JP2000157095A - 藻礁の造成または改良方法 - Google Patents

藻礁の造成または改良方法

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JP2000157095A
JP2000157095A JP35386598A JP35386598A JP2000157095A JP 2000157095 A JP2000157095 A JP 2000157095A JP 35386598 A JP35386598 A JP 35386598A JP 35386598 A JP35386598 A JP 35386598A JP 2000157095 A JP2000157095 A JP 2000157095A
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slag
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Tatsuto Takahashi
達人 高橋
Norio Isoo
典男 磯尾
Makoto Kato
誠 加藤
Hirohisa Nakajima
廣久 中島
Haruyoshi Tanabe
治良 田辺
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 藻礁造成場所の選択範囲が広く、且つ少ない
手間とコストで藻礁を短期間に造成することができ、大
規模造成も可能な藻礁造成法を提供する。 【解決手段】 既存の藻礁における海藻類の増殖作用に
着目し、既存の藻礁そのものを人工基盤への海藻類の種
苗の着生および生育に利用する藻礁造成法であり、その
特徴は、沈設用の資材として、未炭酸化Ca含有材(但
し、スラグを除く)またはこれとスラグとの混合物を主
原料とする石材であって、上記主原料の粉状および/ま
たは粒状物を、主としてこれらに含まれる未炭酸化Ca
の炭酸化反応で生成させたCaCO3をバインダーとし
て固結させ、塊状化した人工石材を用い、既存の藻礁に
該人工石材からなる資材を仮置き沈設し、この資材の表
面に海藻類を着生、生育させた後、資材を回収してこれ
を藻礁を造成すべき場所に種資材として移設するととも
に、この種資材の周囲に海藻類を着生させるべき前記人
工石材からなる他の資材を配し、前記種資材の海藻類を
前記他の資材に増殖させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、藻礁の造成または
改良方法に関する。なお、本発明において“藻礁”とは
海底に生育する藻類や海草(以下、これらを総称して
「海藻類」という)の群落場所を指す。
【0002】
【従来の技術】藻礁は沿岸海域における海中動植物の生
産の場であり、有用魚介類や海藻類の生息場、魚介類の
産卵場、稚仔魚の成育場、餌場等として不可欠な場所で
あると言える。また最近では、海水中の窒素やリンが海
藻類に取り込まれ或いは藻礁内の食物連鎖を通じて他の
生物に取り込まれることにより除去されることや、藻礁
内で懸濁物質が沈降して水中から取り除かれることな
ど、藻礁の水質浄化作用についても注目されつつある。
【0003】しかし、近年、藻礁は沿岸の埋め立てや海
水の汚濁などの影響により急速な消失、衰退が続いてお
り、特に最近では、多くの沿岸海域で所謂“磯焼け”と
呼ばれる現象が発生し、大きな問題となっている。この
ため藻礁を回復させるための藻礁造成法を早急に確立す
ることが求められている。従来行われている藻礁の造成
方法は、以下のような二通りの方法に大別することがで
きる。
【0004】(1) 藻礁を造成したい場所に、海藻類を育
成させるための基盤(主に天然石やコンクリートブロッ
ク等の石材)を設置して、この基盤に海藻類の種苗や母
藻を移植し、必要に応じて海藻類育成のための管理を行
う。 (2) 環境上藻礁を生じ易い場所、すなわち、水深や水
質、海流等の環境面で藻礁の造成に適し、且つ既存の藻
礁からの海藻類の胞子等の到達範囲内にある場所を選定
し、そこに基盤を設置してメンテナンスフリー(すなわ
ち、種苗等の移植やその育成管理は基本的に行わない)
で藻礁を造成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
のうち、(1)の方法は藻礁の造成場所の選択範囲が広い
という利点はあるものの、基本的に藻礁の造成を全て人
為的に行うものであり、しかも藻礁造成場所の環境によ
っては移植した種苗等の根づきや生育を十分に管理する
必要があり、このため多大な手間と費用がかかり、藻礁
の大規模造成には全く適さない。
【0006】一方、(2)の方法は基盤を設置する以外は
メンテナンスフリーで藻礁を造成する方法であるため、
(1)の方法に較べて手間とコストが格段に少なくて済む
という利点があるが、藻礁を造成できる場所が限られる
ため汎用性に欠ける。ある報告によると、自然には藻礁
が生じない場所に(2)の方法で適当な期間内に藻礁を造
成するには、既存の藻礁からの海藻類の胞子や種子の到
達範囲を考慮して、既存の藻礁から100m以内にある
ような場所を選定することが好ましいとされている。し
たがって、この方法では所謂磯焼けによって周辺海域全
体の藻礁が消失したような場所での藻礁造成は困難であ
ると考えられる。
【0007】したがって本発明の目的は、藻礁の造成場
所の選択範囲が広く、且つ少ない手間とコストで藻礁を
短期間に造成することができ、しかも大規模造成も可能
な藻礁の造成または改良方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決できる新たな藻礁造成法について検討を行う過
程で、既存の藻礁における海藻類の増殖力ないしは増殖
作用に着目し、既存の藻礁そのものを基盤への海藻類の
種苗の着生および生育に利用すること、つまり、藻礁造
成用の基盤となる資材を一時的に既存の藻礁内に置くこ
とで海藻類の種苗を資材表面に自然に着生、生育させ、
この資材を藻礁造成用の基盤として利用するという着想
を得た。そして、このような着想に基づき実験と検討を
重ねた結果、下記するような特定の人工石材からなる資
材を既存の藻礁内に置くとその表面に比較的短期間のう
ちに海藻類が着生、生育すること、また、この海藻類が
生育した資材を藻礁造成場所に種資材として移設すると
ともに、その周囲に新たな資材(海藻類が着生していな
い資材)を配することにより、比較的短期間で種資材の
海藻類が周囲の資材に増殖し、藻礁を構成する海藻類の
群落単位を形成できることが判った。
【0009】そして、上記種資材を含めた藻礁造成を基
盤となる資材としては、コンクリート材等のような未炭
酸化Ca含有材の粉状および/または粒状物、若しくは
これと鉄鋼製造プロセスで発生するスラグの粉状および
/または粒状物との混合物を特定の手法で塊状化した人
工石材が極めて好適であり、この人工石材は海藻類の着
生、生育面等でも優れた効果を発揮することが判った。
【0010】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、その特徴は以下の通りである。 [1] 沈設用の資材として、未炭酸化Ca含有材(但し、
鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを除く)を主原料と
する石材であって、主原料である粉状および/または粒
状の未炭酸化Ca含有材を、主としてこれに含まれる未
炭酸化Caの炭酸化反応で生成させたCaCO3をバイ
ンダーとして固結させ、塊状化した人工石材を用い、既
存の藻礁に前記人工石材からなる資材を仮置き沈設し、
該資材の表面に海藻類を着生、生育させた後、該資材を
回収してこれを藻礁を造成しまたは海藻類を増殖させる
べき場所に種資材として移設するとともに、該種資材の
周囲に海藻類を着生させるべき前記人工石材からなる他
の資材を配し、前記種資材の海藻類を当該他の資材に増
殖させることを特徴とする藻礁の造成または改良方法。
【0011】[2] 沈設用の資材として、未炭酸化Ca含
有材(但し、鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを除
く)と鉄鋼製造プロセスで発生したスラグとを主原料と
する石材であって、主原料である粉状および/または粒
状の未炭酸化Ca含有材と粉状および/または粒状のス
ラグの混合物を、主としてこれらに含まれる未炭酸化C
aの炭酸化反応で生成させたCaCO3をバインダーと
して固結させ、塊状化した人工石材を用い、既存の藻礁
に前記人工石材からなる資材を仮置き沈設し、該資材の
表面に海藻類を着生、生育させた後、該資材を回収して
これを藻礁を造成しまたは海藻類を増殖させるべき場所
に種資材として移設するとともに、該種資材の周囲に海
藻類を着生させるべき前記人工石材からなる他の資材を
配し、前記種資材の海藻類を当該他の資材に増殖させる
ことを特徴とする藻礁の造成または改良方法。
【0012】[3] 上記[1]または[2]の方法において、沈
設用の資材として、主原料である未炭酸化Ca含有材
が、コンクリート、セメント、モルタル、耐火物の中か
ら選ばれる1種以上からなる人工石材を用いることを特
徴とする藻礁の造成または改良方法。 [4] 上記[1]または[2]の方法において、沈設用の資材と
して、主原料である未炭酸化Ca含有材が、コンクリー
ト、セメント、モルタル、耐火物の中から選ばれる1種
以上の材料から分離され、該材料よりも未炭酸化Ca含
有率が高い未炭酸化Ca含有材からなる人工石材を用い
ることを特徴とする藻礁の造成または改良方法。
【0013】[5] 上記[1]〜[4]のいずれかの方法におい
て、沈設用の資材として、主原料に対して添加材を添加
した原料を固結させ、塊状化した人工石材を用いること
を特徴とする藻礁の造成または改良方法。 [6] 上記[5]の方法において、人工石材の原料である添
