JP4430313B2 - 透明な樹脂積層体及びそれを用いた成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明な樹脂積層体及びそれを用いた成形品に関する。より詳細には、各樹脂層間の密着性が良好で、かつ耐候性、耐摩耗性、耐熱性及び耐水性に優れたポリカーボネート樹脂基材/アクリル樹脂層/硬化層からなる透明な樹脂積層体及びそれを用いた成形品に関する。本発明の樹脂積層体及びそれを用いた成形品は、自動車や車両の窓、サンルーフ、ランプカバー、温室等の透明な屋根や採光窓、道路の防音壁、看板、自動販売機の前面板、カーポート、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学部材、LCDやEL表示用保護シート、酸素・水分等を遮断する隔膜等の分野に利用される。
【0002】
【従来の技術】
有機透明プラスチックス材料、特にポリカーボネート樹脂は優れた耐衝撃性、及び高い熱変形温度を有し、寸法安定性、加工性及び自己消火性に優れることから、光学材料として多くの用途で使用されている。しかしながら、表面硬度が低く、耐磨耗性に劣るため、透明材料として最も重量な透明度が損なわれるという問題点を有している。
【0003】
また、他の透明プラスチックス材料、例えばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン及びポリ塩化ビニルなどはその透明性、軽量性、易加工性、及び耐衝撃性に優れるため種々の用途に使用されているが、これら材料からなる成形体も他の素材と比較して、耐摩耗性、耐薬品性及び耐溶剤性が乏しく、且つ表面が傷つき易いという問題点を有している。
【0004】
これらの問題点を解決するために、ポリオルガノシロキサン系樹脂がポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等のプラスチックス成形品の表面硬度や耐擦傷性を向上させるコーティング剤として使用されてきている。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4及び特許文献5参照)
【0005】
しかしながら、ポリオルガノシロキサン系樹脂をコーティングした透明プラスチックスを屋外で使用した場合、例えば自動車及び車両の窓やランプカバー、温室等の透明な屋根や採光窓、眼鏡レンズ、及びカメラレンズなどにおいて、太陽光線、雨、湿度、高温及び低温の温度差の厳しい屋外環境に耐えうる性能を有するコーティング剤は未だ十分ではない状況にある。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−182764号公報
【特許文献2】
特開平8−230127号公報
【特許文献3】
特開平9−174783号公報
【特許文献4】
特開昭55−59929号公報
【特許文献5】
特開昭58−107316号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は従来技術の問題点を解決しようとするもので、各樹脂層間が良好な密着性を有し、耐候性、耐摩耗性、耐熱性及び耐水性に優れた透明な樹脂積層体及びそれを用いた成形品を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の従来技術の問題点を解決するために、鋭意検討した結果、ポリカーボネート樹脂基材の少なくとも一方の面上に被覆された紫外線吸収剤を含有するアクリル樹脂層と、該アクリル樹脂層上に、特定のシリコーン含有高分子の紫外線吸収剤とオルガノシロキサンとを含む組成物を塗布し、硬化させて得られた硬化層を有し、かつ、各樹脂層間の線膨張率の差を小さくした透明な樹脂積層体を使用することにより、各樹脂層間が良好な密着性を有し、耐候性、耐摩耗性、耐熱性及び耐水性に優れた透明な樹脂積層体及びそれを用いた成形品が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
即ち、本発明は、ポリカーボネート樹脂基材、ポリカーボネート樹脂基材の少なくとも一方の面上に、被覆された紫外線吸収剤を含有するアクリル樹脂層と、該アクリル樹脂層上に、シリコーン含有高分子紫外線吸収剤とポリオルガノシロキサンとを含む組成物を塗布して、硬化して形成された硬化層を含み、かつ前記ポリカーボネート樹脂基材と前記アクリル樹脂層間の線膨張率の差及び前記アクリル樹脂層と前記硬化層の線膨張率の差が各々0/℃〜5×10−5/℃であることを特徴とする透明な樹脂積層体を提供する。
【0010】
また、本発明は、上記透明な樹脂積層体を射出成形機の金型内に挿入し、そのポリカーボネート樹脂基材側に他のポリカーボネート樹脂を射出し、射出成形して、一体化して得られた自動車の窓ガラス及びサンルーフ用成形品を提供する。さらに、本発明は、透明な樹脂積層体を曲げ加工によって得られた自動車の窓ガラス及びサンルーフ用成形品を提供する。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層体は、ポリカーボネート樹脂基材/アクリル樹脂層/硬化層からなる。
本発明のポリカーボネート樹脂基材は、ポリスチレン換算の重量平均分子量45,000〜70,000であることが好ましい。該重量平均分子量の範囲内において、ポリカーボネート樹脂基材の線膨張率は6×10−5/℃〜8×10−5/℃範囲にある。ポリカーボネート樹脂はポリスチレン換算の重量平均分子量が大きくなると線膨張率が大きくなる傾向がある。ポリカーボネート樹脂基材の形態としては成形品、フィルム、シート又ボードが挙げられる。
【0012】
本発明の硬化層は、シリコーン含有高分子紫外線吸収剤とポリオルガノシロキサンとを含む組成物をアクリル樹脂層上に塗布して、硬化して形成される。
本発明で使用するポリオルガノシロキサンは、一般式R1 nSi(OR2)4-n(但し、nは0〜2の整数)で表される通常のオルガノシランを加水分解、縮合して得られた加水分解物及び/又は部分縮合物が好ましく、さらに熱硬化型が好ましい。
該オルガノシラン中のR1は炭素数1〜8の有機基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基などのアルキル基、その他γ−クロロプロピル基、ビニル基、3,3,3−トリフロロプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、フェニル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基などが挙げられる。また、オルガノシラン中のR2は、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜4のアシル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基などが挙げられる。
