JP4013368B2 - 水中沈設用石材およびその製造方法 - Google Patents

水中沈設用石材およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグを主原料とする水中沈設用石材、より詳細には、藻場用石材、築磯用石材、魚礁用石材、海底マウンド用石材、河床用石材、魚道用石材、人工河床用石材、湖沼・池の沈設用石材、さらには、水質浄化を主目的として海、河川、湖沼、池等に沈設または敷設される石材等として使用される水中沈設用石材およびその製造方法に関する。なお、上記“藻場”とは海底に生育する海藻類(藻類、海草等)の群落を指す。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグ(例えば、高炉スラグ、転炉スラグ等)の有効利用を図る一環として、スラグを藻場用石材や魚礁等の水中沈設用資材として利用する試みがなされている。
スラグをこれらの資材として利用する場合の主たる形態としては、塊状のスラグをそのまま藻場用等の石材として利用する方法とスラグをコンクリート魚礁等の骨材として利用する方法が考えられる。
【0003】
また、近年魚類や甲殻類等の生物の生存環境を含めた河川や湖沼等の淡水系水域の自然環境を整備、改善しようとする機運が高まりつつあり、その一環として、例えば河床を水中生物(魚類、甲殻類、水生昆虫等)や水生植物(藻類、水草等)が生息、生育しやすい環境に改修する試みもなされている。河川を例にとると、河川において所謂生命空間(ビオトープ)とよばれる生物の生存、休息空間は、その多くが河床の石によってもたらされ、したがって、一般には河床に石等による凹凸が多くある河床の方が、より水中生物が生存しやすい環境にあると言える。例えば、河川内にある水没または半水没状の大塊の石と石との間の比較的大きな空間や、河床に敷き詰められた小石の間の小さな空間は、いずれも水中生物にとって重要な生命空間となる。また、河床の石は藻類等の水生植物が生育する場でもあり、水生植物を生育させるためにも石の存在は重要である。
【0004】
したがって、河川の自然環境の整備、改善の一環として行われる河床等の改修に当っては、河床に適当な形態で石材を沈設または敷設(例えば、大塊の石材の置き石、河床への中塊、小塊の石材の沈設、敷設等)することが、魚類等の水中生物や水生植物が生息、生育しやすい環境を整える有効な手段となり得る。しかし、このような河床等の改修には膨大な量の石材が必要であり、これに用いる自然石を他所で調達することは新たな自然破壊を引き起こす恐れがあり、また、自然石自体も決して安価ではないため施工コストも嵩んでしまう。
そこで、この河川に使用する石材としても、上述したようなスラグの利用が考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、スラグを水中沈設用資材として利用する上記の方法には以下のような問題点がある。
まず塊状のスラグをそのまま藻場用や河床用等の石材として利用する方法では、スラグ中に含まれるCa分が水中に溶け出し、海水や河川水等のpHを上昇させるおそれがある。また、水中に溶け出したCa分と水中のMgイオンとの反応によりMg(OH)2の沈殿(白沈)を生じることがあり、これがスラグ表面に付着して藻類等の水生植物の着生や発芽を阻害する問題がある。さらには、Ca分の溶出によりスラグ自体の強度が低下し、経時的に或いは外力の作用によって崩壊してしまうおそれがある。
【0006】
また、鉄鋼製造プロセスで得られたままの塊状のスラグを藻場用等の石材とした場合、その表面性状等からしてコンクリート製品に比べれば海藻類等の水生植物の着生・生育に適しているとは言えるが、藻場用等の石材としては天然石と同程度の機能(海藻類等の水生植物の付着性、成育性)しかなく、海藻類等の水生植物の成育を促進し得るような特別な機能を有する石材ではない。
【0007】
また、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグは地金(粒鉄等の鉄分)を多く含んでいるため、通常はスラグをある程度の大きさまで粉砕し、スラグ中に含まれる鉄分を回収して鉄鋼製造プロセスにリサイクルしている。しかし、藻場用や河床用等の石材として用いるスラグにはある程度の大きさが必要であり、地金回収のために粉砕処理したようなスラグはほとんど利用することができない。このため塊状スラグを藻場用等の石材として用いる場合には、鉄鋼資源として有用な地金の回収がほとんどできない。
【0008】
一方、スラグをコンクリート魚礁等のようなコンクリート製のプレキャスト体の骨材として利用する方法は、上述した塊状スラグをそのまま水中に沈めた場合のような問題は生じにくい。しかし、この方法により得られる資材は表面がセメントモルタルにより構成されるコンクリート製品であるため、藻場用や河床用等としてそれなりの機能が期待できると考えられる塊状スラグの性状(例えば、凹凸状の表面性状等)すら生かすことができない。
【0009】
藻場や漁礁に適用される石材は機能的に海藻類等の水生植物の着生や成育に適していることが必要であるが、コンクリート製の石材は、スラグを骨材として含むと否とに拘りなく機能的に海藻類等の水生植物の着生や成育には適さず、また、所謂磯焼けの原因となる石灰藻の付着繁殖を促すとされており、したがって、藻場用や漁礁用の水中沈設用石材としては全く適さない。
また、コンクリートはpHが高いため(通常、pH12〜12.5程度)、周囲の海水や河川水等のpHを上昇させたり、海藻類等の水生植物の生育遅延を生じさせたりするおそれもある。
【0010】
また、近年、河川に設けられたダムや堰に魚類の上・下流への移動や遡上を可能とするための魚道を設ける必要性が認識され、このためのダムや堰の改修も各地で行われるようになってきた。この魚道は、ダムや堰の一部に魚類が移動できる程度の流れが形成される水路(通常、2〜5m程度の幅を有する水路)を設けたものであり、傾斜路式、階段路式等の様々な形式のものが知られている。従来の一般的な魚道は、コンクリート壁で囲まれた水路をダムや堰の一部を切欠くようにして設けられている。
【0011】
このような従来の魚道は水の流速や底部の傾斜、段差等に特に問題がない限り魚類の移動には支障はない。しかし、コンクリート製の魚道は、その底部が元々平滑でしかも藻類等の水生植物も生育しにくいため、河床(石等の表面の突起や水生植物)に爪等を引っ掛けながら這って移動したり或いは流れの速い場所では河床に爪等を引っ掛けながら移動する水中生物(例えば、甲殻類や水生昆虫等)にとって移動が困難であるという問題がある。このような問題に対しては、魚道を発泡コンクリートにより構成して魚道の底部に微細な凹凸を付ける方法もあるが、このような魚道は施工コストが高く、実用性に乏しい。また、いずれにしてもコンクリートはpHが高いため、河床に沿って移動するような水中生物にはコンクリート製の魚道は好ましいものではない。
【0012】
さらに、近年では環境保護の観点から海、河川、湖沼、池などの水質浄化が大きな課題となっている。このような水質浄化のための一つの手法として、バクテリアを中心とした生物の生態系による自浄作用を利用することを狙いとし、水中での生物間の活発な食物連鎖の環境を人為的に提供する試みがなされており、その環境を提供するために水中や水辺に沈設または敷設する資材として、好気性生物や嫌気性生物等の多様な生物が棲息できる多孔質のコンクリートブロック体が用いられている。
しかし、このような従来の水質浄化用の資材もコンクリート製品であるため、上述したような本質的な問題点を有している。
【0013】
したがって本発明の目的は、上記のようなスラグを原材料とする水中沈設用資材の問題を解消し、藻場用石材、築磯用石材、魚礁等、海底マウンド用石材、河床用石材、魚道用石材、人工河床用石材、湖沼・池の沈設用石材、さらには、水質浄化用の石材として、海、河川、湖沼、池等の水中に沈設または敷設した際に、海水や河川水等のpHの上昇や白沈の発生等の問題を生じることがなく、しかも海藻類等の水生植物の着生、育成や魚介類の繁殖、魚類等の生存空間形成、水質浄化等の面で優れた機能を発揮でき、また、河川のダムや堰等に設けられる魚道等の人工構造部や石張り河床等の人工河床に沈設または敷設した際に、魚類以外の水中生物の移動性や水生植物の生育等の面でも優れた機能を発揮することができる水中沈設用石材を提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、上記のような水中沈設用石材を安価且つ効率的に製造することができる製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、上記のような水中沈設用石材を好適に使用するための使用方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく実験と検討を重ねた結果、以下のような事実を見出した。
(1) 粉粒状、粗粒状或いは小塊状のスラグ、特に鉄分(元々スラグ中に含まれる鉄分および/またはスラグ中に有意に添加された鉄分)を適度に含むこれらのスラグを、スラグ中に含まれるCaO(またはCaOとMgO)の炭酸化反応で生成させたCaCO3(またはCaCO3とMgCO3)をバインダーとして固結させ、塊状化させたものを海や河川等の水中沈設用石材として用いることにより、海水や河川水のpHの上昇や白沈の発生等の問題を生じさせることなく、しかも海藻類等の水生植物の着生、育成や水質浄化等の面で優れた効果を発揮する。また、河川のダムや堰等に設けられる魚道等の人工構造部や人工河床に沈設または敷設した際に、魚類以外の水中生物の移動性や水生植物の生育等の面でも優れた効果を発揮する。
【0016】
(2) 海中に溶出するケイ酸イオンが海藻類の成育に効果があることは従来からよく知られており、この観点からして、上記(1)のようなスラグを主原料とする水中沈設用石材中に可溶性シリカを配合し、ケイ酸イオンを溶出させるようにすれば、海藻類の成育にそれなりの効果が期待できると考えられる。しかし一方において、スラグを炭酸化処理により固結させて得られた石材中には、未反応のCaOが比較的少量ではあるが残存しており、この石材中に残存したCaOから溶出するカルシウムイオンが石材中の可溶性シリカから溶出するケイ酸イオンと反応し、石材内部にケイ酸カルシウム水和物の沈殿物を生成させる。このため石材中に可溶性シリカを添加しても、石材の外部に溶出して石材表面に着生する海藻類の成育に有効に作用するケイ酸イオンの量は限られたものとなる。
【0017】
そこで、このような問題を回避し、石材中に添加した可溶性シリカから溶出するケイ酸イオンをカルシウムイオンと反応させることなく、水中に溶出させることができる方法について検討した結果、石材外面の少なくとも一部領域に、可溶性シリカの含有量が高い可溶性シリカ配合層を形成することにより、ケイ酸イオンがカルシウムイオンと反応する機会を減少させることができ、これによって石材に含まれる可溶性シリカの多くをケイ酸イオンとして水中に効果的に溶出させ、海藻類等の水生植物の成育に有効に作用させ得ることが判った。
【0018】