加材の少なくとも一部が金属鉄、含金属鉄材、酸化鉄、
含酸化鉄材の中から選ばれる1種以上からなることを特
徴とする藻礁の造成または改良方法。
【0014】[7] 上記[5]の方法において、人工石材の
原料である添加材の少なくとも一部が可溶性シリカおよ
び/または含可溶性シリカ材からなることを特徴とする
藻礁の造成または改良方法。 [8] 上記[5]の方法において、人工石材の原料である添
加材の少なくとも一部がCaO、Ca(OH)2、Mg
O、Mg(OH)2の中から選ばれる1種以上からなる
ことを特徴とする藻礁の造成または改良方法。 [9] 上記[5]の方法において、人工石材の原料である添
加材の少なくとも一部が水砕スラグ微粉末からなること
を特徴とする藻礁の造成または改良方法。
【0015】[10] 上記[1]〜[9]のいずれかの方法にお
いて、沈設用の資材として、未炭酸化Caを含有する人
工石材を用いることを特徴とする藻礁の造成または改良
方法。 [11] 上記[10]の方法において、人工石材が、石材表層
部には未炭酸化Caが実質的に存在せず、石材内部にの
み未炭酸化Caを含有することを特徴とする藻礁の造成
または改良方法。 [12] 上記[10]の方法において、人工石材が、固結した
主原料粒子の表層部及び主原料粒子間には未炭酸化Ca
が実質的に存在せず、主原料粒子内部にのみ未炭酸化C
aを含有することを特徴とする藻礁の造成または改良方
法。
【0016】[13] 上記[1]〜[12]のいずれかの方法にお
いて、沈設用の資材として、空隙率が10〜70%であ
る人工石材を用いることを特徴とする藻礁の造成または
改良方法。 [14] 上記[1]〜[13]のいずれかの方法において、沈設用
の資材として、石材内部の開気孔の内面が、未炭酸化C
aの炭酸化反応で生成したCaCO3で覆われている人
工石材を用いることを特徴とする藻礁の造成または改良
方法。 [15] 上記[1]〜[14]のいずれかの方法において、沈設用
の資材として、石材外面の少なくとも一部領域に、可溶
性シリカの含有量が10〜90wt%の可溶性シリカ配
合層を有する人工石材を用いることを特徴とする藻礁の
造成または改良方法。
【0017】このような本発明法は、自然には藻礁を生
じない場所や藻礁が消失した場所に藻礁を造成する以外
に、藻礁が衰退しつつある場所の改良(藻礁育成)のた
めにも適用することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明による藻礁造成法
(または改良法)の詳細を説明する。本発明では、先ず
既存の藻礁(特に好ましくは、天然の藻礁)に種資材と
なるべき資材を仮置き沈設する。既存の藻礁、とりわけ
天然の藻礁は、藻礁が自然には生じないような場所に較
べて海藻類が繁殖し易い環境(海藻類の生育を支配する
光、水質、海流等の環境)にあり、しかも藻礁内は海藻
類から放出される胞子(遊走子)や種子が最も高密度に
存在する場所でもある。したがって、既存の藻礁は資材
の表面に海藻類を自然に着生、生育させるには最も適し
た場所である。
【0019】本発明法において、上記のように藻礁に沈
設する資材(種資材)および藻礁造成場所で新たに沈設
する資材(藻礁造成基盤用の資材)としては、未炭酸化
Ca含有材(但し、鉄鋼製造プロセスで発生したスラグ
を除く)または未炭酸化Ca含有材(但し、鉄鋼製造プ
ロセスで発生したスラグを除く)と鉄鋼製造プロセスで
発生したスラグとの混合物を主原料とする石材であっ
て、この主原料の粉状および/または粒状物を、主とし
てこれらに含まれる未炭酸化Caの炭酸化反応で生成さ
せたCaCO3をバインダーとして固結させ、塊状化し
た人工石材を用いる。この人工石材については、後に詳
述する。なお、この人工石材の形態には特別な制約はな
く、非定形の塊状体、ブロック体、或いは複数の塊状物
等をカゴやネット等の中に入れて1つの資材としたもの
など、適宜な形態のものを用いることができる。
【0020】後述するように上記人工石材は海藻類の着
生や成育の面で優れた機能を有しているが、資材は表面
に凹凸や突起があるものの方が、海藻類の胞子や種子等
が付着しやすく、また幼体の根づきも良いため好まし
い。このため人工石材の表面は、破砕した際の破砕面に
より構成することが最も好ましい。石材の破砕面は大小
の凹凸が無数に形成されているため、海藻類の胞子や種
子等の付着性、幼体の生育性が良好である。
【0021】人工石材をカゴやネット等の中に入れて1
つの資材としたもの以外の資材について、当該資材を藻
礁に仮置き沈設するに当っては、後の回収を容易にする
ために引上げ用のネットに包んだり或いは引き上げ用の
手段(ワイヤロープ等)を装着しておくことが好まし
い。
【0022】資材を藻礁に仮置き沈設する時期は、なる
べく藻礁内の海藻類が胞子や種子を活発に放出する時期
を選ぶのがよい。藻礁内に仮置き沈設された資材の表面
には、通常、数ヶ月〜1年程度で海藻類が着生、生育
し、成長の早いものでは胞子や種子を作る成体またはそ
れに近い状態まで成長する。先に述べたように、既存の
藻礁(特に、天然の藻礁)は環境面および海藻類の胞子
や種子が密に存在するという点で、資材表面への海藻類
の増殖性が最も高い場所であり、したがって、比較的短
期間のうちに資材表面に成長した海藻類を根づかせるこ
とができる。
【0023】このように資材表面に海藻類が着生、生育
した段階で、この資材を藻礁から引き上げて回収する。
そして、この資材を表面に生育した海藻類を生かしなが
ら藻礁造成場所(または藻礁改良場所)に搬送して種資
材として再沈設するとともに、この種資材の周囲に新た
な資材(すなわち、海藻類を着生させるべき他の資材)
を沈設する。この際、例えば10m×10m程度の範囲
に1個〜2個の割合で種資材を置き、その周囲に新たな
資材を比較的密な状態に配置する等の形態で資材の沈設
が行われる。また、新たな資材を積み上げた基盤を築
き、その中に種資材を置くか或いは基盤中に組み込むよ
うにしてもよく、本発明法において種資材の周囲に新た
な資材を沈設する形態にはこのようなケースも含まれ
る。
【0024】一般に藻礁の造成場所は水深が20m以浅
の海底であり、上記の造成作業は、例えば、運搬船で運
ばれた海藻類が着生していない新たな資材を海底に沈め
て藻礁の基盤を造り、しかる後、この基盤の中に種資材
を吊り下す等の手順で行うことができる。なお、新たに
沈設する資材の材質や性状、形態は、先に述べた種資材
となるべき資材と同様である。
【0025】このような藻礁の造成方法によれば、種資
材の海藻類から放出される胞子や種子等が周囲の資材に
付着し、通常、1年程度の比較的短期間で周囲の資材に
も海藻類が着生、生育し、藻礁を構成する海藻類の群落
単位を形成できる。したがって、藻礁を造成したい場所
全体に海藻類を着生させるべき資材を沈設するととも
に、その中に前記種資材を点在した状態に沈設すること
により、大規模な藻礁であっても比較的簡単且つ短期間
に造成を行うことができる。
【0026】このような本発明法は、先に述べた(1)及
び(2)の従来法のそれぞれの長所を兼ね備えるととも
に、さらなる長所を有する藻礁造成法であると言える。
すなわち、本発明法は藻礁造成の種資材となるべき資材
に既存の藻礁における海藻類の増殖作用を利用して海藻
類を着生、生育させるものであるため、資材に海藻類の
種苗等を移植する従来法(先に述べた(1)の従来法)と
同様、資材に海藻類を確実に根づかせることができ、こ
のためメンテナンスフリーの藻礁造成法(先に述べた
(2)の従来法)に較べて比較的短期間にしかもより確実
に海藻類を繁殖させ、藻礁を造成することができ、しか
も藻礁の造成場所の選択範囲が広いという大きな長所が
ある。
【0027】その上、本発明法は藻礁という環境上海藻
類の発芽、成長に最も適した場所で資材に海藻類を着
生、生育させるものであるため、資材表面に生育した海
藻類は成長性が良好でしかも根づきが良く、このため藻
礁造成場所で資材に海藻類の種苗等を移植する従来法に
較べて海藻類が生存、生育する確率が高く、またこのた
め従来法のような移植後の育成管理も殆んど必要としな
いという大きな利点がある。
【0028】一方、本発明法が従来のメンテナンスフリ
ーの藻礁造成法と異なるのは、種資材となるべき資材を
既存の藻礁に一定期間仮置き沈設し、これを回収して藻
礁造成場所に移設するという点だけであり、他の人為的
な作業や海藻の育成管理等は殆んど必要としない。した
がって、本発明法はメンテナンスフリーの藻礁造成法に
近い簡単性と低コスト性を有していると言える。
【0029】次に、本発明法において沈設用資材として
用いる人工石材について説明する。本発明法で用いる資
材(種資材用および藻礁造成基盤用の資材)としては、
未炭酸化Ca含有材(但し、鉄鋼製造プロセスで発生し
たスラグを除く)または未炭酸化Ca含有材(但し、鉄
鋼製造プロセスで発生したスラグを除く)と鉄鋼製造プ
ロセスで発生したスラグとの混合物を主原料とする石材
であって、この主原料の粉状および/または粒状物を、
主としてこれらに含まれる未炭酸化Caの炭酸化反応で
生成させたCaCO3をバインダーとして固結させ、塊
状化した人工石材を用いる。
【0030】従来使用されている藻礁・漁礁用の沈設資
材としては、コンクリート漁礁等のようなコンクリート
製のプレキャスト体が一般的である。しかし、コンクリ
ートはpHが高いため(通常、pH12〜12.5程
度)、コンクリート製の沈設資材は周囲の海水のpHを
上昇させ、海中の動植物の生息・成育環境に悪影響を与
えるという大きな問題があり、また、同様の理由から資
材自体に対する海藻類等の着生や生育の遅延を生じると
いう問題もある。さらに、コンクリート製の沈設資材は
所謂磯焼けの原因となる石灰藻の付着繁殖を促すとされ
ている。したがって、以上のような点からしてコンクリ
