JP4407516B2 - 分画された大豆蛋白及びその製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、大豆蛋白を含む溶液から7Sグロブリンに富んだ画分と11Sグロブリンに富んだ画分を製造する方法、およびその方法により得られる大豆蛋白に関する。
大豆の貯蔵蛋白は、pH4.5付近でし、比較的簡単に蛋白以外の成分と分けることができる。この貯蔵蛋白は、大豆分離蛋白といわれ、食品工業における利用は多くこの形でなされる。蛋白はまた超遠心分析による沈降定数から、2S、7S、11S及び15Sの各グロブリンに分類される。このうち、7Sグロブリンと11Sグロブリンはグロブリン画分の主要な構成蛋白成分(注:7Sグロブリン、11Sグロブリンは沈降法による分類名であり、免疫学的命名法にいうβ−コングリシニン、グリシニンに実質的に相当する。)であり、この両者は粘性・凝固性・界面活性等において異なる性質を有する。したがって、大豆蛋白質を7Sグロブリンに富んだ区分と11Sグロブリンに富んだ区分に分画することができれば両蛋白の性質を利用することが可能となり、産業における蛋白利用分野の拡大が期待できる。
7Sグロブリン、11Sグロブリンは幾つかのサブユニットからなり、7Sグロブリンはα、α’、βの3種類のサブユニット、11Sグロブリンは酸性ポリペプチド(A)と塩基性ポリペプチド(B)を一対とした数種のサブユニットからなっている。従来の最も通常の大豆において、その存在比率は、典型的にはSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で得られたパターンのデンシトメトリーによる面積比で7Sグロブリン:11Sグロブリンが略1:2である。7Sグロブリンと11Sグロブリンの性質は、分子量も荷電の状態もよく似ている。特に、両グロブリンはサブユニットの組み合わせにより多様性を持つ蛋白で、これらの性質はある程度幅があり、相互にオーバーラップしている。したがって、両者の相互の混入が少ない有効な分離をするのは、容易でない。
従来から知られている分画法を以下に示す。すなわち、等電点の違いを利用するもの:11Sグロブリンの等電点近傍で7Sグロブリンのみを抽出させる方法(特開昭55−124457号公報)。カルシウムとの反応性の違いを利用するもの:抽出時に少量のカルシウム塩を添加して7Sグロブリンに富む画分を抽出させる方法(特開昭48−56843号公報)。pH・イオン強度での溶解性の違いを利用する方法:pH1.2〜4.0の塩化ナトリウムまたは塩化カリウム存在下で不溶性区分を除去して7Sグロブリンを製造する方法(特開昭49−31843号公報)、等電点したスラリーをpH5.0〜5.6に調整し、かつ塩化ナトリウム濃度を0.01〜0.2Mのモル濃度に調整して、7Sグロブリンと11Sグロブリンを分離する方法(特開昭58−36345号公報)、蛋白含有溶液のイオン強度を0.2〜0.3に調整し、かつpH値を4.8〜5.2に調整して不溶性画分を除いた後、イオン強度を0.2未満およびpH値を4.6〜5.0に調整して7Sグロブリンを分取する方法(特開平5−43597号公報)。冷沈現象と還元剤等を利用するもの:11Sグロブリンが低温下では溶解性が低下する現象(冷沈現象とよぶ)を利用したもので、大豆蛋白原料を亜硫酸化合物、グルタチオン化合物、またはシステイン化合物の存在下、かつpH6.5以上の水系下処理し、pH5.5〜7.0かつ22℃以下の範囲に調整して7Sグロブリンに富んだ可溶性画分と11Sグロブリンに富んだ不溶性画分に分画する方法(特開昭61−187755号公報)。
これら従来から知られている分画方法は、7Sグロブリンと11SグロブリンのpH、イオン強度、ある種の塩の存在、温度等による溶解性の違いをたくみに利用した技術であるが、明確な分画を行う為には高い遠心力による分離を必要とするなど、工業的な分画法としては不適当であるという問題点があり、実用面で問題を残していた。例えば、特開昭61−187755号公報の方法では、冷沈現象は温度に強く依存するため5℃程度まで冷却する必要があり、工業的な低い遠心力で分離するには大量の亜硫酸化合物などの添加を要するという実用面での問題と、可溶性画分への11Sグロブリンの混入が少なからずあるという分画精度面での問題を残していた。
