JP3175710B2 - 河川等の淡水系水域沈設用石材及びその製造方法 - Google Patents
河川等の淡水系水域沈設用石材及びその製造方法Info
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Description
で発生するスラグを主原料とする河川等の淡水系水域沈
設用石材、より詳細には、例えば、河床用石材、魚道用
石材、人工河床用石材等の河川沈設用石材或いは湖沼や
池等に用いられる沈設用石材として河川や湖沼、池等の
淡水系水域内に沈設または敷設して使用される石材及び
その製造方法並びに使用方法に関する。また本発明の沈
設用石材は、特に、魚道用石材等のような河川内におい
て水が流れる人工構造部または人工河床に沈設または敷
設される石材として好適である。
を含めた河川や湖沼等の淡水系水域の自然環境を整備、
改善しようとする機運が高まりつつあり、その一環とし
て、例えば河床を水中生物(魚類、甲殻類、水生昆虫
等)や水生植物(藻類、水草等)が生息、生育しやすい
環境に改修する試みもなされている。河川を例にとる
と、河川において所謂生命空間(ビオトープ)とよばれ
る生物の生存、休息空間は、その多くが河床の石によっ
てもたらされ、したがって、一般には河床に石等による
凹凸が多くある河床の方が、より水中生物が生存しやす
い環境にあると言える。例えば、河川内にある水没また
は半水没状の大塊の石と石との間の比較的大きな空間
や、河床に敷き詰められた小石の間の小さな空間は、い
ずれも水中生物にとって重要な生命空間となる。また、
河床の石は藻類等の水生植物が生育する場でもあり、水
生植物を生育させるためにも石の存在は重要である。
の一環として行われる河床等の改修に当っては、河床に
適当な形態で石材を沈設または敷設(例えば、大塊の石
材の置き石、河床への中塊、小塊の石材の沈設、敷設
等)することが、魚類等の水中生物や水生植物が生息、
生育しやすい環境を整える有効な手段となり得る。しか
し、このような河床等の改修には膨大な量の石材が必要
であり、これに用いる自然石を他所で調達することは新
たな自然破壊を引き起こす恐れがあり、また、自然石自
体も決して安価ではないため施工コストも嵩んでしま
う。
(例えば、高炉スラグ、転炉スラグ等)の有効利用を図
る一環として、スラグを魚礁等の海中沈設用資材として
利用する試みがなされている。したがって、河川等の沈
設用石材についても、そのような鉄鋼製造プロセスで発
生するスラグの利用が考えられる。スラグを河川等の沈
設用資材として利用する場合の主たる形態としては、塊
状のスラグをそのまま沈設用石材として利用する方法と
スラグをコンクリートプレキャスト体の骨材として利用
する方法が考えられる。
には以下のような問題点がある。先ず前者の方法では、
スラグ中に含まれるCa分が水中に溶け出し、河川水等
のpHを上昇させるおそれがあり、また、水中に溶け出
したCa分と水中のMgイオンとの反応によりMg(O
H)2の沈殿(白沈)を生じることがあり、これがスラ
グ表面に付着して水生植物の着生や発芽を阻害する問題
がある。さらには、Ca分の溶出によりスラグ自体の強
度が低下し、経時的に或いは外力の作用によって崩壊し
てしまうおそれがある。
塊状のスラグは、その表面性状等からしてコンクリート
製品に比べれば藻類等の水生植物の着生・生育に適して
いるとは言えるが、河川等の沈設用の石材としては天然
石と同程度の機能(藻類等の水生植物の付着性、成育
性)しかなく、水生植物の成育を促進し得るような特別
な機能を有する石材ではない。
は地金(粒鉄等の鉄分)を多く含んでいるため、通常は
スラグをある程度の大きさまで粉砕し、スラグ中に含ま
れる鉄分を回収して鉄鋼製造プロセスにリサイクルして
いる。しかし、河川等の沈設用石材として用いるスラグ
にはある程度の大きさが必要であり、地金回収のために
粉砕処理したようなスラグは流失しやすいためほとんど
利用することができない。このため塊状スラグを河川等
の沈設用石材として用いる場合には、鉄鋼資源として有
用な地金の回収がほとんどできない。
ラグを、そのまま水中に沈めて使用した場合、適用する
水域によっては、スラグ中の鉄分が酸化して周囲の河川
水等の貧酸素化を招くこと、さらには鉄分の溶出によっ
て水中への鉄分の過剰供給を生じることが問題となる場
合がある。このような問題を回避するためにはスラグ中
の地金を十分に除去する必要があるが、一般にスラグ成
分と地金は互いに絡み合うような状態で混在しているた
め、地金を十分に除去するためにはスラグを上記地金回
収の場合よりもさらに細かく微粉砕する必要があり、こ
のように微粉砕されたスラグは河川等の沈設用石材とし
ては全く使用することができない。
製のプレキャスト体の骨材として用いた場合、その基本
はコンクリート製品であるため、河川等の沈設用石材と
して有用であると考えられるスラグの性状(例えば、凹
凸状の表面性状等)を生かすことができない。また、コ
ンクリートはpHが高いため(通常、pH12〜12.
5程度)、周囲の河川水等のpHを上昇させたり或いは
藻類等の水生植物の生育遅延を生じさせたりするおそれ
もある。
魚類の上・下流への移動や遡上を可能とするための魚道
を設ける必要性が認識され、このためのダムや堰の改修
も各地で行われるようになってきた。この魚道は、ダム
や堰の一部に魚類が移動できる程度の流れが形成される
水路(通常、2〜5m程度の幅を有する水路)を設けた
ものであり、傾斜路式、階段路式等の様々な形式のもの
が知られている。従来の一般的な魚道は、コンクリート
壁で囲まれた水路をダムや堰の一部を切欠くようにして
設けられている。
傾斜、段差等に特に問題がない限り魚類の移動には支障
はない。しかし、コンクリート製の魚道は、その底部が
元々平滑でしかも藻類等の水生植物も生育しにくいた
め、河床(石等の表面の突起や水生植物)に爪等を引っ
掛けながら這って移動したり或いは流れの早い場所では
河床に爪等を引っ掛けながら移動する水中生物(例え
ば、甲殻類や水生昆虫等)にとって移動が困難であると
いう問題がある。このような問題に対しては、魚道を発
泡コンクリートにより構成して魚道の底部に微細な凹凸
を付ける方法もあるが、このような魚道は施工コストが
高く、実用性に乏しい。また、いずれにしてもコンクリ
ートはpHが高いため、河床に沿って移動するような水
中生物にはコンクリート製の魚道は好ましいものではな
い。
料とする石材であって、河川水等のpHの上昇や白沈等
の問題を生じることがなく、しかも河川や湖沼等におい
て河床用或いは水底用石材等として水中に沈設または敷
設した際に魚類等の生存空間形成や藻類等の水生植物の
生育等の面で優れた効果を発揮でき、さらに、河川のダ
ムや堰等に設けられる魚道等の人工構造部や石張り河床
等の人工河床に沈設または敷設した際に、魚類以外の水
中生物の移動性や水生植物の生育等の面で優れた効果を
発揮することができる河川等の淡水系水域沈設用石材を
提供することにある。
料とする石材であって、河川水等のpHの上昇や白沈等
の問題を生じることがなく、さらには、鉄分の酸化によ
る河川水等の貧酸素化や水中への鉄分の過剰供給を抑制
する必要がある水域に適用した場合に河川水等の貧酸素
化や水中への鉄分の過剰供給を生じることがなく、しか
も河川や湖沼等において河床用或いは水底用石材等とし
て水中に沈設または敷設した際に魚類等の生存空間形成
や藻類等の水生植物の生育等の面で優れた効果を発揮で
き、さらに、河川のダムや堰等に設けられる魚道等の人
工構造部や石張り河床等の人工河床に沈設または敷設し
た際に、魚類以外の水中生物の移動性や水生植物の生育
等の面で優れた効果を発揮することができる河川等の淡
水系水域沈設用石材を提供することにある。また、本発
明の他の目的は、上記のような沈設用石材を安価且つ効
率的に製造することができる石材製造方法を提供するこ
とにある。
を解決すべく実験と検討を重ねた結果、以下のような事
実を見出した。 (1) 粉粒状、粗粒状或いは小塊状のスラグ、特に鉄分
(元々スラグ中に含まれる鉄分および/またはスラグ中
に有意に添加された鉄分)を適度に含むこれらのスラグ
を炭酸化反応で生成させたCaCO3またはCaCO3と
MgCO3をバインダーとして固結させ、塊状化させた
ものを河川等の淡水系水域沈設用石材として用いること
により、河川水等のpHの上昇や白沈等の問題を生じさ
せることなく、しかも、河川や湖沼において河床用或い
は水底用石材等として水中に沈設または敷設した際に魚
類等の生存空間形成や藻類等の水生植物の生育等の面で
優れた効果を発揮する。また、とりわけ河川のダムや堰
等に設けられる魚道等の人工構造部や人工河床に沈設ま
たは敷設した際に、魚類以外の水中生物の移動性や水生
植物の生育等の面で特に優れた効果を発揮する。
酸素化や水中への鉄分の過剰供給を抑制する必要がある
水域に対しては、鉄分の地金除去処理を経た粉粒状また
は粗粒状のスラグを炭酸化反応で生成させたCaCO3
またはCaCO3とMgCO3をバインダーとして固結さ
せ、塊状化させたものを沈設用石材として用いることに
より、鉄分の酸化による河川水等の貧酸素化や水中への
鉄分の過剰供給、さらには河川水等のpHの上昇や白沈
等の問題を生じさせることなく、しかも、河川や湖沼に
おいて河床用或いは水底用石材等として水中に沈設また
は敷設した際に魚類等の生存空間形成や藻類等の水生植
物の生育等の面で優れた効果を発揮する。また、とりわ
け河川のダムや堰等に設けられる魚道等の人工構造部や
人工河床に沈設または敷設した際に、魚類以外の水中生
物の移動性や水生植物の生育等の面で特に優れた効果を
発揮する。