ート製品は藻礁用の沈設用資材としては全く適さない。
【0031】一方、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグ
(例えば、高炉スラグ、転炉スラグ等)の有効利用を図
る一環として、スラグを藻礁や漁礁用の沈設用資材とし
て利用する試みもなされている。スラグをこれらの資材
として利用する場合の主たる形態としては、塊状のスラ
グをそのまま藻礁用等の石材として利用する方法とスラ
グをコンクリート製品等の骨材として利用する方法が考
えられる。
【0032】しかし、塊状のスラグをそのまま藻礁用等
の資材として利用した場合、スラグ中に含まれるCa分
が水中に溶け出し、周囲の海水のpHを上昇させるおそ
れがある。また、水中に溶け出したCa分と水中のMg
イオンとの反応によりMg(OH)2の沈殿(白沈)を
生じることがあり、これがスラグ表面に付着して海藻類
等の着生や発芽を阻害する問題がある。さらには、Ca
分の溶出によりスラグ自体の強度が低下し、経時的に或
いは外力の作用によって崩壊してしまうおそれがある。
【0033】また、鉄鋼製造プロセスで得られたままの
塊状のスラグを藻礁用等の石材とした場合、その表面性
状等からしてコンクリート製品に比べれば海藻類等の着
生・生育に適しているとは言えるが、藻礁用等の石材と
しては天然石と同程度の機能(海藻類等の付着性、成育
性)しかなく、海藻類等の成育を促進し得るような特別
な機能を有する石材ではない。
【0034】また、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグ
は地金(粒鉄等の鉄分)を多く含んでいるため、通常は
スラグをある程度の大きさまで粉砕し、スラグ中に含ま
れる鉄分を回収して鉄鋼製造プロセスにリサイクルして
いる。しかし、藻礁用等の石材として用いるスラグには
ある程度の大きさが必要であり、地金回収のために粉砕
処理したようなスラグはほとんど利用することができな
い。このため塊状スラグを藻礁用等の石材として用いる
場合には、鉄鋼資源として有用な地金の回収がほとんど
できない。
【0035】一方、スラグをコンクリート製のプレキャ
スト体の骨材として利用しても、資材そのものはコンク
リート製品であるため、上述したようなコンクリート製
沈設資材の根本的な問題点を有している。
【0036】このような問題に対して本発明者らは、先
に述べたような未炭酸化Ca含有材または未炭酸化Ca
含有材とスラグとの混合物からなる粉状および/または
粒状物を、主としてこれに含まれる未炭酸化Caの炭酸
化反応で生成させたCaCO3をバインダーとして固結
させ、塊状化させたものが藻礁用石材として極めて好適
であり、このような塊状の藻礁用石材は海水のpHの上
昇や海水中での白沈を生じさせることがなく、しかも海
藻類の育成面等でも優れた効果を発揮することを見い出
した。
【0037】また、このような塊状の人工石材は、主原
料である未炭酸化Ca含有材または未炭酸化Ca含有材
とスラグとの混合物を所望の密度に山積みまたは充填し
て、この積み山または充填層に炭酸ガス存在下で炭酸化
反応を生じさせることによって主原料粒子を固結させる
方法により容易に製造できるが、このような製法で製造
される石材は適用すべき海底や海流の状況に応じた任意
の密度と大きさに調整することができ、また石材の大塊
化も極めて容易に実現することができる。
【0038】具体的に、上記人工石材は以下のような長
所を有する。 主原料中に含まれる未炭酸化Ca(CaOまたはC
aOから生成したCa(OH)2)の大部分がCaCO3
に変化するため、未炭酸化Caによる海水のpH上昇を
防止できる。一般に自然石(石灰石)のpHは9.3程
度、コンクリートのpHは12〜12.5程度である
が、この人工石材は製造時の上記中和反応により自然石
並みのpH10前後とすることができる。また、Ca分
と水中のMgイオンとの反応による白沈の発生も防止で
きる。このためコンクリート製の沈設資材に較べて、水
中の動植物に好適な生息・成育環境を提供できる。ま
た、主原料の一部としてのスラグを用いた場合には、ス
ラグ中に含まれる鉄分が水中に溶出することで海水中に
栄養塩として鉄分が補給され、これが海藻類等の育成に
有効に作用する。
【0039】 粉状および/または粒状の主原料を炭
酸固化して得られた塊状物は全体(表面及び内部)がポ
ーラスな性状を有しており、このため石材表面に海藻類
が付着し易く、しかも石材内部もポーラス状であるた
め、石材中に含まれている海藻類等の成育促進に有効な
成分(例えば、可溶性シリカや鉄分)が海水中に溶出し
やすい。このためコンクリート製の沈設資材に較べて、
海藻類等の成育を効果的に促進することができる。
【0040】特に、本発明法では既存の藻礁に仮置き沈
設した資材への海藻類の着生、生育と、藻礁造成場所に
おいて種資材の周囲に配された資材への海藻類の増殖、
生育を効果的に促進する必要があり、とりわけ資材表面
での海藻類の幼体の生育を効果的に促進させる必要があ
る。この点、上記人工石材から海水中に溶出する有効成
分は、海藻類の個体が石材に近いほど効果的に作用する
ため、海藻類の幼体の生育に特に有効であり、このため
海藻類の幼体の生育を効果的に促進させることができ
る。
【0041】 粉状および/または粒状の主原料を炭
酸固化させた石材は、炭酸固化させる際の形状の選択或
いは炭酸固化後の切り出し形状の選択等によりその大き
さを任意に調整することができ、藻礁用石材等として特
に好ましい大塊の石材も容易に得ることができる。
【0042】 藻礁用石材は海底や海流の状況等に応
じて最適の密度(比重)のものを用いることが好まし
く、例えばヘドロが堆積したような海底に密度の大きい
石材を沈設した場合には、石材がヘドロのなかに沈んで
しまい、藻礁用の基盤としての役目を果たせなくなる。
この点、粉状および/または粒状の主原料を炭酸固化さ
せた石材は、炭酸固化させる際の主原料の嵩密度(圧密
度)を適宜調整することにより、その密度を任意に調整
することができる。
【0043】上記人工石材の主原料は、未炭酸化Ca含
有材またはこれと鉄鋼製造プロセスで発生したスラグと
の混合物である。上記未炭酸化Ca含有材は、鉄鋼製造
プロセスで発生するスラグ以外の未炭酸化Ca(CaO
および/またはCa(OH)2)を含有する材料であ
り、その具体例としては、コンクリート、セメント、モ
ルタル、耐火物等を挙げることができるが、これらに限
定されるものではない。これらの材料としては、例えば
コンクリート廃材のような廃材を利用することができ、
廃材の有効利用という面からも好ましい。具体的には建
造物、土木構造物、硬化体製品(例えば、コンクリート
製品)、道床、舗装等に使用された未炭酸化Ca含有材
料(コンクリート、セメント、モルタル、耐火物等)の
廃材を挙げることができるが、これらに限定されるもの
ではない。また、未炭酸化Ca含有材は必ずしも廃材で
ある必要はない。
【0044】これらの未炭酸化Ca含有材には相当量の
未炭酸化Ca(CaOおよび/またはCa(OH)2
が含まれており、例えば、コンクリート材では、通常、
コンクリート中の約20wt%がセメント分で、そのう
ちの約60wt%強(一般的なポルトランドセメントの
場合)がCaOであり、したがって、通常、コンクリー
ト材中には少なくとも約12wt%程度のCaOが含ま
れている。コンクリート中に含まれるセメントとしては
ポルトランドセメントが最も一般的であるが、これ以外
にも高炉セメント、シリカセメント等があり、いずれの
セメントを含むものであってもよい。
【0045】また、これらコンクリート材等の未炭酸化
Ca含有材(粉状および/または粒状の未炭酸化Ca含
有材)は、そのまま石材の主原料として用いることもで
きるが、未炭酸化Ca含有材から未炭酸化Caの含有率
が高い材料部分を分離(分別)し、これを石材の主原料と
して用いることもできる。例えば、コンクリート材を破
砕または粉砕処理した場合にはセメントと骨材(砂等の
細骨材、砂利または砕石等の粗骨材)に分離しやすくな
るため、コンクリート材を破砕または粉砕処理してセメ
ント分の多い材料を分離し、これを石材の主原料として
用いるようにすることもできる。また、このセメント分
の多い材料部分を分離した後の残余の材料部分は骨材を
多く含むものであるため、これをそのまま或いは粗骨材
(砂利、砕石)のみを分離してコンクリート用や他の用
途に再利用してもよい。
【0046】鉄鋼プロセスで発生するスラグとしては、
高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ等の高炉系スラグ、予
備処理、転炉、鋳造等の工程で発生する脱炭スラグ、脱
燐スラグ、脱硫スラグ、脱珪スラグ、鋳造スラグ等の製
鋼系スラグ、鉱石還元スラグ、電気炉スラグ等を挙げる
ことができるが、これらに限定されるものではない。こ
れらのスラグには相当量(通常、20重量%〜60重量
%)のCaOが含まれている。
【0047】これらのスラグのうち、代表的なスラグの
組成の一例を以下に示す。 (1) 脱炭スラグ … T.Fe:17.5%,CaO:4
6.2%、SiO2:11.7%、Al23:1.4
%、MgO:8.3%、MnO:6.2%、P:0.7
6%、S:0.04% (2) 脱燐スラグ … T.Fe:5.8%,CaO:5
4.9%、SiO2:18.4%、Al23:2.8
%、MgO:2.3%、MnO:1.9%、P:2.8
%、S:0.03%
【0048】(3) 脱硫スラグ … T.Fe:10.5
%,CaO:50.3%、SiO2:10.0%、Al2
3:5.4%、MgO:1.1%、MnO:0.4
%、P:0.13%、S:1.8% (4) 脱珪スラグ … T.Fe:10.5%,CaO:1
3.6%、SiO2:43.7%、Al23:3.8
%、MgO:0.4%、MnO:15.8%、P:0.
