JP4413360B2 - 半導体ウエハの処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱および加圧されたガス雰囲気下で配線内部の欠陥を減少させる半導体ウエハの処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの配線材料として近年Cuが脚光を集めており、その成膜方法として電解メッキが主流となっている。
一方、配線の微細化が着実に進められており、0.18μレベルが実用化され、さらに0.15μ、0.13μあるいはさらに一層の微細化が試みられている。ところが、微細化にともなって、配線膜中のホールと呼ばれる穴の奥まで確実に埋め込むことが困難になっており、配線内部に大小のボイド等の欠陥が生ずることがあり、ボイドのない健全な配線膜を形成する方法として高圧の利用が注目されている。
【0003】
高圧の利用については、例えば。「Application of HIP to ULSI Fabrications(A Challenge to Sub-Quater Micron World)」(1999),Proc,Int.Conf.On HIP Beijing,Chinese MRS,p276-281,T.Fujikawa et.al等に詳しく記載されている。
上述のプロセスは、通常アルゴンガスを圧力媒体とし、例えば電解メッキで成膜されたCuの健全化のためには、350℃以上の温度と120MPa以上の圧力が必要とされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
通常使用される99.998%のアルゴンガス中には0.2ppm程度の酸素や2ppm程度の水分が含まれている。圧力が120MPaの場合には、例えばその酸素量は大気圧のアルゴンガスに約0.02%の酸素が含まれているのに相当する。
そのため、かかる高圧雰囲気で350℃まで加熱すると、アルゴンガス中の酸素、水分などによって、Cu膜の表面が工業的に有害なレベルまで酸化されることが判明した。
【0005】
半導体ウエハを高温高圧処理した後、半導体ウエハの表面が黒紫色に変色し光沢を失っている場合があり、本発明者らがこの表面を成分分析したところ、大量の酸素が検出された。このため、変色の原因は酸化であることが判明した。なお、半導体ウエハの破面をSEM観察したところ、Cu配線膜はボイドの全く観察されない健全なものであった。
【0006】
半導体ウエハの表面が酸化されると硬度が変化し、後工程であるCMP(表面を平坦化するための化学機械研磨)工程で膜厚の変動要因となる。これは、高価な半導体チップの生産歩留まりに多大の悪影響を与える。また、酸化汚染が著しい場合には、電気的な特性自体に悪影響を与えることもある。
したがって、高温高圧処理時に半導体ウエハの表面を酸化汚染させないことは極めて重要である。
【0007】
高温高圧処理時のウエハ表面酸化を防止するには、例えば、99.9999%の超高純度アルゴンガスを使用することも考えられる。
しかし、99.9999%のアルゴンガスは99.998%のアルゴンガスと比較して約7倍にも達する価格であり、高温高圧処理時のコストを著しく増大させてしまう。
【0008】
また、超高純度のアルゴンガスであっても、高温高圧処理毎に若干の不純物がアルゴンガス中に蓄積されるため、アルゴンガスをリサイクル使用することが困難で、資源の無駄使いとなりさらにコストアップの要因となる。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、超高純度のガスでなくとも半導体ウエハの表面汚染を防止できる処理方法とその方法に用いる酸化防止体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題に鑑み、次の技術的手段を採用した。すなわち、本発明は、Cu配線膜が形成された半導体ウエハを圧力容器内に収納して、真空排気した後にアルゴンガスを供給して加熱および加圧されたガス雰囲気下で配線内部の欠陥を減少させる処理を行う半導体ウエハの処理方法において、前記圧力容器内に、前記半導体ウエハともに、前記アルゴンガス中の酸素を固溶して減少させるチタン、チタン合金、ジルコニウム、又はジルコニウム合金のいずれかでプレート状に形成されて鏡面研磨加工が施されかつ一方の面の全体に絶縁体によるコーティングが施された酸化防止体を前記一方の面が下になるように前記圧力容器内に配置して前記配線内部の欠陥を減少させる処理を行うことを特徴とする。
【0010】
この場合、酸化防止体が圧力容器内の酸素を取り込むので、圧力容器内の酸素が低減し、高温高圧処理時に半導体ウエハの表面が酸化することが防止される。
また、半導体ウエハをウエハ支持具に支持させるときに、半導体ウエハとともに酸化防止体をウエハ支持具に支持させれば、容易に酸化防止体を圧力容器内に配置することができる。
【0011】
前記ウエハ支持具の最上段に前記酸化防止体を載置した状態で前記配線内部の欠陥を減少させる処理を行うを行うのが好ましい。
