JP4409656B2 - 磁気抵抗効果素子及び磁気再生装置 - Google Patents

磁気抵抗効果素子及び磁気再生装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気センサなどに用いられる磁気抵抗効果素子及び磁気再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気センサなどに用いられる磁気抵抗効果素子や電子素子などの機能デバイスでは、目覚しい勢いで微細化や高機能化が進められており、真空技術や成膜技術の技術レベルの向上に伴って、人工的に積層した積層薄膜が機能デバイスとして数多く用いられるようになってきている。このような積層薄膜機能デバイスの従来技術について、強磁性体薄膜を用いた磁気抵抗効果素子を例として説明する。
【0003】
磁気抵抗効果は磁性体に磁場を印加すると電気抵抗が変化する現象であり、磁気センサ、磁気ヘッドなどに利用されている。Ni−Fe合金などの強磁性体薄膜は異方性磁気抵抗効果(AMR)、すなわち磁性体に流す電流と磁化の向きの関係により電気抵抗が異なる現象を利用して、外部の磁界信号を読み取る磁気抵抗効果素子(MR素子)に応用されている。
【0004】
さらに、近年、強磁性層と非磁性層とを交互に数nm〜数10nmの周期で積層した構造を持つ磁気抵抗効果膜が注目されている。このような積層薄膜においては、非磁性層を介して対向する強磁性層の磁化の向きが平行である場合と反平行である場合とで電気抵抗が異なる。このような現象は巨大磁気抵抗効果(Giant magneto Resistance:GMR)と呼ばれ、異方性磁気抵抗効果と同様に外部の磁界信号を読み取る磁気抵抗効果素子(GMR素子)としての応用などが進められている。
【0005】
巨大磁気抵抗効果は、膜厚が薄い場合にも異方性磁気抵抗効果に比べて大きな低抗変化率が得られることから大きな期待がよせられている。巨大磁気抵抗効果を発現する具体的な膜構造としては、Fe/Cr人工格子膜(Phys. Rev.Lett.61(1988)2472)や、Co/Cu人工格子膜(J.mag.mag.mater.94(1991)L1)などに代表されるような、強磁性層間に反強磁性結合型の磁気相互作用を持ち、外部磁界により強磁性層間の磁気モーメントの相対方向を変化させて抵抗変化を得るもの、あるいはCo/Cu/NiFe人工格子膜(J.Phys.Soc.Jpn.60(1991)2827)のように、磁性層間の磁気相互作用が弱い強磁性層と非磁性層の 積層膜において、2種以上の異なる強磁性層を用いると共に、これら強磁性層の保磁力差を利用して、外部磁界により磁性層間の磁気モーメントの相対方向を変化させて抵抗変化を得るものなどが提案されている。
【0006】
また、磁性層間の磁気相互作用が、弱い強磁性層/非磁性層/強磁性層のサンドイッチ膜において、一方の強磁性層に接して反強磁性層などを設けて交換異方性により強磁性層の磁気モーメントを固着し、もう一方の磁気モーメントのみを外部磁界で変化させて、抵抗を容易にスイッチできるようにしたスピンバルブ構造(NiFe/Cu/NiFe/FeMn膜など(J.Appl.Phys.69(1991)4774)なども提案されている。
【0007】
上述したように、膜厚100nm程度以下の非常に薄い層を積層した積層薄膜デバイスが磁気抵抗効果素子などの機能素子として用いられるようになってきている。このような積層薄膜機能デバイスにおいては、薄膜層間の界面における原子の相互拡散により機能素子の特性が変化することがしばしば起こり、特性の熱安定性が実用上大きな問題となっている。
【0008】
例えば、2種類の異なる金属の積層膜の電気抵抗は、界面における原子の相互拡散により変化する。また、磁性層と非磁性層の界面における原子の相互拡散に、よって、磁性層の磁気ボリュームが減少し、磁化の大きさが減少してしまう。一方、巨大磁気抵抗効果を利用した素子においては、強磁性層と非磁性層との界面での電子のスピン依存散乱が磁気抵抗効果にとって本質的に重要である。このようなGMR素子において、強磁性層と非磁性層との界面における原子の相互拡散は磁気抵抗変化率に直接的に反映され、原子の相互拡散により磁気抵抗変化率が大幅に低下してしまう。
【0009】
すなわち、膜厚100nm程度以下の非常に薄い層を積層した積層薄膜機能デバイスにおいては、薄膜層間の界面での原子の相互拡散により機能素子の特性が変化しやすいという問題がある。特に、GMR素子においては、強磁性層と磁性層との界面での原子の相互拡散により磁気抵抗変化率に大幅に低下してしまうという問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような課題の認識に基づいてなされたものである。
【0011】
すなわち、その目的は、磁気抵抗効果素子の強磁性層/非磁性層界面などにおける原子の相互拡散を抑制することによって熱安定性を向上させ、長期的な信頼性を向上させた磁気抵抗効果素子を提供することにある。
【0012】
さらに、本発明の目的は、スピンバルブ膜中に存在させる電子反射層の機能を良好に維持しつつ、それに基づく磁気特性などへの悪影響やそれ自体の形成不良などの発生を有効に抑制し、良好な磁気抵抗効果特性や各種磁気特性を有すると共に、耐熱性に優れる磁気抵抗効果素子と、そのような磁気抵抗効果素子を再現性よく得ることを可能にした磁気抵抗効果素子の製造方法を提供し、さらには例えば磁気ヘッドとしての安定性などを高めることを可能にした磁気抵抗効果素子を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本発明者は機能層内の薄膜層間での原子の相互拡散について研究を行った結果、結晶粒の粗大化や積層膜界面の凹凸が層間での原子の相互拡散の大きな誘因となることを見出した。結晶粒の粗大化は、例えば図24に示すように、積層膜の形成時や成膜後の熱の印加により起こる。前者は膜成長過程における応力などにより生じるものであり、後者は例えばデバイス化プロセスやデバイスの実使用時に50〜300℃程度の温度環境に晒されるために生じるものである。本発明のひとつは、複数の層からなる機能層の結晶粒の粗大化を抑制する構造とすることによって、原子の粒界拡散を低減し、熱安定性の高い長期的な信頼性に優れた機能素子を提供するものである。
【0014】
すなわち、本発明の一態様によれば、外部磁界により磁化方向が変化する第1の磁性層と、磁化が実質的に固着された第2の磁性層と、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層との間に設けられた非磁性中間層と、を備えた磁気抵抗効果素子であって、
前記第1の磁性層に隣接して設けられた金属バリア層と、
前記金属バリア層に隣接して設けられ、酸化物、窒化物、炭化物、フッ化物、塩化物、硫化物及びホウ化物から選ばれた少なくともいずれかを含む第3の層と、をさらに備えたことを特徴とする磁気抵抗効果素子が提供される。
【0015】
ここで、前記第3の層の平均厚さが3nm以下であるものとすることができる。
【0016】
また、前記第3の層は、前記金属バリア層が含有する元素と同一の元素を含有するものとすることができる。
【0017】
また、前記第2の磁性層は、相互に反強磁性的に結合された第1および第2の強磁性膜と、この2つの強磁性体膜を分離し、且つ反強磁性的に結合するカップリング層を含んでいるものとすることができる。
【0018】
また、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)から選ばれるfcc金属からなる単層または2種以上の層からなる下地層をさらに備えたものとすることができる。
【0019】
また、前記第1の磁性層の厚みと前記金属バリア層の厚みの合計は、10nm以下であるものとすることができる。
【0020】
一方、本発明の他の一態様によれば、外部磁界により磁化方向が変化する第1の磁性層と、金属反強磁性層と、前記金属反強磁性層により磁化が実質的に固着された第2の磁性層と、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層との間に設けられた非磁性中間層と、を備え、
前記第2の磁性層は、酸化物、窒化物、炭化物、フッ化物、塩化物、硫化物及びホウ化物から選ばれた少なくともいずれかを含む第3の層を含んだものとすることができる。
【0021】
ここで、前記第2の磁性層は、相互に反強磁性的に結合された第1及び第2の強磁性体膜と、この2つの強磁性体膜を分離し、且つ反強磁性的に結合するカップリング膜を含んでいるものとすることができる。
【0022】
また、前記第3の層は、前記カップリング層と前記非磁性中間層との間に設けられたものとすることができる。
【0023】
また、前記第3の層は、前記非磁性中間層よりも前記カップリング層に近い位置に設けられたものとすることができる。
【0024】
また、前記第2の磁性層のうちで前記第3の層と前記非磁性中間層との間の部分の厚みは10nm以下であるものとすることができる。
【0025】
また、前記第2の磁性層のうちで前記非磁性中間層からみて前記第3の層よりも遠い側の部分は、コバルト(Co)もしくはニッケル(Ni)を主成分とした合金にクロム(Cr)、ニオブ(Nb)、ホウ素(B)及びロジウム(Rh)から選ばれた少なくともいずれかを添加した材料からなるものとすることができる。
【0026】
また、前記非磁性中間層からみて前記第3の層よりも遠い側において前記第3の層に隣接してタンタル(Ta)、クロム(Cr)及びチタン(Ti)から選ばれた少なくともいずれかを主成分とする層が設けられたものとすることができる。
【0027】
また、前記第1の磁性層の非磁性中間層とは反対側の面において、酸化物、窒化物、炭化物、フッ化物、塩化物およびホウ化物から選ばれる少なくとも1種を含む第4の層が積層されているものとすることができる。
【0028】
また、前記第4の層の平均厚さが3nm以下であるものとすることができる。
【0029】
また、前記第1の磁性層と前記第4の層との間に設けられた金属バリア層をさらに備えたものとすることができる。
【0030】
一方、前記金属バリア層は、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)から選ばれる金属、またはこれらの少なくともいずれかを含む非磁性合金からなるものとすることができる。
【0031】
ここで、前記第4の層は、前記金属バリア層が含有する元素と同一の元素を含有するものとすることができる。
【0032】
また、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)から選ばれるfcc金属からなる単層または2種以上の層からなる下地層をさらに備えたものとすることができる。
【0033】
また、前記第1の磁性層の前記第2の磁性層とは反対側の面に、磁化が実質的に固着された第3の磁性層と、前記第1の磁性層と前記第3の磁性層との間に設けられた第2の非磁性中間層と、をさらに備えたものとすることができる。
【0034】
また、前記第3の磁性層は、酸化物、窒化物、炭化物、フッ化物、塩化物、硫化物およびホウ化物から選ばれる少なくとも1種を含む第4の層を含むものとすることができる。
【0035】
ここで、前記第3の層の平均厚さは2nm以下であるものとすることができる。
【0036】
また、前記第3の層は、遷移金属またはランタノイドの少なくともいずれかを含んでおり、かつその平均厚さが3nm以下であるものとすることができる。
【0037】
また、前記第3の層は、室温において強磁性または反強磁性を有し、かつその平均厚さが10nm以下であるものとすることができる。
【0038】
また、前記非磁性中間層は、前記第2の磁性層の上に設けられ、
前記第1の磁性層は、前記非磁性中間層の上に設けられ、
前記金属バリア層は、前記第1の磁性層の上に設けられ、
前記第3の層は、前記金属バリア層の上に設けられたものとすることができる。
【0039】
また、前記第2の磁性層は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、シリコン(Si)及びランタン系列の元素のうちの少なくともいずれかを含有する電子反射層を有するものとすることができる。
【0040】
一方、本発明のさらに他の一態様によれば、
外部磁界により磁化方向が変化する第1の磁性層と、
磁化が実質的に固着された第2の磁性層と、
前記第1の磁性層と前記第2の磁性層との間に設けられた非磁性中間層と、
前記非磁性中間層とは反対側において前記第1の磁性層と積層された導電層と、
前記導電層と積層された酸化物層と、
を備え、
前記導電層は、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、金(Au)及び銀(Ag)から選ばれた少なくともいずれかの金属を含有し、
前記酸化物層は、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)から選ばれた少なくともいずれかの元素を含有し、厚さが3nm以下であることを特徴とする磁気抵抗効果素子が提供される。
【0041】
一方、本発明のさらに他の一態様によれば、
外部磁界により磁化方向が変化する第1の磁性層と、
磁化が実質的に固着された第2の磁性層と、
前記第1の磁性層と前記第2の磁性層との間に設けられた非磁性中間層と、
前記非磁性中間層とは反対側において前記第1の磁性層と積層された導電層と、
前記導電層と積層された酸化物層と、
を備え、
前記導電層は、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、金(Au)及び銀(Ag)から選ばれた少なくともいずれかの金属を含有し、
前記酸化物層は、クロム(Cr)またはタンタル(Ta)の少なくともいずれかの元素を含有することを特徴とする磁気抵抗効果素子が提供される。
【0042】
ここで、前記導電層の厚さは、0.5nm以上3.0nm以下であるものとすることができる。
【0043】
また、外部磁界が印加されていない状態において、前記第1の磁性層の磁化の方向と前記第2の磁性層の磁化の方向とが略直交するものとすることができる。
【0044】
一方、本発明のさらに他の一態様によれば、上記のいずれかの磁気抵抗効果素子を有する磁気ヘッドを備え、
磁気記録媒体に磁気的に記録された情報の読み取りを可能としたことを特徴とする磁気再生装置が提供される。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0050】
図1は本発明の積層薄膜機能デバイスの基本構造を模式的に示す図である。同図において、1は下地結晶層である。下地結晶層1上には結晶成長制御層2を介して、複数の機能薄膜3a、3b、3c…の積層膜からなる機能層3が設けられている。これらは積層薄膜機能デバイス4の基本要素である。なお、機能層3を構成する機能薄膜3a、3b、3c…の層数は特に限定されるものではなく、薄膜層間の界面での原子の相互拡散により特性が劣化する可能性を有する2層以上の層からなる機能層3であれば、本発明の効果が得られる。
【0051】
下地結晶層1は単層構造もしくは2層以上の積層膜構造のいずれであってもよい。下地結晶層1が複数の層から構成される場合、これらは互いに格子整合していることが好ましく、また同じ結晶構造を持つことがさらに好ましい。また、下地結晶戸1は機能層3の結晶粒の大きさや結晶の配向などを制御するものであり、具体的な材質は機能層3に応じて適宜選択する。下地結晶層1で機能層3の配向制御などを行う場合には、機能層3(特に結晶成長制御層2と接する第1の機能薄膜3a)と格子整合するような材質を選択することが好ましい。
【0052】
このような下地結晶層1の膜厚(積層膜の場合には総膜厚)は15nm以下とされている。前述したように、下地結晶層1は機能層3の結晶粒の大きさを制御する上で、その結晶粒径を小さく保つ必要がある。下地結晶層1の結晶粒径が大きいと、機能層3の積層に伴って機能層3の結晶粒は粗大化し、層間における原子の相互拡散が起こりやすくなる。従って、下地結晶層1の初期成長過程における結晶粒径を揃えて比較的小さく保つために、下地結晶層1の膜厚は15nm以下とする。下地結晶層1の膜厚は特に10nm以下とすることが望ましい。なお、下地結晶層1としての機能を保つ上で、膜厚は0.2nm以上とすることが好ましい。
【0053】
また、下地結晶層1の平均結晶粒径は、具体的には30nm以下とすることが好ましい。機能層3の結晶粒の粗大化を防ぐ上で、下地結晶層1は比較的小さな結晶粒とすることが重要であり、実験結果から下地結晶層1の平均結晶粒径が30nm以下であるときに、より良好な熱安定性が得られた。下地結晶層1の平均結晶粒径はさらに10nm以下とすることが望ましい。
【0054】
下地結晶層1は平滑な面上に成膜することが好ましい。下地結晶層1を基板5上に直接成膜する場合には、ガラス、Si、GaAs、Al23、MgO、SrTiO3、熱酸化Si(Si/SiO2)、SiC、TiC、Al23・TiCの焼結体などに代表される平滑な基板5を使用する。
【0055】
また、平滑性を高めるためにバッファ層6を設け、このバッファ層6上に下地結晶層1を形成するようにしてもよい。下地結晶層1は、その結晶構造の結晶成長の初期層として成長させることが重要であるため、バッファ層6にはアモルファス層を用いたり、また格子が非整合のバッファ層6を設ける場合には、Ta、Ti、Crなどの濡れ性の良い結晶層とすることが好ましい。このようなアモルファス層や格子が整合しない濡れ性のよい平滑な結晶層からなるバッファ層6上に下地結晶層1を形成することによって、結晶粒径のバラツキが小さく、かつ結晶粒径の揃った下地結晶層1を得ることができる。バッファ層6としては、Ta、Ti、Crなどの他に、W、Mo、Zr、Nb、Vなどを用いてもよい。
【0056】
下地結晶層1上に形成された結晶成長制御層2は、下地結晶層1の構成元素のうちの少なくとも1種の元素と、O、N、C、F、BやよびSから選ばれる少なくとも1種の元素との化合物、もしくはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Auなどの遷移金属から選ばれる少なくとも1種の元素と、O、N、C、F、BおよびSから選ばれる少なくとも1種の元素との化合物を含む層により構成されている。
【0057】
上述したような化合物が下地結晶層1上に適切なネットワークを組んだ構造を有する結晶成長制御層2を用いることによって、下地結晶層1の結晶成長を一旦止めると共に、下地結晶層1の結晶成長の情報(結晶粒の大きさや結晶の配向などの情報)などを機能層3に伝えることができる。結晶成長制御層2が下地結晶層1の結晶成長を単に止めるだけで、下地結晶層1の結晶成長の情報などを機能層3に伝えることができない場合、あるいは下地結晶層1の結晶成長を止めることができない場合には、いずれも機能層3の結晶粒の粗大化(結晶粒界の移動)、ひいては界面での原子の相互拡散を防ぐことができない。
【0058】
ここで、結晶成長制御層2はO、N、C、F、BおよびSから還ばれる少なくとも1種の元素を4原子%以上含んでいることが好ましい。O、N、C、F、BおよびSから選ばれる少なくとも1種の元素の含有量が4原子%未満であると、上記したような結晶成長制御層2の機能を十分に得ることができないおそれがある。また、結晶成長制御層2が遷移金属を含む場合、その含有量は30原子%以上とすることが好ましい。遷移金属の含有量が30原子%未満である場合においても、同様に結晶成長制御層2の機能を十分に得ることができないおそれがある。なお、上記した各元素の含有量は1nmスポット径の組成分析に基づくものとする。これは結晶成長制御層2の膜厚が薄いためである。
【0059】
また、結晶成長制御層2の膜厚は0.2〜2nmの範囲であることが好ましい。結晶成長制御層2の膜厚が0.2nm未満であると、下地結晶層1の結晶成長を十分に止めることができず、下地結晶層1は機能層3の結晶成長の影響を受けやすくなり、下地結晶層1および機能層3共に結晶粒が粗大化してしまう。図2にこの様子を模擬的に示す。
【0060】
ただしこの最適膜厚の範囲は材料によっては若干異なり、場合によっては0.2〜3nmの範囲であることが好ましい。特に結晶性の結晶成長制御層を用いるときには上記範囲が好ましい。
【0061】
一方、結晶成長制御層2の膜厚が2nmを超えると、下地結晶層1の結晶粒の情報を保持して機能層3に伝えることができなくなり、この場合にも機能層3の結晶粒の粗大化を招いてしまう。図3にこの様子を模擬的に示す。
【0062】
結晶成長制御層2の膜厚の最適な範囲は下地結晶層1や機能層3(特に第1の機能薄膜3a)の種類によって異なるが、結晶成長制御層2は0.5〜1.5nmの範囲の膜厚を有することがより好ましい。
【0063】
結晶成長制御層2の膜厚と積層薄膜機能デバイス4の特性の熱安定性との関係について、磁気抵抗効果素子を具体例として挙げて簡単に説明する。機能層3としての磁気抵抗効果薄膜は、Co−Fe(3nm)/Cu(3nm)/Co−Fe(3nm)/Ir−Mn(5.5nm)構造のスピンバルブ膜を用い、これをアモルファスCoZrNbバッファ層6(5nm)/Ni80Fe20下地結晶層1(2nm)/Fe酸化物を含む結晶成長制御層2(t nm)上に形成し、さらにスピンハルブ膜上には厚さ5nmのTa保護層を設けた。
【0064】
図4は結晶成長制御層2の膜厚t(nm)と熱処理前後のMR変化率との関係を示したものである、結晶成長制御層2の膜厚が0.2nm未満と薄い場合、および結晶成長制御層2の膜厚が2nmを超えて厚い場合には、いずれも熱処理による特性劣化(MR変化率の低下)が大きいことが分かる。また、結晶成長制御層2の膜厚は、特に0.5〜1.5nmの範囲であることが好ましいことが分かる。
【0065】
ただしこの最適膜厚の範囲は材料によって若干異なり、場合によっては0.5〜3nmの範囲であることが好ましい。特に結晶性の結晶成長制御層を用いるときには上記範囲が好ましい。
【0066】
