JP4240638B2 - 人工石材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、廃コンクリート材等のようなCaO分含有廃材および/または鉄鋼製造プロセスで発生したCaO分含有スラグを主原料の一部とする人工石材、より詳細には、CaO分含有廃材および/またはCaO分含有スラグを含む石材原料を炭酸化反応により固結させて塊状化する人工石材の製造法に関するものである。本発明により製造される人工石材は、路面敷設用石材や建築用石材等のような土木・建築材料、藻礁用石材や魚礁用石材等のような水中沈設用石材、海岸や河岸の水際等に設置される生態系形成促進用石材、植生用石材等の様々な用途に利用でき、とりわけ藻礁用石材、河床用石材、水質浄化を主目的として海、河川、湖沼、池等に沈設または敷設される石材等のような水中沈設用資材として好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグ(例えば、高炉スラグ、転炉スラグ等)の有効利用を図る一環として、スラグを藻礁用石材や魚礁等の海中沈設用資材として利用する試みがなされている。
スラグをこれらの資材として利用する場合の主たる形態としては、塊状のスラグをそのまま藻礁用等の石材として利用する方法とスラグをコンクリート魚礁等の骨材として利用する方法が考えられる。
【0003】
しかし、これらの方法には以下のような問題点がある。
先ず前者の方法では、スラグ中に含まれるCa分が海中に溶け出し、周囲の海水のpHを上昇させるおそれがある。また、鉄鋼製造プロセスで得られたままの塊状のスラグは、その表面性状等からしてコンクリート製品に比べれば藻礁用等の石材に適しているとは言えるが、藻礁用等の石材としては天然石と同程度の機能(海藻類の付着性、成育性)しかなく、海藻類の成育を促進し得るような特別な機能を有する石材ではない。
【0004】
また、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグは地金(粒鉄等の鉄分)を多く含んでいるため、通常はスラグをある程度の大きさまで粉砕し、スラグ中に含まれる鉄分を回収して鉄鋼製造プロセスにリサイクルしている。しかし、藻礁用等の石材として用いるスラグにはある程度の大きさが必要であり、地金回収のために粉砕処理したようなスラグはほとんど利用することができない。このため塊状スラグを藻礁用等の石材として用いる場合には、鉄鋼資源として有用な地金の回収がほとんどできない。
【0005】
一方、後者の方法のようにスラグをコンクリート製のプレキャスト体の骨材として用いた場合、その基本はコンクリート製品であるため、藻礁用石材等としてそれなりの機能が期待できると考えられるスラグの性状(例えば、凹凸状の表面性状等)を生かすことができない。また、コンクリートはpHが高いため(通常、pH12〜12.5程度)、海水のpHを上昇させるおそれがある。
【0006】
さらに、近年では環境保護の観点から海、河川、湖沼、池などの水質浄化が大きな課題となっている。このような水質浄化のための一つの手法として、バクテリアを中心とした生物の生態系による自浄作用を利用することを狙いとし、水中での生物間の活発な食物連鎖の環境を人為的に提供する試みがなされており、その環境を提供するために水中や水辺に沈設または敷設する資材として、好気性生物や嫌気性生物等の多様な生物が棲息できる多孔質のコンクリートブロック体が用いられている。
しかし、このような従来の水質浄化用の資材もコンクリート製品であるため、上述したような本質的な問題点を有している。
【0007】
このような問題に鑑み、本発明者らがスラグを藻礁用石材等の水中沈設用資材として利材化するための方法について検討を重ねた結果、粉状または粒状のスラグを、これに含まれるCaOおよび/またはCa(OH)2の炭酸化反応で生成させたCaCO3をバインダーとして固結させ、塊状化させた人工石材を藻礁用等の水中沈設用石材として用いることにより、海水のpH上昇を招くことなく、しかも海藻類の育成面等で優れた効果を発揮することが判った。
【0008】
すなわち、このような人工石材は、藻礁用石材や魚礁等に用いた場合以下のような機能を発揮することが判った。
▲1▼ スラグ中に含まれるCaO(またはCaOから生成したCa(OH)2)の大部分がCaCO3に変化するため、CaOによる海水のpH上昇を防止できる。一方において、スラグに適量の鉄分が含まれることにより、この鉄分が海水中に溶出することで海水中に栄養塩として鉄分が補給され、これが海藻類の育成に有効に作用する。
【0009】
▲2▼ 粉状または粒状のスラグを炭酸固化して得られた塊状物は全体(表面及び内部)がポーラスな性状を有しており、このため石材表面に海藻類が付着し易く、しかも石材内部もポーラス状であるため、石材中に含まれている海藻類の成育促進に有効な成分(例えば、後述する可溶性シリカや鉄分)が海水中に溶出しやすい。このため塊状スラグをそのまま海中沈設用石材として用いる場合やスラグを骨材とするコンクリート製魚礁に較べて、海藻類の成育を効果的に促進することができる。
【0010】
特に、藻礁造成場所等において沈設される石材への海藻類の増殖、生育を効果的に促進するためには、石材表面での海藻類の幼体の生育を促進させる必要がある。この点、上記人工石材から水中に溶出する有効成分は、海藻類の個体が石材に近いほど効果的に作用するため、海藻類の幼体の生育に特に有効であり、このため海藻類の幼体の生育を効果的に促進させることができる。
また、このような人工石材の原料には、スラグ以外に廃コンクリート材のような粉状または粒状のCaO分含有廃材も利用可能であり、このCaO分含有廃材を原料とする人工石材も上記と同様の性能を有することが判った。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来ではスラグの炭酸化反応を利用した硬化体の製造法自体は知られているものの、例えば海中沈設材として適用できるような大型でしかも優れた強度、均質性を有する人工石材を効率的に製造する方法は全く知られていない。
特に、粉状のCaO分含有廃材やスラグに炭酸ガスを接触させてこれを十分な強度に炭酸固化させるには、原料層内での炭酸ガスの通気性を十分に確保する必要があり、また、型枠等の容器内に原料を充填し、この原料充填層内に炭酸ガスを吹き込むことにより人工石材を製造する場合、容器内の原料充填層が添加水分による水和膨張或いは炭酸化による膨張を生じ、型枠等の容器を変形、破損させる等の問題がある。さらに、原料の粒度によっては原料粒子の内部まで炭酸化が進みにくいため炭酸化時間を十分にとる必要があり、このため製造時間が長くなるという問題もある。
【0012】
したがって本発明の目的は、原料であるCaO分含有廃材および/または鉄鋼製造プロセスで発生するCaO分含有スラグを炭酸固化させて塊状の人工石材を製造するに際し、製造用の容器の変形や破損などの問題を生じることがなく、しかも、石材の大きさに拘りなく優れた強度と均質性を有する人工石材を効率的に製造することができる製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するため、本発明は以下のような特徴を有する。
[1] CaO分含有廃材および/または鉄鋼製造プロセスで発生したCaO分含有スラグからなる炭酸化活性を有する微粉原料と、炭酸化活性が無いか若しくは前記微粉原料よりも炭酸化活性の小さい粗粒原料との混合物を主原料とする石材用原料を、炭酸化反応で固結させることにより塊状石材とする方法であって、