【0013】
これらのオルガノシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができ、好ましくはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランである。
【0014】
これらのオルガノシランは、1種類単独、もしくは2種以上を併用して使用することができる。又、上記オルガノシランのうち、好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上がCH3Si(OR2)3である場合が好ましい。なお、これらオルガノシラン類は所定量の水を用いて加水分解・縮合され、オリゴマー化され、単量体はほぼ消費されており、反応系内には存在しない。その後、1〜2量体成分が実質的に存在せず、6量体以上が65重量%以上であって、数平均重合度が8〜30であるポリオルガノシロキサンとなるように更に反応を進める。
【0015】
反応により得られるポリオルガノシロキサンが1〜2量体成分が実質的に存在せず、6量体以上が65重量%以上であって、数平均重合度が8〜30であるポリオルガノシロキサンである場合は、前記数平均重合度を有するポリオルガノシロキサンを硬化して形成された硬化層の線膨張率は7×10−5/℃〜15×10−5/℃の範囲にある。前記6量体以上が65重量%以上であって、数平均重合度が8〜30の範囲内において、6量体以上の量が多い程又は数平均重合度が大きい程ポリオルガノシロキサンの線膨張率は、大きくなる。この点を考慮して、アクリル樹脂層と硬化層間の線膨張率の差を小さくし本発明の範囲内にすることができる。
この際の反応温度は、通常25℃〜70℃、好ましくは30℃〜60℃、更に好ましくは30℃〜50℃で、徐々に後段の反応を進める。しかし、25℃未満では所望のオリゴマー組成にするのに長時間を要するため、好ましくない。70℃を超えると架橋反応が起こることがあるので、好ましくない。
【0016】
本発明で使用するポリオルガノシロキサンを得るためのオルガノシランの加水分解は、通常の方法により行うことができ、酸性の加水分解性触媒を含有した水の存在下で行うことが好ましい。上記加水分解触媒としては、pH2〜5の酸性を示す公知の触媒から選択使用できる。例えば、酸性のハロゲン化水素、カルボン酸、スルホン酸、酸性あるいは弱酸性の無機塩、もしくはイオン交換樹脂などの固体酸を使用することが好ましい。
【0017】
具体例としては、フッ化水素、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、マレイン酸に代表される有機酸、メチルスルホン酸、表面にスルホン酸基、又はカルボン酸基を有するカチオン交換樹脂などが挙げられる。又、加水分解触媒の添加量は各種用途に従って適宜調整すれば良いが、本発明においては、アルコキシシランに対して0.001〜5モル%の範囲であることが好ましい。
【0018】
また、pHを調節するための緩衝剤となる酸・塩基性化合物の組合せ(酢酸と酢酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムとクエン酸など)、分散溶媒、或いは優れた被膜性能を付与するために有機樹脂、顔料、染料、レベリング剤、紫外線吸収剤、保存安定剤などを適宜添加して使用することができる。
本発明のポリオルガノシロキサンを含む組成物には、下記式(1)で示されるベンゾフェノン系紫外線吸収モノマー及び下記式(2)で示されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収モノマーから選択された少なくとも一種の紫外線吸収モノマー(A)と、下記式(3)で示されるシリコーンマクロマー(B)と、官能基含有共重合性ビニルモノマー(C)と、官能基非含有共重合性ビニル化合物(D)とによる重合物であって、かつ重量平均分子量が10,000〜100,000であるシリコーン含有高分子紫外線吸収剤が含まれる。
【化4】
(式(1)中、R11は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜6のアルコキシル基を示す。R12は炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数1〜10のオキシアルキレン基を示し、m1は0又は1を示す。R13は水素原子、又は低級アルキル基を示す。X1は、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、又はウレタン結合を示す。)
【化5】
(式(2)中、R21は水素原子、ハロゲン原子、又はメチル基を示す。R22は水素原子、又は炭素数1〜6の炭化水素基を示す。R23は炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数1〜10のオキシアルキレン基を示し、m21は0又は1を示す。R24は炭素数1〜8のアルキレン基、アミノ基を有する炭素数1〜8のアルキレン基、又はヒドロキシル基を有する炭素数1〜8のアルキレン基を示し、m22は0又は1を示す。R25は水素原子、又は低級アルキル基を示す。X2はエステル結合、アミド結合、エーテル結合、又はウレタン結合を示す。)
【化6】
(式(3)中、R31は水素原子、又はメチル基を示す。R32は炭素数1〜6のアルキレン基、又は炭素数1〜6のオキシアルキレン基を示し、m31は0又は1を示す。R33は炭素数1〜6のアルキレン基、アミノ基を有する炭素数1〜6のアルキレン基、又はヒドロキシル基を有する炭素数1〜6のアルキレン基を示し、m32は0又は1を示す。nは1〜200の整数を示し、X3はエステル結合又はアミド結合を示す。)
【0019】
上記シリコーンマクロマー(B)の重量平均分子量が200〜10,000であることが好ましい。
該紫外線吸収剤中の紫外線吸収モノマー(A)と、シリコーンマクロマー(B)と、官能基含有共重合性ビニルモノマー(C)と、官能基非含有共重合性ビニル化合物(D)との割合が、モノマー成分全量に対して、(A)/(B)/(C)/(D)=5〜50/5〜60/50〜80/5〜20(重量%)であることが好ましい。
該シリコーン含有高分子紫外線吸収剤は、本発明者の研究に基ずく特開2001−139924に詳細に開示されたシリコーン含有高分子紫外線吸収剤と同一である。
【0020】
