JP4403095B2 - 水域環境保全材料およびその使用方法 - Google Patents

水域環境保全材料およびその使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉄鋼スラグを用いた水域環境の保全に関する。
鉄鋼製造プロセスで発生する鉄鋼スラグの利用用途として、近年、海、河川、湖沼、干潟などの水域環境が検討されている。
製鉄所などで発生する鉄鋼スラグ、特に、転炉、予備処理炉、二次精錬炉といった精錬炉(トーピードカー内精錬の場合はトーピードカー)から発生する製鋼スラグは、CaO成分やMgO成分などの水和性成分を、遊離CaOや遊離MgOとして有している。これらの水和性成分が水分と接触すると、水和性成分が水中に溶出してpHが上昇する問題や、海水の場合は海水中に含まれるMg2+が製鋼スラグからのOHと反応してMg(OH)が析出することにより白濁現象が生じる問題が発生する。このため、水域環境へ鉄鋼スラグを使用する際には、これらの問題が発生しないように処理されていることが望ましい。
これらの成分に起因する問題への対応策として、可溶性成分の炭酸化処理による不溶性化が提案されている。例えば、鉄鋼スラグを炭酸化させる技術が、特許文献1〜5において開示されている。
特許文献1には、スラグを粒滴化して凝固させた後、CO雰囲気下において800〜300℃の温度領域で保持し、遊離CaOをCaCOに炭酸化させ、膨張を抑制する方法が開示されている。
特許文献2には、粒径40mm以下の塊状のスラグを、大気圧下において水蒸気雰囲気下でエージング処理して膨張性を安定化させた後、水蒸気とCOガスとの混合雰囲気下で1時間以上保持することで炭酸化させる方法が開示されている。
特許文献3には、粉粒状または粗粒状のスラグの積み山または充填層に、炭酸ガスを吹き込むことによって炭酸化させる方法が開示されている。
特許文献4には、海中沈設用石材として利用される炭酸化スラグが開示されている。スラグは、粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、または小塊状スラグのうちの1種以上からなり、スラグは、炭酸化反応によって生成したCaCO、またはCaCOおよびMgCOをバインダーとして塊状化されている。製法としては、特許文献3と同様、積み山または充填層に、炭酸ガスを吹き込むことによって炭酸化させる方法が開示されている。
特許文献5には、スラグに含まれるCa成分やMg成分の炭酸化処理によって生成したCaCOやMgCOによってスラグ表面を被覆し、スラグ表面を被覆する皮膜によってスラグからの成分の溶出を抑制する技術が開示されている。
しかしながら、従来の製法に従って炭酸化処理した場合、スラグ表面に形成されるCaCOなどの炭酸塩からなる硬化皮膜によって、スラグが本来有する水域環境保全材料としての有用性が低下する問題があった。つまり、可溶性成分を炭酸化処理してスラグ表面に硬化皮膜を形成した場合、特許文献5において明記されているように、スラグからの成分の溶出が抑制される。その結果、周辺水域のpH上昇や、Mg(OH)の析出による白濁現象が抑制される。ところが、スラグ表面に形成された硬化皮膜は、スラグ内外の通水性を低下させるため、スラグからのミネラルの溶出も阻害されてしまう。また、スラグによる硫化水素や燐の固定化能も抑制されてしまう。
特開昭52−129672号公報 特開平8−259282号公報 特開平11−21153号公報 特開平11−71160号公報 特開2001−26470号公報
上述のように、スラグの表面にCaCOやMgCOなどの炭酸塩からなる皮膜が形成されると、形成された硬化皮膜によって、ミネラルの溶出、硫化水素や燐の固定化能などのスラグ本来の効果が低下してしまう。水域環境にスラグを活用するのであれば、水域環境に有益なこれらの特性を活用することが好ましい。
そこで本発明の目的は、水域のpH上昇や白濁等の問題を発生させず、かつスラグ内部からスラグ外部へミネラル分が溶出可能であり、硫化水素や燐の固定化能の高い、水域保全材料を提供することである。
本発明は、
(1)水域環境保全材料の一部または全部が、炭酸化処理をした鉄鋼スラグであって、表面に炭酸塩からなる膜が形成されておらず、粒子同士が固結していない鉄鋼スラグであることを特徴とする、水域環境保全材料、
(2)前記炭酸化処理をした鉄鋼スラグに加えて、浚渫土をさらに含むことを特徴とする、(1)に記載の水域環境保全材料、
