JP2003292707A - スチレン樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

スチレン樹脂組成物およびその製造方法

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JP2003292707A JP2003020223A JP2003020223A JP2003292707A JP 2003292707 A JP2003292707 A JP 2003292707A JP 2003020223 A JP2003020223 A JP 2003020223A JP 2003020223 A JP2003020223 A JP 2003020223A JP 2003292707 A JP2003292707 A JP 2003292707A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形加工品としての良好な強度を有する高い
分子量を有しながら、メルトマスフローレイトとメルト
テンションが高く成形加工性に優れ、かつ製造時にゲル
化しにくいスチレン樹脂組成物およびその製造方法を提
供する。 【解決手段】 20万〜35万の質量平均分子量を有す
る線状ポリスチレンと、100万〜1000万の質量平
均分子量を有する多分岐状ポリスチレンからなるスチレ
ン樹脂組成物が25万〜70万の平均分子量を有し、か
つメルトマスフローレイト(MFR)およびメルトテン
ション(MT)が、それぞれ下記式(1)および式
(2)を満足することを特徴とするスチレン樹脂組成
物。 MFR≧45×exp(−0.1×Mw×10−4) (式1) MT≧0.07Mw×10−4+1.8 (式2) (式中、MFR、MTおよびMwは、それぞれスチレン
樹脂組成物のメルトマスフローレイト、メルトテンショ
ンおよび質量平均分子量を表す)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、線状ポリスチレン
と多分岐状ポリスチレンからなるスチレン樹脂組成物及
びその製造方法に関する。本発明のスチレン樹脂組成物
は、同じ質量平均分子量を有する線状ポリスチレンに比
べ、メルトマスフローレイトが高く成形時の流動性に優
れるため、各種成形法での成形材料として好適に用いら
れる。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂は剛性があり、寸法安定
性に優れ、かつ廉価であることから、成形用途に広く使
用されているが、近年、種々の用途においてスチレン系
樹脂の更なる強度向上が求められている。スチレン系樹
脂の強度向上には、スチレン系樹脂の高分子量化が有効
な手段であるが、従来の線状ポリスチレンは、高分子量
化に伴い溶融粘度の増大を招き、成形加工性が著しく低
下する問題があった。
【0003】このような成形加工性の低下を改善する方
法としては可塑剤を添加するのが一般的であるが、最終
的に得られる樹脂成形品の機械的強度が低下するという
問題があり、ポリスチレンに分岐構造を持たせて、その
解決を図ろうとした例として、例えば、特公昭41−1
9511号公報には、スチレンと2,2−ビス(4,4
−ジt−ブチル−パーオキシ−オキシ−シクロヘキシー
ル)−プロパン等の多官能パーオキサイド化合物の重合
開始剤を用いてポリスチレンに分岐を導入する方法が開
示されているが、該方法によっても分岐度は低い範囲で
しか制御できず、十分な分岐構造を達成することは困難
であった。
【0004】特開平7−166013号公報には、ポリ
スチレンに分岐構造を持たせて高分子量でありながら良
好な成形加工性を有するスチレン系樹脂を得る試みとし
て、スチレンにジビニルベンゼン等の2個以上のビニル
基を有する化合物を共重合させてポリスチレン鎖に分岐
構造を導入して得た質量平均分子量20万〜200万の
ポリスチレン系共重合体が記載されている。該ポリスチ
レン系共重合体は成形加工性に優れることが記載されて
いるが、該共重合体は重合工程中にゲル化を起こしやす
いため、工業的に生産しにくく、その添加量は自ずと制
限されるため、得られる樹脂の物性を大幅に向上させる
ほどの効果は得られにくい。
【0005】また特開平9−316261号公報には、
同じく高分子量でありながら良好な成形加工性を有する
スチレン系樹脂を得る試みとして、アニオン重合により
得られた星形分岐状ポリスチレンをラジカル重合により
得られた線状ポリスチレンと混合することが試みられて
おり、剛性と耐熱性を損なうことなく、流動性と機械的
強度を有し、かつ良好な成形加工性を有するスチレン系
樹脂組成物が得られたことが記載されているが、アニオ
ン重合を用いるため煩雑な制御が必要であり、工業生産
には不適である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、成形加工品としての良好な強度を有する高
い分子量を有しながら、メルトマスフローレイトやメル
トテンションが高く成形加工性に優れ、かつ製造時にゲ
ル化しにくいスチレン樹脂組成物およびその製造方法を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、多分岐状マクロ
モノマーとスチレンとを共重合させることにより得られ
る多分岐状ポリスチレンと線状ポリスチレンとを含むス
チレン樹脂組成物が優れたメルトテンション(MT)を
有しながら、高いメルトマスフローレイト(MFR)を
有し成形加工性に優れ、かつゲル化しにくいことを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明は、20万〜35万の質量
平均分子量を有する線状ポリスチレンと、100万〜1
000万の質量平均分子量を有する多分岐状ポリスチレ
ンからなるスチレン樹脂組成物が25万〜70万の平均
分子量を有し、かつメルトマスフローレイト(MFR)
およびメルトテンション(MT)が、それぞれ下記式
(1)および式(2)を満足することを特徴とするスチ
レン樹脂組成物を提供する。
【0009】
【式1】 MFR≧45×exp(−0.1×Mw×10−4) (1) (式中、MFRおよびMwは、それぞれスチレン樹脂組
成物のメルトマスフローレイトおよび質量平均分子量を
表す。)
【0010】
【式2】 MT≧0.07Mw×10−4+1.8 (2) (式中、MTおよびMwは、それぞれスチレン樹脂組成
物のメルトテンションおよび質量平均分子量を表す。)
【0011】また本発明は(A)電子吸引基と該電子吸
引基に結合する結合手以外の3つの結合手すべてが炭素
原子に結合している飽和炭素原子とからなる分岐構造と
芳香環に直接結合した二重結合とを含有する多分岐状マ
クロモノマーと(B)スチレンとをラジカル重合させる
ことによる上記スチレン樹脂組成物を製造する方法を提
供する。
【0012】さらに本発明は、前記多分岐状ポリスチレ
ンが、(A)エーテル結合、エステル結合及びアミド結
合から選ばれる繰り返し構造単位からなる分岐構造と、
分岐末端の二重結合とを含有する多分岐状マクロモノマ
ーと、(B)スチレンとをラジカル重合させることによ
る上記スチレン樹脂組成物を製造する方法。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明の樹脂組成物につい
て詳細に説明する。本発明のスチレン樹脂組成物は、分
子末端に複数の二重結合を有する多分岐状マクロモノマ
ーとスチレンとを重合させることにより得られる多分岐
状ポリスチレンと、同時に生成する線状ポリスチレンか
