JP4423386B2 - スチレン樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、線状ポリスチレンと多分岐状ポリスチレンからなるスチレン樹脂組成物及びその製造方法に関する。本発明のスチレン樹脂組成物は、同じ質量平均分子量を有する線状ポリスチレンに比べ、メルトマスフローレイトが高く成形時の流動性に優れるため、各種成形法での成形材料として好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系樹脂は剛性があり、寸法安定性に優れ、かつ廉価であることから、成形用途に広く使用されているが、近年、種々の用途においてスチレン系樹脂の更なる強度向上が求められている。スチレン系樹脂の強度向上には、スチレン系樹脂の高分子量化が有効な手段であるが、従来の線状ポリスチレンは、高分子量化に伴い溶融粘度の増大を招き、成形加工性が著しく低下する問題があった。
【0003】
このような成形加工性の低下を改善する方法としては可塑剤を添加するのが一般的であるが、最終的に得られる樹脂成形品の機械的強度が低下するという問題があり、ポリスチレンに分岐構造を持たせて、その解決を図ろうとした例として、例えば、特公昭41−19511号公報には、スチレンと2,2−ビス(4,4−ジt−ブチル−パーオキシ−オキシ−シクロヘキシール)−プロパン等の多官能パーオキサイド化合物の重合開始剤を用いてポリスチレンに分岐を導入する方法が開示されているが、該方法によっても分岐度は低い範囲でしか制御できず、十分な分岐構造を達成することは困難であった。
【0004】
特開平7−166013号公報には、ポリスチレンに分岐構造を持たせて高分子量でありながら良好な成形加工性を有するスチレン系樹脂を得る試みとして、スチレンにジビニルベンゼン等の2個以上のビニル基を有する化合物を共重合させてポリスチレン鎖に分岐構造を導入して得た質量平均分子量20万〜200万のポリスチレン系共重合体が記載されている。該ポリスチレン系共重合体は成形加工性に優れることが記載されているが、該共重合体は重合工程中にゲル化を起こしやすいため、工業的に生産しにくく、その添加量は自ずと制限されるため、得られる樹脂の物性を大幅に向上させるほどの効果は得られにくい。
【0005】
また特開平9−316261号公報には、同じく高分子量でありながら良好な成形加工性を有するスチレン系樹脂を得る試みとして、アニオン重合により得られた星形分岐状ポリスチレンをラジカル重合により得られた線状ポリスチレンと混合することが試みられており、剛性と耐熱性を損なうことなく、流動性と機械的強度を有し、かつ良好な成形加工性を有するスチレン系樹脂組成物が得られたことが記載されているが、アニオン重合を用いるため煩雑な制御が必要であり、工業生産には不適である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、成形加工品としての良好な強度を有する高い分子量を有しながら、メルトマスフローレイトやメルトテンションが高く成形加工性に優れ、かつ製造時にゲル化しにくいスチレン樹脂組成物およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、多分岐状マクロモノマーとスチレンとを共重合させることにより得られる多分岐状ポリスチレンと線状ポリスチレンとを含むスチレン樹脂組成物が優れたメルトテンション(MT)を有しながら、高いメルトマスフローレイト(MFR)を有し成形加工性に優れ、かつゲル化しにくいことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、20万〜35万の質量平均分子量を有する線状ポリスチレンと、100万〜1000万の質量平均分子量を有する多分岐状ポリスチレンからなるスチレン樹脂組成物が25万〜70万の平均分子量を有し、かつメルトマスフローレイト(MFR)およびメルトテンション(MT)が、それぞれ下記式(1)および式(2)を満足することを特徴とするスチレン樹脂組成物を提供する。
【0009】
【式1】
MFR≧45×exp(−0.1×Mw×10−4) (1)
(式中、MFRおよびMwは、それぞれスチレン樹脂組成物のメルトマスフローレイトおよび質量平均分子量を表す。)
【0010】
【式2】
MT≧0.07Mw×10−4+1.8 (2)
(式中、MTおよびMwは、それぞれスチレン樹脂組成物のメルトテンションおよび質量平均分子量を表す。)
【0011】
また本発明は(A)電子吸引基と該電子吸引基に結合する結合手以外の3つの結合手すべてが炭素原子に結合している飽和炭素原子とからなる分岐構造と芳香環に直接結合した二重結合とを含有する多分岐状マクロモノマーと
(B)スチレン
とをラジカル重合させることによる上記スチレン樹脂組成物を製造する方法を提供する。
【0012】
さらに本発明は、前記多分岐状ポリスチレンが、
(A)エーテル結合、エステル結合及びアミド結合から選ばれる繰り返し構造単位からなる分岐構造と、分岐末端の二重結合とを含有する多分岐状マクロモノマーと、
(B)スチレン
とをラジカル重合させることによる上記スチレン樹脂組成物を製造する方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明のスチレン樹脂組成物は、分子末端に複数の二重結合を有する多分岐状マクロモノマーとスチレンとを重合させることにより得られる多分岐状ポリスチレンと、同時に生成する線状ポリスチレンからなる。
【0014】
本発明のスチレン樹脂組成物に含まれる多分岐状ポリスチレンの分岐構造には、特に制限はないが、電子吸引基と該電子吸引基に結合する結合手以外の3つの結合手すべてが炭素原子に結合している飽和炭素原子とからなる分岐構造を含有するもの及びエーテル結合、エステル結合及びアミド結合から選ばれる繰り返し構造単位からなる分岐構造を含有するものが好ましい。
【0015】
多分岐状ポリスチレンの分岐構造は、スチレンと共重合させる多分岐状マクロモノマーに由来するものである。本発明のスチレン樹脂組成物に含まれる多分岐状ポリスチレンの分岐構造の電子吸引基含有量は多分岐状ポリスチレン1g当たり2.5×10−4ミリモル〜5.0×10−1ミリモル、好ましくは5.0×10−4ミリモル〜5.0×10−2ミリモルである。
【0016】
本発明において使用する多分岐状マクロモノマーには、多分岐鎖を有するモノマーであること以外には特に限定はないが、その好ましいものの一つとして1分子中に電子吸引基と該電子吸引基に結合する結合手以外の3つの結合手すべてが炭素原子に結合している飽和炭素原子とから成る分岐構造と、芳香環に直接結合した二重結合とを含有する多分岐状マクロモノマーがある。この多分岐状マクロモノマーは、AB2型モノマーから誘導されるハイパーブランチマクロモノマーであり、図1に模式的に示すような分岐構造を有する。
【0017】
このような分岐構造は、電子吸引基が結合した活性メチレン基の求核置換反応によって容易に得られる。電子吸引基としては、例えば、−CN、−NO2、−CONH2、−CON(R)2、−SO2CH3、−P(=O)(OR)2、などがあげられ、これらの電子吸引基が結合したメチレン基が芳香環またはカルボニル基に直接結合している場合は、メチレン基の活性はさらに高いものとなる。
【0018】
本発明に用いる多分岐状マクロモノマーとしては、例えば、下記の一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する分岐鎖を有する多分岐状マクロモノマーが挙げられる。