ためには、粉粒状、粗粒状若しくは小塊状のスラグ、ま
たは地金除去処理を経た粉粒状若しくは粗粒状のスラグ
を所望の密度に山積み若しくは充填して、この積み山若
しくは充填層に炭酸ガス存在下で炭酸化反応を生じさせ
ることにより上記スラグを固結させる製法が有効であ
り、また、このような製法によれば、適用すべき河床や
水流の状況、さらには河床用、魚道用等の用途の別に応
じた任意の密度と大きさの石材を安価に製造でき、また
石材の大塊化も極めて容易に実現できる。
に曝され、また河川水等の増減によりその一部が水面下
に没したり水面上に露出したりして、置かれる環境が頻
繁に変化し、海中に較べて強度の経時劣化を生じ易い環
境下に置かれること、また、河川の増水時には上流から
流れてくる他の石等との接触や衝突が頻繁に起こった
り、当該石材自体が水流により動かされる場合もあるこ
となどの点を考慮した場合、石材は所定レベル以上の圧
縮強度(具体的には、50kgf/cm2以上、より好
ましくは100kgf/cm2以上)を備えたものが好
ましく、また、このような所定レベル以上の圧縮強度を
有する石材は、石材を製造する際の原料スラグの粒度分
布と原料スラグの水分含有率を調整することにより得る
ことができる。
もので、その特徴は以下の通りである。 [1] 鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを主原料とする
石材であって、前記スラグが粉粒状スラグ、粗粒状スラ
グ、小塊状スラグのうちの1種以上からなり、該スラグ
を炭酸化反応で生成させたCaCO3をバインダーとし
て固結させ、塊状化したことを特徴とする河川等の淡水
系水域沈設用石材。
主原料とする石材であって、前記スラグが粉粒状スラ
グ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上から
なり、該スラグを炭酸化反応で生成させたCaCO3お
よびMgCO3(但し、MgCO3が水和物、水酸化物塩
または複塩として存在する場合を含む)をバインダーと
して固結させ、塊状化したことを特徴とする河川等の淡
水系水域沈設用石材。
粉粒状および/または粗粒状の添加材とを主原料とする
石材であって、前記スラグが粉粒状スラグ、粗粒状スラ
グ、小塊状スラグのうちの1種以上からなり、該スラグ
と前記添加材との混合物を炭酸化反応で生成させたCa
CO3をバインダーとして固結させ、塊状化したことを
特徴とする河川等の淡水系水域沈設用石材。
粉粒状および/または粗粒状の添加材とを主原料とする
石材であって、前記スラグが粉粒状スラグ、粗粒状スラ
グ、小塊状スラグのうちの1種以上からなり、該スラグ
と前記添加材との混合物を炭酸化反応で生成させたCa
CO3およびMgCO3(但し、MgCO3が水和物、水
酸化物塩または複塩として存在する場合を含む)をバイ
ンダーとして固結させ、塊状化したことを特徴とする河
川等の淡水系水域沈設用石材。
て、スラグが地金除去処理を経た粉粒状および/または
粗粒状のスラグからなることを特徴とする河川等の淡水
系水域沈設用石材。 [6] 上記[3]または[4]の石材において、鉄鋼製造プロセ
スで発生したスラグと粉粒状および/または粗粒状の添
加材とを主原料とする石材であって、スラグが地金除去
処理を経た粉粒状および/または粗粒状のスラグからな
り、添加材の少なくとも一部が金属鉄および/または含
金属鉄材であることを特徴とする河川等の淡水系水域沈
設用石材。
て、空隙率が10〜70%であることを特徴とする河川
等の淡水系水域沈設用石材。 [8] 上記[1]〜[7]のいずれかの石材において、圧縮強度
が50kgf/cm2以上であることを特徴とする河川
等の淡水系水域沈設用石材。
主原料とする石材の製造方法であって、粉粒状スラグ、
粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなる
スラグ、または粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状ス
ラグのうちの1種以上からなり、これにCaO、Ca
(OH)2、MgO、Mg(OH)2の中から選ばれる1
種以上を混合したスラグを用い、該スラグによる積み山
または任意の空間内での充填層を形成し、該積み山また
は充填層に炭酸ガス存在下で炭酸化反応を生じさせるこ
とにより前記粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラ
グのうちの1種以上からなるスラグを固結させ、スラグ
が塊状化した石材を得ることを特徴とする河川等の淡水
系水域沈設用石材の製造方法。
と粉粒状および/または粗粒状の添加材を主原料とする
石材の製造方法であって、粉粒状スラグ、粗粒状スラ
グ、小塊状スラグのうちの1種以上からなり、これに粉
粒状および/または粗粒状の添加材を混合したスラグ、
または粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのう
ちの1種以上からなり、これに粉粒状および/または粗
粒状の添加材とCaO、Ca(OH)2、MgO、Mg
(OH)2の中から選ばれる1種以上を混合したスラグ
を用い、該スラグによる積み山または任意の空間内での
充填層を形成し、該積み山または充填層に炭酸ガス存在
下で炭酸化反応を生じさせることにより前記粉粒状スラ
グ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上から
なるスラグおよび前記粉粒状および/または粗粒状の添
加材を固結させ、スラグおよび添加材が塊状化した石材
を得ることを特徴とする河川等の淡水系水域沈設用石石
材の製造方法。
て、スラグの積み山若しくは充填層に炭酸ガス若しくは
炭酸ガス含有ガスを吹き込むか、または積み山若しくは
充填層を炭酸ガス若しくは炭酸ガス含有ガス雰囲気下に
置くことを特徴とする河川等の淡水系水域沈設用石材の
製造方法。 [12] 上記[9]〜[11]のいずれかの製造方法において、ス
ラグとして、地金除去処理を経た粉粒状および/または
粗粒状のスラグを用いることを特徴とする河川等の淡水
系水域沈設用石材の製造方法。
いて、鉄鋼製造プロセスで発生したスラグと粉粒状およ
び/または粗粒状の添加材を主原料とする石材の製造方
法であって、スラグとして地金除去処理を経た粉粒状お
よび/または粗粒状のスラグを用い、添加材の少なくと
も一部が金属鉄および/または含金属鉄材であることを
特徴とする河川等の淡水系水域沈設用石材の製造方法。
において、スラグの積み山または充填層の嵩比重/真比
重を0.3〜0.9の範囲とすることを特徴とする河川
等の淡水系水域沈設用石材の製造方法。 [15] 上記[9]〜[14]のいずれかの製造方法において、炭
酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスを水中に通すことでH2
Oを飽和させ、しかる後、スラグの積み山または充填層
に炭酸化処理のために供給することを特徴とする河川等
の淡水系水域沈設用石材の製造方法。
において、固結した積み山または充填層を所望の大きさ
の塊状物に破砕または破断し、該破砕または破断による
破面を有する塊状石材を得ることを特徴とする河川等の
淡水系水域沈設用石材の製造方法。 [17] 上記[9]〜[16]のいずれかの製造方法において、ス
ラグを最適水分含有率に水分調整した上で、該スラグの
積み山または充填層に炭酸ガス存在下で炭酸化反応を生
じさせることを特徴とする河川等の淡水系水域沈設用石
材の製造方法。
において、全量が粒度50mm以下であって、累積粒度
分布の小径側から30重量%の粒度(D30)が800
μm以下である粒度分布を有し、且つ水分含有率が3〜
10%であるスラグの積み山または充填層に炭酸ガス存
在下で炭酸化反応を生じさせることを特徴とする河川等
の淡水系水域沈設用石材の製造方法。 [19] 上記[1]〜[8]のいずれかの石材を、河川内におい
て水が流れる人工構造部または人工河床に沈設または敷
設することを特徴とする河川等の淡水系水域沈設用石材
の使用方法。
を、魚道の少なくとも底部に沈設または敷設することを
特徴とする河川等の淡水系水域沈設用石材の使用方法。 [21] 上記[19]または[20]の使用方法において、沈設ま
たは敷設された石材の上面が、破砕または破断により形
成された破面であることを特徴とする河川等の淡水系水
域沈設用石材の使用方法。
するスラグを主原料とする河川等の淡水系水域沈設用石
材であり、そのようなスラグとしては、高炉徐冷スラ
グ、高炉水砕スラグ等の高炉系スラグ、予備処理、転
炉、鋳造等の工程で発生する脱珪スラグ、脱硫スラグ、
脱燐スラグ、脱炭スラグ、鋳造スラグ等の製鋼系スラ
グ、鉱石還元スラグ、電気炉スラグ等を挙げることがで
きるが、これらに限定されるものではなく、また、2種
以上のスラグを混合して用いることもできる。
組成の一例を以下に示す。 (1) 脱炭スラグ … T.Fe:17.5%,CaO:4
6.2%、SiO2:11.7%、Al2O3:1.4
%、MgO:8.3%、MnO:6.2%、P:0.7
6%、S:0.04% (2) 脱燐スラグ … T.Fe:5.8%,CaO:5
4.9%、SiO2:18.4%、Al2O3:2.8
%、MgO:2.3%、MnO:1.9%、P:2.8
%、S:0.03%
%,CaO:50.3%、SiO2:10.0%、Al2
O3:5.4%、MgO:1.1%、MnO:0.4
%、P:0.13%、S:1.8% (4) 脱珪スラグ … T.Fe:10.5%,CaO:1
3.6%、SiO2:43.7%、Al2O3:3.8
%、MgO:0.4%、MnO:15.8%、P:0.
