JP4403035B2 - 偏光分離素子、光ピックアップ、光ディスク装置、及び偏光分離素子の製造方法 - Google Patents

偏光分離素子、光ピックアップ、光ディスク装置、及び偏光分離素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光ピックアップの光学素子などとして用いる偏光分離素子、これを備えた光ピックアップ、光ディスク装置、及びこの偏光分離素子の製造方法に関する。
近年、様々な光記録媒体に対応する光ピックアップ装置が市販されている。一つは、波長約780nmのレーザー光を用いるCD(Compact Disc)系の読み取り用光ピックアップ、書き込み用光ピックアップであり、また、波長約660nm程度のレーザー波長を用いるDVD(Digital Video Disc)系の読み取り用、書き込み用の光ピックアップ装置である。また、将来の高密度光ディスクとして、青色レーザー光を用いた光ディスク用ピックアップの研究開発も行われている。このような光ピックアップ装置は、使用するレーザーの波長が異なるが、ピックアップの小型化や低コスト化等の共通の課題をかかえており、これらの課題に対応した技術開発が行われている。
ところで、光ピックアップの小型化や低コスト化に有効な方法として、偏光分離素子に偏光ホログラム素子を採用することが挙げられる。すなわち、従来、レーザー光の往路、復路を分離する素子としては、プリズムを接着した偏光ビームスプリッタが用いられていたため、光学系が大型化していた。また、部品点数が多くなり、コスト増加の大きな要因となっていた。そこで、光ピックアップに偏光ホログラム素子を用いると、レーザー光源と受光素子をほぼ同一面に配置できるため、光学系を大幅に小型化できる。また、回路の設計が容易になるため、部品数も削減できるという利点もある。さらに、記録密度の異なる複数種類の記録媒体の書き込み、読み取りを一つの光ピックアップで行う場合においても、光路を共通化できるため非常に有効である。
次に、偏光ホログラム素子の従来技術について説明する。
特許文献1には、ニオブ酸リチウム基板を用いた偏光ホログラム素子が開示されている。特許文献1では、ニオブ酸リチウム基板に周期的なプロトン交換領域を形成し、その後プロトン交換領域を選択エッチングして周期的な溝を作る点が開示されている。
一方、複屈折性の有機材料を用いる技術としては、特許文献2,3に開示の技術が知られている。特許文献2の技術では、ガラス基板に配向膜を形成した後、真空蒸着法によってジアセチレンモノマーを成膜する。その後、ジアセチレンモノマーを紫外線重合し、更にパターン化した紫外線を照射することで周期的に色相を変化させて周期構造としている。特許文献3に開示の技術では、ガラス基板に有機複屈折膜を接着し、その後、有機複屈折膜にリソグラフィーによって周期的なマスクを形成する。そして、ドライエッチングによって周期的な凹凸格子を形成し、更に、等方的なオーバーコート剤で凹凸格子を埋めこんで偏光ホログラム素子としている。特許文献2,3の技術では、比較的安価な有機材料を用いるために、ニオブ酸リチウム基板を用いた偏光ホログラム素子よりも低コスト化が可能である。また、パターン露光やマスクを形成するリソグラフィーによってピッチを規定できるため、周期構造の狭ピッチ化が可能である。
また、特許文献4では、凹凸格子のある有機複屈折膜表面に樹脂製スペーサー部材を設けて所定のオーバーコート厚さを確保し、比較的低粘度のオーバーコート剤を用いて凹凸格子を埋め込む技術について開示されている。
特開2000−199820公報 特開2000−221325公報 特開2000−75130公報 特開2002−277638公報
