JP4414164B2 - 分岐アルキルエーテル化合物の製造方法およびこの化合物の用途 - Google Patents
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Description
一方、ウレタン樹脂原料としてオレフィンオキサイド(エポキサイド)を用いたウレタン樹脂組成物が開示されているが(例えば、特許文献2および3参照)、分岐アルキルエーテル化合物をウレタン樹脂原料として使用した例は開示されていない。
分岐アルキルエーテル化合物の製造法としては、分岐オレフィンをジヒドロキシル化し、すなわちジオールとし、このジオールに対して4〜8モル%に相当する水酸化カリウムを触媒として用い、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドをそれぞれ付加させる方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、この製造法で用いる付加させる化合物はガスであるため、その取り扱いが危険であり、その上、付加物の重合度調節(繰り返し単位数の制御)が難しく、反応生成物の分子量分布を任意に定めることができないという問題があった。従って、一定品質の分岐アルキルエーテル化合物を得ることが困難であった。
また、分岐アルキルエーテル化合物の製造法として、ジオールのアルカリ金属アルコラートにアルキレンオキサイドを付加させる製造法があるが、この製造法では、付加物の重合度調節が難しく、一定鎖長の付加生成物を再現性良く得るのが困難であるため、安定した品質の分岐アルキルエーテル化合物を得ることが困難であった。
すなわち、本発明は、下記一般式(I)
で表される2−アルキル−1,2−エポキシアルカンと、下記一般式(II)
X(OCH2CH2)j(OCHR1CHR2)kOY (II)
(式中、R1およびR2は、その一方が炭素数1〜4のアルキル基、他方が水素原子を示し、XおよびYは、その一方が水素原子、他方が水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。jは正の整数であり、kは0であって、j+k=1〜300を満たす。)
で表されるポリアルキレンエーテルを反応させることを特徴とする、下記一般式(III)および/または(IV)
また、本発明は、上記製造方法により得られた分岐アルキルエーテル化合物を含有させてなる古紙再生用脱墨剤の製造方法を提供するものである。
ここで、1−オレフィンとしては、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン 1−オクタデセンおよび1−エイコセンなでが挙げられる。メタロセン錯体としては、ジルコノセンジクロライド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド等の炭素共役五員環構造を有する、周期律表第4族金属の錯体、これらの金属錯体におけるジルコニウムをチタン、ハフニウムに置換した金属錯体、あるいはクロライドをアルキル基、1,3−ジケトン、β−ケトエステル、トリフルオロメタンスルホネートに置換した金属錯体などが挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、メチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムおよびトリオクチルアルミニウムなどが挙げられる。
ボーレート化合物としては、テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリチル、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジルピリジニウム、テトラフェニル硼酸トリチルなどが挙げられる。
2−アルキル−1,2−エポキシアルカンは、上記1−オレフィン二量体と過酸化物との反応により得ることができる。過酸化物としては、過酸化水素、有機過酸、ジアシルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、アルキルパーエステルおよびパーカーボネートなどが挙げられる。これらは一種を単独でまたは二種以上を混合して用いることができる。過酸化物と二量体の仕込みモル比は、過酸化物/二量体≧1が好ましく、100≧過酸化物/二量体≧1がより好ましい。