該組成物中のポリオルガノシロキサンに対するシリコーン含有高分子紫外線吸収剤の含有量は0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%、更に好ましくは3〜5重量%である。この範囲内の含有量では、硬化層の線膨張率には影響を与えない。
【0021】
分散溶媒は本発明の効果を損なわない範囲で使用することができ、分散溶媒としてはゾルの安定性や入手のし易さの観点から、水、或いは低級アルコールであるメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、ケトン類であるメチルエチルケトン、ジアセチルアセトンなどを用いることが好ましい。又、本発明において前記溶媒効果を発現させるためには、組成物中の水分含有量が15%以下とすることが好ましい。15%を超えると水がシラノール基に選択的に配位するため、シラノール基の安定性が損なわれる。
【0022】
ここで得られたポリオルガノシロキサンを含む組成物の保存温度は、通常25℃以下、好ましくは15℃以下、更に好ましくは5℃以下である。25℃を超えると、保存期間が長い場合、加水分解・縮合反応が徐々に進行するので好ましくない。
【0023】
本発明のポリオルガノシロキサンを含む組成物を用いて硬化被膜を形成させる際、硬化被膜の硬度や耐擦傷性の向上、又は高屈折率化などの光学的機能性を付与させるために、公知の硬化触媒や金属酸化物及びその他の添加物を適宜加えても良い。
【0024】
硬化触媒の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、蟻酸ナトリウム、蟻酸カリウム、n−ヘキシルアミン、プロピオン酸カリウム、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセンのごとき塩基性化合物、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、アルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、アルミニウムアセチルアセトナート、過塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウム、コバルトオクチレート、コバルトアセチルアセトナート、鉄アセチルアセトナート、錫アセチルアセトナート、ジブトキシ錫オクチレートの如き金属化合物類、p−トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸の如き酸性化合物類が挙げられる。硬化触媒の添加量は、ポリオルガノシロキサンを含む組成物100重量部に対して0.01〜10重量部であることが好ましい。
【0025】
金属酸化物の具体例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化セリウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化鉄などが挙げられる。特に、耐擦傷性を目的とした硬化剤とする場合には、コロイダルシリカ(シリカゾル)が好適である。硬化剤として使用する場合の金属酸化物の添加量は、ポリオルガノシロキサン樹脂100重量部に対して5〜500重量部、特に10〜200重量部であることが好ましい。これらの金属酸化物の存在下に縮合反応を行っても良く、また縮合反応後に加えても良い。
【0026】
ポリオルガノシロキサンを含む組成物の塗装方法はその目的に応じて、刷毛、ロール、ディッピング、流し塗り、スプレー、ロールコーター、フローコーター、遠心コーター、超音波コーター、スクリーンプロセス、電着塗装、蒸着塗装等がある。
【0027】
次ぎに、ポリカーボネート樹脂基材とポリオルガノシロキサンを含む組成物の硬化層との中間に位置するアクリル樹脂層について具体的に述べる。
アクリル樹脂層における該アクリル樹脂は、メタクリル酸メチルの構成単位のモノマー量が全構成単位の総モノマー量に対して80モル%以上で、好ましくは80〜99モル%で、ポリスチレン換算の重量平均分子量が70,000〜150,000であることが好ましい。アクリル樹脂がメチルメタクリル酸単重合体では、熱安定性が劣る。前記メタクリル酸メチルの構成単位の量及び重量平均分子量の範囲内において、アクリル樹脂の線膨張率は、5×10−5/℃〜9×10−5/℃の範囲にあり、メタクリル酸メチルの構成単位の量が多い程、アクリル樹脂層の線膨張率は小さくなる。アクリル樹脂の前記メタクリル酸メチルの構成単位の量及び重量平均分子量の範囲を考慮して、ポリカーボネート樹脂基材とアクリル樹脂層及び硬化層とアクリル樹脂層間の線膨張率の差を小さくし、本発明の範囲内とすることができる。
該アクリル樹脂は、メチルメタクリレート構成単位を主成分とし、メチルメタクリレートと他のメチルアクリレート、エチルアクリレート又はブチルアクリレートとの共重合体であることが好ましい。ポリカーボネート樹脂とアクリル樹脂とを共押出しにより成形することが好ましい。アクリル樹脂の耐熱性が劣ると、共押出成形時に焼け焦げ、熱分解等の問題を引き起こすため、熱変形温度は90℃以上が良く、好ましくは95℃以上、更に好ましくは100℃以上がよい。
【0028】
アクリル樹脂の製造方法は一般的に乳化重合法、懸濁重合法、均一重合法とに大別されるが、本件に使用されるアクリル樹脂は均一重合法により製造されたアクリル樹脂が好ましい。更に、均一重合法には連続塊状重合法と連続溶液重合法とに分けることができるが、本発明においてはどちらかの製法で得られたアクリル樹脂を用いることができる。
【0029】
乳化重合法及び懸濁重合法では重合反応時に乳化剤または、懸濁分散剤などが使用され、重合反応終了後、これらの添加剤は次ぎの水洗工程において洗浄除去されるが、完全に取り除かれることは困難である。例えば、懸濁重合により製造されたアクリル樹脂(パラペットHR−L)とポリカーボネート樹脂を用いて共押出して製造した積層板の外観は、ブツ、スジの発生量が多く見られた。これらのブツを顕微IRで分析した結果、アクリル樹脂及びポリカーボネート樹脂とは異なるIRチャートであり、僅かに混在していた懸濁分散剤によるものと推定された。また、スジはアクリル樹脂層とポリカーボネート樹脂層との界面に存在し、屈折率の差により異物として観察されるものであった。スジはブツを基点として発生しており、ダイヘッド内のブツを基点として発生していると考えられた。
【0030】