しかしながら、特許文献1に開示の技術においては、ニオブ酸リチウム基板は高価であり、かつ、プロトン交換に要する時間が長いため、低コストで偏光ホログラム素子を作製することは困難であるという不具合がある。また、プロトン交換膜のピッチを小さくできないため、周期構造の狭ピッチ化に限界があるという不具合もある。
また、特許文献3に開示の技術では、以下に述べるような問題点がある。まず、凹凸格子の周期方向に対して入射光を傾けた場合の0次回折効率、±1次回折効率と光入射角度との関係について、図29に示す。この例で、偏光ホログラム素子に用いられた有機複屈折膜の屈折率は進相軸方向で1.67、遅相軸方向で1.58となっており、凹凸格子の形状は2.0μmピッチ、duty=50%,深さ3.2μmであり、屈折率1.58の等方性のオーバーコート剤で充填された構造である。尚、図29中の光入射角度は凹凸格子に垂直に入射する場合を0°としている。
図29より、レーザーの光入射角度によって±1次光の回折効率に偏りが生じることがわかる。傾き2°で±1次回折光には約10%の偏りが発生する。上記の偏光ホログラム素子は有機複屈折膜に凹凸格子を形成した後、等方性のオーバーコート剤で埋め込むが、凹凸格子は有機材料からなるため剛性が比較的小さく、オーバーコートの埋め込み中に凹凸格子が僅かに傾く場合がある。そして、光ピックアップは±1次回折光の一方のみを用いる。凹凸格子の僅かな傾きも回折効率に大きな偏りを生じさせ、光ピックアップの信号強度が変化してしまう。そのためオーバーコート剤の埋め込み工程では凹凸格子を傾けないことが重要であるが、特許文献3の技術では、凹凸格子の傾き防止に対しては何ら示しておらず、凹凸格子の傾きを防止できないという不具合がある。
また、特許文献4に開示の技術では、比較的低粘度のオーバーコート剤を用いると凹凸格子は傾きにくくなると予想されるが、この特許文献4の技術においても凹凸格子の傾きについては述べられておらず、凹凸格子の傾きを完全には防止できていないという不具合がある。
さらに、特許文献2,3に開示の技術では、回折格子自体は矩形の形状である。これは偏光ホログラム素子に入射するレーザー光に対して回折格子と直交する偏光には回折効率を高くし(つまり±1次回折効率を高くする)、かつ、回折格子と平行な偏光には透過率を大きくする(つまり0次回折効率を小さくする)ためである。しかしながら、矩形の回折格子では±1次回折効率は最大で40%に留まり、信号の検出効率を上げることは困難であるという不具合がある。
本発明の目的は、偏光分離素子に形成された凹凸形状の傾きを抑制することができるようにすることである。
本発明の別の目的は、このような偏光分離素子を低製造コストで製造できるようにすることである。
(1)本発明は、透明基板と、この透明基板上に形成された有機複屈折膜と、この有機複屈折膜の一方の面に周期的に形成されている凹凸形状と、この凹凸形状に充填されている等方性のオーバーコート剤と、前記凹凸形状の一個の凸部あたり複数個形成されており、前記凸部から前記凹凸形状の周期方向に張り出した張出し部と、を備え、一個の凸部あたり複数個形成されている前記張出し部の間隔は前記凹凸形状の周期方向と直交する方向に不規則である偏光分離素子である。
(3)別の面から見た本発明は、透明基板上に一方の面には周期的に凹凸形状が形成されている有機複屈折膜を形成する工程と、前記有機複屈折膜からなり前記凸部を支持する支持部を形成する工程と、前記凹凸形状に充填された等方性のオーバーコート剤を形成する工程と、を備え、前記有機複屈折膜上に同一構成の前記凸部のマスクパターンと前記支持部のマスクパターンを形成し、その後、有機複屈折膜をエッチングして前記凹凸形状と前記支持部とを同時に形成する、偏光分離素子の製造方法である。
(1)の本発明によれば、凹凸形状に等方性のオーバーコート剤を埋め込むとき、張出し部が凹凸形状を支えるため凹凸形状の傾きを抑制することができる。
