JP2002134385A - 多層膜反射鏡および露光装置 - Google Patents

多層膜反射鏡および露光装置

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JP2002134385A
JP2002134385A JP2000321028A JP2000321028A JP2002134385A JP 2002134385 A JP2002134385 A JP 2002134385A JP 2000321028 A JP2000321028 A JP 2000321028A JP 2000321028 A JP2000321028 A JP 2000321028A JP 2002134385 A JP2002134385 A JP 2002134385A
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勝彦 村上
Hiroyuki Kondo
洋行 近藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多層膜の表面層を除去して多層膜ミラーの面
形状を補正する技術において、その加工単位を小さくし
て加工精度を向上することを目標とする。 【解決手段】 屈折率の異なる二種類の物質が交互に所
定の周期長で積層されてなる第一の多層膜上に、周期長
は第一の多層膜とほぼ等しく、二種類の物質層の厚さの
比が第一の多層膜とは異なる第二の多層膜を積層し、上
層の第二の多層膜を表面から所望の量だけ除去すること
によって、反射波面の位相が補正されている多層膜反射
鏡とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体デバイスな
どの製造に用いられる軟X線投影露光装置およびその他
の軟X線光学機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体集積回路素子の微細化の進
展に伴い、光の回折限界によって制限される光学系の解
像力を向上させるために、従来の紫外線に代わって、こ
れより波長の短い波長11〜14nm程度の軟X線を使
用した投影リソグラフィ技術が開発されている(例え
ば、D. Tichenor, et al., SPIE 2437 (1995) 292参
照)。この技術は、最近ではEUV(Extreme UltraVio
let: 極紫外線)リソグラフィとも呼ばれているが、そ
の内容は同一である(以下、EUVリソグラフィと呼
ぶ)。EUVリソグラフィは、従来の光リソグラフィ
(波長190nm程度以上)では実現不可能な、70n
m以下の解像力を有する将来のリソグラフィ技術として
期待されている。
【0003】この波長域では物質の屈折率が1に非常に
近いので、屈折や反射を利用した従来の光学素子は使用
できない。屈折率が1よりも僅かに小さいことによる全
反射を利用した斜入射ミラーや、界面での微弱な反射光
を位相を合わせて多数重畳させて、全体として高い反射
率を得る多層膜ミラーなどが使用される。13.4nm
付近の波長域では、モリブデン(Mo)層とシリコン
(Si)層が交互に積層されたMo/Si多層膜を用い
ると直入射で67.5%の反射率を得ることができ、波
長11.3nm付近の波長域では、Mo層とベリリウム
(Be)層が交互に積層されたMo/Be多層膜を用い
ると直入射で70.2%の反射率を得ることができる
(例えば、C. Montcalm, Proc. SPIE, Vol. 3331 (199
8) P. 42参照)。多層膜の周期長を6〜12nmにする
と、その多層膜ミラーは波長域12〜15nmの軟X線
に対して好適なミラーとなる。
【0004】現在考えられているEUVリソグラフィ装
置の一例を図6に示す。装置は主に、軟X線光源S、照
明光学系、マスクMのステージ(不図示)、投影光学
系、ウエハWのステージ(不図示)などにより構成され
る。軟X線光源Sには、レーザープラズマ光源の他に放
電プラズマ光源や放射光などが使用される。照明光学系
は、反射面に斜め方向から入射した軟X線を反射させる
斜入射ミラー、反射面が多層膜により形成される多層膜
ミラー(IR1、IR2、IR3およびIR4)、およ
び所定の波長の軟X線のみを透過させるフィルター等に
より構成され、フォトマスクM上を所望の波長の軟X線
で照明する。なお、軟X線の波長域では透明な物質は存
在しないので、フォトマスクMには従来の透過型のマス
クではなく反射型のマスクが使用される。フォトマスク
M上に形成された回路パターンは、複数の多層膜ミラー
(PR1、PR2、PR3およびPR4)等で構成され
た投影結像光学系により、フォトレジストが塗布された
ウェハW上に結像して該フォトレジストに転写される。
なお、軟X線は大気に吸収されて減衰するため、その光
路は全て所定の真空度(例えば、1×10-5Torr以
下)に維持されている。
【0005】投影結像光学系は複数の多層膜ミラーによ
り構成される。多層膜ミラーの反射率は100%ではな
いので、光量の損失を抑えるためにミラーの枚数はでき
るだけ少なくすることが好ましい。これまでに、4枚の
多層膜ミラーからなる光学系(例えば、T. Jewell and
K. Thompson, USP 5,315,629、T. Jewell, USP 5,063,5
86参照)や、6枚の多層膜ミラーからなる光学系(例え