一方、均一重合法である連続塊状重合法および連続溶液重合法は上記のような添加剤は一切使用されておらず、ただ単に、重合を開始するための重合開始剤、及び分子量を調節するための連鎖移動剤が添加されているに過ぎない。連続溶液重合法では、溶媒としてトルエン、エチルベンゼン、キシレン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトンなどを挙げることができるがこれらに限定されるものではなく、重合反応をより有効に実施でき、得られたアクリル樹脂中に残存することがなければよい。重合開始剤としては、一般的なアゾ系重合開始剤、またはパーオキサイド系重合開始剤を選択することが有効である。日本油脂(株)、和光純薬工業(株)、化薬アクゾ(株)などのカタログに記載の各種重合開始剤の使用が可能である。例えばアゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などが、パーオキサイド系重合開始剤としてはベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイドなどを例示することができるがこれらに限定されるものではない。連鎖移動剤としては、メルカプタン類の使用が一般的であり、花王(株)、日本油脂(株)などのカタログに記載の各種メルカプタン類を使用することができる。メルカプタン類としては、ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどを例示することができるが、これらに限定されるものではない。これらの重合開始剤、連鎖移動剤はアクリル系ポリマーの末端に存在するため、ブツ、スジなどの問題を起こさない。ポリマー末端に結合しなかった重合開始剤の分解物はアクリル系ポリマーに溶け込むために上記問題を起こさない。未反応のメルカプタン類は、未反応モノマーや溶剤を脱揮する工程でほぼ完全に除去されるが、極僅かに残存したメルカプタン類は、アクリル樹脂及びポリカーボネート樹脂に対して完全に溶解するため上記問題を引き起こすことはない。
【0031】
アクリル樹脂中には、耐候性を長期間保持する目的のために紫外線吸収剤を0.01〜5重量%含有するのがよい。好ましくは0.02〜3.5重量%含有し、更に好ましくは0.05〜3.0重量%含有するのがよい。この範囲内の含有量では、アクリル樹脂層の線膨張率には影響を与えない。アクリル樹脂層へは紫外線吸収剤以外に、一般的に公知の酸化防止剤、着色防止剤等を添加することができる。紫外線吸収剤の添加量が0.01重量%未満の場合、十分な耐候性を示さない。また、5重量%を超えて添加してもさらなる耐候性向上は期待できないばかりでなく、これら添加剤がブリードアウトを起こし、白化の原因になったり、密着性の低下、また機械的性能、特に耐衝撃性を損ねる場合も起こり得る。
【0032】
これらのアクリル樹脂層に添加される紫外線吸収剤の例としては、アクリル樹脂層の透明性を維持するためベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸フェニルエステル系、トリアジン系の紫外線吸収剤が挙げられる。
【0033】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチレンブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等を例示することができる。
【0034】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−クロルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等を例示することができる。
【0035】
サリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤としては、p−t−ブチルフェニルサリチル酸エステル等が例示できる。
【0036】
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(商品名:チヌビン1577)、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシエトキシ)−1,3,5−トリアジン等を挙げることができる。
【0037】
さらに、アクリル樹脂層には一般的に入手可能な酸化防止剤及び着色防止剤等がふくまれる。
これらアクリル樹脂層に添加される酸化防止剤、着色防止剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)、住友化学工業(株)、旭電化工業(株)等のカタログに記載の各種の酸化防止剤、着色防止剤の使用が可能である。
【0038】
これらの例として、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−t−ブチル−α,α’,α”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6−ジ−t−ブチル−4−[4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]フェノール、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ジアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、トリス(ジノニルフェニル)フォスファイト、4,4’−チオビス(3−6−t−ブチルフェノール)、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリスノリルフェニルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等がある。さらに、旭電化工業(株)カタログに記載のPEP4C、PEP8、PEP24G、PEP36、HP−10等も使用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
該ポリカーボネート樹脂と該アクリル樹脂とを共押出しする際、フィードブロック、Tダイでの成形性、及びポリッシングロールでの巻き付き防止のために添加される滑剤は、アクリル樹脂に対して0.1〜1重量%であり、好ましくは0.2〜0.8重量%、更に好ましくは0.2〜0.7重量%である。滑剤添加量が0.1%未満の場合、ロールとの密着性改善には寄与することがなく、十分な効果を示さない。また、1%を超えて添加してもさらなる成形性改善効果は見られず、これら滑剤がブリードアウトを起こし、埃付着、次工程での塗料等の密着性不全など積層体の表面特性を低下させる原因となる場合も起こり得る。アクリル樹脂に添加される滑剤は、花王(株)、日本油脂(株)旭電化工業(株)などのカタログに記載の各種の滑剤の使用が可能である。これらの例として、エステル類としてブチルステアレート、アルコール類としてステアリルアルコール、グリセリンエステルとしてステアリン酸モノグリセライド、ソルビタンエステルとしてソルビタンモノパルミチテート、ソルビタンモノステアレート、多価アルコールとしてマンニトール、脂肪酸としてステアリン酸、油脂系ワックスとして硬化ひまし油、モノアマイドとしてのステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、ビスアマイドとしてエチレンビスステアリン酸アマイド、及び複合滑剤などを例示することができるがこれらだけに限定されるものではない。