10%、S:0.19% (5) 高炉水砕スラグ … FeO:0.3%、CaO:4
2.0%、SiO2:33.8%、MnO:0.3%、
MgO:6.7%、Al23:14.4%
【0049】なお、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグ
のうち、脱燐スラグはP含有量が高いために、また脱珪
スラグはMnOの含有量が高いために、それぞれセメン
ト原料として使用するには難があるが、これらのスラグ
についても問題なく石材の主原料の一部として利用する
ことができる。また、高炉水砕スラグは可溶性シリカを
比較的多く含んでいるため、スラグの一部または全部を
高炉水砕スラグとすること、例えば製鋼スラグと高炉水
砕スラグとを混合して用いることにより、後述する可溶
性シリカ源となる添加材を添加した場合と同様の効果が
得られる。
【0050】上記のような鉄鋼製造プロセスで発生する
スラグは、程度の差はあるものの比較的多量(通常、数
重量%〜30重量%程度)の地金(粒鉄等の鉄分)を含
んでおり、一般には、このような鉄分を鉄鋼製造プロセ
スにリサイクルするために、スラグ中の地金回収が行わ
れる。通常、この地金回収を行うためにスラグは粉砕処
理され、したがって、元々粉化した状態にあるスラグを
含め、地金回収工程を経たスラグは必然的に粉状若しく
は粒状(通常、cmオーダーまたはそれ以下)のものと
なる。
【0051】人工石材の主原料の一部としてスラグを用
いる場合は、このような地金回収工程を経たスラグをそ
のまま用いてもよいし、また必要に応じて、これをさら
に粉砕処理したものを用いてもよい。また、地金回収工
程を経ないスラグを必要に応じて粉砕処理したもの、或
いは地金回収工程よりもさらに鉄分を除去したものをそ
れぞれ主原料の一部として用いてもよい。
【0052】なお、スラグを人工石材の主原料の一部と
する場合、スラグには適量の鉄分(特に、粒鉄等の金属
鉄や含金属鉄材)が含まれていた方がよい。これは、ス
ラグに適量含まれる鉄分(金属鉄、含金属鉄材等)が海
水中に溶出することにより、海水中に栄養塩として鉄分
が補給され、これが海藻類等の育成に有効に作用するか
らである。通常、上記地金回収工程を経たスラグには適
量の鉄分が残存している。石材の主原料として使用する
未炭酸化Ca含有材やスラグは粉状および/または粒状
であればよく、その粒径は特に限定されない。
【0053】本発明法で使用する人工石材は、上述した
ような未炭酸化Ca含有材または未炭酸化Ca含有材と
スラグの混合物に含有される未炭酸化Ca(CaOおよ
び/またはCa(OH)2)の炭酸化反応でCaCO3
生成させ、このCaCO3をバインダーとして未炭酸化
Ca含有材粒子やスラグ粒子を固結させ、塊状化したも
のであり、このような石材は、全体(表面および内部)
がポーラスな性状を有し、藻礁用石材として優れた機能
を有する。
【0054】また、未炭酸化Ca含有材やスラグ中に含
まれる未炭酸化Caは、通常CaOとして存在している
が、その一部または全部が経時的な水分の吸収或いは他
の原因でCa(OH)2に変化する場合がある。本発明
法で使用する石材の主原料は、未炭酸化Caとしてこの
ようなCa(OH)2を含むものでも何ら問題はなく、
このCa(OH)2も炭酸化反応によりCaCO3に変化
し、主原料粒子を固結させるバインダーとして機能す
る。また、大部分のスラグには未炭酸化Caとともにあ
る程度の量の未炭酸化Mg(MgOやこれが変化したM
g(OH)2)が含まれており、スラグを主原料の一部
として用いる場合には、この未炭酸化Mgも炭酸化反応
によりMgCO3に変化し、バインダーの一部となる。
【0055】なお、未炭酸化Ca含有材やスラグ中に含
まれるCaOやCa(OH)2は、それらの粒子中に少
なくとも組成として含まれていればよく、したがって、
鉱物としてのCaO、Ca(OH)2の他に、2CaO
・SiO2、3CaO・SiO2、ガラス等のように組成
の一部として固体粒子中に存在するものも含まれる。
【0056】粒状物をCaOとCO2との反応、すなわ
ち炭酸化反応により生じるCaCO3を利用して固結さ
せこと自体は古くから知られた技術であり、CaOを含
む粒状物を炭酸ガス雰囲気下に置くと、下記反応式によ
ってCaCO3が生成し、このCaCO3をバインダーと
して粒子間に固結現象を生じる。CaO+CO2 → C
aCO3
【0057】従来、このような炭酸化反応を利用した技
術としては、例えば製鋼風砕スラグと水との混練物を原
料として建材用途等の硬化体製品を製造する方法(例え
ば、特開昭58−74559号)や非焼成ペレットの製
造法(例えば、特開昭57−92143号、特開昭58
−48642号、特開昭58−133334号)等が提
案されている。しかしこれらの従来技術は、いずれも所
要の強度を有する硬化体製品や非焼成ペレットを短時間
で製造することのみを目的としたものであり、粉状また
は粒状の未炭酸化Ca含有材やこれと粉状または粒状の
スラグとの混合物を炭酸化反応により固結させて得られ
た石材が、藻礁用石材として極めて優れた機能を有する
ことについては、何も示していない。
【0058】人工石材には、適用すべき海中の状況等に
応じてそれぞれ好適な組成とするために、必要に応じて
主原料に対して各種の添加材(粉状および/または粒状
の添加材)を添加することができる。この添加材として
は、例えば可溶性シリカ源となる粉状および/または粒
状物(可溶性シリカ、含可溶性シリカ材)、鉄源となる
粉状および/または粒状物(金属鉄、含金属鉄材、酸化
鉄、含酸化鉄材)、粉状および/または粒状のCaO、
Ca(OH)2、MgO、Mg(OH)2、水砕スラグ微
粉末等が挙げられる。
【0059】人工石材に含まれる可溶性シリカや鉄源
(金属鉄、酸化鉄)は、これらが海水中に溶出すること
により海藻類等の成育に有効に作用する。また、海水中
に溶出した鉄分には、水中の硫黄を固定(硫化鉄の生
成)する作用もある。可溶性シリカ源となる粉状および
/または粒状物としては、可溶性シリカおよび/または
含可溶性シリカ材がある。この含可溶性シリカ材として
は、火力発電所等において石炭燃焼により生じるフライ
アッシュやクリンカーアッシュ、シリカゲルなどであ
る。また、重金属が含まれていなければ、下水汚泥焼却
灰、下水汚泥スラグ、ゴミ焼却灰、ゴミスラグも使用可
能である。
【0060】人工石材中に含まれる鉄源としては、海水
中への溶出性、海藻類等の成育作用の点からは、特に金
属鉄や含金属鉄材が好ましい。鉄源となる粉状および/
または粒状物としては、粒鉄等のような粉状および/ま
たは粒状の金属鉄または含金属鉄材、粉状および/また
は粒状の酸化鉄または含酸化鉄材等があり、特に容易且
つ安価に入手できる粉状および/または粒状物として
は、鉄鋼製造プロセスで発生する含鉄ダストやミルスケ
ールが挙げられる。含鉄ダストとしては製鉄ダストが一
般的であり、通常、このダストはFe換算で75%前後
の酸化鉄を含有している。また、ミルスケールもFe換
算で70%前後の酸化鉄を含有している。
【0061】また、原料中にCaO、Ca(OH)2
MgO、Mg(OH)2の1種以上を添加する場合、こ
れらは炭酸化反応によりCaCO3、MgCO3に変化し
てバインダーの一部となるか、若しくは一部が未炭酸化
Ca等として残存し、後述するような機能を果たす。
【0062】また、炭酸化反応でバインダー化する未炭
酸化Ca源を主原料中の未炭酸化Caだけに求めた場
合、主原料粒子どうしを十分な強度で結合させるための
バインダー(CaCO3)の量が不足し、長期間水中に
置かれる藻礁用石材としての強度が十分に得られない場
合があり、このような場合には添加材としてバインダー
生成物質である水砕スラグ微粉末(好ましくは、粒径
0.1mm以下)を少量添加(2〜20wt%程度)す
ることができる。通常、水砕スラグ微粉末は40wt%
程度のCaOを含んでおり、このCaOの炭酸化反応で
CaCO3が生成し、これがバインダーの一部として主
原料粒子の固結に寄与する。また、石材の強度を確保す
るためには、主原料の少なくとも一部としてセメントを
用いるのも有効である。通常、セメント(一般的なポル
トランドセメントの場合)は約60wt%強のCaOを
含んでおり、このCaOの炭酸化反応で生成したCaC
3が主原料粒子のバインダーとなる。
【0063】また、本発明法で使用する人工石材では、
石材外面の少なくとも一部領域に、可溶性シリカの含有
量が10〜90wt%程度の可溶性シリカ配合層を設け
ることができる。先に述べたように、人工石材に含まれ
る可溶性シリカはこれからケイ酸イオンが海水中に溶出
することにより海藻類等の成育に有効に作用する。しか
し、未炭酸化Ca含有材やスラグを炭酸化処理により固
結させて得られた石材中には、未反応の未炭酸化Caが
比較的少量ではあるが含まれており、この石材中に残存