7Sグロブリンに富む蛋白を得るということでは、育種による11Sグロブリン欠損大豆、すなわち7Sグロブリンに富んだ種子(Breeding Science,46,11,1996)から蛋白を分離することが検討され、それを応用した報告(Breeding Science,50,101,2000)や特許(US 6,171,640 B1)も出されている。
以上のように、可溶性および不溶性画分への相互の混入率が少なく、かつ簡便に効率よく工業規模での製造が行える7Sグロブリンに富んだ画分と11Sグロブリンに富んだ画分の分画法の開発研究が行われている。
一方、大豆由来の蛋白には、細胞膜をはじめとするプロテインボディー、オイルボディー等の膜を構成する極性脂質との親和力の高い蛋白質(脂質会合蛋白質)が存在し、工業的に生産する分離大豆蛋白の約35%をも占めていることが佐本らにより報告されている(Biosci.Biotechnol.Biochem.,62(5),935−940(1998))。この脂質会合蛋白質は膜蛋白質を主体とする蛋白群の総称で、特にSDS−ポリアクリルアミド電気泳動による推定分子量において主に34kDa、24kDa、18kDaを示す蛋白質を含み、クロロホルム:メタノール=2:1の極性溶媒により抽出される極性脂質を10〜12重量%程度含有する。
従来の分画法は7Sグロブリンと11Sグロブリンのみに注目しており、各画分に混在する脂質会合蛋白質については考慮されていない場合が多かった。その理由として、脂質会合蛋白質はSDS−ポリアクリルアミド電気泳動による分析では7Sグロブリンや11Sグロブリンほど明確に特定することができず、その存在を過少に評価する場合が多かった。言い換えれば、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動により測定される純度だけでは、真の純度を過大に評価している場合が多く、真に純度の高い7Sグロブリンや11Sグロブリンを得るには、この脂質会合蛋白質の挙動を考慮する必要がある。つまり、これまでの7Sグロブリン/11Sグロブリンの2画分への分画では、7Sグロブリンと11Sグロブリンの比率によってのみ分画品の純度を議論している場合が多かった。しかし各画分は脂質会合蛋白質を随伴し、実際の蛋白質組成としては脂質会合蛋白質を多く含む精製純度のやや低い粗分画品となっている場合が多かった。
本発明者等は、工業的な7Sグロブリンと11Sグロブリンの分画が可能となる酸性下での加温処理のみの方法(WO 02/28198 A1)を提案したが、さらに鋭意研究した結果、大豆蛋白を含む溶液の酸性下での加温処理と、イオン強度の調整を組み合わせることで、7Sグロブリンを含む可溶性画分と11Sグロブリンを含む不溶性画分の分離pHを低くすることが可能となり、それにより、可溶性画分と不溶性画分の分離が一層容易になることを見出した。
本発明は、7Sグロブリンと11Sグロブリンの新規な分画法を提案するものであり、特に工業的規模で行え、高精度で効率のよい分画法を目的とする。また他の目的は、脂質会合蛋白質の混入率が少なく、純度の高い7Sグロブリンと11Sグロブリンの、特徴ある性質を有する蛋白画分を得ることにある。
特開昭55−124457号公報 特開昭48−56843号公報 特開昭49−31843号公報 特開昭58−36345号公報 特開平5−43597号公報 特開昭61−187755号公報 US 6,171,640 B1 WO 02/28198 A1 K Yagasaki etc,Breeding Science,46,11,1996 K Yagasaki etc,Breeding Science,50,101,2000 M Samoto etc,Biosci.Biotechnol.Biochem.,62(5),935−940,1998
本発明は、
(1) 大豆蛋白を含む溶液を、酸性下で加温処理の後、イオン強度0.02以上、pH4.5以上5.6未満で可溶性画分と不溶性画分に分画することを特徴とする大豆蛋白の製造法。
(2) 大豆蛋白を含む溶液が脱脂大豆の加水スラリー、同スラリーから得られる脱脂豆乳、酸沈澱大豆蛋白スラリー、または分離大豆蛋白溶液である(1)記載の製造法。
(3) 酸性がpH3.8〜6.8である(1)記載の製造法。
(4) 加温処理が30〜75℃である(1)記載の製造法。
(5) (1)記載の分画方法によって得られる可溶性画分から7Sグロブリン/(11Sグロブリン+7Sグロブリン)の比が0.5以上であり、固形分中のクロロホルム:メタノール=2:1溶媒で抽出される極性脂質含量が1重量%以下である7Sグロブリン蛋白を分取する(1)記載の製造法。