過酸化物として過酸化水素を用いる場合、例えば、以下のような反応により得ることができる。すなわち、上記1−オレフィン二量体に過酸化水素水(過酸化水素含量20〜80質量%程度)と少量の硫酸、蟻酸などの酸を混合してから、通常温度0〜100℃で、1〜50時間程度攪拌を行う。得られた反応生成物を水に注ぎ、有機層を水洗してから、再び、過酸化水素水(過酸化水素含量20〜80質量%程度)と少量の硫酸、蟻酸などの酸を有機層に配合し、温度0〜100℃で、1〜50時間程度攪拌を続ける。有機層を水洗し、乾燥操作を経てから、炭化水素溶媒を減圧留去することにより、下記一般式(I)
で表される2−アルキル−1,2−エポキシアルカンを、濃縮液体として得ることができる。
本発明の製造方法おいては、上記一般式(I)で表される2−アルキル−1,2−エポキシアルカンと下記一般式(II)
X(OCH2 CH2 ) j (OCHR1 CHR2 )k OY (II)
(式中、R1 およびR2 は、その一方がアルキル基、他方が水素原子を示し、XおよびYは、その一方が水素原子、他方が水素原子またはアルキル基を示す。jおよびkは正の整数であって、j+k=1〜300、j≧1およびk/j=0〜10を満たす。)
で表されるポリアルキレンエーテルを反応させることにより、下記一般式(III) および/または(IV)
で表される分岐アルキルエーテル化合物を得る。
上記一般式(I)、(III)および(IV)において、nは6〜30の整数であるが、6〜18が好ましい。nが6未満であると、分岐アルキルエーテル化合物を脱墨剤として用いた場合に、パルプから油脂(インキ)を剥離する力が低下し、nが30を超えると、分岐アルキルエーテル化合物の水への分散性が低下することからインキ剥離性が再び低下する。
上記一般式(II)、(III)および(IV)において、R1およびR2のうちのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。また、XおよびYのうちのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基などの炭素数1〜8のアルキル基が好ましい。
Zは、上記XまたはY、すなわち水素原子またはアルキル基である。XおよびYのいずれか一方が水素であることは、水酸基の存在を示すものであり、水酸基は、エポキシ体と反応するには必須の官能基である。)。XおよびYの一方がアルキル基である場合、上記一般式(II)の化合物はポリアルキレンエーテルモノオールであり、XおよびYともに水素の場合、上記一般式(II)の化合物はポリアルキレンエーテルグリコールである。
上記一般式(II)、(III)および(IV)において、(OCH2CH2)と(OCHR1CHR2)の配列は、ブロック配列であってもランダム配列であってもよい。
jおよびkは、ポリアルキレンエーテルグリコールまたはポリアルキレンエーテルモノオールの構成ユニットであるエチレンオキサイドと、炭素数3以上のアルキレンオキサイドとの組成比を示す数値である。j≧1とは、エチレンオキサイド・ユニットが必ず含まれることを意味する。kは0であってもよく、k=0は、その他のアルキレンオキサイドが含有されていなくてもよいことを意味する。j+kは、アルキレンオキサイドの鎖の長さを示す値である。j+kが300を超えると、分岐アルキルエーテル化合物の粘性が高くなり、製造が困難になる。
反応促進剤の使用量は、2−アルキル−1,2−エポキシアルカン100質量部に対して、通常0.001〜50質量部、好ましくは0.01〜5質量部である。
上記一般式(III) および/または(IV)で表される分岐アルキルエーテル化合物を得るためには、上記一般式(I)で表される化合物と上記一般式(II)で表される化合物の仕込みモル比は、(I)/(II)=1/10〜5/1(理論モル比で1/1)が好ましく、1/4〜2/1がより好ましい。
本発明に係る分岐アルキルエーテル化合物は、分岐アルキルエーテルル化合物に含まれる未反応水酸基が更に反応して分岐アルキルジエーテル化合物となるが、この化合物の存在により脱墨剤としての作用が低下することはない。
