JP4404540B2 - インクジェット用インク、インクジェット記録方法およびインクジェット用インクの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水系の着色微粒子分散物、該着色微粒子分散物を含有してなるインクジェット用インクならびにそれを用いたインクジェット記録方法に関し、更に詳しくは、記録画像の品質が高く、吐出安定性に優れ、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録用インク等に好適な着色微粒子分散物、サーマル、圧電、電界又は音響インクジェット方式に好適なインクジェット用インク及びインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピューターの普及に伴いインクジェットプリンターがオフィスだけでなく家庭で紙、フィルム、布等に印字するために広く利用されている。インクジェット用インクは油性、水性、固体状インクが知られているが、製造・取り扱い性・臭気・安全性等の点から水性インクが主流となっている。
【0003】
しかし、前記水性インクの多くは分子状態で溶解する水溶性染料を用いているため、透明性、色濃度が高いという利点があるものの染料が水溶性であるため、耐水性が悪くいわゆる普通紙に印字すると滲み(ブリード)を生じて著しく印字品質が低下したり、また耐光性が悪いという問題がある。
【0004】
そこで上記問題を解決する目的で顔料や分散染料を用いた水性インクが提案され、多数開示されている(例えば、特許文献1参照)。ところが、これらの水性インクの場合、耐水性はある程度向上するものの十分とは言い難く、該水性インク中での顔料や分散染料の分散物の保存安定性に欠け、インク吐出口での目詰まりを起こしやすいなどの問題がある。
また、最近のインクジェット技術の高画質化志向の高まりによって出現した、表面に多孔質無機顔料を含むインク受容層を設けた記録紙(いわゆる写真画質用紙)を用いると、上記の顔料や分散染料を用いた水性インクはしみ込み性に乏しく、手でこすると表面から染顔料が剥離しやすいという欠点がある。
【0005】
また、上記の問題を解決する目的で、アクリルポリマーやポリウレタン、ポリエステル分散物粒子に染料を内包させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、これらに記載の分散物では所望の濃度に染料を内包すると分散安定性に優れた着色粒子が得られにくいという欠点を有しており、また上記同様、染料の剥離の問題を有していた。
【0006】
一方、基材との接着性の観点では、重合性アクリレート、着色剤、UV光開始剤からなり、プラスチック基材への接着性に優れたUV硬化性インクジェットインクが開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、該特許に記載された着色剤はいずれも顔料分散物であり、得られる色像の色調は十分と言えるものではなく、また、選択する重合性アクリレートによっては顔料の分散安定性に問題が生じ、インクの凝集が生じやすいという欠点を持っていた。
【0007】
このような問題に対して、得られる色像の色調を解決すべく着色剤を油溶性染料に変更すると、油溶性染料が硬化重合反応を阻害する事に基づいて必ずしも十分な硬化性が得られなかったり、重合を完結するのに長時間を要したり、多大のエネルギーを要するという問題が起りやすいという事が分った。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−63723号公報
【特許文献2】
特開平11−286637号公報
【特許文献3】
英国特許第2314851号明細書
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、取り扱い性、安全性、着色微粒子の分散安定性に優れ、基材依存性が無く、任意に選択した基材に印字した際の発色性・色調に優れるとともに耐水性、耐光性が良好で印字直後の汚れがなく、インク経時による染料の安定性に優れたインクジェット用インク及びインクジェット記録方法を提供する事を目的とする。また、特に紙に印字した際にはインク浸透性に優れ、印字直後の汚れを解消するとともに、印字後により高感度の重合反応が可能で、重合硬化によって耐水性、耐光性にも優れた記録が可能なインクジェット用インク及びインクジェット記録方法を提供する事を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段及びその好ましい態様は、以下の通りである。即ち、
<1> 重合可能な疎水性エチレン性不飽和モノマー、油溶性染料を少なくとも含む着色微粒子分散物と重合開始剤を含有し、油溶性染料の少なくとも1種の酸化電位が1.0V以上(1.0及び1.0より貴)である事を特徴とするインクジェット(記録)用インク。
<2> 油溶性染料の少なくとも1種が下記一般式(M−I)で表される化合物である事を特徴とする上記<1>に記載のインクジェット用インク。
【0011】
【化2】
【0012】
一般式(M−I)において、Aは5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。B1およびB2は各々-CR1-、-CR2-を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子、他方が-CR1-または-CR2-を表す。R5、R6は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、スルファモイル基を表わし、各基は更に置換基を有していても良い。ただしR5、R6が同時に水素原子であることはない。G、R1、R2は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、アルキル及びアリールスルホニル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、スルファモイル基、またはヘテロ環チオ基を表し、各基は更に置換されていても良い。R1とR5、あるいはR5とR6が結合して5乃至6員環を形成しても良い。
【0013】
<3> 着色微粒子分散物におけるエチレン性不飽和モノマーの含有量が25質量%以上90質量%以下である事を特徴とする<1>または<2>に記載のインクジェット用インク。
<4> 重合開始剤が着色微粒子分散物中に含まれる事を特徴とする<1>から<3>のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【0014】
<5> 重合開始剤が加熱もしくは紫外線によってラジカルを発生する開始剤である事を特徴とする<1>から<4>のいずれかに記載のインクジェット用インク。
<6> 疎水性エチレン性不飽和モノマーの沸点が150℃以上である事を特徴とする<1>から<5>のいずれかに記載のインクジェット用インク。
<7> 着色微粒子分散物における着色微粒子の体積平均粒子径が1nm以上300nm以下である事を特徴とする<1>から<6>のいずれかに記載のインクジェット用インク。
<8> 粘度が10mPa・s以下である事を特徴とする<1>から<7>のいずれかに記載のインクジェット用インク。
<9> <1>から<8>のいずれかに記載のインクジェット用インクを用いて記録を行った後に、疎水性エチレン性不飽和モノマーの重合を行なう事を特徴とするインクジェット記録方法。
<10> 記録を行う受像材料が、多孔性無機顔料を含むインク受容層を支持体上に有してなる事を特徴とする<9>に記載のインクジェット記録方法。
<11> <1>〜<8>のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法において、疎水性エチレン性不飽和モノマー及び油溶性染料を少なくとも含有する溶液を水性媒体に乳化分散して着色微粒子分散物を得る工程を含むことを特徴とする<1>〜<8>のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
(インクジェット用インク)
以下、本発明のインクジェット用インクについて説明する。
本発明のインクジェット用インクは、重合可能な疎水性エチレン性不飽和モノマー、酸化電位1.0V以上の油溶性染料を少なくとも含む着色微粒子分散物と重合開始剤を含有してなる。
【0016】
<着色微粒子分散物>
ここでは前記着色微粒子分散物について説明する。
本発明の着色微粒子分散物は、重合可能なエチレン性不飽和モノマー、油溶性染料を少なくとも含む着色微粒子が、水性媒体に分散されているものである。
更に詳しく述べると、本発明の着色微粒子分散物とは、重合可能なエチレン性不飽和モノマーと油溶性染料とを含む着色微粒子が、水性媒体に微粒子状の油滴として分散され、いわゆる乳化状態になっているものである。
なお、本発明における「水性媒体」とは、水または少量の水混和性有機溶剤と水との混合物に、必要に応じて界面活性剤、湿潤剤、安定剤、防腐剤などの添加剤を添加したものを意味する。
【0017】
<油溶性染料>
本発明の着色微粒子分散物において、重合可能なエチレン性不飽和モノマーを効率よく重合させるためには油溶性染料の酸化電位が1.0V(vsSCE)以上である事が好ましい。酸化電位は貴であるほど好ましく、酸化電位が1.1V(vsSCE)より貴であるものがより好ましく、1.2V(vsSCE)より貴であるものが特に好ましい。マゼンタ色素の場合、得られる画像の色相、画像保存性も勘案すると、下記一般式(M−I)で表される色素が特に好ましい。
【0018】
まず、本発明の前記一般式(M−I)で表される色素について詳細に説明する。
一般式(M−I)において、Aは5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。B1およびB2は各々-CR1=、-CR2=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子、他方が-CR1=または-CR2=を表す。R5、R6は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、スルファモイル基を表わし、各基は更に置換基を有していても良い。G、R1、R2は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、アルキル及びアリールスルホニル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、スルファモイル基、またはヘテロ環チオ基を表し、各基は更に置換されていても良い。R1とR5、あるいはR5とR6が結合して5乃至6員環を形成しても良い。
【0019】
一般式(M−I)の染料について更に詳細に説明する。