(6) 固形分中のフィチン酸含量が1.2重量%以下である(5)記載の方法で得られた7Sグロブリン蛋白。
(7) (1)記載の分画方法によって得られる不溶性画分から11Sグロブリン/(11Sグロブリン+7Sグロブリン)の比が0.7以上であり、固形分中のクロロホルム:メタノール=2:1溶媒で抽出される極性脂質含量が2重量%以下である11Sグロブリン蛋白を分取する(1)記載の製造法。
(8) 固形分中のフィチン酸含量が1.2重量%以下である(7)記載の方法で得られた11Sグロブリン蛋白。
に、関する。
本発明は、大豆蛋白を含む溶液の酸性下での加温処理と、イオン強度の調整を組み合わせることで、工業的な7Sグロブリンと11Sグロブリンの分画が可能となる酸性下での加温処理のみの方法(WO 02/28198 A1)と比べて、7Sグロブリンを含む可溶性画分と11Sグロブリンを含む不溶性画分の分離pHを低くすることが可能となり、それにより、可溶性画分と不溶性画分の分離が一層容易になることを特徴とする分画大豆蛋白の製造法である。上記酸性はpH3.8〜6.8が好ましく、加温する温度は30〜75℃が好ましい。イオン強度は0.02以上が好ましく、可溶性画分と不溶性画分の分離はpH4.5以上5.6未満が好ましい。これにより、7Sグロブリンに富み脂質会合蛋白質の少ない可溶性画分を得ることができる。またこれにより、11Sグロブリンおよび脂質会合蛋白質に富んだ不溶性画分が生成するが、この不溶性画分の11Sグロブリンを略中性(概ねpH6.5〜7.5)の水溶液中で弱い煎断力で溶解、あるいは抽出することにより、脂質会合蛋白質を不溶化させたまま11Sグロブリンを選択的に溶解させ分離することが可能で、11Sグロブリンに富み脂質会合蛋白質の少ない画分を得ることができる。
また、本発明は製造工程中、フィターゼによるフィチン酸分解を施すことにより、得られる蛋白当たり1.2%以下の低フィチンの蛋白画分を得ることができる。さらに、可溶性画分と不溶性画分を分離する前のフィターゼ処理により、分離効率を向上させることができる。
上記製造法によって得られた可溶性画分は、7Sグロブリン/(11Sグロブリン+7Sグロブリン)の比が0.5以上であり、可溶性画分と不溶性画分の分離pHを適当に選択することによって当該比が0.8以上、0.85以上、或いは0.9以上の高純度7Sグロブリン画分を容易に得ることができる。もう一つの画分である不溶性画分は、11Sグロブリン/(11Sグロブリン+7Sグロブリン)の比が0.7以上の画分であり、可溶性画分と不溶性画分の分離pHを適当に選択することによって当該比が0.8以上、0.85以上、或いは0.9以上の高純度11Sグロブリン画分を容易に得ることができる。
ここに、7Sグロブリン/(11Sグロブリン+7Sグロブリン)や11Sグロブリン/(11Sグロブリン+7Sグロブリン)の比は、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動で得られた泳動パターンをデンシトメーターで測定し、該当画分の面積の比率から得られる。
また、上記脂質会合蛋白質は、ほとんど変性していない酸沈澱蛋白から硫酸ナトリウムを用いて精密に得ると酸沈澱蛋白中に30〜35%程度存在(前記Biosci.Biotechnol.Biochem.,62(5),935−940(1998))する。また、クロロホルム/メタノール=2:1(容量比)で抽出される極性脂質が、該酸沈澱蛋白固形物中には3〜4重量%存在し、脂質会合蛋白質中には10〜12%存在する事実から、上記極性脂質(以下「クロメタ油分」と略すことがある)は酸沈澱蛋白の中でも脂質会合蛋白質中に偏在し、クロメタ油分の10重量倍が脂質会合蛋白質であると換算できる。ただしこの換算は、脂質会合蛋白質がヘキサンなどによる脱脂の工程を経ている対象に適用でき、ヘキサン抽出の工程を経ていない対象である場合にはヘキサンで予め脱脂した後に適用できる。
本発明により得られる7Sグロブリンに富む可溶性画分は、クロメ油分が1%以下であり、換算すると脂質会合蛋白質は10%以下となる。また、不溶性画分から抽出した11Sグロブリンに富む画分は、クロメタ油分が2%以下であり、換算すると脂質会合蛋白質は20%以下の大豆蛋白画分となる。
本発明に用いた分析方法を以下に記載する。
*粗蛋白質;ケールダール法に基づき窒素含量を求め、係数6.25を掛けて粗蛋白質に換算した。
*不溶性画分の分離沈降速度;L.U.M.社製の分離特性分析装置LUMiFuge114を用い、不溶性画分を含む試料溶液0.5mlをポリスチレン製角型セルに入れ、100Gで遠心分離した時の透過率20%の界面の移動速度を分離沈降速度とした。
