この構成によると、複数の入力メモリのうち、画像データファイルを受信した時点からの一定期間内における読み出し時間長が最も短い入力メモリに画像データファイルを振り向けるために、受信した画像データファイルを、複数の入力メモリに所定の順番に振り向ける場合と比べて、一つの入力メモリに対するデータの書き込みと読み出しとが同時に行われる時間を短くすることができる。その結果、画像処理装置の処理能力を向上させることができる。
本発明の画像処理装置において、前記データ分配手段は、前記受信した画像データファイルが振り向けられた前記入力メモリの空き容量が当該画像データファイルの受信中になくなると、当該画像データファイルの残部を別の前記入力メモリに振り向けてもよい。この構成によると、受信した画像データファイルが振り向けられた入力メモリの空き容量が画像データファイルの受信中になくなった場合でも、引き続き画像データファイルを受信し、別の入力メモリに書き込みを行うことができる。したがって、効率良く画像データファイルを受信することができる。その結果、画像処理装置の処理能力をさらに向上させることができる。
本発明の画像処理装置において、前記受信した画像データファイルが振り向けられた前記入力メモリの空き容量が当該画像データファイルの受信中になくなると、当該画像データファイルの残部を、前記受信した画像データファイルが最初に振り向けられた前記入力メモリの空き容量がなくなった時点からの前記一定期間内における読み出し時間長が最も短いと前記検知手段によって検知された別の前記入力メモリに振り向けてもよい。この構成によると、受信した画像データファイルが振り向けられた入力メモリの空き容量が画像データファイルの受信中になくなった場合でも、引き続き画像データファイルを受信し、受信した画像データファイルが最初に振り向けられた入力メモリの空き容量がなくなった時点からの一定期間内における読み出し時間長が最も短い入力メモリに書き込みを行うことができる。したがって、画像処理装置の処理能力を一層向上させることができる。
本発明の画像処理装置は、各画像データファイルに数値が関連づけられている場合に、前記複数の入力メモリに書き込まれた複数の画像データファイルに対して前記画像処理手段が数値に基づく序列に従って画像処理を施すように管理する管理手段をさらに備えていることが好ましい。この構成によると、入力メモリに書き込まれた複数の画像データファイルに対して、画像処理装置が受信した順番と同じ順番で画像処理を施すことができる。したがって、画像処理後の画像データファイルの取り扱いが容易となる。
別の観点において、本発明の写真処理装置は、フィルムに記録された透過画像を読み取って一又は複数の画像データファイルを形成するフィルム読み取り部と、前記フィルム読み取り部が形成した画像データファイルを画像処理する画像処理基板と、前記画像処理基板によって画像処理された画像データファイルに基づいて媒体に画像を形成する画像形成部とを備えた写真処理装置である。そして、前記画像処理基板が、前記フィルム読み取り部から受信した一又は複数の画像データファイルの書き込み及び読み出しが行われる複数の入力メモリと、前記入力メモリに書き込まれた画像データファイルを読み出して画像処理を施す画像処理チップと、前記画像処理チップによる画像処理が終了した画像データファイルが書き込まれる展開メモリと、前記受信した画像データファイルを前記複数の入力メモリのいずれかに振り向ける分配チップと、演算チップとを備えている。さらに、前記演算チップが、前記入力メモリに書き込まれた画像データファイルのうち前記画像処理チップによる画像処理が終了したものを削除する削除信号を生成する削除指示機能と、一定期間内における読み出し時間長を、前記複数の入力メモリの各々について検知する検知機能と、前記受信した画像データファイルを、前記入力メモリに書き込む際に、前記複数の入力メモリのうち、当該画像データファイルを受信した時点からの前記一定期間内における読み出し時間長が最も短いと検知された前記入力メモリに前記分配チップが振り向けるようにするデータ振り向け信号を生成するデータ分配指示機能とを有している。
この構成によると、複数の入力メモリのうち、画像データファイルを受信した時点からの一定期間内における読み出し時間長が最も短い入力メモリに画像データファイルを振り向けるために、受信した画像データファイルを、複数の入力メモリに所定の順番に振り向ける場合と比べて、一つの入力メモリに対するデータの書き込みと読み出しとが同時に行われる時間を短くすることができる。その結果、画像処理基板及び写真処理装置の処理能力を向上させることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第1の参考例に係る写真処理装置の概略構成を示す図である。