上記一般式(I)で表される2−アルキル−1,2−エポキシアルカンの開環反応においては、反応に関与する酸、塩基や、反応温度、原料の濃度など種々の条件により、ポリアルキレンエーテルの付加方向の割合が変化する。従って、上記一般式(III) または上記一般式(IV)の分岐アルキルエーテル化合物のいずれか一方を選択的に製造することは難しい。酸性条件下で、付加反応を行なうと、反応は室温にて速やかに進行し、上記一般式(IV)の化合物が高い生成比率で得られる。塩基性ないし無触媒での反応では、上記一般式(III) の化合物の生成比率が増大するが、脱墨剤として用いる場合、上記一般式(III) または上記一般式(IV)のいずれの化合物であっても差し支えない。
本発明に係るポリオール組成物は、上記一般式(I)で表される2−アルキル−1,2−エポキシアルカンとポリエチレングリコール[一般式(II)において、X=H、Y=H]との反応から得られる下記一般式(III-a) および/または(IV-a)
で表される分岐アルキルエーテル化合物(ジオール体)を含有する組成物である。
ここで、炭素数が18以上の直鎖アルカン−1,2−エポキサイドから得られたジオールは、結晶となるため、弾力性、柔軟性が求められるポリウレタン樹脂原料用のジオールとしては適さないものである。これに対して、上記一般式(III-a)および/または(IV-a)のジオール体を含むポリオール組成物は、ウレタン樹脂原料として好適であり、このポリオール組成物とポリイソシアネート化合物を反応させて得られるポリウレタン樹脂組成物を加熱・硬化させて得られるポリウレタン樹脂は、弾力性、柔軟性に優れるものである。
本発明のポリオール組成物は、上記一般式(III-a)および/または(IV-a)のジオール体に加えて、他のポリールを含むものであってもよい、この場合、上記ジオール体1モルに対して、他のポリオールの配合量は、通常1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。他のジオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。
本発明の分岐アルキルエーテル化合物は、古紙再生用脱墨剤として好適であり、その使用量は、古紙の紙質により適宜選定されるが、古紙100質量部に対して、通常0.0001〜0.1質量部、好ましくは0.001〜0.1質量部の割合で用いることにより、古紙に付着したインキを取り除いて、古紙を再使用可能なパルプに戻すことができる。
また、本発明の分岐アルキルエーテル化合物は、界面活性剤として用いることもでき、水溶性切削油、難燃性作動油などの水系潤滑油の用途に好適である。
実施例1
(1)メタロセン錯体を用いた1−デセンの二量化
窒素置換した内容積5リットルの三つ口フラスコに、1−デセン(3.0kg)、ジルコノセンジクロライド(メタロセン錯体:0.9グラム,3ミリモル)およびメチルアルモキサン(アルベマール社製、8ミリモル[Al換算])を順次添加し、室温(約20℃)で攪拌を行った。反応液は黄色から赤褐色に変化した。反応を開始してから48時間後、メタノールで反応を停止させ、続いて塩酸水溶液を反応液に添加し、有機層を洗浄した。次に有機層を真空蒸留し、沸点120〜125℃/27Pa(0.2Torr)の留分(デセン二量体)2.5kgを得た。この留分をガスクロマトグラフィーで分析したところ、二量体の濃度は99質量%であり、二量体中のビニリデンオレフィン比率は97質量%であった。
(2)2−アルキル−1,2−エポキシアルカン(2−オクチル−1,2−エポキシドデカン)の合成
内容積2リットルの三つ口フラスコに、上記(1)で製造したデセン二量体300gとトルエン500ミリリットルを加えた。この混合物の温度を70℃に保ち、ここに、30質量%濃度の過酸化水素水150g、濃硫酸0.5gおよび蟻酸20gを添加した。70℃において1.5時間攪拌を行った後、反応物を水500ミリリットルに注ぎ、更に有機層を水洗した。有機層は再びフラスコに移し、30質量%濃度の過酸化水素水150g、濃硫酸0.5gおよび蟻酸20gを添加した。そして、温度70℃で1.5時間攪拌を続けた後、分液して有機層を取出し、水洗・乾燥処理を施した。そして、溶媒のトルエンを減圧留去し、濃縮液体302gを得た。この濃縮物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、2−オクチル−1,2−エポキシドデカンの収率は94%であった。