(3)の本発明によれば、一度のエッチングで凹凸形状と支持部を同時に形成できるので、低製造コストで本発明の偏光分離素子を製造することができる。
本発明を実施するための最良の一形態について説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の一実施の形態である偏光分離素子1の側面図(a)、斜視図(b)、張出し部7の拡大図(c)である。図1の偏光分離素子11はDVD対応である。
この偏光分離素子11は、接着層2によって有機複屈折膜3が透明基板4上に接着されており、接着層2と対向する有機複屈折膜3の一方の面には周期的な凹凸格子5が形成され、凹凸格子5は等方性のオーバーコート剤6で充填されている。この偏光分離素子1は、波長約660nmの偏光を入射させると、偏光が凹凸格子5と平行な場合は透過し、凹凸格子5と直交する場合は回折を起こす。
更に、凹凸格子5の凹部9には凸部8からの張出し部7が設けられている。本例では、張出し部7が凹凸格子5の周期方向に張り出して形成されている。そして、張出し部7は、凹凸格子5と、そのピッチ及び凸部8の線幅を共通としながら、凸部8から当該凸部8の線幅より小さく張り出して構成されている。なお、この張出し部7は凸部8の長さ方向と直角をなして張り出しており、1個の凸部8に例えば30個ずつ(図1には2個のみ記載)形成されている。
また、オーバーコート剤6は、凹凸格子5を充填する他に有機複屈折膜3と対向透明基板12を接着する作用も兼ねている。
本例に用いた透明基板4、対向透明基板12は、例えば、厚さ1.0〜1.5mmのショット製光学ガラスBK7からなる。
有機複屈折膜3は、ポリエステル系フィルムを延伸させたことで複屈折性を持たせたものであり、進相軸方向の屈折率(Ny)は1.67、遅相軸方向の屈折率(Nx)は1.58となっており、膜厚は80μmである。有機複屈折膜3上の凹凸格子5は遅相軸に平行に配置されており、凹凸格子5のピッチは2.0μm、dutyは50%、格子の深さは3.2μmとなっている。
また、接着層2は、例えば、エポキシ系紫外線硬化型接着剤からなり、光学的に等方で可視光に対して透明であり、屈折率は例えば1.58となっている。
オーバーコート剤6は、例えば、アクリル紫外線硬化型接着剤からなり、光学的に等方で可視光に対して透明であり、屈折率は1.52である。
なお、偏光分離素子1の両面には、波長660nmの光に対しての図示しない反射防止膜が形成されている。
図2は、張出し部7の構造の詳細を示す平面図である。図2において、1個の凸部8には複数個、例えば30個の張出し部7(図を簡略化するため、張出し部7として7a〜7dのみを記載)が設けられている。1個の凸部8にある複数の張出し部7の間隔は凹凸格子5の周期方向と直交する方向で不規則である。
ここで、凹凸格子5の周期方向での凹凸格子5のピッチをPa、凸部8の線幅をLa、張出し部7での周期方向での凹凸格子5のピッチをPb、凸部8の線幅をLb、張出し部7での凸部8のずれ量(変位)をΔxとする。
本例では凹凸格子5の周期方向で凹凸格子5のピッチと凸部8の線幅を一定としながら、凸部8の一部が凸部8の線幅より小さく変位した張出し形状で張出し部7を構成しているので、
Pb=Pb、La=Lb
Δx<La
となる。
変位Δxが凸部8の線幅Laよりも小さいと張出し部7と凸部8は分離せず連結した構造となり、凸部8に屈曲構造を設けることができる。
ところで、一般的に、地面に立てた平板は平板に対して直交する応力には倒れやすいが、屈曲構造を設けた板は倒れにくなる。本例においても同様の効果が期待でき、凹凸格子5に等方性のオーバーコート剤6を埋め込むときに張出し部7による屈曲構造があるため凸部8が傾きにくい。これは、凸部8に屈曲構造を設けたため凸部8の剛性が改善されたためと思われる。その結果、±1次回折光に偏りが発生する頻度が小さくなり、光学特性の揃った偏光分離素子1が得られやすくなる。