らなる。
【0014】本発明のスチレン樹脂組成物に含まれる多
分岐状ポリスチレンの分岐構造には、特に制限はない
が、電子吸引基と該電子吸引基に結合する結合手以外の
3つの結合手すべてが炭素原子に結合している飽和炭素
原子とからなる分岐構造を含有するもの及びエーテル結
合、エステル結合及びアミド結合から選ばれる繰り返し
構造単位からなる分岐構造を含有するものが好ましい。
【0015】多分岐状ポリスチレンの分岐構造は、スチ
レンと共重合させる多分岐状マクロモノマーに由来する
ものである。本発明のスチレン樹脂組成物に含まれる多
分岐状ポリスチレンの分岐構造の電子吸引基含有量は多
分岐状ポリスチレン1g当たり2.5×10−4ミリモ
ル〜5.0×10−1ミリモル、好ましくは5.0×1
−4ミリモル〜5.0×10−2ミリモルである。
【0016】本発明において使用する多分岐状マクロモ
ノマーには、多分岐鎖を有するモノマーであること以外
には特に限定はないが、その好ましいものの一つとして
1分子中に電子吸引基と該電子吸引基に結合する結合手
以外の3つの結合手すべてが炭素原子に結合している飽
和炭素原子とから成る分岐構造と、芳香環に直接結合し
た二重結合とを含有する多分岐状マクロモノマーがあ
る。この多分岐状マクロモノマーは、AB型モノマー
から誘導されるハイパーブランチマクロモノマーであ
り、図1に模式的に示すような分岐構造を有する。
【0017】このような分岐構造は、電子吸引基が結合
した活性メチレン基の求核置換反応によって容易に得ら
れる。電子吸引基としては、例えば、−CN、−N
、−CONH、−CON(R)、−SOCH
、−P(=O)(OR)、などがあげられ、これら
の電子吸引基が結合したメチレン基が芳香環またはカル
ボニル基に直接結合している場合は、メチレン基の活性
はさらに高いものとなる。
【0018】本発明に用いる多分岐状マクロモノマーと
しては、例えば、下記の一般式(1)で表される繰り返
し単位を含有する分岐鎖を有する多分岐状マクロモノマ
ーが挙げられる。 一般式(1)
【0019】
【化2】
【0020】[式中、Yは−CN、−NO、−CO
NH、−CON(R)、−SOCH、−P(=
O)(OR)(ここでRはアルキル基またはアリール
基を表す)から成る群から選ばれる電子吸引基であり、
はアリーレン基、−O−CO−または−NH−CO
−であり、Zは−(CHO−、−(CHCH
O)−、−(CHCHCHO)−から成る群
から選ばれる基であり、かつYが−O−CO−または
−NH−CO−である場合はZは−(CH−、−
(CHAr−、−(CHO−Ar−、−
(CHCHO) −Ar−、または−(CHCH
CHO)−Ar−(ここでArはアリール基であ
る)を表す] ここで、Yは例えば、
【0021】
【化3】
【0022】から成る群から選ばれるアリーレン基であ
る。なかでもYは−CN、Yはフェニレン基が好適
である。Yがフェニレン基である場合は、Zの結合位
置はo−位、m−位又はp−位のいずれであってもよく
特に制限されるものではないが、p−位が好ましい。ま
たZの繰り返し数nは特に制限されるものではないが、
スチレンへの溶解性の点から1〜12が好ましく、更に
好ましくは2〜10が好ましい。
【0023】上記分岐構造を有する多分岐状マクロモノ
マーは、塩基性化合物の存在下で、(1)1分子中に活
性メチレン基と、活性メチレン基の求核置換反応におけ
る脱離基とを有するAB型モノマーを求核置換反応さ
せて得られる多分岐状の自己縮合型重縮合体を前駆体と
して、(2)該重縮合体中に残存する未反応の活性メチ
レン基またはメチン基を、1分子中に芳香環に直接結合
した二重結合と活性メチレン基の求核置換反応における
脱離基とを有する化合物と求核置換反応させることによ
って得られる。
【0024】ここで、活性メチレン基の求核置換反応に
おける脱離基とは、いずれも飽和炭素原子に結合したハ
ロゲン、−OS(=O)R(Rはアルキル基またはア
リール基を表す)などであり、具体的には、臭素、塩
素、メチルスルホニルオキシ基、トシルオキシ基などが
挙げられる。塩基性化合物としては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなどの強アルカリが好適であり、反
応に際しては水溶液として使用する。
【0025】1分子中に活性メチレン基と活性メチレン
基の求核置換反応における脱離基とを有するAB型モ
ノマーとしては、たとえばブロモエトキシ−フェニルア
セトニトリル、クロロメチルベンジルオキシ−フェニル
アセトニトリルなどのハロゲン化アルコキシ−フェニル
アセトニトリル類、トシルオキシ−(エチレンオキシ)
−フェニルアセトニトリル、トシルオキシ−ジ(エチレ
ンオキシ)−フェニルアセトニトリルなどのトシルオキ
シ基を有するフェニルアセトニトリル類が挙げられる。
【0026】1分子中に芳香環に直接結合した二重結合
と、活性メチレン基の求核置換反応における脱離基とを
有する代表的な化合物としては、たとえば、クロロメチ
ルスチレン、ブロモメチルスチレンなどが挙げられる。
【0027】上記(1)は前駆体としての重縮合体を合
成する反応であり、(2)は前駆体に芳香環に直接結合
した二重結合を導入して多分岐状マクロモノマーを合成
する反応である。(1)の反応と(2)の反応は、それ
ぞれの反応を逐次的に行うことができるが、同一の反応
系で同時に行うこともできる。多分岐状マクロモノマー
の分子量は、単量体と塩基性化合物との配合比を変える
ことによって制御することができる。
【0028】本発明において使用する多分岐状マクロモ
ノマーの好ましいものの他のものとして、好ましくはエ
ステル結合、エーテル結合及びアミド結合から選ばれる
繰り返し構造単位からなる分岐構造と、分岐末端のエチ
レン性二重結合とを含有する多分岐状マクロモノマーを
挙げることができる。
【0029】エステル結合を繰り返し構造単位として有
する多分岐状マクロモノマーは、分子鎖を形成するエス
テル結合のカルボニル基に隣接する炭素原子が飽和炭素
原子であり、かつ該炭素原子上の水素原子がすべて置換
されている分子鎖からなる多分岐ポリエステルポリオー
ルに、ビニル基またはイソプロペニル基などのエチレン
性二重結合を導入したものである。多分岐ポリエステル
ポリオールにエチレン性二重結合を導入する場合、エス
テル化反応や付加反応によって行なうことができる。
尚、上記多分岐ポリエステルポリオールとして、Per
storp社製「Boltorn H20、H30、H
40」が市販されている。
【0030】上記多分岐ポリエステルポリオールは、そ
のヒドロキシ基の一部にあらかじめエーテル結合やその
他の結合によって置換基が導入されていてもよいし、ま
た、そのヒドロキシ基の一部が酸化反応やその他の反応
で変性されていてもよい。また、多分岐ポリエステルポ
リオールは、そのヒドロキシ基の一部が、あらかじめエ
ステル化されていてもよい。
【0031】かかる多分岐状マクロモノマーの代表的な
ものとしては、例えば水酸基を1個以上有する化合物
に、カルボキシル基に隣接する炭素原子が飽和炭素原子
であり、かつ該炭素原子上の水素原子がすべて置換さ
れ、且つ水酸基を2個以上有するモノカルボン酸を反応
することにより多分岐状ポリマーとし、次いで該ポリマ
ーの末端基である水酸基にアクリル酸やメタクリル酸な
どの不飽和酸、イソシアネート基含有アクリル系化合物
などを反応させて得られるものが挙げられる。尚、エス
テル結合を繰り返し構造単位として有する多分岐状ポリ
マーについては、タマリア(Tamalia)氏等によ
る「Angew.Chem.Int.Ed.Engl.