一般式(1)
【0019】
【化2】
【0020】
[式中、Y1は−CN、−NO2、−CONH2、−CON(R)2、−SO2CH3、−P(=O)(OR)2(ここでRはアルキル基またはアリール基を表す)から成る群から選ばれる電子吸引基であり、Y2はアリーレン基、−O−CO−または−NH−CO−であり、Zは−(CH2)nO−、−(CH2CH2O)n−、−(CH2CH2CH2O)n−から成る群から選ばれる基であり、かつY2が−O−CO−または−NH−CO−である場合はZは−(CH2)n−、−(CH2)nAr−、−(CH2)nO−Ar−、−(CH2CH2O)n−Ar−、または−(CH2CH2CH2O)n−Ar−(ここでArはアリール基である)を表す]
ここで、Y2は例えば、
【0021】
【化3】
【0022】
から成る群から選ばれるアリーレン基である。なかでもY1は−CN、Y2はフェニレン基が好適である。Y2がフェニレン基である場合は、Zの結合位置はo−位、m−位又はp−位のいずれであってもよく特に制限されるものではないが、p−位が好ましい。またZの繰り返し数nは特に制限されるものではないが、スチレンへの溶解性の点から1〜12が好ましく、更に好ましくは2〜10が好ましい。
【0023】
上記分岐構造を有する多分岐状マクロモノマーは、塩基性化合物の存在下で、(1)1分子中に活性メチレン基と、活性メチレン基の求核置換反応における脱離基とを有するAB2型モノマーを求核置換反応させて得られる多分岐状の自己縮合型重縮合体を前駆体として、
(2)該重縮合体中に残存する未反応の活性メチレン基またはメチン基を、1分子中に芳香環に直接結合した二重結合と活性メチレン基の求核置換反応における脱離基とを有する化合物と求核置換反応させることによって得られる。
【0024】
ここで、活性メチレン基の求核置換反応における脱離基とは、いずれも飽和炭素原子に結合したハロゲン、−OS(=O)2R(Rはアルキル基またはアリール基を表す)などであり、具体的には、臭素、塩素、メチルスルホニルオキシ基、トシルオキシ基などが挙げられる。
塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの強アルカリが好適であり、反応に際しては水溶液として使用する。
【0025】
1分子中に活性メチレン基と活性メチレン基の求核置換反応における脱離基とを有するAB2型モノマーとしては、たとえばブロモエトキシ−フェニルアセトニトリル、クロロメチルベンジルオキシ−フェニルアセトニトリルなどのハロゲン化アルコキシ−フェニルアセトニトリル類、トシルオキシ−(エチレンオキシ)−フェニルアセトニトリル、トシルオキシ−ジ(エチレンオキシ)−フェニルアセトニトリルなどのトシルオキシ基を有するフェニルアセトニトリル類が挙げられる。
【0026】
1分子中に芳香環に直接結合した二重結合と、活性メチレン基の求核置換反応における脱離基とを有する代表的な化合物としては、たとえば、クロロメチルスチレン、ブロモメチルスチレンなどが挙げられる。
【0027】
上記(1)は前駆体としての重縮合体を合成する反応であり、(2)は前駆体に芳香環に直接結合した二重結合を導入して多分岐状マクロモノマーを合成する反応である。(1)の反応と(2)の反応は、それぞれの反応を逐次的に行うことができるが、同一の反応系で同時に行うこともできる。多分岐状マクロモノマーの分子量は、単量体と塩基性化合物との配合比を変えることによって制御することができる。
【0028】
本発明において使用する多分岐状マクロモノマーの好ましいものの他のものとして、好ましくはエステル結合、エーテル結合及びアミド結合から選ばれる繰り返し構造単位からなる分岐構造と、分岐末端のエチレン性二重結合とを含有する多分岐状マクロモノマーを挙げることができる。
【0029】
エステル結合を繰り返し構造単位として有する多分岐状マクロモノマーは、分子鎖を形成するエステル結合のカルボニル基に隣接する炭素原子が飽和炭素原子であり、かつ該炭素原子上の水素原子がすべて置換されている分子鎖からなる多分岐ポリエステルポリオールに、ビニル基またはイソプロペニル基などのエチレン性二重結合を導入したものである。多分岐ポリエステルポリオールにエチレン性二重結合を導入する場合、エステル化反応や付加反応によって行なうことができる。
尚、上記多分岐ポリエステルポリオールとして、Perstorp社製「Boltorn H20、H30、H40」が市販されている。
【0030】
上記多分岐ポリエステルポリオールは、そのヒドロキシ基の一部にあらかじめエーテル結合やその他の結合によって置換基が導入されていてもよいし、また、そのヒドロキシ基の一部が酸化反応やその他の反応で変性されていてもよい。
また、多分岐ポリエステルポリオールは、そのヒドロキシ基の一部が、あらかじめエステル化されていてもよい。
【0031】
かかる多分岐状マクロモノマーの代表的なものとしては、例えば水酸基を1個以上有する化合物に、カルボキシル基に隣接する炭素原子が飽和炭素原子であり、かつ該炭素原子上の水素原子がすべて置換され、且つ水酸基を2個以上有するモノカルボン酸を反応することにより多分岐状ポリマーとし、次いで該ポリマーの末端基である水酸基にアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和酸、イソシアネート基含有アクリル系化合物などを反応させて得られるものが挙げられる。尚、エステル結合を繰り返し構造単位として有する多分岐状ポリマーについては、タマリア(Tamalia)氏等による「Angew.Chem.Int.Ed.Engl.29」p138〜177(1990)にも記載されている。
【0032】
上記水酸基を1個以上有する化合物としては、a)脂肪族ジオール、脂環式ジオール、又は芳香族ジオール、b)トリオール、c)テトラオール、d)ソルビトール及びマンニトール等の糖アルコール、e)アンヒドロエンネア−ヘプチトール又はジペンタエリトリトール、f)α−メチルグリコシド等のα−アルキルグルコシド、g)エタノール、ヘキサノールなどの一官能性アルコール、h)分子量が多くとも8000であり、かつ、アルキレンオキシド或いはその誘導体と、上記a)〜g)のいずれかから選択されたアルコールの1種以上のヒドロキシル基とを反応させることにより生成された水酸基含有ポリマーなどを挙げることができる。
【0033】
脂肪族ジオール、脂環式ジオール及び芳香族ジオールとしては、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリテトラヒドロフラン、ジメチロールプロパン、ネオペンチルプロパン、2−プロピル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール;シクロヘキサンジメタノール、1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール;1,4−キシリレンジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオールなどが挙げられる。
トリオールとしては、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールブタン、グリセロール、1,2,5−ヘキサントリオールなどが挙げられる。