(3) 上記のような塊状の水中沈設用石材を得るためには、粉粒状、粗粒状若しくは小塊状のスラグを主原料とする石材原料を、型枠または容器内に所望の密度で充填して石材原料の充填層を形成し、この充填層形成の際に、(1)型枠または容器の内側に、可溶性シリカと炭酸化反応用の成分を含む可溶性シリカ配合層形成用の原料を配し、充填層に炭酸ガス存在下で炭酸化反応を生じさせることにより、前記石材原料および可溶性シリカ配合層形成用の原料を固結させ、これら原料が一体として塊状化し且つ外面の少なくとも一部領域に可溶性シリカ配合層を有する石材を得る方法、または、(2)型枠または容器の内側に、充填層と接する面に充填層内に埋設されるアンカーを有する可溶性シリカ配合層用形成部材を配置し、充填層に炭酸ガス存在下で炭酸化反応を生じさせることにより石材原料を固結させ、石材原料が塊状化し且つ外面の少なくとも一部領域に前記アンカーを介して固定された可溶性シリカ配合層形成用部材により構成される可溶性シリカ配合層を有する石材を得る方法、のいずれかの製法が有効である。また、このような製法によれば、石材を適用すべき海底や河床の状況、海流や水流の状況、さらには藻場用、漁礁用、河床用、魚道用、水質浄化用等の用途の別に応じた任意の密度と大きさの石材を製造でき、また石材の大塊化も極めて容易に実現できる。
【0019】
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、その特徴は以下の通りである。
[1]鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを主原料とする水中沈設用石材であって、前記スラグが粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなり、該スラグを主原料とする石材原料を炭酸化反応で生成させたCaCOをバインダーとして固結させ、塊状化した石材であって、石材外面の少なくとも一部領域に、可溶性シリカの含有量が10〜90wt%の可溶性シリカ配合層を有し、該可溶性シリカ配合層が、炭酸化反応により石材原料とともに固結し、塊状化した石材の一部であることを特徴とする水中沈設用石材。
【0020】
[2]鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを主原料とする水中沈設用石材であって、前記スラグが粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなり、該スラグを主原料とする石材原料を炭酸化反応で生成させたCaCOおよびMgCO(但し、MgCOが水和物、水酸化物塩または複塩として存在する場合を含む)をバインダーとして固結させ、塊状化した石材であって、石材外面の少なくとも一部領域に、可溶性シリカの含有量が10〜90wt%の可溶性シリカ配合層を有し、該可溶性シリカ配合層が、炭酸化反応により石材原料とともに固結し、塊状化した石材の一部であることを特徴とする水中沈設用石材。
【0021】
3 ]鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを主原料とする水中沈設用石材であって、前記スラグが粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなり、該スラグを主原料とする石材原料を炭酸化反応で生成させたCaCO をバインダーとして固結させ、塊状化した石材であって、石材外面の少なくとも一部領域に、可溶性シリカの含有量が10〜90wt%の可溶性シリカ配合層を有し、可溶性シリカ配合層が、可溶性シリカとCaO、Ca(OH) 、MgO、Mg(OH) の中から選ばれる1種以上とを含む原料を炭酸化反応で生成させたCaCO および/またはMgCO をバインダーとして固結させた炭酸化硬化部または炭酸化硬化体からなることを特徴とする水中沈設用石材。
【0022】
4 ]鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを主原料とする水中沈設用石材であって、前記スラグが粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなり、該スラグを主原料とする石材原料を炭酸化反応で生成させたCaCO およびMgCO (但し、MgCO が水和物、水酸化物塩または複塩として存在する場合を含む)をバインダーとして固結させ、塊状化した石材であって、石材外面の少なくとも一部領域に、可溶性シリカの含有量が10〜90wt%の可溶性シリカ配合層を有し、可溶性シリカ配合層が、可溶性シリカとCaO、Ca(OH) 、MgO、Mg(OH) の中から選ばれる1種以上とを含む原料を炭酸化反応で生成させたCaCO および/またはMgCO をバインダーとして固結させた炭酸化硬化部または炭酸化硬化体からなることを特徴とする水中沈設用石材。
【0023】
5 ]鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを主原料とする水中沈設用石材であって、前記スラグが粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなり、該スラグを主原料とする石材原料を炭酸化反応で生成させたCaCO をバインダーとして固結させ、塊状化した石材であって、石材外面の少なくとも一部領域に、可溶性シリカの含有量が10〜90wt%の可溶性シリカ配合層を有し、石材原料中に添加材が配合され、該添加材の少なくとも一部が金属鉄、含金属鉄材、酸化鉄、含酸化鉄材の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする水中沈設用石材。
【0024】
6 ]鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを主原料とする水中沈設用石材であって、前記スラグが粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなり、該スラグを主原料とする石材原料を炭酸化反応で生成させたCaCO およびMgCO (但し、MgCO が水和物、水酸化物塩または複塩として存在する場合を含む)をバインダーとして固結させ、塊状化した石材であって、石材外面の少なくとも一部領域に、可溶性シリカの含有量が10〜90wt%の可溶性シリカ配合層を有し、石材原料中に添加材が配合され、該添加材の少なくとも一部が金属鉄、含金属鉄材、酸化鉄、含酸化鉄材の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする水中沈設用石材。
【0027】
7 鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを主原料とする水中沈設用石材の製造方法であって、粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなるスラグを主原料とする石材原料を型枠または容器内に充填して石材原料の充填層を形成し、この充填層形成の際に、型枠または容器の内側に10〜90wt%の可溶性シリカとCaO、Ca(OH)、MgO、Mg(OH)の中から選ばれる1種以上とを含む可溶性シリカ配合層形成用の原料を配し、充填層に炭酸ガス存在下で炭酸化反応を生じさせることにより、前記石材原料および可溶性シリカ配合層形成用の原料を固結させ、これら原料が塊状化し且つ外面の少なくとも一部領域に可溶性シリカ配合層を有する石材を得ることを特徴とする水中沈設用石材の製造方法。
【0028】
8 上記 7 の製造方法において、充填層形成の際に、充填層の底部および/または上部に可溶性シリカ配合層形成用の原料を配することを特徴とする水中沈設用石材の製造方法。
【0031】
9 ]上記[ 7 ]または[ 8 ]の製造方法において、石材原料中に添加材を配合し、該添加材の少なくとも一部が金属鉄、含金属鉄材、酸化鉄、含酸化鉄材の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする水中沈設用石材の製造方法。
【0035】
10 上記 1 ]〜[ 6 のいずれかに記載の石材を、河川内において水が流れる人工構造部または人工河床に沈設または敷設することを特徴とする水中沈設用石材の使用方法。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明は鉄鋼製造プロセスで発生するスラグを主原料とする水中沈設用石材であり、原料スラグとしては、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ等の高炉系スラグ、予備処理、転炉、鋳造等の工程で発生する脱炭スラグ、脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱珪スラグ、鋳造スラグ等の製鋼系スラグ、鉱石還元スラグ、電気炉スラグ等を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、また、2種以上のスラグを混合して用いることもできる。
【0037】
これらのスラグのうち、代表的なスラグの組成の一例を以下に示す。
(1) 脱炭スラグ … T.Fe:17.5%,CaO:46.2%、SiO2:11.7%、Al23:1.4%、MgO:8.3%、MnO:6.2%、P:0.76%、S:0.04%
(2) 脱燐スラグ … T.Fe:5.8%,CaO:54.9%、SiO2:18.4%、Al23:2.8%、MgO:2.3%、MnO:1.9%、P:2.8%、S:0.03%
【0038】
(3) 脱硫スラグ … T.Fe:10.5%,CaO:50.3%、SiO2:10.0%、Al23:5.4%、MgO:1.1%、MnO:0.4%、P:0.13%、S:1.8%
(4) 脱珪スラグ … T.Fe:10.5%,CaO:13.6%、SiO2:43.7%、Al23:3.8%、MgO:0.4%、MnO:15.8%、P:0.10%、S:0.19%
(5) 高炉水砕スラグ … FeO:0.3%、CaO:42.0%、SiO2:33.8%、MnO:0.3%、MgO:6.7%、Al23:14.4%
【0039】
なお、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグのうち、脱燐スラグはP含有量が高いために、また脱珪スラグはMnOの含有量が高いために、それぞれセメント原料として使用するには難があるが、本発明ではこれらのスラグについても問題なく水中沈設用石材の主原料として利用することができる。
【0040】
本発明の水中沈設用石材は、粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなるスラグを主原料とする。このようなスラグを主原料として用い、これを炭酸化反応で固結させることにより、全体(表面および内部)がポーラスな性状の石材を得ることができる。
【0041】
主原料となるスラグは粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグの1種以上であればよく、その他の条件は任意である。したがって、以下に述べるような地金回収工程または地金除去工程を経たスラグでもよいし、そのような工程を経ないスラグでもよい。