また、結晶成長制御層2と機能層3(具体的には第1の機能薄膜3a)との界面のラフネスは1.5nm以下とされている。このように、結晶成長制御層2と機能層3との界面ラフネスを1.5nm以下と小さくすることによって、すなわち結晶成長制御層2と機能層3との界面を平坦化することによって、下地結晶層1の結晶成長の情報(結晶粒の大きさや結晶の配向などの情報)などを効果的に機能層3に伝えることができる。
【0067】
一方、各層の膜厚が100nm程度以下では格子がほぼ整合する複数の層を積層した多層膜を作成した場合、積層膜界面の膜凹凸は、積層するほど増長されていく。このような傾向は、各層が同じ結晶構造をもち、各層の膜厚が1〜30nm程度の積層膜のとき顕著である。また、スパッタで成膜した場合に特に顕著にみられる。
【0068】
我々は、巨大磁気抵抗効果(GMR)を示す積層膜において、上記のようにして増長された膜凹凸は、磁気特性に大きな影響を与えさらには積層界面における原子の相互拡散を誘発してデバイス特性の深刻な劣化を招くことを見いだすと同時に、結晶成長制御層挿入による膜凹凸の平坦化により劣化の制御効果が大であることを見いだした。すなわち、積層膜界面の一部に結晶成長制御層を挿入し、これより下層の積層膜の膜凹凸を平均化することにより、上層の積層膜の膜凹凸が低減され、磁気特性の劣化や(結晶成長制御層より上部の)積層界面における原子の相互拡散を抑制することが出来る。このように、結晶成長制御層の挿入による膜凹凸の平坦化により、磁気特性の劣化を防止して原子拡散に対してより一層熱安定性の高い積層薄膜機能デバイス構造を実現することが出来る。下層の積層膜界面の凹凸を効果的に埋めて平滑性を高める結晶成長制御層としては、上下層より原子半径が小さなO,N,C,F,B,Sから選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物を含有していることが望ましい。
【0069】
結晶成長制御層2と機能層3との界面ラフネスを1.5nm以下とするために、下地結晶層1を平滑な面上に形成することも重要であるが、結晶成長制御層2自体が下地結晶層1表面の凹凸を埋めることによっても、結晶成長制御層2と機能層3との界面ラフネスを小さくすることができる。このように、結晶成長制御層2が下地結晶層1表面の凹凸を埋めることによって、結晶成長制御層2と機能層3との界面ラフネスは、下地結晶層1と結晶成長制御層2との界面ラフネスより小さくなる。
【0070】
上記したような結晶成長制御層2の機能は、上下の層1、3の構成元素より原子半径が小さいO、N、C、F、BおよびSから選ばれる少なくとも1種の元素の化合物を含む層(上下の層1、3より低密度の層)により結晶成長制御層2を構成することで、より効果的に得ることができる。結晶成長制御層2と機能層3との界面ラフネスを小さくし、これに基づいて機能層3内の積層膜界面の凹凸を小さくすることによって、原子の相互拡散をより効果的に抑制することが可能となる。
【0071】
なお、本願明細書でいう「界面ラフネス」とは、図5に示すように、各界面での最大高さと最小高さとの差を示すものである、図5において、L1は下地結晶層1と結晶成長制御層2との界面ラフネスを、またL2は結晶成長制御層2と機能層3との界面ラフネスを表している。この定義は、後述する「平均粗さRa」とは異なる。
【0072】
結晶成長制御層2と機能層3との界面ラフネスと積層薄膜機能デバイス4の特性の熱安定性との関係について、磁気抵抗効果素子を具体例として挙げて簡単に説明する、機能層3としての磁気抵抗効果膜には、以下の3種類のスピンバルブ構造を形成した:
タイプA: Co−Fe(3nm)/Cu(3nm)/Co−Fe(2nm)/Ir−Mn(5.5nm);
タイプB: Co−Fe(3nm)/Cu(3nm)/Co−Fe(2nm)/Ir−Mn(8nm);
タイプC: Co−Fe(lnm)/Cu(2.5nm)/Co−Fe(2nm)/Ir−Mn(12nm)
これらの積層構造は結晶成長制御層2を有する下地結晶層1上に形成した。詳細な膜構造は表1に示す通りである。これら各種の磁気抵抗効果素子の熱処理前後におけるMR変化率の劣化率を表1に示す。
【0073】
【表1】
Figure 0004409656
表1から明らかなように、結晶成長制御層2と機能層3との界面ラフネスが1.5nm以下の場合には、優れた耐熱性が得られていることが分かる。また、1.5nm以下という結晶成長制御層2と機能層3との界面ラフネスは、結晶成長制御層2が下地結晶層1表面の凹凸を埋めることで、すなわち結晶成長制御層2と機能層3との界面ラフネスを下地結晶層1と結晶成長制御層2との界面ラフネスより小さくすることで、効果的に得られることが分かる。
【0074】
上述したような結晶成長制御層2上に形成される機能層3は、積層薄膜機能デバイス4の使用目的に応じて適宜選択される。例えば、積層樽膜機能デバイス4を磁気抵抗効果素子として使用する場合には、磁気抵抗効果機能を有する積層膜、例えばスピンバルブ膜や人工格子膜などが機能層3として採用される。また、積層薄膜機能デバイス4に配線機能を持たせる場合には、各種金属や合金の積層膜が機能層3として用いられる。なお、図1において、7は保護膜であり、必要に応じて形成されるものである。
【0075】
ここで、下地結晶層1上に結晶成長制御層2を設け、その上に機能層3を形成する場合、下地結晶層1の結晶粒の大きさや結晶の配向などが機能層3の結晶成長に大きく影響することは既に述べた。しかし、積層膜構造の機能層3のうちの結晶成長制御層2と接する第1の機能薄膜3aの膜厚が極端に厚いと、下地結晶1一層1の影響は機能層3の結晶成長に十分に反映されなくなり、下地結晶層1の制御による機能層3の結晶成長の制御が十分に実現できなくなるおそれがある。
【0076】
このようなことから、機能層3のうちの第1の機能薄膜3aは膜厚30nm以下の結晶層であることが好ましい。このような場合に、下地積晶層1による機能層3の第1の機能薄膜3aの結晶成長の制御を効果的に行うことができ、ひいてはこれに接して設けられた機能層3全体の結晶成長を制御することが可能となる。すなわち結晶成長制御層2が、比較的小さな結晶粒径の下地結晶層1の結晶成長の情報を保持しているとき、結晶成長制御層2上に結晶成長する第1の機能薄膜3aは比較的小さな結晶粒径を実現することができる。このような効果は、下地結晶層1と機能層3(特に第1の機能薄膜3a)とが格子整合する系であるときに、特に顕著に得られる。さらには、下地結晶層1と機能層3の第1の機能薄膜3aとは同じ結晶構造を持ち、結晶の配向も同じであることが好ましい。第1の機能薄膜3aの膜厚は10nm以下であることがさらに好ましい。
【0077】
上述したように、下地結晶層1と機能層3との間に結晶成長制御層2を設けると共に、下地結晶層1の膜厚を15nm以下とし、さらに結晶成長制御層2と機能層3との界面ラフネスを1.5nm以下とすることによって、下地結晶層1の結晶成長を一旦止めて、例えば下地結晶層1の結晶粒を例えば平均結晶粒径で30nm以下というように小さく保つことができると共に、このような下地結晶層1の結晶成長の情報などを機能層3に有効に伝えることができる。
【0078】
従って、機能層3の粒界移動は結晶成長制御層2との界面で拘束されることにより抑制され、これに基づいて機能層3の結晶粒の粗大化を抑制することが可能となる。このように、機能層3の結晶粒の粗大化を抑制することによって、原子拡散の起こりやすい粒界の生成が抑制され、各層界面での原子の相互拡散が低減し、積層薄膜機能デバイス4の熱安定性を大幅に向上させることが可能となる。すなわち、長期的な信頼性に優れる積層薄膜機能デバイス4を提供することができる。
【0079】
次に、機能層3が磁気抵抗効果機能を有する場合の積層薄膜機能デバイス4の具体的な構成について述べる。
【0080】
磁気抵抗効果機能を有する機能層3の具体例としては、強磁性体と非磁性体とを交互に積層した積層膜、すなわち[強磁性層/(非磁性層/強磁性層)n:(1≦n)]の構造を有する磁気抵抗効果膜が挙げられる。
【0081】
磁気抵抗効果膜中の強磁性体としては、Co、Ni、Feなどの単体金属、Co−Fe合金、Ni−Fe合金、Co−Ni合金、Co−Ni−Fe合金、Ni−Mn−Sbなどの合金や金属間化合物が挙げられる。これらは20原子%以下の添加元素を加えることで、格子定数を調整して非磁性層との格子整合の最適化を図ったり、保磁力や軟磁気特性、磁歪などを調整することができる。
【0082】
非磁性体としては、Au、Ag、Cu、Pd、Pt、Ru、Ir、Rh、Hf、Zrなどの非磁性金属、これらに50原子%以下の添加元素を加えた非磁性合金などが用いられる。強磁性層と非磁性層との格子整合が悪いとき、界面での格子歪による電子散乱が増加するため、MR変化率は小さくなる。このため、強磁性層に20原子%以下の添加元素を加えることで格子定数を調整して、非磁性層との格子整合の最適化を図ることは効果的である。
【0083】
このような強磁性体と非磁性体とを交互に税層した機能層3の具体的な構造としては、強磁性層間が反強磁性の層間結合を持つ人工周期で積層した人工格子膜、2種以上の強磁性層の保磁力差を利用した磁気抵抗効果膜、強磁性層に接して反強磁性層を設け、反強磁性層に接した強磁性層の磁化を交換バイアスにより固着(交換バイアス磁界より小さな外部磁界では磁化の向きは変化しない)したスピンバルブ構造を持つ磁気抵抗効果膜などが挙げられる。
【0084】
強磁性層間が反強磁性の層間結合を持つ磁気抵抗効果膜としては、Co/Cu/Co人工格子膜や、Ni−Fe/Cu/Ni−Fe人工格子膜、Fe/Cr/Fe人工格子膜などが挙げられる、保磁力差を利用した磁気抵抗効果膜とレては、Ni−Co−Fe/Cu/Ni−Fe人工格子膜、Co−Fe/Cu/Ni−Feなどが挙げられる。また、スピンバルブ構造を持つ磁気抵抗効果膜としては、Ni−Fe/Cu/Ni−Fe/Fe−Mn、Ni−Fe/Co/Cu/Co/Ni−Fe/Fe−Mn、Co−Fe/Cu/Co−Fe/Ir−Mnなどが挙げられる。
【0085】
本発明の積層薄膜機能デバイス4においては、前述したように、膜厚が15nm以下(好ましくは0.2nm以上)の下地結晶層1上に、厚さ0.2〜2nm程度の結晶成長制御層2を設け、この結晶成長制御層2上に上述したような磁気抵抗効果機能を有する機能層3を形成する。
【0086】
下地結晶層1は、バッファ層6上に形成することができる。その場合のバッファ層としては、Ta、Ti、Crなどの濡れ性の高い金属や、CoZrNb、CoZrTa、CoBなどのアモルファス金属、SiOx、Al23などのアモルファス酸化物などを用いることができる。
【0087】
また、下地結晶層1としては、機能層3の第1の薄膜3aと格子整合するようなものを選ぶことが望ましい。例えば、機能層3としてCo/Cu/Co人工格子膜やNi−Co−Fe/Cu/Ni−Fe、Ni−Fe/Cu/Ni−Fe/Fe−Mn、Co−Fe/Cu/Co−Fe/Ir−Mnなどの磁気抵抗効果膜を用いる場合、機能層3の第1の薄膜3aはfcc構造を持つため、下地結晶層1としてはFeやNi−Fe合金、Ni−Co−Fe合金などの中でfcc構造を持ち格子整合する組成のものを用いることが好ましい。
【0088】
また、機能層3としてFe/Cr/Fe人工格子膜などの磁気抵抗効果膜を用いる場合には、機能層3の第1の薄膜3aはbcc構造を持つため、下地結晶層1としてはFeやNi−Fe合金、Ni−Co−Fe合金などの中でbcc構造を持ち格子整合する組成のものを用いることが好ましい、下地結晶層1は機能層3の第1の薄膜3aと格子整合すれば、第1の薄膜3aがfcc構造を持つ場合に下地結晶層1としてbcc構造を持つものを用いたり、あるいはその逆であっても構わない。
【0089】
結晶成長制御層2は、下地結晶層1の構成元素のうちの少なくとも1種の元素と、O、N、C、F、BおよびSから選ばれる1種または2種以上の元素との化合物を含む層である。例えば、下地結晶層1がNiの場合、結晶成長制御層2の具体例としてはNiおよびNiの酸化物から構成された層が挙げられる。また、下地結晶層1がNi−Fe合金の場合、結晶成長制御層2の具体例としてはNi−Fe合金、Niの酸化物、Feの酸化物から構成され、20原子%以上がFeの酸化物である層が挙げられる。下地結晶層1がCo−Ni合金の場合、結晶成長制御層2の具体例としてはCo−Ni合金、Niの酸化物、Coの酸化物から構成され、20原始%以上がCoの酸化物である層が挙げられる。さらに別の例として、下地結晶層1がNi−Co−Fe合金の場合、結晶成長制御層2はFeの酸化物、Coの酸化物、CoB化合物を主な構成要素とする層が挙げられる。上述したような機能層3が磁気抵抗効果機能を有する積層薄膜機能デバイス4、すなわち磁気抵抗効果素子によれば、機能層3の結晶粒の粗大化抑制に基づいて界面での原子拡散(粒界拡散)を低減することができる、具体的には、機能層3としての磁気抵抗効果膜内の界面での原子拡散(粒界拡散)、すなわち強磁性層/非磁性層界面などでの原子の相互拡散を低減することができる。従って、強磁性層/非磁性層界面での原子拡散などに起因するMR変化率の低下を抑制することが可能となり、熱安定性の高い長期信頼性に優れる磁気抵抗効果素子を提供することができる。
【0090】
次に、機能層3が配線機能を有する場合の積層薄膜機能デバイス4の具体的な構成について述べる。この場合の機能層3としては、Ag、Cu、Al、Cr、Zr、Nbなどから選ばれる少なくとも1種の非磁性金属を50原子%以上含む層を2層以上積層した積層膜(異種金属膜の積層膜)などが用いられる。このような配線層の薄積層間の原子拡散を抑制することによって、電気抵抗の低下などを抑制することができる。
【0091】
また本発明の磁気抵抗素子においては、磁気抵抗効果膜の一部に結晶成長制御層を挿入し、結晶成長制御層の上層の積層膜の界面の凹凸をそれより下層の積層膜の界面の凹凸より小さくすることができる。結晶成長制御層は1カ所でも複数カ所にもうけても良い。結晶成長制御層の位置は、磁気抵抗効果膜の積層膜界面のどの部分でもよく、膜構造や材料に応じて効果的な挿入位置を適宜選択することが出来る。例えば、基板上に、ある種の積層膜を介して、第1の磁性層(磁化自由層)/非磁性層/第2の磁性層(磁化固着層)/反強磁性層としたスピンバルブ構造や、反強磁性層/第1の磁性層(磁化固着層)/非磁性層/第2の磁性層(磁化自由層)とした反転スピンバルブ構造を有する磁気抵抗効果膜(例えばCoFe/Cu/CuFe/IrMnやIrMn/CoFe/Cu/CuFe)を作成する場合、結晶成長制御層(K層)は、磁化自由層に挿入した構造(例えばCoFe/K層/CoFe/Cu/CoFe/IrMn,IrMn/CoFe/Cu/CoFe/K層/CoFe)や、磁化固着層中に挿入した構造(例えばCoFe/Cu/CoFe/K層/CoFe/IrMn,IrMn/CoFe/K層/CoFe/Cu/CoFe)などが挙げられる。磁気抵抗効果膜の下地の凹凸が大きい場合には、磁化自由層の軟磁気特性の劣化や反強磁性層による磁化固着の劣化など磁気特性の劣化がみられたり、磁気抵抗効果膜自体の積層膜界面の凹凸が増長されて界面における原子の相互拡散が誘発される。結晶成長制御層を第1の磁性層中に挿入した構造は、上記のような下地の凹凸が大きい場合に特に有効であり、結晶成長制御層挿入による平坦化により磁気特性が大きく改善され、原子の相互拡散も抑制される。またさらに、磁気抵抗効果膜自体が、積層と共に界面凹凸が増長されて行くが、第2の磁性層中に結晶成長制御層を挿入した構造とすることで、積層膜界面の凹凸が再平坦化し、磁気特性の改善や原子拡散に対する熱安定性の向上が図られる。
【0092】
次に、以上説明した本発明の第1形態にかかる具体的な実施例およびその評価結果について述べる、
なお、本願明細書において紹介する各実施例において用いる合金系の最適な組成範囲は、以下の通りである。
【0093】
まず、CoFe系合金の場合には、Coの組成を80〜99原子%の範囲内とすることが望ましく、90原子%前後とすることがさらに望ましい。
【0094】
NiFe系合金の場合には、Niの組成を70〜95原子%の範囲内とすることが望ましく、80〜90原子%の範囲内とすることがさらに望ましい。
【0095】
IrMn系合金の場合には、Irの組成を15〜25原子%の範囲内とすることが望ましく、22原子%前後とすることがさらに望ましい。
【0096】
PtMn系合金の場合には、Ptの組成を40〜60原子%の範囲内とすることが望ましく、50原子%前後とすることがさらに望ましい。
【0097】
FeMn系合金の場合には、Feの組成を40〜60原子%の範囲内とすることが望ましく、50原子%前後とすることがさらに望ましい。
【0098】
NiFeCo系合金の場合には、Coの組成を3原子%前後とすることが望ましい。
【0099】
CoZrNb系合金の場合には、Coの組成を80〜95原子%の範囲内とし、Zrの組成を5〜10原子%の範囲内とすることが望ましい。
【0100】
(実施例1)
まず、熱酸化Si基板上に膜厚5nmのTaバッファ層を形成し、その上に膜厚2nm程度のNi−Fe−Co下地層を形成した。これに接して、Ni−Fe−Co合金とFeの酸化物およびCoの酸化物を主な構成要素とする結晶成長制御層を0.8nm程度設けた。さらに、この結晶成長制御層上にCo/(Cu/Co)16の人工格子を作製した。CoおよびCuの膜厚はそれぞれ2nm、2.1nmとした。
【0101】
(比較例1)
実施例1と同様に、熱酸化Si基板上に膜厚5nmのTaバッファ層を形成し、その上に膜厚2nm程度のNi−Fe−Co下地層を形成した。続いて、Co/(Cu/Co)16の人工格子を作製した。CoおよびCuの膜厚はそれぞれ2nm、2.1nmとした。
【0102】
上記実施例1および比較例1で作製した人工格子膜に対し、それぞれ1×10-6Torr程度の真空中で240℃にて、20時間、60時間、100時間の熱処理を施した。図6は実施例1と比較例1の人工格子膜(試料各2個)のMR変化率を示したものである。図6から実施例1は比較例1に比べて熱安定性に優れていることが分かる。
【0103】
(実施例2)
熱酸化Si基板上にバッファ層として膜厚10nmのTa層を成膜し、続いて膜厚2nm程度のNi−Fe下地層を形成した。これに接して、Ni−Fe合金とFeの酸化物を主な構成要素とする結晶成長制御層を0.6nm程度設けた。さらに、この結晶成長制御層上にNi−Fe(4nm)/Co(1nm)/Cu(2.5nm)/Co(1nm)/Ni−Fe(4nm)/Fe−Mn(16nm)のスピンバルブ膜を作製した。また、この上に膜厚5nm程度のTa保護膜を形成した。断面TEMによる観察の結果、非常にフラットな膜が得られていることが確認された。
【0104】
(比較例2)
実施例2と同様に、熱酸化Si基板上にバッファ層として膜厚10nmのTa層を成膜し、続いて膜厚2nm程度のNi−Fe下地層を形成した。続いて、Ni−Fe(6nm)/Co(1nm)/Cu(2.5nm)/Co(1nm)/Ni−Fe(4nm)/Fe−Mn(16nm)のスピンバルブ膜を作製した。また、この上に膜厚5nm程度のTa保護膜を形成した、断面TEMによる観察の結果、Ni−Fe/Fe−Mnの界面の凹凸が非常に大きい(膜厚方向で1.5nmを超える)ことが判明した。
【0105】
上記実施例2および比較例2で作製したスピンバルブ膜に対し、それぞれ1×10-6Torr程度の真空中で240℃にて50時間の熱処理を施した。図7は実施例2と比較例2のスピンバルブ膜(試料各3個)のMR変化率を示したものである。図7から実施例2は比較例2に比べて熱安定性に優れていることが分かる。
【0106】
(実施例3〜7)及び(比較例3〜4)
アルチック(Al23とTiCとの焼結体)基板上に厚さ数μnmのAlOx絶 縁層を形成し、その上にバッファ層として膜厚5nmのアモルファスCo−Zr−Nb層を成膜した。続いて、NiFe下地層を形成した。NiFe下地層の膜厚は1nm(実施例3)、2nm(実施例4)、5nm(実施例5)、10nm(実施例6)、15nm(実施例7)、20nm(比較例3)、30nm(比較例4)とした。これに接して、Ni−FeとNiの酸化物およびFeの酸化物を含む結晶成長制御層を0.5nm程度設けた。さらに、この結晶成長制御層上にCo−Fe(3nm)/Cu(3nm)/Co−Fe(2nm)/Ir−Mn(1.5nm)のスピンバルブ膜を形成し、その上に膜厚5nm程度のTa保護膜を設けた。
【0107】
(実施例8)
上記実施例4において、結晶成長制御層の厚さを0.8nm程度とする以外は、同一構造のスピンバルブ膜を作製した。
【0108】
(比較例5)
アルチック基板上に厚さ数μnmのAlOx絶縁層を形成し、その上にバッファ層として膜厚5nmのアモルファスCo−Zr−Nb層を成膜した。続いて、厚さ2nm程度のNiFe下地層を形成し、さらに続けてCo−Fe(3nm)/Cu(3nm)/Co−Fe(2nm)/Ir−Mn(5.5nm)のスピンバルブ膜を形成し、その上に膜厚5nm程度のTa保護膜を設けた。
【0109】
断面TEM(transmission electron microscopy)による観察の結果、比較例5のスピンバルブ膜では、Ni−Feから上部のCo−Feまで連続した粒成長が観察され、Co−Fe/Ir−MnやIr−Mn/Taの界面、および膜表面の凹凸が大きい(膜厚方向で1.5nmを超える)ことが判明した。さらに、AFM(原子間力顕微鏡)による観察の結果、膜表面の凹凸は、Rmaxで約2.2 〜2.5nmであることが確認された。比較例5のスピンバルブ膜の柱状晶粒径は15〜50nm程度であった。
【0110】
これに対して、実施例4や実施例8のスピンバルブ膜では、結晶成長制御層の上下で粒成長が不連続になっていることが確認された。また、実施例4および実施例8のどちらの膜においても、結晶成長制御層上のCo−Fe/Cu界面は非常に平滑であり、膜厚方向の界面ラフネスは1nm以下(0.5nm程度)であることが確認された。膜表面の凹凸はAFM観察からRmaxで約1.3nm程度 であることが誰認された、実施例4では、下地結晶層の結晶粒径は2〜10nm程度、スピンバルブ膜の柱状晶粒径は10〜20nm程度であった。