水分が添加された石材用原料の積み山または任意の空間内での原料充填層を形成し、該積み山または原料充填層の内部に炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスからなる原料ガスを吹き込むことにより、主として微粉原料中に含まれるCaOおよび/またはCa(OH)2の炭酸化反応より生成させたCaCO3をバインダーとして石材用原料の積み山または原料充填層を炭酸固化させ、該積み山または原料充填層が塊状化した石材を得ることを特徴とする人工石材の製造方法。
【0014】
[2] 上記[1]の製造方法において、容器内に水分が添加された石材用原料を装入して原料充填層を形成し、該容器内を閉鎖空間とした状態で容器の底部から炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスからなる原料ガスを吹き込むことにより、主として微粉原料中に含まれるCaOおよび/またはCa(OH)2の炭酸化反応より生成させたCaCO3をバインダーとして原料充填層を炭酸固化させ、原料充填層が塊状化した石材を得ることを特徴とする人工石材の製造方法。
[3] 上記[1]または[2]の製造方法において、石材用原料中に占める微粉原料の割合が30重量%以下であることを特徴とする人工石材の製造方法。
【0015】
[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの製造方法において、微粉原料は、CaOおよび/またはCa(OH)2を主体とした炭酸化可能な物質であって、且つ炭酸化反応により微粉原料の1/10以上(重量比)のCO2をCaCO3として固定できる物質を含有し、粗粒原料は、炭酸化可能な物質を含まないか、若しくは炭酸化可能な物質を含む場合でも、該物質の炭酸化反応によりCaCO3として固定されるCO2が粗粒原料の1/10未満(重量比)であることを特徴とする人工石材の製造方法。
[5] 上記[1]〜[4]のいずれかの製造方法において、微粉原料の粒度が1mm未満であり、粗粒原料の粒度が1mm以上であることを特徴とする人工石材の製造方法。
【0016】
[6] 上記[1]〜[5]のいずれかの製造方法において、微粉原料の少なくとも一部が、塩基度[CaO/SiO2]≧2のCaO分含有高塩基度スラグ、コンクリート材の粉砕処理で生じたCaO分高含有廃材の中から選ばれる1種以上からなることを特徴とする人工石材の製造方法。
[7] 上記[1]〜[6]のいずれかの製造方法において、粗粒原料の少なくとも一部が、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ、天然石、コンクリート材の粉砕処理で生じたCaO分低含有廃材の中から選ばれる1種以上からなることを特徴とする人工石材の製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法において人工石材の主原料として用いるのは、炭酸化活性を有する微粉原料と、炭酸化活性が無いか若しくは前記微粉原料よりも炭酸化活性の小さい粗粒原料との混合物であり、このような主原料を構成する炭酸化活性を有する微粉原料としては、CaO分含有廃材および/または鉄鋼製造プロセスで発生したCaO分含有スラグが用いられる。
この主原料となる混合物のうち、主として微粉原料が炭酸化反応によりCaCO3を生成し、骨材となる粗粒原料の粒子を結合させて原料全体を固結させるバインダーとなる。
【0018】
本発明において、主原料として炭酸化活性を有する原料と炭酸化活性の小さい(若しくは炭酸化活性が無い)原料との混合物を用いるのは、仮に主原料を炭酸化活性を有する原料(CaO分含有廃材、CaO分含有スラグ)のみで構成した場合には、型枠等の容器内に原料を充填し、この原料充填層に原料ガス(炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガス)を吹き込むことにより人工石材を製造する際に、容器内の原料充填層が水分添加による水和膨張或いは炭酸化による膨張を生じ、型枠を変形、破損させる等の問題を生じ易いためである。
【0019】
また、主原料を微粉原料と粗粒原料との混合物としたのは、原料層内での原料ガスの通気性を十分に確保するためである。すなわち、石材原料に原料ガスを接触させてこれを十分な強度に炭酸固化させるには、原料層内での原料ガスの通気性を十分に確保する必要があり、このためには原料層内の原料粒子間に原料ガスが通気できる空隙を存在させる必要がある。そして、仮に主原料が微粉原料のみからなる場合には、原料ガスが通気できる空隙を十分に確保できず、この結果、原料ガスの通気性が損なわれて原料の炭酸化反応が適切に生じなくなる。
【0020】
また、炭酸化活性を有する原料を微粉とし、炭酸化活性の小さい(若しくは炭酸化活性が無い)原料を粗粒としたのは、先に述べたように炭酸化反応により微粉原料をバインダー化し、このバインダーによって粗粒原料の粒子を結合させることにより、原料全体を確実に固結させるためであり、これにより必要な強度を有する石材を得ることができる。これに対して、主原料のすべてを粗粒とした場合には、炭酸化活性を有する原料が炭酸化活性の小さい(若しくは炭酸化活性が無い)原料のバインダーとして十分に機能できないため、石材の強度を十分に確保できなくなるおそれがある。また、炭酸化活性を有する原料が粗粒である場合には、原料粒子の内部まで炭酸化が進むのに時間がかかり、このため原料の炭酸化に要する時間(製造時間)が長くなるという問題があるが、炭酸化活性を有する原料を微粉とし、炭酸化が必要ない或いは少しの炭酸化で安定化する原料を粗粒とすることにより、微粉原料を主体とした短時間の炭酸化を行えばよく、このため原料の炭酸化に要する時間(製造時間)が短くて済む利点がある。
【0021】
炭酸化活性を有する微粉原料としては、CaOおよび/またはCa(OH)2を主体とした炭酸化可能な物質であって、且つ当該微粉原料の粒度において炭酸化反応により微粉原料の1/10以上(重量比)のCO2をCaCO3として固定できる物質を含有するものであることが好ましい。微粉原料に含まれる炭酸化可能な物質が、炭酸化反応によってCaCO3として固定できるCO2量が微粉原料量の1/10未満(重量比)であるような場合には、石材用原料中の微粉原料をバインダーとして十分に機能させることができない。
【0022】
微粉原料に含まれる炭酸化可能な物質はCaOが主体となるが、このCaOは、少なくとも微粉原料粒子の組成の一部として含まれるものであればよく、したがって鉱物としてのCaOの他に2CaO・SiO2、3CaO・SiO2、ガラス等のように組成の一部として微粉原料粒子中に存在するものも含まれる。また、CaO分含有スラグ中に含まれるCaOは、スラグが精錬容器から排出された後、吸湿することによってCa(OH)2に変化することがあり、また、CaO分含有廃材中のCaOについても、同様に吸湿によってCa(OH)2に変化することがあり、このようなCa(OH)2も微粉原料に含まれる炭酸化可能な物質である。
また、大部分のスラグにはCaOとともにある程度の量のMgOが含まれており、このMgO(但し、MgOの一部または全部がMg(OH)2に変化している場合は、これを含む)も上記炭酸化反応によりMgCO3に変化するため、炭酸化可能な物質の中に含まれる。
【0023】