一般式(M−I)において、Aは5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。複素環のヘテロ原子の例には、N、O、およびSを挙げることができる。好ましくは含窒素5員複素環であり、複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。Aの好ましい複素環の例には、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、トリアゾール環を挙げる事ができる。各複素環基は更に置換基を有していても良い。中でも下記一般式(a)から(f)で表されるピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾイソチアゾール環、トリアゾール環が好ましい。
【0020】
【化3】
【0021】
上記一般式(a)から(f)において、R7からR20はG、R1、R2で説明した置換基と同じ置換基を表す。
一般式(a)から(f)のうち、好ましいのは一般式(a)、(b)で表されるピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましいのは一般式(a)で表されるピラゾール環である。
B1およびB2は各々-CR1=、-CR2=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子、他方が-CR1=または-CR2=を表すが、各々-CR1=、-CR2=を表すものがより好ましい。R5、R6は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、スルファモイル基を表わし、各基は更に置換基を有していても良い。R5、R6で表される好ましい置換基は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基を挙げる事ができる。さらに好ましくは水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基である。最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。各基は更に置換基を有していても良い。ただしR5、R6が同時に水素原子であることはない。
【0022】
G、R1、R2は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキル及びアリールスルホニル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、またはスルファモイル基を表し、各基は更に置換されていても良い。Gで表される置換基としては水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールチオ基、またはヘテロ環チオ基が好ましく、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、複素環アミノ基を含む)またはアシルアミノ基であり、中でも水素原子、アリールアミノ基、アミド基が最も好ましい。各基は更に置換基を有していても良い。
【0023】
R1、R2で表される好ましい置換基は、水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基を挙げる事ができる。各基は更に置換基を有していても良い。
R1とR5、あるいはR5とR6が結合して5乃至6員環を形成しても良い。A、R1、R2、R5、R6、Gで表される各置換基が更に置換基を有する場合の置換基としては、上記G、R1、R2で挙げた置換基を挙げる事ができる。
【0024】
本明細書において、脂肪族基はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基および置換アラルキル基を意味する。脂肪族基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分はフェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。脂肪族基の例には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、およびアリル基をあげる事ができる。
【0025】
本明細書において、芳香族基はアリール基および置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。芳香族基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6から16がさらに好ましい。芳香族基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニルおよびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが含まれる。複素環基には、置換基を有する複素環基および無置換の複素環基が含まれる。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。前記複素環基としては、5員または6員環の複素環基が好ましい。前記置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、イオン性親水性基などが含まれる。前記複素環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基および2−フリル基が含まれる。
【0026】
アルキルおよびアリールスルホニル基の例としては、それぞれメタンスルホニル基およびフェニルスルホニル基をあげる事ができる。
アルキルおよびアリールスルフィニル基の例としては、それぞれメタンスルフィニル基およびフェニルスルフィニル基をあげる事ができる。
アシル基には、置換基を有するアシル基および無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アシル基の例には、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
【0027】
アミノ基には、アルキル基、アリール基、複素環基で置換されたアミノ基が含まれ、アルキル基、アリール基、複素環基はさらに置換基を有していてもよい。無置換のアミノ基は含まれない。アルキルアミノ基としては、炭素原子数1〜6のアルキルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルキルアミノ基の例には、メチルアミノ基およびジエチルアミノ基が含まれる。アリールアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基および無置換のアリールアミノ基が含まれる。前記アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールアミノ基が好ましい。前記置換基の例としては、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。前記アリールアミノ基の例としては、アニリノ基および2−クロロアニリノ基が含まれる。
【0028】
アルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基および無置換のアルコキシ基が含まれる。前記アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキシル基、およびイオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基および3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
【0029】
アリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基および無置換のアリールオキシ基が含まれる。前記アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールオキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルコキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシ基の例には、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基およびo−メトキシフェノキシ基が含まれる。
【0030】
アシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜12のアシルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アシルアミノ基の例には、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N-フェニルアセチルアミノおよび3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が含まれる。
【0031】
ウレイド基には、置換基を有するウレイド基および無置換のウレイド基が含まれる。前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜12のウレイド基が好ましい。前記置換基の例には、アルキル基およびアリール基が含まれる。前記ウレイド基の例には、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基および3−フェニルウレイド基が含まれる。
【0032】
スルファモイルアミノ基には、置換基を有するスルファモイルアミノ基および無置換のスルファモイルアミノ基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記スルファモイルアミノ基の例には、N, N−ジプロピルスルファモイルアミノが含まれる。
【0033】
アルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基および無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0034】
アルキル及びアリールスルホニルアミノ基には、置換基を有するアルキル及びアリールスルホニルアミノ基、および無置換のアルキル及びアリールスルホニルアミノ基が含まれる。前記スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12のスルホニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記スルホニルアミノ基の例には、メタンスルホニルアミノ基、N-フェニルメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基、および3−カルボキシベンゼンスルホニルアミノ基が含まれる。
【0035】
カルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基および無置換のカルバモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジメチルカルバモイル基が含まれる。