10%、S:0.19% (5) 高炉水砕スラグ … FeO:0.3%、CaO:4
2.0%、SiO2:33.8%、MnO:0.3%、
MgO:6.7%、Al2O3:14.4%
のうち、脱燐スラグはP含有量が高いために、また脱珪
スラグはMnOの含有量が高いために、それぞれセメン
ト原料として使用するには難があるが、本発明ではこれ
らのスラグについても問題なく沈設用石材の主原料とし
て利用することができる。
スラグは、程度の差はあるものの比較的多量(通常、数
重量%〜30重量%程度)の地金(粒鉄等の鉄分)を含
んでおり、一般には、このような鉄分を鉄鋼製造プロセ
スにリサイクルするために、スラグ中の地金回収が行わ
れる。通常、この地金回収を行うためにスラグは粉砕処
理され、したがって、元々粉化、粗粒化若しくは小塊化
した状態にあるスラグを含め、地金回収工程を経たスラ
グは必然的に粉粒状、粗粒状若しくは小塊状のものとな
る。通常、この地金回収工程を経たスラグ粒子の粒径は
cmオーダーまたはそれ以下(例えば、5cm以下)の
ものである。
にスラグ中に含まれる地金のリサイクルを目的としてス
ラグ中から地金を回収する処理のことであり、後述する
地金除去処理のようにスラグ中の地金を実質的に除去す
ることを目的として行われる処理とは異なる。したがっ
て、一般に地金回収処理においてはスラグは地金除去処
理ほど微細には粉砕されず、また、このため処理後のス
ラグ中には未だ相当量の地金が残存している。これに対
して、後述する地金除去処理とは、スラグを粉粒状およ
び/または粗粒状に微粉砕し、スラグ中の地金を不可避
的に残存する地金以外は全て除去する処理のことをい
う。
状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグの1種以上を原
料とするものである。但し、本発明で用いるスラグは粉
粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグの1種以上で
あればよく、上記のような地金回収工程を経ることを必
要条件とするものではない。
する場合、一般にはスラグ中の鉄分含有率は、後述する
地金除去処理を経たスラグを石材の素材とする場合ほど
低くなくてもよく、むしろ適量の鉄分(特に、粒鉄等の
金属鉄や含金属鉄材)が含まれていた方がよい。これ
は、スラグに適量含まれる鉄分(金属鉄、含金属鉄材
等)が水中に溶出することにより、水中に栄養塩として
鉄分が補給され、これが藻類等の水生植物の育成に有効
に作用するからである。このため通常は、スラグ中の鉄
分含有率は3重量%以上とすることが適当である。
元々含まれる地金(粒鉄等)の一部または全部を回収す
ることなく残存させ、これをそのまま利用してもよい
し、或いは後述するような地金除去処理を経たスラグを
石材の素材とする場合と同様に、一旦スラグ中の地金の
実質的な全部(不可避的に除去できない地金を除く)を
地金除去処理により除去した後、添加材として金属鉄お
よび/または含金属鉄材を添加することにより確保して
もよい。
の地金の実質的な全部を地金除去処理により除去した後
に添加材として金属鉄および/または含金属鉄材を添加
する方法の場合には、以下のような利点がある。 (1) スラグ中に元々含まれる地金(粒鉄等)の一部を回
収することなく残存させる方法では、スラグ中に残存さ
せる地金の量を正確に調整することが難しい。すなわ
ち、スラグ中からの地金の回収は磁気選別等により行わ
れるが、この磁気選別処理の性質上、一定量の地金が残
存するように地金の回収を行うことはかなり難しく、ま
た、これが可能な場合であっても磁気選別を行う上で煩
雑な制御や操作を行う必要がある。これに対して後者の
方法では、スラグ中に元々含まれる地金の実質的な全部
を除去回収し、改めて粒鉄等の金属鉄や含金属鉄材を添
加するものであるため、スラグ中に含まれる鉄分の含有
量を任意に制御することができる。
方法、すなわちスラグ中に元々含まれる鉄分(粒鉄等)
の一部を回収することなく残存させる方法では、スラグ
中に残存させる地金の形状や大きさを選択できない。後
述するように、一般に沈設用石材を構成すべきスラグ中
に含まれる鉄分としては金属鉄である所謂粒鉄が好まし
いが、スラグ中から磁気選別等により地金の一部を除去
回収する場合、このような粒鉄が残存するとは限らず、
むしろ粒鉄が回収除去され、形状の大きい地金が残存し
てしまうこともあり得る。これに対して上記後者の方法
では、スラグ中に添加する金属鉄等の形状や大きさを任
意に選択でき、粒鉄等の好ましい鉄源をスラグ中に含有
させることができる。
ラグを得るには、一旦スラグ中の地金の実質的な全部
(不可避的に除去できない地金を除く)を地金除去処理
により除去した後、改めて金属鉄や含金属鉄材を添加す
るのが最も好ましい。後述するように、一般に地金除去
処理はスラグを粉粒状または粗粒状に粉砕処理した後、
磁気選別等により行われ、したがって、元々粉粒化また
は粗粒化した状態にあるスラグを含め、地金除去処理を
経たスラグは必然的に粉粒状および/または粗粒状のも
の(通常、mmオーダーまたはそれ以下のスラグ粒径)
である。
する地金成分を除きスラグ中の地金は可能な限り除去さ
れることが好ましく、通常、地金除去処理後のスラグ中
の鉄分(地金)含有率は3重量%未満とすることが好ま
しい。そして、このような地金除去処理を経たスラグに
対して、粒鉄などの金属鉄および/または含金属鉄材が
適量添加され、金属鉄や含金属鉄材を含む所望の鉄分含
有量を有するスラグが得られる。
しては、スラグを成型する際に形状の大きい金属鉄や含
金属鉄材が成型の邪魔にならないようにすること、スラ
グ中に含まれる金属鉄等の比表面積を大きくして水中に
沈設された石材からの鉄分の溶出性を高めること等の観
点から、粒径が小さく且つ大きさのある程度揃ったもの
が好ましく、このような観点からは粒鉄が最適である。
また、この粒鉄としては、スラグから回収された粒鉄だ
けでなく、それ以外で調達できる任意の粒鉄を使用でき
る。
より、スラグ中に含まれる地金の酸化による河川水等の
貧酸素化や水中への鉄分の過剰供給が問題となるような
場合には、使用するスラグに対して地金除去処理を行っ
た後、上記のような金属鉄や含金属鉄材を添加すること
なく、石材の原料として用いる。
るスラグは、程度の差はあるものの比較的多量の地金を
含んでおり、このようなスラグ中の地金は上記の地金回
収処理によっても相当程度の割合を回収できる。しか
し、一般にスラグ成分と地金は互いに絡み合うような状
態で混在しているため、通常の地金回収工程で行われる
程度の粉砕処理(粉砕粒度)では地金を十分に除去する
ことができず、このため地金回収工程後の段階でもスラ
グ中には未だ相当量の地金が残存している。このため地
金回収を行っただけのスラグから得られた石材を河川や
湖沼に沈設した場合には、沈設する水域によってはスラ
グ中の地金の酸化による河川水等の貧酸素化や地金の水
中への溶出による鉄分の過剰供給といった問題を生じて
しまう。したがって、このような水域に適用する石材に
ついては、原料とすべきスラグは地金除去処理を経るこ
とにより主要な地金分が除去されたものを用いる。
グ成分と地金とが緻密に絡み合った状態で混在している
ため、地金除去処理ではスラグを粉粒状または粗粒状に
した状態で地金の除去(磁気選別等による除去)を行う
必要があり、したがって、元々粉化または粗粒化した状
態にあるスラグを含め、原料となるべき地金除去処理を
経たスラグは必然的に粉粒状および/または粗粒状のも
のとなる。通常、この地金除去処理を経たスラグの粒径
はmmオーダーまたはそれ以下(例えば、5mm以下)
のものである。
過剰供給が問題となるような水域に適用される本発明の
沈設用石材は、このような地金除去処理を経た粉粒状ス
ラグおよび/または粗粒状スラグを原料とするものであ
る。地金除去処理では、不可避的に残存する地金成分を
除き、スラグ中の地金は可能な限り除去されることが好
ましく、通常、スラグ中の鉄分(地金)含有率は3重量
%未満とすることが好ましい。
粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなる
スラグ(地金除去処理を経た後、適量の金属鉄および/
または含金属鉄材を添加したスラグを含む。以下同
様)、若しくは地金除去処理を経た粉粒状および/また
は粗粒状のスラグを主原料とし、これを炭酸化反応で生
成させたCaCO3またはCaCO3とMgCO3をバイ
ンダーとして固結させ(炭酸固化)、塊状化した石材
が、河床用や水底用石材等の沈設用石材として、また、
とりわけ魚道用石材等の人工構造部や人工河床用の石材
として極めて好適な素材であることを見い出したもので
ある。
ち炭酸化反応により生じるCaCO3を利用して固結さ
せこと自体は古くから知られた技術であり、CaOを含
む粒状物を炭酸ガス雰囲気下に置くと、下記反応式によ
ってCaCO3が生成し、このCaCO3をバインダーと
して粒子間に固結現象を生じる。 CaO+CO2 → CaCO3
術としては、例えば製鋼風砕スラグと水との混練物を原
料として建材用途等の硬化体製品を製造する方法(例え
ば、特開昭58−74559号)や非焼成ペレットの製
造法(例えば、特開昭57−92143号、特開昭58
−48642号、特開昭58−133334号)等が提
案されている。しかしこれらの従来技術は、いずれも所
要の強度を有する硬化体製品や非焼成ペレットを短時間
で製造することのみを目的としたものであり、粉粒状、
粗粒状若しくは小塊状スラグまたは地金除去処理を経た
粉粒状または粗粒状のスラグを炭酸化反応により固結さ
せて得られた石材が、その特性や性状面で河床用や水底
用、さらには魚道用等の沈設用石材として極めて好適な