ば、D. Williamson,特開平9-211332、USP 5,815,310参
照)などが報告されている。光束が一方向に進行する屈
折光学系と異なり、反射光学系では光学系の中で光束が
往復することになるので、ミラーによる光束のけられを
避けるという制限ために、NAを大きくすることが難し
い。4枚光学系では開口数(NA)を0.15程度まで
にしかできないが、6枚光学系では更にNAの大きい光
学系の設計が可能になる。マスクステージとウェハステ
ージが投影結像光学系の両側に配置できるように、ミラ
ーの枚数は通常は偶数になっている。例えば図6に示す
露光装置の場合、投影結像光学系は4枚の多層膜ミラー
(PR1、PR2、PR3およびPR4)により構成さ
れている。このような投影結像光学系は、限られた面数
で光学系の収差を補正しなければならないので、各ミラ
ーには非球面形状が適用され、また、所定の像高の近傍
でのみ収差の補正されたリングフィールド光学系になっ
ている。フォトマスク上のパターン全体をウェハ上に転
写するためには、マスクステージとウェハステージと
を、光学系の倍率分だけ異なる速度でスキャンさせなが
ら露光を行う。
【0006】上記のような露光装置の投影結像光学系
は、いわゆる回折限界の光学系であり、波面収差を充分
に小さくしておかないと設計通りの性能を得ることはで
きない。回折限界の光学系における波面収差の許容値の
目安としては、Marechalによる、二乗平均値(RMS)
で使用波長の1/14以内という基準がある(M. Borna
nd E. Wolf, Principles of Optics, 4th edition, Per
gamon Press 1970, p.469参照)。これはStrehl強度
(収差のある光学系と無収差光学系との間の点像強度の
最大値の比)が80%以上になるための条件である。実
際の露光装置の投影結像光学系は、これよりも更に低い
収差になるように製造されている。
【0007】現在盛んに研究開発が行われているEUV
リソグラフィ技術においては、露光波長は主として13
nmあるいは11nm付近の波長が使われている。光学
系の波面収差(WFE)に対して、個々のミラーに許容
される形状誤差(FE)は次式で与えられる。 FE=WFE/2/√n(RMS) nは光学系を構成するミラーの数であり、更に2で割る
のは、反射光学系では入射光と反射光の両方がそれぞれ
形状誤差の影響を受けるので、波面収差には形状誤差の
2倍の誤差が乗るからである。結局、回折限界の光学系
において、個々のミラーに許容される形状誤差(FE)
は、波長λとミラーの枚数nに対して次式で与えられ
る。 FE=λ/28/√n(RMS) この値は、波長13nmでは4枚のミラーで構成された
光学系の場合0.23nmRMSとなり、6枚のミラー
で構成された光学系の場合0.19nmRMSとなる。
【0008】しかしながら、このような高精度の非球面
形状のミラーを製造することは非常に困難であり、EU
Vリソグラフィがなかなか実用化できない第一の原因と
なっている。現在までに達成されている非球面の加工精
度は0.4〜0.5nmRMSの程度であり(C. Gwyn,
Extreme Ultraviolet Lithography White Paper, EUV
LLC, 1998, p17参照)、EUVリソグラフィを実現する
ためには非球面の加工技術および計測技術の大幅な向上
が必要とされている。
【0009】最近、山本によって多層膜ミラーの表面を
一層ずつ削り取ることによって、実質的にサブnmの形
状誤差を補正することができるという画期的な技術が報
告された(M. Yamamoto, 7th International Conferenc
e on Synchrotron RadiationInstrumentation, Berlin
Germany, August 21-25, 2000, POS2-189)。図2をも
って、その原理を説明する。図2(a)に示すように
A、B二種類の物質を所定の周期長dで交互に積層した
多層膜の表面から、図2(b)に示すように一層対を除
去する場合を考える。図2(a)で、多層膜表面に対し
て垂直方向に進行する光線に対する、厚さdの多層膜一
層対の光路長は、OP=nA×dA+nB×dBで与えられ
る。ここでdA、dBは各層の厚さを表し、dA+dB=d
である。nA、nBは物質A、Bそれぞれの屈折率であ
る。図2(b)で、最表面の多層膜一層対を除去した厚
さdの部分の光路長は、OP’=ndで与えられる。n
は真空の屈折率を表し、n=1である。多層膜の最上層
を除去することによって、そこを通過する光線が進む光
学的距離が変化することになる。これは、実質的にその
変化分だけ面形状を修正したことと光学的に等価であ
る。光路長の変化(即ち、面形状の変化)は、Δ=O
P’−OPで与えられる。軟X線の波長域では、物質の
屈折率が1に近いので、Δは小さな量となり、本方法に
より精密な面形状の補正が可能になる。
【0010】具体例として、波長13.4nmでMo/
Si多層膜を用いた場合を示す。直入射で使用するため
に、d=6.8nm、dMo=2.3nm、dSi=4.5
nmとする。この波長での屈折率は、nMo=0.92、
Si=0.998である。これらの数値を用いて光路長
の変化を計算すると、OP=6.6nm、OP’=6.