【0036】
スルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基および無置換のスルファモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基およびジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
【0037】
アルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基および無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
【0038】
アシルオキシ基には、置換基を有するアシルオキシ基および無置換のアシルオキシ基が含まれる。前記アシルオキシ基としては、炭素原子数1〜12のアシルオキシ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アシルオキシ基の例には、アセトキシ基およびベンゾイルオキシ基が含まれる。
【0039】
カルバモイルオキシ基には、置換基を有するカルバモイルオキシ基および無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記カルバモイルオキシ基の例には、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
【0040】
アリールオキシカルボニル基には、置換基を有するアリールオキシカルボニル基および無置換のアリールオキシカルボニル基が含まれる。前記アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。
【0041】
アリールオキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアリールオキシカルボニルアミノ基および無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0042】
アルキル、アリール及び複素環チオ基には、置換基を有するアルキル、アリール及び複素環チオ基と無置換のアルキル,アリール及び複素環チオ基が含まれる。前記アルキル、アリール及び複素環チオ基としては、炭素原子数が1から12のものが好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルキル、アリール及び複素環チオ基の例には、メチルチオ基、フェニルチオ基、2-ピリジルチオ基が含まれる。
【0043】
本発明において、特に好ましい構造は、下記一般式(M−II)で表されるものである。
【0044】
【化4】
【0045】
式中、Z1はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z1はσp値が0.30以上1.0以下の電子吸引性基であるのが好ましい。好ましい具体的な置換基については後述する電子吸引性置換基を挙げることができるが、中でも、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数1〜12のカルバモイル基及び炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
【0046】
R1、R2、R5、R6は一般式(M−I)と同義である。R3、R4は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、スルファモイル基を表わす。中でも水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキル及びアリールスルホニル基が好ましく、水素原子、芳香族基、複素環基が特に好ましい。Z2は水素原子、脂肪族基、芳香族基もしくは複素環基を表す。Qは水素原子、脂肪族基、芳香族基もしくは複素環基を表す。中でもQは5〜8員環を形成するのに必要な非金属原子群からなる基が好ましい。前記5〜8員環は置換されていてもよいし、飽和環であっても不飽和結合を有していてもよい。その中でも特に芳香族基、複素環基が好ましい。好ましい非金属原子としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子または炭素原子が挙げられる。そのような環構造の具体例としては、例えばベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサン環、スルホラン環およびチアン環等が挙げらる。
【0047】
一般式(M−II)で説明した各基は更に置換基を有していても良い。これらの各基が更に置換基を有する場合、該置換基としては、一般式(M−I)で説明した置換基、G、R1、R2で例示した基が挙げられる。
ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について説明する。ハメット則はベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年にL. P. Hammett により提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J. A. Dean編、「Lange's Handbook of Chemistry 」第12版、1979年(Mc Graw-Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、本発明の一般式(1)乃至(2)の中には、ベンゼン誘導体ではない物も含まれるがが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明において、σp値をこのような意味で使用する。
【0048】
ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子吸引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基)を例として挙げることができる。
ハメットσp値が0.45以上の電子吸引性基としては、上記に加えアシル基(例えばアセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えばドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル)を挙げることができる。
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基としては、上記に加え、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ)、スルホニルオキシ基(例えばメチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子吸引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル、ペンタクロロフェニル)、および複素環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾチアゾリル、1−フェニル−2−ベンズイミダゾリル)を挙げることができる。σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、上記に加え、ハロゲン原子がなどが挙げられる。
【0049】
前記一般式(M−I)で表されるアゾ色素として特に好ましい置換基の組み合わせは、R5およびR6として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、スルホニル基、アシル基であり、さらに好ましくは水素原子、アリール基、複素環基、スルホニル基であり、最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。ただし、R5およびR6が共に水素原子であることは無い。
Gとして好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基であり、さらに好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基であり、もっとも好ましくは水素原子、アミノ基、アミド基である。
Aのうち、好ましくはピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環であり、さらにはピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましくはピラゾール環である。
B1およびB2がそれぞれ-CR1=、-CR2=であり、R1、R2は各々好ましくは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基であり、さらに好ましくは水素原子、シアノ基、カルバモイル基、アルコキシ基である。
【0050】
尚、前記一般式(M−I)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0051】
前記一般式(M−I)で表されるアゾ色素の具体例をその酸化電位ともに以下に示すが、本発明に用いられるアゾ色素は、下記の例に限定されるものではない。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
【化5】
【0059】
本発明の着色微粒子分散物において、重合可能なエチレン性不飽和モノマーを効率よく重合させるためには油溶性染料の酸化電位が1.0V(vsSCE)より貴である事が好ましい。酸化電位は貴であるほど好ましく、酸化電位が1.1V(vsSCE)より貴であるものがより好ましく、1.2V(vsSCE)より貴であるものが特に好ましい。
【0060】
酸化電位の値は、試料から電極への電子の移りやすさを表わし、その値が大きい(酸化電位が貴である)ほど試料から電極への電子の移りにくい、言い換えれば、酸化されにくいことを表わす。化合物の構造との関連では、電子求引性基を導入することにより酸化電位はより貴となり、電子供与性基を導入することにより酸化電位はより卑となる。
【0061】
酸化電位の値は、下記に詳述するが、化合物がボルタンメトリーにおいて陽極で、化合物の電子が引き抜かれる電位を意味し、その化合物の基底状態におけるHOMOのエネルギーレベルと近似的に一致すると考えられている。
【0062】
発明者らは着色画像のオゾン堅牢性について研究したところ、着色画像に用いる化合物の酸化電位とオゾン堅牢性との間に相関があり、酸化電位の値が飽和カロメル電極(SCE)に対してより貴である化合物を用いることにより、オゾン堅牢性が改良されることがわかった。
【0063】
着色画像のオゾン堅牢性が改良される理由としては、化合物とオゾンガスのHOMO(最高被占軌道)及びLUMO(最低空軌道)の関係によって説明できる。すなわち、着色剤のHOMOとオゾンガスのLUMOとの反応により着色剤が酸化されて、その結果着色画像のオゾン堅牢性が低下していると考えられるため、オゾン堅牢性を向上させるには、着色剤のHOMOを下げてオゾンガスとの反応性を低下させればよい。