素材であることについては、何も示していない。
れを炭酸ガス雰囲気下に置くと炭酸化反応によりMgC
O3が生成し、このMgCO3をバインダーとして粒子間
に固結現象を生じる。MgOの炭酸化反応により生じる
MgCO3は無水和物、水和物(例えば、二水和物、三
水和物、五水和物等)、水酸化物塩(塩基性炭酸マグネ
シウム)等の多様な形態をとるが、例えば、MgCO3
の三水和物は下記反応式によって生成される。 MgO+CO2+3H2O → MgCO3・3H2O
グには相当量(通常、20重量%〜60重量%)のCa
Oが含まれており、本発明の沈設用石材は、粉粒状スラ
グ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上から
なるスラグ、または地金除去処理を経た粉粒状および/
または粗粒状のスラグに含まれているCaO若しくはこ
のCaOが変化したCa(OH)2(必要に応じて添加
されるCaO、Ca(OH)2を含む)を上記反応によ
りCaCO3に変化させ、このCaCO3をバインダーと
してスラグ粒子(添加材を含む場合には、添加材粒子お
よびスラグ粒子)を固結させ、塊状化したものである。
ある程度の量のMgOが含まれており、このようなスラ
グを原料とする本発明の沈設用石材は、MgOまたはこ
のMgOが変化したMg(OH)2(必要に応じて添加
されるMgO、Mg(OH)2を含む)についても上記
炭酸化反応によりMgCO3に変化させ、このMgCO3
とCaCO3をバインダーとしてスラグ粒子(添加材を
含む場合には、添加材粒子およびスラグ粒子)を固結さ
せ、塊状化したものである。
により生じるMgCO3は無水和物、水和物、水酸化物
塩等のように種々の形態をとるものであり、本発明の沈
設用石材中にバインダーとして含まれるMgCO3は、
これらのうちの何れ形態のMgCO3でもよい。例え
ば、MgCO3の水和物としては、MgCO3・2H
2O、MgCO3・3H2O、MgCO3・5H2O等があ
り、また、水酸化物塩(塩基性炭酸マグネシウム)とし
てはMgCO3・Mg(OH)2・3H2O、4MgCO3
・Mg(OH)2・4H2O、4MgCO3・Mg(O
H)2・5H2O、4MgCO3・Mg(OH)2・8H2
O等がある。さらに、MgCO3は他の塩と結合して種
々の複塩を形成する場合があり、このような複塩の形態
で存在するMgCO3でもよい。
スラグは、これに含まれるCaOやMgOの一部または
全部が経時的な水分の吸収或いは他の原因でCa(O
H)2やMg(OH)2に変化する場合があるが、上記の
ように本発明で利用するスラグとしては何ら問題なく、
これらCa(OH)2やMg(OH)2も炭酸化反応によ
りそれぞれCaCO3、MgCO3に変化し、本発明の沈
設用石材が得られる。
の淡水系水域において水中に沈設または敷設されること
により使用され、例えば、河川においては河床用石材や
魚道用石材等として水中に沈設または敷設されることに
より、また、湖沼や池においては水底用石材等として水
中に沈設または敷設されることにより使用される。本発
明の石材を水中に設置する態様は任意であり、単に沈設
するだけでなく、適当な構造部等に固定的に敷設しても
よい。
上に露出したり、或いは水位の変動により全体が一時的
に水面上に露出するような態様でも使用できることは言
うまでもない。これらの例としては、例えば、河原や河
川の水際部に敷設する石材、河川の護岸用として法面に
敷設する石材等が挙げられる。また、敷設する態様とし
ては、単に塊状の石材をランダムに敷設するだけでな
く、中塊・大塊状の石材を石積みする態様、小塊・中塊
状の石材を蛇籠等に収納して積み上げる態様、ブロック
状の石材を組み付けて敷設する態様等、任意の態様を採
用できる。
のように人工構造部や人工河床に沈設または敷設される
石材として特に好適であり、このうち魚道用石材として
は、少なくとも魚道の底部に沈設若しくは固定的に敷設
される。また、魚道以外にも、例えば、水が流れる人工
構造部の上面(例えば、堰等の頭首工の一部または全部
を構成する人工構造部の緩傾斜面)や固定的に構築され
た人工河床(例えば、石張りまたは石組により構築され
た河床)等、任意の構造部に固定的に敷設することもで
きる。
(大きさや形状等)は任意であり、例えば、大きさとし
ては1000mm以上のオーダーから数十mm程度のオ
ーダーまで、用途に応じて適宜選択するればよい。ま
た、石材の形状としては、後述するように炭酸固化した
スラグの積み山または充填層から重機等による破砕によ
って石材を切り出せばランダムな形状の塊状石材が得ら
れるし、スラグを適当な大きさの充填層で炭酸固化させ
れば、その充填層の形状のままの塊状石材が得られる。
また、この後者の場合には、石材の形状は球状、パネル
状、直方体または立方体ブロック形状、円筒形状、容器
形状等、任意の形状を選択でき、また、それらの形状に
おいて任意の孔、凹み、溝、突起等を付けることもでき
る。
床等に固定的に敷設する場合には、施工がしやすく、且
つ場合によっては石材の石組だけで固定的に敷設できる
ようにするため、ブロック状、パネル状またはタイル状
若しくはそれに近い形状(定形材)で使用することが好
ましい。但し、魚道等においても、その底部に非定形の
塊状石材を単に沈設するような形態で用いてもよい。
魚道等の人工構造部或いは人工河床に敷設または沈設し
た場合の構造例を示すもので、このうち(a)は傾斜路
式の魚道の底部にブロック状またはパネル状等の形状の
石材4aを固定的に敷設した例である。これら石材4a
を固定するに当たっては、必要に応じてモルタルを用い
てもよい。また、この例では魚道の底面を構成する石材
面を破面40(破砕または破断面)としている。この破
面40は炭酸固化により得られた石材ブロックを破砕ま
たは破断処理した際に形成される破砕または破断面であ
り、炭酸固化ままの表面よりも凹凸の程度が著しいた
め、水中生物の移動を容易にする等の面でより効果があ
る。図1の(b)は階段路式の魚道の底部(各段部)に
塊状の石材4bを非固定的に沈設した例である。また、
図1の(c)は魚道以外の人工構造部または人工河床に
ブロック状またはパネル状等の形状の石材4cを固定的
に敷設した例であり、このような構造が適用できる魚道
以外の人工構造部としては、例えば堰等の頭首工を構成
する緩傾斜面等が挙げられる。
は敷設して使用する石材として、以下のような長所を有
する。 (イ) スラグ中に含まれるCaO(またはCaOから生
成したCa(OH)2)の大部分が安定なCaCO3に変
化するため、CaOの溶出による河川水等のpH上昇や
石材周囲のpH上昇による藻類等の水性植物の付着、生
育の遅延を防止することができる。一般に自然石(石灰
石)のpHは9.3程度、コンクリートのpHは12〜
12.5程度であるが、本発明の沈設用石材は製造時の
上記中和反応により自然石並みのpH10前後とするこ
とができる。また、Ca分と水中のMgイオンとの反応
による白沈の発生も防止できる。一方において、スラグ
に適量の鉄分(特に、金属鉄、含金属鉄材)が含まれる
ことにより、この鉄分が水中に溶出することで水中に栄
養塩として鉄分が補給され、これが藻類等の水性植物の
育成に有効に作用する。
状スラグのうちの1種以上からなるスラグ、若しくは粉
粒状および/または粗粒状のスラグを炭酸固化して得ら
れた塊状物は全体(表面及び内部)がポーラスな性状を
有しており、このため石材表面に藻類等の水生植物が付
着し易く、しかも石材内部もポーラス状であるため、石
材中に含まれている藻類の成育促進に有効な成分(例え
ば、後述する可溶性シリカや鉄分)が水中に溶出しやす
い。このため塊状スラグをそのまま河川等の沈設用石材
として用いる場合やスラグを骨材とするコンクリート製
品に較べて、藻類等の水生植物の成育を効果的に促進す
ることができる。
的に促進するためには、石材表面での藻類等の幼体の生
育を促進させる必要がある。この点、本発明の沈設用石
材から水中に溶出する有効成分は、藻類等の個体が石材
に近いほど効果的に作用するため、藻類等の幼体の生育
に特に有効であり、このため藻類等の幼体の生育を効果
的に促進させることができる。
用石材として用いる場合、溶融スラグの冷却方法や条件
等の制約により一般にその大きさには限界(通常、最大
でも800mm程度)があり、また、サイズの揃った大
塊の石材を得ることは難しい。これに対して粉粒状スラ
グ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上から
なるスラグ、若しくは粉粒状および/または粗粒状のス
ラグを炭酸固化させた石材は、炭酸固化させる際の形態
の選択或いは炭酸固化後の切り出し形態の選択等により
その大きさを任意に調整することができるため、河川や
湖沼等の置き石用の大塊の石材、河床や水底に沈設また
は敷設する中塊の石材、小塊の石材(割石状の石材)
等、任意の大きさの石材を容易に得ることができる。
の速さ等に応じて最適の密度(比重)のものを用いるこ
とが好ましく、この点、粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、
小塊状スラグのうちの1種以上からなるスラグ、若しく
は粉粒状や粗粒状のスラグを炭酸固化させた石材は、炭
酸固化させる際のスラグの嵩密度(圧密度)を適宜調整
することにより、その密度を任意に調整することができ
るので好ましい。
または粗粒状のスラグから得られた沈設用石材の場合に
は、主要な地金分が除去されているため、河川水等の貧
酸素化や鉄分の過剰供給が問題となるような水域に適用
した場合に、地金の酸化による河川水等の貧酸素化や地
金の水中への溶出による鉄分の過剰供給といった問題を
生じることがない。また、このように地金が除去された