【0111】
(比較例6)
アルチック基板上に厚さ数μnmのAlO絶縁層、続いてセンダストシールド(FeAlSi)を形成し、さらに厚さ100nm程度の磁気ギャップ膜(AlO)を形成した。その上にバッファ層として膜厚5nmのアモルファスCo一Zr−Nb層を成膜し、続いて厚さ2nm程度のNiFe下地層を形成した。これに接して、Ni−FeとNiの酸化物およびFeの酸化物を含む結晶成長制御層を0.1nm程度設けた。さらに、この結晶成長制御層上にCo−Fe(3nm)/Cu(3nm)/Co−Fe(2nm)/Ir−Mn(5.5nm)のスピンバルブ膜を形成し、その上に膜厚5nm程度のTa保護膜を設けた。断面TEMによる観察の結果、比較例6のスピンバルブ膜では、Co−Fe/Ir−Mn界面の凹凸が大きい(膜厚方向で2nm以上)ことが判明した。
【0112】
(実施例9)
アルチック基板上に厚さ数μのAlO絶縁層、続いてセンダストシールド(FeAlSi)を形成し、さらに厚さl00nm程度の磁気ギャップ膜(AlO)を形成した。その上にバッファ層として膜厚5nmのアモルファスCo−Zr−Nb層を成膜し、続いて厚さ2nm程度のNiFe下地層を形成した、これに接して、Ni−FeとNiの酸化物およびFeの酸化物を含む結晶成長制御層を1.4nm程度設けた。さらに、この結晶成長制御層上にCo−Fe(3nm)/Cu(3nm)/Co−Fe(2nm)/Ir−Mn(5.5nm)のスピンバルブ膜を形成し、その上に膜厚5nm程度のTa保護膜を設けた。
【0113】
断面TEMによる観察の結果、実施例9のスピンバルブ膜は、比較例6に比べて結晶成長制御層の厚さを1.4nm程度と厚くしているため、Co−Fe/Ir−Mn界面の凹凸は小さくなっている(膜厚方向で1nm以下)ことが確認された。
【0114】
(実施例10)
アルチック基板上に厚さ数μnmのAlO絶縁層、続いてセンダストシールド(FeAlSi)を形成し、さらに厚さ100nm程度の磁気ギャップ膜(AlO)を形成した。その上にバッファ層として膜厚5nmのTa層および膜厚5nmのアモルファスCo−Zr−Nb層を成膜し、続いて厚さ2nm程度のNiFe下地層を形成した。これに接して、Ni−FeとNiの酸化物およびFeの酸化物を含む拷晶成長制御層を0.8nm程度設けた。さらに、この結晶成長制御層上にCo−Fe(3nm)/Cu(3nm)/Co−Fe(2nm)/Ir−Mn(5.5nm)のスピンバルブ膜を形成し、その上に膜厚5nm程度のTa保護膜を設けた。
【0115】
断面TEMによる観察の結果、実施例10のスピンバルブ膜ではCo−Fe/Ir−Mn界面の凹凸は小さくなっている(膜厚方向で1nm以下)ことが確認された。これは比較例6と比べて、バッファ層として膜厚5nmのTa層と膜厚5nmのアモルファスCo−Zr−Nb層を設け、さらに結晶成長制御層の厚さを0.8nm程度と厚くしているため、膜の平滑性が改善されたものと考えられる。
【0116】
次に、上記した実施例3〜10および比較例3〜6の各スピンバルブ膜に対し、それぞれ1×10-6Torr程度の真空中で240℃にてl00時間の熱処理を施した。図8は実施例4、実施例8および比較例5のスピンバルブ膜のMR変化率のアニール時間依存性を示したものである。MR変化率は成膜後1時間程度のpinnedアニール後のMR変化率(イニシャルMR変化率)を1としてノーマライズして示した。実施例4、8は比較例5に比べてアニールによる特性劣化が少なく、熱安定性に優れていることが確認された。
【0117】
さらに、図9は270℃で100時間熱処理したときのMR変化率がイニシャルMR変化率から劣化した割合と下地結晶層の膜厚との関係を示した図である。図9から明らかなように、下地結晶層の膜厚が15nmを超えるとMR変化率の特性劣化が急激に大きくなっていることが分かる。図10は膜界面の凹凸が大きい比較例6と、膜界面の凹凸が小さい実施例4、9、10のスピンバルブ膜のMR特性の熱処理による変化を示している。アニールは270℃で100時間施した。実施例4、9、10では特性劣化が少なく、熱安定性に優れていることが分かる。また、270℃で100時間熱処理後のRHループ(MR特性)においても、実施例4、10のスピンバルブ膜は比較例6に比べて磁気的な保磁力が小さく、優れたMR特性を示していることが分かる。図11、図12および図13は実施例4、10、比較例6のRHループである。
【0118】
(実施例11)
熱酸化Si基板上にバッファ層として膜厚10nmのアモルファスCo−Zr−Nb層を成膜し、続いて厚さlOnm程度のNi−Fe下地層を形成した。これに接して、Ni−FeとNiの酸化物およびFeの酸化物を含む結晶成長制御層を1.5nm程度設けた。さらに、この結晶成長制御層上にCo−Fe(10nm)/Cu(10nm)/Co−Fe(10nm)/Ir−Mn(10nm)のスピンバルブ膜を形成し、その上に膜厚10nm程度のTa保護膜を設けた。
【0119】
(比較例7)
熱酸化Si基板上にバッファ層として膜厚10nmのアモルファスCo−Zr−Nb層を成膜し、続いて厚さ10nm程度のNi−Fe下地層を形成した。さらに、Co−Fe(10nm)/Cu(10nm)/Co−Fe(10nm)/Ir−Mn(1Onm)のスビンパルブ膜を形成し、その上に膜厚10nm程度のTa保護膜を設けた。
【0120】
これら実施例11および比較例7のスピンバルブ膜について、断面TEMにより膜断面を観察した。その結果を図14(実施例11)および図15(比較例7)に模式的に示す、比較例7(図15)では下地から保護膜のTaまで貫いた柱状晶の粒成長が見られるのに対し、実施例11(図14)では結晶成長制御層(上下の層より白っぽい低密度層)の上下で粒成長が不連続になっていることが確認された。結晶粒の大きさ(ここでは柱状晶の幅と定義する)は、比較例7では15〜50nm、実施例11では下地結晶層、スピンバルブ膜(機能層)でそれぞれ5〜15nm、10〜30nm程度であった、また、比較例7ではCo−Fe/Ir−Mn界面の凹凸が大きく、膜厚方向に1.5nmを超える大きな界面うねりが存在するのに対し、実施例11ではCo−Fe/Ir−Mn界面は非常に平滑であり、膜厚方向のうねりはlnm以下(0.5nm程度)であることが確認された。
【0121】
次に、これら実施例11および比較例7の各スピンバルブ膜に対し、それぞれ1×10-6Torr程度の真空中で270℃にて100時間の熱処理を施した。実施例11および比較例7のスピンバルブ膜において、熱処理前後のMR変化率は実施例2および比較例2とよく似た振る舞いが見られ、実施例11は熱安定性に優れることが確認された。
【0122】
これら熱処理後の実施例11および比較例7の各スピンバルブ膜について、原子の拡散挙動を直接観察するために、FE(field emission)−TEMにより膜断面の組成分析を行った。組成分析は膜厚方向に、各層の界面付近および各層のほぼ中央部などの25〜30点の分析点に対して行った、組成分析点に当てる電子線のスポット径は約1nmである。図16に実施例11および比較例7の主な構成元素の元素プロファイルを示す、比較例7のスピンバルブ膜ではCu層のほぼ中央部から20〜40原子%のCo元素が検出された。また、実施例11のスピンバルブ膜においては、CuではMnはほとんど検出されなかったが、比較例7ではCu層から4〜8原子%のMn元素が検出された。
【0123】
以上の結果から、実施例11は比較例7に比べて原子の拡散に対して優れた熱安定性を有しており、その結果MR特性も安定であることが確認された。
【0124】
(実施例12)
熱酸化Si基板上にバッファ層として膜厚5nmのTa層を成膜し、続いて厚さ10nm程度のNi−Fe下地層を形成した。これに接して、Ni−FeとNiの酸化物およびFeの酸化物を含む結晶成長制御層を1.5nm程度設けた。さらに、この結晶成長制御層上にCo−Fe(lnm)/Cu(2.5nm)/Co−Fe(2nm)/Ir−Mn(12nm)のスピンバルブ膜を形成し、その上に膜厚5nm程度のTa保護膜を設けた。
【0125】
(比較例8)
熱酸化Si基板上にバッファ層として膜厚5nmのTa層を成膜し、続いて厚さ10nm程度のNi−Fe下地層を形成した。さらに、Co−Fe(lnm)Cu(2.5nm)/Co−Fe(2nm)/Ir−Mn(12nm)のスピンバルブ膜を形成し、その上に膜厚5nm程度のTa保護膜を設けた。
【0126】
これら実施例12および比較例8のスピンバルブ膜について、断面TEMにより膜断面を観察した。その結果を図17(実施例12)および図18(比較例8)に模式的に示す。比較例8(図18)では下地から保護膜のTaまで貫いた柱状晶の粒成長が見られるのに対し、実施例12(図17)では結晶成長制御層(上下の層より白っぽい低密度層)の上下で粒成長が不連続(柱状晶の粒界が不連続)になっていることが確認された。また、比較例8ではCo−Fe/Ir−Mn界面に膜厚方向に2nmを超える大きな界面うねりが存在するのに対し、実施例12ではCo−Fe/Ir−Mn界面は非常に平滑であり、膜厚方向のうねりは1nm以下(0.5nm程度)であることが確認された。
【0127】
実施例12および比較例8のスピンバルブ膜について、as−depo.状態でMR変化率を測定した。次いで、実施例11および比較例7の各スピンバルブ膜に対し、それぞれ1×10-6Torr程度の真空中で1時間の熱処理を施し、再びMR変化率を測定した。熱処理後のMR変化率は、as−depo状態のMR変化率を基準として、実施例12では4%、比較例8では24%低下した。実施例12は比較例8に比べて熱安定性に優れることが確認された。
【0128】
これら熱処理後の実施例12および比較例8の各スピンバルブ膜について、原子の拡散挙動を直接観祭するため、FE−TEMにより膜断面の組成分析を行った。組成分析は、上部Co−Fe層(Cu層とIr−Mn層とに挟まれたCo−Fe層)とCu層の2層について行い、膜面に平行な方向に点分析を行った。図19に実施例12における分析点を模擬的に示す。組成分析点に当てる電子線のスポット径は約1nmであるが、電子線の散乱や2次電子の放出などを考慮すると、実際の組成分析は約2nm程度の領域の情報を拾っているものと考えられる。
【0129】
図20および図21に実施例12の主な構成元素の元素プロファイルを、また図22および図23に比較例8の主な構成元素の元素プロファイルを示す。比較例8のスピンバルブ膜では、Co−Fe層から4〜10原子%のNi元素が(図22)、Cu層から2〜7原子%のMn元素が(図23)検出された。すなわち、Ni原子はCo−Fe層(1nm)およびCu層(2.5nm)を乗り越えて上部Co−Fe層まで拡散しており、Mn原子は上部Co−Fe層(2nm)を乗り越えてCu層まで拡散していることが確認された。また、これらは結晶の粒界部から多く検出され、NiやMn原子が顕著に粒界拡散していることを示している。一方、実施例12のスピンバルブ膜においては、Cu層のMn元素は非常に少なく(図21)、Co−Fe層からはNi元素はほとんとど検出されなかった(図20)。これらから実施例12は原子拡散に対して優れた熱安定性を有していることが確認された。
【0130】
このように、比較例8では熱処理によるNiやMn原子の顕著な粒界拡散がMR変化率の24%の低下を引き起こしているのに対し、実施例12では結晶成長を制御して原子拡散の起こりにくい粒界構造としているため、MR変化率の優れた熱安定性が実現されている。
【0131】
(実施例13、14)
Si基板上に膜厚200nmのアモルファスAlO層を形成し、続いて、
実施例13:Ir−Mn(20nm)/Co−Fe(2nm)/K層/Ru(0.8nm)/Co−Fe(1、5nm)/Cu(lnm)/Co−Fe(1.lnm)/Ni−Fe(2nm)
実施例14:Ir−Mn(20nm)/Co−Fe(2nm)/Ru(0.8nm)/K層/Co−Fe(1.5nm)/Cu(3nm)/Co−Fe(1.5nm)/Ni−Fe(2nm)
のスピンバルブ膜を形成し、その上に膜厚5nm程度のTa保護膜を設けた。
【0132】
ここで、K層は結晶成長制御層であり、実施例13のK層はCoの酸化物およびFeの酸化物を含む層(厚さ1.5nm程度)であり、実施例14のK層はRuの酸化物を含む層(厚さ1.5nm程度)である。この実施例13、14のスピンバルブ膜は、Ir−Mn層により磁化固着された磁化固着層を下層側に、また磁化フリー層を上層側に配置した反転構造のスピンバルブ膜である。
【0133】
(比較例9)
Si基板上に膜厚200nmのアモルファスAlO層を形成し、続いてIr−Mn(20nm)/Co−Fe(2nm)/Ru(0.8nm)/Co−Fe(1.5nm)/Cu(3nm)/Co−Fe(1.5nm)/Ni−Fe(2nm)のスピンバルブ膜を形成し、その上に膜厚5nm程度のTa保護膜を設けた。
【0134】
これら実施例13、14および比較例9のスピンバルブ膜について、熱処理による特性の変化を調べたところ、MR変化率(270℃x3h)/MR変化率(as−depo.)は、比較例9:0.74、実施例13:0.90、実施例14:0.88であり、実施例12、13は熱安定性に優れていることが確認された。
【0135】
また、それぞれの試料を断面TEMで観察したところ、比較例9では各界面のラフネスは下層から上層に向けて大きくなる傾向が見られ、Ir−Mn/Co−Fe界面のラフネスは1.6nm程度、Co−Fe/Cu界面のラフネスは2.0nm程度であった、これに対して、実施例13および実施例14ではIr−Mn/Co一Fe界面のラフネスは1、6nm程度と比較例8と同様であったが、Co−Fe/Cu界面のラフネスは1.2nm、1.3nm程度と小さかった。このように、結晶成長制御層を中間に挟むことによって、下層から上層に向けての界面ラフネスの増加を抑制し、界面のラフネスが低減されていることが分かる。
【0136】
また、Ir−Mn(20nm)に代えてPt−Mn(20nm)を用いた場合にも、同様な効果が得られた。他の例として、反強磁性膜が上部に設けられた通常のスピンパルプ膜構造で、スピンバルブ膜の中間に結晶成長制御層を挟む(例えばSi基板/AlO/Ni−Fe/Co一Fe/Cu/Co−Fe/K層/Ni−Fe/Pt−Mn/Ta)ことにより、K層の下層の界面凹凸より上層の界面凹凸を低減することができ、Ni−Fe/Pt−Mn界面における原子の相互拡散の抑制効果や磁気特性の改善効果を得ることができる。
【0137】
さらに他の構造としては、
Si基板/AlO/Ni−Fe/Co−Fe/Cu/Co−Fe/K層/Co−Fe/Ir−Mn/(またはPt−Mn)/Taや、
Si基板/AlO/Ni−Fe/Co−Fe/Cu/Co−Fe/K層/Co−Fe/Ni−Fe/Pt−Mn/Ta
などが挙げられる。
【0138】
以上、本発明の機能薄膜素子について、第1〜第14実施例を例示しつつ説明した。すなわち、前述したように、基板上に独特の構成を有する下地層1と結晶成長制御層2を設け、その上に所定の構造を有する機能層3を設けることにより、機能層の結晶性を積極的に制御することができる。その結果として、機能層内の薄膜層間での原子の相互拡散を和制することができるため、熱安定性を大幅に向上させることが可能となり、長期的な信頼性を高めることができる。特に、磁気抵抗効果膜に適用した場合においては、MR変化率が極めて低く、熱安定性に優れたGMR素子を実現することができる。
【0139】
なお、上述した各実施例は、一例に過ぎず、機能層3の構造は、本発明を適用する機能薄膜素子の種類に応じて適宜変更することができる。
【0140】
次に、本発明者がさらに独自の検討を進めて発明するに至った独特の構成を有する一連の磁気抵抗効果素子及びその製造方法について説明する。
【0141】
まず、以下に説明する一連の磁気抵抗効果素子を発明するに至った経過について説明する。
【0142】
上述したように、磁気抵抗効果素子としては、強磁性層/非磁性層/強磁性層のサンドイッチ構造を持っスピンバルブ膜を用いたGMR素子が有望視されている。スピンバルブ膜では、一方の強磁性層の磯化を反強磁性膜や強磁性膜などによる交換バイアス磁界で固定しておき、他方の強磁性層を外部磁界により磁化反転させ、強磁性層の磁化を相対的に並行、反並行とすることにより大きな磁気抵抗効果を得ている。
【0143】
そして、さらに、金属下地層と強磁性層との間に酸化物、窒化物、炭化物、フッ化物、ホウ化物などの金属化合物を拡散防止層として介在させることが提案されている(特開平10−65232号公報参照)。この原子拡散防止層は金属下地層の表面に酸化や窒化などの処理を施すことにより形成されるものである。このような金属化合物からなる拡散防止層を有するスピンバルブ膜は、高MR変化率と高耐熱性とを併せ持つものとして期待されている。
【0144】
ここで、本発明者の検討によれば、このような金属化合物からなる拡散防止層は、単に層間の原子の拡散を抑制する機能だけでなく、電子を鏡面反射させる役割も担っていることがわかった。この電子反射効果により、電子の有効的な平均自由行程が長くなり、MR変化率の増大が期待できることが分かった。
【0145】
磁気記録密度が上昇している現在、MR変化率のさらなる向上は非常に重要な課題となっており、MR変化率向上のために、金属化合物を電子反射層として介在させることが高MR変化率と高耐熱性とを併せ持たせるために期待される。
【0146】
しかしながら、本発明者のさらなる研究によれば、例えばNiFe合金層の表面を酸化して形成した拡散防止層はNiOのような磁性酸化物を含むことから、その上に形成したCoやCo合金からなる強磁性層の磁歪や誘導磁気異方性が増大するおそれがあることが明らかになった。拡散防止層に酸化物以外の化合物を使用した場合においても、強磁性層の磁歪や誘導磁気異方性が増大するおそれがある。
【0147】
スピンバルブ膜を実際に磁気抵抗効果素子として使用する場合、誘導磁気異方性は考慮に入れなければならない特性である。しかし、誘導磁気異方性はその物質に固有の最大値から0までの値をとることができ、しかも高温で磁場を受けると容易に増大する。従って、設計段階で誘導磁気異方性の経時変化を考慮しなければならないが、その初期値が大きいと増加量自体も大きくなり、磁気ヘッドにおけるバイアスポイントの設定が困難になるなど、その設計が非常に困難になる、このような事情から、強磁性層の誘導磁気異方性は最大値をとる場合でも10Oe以下程度に抑えることが望ましい。
【0148】
また、磁歪はバルクハウゼンノイズの原因となり得ると同時に、機械的な強度の劣化原因となることから、例えば1ppm以下程度に抑えることが望ましい。しかし、従来の拡散防止層を用いたスピンバルブ膜では、このような条件を満足させることができない場合が生じる。
【0149】
一方、例えば金属下地層の表面の自然酸化や成膜室内への酸素導入などにより形成した拡散防止層、さらには一般的なプラズマ酸化などを適用して形成した拡散防止層では、安定かつ均一な膜を得ることが困難であり、その表面粗さが大きくなるという問題がある。拡散防止層は元々数nm程度の厚さで形成するため、その表面粗さが大きくなるとその機能が損われたり、また前述した電子の鏡面反射層としての機能も低下してしまう。
【0150】
また、鏡面反射層を用いたスピンバルブ膜においては、磁性体/非磁性体/磁性体サンドイッチ構造の両方の磁性体層の表面において電子反射効果をおこすことにより、より大きなMR効果の増大が得られることが知られている。しかしながら、特に磁化固着に反強磁性体を用いるタイプのスピンバルブ膜では、良好な電子反射効果と良好な磁化固着特性とを両立する反強磁性体がなく、これまでは実用的な両面電子反射効果を用いたスピンバルブの実現は困難であった。
【0151】
例えば、良好な磁気固着特性を示すIrMn、NiMn、FeMnなどの金属反強磁性体を用いた場合、磁化固着層/反強磁性体界面での電子反射効果を得ることが困難となる。一方、NiO、Fe23などの酸化物反強磁性体層を用いた場合、良好な電子反射効果を得ることができるが、ブロッキング温度、一方向異方性磁界、磁化固着層の保磁力などの点で実用化は困難である。このため、良好な電子反射特性と良好な磁化固着特性とを両立した磁化固着層を実現することが強く望まれる。
【0152】
また、スピンバルブ膜をハードディスクなどの再生用磁気ヘッドに用いる場合、磁気記録密度の高密度化に対応するためには、再生出力感度を向上させる必要があり、そのためには、外部磁界に対して磁化方向が変化する層(以下、「フリー層」と呼ぶ)の飽和磁化と膜厚との積(以下「Mst積」と呼ぶ)をできるだけ小さくしたい。
【0153】
しかしながら、単にフリー層のMst積を小さくしていくと、磁化固着層との間の静磁カップリングの効果が増大し、外部磁界が零の状態で、磁化固着層とフリー層の磁化を直交した状態にすることが困難となってくる。このことは、スピンバルブ膜を再生用磁気ヘッドとして用いる場合に、再生出力の対称性の劣化を招いてしまい、大きな問題となる。
【0154】
この問題を解決するための方法として、磁化固着層として、相互に反強磁性的に結合された第1および第2の強磁性膜と、この2つの強磁性膜を分離する反強磁性的に結合する膜を含んだ積層膜、例えばCo/Ru/Coなどを用いることができる。以下、この構成を「シンセティック反強磁性構造」と呼ぶ。このような構成を用いることにより、磁化固着層内で磁化をうち消し合い、フリー層に対する静磁結合の効果を低減し、零磁場中で磁化固着層とフリー層の磁化を直交させることがより容易になる。
【0155】
しかしながら、こうしたシンセティック反強磁性構造では、良好な電子反射効果を得ることが難しく、シンセティック反強磁性構造を用いながら電子反射効果による大きなMR変化率を得ることは困難である。
【0156】
ところで、スピンバルブ膜においては、磁化固着のための反強磁性層を基板に近い磁性体の側に配置した「ボトム・スピンバルブ膜」と、基板から遠い磁性体側に配置した「トップ・スピンバルブ膜」との2つのタイプがあり、磁気ヘッドの構造によって両タイプのうち、より好ましい方が用いられる。このため、両方のタイプのスピンバルブ膜において、良好な電子反射効果を得られるようにしておくことが望ましい。