(3)覆砂材料、水底凹部埋め戻し材料、養浜材料、干潟材料、浅場材料、藻場材料、または漁場材料として用いられることを特徴とする、(1)または(2)に記載の水域環境保全材料、
(4)前記鉄鋼スラグに含まれる遊離CaO及びCa(OH)の合計含有量が、0.9質量%以下であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の水域環境保全材料、
(5)水域環境保全材料の一部または全部が、炭酸化処理をした鉄鋼スラグであって、表面に炭酸塩からなる膜が形成されておらず、粒子同士が固結していない鉄鋼スラグである水域環境保全材料を、水域に配置することを特徴とする、水域環境保全方法、
(6)前記水域環境保全材料が、前記炭酸化処理をした鉄鋼スラグに加えて、浚渫土または現地底質をさらに含むことを特徴とする、(5)に記載の水域環境保全方法、
(7)前記水域環境保全材料が配置される水域は、水底凹部、養浜、干潟、浅場、藻場、または漁場であることを特徴とする、(5)または(6)に記載の水域環境保全方法、
(8)前記鉄鋼スラグに含まれる遊離CaO及びCa(OH)2の合計含有量が、0.9質量%以下であることを特徴とする、(5)〜(7)のいずれかに記載の水域環境保全方法、
である。
本発明の水域環境保全材料に用いられる鉄鋼スラグは、表面に炭酸塩からなる膜が形成されていないため、スラグ内部からスラグ外部へミネラル分が溶出可能であり、硫化水素や燐の固定化能が高い。このため、水域環境が効果的に保全される。
本発明の第1は、水域環境保全材料の一部または全部が、炭酸化処理をした鉄鋼スラグであって、表面に炭酸塩からなる膜が形成されていない鉄鋼スラグであることを特徴とする、水域環境保全材料である。
まず、本発明の水域環境保全材料について、図面を用いて説明する。図1および図2は、炭酸化された鉄鋼スラグの断面模式図である。図1は本発明において用いられる鉄鋼スラグ10の断面模式図であり、図2は従来の鉄鋼スラグ11の断面模式図である。
従来の炭酸化処理をした鉄鋼スラグ11は、スラグ表面に析出した可溶性成分が硬質な炭酸塩に変化することによって形成された硬化皮膜30によって覆われており、スラグ内部からスラグ外部への可溶性成分の溶出が抑制される。例えば、Ca(OH)などの可溶性成分が硬質なCaCOへと変化する。しかしながら、スラグの表面に形成された、CaCOなどの炭酸塩からなる硬化皮膜30は、スラグ内外の通水性も低下させてしまい、スラグ内部に含まれるミネラルのスラグ外部への溶出も阻害してしまう。また、スラグは、水域に存在する硫化水素や燐をスラグ中の成分によって固定する機能を有するが、スラグ内外の通水性がないと、これらの機能も発現しない。このように、図2に示す構造を有する鉄鋼スラグは、スラグに起因するpH上昇や周辺水域の白濁は防止可能であるものの、スラグの有する特徴を十分に活かしきれていない。
なお、硬化皮膜で覆われているというのは、スラグ表面が完全に覆われていることのみならず、部分的には皮膜が形成されていない部分が存在するものの、スラグ内外の通水性が低下している場合も含む。
本発明において用いられる鉄鋼スラグ10は、スラグ内部に存在する可溶性成分は炭酸化されているが、表面に炭酸塩からなる膜が形成されていない。炭酸化された可溶性成分20は、鉄鋼スラグ内部に遊離して存在している。炭酸化された可溶性成分20の分散度合いは、鉄鋼スラグの粒径、気孔率、炭酸化処理の方法に応じて決定される。気孔率の高い鉄鋼スラグであればスラグ全体の可溶性成分が炭酸化され、炭酸化された可溶性成分20はスラグ全体に分散する鉄鋼スラグが製造され得る。逆に、気孔率の低い鉄鋼スラグであればスラグの外周に近い部位の可溶性成分が炭酸化され、外周から一定の距離の範囲に炭酸化された可溶性成分20が分散する鉄鋼スラグが製造され得る。外周近傍にのみ炭酸化された可溶性成分20が分散している鉄鋼スラグであっても、周辺水域のpH上昇や白濁発生を防止する上で充分に効果的である。図1に示す態様の鉄鋼スラグを含む水域環境保全材料は、炭酸化処理が施されているため、スラグからのアルカリ成分溶出による、周辺水域のpH上昇や白濁が抑制される。また、スラグからのミネラル溶出やスラグ内への化合物の化学的固定といった、スラグ本来の特徴も活用可能である。なお、炭酸化された可溶性成分は、CaCOやMgCOなどの炭酸塩である。