テトラオールとしては、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジグリセロール、ジトリメチロールエタンなどを挙げることができる。
芳香環に結合した水酸基を2個以上有する芳香族化合物としては、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,4−キシリレンジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオールなどを挙げることができる。
カルボキシル基に隣接する炭素原子が飽和炭素原子であり、かつ該炭素原子上の水素原子がすべて置換され、且つ水酸基を2個以上有するモノカルボン酸としては、ジメチロールプロピオン酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、α,α,α−トリス(ヒドロキシメチル)酢酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)吉草酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸などがある。かかるモノカルボン酸を使用することにより、エステル分解反応が抑制され、多分岐ポリエステルポリオールを形成することができる。
また、かかる多分岐状ポリマーを製造する際に、触媒を使用するのが好ましく、かかる触媒としては、例えばジアルキルスズオキシド、ハロゲン化ジアルキルスズ、ジアルキルスズビスカルボキシレート、あるいはスタノキサンなどの有機錫化合物、テトラブチルチタネートなどのチタネート、ルイス酸、パラトルエンスルホン酸などの有機スルホン酸などが挙げられる。
【0034】
エーテル結合を繰り返し構造単位として有する多分岐状マクロモノマーは、例えば水酸基を1個以上有する化合物に水酸基を1個以上有する環状エーテル化合物を反応することにより多分岐状ポリマーとし、次いで該ポリマーの末端基である水酸基にアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和酸、イソシアネート基含有アクリル系化合物、4−クロロメチルスチレンなどのハロゲン化メチルスチレンを反応させて得られるものが挙げられる。また、多分岐状ポリマーの製法としては、Williamsonのエーテル合成法に基づいて、水酸基を1個以上有する化合物と、2個以上の水酸基とハロゲン原子、−OSO2OCH3又は−OSO2CH3を含有する化合物とを反応する方法も有用である。
【0035】
水酸基を1個以上有する化合物としては、前記するものが使用することができる。
水酸基を1個以上有する環状エーテル化合物としては、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、2,3−エポキシ−1−プロパノール、2,3−エポキシ−1−ブタノール、3,4−エポキシ−1−ブタノールなどが挙げられる。
Williamsonのエーテル合成法に於いて使用される水酸基を1個以上有する化合物としては、前記したものでよいが、芳香環に結合した水酸基を2個以上有する芳香族化合物が好ましい。かかる化合物の代表的なものとしては、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,4−キシリレンジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオールなどが挙げられる。
また、2個以上の水酸基とハロゲン原子、−OSO2OCH3又は−OSO2CH3を含有する化合物としては、5−(ブロモメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−エチル−2−(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、2−(ブロモメチル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
なお、上記多分岐状ポリマーを製造する際には、通常触媒を使用するのが好ましく、かかる触媒としては例えばBF3ジエチルエーテル、FSO3H、ClSO3H、HClO4などを挙げることができる。
【0036】
また、アミド結合を繰り返し構造単位として有する多分岐状マクロモノマーとしては、例えば分子中にアミド結合を窒素原子を介して繰り返し構造となったものがあり、Dentoritech社製のゼネレーション2.0(PAMAMデントリマー)が代表的なものである。
【0037】
多分岐状マクロモノマーに導入される、分岐末端の二重結合の数が多いほど、スチレンとの共重合体である多分岐状ポリスチレンの分岐度が高くなる。本発明に用いる多分岐状マクロモノマーの分岐度(DB)は、下記の式3により定義され、分岐度(DB)の範囲は0.3〜0.8が好ましい。
【0038】
【式3】
DB=(D+L)/(D+T+L)
【0039】
(式中、Dはデンドリックユニットの数、Lは線状ユニットの数、Tは末端ユニットの数を表す)
【0040】
なお、上記D、LおよびTは、13C−NMRにより測定できる活性メチレン基及びその反応に由来する第2、第3、第4炭素原子数または第1、第2、第3窒素原子数等により求めることができ、例えばDは第4炭素原子数または第3窒素原子数に、Lは第3炭素原子数または第2窒素原子数に、Tは第2炭素原子数または第1窒素原子数に相当する。
【0041】
本発明において使用する多分岐状マクロモノマーの質量平均分子量は、多分岐状ポリスチレンの質量平均分子量を1000万以下に制御するために、1000〜15000であることが好ましく、2000〜5000であることがより好ましい。
【0042】
多分岐状マクロモノマーに導入される芳香環に直接結合した二重結合の含有量は、多分岐状マクロモノマー1g当たり0.1ミリモル〜5.5ミリモルであることが好ましく、0.5ミリモル〜3.5ミリモルがなお好ましい。0.1ミリモルより少ない場合は、高分子量の多分岐状ポリスチレンが得られにくく、5.5ミリモルを超える場合は、多分岐状ポリスチレンの分子量が過度に増大する。
【0043】
前記多分岐状マクロモノマーとスチレンとを重合させることにより、多分岐状マクロモノマーとスチレンとの共重合体である多分岐状ポリスチレンと、同時に生成する線状ポリスチレンとの混合物である本発明のスチレン樹脂組成物が得られる。
【0044】
重合反応には公知慣用のスチレンの重合方法を使用することができる。重合方式には特に限定はないが、塊状重合、懸濁重合、あるいは溶液重合が好ましい。重合開始剤を使用せずに熱重合させることもできるが、慣用のラジカル重合開始剤を使用するのが好ましい。また、重合に必要な懸濁剤や乳化剤などのような重合助剤は、通常のポリスチレンの製造に使用される慣用のものを使用できる。
【0045】
スチレンに対する多分岐状マクロモノマーの配合率は、質量基準で50ppm〜1%が好ましく、100ppm〜2000ppmがより好ましい。多分岐状マクロモノマーの配合率が50ppmより少ない場合は、本発明の十分な効果が得られにくい。
【0046】
重合反応での反応物の粘性を低下させるために、反応系に有機溶剤を添加してもよく、その有機溶剤は、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、アセトニトリル、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、シアノベンゼン、ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン等が挙げられる。