【0042】
鉄鋼製造プロセスで発生するスラグは、程度の差はあるものの比較的多量(通常、数重量%〜30重量%程度)の地金(粒鉄等の鉄分)を含んでおり、一般には、このような鉄分を鉄鋼製造プロセスにリサイクルするために、スラグ中の地金回収が行われる。通常、この地金回収を行うためにスラグは粉砕処理され、したがって、元々粉化、粗粒化若しくは小塊化した状態にあるスラグを含め、地金回収工程を経たスラグは必然的に粉粒状、粗粒状若しくは小塊状のものとなる。通常、この地金回収工程を経たスラグ粒子の粒径はcmオーダーまたはそれ以下(例えば、5cm以下)のものである。
【0043】
ここで、地金回収処理とは、上述したようにスラグ中に含まれる地金のリサイクルを目的としてスラグ中から地金を回収する処理のことであり、例えば、後述する地金除去処理のようにスラグ中の地金を実質的に除去することを目的として行われる処理とは異なる。一般に地金回収処理においてはスラグは微細には粉砕されず、このため処理後のスラグ中には未だ相当量の地金が残存している。
【0044】
なお、スラグを水中沈設用石材の素材とする場合、一般にはスラグ中の鉄分含有率は、後述する地金除去処理を経たスラグを石材の素材とする場合ほど低くなくてもよく、むしろ適量の鉄分(特に、粒鉄等の金属鉄や含金属鉄材)が含まれていた方がよい。これは、スラグに適量含まれる鉄分(金属鉄、含金属鉄材等)が水中に溶出することにより、水中に栄養塩として鉄分が補給され、これが海藻類等の水生植物の育成に有効に作用するからである。このため通常は、スラグ中の鉄分含有率は3重量%以上とすることが適当である。
【0045】
このようなスラグ中の鉄分は、スラグ中に元々含まれる地金(粒鉄等)の一部または全部を回収することなく残存させ、これをそのまま利用してもよいし、或いは一旦スラグ中の地金の実質的な全部(不可避的に除去できない地金を除く)を地金除去処理により除去した後、添加材として金属鉄および/または含金属鉄材を添加することにより確保してもよい。
【0046】
この後者の方法、すなわち、一旦スラグ中の地金の実質的な全部を地金除去処理により除去した後に添加材として金属鉄および/または含金属鉄材を添加する方法の場合には、以下のような利点がある。
(1) スラグ中に元々含まれる地金(粒鉄等)の一部を回収することなく残存させる方法では、スラグ中に残存させる地金の量を正確に調整することが難しい。すなわち、スラグ中からの地金の回収は磁気選別等により行われるが、この磁気選別処理の性質上、一定量の地金が残存するように地金の回収を行うことはかなり難しく、また、これが可能な場合であっても磁気選別を行う上で煩雑な制御や操作を行う必要がある。これに対して後者の方法では、スラグ中に元々含まれる地金の実質的な全部を除去回収し、改めて粒鉄等の金属鉄や含金属鉄材を添加するものであるため、スラグ中に含まれる鉄分の含有量を任意に制御することができる。
【0047】
(2) また、上記と同様の理由から、前者の方法、すなわちスラグ中に元々含まれる鉄分(粒鉄等)の一部を回収することなく残存させる方法では、スラグ中に残存させる地金の形状や大きさを選択できない。一般に水中沈設用石材を構成すべきスラグ中に含まれる鉄分としては金属鉄である所謂粒鉄が好ましいが、スラグ中から磁気選別等により地金の一部を除去回収する場合、このような粒鉄が残存するとは限らず、むしろ粒鉄が回収除去され、形状の大きい地金が残存してしまうこともあり得る。これに対して上記後者の方法では、スラグ中に添加する金属鉄等の形状や大きさを任意に選択でき、粒鉄等の好ましい鉄源をスラグ中に含有させることができる。
【0048】
したがって、金属鉄や含金属鉄材を含むスラグを得るには、一旦スラグ中の地金の実質的な全部(不可避的に除去できない地金を除く)を地金除去処理により除去した後、改めて金属鉄や含金属鉄材を添加するのが最も好ましい。
一般に地金除去処理はスラグを粉粒状または粗粒状に粉砕処理した後、磁気選別等により行われ、したがって、元々粉粒化または粗粒化した状態にあるスラグを含め、地金除去処理を経たスラグは必然的に粉粒状および/または粗粒状のもの(通常、50mmオーダーまたはそれ以下のスラグ粒径)である。
【0049】
上記の地金除去処理では、不可避的に残存する地金成分を除きスラグ中の地金は可能な限り除去されることが好ましく、通常、地金除去処理後のスラグ中の鉄分(地金)含有率は3重量%未満とすることが好ましい。
そして、このような地金除去処理を経たスラグに対して、粒鉄などの金属鉄および/または含金属鉄材が適量添加され、金属鉄や含金属鉄材を含む所望の鉄分含有量を有するスラグが得られる。
【0050】
スラグ中に添加する金属鉄や含金属鉄材としては、スラグを成型する際に形状の大きい金属鉄や含金属鉄材が成型の邪魔にならないようにすること、スラグ中に含まれる金属鉄等の比表面積を大きくして海中に沈設された石材からの鉄分の溶出性を高めること等の観点から、粒径が小さく且つ大きさのある程度揃ったものが好ましく、このような観点からは粒鉄が最適である。また、この粒鉄としては、スラグから回収された粒鉄だけでなく、それ以外で調達できる任意の粒鉄を使用できる。
【0051】
一般に、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグには相当量(通常、20重量%〜60重量%)のCaOが含まれており、本発明の水中沈設用石材は、このスラグ(粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなるスラグ)に含まれているCaO若しくはこのCaOが変化したCa(OH)2を炭酸化反応によりCaCO3に変化させ、このCaCO3をバインダーとしてスラグ(および添加材粒子)粒子を固結させ、塊状化したものである。
【0052】
粒状物をCaOとCOとの反応、すなわち炭酸化反応により生じるCaCOを利用して固結させること自体は古くから知られた技術であり、CaOを含む粒状物を炭酸ガス雰囲気下に置くと、下記反応式によってCaCOが生成し、このCaCOをバインダーとして粒子間に固結現象を生じる。
CaO+CO → CaCO
【0053】
従来、このような炭酸化反応を利用した技術としては、例えば製鋼風砕スラグと水との混練物を原料として建材用途等の硬化体製品を製造する方法(例えば、特開昭58−74559号)、粉末状の転炉スラグとポルトランドセメントとの混合物を原料として高強度建材用の硬化体製品を製造する方法(例えば、特開昭52−140535号)、非焼成ペレットの製造法(例えば、特開昭57−92143号、特開昭58−48642号、特開昭58−133334号)等が提案されている。しかしこれらの従来技術は、いずれも所要の強度を有する硬化体製品や非焼成ペレットを短時間で製造することのみを目的としたものであり、粉粒状、粗粒状または小塊状のスラグを炭酸化反応により固結させて得られた石材が、その特性や性状面で藻場用等の水中沈設用石材として極めて好適なものであることについては、何も示していない。
【0054】
また、MgOを含む粒状物についても、これを炭酸ガス雰囲気下に置くと炭酸化反応によりMgCO3が生成し、このMgCO3をバインダーとして粒子間に固結現象を生じる。MgOの炭酸化反応により生じるMgCO3は無水和物、水和物(例えば、二水和物、三水和物、五水和物等)、水酸化物塩(塩基性炭酸マグネシウム)等の多様な形態をとるが、例えば、MgCO3の三水和物は下記反応式によって生成される。
MgO+CO2+3H2O → MgCO3・3H2
【0055】
大部分のスラグにはCaOとともにある程度の量のMgOが含まれており、このようなスラグ(粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなるスラグ)を原料とする本発明の水中沈設用石材は、MgOまたはこのMgOが変化したMg(OH)2についても上記炭酸化反応によりMgCO3に変化させ、このMgCO3とCaCO3をバインダーとしてスラグ粒子(および添加材粒子)を固結させ、塊状化したものである。
【0056】
なお、上述したようにMgOの炭酸化反応により生じるMgCOは無水和物、水和物、水酸化物塩等のように種々の形態をとるものであり、本発明の水中沈設用石材中にバインダーとして含まれるMgCOは、これらのうちの何れの形態のMgCOでもよい。例えば、MgCOの水和物としては、MgCO・2HO、MgCO・3HO、MgCO・5HO等があり、また、水酸化物塩(塩基性炭酸マグネシウム)としてはMgCO・Mg(OH)・3HO、4MgCO・Mg(OH)・4HO、4MgCO・Mg(OH)・5HO、4MgCO・Mg(OH)・8HO等がある。さらに、MgCOは他の塩と結合して種々の複塩を形成する場合があり、このような複塩の形態で存在するMgCOでもよい。
【0057】
また、鉄鋼製造プロセスにおいて発生したスラグは、これに含まれるCaOやMgOの一部または全部が経時的な水分の吸収或いは他の原因でCa(OH)2やMg(OH)2に変化する場合があるが、上記のように本発明で利用するスラグとしては何ら問題なく、これらCa(OH)2やMg(OH)2も炭酸化反応によりそれぞれCaCO3、MgCO3に変化し、本発明の水中沈設用石材が得られる。
【0058】
本発明の水中沈設用石材は、石材外面の少なくとも一部領域に、可溶性シリカの含有量が10〜90wt%の可溶性シリカ配合層を有する。
先に述べたように、水中沈設用石材に含まれる可溶性シリカはこれからケイ酸イオンが水中に溶出することにより海藻類等の水生植物の成育に有効に作用する。しかし、スラグを炭酸化処理により固結させて得られた石材中には、未反応のCaOが比較的少量ではあるが含まれており、この石材中に残存したCaOから溶出するカルシウムイオンが石材中の可溶性シリカから溶出するケイ酸イオンと反応して石材内部にケイ酸カルシウム水和物の沈殿物を生成させる。このため石材中に可溶性シリカを添加しても、石材の外部に溶出して石材表面に着生する海藻類の成育に有効に作用するケイ酸イオンの量は限られたものとなる。
【0059】
これに対して石材外面の少なくとも一部領域に、可溶性シリカの含有量が高い可溶性シリカ配合層を形成することにより、多量のケイ酸イオンをカルシウムイオンと反応させることなく水中に溶出させ、海藻類等の水生植物の成育に有効に作用させることができる。
【0060】
ここで、可溶性シリカ配合層の可溶性シリカの含有量が10wt%未満では、ケイ酸イオンの溶出性が不十分となり易いため好ましくない。また、ケイ酸イオンの溶出性をより安定的なものとするには、可溶性シリカの含有量を30wt%以上とすることが好ましい。一方、可溶性シリカ配合層の可溶性シリカの含有量が90wt%を超えると、可溶性シリカ配合層の強度を確保することが難しくなるため好ましくない。
【0061】
石材表面の可溶性シリカ配合層の厚さは20mm以上、100mm以下とすることが好ましい。可溶性シリカ配合層の厚さが20mm未満では、可溶性シリカ配合層の一部が剥離したような場合にケイ酸イオンの継続的な溶出が維持できなくなるおそれがあり、また、厚さ20mm未満の薄い可溶性シリカ配合層を形成すること自体も難しい。なお、可溶性シリカ配合層の厚さが大きすぎると原料スラグの使用量が低減し、また、石材の強度も低下するため、可溶性シリカ配合層の厚さは100mm以下とすることが好ましい。