図1に示すように、本発明の第1の参考例の写真処理装置1は、現像された写真フィルム15に記録された透過画像を読み取るスキャナ10と、スキャナ10によって写真フィルム15を読み取ることで得られた画像データファイルに対して色補正や濃度補正、階調変換等の各種画像処理を施す画像処理基板20と、画像処理基板20において画像処理が施された画像データファイルに基づいて、印画紙311に対して画像を形成するプリンタプロセッサ30と、写真処理装置1を制御するPC(パーソナルコンピュータ)40とを有している。
スキャナ10は、ハロゲンランプ11と、ハロゲンランプ11から出射した光の色バランスを調整するための調光フィルタ12と、調光フィルタ12を通過した光を均等に混色するミラートンネル13と、写真フィルム15の各コマ画像とハロゲンランプ11とを順次対向させるフィルム搬送機構14と、写真フィルム15のコマ画像を光電変換するためのCCDラインセンサユニット16と、写真フィルム15を透過した光をCCDラインセンサユニット16上に結像させるためのレンズ17と、光路を90度屈曲させるためのミラー18と、CCDラインセンサユニット16の出力信号を処理する図示しない処理回路とを有している。
CCDラインセンサユニット16は、約5000個の受光部を写真フィルム15の幅方向に配列したCCDラインセンサを3列に並べて備えており、各CCDラインセンサの受光面にはそれぞれ赤色、緑色、青色のカラーフィルタが形成されて、写真フィルム15のコマ画像を色分解して検出する。処理回路は、CCDラインセンサユニット16の出力アナログ信号を増幅した後A/D変換を行って出力する。従って、スキャナ10では、フィルム搬送機構14に写真フィルム15がセットされると、搬送ローラ対14aにより搬送される写真フィルム15上のコマ画像が順次読み取られて、赤色、緑色、青色毎のデジタル画像データファイルが画像処理基板20に対して送信される。
画像処理基板20は、スキャナ10から受信した画像データファイルの書き込み及び読み出しが行われる第1入力メモリ21、第2入力メモリ22、第3入力メモリ23と、三つの入力メモリ21〜23に書き込まれた画像データファイルに対して間引き処理等を施すことによって生成された、後述するディスプレイ41に表示するための画像データファイル(以降、「表示画像ファイル」と称する)を記憶するサブメモリ24と、三つの入力メモリ21〜23に書き込まれた画像データファイルを読み出して各種画像処理を施す画像処理チップ25と、画像処理チップ25による画像処理が終了した画像データファイルが書き込まれる展開メモリ26と、スキャナ10から送信された画像データファイルを三つの入力メモリ21〜23のいずれかに振り向ける分配チップ27と、CPU29とを有している。
CPU29は、三つの入力メモリ21〜23に書き込まれた画像データファイルのうち画像処理チップ25による画像処理が終了したものを削除するように削除信号を生成する削除指示部29aと、三つの入力メモリ21〜23のうち画像データファイルの読み出し中でないメモリを検知する検知部29bと、メモリへの画像データファイルの書き込みを行う際に、検知部29bによって検知された読み出し中でないメモリに分配チップ27が画像データファイルを振り向けるようにするデータ振り向け信号を生成するデータ分配指示部29cと、三つの入力メモリ21〜23にそれぞれ書き込まれた複数の画像データファイルが、スキャナ10から送信された順番と同じ順番で画像処理チップ25に読み出されるように、各入力メモリ21〜23から画像データファイルを読み出す順番を管理する読み出し順管理部29dとを有している。
詳細には、データ分配指示部29cは、画像処理基板20が画像データファイルを受信した時点において、検知部29bによって検知された読み出し中でないメモリに分配チップ27が画像データファイルを振り向けるようにするデータ振り向け信号を生成する。また、データ分配指示部29cは、受信した画像データファイルが振り向けられたメモリの空き容量がなくなった時点において、検知部29bによって検知された読み出し中でないメモリに、分配チップ27が受信中の画像データファイルの残部を振り向けるようにするデータ振り向け信号を生成する。