【0047】
特に多分岐状マクロモノマーの添加量を多くしたい場合には、ゲル化を抑制する観点からも有機溶剤を使用することが好ましい。これにより、先に示した多分岐状マクロモノマーの添加量を飛躍的に増量させることができ、ゲル化が生じない。
【0048】
用いるラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、公知慣用の例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール類、
【0049】
クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、ジシナモイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシイシプロピルモノカーボネート等のパーオキシエステル類、
【0050】
N,N’−アゾビスイソブチルニトリル、N,N’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、N,N’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、N,N’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、N,N’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられ、これらの1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0051】
更にスチレン樹脂組成物の分子量が過度に大きくなりすぎないように連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、連鎖移動基を1つ有する単官能連鎖移動剤でも連鎖移動剤を複数有する多官能連鎖移動剤を使用できる。単官能連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類、チオグリコール酸エステル類等が挙げられる。
【0052】
多官能連鎖移動剤としては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール水酸基をチオグリコール酸または3−メルカプトプロピオン酸でエステル化したものが挙げられる。
【0053】
本発明のスチレン樹脂組成物を製造するには、上述のように多分岐状マクロモノマーとスチレンとを上記の1段で重合させる方法の他に、予め別々に合成した線状ポリスチレンと多分岐状ポリスチレンとを混合し任意の多分岐状ポリスチレンと線状ポリスチレンとの混合比を有するスチレン樹脂組成物を製造してもよい。
【0054】
本発明のスチレン樹脂組成物は、多分岐状ポリスチレンと線状ポリスチレンとが分子レベルで均一に分散混合され絡み合っているために、折り曲げ試験などで従来の線状ポリスチレンにはなかった優れた耐折れ強度を示す。多分岐状ポリスチレンと線状ポリスチレンとが分子レベルで均一に分散混合され絡み合うことが出来る観点からは、別途、製造した多分岐状ポリスチレンと線状ポリスチレンとを混合するよりも、多分岐状マクロモノマーとスチレンとの1段重合の方が好ましく、また製造効率の点からも1段重合の方が好ましい。
【0055】
本発明のスチレン樹脂組成物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分子量測定すると、線状ポリスチレンに由来するピークが低分子量側に、多分岐状ポリスチレンに由来するピークが高分子量側に現れ、両ピークの面積比から両ポリスチレンの組成比と、それぞれのポリスチレンの質量平均分子量を決定することができる。
【0056】
本発明のスチレン樹脂組成物は、成形品として良好なメルトテンションや耐折れ強度等の強度を有しながら、かつ高いメルトマスフローレイトを有して成形加工性が良好であるために、スチレン樹脂組成物に含まれる線状ポリスチレンの質量平均分子量は20万〜35万であり、また多分岐状ポリスチレンの質量平均分子量は100万〜1000万であり、より好ましくは200万〜500万である。多分岐状ポリスチレンの質量平均分子量が100万未満であると十分な強度が得られず、1000万を超えると良好な成形加工性が得られない。
【0057】
更にスチレン樹脂組成物の質量平均分子量は25万〜70万であり、より好ましくは28万〜50万である。また樹脂組成物中の線状ポリスチレンと多分岐状ポリスチレンの質量比は、線状ポリスチレン:多分岐状ポリスチレンが99.1:0.9から75:25が好ましく、より好ましくは、99:1から85:15である。
【0058】
本発明のスチレン樹脂組成物には、従来の線状ポリスチレンでは見られなかった超高分子量の多分岐状ポリスチレンを含むが、本発明のスチレン樹脂組成物は、このような超高分子量成分を含んでいても、ゲル化が実質的に生じないために、有機溶媒に容易に溶解する。
【0059】
本発明のスチレン樹脂組成物のメルトマスフローレイトは、質量平均分子量との関係で式1を満足するものであり、かつ同じ質量平均分子量を有する従来の線状ポリスチレンのメルトマスフローレイトよりも高い値を有する。
【0060】
【式1】
MFR(g/10min)≧45×exp(−0.1×Mw×10−4)
【0061】
(式中、MFRとMwは、それぞれスチレン樹脂組成物のメルトマスフローレイトおよび質量平均分子量を表す)
なお、メルトマスフローレイト(MFR、g/10min)とは、JIS K7210:99の方法に従って、200℃、加重49Nで測定した値を言いう。
【0062】
スチレン樹脂組成物のMFRが式(1)から算出された値より低い場合は、良好な成形加工性が得られない。
【0063】
また本発明のスチレン樹脂組成物の強度と成形加工性を示す指標となるメルトテンション(MT)も同じく質量平均分子量との関係で式2を満足するものである。かつ同じ質量平均分子量を有する従来の線状ポリスチレンのメルトテンションよりも高い値を有する。
【0064】
【式2】
MT(g)≧0.07Mw×10−4+1.8
【0065】
(式中、MTとMwは、それぞれスチレン樹脂組成物のメルトテンションおよび質量平均分子量を表す)
【0066】
メルトテンション(MT)とは、樹脂の溶融時の引張張力を示すものであり、樹脂のタフネスや成形性の指標となる。メルトテンションが高いほど、樹脂の引張張力が大きく、押出成形時の生産速度を上げることが出来る。
【0067】
本発明におけるメルトテンション(MT)は、キャピログラフ(東洋精株式会社製 1B型)を用い、キャピラリーが、長さ(L)50.80mm、直径(D)1.27mmのものであり、バレルの直径(B)が9.55mm、シェアレートが60m/sである際に、試料の溶融粘度が1300Pa・sとなる温度で、ストランドの引取速度を20m/minとした時に測定したMT(g)の値をいう。スチレン樹脂組成物のMTが式(2)から算出された値より低い場合は、樹脂組成物のタフネスや成形加工性が劣る。
【0068】
本発明の多分岐状ポリスチレンを含有するスチレン樹脂組成物は、高分子量でありながら、同等の分子量を有する従来の線状ポリスチレンと比較して、メルトマスフローレイトが高く、スチレン樹脂組成物の製造時ならびに成形加工時の流動性に優れ、優れた生産性ならびに加工性が有する。このため、射出成形、押出成形、真空成形、圧空成形、押出発泡成形、カレンダー成形、ブロー成形などの成形方法による各種成形品として従来よりも広い用途に使用することができる。