29」p138〜177(1990)にも記載されてい
る。
【0032】上記水酸基を1個以上有する化合物として
は、a)脂肪族ジオール、脂環式ジオール、又は芳香族
ジオール、b)トリオール、c)テトラオール、d)ソ
ルビトール及びマンニトール等の糖アルコール、e)ア
ンヒドロエンネア−ヘプチトール又はジペンタエリトリ
トール、f)α−メチルグリコシド等のα−アルキルグ
ルコシド、g)エタノール、ヘキサノールなどの一官能
性アルコール、h)分子量が多くとも8000であり、
かつ、アルキレンオキシド或いはその誘導体と、上記
a)〜g)のいずれかから選択されたアルコールの1種
以上のヒドロキシル基とを反応させることにより生成さ
れた水酸基含有ポリマーなどを挙げることができる。
【0033】脂肪族ジオール、脂環式ジオール及び芳香
族ジオールとしては、1,2−エタンジオール、1,3
−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5
−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリ
テトラヒドロフラン、ジメチロールプロパン、ネオペン
チルプロパン、2−プロピル−2−エチル−1,3−プ
ロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−
ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレング
リコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレン
グリコール;シクロヘキサンジメタノール、1,3−ジ
オキサン−5,5−ジメタノール;1,4−キシリレン
ジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオール
などが挙げられる。トリオールとしては、トリメチロー
ルプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールブ
タン、グリセロール、1,2,5−ヘキサントリオール
などが挙げられる。テトラオールとしては、ペンタエリ
スリトール、ジトリメチロールプロパン、ジグリセロー
ル、ジトリメチロールエタンなどを挙げることができ
る。芳香環に結合した水酸基を2個以上有する芳香族化
合物としては、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、
1,4−キシリレンジメタノール、1−フェニル−1,
2−エタンジオールなどを挙げることができる。カルボ
キシル基に隣接する炭素原子が飽和炭素原子であり、か
つ該炭素原子上の水素原子がすべて置換され、且つ水酸
基を2個以上有するモノカルボン酸としては、ジメチロ
ールプロピオン酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)
酪酸、α,α,α−トリス(ヒドロキシメチル)酢酸、
α,α−ビス(ヒドロキシメチル)吉草酸、α,α−ビ
ス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸などがある。かか
るモノカルボン酸を使用することにより、エステル分解
反応が抑制され、多分岐ポリエステルポリオールを形成
することができる。また、かかる多分岐状ポリマーを製
造する際に、触媒を使用するのが好ましく、かかる触媒
としては、例えばジアルキルスズオキシド、ハロゲン化
ジアルキルスズ、ジアルキルスズビスカルボキシレー
ト、あるいはスタノキサンなどの有機錫化合物、テトラ
ブチルチタネートなどのチタネート、ルイス酸、パラト
ルエンスルホン酸などの有機スルホン酸などが挙げられ
る。
【0034】エーテル結合を繰り返し構造単位として有
する多分岐状マクロモノマーは、例えば水酸基を1個以
上有する化合物に水酸基を1個以上有する環状エーテル
化合物を反応することにより多分岐状ポリマーとし、次
いで該ポリマーの末端基である水酸基にアクリル酸やメ
タクリル酸などの不飽和酸、イソシアネート基含有アク
リル系化合物、4−クロロメチルスチレンなどのハロゲ
ン化メチルスチレンを反応させて得られるものが挙げら
れる。また、多分岐状ポリマーの製法としては、Wil
liamsonのエーテル合成法に基づいて、水酸基を
1個以上有する化合物と、2個以上の水酸基とハロゲン
原子、−OSOOCH又は−OSO CHを含有
する化合物とを反応する方法も有用である。
【0035】水酸基を1個以上有する化合物としては、
前記するものが使用することができる。水酸基を1個以
上有する環状エーテル化合物としては、3−エチル−3
−(ヒドロキシメチル)オキセタン、2,3−エポキシ
−1−プロパノール、2,3−エポキシ−1−ブタノー
ル、3,4−エポキシ−1−ブタノールなどが挙げられ
る。Williamsonのエーテル合成法に於いて使
用される水酸基を1個以上有する化合物としては、前記
したものでよいが、芳香環に結合した水酸基を2個以上
有する芳香族化合物が好ましい。かかる化合物の代表的
なものとしては、1,3,5−トリヒドロキシベンゼ
ン、1,4−キシリレンジメタノール、1−フェニル−
1,2−エタンジオールなどが挙げられる。また、2個
以上の水酸基とハロゲン原子、−OSOOCH又は
−OSOCHを含有する化合物としては、5−(ブ
ロモメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−エ
チル−2−(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオー
ル、2−メチル−2−(ブロモメチル)−1,3−プロ
パンジオール、2−(ブロモメチル)−2−(ヒドロキ
シメチル)−1,3−プロパンジオールなどが挙げられ
る。なお、上記多分岐状ポリマーを製造する際には、通
常触媒を使用するのが好ましく、かかる触媒としては例
えばBFジエチルエーテル、FSOH、ClSO
H、HClOなどを挙げることができる。
【0036】また、アミド結合を繰り返し構造単位とし
て有する多分岐状マクロモノマーとしては、例えば分子
中にアミド結合を窒素原子を介して繰り返し構造となっ
たものがあり、Dentoritech社製のゼネレー
ション2.0(PAMAMデントリマー)が代表的なも
のである。
【0037】多分岐状マクロモノマーに導入される、分
岐末端の二重結合の数が多いほど、スチレンとの共重合
体である多分岐状ポリスチレンの分岐度が高くなる。本
発明に用いる多分岐状マクロモノマーの分岐度(DB)
は、下記の式3により定義され、分岐度(DB)の範囲
は0.3〜0.8が好ましい。
【0038】
【式3】DB=(D+L)/(D+T+L)
【0039】(式中、Dはデンドリックユニットの数、
Lは線状ユニットの数、Tは末端ユニットの数を表す)
【0040】なお、上記D、LおよびTは、13C−N
MRにより測定できる活性メチレン基及びその反応に由
来する第2、第3、第4炭素原子数または第1、第2、
第3窒素原子数等により求めることができ、例えばDは
第4炭素原子数または第3窒素原子数に、Lは第3炭素
原子数または第2窒素原子数に、Tは第2炭素原子数ま