【0062】
また、石材表面に露出した可溶性シリカ配合層の面積は、石材の全表面積の15%以上であることが好ましい。可溶性シリカ配合層の面積が15%未満であると、ケイ酸イオンの溶出量を十分に確保できない場合がある。但し、可溶性シリカ配合層が石材表面の全部または大部分を覆うと、後述するようなスラグを主原料とする水中沈設用石材のメリットが減殺され、また、石材内部からの他の成分の溶出性にも影響を与えるおそれがあるため、可溶性シリカ配合層の面積は石材の全表面積の90%程度を上限とすることが望ましい。
可溶性シリカ配合層は、石材原料とともに塊状に固結した石材の一部により構成してもよいし、また、可溶性シリカ配合層を構成べき部材(可溶性シリカ配合層形成用部材)を別に作製しておき、これを石材原料を炭酸化反応で固結させた石材本体の表面に接合・固定することにより構成してもよい。
【0063】
可溶性シリカ配合層形成用部材を別体で作製し、これを石材原料を炭酸化反応で固結させた石材本体の表面に接合・固定する場合、その方法は任意であり、セメントやエポキシ樹脂等の一般的な結合剤で接合してもよいし、機械的手段を用いて接合してもよい。
【0064】
また、可溶性シリカ配合層形成用部材にアンカー(金具等)を設けておき、石材原料を炭酸化反応で固結させる際に石材原料の充填層に前記アンカーが埋設されるようにして可溶性シリカ配合層形成用部材を配置することにより、炭酸化反応で固結した石材の外面にアンカーを介して可溶性シリカ配合層形成用部材が固定されるようにしてもよい。このような方法で可溶性シリカ配合層形成用部材を石材本体に固定することにより、可溶性シリカ配合層形成用部材と石材本体との接合強度が確保できるため、石材全体としてのハンドリングが容易となる。
【0065】
また、可溶性シリカ配合層は、可溶性シリカとCaO、Ca(OH)2、MgO、Mg(OH)2の中から選ばれる1種以上とを含む原料(粉状または粒状の原料)を炭酸化反応で固結(炭酸化反応で生成させたCaCO3および/またはMgCO3をバインダーとして固結)させた炭酸化硬化部または炭酸化硬化体から構成することができ、特にこのような可溶性シリカ配合層は、可溶性シリカ配合層を炭酸化反応により石材原料とともに一体的に固結させる場合に好ましい。また、上記のような炭酸化硬化用原料としては、可溶性シリカ配合層の強度をスラグを主原料とする石材本体と同程度に確保するために、スラグ(例えば、水砕スラグ微粉末等)、セメント、消石灰の中から選ばれる1種以上を20wt%以上含むものが好ましい。このように可溶性シリカ配合層の強度が確保されることにより、石材全体のハンドリングが容易になる。
【0066】
また、可溶性シリカ配合層形成用部材を別体で作製し、これを石材原料を炭酸化反応で固結させた石材本体の表面に接合・固定する場合には、上記のような原料からなる炭酸化硬化体以外に、例えば、可溶性シリカまたはその含有物を樹脂やセメント等をバインダーとして固形化したもの等を用いてもよい。
また、可溶性シリカ配合層は、石材原料を炭酸化反応で固結させた石材の表面に穴や溝を形成し、この穴や溝に適当なバインダー(例えば、樹脂やセメント等)を配合した可溶シリカ配合層形成用の原料を充填して固化させたり、或いは予め作製された可溶シリカ配合層形成用部材を上記穴や溝に嵌め込む等の方法により形成されたものでもよい。また、上記穴や溝は石材原料を固結させる際に成型されたものでもよいし、固結させた石材を加工して形成したものでもよい。
また、石材表面に形成される可溶性シリカ配合層の形態は任意であり、例えば石材表面の数箇所に小さい面積で設けることもできる。
可溶性シリカ配合層に配合される可溶性シリカ源としては、例えば高炉水砕スラブ、フライアッシュ、シリカゲルなどである。また重金属が含まれていなければ、下水汚泥焼却灰、下水汚泥スラグ、ゴミ焼却灰、ゴミスラグも使用可能である。
【0067】
本発明の水中沈設用石材には、適用すべき水中の状況等に応じてそれぞれ好適な組成とするために、必要に応じて原料スラグに対して各種の添加材(粉粒状、粗粒状または小塊状の添加材)を添加することができる。この添加材としては、例えば、先に述べたような鉄源となる粉粒または粗粒物(金属鉄、含金属鉄材、酸化鉄、含酸化鉄材)、粉粒状または粗粒状のCaO、Ca(OH)2、MgO、Mg(OH)2、水砕スラグ微粉末、セメント、可溶性シリカ源となる粉粒または粗粒物(可溶性シリカ、含可溶性シリカ材)等が挙げられる。
【0068】
原料中にCaO、Ca(OH)2、MgO、Mg(OH)2の1種以上を添加する場合、これらは炭酸化反応によりCaCO3、MgCO3に変化してバインダーの一部となるか、若しくは一部がCaO等として残存して、以下のような機能を果たす。すなわち、水中沈設用石材に少量含まれるCaOは、海底に赤潮の原因となる燐や青潮の原因となる硫黄が多く含まれる場合にこれら燐や硫黄を吸着し、赤潮や青潮の発生を防止するのに効果がある。なお、先に述べたように石材中にCaOが多量に含まれる場合には海水のpHを上昇させるという問題があるが、燐や硫黄を吸着するには炭酸固化後に残存する程度の少量のCaOが含まれていれば足りる。
【0069】
水中沈設用石材に含まれる鉄源(金属鉄、酸化鉄)は、これらが水中に溶出することにより海藻類等の水生植物の成育に有効に作用する。また、水中への溶出性、海藻類等の成育作用の点からは、鉄源の中でも特に金属鉄や含金属鉄材が好ましい。
【0070】
鉄源となる粉粒または粗粒物としては、粒鉄等のような粉粒状若しくは粗粒状の金属鉄または含金属鉄材、粉粒状若しくは粗粒状の酸化鉄または含酸化鉄材等があり、特に容易且つ安価に入手できる粉粒または粗粒物としては、鉄鋼製造プロセスで発生する含鉄ダストやミルスケールが挙げられる。含鉄ダストとしては製鉄ダストが一般的であり、通常、このダストはFe換算で75%前後の酸化鉄を含有している。また、ミルスケールもFe換算で70%前後の酸化鉄を含有している。
【0071】
先に述べたように石材内部に可溶性シリカを添加した場合は、これから溶出するケイ酸イオンがカルシウムイオンと反応するため、海藻類の有効成分として水中に溶出されにくい問題があるが、このような問題に拘りなく、可溶性シリカ源を石材自体に配合することもできる。
可溶性シリカ源となる粉粒または粗粒物としては、粉粒状または粗粒状の可溶性シリカおよび/または含可溶性シリカ材がある。この含可溶性シリカ材としては、火力発電所等において石炭燃焼により生じるフライアッシュやクリンカーアッシュ等を用いることができる。これらのうちフライアッシュは45〜75重量%程度、またクリンカーアッシュは50〜65重量%程度の可溶性シリカを含有している。
【0072】
また、高炉水砕スラグも可溶性シリカを比較的多く含んでいるため、スラグの一部または全部を高炉水砕スラグとすること、例えば製鋼スラグと高炉水砕スラグとを混合して用いることにより、可溶性シリカ源となる添加材を添加した場合と同様の効果が得られる。
また、セメントや水砕スラグ微粉末は、これらに含まれるCaOを炭酸化反応でCaCO3とし、これをバインダーの一部とすることにより石材の強度を向上させるために添加する。但し、特にセメントについては、過剰な量の添加はコンクリートによる藻類の着生、成育不良を招きやすいため、少量(15wt%以下)に止めることが好ましい。
【0073】
また、先に述べたようにヘドロが堆積したような海底に比重の大きい石材を沈設した場合には、石材がヘドロのなかに沈んでしまい、藻場用石材や魚礁等としての役目を果たせなくなる場合がある。したがって、このようなヘドロの堆積した海域で使用する水中沈設用石材については、比較的比重の小さいスラグを主原料とすることが好ましく、具体的には、他のスラグに比べて比重の小さい水砕スラグを主原料の少なくとも一部として用いることが有効である。
【0074】
粉粒状、粗粒状または小塊状のスラグを主原料とする本発明の水中沈設用石材は比較的ポーラスな性状を有しており、これにより下記▲3▼で述べるような効果が得られる。石材の空隙率は特に限定しないが、通常、10〜70%程度の空隙率とすることが好ましい。この空隙率は、炭酸固化させる際の原料スラグの嵩密度(圧密度)を調整することにより容易に調整できる。
【0075】
本発明の水中沈設用石材は海、河川、湖沼、池等において使用され、例えば、海においては藻場用石材、築磯用石材、魚礁用石材、海底マウンド用石材、水質浄化用石材として、河川においては河床用石材、魚道用石材、水質浄化用石材等として、湖沼や池においては水底用石材、水質浄化用石材等として、それぞれ水中に沈設または敷設されることにより使用される。
本発明の石材を水中に設置する態様は任意であり、単に沈設するだけでなく、適当な構造部等に固定的に敷設してもよい。
【0076】
また、本発明の水中沈設用石材は、一部が水面上に露出したり、或いは水位の変動により全体が一時的に水面上に露出するような態様でも使用できることは言うまでもない。これらの例としては、例えば、海岸、河原、河川の水際部等に敷設する石材、海岸や河川の護岸用として法面に敷設する石材等が挙げられる。また、沈設または敷設する態様としては、単に塊状の石材をランダムに沈設、敷設するだけでなく、中塊・大塊状の石材を石積みする態様、小塊・中塊状の石材を蛇籠等に収納して積み上げる態様、ブロック状の石材を組み付けて敷設する態様等、任意の態様を採用できる。
【0077】
また、本発明の水中沈設用石材は魚道用石材等のように人工構造部や人工河床に沈設または敷設される石材としても好適であり、このうち魚道用石材としては、少なくとも魚道の底部に沈設若しくは固定的に敷設される。また、魚道以外にも、例えば、水が流れる人工構造部の上面(例えば、堰等の頭首工の一部または全部を構成する人工構造部の緩傾斜面)や固定的に構築された人工河床(例えば、石張りまたは石組により構築された河床)等、任意の構造部に固定的に敷設することもできる。
【0078】
本発明の水中沈設用石材を使用する際の形態(大きさや形状等)は任意であり、例えば、大きさとしては1000mm以上のオーダーから数十mm程度のオーダーまで、用途に応じて適宜選択すればよい。
また、石材の形状としては、後述するように炭酸固化したスラグの積み山または充填層から重機等による破砕によって石材を切り出せばランダムな形状の塊状石材が得られるし、スラグを適当な大きさの充填層で炭酸固化させれば、その充填層の形状のままの塊状石材が得られる。また、この後者の場合には、石材の形状は球状、パネル状、直方体または立方体ブロック形状、円筒形状、容器形状等、任意の形状を選択でき、また、それらの形状において任意の孔、凹み、溝、突起等を付けることもできる。
【0079】
また、魚道や他の人工構造部或いは人工河床等に固定的に敷設する場合には、施工がしやすく、且つ場合によっては石材の石組だけで固定的に敷設できるようにするため、ブロック状、パネル状またはタイル状若しくはそれに近い形状(定形材)で使用することが好ましい。但し、魚道等においても、その底部に非定形の塊状石材を単に沈設するような形態で用いてもよい。
【0080】
本発明の水中沈設用石材は、上述した各種用途の水中沈設用石材として以下のような長所を有する。