8nm、Δ=0.2nmとなる。厚さ6.8nmの層を
除去する加工によって、0.2nm相当の面形状の補正
を行うことができる。なお、Mo/Si多層膜の場合、
Si層の屈折率は1に近いので、光路長の変化は主とし
てMo層の有無によるものであり、Si層の有無には殆
ど依存しない。従って、多層膜の層を除去する際に、S
i層の厚さを正確に制御する必要は無い。この例ではS
i層の厚さは4.5nmあり、この層の途中で加工が停
止すれば良い。即ち、数nmの精度の加工を施すことに
よって0.2nm単位の面形状補正を行うことができ
る。
【0011】なお、多層膜の反射率は積層数とともに増
加して一定の層数を越えると飽和して一定になる。予め
反射率が飽和するのに充分な層数を積層しておけば、表
面から多層膜の一部を除去しても反射率の変化は生じな
い。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】この方法は非常に有効
であるが、面形状の補正は多層膜の一層対を剥がす毎に
不連続に行われる。目標とする形状精度は0.23〜
0.19nmRMS以下であるのに対して、前記説明の
通り加工単位は0.2nmの程度であり、目標とする形
状精度を達成するためには未だ充分ではない。加工単位
を更に小さくする方法が望まれていた。
【0013】本発明はこのような問題点に鑑みてなされ
たものであり、多層膜の表面層を除去して多層膜ミラー
の面形状を補正する技術において、その加工単位を小さ
くして加工精度を向上させることを目標とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明は第
一に「屈折率の異なる二種類の物質が交互に所定の周期
長で積層されてなる第一の多層膜上に、周期長は第一の
多層膜とほぼ等しく、二種類の物質層の厚さの比が第一
の多層膜とは異なる第二の多層膜を積層し、反射波面の
位相を補正するために上層の第二の多層膜を表面から所
望の量だけ除去することを特徴とする多層膜反射鏡の製
造方法(請求項1)」を提供する。
【0015】また本発明は第二に「屈折率の異なる二種
類の物質が交互に所定の周期長で積層されてなる第一の
多層膜上に、周期長は第一の多層膜とほぼ等しく、二種
類の物質層の厚さの比が第一の多層膜とは異なる第二の
多層膜を積層し、上層の第二の多層膜を表面から所望の
量だけ除去することによって、反射波面の位相が補正さ
れていることを特徴とする多層膜反射鏡(請求項2)」
を提供する。
【0016】また本発明は第三に「多層膜を構成する物
質のうち、真空に対する屈折率の差が大きい物質層の厚
さの、周期長に対する比をΓとするとき、第一の多層膜
のΓよりも第二の多層膜のΓが小さいことを特徴とする
請求項2に記載の多層膜反射鏡(請求項3)」を提供す
る。
【0017】また本発明は第四に「第二の多層膜のΓ
は、表面から多層膜を所定の量だけ除去して反射波面の
位相補正を行う際の、屈折率の真空との差が大きい物質
層の厚さ当たりの補正量が所望の値になるよう設定され
ていることを特徴とする請求項3に記載の多層膜反射鏡
(請求項4)」を提供する。
【0018】また本発明は第五に「第二の多層膜の積層
数は、表面から多層膜を所定の量だけ除去して反射波面
の位相補正を行う際の、補正量の最大値が所望の値にな
るように設定されていることを特徴とする請求項2〜4
に記載の多層膜反射鏡(請求項5)」を提供する。
【0019】また本発明は第六に「第一の多層膜は、モ
リブデンを含む層とシリコンを含む層からなることを特
徴とする請求項2〜5に記載の多層膜反射鏡(請求項
6)」を提供する。
【0020】また本発明は第七に「第二の多層膜は、モ
リブデンを含む層とシリコンを含む層からなることを特
徴とする請求項2〜6に記載の多層膜反射鏡(請求項
7)」を提供する。
【0021】また本発明は第八に「第二の多層膜の表面
から多層膜の一部が除去されて反射率が変化した部分
に、真空に対する屈折率の差が小さい物質を積層するこ
とによって、反射率が補正されていることを特徴とする
請求項2に記載の多層膜反射鏡(請求項8)」を提供す
る。
【0022】また本発明は第九に「反射率を補正するた
めに表面に積層される層がシリコンを含むことを特徴と