プリンタプロセッサ30は、画像処理基板20から送信された画像処理済みの画像データファイルに基づいて、印画紙311に対して露光を行うプリンタ31と、露光済みの印画紙311に対して現像、漂白、安定化などの処理が施されるプロセッサ32と、プロセッサ32から排出された印画紙311を乾燥させる仕上げ処理部33とを有している。
プリンタ31は、印画紙311を収納するペーパーマガジン312と、印画紙311をペーパーマガジン312から引き出しつつ搬送する複数の搬送ローラ対313と、印画紙311をプリントサイズにカットするカッター314と、搬送経路に沿って矢印A方向に搬送される印画紙311に対して画像処理基板20で画像処理が施された画像データファイルに対応する潜像を形成するデジタル露光ヘッド315とを備えている。なお、デジタル露光ヘッド315は、例えばレーザ露光方式、PLZT方式、CRT方式など適宜のものを採用することができる。そして、プリンタ31において露光された印画紙311は、プロセッサ32を経て仕上げ処理部33へと搬送され、仕上がりの写真プリントとして排出される。
PC40は、写真処理装置1における各種の動作を制御するためのものである。また、PC40には、画像処理基板20のサブメモリ24から送信された表示画像ファイルに基づいて画像を表示するディスプレイ41と、オペレータが写真処理装置1を操作するためのキーボードやマウス等の入力装置42とが接続されている。オペレータは、ディスプレイ41に表示された画像を判定し、入力装置42から補正値等を入力することができる。
次に、画像処理基板20における画像処理の流れを図2〜図4を参照しつつ説明する。図2は、画像データファイルの受信処理の手順を示すフローチャートである。図3は、画像処理基板20における1つの画像データファイルの処理手順を示すフローチャートである。図4は、画像処理基板20の三つの入力メモリ21〜23における四つの画像データファイルA、B、C、Dに対する処理の流れの一例を時系列で表したものである。なお、画像データファイルA、B、C、Dは、それぞれ長さの異なる四本のフィルムA、B、C、Dを順にスキャナ10で読み取ることによって得られるものである。
先ず、画像処理基板20では、画像データファイルの受信処理(図2に示すフローチャート)が開始され、画像データファイルを受信したかどうかが判断される(ステップS101)。画像処理基板20が画像データファイルを受信していない場合は(ステップS101:NO)、画像データファイルを受信するまでステップS101での判断が繰り返される。
一方、画像処理基板20が画像データファイルを受信した場合は(ステップS101:YES)、検知部29bによって、三つの入力メモリ21〜23のうち、画像データファイルを受信した時点において読み出し中でないメモリが検知される(ステップS102)。次に、分配チップ27によって、ステップS102において検知されたメモリに、画像データファイルが振り向けられる(ステップS103)。そして、受信した画像データファイルのメモリへの書き込みが開始される(ステップS104)。その後、再びステップS101に戻り、画像処理基板20が次の画像データファイルを受信したかどうかの判断が繰り返される。
なお、画像処理基板20には、三つの入力メモリ21〜23が設けられているので、ステップS102において、読み出し中でないメモリは2つ以上検知される。本実施の形態では、ステップS102において検知された複数のメモリのうち、画像データファイルの書き込み処理が終了してからの経過時間が最も長いメモリに、新たに受信した画像データファイルを振り向けることにする。
ここで、図3のフローチャートを用いて、画像処理基板20での、1つの画像データファイルの処理手順を説明する。先ず、画像データファイルがメモリに書き込まれている間、書き込み中のメモリの空き容量が有るかどうかが判断される(ステップS201)。書き込み中のメモリの空き容量が有る場合は(ステップS201:YES)、受信中の画像データファイルの書き込みが終了したかどうかが判断される(ステップS204)。そして、受信中の画像データファイルの書き込みが終了していない場合は(ステップS204:NO)、引き続きメモリへの書き込みを行い、ステップS201に戻って、書き込み中のメモリの空き容量が有るかどうかが判断される。
