JP4415523B2 - 多層膜反射鏡、その製造方法、x線露光装置、半導体デバイスの製造方法及びx線光学系 - Google Patents

多層膜反射鏡、その製造方法、x線露光装置、半導体デバイスの製造方法及びx線光学系 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイスなどの製造に用いられる多層膜反射鏡及びその製造方法、多層膜反射鏡を備えたX線露光装置、このX線露光装置を用いた半導体デバイスの製造方法及び多層膜反射鏡を用いたX線光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路素子の微細化の進展に伴い、光の回折限界によって制限される光学系の解像力を向上させるために、従来の紫外線に代わって、これより波長の短いX線を使用した投影リソグラフィー技術が開発されている。この技術に使用されるX線投影露光装置は、主としてX線源、照明光学系、マスク、結像光学系、ウエハステージ等により構成されている。
【0003】
X線の波長域では、透明な物質は存在せず、また物質表面での反射率も非常に低いため、レンズや反射鏡などの通常の光学素子が使用できない。そのため、X線用の光学系は、反射面に斜め方向から入射したX線を全反射を利用して反射させる斜入射反射鏡や、多層膜の各界面での反射光の位相を一致させて干渉効果によって高い反射率を得る多層膜がコーティングされたX線反射鏡等により構成されている。
【0004】
斜入射光学系は収差が大きいために、広い視野で回折限界の解像力を得ることはできない。一方、多層膜反射鏡(多層膜ミラー)はX線を垂直に反射することが可能であり、回折限界のX線光学系を構成することができる。従って、軟X線投影露光装置の投影光学系(結像光学系)は、すべて多層膜反射鏡で構成されている。
【0005】
このようなX線多層膜反射鏡は、シリコンのL吸収端(12.3nm)の長波長側でモリブデンとシリコンからなる多層膜を用いたときに最も高い反射率が得られるが、波長13〜15nmでは入射角によらず70%程度である。シリコンのL吸収端よりも短波長側では、垂直入射で30%以上の反射率が得られる多層膜は殆ど開発されていない。多層膜反射鏡の基板材料には、形状精度が良く表面粗さの小さい加工が可能な、石英や低熱膨張ガラス等のガラス材料が用いられている。
【0006】
最近、山本によって多層膜ミラーの表面を一層ずつ削り取ることによって、実質的にサブnmの形状誤差を補正することのできる画期的な技術が報告された(M. Yamamoto, 7th International Conference on Synchrotron Radiation Instrumentation, Berlin Germany, August 21-25, 2000, POS2-189)。図5をもって、その原理を説明する。
【0007】
図5(a)に示すように、A,B二種類の物質を一定の周期長dで交互に積層した多層膜の表面から、図5(b)に示すように一層対を除去する場合を考える。図5(a)で、多層膜表面に対して垂直方向に進行する光線に対する、厚さdの多層膜一層対の光路長は、OP=nAA+nBBで与えられる。ここでdA,dBは各層の厚さを表し、dA+dB=dである。nA,nBは物質A,Bそれぞれの屈折率である。
【0008】
図5(b)で、最表面の多層膜一層対を除去した厚さdの部分の光路長は、OP’=ndで与えられる。nは真空の屈折率を表し、n=1である。多層膜の最上層を除去することによって、そこを通過する光線が進む光学的距離が変化することになる。これは、実質的にその変化分だけ面形状を修正したことと光学的に等価である。
【0009】
光路長の変化(即ち、面形状の変化)は、Δ=OP’−OPで与えられる。軟X線の波長域では、物質の屈折率が1に近いので、Δは小さな量となり、本方法により精密な面形状の補正が可能になる。具体例として、波長13.4nmでMo/Si多層膜を用いた場合を示す。直入射で使用するために、d=6.8nm、dMo=2.3nm、dSi=4.5nmとする。この波長での屈折率は、nMo=0.92、nSi=0.998である。これらの数値を用いて光路長の変化を計算すると、OP=6.6nm、OP’=6.8nm、Δ=0.2nmとなる。厚さ6.8nmの層を除去する加工によって、0.2nm相当の面形状の補正を行うことが出来る。
【0010】
なお、Mo/Si多層膜の場合、Si層の屈折率は1に近いので、光路長の変化は主としてMo層の有無によるものであり、Si層の有無には殆ど依存しない。従って、多層膜の層を除去する際に、Si層の厚さを正確に制御する必要は無い。この例ではSi層の厚さは4.5nmであり、この層の途中で加工が停止すれば良い。即ち、数nmの精度の加工を施すことによって0.2nm単位の面形状補正を行うことができる。