【0064】
酸化電位の値(Eox)は当業者が容易に測定することができる。この方法に関しては、例えばP. Delahay著“New Instrumental Methods in Electrochemistry”(1954年 Interscience Publishers)やA. J. Bard他著“Electrochemical Methods ”(1980年 John Wiley & Sons)、藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年技報堂出版社)に記載されている。
【0065】
酸化電位の測定について具体的に説明する。酸化電位は、過塩素酸ナトリウムや過塩素酸テトラプロピルアンモニウムといった支持電解質を含むジメチルホルムアミドやアセトニトリルのような溶媒中に、被験試料を1×10-4〜1×10-6mol・dm-3溶解して、サイクリックボルタンメトリーや直流ポーラログラフィーを用いてSCE(飽和カロメル電極)に対する値として測定する。
また用いる支持電解質や溶媒は、被験試料の酸化電位や溶解性により適当なものを選ぶことができる。用いることができる支持電解質や溶媒については藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年 技報堂出版社刊)101〜118ページに記載がある。
【0066】
酸化電位の値は、液間電位差や試料溶液の液抵抗などの影響で、数10ミルボルト程度偏位することがあるが、標準試料(例えばハイドロキノン)を用いて校正することにより、測定された電位の値の再現性を保証することができる。
【0067】
本発明における酸化電位は、0.1mol・dm-3の過塩素酸テトラプロピルアンモニウムを支持電解質として含むN,N−ジメチルホルムアミド中(化合物の濃度は1×10-3mol・dm-3)で、参照電極としてSCE(飽和カロメル電極)、作用極としてグラファイト電極、対極として白金電極を使用し、直流ポーラログラフィーにより測定した値を使用する。
【0068】
本発明の一般式(M−I)で表される油溶性染料はマゼンタ染料として好ましく用いることができる。また、一般式(M−I)の染料を単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。また一般式(M−I)以外の染料を併用しても良い。併用する染料は、色相の調整等の目的で任意の種類と量で行なう事ができるが、重合反応の効率の点で酸化電位のより高い染料を併用するのが好ましい。
【0069】
併用可能なマゼンタ染料としては、例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料、例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料等を挙げることができる。
【0070】
またフルカラーインクジェット記録を行なう際に用いられる、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクジェットインクにおいて、一般式(M−I)で表される油溶性染料を用いた本発明のインクジェット記録用インク組成物をマゼンタインクに用いる記録方法が、重合硬化の効率、記録画質の品質ならびに画像の保存性の観点から特に好ましい。
【0071】
本発明のインクジェット用インク組成物は、前記一般式(M−I)で表される染料を好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.2〜15質量%含有する。
―疎水性エチレン性不飽和モノマー―
本発明において用いられるモノマーとしては、紫外線、熱または電子線等のエネルギー付与によって固体化する重合性の二重結合を有する化合物である。疎水性とは、水に対して10%以下の溶解度を有することを意味し、好ましくは3%以下の溶解度を有することを意味する。モノマーとしては、エチレン性不飽和基を1個有するいわゆる単官能の化合物(以後、単官能モノマーと記す)であっても良いし、2官能以上の化合物(以後、多官能モノマーと記す)であっても良いし、単官能モノマーと多官能のモノマーのそれぞれ1種以上を併用しても良い。モノマー種の選択は、着色微粒子の粘度やモノマーを重合した後のポリマーの物性制御(油溶性染料との相溶性、強度、基材との接着性など)を目的として、適宜選択する事ができる。
疎水性エチレン性不飽和モノマーの沸点は150℃以上であることが好ましく、より好ましくは160℃以上300℃以下である。
【0072】
重合性基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル基、内部二重結合性基(マレイン酸など)が挙げられ、中でもアクリロイル基、メタクリロイル基が重合性に優れ、少量の開始種あるいは低エネルギーで硬化させることができるので好ましく、アクリロイル基が特に好ましい。
【0073】
多官能モノマーとしては、ビニル基含有芳香族化合物、2価以上のアルコールとアクリル酸(またはメタアクリル酸)とのエステルであるアクリレート(またはメタクリレート)、2価以上のアミンとアクリル酸またはメタアクリル酸とのアミドであるアクリルアミド(またはメタクリルアミド)、多塩基酸と2価アルコールの結合で得られるエステルまたはポリカプロラクトンにアクリル酸またはメタアクリル酸を導入したポリエステルアクリレート、アルキレンオキサイドと多価アルコールの結合で得られるエーテルにアクリル酸またはメタアクリル酸を導入したポリエーテルアクリレート、エポキシ樹脂にアクリル酸またはメタアクリル酸を導入するか、あるいは2価以上のアルコールとエポシキ含有モノマーを反応させて得られるエポキシアクリレート、ウレタン結合をもったウレタンアクリレート、アミノ樹脂アクリレート、アクリル樹脂アクリレート、アルキッド樹脂アクリレート、スピラン樹脂アクリレート、シリコーン樹脂アクリレート、不飽和ポリエステルと前記光重合性モノマーの反応生成物およびワックス類と前記重合性モノマーの反応生成物などが挙げられ、アクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート、シリコーン樹脂アクリレート、不飽和ポリエステルと前記光重合性モノマーの反応生成物が好ましく、アクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートが特に好ましい。
【0074】
多官能モノマーの例としては、ジビニルベンゼン、トリビニルシクロヘキサン、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,6−アクリロイルアミノヘキサン、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、2塩基酸と2価アルコールから成る分子量500〜30000のポリエステルの分子鎖末端に(メタ)アクリロイル基をもつポリエステルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノール(AあるいはS、F)骨格を含有する分子量450〜30000のエポキシアクリレート、フェノールノボラック樹脂の骨格を含有する分子量600〜30000のエポキシアクリレート、分子量350〜30000の多価イソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリル酸モノマーとの反応物、また分子内にウレタン結合を有するウレタン変性物などが挙げられる。
【0075】
単官能モノマーとしては、置換あるいは無置換の(メタ)アクリレート、置換あるいは無置換のスチレン類、置換あるいは無置換のアクリルアミド、ビニル基含有モノマー(ビニルエステル類、ビニルエーテル類、N−ビニルアミドなど)、(メタ)アクリル酸などが挙げられ、置換あるいは無置換の(メタ)アクリレート、置換あるいは無置換のアクリルアミド、ビニルエステル類、ビニルエーテル類が好ましく、置換あるいは無置換の(メタ)アクリレート、置換あるいは無置換のアクリルアミドが特に好ましい。
単官能モノマーの例としては、n−ブチルアクリレ−ト、t−ブチルアクリレート、t―オクチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、nードデシルアクリレート、ベンジルアクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロヘキシルアクリレート、n−ブチルメタクリレ−ト、sec−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、nードデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、アリルアクリレート、ジフェニルー2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、N−ブトキシメチルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、t−オクチルアクリルアミド、フェニルアクリルアミド、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、スチレン、メチルスチレン、p―クロロスチレン、p―t−ブチルスチレン、メトキシスチレン、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、ポリジメチルシロキサンモノアクリレートなどが挙げられる。
【0076】
―重合開始剤―
熱重合開始剤としては、アゾビス化合物、パーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、レドックス触媒などがあり、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物、t−ブチルパーオクトエート、ベンゾイルパーオキサイド、イソプロピルパーカーボネート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンー1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2、4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビスシアノ吉草酸、1,1’―アゾビス(1−アセトキシー1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド、2,2′−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕塩酸塩、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1′−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}等を挙げる事ができる。
