JP4414060B2 - 扁平糸の緯入装置 - Google Patents
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【発明の属する技術の分野】
本発明は、扁平糸を撚りを生じさせないで無杼織機の給糸部に供給して緯入できるようにした扁平糸の緯入装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の緯入装置として、本発明者が先に提案したものがある。これは多数本(3000〜12000本)の炭素繊維を扁平に引き揃えてなる扁平糸を繊維束がバラけないように扱うことのできるものである。
【0003】
上記従来の緯入装置は、図6の如く、扁平糸61を巻いた巻玉61′の駆動手段62と、無杼織機63の給糸部(図示せず)との間に設置され、該巻玉から巻き戻された扁平糸の入口部64と、該入口部64から入った扁平糸61をU状に貯留する貯留部65と、該貯留部65の扁平糸を無杼織機の給糸部へ送り出す出口部66とを備えている。
【0004】
前記貯留部65は背面板と透明な前面板との狭い間隙になっており、下端部に設けた空気吸引器67の作用により上面から空気を引き込んで下向きの気流を作り、これに乗せて巻玉からガイド68を経て入口部64より入った扁平糸61をU状に貯留できるようになっている。この入口部64には前記駆動手段62により駆動される巻玉61′の周速度より早い周速度で回転するローラ69があり、扁平糸61のU状の貯留を促進し易くしている。また、前記出口部66には弾圧部70が設けられ、無杼織機の給糸部の引き或いは停止に際して扁平糸61が惰性で出過ぎたり弛んだりしないようにしている。
【0005】
上記の緯入装置は、上述の如き構成にし、扁平糸(緯糸)の貯留部65への導入を空気吸引器67の作用に加えてローラ69の回転力で補うことから炭素繊維の多数本を引き揃えてなる扁平糸でも、これをバラけさせることなく緯入できるようになった点に大きな特徴を有していた。
【0006】
しかして、上記の緯入装置は、貯留部65内の扁平糸を検出する光検出器71が4段設けられていた。その4段のうち、中間の2つの光検出器71a、71bの間に前記扁平糸のU端61aがあるときを正常とし、上光検出器71aがU端61aを検出したときは巻玉の駆動手段62を「速度アップ」させ、下光検出器71bがU端61aを検出したときは同駆動手段62を「速度ダウン」させるように構成されていた。
【0007】
また、4段の光検出器71のうち、外側の2つの光検出器71a′、71b′がU端61aを検出したとき、即ち、外側上の光検出器71a′がU端61aを検出したときは、巻玉の駆動手段62の再加速させ、外側下の光検出器71b′がU端61aを検出したときは、安全性を確保するために巻玉の駆動手段62及び無杼織機63を緊急停止させるように構成されていた。
【0008】
上記4つの光検出器71はそれぞれ発光部と受光部とからなり、発光部からの光を扁平糸61のU端61aが遮ると受光部から検出信号が出力され、これがデジタル変換されて制御部に入力される。該制御部の指令により前記駆動手段62の駆動や無杼織機の制御が行えるようになっていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記4つの光検出器71は、それぞれ特有のデジタル変換値を予め特定しておくことにより、制御部ではどの光検出器からの信号かを判断して必要な制御を各部に指令するようになっていたが、各光検出器の受光部の感度は常に一定ではなく、前面ガラスにゴミやホコリが付着したり、湿気が付着するなどの環境変化によって変化することから、扁平糸61のU端61aに反応したりしなかったりする障害が生じた。勿論、感度を常に良好に保つため、受光部の前面ガラスを常時清掃するか、デジタル変換値を環境変化に合わせて常時最適な値に変更すれば良いが、極めて面倒であった。
【0010】
また、受光部の感度は良好であっても、扁平糸の種類(例えば、プラスチックのリボン状フィルム)によっては静電気のため、ハウジング内の背面板に扁平に密着して仕舞うことから、扁平糸を検知しても設定した値に達せず、誤作動の原因になることもあった。
【0011】
本発明は、上記の問題点を解消するためのもので、その目的とするところは、受光部の感度に影響されることなく、常に、正確に扁平糸を認識できるようにした扁平糸の緯入装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、扁平糸を巻いた巻玉の駆動手段と、該巻玉から巻き戻された扁平糸の入口部と、扁平糸のU状の最下点を検出する一つの光検出器を有する貯留部と、該貯留部の扁平糸を無杼織機の給糸部へ送り出す出口部とを備えてなり、前記出口部に、扁平糸を支持する支持具と、該支持具上の扁平糸をバネ材の弾力により押えるバネ板と、該バネ板の弾性変形を受けて作動するスイッチ手段とを備えたことを特徴とし扁平糸のU状の最下点を一つの光検出器でみて信号を明確化し、かつ、扁平糸を無杼織機に向けて送り出すときに、同時に、糸長と巻玉の回転数が計測できるように構成した。