▲1▼ 石材外面の少なくとも一部領域に可溶性シリカの含有量が高い可溶性シリカ配合層を形成することにより、多量のケイ酸イオンを石材中のカルシウムイオンと反応させることなく水中に溶出させ、海藻類等の水生植物の成育に有効に作用させることができる。
【0081】
▲2▼ スラグ中に含まれるCaO(またはCaOから生成したCa(OH)2)の大部分がCaCO3に変化するため、CaOによる海水のpH上昇を防止できる。一般に自然石(石灰石)のpHは9.3程度、コンクリートのpHは12〜12.5程度であるが、本発明の水中沈設用石材は製造時の上記中和反応により自然石並みのpH10前後とすることができる。また、Ca分と水中のMgイオンとの反応による白沈の発生も防止できる。
一方において、スラグに適量の鉄分(特に、金属鉄、含金属鉄材)が含まれることにより、この鉄分が水中に溶出することで水中に栄養塩として鉄分が補給され、これが海藻類等の水生植物の育成に有効に作用する。
【0082】
▲3▼ 粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなるスラグを炭酸固化して得られた塊状物は全体(表面及び内部)がポーラスな性状を有しており、このため石材表面に海藻類が付着し易く、しかも石材内部もポーラス状であるため、石材中に含まれている海藻類等の水生植物の成育促進に有効な成分(例えば、可溶性シリカや鉄分)が水中に溶出しやすい。このため塊状スラグをそのまま水中沈設用石材として用いる場合やスラグを骨材とするコンクリート製魚礁に較べて、海藻類等の水生植物の成育を効果的に促進することができる。
【0083】
特に、藻場造成場所等において沈設される石材への海藻類の増殖、生育を効果的に促進するためには、石材表面での海藻類の幼体の生育を促進させる必要がある。この点、本発明の水中沈設用石材から水中に溶出する有効成分は、海藻類の個体が石材に近いほど効果的に作用するため、海藻類の幼体の生育に特に有効であり、このため海藻類の幼体の生育を効果的に促進させることができる。
【0084】
▲4▼ 塊状スラグそのものを水中沈設用石材として用いる場合、溶融スラグの冷却方法や条件等の制約により一般にその大きさには限界(通常、最大でも800mm程度)があり、また、サイズの揃った大塊の石材を得ることは難しい。これに対して粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなるスラグを炭酸固化させた石材は、炭酸固化させる際の形状の選択或いは炭酸固化後の切り出し形状の選択等によりその大きさを任意に調整することができ、藻場用石材や魚礁等として特に好ましい大塊の石材も容易に得ることができる。また、河川や湖沼、池等のための石材としても、置き石用の大塊の石材、河床や水底に沈設または敷設する中塊の石材、小塊の石材(割石状の石材)等、任意の大きさの石材を容易に得ることができる。
【0085】
▲5▼ 水中沈設用石材は海底や河床の状況、海流や水流の状況等に応じて最適の密度(比重)のものを用いることが好ましく、例えばヘドロが堆積したような海底に密度の大きい石材を沈設した場合には、石材がヘドロのなかに沈んでしまい、藻場用石材や魚礁としての役目を果たせなくなる。この点、粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなるスラグを炭酸固化させた石材は、炭酸固化させる際のスラグの嵩密度(圧密度)を適宜調整することにより、その密度を任意に調整することができる。
【0086】
▲6▼ 本発明の石材は、水質浄化用石材としても優れた機能を有している。すなわち、本発明の石材は上記▲3▼で述べたように石材全体(表面及び内部)がポーラスな性状を有しているため、優れた微生物担体機能(多様な生物、特に微生物を安定して棲息させる機能)を有しており、多様な微生物を固定して微生物による有機性汚濁物質の分解と窒素化合物の硝化を効率的に促進させる。さらに、上述したような水生植物の植生基盤としての優れた機能により、藻類のような水生植物、さらには湿性植物の生育環境を提供し、植物による富栄養分の吸収を促進させることにより自然の水質浄化能力を向上させる。さらに、この石材で育成された水生植物は水生生物の餌や棲家を提供するため、多様な生物間での食物連鎖の環境が確保され、生物の生態系、食物連鎖による水の自浄作用を促進させる。そして、このような微生物担体機能と植生基盤としての機能が複合化することにより、従来のようなコンクリート製の水質浄化ブロックでは得られない優れた水質浄化作用が得られる。
【0087】
▲7▼ 通常、本発明の石材は固結した積み山または充填層から切り出されることによって岩状のごつごつした形態を有するため、これを河床や湖沼の水底等に沈設または敷設した場合、一般の河川で見られるような丸石またはこれに類する形状の自然石に較べて石材間や石材と河底と間に大きな空間を生じやすく、その分、水中生物にとって有用な生存、休息空間が形成されやすい。
【0088】
また、先に述べたように本発明の水中沈設用石材は、河川用途のなかでも特に魚道等の水が流れる人工構造部用や人工河床用の石材(以下は、魚道用石材を例に説明する)として好適なものであり、このような用途の石材として用いた場合、上記の点以外に以下のような長所を有する。
【0089】
▲8▼ 粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなるスラグを炭酸固化して得られた塊状物の表面はポーラスな性状で、無数の凹凸を有しているため、これを魚道の底部等に沈設または敷設した場合には、河床(石等の表面の突起や水生植物)に爪等を引っ掛けながら移動するような水中生物(例えば、甲殻類や水生昆虫等)であっても魚道を容易に移動することができる。また特に、本発明の石材は上述したようにポーラスで凹凸のある表面を有し且つpHも自然石並みであり、また有効成分も溶出しやすい性質があるため、表面に藻類等の水生植物が付着、生育しやすく、このような水生植物の付着、生育により上記水中生物の魚道での移動がより容易になる。
【0090】
▲9▼ 魚道用として石材を用いる場合、魚道内に塊状の石材を単に沈設するだけでもよいが、水流による石材の流失を防止するには、ブロック状またはパネル状等の形状に成型した石材を魚道等の底部に固定的に敷設することが好ましい。この点、スラグを炭酸固化させて得られる石材は製造時に任意の形状に成型することが可能であるため、ブロック状またはパネル状等の形状のものを容易に得ることができ、このような石材を用いることにより魚道等の底部に固定的に敷設する際の施工が容易であり、しかも、確実に敷設することができる。
【0091】
次に、本発明の水中沈設用石材の好ましい製造法について説明する。
本発明による水中沈設用石材の製造法では、粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなるスラグを主原料とする石材原料を型枠または容器内に装入して石材原料の充填層を形成し、この充填層に炭酸ガス存在下で炭酸化反応を生じさせることにより石材原料を固結させ、塊状化した石材を得るものであるが、前記充填層を形成させる際に、下記(1)、(2)のいずれかの方法が採られる。
【0092】
(1) 型枠または容器の内側に、可溶性シリカと炭酸化反応用の成分を含む可溶性シリカ配合層形成用の原料を配し、充填層に炭酸ガス存在下で炭酸化反応を、生じさせることにより、前記石材原料および可溶性シリカ配合層形成用の原料を一体に固結させ、これら原料が塊状化し且つ外面の少なくとも一部領域に可溶性シリカ配合層を有する石材を得る方法
【0093】
(2) 型枠または容器の内側に、充填層と接する面に充填層内に埋設されるアンカーを有する可溶性シリカ配合層形成用部材を配置し、充填層に炭酸ガス存在下で炭酸化反応を生じさせることにより石材原料を固結させ、石材原料が塊状化し且つ外面の少なくとも一部領域に前記アンカーを介して固定された可溶性シリカ配合層形成用部材により構成される可溶性シリカ配合層を有する石材を得る方法
【0094】
上記(1)の方法では、可溶性シリカ配合層形成用の原料として、10〜90wt%の可溶性シリカとCaO、Ca(OH)2、MgO、Mg(OH)2の中から選ばれる1種以上とを含む原料(粉状または粒状の原料)を用いる。
【0095】
可溶性シリカ配合層形成用の原料中の可溶性シリカ含有量の限定理由については、可溶性シリカ配合層に関して先に述べた限定理由と同様である。また、この原料中に含まれるCaO、Ca(OH)2、MgO、Mg(OH)2のうちの1種以上は、炭酸化反応を生じさせることによりバインダーであるCaCO3、MgCO3を生成し、可溶性シリカ配合層形成用の原料を固結させ、所定の強度を有する可溶性シリカ配合層を形成させる。また、この炭酸化硬化用原料としては、可溶性シリカ配合層の強度を確保するために、スラグ(例えば、水砕スラグ微粉末等)、セメント、消石灰の中から選ばれる1種以上を20wt%以上含むものが好ましい。
また、可溶性シリカ配合層形成用の原料についても、石材原料と同様、炭酸化反応に必要な水分が不足している場合には、必要に応じて水分調整がなされる。この(1)の方法では、石材原料と可溶性シリカ配合層形成用の原料とからなる充填層の炭酸化処理を行うことにより、石材原料と可溶性シリカ配合層形成用の原料がともに炭酸化反応により一体的に固結し、外面の少なくとも一部領域に可溶性シリカ配合層を有する石材が得られる。この方法によれば、炭酸化処理によって可溶性シリカ配合層を含む石材が一体的に得られるため、製造コストが小さいという利点がある。
【0096】
また、上記(2)の方法では、充填層と接する面に充填層内に埋設されるアンカーを有する可溶性シリカ配合層形成用部材を予め作製しておき、石材原料による充填層形成の際に、この可溶性シリカ配合層形成用部材を型枠または容器の内側に配置する。可溶性シリカ配合層形成用部材は可溶性シリカ含有量が10〜90wt%であり、その限定理由は可溶性シリカ配合層に関して先に述べた限定理由と同様である。
【0097】
型枠または容器の内側に配置された可溶性シリカ配合層形成用部材のアンカーは充填層内に埋設されており、したがって、石材原料からなる充填層の炭酸化処理を行うことにより、石材原料は可溶性シリカ配合層形成用部材のアンカーを埋設した状態で固結するため、可溶性シリカ配合層形成部材は固結した石材にアンカーを介して固定され、これにより外面の少なくとも一部領域に可溶性シリカ配合層を有する石材が得られる。
【0098】
図1は本発明法の製造フローの一例を、また図2はこの製造フローに従った製造工程の一例を示している。鉄鋼製造プロセスで発生したスラグについては、一般にスラグ中の地金の回収が行われ、スラグ中に含まれる相当程度の割合の地金分が除去される。通常、この地金回収工程ではスラグを粉砕機等によりcmオーダーまたはそれ以下の粒径(例えば、5cm以下)まで粉砕し、粉粒状、粗粒状若しくは小塊状スラグとした後、地金の回収が行われる。スラグは地金回収が可能な程度の粒径であればよく、したがって、スラグの性状等により比較的粒度が粗くても地金回収が可能なものについては、地金除去可能な粒径までスラグを粉砕すればよい。
【0099】