本発明の水域環境保全材料は、種々の水域において使用可能であり、本発明による効果は水域によって若干異なる。なお、「水域環境保全材料」とは、水域環境の保全に寄与する材料を意味し、「水域環境保全」とは、水域環境にとって良い影響を与えることを意味する幅広い概念である。「水域環境保全」という用語には、例えば、水域環境の改善、水域環境の維持、水域環境の悪化防止などの概念が含まれる。これらの少なくとも1つの効果を有していれば、水域環境保全に該当する。また、「水域」とは、海水であるか淡水であるか、水底であるか水中であるか、冠水しているか否か、土上であるか土中であるかを問わず、水が関連する場所を意味する概念である。例えば、海、河川、湖沼、干潟、海底から掘り上げられて陸上に積み上げられた底泥などが水域の例として挙げられる。ただし、これらの水域にのみ、本発明が限定されるわけではない。
以下、本発明の水域環境保全材料の具体的用途と、その効果について記載する。ただし、以下に列挙する具体的用途に本発明の技術的範囲が限定されるわけではない。なお、参考までに、水域環境保全材料の具体的用途の概念について、図3に示す。図3は、覆砂、水底凹部埋め戻し、養浜、干潟、浅場、藻場、漁場において、水域環境保全材料が配置された状態を示す概念図である。図3において、ドットが付された部位が、水域環境保全材料が配置された領域である。
本発明の水域環境保全材料は、覆砂材料として用いられる。覆砂材料とは、底泥(現地底質)上に投下され、底泥を物理的に封じ込めるために用いられる材料である。なお、底泥が軟弱であると、覆砂材料の一部または全部が底泥内に沈み込む場合があるが、かような場合も本発明の技術的範囲に含まれる。鉄鋼スラグ、特に製鋼スラグは、覆砂材料として一般に用いられる砂よりも比重が大きいため、潮流によって流されずに、安定して水底に存在する。また、底泥において発生した硫化水素や燐を、鉄鋼スラグによって化学的固定が可能である。さらに、硫酸還元菌による硫化物の硫酸還元を阻止する効果もある(「昭和53年度 赤潮対策技術開発試験報告書 石灰による底質改良試験」、昭和54年3月、三重県浜島水産試験場参照)。これらの効果によって、赤潮の発生や青潮の発生が抑制される。硫化水素や燐の化学的固定は、鉄鋼スラグとして製鋼スラグが用いられた場合に効果的である。したがって、水域環境保全材料が覆砂材料として用いられる場合には、鉄鋼スラグとして製鋼スラグが用いられることが好ましい。
硫化水素の化学的固定のメカニズムとしては、以下のメカニズムが提唱されている(「平成7・8年度 製鋼スラグの覆砂材としての適用技術の調査・研究 報告書」、平成9年3月、(財)沿岸開発技術研究センター 鐵鋼スラグ協会参照)。
Figure 0004403095
燐の化学的固定のメカニズムとしては、以下のメカニズムが提唱されている(同上参照)。
Figure 0004403095
なお、以下の説明において、硫化水素の化学的固定のメカニズムおよび燐の化学的固定のメカニズムについては、覆砂材料について説明した通りであるため、以下の説明においては説明を省略する。
本発明の水域環境保全材料は、水底凹部埋め戻し材料としても用いられる。水底凹部埋め戻し材料とは、図3に示すような浚渫等によって水底に生じた凹部を埋めるために用いられる材料である。凹部を物理的に埋めることによって、凹部からの硫化水素の発生が防止される。また、本発明の水域環境保全材料を用いて凹部を埋めた場合、硫酸還元菌による硫化物の硫酸還元阻止や硫化水素の化学的固定が可能である。
本発明の水域環境保全材料は、養浜材料としても用いられ得る。養浜材料とは、波によって海岸の砂が削り取られたような海岸に、再び人の手で砂を戻す際に用いられる材料を意味する。養浜の目的は大きく分けて2つある。1つは、砂が削り取られた海岸に砂を戻すことで、砂浜が持っている「波を砕く」機能や動物や植物の生息地としての機能を再び蘇らせることである。もう1つは、海水浴などの海洋性レクリエーションや親水の場を新たに作り出すことである。本発明の水域環境保全材料はいずれの目的にも用いられ得るが、鉄鋼スラグ(特に、製鋼スラグ)から、SiO、P、Feなどのミネラルが溶出しやすいという本発明の特徴を考慮すると、動物や植物の生息地としての機能を付与する上で特に有効である。本発明の水域環境保全材料は、鉄鋼スラグからのミネラル溶出が豊富であるため、水域環境保全材料内部および周辺での生物生産性が増大し、生物により水質が浄化される。ひいては、食物連鎖を通じた海岸全体の生物増産が図られる。
本発明の水域環境保全材料は、干潟材料としても用いられる。干潟材料とは、潮の高い時には冠水しているが、潮が引いた時には姿を見せる水域の造成に用いられる材料を意味する。本発明の水域環境保全材料は、鉄鋼スラグからのミネラル溶出が豊富であるため、水域環境保全材料内部および周辺での生物生産性が増大し、生物により水質が浄化される。ひいては、食物連鎖を通じた干潟全体の生物増産が図られる。