*SDS−ポリアクリルアミド電気泳動;Laemmli(Nature,227,680(1970))の方法に基づきゲル濃度10〜20%のグラディエントゲルで分析した。蛋白アプライ量は固形分換算で6μgとし、染色はクーマシーブリリアントブルーR−250を用いて行った。
*フィチン酸;Alii Mohamedの方法(Cereal Chemistry 63,475−478.1986)に準拠して測定した。
*クロメタ油分;試料乾物に対してクロロホルム・メタノールの混合液(容量比、2:1)を約50倍加え、還流抽出される固形分の重量比をクロメタ油分として測定した。
*純度(SPE基準);上記のSDS−ポリアクリルアミド電気泳動で得られた泳動パターンをデンシトメーターで測定し、その全体に対する該当画分の面積比率を純度(SPE基準)とした。ここに7Sグロブリン含量はα、α’、βサブユニットの総含量を指し、11Sグロブリン含量は酸性ポリペプチド(A)と塩基性ポリペプチド(B)の総量を指す。
*補正純度;上記で得られた純度(SPE基準)から、混在する脂質会合蛋白質の量も考慮した補正純度を以下のように算出した。すなわち試料の純度(SPE基準)の値をA%として、当該試料中には7Sグロブリン及び11Sグロブリン以外にクロメタ油分の10倍重量に相当する脂質会合蛋白質も存在するので、7Sグロブリン及び11Sグロブリンに脂質会合蛋白質の量を含めた合計蛋白に対する純度として算出する。
補正純度(%)=(100(%)−クロメタ油分(%)*10)*A(%)/100
*イオン強度;導電率計(2%/℃ 温度換算機能付)を用いて、溶液の導電率を測定し、その導電率に相当するNaClモル濃度をイオン強度とした。
以下に本発明の好ましい態様を記載する。
本発明に用いる原料大豆は市販の大豆、または育種や遺伝子操作などにより特定の画分が欠損した大豆のいずれも用いることが可能である。大豆蛋白を含む溶液は、脱脂大豆の加水スラリー(以下、脱脂大豆スラリーと呼ぶ。)、同スラリーから得られる脱脂豆乳、酸沈澱大豆蛋白スラリー(以下、カードスラリーと呼ぶ。)、または分離大豆蛋白溶液のいずれでも良いが、特に脱脂大豆の加水スラリーを用いた方が可溶性画分と不溶性画分の分離が容易となるので好ましい。また、7Sグロブリンに富んだ画分と11Sグロブリンに富んだ画分に分画するためには、未変性もしくは低変性大豆蛋白溶液が好ましい。
大豆蛋白を含む溶液の酸性下の加温処理は、pH3.8〜6.8、好ましくはpH4.0〜6.6、より好ましくはpH4.2〜6.2の酸性下で30〜75℃、好ましくは35〜65℃、さらに好ましくは40〜60℃での加温処理が良い。イオン強度は0.02以上で可溶性画分と不溶性画分の分離が容易になり、より高くすることで可溶性画分と不溶性画分の分離が一層容易になる。但し、イオン強度0.2以上の場合、分離後の可溶性画分から7Sグロブリンを等電点沈澱させる為にはイオン強度を0.2未満にする必要があり、操作が煩雑となるので、好ましくは0.02以上0.2未満が良い。可溶性画分と不溶性画分の分離は、pH4.5以上5.6未満で行うことによりが7Sグロブリンに富んだ可溶性画分と11Sグロブリンに富んだ不溶性画分が得られる。また、製造工程中、特に可溶性画分と不溶性画分を分画するまでのいずれかの工程で、大豆蛋白と共存するフィチン酸をフィターゼで分解することにより、7Sグロブリンに富んだ画分と11Sグロブリンに富んだ画分の分離が一層容易になる。フィターゼ処理は酸性下での加温処理と同時に行うと簡便である。フィターゼは、起源により多少異なるものの、通常pH3.5〜9.0,温度20〜70℃、5分間〜3時間、蛋白重量(g)あたり0.1〜100unit程度作用させるのが適している。なお1unitのフィターゼ活性はpH5.5、37℃の下で反応初期の1分間に基質のフィチン酸から1μモルのリン酸を遊離する酵素量を表わす。
上記加温処理のための加温保持時間の長短は、加温処理のpHや温度に比べて分離の難易にあまり大きく影響せずあまり重要ではない。加温処理時のpHが3.8〜6.8の範囲外、または温度が30℃〜75℃の範囲外であると、7Sグロブリンと11Sグロブリンの分離が難しくなる。
加温処理後は、微生物管理上冷却する方が好ましいが、そのままの温度で分画に移ってもよい。分画の手段は、公知の分離手段(ろ別、遠心分離等)を用いることができ、特に連続式遠心分離機(例えばデカンター)等を用いても容易に、かつ効率的に分離することができる。むろんバッチ式等の非連続式遠心分離機の使用を妨げるものではない。