【0069】
【実施例】
以下に実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。本発明はもとより、これらの実施例の範囲に限定されるべきものではない。次に用いた測定方法について説明する。
【0070】
(GPC測定法)
高速液体クロマトグラフィー(東ソー株式会社製HLC−8220GPC)、RI検出器、TSKgel G6000H×1+G5000H×1+G4000H×l+G3000H×l+TSKguard columnH×l-H、溶媒THF、流速1.0ml/分、温度40℃にて測定した。
【0071】
クロマトグラフの解析はマルチステーションGPC−8020にて行い、2つ現れたピークを解析ソフトにて分離し、線状ポリスチレンと多分岐状ポリスチレンの各々の質量平均分子量を求め、結果を表1から3に示した。表中のP1Mw、P2Mwは線状ポリスチレンと多分岐状ポリスチレンの各々の質量平均分子量を示す。またピークの分離解析を実施する前の樹脂組成物全体の質量平均分子量を全体Mw、検出された最大のMwを最大Mwとして表中に示した。
【0072】
実施例2のクロマトグラフを図2に示した。横軸がリテンションタイム、縦軸がピーク強度であり、リテンションタイムが小さい成分ピークほど高い分子量を有する。図中、実線は測定結果により得られたピーク、破線は解析結果により得られたピークを表す。高分子量側のピークが多分岐状ポリスチレン(P2)、低分子量側のピークが線状ポリスチレン(P1)である。
【0073】
(NMR測定法)
核磁気共鳴分光法(1H−NMR)により多分岐状マクロモノマーのエチレン性二重結合の量を求め、試料質量当たりのモル数で示した。また13C−NMRにより、活性メチレン基及びその反応に由来する第2、第3、第4炭素原子数を求めることにより、多分岐状マクロモノマーの分岐度を求めた。
【0074】
(メルトマスフローレイト測定法)
JIS K7210:99に従って測定した。なお測定条件は、温度200℃。荷重49Nである。
【0075】
(メルトテンション測定法)
キャピログラフ(東洋精株式会社製 1B型)を用いてメルトテンションを求めた。使用装置のキャピラリーは、長さ(L)50.80mm、直径(D)1.27mmのものであり、バレルの直径(B)が9.55mmでシェアレートが60m/sである際に、試料の溶融粘度が1300Pa・sとなる温度で、ストランドの引取速度を20m/minとした時のMT(g)を測定した。
【0076】
(ガラス転移温度測定法)
サンプルの0.4mm厚のフィルムを作製し、動的粘弾性装置(レオメトリックス社製DMA)によりガラス転移温度(Tg)を求めた。
【0077】
(トルエン不溶分測定法)
試料をトルエンに1g/100mlの濃度にて溶解後、溶液中の不溶分を12000rpmで30分間、遠心分離した。遠心分離されたトルエン不溶分を乾燥し、乾燥後の質量を求め次式によりトルエン不溶分を求めた。
トルエン不溶分(%)=[乾燥後の不溶分質量/試料の質量]×100
【0078】
(耐折れ強度測定法)
熱プレスにより成形した原板を単発二軸延伸機により0.2mm厚のシートを得た。延伸温度は130℃。延伸倍率は縦横共に2.3倍とした。このシートの一部をJIS P−8115に準拠し、折り曲げ破断する回数により耐折れ強度を求めた。
【0079】
(参考例1)多分岐状マクロモノマー(M−m1)の合成
撹拌装置、滴下ロート、温度計、窒素導入装置およびバブラーを備えた1000mlの茄子型フラスコに、4−ブロモジ(エチレンオキシ)フェニルアセトニトリル35gを窒素雰囲気下にて800mlジメチルスルフォキシド(DMSO)に溶解した。水浴にて内温を30℃とした後、66mlの50%水酸化ナトリウム水溶液を滴下した。30℃に保持したまま2時間撹拌し多分岐状マクロモノマーの前駆体を得た。更に該反応物に56.6gの4−クロロメチルスチレンを滴下し2時間撹拌することにより、多分岐状マクロモノマー溶液を得た。
【0080】
得られた溶液を濾過して固形分を除き、この濾液を225mlの5モル/L塩酸水溶液を含むメタノール5L中に投入し多分岐状マクロモノマーを沈殿させた。沈殿した多分岐状マクロモノマーを吸引ろ過し、蒸留水、メタノールの順で3回繰り返し洗浄した。得られた多分岐状マクロモノマーを24時間減圧下で乾燥し、多分岐状マクロモノマー(M−m1)24gを得た。
【0081】
得られた多分岐状マクロモノマー(M−m1)をGPCにより測定した結果、質量平均分子量は11,000であった。また1H−NMRの測定結果から、芳香環に直接結合した二重結合導入量は2.66ミリモル/gであることが確認された。分岐度は0.6であった。
【0082】
(参考例2)多分岐状マクロモノマー(M−m2)の合成
参考例1における4−ブロモジ(エチレンオキシ)フェニルアセトニトリルの代わりに4−トシルオキシジ(エチレンオキシ)フェニルアセトニトリルを用いた以外は、参考例1と同様にして、25gの多分岐状マクロモノマー(M−m2)を得た。得られた多分岐状マクロモノマー(M−m2)の質量平均分子量は5,800であった。また1H−NMRの測定結果から芳香環に直接結合した二重結合導入量は2.04ミリモル/gであった。
【0083】
(参考例3)多分岐状マクロモノマー(M−m3)の合成
参考例2における66mlの50%水酸化ナトリウム水溶液の代わりに、6.6mlの50%水酸化ナトリウム水溶液とした以外は、参考例2と同様にして、29gの多分岐状マクロモノマー(M−m3)を得た。得られた多分岐状マクロモノマー(M−m3)の質量平均分子量は7,000であった。また1H−NMRの測定結果から、芳香環に直接結合した二重結合導入量は1.84ミリモル/gであることが確認された。
【0084】
(参考例4)多分岐状マクロモノマー(M−m4)の合成
<多分岐ポリエーテルポリオール1の合成>
攪拌機、温度計、滴下ロート及びコンデンサーを備えた2リットルフラスコに、室温下、エトキシ化ペンタエリスリトール(5モル−エチレンオキシド付加ペンタエリスリトール)50.5g、BF3ジエチルエーテル溶液(50パーセント)1gを加え、110℃に加熱した。これに3―エチルー3―(ヒドロキシメチル)オキセタン 450gを、反応による発熱を制御しつつ、35分間でゆっくり加えた。発熱が収まったところで、反応混合物をさらに120℃で3.5時間撹拌し、その後、室温に冷却した。
得られた多分岐ポリエーテルポリオールの重量平均分子量は3,500、水酸基価は510であった。
【0085】
<メタアクリロイル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエーテル1の合成>
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えたディーンスタークデカンター及び気体導入管を備えた反応器に、上述の<多分岐ポリエーテルポリオール1の合成>で得られた多分岐ポリエーテルポリオール50g、メタアクリル酸13.8g、トルエン 150g、ヒドロキノン 0.06g、パラトルエンスルホン酸 1gを加え、混合溶液中に3ミリリットル/分の速度で7%酸素含有窒素を吹き込みながら、常圧下で撹拌し、加熱した。デカンターへの留出液量が1時間あたり30gになるように加熱量を調節し、脱水量が2.9gに到達するまで加熱を続けた。