した未炭酸化Caから溶出するCaイオンが石材中の可
溶性シリカから溶出するケイ酸イオンと反応して石材内
部にケイ酸カルシウム水和物の沈殿物を生成させる。こ
のため石材中に可溶性シリカを添加しても、石材の外部
に溶出して石材表面に着生する海藻類の成育に有効に作
用するケイ酸イオンの量は限られたものとなる。
【0064】これに対して石材外面の少なくとも一部領
域に、可溶性シリカの含有量が高い可溶性シリカ配合層
を形成することにより、多量のケイ酸イオンをカルシウ
ムイオンと反応させることなく水中に溶出させ、海藻類
等の成育に有効に作用させることができる。
【0065】ここで、可溶性シリカ配合層の可溶性シリ
カの含有量が10wt%未満では、ケイ酸イオンの溶出
性が不十分となり易いため好ましくない。また、ケイ酸
イオンの溶出性をより安定的なものとするには、可溶性
シリカの含有量を30wt%以上とすることが好まし
い。一方、可溶性シリカ配合層の可溶性シリカの含有量
が90wt%を超えると、可溶性シリカ配合層の強度を
確保することが難しくなるため好ましくない。
【0066】石材表面の可溶性シリカ配合層の厚さは2
0mm以上、100mm以下とすることが好ましい。可
溶性シリカ配合層の厚さが20mm未満では、可溶性シ
リカ配合層の一部が剥離したような場合にケイ酸イオン
の継続的な溶出が維持できなくなるおそれがあり、ま
た、厚さ20mm未満の薄い可溶性シリカ配合層を形成
すること自体も難しい。なお、可溶性シリカ配合層の厚
さが大きすぎると主原料の使用量が低減し、また、石材
の強度も低下するため、可溶性シリカ配合層の厚さは1
00mm以下とすることが好ましい。
【0067】また、石材表面に露出した可溶性シリカ配
合層の面積は、石材の全表面積の15%以上であること
が好ましい。可溶性シリカ配合層の面積が15%未満で
あると、ケイ酸イオンの溶出量を十分に確保できない場
合がある。但し、可溶性シリカ配合層が石材表面の全部
または大部分を覆うと、後述するような未炭酸化Ca含
有材やスラグを主原料とする人工石材のメリットが減殺
され、また、石材内部からの他の成分の溶出性にも影響
を与えるおそれがあるため、可溶性シリカ配合層の面積
は石材の全表面積の90%程度を上限とすることが望ま
しい。可溶性シリカ配合層は、石材原料とともに塊状に
固結した石材の一部により構成してもよいし、また、可
溶性シリカ配合層を構成べき部材(可溶性シリカ配合層
形成用部材)を別に作製しておき、これを石材原料を炭
酸化反応で固結させた石材本体の表面に接合・固定する
ことにより構成してもよい。
【0068】石材中に少量含まれる未炭酸化Ca(Ca
O、Ca(OH)2等)は、海底に赤潮の原因となる燐
や青潮の原因となる硫黄が多く含まれる場合にこれら燐
や硫黄を吸着し、赤潮や青潮の発生を防止するのに効果
がある。このため石材は未炭酸化Ca(CaO、Ca
(OH)2等)を少量含むことができる。この未炭酸化
Caは主原料中に元々含まれるCaO、Ca(OH)2
であってもよいし、上記のように添加材として添加され
たものであってもよい。なお、先に述べたように石材中
に未炭酸化Caが多量に含まれる場合には海水のpHを
上昇させるという問題があるが、燐や硫黄を吸着するに
は炭酸固化後に残存する程度の少量の未炭酸化Caが含
まれていれば足りる。
【0069】石材中の未炭酸化Caの存在形態として
は、石材表層部には未炭酸化Caが実質的に存在せず、
石材内部にのみ未炭酸化Caを含有するような形態とす
ることが好ましい。これは、石材表層部に未炭酸化Ca
が残存しているような石材は、ハンドリングする際に必
要となる石材表層部の強度が不十分であるためである。
石材表層部に未炭酸化Caが実質的に存在しないように
すれば、石材表層部の必要な強度を確保することができ
る。
【0070】また、石材中の未炭酸化Caの存在形態と
しては、固結した主原料粒子の表層部及び主原料粒子間
には未炭酸化Caが実質的に存在せず、主原料粒子内部
にのみ未炭酸化Caが存在するような形態としてもよ
い。この場合には、石材の強度は粒間の結合で維持さ
れ、且つ粒子表面と粒内(未炭酸化Ca)との間には、
微細な細孔が存在するため、粒内のCaイオンが水を介
して粒子表面より溶け出して、燐の固定に寄与する。
【0071】石材中に未炭酸化Caを含有させるには、
石材原料中のCaO、Ca(OH)2の一部を炭酸化さ
せることなく残存させる方法が採られる。この未炭酸化
のままで残存させるCa分としては元々主原料中に含ま
れるCa分であってもよいし、主原料中に添加材として
添加されたCa分であってもよい。
【0072】また、先に述べたようにヘドロが堆積した
ような海底に比重の大きい石材を沈設した場合には、石
材がヘドロのなかに沈んでしまい、藻礁用石材としての
役目を果たせなくなる場合がある。したがって、このよ
うなヘドロの堆積した海域で使用する人工石材について
は、比較的比重の小さい主原料とすることが好ましく、
具体的には、比重の小さいスラグ(例えば、水砕スラ
グ)を主原料の一部として用いることが有効である。
【0073】粉状および/または粒状の未炭酸化Ca含
有材、或いは粉状および/または粒状の未炭酸化Ca含
有材と粉状および/または粒状のスラグとの混合物を主
原料とする人工石材は比較的ポーラスな性状を有してお
り、これにより上記で述べたような効果が得られる。
石材の空隙率は特に限定しないが、通常、10〜70%
程度の空隙率とすることが好ましい。この空隙率は、炭
酸固化させる際の石材原料の嵩密度(圧密度)を調整す
ることにより容易に調整できる。
【0074】本発明で使用する人工石材は比較的ポーラ
スな性状を有し、その内部には微細な開気孔が多数形成
されている。ここで、開気孔とは石材内部に存在する気
孔のうち石材表面に通じている気孔(連続空間)を指
す。そして、石材としての強度を十分に確保するために
は、上記開気孔の内面(開気孔を形成する石材の内表
面)の実質的に全部が未炭酸化Caの炭酸化反応で生成
したCaCO3で覆われていることが好ましい。このよ
うな状態では、主原料粒子がバインダーであるCaCO
3により強固に結合されるため、高い石材強度を確保す
ることができる。また、このような石材を得るには、製
造の際の炭酸化処理時間やガス供給量等を適宜選択する
ことにより、開気孔内面にくまなく炭酸化反応を生じさ
せるようにすればよい。
【0075】また、人工石材は水中に沈設する際等のハ
ンドリング性を考慮して、石材外面に、吊り上げ手段
(例えば、クレーンのフック等)を係止できる把手を設
けることが好ましい。図1(a),(b)は、そのよう
な把手を有する水中沈設用石材の実施形態を示すもの
で、この実施形態では把手を構成すべき金具1の下部を
石材中に埋め込み、石材面から突出した金具1の上端部
により把手2を構成している。図1(a)に示す把手2
は略三角形状、図1(b)に示す把手2は略円弧状に構
成されているが、把手2の形状は任意であり、例えば、
フック状に構成してもよい。
【0076】また、把手2の設け方も任意であり、製造
された石材に対して適当な金具等を取り付け固定する
(例えば、取付孔等を設けて取り付け固定する)ことに
より把手を設けてもよいが、簡便で且つ高い取付強度が
確保されるという面からは、石材の製造時に金具等を原
料充填層に埋め込む方法が最も好ましい。図1(a),
(b)に示す把手2もこのような方法で設けたもので、
炭酸化処理前の石材原料の充填層の上層部に金具1の下
部を埋入させて、原料充填層の上面から金具1の上端部
を突出させ、この状態で原料充填層の炭酸化処理を行う
ものであり、これにより金具1の下部は石材に対して強
固に固定されるとともに、石材外面に突出した金具1の
上端部により把手2が構成される。なお、図1(a),
(b)に示す金具1の下端には、金具の石材に対するア
ンカー効果を高めるためのアンカー部3が設けられてい
る。また、本発明で使用する人工石材の内部には鉄筋等
の金属や繊維等からなる補強材を配してもよい。
【0077】人工石材を使用する際の形態(大きさや形
状等)は任意であり、例えば、大きさとしては1000
mm以上のオーダーから数十mm程度のオーダーまで適
宜選択すればよい。また、石材の形状としては、後述す
るように炭酸固化した石材原料の積み山または充填層か
ら重機等による破砕によって石材を切り出せばランダム
な形状の塊状石材が得られるし、石材原料を適当な大き
さの充填層で炭酸固化させれば、その充填層の形状のま
まの塊状石材が得られる。また、この後者の場合には、
石材の形状は球状、パネル状、直方体または立方体ブロ
ック形状、円筒形状、容器形状等、任意の形状を選択で
き、また、それらの形状において任意の孔、凹み、溝、
突起等を付けることもできる。
【0078】次に、上記人工石材の好ましい製造法につ
いて説明する。図2は上記人工石材の製造フローの一例
を示している。主原料である未炭酸化Ca含有材やスラ
