の全長を調整する手段を備え、付勢力を調整可能として前記重合プレートの重合部分における摩擦力を可変としたことを特徴とする請求項2記載の身体サポート機構。
  4. 前記複数の重合プレートのうち、一部の重合プレートは前記固定側部材または傾動側部材の前記重合プレートを支持するベース板に対して可動的に係合されて重ね合わされる方向に僅かに傾き可能に支持されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の身体サポート機構。
  5. 前記身体サポート機構はストレッチャーのヘッドレストであり、左側部および右側部の少なくとも一方を平坦状態から上方に折り曲げ動可能としたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の身体サポート機構。
  6. 前記ヘッドレストは前記ストレッチャーに固定される中央部と該中央部の両側に前記可撓機構でそれぞれ連結される左側部及び右側部とで構成されると共に全体として台形状に形成され、そのヘッドレストの前記左側部及び右側部の傾斜した辺の周囲を前記ストレッチャーのハンドル部の両端に回転可能に備えられた直角に曲がったグリップレバーが回転するように配置したものである請求項5記載の身体サポート機構。
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