一方、書き込み中のメモリの空き容量が無い場合は(ステップS201:NO)、検知部29bが、残りの二つのメモリのうち、メモリの空き容量が無くなった時点において読み出し中でないメモリを検知する(ステップS202)。その後、分配チップ27によって、最初に振り向けられたメモリに書き込まれなかった画像データファイルの残部が、ステップS202で検知された読み出し中でないメモリに振り向けられる(ステップS203)。そして、再び画像データファイルの書き込みが開始され、ステップS201での、書き込み中のメモリの空き容量が有るかどうかの判断が繰り返される。
上述のように、受信した画像データファイルが全てメモリに書き込まれ、書き込み処理が終了すると(ステップS204:YES)、表示画像ファイルが生成され、サブメモリ24に記憶される。そして、サブメモリ24に記憶された表示画像ファイルがPC40に送信され、ディスプレイ41に画像が表示される。このとき、オペレータによって、ディスプレイ41に表示された画像の判定が開始される(ステップS205)。
その後、画像処理チップ25が稼動しているかどうかが判断される(ステップS206)。画像処理チップ25が稼動している場合は(ステップS206:YES)、画像処理チップ25の稼動が停止するまでステップS206での判断が繰り返される。一方、画像処理チップ25の稼動が停止している場合には(ステップ206:NO)、読み出し順管理部29dによって、現在処理中の画像データファイルよりの先に画像処理基板20が受信した画像データファイル(以降、「先行ファイル」と称する)の画像処理が終了しているかどうかが判断される(ステップS207)。
先行ファイルの画像処理が終了していない場合には(ステップS207:NO)、画像処理チップ25では、先行ファイルの画像処理が開始されるので、再びステップS206に戻り、画像処理チップ25の駆動が停止するまで、画像処理チップ25が稼動しているかどうかの判断を繰り返す。一方、先行ファイルの画像処理が終了している場合には(ステップS207:YES)、画像処理チップ25への読み出しが開始される(ステップS208)。このとき、画像処理チップ25では、読み出された画像データファイルに対する画像処理が行われる。
その後、画像データファイルの画像処理チップ25への読み出しが終了したかどうかが判断される(ステップS209)。画像データフィルの読み出しが終了していない場合には(ステップS209:NO)、読み出しが終了するまでステップS209の判断が繰り返される。一方、画像データファイルを全て読み出し、画像処理が終了すると(ステップS209:YES)、削除指示部29aから削除信号が送信され、メモリから画像データファイルが削除される(ステップS210)。
ここで、本実施の形態では、三つの入力メモリ21〜23の中に、データが格納されていないメモリがある場合には、新たに受信した画像データファイルや、最初に振り向けられたメモリに書き込むことができなかった画像データファイルの残部は、そのメモリに振り向けることにする。また、データが格納されていないメモリが複数ある場合には、第1入力メモリ21を最も優先し、次いで第2入力メモリ22を優先して画像データファイルを振り向けることにする。
次に、図4を参照しつつ、画像処理基板20の三つの入力メモリにおける四つの画像データファイルA〜Dに対する処理の流れの一例を説明する。
先ず、画像処理基板20が画像データファイルAを受信すると、第1入力メモリ21に画像データファイルAが振り向けられる。そして、時刻t1において、第1入力メモリ21への画像データファイルAの書き込みが開始される。時刻t2において、画像データファイルAの書き込み処理が終了すると、表示画像ファイルが生成され、サブメモリ24に記憶される。さらに、表示画像ファイルがサブメモリ24からPC40に送信され、ディスプレイ41にフィルムAに記録されたコマ画像が表示される。このとき、オペレータはディスプレイ41に表示された画像の判定処理を開始する。
また、時刻t2において画像データファイルAの書き込み処理が終了した後、画像処理基板20が画像データファイルBを受信すると、第2入力メモリ22に画像データファイルBが振り向けられる。そして、時刻t3において、第2入力メモリ22への画像データファイルBの書き込みが開始される。その後、時刻t4において、画像データファイルAの画像処理チップ25への読み出しが開始され、画像データファイルAに画像処理が施される。さらに、時刻t5において、画像データファイルBの書き込み処理が終了すると、表示画像ファイルが生成され、サブメモリ24に記憶される。さらに、表示画像ファイルがサブメモリ24からPC40に送信され、ディスプレイ41にフィルムBに記録されたコマ画像が表示される。このとき、オペレータはディスプレイ41に表示された画像の判定処理を開始する。