たは第1窒素原子数に相当する。
【0041】本発明において使用する多分岐状マクロモ
ノマーの質量平均分子量は、多分岐状ポリスチレンの質
量平均分子量を1000万以下に制御するために、10
00〜15000であることが好ましく、2000〜5
000であることがより好ましい。
【0042】多分岐状マクロモノマーに導入される芳香
環に直接結合した二重結合の含有量は、多分岐状マクロ
モノマー1g当たり0.1ミリモル〜5.5ミリモルで
あることが好ましく、0.5ミリモル〜3.5ミリモル
がなお好ましい。0.1ミリモルより少ない場合は、高
分子量の多分岐状ポリスチレンが得られにくく、5.5
ミリモルを超える場合は、多分岐状ポリスチレンの分子
量が過度に増大する。
【0043】前記多分岐状マクロモノマーとスチレンと
を重合させることにより、多分岐状マクロモノマーとス
チレンとの共重合体である多分岐状ポリスチレンと、同
時に生成する線状ポリスチレンとの混合物である本発明
のスチレン樹脂組成物が得られる。
【0044】重合反応には公知慣用のスチレンの重合方
法を使用することができる。重合方式には特に限定はな
いが、塊状重合、懸濁重合、あるいは溶液重合が好まし
い。重合開始剤を使用せずに熱重合させることもできる
が、慣用のラジカル重合開始剤を使用するのが好まし
い。また、重合に必要な懸濁剤や乳化剤などのような重
合助剤は、通常のポリスチレンの製造に使用される慣用
のものを使用できる。
【0045】スチレンに対する多分岐状マクロモノマー
の配合率は、質量基準で50ppm〜1%が好ましく、
100ppm〜2000ppmがより好ましい。多分岐
状マクロモノマーの配合率が50ppmより少ない場合
は、本発明の十分な効果が得られにくい。
【0046】重合反応での反応物の粘性を低下させるた
めに、反応系に有機溶剤を添加してもよく、その有機溶
剤は、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、アセトニ
トリル、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼ
ン、アニソール、シアノベンゼン、ジメチルフォルムア
ミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルエチルケ
トン等が挙げられる。
【0047】特に多分岐状マクロモノマーの添加量を多
くしたい場合には、ゲル化を抑制する観点からも有機溶
剤を使用することが好ましい。これにより、先に示した
多分岐状マクロモノマーの添加量を飛躍的に増量させる
ことができ、ゲル化が生じない。
【0048】用いるラジカル重合開始剤としては、特に
制限はなく、公知慣用の例えば、1,1−ビス(t−ブ
チルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−
ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ
−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパー
オキシケタール類、
【0049】クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチ
ルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド
類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキ
サイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド等のジアルキ
ルパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、ジシ
ナモイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド
類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチ
ルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシイ
シプロピルモノカーボネート等のパーオキシエステル
類、
【0050】N,N’−アゾビスイソブチルニトリル、
N,N’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニト
リル)、N,N’−アゾビス(2−メチルブチロニトリ
ル)、N,N’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニ
トリル)、N,N’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチ
ル)プロピオニトリル]等が挙げられ、これらの1種あ
るいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0051】更にスチレン樹脂組成物の分子量が過度に
大きくなりすぎないように連鎖移動剤を添加してもよ
い。連鎖移動剤としては、連鎖移動基を1つ有する単官
能連鎖移動剤でも連鎖移動剤を複数有する多官能連鎖移
動剤を使用できる。単官能連鎖移動剤としては、アルキ
ルメルカプタン類、チオグリコール酸エステル類等が挙
げられる。
【0052】多官能連鎖移動剤としては、エチレングリ
コール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロ
パン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトー
ル、トリペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価
アルコール水酸基をチオグリコール酸または3−メルカ
プトプロピオン酸でエステル化したものが挙げられる。
【0053】本発明のスチレン樹脂組成物を製造するに
は、上述のように多分岐状マクロモノマーとスチレンと
を上記の1段で重合させる方法の他に、予め別々に合成
した線状ポリスチレンと多分岐状ポリスチレンとを混合
し任意の多分岐状ポリスチレンと線状ポリスチレンとの
混合比を有するスチレン樹脂組成物を製造してもよい。
【0054】本発明のスチレン樹脂組成物は、多分岐状
ポリスチレンと線状ポリスチレンとが分子レベルで均一
に分散混合され絡み合っているために、折り曲げ試験な
どで従来の線状ポリスチレンにはなかった優れた耐折れ
強度を示す。多分岐状ポリスチレンと線状ポリスチレン
とが分子レベルで均一に分散混合され絡み合うことが出
来る観点からは、別途、製造した多分岐状ポリスチレン
と線状ポリスチレンとを混合するよりも、多分岐状マク
ロモノマーとスチレンとの1段重合の方が好ましく、ま
た製造効率の点からも1段重合の方が好ましい。
【0055】本発明のスチレン樹脂組成物をゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)で分子量測定
すると、線状ポリスチレンに由来するピークが低分子量
側に、多分岐状ポリスチレンに由来するピークが高分子