また、張出し部7は、凹凸格子5の凸部8の一部が凹部9に張り出したものであるため、凹凸格子5の傾きを抑制するために新たな材料を用いる必要がなく、有機複屈折膜3へのリソグラフィー工程、特に露光工程で用いるマスクやレチクルを改善することで張出し部7を形成でき、従来と同程度のコストで凹凸格子5の傾きを抑制できる。
さらに、凹凸格子5と直交する偏光が本例の偏光分離素子1に入射した場合、凹凸格子5と張出し部7ではピッチと凸部8の線幅が同一であるため、張出し部7でも凹凸格子5と同じ回折角と回折効率を示し、従来の張出し部7の無い偏光ホログラム素子と同等の回折効率が得られる。更に、図3(b)に示すように、張出し部7が凸部8から90度を大きく逸脱して張り出している場合、凹凸格子5と直交する偏光が入射した場合は、張出し部7が凸部8から90度を大きく逸脱して張り出していることによる斜線部11でも回折が起こり、希望する方向への回折効率が低下するが、本例のように張出し部7が凸部8からほぼ90度で張り出している場合、図3(a)は、斜線部11がほぼ存在しないため希望する方向にのみ±1次光を回折することができる。
そのうえ、凹凸格子5と平行な偏光が偏光分離素子1に入射した場合、1個の凸部8にある複数個の張出し部7の間隔が凹凸格子5の周期方向と直交する方向に不規則であるため、特定の方向には回折せず、張出し部7の無い凹凸格子5からなる従来の偏光ホログラム素子と比較して僅かに小さい程度の大きな透過率を確保できる。
なお、本例では1つの凸部8に30個の張出し部7を設けたが、いうまでもなく、張出し部7の数は本例に限定される必要はなく、凹凸格子5の傾きや偏光分離素子1の波面収差の許容値を考慮して決定すれば良い。一般に、張出し部7を多く設けると凹凸格子5の傾きの抑制がより向上するが、偏光分離素子1の波面収差が低下するので、最適な個数を選ぶ必要がある。
また、本例では張出し部7a〜7dにおいて変位Δxを一定としたが、各張出し部7の変位Δxは一定である必要は無く、Δxが凸部8の線幅Laより小さければよい。一般的に、変位を大きくすると凹凸格子5の傾きを抑制しやすいので、ΔXを凸部8の線幅の1/2程度にするのが望ましい。
次に、本例の偏光分離素子1の製造方法につき、図4〜図7を参照して、(a)〜(u)の工程で説明する。なお、以下の(a)〜(u)の説明と、図4〜図7に含まれる各図の符号は合致している。ここでは、本発明者が、現実に偏光分離素子1を製造したときの結果に基づいて具体的に説明する。
まず、(a)(b)に示すように、直径100mm、厚さ1.0mmでオリエンテーションフラットを設けたショット製の光学ガラスBK7からなる透明基板4をスピンテーブル21に乗せ、真空吸着によってスピンテーブル21に固定する。その後、スピンテーブル21を10〜50rpmで回転させながら、透明基板4の中央部にディスペンサー22を用いて屈折率1.58、粘度600cpのエポキシ系紫外線硬化型接着剤2を3〜8g滴下した。その後、スピンテールを450rpmで回転させ、透明基板4の全面に紫外線硬化型接着剤23を広げ、その後スピンテーブル21の回転を停止する。
(c)その後、直径90mm、厚さ80μm、有機複屈折の遅相軸と平行にオリエンテーションフラットをもつ有機複屈折膜3を載置装置を用いて紫外線硬化型接着剤2の上に乗せた。載置の際は、有機複屈折膜3の中心をスピンテーブル21の回転中心にほぼ合せ、有機複屈折膜3のオリエンテーションフラットと透明基板4のオリエンテーションフラットのなす角度を±0.5度以下とする。
(d)その後、スピンテーブル21を900rpmで11秒間回転し、接着剤2を振り切る。