【0015】
【発明の実施の態様】
次に、本発明の実施の態様を添付図面に基づいて説明する。図1は本願装置の全体を示す正面図、図2は貯留部の背面板と前面板との間隙の調整手段を示す斜視図、図3は緯糸(扁平糸)の測長するときの説明図、図4は無杼織機の主軸を示す説明図、図5は光検出器のU端の検知状態を示す説明図である。
【0016】
本願装置1は扁平糸2を巻いた巻玉3の駆動手段4と、無杼織機(破線)5の給糸部(図示せず)との間に設置され、前記巻玉3から巻き戻された扁平糸2の入口部6と、該入口部6から入った扁平糸をU状に貯留する貯留部7と、該貯留部7内の扁平糸を前記無杼織機5の給糸部へ送り出す出口部8とを備えてなるものである。なお、無杼織機5とはレピア、エアジェット、ウォータージェットなどシャットル(杼)を使用しない織機をいう。
【0017】
前記駆動手段4はサーボモータが搭載され、巻玉3の回転速度を制御部(図示せず)の指令により任意に調整できるとともに、巻玉3を巻き戻す方向(正転)又は巻き込む方向(逆転)に切換えできるようになっている。4aは巻玉3から軸方向に綾振り状にほぐれる扁平糸2の往復幅を規制するガイドで、巻玉3の軸方向両端にアーチ状に立設している。なお、扁平糸2として対象となるものは特に問わないが、炭素繊維の多数本を扁平に引き揃えたものでも、リボン状のプラスチックフィルムでもその他でもよい。
【0018】
前記貯留部7は、図2の如く、背面板7aと、透明な前面板7bとで狭い間隙7cが作られている。この間隙7cは上面を除く周囲が側枠7dにより塞がれ、上面が空気取り入れ口として開放されている。前記前面板7bはアングル7eを介して側枠7dにネジ7fにより止められている。このネジ7fによる止め部は前後方向の長穴7gになっており、側枠7dの正面側に設けた透孔7hよりジグ7iを差し込むことにより前記間隙7cが扁平糸2の糸幅2aに合わせて例えば3mm〜13mmの範囲で広狭変更可能になっている。
【0019】
前記貯留部7の下部には空気吸引器9が設けられている。該空気吸引器9はブロワー(図示せず)の起動により作動し、貯留部7の上面より空気を引き込んで排気できるようになっている。排気は濾過器(図示せず)を介して空中に開放される。従って、貯留部7の狭い間隙7c内には上から下へと気流ができ、これに乗って入口部6と出口部8との間において扁平糸2がU状に貯留されることとなる。
【0020】
前記入口部6には前記駆動手段4により駆動される巻玉3の周速度より早い周速度で回転するローラ6aが設置され、扁平糸2を吸引する空気吸引器9の吸引力を補っている。また、入口部6の直前には前記ローラ6aに扁平糸2を正しく導くための幅ガイド6bが設置されている。
【0021】
前記出口部8には扁平糸2の裏面側を摺動可能に支持する支持具8aと、該支持具8aに摺接する扁平糸2の表面側をバネ材8bの弾力により軽く押えるバネ板8cとを備えている。これは無杼織機の給糸部の引き或いは停止に際して扁平糸2が惰性で出過ぎたり弛んだりしないするためのものである。しかして、バネ板8cの裏面側の近接位置にはバネ板8cが変形したときに作動するスイッチ手段10が設けられている。該スイッチ手段10は前記巻玉3の駆動手段4を逆転から正転に切換えるためのものである。
【0022】
前記貯留部7の適所(織機の1回の引きに対応できる貯留量が確保できる位置である)には、扁平糸2を検出する単一の光検出器11が設けられている。該光検出器11は発光部11aと受光部11bとからなり、発光部11aからの光線が扁平糸2により遮られているか否かを受光部11bで検出し、その検出信号を受領した制御部(図示せず)が前記駆動手段4に対して「速度アップ」又は「速度ダウン」の指令を出すようになっている。
【0023】
前記光検出器11は、前記出口部8に設けたバネ板8cに近接位置に設置したスイッチ手段10と相まってスタート当初の巻玉3の外径の測長のために使用される。即ち、スタート時(或いは巻玉3を交換して再スタート時)には前記駆動手段4は、図3の如く、巻玉3を逆転(矢印イ方向)に駆動させる。これにより前記入口部6と出口部8との間において扁平糸2がピーンと張る(A点)と、バネ板8cが変形してスイッチ手段10が作動し、前記駆動手段4を正転(矢印ロ方向)に切換え、扁平糸2がU状に下降し、その最下点(B点)を光検出器11が検知するが、このA点からB点までの糸長と巻玉3の回転数が計測できると巻玉の外径が計算でき、これに無杼織機5の織幅及び主軸の回転速度を当てはめれば、スタート時における駆動手段4の回転速度が決定できることとなる。
【0024】
また、前記無杼織機5は主軸5aに、図4の如く、円盤5bを固着し、該円盤5bのP点を織機の引き始め点とし、P′点を引き終わり点として検出器5cで検出できるようにし、該検出器5cで検出した円盤5bのP点と、前記光検出器11のB点とを一致させることにより無杼織機と本願装置とを同期させることができる。
【0025】