グは、必要に応じて粉砕処理が施され、粉状および/ま
たは粒状化される。この主原料には、必要に応じて上述
した各種添加材を配合することができる。
【0079】主原料と添加材との混合は任意な方法で行
うことができ、例えば、モルタルミキサーやコンクリー
トミキサー等の混練機で混合する方法、ホッパー内で混
合する方法、ショベル等の重機により混合する方法等、
任意の方法を採ることができる。また、この段階におい
て、必要に応じて石材原料の水分調整を行うこともでき
る。この水分調整については、後に詳述する。
【0080】このようにして必要に応じて添加材が添
加、混合され、且つ必要に応じて水分調整がなされた石
材原料は、炭酸固化のために山積みまたは任意の空間内
に充填される。ここで、石材原料を山積みする場合には
野積みで構わないが、吹き込まれる炭酸ガスが積み山全
体に十分に流れるようにし、且つ石材原料の飛散や雨水
等による流失を避けるため、積み山をシート等で覆うこ
とが好ましい。
【0081】また、石材原料の山積みまたは充填には、
例えば三方を仕切壁で囲んだようなピット、四方を仕切
壁で囲んだ型枠または容器等を用いることができる。こ
のうちピット内に石材原料を山積みまたは充填する場合
にも、上記野積みの場合と同様に、積み山または充填層
をシート等で覆うことが好ましい。また、型枠または容
器を用いる場合にも、石材原料の充填層をシートで覆う
か或いは蓋体を設けることが好ましい。
【0082】石材原料の山積み量または充填量は特に限
定されず、例えば数トンないし数百トン規模の山積み量
または充填量としてもよいし、或いは石材1個ないし数
十個程度に相当する山積み量または充填量としてもよ
く、その量は任意である。但し、石材原料の山積み量ま
たは充填量が多くても、炭酸固化後の積み山または充填
層を重機等で砕くことにより、塊状の石材を容易に切り
出すことができ、しかもこのようにして破砕により切り
出された塊状の石材は、海藻類等の水生植物の付着に有
利な凹凸状の破面を有する利点がある。したがって、生
産性や藻礁用石材としての機能の面からは石材原料の山
積み量または充填量はある程度多い方が好ましい。
【0083】また、製造すべき石材の密度に応じて、石
材原料の積み山または充填層の嵩密度(圧密度)を調整
することが好ましい。すなわち、藻礁用石材は海底の状
態等に応じて密度を調整することが好ましく、例えば海
底が泥質またはヘドロ質の場合には、石材が泥やヘドロ
内に沈み込まないように比較的低密度の石材を使用する
ことが好ましく、一方、海底が岩礁等の場合には石材が
海流に流されないようにするため比較的高密度の石材を
使用することが好ましい。また、石材のポーラス度(空
隙率)により海藻類等の付着、成育の度合いや石材内部
からの有効成分の溶出性の度合いも違ってくることか
ら、石材を適用する水域の状況に応じて石材のポーラス
度を調整することが好ましい場合もある。
【0084】人工石材の密度は、石材原料の積み山また
は充填層の嵩密度(圧密度)に依存し、したがって、上
記のような必要に応じて石材原料の積み山または充填層
の締め固めの度合いを調整し、その嵩密度を調整するこ
とにより、石材の密度を容易に調整することができる。
石材原料の積み山または充填層の締め固めの度合いは任
意であるが、通常、嵩比重/真比重が0.3〜0.9の
範囲、すなわち積み山または充填層内の空隙率が70〜
10%となる程度に締め固めが行われる。
【0085】石材原料の積み山または充填層の締め固め
は、積み山または充填層の上部から重機等で加圧して締
め固める方法や、積み山または充填層に振動を与えるこ
とにより締め固める方法、両者を併用する方法等を採用
でき、これらを行う際の締め固めの度合いを調整すこと
により、積み山または充填層の嵩密度の調整を行う。ま
た、特に低密度の石材を製造する場合には締め固めを行
わず、石材原料を山積みまたは充填したままで炭酸固化
を実施することもできる。
【0086】締め固めの具体的な方法としては、例えば
上述したようなピット、型枠または容器内の積み山また
は充填層に対して締め固めを行う場合、ピット、型枠ま
たは容器の内側に目標とする体積を示す秤線を表示して
おき、重量の分かった石材原料をそれらの内部に入れた
後、積み山または充填層の上面が上記秤線の高さになる
まで締め固めを行う。
【0087】以上のような石材原料の積み山または充填
層の嵩比重の調整が完了した後、その積み山または充填
層に炭酸ガス存在下で炭酸化反応を生じさせ、石材原料
を炭酸固化させる。具体的には、石材原料の積み山また
は充填層内に炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスを吹き込
むか、若しくは積み山または充填層を炭酸ガスまたは炭
酸ガス含有ガス雰囲気下に置き、石材原料の炭酸固化を
実施する。
【0088】積み山または充填層内に炭酸ガスまたは炭
酸ガス含有ガスを吹き込む方法に特別な制限はないが、
積み山または充填層の底部にガス吹き込み手段を設け、
このガス吹き込み手段を通じてガスを吹き込むことが最
も効果的である。具体的には、積み山または充填層の底
部(ピット、型枠または容器等を用いる場合には、それ
らの床部)にガス供給用の配管またはホース等を適当な
配置密度で配し、これら配管またはホースに適当なピッ
チ(例えば、30〜300mm×40〜400mmピッ
チ)で設けたガス吹出孔から炭酸ガスまたは炭酸ガス含
有ガスが吹き出されるようにすることができる。
【0089】また、積み山または充填層を炭酸ガスまた
は炭酸ガス含有ガス雰囲気中に置く方法としては、積み
山や充填層を気密性の空間(容器等を含む)内に置き、
この空間内に炭酸ガスや炭酸ガス含有ガスを任意の態様
で供給する方法等を採ることができる。使用される炭酸
ガス含有ガスとしては、例えば一貫製鉄所内で排出され
る石灰焼成工場排ガス(通常、CO2:25%前後)や
加熱炉排ガス(通常、CO2:6.5%前後)等が好適
であるが、これらに限定されるものではない。また、炭
酸ガス含有ガス中の炭酸ガス濃度が低すぎると処理効率
が低下するという問題を生じるが、それ以外の問題は格
別ない。したがって、炭酸ガス濃度は特に限定しない
が、効率的な処理を行うには3%以上の炭酸ガス濃度と
することが好ましい。
【0090】また、炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスの
ガス吹込量にも特別な制限はなく、石材原料の積み山ま
たは充填層が流動しない程度にガス吹き込みを行えばよ
いが、一般的な目安としては0.004〜0.5m3
min・t程度のガス吹き込み量が確保できればよい。
また、ガス吹き込み時間(炭酸化処理時間)にも特別な
制約はないが、目安としては炭酸ガス(CO2)の吹込
量が石材原料の重量の3%以上となる時点、すなわち、
ガス量に換算すると材料1t当たり15m3以上の炭酸
ガス(CO2)が供給されるまでガス吹き込みを行うこ
とが好ましい。
【0091】石材原料の積み山または充填層に吹き込ま
れる炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスは常温でよいが、
ガスが常温よりも高温であればそれだけ反応性が高まる
ため有利である。但し、ガスの温度が過剰に高いと石材
原料中の水分が蒸発してしまい、また、極端な場合には
CaCO3がCaOとCO2に分解してしまうため、高温
ガスを用いる場合でもこのような問題を生じない温度の
ガスを用いる必要がある。
【0092】また、石材原料を未炭酸化Caと炭酸ガス
との反応を利用して炭酸固化させるには水分が必要であ
り、石材原料の粒度等によって最適水分量は異なるが、
炭酸化処理開始直前の石材原料中の水分含有率は3〜1
0%程度の範囲とすることが適当である。これは水に未
炭酸化Caと炭酸ガスが溶解することにより炭酸化反応
が促進されるためである。したがって、石材原料は必要
に応じて最適水分量に水分調整した上で、炭酸ガス存在
下で炭酸化反応を生じさせるようにすることが好まし
い。このため石材原料の含水率が低過ぎる場合には、例
えば、図2の製造フローに示す混合過程等において石材
原料に水を加え、石材原料の水分含有率を高める等の水
分調整を行うことが好ましい。
【0093】石材原料の最適な含水状態(水分含有率)
とは、例えば石材原料の積み山または充填層内部での水
分の存在形態を例にして言うと、各石材原料粒子の表面
に薄い水膜が形成されるとともに、隣接する石材原料粒
子の水膜どうしが一部で接している状態であって、且つ
各石材原料粒子表面の水膜面に炭酸ガスが供給されるよ
うなガス流路が確保された状態であると考えられる。
【0094】使用する原料石材原料の最適水分量(水分
含有率)は、例えば以下のようにして求めることができ
る。一定量の石材原料に対して、吸水率(JIS A 1