本発明による可溶性画分である7Sグロブリンに富んだ画分と不溶性画分である11Sグロブリンに富んだ画分の分画精度は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で得られたパターンで評価できる(純度はSPE基準)。
しかし、SPE基準の純度では、脂質会合蛋白質がSDS−ポリアクリルアミド電気泳動での染色性が低いために過少に評価されるので、前記補正純度(%)=(100(%)−クロメタ油分(%)*10)*A(%)/100の式を用いた補正純度の値の方が、より真の純度に近い値と考えられる。
分離後の可溶性画分は、そのまま、あるいは濃縮して、あるいは中和して、あるいは殺菌して、あるいは乾燥して、7Sグロブリンに富んだ画分として用いることができる。濃縮する手段としては、イオン強度を0.2未満に調整し、かつpH値を4.0〜5.0に調整して生じる不溶性画分を分離回収する方法が例示され、その後加水、中和、加熱殺菌処理し、乾燥する形態が最も通常である。加熱殺菌処理は公知のHTST、UHT処理等で行うことができる。目的に応じて、溶液の状態でプロテアーゼ等を用いた酵素処理をすることももちろん可能である。
分離後の不溶性画分からは、略中性(概ねpH6.5〜7.5)の水溶液を用いて11Sグロブリンを溶解、あるいは抽出し、不溶性の脂質会合蛋白質(不溶性画分がおから成分を含む場合はおから成分も含む)と分離することができる。この際、11Sグロブリンの溶解、あるいは抽出は可能な限り弱い煎断力で行った方が脂質会合蛋白質画分の可溶化を防ぎ、11Sグロブリンを選択的に溶解、あるいは抽出することができるので好ましい。また、溶解、あるいは抽出した11Sグロブリンと脂質会合蛋白質との分離には約4,000G以上の、好ましくは約5,000G以上の高G遠心分離機に掛けるのが好適であり、これにより11Sグロブリン/(11Sグロブリン+7Sグロブリン)の比が0.7以上を維持したまま、クロメタ油分が固形物中2%以下の蛋白を得ることができる。
略中性の水溶液を用いて溶解、あるいは抽出したクロメタ油分が2%以下の11Sグロブリンに富む画分は、このまま、あるいは濃縮して、あるいは中和して、あるいは殺菌して、あるいは乾燥して、11Sグロブリンに富んだ画分として用いることができる。濃縮する手段としては、可溶性画分をpH4.5以上5.6未満に調整して生じる不溶性画分を分離回収する方法が例示され、その後加水、中和、加熱殺菌処理し、乾燥する形態が最も通常である。加熱殺菌処理は公知のHTST、UHT処理等で行うことができる。目的に応じて、溶液の状態でプロテアーゼ等を用いた酵素処理をすることももちろん可能である。
以下、この発明の実施例を示すが、本発明がこれらによってその技術範囲が限定されるものではない。
大豆を圧扁し、n−ヘキサンを抽出溶媒として油を抽出分離除去して得られた低変性脱脂大豆(窒素可溶指数:NSI91)1重量部に、10重量部の抽出水(イオン交換水)を加え、ホモミキサーを用いて22℃で撹拌、20%水酸化ナトリウム溶液でpH7.2に維持しながら40分間抽出した。次いで、抽出液をろ布でろ過し、さらに5,000Gで10分間遠心分離して不溶物を除いた脱脂豆乳を得た。得られた脱脂豆乳のpHを35%塩酸を用いてpH4.5に調整し、3,000Gで10分間遠心分離して酸沈澱蛋白を得た後、たん白が乾燥重量で5%となるように酸沈澱蛋白にイオン交換水を加えてポリトロン(KINEMATICAAG社製)で均質化(以下、カードスラリーと呼ぶ。)した。カードスラリーのイオン強度を塩化ナトリウムを用いて0.14に調整し、22℃で30分間撹拌、次いで、20%水酸化ナトリウム溶液を用いてカードスラリーのpHを5.3に調整し、22℃で20分間撹拌した。その後、カードスラリーを50℃まで昇温し、50℃で10分間撹拌した後、直ちに22℃まで冷却した。この時、昇温初めから22℃まで冷却するのに要した時間は25分間であった。22℃でさらに15分間撹拌した後、LUMiFuge114を用いて不溶性画分の分離沈降速度を測定するとともに、5,000Gで5分間遠心分離して得られた可溶性画分と不溶性画分をSDS−ポリアクリルアミド電気泳動に供し、7Sグロブリンと11Sグロブリンの存在比(SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法による泳動パターンをデンシトメーターで測定した該当画分の面積比)を求めた。