本発明の水域環境保全材料は、浅場材料としても用いられる。浅場とは、通常、水深が5m以内の浅い海を意味し、浅場材料とは浅場の造成に用いられる材料を意味する。本発明の水域環境保全材料は、鉄鋼スラグからのミネラル溶出が豊富であるため、水域環境保全材料内部および周辺での生物生産性が増大し、生物により水質が浄化される。
本発明の水域環境保全材料は、海の森づくりや磯焼け修復のための藻場材料としても用いられる。藻場とは、水底で大型水生植物が群落状に生育する場所を意味し、藻場材料とは、藻場を造成するために用いられる材料を意味する。藻場としては、アマモ場、アラメ・カジメ場、ガラモ場が挙げられる。アマモ場は、アマモ、コアマモなどからなる藻場である。アラメ・カジメ場は、アラメ・カジメ、コンブなどからなる藻場である。ガラモ場は、ノコギリモク、オオバモクなどのホンダワラ類からなる藻場である。本発明の水域環境保全材料は、鉄鋼スラグからのミネラル溶出が豊富であるため、水域環境保全材料内部および周辺での生物生産性が増大し、生物により水質が浄化される。このような連鎖により、生物資源の豊富な、海の森が創設される。
本発明の水域環境保全材料は、漁場材料としても用いられる。漁場とは、漁業を行う水域を意味し、漁場材料とは魚類が産卵し、生息する場所を造成するために用いられる材料を意味する。本発明の水域環境保全材料は、鉄鋼スラグからのミネラル溶出が豊富であるため、水域環境保全材料内部および周辺での生物生産性が増大し、豊かな漁場が形成される。
次に、本発明の鉄鋼スラグの態様について、詳細に説明する。
鉄鋼スラグとしては、高炉スラグおよび製鋼スラグが用いられ得る。高炉スラグとしては、高炉徐冷スラグ、および高炉水砕スラグが例示できる。製鋼スラグとしては、転炉スラグ、予備処理スラグ、脱炭スラグ、脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱珪スラグ、電気炉還元スラグ、電気炉酸化スラグ、二次精錬スラグ、造塊スラグなどが例示できる。これらの2種以上が鉄鋼スラグとして用いられてもよい。
本発明において用いられる鉄鋼スラグは、表面にCaCO、MgCOなどの炭酸塩からなる膜が形成されていない。ここで、「炭酸塩からなる膜が形成されていない」とは、内部に存在するミネラルの溶出を防止する炭酸塩膜が形成されていないことを意味する。炭酸塩膜が全く形成されていない態様を含むことは勿論、微量の炭酸塩が表面に析出しているものの、ミネラルの溶出に関して実質的な影響が少ない態様は、本発明における「膜が形成されていない」に該当する。本発明で用いられる鉄鋼スラグの製造方法は特に限定されないが、好ましくは後述する知見に基づいた製造方法が採用される。
本発明において用いられる鉄鋼スラグは、表面に炭酸塩からなる膜が形成されていないが、内部においては、可溶性のカルシウム成分やマグネシウム成分の炭酸化が進行しており、CaCOやMgCOといった炭酸塩が、スラグ内部に遊離して存在する。炭酸塩をスラグ表面に析出させずに、内部において炭酸化を進行させることによって、スラグ内外の通水性を確保する。鉄鋼スラグにおける炭酸化の程度は、カルシウムの溶出による弊害を防止する観点からは、鉄鋼スラグに含まれる遊離CaO及びCa(OH)の合計含有量が、好ましくは0.9質量%以下である。なお、ここでいう「遊離CaO及びCa(OH)」とは、鉄鋼スラグ内部に分散して存在するCaO及びCa(OH)を意味する。遊離CaOおよびCa(OH)の含有量はエチレングリコール法やトリブロムフェノール法などの測定手段を用いて測定される。
鉄鋼スラグの粒径は、用途および配置される水域における潮流の速さに応じて、決定されればよい。一般的には、鉄鋼スラグの粒径は100μm〜300mm程度である。潮流が早い水域に配置する場合には、潮流によって鉄鋼スラグが流されないように粒径の大きなスラグを用いるとよい。逆に潮流が遅い水域に配置する場合には、粒径の小さなスラグを用いてもよい。本発明の効果は、単位質量あたりの表面積が大きい、粒径の小さなスラグを用いた場合に大きい。