する請求項8に記載の多層膜反射鏡(請求項9)」を提
供する。
【0023】また本発明は第十に「多層膜の周期長が6
〜12nmの範囲であることを特徴とする請求項2〜9
に記載の多層膜反射鏡(請求項10)」を提供する。
【0024】また本発明は第十一に「請求項2〜10に
記載の多層膜反射鏡を用いて構成されたことを特徴とす
る軟X線光学系(請求項11)」を提供する。
【0025】また本発明は第十二に「X線を発生させる
X線光源と、前記X線光源からのX線をマスクに導く照
明光学系と、前記マスクからのX線を感光性基板に導く
投影光学系とを有し、前記マスクのパターンを感光性基
板へ転写する露光装置において、前記照明光学系および
前記マスクおよび前記投影光学系は、請求項2〜10に
記載の多層膜反射鏡を少なくとも1つ以上有することを
特徴とする露光装置。(請求項12)」を提供する。
【0026】
【発明の実施の形態】多層膜除去による光路長の変化Δ
は、前述の通りΔ=nd−(nA×dA+nB×dB)で与
えられる(n:真空の屈折率、nA:物質Aの屈折率、
B:物質Bの屈折率、d:多層膜の周期長、dA:物質
Aからなる層の厚さ、dB:物質Bからなる層の厚
さ)。高反射率を得るために一般に多層膜は、真空に対
する屈折率の差が大きい物質と小さい物質から構成され
ている。物質Aを真空に対する屈折率の差が大きい物質
とする。多層膜の周期長に対する物質A層の厚さの比を
Γとする。光路長の変化は主として物質Aの層の除去に
よって起こり、物質Bの層の除去によっては殆ど光路長
の変化は生じない。従って、多層膜の周期長を一定にし
たまま、Γを小さくすれば、多層膜を一層除去した際の
光路長変化Δを小さくすることができる。
【0027】しかしながら、Γを変えると多層膜の反射
率が変化する。最大の反射率が得られるΓがあり、Γを
これより小さくしていくと反射率は急激に減少する。図
3に、波長13.4nmで、直入射で使用するMo/S
i多層膜(周期長6.8nm、積層数50層対)の計算
結果を示す。横軸はΓで、縦軸は左側が反射率、右側が
光路長変化Δを表す。多層膜の一層対除去あたりの光路
長変化Δを小さくするためにΓを小さくしようとする
と、反射率は急激に減少してしまうことがわかる。
【0028】本発明では、図1に示すように、反射率が
最大になるようにΓが設定された第一の多層膜1の上
に、所望の光路長変化Δが得られるように、第一の多層
膜よりも小さいΓを有する第二の多層膜2を積層した。
図4は、波長13.4nmで、直入射で使用するMo/
Si多層膜の計算結果を示す。この多層膜は、周期長
6.8nm、Γ=1/3、積層数40層対の第一の多層
膜の上に、周期長6.8nmでΓを変えた第二の多層膜
を10層対積層したものである。横軸は上層の第二の多
層膜のΓで、縦軸は左側が反射率、右側が光路長変化Δ
を表す。図3と比較して明かなように、Γを小さくして
も反射率の低下は小さく、反射率を大きく犠牲にするこ
となく、多層膜の一層対除去あたりの光路長変化Δを小
さくすることができる。
【0029】本発明では下層の第一の多層膜は反射率が
最大になるよう最適化されており、上層の第二の多層膜
は所望の光路長変化Δが得られるように設定されてい
る。第二の多層膜を表面から一層ずつを除去していく
と、反射率は上昇していく。図5にその例を示す。図5
は、波長13.4nmで、直入射で使用するMo/Si
多層膜の計算結果を示す。この多層膜は、周期長6.8
nm、Γ=1/3、積層数40層対の第一の多層膜の上
に、周期長6.8nmで異なるΓの第二の多層膜を10
層対まで積層したときの反射率の変化を示すものであ
る。光路長変化Δは、Γの違いにより、0.2nm、
0.1nm、0.05nm、0.02nmの場合が示さ
れている。第二の多層膜の表面から一層ずつ除去してい
くと、図の右から左へ反射率が変化する。例えば、第二
の多層膜がΔ=0.05nmで10層対形成されている
場合、多層膜を除去する前の反射率は65.2%であ
り、これを5層対除去すると68.2%、10層対除去
すると72.5%となる。多層膜の一層対除去あたりの
光路長変化Δを小さくするほど、また、除去する層数が
増加するほど反射率の変化は大きくなる。このような反