内容積300ミリリットルの三つ口フラスコに、スルホン酸型イオン交換樹脂[AMBERLYST 15(H)WET;ICN Pharmaceuticals,Inc社製;輸入販売元、和光純薬工業(株)]5g、上記(2)で製造した2−オクチル−1,2−エポキシドデカン[2−アルキル−1,2−エポキシアルカン;上記一般式(I)においてn=8]100g(0.34モル)および2−メトキシエタノール[和光純薬工業(株)製、ポリアルキレンエーテル;上記一般式(II)においてj=1,k=0,X=H,Y=Me]30g(0.39モル)を添加した。この混合物を室温(約20℃)にて1時間攪拌すると、液々二相であった反応液が均一相となった。同温度で更に5時間攪拌を継続した。そして、反応液からイオン交換樹脂をろ別し、更に揮発分をエバポレータで留去させた。このようにして、生成液123g(収率98%)を得た。そしてガスクロマトグラフィー(カラムOV−1)で分析し、マススペクトルおよび赤外線吸収スペクトルで解析したところ、2−オクチル−1−(2−メトキシエチルオキシ)−ドデカノール−2[上記一般式(III)の化合物]と2−オクチル−2−(2−メトキシエチルオキシ)−ドデカノール−1[上記一般式(IV)の化合物]が生成比9:91[(III):(IV)]で生成されたことを確認した。
次に、得られた化合物について、逆相分離クロマトグラフィーを用い、水/エタノール溶離液にて分子量分布を測定したところ、ガスクロマトグラフィーによる結果と同じ生成物(分岐アルキルエーテル化合物のエーテル側鎖長の平均値:jの平均値=1.0)が検出され、分子量分布(Mw/Mn)は1.0であった。
なお、逆相分離クロマトグラフィーによる生成物解析にあたり、測定機器LC−DECA(サーモエレクトロン社製)を用い、ESI(electrosprayionization)法を採用した。カラムはODS−80TS(東ソー社製)、展開溶媒は (1)[アセトニトリル/0.1% 酢酸アンモニウム水溶液=95/5]と (2)THFの容積比を40/6、イオン化温度を350℃とした。
実施例1(3)において、スルホン酸型イオン交換樹脂[AMBERLYST15(H)WET;ICN Pharmaceuticals,Inc社製;輸入販売元、和光純薬工業(株)]の使用量を2gに変更した以外は実施例1(3)と同様にして、2−オクチル−1−(2−メトキシエチルオキシ)−ドデカノール−2[上記一般式(III)の化合物]と2−オクチル−2−(2−メトキシエチルオキシ)−ドデカノール−1[上記一般式(IV)の化合物]を生成比7:93[(III):(IV)]で得た。
次に、得られた化合物について、逆相分離クロマトグラフィーを用い、実施例1と同様にして分子量分布を測定したところ、ガスクロマトグラフィーによる結果と同じ生成物(分岐アルキルエーテル化合物のエーテル側鎖長の平均値:jの平均値=1.0)が検出され、分子量分布(Mw/Mn)は1.0であった。
実施例1において、2−メトキシエタノール30gの代わりに、ポリエチレングリコール400[和光純薬工業(株)製、ポリアルキレンエーテルH(OCH2 CH2 )9 OH、商品番号161−09065;上記一般式(II)においてj=9,k=0:X=H,Y=H]240g(0.4モル)とし、そして室温(約20℃)にて24時間攪拌を行なった。反応液からイオン交換樹脂を取除き、生成物(オクチルドデカノールエーテル類)320gを得た。
生成物の構造確認は 1H−NMRスペクトルの強度比解析により行なった。また逆相分離クロマトグラフィーによる測定により、生成物はエチレンエーテル側鎖長の平均値(jの平均値)が9.6、分子量分布(Mw/Mn)が1.1であった。
また、図1に分岐アルキルエーテル化合物の質量分析のチャートを示す。チャート線図の読取りは、横軸が各化合物の分子量M+(NH4 ないしNa)の質量であり、縦軸がその分子量の組成割合を表わしている。表の数値、689.8,733.8,777.8,821.8,865.7は、式(C20H40O)+(C2 H4 O)×n+H2 O+Na=296.3+44.0×n+18.0+23.0において、繰返し数nが8〜12の整数のときの値である。同様に、表の数値、684.8,728.6,772.6,816.5,860.6は、式(C20H40O)+(C2 H4 O)×n+H2 O+NH4 =296.3+44.0×n+18.0+18.0において、繰返し数nが8〜12の整数のときの値である。また、各数値の1づつ増える分子量については、同位体元素による影響が現われたものである。なお、以上の解析は、「Bunseikagaku Vol.51 No.10 921−927(2002)液体クロマトグラフィー/質量分析法による陽イオン界面活性剤および非イオン界面活性剤の定量(宮前裕太)」と、「J.Mass Spectrom.Soc.Jpn.Vol.47 No.2 76−83(1999)Reflections on Electrospray Mass Spectrometry of Synthetic Polymers(John B,Fenn)」を参照して行なった。