量側に現れ、両ピークの面積比から両ポリスチレンの組
成比と、それぞれのポリスチレンの質量平均分子量を決
定することができる。
【0056】本発明のスチレン樹脂組成物は、成形品と
して良好なメルトテンションや耐折れ強度等の強度を有
しながら、かつ高いメルトマスフローレイトを有して成
形加工性が良好であるために、スチレン樹脂組成物に含
まれる線状ポリスチレンの質量平均分子量は20万〜3
5万であり、また多分岐状ポリスチレンの質量平均分子
量は100万〜1000万であり、より好ましくは20
0万〜500万である。多分岐状ポリスチレンの質量平
均分子量が100万未満であると十分な強度が得られ
ず、1000万を超えると良好な成形加工性が得られな
い。
【0057】更にスチレン樹脂組成物の質量平均分子量
は25万〜70万であり、より好ましくは28万〜50
万である。また樹脂組成物中の線状ポリスチレンと多分
岐状ポリスチレンの質量比は、線状ポリスチレン:多分
岐状ポリスチレンが99.1:0.9から75:25が
好ましく、より好ましくは、99:1から85:15で
ある。
【0058】本発明のスチレン樹脂組成物には、従来の
線状ポリスチレンでは見られなかった超高分子量の多分
岐状ポリスチレンを含むが、本発明のスチレン樹脂組成
物は、このような超高分子量成分を含んでいても、ゲル
化が実質的に生じないために、有機溶媒に容易に溶解す
る。
【0059】本発明のスチレン樹脂組成物のメルトマス
フローレイトは、質量平均分子量との関係で式1を満足
するものであり、かつ同じ質量平均分子量を有する従来
の線状ポリスチレンのメルトマスフローレイトよりも高
い値を有する。
【0060】
【式1】MFR(g/10min)≧45×exp(−
0.1×Mw×10−4
【0061】(式中、MFRとMwは、それぞれスチレ
ン樹脂組成物のメルトマスフローレイトおよび質量平均
分子量を表す) なお、メルトマスフローレイト(MFR、g/10mi
n)とは、JIS K7210:99の方法に従って、
200℃、加重49Nで測定した値を言いう。
【0062】スチレン樹脂組成物のMFRが式(1)か
ら算出された値より低い場合は、良好な成形加工性が得
られない。
【0063】また本発明のスチレン樹脂組成物の強度と
成形加工性を示す指標となるメルトテンション(MT)
も同じく質量平均分子量との関係で式2を満足するもの
である。かつ同じ質量平均分子量を有する従来の線状ポ
リスチレンのメルトテンションよりも高い値を有する。
【0064】
【式2】MT(g)≧0.07Mw×10−4+1.8
【0065】(式中、MTとMwは、それぞれスチレン
樹脂組成物のメルトテンションおよび質量平均分子量を
表す)
【0066】メルトテンション(MT)とは、樹脂の溶
融時の引張張力を示すものであり、樹脂のタフネスや成
形性の指標となる。メルトテンションが高いほど、樹脂
の引張張力が大きく、押出成形時の生産速度を上げるこ
とが出来る。
【0067】本発明におけるメルトテンション(MT)
は、キャピログラフ(東洋精株式会社製 1B型)を用
い、キャピラリーが、長さ(L)50.80mm、直径
(D)1.27mmのものであり、バレルの直径(B)
が9.55mm、シェアレートが60m/sである際
に、試料の溶融粘度が1300Pa・sとなる温度で、
ストランドの引取速度を20m/minとした時に測定
したMT(g)の値をいう。スチレン樹脂組成物のMT
が式(2)から算出された値より低い場合は、樹脂組成
物のタフネスや成形加工性が劣る。
【0068】本発明の多分岐状ポリスチレンを含有する
スチレン樹脂組成物は、高分子量でありながら、同等の
分子量を有する従来の線状ポリスチレンと比較して、メ
ルトマスフローレイトが高く、スチレン樹脂組成物の製
造時ならびに成形加工時の流動性に優れ、優れた生産性
ならびに加工性が有する。このため、射出成形、押出成
形、真空成形、圧空成形、押出発泡成形、カレンダー成
形、ブロー成形などの成形方法による各種成形品として
従来よりも広い用途に使用することができる。
【0069】
【実施例】以下に実施例を用いて本発明を更に具体的に
説明する。本発明はもとより、これらの実施例の範囲に
限定されるべきものではない。次に用いた測定方法につ
いて説明する。
【0070】(GPC測定法)高速液体クロマトグラフ
ィー(東ソー株式会社製HLC−8220GPC)、R
I検出器、TSKgel G6000H×1+G5000H
×1+G4000H×l+G3000H×l+TSKguar
d columnH×l-H、溶媒THF、流速1.0ml/分、
温度40℃にて測定した。
【0071】クロマトグラフの解析はマルチステーショ
ンGPC−8020にて行い、2つ現れたピークを解析
ソフトにて分離し、線状ポリスチレンと多分岐状ポリス
チレンの各々の質量平均分子量を求め、結果を表1から
3に示した。表中のP1Mw、P2Mwは線状ポリスチ
レンと多分岐状ポリスチレンの各々の質量平均分子量を
示す。またピークの分離解析を実施する前の樹脂組成物
全体の質量平均分子量を全体Mw、検出された最大のM
wを最大Mwとして表中に示した。
【0072】実施例2のクロマトグラフを図2に示し
た。横軸がリテンションタイム、縦軸がピーク強度であ
り、リテンションタイムが小さい成分ピークほど高い分
子量を有する。図中、実線は測定結果により得られたピ
ーク、破線は解析結果により得られたピークを表す。高
分子量側のピークが多分岐状ポリスチレン(P2)、低
分子量側のピークが線状ポリスチレン(P1)である。
【0073】(NMR測定法)核磁気共鳴分光法(
−NMR)により多分岐状マクロモノマーのエチレン性
二重結合の量を求め、試料質量当たりのモル数で示し
た。また13C−NMRにより、活性メチレン基及びそ
の反応に由来する第2、第3、第4炭素原子数を求める
ことにより、多分岐状マクロモノマーの分岐度を求め
た。
【0074】(メルトマスフローレイト測定法)JIS
K7210:99に従って測定した。なお測定条件
は、温度200℃。荷重49Nである。
【0075】(メルトテンション測定法)キャピログラ
フ(東洋精株式会社製 1B型)を用いてメルトテンシ
ョンを求めた。使用装置のキャピラリーは、長さ(L)
50.80mm、直径(D)1.27mmのものであ
り、バレルの直径(B)が9.55mmでシェアレート
が60m/sである際に、試料の溶融粘度が1300P
a・sとなる温度で、ストランドの引取速度を20m/
minとした時のMT(g)を測定した。
【0076】(ガラス転移温度測定法)サンプルの0.
4mm厚のフィルムを作製し、動的粘弾性装置(レオメ
トリックス社製DMA)によりガラス転移温度(Tg)
を求めた。
【0077】(トルエン不溶分測定法)試料をトルエン
に1g/100mlの濃度にて溶解後、溶液中の不溶分
を12000rpmで30分間、遠心分離した。遠心分
離されたトルエン不溶分を乾燥し、乾燥後の質量を求め
次式によりトルエン不溶分を求めた。トルエン不溶分
(%)=[乾燥後の不溶分質量/試料の質量]×100
【0078】(耐折れ強度測定法)熱プレスにより成形
した原板を単発二軸延伸機により0.2mm厚のシート
を得た。延伸温度は130℃。延伸倍率は縦横共に2.