109またはA 1110で規定される細骨材または粗
骨材の吸水率)以上の任意の量の水を加えた3水準以上
の石材原料サンプルを用意し、この各石材原料サンプル
を乾燥時の気孔率が一定になるように型枠内に充填す
る。10〜40℃の範囲内での所定温度の炭酸ガスを水
浴等を通して加湿した後、前記型枠内の底部から石材原
料充填層に一定の供給量と供給時間で吹込み、石材原料
を炭酸化養生して固化させる。その後、固化した各塊状
石材原料(石材ブロック)の圧縮強度を測定して、例え
ば、図3に示すような石材原料の水分含有率と圧縮強度
との関係を求め、圧縮強度の極大値が得られた石材原料
の水分含有率を当該石材原料の最適水分含有率とし、石
材原料の水分調整を行う。
【0095】図3は、石材原料の水分含有率の影響を調
べるため行った実験結果に基づく、石材原料の水分含有
率と製造された塊状石材原料(石材)の圧縮強度との関
係を示している。この実験では、塩基度(CaO/Si
2):2.9の石材原料(コンクリート材)を5mm
以下に粉砕し、この石材原料に水を添加して数水準の水
分含有率に調整した。これら数水準の水分含有率の石材
原料をそれぞれ型枠内に充填し、炭酸ガスを0.5L/
min・kgの供給量で型枠の底部から石材原料充填層
に供給し、石材原料を炭酸固化させた。
【0096】この炭酸固化により得られたサイズ1m×
1m×1mの石材ブロック(塊状石材原料)の圧縮強度
を測定した結果、図3に示すような石材原料の水分含有
率と石材ブロックの圧縮強度との関係が得られた。この
うち石材原料を水分含有率a1に調湿して得られた石材
ブロックは最も高い圧縮強度を持つが、石材原料を水分
含有率a2に調湿して得られた石材ブロックは、脱枠後
にバケットで掴んで移動しようとしたところ、比較的簡
単に崩壊した。
【0097】また、石材原料の積み山または充填層内に
炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスを供給するに当たって
は、炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスを一旦水中に吹き
込んでH2Oを飽和させた後、積み山または充填層に吹
き込むようにすることにより、石材原料の乾燥を防止し
て炭酸化反応を促進させることができる。
【0098】以上のようにして石材原料の積み山または
充填層内に炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスを供給する
ことにより、先に述べたような未炭酸化Ca(CaOお
よび/またはCa(OH)2)と炭酸ガスとの反応によ
ってCaCO3が生成し、このCaCO3がバインダーと
なって石材原料粒子(および添加材粒子)が固結する。
【0099】このような炭酸固化完了後、必要に応じて
重機等により積み山または充填層を適当な大きさに砕
き、塊状の水中沈設用石材が切り出される。したがっ
て、この切り出す際の大きさにより、任意の大きさの石
材を得ることができる。通常、塊状の石材は80〜15
00mmの大きさに切り出される。また、この切り出し
時の破砕により、石材に海藻類の付着し易い凹凸のある
破面が生じる。なお、本発明法では充填層の容積を十分
に小さくすることで、上記のような切り出しを行うこと
なくそのまま石材として利用することもできる。
【0100】このような製造法には、以下のような利点
がある。 石材原料を積み山または充填層とした状態で炭酸固
化を行うため、積み山または充填層の締め固めの度合い
を調整してその嵩比重を調整することにより、藻礁用石
材の密度の調整を簡単に行うことができる。先に述べた
ように、藻礁用石材は海底や海流の状況等に応じて密度
やポーラス度を適宜調整することが好ましく、このよう
な調整を任意にしかも極く簡単に行うことができること
は、藻礁用石材の製造法として大きな利点である。従来
技術として造粒ペレット等を炭酸固化させる技術が知ら
れているが、このような造粒方式では非処理材の密度を
幅広い範囲で調整することは困難である。
【0101】 石材原料を積み山または充填層とした
状態で炭酸固化を行い、炭酸固化完了後、積み山または
充填層を適当な大きさに砕いて所望の大きさの塊状石材
を切り出し、或いは充填層をそのまま塊状石材として利
用するものであるため、切り出される石材の大きさや充
填層の大きさを適宜選択することにより、任意の大きさ
(例えば、80〜1500mm)の石材を得ることがで
き、藻礁用等として特に好ましい大塊の石材も容易に得
ることができる。上述した造粒ペレット等を炭酸固化さ
せる従来技術では、得られる塊状物の大きさはせいぜい
30〜50mm程度が限度であり、しかも、不可避的に
サイズの小さい塊状物も生じてしまう。したがって、本
製造法のように大塊の石材が得られることは藻礁用石材
の製造法として大きな利点である。
【0102】 炭酸固化後、石材原料の積み山または
充填層を重機等により砕き、塊状の石材を切り出する方
法を採ることにより、海藻類等の付着し易い凹凸のある
表面(破面)を有する塊状石材を得ることができる。
【0103】
【実施例】[実施例1]粒子の最大粒度が約30mm
で、且つ粒度5mm以下の粒子の割合が約70重量%で
ある粒度分布をもつコンクリート材からなる石材原料
(CaO含有率:13wt%)を、幅4m×奥行6mの
ピット内に高さ1.5mに山積みして適度に締め固めた
後、ピットを密閉し、炭酸ガスを供給量23Nm3/h
rの割合で6日間吹込み、石材原料を炭酸固化させた。
この炭酸固化した石材原料を重機により砕いて分割し、
種資材用および藻礁造成基盤用の資材としてサイズが略
1.0m〜1.5mの塊状石材を15個得た。
【0104】上記塊状石材の1つを天然藻礁がある海上
に搬送し、引き上げ用のネットに入れた状態で藻礁内に
仮置き沈設した。この石材沈設の時期としては、海中の
沈降物が海藻類の胞子等の付着前に石材表面を覆ってし
まわないようにするため、当該藻礁の海藻類から胞子が
放出される直前の9月を選んだ。約1年後、上記石材の
表面で海藻類が生育し、根づきも安定していることが確
認できたため、この石材を海上に引き上げて回収し、こ
れを藻礁造成用の種資材として用いるために直ちに藻礁
の造成場所に搬送(乾燥させないように日除けし、且つ
散水しながら搬送)した。
【0105】藻礁造成場所としては、水質、海流等を考
慮しつつ、既存の藻礁から十分に離れた水深4mの海底
を選定した。この藻礁の造成場所において、海藻類が着
生していない14個の新たな石材を直径約10mの範囲
に沈設するとともに、その中央に前記種資材を再沈設し
た。この藻礁の造成場所を約1年後に調査した結果、種
資材の周囲のすべての石材に海藻類が増殖し、十分に生
育していることが確認できた。海藻類の坪刈調査を行な
った結果、湿重量で約1200g/m2の海藻類が生育
していることが判った。
【0106】[実施例2]粒子の最大粒度が約30mm
で、且つ粒度5mm以下の粒子の割合が約70重量%で
ある粒度分布をもつコンクリート材に添加材として粒鉄
を添加した石材原料(CaO含有率:11wt%、鉄分
含有率:2wt%)を、幅4m×奥行6mのピット内に
高さ1.5mに山積みして適度に締め固めた後、ピット
を密閉し、炭酸ガスを供給量23Nm3/hrの割合で
6日間吹込み、石材原料を炭酸固化させた。この炭酸固
化した石材原料を重機により砕いて分割し、種資材用お
よび藻礁造成基盤用の資材としてサイズが略1.0m〜
1.5mの塊状石材を15個得た。
【0107】上記塊状石材の1つを上記実施例1と同じ
天然藻礁がある海上に搬送し、引き上げ用のネットに入
れた状態で藻礁内に仮置き沈設した。この石材沈設の時
期は、上記実施例1と同時期を選んだ。約1年後、上記
石材の表面で海藻類が生育し、根づきも安定しているこ
とが確認できたため、この石材を海上に引き上げて回収
し、これを藻礁造成用の種資材として用いるために直ち
に藻礁の造成場所に搬送(乾燥させないように日除け
し、且つ散水しながら搬送)した。
【0108】藻礁造成場所は、上記実施例1と同じ海域
および水深を選定した。この藻礁の造成場所において、
海藻類が着生していない14個の新たな石材を直径約1
0mの範囲に沈設するとともに、その中央に前記種資材
を再沈設した。この藻礁の造成場所を約1年後に調査し
た結果、種資材の周囲のすべての石材に海藻類が増殖
し、十分に生育していることが確認できた。海藻類の坪
刈調査を行なった結果、湿重量で約1300g/m2
海藻類が生育していることが判った。
【0109】[実施例3]粒子の最大粒度が約30mm
で、且つ粒度5mm以下の粒子の割合が約70重量%で
ある粒度分布をもつコンクリート材とスラグの混合物か
らなる石材原料(コンクリート材/スラグ(重量比):
50/50、CaO含有率:22wt%、鉄分含有率:
3wt%)を、幅4m×奥行6mのピット内に高さ1.