このような解析により、2−オクチル−1,2−エポキシドデカン[2−アルキル−1,2−エポキシアルカン;上記一般式(I)においてn=8]とポリエチレングリコールとの間で反応が起き、目的の化合物が得られたことが確認できた。
また、得られた分岐アルキルエーテル化合物(オクチルドデカノールエーテル類;jの平均値=9.6)は、乳化剤としての機能を有することが分かった。分岐アルキル化合物を1質量%含有した水溶液を5分間振とうし、24時間静置したが、乳化状態には変化が起きなかった。このことにより、得られた分岐アルキルエーテル化合物は水溶性切削油ならびに難燃性作動油等、水系潤滑油としての用途に適用できることがわかる。
内容積500ミリリットルの三つ口フラスコに、実施例1(1)で調製したデセン二量体を70g(0.25モル)と蟻酸300ミリリットルを添加した。そして得られた混合物を室温で攪拌しながら、30質量%過酸化水素水35g(0.31モル)を加え、40℃に保ち、12時間攪拌を行った後、これに更に30質量%過酸化水素水7g(0.06モル)を加え、再び、12時間攪拌を継続した。反応後、蟻酸をロータリエバポレータにて減圧留去した。次に、残留分にNaOHを溶解させたエタノール溶液を加えて1時間還流処理させてから、エタノールを除去し、中和後、有機層を真空蒸留を行った。沸点154−159℃/27Pa(0.2Torr)留分が57g(収率72%)得られた。ガスクロマトグラフィーにより2−オクチルドデカン−1,2−ジオールの純度を測定したところ、純度は95%であった。
次に、「油化学、第28巻、11号、1979年、p842−846」に記載の方法に準じて、分岐アルキルエーテル化合物を合成した。すなわち、内容積300ミリリットルの三つ口フラスコに、2−オクチルドデカン−1,2−ジオール50g(0.17モル)およびジオールの4モル%に相当する水酸化カリウム0.4gを添加した。そして得られた混合液を150℃に昇温し、これにエチレンオキサイドのガスを300ミリリットル/分の速度で導入した。ガス導入後、1時間を経過したところで、ガスの供給を止め、反応液を冷却した。反応液にイソプロピルアルコール、氷酢酸を加えて、処理後、揮発分を留去させ濃縮液59gを得た。この濃縮液を逆相分離クロマトグラフィーにより測定し、エチレンエーテル側鎖長の平均値(jの平均値)1.2、分子量分布(Mw/Mn)2.3の値を得た。
以上の反応条件等を表1に示す。
2cm角に裁断した新聞古紙50gと水950gをミキサーに入れて古紙濃度5質量%の懸濁液を調製した。この調製液をフラスコに移し、これに、実施例1(3)で調製した分岐アルキルエーテル化合物1.0g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1gおよび水20ミリリットルを配合した乳液を加え、60℃で2時間攪拌を行なった。次に、処理液を加圧ろ過器を用いてろ過し、パルプ(古紙)とろ液を分離した。そして、パルプは白色化し、ろ液が黒濁色に変色したことを目視による判定で確認した。
実施例4において、分岐アルキルエーテル化合物1.0gを用いる代わりに、実施例1(2)で製造した2−オクチル−1,2−エポキシドデカン1.0g(比較例2)、2−メトキシエタノール1.0g(比較例3)を用いた乳液をそれぞれ調製し、古紙濃度5質量%の懸濁液1000gに添加した。それ以降の操作は、実施例4と同様に行なった。いずれにおいても、古紙には変化が見られず、ろ液の濁りはほとんど検出できなかった。
以上の古紙の変化(変色テスト)の結果を表2に示す。表2において、○はろ液が変色した場合を示し、×はろ液が変色しない場合を示す。
内容積500ミリリットルの三つ口フラスコに、実施例1(3)で用いたものと同じスルホン酸型イオン交換樹脂5g、実施例1(2)で得られた2−オクチル−1,2−エポキシドデカン[2−アルキル−1,2−エポキシアルカン;上記一般式(I)においてn=8]100g(0.34モル)およびエチレングリコール[和光純薬工業(株)製、ポリアルキレンエーテル;上記一般式(II)においてj=1,k=0:X=H,Y=H]200g(3.2モル)を添加した。次に、この混合物を80℃にて6時間攪拌した。反応後、イオン交換樹脂をろ別し、分液ロートに入れ静置したところ、液々二相に分離した。上層液を水洗し、生成液120g(収率98%)を得た。生成液をガスクロマトグラフィーにより分析し、下記式で示す1,5−ジオール体が高純度(純度98%)で得られたことを確認した。