射率の変化は、反射波面形状を補正した後の多層膜反射
鏡の、反射率の面内ムラを生じさせる。反射率の面内ム
ラの許容値から、最適な光路長変化Δと除去する層数を
選択することができる。
【0030】反射率の面内ムラの許容値が厳しい場合に
は、反射波面形状を補正した後の表面に、真空に対する
屈折率の差が小さい物質を部分的に形成して反射率を均
一になるよう補正することができる。波長13.4nm
では、シリコンの屈折率は0.998であり、殆ど1で
あるので、表面にシリコン層を形成しても光路長の変化
は殆ど無い。シリコンの吸収計数はa=1.4×10-3
(/nm)である。シリコン中をxだけ進むと光の強度
はexp(−ax)に低下する。例えば、表面にシリコ
ンを厚さ37nm形成すると、反射率を10%低下させ
ることができる。このときシリコン層形成による光路長
の変化は0.07nmであり充分小さい。また、予めシ
リコン形成による光路長変化分を考慮して、多層膜除去
による反射波面補正を行っておけば、更に補正精度を向
上させることができる。
【0031】なお、ここではEUVリソグラフィーで使
われる波長13.4nmのMo/Si多層膜について説
明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、他
の波長域、他の多層膜材料に対しても有効に適用できる
ことは言うまでもない。また、下層の第一の多層膜と上
層の第二の多層膜を構成する材料は同じである必要もな
い。
【0032】
【実施例】本発明をEUV露光装置の投影光学系に適用
した実施例について説明する。投影光学系は6枚の非球
面ミラーから構成されており、開口数(NA)が0.2
5、倍率が1/4でリングフィールド状の露光領域を有
している。まず、従来の研磨加工技術により各非球面ミ
ラーを製作した。各ミラーの形状精度は0.5nmRM
Sであった。これらを組み立てて得られる波面収差は
2.4nmRMSである。波長13.4nmで使用する
ためには、波面収差は1nmRMS程度以下に抑える必
要があるので、このままではミラーの形状精度が不足で
ある。次に、各非球面ミラーの反射面にMo/Si多層
膜を形成した。まず、周期長6.8nm、Γ=1/3の
多層膜を40層積層し、その上に周期長6.8nm、Γ
=0.1の多層膜を10層積層した。多層膜はイオンビ
ームスパッタリングにより成膜した。
【0033】この多層膜の表面を一層ずつ除去して反射
波面の補正を行った。上層のΓ=0.1の多層膜を一層
除去すると、光路長が0.05nm変化する。各ミラー
の補正を行ったところ、形状精度を0.15nmRMS
に低減することができた。これらのミラーを鏡筒機構内
に組み込んで波面収差が最小になるよう調整を行ったと
ころ、波面収差を0.8nmRMSにすることができ
た。これは回折限界の結像性能を得るために充分な値で
ある。このようにして製作した投影光学系をEUV露光
装置に組み込んで露光テストを行った。30nmL&S
の微細なパターンまで解像することができた。
【0034】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、多層膜の
表面を所定の量だけ除去して反射波面形状を補正する方
法において、補正の単位量を従来よりも小さくすること
ができるので、より精度の高い波面補正が可能になり、
光学系の波面収差を低減して結像特性を向上することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多層膜反射鏡の概略図である。
【図2】多層膜の表面除去による反射波面位相補正の原
理を説明する図である。
【図3】従来の多層膜のΓに対する反射率と光路長変化
を示す図である。
【図4】本発明による多層膜のΓに対する反射率と光路
長変化を示す図である。
【図5】本発明による多層膜の上層第二の多層膜の層数
と反射率を示す図である。
【図6】EUV露光装置の概略図である。
【符号の説明】
1・・・第一の多層膜 2・・・第二の多層膜 C・・・コンデンサ IR1、IR2、IR3、IR4・・・照明光学系の多
層膜ミラー L・・・プラズマ励起用のレ−ザ M・・・マスク PR1、PR2、PR3、PR4・・・投影光学系の多