また、上記の地金回収では、回収処理後のスラグ中の地金含有率が後述する地金除去処理後ほど低くなくてもよく、適量の地金を残存させてよい。これは、スラグ中に適量含まれる鉄分(特に、金属鉄、含金属鉄材)が水中に溶出することにより、水中に栄養塩として鉄分が補給され、これが海藻類等の水生植物の成育に有効に作用するからである。このため、通常は回収処理後の含有率で3重量%以上の地金がスラグ中に残存する程度の回収を行えばよい。
【0100】
また、スラグによっては地金回収が可能な程度の粒径に自然崩壊した状態(すなわち、粉粒状、粗粒状若しくは小塊状に自然崩壊した状態)で搬入されるものもあり、このようなスラグについては上述したような粉砕処理は必要ない場合もある。例えば、スラグ中に含まれる未滓化のCaOがスラグの冷却固化後、空気中の水分または雨水、冷却時の散水等と反応してCa(OH)2を生成し、この生成時にスラグが膨張して崩壊、粉化する場合や、塩基度(CaO/SiO2)が2に近いスラグ中に2CaO・SiO2(C2S)が生成し、このC2Sがスラグ冷却過程で変態膨張を起こし、スラグが崩壊、粉化する場合等があり、これらの原因で既に地金回収が可能な程度の粒径まで粉化、粒状化若しくは小塊化したスラグについては、そのまま地金回収を実施することができる。
【0101】
通常、スラグの地金回収は磁気選別機等による磁気選別(磁石によりスラグ中の地金分を除去する方法)により行われるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、地金成分とスラグ成分との比重差を利用した風力選別等の比重選別法を用いることもできる。
この地金回収によって、スラグ中に含まれる相当量の地金成分が回収される。図2において、1は粉砕機、2は磁気選別機を示す。
【0102】
なお、一般に地金回収工程を経たスラグの多くは、程度の差こそあるものの粉粒状または粗粒状のスラグ粒子が或る一定以上の割合で含まれ、したがって、スラグ中に比較的粒径の大きい小塊状のスラグ粒子が混在していても、小塊状のスラグ粒子どうしの隙間を粉粒状または粗粒状のスラグ粒子が埋めるため、スラグ粒子を所定の強度を持つ状態に炭酸固化させるのに支障を生じる恐れはほとんどない。但し、スラグが実質的に小塊状のスラグ粒子のみからなる場合やスラグ中に占める小塊状のスラグ粒子の割合が比較的多い場合には、スラグ粒子どうしの接触面積が小さくなるため、スラグ粒子を所定の強度を持つ状態に炭酸固化させるのに支障を生じる恐れがある。したがって、このような場合には、粉粒状または粗粒状のスラグ粒子の割合を増やす等の粒度調整を行うことが好ましい。
【0103】
また、スラグ中の鉄分は、上記のようにスラグ中に元々含まれる地金(粒鉄等)の一部または全部を回収することなく残存させ、これをそのまま利用してもよいが、先に述べたようにスラグ中に含まれる鉄分の含有量を任意に制御し、且つスラグ中に含まれる鉄分の形状や大きさを任意に選択して、粒鉄等の好ましい鉄源をスラグ中に含有させるためには、一旦スラグ中の地金の実質的な全部(不可避的に除去できない地金を除く)を地金除去処理により除去した後、添加材として金属鉄および/または含金属鉄材を添加する方法を採る方が好ましい。
【0104】
一般に、この地金除去処理はスラグを粉砕機等によりmmオーダーまたはそれ以下の粒径(例えば、5mm以下)まで粉砕した状態で行われる。但し、スラグは地金除去処理が可能な程度の粒径であればよく、したがって、スラグの性状等により比較的粗粒状でも地金除去が可能なものについては、地金除去可能な粒径までスラグを粉砕すればよい。また、自然粉化等により既に粉粒化または粗粒化しているスラグについては、上記のような粉砕処理は必要ない場合もある。地金除去処理では、不可避的に残存する地金成分を除き、スラグ中の地金は可能な限り除去されることが好ましく、通常、地金除去処理後のスラグ中の地金含有率を3重量%未満とすることが好ましい。
【0105】
通常、地金除去処理は磁気選別機等による磁気選別(磁石によりスラグ中の地金分を除去する方法)により行われるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、地金成分とスラグ成分との比重差を利用した風力選別等の比重選別法を用いることもできる。
【0106】
以上のような地金回収処理または地金除去処理を経たスラグは、粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状状スラグのうちの1種以上からなるスラグである。但し、原料スラグは粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグの1種以上であればよく、したがって、上記のような地金回収工程や地金除去工程を経ることを必要条件とするものではない。
【0107】
この原料スラグには、必要に応じて添加材が添加され、原料スラグと混合される。添加材としては、例えば、鉄源となる粉粒または粗粒物(金属鉄、含金属鉄材、酸化鉄、含酸化鉄材)、CaO、Ca(OH)2、MgO、Mg(OH)2等の1種以上、可溶性シリカ源となる粉粒または粗粒物(可溶性シリカ、含可溶性シリカ材)、セメント、水砕スラグ微粒子等を添加することができ、その具体例と好ましい添加条件は先に述べた通りである。なお、スラグ中に添加する金属鉄や含金属鉄材としては、先に述べた理由から粒鉄が最適である。この粒鉄としては、スラグから回収された粒鉄だけでなく、それ以外で調達できる任意の粒鉄を使用できる。
【0108】
原料スラグと添加材との混合は任意な方法で行うことができ、例えば、モルタルミキサーやコンクリートミキサー等の混練機で混合する方法、ホッパー内で混合する方法、地金回収設備または地金除去処理設備内で地金回収または地金除去処理済みのスラグに添加材を添加して混合する方法、ショベル等の重機により混合する方法等、任意の方法を採ることができる。
また、この段階において、必要に応じてスラグの水分調整を行うこともできる。この水分調整については、後に詳述する。
【0109】
このようにして必要に応じて添加材が添加、混合され、且つ水分調整がなされたスラグは、炭酸固化のために型枠または容器内に装入され、石材原料の充填層を形成させる。図2は、型枠3の内部に充填層Aを形成した状態を示している。
【0110】
このような充填層を形成する際、上記(1)の製法においては、型枠または容器の内側に可溶性シリカ配合層形成用の原料(この原料は、必要に応じて水分調整がなされている)を配する。この可溶性シリカ配合層形成用の原料を配する位置に特別な制約ないが、最も容易なのが充填層の底部および/または上部である。図3はその一例を示すもので、型枠3内の原料充填層Aの底部に可溶性シリカ配合層形成用の原料層xを配している。このような形態の原料充填層Aは、まず、型枠3内に可溶性シリカ配合層形成用の原料(原料層x)を装入し、次いで石材原料を装入することにより形成する。また、可溶性シリカ配合層形成用の原料は充填層Aの上部に配することもでき、この場合には、まず、型枠3内に石材原料を装入した後、その上部に可溶性シリカ配合層形成用の原料(原料層x)を装入する。また、可溶性シリカ配合層形成用の原料は充填層の底部および上部の両方に配することもでき、さらに、適当な保持手段があれば充填層の側部に配することもできる。この状態で充填層の炭酸化処理を行えば、石材原料と可溶性シリカ配合層形成用の原料がともに炭酸化反応により一体的に固結し、外面の少なくとも一部領域(図3の場合には石材の1つの面)に可溶性シリカ配合層を有する石材が得られる。
【0111】
また、上記(2)の製法においては、可溶性シリカ含有量が10〜90wt%であって、充填層と接する面に充填層内に埋設されるアンカーを有する可溶性シリカ配合層形成用部材を予め作製しておき、石材原料による充填層形成の際に、この可溶性シリカ配合層形成用部材を型枠または容器の内側に配置する。図4はその一例を示すもので、型枠3内の原料充填層Aの底部にアンカーzを有する可溶性シリカ配合層形成用部材yを配置し、しかる後、型枠3内に石材原料を装入したものである。これにより可溶性シリカ配合層形成用部材yのアンカーzは石材原料による充填層A内に埋設される。この状態で充填層Aの炭酸化処理を行えば、石材原料は可溶性シリカ配合層形成用部材yのアンカーzを埋設した状態で固結するため、可溶性シリカ配合層形成用部材yは固結した石材にアンカーzを介して固定され、これにより外面の少なくとも一部領域(図4の場合には石材の1つの面)に可溶性シリカ配合層を有する石材が得られる。
なお、この(2)の製法では、可溶性シリカ配合層形成用部材は充填層の底部、上部、側部のいずれの位置にも配置することができる。
【0112】
また、スラグの充填には、四方を仕切壁で囲んだ型枠または容器等以外に、例えば三方を仕切壁で囲んだようなピット状の型枠または容器を用いることもできる。これらによりスラグの充填層を形成した場合、充填層をシートで覆うか或いは蓋体を設けることが好ましい。
【0113】
充填層を構成するスラグの量は特に限定されず、例えば数トンないし数百トン規模の充填量としてもよいし、或いは石材1個ないし数十個程度に相当する充填量としてもよく、その量は任意である。但し、スラグの充填量が多くても、炭酸固化後の充填層を重機等で砕くことにより、塊状の石材を容易に切り出すことができ、しかもこのようにして破砕により切り出された塊状の石材は、海藻類等の水生植物の付着に有利な凹凸状の破面を有する利点がある。したがって、生産性や藻場用石材や魚礁等としての機能の面からはスラグの充填量はある程度多い方が好ましい。
【0114】
また、製造すべき石材の密度に応じて、スラグの充填層の嵩密度(圧密度)を調整することが好ましい。すなわち、海中沈設用石材は海底の状態等に応じて密度を調整することが好ましく、例えば海底が泥質またはヘドロ質の場合には、石材が泥やヘドロ内に沈み込まないように比較的低密度の石材を使用することが好ましく、一方、海底が岩礁等の場合には石材が海流に流されないようにするため比較的高密度の石材を使用することが好ましい。また、石材のポーラス度(空隙率)により海藻類等の水生植物の付着、成育の度合いや石材内部からの有効成分の溶出性の度合いも違ってくることから、石材を適用する水域の状況に応じて石材のポーラス度を調整することが好ましい場合もある。
【0115】
本発明法により製造される石材の密度は、スラグの充填層の嵩密度(圧密度)に依存し、したがって、上記のような必要に応じてスラグの充填層の締め固めの度合いを調整し、その嵩密度を調整することにより、石材の密度を容易に調整することができる。
スラグの充填層の締め固めの度合いは任意であるが、通常、嵩比重/真比重が0.3〜0.9の範囲、すなわち充填層内の空隙率が70〜10%となる程度に締め固めが行われる。
【0116】
スラグの充填層の締め固めは、充填層の上部から重機等で加圧して締め固める方法や、充填層に振動を与えることにより締め固める方法、両者を併用する方法等を採用でき、これらを行う際の締め固めの度合いを調整することにより、充填層の嵩密度の調整を行う。また、特に低密度の石材を製造する場合には締め固めを行わず、スラグを充填したままで炭酸固化を実施することもできる。
【0117】