スラグから得られる沈設用石材は、地金が除去された
分、スラグの炭酸固化に寄与する成分が相対的に多くな
るため、石材の強度を確保する上で有利である。
山または充填層から切り出されることによって岩状のご
つごつした形態を有するため、これを河床や湖沼の水底
等に沈設または敷設した場合、一般の河川で見られるよ
うな丸石またはこれに類する形状の自然石に較べて石材
間や石材と河底と間に大きな空間を生じやすく、その
分、水中生物にとって有用な生存、休息空間が形成され
やすい。また、先に述べたように本発明の沈設用石材
は、河川用途のなかでも特に魚道等の水が流れる人工構
造部用や人工河床用の石材(以下は、魚道用石材を例に
説明する)として特に好適なものであり、このような用
途の石材として用いた場合、上記の点以外に以下のよう
な長所を有する。
状スラグのうちの1種以上からなるスラグ、若しくは粉
粒状や粗粒状のスラグを炭酸固化して得られた塊状物の
表面はポーラスな性状で、無数の凹凸を有しているた
め、これを魚道の底部等に沈設または敷設した場合に
は、河床(石等の表面の突起や水生植物)に爪等を引っ
掛けながら移動するような水中生物(例えば、甲殻類や
水生昆虫等)であっても魚道を容易に移動することがで
きる。また特に、本発明の石材は上述したようにポーラ
スで凹凸のある表面を有し且つpHも自然石並みであ
り、また有効成分も溶出しやすい性質があるため、表面
に藻類等の水生植物が付着、生育しやすく、このような
水生植物の付着、生育により上記水中生物の魚道での移
動がより容易になる。
道内に塊状の石材を単に沈設するだけでもよいが、水流
による石材の流失を防止するには、ブロック状またはパ
ネル状等の形状に成型した石材を魚道等の底部に固定的
に敷設することが好ましい。この点、粉粒状や粗粒状の
スラグを炭酸固化させる石材は製造時に任意の形状に成
型することが可能であるため、ブロック状またはパネル
状等の形状のものを容易に得ることができ、このような
石材を用いることにより魚道等の底部に固定的に敷設す
る際の施工が容易であり、しかも、確実に敷設すること
ができる。
コストに施工することができ、また、コンクリートに比
べてpHも低いため、魚道の底部に沿って移動するよう
な水中生物にとっても好ましい。
いスラグが炭酸化反応で生成したCaCO3またはCa
CO3とMgCO3をバインダーとして緊密に固結したも
のであるため適度な強度を有しており、また、先に述べ
たようにCa分の溶出がないためこれによる経時的な強
度の低下もない。このため運搬や河川への沈設、敷設の
際に衝撃が加わっても、また水中に長期間静置されても
割れや崩壊を生じるおそれは殆どない。
水流に曝され、また河川水等の増減によりその一部が水
面下に没したり水面上に露出したりして、置かれる環境
が頻繁に変化し、このため海中に較べて強度の経時劣化
を生じ易い環境下に置かれると言える。さらに、河川の
増水時には上流から流れてくる他の石等との接触や衝突
が頻繁に起こったり、当該石材自体が水流により動かさ
れる場合もある。したがって、これら点を考慮した場
合、石材は50kgf/cm2以上、より好ましくは1
00kgf/cm2以上の圧縮強度を備えたものが好ま
しい。このように石材が50kgf/cm2以上(より
好ましくは100kgf/cm2以上)のレベルの圧縮
強度を備えることにより、上記のような諸要因による石
材の割れや崩壊が適切に防止できる。また、このような
圧縮強度を有する石材は、後述するように石材を製造す
る際の原料スラグの粒度分布と原料スラグの水分含有率
を調整すること等により得ることができる。
等に応じてそれぞれ好適な組成とするために、粉粒状ス
ラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグの1種以上からなる
スラグ、若しくは粉粒状および/または粗粒状のスラグ
とともに各種の添加材(粉粒状、粗粒状または小塊状の
添加材)を含有させることができる。この添加材として
は、例えば可溶性シリカ源となる粉粒または粗粒物(可
溶性シリカ、含可溶性シリカ材)、鉄源となる粉粒また
は粗粒物(金属鉄、含金属鉄材、酸化鉄、含酸化鉄材)
等が挙げられる。
(金属鉄、酸化鉄)は、これらが水中に溶出することに
より藻類等の水生植物の成育に有効に作用する。また、
水中への溶出性、藻類等の水生植物の成育作用の点から
は、鉄源の中でも特に金属鉄や含金属鉄材が好ましい。
但し、河川水等の貧酸素化や鉄分の過剰供給が問題とな
るような水域に適用される、地金除去処理を経た粉粒状
および/または粗粒状のスラグから得られる沈設用石材
の場合には、これら金属鉄や含金属鉄材は添加されな
い。
しては、粉粒状または粗粒状の可溶性シリカおよび/ま
たは含可溶性シリカ材がある。この含可溶性シリカ材と
しては、火力発電所等において石炭燃焼により生じるフ
ライアッシュやクリンカーアッシュ等を用いることがで
きる。これらのうちフライアッシュは45〜75重量%
程度、またクリンカーアッシュは50〜65重量%程度
の可溶性シリカを含有している。
較的多く含んでいるため、スラグの一部または全部を高
炉水砕スラグとすること、例えば製鋼スラグと高炉水砕
スラグとを混合して用いることにより、可溶性シリカ源
となる添加材を添加した場合と同様の効果が得られる。
鉄等のような粉粒状若しくは粗粒状の金属鉄または含金
属鉄材、粉粒状若しくは粗粒状の酸化鉄または含酸化鉄
材等があり、特に容易且つ安価に入手できる粉粒または
粗粒物としては、鉄鋼製造プロセスで発生する含鉄ダス
トやミルスケールが挙げられる。含鉄ダストとしては製
鉄ダストが一般的であり、通常、このダストはFe換算
で75%前後(場合によっては、60%前後)の酸化鉄
を含有している。また、ミルスケールもFe換算で70
%前後の酸化鉄を含有している。
には、他のスラグに比べて比重の小さい水砕スラグを主
原料の少なくとも一部として用いることが有効である。
本発明の沈設用石材は比較的ポーラスな性状を有してお
り、これにより上記(ロ)で述べたような効果が得られ
る。石材の空隙率は特に限定しないが、通常、10〜7
0%程度の空隙率とすることが好ましい。
石材の製造法について説明する。図2は本発明法の製造
フローの一例を、また図3はこの製造フローに従った製
造工程の一例を示している。鉄鋼製造プロセスで発生し
たスラグについては、一般にスラグ中の地金の回収が行
われ、スラグ中に含まれる相当程度の割合の地金分が除
去される。通常、この地金回収工程ではスラグを粉砕機
等によりcmオーダーまたはそれ以下の粒径(例えば、
5cm以下)まで粉砕し、粉粒状、粗粒状若しくは小塊
状スラグとした後、地金の回収が行われる。スラグは地
金回収が可能な程度の粒径であればよく、したがって、
スラグの性状等により比較的粒度が粗くても地金回収が
可能なものについては、地金除去可能な粒径までスラグ
を粉砕すればよい。
スラグ中の地金含有率が後述する地金除去処理後ほど低
くなくてもよく、適量の地金を残存させてよい。これ
は、スラグ中に適量含まれる鉄分(特に、金属鉄、含金
属鉄材)が水中に溶出することにより、水中に栄養塩と
して鉄分が補給され、これが藻類等の水生植物の成育に
有効に作用するからである。このため、通常は回収処理
後の含有率で3重量%以上の地金がスラグ中に残存する
程度の回収を行えばよい。
程度の粒径に自然崩壊した状態(すなわち、粉粒状、粗
粒状若しくは小塊状に自然崩壊した状態)で搬入される
ものもあり、このようなスラグについては上述したよう
な粉砕処理は必要ない場合もある。例えば、スラグ中に
含まれる未滓化のCaOがスラグの冷却固化後、空気中
の水分または雨水、冷却時の散水等と反応してCa(O
H)2を生成し、この生成時にスラグが膨張して崩壊、
粉化する場合や、塩基度(CaO/SiO2)が2に近
いスラグ中に2CaO・SiO2(C2S)が生成し、こ
のC2Sがスラグ冷却過程で変態膨張を起こし、スラグ
が崩壊、粉化する場合等があり、これらの原因で既に地
金回収が可能な程度の粒径まで粉化、粒状化若しくは小
塊化したスラグについては、そのまま地金回収を実施す
ることができる。
よる磁気選別(磁石によりスラグ中の地金分を除去する
方法)により行われるが、必ずしもこれに限定されるも
のではなく、例えば、地金成分とスラグ成分との比重差
を利用した風力選別等の比重選別法を用いることもでき
る。この地金回収によって、スラグ中に含まれる相当量
の地金成分が回収される。図3において、1は粉砕機、
2は磁気選別機を示す。
粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状状スラグのうちの1
種以上からなるスラグであり、次工程である炭酸固化工
程若しくはその予備処理工程に送られる。但し、原料ス
ラグは粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグの1
種以上であればよく、したがって、上記のような地金回
収工程を経ることを必要条件とするものではない。
多くは、程度の差こそあるものの粉粒状または粗粒状の
スラグ粒子が或る一定以上の割合で含まれ、したがっ
て、スラグ中に比較的粒径の大きい小塊状のスラグ粒子
が混在していても、小塊状のスラグ粒子どうしの隙間を
粉粒状または粗粒状のスラグ粒子が埋めるため、スラグ
粒子を所定の強度を持つ状態に炭酸固化させるのに支障
を生じる恐れはほとんどない。但し、スラグが実質的に
小塊状のスラグ粒子のみからなる場合やスラグ中に占め
る小塊状のスラグ粒子の割合が比較的多い場合には、ス
ラグ粒子どうしの接触面積が小さくなるため、スラグ粒
子を所定の強度を持つ状態に炭酸固化させるのに支障を
生じる恐れがある。したがって、このような場合には、