(e)その後、スピンテーブル21の回転を停止し、有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察したところ、有機複屈折膜3は透明基板4上でほとんど動いていなかった。
(f)その後、スピンテーブル21を2000rpmで5秒間回転して接着剤を振り切る。
(g)その後、スピンテーブル21の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察すると、有機複屈折膜3は透明基板4上で5mm程度動いており、有機複屈折膜3の中心とスピンテーブル21の回転中心及び有機複屈折のオリエンテーションフラットと透明基板4のオリエンテーションフラットが平行から大きくずれている。そのため、調整治具24を用いて有機複屈折膜3の外側にずれた側の端部を透明基板4の中心側へ押し、透明基板4上を滑るように有機複屈折膜3を動かし(以後、滑るように動かすことを「滑動」と略す)、有機複屈折膜3の位置修正(つまり、透明基板4と有機複屈折膜3の中心を合せ、かつ、有機複屈折のオリエンテーションフラットと透明基板4のオリエンテーションフラットを概略平行となる位置へ有機複屈折膜3を動かす)を行なう。その後、スピンテーブル21を再度2000rpmで11秒間回転して、接着剤を振り切る。
その後、スピンテーブル21の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察すると、有機複屈折膜3は透明基板4上で約4mm程度動いている。その後、調整治具24を用い有機複屈折膜3を透明基板4上で滑動し、有機複屈折膜3の位置修正を行なう。
その後、スピンテーブル21を再度2000rpmで7秒間回転して、接着剤を振り切る。
その後、スピンテーブル21の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察すると、有機複屈折膜3は透明基板4上で約3mm程度動いている。その後、調整治具24を用い、有機複屈折膜3を透明基板4上で滑動し有機複屈折膜3の位置修正を行なう。
その後、スピンテーブル21を再度2000rpmで7秒間回転して、接着剤を振り切る。
その後、スピンテーブル21の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察すれば、有機複屈折膜3は透明基板4上でほとんど動いていない。
そして、倍率4〜50倍の測長顕微鏡を用いて有機複屈折膜3と透明基板4の相対位置を観察すると、有機複屈折膜3端と透明基板4端の距離は4mm以上あり、有機複屈折膜3のオリエンテーションフラットと透明基板4のオリエンテーションフラットのなす角度は0.28度である。
有機複屈折膜3の接着仕様では、透明基板4端と有機複屈折膜3端の距離と有機複屈折のオリエンテーションフラットと透明基板4のオリエンテーションフラットのなす角度が規定されている。
有機複屈折膜3端と透明基板4端の距離は有機複屈折膜3のエッチング装置のクランプ幅から決まり、本例では2mm以上である。有機複屈折膜3のオリエンテーションフラットと透明基板4のオリエンテーションフラットのなす角度の許容値は偏光分離素子1の1次回折効率から決まり、本例では±1度以下である。
上記の顕微鏡の測定結果から、有機複屈折膜3の端部と透明基板4の端部の距離及び有機複屈折膜3のオリエンテーションフラットと透明基板4のオリエンテーションフラットのなす角度が許容値内であることが確認された。
(h)その後、スピンテーブル21の回転を停止した状態で、有機複屈折膜3側からメタルハライドランプ(図示せず)を用いて第1の紫外線を照射し、紫外線硬化型接着剤2を半硬化する。
(i)その後、透明基板4を700rpmで60秒間回転し、有機複屈折膜3と透明基板4の境界にアセトン25を滴下する。アセトンは本例に用いたエポキシ系紫外線硬化型接着剤2を溶解し、かつ、有機複屈折膜3を溶解しない有機溶媒である。本工程によって、(h)の工程後に基板4の周辺部に残っていた紫外線硬化型接着剤2はアセトンによって除去される。