締め固めの具体的な方法としては、型枠または容器の内側に目標とする体積を示す秤線を表示しておき、重量の分かったスラグをそれらの内部に入れた後、充填層の上面が上記秤線の高さになるまで締め固めを行う。
【0118】
以上のようなスラグの充填層の嵩比重の調整が完了した後、その充填層に炭酸ガス存在下で炭酸化反応を生じさせ、スラグを炭酸固化させる。具体的には、スラグの充填層内に炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスを吹き込むか、若しくは充填層を炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガス雰囲気下に置き、スラグの炭酸固化を実施する。
【0119】
充填層内に炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスを吹き込む方法に特別な制限はないが、充填層の底部にガス吹き込み手段を設け、このガス吹き込み手段を通じてガスを吹き込むことが最も効果的である。具体的には、充填層の底部(型枠または容器の床部)にガス供給用の配管またはホース等を適当な配置密度で配し、これら配管またはホースに適当なピッチ(例えば、30〜300mm×40〜400mmピッチ)で設けたガス吹出孔から炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスが吹き出されるようにすることができる。
【0120】
また、充填層を炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガス雰囲気中に置く方法としては、充填層を気密性の空間内に置き、この空間内に炭酸ガスや炭酸ガス含有ガスを任意の態様で供給する方法等を採ることができる。
使用される炭酸ガス含有ガスとしては、例えば一貫製鉄所内で排出される石灰焼成工場排ガス(通常、CO2:25%前後)や加熱炉排ガス(通常、CO2:6.5%前後)等が好適であるが、これらに限定されるものではない。また、炭酸ガス含有ガス中の炭酸ガス濃度が低すぎると処理効率が低下するという問題を生じるが、それ以外の問題は格別ない。したがって、炭酸ガス濃度は特に限定しないが、効率的な処理を行うには3%以上の炭酸ガス濃度とすることが好ましい。
【0121】
また、炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスのガス吹込量にも特別な制限はなく、スラグの充填層が流動しない程度にガス吹き込みを行えばよいが、一般的な目安としては0.004〜0.5m3/min・t程度のガス吹き込み量が確保できればよい。また、ガス吹き込み時間(炭酸化処理時間)にも特別な制約はないが、目安としては炭酸ガス(CO2)の吹込量がスラグの重量の3%以上となる時点、すなわち、ガス量に換算すると材料1t当たり15m3以上の炭酸ガス(CO2)が供給されるまでガス吹き込みを行うことが好ましい。
【0122】
スラグの充填層に吹き込まれる炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスは常温でよいが、ガスが常温よりも高温であればそれだけ反応性が高まるため有利である。但し、ガスの温度が過剰に高いとCaCO3がCaOとCO2に分解し、またMgCO3もMgOとCO2に分解してしまうため、高温ガスを用いる場合でもこのような分解を生じない程度の温度のガスを用いる必要がある。
【0123】
また、スラグをCaO、MgOと炭酸ガスとの反応を利用して炭酸固化させるには水分が必要であり、スラグの粒度等によって最適水分量は異なるが、炭酸化処理開始直前のスラグ中の水分含有率は3〜10%程度の範囲とすることが適当である。これは水にCaO、MgOと炭酸ガスが溶解することにより炭酸化反応が促進されるためである。したがって、スラグは必要に応じて最適水分量に水分調整した上で、炭酸ガス存在下で炭酸化反応を生じさせるようにすることが好ましい。このためスラグの含水率が低過ぎる場合には、例えば、図1の製造フローに示す混合過程等においてスラグに水を加え、スラグの水分含有率を高める等の水分調整を行うことが好ましい。
【0124】
スラグの最適な含水状態(水分含有率)とは、例えばスラグの充填層内部での水分の存在形態を例にして言うと、各スラグ粒子の表面に薄い水膜が形成されるとともに、隣接するスラグ粒子の水膜どうしが一部で接している状態であって、且つ各スラグ粒子表面の水膜面に炭酸ガスが供給されるようなガス流路が確保された状態であると考えられる。
【0125】
使用する原料スラグの最適水分量(水分含有率)は、例えば以下のようにして求めることができる。
一定量の原料スラグに対して、吸水率(JIS A 1109またはA 1110で規定される細骨材または粗骨材の吸水率)以上の任意の量の水を加えた3水準以上の原料スラグサンプルを用意し、この各原料スラグサンプルを乾燥時の気孔率が一定になるように型枠内に充填する。10〜40℃の範囲内での所定温度の炭酸ガスを水浴等を通して加湿した後、前記型枠内の底部からスラグ充填層に一定の供給量と供給時間で吹込み、スラグを炭酸化養生して固化させる。その後、固化した各塊状スラグ(石材ブロック)の圧縮強度を測定して、例えば、図5に示すような原料スラグの水分含有率と圧縮強度との関係を求め、圧縮強度の極大値が得られた原料スラグの水分含有率を当該原料スラグの最適水分含有率とし、原料スラグの水分調整を行う。
【0126】
図5は、原料スラグの水分含有率の影響を調べるため行った実験結果に基づく、原料スラグの水分含有率と製造された塊状スラグ(石材)の圧縮強度との関係を示している。この実験では、塩基度(CaO/SiO2):3.5の製鋼スラグを5mm以下に粉砕し、これに水を添加して数水準の水分含有率に調整した。これら数水準の水分含有率のスラグをそれぞれ型枠内に充填し、炭酸ガスを0.5L/min・kgの供給量で型枠の底部からスラグ充填層に供給し、スラグを炭酸固化させた。
【0127】
この炭酸固化により得られたサイズ1m×1m×1mの石材ブロック(塊状スラグ)の圧縮強度を測定した結果、図5に示すような原料スラグの水分含有率と石材ブロックの圧縮強度との関係が得られた。このうち原料スラグを水分含有率a1に調湿して得られた石材ブロックは最も高い圧縮強度を持つが、原料スラグを水分含有率a2に調湿して得られた石材ブロックは、脱枠後にバケットで掴んで移動しようとしたところ、比較的簡単に崩壊した。
【0128】
また、スラグの充填層内に炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスを供給するに当たっては、炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスを一旦水中に吹き込んでH2Oを飽和させた後、充填層に吹き込むようにすることにより、スラグの乾燥を防止して炭酸化反応を促進させることができる。
【0129】
以上のようにしてスラグの充填層内に炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスを供給することにより、先に述べたようなCaO(またはCa(OH)2)、MgO(またはMg(OH)2)と炭酸ガスとの反応によってCaCO3、MgCO3が生成し、このCaCO3またはCaCO3とMgCO3がバインダーとなってスラグ粒子(および添加材粒子)が固結する。また、上記(1)の製法の場合には、充填層の内側(例えば底部および/または上部)に配された可溶性シリカ配合層形成用の原料も、同様の炭酸化反応により石材原料であるスラグとともに固結する。
【0130】
このような炭酸固化完了後、石材を型枠や容器の空間内から取り出す。また、必要に応じて、固結した充填層を重機等により適当な大きさに破砕し、石材を切り出すこともできる。この場合には、切り出す際の大きさを選択することにより、任意の大きさの石材を得ることができる。通常、塊状の石材は80〜1500mmの大きさに切り出される。また、この切り出し時の破砕により、石材に海藻類の付着し易い凹凸のある破面が生じる。
【0131】
このような本発明の製造法には、以下のような利点がある。
▲1▼ 可溶性シリカ配合層を、石材原料を炭酸化反応により固結させる過程で石材本体に形成または接合させることができるため、本発明の水中沈設用石材を極めて簡便に製造することができる。
また、特に上記(1)の製法によれば、可溶性シリカ配合層を、石材原料を炭酸化反応により固結させて得られる石材の一部として同時に形成させることができるため、可溶性シリカ配合層をより簡便に且つ経済的に形成することができ、石材の製造コストを低減できる。
【0132】
▲2▼ スラグを充填層とした状態で炭酸固化を行うため、充填層の締め固めの度合いを調整してその嵩比重を調整することにより、水中沈設用石材の密度の調整を簡単に行うことができる。先に述べたように、水中沈設用石材は海底や河床、海流や水流の状況等に応じて密度やポーラス度を適宜調整することが好ましく、このような調整を任意にしかも極く簡単に行うことができることは、水中沈設用石材の製造法として大きな利点である。従来技術として造粒ペレット等を炭酸固化させる技術が知られているが、このような造粒方式では非処理材の密度を幅広い範囲で調整することは困難である。
【0133】
▲3▼ 本発明法はスラグを充填層とした状態で炭酸固化を行い、炭酸固化完了後、充填層を適当な大きさに砕いて所望の大きさの塊状石材を切り出し、或いは充填層をそのまま塊状石材として利用するものであるため、切り出される石材の大きさや充填層の大きさを適宜選択することにより、任意の大きさ(例えば、80〜1500mm)の石材を得ることができ、藻場用石材や魚礁等として特に好ましい大塊の石材も容易に得ることができる。上述した造粒ペレット等を炭酸固化させる従来技術では、得られる塊状物の大きさはせいぜい30〜50mm程度が限度であり、しかも、不可避的にサイズの小さい塊状物も生じてしまう。したがって、本発明法のように大塊の石材が得られることは水中沈設用石材の製造法として大きな利点である。
【0134】
▲4▼ 炭酸固化後、スラグの充填層を重機等により砕き、塊状の石材を切り出す方法を採ることにより、海藻類等の水生植物の付着し易い凹凸のある表面(破面)を有する塊状石材を得ることができる。
【0135】
▲5▼ 石材を魚道等の人工構造部や人工河床に固定的に敷設する場合、使用する石材はブロック状またパネル状等の形状のものであることが好ましいが、本発明法では充填層の大きさや形状を適宜選択することにより、このような形状の石材も容易に得ることができる。また、このブロック状またパネル状の石材を得る際に、炭酸固化して得られたブロック状の石材を破砕または破断処理して2分割することにより、上面に破面を有するブロック状またはパネル状等の形状の石材を得ることができる。
【0136】
【実施例】
以下に示すような本発明例および比較例の水中沈設用石材を作製し、これを藻場造成用石材として海底に沈設する試験を行った。