微粉原料に含まれる炭酸化可能な物質(鉱物)としては、例えば、CaO、Ca(OH)2、MgO、Mg(OH)2、Fe(OH)2、ケイ酸カルシウム系結晶(例えば、2CaO・SiO2、3CaO・SiO2等)、CaO−SiO2−H2O系水和物(例えば、3CaO・SiO2・3H2O、(CaO)1.65・SiO2・H2O等)、CaOまたはケイ酸カルシウム系結晶にMgおよび/またはFeが固溶した固溶体、CaO−SiO2−MgO系結晶(例えば、3CaO・MgO・2SiO2、2CaO・MgO・2SiO2等)、CaO−Al2O3系結晶(例えば、3CaO・Al2O3、12CaO・7Al2O3等)、CaO−Al2O3−H2O系水和物(例えば、CaO・Al2O3・10H2O、2CaO・Al2O3・8H2O、3CaO・Al2O3・6H2O等)、CaO−Al2O3−Fe2O3系固溶体(例えば、4CaO・Al2O3・Fe2O3等)、CaO−Fe2O3−H2O系水和物、CaO−Al2O3−Fe2O3−H2O系固溶体(例えば、3CaO・(Al,Fe)2O3・6H2O等)等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
微粉原料としては、鉄鋼製造プロセスで発生した各種のCaO分含有スラグ、廃コンクリート材のようなCaO分含有廃材が用いられる。
このうちスラグとしては、予備処理、転炉、鋳造等の工程で発生する脱炭スラグ、脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱珪スラグ、鋳造スラグ等の製鋼系スラグ、鉱石還元スラグ、電気炉スラグ等を挙げることができ、また、これらの2種以上のスラグを混合して用いることもできるが、炭酸化活性の点から塩基度[CaO/SiO2]≧2のCaO分含有高塩基度スラグを用いることが好ましい。なお、ここでいう塩基度とは、各種定量分析法により元素含有量を測定し、これを酸化物として換算することにより求めたCaOとSiO2のmol比である。
【0025】
このような塩基度[CaO/SiO2]≧2のCaO分含有高塩基度スラグとしては、例えば、脱炭スラグ(組成の一例としては、T.Fe:17.5%,CaO:46.2%、SiO2:11.7%、Al2O3:1.4%、MgO:8.3%、MnO:6.2%、P:0.76%、S:0.04%)、脱燐スラグ(組成の一例としては、T.Fe:5.8%,CaO:54.9%、SiO2:18.4%、Al2O3:2.8%、MgO:2.3%、MnO:1.9%、P:2.8%、S:0.03%)、脱硫スラグ(組成の一例としては、T.Fe:10.5%,CaO:50.3%、SiO2:10.0%、Al2O3:5.4%、MgO:1.1%、MnO:0.4%、P:0.13%、S:1.8%)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
なお、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグは、程度の差はあるものの比較的多量(通常、数重量%〜30重量%程度)の地金(粒鉄等の鉄分)を含んでおり、一般には、このような鉄分を鉄鋼製造プロセスにリサイクルするために、スラグ中の地金回収が行われる。通常、この地金回収を行うためにスラグは粉砕処理される。本発明法では、このような地金回収工程を経たスラグをそのまま用いてもよいし、また必要に応じて、これをさらに粉砕処理したものを用いてもよい。また、地金回収工程を経ないスラグを必要に応じて粉砕処理したもの、或いは地金回収工程よりもさらに鉄分を除去したものを用いてもよい。
【0027】
また、CaO分含有廃材としては、廃コンクリート材のほかに、モルタルや耐火物の廃材等があり、これらの材料も上記スラグと同様に、含有されるCaOおよび/またはCa(OH)2の炭酸化反応でCaCO3が生成する。また、十分な炭酸化活性を有し且つ大量入手が可能であるという観点からは、CaO分含有廃材の中でもコンクリート材の粉砕処理で生じたCaO分高含有廃材(コンクリートのモルタル成分を主体とするCaO分高含有廃材)が最も好ましい。
なお、微粉原料は上記した各種のCaO分含有スラグ、CaO分含有廃材を適宜混合して使用してもよい。
【0028】
これに対して、粗粒原料は、炭酸化可能な物質を含まないか、若しくは炭酸化可能な物質を含む場合でも、当該粗粒原料の粒度においてその物質の炭酸化反応によりCaCO3として固定されるCO2が粗粒原料量の1/10未満(重量比)、望ましくは1/100未満(重量比)であることが好ましい。先に述べたように、本発明では粗粒原料を主として骨材として用いることを意図しているためである。
粗粒原料としては、スラグのなかでも炭酸化活性の小さいもの(例えば、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ)、天然石、コンクリート材の粉砕処理で生じたCaO分低含有廃材(コンクリートの骨材成分を主体とするCaO分低含有廃材)等を利用できるが、これらに限定されるものではない。
粗粒原料は、上記した各種の原料を適宜混合して使用してもよい。
【0029】
石材用原料中に占める微粉原料(炭酸化活性を有する微粉原料)の割合は30重量%以下とすることが好ましい。先に述べたように原料層内での原料ガスの通気性を十分に確保するためには原料層内の原料粒子間に原料ガスが通気できる空隙を存在させる必要があり、具体的には原料層内の空隙率を25%以上確保することが好ましい。石材原料中の微粉原料の割合が30重量%を超えると原料ガスが通気できる空隙が減少し、上記のような原料層の空隙率を十分に確保できなくなる恐れがある。また、微粉原料として使用するCaO分含有スラグ等の中にはフリーCaOが多いものがあり、このような微粉原料の割合が多過ぎると、型枠等の容器内の原料充填層が水分添加によって水和膨張したり、或いは炭酸化によってCaOやCa(OH)2がCaCO3に変化する際に原料充填層が膨張することにより、容器を変形、破損させる恐れがある。このような観点からも石材原料中に占める微粉原料の割合は30重量%以下とすることが好ましい。
【0030】
したがって、このように石材用原料中での微粉原料の割合を30重量%以下とする場合、この微粉原料としては、当該粗粒原料の粒度において炭酸化反応により石材用原料量の3/100以上(重量比)のCO2をCaCO3として固定できる炭酸化可能な物質を含有するものであることが好ましい。
微粉原料および粗粒原料の粒度は特に限定しないが、上述したような微粉原料と粗粒原料の各機能、原料充填層内での通気性の確保、石材強度の確保等の観点からして、微粉原料の粒度は1mm未満、粗粒原料の粒度は1mm以上、好ましくは1〜10mmとすることが望ましい。
【0031】
また、上記の主原料には必要に応じて添加材を添加することができる。代表的な添加材としては、可溶性シリカ源(フライアッシュ、クリンカーアッシュ等)、鉄源(含鉄ダストやミルスケールのような金属鉄、含金属鉄材、酸化鉄、含酸化鉄材)等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。石材に含まれる可溶性シリカや鉄分は、石材が漁礁用や藻礁用石材として用いられた際に海水中に溶出することにより海藻類の成育に有効に作用する。また、石材に少量含まれる未反応のCaOは、海底に赤潮の原因となる燐や青潮の原因となる硫黄が多く含まれる場合にこれら燐や硫黄を吸着し、赤潮や青潮の発生を防止するのに効果がある。
【0032】