【0157】
しかしながら、従来、電子反射効果が得られているNiO、Fe23などの酸化物反強磁性体をボトム・スピンバルブに用いた場合、フリー層が酸化物反強磁性体の上に配置されるため、結晶性のコントロールが難しく、良好な軟磁気特性を得ることがむずかしいという問題がある。特にフリー層として、大きなMR効果が得られるCo系合金を用いた場合に、軟磁気特性が得られにくくにっている。また、フリー層のMst積を小さくした場合にも、より結晶性が劣化し、軟磁気特性が劣化してしまう。
【0158】
上述したように、例えば金属下地層と強磁性層との間に金属化合物層を拡散防止および電子反射のための層として介在させたスピンバルブ膜は、高耐熱性と高MR変化率とを併せ持つGMR素子材料として期待されているものの、例えば金属化合物層の存在が強磁性層の磁歪や誘導磁気異方性の増大原因となる点でさらなる改善の余地がある。
【0159】
また、従来の拡散防止来電子反射層の形成方法では、その表面粗さが大きくなりやすいために、原子拡散の防止効果が低下したり、また電子の鏡面反射層としての機能が低下してしまうというような問題も起こりうる。
【0160】
また、良好な磁化固着特性と、良好な電子反射特性とを両立する磁化固着層がなく、両面電子反射効果を用いた実用的なスピンバルブ膜の実現は困難であった。また、シンセティック反強磁性構造と電子反射効果の両立が困難となっている。また、NiO、Fe34などの絶縁物反強磁性体を用いたボトム・スピンバルブ膜では、良好な軟磁気特性を得ることが困難であった。
【0161】
このようなことから、スピンバルブ膜などを用いた磁気抵抗効果素子においては、例えばスピンバルブ膜中に存在させる電子反射層の機能を良好に維持しつつ、それに基づく磁気特性などへの悪影響やそれ自体の形成不良などの発生を有効に抑制することが求められている。
【0162】
以下に詳述する磁気抵抗効果素子及びその製造方法は、このような課題の認識に基づいて発明されたものである。すなわち、以下に説明する発明は、良好な磁気抵抗効果特性や各種磁気特性を有すると共に、耐熱性に優れる磁気抵抗効果素子と、そのような磁気抵抗効果素子を再現性よく得ることを可能にした磁気抵抗効果素子の製造方法および製造装置を提供することを目的としており、さらには例えば磁気ヘッドとしての安定性などを高めることを可能にした磁気抵抗効果素子を提供することを目的としている。
【0163】
まず、本発明の第2の実施形態による磁気抵抗効果素子(MR素子)について説明する。図25は、本発明の第2実施形態にかかるMR素子の要部構造を示す断面図である。同図において、11は絶縁体基板Sの上に形成された、信号磁界などの外部磁界により磁化方向が変化する第1の磁性層、いわゆるフリー層である。第1の磁性層11上には非磁性中間層12を介して第2の磁性層13が積層されている。
【0164】
第2の磁性層13は、その上に積層形成されたIrMn、PtMn、NiMn、FeMnなどの反強磁性合金やNiO、CoO、Fe23などの酸化物系反強磁性材料からなる反強磁性層14により、バイアス磁界が付与されて磁化固着されており、いわゆるピン層である。
【0165】
ここで、第1の磁性層11はCoFe磁性層の様に単一の磁性層から構成されていても良くまた、NiFe/CoFeの様に複数の磁性層が積層された構造になっていても良い。このとき、Cuとの界面でのスピン依存散乱効果を大きくするためには、Cu層に接する界面にはCoやCoFe等のCo合金が配置してあることが望ましく、その膜厚は0.5nm以上あることが望ましい。
【0166】
第1および第2の磁性層11、13は、例えばCoやCo合金のようなCoを含む.強磁性体、あるいはNiFe合金のような強磁性体などにより構成されている。これらのうち、特に大きなMR変化量が得られるCo合金を用いることが好ましい、このようなCo合金としては、CoにFe、Ni、Au、Ag、Cu、Pd、Pt、Ir、Rh、Ru、Os、Hfなどの1種または2種以上を5〜50原子%程度の範囲で添加した合金が挙げられる。添加元素は大きなMR変化量を得る上で、特にFe及び/またはNiを用いることが好ましい。第1および第2の磁性層11、13の膜厚は、大きなMR変化量が得られ、かつバルクハウゼンノイズの発生を抑制し得る1〜30nmの範囲とすることが好ましい。
【0167】
上述した磁性層11、13間に配置される非磁性中間層12には、Cu、Au、Ag、あるいはこれらと磁性元素とを含む常磁性合金、Pd、Ptおよびこれらを主成分とする合金などが用いられる。非磁性中間層12の膜厚は2〜5nm程度の範囲に設定することが好ましい、非磁性中間層12の膜厚が5nmを超えると抵抗変化感度を十分に得ることができず、また2nm未満であると磁性層11、13間の交換結合を十分に小さくすることが困難となる。
【0168】
ここで、上述した磁性層11、13のうち、特にフリー層としての第1の磁性層11には、fcc結晶構造をとるCo合金を用い、かつ膜面に対して垂直な方向に(111)配向させることが好ましく、これによりCo合金の膜質改善および軟磁気特性の向上が図れる、このような事から、金属下地層15としてはfcc構造を有する金属材料、例えばNiFe合金、NiFeCo合金、これらにTi,V,Cr,Mn,Zn,Nb,Mo,Tc,Hf,Ta,W,Re等の添加物を添加して高抵抗化した合金、或いは、Ta,Ti,Cr,Cu,Au,Ag,Ru,Rh,Pd,Ir,Pt及びこれらの合金等を用いることが望ましい。
【0169】
こうすることによりその上に形成された電子反射層の平滑性、結晶性を向上させることが可能となる。その為その上に形成される磁性層11の(111)配向性を向上させ、全体としての膜質改善及び軟磁気特性の改善を実現することが出来る。
【0170】
また、これら金属下地の下に更に基板との濡れ性を向上させ、かつfcc構造を安定化させるために、Ta,Ti,Cr等の材料を下地として敷くことが望ましい。具体的には、Ta/Cu,Ta/NiFe,Ta/Au,Ta/Ru,Ta/Pd,Ta/Pt,Ta/Ir,Ta/Ag等、2層以上の積層構造を下地として使うことができる。ここでTa層の方がより基板に近い側に積層されている必要がある。
【0171】
また、フリー層の軟磁気特性を向上させ、磁歪を小さくするためには、フリー層の結晶格子の歪みをコントロールすることが重要である。このためには下地層の格子定数を制御する必要がある。そこで、Ta/Au/Cu,Ta/Ru/Cu,Ta/Ru/Auなどの3層構造の積層構造を下地として使う事もできる。このような格子定数の異なる2種のfcc材料を積層し、その膜厚比を変えることにより金属下地層トータルの格子定数を制御することが可能となる。これによって電子反射層自体の格子定数を制御し、隣接して成膜されるフリー層の格子定数を制御することが可能となる。
【0172】
具体的にはTa5nm/Ru1nm/Cu1nmの積層構造を下地層として用いることが出来る。この構成にすることにより、基板との良好な濡性を確保し、連続膜を形成しながら、Ru/Cuによって格子の歪みを制御し、電子反射層をとおして軟磁気特性を得ることが可能となる。
【0173】
また格子の歪みを制御し、軟磁気特性を得るためには必ずしも積層構造とする事は必須でなく、合金化によって格子定数を制御しても良い。この為下地層としてはTa/RuCu等のfcc合金膜を用いる事も出来る。
【0174】
またこれらの下地構成は第1の磁性層11にNiFe合金等の強磁性体を用いる場合においても用いることが出来る。
【0175】
電子反射層16には非金属材料を使用することが好ましく、これにより良好な原子の拡散防止効果が得られる。さらに、金属とのポテンシャルの違いが大きくなるため、電子の鏡面反射効果をより効果的に取り入れることが可能となる。さらに、結晶質の非金属材料を使用することによって、その上に形成される金属層との界面を整合性よく平坦化することができ、場合によってはエピタキシャル成長させることができる。これにより、電子の鏡面反射効果が増大するのみならず、結晶性が上がって耐熱性をさらに向上させることができる。
【0176】
このような電子反射層16の構成材料としては、例えば酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、フッ化物、硫化物、塩化物などが挙げられる。これらは単体として用いる場合に限らず、混合物や複合化合物などの形態で用いてもよい。これらのうち、特に形成が容易でかつ原子の拡散抑制機能に優れる自己酸化膜、表面酸化膜、不動態膜などが好ましく用いられる。上記したような化合物は金属的に振る舞うものもあるが、一般に室温以上では絶縁体もしくは高抵抗であり、電子反射層16として有効に機能する。
【0177】
また電子反射層16を構成する化合物は化学量論的に正確な組成となっていてもいいが、化学量論的に正確な組成で無くてもよい。またきれいな結晶格子を組んでいても良いが、きれいな結晶格子を組んでいなくてもよく、またアモルファス状態であっても良い。ただし全体の結晶性を向上させるためには、きれいな結晶格子を組んでおり、かつ隣接する金属層と部分的なエピタキシャル関係を保っていることが望ましい。さらに、電子反射層16の形態は、一様に金属バッファ層4の表面を覆っていなければならないものではなく、例えばピンホールが形成された状態、上記した酸化物、窒化物、炭化物、ほう化物、ふっ化物等が島上に存在した状態、非連続状態で形成されていてもよい。また電子反射効果に悪影響を及ぼさない程度に、ピンホール等があってもよい。ピンホールの平均サイズは互い隣接するピンホール間の距離と同程度か、それより小さいことが好ましい。
【0178】
上述したような化合物からなる電子反射層16は、例えば金属下地層15を形成した後に、その表面を一旦大気に晒したり、あるいは酸素、窒素、炭素、ホウ素、フッ素、塩素などを含む雰囲気中に晒すことによって容易に形成することができる。また、イオン注入法を用いたり、プラズマに晒すなどによっても形成することができる。このような方法を用いて電子反射層16を形成してもよいが、特に後に詳述するラジカルを用いた形成方法を適用することが望ましい。ラジカルを用いた方法によれば、均質でかつ表面の平坦性に優れた電子反射層16を再現性よく得ることができる。
【0179】
電子反射層16の表面(具体的には後述する金属バリア層7との界面)は、電子の鏡面反射効果をより有効に得るために、平坦性に優れることが望ましい。具体的な表面粗さ(界面粗さ)は、平均粗さRaで2nm以下であることが好ましい。上記したラジカルを用いた形成方法によれば、このような平坦性に優れた電子反射層16を再現性よく得ることができる。
【0180】
ここで、例えばNiFe合金からなる金属下地層5の表面を酸化して電子反射層16を形成した場合、電子反射層16がNiOやFeOなどの磁性体を含むことから、第1の磁性層11の誘導磁気異方性が10Oe以上となったり、また磁歪が1ppm以上になるおそれがある。特に、第1の磁性層11をCo合金などで構成した場合、そのおそれが大きい。
【0181】
そこで、電子反射層16とフリー層としての第1の磁性層11との間には、金属バリア層17が挿入されている。このように、電子反射層16と第1の磁性層11との間に金属バリア層17を介在させて、これらの間の磁気的な相互作用を切ることによって、第1の磁性層11の誘導磁気異方性や磁歪の増大を抑制することが可能となる。
【0182】
上記したように、電子反射層16と第1の磁性層11との間の磁気的な相互作用を切るためには、金属バリア層17は非磁性金属材料で構成することが好ましい。金属バリア層17を構成する非磁性金属材料は特に限定されるものではなく、各種の非磁性金属材料を使用することができるが、特にSc、Ti、Cu、Zn、Y、Zr、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Re、Os、Ir、Pt、Au、Tl、Pbなどの金属、もしくはそれらを含む非磁性合金を使用することが好ましい。
【0183】
このような金属バリア層17は、電子鏡面反射を有効に取り込むため、平均自由行程の長い低抵抗の物質がよいが、その厚さ(平均厚さ)はシャント分流による抵抗変化量の減少を低減する上で3nm以下とすることが好ましい。一方、あまり薄いと上記したような効果を十分に得ることができないおそれがあるために、0.5nm以上とすることが好ましい。ただし、高抵抗化元素などを添加して金属バリア層17の抵抗を高めた場合、シャント分流については有利となるが、電子鏡面反射に対しては不利であるため、この限りではない。金属バリア層17の平均厚さは1〜3nmの範囲とすることがさらに好ましく、特に1〜2nmの範囲が望ましい。
【0184】
さらに、金属バリア層17は電子反射層16と第1の磁性層11との間に配置されるため、電子反射層16による電子の鏡面反射効果を有効に生かす上で、金属バリア層17と第1の磁性層11との膜厚(平均厚さ)の和は10nm以下とすることが好ましい。
【0185】
また金属バリア層の材質、厚さ、構成を最適化することにより、フリー層にかかる電流磁界を制御する事もできる。
【0186】
スピンバルブ膜をヘッド等のセンサーデバイスとして用いる場合、ノイズを小さくし高感度化するために、フリー層を単磁区化し、バルクハウゼンノイズを押さえ、磁化に対して直角方向に外部磁場を加える様に構成することが望ましい。このとき磁場の方向の判別を可能とし、かつ高感度化し、外部磁場に対する直線性を良くするためには、外部磁場が零の時にピン層の磁化とフリー層の磁化がほぼ直交した状態にしておくことが望ましい。
【0187】
もしこの条件が満たされないと、ダイナミックレンジが減ったり、外部磁場に対する直線性が劣化したりする。またその状態でヘッドのセンサーデバイスに用いた場合、正負の信号に対して、得られる出力の絶対値が異なってしまい、出力対称性が劣化してしまう。そして出力対称性が劣化すると、ディスクからの信号読みとりのエラーが増加してしまう。この為、外部磁場が零の時にピン層の磁化とフリー層の磁化がほぼ直交した状態にしておく事は非常に重要である。このように外部磁場零で直交関係が成り立つ様に設計する事を一般にバイアスポイントの設計と呼ぶ。
【0188】
微細化したスピンバルブ素子においてバイアスポイントを設計するためには、ピン層からの静磁結合によりフリー層にかかるトルクと、ピン層とフリー層の中間非磁性層を介した交換結合によってかかるトルクと、センス電流によって発生する電流磁場からのトルクと、単磁区化用のハード膜からの磁場によって発生するトルクを全て小さくし、かつ相殺した状態にすることが望ましい。
【0189】
その為にはセンス電流による電流磁界の大きさを最適化出来ることが望ましい。そこでスピンバルブ膜を流れる電流の膜厚方向の分布を適正に設計する必要がある。具体的にはフリー層よりも基板側を流れる電流の発生する磁界と、フリー層よりも基板から遠い側を流れる電流の発生する磁界は逆方向であるため、両者は打ち消しあうことが出来る。この為フリー層にかかる電流磁界を零に近づけるには、この2つの電流量がほぼ同じになるように設計することが望ましい。ただし一般的なフリー層構成では、フリー層側からみてピン層側を流れる電流量の方が多いため、どうしても大きな電流磁界が発生してしまう。
【0190】
電流磁界によるバイアスポイントのズレはフリー層の膜厚が薄くなるほど顕著になるため、高感度化の為にフリー層のMstを薄くして行くに従って、電流磁場の相殺は重要になってくる。
【0191】
そこで金属バリア層はフリー層からみてピン層よりも遠い側の電流量を増やす為に用いることが出来る。特に電子反射層に接している事により、界面散乱が押さえられる為、金属バリア層には薄くても十分な電流を流すことが可能になる。この為金属バリア層は良好な電流磁場制御層として用いることが出来る。
【0192】
この目的に用いる場合には、材料としてはCu,Au,Ag等の平均自由工程の長い金属を用いることが可能である。その厚さはフリー層にかかる電流磁界を、ヘッド構成において動作時のセンス電流を流して、ちょうど直交関係が成り立つ様に設計することが出来る。具体的にはその厚さは0.5nmから5nmの範囲にすることが望ましい。
【0193】
電子反射層16の厚さは、例えば金属下地層15の結晶成長の情報(結晶の配向性や結晶粒の大きさなどの情報)をある程度保持して金属バリア層17、ひいては第1の磁性層11に伝える役割を持たせるために、例えば平均厚さで3nm以下とすることが好ましい。ただし、あまり薄すぎると原子拡散バリヤとしての機能や電子の鏡面反射層としての機能が損われるため、平均厚さで0.5nm以上とすることが好ましい。
【0194】
さらに、上述したような厚さの拡散防止電子反射層16によれば、電子反射層16が磁性体を含んでいても磁気的に不安定になり、磁性が弱くなるため、場合によっては金属バリア層17に磁性金属材料を使用することが可能となる。このような磁性金属材料からなる金属バリア層17としては、誘導磁気異方性および磁歪の増大を抑制する上で、NiやNiFeのようなNi合金、もしくはこれらに他の元素(Coを除く)を添加した合金を使用することが好ましい。
【0195】
上述したような各構成層によりスピンバルブ膜18が構成されており、このようなスピンバルブ膜18を具備するMR素子においては、第2の磁性層13は磁化固着されているのに対して、第1の磁性層11は外部磁界によって磁化方向が変化するため、非磁性中間層12を挟んで配置された2つの磁性層11、13の磁化方向の相対的な角度が変化して磁気抵抗効果が得られる。
【0196】
なお、上述したスピンバルブ膜18は熱酸化Si基板やAl23付きAl23・TiC基板などの絶縁体基板上に形成されるが、これらの絶縁体基板の表面酸化層と本発明の拡散防止電子反射層とは区別されるものである。つまり、本発明によれば、基板の表面酸化層とは別に拡散防止電子反射層が形成され、スピンバルブ膜18の一部を構成する。
【0197】
上記実施形態のMR素子においては、第1の磁性層11と金属下地層15との間に、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、フッ化物などからなる拡散防止兼電子反射層16を形成しているため、例えば直交アニールや結晶性向上のためのアニール処理を施した際に、第1の磁性層11と金属下地層15との間の原子相互拡散を安定して抑制することができ、さらには電子の鏡面反射効果によりMR変化率を向上させることができる。
【0198】
その上で、第1の磁性層11と拡散防止電子反射層16の間に金属バリア層17を介在させているため、電子反射層16と第1の磁性層11との間の磁気的な相互作用を切ることができ、第1の磁性層11の磁歪や誘導磁気異方性の増大を抑制することが可能となる。これはMR素子を磁気ヘッドなどに適用する場合の安定性向上などに大きく寄与する。
【0199】
また、本発明においては、図26に示したように、ピン層としての第2の磁性層13の磁化固着層は、相互に反強磁性的に結合された第1及び第2の強磁性体膜13a、13bと、この2つの強磁性体膜を分離する反強磁性的に結合する膜13cから構成される、シンセティック構造を含んでいても良い。このように、シンセティック構造と組み合わせることにより、ピン層13とフリー層11との間の静磁結合を小さくすることが可能となり、フリー層11のMst積が小さい高感度な構造を再生用磁気ヘッドなどのセンサとして用いることが可能となる。なお、図26において層19は、オプショナルな保護層である。
【0200】
特にピン層にシンセティック構造を用いた場合には、バイアスポイントの設計から考えると、ピンからの漏洩磁界が小さく出来る。この為、金属バリア層によってフリー層にかかる電流磁界の大きさを制御する事により、より小さいMstのフリー層を用いて高感度化を計りながら、安定なバイアスポイント設計を行うことが可能になる。
【0201】
また、本発明においては、図25または図26に示したように、フリー層11がピン層13よりも基板Sに近接したトップ構造に形成することが可能であるが、図27および図28に示したように逆にピン層13がフリー層11よりも基板Sに近接したボトム型の構造にすることも可能である。このように、ヘッドの構造に応じて最適な構造を選択することができる。
【0202】
以上、本発明の第2の実施形態にかかる磁気抵抗効果素子について説明した。ここで、本第2実施形態においても、第1実施形態において前述した結晶成長制御層2を設けることがさらに望ましいことはいうまでもない。
【0203】
次に、本発明の第3の実施形態にかかる磁気低抗効果素子(MR素子)について途べる。図29は、本発明の第3実施形態のMR素子の要部構造を示す断面図である。同図において、11は絶縁体基板Sの上に形成された信号磁界等の外部磁界により磁化方向が変化する第1の磁性層、いわゆるフリー層である。第1の磁性層11上には非磁性中間層12を介して第2の磁性層13が積層されている。第2の磁性層13は、その上に積層形成されたIrMn、PtMn、NiMn、FeMnなどの反強磁性合金やNiO、CoO、Fe23等の酸化物系反強磁性材料からなる反強磁性層14により、バイアス磁界が付与されて磁化固着されており、いわゆるピン層である。また全体の結晶性を向上させるために金属下地層15が基板Sに接して形成されいる。
【0204】
本実施形態の磁気抵抗効果素子では、ピン層としての第2の磁性層13の中間に電子反射層16を介在させていることを特徴としている。すなわち図29に示すスピンバルブ膜においては、ピン層としての第2の磁性層13は磁性層13a/電子反射層16/磁性層13bの積層構造により構成されている。ここで磁性層13aは非磁性中間層と接しており、GMR効果を起こすピン層として機能している。電子反射層16は、熱による原子拡散に伴う磁気低抗効果の劣化を抑制するだけでなく、磁性層13aから入射してきた伝導電子を鏡面反射し、見掛け上電子の平均自由行程を増大させ、MR変化率を増大させる役割をになっている。磁性層13bは反強磁性体と接しており、一方向異方性磁界により固着される役割をになっている。