【0077】
これらの開始剤は着色微粒子に含まれる事、即ち油溶性である事が好ましく、またアゾビス化合物である事が特に好ましい。従って、特に好ましい熱重合開始剤の例としては、2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンー1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2、4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。
【0078】
本発明においてモノマーの重合を進行させるために放射線を用いる場合、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを使用することができる。これらのうち、紫外線、可視光線を用いることがコスト及び安全性の点から好ましく、紫外線を用いることが更に好ましい。放射線として紫外線、可視光線などを使用する場合は、重合を開始するための光重合開始剤が併用される。
光重合開始剤としては、光により発生したラジカルや他の活性種が前記モノマー中の重合性二重結合と反応するものであれば特に制限はない。
【0079】
光重合開始剤としてはアセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジル誘導体、ベンゾイン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、チオキサントン誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体、金属錯体、p−ジアルキルアミノ安息香酸、アゾ化合物、パーオキシド化合物等が一般的に知られ、アセトフェノン誘導体、ベンジル誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、チオキサントン誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体が好ましく、アセトフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体が特に好ましい。
【0080】
光重合開始剤の例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、p,p′−ジクロロベンゾフェノン、p,p′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,2−ジメチルプロピオイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−2−エチルヘキサノイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、2,3,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,3,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメトキシベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルナフチルフォスフォネート、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フィニル)チタニウム、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、ベンゾインパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。
【0081】
さらに光重合開始剤の例としては、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)の第65〜148頁に記載されている光重合開始剤などを挙げることができる。
これらの光重合開始剤は1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、増感剤と併用しても良い。
【0082】
これらの光重合開始剤の使用量は特に制限されていないが、疎水性エチレン不飽和モノマーに対して0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%が更に好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。0.5質量%未満では硬化しないか硬化時間が遅く、20質量%を越えると着色微粒子分散物を経時した時の析出や分離が生じたり、硬化後のインクの強度や擦り耐性などの性能が悪化したりする場合があるので好ましくない。
【0083】
増感剤は、単独では光照射によって活性化しないが、光重合開始剤と一緒に使用した場合に光重合開始剤単独で用いた場合よりも効果があるもので、一般にアミン類が用いられる。アミン類の添加により硬化速度が速くなるのは、第一に水素引き抜き作用により光重合開始剤に水素を供給するためであり、第二に生成ラジカルが大気中の酸素分子と結合して反応性が悪くなるのに対して、アミンが組成中に溶け込んでいる酸素を捕獲する作用があるためである。
【0084】
増感剤としては、アミン化合物(脂肪族アミン、芳香族基を含むアミン、ピペリジン、エポキシ樹脂とアミンの反応生成物、トリエタノールアミントリアクリレートなど)、尿素化合物(アリルチオ尿素、o−トリルチオ尿素など)、イオウ化合物(ナトリウムジエチルジチオホスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩など)、ニトリル系化合物(N,N−ジエチル−p−アミノベンゾニトリルなど)、リン化合物(トリ−n−ブチルホスフィン、ナトリウムジエチルジチオホスファイドなど)、窒素化合物(ミヒラーケトン、N−ニトリソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドとジアミンの縮合物など)、塩素化合物(四塩化炭素、ヘキサクロロエタンなど)等が挙げられる。
【0085】
増感剤の使用量は、通常0.1〜10質量%であり、0.2〜5質量%が好ましく、0.2〜2質量%が特に好ましい。光開始剤と増感剤の選定、組合わせ、及び配合比に関しては使用する疎水性のエチレン性不飽和モノマー、使用装置によって適宜選定すればよい。
【0086】
紫外線や可視光線を照射する光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ケミカルランプなどが使用できる。
【0087】
―その他の成分―
本発明の着色微粒子中には、前記の重合可能な疎水性エチレン性不飽和モノマー、油溶性染料及び重合開始剤以外に、着色微粒子自身の粘度や極性の調整、重合活性の調整の目的で、高沸点の疎水性有機溶媒やポリマーを適宜含むことができる。
【0088】
前記高沸点有機溶媒は沸点が100℃より高い有機溶剤である。前記高沸点有機溶媒は沸点が150℃以上のものが好ましく、170℃以上のものがより好ましい。例えば、多価アルコール類、脂肪族カルボン酸のエステル類、リン酸エステル類、炭化水素などが挙げられ、具体的には、ジエチレングルコール、トリメチロールプロパン、フタル酸ジブチル、安息香酸−2−エチルヘキシル、アルキルナフタレンなどが挙げられる。さらに詳細な具体例としては、特願2000―78518に記載の疎水性高沸点有機溶媒を挙げる事ができる。これらは、目的に応じて、常温で液体、固体の何れのものも使用できる。
前記溶剤は一種類でも複数組み合わせて使用しても良い、使用量は0〜20質量%が好ましく、0〜10質量%が更に好ましい。
【0089】
前記ポリマーは、着色微粒子の極性や粘度の調整、油溶性染料の溶解性向上、硬化後のインクの被記録材との接着性、耐光性の調整などのために使用できる。前記ポリマーは、染料やモノマーとの相溶性が高いものが好ましく、またその分子量は50000以下が好ましく、20000以下が更に好ましい。ポリマーの例としては、例えばビニルポリマー、ポリウレタン、ポリエステルなどが挙げられ、具体的には、ポリブチルアクリレート、ポリ(イソブチルメタクリレート−ヒドロキシエチルアクリレート)(共重合質量比95:5)、ポリ(イソプロピルアクリレート−テトラヒドロフルフリルアクリレート)(共重合質量比70:30)、ポリ(ブチルメタクリレート−N−メトキシメチルアクリルアミド)(共重合質量比80:20)、ポリブチルアクリレート−ポリジメチルシロキサンブロック共重合体(共重合質量比90:10)などが挙げられる。
前記ポリマーは一種類でも複数組み合わせて使用しても良い。ポリマーの使用量は、用いられる重合可能なエチレン性不飽和モノマーや油溶性染料の種類や量によっても異なるが、0〜40質量%が好ましく、0〜20質量%が特に好ましい。
【0090】
本発明においては、着色微粒子中もしくは水性インクの水相中に貯蔵安定剤を含ませる事ができる。貯蔵安定剤は保存中の好ましくない重合を抑制するものであり、例としては、4級アンモニウム塩、ヒドロキシアミン類、環状アミド類、ニトリル類、置換尿素類、複素環化合物、有機酸、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノエーテル類、有機ホスフィン類、銅化合物などが挙げられ、具体的にはベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ジエチルヒドロキシルアミン、ベンゾチアゾール、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、クエン酸、ハイドロキノンモノブチルエーテル、ナフテン酸銅などが挙げられる。使用量は重合可能なエチレン性不飽和モノマーに対して、0.005〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%が更に好ましく、0.01〜0.2質量%が特に好ましい。
【0091】
−着色微粒子分散物の製造−
本発明の着色微粒子分散物は、油溶性染料及び疎水性エチレン性不飽和モノマーを少なくとも含む溶液を水性媒体に分散して製造する、好ましくは更に重合開始剤を含む溶液を水性媒体に分散して製造する。具体的には、前記油溶性染料及び疎水性エチレン性不飽和モノマーを共乳化分散させる方法(共乳化分散法)が挙げられる。前記共乳化分散法としては、前記油溶性染料及び前記疎水性エチレン性不飽和モノマーを含有する溶液(有機溶媒相)に水性媒体を添加すること、並びに、水性媒体中に該有機溶媒相を添加すること、のいずれかにより、油溶性染料と疎水性エチレン性不飽和モノマーとを乳化させ微粒子化させる方法が好適に挙げられる。該有機溶媒相は分散剤を含有していることが好ましい。分散剤としては、下記の界面活性剤等が好ましく用いられる。
【0092】
前記共乳化分散法において用いられる乳化分散装置としては、簡単なスターラーやインペラー撹拌方式、インライン撹拌方式、コロイドミル等のミル方式、超音波方式など公知の装置を用いることができるが、本発明においては、高圧乳化分散装置が好ましく、その中でも、高圧ホモジナイザーが特に好ましい。