3倍とした。このシートの一部をJIS P−8115
に準拠し、折り曲げ破断する回数により耐折れ強度を求
めた。
【0079】(参考例1)多分岐状マクロモノマー(M
−m1)の合成 撹拌装置、滴下ロート、温度計、窒素導入装置およびバ
ブラーを備えた1000mlの茄子型フラスコに、4−
ブロモジ(エチレンオキシ)フェニルアセトニトリル3
5gを窒素雰囲気下にて800mlジメチルスルフォキ
シド(DMSO)に溶解した。水浴にて内温を30℃と
した後、66mlの50%水酸化ナトリウム水溶液を滴
下した。30℃に保持したまま2時間撹拌し多分岐状マ
クロモノマーの前駆体を得た。更に該反応物に56.6
gの4−クロロメチルスチレンを滴下し2時間撹拌する
ことにより、多分岐状マクロモノマー溶液を得た。
【0080】得られた溶液を濾過して固形分を除き、こ
の濾液を225mlの5モル/L塩酸水溶液を含むメタ
ノール5L中に投入し多分岐状マクロモノマーを沈殿さ
せた。沈殿した多分岐状マクロモノマーを吸引ろ過し、
蒸留水、メタノールの順で3回繰り返し洗浄した。得ら
れた多分岐状マクロモノマーを24時間減圧下で乾燥
し、多分岐状マクロモノマー(M−m1)24gを得
た。
【0081】得られた多分岐状マクロモノマー(M−m
1)をGPCにより測定した結果、質量平均分子量は1
1,000であった。またH−NMRの測定結果か
ら、芳香環に直接結合した二重結合導入量は2.66ミ
リモル/gであることが確認された。分岐度は0.6で
あった。
【0082】(参考例2)多分岐状マクロモノマー(M
−m2)の合成 参考例1における4−ブロモジ(エチレンオキシ)フェ
ニルアセトニトリルの代わりに4−トシルオキシジ(エ
チレンオキシ)フェニルアセトニトリルを用いた以外
は、参考例1と同様にして、25gの多分岐状マクロモ
ノマー(M−m2)を得た。得られた多分岐状マクロモ
ノマー(M−m2)の質量平均分子量は5,800であ
った。またH−NMRの測定結果から芳香環に直接結
合した二重結合導入量は2.04ミリモル/gであっ
た。
【0083】(参考例3)多分岐状マクロモノマー(M
−m3)の合成 参考例2における66mlの50%水酸化ナトリウム水
溶液の代わりに、6.6mlの50%水酸化ナトリウム
水溶液とした以外は、参考例2と同様にして、29gの
多分岐状マクロモノマー(M−m3)を得た。得られた
多分岐状マクロモノマー(M−m3)の質量平均分子量
は7,000であった。またH−NMRの測定結果か
ら、芳香環に直接結合した二重結合導入量は1.84ミ
リモル/gであることが確認された。
【0084】(参考例4)多分岐状マクロモノマー(M
−m4)の合成 <多分岐ポリエーテルポリオール1の合成>攪拌機、温
度計、滴下ロート及びコンデンサーを備えた2リットル
フラスコに、室温下、エトキシ化ペンタエリスリトール
(5モル−エチレンオキシド付加ペンタエリスリトー
ル)50.5g、BF3ジエチルエーテル溶液(50パー
セント)1gを加え、110℃に加熱した。これに3―
エチルー3―(ヒドロキシメチル)オキセタン 450
gを、反応による発熱を制御しつつ、35分間でゆっく
り加えた。発熱が収まったところで、反応混合物をさら
に120℃で3.5時間撹拌し、その後、室温に冷却し
た。得られた多分岐ポリエーテルポリオールの重量平均
分子量は3,500、水酸基価は510であった。
【0085】<メタアクリロイル基及びアセチル基を有
する多分岐ポリエーテル1の合成>攪拌機、温度計、コ
ンデンサーを備えたディーンスタークデカンター及び気
体導入管を備えた反応器に、上述の<多分岐ポリエーテ
ルポリオール1の合成>で得られた多分岐ポリエーテル
ポリオール50g、メタアクリル酸13.8g、トルエ
ン 150g、ヒドロキノン 0.06g、パラトルエ
ンスルホン酸 1gを加え、混合溶液中に3ミリリット
ル/分の速度で7%酸素含有窒素を吹き込みながら、常
圧下で撹拌し、加熱した。デカンターへの留出液量が1
時間あたり30gになるように加熱量を調節し、脱水量
が2.9gに到達するまで加熱を続けた。反応終了後、
一度冷却し、無水酢酸 36g、スルファミン酸 5.
7gを加え、60℃で10時間撹拌した。その後、残っ
ている酢酸及びヒドロキノンを除去する為に5%水酸化
ナトリウム水溶液50gで4回洗浄し、さらに1%硫酸
水溶液50gで1回、水50gで2回洗浄した。得られ
た有機層にメトキノン0.02gを加え、減圧下、7%
酸素を導入しながら溶媒を留去し、イソプロペニル基お
よびアセチル基を有する多分岐ポリエーテル60gを得
た。得られた多分岐ポリエーテルの質量平均分子量は4
500であり、多分岐ポリエーテルポリオールへのイソ
プロペニル基およびアセチル基導入率は、それぞれ35
%および60%であった。
【0086】(参考例5)多分岐状マクロモノマー(M
−m5)の合成 <スチリル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエーテ
ル1の合成>攪拌機、乾燥管を備えたコンデンサー、滴
下ロート及び温度計を備えた反応器に、上述の<多分岐
ポリエーテルポリオール1の合成>で得られた多分岐ポ
リエーテルポリオール50g、テトラヒドロフラン 1
00g及び水素化ナトリウム4.3gを加え、室温下、
撹拌した。これに4−クロロメチルスチレン 26.7
gを1時間かけて滴下し、得られた反応混合物を50℃
でさらに4時間撹拌した。反応終了後、一度冷却し、無
水酢酸 34g、スルファミン酸 5.4gを加え、6
0℃で10時間撹拌した。その後、減圧下でテトラヒド
ロフランを留去し、得られた混合物をトルエン150g
で溶解させ、残っている酢酸を除去する為に5%水酸化
ナトリウム水溶液50gで4回洗浄し、さらに1%硫酸
水溶液50gで1回、水50gで2回洗浄した。得られ
た有機層から減圧下で溶媒を留去し、スチリル基および
アセチル基を有する多分岐ポリエーテル70gを得た。
得られた多分岐ポリエーテルの質量平均分子量は530
0であり、多分岐ポリエーテルポリオールへのスチリル
基およびアセチル基導入率は、それぞれ40%および5
5%であった。
【0087】(参考例6)多分岐状マクロモノマー(M
−m6)の合成 <スチリル基を有するPAMAMデンドリマーの合成>
攪拌機、乾燥管を備えたコンデンサー、滴下ロート及び
温度計を備えた反応器にPAMAMデンドリマー(商品
名ゼネレーション2.0:Dentritech社製)
のメタノール溶液(20重量パーセント) 50gを加
え、減圧下、撹拌しながらメタノールを留去した。続い
て、テトラヒドロフラン 50g及び微粉化した水酸化
カリウム 2.6gを加え、室温下、撹拌した。これに
4−クロロメチルスチレン 7.2gを10分間かけて
滴下し、得られた反応混合物を50℃でさらに4時間撹
拌した。反応終了後、冷却し、固体を濾過した後に、テ
トラヒドロフランを減圧下、留去し、スチリル基を有す
るPAMAMデンドリマー 14gを得た。得られたデ
ンドリマーのスチリル基含有量は3.0ミリモル/グラ
ムであった。
【0088】(参考例7)多分岐状マクロモノマー(M
−m7)の合成 <スチリル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエーテ
ルポリオール2>攪拌機、コンデンサー、遮光性滴下ロ