そして、時刻t5において画像データファイルBの書き込みが終了した後、画像処理基板20が画像データファイルCを受信すると、第3入力メモリ23に画像データファイルCが振り向けられ、時刻t6において、第3入力メモリ23への画像データファイルCの書き込みが開始される。その後、時刻t7において、画像データファイルCの書き込みが終了すると、表示画像ファイルが生成され、サブメモリ24に記憶される。さらに、表示画像ファイルがサブメモリ24からPC40に送信され、ディスプレイ41にフィルムCに記録されたコマ画像が表示される。このとき、オペレータはディスプレイ41に表示された画像の判定処理を開始する。
さらに、画像データファイルCの書き込みが終了した後、画像処理基板20が画像データファイルDを受信すると、検知部29bによって、読み出し中でないメモリが検知される。このとき、図4に示すように、第1入力メモリ21では、画像データファイルAの読み出しが行われているので、第2入力メモリ22および第3入力メモリ23が検知される。したがって、画像データファイルDは、第2入力メモリ22、第3入力メモリ23のうち、画像データファイルの書き込み処理が終了してからの経過時間が長い第2入力メモリ22に振り向けられる。そして、時刻t8において、第2入力メモリ22への画像データファイルDの書き込みが開始される。
その後、時刻t9において、画像データファイルAの画像処理チップ25への読み出しが終了すると、画像処理チップ25の稼動が停止しており、画像データファイルBの先行ファイルである画像データファイルAの画像処理が終了したと判断されるので、引き続き、画像データファイルBの画像処理チップ25への読み出しが開始される。そして、画像処理が終了した第1入力メモリ21の画像データファイルAが削除される。
また、時刻t9において画像データファイルBの読み出しが開始した後、時刻t10において画像データファイルDの第2入力メモリ22への書き込みが終了する。そして、画像データファイルDから表示画像ファイルが生成され、サブメモリ24に記憶される。さらに、表示画像ファイルがサブメモリ24からPC40に送信され、ディスプレイ41にフィルムDに記録されたコマ画像が表示される。このとき、オペレータはディスプレイ41に表示された画像の判定処理を開始する。
さらに、時刻t10において画像データファイルDの第2入力メモリ22への書き込みが終了した後、時刻t11において画像データファイルBの画像処理チップ25への読み出しが終了する。このとき、画像処理チップ25の稼動が停止しており、画像データファイルCの先行ファイルである画像データファイルBの画像処理が終了したと判断されるので、引き続き、画像データファイルCの画像処理チップ25への読み出しが開始される。また、画像処理が終了した第2入力メモリ22の画像データファイルBが削除される。
そして、時刻t12において画像データファイルCの画像処理チップ25への読み出しが終了すると、画像処理チップ25の稼動が停止しており、画像データファイルDの先行ファイルである画像データファイルCの画像処理が終了したと判断されるので、引き続き、画像データファイルDの画像処理チップ25への読み出しが開始される。このとき、画像処理が終了した第3入力メモリ23の画像データファイルCが削除される。その後、時刻t13において、画像データファイルDの第2入力メモリ22からの読み出しが終了すると、画像データファイルDが削除される。
ここで、画像データファイルDの受信中に、画像データファイルDが書き込まれている第2入力メモリ22の空き容量がなくなった場合について考える。このような場合には、検知部29bが、第1入力メモリ21、第3入力メモリ23のうち、第2入力メモリ22の空き容量が無くなった時点において読み出し中でないメモリを検知し、検知されたメモリに画像データファイルDの残部が振り向けられる。
