JP4524976B2 - 多層膜反射鏡の製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、多層膜を除去加工して波面収差を補正する補正精度をより向上させることが可能な多層膜反射鏡及びその製造方法、多層膜反射鏡を備えた軟X線光学系及び露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路素子の微細化の進展に伴い、光の回折限界によって制限される光学系の解像力を向上させるために、従来の紫外線に代わって、これより波長の短い11〜14nm程度の波長を有する軟X線を使用した投影リソグラフィ技術が開発されている(例えば、D.Tichenor,et al, SPIE 2437(1995)292参照)。この技術は、最近ではEUV(Extreme Ultra Violet:極紫外線)リソグラフィとも呼ばれているが、その内容は同一である(以下、EUVリソグラフィと呼ぶ)。EUVリソグラフィは、従来の光リソグラフィ(波長190nm程度以上)では実現不可能な70nm以下の解像力を有する将来のリソグラフィ技術として期待されている。
【0003】
この波長域では物質の屈折率が1に非常に近いので、屈折や反射を利用した従来の光学素子は使用できない。屈折率が1よりも僅かに小さいことによる全反射を利用した斜入射ミラーや、界面での微弱な反射光の位相を合わせて多数重畳させて、全体として高い反射率を得る多層膜反射鏡(多層膜ミラー)などが使用される。高反射率を得るために、多層膜は、屈折率の真空との差が大きい物質からなる層と、前記差が小さい物質からなる層から構成されている。13.4nm付近の波長域では、モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層を交互に積層したMo/Si多層膜を用いると直入射で67.5%の反射率を得ることが出来、波長11.3nm付近の波長域では、Mo層とベリリウム(Be)層を交互に積層したMo/Be多層膜を用いると直入射で70.2%の反射率を得ることができる(例えば、C.Montcalm, Proc. SPIE, Vol. 3331(1998)P.42参照)。
【0004】
EUVリソグラフィ装置は、主として軟X線光源、照明光学系、マスクステージ、投影結像光学系(投影光学系)、ウエハステージ等により構成される。軟X線光源には、レーザープラズマ光源、放電プラズマ光源や放射光などが使用される。照明光学系は、反射面に斜め方向から入射した軟X線を反射させる斜入射ミラー、反射面が多層膜により形成される多層膜ミラー及び所定の波長の軟X線のみを透過させるフィルター等により構成され、マスク上を所望の波長の軟X線で照明する。なお、軟X線の波長域では透明な物質は存在しないので、マスクには従来の透過型のマスクではなく反射型のマスクが使用される。
【0005】
マスク上に形成された回路パターンは、複数の多層膜ミラー等で構成された投影結像光学系により、レジストが塗布されたウエハ(感光性基板)上に結像して該レジストに転写される。なお、軟X線は大気に吸収されて減衰するため、その光路は全て所定の真空度(例えば、1×10-5Torr以下)に維持されている。
【0006】
投影結像光学系は複数の多層膜ミラーにより構成される。多層膜ミラーの反射率は100%ではないので、光量の損失を抑えるためにミラーの枚数は出来るだけ少なくすることが好ましい。これまでに、4枚の多層膜ミラーからなる光学系(例えば、T. Jewell and K. Thompson, USP 5,315,629、 T, Jewell, USP 5,063,586参照)や、6枚の多層膜ミラーからなる光学系(例えば、D. Williamson, 特開平9-211332、USP 5,815,310 参照)などが報告されている。
【0007】
光束が一方向に進行する屈折光学系とは異なり、反射光学系では光学系の中で光束が往復することになるので、ミラーによる光束のけられを避けるという制限のために、開口数(NA)を大きくすることが難しい。4枚光学系ではNAを0.15程度までにしか出来ないが、6枚光学系では更にNAの大きい光学系の設計が可能になる。マスクステージとウエハステージが投影結像光学系の両側に配置できるように、ミラーの枚数は通常は偶数になっている。
【0008】
このような投影結像光学系は、限られた面数で光学系の収差を補正しなければならないので、各ミラーには非球面形状が適用され、また、所定の像高の近傍でのみ収差の補正されたリングフィールド光学系になっている。マスク上のパターン全体をウエハ上に転写するためには、マスクステージとウエハステージとを、光学系の倍率分だけ異なる速度でスキャンさせながら露光を行う。
【0009】