ート及び温度計を備え、窒素シールが可能な遮光性反応
容器に、窒素気流下、無水1,3,5−トリヒドロキシ
ベンゼン0.5g、炭酸カリウム 29g、18−クラ
ウン−6 2.7g及びアセトン 180gを加え、撹
拌しながら、5−(ブロモメチル)−1,3−ジヒドロ
キシベンゼン 21.7gとアセトン 180gからな
る溶液を3時間かけて滴下、加えた。その後、5−(ブ
ロモメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼンが消失す
るまで、撹拌下、加熱、還流させた。その後、4−クロ
ロメチルスチレン 10.3gを加え、これが消失する
まで、さらに撹拌下、加熱、還流させた。その後、反応
混合物に無水酢酸 4g、スルファミン酸 0.6gを
加え、室温下、一晩撹拌した。冷却後、反応混合物中の
固体を濾過で除き、溶媒を減圧下で留去した。得られた
混合物をジクロロメタンに溶解し、水で3回洗浄した
後、ジクロロメタン溶液をヘキサンに滴下し、多分岐ポ
リエーテルを沈殿させた。これを濾過し、乾燥させて、
スチリル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエーテル
ポリオール 14gを得た。質量平均分子量は4050
で、スチリル基の含有量は3.3ミリモル/グラムであ
った。
【0089】(参考例8)多分岐状マクロモノマー(M
−m8)の合成 <メタクリロイル基及びアセチル基を有する多分岐ポリ
エステルポリオールの合成>7%酸素導入管、温度計、
コンデンサーを備えたディーンスタークデカンター、お
よび攪拌機を備えた反応容器に、「Boltorn H
20」10g、ジブチル錫オキシド1.25g、官能基
(B)としてイソプロペニル基を有するメチルメタクリ
レート100g、およびヒドロキノン0.05gを加
え、混合溶液中に3ml/分の速度で7%酸素を吹き込
みながら、撹拌下に加熱した。デカンターへの留出液量
が1時間あたり15〜20gになるように加熱量を調節
し、1時間ごとにデカンター内の留出液を取り出し、こ
れに相当する量のメチルメタクリレートを加えながら6
時間反応させた。反応終了後、メチルメタクリレートを
減圧下で留去し、残っているヒドロキシ基をキャッピン
グするために無水酢酸10g、スルファミン酸2gを加
えて室温下、10時間撹拌した。濾過でスルファミン酸
を除去し、減圧下で無水酢酸および酢酸を留去した後
に、残留物を酢酸エチル70gに溶解し、ヒドロキノン
を除去する為に5%水酸化ナトリウム水溶液20gで4
回洗浄した。さらに7%硫酸水溶液20gで2回、水2
0gで2回洗浄した。得られた有機層にメトキノン0.
0045gを加え、減圧下、7%酸素を導入しながら溶
媒を留去し、イソプロペニル基およびアセチル基を有す
る多分岐ポリエステル12gを得た。得られた多分岐ポ
リエステルの質量平均分子量は2860、数平均分子量
は3770であり、多分岐ポリエステルポリオール
(A)へのイソプロペニル基およびアセチル基導入率
は、それぞれ55%および40%であった。
【0090】(実施例1)タービン翼を備えた5リット
ルステンレス製反応器にイオン交換水2000mlを仕
込み、これに懸濁安定剤としてg分ケン化ポリビニルア
ルコール10g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ
0.05gを添加し溶解後、多分岐状マクロモノマー
(M−m1)0.6gを均一に溶解したスチレン100
0g、ベンゾイルパーオキサイド2.8g、t−ブチル
パーオキシベンゾエート0.6gを順次仕込んだ。
【0091】反応器内を窒素ガスで置換後、500rp
mの撹拌下で昇温し、92℃で6時間、懸濁重合させ、
次いで117℃で3時間反応させた。生成した粒状ポリ
スチレン樹脂を洗浄、脱水、乾燥し、980gのスチレ
ン樹脂組成物を得た。この樹脂をシリンダー温度230
℃の押出機で造粒した。得られたスチレン樹脂組成物を
用いて耐折れ強度測定法に記載したシートを作成し、耐
折れ強度を測定した。得られた耐折れ強度は12回であ
った。
【0092】(実施例2)実施例1における多分岐状マ
クロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロモ
ノマー(M−m2)を用いた以外は、実施例1と同様に
してスチレン樹脂組成物を得た。得られたスチレン樹脂
組成物を用いて耐折れ強度測定法に記載したシートを作
成し、耐折れ強度を測定した。得られたスチレン樹脂組
成物の耐折れ強度は13回であった。
【0093】(実施例3)実施例1における多分岐状マ
クロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロモ
ノマー(M−m3)を用いた以外は、実施例1と同様に
してスチレン樹脂組成物を得た。
【0094】(実施例4)実施例1における多分岐状マ
クロモノマー(M−m1)の添加量0.6gを0.2g
とした以外は、実施例1と同様にしてスチレン樹脂組成
物を得た。
【0095】(実施例5)実施例1における多分岐状マ
クロモノマー(M−m1)の添加量0.6gを0.4g
とした以外は、実施例1と同様にしてスチレン樹脂組成
物を得た。
【0096】(実施例6)実施例1における多分岐状マ
クロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロモ
ノマー(M−m4)を用いた以外は、実施例1と同様に
してスチレン樹脂組成物を得た。
【0097】(実施例7)実施例1における多分岐状マ
クロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロモ
ノマー(M−m5)を用いた以外は、実施例1と同様に
してスチレン樹脂組成物を得た。
【0098】(実施例8)実施例1における多分岐状マ
クロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロモ
ノマー(M−m6)を用いた以外は、実施例1と同様に
してスチレン樹脂組成物を得た。
【0099】(実施例9)実施例1における多分岐状マ
クロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロモ
ノマー(M−m7)を用いた以外は、実施例1と同様に
してスチレン樹脂組成物を得た。
【0100】(実施例10)実施例1における多分岐状
マクロモノマー(M−m1)の代わりに多分岐状マクロ
モノマー(M−m8)を用いた以外は、実施例1と同様
にしてスチレン樹脂組成物を得た。
【0101】(比較例1)多分岐状マクロモノマー(M
−m1)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にし
て線状ポリスチレンを得た。得られた線状ポリスチレン
を用いて耐折れ強度測定法に記載したシートを作成し、
耐折れ強度を測定した。得られた線状ポリスチレンの耐
折れ強度は7回であった。
【0102】(比較例2)反応時間を7時間とし、ベン
ゾイルパーオキサイド2.8g、t−ブチルパーオキシ
ベンゾエート0.6gを1,1−ビス(t−ブチルパー
オキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン3.