本発明の製造法では、上記のような微粉原料と粗粒原料との混合物を主原料とした石材用原料(必要に応じて、主原料に添加材を添加した石材用原料)を用い、水分が添加された石材用原料の積み山または任意の空間内での原料充填層を形成し、この積み山または原料充填層の内部に炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスからなる原料ガスを吹き込むことにより、主として微粉原料中に含まれるCaOおよび/またはCa(OH)2の炭酸化反応より生成させたCaCO3をバインダーとして石材用原料の積み山または原料充填層を炭酸固化させ、該積み山または原料充填層が塊状化した石材を得る。
ここで、スラグを山積みする場合には野積みで構わないが、吹き込まれる炭酸ガスが積み山全体に十分に流れるようにし、且つスラグの飛散や雨水等による流失を避けるため、積み山をシート等で覆うことが好ましい。
【0033】
また、スラグの山積みまたは充填には、例えば三方を仕切壁で囲んだようなピット、四方を仕切壁で囲んだ型枠または容器等を用いることができる。このうちピット内にスラグを山積みまたは充填する場合にも、上記野積みの場合と同様に、積み山または充填層をシート等で覆うことが好ましい。また、型枠または容器を用いる場合にも、スラグの充填層をシートで覆うか或いは蓋体を設けることが好ましい。
図1は、型枠等の容器内に石材用原料の充填層を形成して行う本発明の一実施形態を示している。
【0034】
この方法では、微粉原料と粗粒原料との混合物を主原料とする石材用原料に水分を添加し、これを型枠等の容器1内に装入して原料充填層Aを形成する。容器1に蓋(例えば、専用の蓋体またはシート等)を装着すること等により容器1内を閉鎖空間とした状態で、容器1の底部から炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスからなる原料ガスを吹き込み、これにより微粉原料中に含まれるCaOおよび/またはCa(OH)2(以下、CaOを例に説明する)と炭酸ガスとの炭酸化反応よりCaCO3が生成し、主としてこのCaCO3をバインダーとして原料充填層A全体が炭酸固化し、原料充填層Aが塊状化した石材が得られる。
【0035】
型枠等の容器1の底部にはガス供給配管2が配管され、このガス供給配管2に形成された複数のガス孔から原料ガスが充填層内に供給される。この原料ガスは原料充填層Aを通過する過程で主として微粉原料中のCaOと反応してCaCO3を生成させる。そして、原料充填層Aを通過した原料ガス(未反応の炭酸ガスを含む原料ガス)は容器上部の排気管12から排出される。
原料充填層Aが塊状化した石材は、容器1から取り出され、そのまま石材製品となるか若しくは破砕や切断等の加工を経て石材製品となる。
【0036】
本発明法において使用される原料ガスとしては、例えば一貫製鉄所内で排出される石灰焼成工場排ガス(通常、CO2:25%前後)や加熱炉排ガス(通常、CO2:6.5%前後)等が好適であるが、これらに限定されるものではない。また、原料ガス中の炭酸ガス濃度が低すぎると処理効率が低下するという問題を生じるが、それ以外の問題は格別ない。したがって、炭酸ガス濃度は特に限定しないが、効率的な処理を行うには3%以上の炭酸ガス濃度を有する原料ガスを用いるのが好ましい。
【0037】
石材用原料を、微粉原料中に含まれるCaOと炭酸ガスとの反応を利用して炭酸固化させ、所望の強度を有する塊状石材を得るためには、炭酸化反応させる石材原料の水分含有量を適正化することが重要である。すなわち、石材用原料をCaOと炭酸ガスとの反応を利用して炭酸固化させるには水分が必要である。これは水にCaOと炭酸ガスが溶解することにより炭酸化反応が促進されるためである。
【0038】
原料の積み山や原料充填層(以下、原料充填層を例に説明する)内の原料粒子を炭酸化反応で生成したCaCO3により強固に結合させるには、石材原料は、原料充填層内での原料粒子が表面乾燥飽水状態(粒子内部間隙が全て水で満たされている状態)になる水分量(以下、表面乾燥飽水量)を超える量の水分を含むような水分含有量であることが好ましい。この水分含有量は、各原料粒子の表面に薄い付着水膜が形成される状態であり、この付着水膜の厚さは約1μm以上であることが好ましい。
【0039】
したがって、原料充填層内の原料粒子が炭酸化反応で生成したCaCO3により結合する際に、原料粒子接触部に生成する炭酸化層が結合に寄与して炭酸固化体を形成するのに必要となる原料充填層の水分含有量の下限は、下式に示すように表面乾燥飽水量と原料粒子表面に約1μmの厚さで付着した付着水に相当する水分量(以下、表面水分という)を加えた水分量となる。
下限水分含有量(wt%)=表面乾燥飽水量(wt%)+表面水分(wt%)
【0040】
ここで、上記表面水分は、下記に示すように、原料充填層の乾燥状態での粒度分布と原料粒子の嵩密度(絶乾比重(JIS A 109)または水銀ポロシメーター)から求めた原料粒子の外表面積A(m2/g)と、原料粒子の上記付着水膜の(=1.0×(1/106)m)の積から求めることができる。
表面水分(wt%)=原料粒子外表面積A×1.0×(1/106)×1×106×100
したがって、例えば、A=0.0122m2/g(Aは原料粒子の粒度分布と粒の嵩比重2.72とから求めた)であると、表面水分の下限は1.2wt%となり、表面乾燥飽水量が2.8wt%であるとすると、石材用原料の必要水分含有量の下限は4.0wt%となる。
【0041】
一方、原料充填層中の水分含有量が過剰であると、原料充填層内で原料粒子間の間隙に水が充満して原料ガスの通過する流路が確保されなくなり、原料ガスが容器内壁に沿って流れたり、また、甚だしい場合には原料ガスの吹き込みにより原料充填層が崩壊(流動化)し、局所的なガス流路(孔)ができてしまう。このため石材原料中の水分含有量は、原料充填層としたときに原料ガスが流れる通路が確保され、且つ原料充填層を崩壊(流動化)させることなく原料ガスを均一に吹込める程度の水分含有量とすることが好ましい。
【0042】
特に、原料の水分含有量は、下式に示すように原料充填層内での原料ガス流路となり得る有効気孔率(乾燥時の原料充填層内の気孔容積から原料充填層に含まれる水分の容積を差し引いた空隙部(気孔部)の原料充填層に対する容積比率)が10%以上となるような水分含有量を上限とすることが好ましい。
上限水分含有量(wt%)=([乾燥時の原料充填層の気孔率]−[有効気孔率の下限値])/100×(1/[原料充填層の乾燥嵩密度(ρB)])=([乾燥時の原料充填層の気孔率]−10)/100×(1/[原料充填層の乾燥嵩密度(ρB)])×100
【0043】
以上のように石材用原料は、原料粒子の粒度、原料充填層に応じて最適な水分量に調整されるのが好ましい。
表1は、石材用原料による原料充填層を充填密度(乾燥状態):2.2g/cm3、見掛密度3.2g/cm3、充填後気孔率(乾燥状態):31.3%の条件で形成し、その際に原料充填層中の水分含有量の水準を変えて炭酸化処理した場合について、原料充填層の有効気孔率と得られた炭酸固化体(石材)の強度との関係を調べたもので、原料充填層の有効気孔率が10%未満では、原料充填層内での原料ガスの均一な通過が阻害されるため均一炭酸化反応を生じさせることができず、不十分な反応部が生じ、このため得られる炭酸固化体の強度も極めて劣ったものとなる。
【0044】
【表1】
この表1の結果からして、確保されるべきより好ましい有効気孔率は15%、特に好ましくは20%である。
なお、原料充填層の嵩密度は任意であり、必要とされる石材の密度等に応じて適宜調整できるが、通常、嵩比重/真比重が0.3〜0.75の範囲、すなわち原料充填層内の空隙率が70〜25%となる程度に充填することが好ましい。