本発明の水域環境保全材料は、少なくとも上述の鉄鋼スラグを含むが、場合によっては、鉄鋼スラグ以外の材料を含んでもよい。鉄鋼スラグ以外の材料としては、フライアッシュおよびボトムアッシュなどの石炭灰、廃コンクリート・廃レンガ・廃耐火物の破砕物、都市ゴミスラグ、浚渫土、浚渫残土が挙げられる。これらの2種以上が併用されてもよいし、これら以外の材料が用いられてもよい。鉄鋼スラグとそれ以外の成分とを混合する場合の混合割合は、スラグからのミネラル溶出、硫化水素固定化、燐固定化などの鉄鋼スラグに起因する効果がある程度確保されるように、鉄鋼スラグの含有率を20質量%以上とすることが好ましい。特に、強度が小さいヘドロ化した浚渫土、浚渫残土、および現地底質は、スラグとの混合によるリンや硫化水素の固定や、物理的または化学的な強度の増進によって、水域環境保全材料として有用となる。化学的な強度の増進には、例えば、水和反応による固結が関与している。なお、浚渫土は、残土処理場のような陸上のほか、船上のような水上においてもまた、鉄鋼スラグと混合されうる。
次に、本発明において用いられる鉄鋼スラグの製造方法について説明する。水域環境保全材料に用いられる鉄鋼スラグは、鉄鋼スラグを炭酸化することによって製造される。鉄鋼スラグの炭酸化処理は、安定化処理とも称される。鉄鋼スラグを炭酸化処理することによって、鉄鋼スラグを水域に配置した際におけるアルカリ成分の溶出を防止可能である。
鉄鋼スラグを安定化する際には、まず、原料としての鉄鋼スラグを準備する。鉄鋼スラグは予めエージング処理がされていてもよい。鉄鋼スラグには、粒度分布に応じて炭酸水または水を添加しておく。円滑な炭酸化のためには、炭酸水を添加しておくことが好ましい。鉄鋼スラグ周辺には、炭酸ガス含有ガスが供給され、鉄鋼スラグの炭酸化が進行する。鉄鋼スラグの安定化処理を工業的規模で行う場合には、例えば、炭酸ガス含有ガスを底部または側部から吹き込めるようにした装置に、鉄鋼スラグを供給する。連続的に鉄鋼スラグの安定化処理を行う場合には、通気性の確保が可能な網状の可動式コンベア等の上にスラグを配置し、設備内を徐々に移動させてもよい。
本発明において用いられる鉄鋼スラグを製造する際には、炭酸水の添加量の制御が重要である。具体的には、好ましくは自由水が存在し始める水分値未満、かつ該水分値より10質量%少ない値以上の範囲、より好ましくは自由水が存在し始める水分値よりも2〜9質量%少ない範囲に、さらに好ましくは自由水が存在し始める水分値よりも5〜8質量%少ない範囲となるように、炭酸水の添加量を調整する。
本発明者らが炭酸水の添加量と炭酸化率との関係を調査したところ、炭酸水を添加しないとほとんど変化は生じず、炭酸水を添加するとガスを流し始めた直後から炭酸化が円滑に始まることがわかった。また、炭酸水添加量の増加に伴い炭酸化の速度も増加していくものの、炭酸水添加量が一定値を超えると炭酸化の速度が減少することが確認された。つまり、炭酸水添加量には、ある最適な量が存在することが明らかとなった。
本発明者らの研究によれば、この現象は、スラグによって保持される自由水と関係していると推測される。粉末に水を添加していくと、しばらくの間は粉末が水を吸収する。粉体工学的には、この状態の水は拘束水と称される。添加水量がある程度以上になると、粉末が水を吸収しきれなくなり、粉末のまわりに水が存在する状態となる。この状態の水は自由水と称される。自由水が存在すると、粉体群がペースト状の流動性を有する状態となる。スラグについて測定したところ、ある一定の水分添加量を超えると、スラグの集合体が流動性を示す、つまり、一定の水分添加量以上では自由水が存在することが明らかになった。このような自由水が存在すると、炭酸ガス含有ガスがスラグ内部に侵入しにくくなり、炭酸化速度が遅くなると考えられる。
前記特許文献3または特許文献4に記載されている方法でも、水分の重要性や最適水分量が示されているが、これらの従来技術によればスラグの粒子同士を固結させて強固な塊の状態とするために、「吸水率(JIS A1109またはA1110で規定される細骨材または粗骨材の吸水率)以上の任意の量の水分を加える」と記載されている。これでは、明らかに自由水が存在する状態となってしまい、炭酸化処理効率は低下する。
スラグにおいて自由水が存在し始める水分値は、スラグの粒径によって異なるが、実際系においては、スラグの粒径は均一ではなく、40mm程度以下の各種粒径のスラグが集合している。この粒度分布は、精錬プロセスや冷却プロセス、地金処理除去プロセスといったスラグが発生するプロセスによっても異なる。自由(炭酸)水が存在し始める水分値については、それぞれのスラグの粒度分布に応じて、粉状または細粒状のスラグが多い場合であれば「フロー値」(JIS R2521 耐火物用アルミナセメントの物理試験方法またはJIS R5201 セメントの物理試験方法)の測定方法にて、また、40mm程度以下の粗粒状のスラグが含まれる場合には「スランプ値」(JIS A1101 コンクリートのスランプ試験方法)の測定方法によって求めることができる。