前記のような露光装置の投影結像光学系は、いわゆる回折限界の光学系であり、波面収差を充分に小さくしておかないと設計通りの性能を得ることは出来ない。回折限界の光学系における波面収差の許容値の目安としては、Marechalによる二乗平均値(RMS)で使用波長の1/14以内という基準がある(M. Born and E. Wolf, Principles of Optics, 4th edition, Pergamon Press 1970, p.469参照)。これはStrehl強度(収差のある光学系と無収差光学系との間の点像強度の最大値の比)が80%以上になるための条件である。実際の露光装置の投影結像光学系は、これよりも更に低い収差になるように製造されている。
【0010】
現在、盛んに研究開発が行われているEUVリソグラフィ技術においては、露光波長は主として13nmあるいは11nm付近の波長が使われている。光学系の波面収差(WFE)に対して、個々のミラーに許容される形状誤差(FE)は次式で与えられる。
(数式1) FE=WFE/2/m1/2(RMS)
【0011】
mは光学系を構成するミラーの数であり、更に2で割るのは、反射光学系では入射光と反射光の両方がそれぞれ形状誤差の影響を受けるので、波面収差には形状誤差の2倍の誤差が乗るからである。結局、回折限界の光学系において、個々のミラーに許容される形状誤差(FE)は、波長λとミラーの枚数mに対して次式で与えられる。
(数式2) FE=λ/28/m1/2(RMS)
【0012】
この値は、波長13nmでは4枚のミラーで構成された光学系の場合0.23nmRMSとなり、6枚のミラーで構成された光学系の場合0.19nmRMSとなる。
【0013】
しかしながら、このような高精度の非球面形状ミラーを製造することは非常に困難であり、EUVリソグラフィがなかなか実用化できない第一の原因となっている。現在までに達成されている非球面の加工精度は0.4〜0.5nmRMSの程度であり(C. Gwyn, Extreme Ultraviolet Lithography White Paper, EUV LLC, 1998, p17参照)、EUVリソグラフィを実現するためには非球面の加工技術および計測技術の大幅な向上が必要とされている。
【0014】
最近、山本によって多層膜ミラーの表面を一層ずつ削り取ることによって、実質的にサブnmの形状誤差を補正することのできる画期的な技術が報告された(M. Yamamoto, 7th International Conference on Synchrotron Radiation Instrumentation, Berlin Germany, August 21-25, 2000, POS2-189)。図3をもって、その原理を説明する。
【0015】
図3(a)に示すように、基板上にA,B二種類の物質を一定の周期長dで交互に積層した多層膜の表面から、図3(b)に示すように一層対を除去する場合を考える。図3(a)で、多層膜表面に対して垂直方向に進行する光線に対する、厚さdの多層膜一層対の光路長は、OP=nAdA+nBdBで与えられる。ここでdA,dBは各層の厚さを表し、dA+dB=dである。nA,nBは物質A,Bそれぞれの屈折率である。
【0016】
図3(b)で、最表面の多層膜一層対を除去した厚さdの部分の光路長は、OP’=ndで与えられる。nは真空の屈折率を表し、n=1である。多層膜の最上層を除去することによって、そこを通過する光線が進む光学的距離が変化することになる。これは、実質的にその変化分だけ面形状を修正したことと光学的に等価である。
【0017】
光路長の変化(即ち、面形状の変化)は、Δ=OP’−OPで与えられる。軟X線の波長域では、物質の屈折率が1に近いので、Δは小さな量となり、本方法により精密な面形状の補正が可能になる。具体例として、波長13.4nmでMo/Si多層膜を用いた場合を示す。直入射で使用するために、d=6.8nm、dMo=2.3nm、dSi=4.5nmとする。この波長での屈折率は、nMo=0.92、nSi=0.998である。これらの数値を用いて光路長の変化を計算すると、OP=6.6nm、OP’=6.8nm、Δ=0.2nmとなる。厚さ6.8nmの層を除去する加工によって、0.2nm相当の面形状の補正を行うことが出来る。
【0018】
なお、Mo/Si多層膜の場合、Si層の屈折率は1に近いので、光路長の変化は主としてMo層の有無によるものであり、Si層の有無には殆ど依存しない。従って、多層膜の層を除去する際に、Si層の厚さを正確に制御する必要は無い。この例ではSi層の厚さは4.5nmであり、この層の途中で加工が停止すれば良い。即ち、数nmの精度の加工を施すことによって0.2nm単位の面形状補正を行うことができる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