【0011】
なお、多層膜の反射率は積層数とともに増加して一定の層数を越えると飽和して一定になる。予め反射率が飽和するのに充分な層数を積層しておけば、表面から多層膜の一部を除去しても反射率の変化は生じない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
この様に、X線を使用した投影リソグラフィー技術の実現に向けての工夫がなされてきているが、上記X線投影露光装置の構成では、まだ課題も残されている。 上述した波面補正は非常に有効であるが、面形状の補正は多層膜の一層対を剥がす毎に不連続に行われる。このような不連続な加工を行うと、一層対剥離する部分の縁では必ず位相が不連続になる。位相が不連続になると、そこで光が散乱してしまうため、光量が減衰したり、散乱がバックグラウンドノイズを大きくし、良好な光学像が得られなくなってしまう。
【0013】
また、位相の不連続を防ぐために多層膜が一層対剥離された縁をなだらかに成形することも考えられる。しかし、単純になだらかにするだけでは、多層膜反射鏡によって反射形成される波面の屈曲が起き、屈曲した部分でやはり光の散乱が起こり、良好な光学像が得られなくなってしまう。
【0014】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、入射波面に対する反射波面の屈曲を抑制するように多層膜の表面を除去加工して多層膜の面形状を補正した多層膜反射鏡及びその製造方法、多層膜反射鏡を備えたX線露光装置、このX線露光装置を用いた半導体デバイスの製造方法及びX線光学系を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る多層膜反射鏡の製造方法は、屈折率の異なる少なくとも二種類以上の物質を交互に所定の周期長で積層してなる多層膜を基板上に成膜した多層膜反射鏡に対し、前記多層膜の表面を除去加工することによって、反射面内の反射波面の位相を補正した多層膜反射鏡の製造方法において、前記補正された反射波面が滑らかに接続するように多層膜の表面を除去加工することを特徴とする。
【0016】
上記多層膜反射鏡の製造方法によれば、補正された反射波面が滑らかに接続するように多層膜の表面を除去加工している。従って、入射波面に対する反射波面の屈曲を抑制することができる。
【0017】
また、本発明に係る多層膜反射鏡の製造方法においては、前記多層膜の表面を除去加工する際、屈折率の低い物質からなる層の加工面が緩やかな傾斜となるように加工し、屈折率の高い物質からなる層の加工面が急峻な傾斜となるように加工することが好ましい。
【0018】
また、本発明に係る多層膜反射鏡の製造方法においては、前記多層膜の表面を除去加工する際、除去加工後に露出する多層膜の表面の二種類以上の物質の境界において前記補正された反射波面が滑らかに接続するように、多層膜を構成する二種類以上の物質の各々の除去速度の比率を、各々の物質の真空の屈折率と物質の屈折率の差の逆数の比率と同じにして多層膜の表面を除去加工することが好ましい。
【0019】
本発明に係る多層膜反射鏡は、基板と、この基板上に形成され、屈折率の異なる少なくとも二種類以上の物質を交互に所定の周期長で積層してなる多層膜と、前記多層膜の反射波面の位相を補正するために、前記多層膜の表面が除去された除去部と、を具備し、前記除去部は、補正された反射波面が滑らかに接続するように多層膜の表面が除去加工されたものであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る多層膜反射鏡においては、前記除去加工された多層膜の加工面において、屈折率の低い物質からなる層の加工面が緩やかな傾斜となっており、屈折率の高い物質からなる層の加工面が急峻な傾斜となっていることが好ましい。
【0021】
また、本発明に係る多層膜反射鏡においては、前記多層膜を構成する二種類以上の物質の各々の除去速度の比率を、各々の物質の真空の屈折率と物質の屈折率の差の逆数の比率と同じにして、多層膜の表面を除去加工した後に露出する多層膜の表面の二種類以上の物質の境界において、前記補正された反射波面が滑らかに接続されていることが好ましい。
【0022】
本発明に係るX線露光装置は、X線を発生させるX線源と、このX線源からのX線をマスクに導く照明光学系と、前記マスクからのX線を感光性基板に導く投影光学系とを有し、前記マスクのパターンを感光性基板へ転写するX線露光装置において、前記照明光学系、前記マスク及び前記投影光学系のうちの少なくとも一つに前記多層膜反射鏡を有することを特徴とする。