【0205】
本構成により良好な磁化固着特性が得られる金属系の反強磁性体を用いながら、電子反射効果によるMRの増大効果をえることが可能となる。第1の磁性層11、第2の磁性層13aは、例えばCoやCo合金のようなCoを含む強磁性体、或はNiFe合金のような強磁性体等により構成されている。これらのうち、特に大きなMR変化率がえられるCo合金を用いることが好ましい。このようなCo合金としては、CoにFe、Ni、Au、Ag、Cu、Pd、Pt、Ir、Rh、Ru、Os、Hfなどの1種または2種以上を5〜50原子%程度の範囲で添加した合金があげられる。添加元素は大きなMR変化率を得る上で、特にFe、Niを用いることが好ましい。
【0206】
また大きなMR効果を得ながらピン層の磁化を余り大きくしないためには磁性層13aはNiFe/CoFeやNiFe/Coの様に多層構造になっていても良い。このとき、Cuとの界面でのスピン依存散乱効果を大きくするためには、Cu層に接する界面にはCoやCoFe等のCo合金が配置してあることが望ましく、その膜厚は0.5nm以上あることが望ましい。またピン層の磁化を余り大きくしないためには3nm以下であることが望ましい。トータルの13aの膜厚は電子反射層による電子反射効果を有効に用いるためには、その磁性体の平均自由行程以下であることが望ましく、具体的には10nm以下であることが望ましい。
【0207】
また反強磁性体に接している磁性層13bと13aの材料は同一であっても良いが、必ずしも同一である必要はない。磁性層13bはMR効果には寄与せずセンス電流の分流に寄与するため、できるだけ磁性層13bの面抵抗は高くしておく方が好ましい。このため磁性層13bの材料としてはCoもしくはNi合金に、Cr、Nb、B、Rh等を添加し、高抵抗化した材料を用いることが好ましい。また磁性層13bはGMR効果には寄与しないため必ずしも飽和磁化の大きなCo系合金を用いる必要はなく、より飽和磁化の小さいNi系合金を用いることができる。そうすることにより、ピン層の一方向異方性磁界をできるだけ大きくし、スピンバルブの動作を安定にすることが可能になる。
【0208】
また磁性層13bはGMR効果には寄与せず、またセンス電流の分流には寄与するため、全体のMR変化率を減少させる効果を持っている。出来るだけセンス電流の分流を押さえ、MR変化率の減少を無くすためには、磁性層13bと電子反射層16の間では出来るだけ電子反射率を小さくしておくことが望ましい。この界面において電子反射効果が起きると、有効的な電子の平均自由行程が増大するため、分流する電流の量が増大してしまうためである。このためにはこの界面にTa、Cr、Ti等の電子反射効果の小さい材料をはさみ電子反射率を劣化させる事もできる。
【0209】
ここで、第1の磁性層11はCoFe磁性層の様に単一の磁性層から構成されていても良くまた、NiFe/CoFeの様に複数の磁性層が積層された構造になっていても良い。このとき、Cuとの界面でのスピン依存散乱効果を大きくするためには、Cu層に接する界面にはCoやCoFe等のCo合金が配置してあることが望ましく、その膜厚は0.5nm以上あることが望ましい。
【0210】
また、第1の磁性層11の膜厚は、大きなMR変化率が得られ、かつバルクハウゼンノイズの発生を抑制し得る1〜30nmの範囲とすることが好ましい。また磁性層13aの膜厚は、MR効果をできるだけ大きくするためには、有効に電子反射効果を利用できるように薄くすることがのぞましい。具体的には磁性体中の電子の平均自由行程よりも薄くする必要がある。このためCo合金、Ni合金を用いている場合、膜厚を10nm以下にすることが望ましい。またより望ましくは3nm以下にすることにより大きなMR効果を得ることが可能となる。
【0211】
また磁性層13bの膜厚は、センス電流の分流効果をできるだけ小さくするとともにMR効果を大きくするために、できるだけ薄くすることが望ましい。またピン層のMst積をできるだけ小さくし、一方向異方性磁界を大きくするためにもできるだけ薄くすることがのぞましい。このため5nm以下にすることが望ましく、3nm以下にすることがより望ましい。
【0212】
電子反射層16には非金属材料を使用することが望ましく、これにより良好な原子の拡散防止効果がえられる。さらに、金属とのポテンシャルの違いが大きくなるため、電子の鏡面反射効果をより効果的に利用することが可能となる。さらに、結晶質の非金属材料を使用することによって、その上に形成される金属層との界面を整合性良く平坦化することができ、場合によってはエピタキシャル成長させることができる。これにより、電子の鏡面反射効果が増大するのみならず、結晶性が上がって耐熱性をさらに向上させることができる。
【0213】
電子反射層の構成材料としては、例えば酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、弗化物、硫化物、塩化物などがあげられる。これらは単体として用いる場合に限らず、混合物や複合化物などの形態で用いてもよい、これらのうち、特に形成が容易でかつ原子の拡散抑制機能に優れる自己酸化膜、表面酸化膜、不動体膜等が好ましく用いられる。
【0214】
特に電子反射膜として非磁性体を用いる場合には拡散防止層の平均厚さは2nm以下とする必要がある。この電子反射層の平均厚さが2nmを越えると、ピン層を構成する磁性層13aと磁性層13bとの間の磁気的結合が切れ、スピンバルブ膜のピン層としての効果が失われてしまう。このような非磁性体の電子反射膜としてはAl23、MgO、SiO2等の材料を用いることができる。
【0215】
特に、電子反射層として3d遷移元素もしくはランタノイドを含む非金属材料を用いる場合には電子反射層の厚さは3nm以下とする。この場合にはピン層を構成する磁性層13aと磁性層13bとの間の磁気的な結合は電子反射層自体がスピンを持っていることにより、厚さとしては2nmを越えても、磁気的結合はきれない。ただしこの電子反射層の厚さが3nmをこえると、ピン層を構成する磁性層13aと磁性層13bとの間の磁気的結合がきれ、スピンバルブ膜のピン層としての効果が失われてしまう。このような3d遷移元素もしくはランタノイドを含む非金属材料としてはCoO、FeO、GdO等を用いることが出来る。
【0216】
特に、電子反射膜として強磁性体、または反強磁性体を用いる場合には電子反射層の平均厚さは10nm以下とする。この場合にはピン層を構成する磁性層13aと磁性層13bとの間の磁気的な結合は電子反射層の磁性を通して保持されるため電子反射層の厚さとしては2nmを越えても、磁気的結合は切れない。しかしながら10nm以上になると磁気的な安定性が劣化し、電子反射層の磁気特性が顕著にあらわれてくるため、実用素子として使う場合には好ましくない。また望ましくは5nm以下にすることにより安定な磁気的結合を得ることができる。このような強磁性をもった電子反射膜としては、Fe34に代表されるフェライト、それにCo、Ni、Mn、Cu等を添加したフェライト合金、CrO2、 Cr23等を用いることができる。また反強磁性をもつ電子反射膜としては、NiO、CoO、Fe23などの材料を用いることができる。
【0217】
また、上記電子反射層16を構成する化合物は化学量論的に正確な組成となっていてもいいが、化学量論的に正確な組成で無くてもよい。またきれいな結晶格子を組んでいても良いが、きれいな結晶格子を組んでいなくてもよく、またアモルファス状態であっても良い。ただし全体の結晶性を向上させるためには、きれいな結晶格子を組んでおり、かつ隣接する金属層と部分的なエピタキシャル関係を保っていることが望ましい。さらに、電子反射層16の形態は、一様に金属バッファ層4の表面を覆っていなければならないものではなく、例えばピンホールが形成された状態、上記した酸化物、窒化物、炭化物、ほう化物、ふっ化物等が島上に存在した状態、非連続状態で形成されていてもよい。また電子反射効果に悪影響を及ぼさない程度に、ピンホールなどがあってもよい。ピンホールの平均サイズは互いに隣接するピンホール間の距離と同程度か、それより小さいことが好ましい。
【0218】
上述したような化合物からなる電子反射層16は、例えば、磁性層13aを形成したあとに、その表面を一旦大気にさらしたり、或は酸素、窒素、炭素、硼素、フッ素、硫黄、塩素等を含む雰囲気にさらす事によって容易に形成することができる。また、イオン注入法を用いたり、プラズマにさらす等によっても形成することができる。このような方法を用いて電子反射層16を形成しても良いが、特に後に詳述するラジカルを用いた形成方法を適用することが望ましい。ラジカルを用いた方法によれば、均質でかつ表面の平坦性に優れた電子反射層16を再現性よく得ることができる。電子反射層16の表面は、電子の鏡面反射効果をより有効に得るために、平坦性に優れることが望ましい。具体的な表面粗さ(界面粗さ)は、平均粗さRaで2nm以下であることが好ましい。
【0219】
上述した磁性層11、13間に配置される非磁性中間層12には、Cu、Au、Ag、或はこれらの合金等が用いられる。非磁性中間層12の膜厚は2〜5nm程度の範囲に設定することが好ましい。非磁性中間層12の膜厚が5nmを超えると抵抗変化感度を十分に得ることができず、また2nm未満であると磁性層11、13間の交換結合を十分に小さくすることが困難となる。
【0220】
ここで、上述した磁性層11、13a、13bのうち、特にフリー層としての第1の磁性層11には、fcc結晶構造をとるCo合金を用い、かつ膜面垂直方向に(111)配向させることが好ましく、これによりCo合金の膜質改善、および軟磁気特性の向上が図れる。このような事から、金属下地層15としてはfcc構造を有する金属材料、例えばNiFe合金、NiFeCo合金、これらにTi,V,Cr,Mn,Zn,Nb,Mo,Tc,Hf,Ta,W,Re等の添加物を添加して高抵抗化した合金、或いは、Ta,Ti,Cr,Cu,Au,Ag,Ru,Rh,Pd,Ir,Pt及びこれらの合金等を用いることが望ましい。
【0221】
また、これら金属下地の下に更に基板との濡れ性を向上させ、かつfcc構造を安定化させるために、Ta,Ti,Cr等の材料を下地として敷くことが望ましい。具体的には、Ta/Cu,Ta/NiFe,Ta/Au,Ta/Ru,Ta/Pd,Ta/Pt,Ta/Ir,Ta/Ag等、2層以上の積層構造を下地として使うことができる。ここでTa層の方がより基板に近い側に積層されている必要がある。
【0222】
また、フリー層の軟磁気特性を向上させ、磁歪を小さくするためには、フリー層の結晶格子の歪みをコントロールすることが重要である。この為には下地層の格子定数を制御する必要がある。この為、Ta/Au/Cu,Ta/Ru/Cu,Ta/Ru/Auなどの3層構造の積層構造を下地として使う事もできる。
【0223】
具体的にはTa5nm/Ru1nm/Cu1nmの積層構造を下地層として用いることが出来る。この構成にすることにより、基板との良好な濡性を確保し、連続膜を形成しながら、Ru/Cuによって格子の歪みを制御し、軟磁気特性を得ることが可能となる。
【0224】
また格子の歪みを制御し、軟磁気特性を得るためには必ずしも積層構造とする事は必須でなく、合金化によって格子定数を制御しても良い。この為下地層としてはTa/RuCu等のfcc合金膜を用いる事も出来る。
【0225】
またこれらの下地構成は第1の磁性層11にNiFe合金等の強磁性体を用いる場合においても用いることが出来る。
【0226】
またこうした非磁性のバッファ層は、フリー層からみてピン層よりも遠い側の電流量を増やす為に用いる事も出来る。この為金属バリア層は良好な電流磁場制御層として用いることが出来る。適切な材料と適切な膜厚を選ぶことにより、フリー層からみてピン層に近い側の電流によって生じる電流磁界をキャンセルし、電流磁界フリーなSV膜にすることができる。
【0227】
また、本発明においては、図29に示したようにフリー層11がピン層13よりも基板Sに近接したトップ構造に形成することも可能であるが、図30に示したように逆にピン層13がフリー層11よりも基板に近接したボトム構造に形成することも可能である。ヘッドの構造に応じて最適な構造を選択することができる。
【0228】
ここでボトム構造のときの反強磁性体の下地層である金属下地15aは、膜全体を(111)配向させ、膜質の向上、軟磁気特性を向上させるような材料を用いることが望ましい。このような事から、金属下地層15としてはfcc構造を有する金属材料、例えばNiFe合金、NiFeCo合金、これらにTi,V,Cr,Mn,Zn,Nb,Mo,Tc,Hf,Ta,W,Re等の添加物を添加して高抵抗化した合金、或いは、Ta,Ti,Cr,Cu,Au,Ag,Ru,Rh,Pd,Ir,Pt及びこれらの合金等を用いることが望ましい。
【0229】
また、これらの金属下地の下に更に基板との濡れ性を向上させ、かつfcc構造を安定化させるために、Ta,Ti,Cr等の材料を下地として敷くことが望ましい。具体的には、Ta/Cu,Ta/NiFe,Ta/Au,Ta/Ru,Ta/Pd,Ta/Pt,Ta/Ir,Ta/Ag等、2層以上の積層構造を下地として使うことができる。ここでTa層の方がより基板に近い側に積層されている必要がある。
【0230】
また、良好なピン固着特性、小さなピン層とフリー層の交換結合、良好な軟磁性を実現するためには、反強磁性層の結晶格子の歪みをコントロールすることが重要である。この為には下地層の格子定数を制御する必要がある。この為、Ta/Au/Cu,Ta/Ru/Cu,Ta/Ru/Auなどの3層構造の積層構造を下地として使う事もできる。
【0231】
具体的には、Ta5nm/Ru1nm/Cu1nmの積層構造を下地層として用いることが出来る。この構成にすることにより、基板との良好な濡性を確保し、連続膜を形成しながら、Ru/Cuによって格子の歪みを制御し、良好な総合特性を得ることが可能となる。
【0232】
また格子の歪みを制御し、良好な総合特性を得るためには必ずしも積層構造とする事は必須でなく、合金化によって格子定数を制御しても良い。この為下地層としてはTa/RuCu等のfcc合金膜を用いる事も出来る。
【0233】
また、これらの下地構成は第1の磁性層11にNiFe合金等の強磁性体を用いる場合においても用いることが出来る。
【0234】
また、本発明においては、図31に示したようにフリー層11にも隣接して電子反射膜16を形成することも可能である。このようにピン層13、フリー層11の両方に電子反射層16を形成することにより、両面で電子反射を起こすことが可能となり、より大きなMR変化率をえながら、良好な磁化固着特性を両立することが可能となる。
【0235】
この時、フリー層11に隣接して設ける電子反射層16の膜厚は3nm以下であることが望ましい。電子反射層16の膜厚が3nmを超えると格子歪みの効果により、軟磁気特性が劣化してしまう。またボトム構造の時には、電子反射膜16の膜厚が3nmを超えると、フリー層11の上部に形成されるセンス電流用の電極とのコンタクト抵抗が大きくなり、良好な電気接触を得ることが困難になってしまう。このため、センサーとしての性能が劣化してしまう。またトップ構造の時には電子反射層16の膜厚が3nmをこえると、結晶成長の情報がそこで切れてしまうため、膜全体としての良好な結晶性や、(111)配向性等を得ることが難しくなってしまい、軟磁気特性等が劣化してしまう。
【0236】
フリー層11の側には、図32に示したように金属バリア層17を組み合わせて設けることもできる。このようにすることで、良好なMR特性と軟磁気特性とを両立することが可能となる。
【0237】
この場合、フリー層からみてピン層よりも遠い側の電流量を増やすために、金属バッファ層と、金属バリア層の2つを用いることが出来る。この二つの層からのトータルの電流磁界によって、フリー層からみてピン層に近い側の電流によって生じる電流磁界をキャンセルし、電流磁界フリーなSV膜にすることができる。
【0238】
ただし、場合によっては、磁区の安定化の為にピン層側からの電流磁界を積極的に用いたい場合もある。その場合にはなるべくこの2層の膜厚は薄くして、電流が流れない様にすることが望ましい。その場合、特に金属バッファ層の材料としては高抵抗な材料を用いることが望ましい。また金属バッファ層と電子反射層との界面では電子反射効果が小さい方がより電流のシャントを小さくすることが出来る。この為金属バッファ層と電子反射層の界面にはTa、Cr、Ti等の電子反射効果の小さい材料をはさみ電子反射率を劣化させる事も出来る。
【0239】
また、本実施形態においては、図33に示したようにピン層としての第2の磁性層13の磁化固着層は、相互に反強磁性的に結合された第1および第2の強磁性体膜13b、13dと、これら2つの磁性体膜を分離する反強磁性的に結合する膜13cとから構成されるシンセティック構造を含んでいてもよい。
【0240】
すなわち、図33に示すスピンバルブ膜においては、ピン層としての第2の磁性層13は磁性層13a/電子反射層16/磁性層13b/Ru層13c/磁性層3dの積層構造により構成されている。ここで磁性層13aは非磁性中間層12と接しており、GMR効果を起こすピン層として機能している。電子反射層16は、熱による原子拡散に伴う磁気抵抗効果の劣化を抑制するだけでなく、磁性層13aから入射してきた伝導電子を鏡面反射し、見掛け上電子の平均自由行程を増大させ、MR変化率を増大させる役割をになっている。磁性層13bはRuと接しており、Ru層13cを介して磁性層13dと反強磁性的に結合する役割をになっている。磁性層13dは反強磁性層14と接しており一方向異方性磁界により固着される役割をになっている。
【0241】
Ru層13cと電子反射層16との位置関係は、図33に示したように電子反射層16がより中間非磁性層12に近い位置に配置することが望ましい。これにより電子反射のおこる位置をより中間非磁性層12に近づけて、大きな電子反射効果を得ることができる様になる。また、このように配置することによりRu層13cや、磁性層/Ru層界面での不要な電子散乱を起すことなく電子反射を起すことができるため、より大きなMR変化率を得ることができる。ただしRu層13cをより中間非磁性層12に近い位置に配置することも不可能ではない。
【0242】
このようにシンセティック構造と組み合わせることにより、ピン層13とフリー層11との間の静磁結合を小さくすることが可能となり、フリー層11のMst積が小さい高感度な構造を再生用磁気ヘッドなどのセンサーとして用いることが可能となる。
【0243】
ピン層からの静磁界をできるだけ小さくするためには磁性層13aのMst積と磁性層13bのMst積との和が、磁性層13dのMst積となるべく等しくなる様にすることが望ましい。
【0244】
磁性層13b、13dと13aの材料は同一であっても良いが、必ずしも同一である必要はない。磁性層13b、13dはMR効果には寄与せずセンス電流の分流に寄与するため、できるだけ面抵抗は高くしておく方が好ましい。このため磁性層13b、13dの材料としてはCoもしくはNi合金に、Cr、Nb、B、Rh等を添加し、高低抗化した材料を用いることが好ましい。また磁性層13b、13dはGMR効果には寄与しないため必ずしも飽和磁化の大きなCo系合金を用いる必要はなく、より飽和磁化の小さいNi系合金を用いることができる。そうすることにより、シンセティック構成の磁化のバランスを良好に保ち、スピンバルブの動作を安定にすることが可能になる。
【0245】
また、磁性層13aの膜厚は、MR効果をできるだけ大きくするためには、有効に電子反射効果を利用できるように薄くすることがのぞましい。具体的には磁性体中の電子の平均自由行程よりも薄くする必要がある。このためCo合金、Ni合金を用いている場合、膜厚を10nm以下にすることが望ましい。またより望ましくは3nm以下にすることにより大きなMR効果を得ることが可能となる。
【0246】
また、磁性層13bの膜厚は、センス電流の分流効果をできるだけ小さくしMR効果を大きくするためにはできるだけ薄くすることが望ましい。また磁性層13bの膜厚は、できるだけ小さい磁性層13dのMst積で静磁界の漏れを小さくすることうができるように、なるべく薄くすることがのぞましい。このため磁性層13b膜厚ば、5nm以下にすることが望ましく、3nm以下にすることがより望ましい。
【0247】
また、磁性層13bによる電流の分流効果を押さえるためには、磁性層13bと電子反射層16の界面における電子反射効果は出来るだけ小さくすることが望ましい。この界面において電子反射効果が起きると、有効的な電子の平均自由行程が増大するため、分流する電流の量が増大してしまう。このためこの界面にはTa、Cr、Ti等の電子反射効果の小さい材料をはさみ電子反射率を劣化させる事もできる。
【0248】
また、磁性層13dの膜厚は、センス電流の分流効果をできるだけ小さくし、MR効果を大きくするためには、できるだけ薄くすることが望ましい。ただし磁性層13a、13bからの静磁界をキャンセルする必要があるため、Mst積を考慮して膜厚を設定する必要がある。
【0249】
また、図34に示したように、図33の構成に加えてさらにフリー層11に隣接して電子反射膜16を形成することも可能である。このようにピン層13、フリー層11両方に電子反射層を形成することにより、両面で電子反射を起こすことが可能となり、より大きなMR変化率を得ることが可能となる。本発明を利用することにより両面で電子反射を起し、大きなMR変化率をえながら、良好な磁化固着特性と、シンセティック樽成による、ピン層、フリー層間の静磁結合の小さいスピンバルブ膜を得ることができる。
【0250】
また、図35に示したように、図34の構成に加えてさらにフリー層11に隣接して金属バリア層17と組み合わせることもできる。このようにすることで、良好なMR特性と軟磁気特性を両立することが可能となる。
【0251】
上記したようなシンセティックピン構造を用いた膜では、特にピン層からの静磁結合によるトルクの効果が小さいため、電流磁界の効果が小さくなるようにバッファ層、金属バリア層の膜厚と材料を制御する事により、低Mst積のフリー層を用い、高感度化を実現しながら安定なバイアスポイント設計を行うことが可能になる。