・本発明例:全量が粒度5mm以下の原料スラグ(脱炭スラグ、鉄分含有率:20wt%)を炭酸化処理して石材を製造するに当り、充填層形成用の型枠内の底部に可溶性シリカ配合層形成用の原料を厚さ約50mmに装入し、次いで原料スラグを装入して充填層を形成した。この充填層を適度に締め固めた後、炭酸ガスを供給量0.6Nm/hrの割合で15日間吹込み、スラグを炭酸固化させ、これにより500mm×500mm×500mmのサイズで、その1つの面に可溶性シリカ含有量が約80wt%の可溶性シリカ配合層が形成された水中沈設用石材を作製した。
【0137】
・比較例1:型枠内にモルタルを流し込み、500mm×500mm×500mmのサイズのコンクリートブロックを作製した。
・比較例2:上記本発明例で用いた原料スラグと可溶性シリカ配合層形成用の原料とを均一に混合したものを、本発明例と同じ条件で炭酸化処理し、同一サイズの石材を作製した。
【0138】
このようにして得られた本発明例と比較例の石材を、天然藻場の海藻類から胞子が放出される時期を選んで、天然藻場の近くの水深3.0mの海底に沈設した。なお、1つの面に可溶性シリカ配合層を有する本発明例の石材については、可溶性シリカ配合層が上になるようにして沈設した。
この石材沈設場所を約1年後に調査した結果、いずれの石材にも海藻類が着生し、生育していることが確認されたが、坪刈調査により海藻類の生育量(石材上面の育成量)を調べた結果、比較例1の石材では湿重量:1500g/m2、比較例2の石材では湿重量:2100g/m2、本発明例の石材では湿重量:3050g/m2であり、本発明例の石材の方が海藻類の着生率、生育性が良好であることが確認された。
【0139】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の水中沈設用石材は、海水や河川水のpHの上昇や白沈の発生等の問題を生じることがなく、しかも藻場用石材、築磯用石材、魚礁用石材、海底マウンド用石材、河床用石材、魚道用石材、人工河床用石材、湖沼・池の沈設用石材、さらには、水質浄化用石材等として、海、河川、湖沼、池等の水中に沈設または敷設した際に、海藻類等の水生植物の育成や魚介類の繁殖、魚類等の生存空間形成、水質浄化等の面で優れた効果を発揮でき、また、河川のダムや堰等に設けられる魚道等の人工構造部や石張り河床等の人工河床に沈設または敷設した際に、魚類以外の水中生物の移動性や水生植物の生育等の面で優れた効果を発揮することができる。
【0140】
特に、本発明の水中沈設用石材は、海藻類等の水生植物の育成に有効なケイン酸イオンを溶出できる可溶性シリカ配合層を石材表面に有しているため、可溶性シリカから溶出するケイ酸イオンが石材中に残存したCaOから溶出するカルシウムイオンと反応する機会が少なく、このため多量のケイ酸イオンを水中に効果的に溶出させることができ、ケイ酸イオンを海藻類等の水生植物の成育に有効に作用させることができる。
【0141】
また、本発明の製造方法によれば、スラグを充填層とした状態で炭酸固化を行うため、充填層の締め固めの度合いの調整、炭酸固化後に切り出す石材の大きさや充填層の大きさ等を適宜選択することにより、任意の密度と大きさの水中沈設用石材を簡単且つ低コストに製造することができる。さらに、可溶性シリカ配合層を石材表面に簡便且つ経済的に形成させることができる。
【0142】
また、スラグの中には冷却時に生成するγ−ダイカルシウムシリケートの変態膨張や、遊離CaOの水和により生じる膨張等により粉化する性質を持つものがあり、従来、このような粉化スラグは一部がセメント原料等として利用される以外は利材化の途がなく、大部分が廃棄されていたものであるが、本発明ではこのような粉化スラグについても原料として利用でき、さらに組成上の制約からセメント原料等として利用するのに難があり、有効利用が難しかったスラグ(例えば、脱燐スラグや脱珪スラグ等)についても原料として利用できることから、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグの有効利用という面でも非常に有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造フローの一例を示す説明図
【図2】図1の製造フローに従った本発明の製造工程の具体例を示す説明図
【図3】原料充填層の底部に可溶性シリカ配合層形成用の原料を配した状態を示す説明図
【図4】原料充填層の底部に可溶性シリカ配合層形成用部材を配した状態を示す説明図
【図5】原料スラグの水分含有率と製造される石材の圧縮強度との関係を概略的に示すグラフ
【符号の説明】
1…粉砕機、2…磁気選別機、3…型枠、A…充填層

Claims (10)

  1. 鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを主原料とする水中沈設用石材であって、前記スラグが粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなり、該スラグを主原料とする石材原料を炭酸化反応で生成させたCaCOをバインダーとして固結させ、塊状化した石材であって、石材外面の少なくとも一部領域に、可溶性シリカの含有量が10〜90wt%の可溶性シリカ配合層を有し、該可溶性シリカ配合層が、炭酸化反応により石材原料とともに固結し、塊状化した石材の一部であることを特徴とする水中沈設用石材。
  2. 鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを主原料とする水中沈設用石材であって、前記スラグが粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなり、該スラグを主原料とする石材原料を炭酸化反応で生成させたCaCOおよびMgCO(但し、MgCOが水和物、水酸化物塩または複塩として存在する場合を含む)をバインダーとして固結させ、塊状化した石材であって、石材外面の少なくとも一部領域に、可溶性シリカの含有量が10〜90wt%の可溶性シリカ配合層を有し、該可溶性シリカ配合層が、炭酸化反応により石材原料とともに固結し、塊状化した石材の一部であることを特徴とする水中沈設用石材。
  3. 鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを主原料とする水中沈設用石材であって、前記スラグが粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなり、該スラグを主原料とする石材原料を炭酸化反応で生成させたCaCO をバインダーとして固結させ、塊状化した石材であって、石材外面の少なくとも一部領域に、可溶性シリカの含有量が10〜90wt%の可溶性シリカ配合層を有し、可溶性シリカ配合層が、可溶性シリカとCaO、Ca(OH) 、MgO、Mg(OH) の中から選ばれる1種以上とを含む原料を炭酸化反応で生成させたCaCO および/またはMgCO をバインダーとして固結させた炭酸化硬化部または炭酸化硬化体からなることを特徴とする水中沈設用石材。
  4. 鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを主原料とする水中沈設用石材であって、前記スラグが粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなり、該スラグを主原料とする石材原料を炭酸化反応で生成させたCaCO およびMgCO (但し、MgCO が水和物、水酸化物塩または複塩として存在する場合を含む)をバインダーとして固結させ、塊状化した石材であって、石材外面の少なくとも一部領域に、可溶性シリカの含有量が10〜90wt%の可溶性シリカ配合層を有し、可溶性シリカ配合層が、可溶性シリカとCaO、Ca(OH) 、MgO、Mg(OH) の中から選ばれる1種以上とを含む原料を炭酸化反応で生成させたCaCO および/またはMgCO をバインダーとして固結させた炭酸化硬化部または炭酸化硬化体からなることを特徴とする水中沈設用石材。
  5. 鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを主原料とする水中沈設用石材であって、前記スラグが粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなり、該スラグを主原料とする石材原料を炭酸化反応で生成させたCaCO をバインダーとして固結させ、塊状化した石材であって、石材外面の少なくとも一部領域に、可溶性シリカの含有量が10〜90wt%の可溶性シリカ配合層を有し、石材原料中に添加材が配合され、該添加材の少なくとも一部が金属鉄、含金属鉄材、酸化鉄、含酸化鉄材の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする水中沈設用石材。
  6. 鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを主原料とする水中沈設用石材であって、前記スラグが粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなり、該スラグを主原料とする石材原料を炭酸化反応で生成させたCaCO およびMgCO (但し、MgCO が水和物、水酸化物塩または複塩として存在する場合を含む)をバインダーとして固結させ、塊状化した石材であって、石材外面の少なくとも一部領域に、可溶性シリカの含有量が10〜90wt%の可溶性シリカ配合層を有し、石材原料中に添加材が配合され、該添加材の少なくとも一部が金属鉄、含金属鉄材、酸化鉄、含酸化鉄材の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする水中沈設用石材。
  7. 鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを主原料とする水中沈設用石材の製造方法であって、粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなるスラグを主原料とする石材原料を型枠または容器内に充填して石材原料の充填層を形成し、この充填層形成の際に、型枠または容器の内側に10〜90wt%の可溶性シリカとCaO、Ca(OH)、MgO、Mg(OH)の中から選ばれる1種以上とを含む可溶性シリカ配合層形成用の原料を配し、充填層に炭酸ガス存在下で炭酸化反応を生じさせることにより、前記石材原料および可溶性シリカ配合層形成用の原料を固結させ、これら原料が塊状化し且つ外面の少なくとも一部領域に可溶性シリカ配合層を有する石材を得ることを特徴とする水中沈設用石材の製造方法。
  8. 充填層形成の際に、充填層の底部および/または上部に可溶性シリカ配合層形成用の原料を配することを特徴とする請求項7に記載の水中沈設用石材の製造方法。
  9. 石材原料中に添加材を配合し、該添加材の少なくとも一部が金属鉄、含金属鉄材、酸化鉄、含酸化鉄材の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項7または8に記載の水中沈設用石材の製造方法。
  10. 請求項1、2、3、4、5または6に記載の石材を、河川内において水が流れる人工構造部または人工河床に沈設または敷設することを特徴とする水中沈設用石材の使用方法。
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