したがって、第1入力メモリ21からの画像データファイルAの読み出しが終了する前に、第2入力メモリ22の空き容量がなくなった場合には、読み出し中でない第3入力メモリ23に画像データファイルDの残部が振り向けられる。また、画像データファイルAの読み出しが終了し、第1入力メモリ21に格納された画像データファイルAが削除された後に、第2入力メモリ22の空き容量がなくなった場合には、読み出し中でないメモリとして、第1入力メモリ21および第3入力メモリ23が検知される。この場合には、データが格納されていない状態である第1入力メモリ21に、画像データファイルDの残部が振り向けられる。
このようにして、画像データファイルDの受信中に、画像データファイルDが書き込まれている第2入力メモリ22の空き容量がなくなった場合は、画像データファイルDの残部は、第1入力メモリ21または第3入力メモリ23のいずれかに振り向けられ、引き続き、画像データファイルDの書き込み処理が行われる。
なお、上述の画像処理基板20の三つの入力メモリ21〜23における画像データファイルに対する処理の流れは一例である。上述の説明では、4番目の画像データファイルDが第2入力メモリ22に振り向けられる場合について述べたが、各画像データファイルの容量の大きさ等によって、画像データファイルDが振り向けられるメモリは異なる。
例えば、図5には、時刻t9において、画像データファイルAの画像処理チップ25への読み出しが終了した後である、時刻t7’において、画像データファイルCの第3入力メモリ23への書き込みが終了する場合の画像処理の流れを示している。図5に示すように、画像データファイルCの書き込みが終了した時点において、第2入力メモリ22では画像データファイルBが読み出されている。したがって、このとき画像処理基板20が画像データファイルDを受信すると、検知部29bでは、読み出し中でないメモリとして、第1入力メモリ21および第3入力メモリ23が検知される。この場合には、画像データファイルDは、データが格納されていない状態である第1入力メモリ21に振り向けられる。そして、時刻t8’において、第1入力メモリ21への画像データファイルDの書き込みが開始される。
以上のように、本実施の形態では、三つの入力メモリ21〜23と、各入力メモリ21〜23に画像データファイルを振り向ける分配チップ27と、画像データファイルを受信した時点において読み出し中でないメモリを検知する検知部29bと、分配チップ27が、検知部29bによって検知されたメモリに画像データファイルを振り向けるようにするデータ振り向け信号を生成すデータ分配指示部29cとを有している。したがって、三つの入力メモリ21〜23のうち、画像データファイルを受信した時点において読み出し中でないメモリに画像データファイルを振り向けるために、受信した画像データファイルを、三つの入力メモリ21〜23に所定の順番に振り向ける場合と比べて、一つのメモリに対するデータの書き込みと読み出しとが同時に行われる時間を短くすることができる。その結果、写真処理装置1および画像処理基板20の処理能力を向上させることができる。
また、本実施の形態では、受信した画像データファイルが振り向けられたメモリの空き容量が画像データファイルの受信中になくなると、受信中の画像データファイルの残部は、分配チップ27によって、最初に画像データファイルが振り向けられたメモリの空き容量がなくなった時点において、検知部29bによって検知された読み出し中でないメモリに振り向けられる。したがって、受信した画像データファイルが振り向けられたメモリの空き容量が画像データファイルの受信中になくなった場合でも、引き続き画像データファイルを受信し、受信した画像データファイルが最初に振り向けられたメモリの空き容量がなくなった時点において、読み出し中でないメモリに書き込みを行うことができる。したがって、写真処理装置1および画像処理基板20の処理能力を一層向上させることができる。
さらに、本実施の形態では、読み出し順管理部29dによって、三つの入力メモリ21〜23にそれぞれ書き込まれた複数の画像データファイルが、スキャナ10から送信された順番と同じ順番で画像処理チップ25に読み出される。したがって、スキャナ10から送信された順番と同じ順番で、画像処理基板20から画像形成部30に画像データファイルを送信し、印画紙311に画像を形成することができる。つまり、写真処理装置1においてオーダーを受け付けた順番と同じ順番で、仕上がりプリントが完成する。その結果、仕上がりプリントの管理が容易となる。