反応終了後、一度冷却し、無水酢酸 36g、スルファミン酸 5.7gを加え、60℃で10時間撹拌した。その後、残っている酢酸及びヒドロキノンを除去する為に5%水酸化ナトリウム水溶液50gで4回洗浄し、さらに1%硫酸水溶液50gで1回、水50gで2回洗浄した。得られた有機層にメトキノン0.02gを加え、減圧下、7%酸素を導入しながら溶媒を留去し、イソプロペニル基およびアセチル基を有する多分岐ポリエーテル60gを得た。得られた多分岐ポリエーテルの質量平均分子量は4500であり、多分岐ポリエーテルポリオールへのイソプロペニル基およびアセチル基導入率は、それぞれ35%および60%であった。
【0086】
(参考例5)多分岐状マクロモノマー(M−m5)の合成
<スチリル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエーテル1の合成>
攪拌機、乾燥管を備えたコンデンサー、滴下ロート及び温度計を備えた反応器に、上述の<多分岐ポリエーテルポリオール1の合成>で得られた多分岐ポリエーテルポリオール50g、テトラヒドロフラン 100g及び水素化ナトリウム4.3gを加え、室温下、撹拌した。これに4−クロロメチルスチレン 26.7gを1時間かけて滴下し、得られた反応混合物を50℃でさらに4時間撹拌した。
反応終了後、一度冷却し、無水酢酸 34g、スルファミン酸 5.4gを加え、60℃で10時間撹拌した。その後、減圧下でテトラヒドロフランを留去し、得られた混合物をトルエン150gで溶解させ、残っている酢酸を除去する為に5%水酸化ナトリウム水溶液50gで4回洗浄し、さらに1%硫酸水溶液50gで1回、水50gで2回洗浄した。得られた有機層から減圧下で溶媒を留去し、スチリル基およびアセチル基を有する多分岐ポリエーテル70gを得た。得られた多分岐ポリエーテルの質量平均分子量は5300であり、多分岐ポリエーテルポリオールへのスチリル基およびアセチル基導入率は、それぞれ40%および55%であった。
【0087】
(参考例6)多分岐状マクロモノマー(M−m6)の合成
<スチリル基を有するPAMAMデンドリマーの合成>
攪拌機、乾燥管を備えたコンデンサー、滴下ロート及び温度計を備えた反応器にPAMAMデンドリマー(商品名ゼネレーション2.0:Dentritech社製)のメタノール溶液(20重量パーセント) 50gを加え、減圧下、撹拌しながらメタノールを留去した。続いて、テトラヒドロフラン 50g及び微粉化した水酸化カリウム 2.6gを加え、室温下、撹拌した。これに4−クロロメチルスチレン 7.2gを10分間かけて滴下し、得られた反応混合物を50℃でさらに4時間撹拌した。
反応終了後、冷却し、固体を濾過した後に、テトラヒドロフランを減圧下、留去し、スチリル基を有するPAMAMデンドリマー 14gを得た。得られたデンドリマーのスチリル基含有量は3.0ミリモル/グラムであった。
【0088】
(参考例7)多分岐状マクロモノマー(M−m7)の合成
<スチリル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエーテルポリオール2>
攪拌機、コンデンサー、遮光性滴下ロート及び温度計を備え、窒素シールが可能な遮光性反応容器に、窒素気流下、無水1,3,5−トリヒドロキシベンゼン0.5g、炭酸カリウム 29g、18−クラウン−6 2.7g及びアセトン 180gを加え、撹拌しながら、5−(ブロモメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン 21.7gとアセトン 180gからなる溶液を3時間かけて滴下、加えた。その後、5−(ブロモメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼンが消失するまで、撹拌下、加熱、還流させた。
その後、4−クロロメチルスチレン 10.3gを加え、これが消失するまで、さらに撹拌下、加熱、還流させた。その後、反応混合物に無水酢酸 4g、スルファミン酸 0.6gを加え、室温下、一晩撹拌した。冷却後、反応混合物中の固体を濾過で除き、溶媒を減圧下で留去した。得られた混合物をジクロロメタンに溶解し、水で3回洗浄した後、ジクロロメタン溶液をヘキサンに滴下し、多分岐ポリエーテルを沈殿させた。これを濾過し、乾燥させて、スチリル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエーテルポリオール 14gを得た。質量平均分子量は4050で、スチリル基の含有量は3.3ミリモル/グラムであった。
【0089】
(参考例8)多分岐状マクロモノマー(M−m8)の合成
<メタクリロイル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエステルポリオールの合成>
7%酸素導入管、温度計、コンデンサーを備えたディーンスタークデカンター、および攪拌機を備えた反応容器に、「Boltorn H20」10g、ジブチル錫オキシド1.25g、官能基(B)としてイソプロペニル基を有するメチルメタクリレート100g、およびヒドロキノン0.05gを加え、混合溶液中に3ml/分の速度で7%酸素を吹き込みながら、撹拌下に加熱した。デカンターへの留出液量が1時間あたり15〜20gになるように加熱量を調節し、1時間ごとにデカンター内の留出液を取り出し、これに相当する量のメチルメタクリレートを加えながら6時間反応させた。
反応終了後、メチルメタクリレートを減圧下で留去し、残っているヒドロキシ基をキャッピングするために無水酢酸10g、スルファミン酸2gを加えて室温下、10時間撹拌した。濾過でスルファミン酸を除去し、減圧下で無水酢酸および酢酸を留去した後に、残留物を酢酸エチル70gに溶解し、ヒドロキノンを除去する為に5%水酸化ナトリウム水溶液20gで4回洗浄した。さらに7%硫酸水溶液20gで2回、水20gで2回洗浄した。得られた有機層にメトキノン0.0045gを加え、減圧下、7%酸素を導入しながら溶媒を留去し、イソプロペニル基およびアセチル基を有する多分岐ポリエステル12gを得た。得られた多分岐ポリエステルの質量平均分子量は2860、数平均分子量は3770であり、多分岐ポリエステルポリオール(A)へのイソプロペニル基およびアセチル基導入率は、それぞれ55%および40%であった。
【0090】
(実施例1)
タービン翼を備えた5リットルステンレス製反応器にイオン交換水2000mlを仕込み、これに懸濁安定剤としてg分ケン化ポリビニルアルコール10g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.05gを添加し溶解後、多分岐状マクロモノマー(M−m1)0.6gを均一に溶解したスチレン1000g、ベンゾイルパーオキサイド2.8g、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.6gを順次仕込んだ。
【0091】
反応器内を窒素ガスで置換後、500rpmの撹拌下で昇温し、92℃で6時間、懸濁重合させ、次いで117℃で3時間反応させた。生成した粒状ポリスチレン樹脂を洗浄、脱水、乾燥し、980gのスチレン樹脂組成物を得た。この樹脂をシリンダー温度230℃の押出機で造粒した。得られたスチレン樹脂組成物を用いて耐折れ強度測定法に記載したシートを作成し、耐折れ強度を測定した。得られた耐折れ強度は12回であった。