【0040】
共押出により製造されたアクリル樹脂層の膜厚は、1〜100μmが良く、好ましくは3〜80μm、さらに好ましくは5〜50μmである。1μm未満ではその効果が発揮されず、100μmを超えるとポリカーボネート樹脂の耐衝撃性を著しく低下させる場合があり、さらには経済性においても不利である。
【0041】
本発明樹脂積層体製造工程の具体例を以下に示す。
積層体の製造に用いられる押出装置としては、一般に基材層を構成するポリカーボネート樹脂を押出す一つのメイン押出機と、被覆層を構成するアクリル樹脂を押出す1又2以上のサブ押出機により構成され、通常サブ押出機はメイン押出機より小型のものが採用される。メイン押出機の温度条件は、通常230〜290℃、好ましくは240〜280℃であり、またサブ押出機の温度条件は通常220〜270℃、好ましくは230〜260℃である。2種以上の溶融樹脂を被覆する方法としては、フィードブロック方式、マルチマニホールド方式などの公知の方法を用いることができる。この場合、フィードブロックで積層された溶融樹脂はTダイなどのシート成形ダイに導かれ、シート状に成形された後、表面を鏡面処理された成形ロール(ポリッシングロール)に流入して、バンクを形成する。このシート状成形物は、成形ロール通過中に鏡面仕上げと冷却が行われ、積層体が形成される。また、マルチマニホールドダイの場合は、該ダイ内で積層された溶融樹脂は同様にダイ内部でシート状に成形された後、成形ロールにて表面仕上げ及び冷却が行われ、積層体が形成される。ダイの温度としては、通常220〜280℃、好ましくは230〜270℃であり、成形ロール温度としては、通常100〜190℃、好ましくは110〜180℃である。ロールは縦型ロール又は、横型ロールを適宜使用することができる。
【0042】
本発明樹脂積層体における最大の特徴は、各層材料間の線膨張率の差を小さくすることにある。本発明においては、ポリカーボネート樹脂基材とアクリル樹脂層間の線膨張率の差及びアクリル樹脂層と硬化層間の線膨張率の差が0/℃〜5×10−5/℃であり、好ましくは0/℃〜3×10−5/℃である。ポリカーボネート樹脂/アクリル樹脂層間の線膨張率の差及びアクリル樹脂層/硬化層間の線膨張率の差はできるだけ小さい方が、各樹脂層間の密着性を良好に維持できる。各樹脂層間の密着性を良好に維持することによって、優れた耐候性も達成することができる。
ポリカーボネート樹脂の分子量と線膨張率の関係、アクリル樹脂中のメタクリル酸メチルの構成単位の量とアクリル樹脂の線膨張率の関係及びポリオルガノシロキサンの6量体以上の量又は平均重合度とポリオルガノシロキサンの線膨張率の関係を考慮して、前記本発明の各樹脂層間の線膨張率の差の範囲を満足するように各樹脂層の線膨張率を適宜選定できる。
【0043】
また、本発明の樹脂積層体は、次の通り成形される。
樹脂積層体の厚さが1mm以下の場合、射出成形機の少なくとも一方の金型に、該樹脂積層体の硬化層が金型面になるように装着して、金型のキャビティ内に他のポリカーボネート樹脂を射出し、冷却して成形される。
また、樹脂積層体の厚さが3mm以上の場合は、曲げ加工によって成形される。
このようにして得られた成形品は、主に自動車用窓ガラス及びサンルーフ等に利用される。
【0044】
【実施例】
以下に本発明を実施例によってさらに詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。また、特に断らない限り、以下に記す「部」及び「%」はそれぞれ「重量部」及び「重量%」を意味する。
【0045】
〔線膨張率の測定方法〕
JIS K7197に準拠し測定した。石英の板の上に、試料(1mm以上×1mm以上×100μm〜5mm)を置き、その上に、断面積0.53mm2の円筒状の棒を置いて、10℃/minで昇温して、測定した。
(ポリオルガノシロキサンの試料の作成)
ポリオルガノシロキサンを含む組成物3gをアルミカップに秤取り、約45℃のホットプレートの上で2時間放置、揮発成分を除去した。次いで、125℃の乾燥機内で2時間硬化させ、アルミカップから該硬化物を剥離させ、約3mm×約3mm×厚さ約100μmの試料を作成した。
(ポリカーボネート試料の作成)
ポリカーボネートの5mm厚さのシートを約3mm×約3mmの大きさに切断して、切断面をカッターナイフで平滑にし、試料を作成した。
(アクリル樹脂の試料の作成)
ポリメチルメタクリレートの約φ3mm×約5mmのペレットの両断面をミクロトーム切削して面取りをして試料を作成した。
分析機器:TMA100(セイコー電子工業(株))
温度条件:30〜190℃、10℃/minで昇温
荷重 :1g
雰囲気 :N2、300ml/min
測定 :2回目以降の昇温時でのデータを採用(1回目は熱履歴消去のため)。5回繰り返し測定し、60〜90℃の温度範囲の値を平均した。
【0046】
〔ポリオルガノシロキサンを含む組成物のGPC測定方法〕
ポリオルガノシロキサンを含む組成物溶液5gを氷浴中、10mmHg以下の減圧下で揮発成分(主に水、及び有機溶剤;アルコール類、アセチルアセトンなど)を除去する。次いでTHFに溶解して濃度0.1%溶液を調整し、0.1μのメンブランフィルターを通した後、GPC分析した。
分析条件:機器 Shodex システム21(昭和電工)
カラム(低分子量用):KF-803L ×1本 + KF-802.5 ×1本 + KF-801 ×2本
試料濃度:0.1%THF
移動層:THF
オーブン温度:40℃
検量線標準物質:単分散ポリスチレン
【0047】
〔高分子紫外線吸収剤のGPC測定方法〕
高分子紫外線吸収剤を、THFに溶解して、濃度0.2%溶液を調整し、0.1μのメンブランフィルターを通した後、GPC分析した。
カラム:「TSKGel GMHXL」 ×2 + 「TSKGel G2000HXL」 × 1(東ソー株式会社製)
移動層:THF
試料濃度:0.2%THF
オーブン温度:40℃
検出器:「UV-8000」 (東ソー株式会社製)
【0048】
〔樹脂のGPC測定方法〕