次に、本発明の実施の形態にかかる写真処理装置について説明する。本実施の形態に係る写真処理装置1が、第1の参考例に係る写真処理装置1と異なる点は、第1の参考例の写真処理装置1では、検知部29bが三つの入力メモリ21〜23のうち画像データファイルの読み出し中でないメモリを検知し、分配チップ27が検知部29によって読み出し中でないと検知されたメモリに画像データファイルを振り向けるのに対して、本実施の形態の写真処理装置1では、検知部29bが一定期間内における読み出し時間長を、三つの入力メモリ21〜23の各々について検知し、分配チップ27が、検知部29bによって一定期間内における読み出し時間長が最も短いと検知されたメモリに画像データファイルを振り向ける点である。なお、その他の構成については、第1の参考例の写真処理装置1と同様であるので、説明は省略する。
ここで、図6を参照しつつ、本実施の形態の写真処理装置1に設けられた画像処理基板20における画像処理の流れの一例を説明する。なお、図6は、画像処理基板20の第1〜第3入力メモリ21〜23における、それぞれ長さの異なる四本のフィルムA、B、C、Dを読み取ることによって得られた、四つの画像データファイルA、B、C、Dに対する処理の流れの一例を時系列で表したものである。
図6に示すように、第1の参考例と同様に、画像処理基板20に順次送信される画像データファイルA、B、Cは、第1入力メモリ21、第2入力メモリ22、第3入力メモリ23に順番に書き込まれる。また、時刻t3において、画像データファイルBの第2入力メモリ22への書き込みが開始された後、時刻t4において、画像データファイルAの第1入力メモリ21からの読み出しが開始される。そして、画像処理チップ25によって画像データファイルAの画像処理が行われる。
さらに、時刻t7において、画像データファイルCの第3入力メモリ23への書き込みが終了した後、画像処理基板20が画像データファイルDを受信すると、検知部29bによって画像データファイルDを受信してからの一定期間内における読み出し時間長が検知され、分配チップ27によって、一定期間内における読み出し時間が最も短いメモリに画像データファイルDが振り向けられる。
ここで、一定期間を、画像データファイルDが受信される時刻t8から、画像データファイルCの読み出しが終了する時刻t11までに設定する(図6において、両矢印Pで示す期間)。また、画像データファイルDが受信される時刻t8から、第1入力メモリ21からの画像データファイルAの読み出しが終了する時刻t9までの時間長をL1、第2入力メモリ22における画像データファイルBの読み出し時間長をL2、第3入力メモリ23における画像データファイルCの読み出し時間長をL3とする。つまり、時間長L1、L2、L3は、一定期間内における第1入力メモリ21、第2入力メモリ22、第3入力メモリ23からの読み出し時間長にそれぞれ対応する。なお、時間長L1、L2、L3は、以下の(式1)に示す関係を有している。
L1>L3>L2 (式1)
したがって、この一定期間内における読み出し時間長が最も短い第2入力メモリ22に画像データファイルDが振り向けられる。そして、時刻t8において、画像データファイルDの第2入力メモリ22への書き込みが開始される。
その後、第1の参考例と同様に、画像データファイルB、C、Dが順次画像処理チップ25に読み出され、それぞれ画像処理が施される。
ここで、画像データファイルDの受信中に、画像データファイルDが書き込まれている第2入力メモリ22の空き容量がなくなった場合について考える。このような場合には、検知部29bが、第1入力メモリ21、第3入力メモリ23のうち、第2入力メモリ22の空き容量が無くなった時点からの一定期間内における読み出し時間長が最も短いと検知したメモリに画像データファイルDの残部が振り向けられる。
なお、上述の画像処理基板20の三つの入力メモリ21〜23における画像データファイルに対する処理の流れは一例である。一定期間の設定方法によって、画像データファイルDが振り向けられるメモリは異なる。
例えば、図6において、一定期間を、画像処理基板20が画像データファイルDを受信する時刻t8から、画像データファイルBの読み出しが終了する時刻t10までに設定する。このとき、画像データファイルDを受信した時点からの一定期間内における第1入力メモリ21の読み出し時間長はL1、第2入力メモリ22の読み出し時間長はL2であり、この一定期間内において第3入力メモリ23からの読み出しは行われない。したがって、画像データファイルDは、一定期間内における読み出し時間長が最も短い第3入力メモリ23に振り向けられる。