鉄鋼スラグに添加される炭酸水としては、実験室的には市販の炭酸水(ソーダ水、20℃、1気圧下における炭酸ガス溶解量約3g/l−HO)が使用可能であるが、工業的に製造する場合には、各種の工業的な炭酸水製造装置で製造されたものや、通常の水に工場にて排出される各種排ガスを吹き込み、排ガス中のCO成分を溶解させて製造された炭酸水が使用可能である。好ましくは、炭酸水として、炭酸水の温度における1気圧下での炭酸ガスの飽和溶解度の0.5倍以上、炭酸ガスを含有する水を使用することが好ましい。炭酸ガスの溶解量がそれより低いと、炭酸化反応を充分に短時間化する効果が得にくい。炭酸化反応をより効率的に行うには、炭酸水中の炭酸ガスの溶解量が多い(過飽和度が高い)ものが好ましい。
所定量の水分が添加された鉄鋼スラグに炭酸ガス含有ガスを供給することによって、炭酸化が進行する。炭酸ガス含有ガスとしては、実験室的には市販の炭酸ガス、または炭酸ガスに空気、市販の窒素ガス、もしくは市販のアルゴンガスを混合したものが使用可能である。工業的には、例えば製鉄所内の各種工場から排出されている排ガスを用いることが効率的である。代表的な排ガスとしては、石灰を焼成するキルン工場の排ガス(CO濃度として約20体積%)、加熱炉排ガス(CO濃度約7体積%)、発電工場排ガス(CO濃度約15体積%)等が挙げられる。
炭酸ガス含有ガス中の炭酸ガス濃度が低いと、当然のことながら炭酸化速度は低下するが、CO濃度が低いほど炭酸化に用いられる効率は高くなることが実験からも確認できており、炭酸化処理時間が延びる以外に特段の影響はないと考えられる。
炭酸ガス含有ガスの相対湿度は、75〜100%の範囲に制御されることが好ましい。炭酸ガス含有ガスからスラグに水分を継続的に供給する点から、流すガスの相対湿度は75%以上が好ましい。より好ましくは、乾燥理論に基づき、部分的に乾燥したスラグへの水分の供給の観点から、90%以上である。相対湿度の制御は、炭酸ガス含有ガスを、多段の水槽などに吹き込んで水蒸気を飽和させたり、専用の容器内でミスト状の水蒸気と混合したりすることにより、容易に調整できる。
鉄鋼スラグ周辺の雰囲気温度は、常温以上80℃以下とすることが理想的である。また、鉄鋼スラグ周辺の雰囲気温度を、炭酸ガス含有ガスの流量調整によって制御することが好ましい。鉄鋼スラグ周囲の雰囲気温度は、熱電対や市販の温度センサー等によって測定可能である。鉄鋼スラグを含む周辺の温度が常温未満になった場合には炭酸ガス含有ガスの流量を増加させ、その温度が80℃を超えた場合は炭酸ガス含有ガスの流量を減少させることが好ましい。ガス流量を増加させると発熱反応が進行し、上記ガス流量を減少させると反応速度が小さくなり、温度が下降する。
本発明者らが、鉄鋼スラグ周辺の温度およびガス流量と、炭酸化率との関係を調査したところ、ガスを流さない場合(炭酸ガス含有ガス雰囲気下に静置した場合)は極端に炭酸化が遅く、ガスを流すことによって炭酸化が進行して、流量の増加に伴い炭酸化率も増加することがわかった。また、ガス流量がある流量以上になると、炭酸化率が低下してくることがわかった。つまり、ガス流量には、ある最適な量が存在することが明らかとなった。
この原因を明らかとするために、ガス流量が多い場合の炭酸化挙動を調べると、炭酸化開始初期の炭酸化速度はガス流量が大きいほど速いが、炭酸化が徐々に停滞していくことがわかった。また、ガス流量が大きいほどスラグ周辺の雰囲気温度が上昇していることがわかった。
スラグ処理時の温度については、前記特許文献2には、雰囲気の温度が80℃以下に下がると炭酸化が促進されにくいと記述されている。また、前記特許文献3および特許文献4には、ガスが常温よりも高温であればそれだけ反応性が高まるため有利、との記述がある。しかしながら、単純に温度を高めても、逆に炭酸化の速度が低下することを本発明者らは知見した。
この原因としては、まず、次の2つの要因が考えられる。第1に、炭酸化反応は前述のように発熱反応であるため、熱力学的観点からは低温の方が有利と考えられる。第2に、スラグに含まれる炭酸水への炭酸ガスの溶解量への影響が考えられる。水への炭酸ガス(イオン)溶解度も実は低温の方が大きく、温度の上昇に伴い指数的に減少するため、反応に伴って減少する炭酸イオンの水への溶解速度は低温のほうが速いと考えられる。