【0045】
次に、原料充填層に供給する原料ガスの好ましい条件について説明する。
原料ガスによる原料充填層内の雰囲気は処理効率を上げるために適度な加圧状態であることが好ましく、このため容器1に供給する原料ガスは適当に加圧することが好ましい。
また、原料充填層A内に吹き込まれる原料ガスが原料充填層の水分を奪い、これを乾燥させると、炭酸化反応に必要とされる原料充填層内の水分が減少し、処理効率を低下させることになる。このため原料ガスは、事前に水と接触させることにより加湿してから原料充填層Aに吹込むことが好ましい。
【0046】
図2は、このような方法を採る場合の一実施形態を示しており、加湿装置3を構成する加湿槽内に入れられた水に原料ガスを吹き込んで加湿(好ましくは、水蒸気の飽和状態まで加湿)した後、これを原料充填層Aに供給するものである。
また、加湿された原料ガスが原料充填層Aに吹き込まれた際に、原料ガス温度が原料充填層内の温度よりも高いと、原料ガスの冷却によってガス中の水蒸気が凝縮し、この結果、原料充填層Aが過剰水分となり、原料ガスの通気性が阻害されてしまう。したがって、これを防止するためには、原料ガスを原料充填層内の温度以下で加湿することが好ましい。
さらに、この原料ガス加湿量は排出ガスによって原料充填層から持ち去られる水分量とほぼ同等の水分量であることが好ましい。すなわち、原料ガスに過剰な加湿を行うと、これが凝縮して充填層に過剰な水分を添加することなる。
【0047】
このため、容器1から排出されるガスの湿度を測定し、該測定値に基づいて加湿装置3(加湿槽)での原料ガス加湿量を制御することが好ましい。図2は、そのための制御系が示されており、容器1の上部に接続された排出管12にガス流量計8と湿度計9が設けられ、制御装置11ではこれらの測定値に基づいて排出ガスにより持ち出される水分量を求め、これに基づき、例えば加湿装置3に付設された温度調整装置13を制御し、加湿装置3内の水温を調整することにより原料ガスに対する加湿量をコントロールする。
また、原料ガスに加湿を行う方法としては、図2に示すようなガスバブリング方式のほかに、水を超音波アトマイズして原料ガスに添加する方法等がある。この場合についても、アトマイズする水の供給量を上記と同様の方法でコントロールすることができる。
【0048】
また、上記の方法において、容器1内における原料充填層Aの上方のガス温度を、原料充填層Aに吹き込まれるガス温度よりも低くすることにより、容器外に排出される原料ガス中の水蒸気濃度を低下させ、原料ガスに随伴して排出される水分の量を低減させることができる。このため図2の実施形態では、容器1の上部に原料充填層Aの上方の領域(空間)のガスを冷却するための冷却機構4が設けられている。この冷却機構4は水冷等でよい。この冷却機構4による原料ガスの冷却によって原料ガス中の水蒸気の一部が凝縮して水となり、原料充填層Aに戻される。なお、原料ガスを冷却するには、図2に示すような冷却機構を設けることなく、原料充填層Aの上方の領域(空間)で原料ガスを自然放冷させてもよい。
【0049】
石材原料の粒度分布が比較的広いような場合、炭酸化処理の反応温度が高いと原料粒子粒内の炭酸固化しない部分や炭酸化が不十分な部分が急激に水和膨張し、原料充填層内に亀裂が発生することがある。このような問題を回避するためには原料充填層内平均温度を60℃以下にすることが好ましい。このため原料ガスの炭酸ガス濃度が比較的高く、原料充填層内の反応温度が上昇するような場合には、原料ガスとして用いるガスに炭酸ガスを含まないガスを混合して稀釈することにより原料ガスの炭酸ガス濃度を調節するか、若しくはガス流量を減少させることが好ましい。
【0050】
また、原料ガスが高温ガス(燃焼ガス等)である場合、これに直接加湿を行うと水蒸気分圧が高すぎて、原料充填層内で水分が凝縮する可能性がある。このため原料ガスを加湿する際には、ガス温度を60℃以下であって、且つ原料充填層内温度以下にまで冷却してから、水と接触させることにより加湿し、これを原料充填層内に吹込むようにすることが好ましい。また、この場合、上述したように排出ガスの水分量と加湿水分量が同等となるようにすることが好ましい。
【0051】
また、高強度で且つ均質な石材を得るためには、原料充填層内での原料ガス流が偏流を生じることなく、均一に流れることが必要である。このため型枠等の容器の側壁に熱電対等の温度センサーを設置して炭酸反応時の原料充填層内の温度変化を測定し、この昇温状況から(末昇温部は炭酸ガスが流れていないため固化しない)、原料ガスの偏流とこれによる製造不良を検知することができる。
具体的には、炭酸化反応時に炭酸ガス吹込み前の温度より高くなった部分と、炭酸ガス吹込み口からガス流路に沿って昇温降温パターンが移動する現象が確認される部分は、炭酸固化が生じていると判断され、したがって、上記のような温度センサーによる温度測定の結果に基づき、製造不良(炭酸化反応不良)の有無を判定し、必要に応じてガス供給量やガス圧力の調整を行う。
【0052】
原料ガスの供給量には特別な制限はなく、原料充填層が流動しない程度にガス吹き込みを行えばよいが、一般的な目安としては0.004〜0.5m3/min・t程度のガス吹き込み量が確保できればよい。但し、微粉原料の炭酸固化を確実に行わせるため、微粉原料中のCaO分を炭酸化できる量以上の炭酸ガスを総量として流すことが好ましい。
【0053】
CaOの炭酸化反応は、CaO+CO2→CaCO3であるため、微粉原料中のCaO全量を炭酸化する場合のCO2とCaOの重量比はCO2/CaO=0.786であり、したがって、微粉原料量(kg)、微粉原料中のCaO含有率(wt%)に応じて、CO2換算量で下式に示される最低流量(CO2−Nm3/スラグ−kg)を超える量の原料ガスを供給することが好ましい。
最低流量={(微粉原料量×微粉原料中のCaO含有率)/100}×(0.786/44)×22.4
【0054】
原料充填層を形成する容器としては型枠(充填枠)等を用いるのが好ましいが、この容器としては、原料ガスを原料充填層全体に流せるようにするため、底部にガス吹き込み部を有するとともに、上部にガス排気部を有し、且つガス吹き込み部から送り込まれた原料ガスが実質上ガス排気口から出てくる程度の気密状態にできる容器であることが好ましい。
また、このような気密状態とした容器では、原料ガスによって原料充填層中の水分が奪われても、この原料ガス中の水分が容器上部の低温域で凝縮し、原料充填層に落下して戻されるため好ましい。
【0055】
以上述べたような本発明の好ましい条件からして、上述した本発明の[1]〜[7]の構成における、より好ましい実施形態は以下の通りである。
[a] 原料充填層の水分含有量(wt%)が、下記する下限水分含有量及び上限水分含有量を満足することを特徴とする人工石材の製造方法。
下限水分含有量(wt%):[原料粒子の表面乾燥飽水量(wt%)]+[A×1.0×(1/10)6×1×106×100]
但し、A:原料粒子の外表面積(m2/g)
上限水分含有量(wt%):原料充填層内での有効気孔率が10%以上となる水分量
但し、有効気孔率={([乾燥時の原料充填層内の気孔容積]−[原料充填層に含まれる水分の容積])/[原料充填層の容積]}×100
【0056】
[b] 上記[a]の製造方法において、原料充填層の嵩密度を、嵩比重/真比重の比で0.3〜0.75とすることをを特徴とする人工石材の製造方法。