酸化防止体を半導体ウエハと同様に取り扱う場合には、半導体ウエハを移送・支持等する器具と接触することが避けられない。この場合、酸化防止体がそのような器具と接触することで粉塵を発生することがある。特に、チタン等の金属製の酸化防止体であると、半導体ウエハが金属汚染されるおそれがある。コーティングを施すことで、接触による粉塵発生が防止される。なお、コーティングは、セラミックコーティングなど絶縁体のコーティングが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2は、半導体ウエハの高温高圧処理装置1を示している。この処理装置1は、半導体ウエハ(Siウエハ)を高温高圧ガス雰囲気下でアニールするものであり、ウエハが収納される圧力容器2と、ウエハハンドラ4とを含んでいる。
【0013】
圧力容器2は、上下に開口を有する筒状本体6、上部開口を塞ぐ上蓋7及び下部開口を塞ぐ下蓋8を備えている。また、図示は省略したが、上下の蓋7,8に作用する軸方向の荷重を支持するためのプレスフレームが設けられている。
前記上蓋7には、断熱構造体10が懸垂されている。断熱構造体10は、金属製の倒立椀状部材を隙間を設けて複数個重ね合わせた構造である。
【0014】
上蓋7には、高圧ガス導入孔34と、これとは独立に設けられた高圧ガス排出孔35が設けられている。圧力容器2内に導入されるガスは、ガス圧縮機(図示省略)からガス導入孔34を通って供給される。また、圧力容器2内のガスは、ガス排出孔35を通って排出される。
なお、圧力媒体としてのガスは、通常アルゴンガスが使用されるが、温度圧力条件によっては窒素ガスその他の不活性ガスを使用することができる。
【0015】
前記断熱構造体10は、ガス導入孔34の容器内部側開口部にネジ込むことによって固定されており、導入孔34から供給される高圧ガスは断熱構造体10を貫通する孔を通じて断熱構造体の内側空間(処理室)に導入される。
前記下蓋8は、下蓋昇降アクチュエータ41によって昇降自在とされており、下蓋8を上昇させると圧力容器2の下部開口を塞ぐことができ、下蓋8を下降させると圧力容器2の下部開口を開くことができる。
【0016】
下蓋8の上には加熱用ヒータ13の電極等を収納した金属製のシールドブロック11を介して内外2つのゾーン(ヒータ素子13a,13b)に分割されたヒータ13が設置されている。
また、下蓋8の上には半導体ウエハ15を支持するためのウエハ支持具(ボート)39が設けられている。この支持具39は、石英製であり、ウエハ15を上下方向に所定間隔をおいて複数支持することのできるものである。支持具39は、ウエハ15の周縁部の複数箇所をウエハの下面(裏面)から支持するための突起39aを上下方向に複数備えており、各突起39aの上にウエハを載せることでウエハ15を支持することができる。
【0017】
ウエハ15を支持具39に載せたり降ろしたりする作業は、ウエハハンドラ(移送手段)4によって行われる。ウエハハンドラ4は、水平面方向に回転及び伸縮し、かつ上下方向にも可動なアーム30と、アーム30の先端に設けられたハンド26とを備えている。ウエハハンドラ4は、このハンド26で、ウエハ15を下からすくいあげるように持ち上げて移送する。
【0018】
以上の装置1を用いて、高温高圧処理を行うには、まず、配線膜(Cu配線膜)を形成した半導体ウエハ15と、酸素活性が高く、酸素が内部に拡散し易い材料からなる酸化防止体16とを準備する。酸化防止体(ゲッタープレート)16は、支持具39によって支持される半導体ウエハ15と同径に形成した円形状プレートである。すなわち、平面視においてウエハ15と防止体16とは同形状である。なお、防止体16の材料として、ここでは純チタンを用いている。また、防止体16には鏡面研磨処理が施されており、パーティクルの発生を防止している。
【0019】
例えば、半導体ウエハ15を十枚用意し、酸化防止体16を一枚用意し、これらのウエハ15と防止体16をハンドラ4にて、支持具39に載置する。
まず、酸化防止体16を支持具39の最上段に載置し、続いて10枚の半導体ウエハを酸化防止体16の下に一枚ずつ順番に載置する。
続いて、下蓋8を上昇させて支持具39を処理室内に装入する。そして圧力容器内2を10Paレベルまで真空排気する。しかる後に処理室内に99.998%のアルゴンガスを1MPaまで装填し、その後大気に放出するアルゴンパージを2回繰り返す。
【0020】
これらの工程によって、処理室内に残存する空気は百万分の一程度まで低減される。すなわち、酸素量として約0.2ppmレベルとなる。
この後、供給加圧して最高120MPaまで加圧するとともに、ヒータ13に通電して350℃まで加熱し、350℃×120MPaの条件で15分間保持し、高温高圧処理を行う。
【0021】
このとき、処理室内の酸素は酸化防止体16に固溶して減少し、ウエハ15が酸化することが防止される。したがって、処理後の半導体ウエハ15表面は変色せず、処理前と同等の光沢を示す。また、酸化防止体16は、支持具39の最上段に設置されているが、この部分の温度が最も高くなり、防止体16は効率良く酸素を取り込む。
【0022】