【0023】
上記X線露光装置によれば、多層膜反射鏡をX線露光装置の照明光学系、マスク及び投影光学系のうちの少なくとも一つに組み込むことにより、入射波面に対する反射波面が二種類以上の物質からなる各々の層の境界で波面の屈曲を抑制できる。このため、波面の屈曲に起因する散乱を抑制でき、良好な光学性能を発揮することが出来る。
【0024】
本発明に係る半導体デバイスの製造方法は、半導体デバイスを製造する方法であって、前記X線露光装置を用いて、前記マスクのパターンをレジストが塗布されている基板上に転写する工程を有することを特徴とする。
【0025】
本発明に係るX線光学系は、前記多層膜反射鏡を用いて構成されたものであることを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
前述の山本によって報告されたように多層膜を除去加工することは、多層膜鏡の形状を補正する有効な手段であるが、単に多層膜を除去しただけでは、多層膜によって反射、形成される波面に屈曲が起こるので問題がある。多層膜を構成する二種類の物質は、それぞれ異なる屈折率を持っているため、それぞれの物質において同じ量だけ加工すると、二種類の物質の境界でどうしても波面の屈曲が起こってしまう。たとえば、Mo/Si多層膜をある傾きで斜めに削ると、Si層ではほとんど位相が変化しないため、Si層ではほとんど波面が傾くことが無い。一方、Mo層では位相が変化するので、形成される波面はやや傾く。
【0027】
定量的に表現すれば、多層膜をある傾きΔX’で削った場合、形成される波面の傾きは、−2(1−n)×(多層膜の傾き)で求められるので、−2(1−n)ΔX’となる。ここで、nは物質の屈折率である。各層で反射、形成される波面の傾きを計算すると、Si層の場合は、−0.004ΔX’となり、Mo層の場合は−0.16ΔX’となり、Mo層はSi層の40倍傾くことになるので、どうしても波面の屈曲が起こってしまう。
【0028】
上述のように、多層膜反射鏡によって反射、形成される波面に、急峻な屈曲があると、そこで散乱が生じてしまう。本発明においては、多層膜反射鏡によって形成される反射波面の屈曲をなくすために、屈折率の低い層(Mo/Si多層膜の場合はMo層)は緩やかに加工し、屈折率の高い層(Mo/Si多層膜の場合はSi層)は急峻に加工する。これにより、結果として本発明による多層膜鏡によって形成される波面が滑らかに連続するように加工する。このようにすれば、多層膜鏡によって形成される波面に、急峻な屈曲がなく、屈曲による散乱のない多層膜反射鏡を得ることが出来る。
【0029】
また、多層膜反射鏡で反射形成される波面の微分値を連続にするために、多層膜の除去加工を行う。多層膜を構成する2つの物質の除去速度(除去加工時の加工速度)の比率を、2つの物質の真空の屈折率と物質の屈折率の差の逆数の比率と同じにして加工することで、結果として滑らかな波面が得られる。つまり、多層膜を構成する物質をA,Bとし、それぞれの物質の屈折率nA、nBとする。A層とB層の除去速度をそれぞれR/(1−nA)、R/(1−nB)として多層膜を斜めに削れば、A層の傾きはX’/(1−nA)、B層の傾きはX’/(1−nB)となる。ここでRは単位除去速度、X’は多層膜の単位傾きである。この時の多層膜の反射で形成される波面の傾きは、−2(1−n)×(多層膜各層の傾き)で与えられるので、A層、B層の双方に対して−2X’となり、A層とB層の境界で波面の屈曲が起きない。このとき、A層とB層の境界部分のみの反射波面の傾きがほぼ同じになるように多層膜を除去加工しても良い。
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0031】
図1は、本発明に係る第1の実施の形態による多層膜の除去加工方法及びそれにより製作された多層膜反射鏡を説明する断面図である。
【0032】
図1に示す多層膜反射鏡は、反射鏡基板1と、その上に形成された多層膜2と、から構成されている。この多層膜2は、屈折率の異なる少なくとも二種類以上の物質を交互に所定の周期長で積層してなるものであって、Mo層2a及びSi層2bからなるMo/Si多層膜である。このMo/Si多層膜はX線露光装置に好適な波長13nmで反射率が高いものである。このMo/Si多層膜は反射波長が13nmになるように多層膜の周期長が決定されている。
【0033】
次に、多層膜を除去加工する方法について説明する。