5mに山積みして適度に締め固めた後、ピットを密閉
し、炭酸ガスを供給量23Nm3/hrの割合で6日間
吹込み、石材原料を炭酸固化させた。この炭酸固化した
石材原料を重機により砕いて分割し、種資材用および藻
礁造成基盤用の資材としてサイズが略1.0m〜1.5
mの塊状石材を15個得た。
【0110】上記塊状石材の1つを上記実施例1と同じ
天然藻礁がある海上に搬送し、引き上げ用のネットに入
れた状態で藻礁内に仮置き沈設した。この石材沈設の時
期は、上記実施例1と同時期を選んだ。約1年後、上記
石材の表面で海藻類が生育し、根づきも安定しているこ
とが確認できたため、この石材を海上に引き上げて回収
し、これを藻礁造成用の種資材として用いるために直ち
に藻礁の造成場所に搬送(乾燥させないように日除け
し、且つ散水しながら搬送)した。
【0111】藻礁造成場所は、上記実施例1と同じ海域
および水深を選定した。この藻礁の造成場所において、
海藻類が着生していない14個の新たな石材を直径約1
0mの範囲に沈設するとともに、その中央に前記種資材
を再沈設した。この藻礁の造成場所を約1年後に調査し
た結果、種資材の周囲のすべての石材に海藻類が増殖
し、十分に生育していることが確認できた。海藻類の坪
刈調査を行なった結果、湿重量で約1350g/m2
海藻類が生育していることが判った。
【0112】
【発明の効果】以上述べたように本発明法によれば、藻
礁の造成場所の選択範囲が広く、且つ少ない手間とコス
トで比較的短期間のうちに藻礁を確実に造成することが
でき、しかも大規模な藻礁の造成も容易に行うことがで
きる。特に、本発明法では、藻礁を造成するための沈設
用資材としてコンクリート材のような未炭酸化Ca含有
材、若しくはこれと鉄鋼製造プロセスで発生するスラグ
との混合物を炭酸固化させた人工石材を使用するため、
コンクリート廃材やスラグ等の有効利用を図ることがで
きるとともに、海水のpH上昇や石材表面での白沈を生
じさせることなく海藻類を効率的に成育させることがで
き、また、沈設用の資材自体も安価に製造できることか
ら、藻礁の造成をより効率的且つ低コストに行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する人工石材の実施形態を示す説
明図
【図2】本発明法で沈設用資材として用いる人工石材の
製造フローの一例を示す説明図
【図3】石材原料の水分含有率と製造される人工石材の
圧縮強度との関係を概略的に示すグラフ
【符号の説明】
1…金具、2…把手、3…アンカー部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 誠 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 中島 廣久 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 田辺 治良 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 2B003 AA01 BB01 CC04 CC05 DD01 DD02 DD04 EE04 2B026 AA05 AB05 AC01 FA05 FB03

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 沈設用の資材として、未炭酸化Ca含有
    材(但し、鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを除く)
    を主原料とする石材であって、主原料である粉状および
    /または粒状の未炭酸化Ca含有材を、主としてこれに
    含まれる未炭酸化Caの炭酸化反応で生成させたCaC
    3をバインダーとして固結させ、塊状化した人工石材
    を用い、 既存の藻礁に前記人工石材からなる資材を仮置き沈設
    し、該資材の表面に海藻類を着生、生育させた後、該資
    材を回収してこれを藻礁を造成しまたは海藻類を増殖さ
    せるべき場所に種資材として移設するとともに、該種資
    材の周囲に海藻類を着生させるべき前記人工石材からな
    る他の資材を配し、前記種資材の海藻類を当該他の資材
    に増殖させることを特徴とする藻礁の造成または改良方
    法。
  2. 【請求項2】 沈設用の資材として、未炭酸化Ca含有
    材(但し、鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを除く)
    と鉄鋼製造プロセスで発生したスラグとを主原料とする
    石材であって、主原料である粉状および/または粒状の
    未炭酸化Ca含有材と粉状および/または粒状のスラグ
    の混合物を、主としてこれらに含まれる未炭酸化Caの
    炭酸化反応で生成させたCaCO3をバインダーとして
    固結させ、塊状化した人工石材を用い、 既存の藻礁に前記人工石材からなる資材を仮置き沈設
    し、該資材の表面に海藻類を着生、生育させた後、該資
    材を回収してこれを藻礁を造成しまたは海藻類を増殖さ
    せるべき場所に種資材として移設するとともに、該種資
    材の周囲に海藻類を着生させるべき前記人工石材からな
    る他の資材を配し、前記種資材の海藻類を当該他の資材
    に増殖させることを特徴とする藻礁の造成または改良方
    法。
  3. 【請求項3】 沈設用の資材として、主原料である未炭
    酸化Ca含有材が、コンクリート、セメント、モルタ
    ル、耐火物の中から選ばれる1種以上からなる人工石材
    を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の藻
    礁の造成または改良方法。
  4. 【請求項4】 沈設用の資材として、主原料である未炭
    酸化Ca含有材が、コンクリート、セメント、モルタ
    ル、耐火物の中から選ばれる1種以上の材料から分離さ
    れ、該材料よりも未炭酸化Ca含有率が高い未炭酸化C
    a含有材からなる人工石材を用いることを特徴とする請
    求項1または2に記載の藻礁の造成または改良方法。
  5. 【請求項5】 沈設用の資材として、主原料に対して添
    加材を添加した原料を固結させ、塊状化した人工石材を
    用いることを特徴とする請求項1、2、3または4に記
    載の藻礁の造成または改良方法。
  6. 【請求項6】 人工石材の原料である添加材の少なくと
    も一部が金属鉄、含金属鉄材、酸化鉄、含酸化鉄材の中
    から選ばれる1種以上からなることを特徴とする請求項
    5に記載の藻礁の造成または改良方法。
  7. 【請求項7】 人工石材の原料である添加材の少なくと
    も一部が可溶性シリカおよび/または含可溶性シリカ材
    からなることを特徴とする請求項5に記載の藻礁の造成
    または改良方法。
  8. 【請求項8】 人工石材の原料である添加材の少なくと
    も一部がCaO、Ca(OH)2、MgO、Mg(O
    H)2の中から選ばれる1種以上からなることを特徴と
    する請求項5に記載の藻礁の造成または改良方法。
  9. 【請求項9】 人工石材の原料である添加材の少なくと
    も一部が水砕スラグ微粉末からなることを特徴とする請
    求項5に記載の藻礁の造成または改良方法。
  10. 【請求項10】 沈設用の資材として、未炭酸化Caを
    含有する人工石材を用いることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6、7、8または9に記載の藻礁の造
    成または改良方法。
  11. 【請求項11】 人工石材が、石材表層部には未炭酸化
    Caが実質的に存在せず、石材内部にのみ未炭酸化Ca
    を含有することを特徴とする請求項10に記載の藻礁の
    造成または改良方法。
  12. 【請求項12】 人工石材が、固結した主原料粒子の表
    層部及び主原料粒子間には未炭酸化Caが実質的に存在
    せず、主原料粒子内部にのみ未炭酸化Caを含有するこ
    とを特徴とする請求項10に記載の藻礁の造成または改
    良方法。
  13. 【請求項13】 沈設用の資材として、空隙率が10〜
    70%である人工石材を用いることを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11また
    は12に記載の藻礁の造成または改良方法。
  14. 【請求項14】 沈設用の資材として、石材内部の開気
    孔の内面が、未炭酸化Caの炭酸化反応で生成したCa
    CO3で覆われている人工石材を用いることを特徴とす
    る請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、
    11、12または13に記載の藻礁の造成または改良方
    法。
  15. 【請求項15】 沈設用の資材として、石材外面の少な
    くとも一部領域に、可溶性シリカの含有量が10〜90
    wt%の可溶性シリカ配合層を有する人工石材を用いる
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、9、10、11、12、13または14に記載の藻
    礁の造成または改良方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006068732A (ja) * 2004-08-06 2006-03-16 Hiroshima Univ 水域環境改善材およびそれを用いる水域環境改善方法
JP2012239468A (ja) * 2011-05-16 2012-12-10 Yoshida Kazuhito 鉄鋼細粒叉は、鉄切断時排出される切断滓を混入固化させた、イオン放出人工礁。
JP2014008050A (ja) * 2012-07-03 2014-01-20 Nippon Steel & Sumitomo Metal 水圏環境修復材料
JP2016508721A (ja) * 2013-02-14 2016-03-24 イーコンクリート テク リミテッドECOncrete Tech LTD. 動物相および植物相の成長を促進するための方法およびマトリックス

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