6g、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.3gとし
た以外は、実施例1と同様にして線状ポリスチレンを得
た。
【0103】(比較例3)ベンゾイルパーオキサイド
2.8g、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.6g
を1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5
−トリメチルシクロヘキサン2.3g、t−ブチルパー
オキシベンゾエート0.5gとした以外は、実施例1と
同様にして線状ポリスチレンを得た。
【0104】(比較例4)スチレンと共に流動パラフィ
ン(出光興産株式会社製 ダフニーオイル CP−50
S)12gを加えた以外は、比較例3と同様にして線状
ポリスチレンを得た。
【0105】(実施例11)多分岐状マクロモノマー
(M−m1)の添加量を1.5gとした以外は、実施例
1と同様にしてスチレン樹脂組成物を得た。
【0106】(実施例12)実施例6で得られたスチレ
ン樹脂組成物と比較例2で得られた線状ポリスチレンと
を質量比7:3で押出機にて溶融混練し、新たな組成の
スチレン樹脂組成物を得た。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
【表3】
【0110】
【表4】
【0111】図3に実施例1〜10と比較例1〜3の質
量平均分子量とMFRとの関係を示した。横軸が分子量
Mw(×10)、縦軸がMFR(g/10min)で
あり、丸印が実施例のスチレン樹脂組成物を、四角印が
比較例の線状ポリスチレンを表す。本発明の多分岐状ポ
リスチレンを含むスチレン樹脂組成物が、高い質量平均
分子量を有しながら、比較的高いMFRを有することが
明らかである。
【0112】表1、2及び3から明かなように、多分岐
状ポリスチレンを含む本発明のスチレン樹脂組成物は、
メルトマスフローレイト、メルトテンション及び同耐折
れ強度が、同じ質量平均分子量を有する従来の線状ポリ
スチレンよりも高い値を有することから、成形加工性と
タフネス及び強度に優れることが明かである。
【0113】
【発明の効果】本発明は、成形加工品としての良好な強
度を有する高い質量平均分子量を有しながら、同じ質量
平均分子量を有する従来の線状ポリスチレンよりもメル
トマスフローレイトやメルトテンションが高く、成形加
工性に優れ、かつ製造時にゲル化しにくいスチレン樹脂
組成物およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 AB型モノマーから誘導される多分岐状マ
クロモノマーの分岐構造を示す模式図である。
【図2】 実施例2の樹脂組成物のGPCクロマトグラ
フである。横軸がリテンションタイムを縦軸がピーク強
度を示す。
【図3】 実施例1〜10と比較例1〜3の質量平均分
子量とMFRとの関係を示す図である。丸は実施例のも
のを、四角は比較例のものを表し、曲線は式(MFR=
45×exp(−0.1×Mw×10−4))に基づい
た質量平均分子量とMFRとの関係を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森田 毅 千葉県千葉市花見川区宮野木台1−25− 15,204 (72)発明者 金 仁華 東京都大田区南千束2−7−7 Fターム(参考) 4J002 BC03W BC04X BC10X 4J027 AA04 AB01 AB10 AC01 AC03 AC06 AD02 AJ02 BA05 CD01

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 20万〜35万の質量平均分子量を有す
    る線状ポリスチレンと、100万〜1000万の質量平
    均分子量を有する多分岐状ポリスチレンからなるスチレ
    ン樹脂組成物が25万〜70万の平均分子量を有し、か
    つメルトマスフローレイト(MFR)およびメルトテン
    ション(MT)が、それぞれ下記式(1)および(2)
    を満足することを特徴とするスチレン樹脂組成物。 【式1】 MFR≧45×exp(−0.1×Mw×10−4) (1) (式中、MFRおよびMwは、それぞれスチレン樹脂組
    成物のメルトマスフローレイトおよび質量平均分子量を
    表す) 【式2】 MT≧0.07Mw×10−4+1.8 (2) (式中、MTおよびMwは、それぞれスチレン樹脂組成
    物のメルトテンションおよび質量平均分子量を表す)
  2. 【請求項2】 前記多分岐状ポリスチレンが、電子吸引
    基と該電子吸引基に結合する結合手以外の3つの結合手
    すべてが炭素原子に結合している飽和炭素原子とからな
    る分岐構造を含有する請求項1に記載のスチレン樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】 前記分岐構造の電子吸引基の含有量が前
    記多分岐状ポリスチレン1g当たり2.5×10−4
    5.0×10−1ミリモルである請求項2に記載のスチ
    レン樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記多分岐状ポリスチレンが、(A)電
    子吸引基と該電子吸引基に結合する結合手以外の3つの
    結合手すべてが炭素原子に結合している飽和炭素原子と
    からなる分岐構造と、芳香環に直接結合した二重結合と
    を含有する多分岐状マクロモノマーと、(B)スチレン
    との共重合体である請求項1に記載の樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記多分岐状マクロモノマーの分岐度が
    0.3〜0.8であり、かつ芳香環に直接結合した二重
    結合の含有量が前記多分岐状マクロモノマー1g当たり
    0.1ミリモル〜5.5ミリモルである請求項4に記載
    のスチレン樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記多分岐状マクロモノマーが、下記の
    一般式1で表される繰り返し単位を含有する分岐鎖を有
    する請求項4に記載のスチレン樹脂組成物。 【化1】 [式中、Yは−CN、−NO、−CONH、−C
    ON(R)、−SOCH、−P(=O)(OR)
    (ここでRはアルキル基またはアリール基を表す)か
    ら成る群から選ばれる電子吸引基であり、Yはアリー
    レン基、−O−CO−または−NH−CO−であり、Z
    は−(CHO−、−(CHCHO)−、−
    (CHCHCHO)−から成る群から選ばれる
    基であり、かつYが−O−CO−または−NH−CO
    −である場合はZは−(CH−、−(CH
    Ar−、−(CHO−Ar−、−(CHCH
    O)−Ar−、または−(CHCH CHO)
    −Ar−(ここでArはアリール基である)を表す]
  7. 【請求項7】 (A)電子吸引基と該電子吸引基に結合
    する結合手以外の3つの結合手すべてが炭素原子に結合
    している飽和炭素原子とからなる分岐構造と芳香環に直
    接結合した二重結合とを含有する多分岐状マクロモノマ
    ーと、(B)スチレンとをラジカル重合させることによ
    り請求項1に記載のスチレン樹脂組成物を製造する方
    法。
  8. 【請求項8】 前記多分岐状ポリスチレンが、エステル
    結合、エーテル結合及びアミド結合から選ばれる繰り返
    し構造単位からなる分岐構造を含有する請求項1に記載
    のスチレン樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 (A)エステル結合、エーテル結合及び
    アミド結合から選ばれる繰り返し構造単位からなる分岐
    構造と、分岐末端の二重結合とを含有する多分岐状マク
    ロモノマーと、(B)スチレンとの共重合体である請求
    項8に記載の樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 前記多分岐状マクロモノマーの分岐度
    が0.3〜0.8であり、分岐末端の二重結合の含有量
    が前記多分岐状マクロモノマー1g当たり0.1ミリモ
    ル〜5.5ミリモルである請求項9に記載のスチレン樹
    脂組成物。
  11. 【請求項11】 (A)エステル結合、エーテル結合及
    びアミド結合から選ばれる繰り返し構造単位からなる分
    岐構造と、分岐末端の二重結合とを含有する多分岐状マ
    クロモノマーと、(B)スチレンとをラジカル重合させ
    ることにより請求項8に記載のスチレン樹脂組成物を製
    造する方法。
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