【0252】
また、図31〜図35に示した構造は、すべてトップタイプとなっているが、この構造を引っくり返したボトムタイプのスピンバルブ膜を形成することも可能である。対応する構造を図36〜図40にしめした。これらの図面に関しては、前述したものと同一の部分には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。これらトップタイプとボトムタイプの選択はヘッドの構造に併せて最適な方を選ぶことができる。
【0253】
また、図41に示したようにピン層13が2つあるデュアルタイプのスピンバルブ膜においても、ピン層13に電子反射膜16を挿入することが可能である。このようなデュアルタイプにすることで、大きなMR変化率を得ることが可能となる。
【0254】
また、本発明においては、図41の構造に加えて図42に示したようにピン層としての第2の磁性層13の磁化固着層は、相互に反強磁性的に結合された第1および第2の強磁性体膜13b、13dと、この2つの磁性体膜を分離する反強磁性的に結合する膜13cから構成される、シンセティック構造を含んでいても良い。
【0255】
すなわち、図42に示すデュアルスピンバルブ膜においては、ピン層としての第2の磁性層13は磁性層13a/電子反射層16/磁性層13b/Ru層13c/磁性層13dの積層構造により構成されている。
【0256】
このようにシンセティック構造と組み合わせることにより、ピン層13とフリー層11との間の静磁結合を小さくすることが可能となり、フリー層11のMst積が小さい高感度な構造を再生用磁気ヘッドなどのセンサーとして用いることが可能となる。
【0257】
次に、本発明の第4の実施形態にかかる磁気抵抗効果素子について図43を参照して説明する。図43に示すスピンバルブ膜29は、反強磁性層14/第2の磁性層(ピン層)13/非磁性中間層12/第1の磁性層(フリー層)11/金属バリア層17/拡散防止電子反射層16が積層された構造を有している。なお、同図においては、基板や下地層あるいは結晶成長制御層などは省略した。
【0258】
この場合の各層の構成材料としては、前述した実施形態のスピンバルブ膜18の各層と同様な材料が使用される。他の条件についても同様とすることが好ましい。
【0259】
反転構造のスピンバルブ膜29においては、例えば金属バリア層17を形成した、後に、その表面を一旦大気に晒したり、あるいは酸素、窒素、炭素、ホウ素、フッ素などを含む雰囲気中に晒すことによって容易に形成することができる。また、イオン注入法を用いたり、プラズマに晒すなどによっても形成してもよいし、さらにはラジカルを用いた形成方法を適用することができる。拡散防止電子反射層16は金属バリア層17の酸化などに限らず、前述した拡散防止電子反射層16と同様に金属バリア層17上に直接形成することも可能である。
【0260】
なお、反転構造のスピンバルブ膜29においては、図44に示すように、第1の磁性層(フリー層)11の上に電子反射層16を直接形成してもよく、この場合には前述したように、電子反射層16の膜厚を3nm以下、さらには2nm以下とすることが好ましい。
【0261】
このような反転構造のスピンバルブ膜29においても、電子の鏡面反射効果によりMR変化率を向上させることができると共に、第1の磁性層11と電子反射層16の間に介在させた金属バリア層17によりこれらの間の磁気的な相互作用を切ることができ、第1の磁性層11の磁歪や誘導磁気異方性の増大を抑制することができる。
【0262】
本発明の磯気抵抗効果素子は、磁気ヘッドの再生素子などとして使用されるものである。また、磁気ヘッドに限らず、磁気抵抗効果メモリ(MRAM)などの磁気記憶装置に適用することも可能である。
【0263】
次に、本発明の第5の実施形態にかかる磁気抵抗効果素子について図45を参照しつつ説明する。同図に関しても、前述した各実施形態と同様の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。図45に示したように、NiO、α−Fe23、CoOなどからなる拡散防止電子反射層16aを直接形成し、その上に金属バリア層17を介して第1の磁性層11を形成することも可能である。
【0264】
この場合、NiO、α−Fe23、CoOなどからなる拡散防止電子反射層16aは、電子の鏡面反射効果をもたらすだけでなく、その表面は平坦性に優れることから、前述したようにその上に形成される金属バリア層17との界面を整合性よく平坦化することができ、場合によってはエピタキシャル成長させることができる。これにより、各層の結晶性を向上させて耐熱性を向上させることができる。このように、拡散防止電子反射層は界面の平坦性および結晶性の向上に基づいて、各層間の原子拡散を防止するものであってもよい。
【0265】
このような拡散防止電子反射層16aとしては、、NiO、α−Fe23、CoOなどに限られるものではなく、Co、Niおよび、Feから選ばれる少なくとも1種を含む合金の酸化物、さらにはこれらの合金に添加元素を加えたものの酸化物などを使用することもできる。またさらに、上記しえような酸化物に代えて、絶縁体や高抵抗金属として振る舞う窒化物を使用することもできる。このような窒化物としては、Sc、Ti、V、Cr、Mnおよび、Feから選ばれるいずれか1種の金属の窒化物、あるいはこれら金属を含む合金の窒化物が挙げられる。
【0266】
さらに、IrMn合金、RhMn合金、PtMn合金および、RhRuMn合金から選ばれる少なくとも1種の磁性金属材料は、NiO、α−Fe23、CoOなどと同様に、その上に形成される金属バリア層17との界面を整合性よく平坦化することができ、場合によってはエピタキシャル成長させることができる。従って、上述したような磁性金属下地層を拡散防止電子反射層として使用することも可能である。
【0267】
なお、拡散防止電子反射層16aにNiO、α−Fe23、CoOなどの酸化物系磁性体、あるいはIrMn合金などの磁性金属材料を使用する場合には、それと第1の磁性層11との間の磁気的な交換相互作用を断絶するために、非磁性金属材料からなる金属バリア層17を使用する。その際の金属バリア層17の厚さは1nm以上とすることが好ましい。他の条件については前述した通りとすることが好ましい。
【0268】
次に、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法および製造装置について説明する。まず、図46、および図47を参照しつつ、本発明の磁気抵抗効果素子の製造工程について説明する。
【0269】
図46および図47は、本発明の製造方法によって製造される磁気抵抗効果素子の断面構造を例示する概略図である。すなわち、これらの図において、Sは基板、111は金属下地層であり、図46ではこの金属下地層111上に拡散防止電子反射層112を形成し、その上にフリー層としての第1の磁性層113を形成している。また、図47では、金属下地層111上に磁性下地層114を形成し、この磁性下地層114上に拡散防止電子反射層112を介して強磁性層115を形成しており、これらの積層膜によりフリー層としての第1の磁性層113が構成されている。
【0270】
上記した第1の磁性層113上には、非磁性中間層116を介して、ピン層としての第2の磁性層117が形成されており、その上に反強磁性層118が積層形成されている。図中119は保護層である。これら各構成層によって、スピンバルブ膜120が構成されている。なお、このスピンバルブ膜120を構成する各層の材料などは前述した各実施形態のいずれかと同様とすることが好ましい。
【0271】
上記した拡散防止電子反射層112は、層間の原子拡散を抑制する効果と、電子反射によるMR変化率の増大効果がある。原子拡散は、主に粒内拡散と粒界拡散が考えられる。上記の拡散防止電子反射層112は、層間の粒界の一致を阻害して粒界拡散経路を絶つと同時に、層間の結晶粒の接触を遮断して粒内拡散経路を絶つもので、熱による原子拡散を抑制する効果が著しい。また、電子反射効果により電子の平均自由行程を大幅に伸ばすことができ、抵抗変化に寄与する電子数が増えるためにMR変化率は増大すると考えられる。
【0272】
この実施形態では、上記したような拡散防止電子反射層112を、ラジカルを含むガス、あるいはオゾンを含むガスを用いて形成する。ここで、ラジカルを含むガスを用いた形成方法とは、ラジカルを含むガス流を膜上に照射して形成する方法や、ラジカルを含むガス流を照射しながらのスパックソング法、蒸着法あるいはMBE(molecular beam epitaxy)などにより成膜する方法などが含まれる。オゾンを含むガスを用いた形成方法も同様である。
【0273】
ここで、一般的にプラズマはイオンおよび電子から構成される。その他にも、様々な励起状態とったラジカル、中性原子、中性分子が存在している。一般的なプラズマ照射処理では、イオンと電子とが主成分であり、電界を印加することにより、それらを引き出して試料に照射することにより改質処理を行う。このような一般的なプラズマ処理では、イオンが主成分であるために、高エネルギを持ちイオンが膜に衝突することになり、形成される拡散防止電子反射層が損傷を受けることがある。よって、表面粗さが増大してしまうと同時に、形成される層が不均一となり、拡散防止電子反射層としての効力が低下してしまう。
【0274】
拡散防止電子反射層112の形成をラジカルを含むガス流を用いて行うことによって、拡散防止電子反射層112の損傷を小さくすることができる。また、化学的に活性なラジカルにより膜表面での化学反応が促進され、その化学反応熱により膜表面での原子の表面拡散が促進されることにより、表面粗さの小さい、非常に平坦でかつ約3.0nm以下程度の非常に薄い拡散防止電子反射層112の形成が可能となる。具体的には、拡散防止電子反射層112は、上下の界面において、Raで2.0nm以下の平坦性を有する。
【0275】
さらに活性種であるラジカルが照射供給されるために、物理吸着よりも化学吸着が主流となり、吸着確率が上昇する。その結果として、成長核が多くなり、緻密な拡散防止電子反射層112の形成を容易にする。従って、膜厚が均一で上下界面が平坦でピンホールなどの欠陥の少ない拡散防止電子反射層112が形成できる。従って、優れた耐熱性を有すると同時に、電子反射効果の増大により、大きなMR変化率(磁気抵抗変化量)を付与することができる。
【0276】
上述したようなラジカル処理に用いるガスは、酸素、窒素、炭素、水素、フッ素および塩素から選ばれる少なくとも1種の元素から構成されるラジカルを含むガスが用いられる、このようなラジカルを含むガスの原料ガスとしては、上記した元素を含む反応性ガスを用いられる。このような反応性原料ガスとしては、O2、N2、F、NH4、H2O蒸気、H22蒸気、NO、N2Oなどの酸化系、窒化 系、フッ化系、塩化系ガスが挙げられる。
【0277】
これらの反応性ガスは励起しなくても化合物を形成するが、励起種であるラジカルを用いると速やかに化学吸着、化学反応を起こし、酸化物、窒化物、炭化物、塩化物、フッ化物などの化合物相から構成される、上記したような平坦で均一な拡散防止鏡面反射層112を容易に形成する。これらの化合物は化学反応吸着により形成されているために、物理的吸着物とは異なり、熱的に容易に解離することはなく、熱的に安定な拡散防止鏡面反射層となる。
【0278】
特に、酸素ラジカルは拡散防止電子反射層112の形成に有効である。酸化系ガスとしては、O2、H2O蒸気、H22蒸気、アルコール系蒸気、N2O、NO 、CO2などが挙げられる。これらの原料ガスを用いた場合の種々の電子配置を 有する酸素ラジカルとしては、O(3p)、O(1D)、O(1S)などが挙げられる。中でも、O(1D)、O(1S)はO(3P)より活性度が高いために化学結合しやすく、酸化物系拡散防止電子反射層112の形成には好ましい。
【0279】
また、多くの酸化物は電気的に絶縁物質であるために、真空準位とのギャップ、が大きく、そのために電子反射効果が大きいととが考えられる。この場合でも、界面での電子散乱を小さくし、電子の平均自由行程を長くするには、界面の平坦化は必須である。酸素ラジカルを用いて酸化物系拡散防止電子反射層112を形成することにより、酸化膜形成などでは得られないような界面の平坦化が可能であり、十分な鏡面反射効果の発現が期待でき、大きな磁気抵抗効果を導出することが可能となる。さらに、一般的に酸化物相は熱的に安定であるので、拡散防止電子反射層112としては量適である。
【0280】
なお、本発明で使用するラジカルを主とするガスとは、例えば通常のプラズマに比べてラジカル量を増大させたものであり、ラジカル含有比率は多いほど好ましい。ラジカルを含むガスを生成するには、一般的にプラズマを発生させる必要がある。プラズマ中にはイオン、電子、ラジカルおよび中性原子(分子)が含まれる。従って、ラジカルを主とするガスを生成するには、プラズマ発生状態で少なくともラジカルが存在すればよい。イオン、電子は正負電界印加などの装置の工夫により最適値に調整できる。
【0281】
ラジカルの存在の有無は、プラズマ発光分光法にその強度で確認できる。ラジカルとイオンの励起発光強度(Iラジカル/Iイオン)は、それぞれのラジカルおよびイオンに対して0.01以上であることが好ましい。さらに、ラジカル密度に関しては、レーザー誘起発光法や出現質量分析法(AMS:Appearance Mass Spectrometry)などの粒子的方法により定量的に決定できる。この場合、イオン密度がラジカル密度より低いことが好ましい。
【0282】
前述したように、拡散防止電子反射層112の形成はO3(オゾン)を含むガ スを用いて実施してもよい、オゾンは上記と同様なプラズマ発生の過程で生成される。オゾンは酸素ラジカルと同様に非常に活性であり、酸化性に優れている。また、酸素ラジカルと同様に中性であるために、膜に損傷を与えることは少ない。従って、酸素ラジカルと同様の効果が期待できる。
【0283】
また、電子反射層の形成時に、基板に光を照射してもよい。光を照射することによって、膜表面に分子吸着したガスを解離するエネルギを与え、反応性を高めることができる。例えば、O2分子が表面吸着していたような場合でも、紫外線 エキシマランプで照射することにより、O2をO原子に解離させて反応を促進す ることが可能となる。その結果として、緻密で平坦な酸化膜を形成することができる。さらに、物理吸着よりも化学吸着が多くなるため、安定な電子反射層を形成することができる。
【0284】
照射する光としては、キセノンランプなどを用いて膜の表面から熱エネルギも併せて与えるように光を照射しても良い。この場合は、膜の表面の分子が熱エネルギも得るために、反応が促進され、緻密で平坦な電子反射膜を形成することが可能となる。
【0285】
上述したようなラジカル処理やオゾン処理により形成した拡散防止電子反射層12は、その上下の界面もしくは一方の界面のRaを2.0nm以下とすることができる。平均粗さRaは、AFM(interatomic force microscopy)やSTM(scanning tunneling microscopy)などで容易に測定できる。また、電子顕微 鏡による断面からの観察によっても求められる。
【0286】
拡散防止電子反射層112の上下の界面のRaは2.0nm以下とすることが好ましい。特に、磁性層側の界面のRaが2.0nm以下であることが好ましい。界面でのRaが2.0nmを超えると、界面での電子の非弾性散乱により電子反射効果が薄れるだけでなく、MR変化率が著しく低下してしまうからである。また、拡散防止電子反射層12が3.0nm以下というような非常に薄い膜の場合は、Raが2.0nmを超えるとピンホールが形成されることになり、拡散防止効果が小さくなる。
【0287】
なお、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法は、図46や図47に示した膜構成に限らず、例えば図48に示したように、第2の磁性層117を強磁性層121/拡散防止電子反射層112/強磁性層122なる積層構成する場合や、図49に示したように反転構造のスピンバルブ膜123の第1の磁性層113を強磁性層124/拡散防止電子反射層112/強磁性層125で構成する場合、さらにはこれらを組み合わせた膜構成に対しても適用することができる。またさらに、前述した各実施形態のスピンバルブ膜に対しても同様に適用することができる。
【0288】
また、本発明の製造方法は、トンネル現象を利用した磁気抵抗効果素子のトンネリング層の形成にも応用が可能である。3.0nm以下の極薄で均一な膜厚を有し、かつピンホールなどのないSiOx層やAlOx層、あるいはその他の酸化物からなるトンネリング層の形成が可能である。
【0289】
次に、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法および製造装置について、図50および図51を参照しつつ説明する。
【0290】
図50および図51は、本発明において用いることができる製造装置の構成を例示する概念図である。これらの製造装置はラジカルを用いずに拡散防止電子反射層を除く磁気抵抗効果素手の構成層を形成する第1の膜形成室131と、ラジカルを用いて拡散防止電子反射層を形成する第2の膜形成室132とをそれぞれ有している。図50に示す製造装置は個々にターゲットが配置された複数の第1の膜形成室131を有し、図51に示す製造装置は複数のターゲットが配置された第1の膜形成室131を有している。
【0291】
第1の膜形成室131から第2の膜形成室132への基板の搬送は、搬送室133を経由して機械的に運ばれる。図中134はロードロック室である。このような異なる2種類の膜形成室131、132を有することにより、ラジカルなどの界面処理の際に流すガスによるターゲット表面への影響をなくすことができる。
【0292】
特に、酸素性ガスを用いた場合、Mn系のMn系反強磁性膜形成用のターゲットなどは、表面が著しく酸化し、膜特性の劣化が懸念される。また、チャンバ側壁からの吸着ガスの影響を小さくすることができる。さらに、ターゲット表面の無効層を除去するためのプレスパッタなどを短縮できることから、製造のスループットを向上することができる。また、それと同時に、ターゲットヘの悪影響を低減でき、歩留まりのよい高性能なMR素子を作製することが可能となる。さらに、異なるガス種あるいは異なるターゲットを用いる場合は、不純物の影響を考慮して、それぞれ個々の形成室を具備することが望ましい。
【0293】
ラジカルを使用する第2の膜形成室132は、例えば図52に示すように、ラジカル生成領域135Aとラジカル照射領域136Aとを有している。プラズマを発生させるラジカル生成領域135Aで拡散防止電子反射層を形成すると、高エネルギのイオン、電子などの粒子が膜に衝突することになり、膜に損傷を与えてしまう。上記したように、ラジカル生成領域135Aとラジカル照射領域136Aとを分けることにより、膜への損傷を量小限に押さえることができる。
【0294】
さらに、ラジカル照射領域136Aは、ラジカル誘導管137A、ラジカル照射口138および基板テーブル139を有し、ラジカル照射口138は基板テーブル139の法線上に配置されている。図中140はシャッタ、141は真空ポンブ、142はバルブである。このような構成は、基板内のラジカル照射量の分布を低減し、ウエハ内で均一な拡散防止電子反射層を形成するために望ましい。
【0295】
ラジカル生成領域135Aからラジカル誘導管137Aヘプラズマ流を誘導することにより、電荷を有するイオンと電子を消滅、再結合させ、選択的にラジカルのみを取り出すことが可能となる。プラズマ発生に用いられるガス種によりラジカル誘導管137Aの長さを変えることにより、ラジカルのみの選択的取り出しが可能となる。例えば、酸素ラジカルの場合、プラズマ源から基板表面までの距離を100mm以上1000mm以下となるように設定するのが好ましい。100mm未満であるとプラズマ源からのイオンの影響を受けることになり、また1000mmを超えるとラジカルが消失するおそれがある。
【0296】
さらに、ラジカル誘導管137Aの内壁には、SiO、AlO、BNなどの絶縁物材料をコーティングすることが好ましい。これは、ラジカル誘導管137の内壁を正または負の電荷でチャージアップさせることにより、イオンあるいは電子をラジカル生成領域135Aに閉じ込めたり、チャージアップした内壁との衝突によりイオンおよび電子を消滅させる効果がある。
【0297】
また、第2の膜形成室は、必ずしもラジカル発生源を備えていなくても良く、代わりにオゾン源を備えていてもよい。
【0298】
図53は、オゾン源135Bを備えた膜生成室を表す概念図である。すなわち、同図においては、オゾン源135Bから供給されたオゾンは、オゾン誘導管137Bを介してオゾン照射領域136Bに誘導されて、基板テーブル139の上にある基板に照射される。
【0299】
また、光を照射することによっても、同様の効果が得られる。
【0300】
図54は、光照射源135Cを備えた膜生成室を表す概念図である。すなわち、同図においては、光照射源135Cから放出された光は、光照射室136Cにおいて、基板テーブル139の上に設置された基板に照射される。
【0301】
以上説明したラジカル源、オゾン源あるいは光照射源は、そのいずれか2つを組み合わせても良く、または、これら全てを同時に用いても良い。
【0302】
次に、前述した第2実施形態乃至第5実施形態にかかる磁気抵抗効果素子について、本発明の製造方法も交えつつ具体的な実施例を紹介する。
【0303】
(実施例15)