層膜ミラー S・・・光源 W・・・ウエハ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G21K 1/06 G21K 1/06 C D 5/02 X 5/02 H01L 21/30 531A 517 Fターム(参考) 2H042 DA01 DB02 DB14 DC02 DD05 DE00 2H048 FA05 FA07 FA09 FA11 FA24 GA03 GA11 GA35 GA60 GA61 2H097 CA15 5F046 CB02 GB01 GD01 GD10

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屈折率の異なる二種類の物質が交互に所
    定の周期長で積層されてなる第一の多層膜上に、周期長
    は第一の多層膜とほぼ等しく、二種類の物質層の厚さの
    比が第一の多層膜とは異なる第二の多層膜を積層し、反
    射波面の位相を補正するために上層の第二の多層膜を表
    面から所望の量だけ除去することを特徴とする多層膜反
    射鏡の製造方法。
  2. 【請求項2】 屈折率の異なる二種類の物質が交互に所
    定の周期長で積層されてなる第一の多層膜上に、周期長
    は第一の多層膜とほぼ等しく、二種類の物質層の厚さの
    比が第一の多層膜とは異なる第二の多層膜を積層し、上
    層の第二の多層膜を表面から所望の量だけ除去すること
    によって、反射波面の位相が補正されていることを特徴
    とする多層膜反射鏡。
  3. 【請求項3】 多層膜を構成する物質のうち、真空に対
    する屈折率の差が大きい物質層の厚さの、周期長に対す
    る比をΓとするとき、第一の多層膜のΓよりも第二の多
    層膜のΓが小さいことを特徴とする請求項2に記載の多
    層膜反射鏡。
  4. 【請求項4】 第二の多層膜のΓは、表面から多層膜を
    所定の量だけ除去して反射波面の位相補正を行う際の、
    真空に対する屈折率の差が大きい物質層の厚さ当たりの
    補正量が所望の値になるよう設定されていることを特徴
    とする請求項3に記載の多層膜反射鏡。
  5. 【請求項5】 第二の多層膜の積層数は、表面から多層
    膜を所定の量だけ除去して反射波面の位相補正を行う際
    の、補正量の最大値が所望の値になるように設定されて
    いることを特徴とする請求項2〜4に記載の多層膜反射
    鏡。
  6. 【請求項6】 第一の多層膜は、モリブデンを含む層と
    シリコンを含む層からなることを特徴とする請求項2〜
    5に記載の多層膜反射鏡。
  7. 【請求項7】 第二の多層膜は、モリブデンを含む層と
    シリコンを含む層からなることを特徴とする請求項2〜
    6に記載の多層膜反射鏡。
  8. 【請求項8】 第二の多層膜の表面から多層膜の一部が
    除去されて反射率が変化した部分に、真空に対する屈折
    率の差が小さい物質を積層することによって、反射率が
    補正されていることを特徴とする請求項2に記載の多層
    膜反射鏡。
  9. 【請求項9】 反射率を補正するために表面に積層され
    る層がシリコンを含むことを特徴とする請求項8に記載
    の多層膜反射鏡。
  10. 【請求項10】 多層膜の周期長が6〜12nmの範囲
    であることを特徴とする請求項2〜9に記載の多層膜反
    射鏡。
  11. 【請求項11】 請求項2〜10に記載の多層膜反射鏡
    を用いて構成されたことを特徴とする軟X線光学系。
  12. 【請求項12】 X線を発生させるX線光源と、前記X
    線光源からのX線をマスクに導く照明光学系と、前記マ
    スクからのX線を感光性基板に導く投影光学系とを有
    し、前記マスクのパターンを感光性基板へ転写する露光
    装置において、 前記照明光学系および前記マスクおよび前記投影光学系
    は、請求項2〜10に記載の多層膜反射鏡を少なくとも
    1つ以上有することを特徴とする露光装置。
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