【0092】
(実施例2)
実施例1における多分岐状マクロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロモノマー(M−m2)を用いた以外は、実施例1と同様にしてスチレン樹脂組成物を得た。得られたスチレン樹脂組成物を用いて耐折れ強度測定法に記載したシートを作成し、耐折れ強度を測定した。得られたスチレン樹脂組成物の耐折れ強度は13回であった。
【0093】
(実施例3)
実施例1における多分岐状マクロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロモノマー(M−m3)を用いた以外は、実施例1と同様にしてスチレン樹脂組成物を得た。
【0094】
(実施例4)
実施例1における多分岐状マクロモノマー(M−m1)の添加量0.6gを0.2gとした以外は、実施例1と同様にしてスチレン樹脂組成物を得た。
【0095】
(実施例5)
実施例1における多分岐状マクロモノマー(M−m1)の添加量0.6gを0.4gとした以外は、実施例1と同様にしてスチレン樹脂組成物を得た。
【0096】
(実施例6)
実施例1における多分岐状マクロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロモノマー(M−m4)を用いた以外は、実施例1と同様にしてスチレン樹脂組成物を得た。
【0097】
(実施例7)
実施例1における多分岐状マクロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロモノマー(M−m5)を用いた以外は、実施例1と同様にしてスチレン樹脂組成物を得た。
【0098】
(実施例8)
実施例1における多分岐状マクロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロモノマー(M−m6)を用いた以外は、実施例1と同様にしてスチレン樹脂組成物を得た。
【0099】
(実施例9)
実施例1における多分岐状マクロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロモノマー(M−m7)を用いた以外は、実施例1と同様にしてスチレン樹脂組成物を得た。
【0100】
(実施例10)
実施例1における多分岐状マクロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロモノマー(M−m8)を用いた以外は、実施例1と同様にしてスチレン樹脂組成物を得た。
【0101】
(比較例1)
多分岐状マクロモノマー(M−m1)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして線状ポリスチレンを得た。得られた線状ポリスチレンを用いて耐折れ強度測定法に記載したシートを作成し、耐折れ強度を測定した。得られた線状ポリスチレンの耐折れ強度は7回であった。
【0102】
(比較例2)
反応時間を7時間とし、ベンゾイルパーオキサイド2.8g、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.6gを1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン3.6g、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.3gとした以外は、実施例1と同様にして線状ポリスチレンを得た。
【0103】
(比較例3)
ベンゾイルパーオキサイド2.8g、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.6gを1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン2.3g、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.5gとした以外は、実施例1と同様にして線状ポリスチレンを得た。
【0104】
(比較例4)
スチレンと共に流動パラフィン(出光興産株式会社製 ダフニーオイル CP−50S)12gを加えた以外は、比較例3と同様にして線状ポリスチレンを得た。
【0105】
(実施例11)
多分岐状マクロモノマー(M−m1)の添加量を1.5gとした以外は、実施例1と同様にしてスチレン樹脂組成物を得た。
【0106】
(実施例12)
実施例6で得られたスチレン樹脂組成物と比較例2で得られた線状ポリスチレンとを質量比7:3で押出機にて溶融混練し、新たな組成のスチレン樹脂組成物を得た。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
【表3】
【0110】
【表4】
【0111】
図3に実施例1〜10と比較例1〜3の質量平均分子量とMFRとの関係を示した。横軸が分子量Mw(×104)、縦軸がMFR(g/10min)であり、丸印が実施例のスチレン樹脂組成物を、四角印が比較例の線状ポリスチレンを表す。本発明の多分岐状ポリスチレンを含むスチレン樹脂組成物が、高い質量平均分子量を有しながら、比較的高いMFRを有することが明らかである。
【0112】
表1、2及び3から明かなように、多分岐状ポリスチレンを含む本発明のスチレン樹脂組成物は、メルトマスフローレイト、メルトテンション及び同耐折れ強度が、同じ質量平均分子量を有する従来の線状ポリスチレンよりも高い値を有することから、成形加工性とタフネス及び強度に優れることが明かである。
【0113】
【発明の効果】
本発明は、成形加工品としての良好な強度を有する高い質量平均分子量を有しながら、同じ質量平均分子量を有する従来の線状ポリスチレンよりもメルトマスフローレイトやメルトテンションが高く、成形加工性に優れ、かつ製造時にゲル化しにくいスチレン樹脂組成物およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 AB2型モノマーから誘導される多分岐状マクロモノマーの分岐構造を示す模式図である。
【図2】 実施例2の樹脂組成物のGPCクロマトグラフである。横軸がリテンションタイムを縦軸がピーク強度を示す。
【図3】 実施例1〜10と比較例1〜3の質量平均分子量とMFRとの関係を示す図である。丸は実施例のものを、四角は比較例のものを表し、曲線は式(MFR=45×exp(−0.1×Mw×10−4))に基づいた質量平均分子量とMFRとの関係を示す。
Claims (10)
- 質量平均分子量が1000〜15000であり、且つ二重結合を1gあたり0.1ミリモル〜5.5ミリモル含有する多分岐状マクロモノマーを、スチレンに対して質量基準で50ppm〜1%の配合率で用いて共重合させ、共重合体である多分岐状ポリスチレンと、同時に生成する線状ポリスチレンとの混合物を得るスチレン系樹脂組成物の製造方法であって、
該多分岐状マクロモノマーが下記(1)〜(5)からなる群から選ばれる1種以上のマクロモノマーであることを特徴とするスチレン系樹脂組成物の製造方法。
(1)1分子中に活性メチレン基と、臭素、塩素、メチルスルホニルオキシ基またはトシルオキシ基とを有するAB 2 型モノマーを求核置換反応させて得られる多分岐状の自己縮合型重縮合体を前駆体として、該重縮合体中に残存する未反応の活性メチレン基またはメチン基を、クロロメチルスチレン又はブロモメチルスチレンと求核置換反応させることによって得られる多分岐状マクロモノマー、