実施例5で調製した1,5−ジオール体107.4g(0.30モル)、1,4−ブタンジオール18.0g(0.20モル)、ジメチルホルムアミド250gおよび4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート141.0g(0.50モル)を仕込み、70℃で反応させた。反応の経過につれて液粘度が増大したので、適時ジメチルホルムアミドを添加し、反応を続けた。溶液粘度が3〜4Pa・s(3000〜4000cps)に到達した時点で、メタノール4gを加え、更に、不揮発分が30質量%となるようにジメチルホルムアミドを添加した。得られたポリウレタン樹脂液は、透明な粘稠な液体であった。
次に、ポリウレタン樹脂液を離型紙上にアプリケータで塗布した後、100℃乾燥機中で1時間乾燥させ、厚さ0.1mmのフィルムを作製した。作製したフィルについては、下記の方法により、耐熱性および耐湿熱性試験を行なった。その結果を表3に示す。ポリオールとして、分岐アルキルエーテル化合物のジオールタイプを用いることで、ウレタン樹脂の欠点である耐湿熱性を改善することができた。
(1)耐熱性:破断強度の測定は、フィルムを幅5mm、長さ50mm、厚さ0.1mmの試験片とし、室温下、島津製作所製オートグラフIM−100を用いて、引張り速度300mm/分の条件で行なった。次に、上記形状に作製した別の試験片を120℃乾燥機に28日間入れて破断強度を測定し、熱処理前の破断強度に対する比の値(%)として耐熱性を表わした。
(2)湿熱性:耐熱性試験と同様に、作製した試験片を70℃RH95%の恒温恒湿槽に28日間入れて破断強度を測定し、湿熱処理前の破断強度に対する比の値(%)として耐湿熱性を表わした。
実施例6において、分岐アルキルエーテルを用いずに、1,4−ブタンジオール45.0g(0.50モル)、ジメチルホルムアミド250g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート141.0g(0.50モル)を仕込み、70℃で反応させた以外は、実施例6と同様に行ない、ポリウレタン樹脂液を調製した。得られたポリウレタン樹脂液を用いて実施例6と同様の試験を行った。結果を表3に示す。
Claims (6)
- 下記一般式(I)
で表される2−アルキル−1,2−エポキシアルカンと、下記一般式(II)
X(OCH2CH2)j(OCHR1CHR2)kOY (II)
(式中、R1およびR2は、その一方が炭素数1〜4のアルキル基、他方が水素原子を示し、XおよびYは、その一方が水素原子、他方が水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。jは正の整数であり、kは0であって、j+k=1〜300を満たす。)
で表されるポリアルキレンエーテルを反応させることを特徴とする、下記一般式(III)および/または(IV)
で表される分岐アルキルエーテル化合物の製造方法。 - 前記一般式(III)および(IV)中のZが水素原子である、請求項1に記載の分岐アルキルエーテル化合物の製造方法。
- 前記一般式(I)で表される2−アルキル−1,2−エポキシアルカンと、前記一般式(II)で表されるポリアルキレンエーテルの仕込みモル比が、1/10〜5/1[(I)/(II)]である請求項1又は2に記載の分岐アルキルエーテル化合物の製造方法。
- 反応に際し、反応促進剤として、酸、酸型イオン交換樹脂および固体酸性物質から選ばれる少なくとも一種を用いる請求項1〜3のいずれかに記載の分岐アルキルエーテル化合物の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られる分岐アルキルエーテル化合物と、ポリイソシアネート化合物とを反応させることによる、ポリウレタン樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られる分岐アルキルエーテル化合物を含有させてなる古紙再生用脱墨剤の製造方法。
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