前述した山本の提案した反射波面の制御法は非常に有効であるが、面形状の補正は多層膜の1層対を剥がす毎に離散的に行われる。従って、面形状換算で0.2nm以下の補正を行うことは出来ない。一方で、目標とする形状精度である0.23〜0.19nmRMSに対して、0.2nm(面形状換算)の加工単位では不足している。従って、さらに小さな加工単位で反射波面を制御できる方法が必要とされている。
【0020】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、多層膜を除去加工して波面収差を補正する補正精度をより向上させることが可能な多層膜反射鏡、その製造方法、軟X線光学系及び露光装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明に係る多層膜反射鏡の製造方法は、軟X線領域における屈折率の真空との差が大きい物質からなる第1層と、前記差が小さい物質からなる第2層とを交互に所定の周期長で積層してなる多層膜を基板上に成膜した多層膜反射鏡に対し、前記多層膜の表面を加工することにより、多層膜反射鏡の反射波面の位相を補正した多層膜反射鏡の製造方法において、前記多層膜の所定領域における第1層を、1層の単位として所定の層数だけ除去加工する工程と、この工程で除去加工された領域における多層膜表面上に、第1層を構成する物質を1層分の厚さよりも薄い所定の厚さだけ積層する工程と、を具備することを特徴とする。
【0022】
上記多層膜反射鏡の製造方法によれば、多層膜の所定領域における第1層を、1層の単位として所定の層数だけ除去加工し、この除去加工された領域における多層膜表面上に、第1層を構成する物質を1層分の厚さよりも薄い所定の厚さだけ積層する。これにより、波面収差を補正する補正精度をより向上させることができる。
【0023】
本発明に係る多層膜反射鏡は、基板と、この基板上に形成された多層膜であって、軟X線領域における屈折率の真空との差が大きい物質からなる第1層と、前記差が小さい物質からなる第2層とを交互に所定の周期長で積層してなる多層膜と、前記多層膜の反射波面の位相を補正するために、前記多層膜の所定領域における第1層が1層の単位として所定の層数だけ除去加工され、且つ、この除去加工された領域における多層膜表面上に、第1層を構成する物質が1層分の厚さよりも薄い所定の厚さだけ積層された加工部と、を具備することを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る多層膜反射鏡においては、前記第1層を構成する物質がモリブデンであることも可能である。
また、本発明に係る多層膜反射鏡においては、前記第2層を構成する物質がシリコンであることも可能である。
【0025】
本発明に係る軟X線光学系は、前述した多層膜反射鏡を用いて構成さたものであることを特徴とする。
【0026】
本発明に係る露光装置は、軟X線を発生させる軟X線光源と、この軟X線光源からの軟X線をマスクに導く照明光学系と、前記マスクからの軟X線を感光性基板に導く投影光学系とを有し、前記マスクのパターンを感光性基板へ転写する露光装置において、前記照明光学系、前記マスク及び前記投影光学系のうちの少なくとも一つに前述した多層膜反射鏡を有することを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態による多層膜反射鏡の製造方法は、多層膜反射鏡の多層膜表面を削り取ることで、その量に応じて軟X線反射光の位相差が変化することを利用して、複数枚からなる多層膜反射鏡による光学系の反射波面を制御する波面収差制御方法を用いて多層膜反射鏡を製造する方法である。
【0028】
具体例として、前述した屈折率の真空との差が大きい物質(Mo)と、前記差が小さい物質(Si)からなるMo/Si多層膜を用いた場合を示す。厚さ6.8nmの多層膜1層対を除去することで、0.2nm相当の面形状の補正が可能であるが、この補正は先に述べたとおり、主として厚さ2.4nmのMo層によるものである。このMo層を所望の厚さで層の除去加工を停止するのは困難であるが、2.4nm単位でMo層を除去した後、除去しすぎた量について、Mo層を再び積層して戻してやることで、結果的に精度良く除去加工することが可能となる。
【0029】
より具体的に説明すれば、一例として、補正すべき面形状が0.46nmであったとする。これに対して、除去すべきMo層の量は5.5nmと算出される。これは、2.4nm単位のMo層においては2.3層に相当する。Mo層の途中で除去加工を停止するのは困難であるから、従来の除去法だけではMo層の除去は2層又は3層のみ、すなわち多層膜2層対又は3層対のみとなる。この場合、除去されたMo層は4.8nm又は7.2nmであり、本来除去すべきMo層厚5.5nmに対して、前者は−0.7nm、後者は+1.7nmの誤差を有する。+は過剰に除去したことを表す。そして、この誤差は、面形状に換算して0.4nm又は0.6nmであり、補正すべき面形状0.46nmに対しては−0.06nm又は+0.14nmの補正できない誤差を与える。