粉粒状または粗粒状のスラグ粒子の割合を増やす等の粒
度調整を行うことが好ましい。
ラグ中に元々含まれる地金(粒鉄等)の一部または全部
を回収することなく残存させ、これをそのまま利用して
もよいが、先に述べたようにスラグ中に含まれる鉄分の
含有量を任意に制御し、且つスラグ中に含まれる鉄分の
形状や大きさを任意に選択して、粒鉄等の好ましい鉄源
をスラグ中に含有させるためには、一旦スラグ中の地金
の実質的な全部(不可避的に除去できない地金を除く)
を地金除去処理により除去した後、添加材として金属鉄
および/または含金属鉄材を添加する方法を採る方が好
ましい。
ラグを粉砕機等によりmmオーダーまたはそれ以下の粒
径(例えば、5mm以下)まで粉砕した状態で行われ
る。但し、スラグは地金除去処理が可能な程度の粒径で
あればよく、したがって、スラグの性状等により比較的
粗粒状でも地金除去が可能なものについては、地金除去
可能な粒径までスラグを粉砕すればよい。また、自然粉
化等により既に粉粒化または粗粒化しているスラグにつ
いては、上記のような粉砕処理は必要ない場合もある。
地金除去処理では、不可避的に残存する地金成分を除
き、スラグ中の地金は可能な限り除去されることが好ま
しく、通常、地金除去処理後のスラグ中の地金含有率を
3重量%未満とすることが好ましい。
磁気選別(磁石によりスラグ中の地金分を除去する方
法)により行われるが、必ずしもこれに限定されるもの
ではなく、例えば、地金成分とスラグ成分との比重差を
利用した風力選別等の比重選別法を用いることもでき
る。
ラグに対して、粒鉄などの金属鉄および/または含金属
鉄材が適量添加され、金属鉄や含金属鉄材を含む所望の
鉄分含有量のスラグが得られる。このようにして得られ
たスラグは、適量の金属鉄および/または含金属鉄材を
含んだ粉粒状および/または粗粒状のスラグであり、こ
のスラグは次工程である炭酸固化工程若しくはその予備
処理工程に送られる。スラグ中に添加する金属鉄や含金
属鉄材としては、先に述べた理由から粒鉄が最適であ
る。この粒鉄としては、スラグから回収された粒鉄だけ
でなく、それ以外で調達できる任意の粒鉄を使用でき
る。
後、金属鉄や含金属鉄材を添加することなく沈設用石材
を製造する場合の本発明法の製造フローの一例を、図5
はその製造フローに従った製造工程の一例を示してい
る。この場合には、鉄鋼製造プロセスで発生したスラグ
は、先ず地金除去処理が施され、主要な地金(粒鉄)分
が除去される。一般にスラグ中のスラグ成分と地金とは
緻密に絡み合った状態で混在しているため、地金除去処
理はスラグを粉粒状または粗粒状にして行う必要があ
り、したがって、通常はスラグを粉砕機等によりmmオ
ーダーまたはそれ以下の粒径(例えば、5mm以下)ま
で粉砕した後、地金除去処理が行われる。但し、スラグ
は地金除去処理が可能な程度の粒径であればよく、した
がって、スラグの性状等により比較的粗粒状でも地金除
去が可能なものについては、地金除去可能な粒径までス
ラグを粉砕すればよい。
る地金成分を除き、スラグ中の地金は可能な限り除去さ
れることが好ましく、通常、地金除去処理後のスラグ中
の地金含有率を3重量%未満とすることが好ましい。ま
た、上述したようにスラグによっては地金除去が可能な
程度の粒径に自然粉化または粒状化した状態で搬入され
るものもあり、このようなスラグについては上記のよう
な粉砕処理は必要ない場合もある。このようなスラグの
自然粉化の原因は先に述べた通りであり、これらの原因
で既に地金除去が可能な程度の粒径まで粉化または粒状
化したスラグについては、そのまま地金除去処理を施す
ことができる。
磁気選別(磁石によりスラグ中の地金分を除去する方
法)により行われるが、必ずしもこれに限定されるもの
ではなく、例えば、地金成分とスラグ成分との比重差を
利用した風力選別等の比重選別法を用いることもでき
る。この地金除去処理によって、スラグ中の主要な地金
成分が除去される。図4において、1は粉砕機、2は磁
気選別機を示す。以上のような地金除去処理を経たスラ
グは、粉粒状および/または粗粒状のスラグであり、こ
のスラグは次工程である炭酸固化工程若しくはその予備
処理工程に送られる。
グ、小塊状スラグのうちの1種以上からなるスラグ、若
しくは地金除去処理を経た粉粒状および/または粗粒状
のスラグには、必要に応じて添加材が添加され、さらに
炭酸化反応に必要なCaO、MgOがスラグ中に不足し
ている場合には必要に応じてCaO、Ca(OH)2、
MgO、Mg(OH)2の中から選ばれる1種以上が添
加され、スラグと混合される。添加材としては、例えば
可溶性シリカ源となる粉粒または粗粒物(可溶性シリ
カ、含可溶性シリカ材)、鉄源となる粉粒または粗粒物
(金属鉄、含金属鉄材、酸化鉄、含酸化鉄材)等を添加
することができ、その具体例は先に述べた通りである。
(金属鉄、酸化鉄)は、これらが水中に溶出することに
より藻類等の水性植物の成育に有効に作用する。また、
水中への溶出性、藻類等の水性植物の成育作用の点から
は、鉄源の中でも特に金属鉄や含金属鉄材が好ましい。
但し、河川水等の貧酸素化や鉄分の過剰供給が問題とな
るような水域に適用される、地金除去処理を経た粉粒状
および/または粗粒状のスラグから得られる沈設用石材
の場合には、これら金属鉄や含金属鉄材は添加されな
い。
グとの混合方法は、例えば地金回収設備または地金除去
処理設備等から排出されたスラグと添加原料をホッパー
内で混合する方法、地金回収設備または地金除去処理設
備内で地金回収または地金除去処理済みのスラグに添加
原料を添加して混合する方法、ショベル等の重機により
混合する方法等、任意の方法を採ることができる。ま
た、この段階において、必要に応じてスラグの水分調整
を行うこともできる。この水分調整については、後に詳
述する。
添加、混合され、且つ水分調整がなされたスラグは、炭
酸固化のために山積みまたは任意の空間内に充填され
る。ここで、スラグを山積みする場合には野積みで構わ
ないが、吹き込まれる炭酸ガスが積み山全体に十分に流
れるようにし、且つスラグの飛散や雨水等による流失を
避けるため、積み山をシート等で覆うことが好ましい。
えば三方を仕切壁で囲んだようなピット、四方を仕切壁
で囲んだ型枠または容器等を用いることができる。この
うちピット内にスラグを山積みまたは充填する場合に
も、上記野積みの場合と同様に、積み山または充填層を
シート等で覆うことが好ましい。また、型枠または容器
を用いる場合にも、スラグの充填層をシートで覆うか或
いは蓋体を設けることが好ましい。図3および図5は、
型枠3の内部に充填層Aを形成した状態を示している。
されず、例えば数トンないし数百トン規模の山積み量ま
たは充填量としてもよいし、或いは石材1個ないし数十
個程度に相当する山積み量または充填量としてもよく、
その量は任意である。但し、スラグの山積み量または充
填量が多くても、炭酸固化後の積み山または充填層を重
機等で砕くことにより、塊状の石材を容易に切り出すこ
とができ、しかもこのようにして破砕により切り出され
た塊状の石材は、藻類等の水生植物の付着に有利な凹凸
状の破面を有する利点がある。したがって、生産性およ
び河床用石材等としての機能の面からはスラグの山積み
量または充填量はある程度多い方が好ましい。
ラグの積み山または充填層の嵩密度(圧密度)を調整す
ることが好ましい。すなわち、沈設用石材は河床等の状
態や水流等に応じて密度を調整することが好ましい。ま
た、石材のポーラス度(空隙率)により藻類等の水生植
物の付着、成育の度合いや石材内部からの有効成分の溶
出性の度合いも違ってくることから、石材を適用する河
川や湖沼の状況等に応じて石材のポーラス度を調整する
ことが好ましい場合もある。
スラグの積み山または充填層の嵩密度(圧密度)に依存
し、したがって、上記のような必要に応じてスラグの積
み山または充填層の締め固めの度合いを調整し、その嵩
密度を調整することにより、石材の密度を容易に調整す
ることができる。スラグの積み山または充填層の締め固
めの度合いは任意であるが、通常、嵩比重/真比重が
0.3〜0.9の範囲、すなわち積み山または充填層内
の空隙率が70〜10%となる程度に締め固めが行われ
る。
は、積み山または充填層の上部から重機で締め固める方
法や、積み山または充填層に振動を与えることにより締
め固める方法等を採用でき、これらを行う際の締め固め
の度合いを調整すことにより、積み山または充填層の嵩
密度の調整を行う。また、特に低密度の石材を製造する
場合には締め固めを行わず、スラグを山積みまたは充填
したままで炭酸固化を実施することもできる。
上述したようなピット、型枠または容器内の積み山また
は充填層に対して締め固めを行う場合、ピット、型枠ま
たは容器の内側に目標とする体積を示す秤線を表示して
おき、重量の分かったスラグをそれらの内部に入れた
後、積み山または充填層の上面が上記秤線の高さになる
まで締め固めを行う。
の嵩比重の調整が完了した後、その積み山または充填層
に炭酸ガス存在下で炭酸化反応を生じさせ、スラグを炭
酸固化させる。具体的には、スラグの積み山若しくは充
填層内に炭酸ガス若しくは炭酸ガス含有ガスを吹き込む
か、または積み山若しくは充填層を炭酸ガス若しくは炭
酸ガス含有ガス雰囲気下に置き、スラグの炭酸固化を実
施する。
酸ガス含有ガスを吹き込む方法に特別な制限はないが、
積み山または充填層の底部にガス吹き込み手段を設け、
このガス吹き込み手段を通じてガスを吹き込むことが最
も効果的である。具体的には、積み山または充填層の底
部(ピット、型枠または容器等を用いる場合には、それ
らの床部)にガス供給用の配管またはホース等を適当な
配置密度で配し、これら配管またはホースに適当なピッ
チ(例えば、30〜300mm×40〜400mmピッ