(j)その後、スピンテーブル21の回転を停止し、有機複屈折膜3側からメタルハライドランプを用いて第2の紫外線を照射し、紫外線硬化型接着剤2を完全に硬化する。
(k)有機複屈折膜3を接着した透明基板4(以後、有機複屈折膜3を接着した透明基板4を単に「基板4」と略す)をスピンテーブル21から外し、倍率4〜50倍の測長顕微鏡で有機複屈折膜3と透明基板4の相対位置を再度測定した結果、有機複屈折膜3の端部と透明基板4の端部の距離、有機複屈折膜3のオリエンテーションフラットと透明基板4のオリエンテーションフラットのなす角度は(h)〜(j)工程を経ても変化はない。
(l)その後、前記の基板4にスピンコート法によってポジレジスト27を0.7μmの厚さに塗布し、60℃で30分のプリベークを行なう。
(m)その後、基板4を縮小投影露光装置(NA=0.30、波長;i線)に装着し、透明基板4のオリエンテーションフラットを縮小投影露光装置側で検出し、1st露光によって透明基板4のオリエンテーションフラットと平行な方向に凹凸格子5の反転パターンを露光する。
本露光に用いるレチクル26には2.0μmピッチ(凸部8:1.0μm,凹部9:1.0μm)の凹凸格子5パターンの反転が形成されており、1個の凸部8には凸部8の線幅を1.0μmとしたまま凸部8から0.50μm張り出した張出し部7が30個設けられている(図面を簡略化するため張出し部7は2個のみ記載)。なお,1個の凸部8にある30個の張出し部7の間隔は凹凸格子5の周期方向と直交する方向で5〜50μmの範囲で不規則とする。レチクル26を用いると、凹凸格子5の反転パターンを露光すると同時に張出し部7の反転パターンも露光できる。
(n)その後、現像液NMD−3を用いたパドル現像を行い、有機複屈折膜3上に凸部8から0.50μm張り出した張出し部7の反転パターンを持つ凸部8の反転したレジストパターン28を形成する。
(o)その後、前記のレジストパターン28上に真空蒸着法やスパッタ法によってAl,Cr,Co,Ni等の金属ないし合金からなる膜29を50〜100nmの厚さで成膜する。本例では真空蒸着法によってAlを70nm蒸着する。
(p)その後、基板4をアセトン浴に浸漬し、超音波振動を与えてレジストを溶解してリフトオフを行った。これによってレジストパターン29を反転させたAlからなる凸部8から0.50μm張り出した張出し部7を持つ凸部8のマスクパターン30を完成できる。
(q)その後、NLDエッチング装置を用い酸素ガスを主成分とするエッチングガス雰囲気中で、有機複屈折膜3を深さ3.2μmエッチングする。張出し部7を持つ凸部8のマスクパターン30はAlからなるため酸素ガスを主成分とするエッチング雰囲気ではほとんどエッチングされず、Al膜のない領域のみがエッチングされ、凹凸格子5と張出し部7が同時に形成できる。
(r)その後、基板4をリン酸系のAlエッチング液に浸漬し、Alからなる張出し部7を持つ凸部8のマスクパターン30を除去し、凸部8から0.50μm張り出した張出し部7を持つ凹凸格子5を完成させる。
(s)その後、平面加工したφ200mm、厚み50mmのステンレス台上に凹凸格子5を形成した基板4を置き、凹凸格子5面に光学的に等方で透明なアクリル系紫外線硬化型接着剤(オーバーコート剤6)をマイクロシリンジで1.0ml滴下する。そして、両面を光学研磨した直径100mm、厚み1.0mmの対向透明基板12(材質;ショット製の光学ガラスBK7)に乗せ、更に、対向透明基板12上に光学研磨した光学ガラスを乗せ、対向透明基板12に100gf/cmの圧力を加え、オーバーコート剤6を被接着面全面に広げて凹凸格子5を埋め込む。この状態で対向透明基板12を通して紫外線を照射し、オーバーコート剤6を硬化する。