【0030】
そこで、本実施の形態では、Mo層1層を単位として、補正すべき量より多く除去しておき、過剰に除去した分は、Mo層を改めて積層することで補正する。具体的には、先の例でMo層を3層、即ち多層膜にして3層対除去し、除去しすぎた1.7nmに関しては改めて1.7nm分だけMo層を積層する。そうすると、結果的に除去されたMo層は都合7.2nm−1.7nm=5.5nmとなり、所望の除去量が達成できて、補正すべき面形状0.46nmも達成される。
【0031】
Mo層を改めて積層する方法としては、FIB(Focused Ion Beam)等による積層方法、積層すべき範囲を空間的に制限した遮蔽板を設けたスパッタ法などを用いる。いずれの方法も、一定の積層速度を持ち、適切な積層時間を以って所望の積層厚を容易に得ることが可能な手法である。
【0032】
上記実施の形態によれば、従来技術では離散的に実施された波面制御方法に、離散単位以下で過剰な除去加工分を補正できる方法を追加することで、より精密に波面収差を制御することができる。
【0033】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施例による多層膜反射鏡の製造方法を説明するための断面図である。なお、図1では層数を実際より少なく描いてある。
【0034】
まず、多層膜反射鏡を準備する。この多層膜反射鏡は、多層膜基板11と、この多層膜基板11上に屈折率の異なる二種類の物質を一定の周期長で交互に積層した多層膜と、から構成されている。この多層膜の周期長は例えば6.8nmである。多層膜は、例えば上部から厚さ4.4nmのSi層12、厚さ2.4nmのMo層13が交互に積層されたものである。
【0035】
多層膜反射鏡は、軟X線露光装置の軟X線光学系を構成する多層膜反射鏡のうちの1枚であり、多層膜成膜後に一度投影光学系として組み立てて調整がなされ、露光波長である波長13nmを用いた干渉計において光学系全体として波面収差が測定される。この波面収差を改善するために、この多層膜反射鏡における反射波面をどのように修正すればよいかが計算され、その修正波面を得るために多層膜を鏡上のどの位置でどれだけ加工すればよいかの計算がなされる。
【0036】
上記計算の結果は次の通りである。基板領域141は加工を行う必要のない領域であり、基板領域142は波面収差を制御すべき領域であって補正量が面形状換算で0.46nmの領域である。この補正量はMo層の厚さにすると5.5nmに相当する。また、基板領域143は波面収差を制御すべき領域であって補正量が面形状換算で0.54nmである。この補正量はMo層の厚さにすると6.5nmに相当する。
【0037】
次に、多層膜反射鏡の基板領域142の多層膜を除去加工する。すなわち、基板領域142の多層膜を表面から3層対除去する。これにより、Mo層13は7.2nm除去される。次いで、同じ基板領域142に成膜面を空間的に制限する遮蔽板(図示せず)を用意して、イオンビームスパッタ法によりMo層131を積層する。ここでのイオンビームスパッタ法によるMo層の積層速度は1秒間に0.03nmであるので、約56秒間Mo層を積層して、1.7nmだけ積み戻した。Mo層131は積み戻された部分である。これにより、結果的に除去されたMo層厚は都合5.5nmとなり、所望の面形状補正量の0.46nmを得ることができる。
【0038】
この後、多層膜反射鏡の基板領域143の多層膜を除去加工する。すなわち、基板領域143の多層膜を表面から3層対除去する。これにより、Mo層13は7.2nm除去される。次いで、同じ基板領域143に成膜面を空間的に制限する遮蔽板(図示せず)を用意して、イオンビームスパッタ法によりMo層132を積層する。Mo層の積層速度は前述した通りであるので、約23秒間Mo層を積層して、0.7nmだけ積み戻した。Mo層132は積み戻された部分である。これにより、結果的に除去されたMo層厚は都合6.5nmとなり、所望の面形状補正量の0.54nmを得ることができる。
【0039】
このようにして図1に示すような構造を有する多層膜反射鏡が製造される。この多層膜反射鏡は基板11を有し、この基板上には多層膜が形成されている。この多層膜は、Mo層13とSi層12とを交互に所定の周期長で積層してなるものである。この多層膜の反射波面の位相を補正するために、多層膜には加工部が形成されている。この加工部は、前記多層膜の基板領域142,143におけるMo層13が1層の単位として3層だけ除去加工され、且つ、この除去加工された領域における多層膜表面上に、Mo層131,132が1層分の厚さよりも薄い前述した厚さだけ積層された部分である。