なお、検知部29bによって各メモリ21〜23からの読み出し時間長を検知する一定期間は、あらかじめ設定されていてもよいし、オペレータによって、その都度設定されてもよい。
以上のように、本実施の形態では、第1の参考例と同様に、受信した画像データファイルを、三つの入力メモリ21〜23に所定の順番に振り向ける場合と比べて、一つのメモリに対するデータの書き込みと読み出しとが同時に行われる時間を短くすることができる。その結果、写真処理装置1および画像処理基板20の処理能力を向上させることができる。
次に、本発明の第2の参考例にかかる写真処理装置について説明する。本参考例にかかる写真処理装置1が、第1の参考例の写真処理装置1と異なる点は、第1の参考例の写真処理装置1では、画像処理基板20に三つの入力メモリ21〜23が設けられているのに対して、本参考例の写真処理装置1では、画像処理基板20に第1入力メモリ21および第2入力メモリ22の二つの入力メモリが設けられている点である。なお、その他の構成については、第1の参考例の写真処理装置1と同様であるので、説明は省略する。
ここで、図7を参照しつつ、本参考例の写真処理装置1に設けられた画像処理基板20における画像処理の流れの一例を説明する。なお、図7は、画像処理基板20の第1および第2の入力メモリ21、22における、それぞれ長さの異なる三本のフィルムA、B、Cを読み取ることによって得られた、三つの画像データファイルA、B、Cに対する処理の流れの一例を時系列で表したものである。
図7に示すように、第1の参考例と同様に、画像処理基板20に順次送信される画像データファイルA、Bは、第1入力メモリ21、第2入力メモリ22に順番に書き込まれる。また、時刻t3において、画像データファイルBの第2入力メモリ22への書き込みが開始された後、時刻t4において、画像データファイルAの第1入力メモリ21からの読み出しが開始される。そして、画像処理チップ25によって画像データファイルAの画像処理が行われる。
さらに、時刻t5において、画像データファイルBの第2入力メモリ22への書き込みが終了した後、画像処理基板20が画像データファイルCを受信すると、検知部29bによって画像データファイルCを受信した時点において読み出し中でないメモリが検知される。このとき、図7に示すように、第1入力メモリ21では、画像データファイルAの読み出しが行われているので、第2入力メモリ22が検知される。そして、検知部29bで検知された第2入力メモリ22に分配チップ27によって画像データファイルCが振り向けられ、時刻t6において、画像データファイルCの第2入力メモリ22への書き込みが開始される。
その後、第1の参考例と同様に、画像データファイルB、Cが順次画像処理チップ25に読み出され、それぞれ画像処理が施される。
以上のように、第2の参考例では、受信した画像データファイルを、二つの入力メモリ21、22に所定の順番に振り向ける場合と比べて、一つのメモリに対するデータの書き込みと読み出しとが同時に行われる時間を短くすることができる。その結果、第1の参考例と同様に、写真処理装置1および画像処理基板20の処理能力を向上させることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。
例えば、上述の実施の形態では、画像データファイルが振り向けられたメモリの空き容量が画像データファイルの受信中になくなると、画像データファイルの残部を、検知部29bによって検知されたメモリに振り向ける場合について説明したが、これには限られない。画像データファイルが振り向けられたメモリの空き容量が画像データファイルの受信中になくなった場合には、検知部29bによる検知を行わずに、メモリの空き容量が有る別のメモリに画像データファイルの残部を振り向ければよい。また、画像データファイルが振り向けられたメモリの空き容量が画像データファイルの受信中になくなった場合に、スキャナ10でのフィルムの読み取りを一旦中止し、1本のフィルから得られる1つの画像データファイルを1つのメモリに連続して書き込むことができるようになるまで待機してから、フィルムの読み取りを再開するようにしてもよい。
また、上述の実施の形態では、読み出し順管理部29dによって、複数の入力メモリにそれぞれ書き込まれた複数の画像データファイルが、スキャナ10から送信された順番と同じ順番で画像処理チップ25に読み出される場合について説明したが、スキャナ10から画像処理基板20に送信された順番と、各メモリから画像処理チップ25に読み出される順番とは異なっていてもよい。