【0093】
前記高圧ホモジナイザーは、米国特許第4533254号、特開平6−47264号等に詳細な機構が記載されているが、市販の装置としては、ゴーリンホモジナイザー(A.P.V GAULIN INC.)、マイクロフルイダイザー(MICROFLUIDEX INC.)、アルティマイザー(株式会社スギノマシン)等が挙げられる。
【0094】
また、近年になって米国特許第5720551号に記載されているような、超高圧ジェット流内で微粒子化する機構を備えた高圧ホモジナイザーは本発明の乳化分散に特に有効である。
この超高圧ジェット流を用いた乳化分散装置の例として、DeBEE2000(BEE INTERNATIONAL LTD.)が挙げられる。
【0095】
前記高圧乳化分散装置を用いて乳化分散する際の圧力としては、50MPa以上(500bar以上)が好ましく、60MPa以上(600bar以上)がより好ましく、180MPa以上(1800bar以上)がさらに好ましい。
本発明においては、前記乳化分散の際、例えば、撹拌乳化機で乳化した後、高圧ホモジナイザーを通す等の方法で2種以上の乳化装置を併用するのが特に好ましい。また、一度これらの乳化装置で乳化分散した後、湿潤剤や界面活性剤等の添加剤を添加した後、カートリッジにインク組成物を充填する間に再度高圧ホモジナイザーを通過させるのも好ましい。
【0096】
前記乳化分散の際、油溶性染料と疎水性エチレン性不飽和モノマーに加えて低沸点有機溶媒を含む場合、前記乳化物の安定性及び安全衛生上の観点から、低沸点溶媒を実質的に除去するのが好ましい。
低沸点有機溶媒を実質的に除去する方法としては、該低沸点有機溶媒の種類に応じて各種の公知の方法、例えば、蒸発法、真空蒸発法、限外濾過法等を採用することができる。低沸点有機溶媒の除去工程は、乳化直後、できるだけ速やかに行うのが好ましい。
【0097】
前記乳化分散の際、種々の界面活性剤を用いることができる。例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤、また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)、また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤、さらに特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)に記載のもの等が好適に挙げられる。
【0098】
共乳化分散により、油溶性染料及び疎水性エチレン性不飽和モノマーを含有する着色微粒子を水性媒体に分散させて水性インクとする場合、特に重要なのは、その粒子サイズのコントロールである。
インクジェットにより画像を形成した際の、色純度や濃度を高めるには、前記着色微粒子分散物における着色微粒子の平均粒子径を小さくするのが好ましい。具体的には、着色微粒子の体積平均粒子径は1nm以上300nm以下であるのが好ましく、2nm以上200nm以下であるのがより好ましく、2nm以上100nm以下であるのがさらに好ましい。
また、前記着色微粒子に粗大粒子があると、印刷性能を低下させることがある。例えば、粗大粒子がヘッドのノズルを詰まらせる場合、また詰まらないまでも汚れを形成することによってインクの不吐出や吐出のヨレを生じる場合がある等、印刷性能に悪影響を与える場合がある。
従って、粗大粒子の存在割合は低い方が好ましく、インクを調製した場合に、インク1μリットル中に5μm以上の粒子が10個以下、1μm以上の粒子を1000個以下とするのが好ましい。
これらの粗大粒子を除去する方法としては、公知の遠心分離法、精密濾過法等が利用できる。これらの分離手段は乳化分散直後に行ってもよいし、乳化分散物に湿潤剤や界面活性剤等の各種添加剤を加えた後、インクカートリッジに充填する直前に行ってもよい。着色微粒子の平均粒子径を小さくし、かつ粗大粒子を少なくするのには、機械的な乳化装置を用いるのが有効である。
【0099】
本発明の着色微粒子分散物において、前記疎水性エチレン性不飽和モノマーの含有量は特に制限はないが、記録紙へのインクの良好な染込み性の観点から、着色微粒子分散物における疎水性エチレン性不飽和モノマーの含有量が25質量%以上90質量%以下であることが好ましく、50質量%以上85質量%以下であることがより好ましい。
また、油溶性染料の良好な溶解性を保持するという観点から、油溶性染料に対して疎水性エチレン性不飽和モノマーは30質量%以上2000質量%以下使用するのが好ましく、100質量%以上1500質量%以下であることがより好ましい。
一方、疎水性エチレン性不飽和モノマーの使用量が多すぎると、油相の割合が多すぎることにより、安定で微細な分散が困難になる傾向がある。この観点からも合わせると、疎水性エチレン性不飽和モノマーの使用量は、油溶性染料に対して50質量%以上1500質量%以下が好ましく、100質量%以上1000質量%以下がより好ましい。
【0100】
本発明の好ましい態様として、着色微粒子が前記重合開始剤を含む場合には、着色微粒子分散物の製造法としては、油溶性染料と前記疎水性エチレン性不飽和モノマーと重合開始剤を少なくとも含む液を、上記と同様に共乳化分散させて行なう事ができる。但し、重合開始剤が熱重合開始剤である場合には、乳化分散時や低沸点有機溶媒の脱溶媒時の温度は低温で行なう事が必要であり、その温度は好ましくは40℃以下、特に好ましくは30℃以下(好ましくは0℃以上)である。
また、重合開始剤は乳化分散によって得られた着色微粒子分散物に対して直接添加してもよい。
<その他の成分>
【0101】
本発明のインク組成物はさらに必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有していてもよい。
【0102】
前記その他の成分は、本発明の効果を害しない範囲内において含有され、例えば、乾燥防止剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤、等の公知の添加剤が挙げられる。
【0103】
前記乾燥防止剤は、インクジェット記録方式に用いるノズルのインク噴射口において前記インク組成物が乾操することによる目詰まりを防止する目的で好適に使用される。
【0104】
前記乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。該乾燥防止剤の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチルー2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。
これらの中でも、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの乾燥防止剤は、前記インク組成物中に10〜50質量%含有することが好ましい。
【0105】
前記浸透促進剤は、インク組成物を紙によりよく浸透させる目的で好適に使用される。
【0106】
前記浸透促進剤としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール,ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
前記浸透促進剤は、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)等を生じない範囲内で含有され、インク組成物中に5〜30質量%程度含有されれば通常十分な効果を発揮する。
【0107】
前記紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用され、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤等が挙げられる。
【0108】
前記酸化防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用され、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。
前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、複素環類、等が挙げられる。
前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、等が挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
【0109】
前記防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
【0110】
前記表面張力調整剤としては、ノニオン、カチオン又はアニオン界面活性剤等が、好適に挙げられる。なお、本発明のインク組成物の表面張力としては、25〜70mN/mが好ましく、25〜60mN/mがより好ましい。
【0111】
本発明のインク組成物の粘度としては、30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下がより好ましく、10mPa・s以下が更に好ましい。
【0112】
前記消泡剤としては、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるれるキレート剤等も必要に応じて使用することができる。
【0113】
前記pH調整剤は、着色微粒子分散液のpH調節及び分散安定性付与などの点で好適に使用することができ、pH4.5〜10.0となるように添加するのが好ましく、pH6〜10.0となるよう添加するのがより好ましい。
前記pH調整剤としては、塩基性のものとして有機塩基、無機アルカリ等が好ましく、酸性のものとして有機酸、無機酸等が好ましい。
前記塩基性のpH調整剤において、前記有機塩基の中でも、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等がより好ましく、前記無機アルカリの中でも、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、アンモニア等がより好ましい。前記アルカリ金属の水酸化物の中でも、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなどが特に好ましく、前記炭酸塩の中でも、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが特に好ましい。
また、前記酸性のpH調整剤において、前記有機酸の中でも、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、アルキルスルホン酸などがより好ましく、前記無機酸の中でも、塩酸、硫酸、リン酸などがより好ましい。
【0114】
(インクジェット記録方法)