多層膜反射鏡は、X線露光装置のX線光学系を構成する多層膜反射鏡のうちの1枚であり、多層膜成膜後に一度投影光学系として組み立てて調整がなされ、露光波長である波長13nmを用いた干渉計において光学系全体として波面収差が測定される。この波面収差を改善するために、この多層膜反射鏡における反射波面をどのように修正すればよいかが計算され、その修正波面を得るために多層膜を鏡上のどの位置でどれだけ除去すればよいかの計算がなされる。
【0034】
上記の計算から、この多層膜反射鏡の中央部をわずかに変形させるよう、多層膜の一部を除去する補正加工を行う。これにより、多層膜鏡によって形成される波面に、急峻な屈曲がなく、屈曲による散乱のない多層膜反射鏡を得ることが出来る。
【0035】
前述したように、多層膜を構成する2つの物質に対する除去速度の比は、それぞれの物質の真空の屈折率と物質の屈折率の差の逆数の比率と同じにすればよい。従って、本実施の形態によるMo/Si多層膜では、Mo層とSi層の屈折率をそれぞれnMo、nSiとすると、Mo層とSi層の除去速度の比は1/(1−nMo):1/(1−nSi)=12.5:500とすることで、滑らかな波面を形成した多層膜鏡が得られる。
【0036】
上記除去速度の比率で多層膜を斜めに削ると、Mo層の傾きはX’/(1−nMo)となり、Si層の傾きはX’/(1−nSi)となる。この時の多層膜の反射で形成される波面の傾きは、−2(1−n)×(多層膜各層の傾き)となるので、Mo層、Si層の双方に対して−2X’となり、Mo層とSi層の境界で波面の屈曲が起きない。
【0037】
多層膜2を構成する2つの物質の除去加工の具体的な方法としては、リアクティブイオンエッチング(RIE)を用いることが可能である。RIEを用いる理由は、RIEは一般に物質によって異なる除去速度をもつ加工方法であるため、多層膜を構成するMoとSiに対して、加工条件を変えながら除去速度の測定を行い、除去速度が最適になるよう、加工条件を決めることができるからである。なお、物質によって異なる除去速度をもつ加工方法であれば、RIE以外の方法で多層膜の除去加工を行うことも可能である。例えば、通常の研磨工程を使用し、それぞれの層に対して加工速度が最適になるよう、加工条件を決めて除去加工を行うことも可能である。
【0038】
このようにして作成した多層膜鏡をX線光学系に組み込むと、入射波面3に対する反射波面4がMo層とSi層の境界で波面の屈曲が起きないため、波面の屈曲に起因する散乱などがなく、良好な光学性能を発揮することが出来る。
【0039】
図2は、図1に示す波面の屈曲が起きない補正加工を行った多層膜反射鏡を備えたX線露光装置の一例を概略的に示す構成図である。
【0040】
X線投影露光装置は、図2に示すように主としてX線源5、照明光学系6、反射マスク7を載置するマスク移動ステージ13、投影光学系8、ウエハ(感光性基板)12を載置するウエハ移動ステージ9などにより構成されている。X線源5としてはプラズマフォーカス光源を使用している。プラズマフォーカス光源から輻射されたX線は、X線反射鏡10に入射し、波長13nmのX線のみが反射され、厚さ0.15nmのジルコニウム(Zr)からなる可視光カットX線透過フィルター11を透過後、照明光学系6に入射する。
【0041】
この入射されたX線は、照明光学系6により照明領域を円弧状に整形し、IC回路パターンが形成されている反射マスク7を照明する。反射マスク7で反射したX線は投影光学系8により1/4に縮小され、レジストが塗布されたウエハ12上に結像される。このとき、ウエハ12と反射マスク7はそれぞれウエハ移動ステージ9とマスク移動ステージ13上に取り付けられ、これらステージ9、13は同期してスキャンすることで、25×25mm角のICチップ全面を露光できるようになっている。なお、この露光装置は、レジスト上で0.07μm L/SのICパターンが露光できるものである。
【0042】
上記X線の波長域では透明な物質は存在しないので、マスク7には従来の透過型のマスクではなく反射型のマスクが使用される。X線は大気に吸収されて減衰するため、その光路は全て所定の真空度(例えば、1×10-5Torr以下)に維持されている。前記照明光学系6、前記マスク7及び前記投影光学系8のうちの少なくとも一つに多層膜反射鏡を有する。
【0043】
上記X線露光装置においては、先に説明した反射形成される波面に屈曲のない多層膜鏡を主として投影光学系8に組み込んで使用する。このようにして投影光学系8を構成すると、多層膜の補正加工により波面収差量が小さく、かつ、波面の屈曲による散乱が少ない良好な光学性能を発揮することができ、反射マスクパターンの良好な転写像が得られる。
【0044】
図3は、本発明に係る実施の形態による半導体デバイスの製造方法の一例を示すフローチャートである。この半導体デバイスの製造方法は、以下の各主工程を含むものである。