[c] 上記[a]または[b]の製造方法において、加圧された原料ガスを原料充填層に供給することを特徴とする人工石材の製造方法。
[d] 上記[a]〜[c]のいずれかの製造方法において、加湿された原料ガスを原料充填層に供給することを特徴とする人工石材の製造方法。
【0057】
[e] 上記[d]の製造方法において、原料ガスに対して、容器から排出されるガス中の水分量とほぼ同量の水分量を加湿することを特徴とする人工石材の製造方法。
[f] 上記[d]または[e]の製造方法において、容器から排出されるガスの湿度を測定し、該測定値に基づいて原料ガス加湿量を制御することを特徴とする人工石材の製造方法。
[g] 上記[d]〜[f]のいずれかの製造方法において、原料ガスを60℃以下であって、且つ原料充填層内の温度以下のガス温度で加湿することを特徴とする人工石材の製造方法。
【0058】
[h] 上記[a]〜[g]のいずれかの製造方法において、容器内における原料充填層上方のガス温度を、原料充填層に吹き込まれる原料ガス温度よりも低くすることを特徴とする人工石材の製造方法。
[i] 上記[a]〜[h]のいずれかの製造方法において、原料充填層内平均温度を60℃以下にすることを特徴とする人工石材の製造方法。
【0059】
[j] 上記[a]〜[i]のいずれかの製造方法において、容器の側壁に温度センサーを設置し、該温度センサーにより炭酸化反応時の原料充填層内の温度変化を測定し、この温度変化に基づき炭酸化反応不良を検知し、原料ガスの供給条件を制御することを特徴とする人工石材の製造方法。
【0060】
次に、本発明法の実施に供される設備の好ましい実施形態について説明する。
本発明法を実施する製造設備の一形態としては、型枠等の容器の底部の全体にガス供給管を配置し、このガス供給管に形成された多数のガス孔から、原料ガスを供給するようにした設備が挙げられる。
【0061】
図4および図5は、容器として型枠10を用いた場合において型枠底部におけるガス供給管5の一実施形態を示している。
ガス供給管5は型枠10の底部全体に複数条配置され、これら各ガス供給管5は型枠外の主配管6に接続されている。各ガス供給管5にはその長手方向に沿って適宜間隔をおいてガス孔が設けられている。
また、図6及び図7は他の実施形態を示しており、ゴムホース等からなる1本の配管を型枠の底部に配置することによりガス供給管5を構成したものである。このガス供給管5にもその長手方向に沿って適宜間隔をおいてガス孔が設けられている。
【0062】
従来、スラグを路盤材等に使用する際に所謂蒸気エージング処理が行われている。この蒸気エージング処理においてもスラグが装入される処理層の底部にガス供給管が配置され、このガス供給管を通じて原料層内にガスが供給されるが、ガスの均一拡散のためにガス供給管の回りに粗粒砕石層を設けている。しかし、本発明法で行う石材原料の炭酸固化処理では、炭酸化固化体(石材原料が塊状化した石材)の強度を確保するため原料層をある程度の充填度に締め固めする必要があり、このため本発明法における原料充填層は、従来の蒸気エージング処理が行われる原料層に較べてガスが通りにくい。このため従来の蒸気エージング処理のようにガス供給管の周囲に粗粒砕石層を設けた場合、吹き込まれた原料ガスが上部の原料充填層よりも通気性の良い粗粒砕石層を通って横へ拡散し、さらにガスの通りやすい容器の側壁に沿って上方に抜けてしまい、このため、原料充填層全体にガスが行き渡りにくい。このため本発明法ではガス供給管5の周囲に粗粒砕石層は設けずに、ガス供給管の上部に直接原料を装入し、原料充填層を形成することが好ましい。
【0063】
しかし、このようにガス供給管5の上部に直接原料充填層を形成した場合、ガス供給管5の破損の問題が生じる。この問題に対してはガス供給管5に鋼管を用いればよいが、単なる鋼管では腐食しやすい上に、スラグの蒸気エージング処理とは異なり本発明の炭酸固化処理では比較的粒度の小さい原料を用いるため、腐食したガス孔の周りに原料粉が固着、堆積してガス孔を閉塞させるという問題があり、これを防止するためには毎回の処理後に配管の手入れ作業を行うことが必要となる。
【0064】
したがって、ガス供給配管5としては外面が腐食しにくい材質のもの、すなわち、少なくとも外面がステンレス、アルミ、ゴム、樹脂、防錆剤層のいずれかで構成されたものを用いることが好ましい。具体的には、ステンレス管、アルミ管、表面にゴムやプラスチックのコーティング層を施した金属管、樹脂製のパイプ等が挙げられる。
また、ガス供給管5にゴムホースのような可撓性のホースを用いることにより、重機作業での配管の損傷を防止できる。
【0065】
図8はガス供給管5の一実施形態を示す断面図であり、このガス供給管5はステンレス管、アルミ管、樹脂パイプ、ゴムホースのような可撓性パイプ等により構成される。また、原料粉によるガス孔の閉塞をなるべく少なくするため、ガス孔7はガス供給管5の側部に形成されている。
【0066】
容器1の底部に配置されたガス供給管5は、例えば、処理終了後に容器1内の炭酸固化体を重機等で取り出し際に、重機自体の重量や石材を払い出す際の重機との接触等により破損する恐れがある。このうち重機の重量による破損は配管の強度を上げることや、配管を容器の底面に接触させること等によりある程度回避することができる。
【0067】
一方、重機との接触等による破損に関しては、ガス供給管5の断面形状を角型とすることが有効である。すなわち、断面が円形のガス供給管を用いた場合、原料がガス供給管の下部に入り込んだ状態で固化するため、固化した原料を払出す際にガス供給管の下側に入り込んだ原料を掻き出す必要があり、これによりガス供給管に重機の力が加わるため、破損し易い。これに対し角型のガス供給管の場合は、重機によるガス供給管への余分な力が加わらないため、破損がしにくい。
図9は断面を角型としたガス供給管5の一実施形態を示す断面図である。なお、この実施形態では鋼管等の金属管50の外側にゴムや樹脂等によるコーティング層51が設けられている。また、この実施形態でもガス孔7はガス供給管5の側部に形成されている。
【0068】
先に述べたように原料ガスによる原料充填層内の湿分の消失を防止するためには、原料ガスを加湿してから原料充填層に吹込むことが好ましいが、このように加湿された原料ガスを原料充填層内に吹き込んでも、原料ガスの加湿量によっては原料充填層の乾燥を十分に防止できなかったり、或いは逆に原料充填層に対して過剰な水分を添加したりする結果となる。このような問題は、図2に示すような設備を用いることにより容器外に排出される水分量に応じて原料ガスの加湿量を調整すれば解決できるが、より簡便な機構により原料充填層内の湿分量を適正な範囲に維持管理することができれば好都合である。
【0069】
図10はこれを可能とする製造設備の一実施形態を示している。
図10の製造設備は、石材原料を装入して原料充填層を形成すべき容器1と、この容器1内に原料ガスを吹き込むためのガス供給管5と、このガス供給管5に供給される原料ガスを加湿するための加湿装置(図示せず)等から構成されている。
前記容器1は型枠等により構成され、その上部に装着される蓋14(例えば、専用の蓋体またはシート等)により内部が閉鎖空間とされる。容器1の上部(本実施形態では蓋14)にはガスの排出管12が接続されている。
【0070】