本発明の画像形成方法は、インクジェットプリンターによるインクジェット記録方法を使用するのが好ましい。前記インクジェット記録方法においては、前記本発明のインク(組成物)を用いて受像材料に記録を行うが、その際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0115】
<受像材料>
前記受像材料としては特に制限はなく、公知の被記録材、例えば、普通紙、樹脂コート紙、インクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等が挙げられる。前記被記録材の中でも、インクジェット専用紙が好ましく、例えば、特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報、等に記載されているものがより好ましい。
【0116】
本発明においては、前記受像材料の中でも、以下の記録紙及び記録フィルムが特に好ましい。前記記録紙及び記録フィルムは、支持体とインク受容層とを積層してなり、必要に応じて、バックコート層等のその他の層をも積層して成る。
なお、インク受容層をはじめとする各層は、それぞれ1層であってもよいし、2層以上であってもよい。
【0117】
前記支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来の公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等を添加混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能であり、また、これらの外、合成紙、プラスチックフィルムシート等であってもよい。
【0118】
前記支持体の厚みとしては、10〜250μm程度であり、坪量は10〜250g/m2が望ましい。
【0119】
前記支持体には、前記インク受容層を設けてもよいし、前記バックコート層をさらに設けてもよく、また、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後に、前記インク受容層及び前記バックコート層を設けてもよい。
また、前記支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。
【0120】
前記支持体の中でも、両面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びそれらのコポリマー等)でラミネートした紙、及びプラスチックフイルムが好ましく用いられる。
前記ポリオレフィン中に、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等)又は色味付け染料(例えば、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム等)を添加することがより好ましい。
【0121】
前記インク受容層には、顔料、水性バインダー、媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、界面活性剤、その他の添加剤が含有される。
【0122】
前記顔料としては、白色顔料が好ましく、該白色顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の無機白色顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂、等の有機顔料等が好適に挙げられる。
これらの白色顔料の中でも、多孔性無機顔料が好ましく、細孔面積が大きい合成非晶質シリカ等がより好ましい。
前記合成非晶質シリカは、乾式製造法によって得られる無水珪酸、及び、湿式製造法によって得られる含水珪酸のいずれも使用可能であるが、含水珪酸を使用することが特に好ましい。
【0123】
前記水性バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体、等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。
これらの水性バインダーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールが、前記顔料に対する付着性、及びインク受容層の耐剥離性の点で好ましい。
【0124】
前記媒染剤としては、不動化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー媒染剤が好ましく用いられる。
前記ポリマー媒染剤としては、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤が特に好適に挙げられる。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される。
【0125】
前記耐水化剤は、画像の耐水化に有効であり、カチオン樹脂が好適に挙げられる。前記カチオン樹脂としては、例えば、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、ポリアミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、カチオンポリアクリルアミド、コロイダルシリカ等が挙げられ、これらの中でも、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリンが特に好ましい。前記カチオン樹脂の含有量としては、前記インク受容層の全固形分に対して1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
【0126】
前記耐光性向上剤としては、例えば、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤等が挙げられ、これらの中でも、硫酸亜鉛が特に好ましい。
【0127】
前記界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良剤、スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能する。前記界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。
前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例えば、フッ素油等)及び固体状フッ素化合物樹脂(例えば、四フッ化エチレン樹脂等)が含まれる。
前記有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号の各公報に記載がある。
【0128】
前記その他の添加剤としては、例えば、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、pH調整剤、マット剤、硬膜剤等が挙げられる。
【0129】
前記バックコート層には、白色顔料、水性バインダー、その他の成分が含有される。
【0130】
前記白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0131】
前記水性バインダーとしては、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。
【0132】
前記その他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0133】
なお、前記記録紙及び記録フィルムにおける構成層(バックコート層を含む)には、ポリマーラテックスを添加してもよい。
前記ポリマーラテックスは、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のような膜物性改良の目的で使用される。
前記ポリマーラテックスについては、特開昭62−245258号、同62−136648号、同62−110066号の各公報に記載がある。
ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマーラテックスを、前記媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマーラテックスを前記バックコート層に添加するとカールを防止することができる。
【0134】
本発明のインクジェット記録方法において、用いる受像材料に特に制限は無いが、支持体上にインク受容層を積層してなり、かつ前記インク受容層が白色顔料を含有する受像材料(被記録材)を用いると、形成画像が高画質となるので好ましい。
また従来の多くの分散インクでは、白色顔料等の多孔質無機顔料を含むインク受容層を有してなる被記録材を用いる場合に、被記録材への染込み性が悪く、形成画像を手で擦ると表面から染料が剥離するという問題があったが、本発明のインクはエチレン性不飽和モノマーと油溶性染料からなる着色分散物が低粘度かつ油状であり、染込み性に優れているので、かかる問題は解決された。
さらに本発明においては、インクを印字した後に、エチレン性不飽和モノマーの重合を行うと、着色微粒子は染料とポリマーからなる微粒子へと変化する。本発明の酸化電位1.0V以上の染料を用いると、より効率的な重合反応が可能になる(例えば、短時間で重合が完結する、あるいは低いエネルギーの印加でも重合が進行する)という効果が得られる。着色微粒子へと変化する事は、画像保存性特に画像の光堅牢性を向上させる事があり、また酸化電位の高い色素自身が優れた画像保存性(光堅牢性、オゾン耐性)を有しているため、大幅に画像堅牢性が向上できる。従って、前記被記録材を用いて本発明のインクを使用すると、高画質で高強度かつ画像堅牢性に著しく優れた画像を形成できる。
【0135】
本発明のインクジェット記録方式には、特に制限は無く、公知の方法、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット)方式等のいずれであってもよい。これらのうち、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式) が特に好ましい。
【0136】
前記インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数放射する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
【0137】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0138】
(実施例1)
―インクジェット記録用インクの作製―
<本発明の分散インク101の調製>