また、別の要因としてガスの流れそのものによるスラグの乾燥も懸念された。これを実証すべく、同一条件で炭酸ガス含有ガスの代わりに水蒸気飽和の窒素ガスを流してみたところ、やはりガス流量が多いとスラグ質量の減少が見られ、ガスそのものがスラグから炭酸水を奪っていた。つまり、大量に炭酸ガス含有ガスを流すと、反応初期に起こる炭酸化による発熱と同時に、ガス流れそのものによるスラグの乾燥が同時に進行して、スラグから炭酸水を奪ってしまい、炭酸化反応が停滞してしまう。
乾燥理論に基づけば、粉体周囲の風速が20cm/sec以上に確保されると安定に乾燥できるとの知見がある。このため、本発明ではスラグ粒周囲のガス流速は、20cm/sec以下、ガスからの炭酸水分供給の観点からは10cm/sec以下に制御することが望ましい。しかし、実際にはスラグの充填状況に伴う圧力損失やガス流れの不均一性などから、このガス流速を制御することは非常に難しい。このため、安定化処理中のスラグを含む雰囲気の温度を測定し、この温度を常温以上、80℃以下、炭酸水への炭酸ガスの溶解度の観点からいえば好ましくは40℃以下となるように、ガスの流量を制御することが現実的である。ここで、常温とは地域によって、また四季を通じて変化するものであるが、通常は25℃程度、寒冷地で氷点下10℃以上、温暖地で40℃以下である。
製造過程においては、定期的に鉄鋼スラグを含む周辺の雰囲気温度や、その他の条件を測定し、最適な条件となるように制御することが好ましい。例えば、鉄鋼スラグを含む周辺の雰囲気の温度が高くなるようであれば、炭酸ガス含有ガスのガス流量および相対湿度の一方または双方を制御したり、スラグへ炭酸水もしくは水分を散布し、鉄鋼スラグの炭酸水含有量を制御したりする。このような手段を通じて、鉄鋼スラグの粒子同士が固結しないように制御することによって、短時間で鉄鋼スラグを安定化させることが可能である。
上記説明にしたがって炭酸化処理が施された鉄鋼スラグの各粒を樹脂に埋め込み、これを研磨して断面を観察したところ、気孔率が比較的高い、遊離CaO又はCa(OH)を含むスラグは、ほとんど全面の可溶性カルシウム成分が炭酸カルシウムに安定化されていた。気孔率が比較的低いスラグにおいても、外周から内部にわたって0.5〜2mm程度の層状の領域において、可溶性カルシウム成分が炭酸カルシウムに反応されていた。この結果は、内部に浸透した炭酸水を介して炭酸化反応が進んだことを示す。このような状態まで遊離CaOもしくはCa(OH)が炭酸カルシウムに変化していれば、安定化処理後の遊離CaO及びCa(OH)の合計は0.9質量%以下になる。このような鉄鋼スラグであれば、水または海水に相当量を投入しても、pHの上昇や白濁が生じにくい。
また、上記製造方法によって製造された鉄鋼スラグ中には、微細な粒径のスラグ含有量が少ない。微細な粒径のスラグが少ないと、搬送中の粉塵発生が抑制され、また、水中に投入された際の懸濁が、速やかに終息する。
本発明の第2は、本発明の第1の水域環境保全材料を用いて、水域環境を保全する方法に関する。水域環境保全材料を用いて水域環境を保全するには、図3に示すように、水域環境の保全が必要とされている水域に、水域環境保全材料を配置すればよい。水域としては、底泥、水底凹部、養浜、干潟、浅場、藻場、漁場、海底から掘り上げられて陸上に積み上げられた底泥が挙げられる。なお、「これらの水域に配置する」とは、水域環境保全材料が配置される時点において、これらの水域であることを要しない。つまり、新たに干潟や藻場を造成する場合には、水域環境保全材料を配置する時点においては、まだ干潟や藻場とはなっていない。しかしながら、干潟や藻場と造成する意図を持って水域環境保全材料を配置する場合には、その水域は、干潟や藻場に該当する。
各水域に本発明の水域環境保全材料を適用した場合の効果は、すでに説明した通りであるので、ここでは説明を省略する。また、使用される水域環境保全材料も、本発明の第1に関して説明した通りであるため、ここでは説明を省略する。
実施例1
実施例1として、炭酸ガスに接触させた鉄鋼スラグで、表面に炭酸塩からなる膜が形成されていない鉄鋼スラグを準備した。また、実施例1に対する比較例として、炭酸ガスに接触させた鉄鋼スラグで、表面に炭酸塩からなる膜が形成された鉄鋼スラグ、および炭酸ガスに接触させなかった鉄鋼スラグを準備した。これらの3種類の鉄鋼スラグについて、それぞれを浅場材料に用いた場合の生物着生評価実験を行った。
実験方法は、まず1m四方の容器に表1に示す3種類の鉄鋼スラグを厚さ30cmで敷設し、その上に海水を30cm深さとなるように注水した。なお、鉄鋼スラグは、最大粒径が5mm、中央粒径が1.6mmの鉄鋼スラグを用いた。