高温高圧後、ヒータ13への通電を停止して降温し、アルゴンガスを排出減圧し、処理室内を大気圧に戻す。その後、下蓋8を下降させ、ウエハ15を圧力容器2から取り出し、ハンドラ4によって支持具39から取り外す。酸化防止体16は、繰り返し使用が可能であるので、再度使用する場合には、支持具39から取り外さずにそのままにしておくことができる。
【0023】
ただし、酸化防止体16は、繰り返し使用により徐々に酸素の吸収体(ゲッター)としての能力が低下していく(酸化する)ので、あらかじめ決められた処理回数を過ぎたら、酸化防止体16を交換することが必要である。この交換も、ウエハハンドラ4によって、ウエハ15の移送と同様に行うことができる。
このように、本実施形態では、酸化防止体16を処理室に配置して高温高圧処理を行うので、半導体ウエハ15の酸化が防止される。また、酸化防止体16が処理される半導体ウエハ15と略同寸法であるので、半導体ウエハ15を扱うウエハハンドラ4(ロボット)で同様に扱うことができる。
【0024】
なお、半導体ウエハ15のサイズとしては、6インチものや、現在主流の8インチ(200mm)や、将来主流となる12インチ(300mm)のもの等があり、処理される半導体ウエハ15が、例えば8インチであれば、酸化防止体16も径が8インチの円形プレートとする。
なお、酸化防止体16の厚さも、ウエハ15と同程度が好ましいが、支持具39で支持可能で、ハンドラ4で扱うことができればウエハ15と異なっていてもよい。防止体16がウエハ15より薄ければ特に問題はない。ここでは、ウエハ15の厚さが0.75mmであるのに対し、酸化防止体16の厚さは0.5mmとしている。
【0025】
また、本実施形態では、半導体ウエハ15と金属製の酸化防止体16とを1つのウエハハンドラ4で扱い、1つの支持具39(ボート)に載置する。半導体デバイスは、金属汚染を嫌うため、ウエハハンドラ4のハンド26や支持具39の突起(スロット部)39aが金属製の酸化防止体16と接触するのを避ける場合には、酸化防止体16の裏面(下面)16aの全体をセラミックコーティングしておく。また、裏面16aを部分的にコーティングしてもよい。部分的なコーティングは、ハンド26や突起(スロット部)39aが触れる部分(酸化防止体の外縁部分)やその近傍に施しておけばよい(図3参照)。
【0026】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、酸化防止体16を支持具39の最上部に配置したが、上下方向に載置された半導体ウエハ15の上下方向中央位置に置くこともできる。また、必要に応じて、最上部と最下部の二カ所に配置する、あるいは、場合によっては半導体ウエハ15と酸化防止体16とを上下方向に交互に配置することもできる。すなわち、半導体ウエハ15中に酸化防止体16が混在していればよい。いずれの配置であっても、ハンドラ4によって容易に行える。
【0027】
さらに、本方法発明で使用される酸化防止体16にあっては、その形状は限定されない。特に、酸化防止体16を支持具39以外の位置に配置する場合には、他の形状であってもよい。酸化防止体16の形状・配置が異なっても酸化防止効果に関しては実施形態と同様である。
【0028】
【発明の効果】
本方法発明によれば、酸化防止体が圧力容器内の酸素を取り込むので、圧力容器内の酸素が低減し、高温高圧処理時に半導体ウエハの表面が酸化することが防止される。
また、本発明に係る酸化防止体によれば、処理される半導体ウエハと同形状に形成されているため、半導体ウエハと同様に容易に取り扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 高温高圧処理装置の一部断面正面図である。
【図2】 半導体ウエハと酸化防止体のウエハ支持具への積層状態を示す図である。
【図3】 酸化防止体の平面図と側面図である。
【符号の説明】
1 高温高圧処理装置
2 圧力容器
15 半導体ウエハ
16 酸化防止体(ゲッタープレート)
26 搬送機器(ハンド)
39 ウエハ支持具

Claims (2)

  1. Cu配線膜が形成された半導体ウエハを圧力容器内に収納して、真空排気した後にアルゴンガスを供給して加熱および加圧されたガス雰囲気下で配線内部の欠陥を減少させる処理を行う半導体ウエハの処理方法において、
    前記圧力容器内に、
    前記半導体ウエハともに、
    前記アルゴンガス中の酸素を固溶して減少させるチタン、チタン合金、ジルコニウム、又はジルコニウム合金のいずれかでプレート状に形成されて鏡面研磨加工が施されかつ一方の面の全体に絶縁体によるコーティングが施された酸化防止体を前記一方の面が下になるように前記圧力容器内に配置して前記配線内部の欠陥を減少させる処理を行う
    ことを特徴とする半導体ウエハの処理方法。
  2. 前記ウエハ支持具の最上段に前記酸化防止体を載置した状態で前記配線内部の欠陥を減少させる処理を行う
    ことを特徴とする請求項1記載の半導体ウエハの処理方法。
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