染料(a−14)2g、α-ソジウムスルホパルミチン酸メチル1.28g、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PET-4A)4g、1,1’―アゾビス(1−アセトキシー1−フェニルエタン)(OTAZO-15)0.37gの混合物を酢酸エチル54gに室温で溶解させた。この溶液中に脱イオン水50mlを入れ、ホモジナイザーにて10000回転/分の回転数の乳化を、乳化4分→停止1分で、計5サイクル行った。得られた乳化物を窒素フロー下、酢酸エチルの臭気が無くなるまで濃縮し、0.45μmのフィルターで濾過して、疎水性染料(a−14)の微細乳化物を得た。得られた乳化物にジエチレングリコール、グリセリン、その他の添加剤、脱イオン水を加え、最終液として100mlあたり、油溶性染料濃度2質量%、ジエチレングリコール濃度10質量%、グリセリン10質量%、界面活性剤としてポリエチレングリコール(平均繰り返し数12)のモノ2−ブチルオクタン酸エステル1.0質量%、ベンゾトリアゾール0.006質量%、防腐剤として1、2−ベンズイソチアゾリンー3−オン0.2質量%からなるマゼンタインク(分散インク101)を作製した。得られた乳化分散物インクの体積平均粒子サイズをマイクロトラックUPA(日機装株式会社)を用いて測定した所、66nmであった。
【0139】
<本発明の分散インク102〜108、比較分散インク109〜113の調製>
分散インク101の調製において、油溶性染料の種類と量、重合開始剤の種類を下表7の如く変更した以外は、分散インク101と同じにして本発明の分散インク102〜108を作成した。なお、分散剤であるα-ソジウムスルホパルミチン酸メチルの量は、油溶性成分(油溶性染料、モノマー、ポリマーの総和)に対して同じ比率となるように使用した。また、重合開始剤の量は、重合性エチレン性不飽和モノマーの量に対して、同じ質量比となるように使用した。
また、分散インク101の調製において用いた油溶性染料の種類を酸化電位の低い染料に変更した比較用分散インク109〜111を作成した。さらに、分散インク101に対して、エチレン性不飽和モノマーの代わりに(重合性官能基の無い)高沸点有機溶媒を用い、重合開始剤を除いた事以外は分散インク101と同じにして、比較用分散インク112〜113を作成した。これらの比較用分散インクにおいて、分散剤であるα−ソジウムスルホパルミチン酸メチルの量は、分散インク102〜108と同様に、油溶性成分(油溶性染料、モノマー、ポリマーの総和)に対して同じ比率となるように使用した。
分散インク101〜113において、最終インク中のジエチレングリコール、グリセリン、その他の添加剤の濃度は一定である。
【0140】
【表7】
【0141】
【化6】
【0142】
<インク114の作製>
水溶性染料を含む下記の素材を混合し、0.45μmのフィルターによって濾過し、比較用の水性インクジェット記録用インク114を調製した(インク114ではマゼンタ染料MM-3を2.8g用いた)。
・水溶性着色剤 上記の量
・ジエチレングリコール 10g
・グリセリン 10g
・ジエタノールアミン 1g
・ポリエチレングルコール(平均エチレンオキシド繰り返し数10)
の片末端2−ブチルオクタン酸エステル 1g
・水を加えて 100g
【0143】
【化7】
【0144】
なお、得られた上記のインク101〜114は全て、最後にKOH水溶液を用いてpH=9に調整した。
【0145】
−画像記録及び評価−
作製したインク101〜114を、インクジェットプリンターPM−670C(EPSON(株)製)のカートリッジに充填し、同機を用いて、PPC用普通紙とインクジェットペーパーフォト光沢紙EX(富士写真フイルム(株)製)に画像を記録したのち、120℃、3分(一部30秒)の加熱処理を行った。得られた画像について以下の評価を行った。評価結果を表8に示す。
【0146】
<印刷性能評価>
カートリッジをプリンタにセットし、全ノズルからのインクの吐出を確認した後、A4用紙10枚に画像を出力し、印字の乱れを以下の基準で評価した。
A:印刷開始から終了まで印字の乱れが無かった。
B:印刷開始から終了までに時々印字の乱れが発生した。
C:印刷開始から終了まで印字の乱れがあった。
【0147】
<紙依存性評価>
前記フォト光沢紙に形成した画像とPPC用普通紙に形成した画像との色調を比較し、両画像間の差が殆どない場合をA、両画像間の差が小さい場合をB、両画像間の差が大きい場合をCとして、三段階で評価した。
【0148】
<画像のベタツキ>
記録した画像のベタツキを評価し、べたつきが全くない物をA(良好)、若干のべたつきがあるが接触した物を汚すほどではないものをB(許容)、べたつきに問題のあるものをC(不良)として3段階で評価した。
【0149】
<擦過性評価>
印字、加熱終了後、30分経過した画像について、消しゴムで擦って、画像の濃度変化の有無を目視で評価した。濃度変化が殆ど観測されないものをA(良好)とし、濃度変化を観測したものをB(不良)とした。
【0150】
<耐水性評価>
前記画像を形成したフォト光沢紙を、1時間室温乾燥した後、30秒間水に浸漬し、室温にて自然乾燥させ、滲みを観察した。滲みがないものをA、滲みが僅かに生じたものをB、滲みが多いものをCとして、三段階で評価した。
【0151】
<耐光性評価>
前記画像を形成したフォト光沢紙に、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いて、キセノン光(75000lx)を366nmフィルターを通して28日間照射し、キセノン照射前後の反射濃度(OD)=1.0における画像濃度を反射濃度計(X-Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。色素残存率が90%以上の場合をA、80%以上90%未満をB、70%以上80%未満をC、70%未満をDとして、四段階で評価した。
【0152】
<オゾン耐性>
オゾン耐性については、オゾン濃度5ppmの条件下に試料を7日間保存する前後での濃度を、X-rite 310にて測定し着色剤残存率を求め評価した。
色素残存率が85%以上の場合をA、85〜70%をB、70%未満をCとして三段階で評価した。
【0153】
【表8】
【0154】
上記の結果から明らかなように、本発明のインクジェット記録用インクは、印刷性能や画像の物理強度に優れ、紙依存性やベタツキがなく、耐水性や耐光性、オゾン耐性に優れていた。また、特に耐光性の抜群の向上が認められた。
さらに、本発明のインク101〜108に用いた一般式(M−I)の染料を用いると、色調上も極めた優れた画像が得られた。
【0155】
(実施例2)
―インクジェット記録用インクの作製―
<本発明の分散インク201の調製>
実施例1の分散インク101の調製において、用いた重合開始剤の代わりに、ビス(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド0.17gと1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.07gを用い、重合促進剤としてテトラエチレンペンタミン0.04gを用いた以外は、分散インク101と同じ方法を用いて、分散インク201を作製した。
【0156】
<分散インク202〜209の調製>
分散インク201の調製において、油溶性染料の種類と量、重合開始剤の種類等を下表9の如く変更した以外は、分散インク201と同じにして本発明の分散インク202〜207並びに比較用分散インク208および209を作成した。なお、分散剤であるα-ソジウムスルホパルミチン酸メチルの量は、油溶性成分(油溶性染料、モノマー、ポリマーの総和) に対して同じ比率となるように使用した。また、重合開始剤の量は、重合性エチレン性不飽和モノマーの量に対して、同じ質量比となるように使用した。
【0157】
【表9】
【0158】
―画像記録及び評価―
作製した分散インク201〜209及び実施例1で用いた比較インク112〜114をインクジェットプリンターPM−670C(EPSON(株)製)のカートリッジに充填し、同機を用いて、PPC用普通紙とインクジェットペーパーフォト光沢紙EX(富士写真フイルム(株)製)に画像を記録したのち、メタルハライドランプを用いて700mJ/cm2(一部200mJ/cm2)で露光処理を行った。
得られた画像について、実施例1と同じ評価を行った。結果を表10に示す。
【0159】
【表10】
【0160】
本発明のインクジェット記録用インクは、UV硬化型の重合開始剤を用いた系でも印刷性能や画像の物理強度に優れ、紙依存性やベタツキがなく、耐水性や耐光性、オゾン耐性に優れていた。また、特に耐光性の抜群の向上が認められた。また実施例1同様、インク201〜206に用いた、一般式(M−I)の染料を用いると、色調上も極めた優れた画像が得られた。
【0161】
(実施例3)
実施例1、2で作製した本発明の分散インク101〜108、201〜207、並びに比較用インク109〜114、208、209について、被記録材(支持体)を電子写真用紙、普通紙(一般コピー用紙)、ポリエステルフィルム(OHP用紙)、アルミ蒸着フィルム(アルミ側に印字)に代え、印字を行い、実施例1、2と同様に加熱または露光を行なった結果、本発明のインクが上記同様優れた印刷性能や耐水性、耐光性、オゾン耐性を有している事が示された。特に、被記録材として、ポリエステルフィルム、アルミ蒸着フィルムへの印字においては、従来の水溶性染料インクが耐水性が悪く、溶媒分散インクはべとつきが、ポリマー分散インクは擦過性が著しく悪いのに対し、本発明のインクはより低エネルギー(120℃30秒の短時間加熱あるいは200mJ/cm2以下の露光)で、ベタツキが改良され、指擦りで剥がれる事が無く、耐水性・耐溶剤性に優れ、かつ耐光性に優れた画像を与えた。
【0162】
【発明の効果】
本発明により、取り扱い性、安全性、着色微粒子の分散安定性に優れ、基材依存性が無く、任意に選択した基材に印字した際の発色性・色調に優れるとともに耐水性、耐光性が良好で印字直後の汚れがなく、インク経時による染料の安定性に優れたインクジェット用インク及びインクジェット記録方法が得られる。また、特に紙に印字した際にはインク浸透性に優れ、印字直後の汚れを解消するとともに、印字後により高感度の重合反応が可能で、重合硬化によって耐水性、耐光性にも優れた記録が可能なインクジェット用インクが得られる。
Claims (4)
- 少なくとも1種の油溶性染料を含む着色微粒子分散物、重合可能な疎水性エチレン性不飽和モノマーおよび重合開始剤を含有し、該油溶性染料の少なくとも1種の酸化電位が1.0V以上である事を特徴とするインクジェット用インク。
- 油溶性染料の少なくとも1種が下記一般式(M−I)で表される化合物である事を特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク。
- 請求項1または2に記載のインクジェット用インクを用いて記録を行った後に、疎水性エチレン性不飽和モノマーの重合を行う事を特徴とするインクジェット記録方法。
- 請求項1または2に記載のインクジェット用インクの製造方法において、疎水性エチレン性不飽和モノマー及び油溶性染料を含有する溶液を水性媒体に乳化分散して着色微粒子分散物を得る工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット用インクの製造方法。
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