チ)で設けたガス吹出孔から炭酸ガスまたは炭酸ガス含
有ガスが吹き出されるようにすることができる。
は炭酸ガス含有ガス雰囲気中に置く方法としては、積み
山や充填層を気密性の空間(容器等を含む)内に置き、
この空間内に炭酸ガスや炭酸ガス含有ガスを任意の態様
で供給する方法等を採ることができる。使用される炭酸
ガス含有ガスとしては、例えば一貫製鉄所内で排出され
る石灰焼成工場排ガス(通常、CO2:25%前後)や
加熱炉排ガス(通常、CO2:6.5%前後)等が好適
であるが、これらに限定されるものではない。また、炭
酸ガス含有ガス中の炭酸ガス濃度が低すぎると処理効率
が低下するという問題を生じるが、それ以外の問題は格
別ない。したがって、炭酸ガス濃度は特に限定しない
が、効率的な処理を行うには3%以上の炭酸ガス濃度と
することが好ましい。
ガス吹込量にも特別な制限はなく、スラグの積み山また
は充填層が流動しない程度にガス吹き込みを行えばよい
が、一般的な目安としては0.004〜0.5m3/m
in・t程度のガス吹き込み量が確保できればよい。ま
た、ガス吹き込み時間(炭酸化処理時間)にも特別な制
約はないが、目安としては炭酸ガス(CO2)の吹込量
がスラグの重量の3%以上となる時点、すなわち、ガス
量に換算すると材料1t当たり15m3以上の炭酸ガス
(CO2)が供給されるまでガス吹き込みを行うことが
好ましい。
る炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスは常温でよいが、ガ
スが常温よりも高温であればそれだけ反応性が高まるた
め有利である。但し、ガスの温度が過剰に高いとCaC
O3がCaOとCO2に分解し、またMgCO3もMgO
とCO2に分解してしまうため、高温ガスを用いる場合
でもこのような分解を生じない程度の温度のガスを用い
る必要がある。
との反応を利用して炭酸固化させるには水分が必要であ
り、炭酸化処理開始直前のスラグ(スラグに添加材が添
加されている場合には、この添加材を含むスラグ)中の
水分含有率は3〜10%程度の範囲とすることが適当で
ある。これは水にCaO、MgOと炭酸ガスが溶解する
ことにより炭酸化反応が促進されるためである。したが
って、スラグは必要に応じて最適水分量に水分調整した
上で、炭酸ガス存在下で炭酸化反応を生じさせるように
することが好ましい。このためスラグの含水率が低過ぎ
る場合には、例えば、図2、図4の製造フローに示す混
合過程等においてスラグに水を加え、スラグの水分含有
率を高める等の水分調整を行うことが好ましい。
は、例えばスラグの積み山または充填層内部での水分の
存在形態を例にして言うと、各スラグ粒子の表面に薄い
水膜が形成されるとともに、隣接するスラグ粒子の水膜
どうしが一部で接している状態であって、且つ各スラグ
粒子表面の水膜面に炭酸ガスが供給されるようなガス流
路が確保された状態であると考えられる。
g/cm2以上(より好ましくは、100kg/cm2以
上)のレベルとするためには、上述した原料スラグの水
分含有率の調整とともに、原料スラグの粒度分布が特に
重要である。具体的には、原料スラグ(スラグに添加材
が添加されている場合には、この添加材を含むスラグ)
の水分含有率を上述した3〜10%、特に好ましくは4
〜6%の範囲とするとともに、全量が粒度50mm以
下、好ましくは実質的に6mm以下(不可避的に含まれ
る大粒径のスラグ以外は全量6mm以下)であって、累
積粒度分布の小径側から30重量%の粒度(D30)が
800μm以下である粒度分布を有することが好まし
い。このように石材の圧縮強度が上記のような原料スラ
グ粒度分布に依存する理由は、スラグ粒子の粒径が大き
くなるとスラグ粒子どうしの接触面積が小さくなり、且
つスラグ粒子間に形成される空隙(気孔)も大きくな
り、この部分を起点として石材の崩壊を生じやすいこ
と、原料スラグ中に微粒状のスラグ粒子がある程度の割
合で存在していると、粗粒状のスラグ粒子どうしの隙間
を微粒状のスラグ粒子が埋めるため、スラグ粒子どうし
の結合が強固になること、等によるものと考えられる。
酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスを供給するに当たって
は、炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスを一旦水中に吹き
込んでH2Oを飽和させた後、積み山または充填層に吹
き込むようにすることにより、スラグの乾燥を防止して
炭酸化反応を促進させることができる。以上のようにし
てスラグの積み山または充填層内に炭酸ガスまたは炭酸
ガス含有ガスを供給することにより、先に述べたような
CaO(またはCa(OH)2)、MgO(またはMg
(OH)2)と炭酸ガスとの反応によってCaCO3、M
gCO3が生成し、このCaCO3またはCaCO3とM
gCO3がバインダーとなってスラグ粒子(添加材が混
合されている場合には、スラグ粒子および添加材粒子)
が固結する。
重機等により積み山または充填層を適当な大きさに砕
き、塊状の沈設用石材が切り出される。したがって、こ
の切り出す際の大きさにより、任意の大きさの石材を得
ることができる。通常、塊状の石材は80〜1500m
mの大きさに切り出される。また、この切り出し時の破
砕により、石材に水生植物の付着し易い凹凸のある破面
が生じる。
小さくすることで、上記のような切り出しを行うことな
く、そのまま或いは2分割する程度で石材として利用す
ることもできる。例えば、先に述べたブロック状、パネ
ル状、球状、円筒形状、容器形状等の形状の石材を得る
場合がそれであり、またこの際、炭酸固化して得られた
ブロック状の石材を破砕または破断処理して2分割する
ことにより、上面に破面(破砕または破断面)を有する
2個のブロック状またはパネル状等の形状の石材を得る
こともできる。
うな利点がある。 (イ) スラグを積み山または充填層とした状態で炭酸固
化を行うため、積み山または充填層の締め固めの度合い
を調整してその嵩比重を調整することにより、沈設用石
材の密度の調整を簡単に行うことができる。先に述べた
ように、沈設用石材は河床や水流の状況等に応じて密度
やポーラス度を適宜調整することが好ましく、このよう
な調整を任意にしかも極く簡単に行うことができること
は、河川等の淡水系水域沈設用石材の製造法として大き
な利点である。従来技術として造粒ペレット等を炭酸固
化させる技術が知られているが、このような造粒方式で
は非処理材の密度を幅広い範囲で調整することは困難で
ある。
填層とした状態で炭酸固化を行い、炭酸固化完了後、積
み山または充填層を適当な大きさに砕いて所望の大きさ
の塊状石材を切り出し、或いは充填層をそのまま若しく
は分割して塊状石材として利用するものであるため、切
り出される石材の大きさや充填層の大きさを適宜選択す
ることにより、任意の大きさ(例えば、80〜1500
mm)の石材を得ることができ、大塊の石材も容易に得
ることができる。上述した造粒ペレット等を炭酸固化さ
せる従来技術では、得られる塊状物の大きさはせいぜい
30〜50mm程度が限度であり、しかも、大きさにバ
ラツキがあるため不可避的にサイズの小さい塊状物も生
じてしまう。したがって、本発明法のように大塊の石材
が得られることは河川等の淡水系水域沈設用石材の製造
法として大きな利点である。
床に固定的に敷設する場合、使用する石材はブロック状
またパネル状等の形状のものであることが好ましいが、
本発明法では充填層の大きさや形状を適宜選択すること
により、このような形状の石材も容易に得ることができ
る。
充填層を重機等により砕き、塊状の石材を切り出す方法
を採ることにより、藻類等の水生植物の付着し易い凹凸
のある表面(破面)を有する塊状石材を得ることができ
る。また、上記(ハ)のブロック状またパネル状の石材に
ついても、炭酸固化して得られたブロック状の石材を破
砕または破断処理して2分割することにより、上面に破
面を有するブロック状またはパネル状等の形状の石材を
得ることができる。(ホ) 原料スラグの水分含有率と原
料スラグの粒度分布を所定の範囲に調整することによ
り、厳しい環境下でも割れや崩壊等を生じない高い圧縮
強度を有する石材を製造することができる。
mmで、且つ粒度5mm以下のスラグ粒子の割合が約7
0重量%である粒度範囲をもつ脱炭スラグ粉(地金回収
して生じた、小塊状スラグを含むスラグ,鉄分含有率:
12重量%,粒度分布:累積粒度分布の小径側から30
重量%の粒度(D30)が800μm以下,炭酸化処理
開始直前のスラグの水分含有率:3〜10%)を幅4m
×奥行6mのピット内に高さ1.5mに山積みして適度
に締め固めた後、ピットを密閉し、炭酸ガスを供給量5
0Nm3/hrの割合で3日間吹込み、スラグを炭酸固
化させた。この炭酸固化したスラグを重機により破砕処
理したところ、サイズが略30〜250mmで、且つ河
川等の淡水系水域沈設用石材として十分な強度(圧縮強
度:50kgf/cm2以上)を有する塊状石材が得ら
れた。
粉(地金除去処理を経たスラグ粉,鉄分含有率:2wt
%,粒度分布:累積粒度分布の小径側から30重量%の
粒度(D30)が800μm以下,炭酸化処理開始直前
のスラグの水分含有率:3〜10%)を幅4m×奥行6
mのピット内に高さ1.5mに山積みして適度に締め固
めた後、ピットを密閉し、炭酸ガスを供給量50Nm3
/hrの割合で3日間吹込み、スラグを炭酸固化させ
た。この炭酸固化したスラグを重機により破砕処理した
ところ、サイズが略30〜250mmで、且つ河川等の
淡水系水域沈設用石材として十分な強度(圧縮強度:5
0kgf/cm2以上)を有する塊状石材が得られた。
%の脱燐スラグ粉(地金除去処理を経たスラグ粉,鉄分
含有率:2wt%、CaO:54.9%,MgO:2.