この容器1の底部には、例えば図4や図6に示すような態様で前記ガス供給管5を配管してあり、その側部に形成された複数のガス孔7から原料ガスが原料充填層A内に供給される。さらに、容器1の底部15(底板)には原料充填層A内の過剰水分を容器外に排出するための複数の排水孔16が設けられるとともに、底部15の下部には排出された水を貯めるための貯水室17が設けられている。この貯水室17には排水用の排水管18が接続されている。また、前記排水孔16の直上には、原料による詰りを防止するためのカバー19を設けてある。なお、排水孔16の形状は任意であり、例えばスリット状の孔でもよい。
【0071】
また、容器1内における原料充填層Aの上方の空間Sは、ガス冷却部またはガス放冷部としてある。この実施形態では上記空間Sをガス放冷部とし、原料充填層Aから出たガスが自然放冷するのに十分なスペースを確保している。また、自然放冷を促進するため、断熱材20を原料充填層Aに相当する容器外側にのみ設け、前記空間Sに相当する容器外側には断熱材は設けていない。なお、この空間Sをガスを強制冷却するガス冷却部とする場合には、図2に示すような冷却機構4を設けることができる。
図示しない加湿装置は、例えば図2に示すような加湿槽により構成され、原料ガスを加湿した後、これを前記ガス供給管5に供給する。
【0072】
このような製造設備によれば、容器1内に原料が充填された状態で、加湿装置により加湿された原料ガスがガス供給管5を通じて原料充填層Aに吹き込まれる。原料ガスが原料充填層A内を通過することにより上述した炭酸化反応を生じるとともに、原料充填層Aを通過した原料ガスは空間Sにおいて放冷(または強制冷却)され、これにより原料ガス中の水蒸気が凝縮して水となり、原料充填層に滴下して原料充填層Aに湿分を補充する。また、原料充填層内で過剰となった水は容器1の底部15に形成された排水孔16を通じて貯水室17に排出される。この水は原料充填層の炭酸化処理終了時に排水管18により系外に排出される。したがって、このような製造設備によれば、原料ガスの加湿量を特別に調整することなく、原料充填層A内の湿分量を適正な範囲に維持管理することができる。
【0073】
また、図11は、簡便な機構により原料充填層内の湿分量を適正な範囲に維持管理することができる製造設備の他の実施形態を示すものである。
図11の製造設備は、石材原料を装入して原料充填層を形成すべき容器本体1aと、この容器本体1aの底板15aの下部に設けられる原料ガス吹込室21と、この原料ガス吹込室21に原料ガスを供給するためのガス供給手段22と、前記原料ガス吹込室21内に溜った水を排水するための排水手段23と、原料ガス吹込室21に供給される原料ガスを加湿するための加湿装置(図示せず)等から構成されている。
前記容器本体1aは型枠等により構成され、その上部に装着される蓋14(例えば、専用の蓋体またはシート等)により内部が閉鎖空間とされる。容器本体1aの上部(本実施形態では蓋14)にはガスの排出管12が接続されている。
【0074】
前記容器本体1aは、通気および通水可能な底板15aを有しており、この実施形態では、底板15aに通気および通水可能な複数の通孔24が形成されている。この通孔24の形状は任意であり、例えばスリット状の孔でもよい。
また、この底板15aは通気および通水可能で且つ適度な剛性を有するものであればよく、したがって、図11に示すような通孔を形成したもの以外に、例えば、多孔質材、金網、格子等からなる底板であってもよい。
また、底板15aの下部には、原料充填の際に通孔24を通じて原料が落下するのを防止し、且つ底板15aを補強するための板状体25が、原料充填時にのみ配置される。この板状体25は鉄板等の剛性のある板材により構成され、原料充填後は取り外される。
また、他の実施形態としては、図11に示すような底板15aを原料充填時の衝撃や加圧に耐えるような剛性のあるものとし、さらにその下部に通気および通水性があり、且つ原料粒子の落下を防止できる板状体25(例えば、目の細かい金網、耐食性のある布、多孔質材等により構成される板状体)を常時設けるようにしてもよい。
【0075】
前記原料ガス吹込室は前記底板15a(容器本体)の下部に設けられており、この原料ガス吹込室21は底板15aの通孔24を介して容器本体1aの内部と連通している。また、この原料ガス吹込室21には、原料ガスを供給するためのガス供給手段22(ガス供給管)と、内部に溜った水を排水するための排水手段23(排水管)とが接続されている。
【0076】
また、図10の場合と同様、容器本体1a内における原料充填層Aの上方の空間Sは、ガス冷却部またはガス放冷部としてある。この実施形態でも上記空間Sをガス放冷部とし、原料充填層Aから出たガスが自然放冷するのに十分なスペースを確保している。また、自然放冷を促進するため、断熱材20を原料充填層Aに相当する容器本体外側にのみ設け、前記空間Sに相当する容器本体外側には断熱材は設けていない。なお、この空間Sをガスを強制冷却するガス冷却部とする場合には、図2に示すような冷却機構4を設けることができる。
図示しない加湿装置は、例えば図2に示すような加湿槽により構成され、原料ガスを加湿した後、これを前記ガス供給手段22を通じて原料ガス吹込室21に供給する。
【0077】
このような製造設備によれば、容器本体1a内に原料が充填された状態で、加湿装置により加湿された原料ガスがガス供給手段22を通じて原料ガス吹込室21に供給され、この原料ガス吹込室21から容器本体1aの底板15aに形成された通孔24を通じて原料充填層Aに吹き込まれる。原料ガスが原料充填層A内を通過することにより上述した炭酸化反応を生じるとともに、原料充填層Aを通過した原料ガスは空間Sにおいて放冷(または強制冷却)され、これにより原料ガス中の水蒸気が凝縮して水となり、原料充填層Aに滴下して原料充填層Aに湿分を補充する。また、原料充填層A内で過剰となった水は容器本体1aの底板15aに形成された通孔24を通じて原料ガス吹込室21に排出され、さらに炭酸化処理終了後に排水手段23により系外に排出される。
したがって、このような製造設備によれば、原料ガスの加湿量を特別に調整することなく、原料充填層A内の湿分量を適正な範囲に維持管理することができる。
【0078】
本発明の実施に供される製造設備の好ましい実施形態は以下の通りである。
[1] CaO分含有廃材および/または鉄鋼製造プロセスで発生したCaO分含有スラグからなる炭酸化活性を有する微粉原料と、炭酸化活性が無いか若しくは前記微粉原料よりも炭酸化活性の小さい粗粒原料との混合物を主原料とする石材用原料を、炭酸化反応で固結させることにより塊状石材とするための製造設備であって、石材原料を装入して原料充填層を形成すべき容器と、長手方向で適宜間隔をおいてガス孔が形成され、前記容器の底部に配置されるガス供給配管とからなることを特徴とする人工石材の製造設備。
【0079】
[2] 上記[1]の製造設備において、ガス供給配管に供給される原料ガスを加湿するための加湿装置を有することを特徴とする人工石材の製造設備。
[3] 上記[2]の製造設備において、容器内における原料充填層の上方の空間をガス冷却部またはガス放冷部とするとともに、容器の底部に原料充填層内の過剰水分を容器外に排出するための排水孔を設けたことを特徴とする人工石材の製造設備。
[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの製造設備において、ガス供給配管の少なくとも外面が、ステンレス、アルミニウム、ゴム、樹脂、防錆剤層のいずれかにより構成されていることを特徴とする人工石材の製造設備。
【0080】
[5] 上記[4]の製造設備において、ガス供給配管が可撓性ホースからなることを特徴とする人工石材の製造設備。