(t)その後、真空蒸着法によって透明基板4と対抗透明基板4表面にMgF/TiO/SiOの多層膜からなる反射防止膜13を形成する。
(u)その後、ダイシングソーを用いて5mm角に切り出し、複数の偏光分離素子1を完成させる。
このようなプロセスで作製した偏光分離素子1にHe−NeレーザーのP偏光を入射して透過率を測定する。また、S偏光を入射して±1次回折効率を測定する。さらに、非接触三次元表面粗さ計システム(Zygo Mark IVxp(光源は、He−Neレーザー))を用いて波面収差を測定する。その結果、光学仕様(透過率96±3%、±1次回折効率32±5%、波面収差0.02λrms以下)を達成したサンプルの歩留は75%であり、本例の製造法によると、製品の歩留まり良く偏光分離素子1を作製できることができる。
本例の製造方法では、凹凸格子5のパターンが形成されたレチクルに凹部9に相当する領域に凹凸格子5のピッチと凸部8の線幅を一定としながら凸部8の一部が凸部8の線幅より小さく変位した張出し部7のパターンを作り込んでおけば、一度のリソグラフィー/エッチングで、張出し部7を持つ凹凸格子5を形成できる。その結果、従来の張出し部7のない凹凸格子5からなる偏光ホログラム素子と同じプロセスを用いて凹凸格子5の傾きを抑制できるので、従来と同程度の製造コストで偏光分離素子1を製造できる。
なお、本例では、リフトオフプロセスを用いて有機複屈折膜3上に張出し部7を持つ凸部8のマスクパターンを形成したが、透明基板4に有機複屈折膜3を接着後、有機複屈折膜3上にAl,Cr,Co,Ni等の金属層ないし合金層を成膜し、その後、リソグラフィーによってピッチと線幅を凹凸格子5のピッチと凸部8の線幅と共通にしながら、凸部8の一部が凸部8の線幅より小さく変位した張出し部7を持つ凸部8のレジストパターンを形成し、さらにその後、金属層および合金層をエッチングし、レジストパターンを除去して張出し部7を持つ凸部8のマスクパターンを完成させ、そして、有機複屈折膜3をドライエッチングするようにしても良い。
[実施の形態2]
別の実施の形態について説明する。
以下の説明で図1〜図7と同一符号の部材などは、前述の実施の形態と共通であるため、詳細な説明は省略する。
本実施の形態の偏光分離素子1の構成を図8に示す。図8は、偏光分離素子1の凹凸格子5の平面図(a)、凹凸格子5の側面図(b)、偏光分離素子1の側面図(c)である。
本例の偏光分離素子1では、透明基板4上に接着された有機複屈折膜3に形成された凹凸格子5が凹凸格子5の周期方向に沿ってレーザー光の光軸から傾いた構造となっている。本例ではこの傾きを5°とした。
また、凹凸格子5の凹部9には凸部8からの張出し部7が設けられている。本例では、張出し部7が凹凸格子5の周期方向に張り出し、そのピッチと線幅を凹凸格子5のピッチと凸部8の線幅と共通としていて、凸部8の一部が凸部8の線幅より小さく張り出した張出し部7から構成されている。なお、張出し部7は1個の凸部8に例えば25個ずつ形成されている。
本例の構造を用いると、有機複屈折膜3上の凹凸格子5は始めからレーザー光の光軸に対して5°傾いているため±1次回折光に偏りが生じる。効率の大きい側の1次回折光を用いることで偏光分離素子1の光出力を約50%程度にまで向上させることができる。
また、本例の偏光分離素子1を光ピックアップに用い、回折効率の大きい側の1次回折光をフォトダイオードに導く構造とすると、光ピックアップの信号出力を大きくでき、より高速の読み出し/書き込みが可能になる