【0045】
(1)ウエハを製造するウエハ製造工程(又はウエハを準備するウエハ準備工程)である。このウエハ製造工程は、例えばシリコン単結晶を成長させ、ウエハ状に切断し、その表面を研磨してウエハを製造するものである。
(2)露光に使用するマスクを製作するマスク製造工程(又はマスクを準備するマスク準備工程)である。このマスク製造工程は、多層膜反射鏡を製作し、この多層膜にパターンを形成し、反射面内の反射波面の位相を補正して製造するものである。
【0046】
(3)ウエハに必要な加工処理を行うウエハプロセッシング工程である。このウエハプロセッシング工程は、例えば、ウエハ上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法又はスパッタリングにより薄膜を成膜する工程、ウエハ上を酸化することにより酸化膜を形成する工程、リソグラフィー工程、ウエハ上の薄膜をドライエッチングする工程、ウエハに不純物イオンをイオン注入する工程、洗浄工程などを含むものである。
【0047】
(4)ウエハ上に形成されたチップを1個ずつ切り出し、動作可能にならしめるチップ組立工程である。
(5)できたチップを検査するチップ検査工程である。このチップ検査工程は、例えば製品検査、信頼性試験などを含むものである。
なお、上記(1)〜(5)の工程はさらに幾つかのサブ工程からなっている。
【0048】
上述した主工程の中で、半導体デバイスの性能に決定的な影響を及ぼす主工程がウエハプロセッシング工程である。この工程では、設計された回路パターンをウエハ上に順次積層し、メモリやMPUとして動作するチップを多数形成するものである。このウエハプロセッシング工程は、以下の各工程を含むものである。
【0049】
(1)絶縁層となる誘電体薄膜や配線部或いは電極部を形成する金属薄膜などを形成する薄膜形成工程(CVDやスパッタリング等を用いる工程)である。
(2)ウエハ基板を酸化する酸化工程である。
【0050】
(3)薄膜層やウエハ基板などを選択的に加工するためにマスク(レチクル)を用いてレジストパターンを形成するリソグラフィー工程である。
(4)レジストのパターンに従って薄膜層や基板を加工するエッチング工程(例えばドライエッチング技術を用いる工程)である。
【0051】
(5)ウエハに不純物イオンをイオン注入し、不純物を熱処理等により拡散させるイオン・不純物注入拡散工程である。
(6)ウエハ上のレジストを剥離するレジスト剥離工程である。
(7)さらに加工されたウエハを検査する検査工程である。
【0052】
なお、ウエハプロセッシング工程は、必要な層数だけ繰り返し行い、設計通り動作する半導体デバイスを製造するものである。
【0053】
図4は、図3に示すウエハプロセッシング工程の中核をなすリソグラフィー工程を示すフローチャートである。このリソグラフィー工程は、以下の各工程を含むものである。
【0054】
(1)前段の工程で回路パターンが形成されたウエハ上にレジストをコートするレジスト塗布工程である。
(2)前述したX線露光装置を用いてウエハ上のレジストを露光する露光工程である。
【0055】
(3)露光されたレジストを現像してレジストのパターンを得る現像工程である。
(4)現像されたレジストパターンを安定化させるためのアニール工程である。
【0056】
以上の半導体デバイス製造工程、ウエハプロセッシング工程、リソグラフィー工程については、公知の技術を用いるものであるので、これ以上の説明は省略する。
【0057】
上記リソグラフィー工程の中の(2)の露光工程で、前述したX線露光装置を用いることにより、多層膜の補正加工により波面収差量が小さく、かつ、波面の屈曲による散乱が少ない良好な光学性能を発揮することができ、反射マスクパターンの良好な転写像が得られる。
【0058】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、露光装置のX線光学系に前記多層膜反射鏡を適用しているが、X線光学系は露光装置に限定されるものではなく、他のX線光学系に多層膜反射鏡を適用することも可能である。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、補正された反射波面が滑らかに接続するように多層膜の表面を除去加工する。したがって、入射波面に対する反射波面の屈曲を抑制するように多層膜の表面を除去加工して多層膜の面形状を補正した多層膜反射鏡及びその製造方法、多層膜反射鏡を備えたX線露光装置、このX線露光装置を用いた半導体デバイスの製造方法及びX線光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態による多層膜の除去加工方法及びそれにより製作された多層膜反射鏡を説明する断面図である。