表1に不溶性画分の分離沈降速度、表2に可溶性画分と不溶性画分の7Sグロブリンと11Sグロブリンの存在比を示す。
<比較例1>
実施例1と同様に調製した5%カードスラリーのイオン強度を、塩化ナトリウムを用いて0.14に調整し、22℃で30分間撹拌、次いで、20%水酸化ナトリウム溶液を用いてカードスラリーのpHを5.3に調整し、22℃で60分間撹拌した。その後、実施例1と同様の方法で不溶性画分の分離沈降速度を測定するとともに、5,000Gで10分間遠心分離して得られた可溶性画分と不溶性画分をSDS−ポリアクリルアミド電気泳動に供し、7Sグロブリンと11Sグロブリンの存在比を求めた。
表1に不溶性画分の分離沈降速度、表2に可溶性画分と不溶性画分の7Sグロブリンと11Sグロブリンの存在比を示す。
Figure 0004407516
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実施例1および比較例1の結果より、カードスラリーを酸性下で加温処理することにより、高純度の7Sグロブリンを含む可溶性画分と高純度の11Sグロブリンを含む不溶性画分の分離が一層容易になることが明らかである。
実施例1と同様に調製した5%カードスラリーのイオン強度を、塩化ナトリウムを用いて0.14に調整し、pH調整をせずに(約pH4.5)22℃で30分間撹拌した後、50℃まで昇温、その後直ちに22℃まで冷却した。この時、昇温初めから22℃まで冷却するのに要した時間は15分間であった。冷却後、20%水酸化ナトリウム溶液を用いてカードスラリーのpHを5.5に調整して15分間撹拌し、実施例1と同様の方法で不溶性画分の分離沈降速度を測定するとともに、可溶性画分と不溶性画分の7Sグロブリンと11Sグロブリンの存在比を求めた。
表3に可溶性画分と不溶性画分の7Sグロブリンと11Sグロブリンの存在比、表4に不溶性画分の分離沈降速度を示す。
<比較例2>
実施例1と同様に調製した5%カードスラリーのイオン強度を調整せずに(イオン強度0.013)、実施例2と同様の加温処理(pH未調整、22℃で30分間撹拌した後、50℃まで昇温、その後直ちに22℃まで冷却)を行った。次いで、20%水酸化ナトリウム溶液を用いてカードスラリーのpHを5.9に調整し(イオン強度が低い場合は、可溶性画分と不溶性画分の分離pHを高くしなければ7Sグロブリンと11Sグロブリンの存在比が同程度の画分を得ることが出来ない)、15分間撹拌した後に、実施例1と同様の方法で不溶性画分の分離沈降速度を測定するとともに、可溶性画分と不溶性画分の7Sグロブリンと11Sグロブリンの存在比を求めた。
表3に可溶性画分と不溶性画分の7Sグロブリンと11Sグロブリンの存在比、表4に不溶性画分の分離沈降速度を示す。
Figure 0004407516
Figure 0004407516
実施例2および比較例2の結果より、イオン強度を高くし、かつ分離pHを低くすることで、7Sグロブリンを含む可溶性画分と11Sグロブリンを含む不溶性画分の分離が一層容易になることが明らかである。
以上までの実施例および比較例の結果より、大豆蛋白を含む溶液の酸性下の加温処理とイオン強度の調整の組み合わせにより、7Sグロブリンを含む可溶性画分と11Sグロブリンを含む不溶性画分の分離が、酸性下の加温処理のみ、あるいはイオン強度の調整のみの場合よりも一層容易になることが明らかである。
実施例1と同様に脱脂した低変性脱脂大豆1重量部に、10重量部の22℃の抽出水(イオン交換水)を加え(以下、脱脂大豆スラリーと呼ぶ)、塩化ナトリウムを用いてイオン強度が0.17となるように調整し、pH未調整で22℃、30分間プロペラ撹拌した。次いで、35%塩酸を用いてpH5.3に調整し、50℃まで昇温して10分間プロペラ撹拌した後、直ちに22℃まで冷却した。この時、50℃まで昇温するのに10分間、22℃まで冷却するのに5分間それぞれ要した。冷却後、35%塩酸を用いてpH4.8に調整し、22℃でさらに10分間撹拌した後、実施例1と同様に不溶性画分の分離沈降速度を測定するとともに、5,000Gで5分間遠心分離して得られた可溶性画分については実施例1と同様に7Sグロブリンと11Sグロブリンの存在比を求めた。一方、不溶性画分は加水(脱脂大豆の7倍重量)し、ホモミキサーを用いて22℃で撹拌、20%水酸化ナトリウム溶液でpHを7.2に維持しながら30分間抽出した後、5,000Gで5分間遠心分離して得られた可溶性画分をSDS−ポリアクリルアミド電気泳動に供し、7Sグロブリンと11Sグロブリンの存在比を求めた。