アクリル樹脂及びポリカーボネート樹脂は、THFに溶解して、濃度0.3%溶液を調整し、0.1μのメンブランフィルターを通した後、GPC分析した。Waters社製GPC装置(カラム:Waters社製ウルトラスタイラジェル105+104+103+500Å)を用いて、標準ポリマーとしてポリスチレンを用いて測定を行い、ポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。
【0049】
本実施例で用いた評価、試験方法を以下に示す。
(1)初期密着性:JIS K5400に準拠し、サンプルをカミソリの刃で2mm間隔に6本ずつ切れ目をいれて25個の碁盤目をつくり、市販のセロテープ(登録商標)をよく密着させた後、90°手前方向に急激に剥がした時、塗膜が剥離せずに残存したマス目数をX/25で表示した。
(2)テーバー摩耗性:ASTM1044に準拠し、テーバー摩耗性試験機にて摩耗輪CS−10Fを装着し、荷重500g下で500回転後のヘイズを測定し、試験前のヘイズを引いた値を示した。
(3)耐候性:岩崎電気(株)製スーパーUVテスターを使用し、光照射5時間(紫外線強度50mW/cm2、ブラックパネル温度63℃、湿度50%)、結露1時間(温度30℃以上、湿度100%)のサイクルで試験を行い、更に光照射時に10分毎に10秒間シャワーを行った。各時間におけるクラック、自然剥離等外観変化を観察及び初期密着性と同様の試験を行った。
(4)光学特性/ヘイズ:日本電色工業(株)製ヘーズメーターNDH−Σ80にて測定。
(5)耐煮沸性:評価サンプルを100℃の沸騰水に2時間浸漬した後の外観変化、密着性を評価。
(6)耐熱性:評価サンプルを130℃の熱風循環乾燥機中に1時間放置後の外観変化、密着性を評価。
【0050】
合成例1(ポリオルガノシロキサンの合成)
攪拌器、還流冷却器を備えた反応器にメチルトリメトキシシラン272部、メタノール160部を加え、窒素雰囲気下で氷冷して10℃以下とした。次に0.1%の酢酸溶液400部を40分かけて滴下し、アルコキシシランの加水分解を行った。滴下終了後に、氷冷下で1時間反応継続してから室温で3時間攪拌し、加水分解を完結させた。
得られたシラノール溶液に、メタノールシリカゾル(粒径15μm、シリカ固形分30%)200部及びイソプロパノール600部を加え、20〜50mmHgの減圧下で、内温を35℃以下の条件でストリッピングし、メタノール及び残存する水を除去した。最終的に得られたポリオルガノシロキサン溶液(非揮発性成分20%)は650部であった。さらに、この反応溶液を暗所40℃、7日間縮合反応を徐々に進行させた。このポリオルガノシロキサン溶液(H1)のGPC分析を行った結果、1〜2量体は存在せず、3量体が0.01%、4量体が9.9%、5量体11.4%、6量体以上が78.7%であった。そして、数平均重合度は10.8であった。このオリゴマー化反応の間、各分子は直鎖状に連結したものと考えている。そして、この溶液を125℃、2時間硬化させた硬化物の60〜90℃での線膨張率は10.0×10-5/℃であった。
【0051】
合成例2(アクリル系プライマーの合成)
攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、及び滴下ロートを備えた反応器にジアセトンアルコール100部を加え、攪拌しながら反応器内を窒素ガスにて十分置換し、80〜90℃に加熱した。他方、トリメトキシプロピルメタクリレート20部、メチルメタクリレート60部、メチルアクリレート5部、酢酸ビニル5部、グリシジルメタクリレート10部、エチレングリコールジメタクリレート0.2部と開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)3部を滴下ロートに加え、1時間を要して反応器内に徐々に加え、この間、攪拌と窒素ガスの導入は継続した。その後、90℃で3時間反応を継続し、終了とした。そして、分子量(Mw)15万のポリメチルメタクリレート20部と、溶剤としてのメチルイソブチルケトン150部、酢酸セロソルブ150部、プロピレングリコールモノメチルエーテル110部、イソプロパノール110部、ジアセトンアルコール50部を加え、非揮発性成分を15%とした。この反応溶液に紫外線吸収剤として2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンを非揮発性成分に対して2%を加え、プライマー塗料組成物を得た。そして、該組成物溶液を125℃、2時間硬化させた硬化物の60〜90℃での線膨張率(60〜90℃)は24.0×10-5/℃であった。
【0052】
合成例3(高分子紫外線吸収剤の合成)
ジムロート冷却器、滴下ロート、温度計、窒素導入管、攪拌装置を備えた1Lのセパラブルフラスコに、紫外線吸収モノマー(A)として2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン:40g、シリコーンマクロマー(B)としてシリコーンマクロマー(商品名「サイラプレーンFM−0711」、チッソ株式会社製、重量平均分子量1,000):60g、官能基含有ビニルモノマー(C)(以下、「官能基含有ビニルモノマー(C)」と称する場合がある)として2−ヒドロキシエチルメタクリレート:80g、官能基非含有ビニルモノマー(D)(以下、「官能基非含有ビニルモノマー(D)」と称する場合がある)としてメタクリル酸メチル:20g、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン:2g、有機溶媒としてメチルエチルケトン:200gを加え、窒素導入管から窒素を吹き込みながら50℃まで昇温する。その後アゾビスイソブチロニトリル:1.0gを少量のメチルエチルケトンに溶解させたものを30分かけて滴下し、滴下終了後70℃まで昇温し、8時間反応を行い、シリコーン含有高分子紫外線吸収剤を調製した。当該シリコーン含有高分子紫外線吸収剤をGPCで調べたところ、その重量平均分子量は20,000であった。
【0053】
製造例1(アクリル樹脂MGC-10、特開平7-133303号公報記載の方法)
メチルメタクリレート88部、メチルアクリレート4部、メタノール8部、ジ−t−ブチルパーオキサイド0.032部(2×10-3モル/l)及びn−ドデシルメルカプタン0.21部(2×10-3モル/l)を混合した後、窒素吹き込みによって溶存酸素を除去し原料液を調製した。熱媒を循環するジャケットとヘリカルリボン攪拌翼を供えた内容積6L重合槽に予めこの原料液5kgを添加して密閉し、十分攪拌して均一混合状態を保ちながら、150℃に昇温して単量体転化率75%及び重合体濃度69%に到達するまで重合させた後、この原料液を1kg/hの割合で重合槽に連続的に供給した。