【図2】図1に示す波面の屈曲が起きない補正加工を行った多層膜反射鏡を備えたX線露光装置の一例を概略的に示す構成図である。
【図3】本発明に係る実施の形態による半導体デバイスの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図4】図3に示すウエハプロセッシング工程の中核をなすリソグラフィー工程を示すフローチャートである。
【図5】(a),(b)は、多層膜の表面除去による反射波面の位相補正の原理を説明する断面図である。
【符号の説明】
1…反射鏡基板 2…多層膜
2a…Mo層 2b…Si層
3…入射波面 4…反射波面
5…X線源 6…照明光学系
7…反射マスク 8…投影光学系
9…ウエハ移動ステージ 10…X線反射鏡
11…可視光カットX線透過フィルター 12…ウエハ(感光性基板)
13…マスク移動ステージ

Claims (9)

  1. 屈折率の異なる少なくとも二種類以上の物質を交互に所定の周期長で積層してなる多層膜を基板上に成膜した多層膜反射鏡に対し、前記多層膜の表面を除去加工することによって、反射面内の反射波面の位相を補正した多層膜反射鏡の製造方法において、
    前記二種類以上の物質の境界を露出させると共に、前記境界に接する各層で反射される前記補正された反射波面同士前記境界において滑らかに接続するように、前記二種類以上の物質毎に加工条件を設定しつつ前記多層膜の表面を除去加工する
    ことを特徴とする多層膜反射鏡の製造方法。
  2. 前記多層膜の表面を除去加工する際、屈折率の低い物質からなる層の加工面が緩やかな傾斜となるように加工し、屈折率の高い物質からなる層の加工面が急峻な傾斜となるように加工することを特徴とする請求項1に記載の多層膜反射鏡の製造方法。
  3. 前記二種類以上の物質のうち屈折率の低い物質からなる層の加工面を緩やかな傾斜にし、屈折率の高い物質からなる層の加工面を急峻な傾斜にするように前記多層膜の表面を除去加工する際、多層膜を構成する二種類以上の物質の各々の除去速度の比率を、各々の物質の真空の屈折率と物質の屈折率の差の逆数の比率と同じにして多層膜の表面を除去加工することを特徴とする請求項に記載の多層膜反射鏡の製造方法。
  4. 基板と、
    この基板上に形成され、屈折率の異なる少なくとも二種類以上の物質を交互に所定の周期長で積層してなる多層膜と、
    前記多層膜の反射波面の位相を補正するために、前記二種類以上の物質の境界が露出するように前記多層膜の表面が除去された除去部と、
    を具備し、
    前記除去部は、前記境界に接する各層で反射される補正された反射波面同士前記境界において滑らかに接続するように、前記二種類以上の物質毎に加工条件を設定しつつ前記多層膜の表面が除去加工されたものであることを特徴とする多層膜反射鏡。
  5. 前記除去加工された多層膜の加工面において、屈折率の低い物質からなる層の加工面が緩やかな傾斜となっており、屈折率の高い物質からなる層の加工面が急峻な傾斜となっていることを特徴とする請求項4に記載の多層膜反射鏡。
  6. 前記多層膜の加工面は、前記二種類以上の物質のうち屈折率の低い物質からなる層の加工面が緩やかな傾斜となり、屈折率の高い物質からなる層の加工面が急峻な傾斜となるように、各々の層の加工時における除去速度の比率各々の物質の真空の屈折率と物質の屈折率の差の逆数の比率と同じになるように除去加工されている
    ことを特徴とする請求項に記載の多層膜反射鏡。
  7. X線を発生させるX線源と、このX線源からのX線をマスクに導く照明光学系と、前記マスクからのX線を感光性基板に導く投影光学系とを有し、前記マスクのパターンを感光性基板へ転写するX線露光装置において、
    前記照明光学系、前記マスク及び前記投影光学系のうちの少なくとも一つに請求項4〜6のうちいずれか1項記載の多層膜反射鏡を有することを特徴とするX線露光装置。
  8. 半導体デバイスを製造する方法であって、
    請求項7に記載のX線露光装置を用いて、前記マスクのパターンをレジストが塗布されている基板上に転写する工程を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
  9. 請求項4〜6のうちいずれか1項記載の多層膜反射鏡を用いて構成されたものであることを特徴とするX線光学系。
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