評価期間中は、新鮮な海水を200cm/secで注入し、循環させた。また、実験開始から1ヶ月後に、アマモの種子を100粒ずつ散布した。試験開始後6ヶ月、12ヶ月における、生物着生状況および浅場材外観の評価結果を表1に示す。
Figure 0004403095
本発明の実施例1では、浅場材表面における白濁現象や固結が生じず、かつ比較例との間にメイオベントスの量の明確な差が見られた。また、その他の調査項目にも差が見られ、高い生物生産性が確認できた。
実施例2
実施例2として、実施例1で用いたのと同様の、表面に炭酸塩からなる膜が形成されていない鉄鋼スラグ(20質量%)、および、浚渫土(80質量%)の混合材料を準備した。また、実施例2に対する比較例として、浚渫土を準備した。そして、実施例2の混合材料および比較例の浚渫土について、それぞれを浅場・干潟造成材として用いた場合の評価実験を行った。
実験では、まず、幅0.5m、長さ1m、深さ0.5mの容器を干満帯に設置した。次いで、上記で準備した混合材料(実施例2)または浚渫土(比較例)を用い、前記容器中に高さ50cm、法面勾配1:2の斜面を設けた。なお、鉄鋼スラグとしては、最大粒径が25mm、中央粒径が5.3mmのものを用いた。
試験開始後、1、7、28、90、および180日において、材料強度、天端高さの変化(斜面の安定性)、間隙水のリン濃度、および、材料200ccあたりのマクロペントス個体数を評価した。この評価結果を表2に示す。なお、材料強度は、山中式土壌硬度計にて測定した。
Figure 0004403095
本発明の実施例2では、実験開始後の経過日数に応じて材料強度が増加し、また、形状の安定度を示す天端高さ、化学的な浄化度を示す間隙水のリン濃度、そして長期のマクロペントス個体数についても、比較例との間に明確な差が見られた。
本発明の水域環境保全材料は、富栄養化した底泥、水底凹部、養浜、干潟、浅場、藻場、漁場などの水域を保全するために用いられる。本発明によって水域環境の向上が図られ、豊かな自然環境が創設される。
本発明において用いられる鉄鋼スラグ10の断面模式図である。 従来の鉄鋼スラグ11の断面模式図である。 覆砂、水底凹部埋め戻し、養浜、干潟、浅場、藻場、アマモ場、漁場において、水域環境保全材料が配置された状態を示す概念図である。
符号の説明
10…鉄鋼スラグ、
11…鉄鋼スラグ、
20…炭酸化された可溶性成分、
30…硬化皮膜。

Claims (8)

  1. 水域環境保全材料の一部または全部が、炭酸化処理をした鉄鋼スラグであって、表面に炭酸塩からなる膜が形成されておらず、粒子同士が固結していない鉄鋼スラグであることを特徴とする、水域環境保全材料。
  2. 前記炭酸化処理をした鉄鋼スラグに加えて、浚渫土をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の水域環境保全材料。
  3. 覆砂材料、水底凹部埋め戻し材料、養浜材料、干潟材料、浅場材料、藻場材料、または漁場材料として用いられることを特徴とする、請求項1または2に記載の水域環境保全材料。
  4. 前記鉄鋼スラグに含まれる遊離CaO及びCa(OH)の合計含有量が、0.9質量%以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水域環境保全材料。
  5. 水域環境保全材料の一部または全部が、炭酸化処理をした鉄鋼スラグであって、表面に炭酸塩からなる膜が形成されておらず、粒子同士が固結していない鉄鋼スラグである水域環境保全材料を、水域に配置することを特徴とする、水域環境保全方法。
  6. 前記水域環境保全材料が、前記炭酸化処理をした鉄鋼スラグに加えて、浚渫土または現地底質をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載の水域環境保全方法。
  7. 前記水域環境保全材料が配置される水域は、水底凹部、養浜、干潟、浅場、藻場、または漁場であることを特徴とする、請求項5または6に記載の水域環境保全方法。
  8. 前記鉄鋼スラグに含まれる遊離CaO及びCa(OH)2の合計含有量が、0.9質量%以下であることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の水域環境保全方法。
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