熱酸化シリコン基板上にDCマグネトロンスパッタ法によって、膜厚5nmのTaを形成し、その上に膜厚6nmのNiFe合金を形法した。この後、成膜室内に酸素を導入し、NiFe合金層の表面に不動態膜を形成した(試料1)。これは原子拡散をバリヤする層および電子を鏡面反射する層として機能する。この膜をTEMで観察したところ、平均厚さは約2nmであり、面内方向に連続した膜を形成していた。一方、同様にして形成した、NiFe合金層の表面にO2ラ ジカルを30秒間照射し、拡散防止電子反射層を形成した(試料2)。この際、ラジカルのみを取り出すために、プラズマ源とチャンバ内の差圧により発生するガス流のみでラジカルを引き出して表面改質処理を行った。改質処理を施した直後にその膜表面をXPSおよびX線回折で分析したところ、Fe23、Fe34、NiOからなる酸化物を含む層が形成されていた。また、その平均厚さは約2nmであった。
【0304】
次に、これら酸化層上にNiFe合金を金属バリア層として2nm形成し、さらにCoFe合金(2nm)、Cu(3nm)、CoFe合金(2nm)およびIrMn合金(10nm)を順に成膜し、最後に保護層として5nmのTaを形成した。
【0305】
また、本実施例との比較例として、金属バリア層のない膜構成(試料3)、および酸化膜も金属バリア層もない膜構成(試料4)のスピンバルブ膜を、それぞれ上記実施例と同様にして形成した。
【0306】
これら各スピンバルブ膜をパターニングした後、それぞれ270℃でアニール処理し、このアニール前後のMR変化率を測定した。その結果を表1に示す。さらに、実施例15の試料1、2および比較例の試料3の各スピンバルブ膜について、5kOeの磁場中で270℃で1時間のアニール処理した後、誘導磁気異方性および磁歪の測定を行った。その結果も併せて表2に示す。
【0307】
Figure 0004409656
表2から明らかなように、本実施例の各試料は金属バリア層のない比較例の試料3に比べて若干耐熱性で劣るものの、酸化膜がない比較例の試料4に比べて良好な耐熱性が得られていることが分かる。一方、誘導磁気異方性および磁歪については、金属バリア層の導入により改善され、実施例15の各試料は比較例の試料3に比べて誘導磁気異方性および磁歪共に小さいことが分かる。
【0308】
(実施例16)
上記した実施例15の試料1および比較例の試料4と同じ成膜条件で、第2の磁性層であるCoFe層を3nm成膜した時点で、一旦酸素ラジカルを含むガスを導入し、1nm程度の酸化物の層を形成した。その上に、2nmのCoFe層を成膜し、その後は実施例15と同様に10nmのIrMnと5nmのTaを成膜した。
【0309】
これら実施例16の各試料のスピンバルブ膜の構成は、
5Ta/5NiFe/O2/2NiFe/2CoFe/3Cu/3CoFe/ O2/2CoFe/10IrMn/5Ta(試料1)および、
5Ta/5NiFe/2CoFe/3Cu/3CoFe/O2/2CoFe/ 10IrMn/5Ta(試料2)
である。なお、膜構成中の数値は、平均膜厚(nm)であり、以下同様である。
【0310】
上記した実施例16の各試料のas−depo.状態のMR変化率は、試料1で8.7%、試料2で8.5%であった。これら各試料を270℃で1時間のアニール処理した後のMR変化率は、試料1で8、5%、試料2で6.5%となり、実施例15およびその比較例に比べて鏡面反射によるMR変化率の増大が見られ、アニール後にも良好な特性を得ることができた。
【0311】
(実施例17)
熱酸化シリコン基板上に、DCマグネトロンスパッタ法によって、膜厚5nmのアモルファスTa下地を形成した後、Coを5nm成膜した。次いで、ラジカル酸素処理によりCoを酸化した。XPSによりCoが完全に酸化されていることを確認した。
【0312】
このCo酸化物上にCuを金属バリア層として1nm形成した後、CoFe(4nm)、Cu(3nm)、CoFe(2nm)、IrMn(10nm)および、Ta(5nm)を順に成膜した。膜断面のTEM観察によると、Co酸化物層とCu層との界面の凹凸はRaで1nm以下であった。さらに、Co酸化物層は配向性をもった結晶質であり、Cu/CoFe/Cu/CoFe/IrMnの部分はエピタキシャルに成長していた。上記した実施例17のスピンバルブ膜は、MR変化率が10%、誘導磁気異方性が5Oe、磁歪が0.6ppmであった。
【0313】
比較のために、熱酸化Si基板上に5Ta/2Cu/4CoFe/3Cu/2CoFe/10IrMn/5Taを形成した試料(比較例−試料1)と、熱酸化Si基板上に5Ta/5CoO/4CoFe/3Cu/2CoFe/l0IrMn/5Taを形成した試料(比較例−試料2)を作製した。これら比較例の各試料において、試料1はMR変化率が7.8%、誘導磁気異方性が5Oe、磁歪が0.6ppm、試料2はMR変化率が10.5%、誘導磁気異方性が25Oe、磁歪が3ppmであった。
【0314】
このように、結晶質のCo酸化物下地は電子鏡面反射層として磁気抵抗効果の向上に寄与し、Cuバリア層により酸化膜とフリー層との構造的な歪が緩和されたこと、また磁気的な結合も切られたことから同時に良好なフリー層の磁気特性も得られた。
【0315】
また、実施例17の試料と比較例の試料1を270℃で真空中20時間アニール処理したところ、実施例17は9.5%のMR変化率を示したのに対し、比較例では6%に劣化した。これにより、Co酸化物下地は原子拡散を起しにくい膜質に改善することに寄与することが確認された。
【0316】
同様な評価をCo酸化物に代えて、Niの場合とFeの場合について実施した。XPSの結果から、それぞれ、NiOとα−Fe23が生成していることを確認した。断面TEMから、結晶性はCo酸化膜下地の場合と同様に、酸化膜との界面の平坦性、結晶の成長性(エピタキシャル成長)共に、同様な傾向を示した。表3に結果を示す。
【0317】
Figure 0004409656
【0318】
以上のように、Fe、Ni、Coで同様な効果が得られた。このことから、こ れらの合金に酸化処理することでも同様な効果が得られることが容易に類推できる。また、これらの金属や合金に、他の遷移金属元素であるTi、V、Cr、Mn、Cuなどを添加しても、同様な結果を得ることができる。
【0319】
さらに、熱酸化Si基板上に、5Ta/3Co0/2NiFe/4CoFe/3Cu/2CoFe/10IrMn/5Taを形成した試料Aと、5Ta/10CoO/2NiFe/4CoFe/3Cu/2CoFe/10IrMn/5Taを形成した試料Bをそれぞれ作製した。MR変化率は、試料Aで9.8%、試料Bで9.7%でそれぞれ良好な値を示したが、試料Aの誘導磁気異方性は10Oeであったのに対し、試料Bでは30Oeとなった。試料Aのように、CoOの膜厚が3nm以下と薄いと、その磁気特性が不完全でNiFeとのカップリングは弱くなり、良好な軟磁気特性が達成できると考えられる。
【0320】
(実施例18)
DCマグネトロンスパッタによって、5Ta/5IrMn/2Cu/4CoFe/3Cu/2CoFe/10IrMn/5Taの膜を作製した。IrMnはArガス圧5mTorrで0.2nm/秒の速さで成膜した。断面TEMによると、界面の凹凸はRaで0.5nm以下に抑えられており、非常に平坦な膜を得ることができた。このスピンバルブ膜のMR変化率は9.1%で、IrMn下地がない場合に比べて、非常に良好な値を示した、このように、IrMnなどの磁性金属下地を上記のような成膜条件で形成することにより、非常に平坦で電子鏡面反射の効果が強い膜が得られる。また、RhMn、RhRuMn、NiMn、FeMn、PtMnなどでも同様な効果が得られた。
【0321】
(実施例19)
DCマグネトロンスパッタによって、5Ta/20IrMn/2CoFe/3Cu/4CoFe/2NiCr/5(NiCr)O/5Taの膜を作製した。まず、最初に5Ta/20IrMn/2CoFe/3Cu/4CoFe/7NiCrまで成膜した後、ラジカル酸素処理を行い、NiCr層を5nmまで酸化した。断面TEMにより、酸化Ni0.8Cr0.2層とNi0.8Cr0.2層との界面は、ほぼモノレイヤーのレベルで平坦化できていることが確認された。
【0322】
この膜ではMR変化率は9.5%を示し、実施例17などと比べて磁気抵抗効果に寄与しない膜によるシャント分流が大きいにもかかわらず、非常に大きなMR変化率をが得られた。これは、反射膜とフリー層との界面の平坦化による鏡面反射効果が顕著にきいていると考えられる。また、Ni0.8Cr0.2は非磁性であるため、酸化物との磁気的な結合を切ることができ、良好な軟磁気特性を達成することができた。ラジカル処理は酸化進行面が非常に平坦で、電子鏡面反射膜を作るのに有効であり、ここに実施したもの以外の非磁性金属でも同様な効果が得られる。
【0323】
さらに、酸化物が反強磁性およびフェリ磁性を示す場合として、5Ta/20IrMn/2CoFe/3Cu/4CoFe/2NiFe/3(NiFe)O/5Ta(試料C)と、5Ta/20IrMn/2CoFe/3Cu/4CoFe/2NiFe/10(NiFe)O/5Ta(試料D)を作製した。MR変化率は、試料Cで10%、試料Dで10.3%とそれぞれ良好な値を示したが、試料Cの誘導磁気異方性は10Oeであったのに対し、試料Dでは30Oeとなった。このように、酸化物が強磁性、反強磁性、フェリ磁性を示す場合でも、ラジカル処理を3nm以下に抑えることにより、磁気的に不完全な膜を作ることができ、磁気的な結合によるフリー層の磁気特性の劣化を抑制することができる。これと同じ効果はFe、Ni、Coの任意の合金をラジカル処理する場合についても得ることができる。
【0324】
(実施例20〜23)
表4に作製した実施例20〜23及び比較例A〜Dのスピンバルブ膜の膜構成を示す。
【0325】
【表2】
Figure 0004409656
全ての試料は熱酸化Si基板上にDCマグネトロンスパッタ法により成膜した。それぞれの実施例の作製方法を以下に示す。
【0326】
まず、熱酸化Si基板上に金属下地膜として膜厚5.0nmのTa膜を形成後、磁性金属下地層として膜厚10.0nmのNiFe合金膜を成膜した。NiFe合金膜を形成した後に、界面処理室に搬送室を経由して搬送した後、NiFe合金膜の表面にO2ラジカルを30秒間照射し、界面改質層を形成した。この場 合、ラジカルのみを取り出すために、プラズマ源とチャンバー内の差圧により発生するガス流のみでラジカルを引き出して界面改質処理を行った。また、ラジカル発生源と基板までは約20cmの距離を与えた。
【0327】
界面改質処理を施した直後にその膜表面をXPSおよびX線回折で分析したところ、Fe23、Fe34、NiOからなる酸化物を含む層が形成されていた、また、その時、AFMおよび断面TEMにより界面改質層の形態を調べたところ、平均層厚は約2.0nmであり、RaはO.2nm以下であった。
【0328】
次に、表面を改質したNiFe合金膜上に第1の強磁性体として膜厚3.0nmのCoFe合金膜、非磁性中間層として膜厚3.0nmのCu膜、第2の磁性層として膜厚2.0nmのCoFe合金膜、反強磁性膜として膜厚10.0nmのIrMn合金膜、保護膜として膜厚5.0nmのTa膜を順に形成し、スピンバルブ膜を作製した。なお、上記の成膜工程が終了後に、NiFe合金膜とCoFe合金膜との界面の化学結合状態をXPSで調べたところ、上記のFeとNiの酸化物以外にも、CoOを主成分とするCo酸化物も含まれていることが分かった。
【0329】
実施例21では、NiFe上を実施例20と同様なラジカル処理を施した後、再度20nmのNiFe合金膜をバリア層として形成した。実施例22は実施例21と同様な膜構成であるが、NiFe上をオゾンを用いて処理している。実施例23は反強磁性膜としてのNiOをラジカルを照射しながらのスパッタリングにより形成した。また、NiFe合金膜上を酸素ラジカルにより実施例20と同様の方法で処理した。
【0330】
一方、本発明との比較例Aとして、NiFe合金膜を形成した後、その表面に一界面改質処理を施すことなく、全層を真空チャンバ内で連続成膜する以外は、上記の実施例20で示されるものと同様の方法で、スピンバルブ膜を作製した。
【0331】
本発明との比較例Bとして、NiFe合金膜を形成した後、その表面に酸素を20%混合したアルゴンガスを60秒間照射して界面酸化処理を行い、拡散防止電子反射層を形成した。その後、上記の実施例20で示されるものと同様の方法でスピンバルブを作製した。界面改質直後にAFMにより平均表面粗さを調べたところ、約0.5nmであった。
【0332】
本発明との比較例Cとして、実施例21と同様の膜構成で、酸素ラジカル処理の代わりに、前述の比較例Bと同様のアルゴン、酸素混合ガスを用いて界面酸化処理を行い、スピンバルブ膜を作製した。
【0333】
本発明との比較例Dとして、NiFe合金膜を形成した後、その表面を酸素プラズマ中で30秒間処理して界面改質処理を行い、拡散防止電子反射層を形成した。この場合、基板側に電圧をかけた。界面改質処理直後にAFMにより、界面改質層の平均表面粗さを測定したところ、約2.5nmであった。
【0334】
上記したそれぞれの実施例とそれぞれの比較例における各スピンバルブ積層膜をパターニングした後、それぞれを250℃で熱処理した。このようにして得たMR素子のMR変化率を測定した。MR変化率の測定は、熱処理直前と1時間、5時間、10時間、50時間、100時間のそれぞれ熱処理を経た後に行われた。その測定結果を表5に示す。
【0335】
【表3】
Figure 0004409656
表5から分かるように、連続成膜した界面改質処理を施していない比較例では、成膜直後のMR変化率は6.5%と良好であるが、1時間熱処理後にはMR変化率がかなり減少していることが分かる。その後も、熱処理時間の増大に伴い、MR変化率も減少し続けている。これは、NiFeとCoFeとの界面に原子の熱拡散を防止する界面改質層が形成されていないことにより、原子拡散が進行し、MR変化率が減少したものと考えられる。
【0336】
また、比較例B、Cでは、成膜直後のMR変化率は約7.5%前後と大きい。しかし、長期に渡って熱処理を加えると50時間を超えるあたりからMR変化率が劣化し始めることが分かった。これは、界面改質層の層厚の不均一性が原因で、長期の熱処理を加えると原子拡散を防止する役目を果たしていた界面改質層が劣化し始めるためであると考えられる。すなわち、NiFe表面における改質処理の一部が化学吸着ではなく、物理的な吸着として進行しているため、熱処理により劣化すると考えられる。
【0337】
さらに、比較例Dでは、NiFeとCoFeの界面をイオンを含むプラズマ流により界面改質処理し、界面改質層を形成した。この場合、熱処理後のMRの劣化は小さいものの、熱処理前のMR変化率が実施例のものよりかなり小さいことが分かった。これは、プラズマ流中に合まれるイオンの衝突によるNiFeの平均表面粗さの増加により、CoFe層の配向が低下しているためだと考えられる。このことは、NiFeとCoFe層の保持力が3Oeと、軟磁気特性の劣化が起きていることからも推察される。
【0338】
一方、NiFeとCoFeの界面をラジカルにより処理し、拡散防止電子反射層を形成した本発明の実施例、およびラジカル照射により形成したNiO反強磁性膜を用いた実施例では、熱処理後でもほとんどMR変化率は劣化しなかった。これは、酸素ラジカルにより形成された拡散防止電子反射層が、酸素の化学吸着により形成されているために拡散防止電子反射層の劣化がなく、かつ、ラジカルによるソフトな表面改質効果により表面粗さの低減に成功したためであると考えられる。このように、本発明における製造方法により製造したMR素子は優れた耐熱性と高性能を有したMR素子であることが分かった。
【0339】
(実施例24)
次に、上記と同様に以下の方法でスピンバルブ膜を形成した。まず、熱酸化Si基板上にDCマグネトロンスパッタ法により、まず金属下地膜として膜厚5.0nmのTa膜を形成後、磁性金属下地層として膜厚10.0nmのNiFe合金膜を成膜した。
【0340】
上記NiFe合金膜を形成した後に、ラジカル処理室に搬送室を経由して搬送した後、NiFe合金膜の表面にN2ラジカルを60秒間照射し、拡散防止電子 反射層を形成した、この場合、ラジカルのみを取り出すために、実施例20と同様にプラズマ源とチャンバ内の差圧により発生するガス流のみでラジカルを引き出しラジカル処理を行った。また、ラジカル生成傾城と基板までは、約20cmの距離を与えた。
【0341】
ラジカル処理を施した直後のNiFe合金膜表面の拡散防防止電子反射層は、XPSでの測定の結果、FeN、Fe3N、NiNを含む磁性あるいは非磁性のNiおよびFeの窒化物から形成されていた。また、その際にAFMおよび断面TEMにより拡散防止電子反射層の形態を調べたところ、平均層厚は約1.5nmであり、平均表面粗さは約0.5nmであった。
【0342】
次に、表面をラジカル処理したNiFe合金膜上に第1の強磁性体として膜厚3.0nmのCoFe合金膜、非磁性中間層として膜厚3.0nmのCu膜、第2の磁性層として膜厚2.0nmのCoFe合金膜、反強磁性膜として膜厚10.0nmのIrMn合金膜、保護膜として膜厚5.0nmのTa膜を順に形成し、スピンバルブ膜を作製した。なお、上記の成膜工程が終了後に、NiFe合金膜とCoFe合金膜との界面の化学結合状態をXPSで調べたところ、上記のFeとNiの窒化物以外にも、Co窒化物も含まれていることが分かった。
【0343】
本実施例との比較例Eとして、NiFe合金膜を形成した後、その表面に窒素ガスを60秒間照射して窒化処理を行った。その後は、上記の実施例24で示されるものと同様の方法でスピンバルブを作製した。ラジカル処理直後にAFMにより平均表面粗さを調べたところ、約0.3nmであった。
【0344】
本発明との比較例Fとして、NiFe合金膜を形成した後、その表面をイオンを含むN2プラズマ流を30秒間照射してプラズマ処理を行った。この場合、基板側に電圧をかけることによりプラズマ流を引き出した。プラズマ処理直後にAFMにより、拡散防止重子反射層の平均表面粗さを測定したところ、約3.5nmであった。その後は、上記の実施例10で示されるものと同様の方法でスピンバルブを作製した。
【0345】
その後、それぞれのスピンバルブ膜について、パターニングした後、実施例6と同様の熱処理を施した。MR変化率の測定結果を表6に示す。
【0346】
Figure 0004409656
表6から分かるように、比較例Eでは成膜直後のMR変化率は7.0%と大きい。しかし、長期に渡って熱処理を加えるとMR劣化挙動を示した。これは、N2ガスのみの照射ではN2ガスが活性でないため、拡散防止電子反射層が十分に形成されていないためであると考えられる。
【0347】
比較例Fでは、NiFeとCoFeの界面をイオンを含むN2プラズマ流によ りプラズマ処理し、拡散防止電子反射層を形成した。この場合、初期のMR変化率は極端に小さい。これは、プラズマ流中に含まれるイオンの衝突によるNiFeの平均表面粗さの増加により、CoFe層の配向が低下しているためだと考えられる。このことは、NiFeとCoFe層の保持力が4.5Oeと大きく、軟磁気特性の劣化が起きていることからも推察される。また、1時間の熱処理以降のMRの劣化は比較例Aで示される連続膜と同様の傾向を示した。これは、界面改質効果よりもエッチング効果の方が上回っているために、原子拡散を抑制するほど十分な拡散防止電子反射層が形成されていないためと考えられる。
【0348】
一方、NiFeとCoFeの界面をN2ラジカルにより処理し、拡散防止電子 反射層を形成した本発明の実施例24では、熱処理後でもほとんどMR変化率は劣化しなかった。これは、窒素ラジカルにより形成された拡散防止電子反射層が、窒素ラジカルの化学吸着により形成されているために拡散防止電子反射層の表面粗さの低減に成功したためであると考えられる。このように、本発明における製造方法により製造した場合、N2ラジカルでも効果があり、優れた耐熱性と高 性能を有したMR素子の製造が可能であることが分かった。
【0349】
(実施例25)
熱酸化シリコン基板上に、マグネトロン・スパッタ法によって、Ta5/NiFe2/IrMn7/CoFe1/CoFeO1/CoFe2/Cu2/CoFe2/Cu1/CuTaO1/Ta2を作成した。酸化層はラジカル照射、または酸素フロウによって形成した。酸素フローで15%のMR変化率が得られた。ラジカル照射して作成したサンプルではMR17%が得られた。
【0350】
(実施例26)
熱酸化シリコン基板上に、マグネトロン・スパッタ法によって、Ta5/Ru1.5/Cu1/CoFeO1/Cu1/CoFe2/Cu2/CoFe2/CoFe1.5/IrMn7/Ta5を作成した。酸化層はラジカル照射で作成した。MR18%が得られた。1μmのストライプに加工し、ピン層をストライプの幅方向に固着し、フリー層の長手方向にハード膜バイアスをかけた素子を作成した。センス電流による直交磁化配列のバイアスポイントの変化を測定した所、フリー層にかかる電流磁界は20e/mA以下になっていることがわかった。
【0351】
(実施例27)
アルチック基板上に、マグネトロン・スパッタ法によって、Ta3/Ru1.5/Cu1/CoFeO1/Cu1/NiFe2/Co1/Cu2/Co2/CoO1/Co1/Ru0.9/CoCr3/PtMn10/Ta5を作成した。酸化層はラジカル照射で作成した。MR17%が得られた。微細パターンに加工して、バイアスポイントを測定した所、良好な直交磁化配列が実現できていることがわかった。またヘッドに加工した所ノイズのない出力が得られた。
【0352】
(実施例28)
アルチック基板上に、マグネトロン・スパッタ法によってTa3/Ru2/PtMn10/CoFeCr2.5/Ru0.9/CoFe1/CoFeO1/CoFe2/Cu2/CoFe1/NiFe2/Cu0.5/CoTaO1/Ta2を作成した。酸化層はラジカル照射で作成した。MR17%が得られた。微細パターンに加工して、バイアスポイントを測定した所、良好な直交磁化配列が実現できていることがわかった。またヘッドに加工した所、ノイズのない出力が得られた。
【0353】
(実施例29)
熱酸化シリコン基板上に、マグネトロン・スパッタ法によってTa5/NiFe2/FeMn10/CoFe1/NiO5/CoFe2/Cu2/CoFe2/Cu1/CuTaO1/Ta2を作成した。NiOはリアクティブ・スパッタによって作成した。MR18%が得られた。また800 Oeの安定な一方向異方性が得られた。