[6] 上記[1]〜[5]のいずれかの製造設備において、原料ガスを原料充填層に吹き込むためのガス孔がガス供給配管の側部に形成されていることを特徴とする人工石材の製造設備。
[7] 上記[1]〜[6]のいずれかの製造設備において、ガス供給配管が断面角型であることを特徴とする人工石材の製造設備。
【0081】
[8] CaO分含有廃材および/または鉄鋼製造プロセスで発生したCaO分含有スラグからなる炭酸化活性を有する微粉原料と、炭酸化活性が無いか若しくは前記微粉原料よりも炭酸化活性の小さい粗粒原料との混合物を主原料とする石材用原料を、炭酸化反応で固結させることにより塊状石材とするための製造設備であって、通気および通水可能な底板を有し、石材用原料を装入して原料充填層を形成すべき容器本体と、該容器本体の底板の下部に設けられる原料ガス吹込室と、該原料ガス吹込室に原料ガスを供給するためのガス供給手段と、前記原料ガス吹込室内に溜った水を排水するための排水手段と、前記原料ガス吹込室に供給される原料ガスを加湿するための加湿装置とを有し、前記容器本体内における原料充填層の上方の空間をガス冷却部またはガス放冷部としたことを特徴とする人工石材の製造設備。
【0082】
【実施例】
[実施例]
微粉原料である粒度0.3mm未満の脱硫スラグと粗粒原料である粒度1〜5mmの高炉徐冷スラグを重量比で20/80の割合で配合し、さらに、この配合されたスラグ100重量部に対して水を6重量部を加えて混合した後、型枠(100mmφ×200mm)に充填して密閉し、室温で加湿した原料ガス(炭酸ガス濃度:100%)を型枠底部より毎分1リットル吹き込み、6日間にわたり炭酸化処理を行った。この間、型枠は変形せず、また、処理完了後の原料充填層は全体が均一に固化し、嵩密度2.3g/cm3の固化体が得られた。
この実施例において、炭酸化反応によって石材原料中にCaCO3として固定されたCO2量と石材用原料の重量比[CO2/石材用原料]は8/100であった。
【0083】
[比較例]
粒度−5mmの脱硫スラグ100重量部に対して水を6重量部を加えて混合した後、型枠(100mmφ×200mm)に充填して密閉し、室温で加湿した原料ガス(炭酸ガス濃度:100%)を型枠底部より毎分1リットル吹き込み、6日間にわたり炭酸化処理を行った。この結果、炭酸化処理の途中で型枠が変形し破損し、所望の形状の固化体を得ることはできなかった。
この実施例において、炭酸化反応によって石材原料中にCaCO3として固定されたCO2量と石材用原料の重量比[CO2/石材用原料]は18/100であった。
【0084】
【発明の効果】
以上述べた本発明によれば、廃コンクリート材等のようなCaO分含有廃材や鉄鋼製造プロセスで発生するスラグを原料として炭酸化反応により人工石材を製造するに際し、型枠等の変形や破損を生じさせることなく、高強度で均質な石材を効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す説明図
【図2】本発明の他の実施形態を示す説明図
【図3】原料充填層内の有効気孔率と得られる石材の圧縮強度との関係を示すグラフ
【図4】本発明の実施に供される製造設備の一実施形態を示す平面図
【図5】図4の設備の断面図
【図6】本発明の実施に供される製造設備の他の実施形態を示す平面図
【図7】図6の設備の断面図
【図8】本発明の実施に供される製造設備におけるガス供給配管の一例を示す断面図
【図9】本発明の実施に供される製造設備におけるガス供給配管の他の例を示す断面図
【図10】本発明の実施に供される製造設備の他の実施形態を示す説明図
【図11】本発明の実施に供される製造設備の他の実施形態を示す説明図
【符号の説明】
1…容器、1a…容器本体、2…ガス供給配管、3…加湿槽、4…冷却機構、5…ガス供給管、6…主配管、7…ガス孔、8…ガス流量計、9…湿度計、10…型枠、11…制御装置、12…排出管、13…温度調整装置、14…蓋、15…底部、15a…底板、16…排水孔、17…貯水室、18…排水管、19…カバー、20…断熱材、21…原料ガス吹込室、22…ガス供給手段、23…排水手段、24…通孔、25…板状体、50…金属管、51…コーティング層、A…原料充填層、S…空間
Claims (7)
- CaO分含有廃材および/または鉄鋼製造プロセスで発生したCaO分含有スラグからなる炭酸化活性を有する微粉原料と、炭酸化活性が無いか若しくは前記微粉原料よりも炭酸化活性の小さい粗粒原料との混合物を主原料とする石材用原料を、炭酸化反応で固結させることにより塊状石材とする方法であって、
水分が添加された石材用原料の積み山または任意の空間内での原料充填層を形成し、該積み山または原料充填層の内部に炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスからなる原料ガスを吹き込むことにより、主として微粉原料中に含まれるCaOおよび/またはCa(OH)2の炭酸化反応より生成させたCaCO3をバインダーとして石材用原料の積み山または原料充填層を炭酸固化させ、該積み山または原料充填層が塊状化した石材を得ることを特徴とする人工石材の製造方法。 - 容器内に水分が添加された石材用原料を装入して原料充填層を形成し、該容器内を閉鎖空間とした状態で容器の底部から炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスからなる原料ガスを吹き込むことにより、主として微粉原料中に含まれるCaOおよび/またはCa(OH)2の炭酸化反応より生成させたCaCO3をバインダーとして原料充填層を炭酸固化させ、原料充填層が塊状化した石材を得ることを特徴とする請求項1に記載の人工石材の製造方法。
- 石材用原料中に占める微粉原料の割合が30重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の人工石材の製造方法。
- 微粉原料は、CaOおよび/またはCa(OH)2を主体とした炭酸化可能な物質であって、且つ炭酸化反応により微粉原料の1/10以上(重量比)のCO2をCaCO3として固定できる物質を含有し、粗粒原料は、炭酸化可能な物質を含まないか、若しくは炭酸化可能な物質を含む場合でも、該物質の炭酸化反応によりCaCO3として固定されるCO2が粗粒原料の1/10未満(重量比)であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の人工石材の製造方法。
- 微粉原料の粒度が1mm未満であり、粗粒原料の粒度が1mm以上であることを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の人工石材の製造方法。
- 微粉原料の少なくとも一部が、塩基度[CaO/SiO2]≧2のCaO分含有高塩基度スラグ、コンクリート材の粉砕処理で生じたCaO分高含有廃材の中から選ばれる1種以上からなることを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の人工石材の製造方法。
- 粗粒原料の少なくとも一部が、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ、天然石、コンクリート材の粉砕処理で生じたCaO分低含有廃材の中から選ばれる1種以上からなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6に記載の人工石材の製造方法。
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