【0054】
重合温度を150℃及び平均滞留時間を約5時間に維持したところ、重合液の粘度は45Pa・秒、単量体転化率は75%及び重合体濃度は69%で安定に保たれた。この重合液を1kg/hの流量で抜き出し、250℃まで加熱した後、減圧下にある脱揮タンク内にフラッシュした。脱揮された重合体は脱揮タンク底部より溶融状態で抜き出し、ダイスによりストランド状に取り出され、水冷後ペレタイザーにてペレット化した。得られたペレットは残存揮発成分としてメチルメタクリレート0.27%、メチルアクリレート0.01%で、重合開始剤及び連鎖移動剤のn−ドデシルメルカプタンはGC分析では観察されなかった。得られたペレットの外観は無色透明で良好であった。GPC測定よりポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)10.3万で、熱変形温度は105℃であった。60〜90℃での線膨張率は8.0×10-5/℃であった。
【0055】
製造例2(共押出シートの製造)
基板層にポリカーボネート樹脂(E−2000U、三菱ガス化学社製、ポリスチレン換算の重量平均分子量;63,000)を用い、ポリカーボネートを押し出す押出機として、バレル直径65mm、スクリュウのL/D35、シリンダー温度270℃とした。また、被覆層を形成するアクリル樹脂を押し出す押出機は、バレル直径32mm、スクリュウのL/D32、シリンダー温度250℃に設定した。2種類の樹脂を同時に溶融押出し、積層する際には、フィードブロックを使用し、ポリカーボネート樹脂の片面にアクリル樹脂を積層した。ダイヘッド内温度は260℃とし、ダイ内で積層一体化された樹脂を平型ダイ(幅600mm)から、鏡面仕上げされた3本のポリッシングロールに導かれ、1番ロール温度110℃、2番ロール温度130℃、3番ロール温度180℃に設定した。最初に流入するロール間隔にて、バンクを形成した後、2番、3番ロールを通過させた。引き取り速度は1.2m/分、引き取り用ピンチロール速度1.6m/分とした。得られたシートは、厚さ0.9mm、アクリル系被覆層は20μmで、外観の優れたのもであった。
【0056】
ここで使用したアクリル樹脂は連続重合法で製造された三菱ガス化学社製MGC−10(製造例1)に紫外線吸収剤としてチヌビン1577(チバ・スペシャルティ・ケミカル社製)2%と、酸化防止剤としてスミライザーBHT(住友化学工業社製)0.1%及びアデカスタブPEP−36(旭電化工業社製)0.05%及び滑剤として、ステアリルアルコール0.4%を添加した樹脂を用いた。
【0057】
ポリカーボネート及びポリメチルメタクリレートペレット3種類、合成例1のポリオルガノシロキサン、及び合成例2のメタクリル系プライマーの線膨張率測定を行い、結果を表1にまとめた。
【表1】
【0058】
製造例3(共押出シートの製造)
製造例2と同様の装置、製造条件にてシート形成した。ここで使用したアクリル樹脂は連続溶液(トルエン)重合法で製造されたアトフィナ製アトグラスV020を用いた。製造されたシートはブツ、スジ、気泡などがなく、外観の優れたものであった。
【0059】
製造例4(共押出シートの製造)
共押出シートの製造として、アクリル樹脂を連続重合品(アトグラスV020)から懸濁重合品(パラペットHR−L、クラレ社製)を5μmのスクリーンを通した押出しペレットに変えた以外は製造例3と同様に実施した。製造されたシートは、ブツ、スジ、気泡などがなく、外観の優れたものであった。
【0060】
実施例1
予め、合成例1で製造したポリオルガノシロキサン溶液(非揮発性成分20%)150gに、合成例3の高分子紫外線吸収剤を1g添加し、混合したもの(以下、高分子紫外線吸収剤含有ポリオルガノシロキサン溶液Aと称する)を製造例2で製造した500mm×1000mmのポリカーボネート/アクリル樹脂シート(0.9mm厚、アクリル層厚さ20μm)に塗布し、室温で20分間自然乾燥させた後、130℃、1時間硬化させた。塗膜の外観、初期密着性(碁盤目試験)、光学特性/ヘイズ、テーバー摩耗性、耐熱性及び耐煮沸性の試験結果を表2に、及び耐候性試験結果を表3に示した。得られた硬化層付き(ハードコート)シートは優れた外観と耐候性を示した。
【0061】
比較例1
押出機として、バレル直径65mm、スクリュウのL/D=35、シリンダー温度270℃として、ポリカーボネート樹脂(E−2000U、三菱ガス化学社製、ポリスチレン換算の重量平均分子量;63,000)を平型ダイ(幅600mm)を使用し、該ポリカーボネート樹脂を押出しシートを作製した。平型ダイヘッド内温度を260℃とし、鏡面仕上げされた3本のポリシングロールを導き、1番ロール温度 110℃、2番ロール温度180℃、3番ロール180℃に設定した。最初に流入するロール間隔にて、バンクを形成した後、2番、3番ロールを通過させた。引き取り速度は1.2m/分、引き取り用ピンチロール速度1.6m/分とした。得られたシート厚さは0.9mmであった。
このポリカーボネートシートを500mm×1000mmの大きさに切断し、合成例2で調整したアクリル系プライマーを塗布し、室温で20分間乾燥させた後、125℃、1時間硬化乾燥させた。その後、高分子紫外線吸収剤含有ポリオルガノシロキサン溶液Aを塗布し、室温で20分間自然乾燥させた後、130℃、1時間硬化させた。塗膜の外観、初期密着性(碁盤目試験)、光学特性/ヘイズ、テーバー摩耗性、耐熱性及び耐煮沸性の試験結果を表2に、及び耐候性試験結果を表3に示した。硬化層形成直後のシートは優れた外観を有していたが、耐候性試験は不十分な結果であった。
【0062】
実施例2
製造例3で得た500mm×1000mmのポリカーボネート/アクリル樹脂シート(0.9mm厚、アクリル層厚さ20μm)に高分子紫外線含有ポリオルガノシロキサン溶液Aを塗布し、室温で20分間自然乾燥させた後、130℃、1時間硬化させた。塗膜の外観、初期密着性(碁盤目試験)、光学特性/ヘイズ、テーバー摩耗性、耐熱性及び耐煮沸性の試験結果を表2に、及び耐候性試験結果を表3に示した。得られた硬化層付き(ハードコート)シートは優れた外観と、耐候性を示した。
【0063】
実施例3
製造例4で得た500mm×1000mmのポリカーボネート/アクリル樹脂シート(0.9mm厚、アクリル層厚さ20μm)に高分子紫外線含有ポリオルガノシロキサン溶液Aを塗布し、室温で20分間自然乾燥させた後、130℃、1時間硬化させた。塗膜の外観、初期密着性(碁盤目試験)、光学特性/ヘイズ、テーバー摩耗性、耐熱性及び耐煮沸性の試験結果を表2に、及び耐候性試験結果を表3に示した。得られた硬化層付き(ハードコート)シートは優れた外観と、耐候性を示した。