表5に可溶性画分と不溶性画分の7Sグロブリンと11Sグロブリンの存在比、表6に不溶性画分の分離沈降速度を示す。
<比較例3>
実施例3と同様に調製した脱脂大豆スラリーを、塩化ナトリウムを用いてイオン強度が0.17となるように調整し、22℃で30分間撹拌、次いで、35%塩酸を用いて脱脂大豆スラリーのpHを5.3に調整し、22℃で25分間撹拌した。その後、20%水酸化ナトリウム溶液を用いてpH4.8に調整し、22℃で10分間撹拌した後、実施例1と同様の方法で不溶性画分の分離沈降速度を測定するとともに、可溶性画分と不溶性画分の7Sグロブリンと11Sグロブリンの存在比を求めた。
表5に可溶性画分と不溶性画分の7Sグロブリンと11Sグロブリンの存在比、表6に不溶性画分の分離沈降速度を示す。
Figure 0004407516
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実施例3および比較例3の結果より、脱脂大豆スラリーを用いる場合も、酸性下の加温処理とイオン強度の調整により可溶性画分と不溶性画分の分離が容易になることが明らかである。
実施例1と同様に調製した5%カードスラリーのイオン強度を、塩化ナトリウムを用いて0.17に調整し、実施例3と同様の加温処理(pH未調整で22℃、30分間プロペラ撹拌。次いで、pH5.3に調整し、50℃まで昇温して10分間プロペラ撹拌した後、直ちに22℃まで冷却)を行った後、20%水酸化ナトリウム溶液を用いてpH5.4に調整し(イオン強度の同じ脱脂大豆スラリーとカードスラリーの場合、7Sグロブリンと11Sグロブリンの存在比が同程度の画分を得る為にはカードスラリーの分離pHを脱脂大豆スラリーの分離pHより高く設定する必要がある)、22℃でさらに10分間撹拌を行った。その後、実施例1と同様に不溶性画分の分離沈降速度を測定するとともに、可溶性画分と不溶性画分をSDS−ポリアクリルアミド電気泳動に供し、7Sグロブリンと11Sグロブリンの存在比を求めた。
表7に可溶性画分と不溶性画分の7Sグロブリンと11Sグロブリンの存在比、表8に不溶性画分の分離沈降速度を示す。
Figure 0004407516
Figure 0004407516
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実施例3および実施例4の結果より、大豆蛋白を含む溶液には脱脂大豆スラリーを用いた方が、不溶性画分の分離沈降が速く、分離が容易になることが明らかである。
実施例1と同様に調製した5%カードスラリーのイオン強度を、塩化ナトリウムを用いて0.14に調整し、pH調整をせずに(約pH4.5)22℃で30分間撹拌した後、50℃まで昇温した。この時、昇温に要した時間は10分間であった。50℃に達した後、20%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを5.3に調整し、さらに20分間加温処理した後、22℃まで冷却した。この時、冷却に要した時間は5分間であった。冷却後、5,000Gで10分間遠心分離して可溶性画分と不溶性画分を得た。
得られた可溶性画分は、35%塩酸を用いてpH4.5に調整し、3,000Gで10分間遠心分離して沈澱画分を得た。次いで、沈澱画分に加水し、20%水酸化ナトリウム溶液を用いて中和した後、フリーズドライして7Sグロブリンに富んだ画分を得た。
一方、5,000Gで10分間遠心分離して得られた不溶性画分は、5倍重量のイオン交換水を加え、22℃でプロペラ撹拌し、20%水酸化ナトリウム溶液でpH6.8に維持しながら30分間抽出した。次いで、5,000Gで10分間遠心分離し、得られた上清画分のpHを35%塩酸を用いてpH4.5に調整し、3,000Gで10分間遠心分離して沈澱画分を得た。次いで、沈澱画分に加水し、20%水酸化ナトリウム溶液を用いて中和した後、フリーズドライして11Sグロブリンに富んだ画分を得た。
得られた各画分のSDS−ポリアクリルアミド電気泳動による7S:11Sの存在比、7Sグロブリンに富んだ画分の7Sグロブリン純度(SPE基準)と11Sグロブリンに富んだ画分の11Sグロブリン純度(SPE基準)、クロメタ油分、7Sグロブリン補正純度、11Sグロブリン補正純度、および両画分のフィチン酸含量を表9に示す。また、表10に実施例1と同様に測定した不溶性画分の分離沈降速度を示す。