3%,粒度分布:累積粒度分布の小径側から30重量%
の粒度(D30)が800μm以下,炭酸化処理開始直
前のスラグの水分含有率:3〜10%)を原料とし、下
記(1)および(2)の2種類の方法で魚道用石材を製造し
た。なお、この脱燐スラグ粉の具体的な粒度分布を表1
に示す。
cmのサイズの通気性がある型枠に充填して締め固めた
後、この型枠60個を型枠間に空間を生じるよう間隔を
あけてピット内にセットし、ピットを密閉した後、炭酸
ガスを供給量70Nm3/hrの割合で5日吹込み、ス
ラグを炭酸固化させた。この後型枠を取外し、ブロック
状の魚道用石材(圧縮強度:50kgf/cm2以上)
を得た。
50cmのサイズの通気性がある型枠に充填した。この
充填に際し、型枠の幅100cmの中間位置に中央部が
開口したポリエチレン製の仕切板(100cm×100
cm×2mm,開口部:85cm×85cm)を介装
し、スラブ粉を充填後、全体を締め固めた。この型枠1
8個を型枠間に空間を生じるよう間隔をあけてピット内
にセットし、ピットを密閉した後、炭酸ガスを供給量7
0Nm3/hrの割合で5日吹込み、スラグを炭酸固化
させた。この後型枠を取外し、得られたブロック状石材
を仕切板が介装されている中間位置で破断して2分割
し、上面に破面(破断面)を有するブロック状の魚道用
石材(圧縮強度:50kgf/cm2以上)を得た。
魚道用石材を、コンクリートで基礎部を構築した魚道の
底部に、それぞれ図1(a)に示すような態様で敷設し
た。なお、(2)の魚道用石材については、その破面が魚
道底面を構成するよう敷設した。これにより、コンクリ
ート(コンクリートブロックまたはコンクリート施工)
の場合のような平滑な底部とは異なり、甲殻類等の移動
が容易なポーラスで凹凸がある粗面状の底部を有する魚
道が得られた。また、特に上記(2)の石材を使用した魚
道部分では、表面の凹凸が極めて顕著な魚道底部が得ら
れた。
によって自然石(石灰石)とほぼ同等のpHとなってい
るため、コンクリート製の魚道のように施工後使用開始
当初に溶出する成分によって表面が高pHし、藻類の付
着が遅延するような現象も認められず、しかも、本発明
石材により構成される魚道底部はポーラスで凹凸がある
粗面であるため、比較的短期間のうちに魚道底部への藻
類の付着、生育が確認された。
水等のpHの上昇や白沈等の問題を生じることがなく、
しかも河川や湖沼等において河床用或いは水底用石材等
として水中に沈設または敷設した際に魚類等の生存空間
形成や藻類等の水生植物の生育等の面で優れた機能を発
揮でき、さらに、河川のダムや堰等に設けられる魚道等
の人工構造部や人工河床等に沈設または敷設した際に、
魚類以外の水中生物の移動性や水生植物の生育等の面で
特に優れた機能を発揮でき、加えて大きさや密度を容易
に調整可能な沈設用石材を提供することができる。
いた本発明の沈設用石材によれば、上記の効果に加え
て、鉄分の酸化による河川水等の貧酸素化や水中への鉄
分の過剰供給を抑制する必要がある水域において、鉄分
の酸化による河川水等の貧酸素化や水中への鉄分の過剰
供給を効果的に抑制することができる。また、原料スラ
グの水分含有率と粒度分布の調整等により石材の圧縮強
度を所定レベル以上とすることにより、河川等のような
厳しい環境下でも割れや崩壊を生じることなく、長期間
にわたって形状、強度を安定して保持することできる。
ラグを積み山または充填層とした状態で炭酸固化を行う
ため、積み山または充填層の締め固めの度合いの調整、
炭酸固化後に切り出す石材の大きさや充填層の大きさ等
を適宜選択することにより、任意の密度と大きさの沈設
用石材を簡単且つ低コストに製造することができる。特
に、河床等の改修には膨大な量の石材が必要となるが、
本発明によれば沈設用石材として自然石やコンクリート
材を用いる場合に較べて低コストに石材を調達すること
ができ、このため河床の改修等の工事費を削減できる。
−ダイカルシウムシリケートの変態膨張や、遊離CaO
の水和により生じる膨張等により粉化する性質を持つも
のがあり、従来、このような粉化スラグは一部がセメン
ト原料等として利用される以外は利材化の途がなく、大
部分が廃棄されていたものであるが、本発明ではこのよ
うな粉化スラグについても原料として利用でき、さらに
組成上の制約からセメント原料等として利用するのに難
があり、有効利用が難しかったスラグ(例えば、脱燐ス
ラグや脱珪スラグ等)についても原料として利用できる
ことから、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグの有効利
用という面でも非常に有用な発明である。
は人工河床等に敷設または沈設した場合の構造例を示す
説明図
具体例を示す説明図
具体例を示す説明図
4a,4b,4c…石材、40…破面
Claims (21)
- 【請求項1】 鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを主
原料とする石材であって、前記スラグが粉粒状スラグ、
粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からな
り、該スラグを炭酸化反応で生成させたCaCO3をバ
インダーとして固結させ、塊状化したことを特徴とする
河川等の淡水系水域沈設用石材。 - 【請求項2】 鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを主
原料とする石材であって、前記スラグが粉粒状スラグ、
粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からな
り、該スラグを炭酸化反応で生成させたCaCO3およ
びMgCO3(但し、MgCO3が水和物、水酸化物塩ま
たは複塩として存在する場合を含む)をバインダーとし
て固結させ、塊状化したことを特徴とする河川等の淡水
系水域沈設用石材。 - 【請求項3】 鉄鋼製造プロセスで発生したスラグと粉
粒状および/または粗粒状の添加材とを主原料とする石
材であって、前記スラグが粉粒状スラグ、粗粒状スラ
グ、小塊状スラグのうちの1種以上からなり、該スラグ
と前記添加材との混合物を炭酸化反応で生成させたCa
CO3をバインダーとして固結させ、塊状化したことを
特徴とする河川等の淡水系水域沈設用石材。 - 【請求項4】 鉄鋼製造プロセスで発生したスラグと粉
粒状および/または粗粒状の添加材とを主原料とする石
材であって、前記スラグが粉粒状スラグ、粗粒状スラ
グ、小塊状スラグのうちの1種以上からなり、該スラグ
と前記添加材との混合物を炭酸化反応で生成させたCa
CO3およびMgCO3(但し、MgCO3が水和物、水
酸化物塩または複塩として存在する場合を含む)をバイ
ンダーとして固結させ、塊状化したことを特徴とする河
川等の淡水系水域沈設用石材。 - 【請求項5】 スラグが地金除去処理を経た粉粒状およ
び/または粗粒状のスラグからなることを特徴とする請
求項1、2、3または4に記載の河川等の淡水系水域沈
設用石材。 - 【請求項6】 鉄鋼製造プロセスで発生したスラグと粉
粒状および/または粗粒状の添加材とを主原料とする石
材であって、スラグが地金除去処理を経た粉粒状および
/または粗粒状のスラグからなり、添加材の少なくとも
一部が金属鉄および/または含金属鉄材であることを特
徴とする請求項3または4に記載の河川等の淡水系水域
沈設用石材。 - 【請求項7】 空隙率が10〜70%であることを特徴
とする請求項1、2、3、4、5または6に記載の河川
等の淡水系水域沈設用石材。 - 【請求項8】 圧縮強度が50kgf/cm2以上であ
ることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6また
は7に記載の河川等の淡水系水域沈設用石材。 - 【請求項9】 鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを主
原料とする石材の製造方法であって、粉粒状スラグ、粗
粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなるス
ラグ、または粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラ
グのうちの1種以上からなり、これにCaO、Ca(O
H)2、MgO、Mg(OH)2の中から選ばれる1種以
上を混合したスラグを用い、該スラグによる積み山また
は任意の空間内での充填層を形成し、該積み山または充
填層に炭酸ガス存在下で炭酸化反応を生じさせることに
より前記粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグの
うちの1種以上からなるスラグを固結させ、スラグが塊
状化した石材を得ることを特徴とする河川等の淡水系水
域沈設用石材の製造方法。 - 【請求項10】 鉄鋼製造プロセスで発生したスラグと
粉粒状および/または粗粒状の添加材を主原料とする石
材の製造方法であって、粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、
小塊状スラグのうちの1種以上からなり、これに粉粒状
および/または粗粒状の添加材を混合したスラグ、また
は粉粒状スラグ、粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの
1種以上からなり、これに粉粒状および/または粗粒状
の添加材とCaO、Ca(OH)2、MgO、Mg(O
H)2の中から選ばれる1種以上を混合したスラグを用
い、該スラグによる積み山または任意の空間内での充填
層を形成し、該積み山または充填層に炭酸ガス存在下で
炭酸化反応を生じさせることにより前記粉粒状スラグ、
粗粒状スラグ、小塊状スラグのうちの1種以上からなる
スラグおよび前記粉粒状および/または粗粒状の添加材
を固結させ、スラグおよび添加材が塊状化した石材を得
ることを特徴とする河川等の淡水系水域沈設用石材の製
造方法。 - 【請求項11】 スラグの積み山若しくは充填層に炭酸
ガス若しくは炭酸ガス含有ガスを吹き込むか、または積
み山若しくは充填層を炭酸ガス若しくは炭酸ガス含有ガ
ス雰囲気下に置くことを特徴とする請求項9または10
に記載の河川等の淡水系水域沈設用石材の製造方法。 - 【請求項12】 スラグとして、地金除去処理を経た粉
粒状および/または粗粒状のスラグを用いることを特徴
とする請求項9、10または11に記載の河川等の淡水
系水域沈設用石材の製造方法。 - 【請求項13】 鉄鋼製造プロセスで発生したスラグと
粉粒状および/または粗粒状の添加材を主原料とする石
材の製造方法であって、スラグとして地金除去処理を経
た粉粒状および/または粗粒状のスラグを用い、添加材
の少なくとも一部が金属鉄および/または含金属鉄材で
あることを特徴とする請求項10または11に記載の河
川等の淡水系水域沈設用石材の製造方法。 - 【請求項14】 スラグの積み山または充填層の嵩比重
/真比重を0.3〜0.9の範囲とすることを特徴とす
る請求項9、10、11、12または13に記載の河川
等の淡水系水域沈設用石材の製造方法。 - 【請求項15】 炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスを水
中に通すことでH2Oを飽和させ、しかる後、スラグの
積み山または充填層に炭酸化処理のために供給すること
を特徴とする請求項9、10、11、12、13または
14に記載の河川等の淡水系水域沈設用石材の製造方
法。 - 【請求項16】 固結した積み山または充填層を所望の
大きさの塊状物に破砕または破断し、該破砕または破断
による破面を有する塊状石材を得ることを特徴とする請
求項9、10、11、12、13、14または15に記
載の河川等の淡水系水域沈設用石材の製造方法。 - 【請求項17】 スラグを最適水分含有率に水分調整し
た上で、該スラグの積み山または充填層に炭酸ガス存在
下で炭酸化反応を生じさせることを特徴とする請求項
9、10、11、12、13、14、15または16に
記載の河川等の淡水系水域沈設用石材の製造方法。 - 【請求項18】 全量が粒度50mm以下であって、累
積粒度分布の小径側から30重量%の粒度(D30)が
800μm以下である粒度分布を有し、且つ水分含有率
が3〜10%であるスラグの積み山または充填層に炭酸
ガス存在下で炭酸化反応を生じさせることを特徴とする
請求項9、10、11、12、13、14、15、16
または17に記載の河川等の淡水系水域沈設用石材の製
造方法。 - 【請求項19】 請求項1、2、3、4、5、6、7ま
たは8に記載の石材を、河川内において水が流れる人工
構造部または人工河床に沈設または敷設することを特徴
とする河川等の淡水系水域沈設用石材の使用方法。 - 【請求項20】 石材を、魚道の少なくとも底部に沈設
または敷設することを特徴とする請求項19に記載の河
川等の淡水系水域沈設用石材の使用方法。 - 【請求項21】 沈設または敷設された石材の上面が、
破砕または破断により形成された破面であることを特徴
とする請求項19または20に記載の河川等の淡水系水
域沈設用石材の使用方法。
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JP9-281337 | 1997-09-29 | ||
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