(2)水酸基を1個以上有する化合物に、カルボキシル基に隣接する炭素原子が飽和炭素原子であり、かつ該炭素原子上の水素原子がすべて置換され、且つ水酸基を2個以上有するモノカルボン酸を反応することにより多分岐状ポリマーとし、これにビニル基又はイソプロペニル基を導入して得られる多分岐状マクロモノマー、
(3)水酸基を1個以上有する化合物に水酸基を1個以上有する環状エーテル化合物を反応することにより多分岐状ポリマーとし、次いで該ポリマーの末端基である水酸基にアクリル酸、メタクリル酸、イソシアネート基含有アクリル系化合物又は4−クロロメチルスチレンを反応させて得られる多分岐状マクロモノマー、
(4)水酸基を1個以上有する化合物と、2個以上の水酸基とハロゲン原子、−SO 2 OCH 3 又は−OSO 2 CH 3 を含有する化合物とを反応させることにより多分岐状ポリマーとし、次いで該ポリマーの末端基である水酸基にアクリル酸、メタクリル酸、イソシアネート基含有アクリル系化合物又は4−クロロメチルスチレンを反応させて得られる多分岐状マクロモノマー、
(5)アミド結合が窒素原子を介して繰り返し構造となっているPAMAMデンドリマーにスチリル基を導入して得られる多分岐状マクロモノマー。 - 前記(1)における、1分子中に活性メチレン基と、臭素、塩素、メチルスルホニルオキシ基またはトシルオキシ基とを有するAB 2 型モノマーが、ハロゲン化アルコキシ−フェニルアセトニトリル類、又はトシルオキシ基を有するフェニルアセトニトリル類である請求項1記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法。
- 前記(2)における、カルボキシル基に隣接する炭素原子が飽和炭素原子であり、かつ該炭素原子上の水素原子がすべて置換され、且つ水酸基を2個以上有するモノカルボン酸が、ジメチロールプロピオン酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、α,α,α−トリス(ヒドロキシメチル)酢酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)吉草酸又はα,α−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸である請求項1記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法。
- 前記(3)における、水酸基を1個以上有する環状エーテル化合物が、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、2,3−エポキシ−1−プロパノール、2,3−エポキシ−1−ブタノール又は3,4−エポキシ−1−ブタノールである請求項1記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法。
- 前記(4)における、2個以上の水酸基とハロゲン原子、−SO 2 OCH 3 又は−OSO 2 CH 3 を含有する化合物が、5−(ブロモメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−エチル−2−(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、又は2−(ブロモメチル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールである請求項1記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法。
- 前記多分岐状マクロモノマーの質量平均分子量が2000〜5000である請求項1〜5の何れか1項記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法。
- スチレンに対する多分岐状マクロモノマーの配合率が質量基準で100ppm〜2000ppmである請求項1〜6の何れか1項記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法。
- 前記多分岐状マクロモノマーとスチレンとを共重合させる際に、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、アセトニトリル、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、シアノベンゼン、ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びメチルエチルケトンからなる群から選ばれる有機溶剤を添加する請求項1〜7の何れか1項記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法。
- 質量平均分子量が1000〜15000であり、且つ二重結合を1gあたり0.1ミリモル〜5.5ミリモル含有する多分岐状マクロモノマーを、スチレンに対して質量基準で50ppm〜1%の配合率で用いて共重合させることにより得られる、共重合体である質量平均分子量が100万〜1000万の多分岐状ポリスチレンと、同時に生成する質量平均分子量が20万〜44.8万の線状ポリスチレンとを含有する、質量平均分子量が25万〜70万のスチレン系樹脂組成物であって、
該多分岐状マクロモノマーが下記(1)〜(5)からなる群から選ばれる1種以上のマクロモノマーであることを特徴とするスチレン系樹脂組成物。
(1)1分子中に活性メチレン基と、臭素、塩素、メチルスルホニルオキシ基またはトシルオキシ基とを有するAB 2 型モノマーを求核置換反応させて得られる多分岐状の自己縮合型重縮合体を前駆体として、該重縮合体中に残存する未反応の活性メチレン基またはメチン基を、クロロメチルスチレン又はブロモメチルスチレンと求核置換反応させることによって得られる多分岐状マクロモノマー、
(2)水酸基を1個以上有する化合物に、カルボキシル基に隣接する炭素原子が飽和炭素原子であり、かつ該炭素原子上の水素原子がすべて置換され、且つ水酸基を2個以上有するモノカルボン酸を反応することにより多分岐状ポリマーとし、これにビニル基又はイソプロペニル基を導入して得られる多分岐状マクロモノマー、
(3)水酸基を1個以上有する化合物に水酸基を1個以上有する環状エーテル化合物を反応することにより多分岐状ポリマーとし、次いで該ポリマーの末端基である水酸基にアクリル酸、メタクリル酸、イソシアネート基含有アクリル系化合物又は4−クロロメチルスチレンを反応させて得られる多分岐状マクロモノマー、
(4)水酸基を1個以上有する化合物と、2個以上の水酸基とハロゲン原子、−SO 2 OCH 3 又は−OSO 2 CH 3 を含有する化合物とを反応させることにより多分岐状ポリマーとし、次いで該ポリマーの末端基である水酸基にアクリル酸、メタクリル酸、イソシアネート基含有アクリル系化合物又は4−クロロメチルスチレンを反応させて得られる多分岐状マクロモノマー、
(5)アミド結合が窒素原子を介して繰り返し構造となっているPAMAMデンドリマーにスチリル基を導入して得られる多分岐状マクロモノマー。 - 前記線状ポリスチレンと前記多分岐状ポリスチレンとの質量比、線状ポリスチレン:多分岐状ポリスチレンが、99:1から85:15の範囲である請求項9記載のスチレン系樹脂組成物。
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