【0064】
比較例2
製造例2で得た500mm×1000mmのポリカーボネート/アクリル樹脂シート(0.9mm厚、アクリル層厚さ20μm)に合成例1で調整したポリオルガノシロキサン溶液を塗布し、室温で20分間自然乾燥させた後、130℃、1時間硬化させた。塗膜の外観、初期密着性(碁盤目試験)、光学特性/ヘイズ、テーバー摩耗性、耐熱性及び耐煮沸性の試験結果を表2に、及び耐候性試験結果を表3に示した。得られた硬化層付き(ハードコート)シートは優れた外観を示したが、耐候性はポリオルガノシロキサン溶液に高分子紫外線吸収剤を添加したものに比べて、耐候性が劣っていた。
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
実施例4
実施例1で得られた樹脂積層シートを、自動車用三角窓ガラス射出成形用金型(平均厚み5mm、外形800mm×400mm)の大きさに切削し、該樹脂積層シートをポリオルガノシロキサン硬化層が、金型面になるように装着し、金型のキャビティ内に、ポリカーボネート樹脂を(シリンダー温度280℃、射出圧力1600kg/cm2)射出し、金型温度60℃で冷却し、自動車用三角窓ガラス用成形品を得た。
【0068】
実施例5
製造例3と同様にして製造され、500mm×1000mmのポリカーボネート樹脂/アクリル樹脂シート(6.0mm厚さ、アクリル層厚さ20μm)に合成例1で調整したポリオルガノシロキサン溶液(非揮発性成分20%)を塗布し、室温で20分間自然乾燥させた後、130℃、1時間硬化させた。得られたシートを自動車用のリアーウィンド用に450mm×900mmに切削した後、該樹脂積層体をポリオルガノシロキサン硬化層が凸面に成るように、金型内で160℃で3分間加熱し、5mm/minの速度で型締めし、10kg/cm2の圧力として曲げ加工を完了し、自動車用リアーウィンドを得た。
【0069】
【発明の効果】
本発明の透明な樹脂積層体においては、ポリカーボネート樹脂基材と紫外線吸収剤を含有するアクリル樹脂とを共押出法によりフィルム、シート、ボードに成形し、そのアクリル樹脂層上にポリオルガノシロキサンを含む組成物を塗装硬化させること、また、ポリカーボネート樹脂基材とアクリル樹脂及びアクリル樹脂とポリオルガノシロキサンを含む組成物硬化層との線膨張率の差を小さくすることにより、ポリカーボネート樹脂基材とアクリル樹脂及び、アクリル樹脂と硬化層との密着性に優れ、耐候性、耐摩耗性、耐熱性及び耐水性に優れ、得られた塗膜は高光沢で鮮映感のある仕上がりの良い樹脂積層体が得られる。
Claims (15)
- ポリカーボネート樹脂基材と、該ポリカーボネート樹脂基材の少なくとも一方の面上に、紫外線吸収剤を含有する(含有量0.01〜5重量%)アクリル樹脂層と、該アクリル樹脂層上に、シリコーン含有高分子紫外線吸収剤(含有量0.5〜10重量%)とポリオルガノシロキサンとを含む組成物を塗布して、硬化して形成された硬化層を含み、かつ前記ポリカーボネート樹脂基材と前記アクリル樹脂層間の線膨張率(JIS K7197準拠、60〜90℃の範囲の平均値)の差及び前記アクリル樹脂層と前記硬化層の線膨張率の差が各々0/℃〜5×10−5/℃であることを特徴とする耐候性に優れた透明な樹脂積層体。
- 前記ポリカーボネート樹脂基材が、ポリスチレン換算の重量平均分子量45,000〜70,000で、線膨張率6×10−5/℃〜8×10−5/℃を有する請求項1記載の透明な樹脂積層体。
- 前記ポリカーボネート樹脂基材が成形品、フィルム、シート、又はボードである請求項1記載の透明な樹脂積層体。
- 前記アクリル樹脂層がメタクリル酸メチル構成単位を主成分とするアクリル樹脂である請求項1記載の透明な樹脂積層体。
- 前記アクリル樹脂層が、メタクリル酸メチル構成単位のモノマー量が全構成単位の総モノマー量に対し80モル%以上であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量70,000〜150,000で、線膨張率5×10−5/℃〜9×10−5/℃のアクリル樹脂である請求項1記載の透明な樹脂積層体。
- 前記アクリル樹脂層中の紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸フェニルエステル系又はトリアジン系の群から選ばれる1種の紫外線吸収剤である請求項1記載の透明な樹脂積層体。
- 前記アクリル樹脂層中の紫外線吸収剤の含有量が0.01〜5重量%である請求項1に記載の透明な樹脂積層体。
- 前記ポリカーボネート樹脂と前記紫外線吸収剤を含有するアクリル樹脂とが共押出法により同時に成形されて、該アクリル樹脂層の膜厚が1〜100μmである請求項1に記載の透明な樹脂積層体。
- 前記ポリオルガノシロキサンは、1〜2量体成分は実質的に含有せず、6量体以上が65重量%以上であって、数平均重合度が8〜30で、前記数平均重合度を有するポリオルガノシロキサンを硬化して形成された硬化層の線膨張率が7×10−5/℃〜15×10−5/℃である請求項1の透明な樹脂積層体。
- 前記シリコーン含有高分子紫外線吸収剤が下記式(1)で示されるベンゾフェノン系紫外線吸収モノマー及び下記式(2)で示されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収モノマーから選択された少なくとも一種の紫外線吸収モノマー(A)と、下記式(3)で示されるシリコーンマクロマー(B)と、官能基含有共重合性ビニルモノマー(C)と、官能基非含有共重合性ビニル化合物(D)とによる重合物であって、かつ重量平均分子量が10,000〜100,000である請求項1記載の透明な樹脂積層体。
- シリコーンマクロマー(B)の重量平均分子量が200〜10,000である請求項10記載の透明な樹脂積層体。
- 紫外線吸収モノマー(A)と、シリコーンマクロマー(B)と、官能基含有共重合性ビニルモノマー(C)と、官能基非含有共重合性ビニル化合物(D)との割合が、モノマー成分全量に対して、(A)/(B)/(C)/(D)=5〜50/5〜60/50〜80/5〜20(重量%)である請求項10記載の透明な樹脂積層体。
- 前記組成物がコロイダルシリカを含有する請求項1に記載の透明な樹脂積層体。
- 請求項1の透明な樹脂積層体を射出成形機の金型内に挿入し、そのポリカーボネート樹脂基材側に他のポリカーボネート樹脂を射出し、射出成形して、一体化して得られた自動車の窓ガラス及びサンルーフ用成形品。
- 請求項1の透明な樹脂積層体を曲げ加工によって得られた自動車の窓ガラス及びサンルーフ用成形品
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