【0040】
上記実施例によれば、基板領域142の面形状を0.46nmだけ補正し、基板領域143の面形状を0.54nmだけ補正し、その補正量の差が0.08nmであるから、従来技術の多層膜1層対を単位として除去加工するだけの方法における補正単位の0.2nmに比べて小さい補正量を実現することができる。よって、多層膜を削って波面収差を制御する手法の補正精度を向上させることが出来る。
【0041】
図2は、本発明の実施例により波面補正を行った多層膜反射鏡を備えた軟X線露光装置の一例を示す構成図である。
【0042】
軟X線露光装置は、主に軟X線光源S、コンデンサC、照明光学系、マスクMのステージ(図示せず)、投影光学系、ウエハWのステージ(図示せず)などにより構成されている。軟X線光源Sには、プラズマ励起用のレーザーLからなるレーザープラズマ光源の他に放電プラズマ光源や放射光などが使用される。照明光学系(IR1、IR2、IR3およびIR4等)は、反射面に斜め方向から入射した軟X線を反射させる斜入射ミラー、反射面が多層膜により形成される多層膜ミラー、および所定の波長の軟X線のみを透過させるフィルター等により構成されている。この照明光学系によってマスクM上を所望の波長の軟X線で照明する。
【0043】
軟X線の波長域では透明な物質は存在しないので、マスクMには従来の透過型のマスクではなく反射型のマスクが使用される。投影結像光学系は複数の多層膜ミラー(PR1、PR2、PR3およびPR4)等により構成されている。マスクM上に形成された回路パターンは、投影結像光学系によりレジストが塗布されたウエハW上に結像して該レジストに転写される。なお、軟X線は大気に吸収されて減衰するため、その光路は全て所定の真空度(例えば、1×10-5Torr以下)に維持されている。
【0044】
前記照明光学系、前記マスクM及び前記投影光学系のうちの少なくとも一つに実施例の多層膜反射鏡を有する。
【0045】
尚、本発明は前記実施例に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、前記実施例では、EUVリソグラフィーで使われる波長13.4nmのMo/Si多層膜について説明しているが、本発明はそれに限定されるものではなく、他の波長域、他の多層膜材料に対しても本発明を適用することが可能である。
【0046】
また、前記実施例では、露光装置の軟X線光学系に前記多層膜反射鏡を適用しているが、軟X線光学系は露光装置に限定されるものではなく、他の軟X線光学系に多層膜反射鏡を適用することも可能である。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、多層膜の所定領域における第1層を、1層の単位として所定の層数だけ除去加工し、この除去加工された領域における多層膜表面上に、第1層を構成する物質を1層分の厚さよりも薄い所定の厚さだけ積層する。したがって、多層膜を除去加工して波面収差を補正する補正精度をより向上させることが可能な多層膜反射鏡、その製造方法、軟X線光学系及び露光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による多層膜反射鏡の製造方法を説明するための断面図である。
【図2】本発明の実施例により波面補正を行った多層膜反射鏡を備えた軟X線露光装置の一例を示す構成図である。
【図3】(a),(b)は、多層膜除去による反射波面の制御を説明する断面図である。
【符号の説明】
11…多層膜基板 12…Si層
13,131,132…Mo層 141,142,143…基板領域
Claims (3)
- 軟X線領域における屈折率の真空との差が大きい物質からなる第1層と、前記差が小さい物質からなる第2層とを交互に所定の周期長で積層してなる多層膜を基板上に成膜した多層膜反射鏡に対し、前記多層膜の表面を加工することにより、多層膜反射鏡の反射波面の位相を補正した多層膜反射鏡の製造方法において、
前記多層膜の所定領域において、第1層から1層対を単位として所定の層対数だけ補正すべき量より、一層対分の量より少ない量を多く除去加工する工程と、
この工程で除去加工された領域における多層膜表面上に、第1層を構成する物質を、前記補正すべき量に対して過剰に除去した分、1層分の厚さよりも薄い所定の厚さだけ積層して補正する工程と、
を具備することを特徴とする多層膜反射鏡の製造方法。 - 前記第1層を構成する物質がモリブデンであることを特徴とする請求項1に記載の多層膜反射鏡の製造方法。
- 前記第2層を構成する物質がシリコンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の多層膜反射鏡の製造方法。
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