【0354】
(実施例30)
熱酸化シリコン基板上に、マグネトロン・スパッタ法によって、Ta5/NiFe2/PeMn10/CoFe1/Al23 1/CoFe2/Cu2/CoFe2/Cu1/CuTaO1/Ta2を作成した。Al23 はAlのラジカル処理によって作成した。MR18%が得られた。また800 Oeの安定な一方向異方性が得られた。
【0355】
(実施例31)
熱酸化シリコン基板上に、マグネトロン・スパッタ法によって、Ta5/Ru1.5/Cu1/Al23 1/Cu1/CoFe2/Cu2/CoFe2/Fe23 3/CoFeCr1/PtMn10/Ta5を作成した。Al23 ,Fe23 はそれぞれAl,Feのラジカル処理によって形成した。MR18%が得られた。また800 Oeの安定な一方向異方性が得られた。
【0356】
最後に、本発明の磁気抵抗効果素子を用いた磁気記録装置について説明する。
以上説明した各実施形態の磁気抵抗効果素子は、例えば、記録再生一体型の磁気ヘッドに組み込まれ、磁気記録装置に搭載される。
【0357】
図55は、このような磁気記録装置の概略構成を例示する要部斜視図である。すなわち、本発明の磁気記録装置150は、ロータリーアクチュエータを用いた形式の装置である。同図において、磁気ディスク151は、スピンドル152に装着され、図示しない駆動装置制御部からの制御信号に応答する図示しないモータにより回転する。磁気ディスク151が浮上した状態で情報の記録再生を行うヘッドスライダ153は、薄膜状のサスペンション154の先端に取り付けられている。ここで、ヘッドスライダ153は、例えば、前述したいずれかの実施の形態にかかる磁気抵抗効果素子を磁気ヘッドの一部として搭載している。
【0358】
磁気ディスク151が回転すると、ヘッドスライダ153の媒体対向面(ABS)は磁気ディスク151の表面から所定の浮上量をもって保持される。
【0359】
サスペンション154は、図示しない駆動コイルを保持するボビン部などを有するアクチュエータアーム155の一端に接続されている。アクチュエータアーム155の他端には、リニアモータの一種であるボイスコイルモータ156が設けられている。ボイスコイルモータ156は、アクチュエータアーム155のボビン部に巻き上げられた図示しない駆動コイルと、このコイルを挟み込むように対向して配置された永久磁石および対向ヨークからなる磁気回路とから構成される。
【0360】
アクチュエータアーム155は、固定軸157の上下2箇所に設けられた図示しないボールベアリングによって保持され、ボイスコイルモータ156により回転摺動が自在にできるようになっている。
【0361】
本発明によれば、前述した各実施形態にかかる磁気抵抗効果素子を磁気ヘッドの要部として採用することにより、高記録密度で記録再生特性が極めて安定した磁気記録装置を実現することができる。
【0362】
また、本発明によれば、大きな再生出力信号と、良好な熱安定性とを得ることができる。さらに、その結果として、再生出力の経時変化を解消することもできる。また、アセンブリの際に印加されうるESD(electro-static discharge:静電気)に対する耐性も改善され、組立の際の歩留まりも向上する。
【0363】
以上の効果から、狭トラック化、低素子ハイト化が可能となり、高密度磁気記録に対応した磁気記録装置を実現することができる。
【0364】
【発明の効果】
本発明は、以上説明した形態で実施され、以下に説明する効果を奏する。
【0365】
まず、本発明によれば、磁気抵抗効果膜などの各種の積層薄膜型の機能素子において、機能層内の薄膜層間での原子の相互拡散を和制することができるため、熱安定性を大幅に向上させることが可能となり、長期的な信頼性を高めることができる。特に、磁気抵抗効果膜においては、MR変化率に優れた熱安定性を実現することができる。
【0366】
また、本発明によれば、例えばスピンバルブ膜のような積層膜中に設けられ拡散防止電子反射層の機能を良好に維持しつつ、それに基づく磁気特性などへの悪影響を排除することができる。従って、良好な磁気抵抗効果特性や各種磁気特性を有すると共に、耐熱性に優れる磁気抵抗効果素子を提供することができる。
【0367】
また、本発明によれば、界面が平坦で鏡面反射効果が大きく、かつ均一で緻密な拡散防止電子反射層を再現性よく形成することができることから、高性能でかつ熱安定性に優れた磁気抵抗効果素子を安定して製造できる製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層薄膜機能デバイスの基本構造を模式的に示す図である。
【図2】晶成長制御層が極めて薄い場合の機能層の結晶成長状態を説明するための図である。
【図3】結晶成長制御層が極めて厚い場合の機能層の結晶成長状態を説明するための図である。
【図4】磁気抵抗効果素子における結晶成長制御層の膜厚とMR変化率との関係を示す図である。
【図5】本発明における界面ラフネスを説明するための図である。
【図6】本発明の実施例1および比較例1によるスピンバルブ膜のアニール時間とMR変化率との関係を示す図である。
【図7】本発明の実施例2および比較例2によるスピンバルブ膜のアニール時間とMR変化率との関係を示す図である。
【図8】本発明の実施例4、8および比較例5によるスピンバルブ膜のアニール時間とMR変化率との関係を示す図である。
【図9】本発明の実施例によるスピンバルブ膜の下地結晶層の膜厚とMR劣化率との関係を示す図である。
【図10】本発明の実施例4、9、10および比較例6によるスピンバルブ膜のアニール時間とMR変化率との関係を示す図である。
【図11】本発明の実施例4によるスピンバルブ膜のR−Hループを示す図である。
【図12】本発明の実施例10によるスピンバルブ膜のR−Hループを示す図である。
【図13】比較例6によるスピンバルブ膜のR−Hループを示す図である。
【図14】本発明の実施例11によるスピンバルブ膜の断面TEM像を模式的に示す図である。
【図15】比較例7によるスピンバルブ膜の断面TEM像を模式的に示す図である。
【図16】本発明の麦施例11および比較例によるスピンバルブ膜の主な構成元素の元素プロファイルを示す図である。
【図17】本発明の実施例12によるスピンバルブ膜の断面TEM像を模式的に示す図である。
【図18】比較例8によるスピンバルブ膜の断面TEM像を模式的に示す図である。
【図19】本発明の実施例12のスピンバルブ膜における分析点を模擬的に示す図である。
【図20】本発明の実施例12によるスピンバルブ膜の主な構成元素の元素プロファイルを示す図である。
【図21】本発明の実施例12によるスピンバルブ膜の主な構成元素の元素プロファイルを示す図である。
【図22】比較例8によるスピンバルブ膜の主な構成元素の元素プロファイルを示す図である。
【図23】比較例8によるスピンバルブ膜の主な構成元素の元素プロファイルを示す図である。
【図24】積層機能層の成膜時の結晶成長を模式的に示す図である。
【図25】本発明による磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図26】本発明による磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図27】本発明による磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図28】本発明による磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図29】本発明による磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図30】本発明による磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図31】本発明による磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図32】本発明による磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図33】本発明による磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図34】本発明による磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図35】本発明による磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図36】本発明による磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図37】本発明による磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図38】本発明による磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図39】本発明による磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図40】本発明による磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図41】本発明による磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図42】本発明による磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図43】本発明による磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図44】本発明による磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図45】本発明による磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図46】本発明により製造できる磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図47】本発明により製造できる磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図48】本発明により製造できる磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図49】本発明により製造できる磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。
【図50】本発明において用いることができる製造装置の構成を例示する概念図である。
【図51】本発明において用いることができる製造装置の構成を例示する概念図である。
【図52】ラジカルを使用する第2の膜形成室132を表す概念図である。
【図53】オゾン源135Bを備えた膜生成室を表す概念図である。
【図54】光照射源135Cを備えた膜生成室を表す概念図である。
【図55】磁気記録装置の概略構成を例示する要部斜視図である。
【符号の説明】
S 基板
11 第1の磁性層
12 非磁性中間層
13 第1の磁性層
14 反強磁性層
15 金属下地層
16 電子反射層
17 金属バリア層
19 保護層
111 金属下地層
112 拡散防止電子反射層
113 第1の磁性層
116 非磁性中間層
117 第2の磁性層
118 反強磁性層
119 保護層
131 第1の膜形成室
132 第2の膜形成室
133 搬送室
135A ラジカル生成室
135B オゾン生成室
135C 光源
136A ラジカル照射室
136B オゾン照射室
136C 光照射室
137A ラジカル誘導管
138 ラジカル照射口
139 基板テーブル
140 シャッタ
141 真空ポンプ
142 バルブ
150 磁気記録装置
151 磁気ディスク
152 スピンドル
153 ヘッドスライダ
154 薄膜状のサスペンション
155 アクチュエータアーム
156 ボイスコイルモータ
157 固定軸

Claims (30)

  1. 外部磁界により磁化方向が変化する第1の磁性層と、磁化が実質的に固着された第2の磁性層と、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層との間に設けられた非磁性中間層と、を備えた磁気抵抗効果素子であって、
    前記第1の磁性層の、前記非磁性中間層と隣接する面と反対側の面に隣接して設けられた金属バリア層と、
    前記金属バリア層の、前記第1の磁性層に隣接する面と反対側の面に隣接して設けられ、酸化物、窒化物、炭化物、フッ化物、塩化物、硫化物及びホウ化物から選ばれた少なくともいずれかを含む第3の層と、をさらに備えたことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 前記第3の層の平均厚さが3nm以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記第3の層は、前記金属バリア層が含有する元素と同一の元素を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記第2の磁性層は、相互に反強磁性的に結合された第1および第2の強磁性膜と、この2つの強磁性体膜を分離し、且つ反強磁性的に結合するカップリング層を含んでいることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子。
  5. ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)から選ばれるfcc金属からなる単層または2種以上の層からなる下地層をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 前記第1の磁性層の厚みと前記金属バリア層の厚みの合計は、10nm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 外部磁界により磁化方向が変化する第1の磁性層と、金属反強磁性層と、前記金属反強磁性層により磁化が実質的に固着された第2の磁性層と、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層との間に設けられた非磁性中間層と、を備え、
    前記第2の磁性層は、酸化物、窒化物、炭化物、フッ化物、塩化物、硫化物及びホウ化物から選ばれた少なくともいずれかを含む第3の層を含んだことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  8. 前記第2の磁性層は、相互に反強磁性的に結合された第1及び第2の強磁性体膜と、この2つの強磁性体膜を分離し、且つ反強磁性的に結合するカップリング膜を含んでいることを特徴とする請求項7記載の磁気抵抗効果素子。
  9. 前記第3の層は、前記カップリング層と前記非磁性中間層との間に設けられたことを特徴とする請求項7または8に磁気抵抗効果素子。
  10. 前記第3の層は、前記非磁性中間層よりも前記カップリング層に近い位置に設けられたことを特徴とする請求項9記載の磁気抵抗効果素子。
  11. 前記第2の磁性層のうちで前記第3の層と前記非磁性中間層との間の部分の厚みは10nm以下であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子。
  12. 前記第2の磁性層のうちで前記非磁性中間層からみて前記第3の層よりも遠い側の部分は、コバルト(Co)もしくはニッケル(Ni)を主成分とした合金にクロム(Cr)、ニオブ(Nb)、ホウ素(B)及びロジウム(Rh)から選ばれた少なくともいずれかを添加した材料からなることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子。
  13. 前記非磁性中間層からみて前記第3の層よりも遠い側において前記第3の層に隣接してタンタル(Ta)、クロム(Cr)及びチタン(Ti)から選ばれた少なくともいずれかを主成分とする層が設けられたことを特徴とする請求項7〜12のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子。
  14. 前記第1の磁性層の非磁性中間層とは反対側の面において、酸化物、窒化物、炭化物、フッ化物、塩化物およびホウ化物から選ばれる少なくとも1種を含む第4の層が積層されていることを特徴とする請求項7〜13のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子。
  15. 前記第4の層の平均厚さが3nm以下であることを特徴とする請求項14記載の磁気抵抗効果素子。
  16. 前記第1の磁性層と前記第4の層との間に設けられた金属バリア層をさらに備えたことを特徴とする請求項14または15に記載の磁気抵抗効果素子。
  17. 前記金属バリア層は、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)から選ばれる金属、またはこれらの少なくともいずれかを含む非磁性合金からなることを特徴とする請求項1〜5及び16のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子。
  18. 前記第4の層は、前記金属バリア層が含有する元素と同一の元素を含有することを特徴とする請求項14〜16のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子。
  19. ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)から選ばれるfcc金属からなる単層または2種以上の層からなる下地層をさらに備えたことを特徴とする請求項7〜18のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子。
  20. 前記第1の磁性層の前記第2の磁性層とは反対側の面に、磁化が実質的に固着された第3の磁性層と、前記第1の磁性層と前記第3の磁性層との間に設けられた第2の非磁性中間層と、をさらに備えたことを特徴とする請求項7記載の磁気抵抗効果素子。
  21. 前記第3の磁性層は、酸化物、窒化物、炭化物、フッ化物、塩化物、硫化物およびホウ化物から選ばれる少なくとも1種を含む第4の層を含むことを特徴とする請求項7記載の磁気抵抗効果素子。
  22. 前記第3の層の平均厚さは2nm以下であることを特徴とする請求項7記載の磁気抵抗効果素子。
  23. 前記第3の層は、遷移金属またはランタノイドの少なくともいずれかを含んでおり、かつその平均厚さが3nm以下であることを特徴とする請求項7記載の磁気抵抗効果素子。
  24. 前記第3の層は、室温において強磁性または反強磁性を有し、かつその平均厚さが10nm以下であることを特徴とする請求項7記載の磁気抵抗効果素子。
  25. 前記第2の磁性層は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、シリコン(Si)及びランタン系列の元素のうちの少なくともいずれかを含有する電子反射層を有することを特徴とする請求項7記載の磁気抵抗効果素子。
  26. 外部磁界により磁化方向が変化する第1の磁性層と、
    磁化が実質的に固着された第2の磁性層と、
    前記第1の磁性層と前記第2の磁性層との間に設けられた非磁性中間層と、
    前記非磁性中間層とは反対側において前記第1の磁性層と積層された導電層と、
    前記導電層と積層された酸化物層と、
    を備え、
    前記導電層は、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、金(Au)及び銀(Ag)から選ばれた少なくともいずれかの金属を含有し、
    前記酸化物層は、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)から選ばれた少なくともいずれかの元素を含有し、厚さが3nm以下であることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  27. 外部磁界により磁化方向が変化する第1の磁性層と、
    磁化が実質的に固着された第2の磁性層と、
    前記第1の磁性層と前記第2の磁性層との間に設けられた非磁性中間層と、
    前記非磁性中間層とは反対側において前記第1の磁性層と積層された導電層と、
    前記導電層と積層された酸化物層と、
    を備え、
    前記導電層は、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、金(Au)及び銀(Ag)から選ばれた少なくともいずれかの金属を含有し、
    前記酸化物層は、クロム(Cr)またはタンタル(Ta)の少なくともいずれかの元素を含有することを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  28. 前記導電層の厚さは、0.5nm以上3.0nm以下であることを特徴とする請求項26または27に記載の磁気抵抗効果素子。
  29. 外部磁界が印加されていない状態において、前記第1の磁性層の磁化の方向と前記第2の磁性層の磁化の方向とが略直交することを特徴とする請求項1〜28のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子。
  30. 請求項1〜29のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子を有する磁気ヘッドを備え、 磁気記録媒体に磁気的に記録された情報の読み取りを可能としたことを特徴とする磁気再生装置。
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