前記光検出器11は、前記貯留部7の適所に設けた1個だけで扁平糸2を検出するので、図6に示した従来装置の如く複数(4個)設置した場合と異なり、織機の1サイクル中に必ず光検出器11に糸が無い状態が作れる。つまり、織機による緯糸(扁平糸)の引き終わりのときには必ず光検出器11にて検出されている糸が無い状態になる。換言すれば、光検出器11の検出領域に糸がある事はない(正常時の場合)。従って、糸の無い状態(値)を制御部(コンピュータ)に取り込み、この値に対して光検出器11の検出領域内に糸が入ってきたときの値と比較すれば、光検出器11は安定した作動を保つことができる。
【0026】
即ち、ゴミやホコリの付着や湿気の付着などの環境変化によって光検出器自体の感度が変わったとしても、その変わった現実の値を基準にして扁平糸を検知するため、従来装置の如く、受光部の前面ガラスを常時清掃しなければならなかったり、デジタル変換値を環境変化に合わせて常時正しい値に変更するような面倒な作業が不要となる。前面ガラスの清掃は余程汚れたと思えるときに行えば足りる。
【0027】
また、前記光検出器11は、織機の1サイクル毎に制御部を介して、図5の如く、例えば▲1▼〜▲7▼の如く作動する。即ち、▲1▼は扁平糸2を検知していない状態であり、織機の引きより遅いとして駆動手段4の速度アップを指令する。▲2▼は次のサイクルで駆動手段4の速度アップの結果、扁平糸2を検知した状態である。▲3▼は次のサイクルでも扁平糸2を依然として検出している状態であり、駆動手段4に減速を指令する。▲4▼はさらに次のサイクルになっても扁平糸2を検出している状態であり、続けて駆動手段4に減速を指令する。▲5▼▲6▼は減速の結果が出た状態である。▲7▼は駆動手段4の減速の結果、扁平糸2のU端2′を検知した状態である。つまり、▲2▼〜▲7▼の間の平均速度が織機の速度となる。
【0028】
【発明の効果】
以上の如く、本発明に係る扁平糸の緯入装置は、扁平糸を巻いた巻玉の駆動手段と、該巻玉から巻き戻された扁平糸の入口部と、扁平糸のU状の最下点を検出する一つの光検出器を有する貯留部と、該貯留部の扁平糸を無杼織機の給糸部へ送り出す出口部とを備えてなり、前記出口部に、扁平糸を支持する支持具と、該支持具上の扁平糸をバネ材の弾力により押えるバネ板と、該バネ板の弾性変形を受けて作動するスイッチ手段とを備えたことを特徴としているから、扁平糸のU状の最下点を一つの光検出器でみれるので、複数の光検出器でみるより信号が明確化し、特に、前面ガラスにゴミやホコリが付着したり、湿気が付着するなどの環境変化に影響されず、正確な検出ができる。また、入口部と出口部との間に扁平糸がピーンと張られた位置ではバネ板の弾性変形により出口部のスイッチ手段が作動して巻玉の駆動手段を正転させ、扁平糸が貯留部内にてU状に貯留され、その最下点を一つの光検出器が検出すると、出口部において扁平糸を無杼織機に向けて送り出すときに、同時に、糸長と巻玉の回転数が計測でき、これを無杼織機の織幅及び主軸の回転速度に当てはめれば、スタート時における駆動手段の回転速度が決定できるなど各種の優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願装置の全体を示す正面図である。
【図2】本願装置における貯留部の背面板と前面板との間隙の調整手段を示す斜視図である。
【図3】本願装置により緯糸(扁平糸)の測長するときの説明図である。
【図4】無杼織機の主軸を示す説明図である。
【図5】本願装置における光検出器のU端の検知状態を示す説明図である。
【図6】従来装置の説明図である。
【符号の説明】
1 本願装置
2 扁平糸
2a 糸幅
2′ U端
3 巻玉
4 駆動手段
4a ガイド
5 無杼織機
5a 主軸
5b 円盤
5c 検出器
6 入口部
6a ローラ
6b 幅ガイド
7 貯留部
7a 背面板
7b 透明な前面板
7c 間隙
7d 側枠
7e アングル
7f ネジ
7g 長穴
7h 透孔
7i ジグ
8 出口部
8a 支持具
8b バネ材
8c バネ板
9 空気吸引器
10 スイッチ手段
11 光検出器
11a 発光部
11b 受光部
A 扁平糸がピーンと張った点
B 扁平糸の最下降点
P 引き始め点
P′ 引き終わり点
Claims (1)
- 扁平糸を巻いた巻玉の駆動手段と、該巻玉から巻き戻された扁平糸の入口部と、扁平糸のU状の最下点を検出する一つの光検出器を有する貯留部と、該貯留部の扁平糸を無杼織機の給糸部へ送り出す出口部とを備えてなり、前記出口部に、扁平糸を支持する支持具と、該支持具上の扁平糸をバネ材の弾力により押えるバネ板と、該バネ板の弾性変形を受けて作動するスイッチ手段とを備えたことを特徴とする扁平糸の緯入装置
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Applications Claiming Priority (1)
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JP2000143997A JP4414060B2 (ja) | 2000-05-16 | 2000-05-16 | 扁平糸の緯入装置 |
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