Figure 0004407516
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以上の結果より、本発明方法によりクロメタ油分の少ない、即ち脂質会合蛋白質含量の少ない、高純度の7Sグロブリンおよび11Sグロブリン画分を容易に得られることが明らかである。
また、加温処理後ホールドせずに直ちに冷却した実施例1と、加温処理後20分間ホールドした実施例5の結果から、加温処理後にホールドすることにより分離沈降速度が向上することが分かる。
実施例1と同様に調製した5%カードスラリーのイオン強度を、塩化ナトリウムを用いて0.14に調整し、pH調整をせずに(約pH4.5)22℃で30分間撹拌した後、50℃まで昇温した。この時、昇温に要した時間は10分間であった。50℃に達した後、20%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを5.3に調整し、対脱脂大豆0.2重量%のフィターゼ(新日本化学製「スミチームPHY」)を添加してさらに20分間プロペラ撹拌した。その後、22℃まで冷却した。この時、冷却に要した時間は5分間であった。冷却後、5,000Gで10分間遠心分離して可溶性画分と不溶性画分を得た。得られた可溶性画分は、35%塩酸を用いてpH4.5に調整し、3,000Gで10分間遠心分離して沈澱画分を得た。次いで、沈澱画分に加水し、20%水酸化ナトリウム溶液を用いて中和した後、フリーズドライして7Sグロブリンに富んだ画分を得た。
一方、5,000Gで10分間遠心分離して得られた不溶性画分は、5倍重量のイオン交換水を加え、22℃でプロペラ撹拌し、20%水酸化ナトリウム溶液でpH6.8に維持しながら30分間抽出した。次いで、5,000Gで10分間遠心分離し、得られた上清画分のpHを35%塩酸を用いてpH4.5に調整し、3,000Gで10分間遠心分離して沈澱画分を得た。次いで、沈澱画分に加水し、20%水酸化ナトリウム溶液を用いて中和した後、フリーズドライして11Sグロブリンに富んだ画分を得た。
得られた各画分のSDS−ポリアクリルアミド電気泳動による7S:11Sの存在比、7Sグロブリンに富んだ画分の7Sグロブリン純度(SPE基準)と11Sグロブリンに富んだ画分の11Sグロブリン純度(SPE基準)、クロメタ油分、7Sグロブリン補正純度、11Sグロブリン補正純度、およびフィチン酸含量を表11に示す。また、表12に実施例1と同様に測定した不溶性画分の分離沈降速度を示す。
Figure 0004407516
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実施例5および実施例6の結果より、フィターゼによるフィチン酸の分解を併用することで可溶性画分と不溶性画分の分離がより一層容易になり、かつ低フィチン酸の7Sグロブリンに富んだ画分と11Sグロブリンに富んだ画分を得られることが明らかである。
以上説明したとおり、本願発明は大豆蛋白を含む溶液のイオン強度の調整と、酸性下での加温処理を組み合わせることにより、7Sグロブリンを含む可溶性画分と11Sグロブリンを含む不溶性画分を工業的に簡便に分画することができる。

Claims (4)

  1. 大豆蛋白を含む溶液を、pH3.8〜6.8の酸性下で、30〜75℃の加温処理の後、イオン強度0.02以上、pH4.5以上5.6未満で可溶性画分と不溶性画分に分画することを特徴とする大豆蛋白の製造法。
  2. 大豆蛋白を含む溶液が脱脂大豆の加水スラリー、同スラリーから得られる脱脂豆乳、酸沈澱大豆蛋白スラリー、または分離大豆蛋白溶液である請求項1記載の製造法。
  3. 請求項1記載の分画方法によって得られる可溶性画分から7Sグロブリン/(11Sグロブリン+7Sグロブリン)の比が0.5以上であり、固形分中のクロロホルム:メタノール=2:1溶媒で抽出される極性脂質含量が1重量%以下である7Sグロブリン蛋白を分取する請求項1記載の製造法。
  4. L.U.M.社製分離特性分析装置「LUMiFuge 114」を用い、不溶性画分を含む試料液0.5mlをポリスチレン製角形セルに入れ、100Gで遠心分離した時の透過率20%の界面の移動速度を、分離沈降速度とした際に、可溶性画分と不溶性画分の分画時の不溶性画分の分離沈降速度が156μm/秒以上である、請求項1記載の製造方法。
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