なお、傾いた凹凸格子5の凸部8には凹凸格子5のピッチと凸部8の線幅を一定としながら凸部8の一部が凸部8の線幅より小さく張り出した張出し部7が設けられているので、張出し部7のない凸部8と比較して凸部8の剛性が高い。そのため、凹凸格子5を等方性のオーバーコート剤6を埋め込む時は凹凸格子5が更に傾くことを抑制できる。その結果、初期の傾きを維持しやすくなり、周期方向に沿ってレーザー光の光軸から所定の傾きを持った偏光分離素子1を安定的に製造することができる。
本例の偏光分離素子1も前述の実施の形態と同様の製造方法で製造できる。具体的には、Alからなる張出し部7を持つ凸部8のマスクを完成させた後、(q)のエッチング工程において、入射するイオンの方向に対して凹凸格子5のマスクの周期方向に沿って基板4を5°傾けてエッチングを行なうことで、凹凸格子5の凹凸の周期方向に沿ってレーザー光の光軸から5°傾いた凹凸格子5を実現することができる。
なお、本例では凹凸格子5の傾きを5°としたが、いうまでもなく本発明はこの例に限定されるものではなく、凹凸格子5がその凹凸の周期方向に沿ってレーザー光の光軸から傾いていればよい。なお、図29より、傾きが6°程度で±1次光の偏りが飽和する傾向が判るので、凹凸格子5の傾きは1〜6°程度にすることが望ましい。
[実施の形態3]
別の実施の形態について説明する。
以下の説明で図1〜図8と同一符号の部材などは、前述の実施の形態と共通であるため、詳細な説明は省略する。
本実施の形態の偏光分離素子1の構成を図9に示す。図9は、偏光分離素子1の側面図(a)、斜視図(b)、後述の支持部41の拡大図(c)である。偏光分離素子1はDVD対応となっている。
本例の偏光分離素子1も接着層2によって有機複屈折膜3が透明基板4上に接着されており、接着層2と対向する有機複屈折膜3の一方の面には周期的な凹凸格子5が形成され、前記凹凸格子5は等方性のオーバーコート剤6で充填されている。
また、凹凸格子5の凹部9に凸部8からの張出し部7が設けられている。本例では、張出し部7が凸部8に繋がった支持部41から構成されており、かつ、支持部41は有機複屈折膜3からなる。これにより、有機複屈折膜3からなる支持部41が凸部8を支持する。なお、支持部41は凸部8の長さ方向の両端に2個ずつ(1個の凸部8に4個の支持部41がある)あり、凹凸格子5に入射するレーザー光の入射領域の外に支持部41が形成されている。
また、オーバーコート剤6は凹凸格子5を充填する他に有機複屈折膜3と対向透明基板12を接着する作用も兼ねている。
本例では透明基板4、対向透明基板12は、厚さ1.0〜1.5mmのショット製光学ガラスBK7からなる。有機複屈折膜3はポリエステル系のフィルムを延伸させたことで複屈折性を持たせたものであり、例えば、進相軸方向の屈折率(Ny)は1.67、遅相軸方向の屈折率(Nx)は1.58となっており、膜厚は100μmである。有機複屈折膜3上の凹凸格子5は遅相軸に平行に配置されており、例えば、凹凸格子5のピッチは2.0μm、dutyは50%、格子の深さは3.2μmとなっている。
また、接着層2はアクリル系紫外線硬化型接着剤からなり、光学的に等方で可視光に対して透明であり、例えば、屈折率は1.52となっている。
オーバーコート剤6も接着層2と同一の材料からなり、光学的に等方で可視光に対して透明であり、例えば、屈折率は1.52である。
なお、偏光分離素子1の両面には、例えば、波長660nmの光に対しての反射防止膜が形成されている(図示せず)。
本例の構成では、凹凸格子5の凹部9には凸部8に繋がった支持部41が設けられているため、凹凸格子5に等方性のオーバーコート剤6を埋め込む時に支持部41が凹凸格子5を支えるため、凹凸格子5の傾きを抑制できる。その結果、前述の実施の形態と同様に±1次回折光に偏りが発生する頻度が小さくなり、光学特性の揃った偏光分離素子1が得られる。
また、支持部41は有機複屈折膜3から構成されているため、凹凸格子5の傾きを抑制するために新たな材料を用いる必要がなく、有機複屈折膜3へのリソグラフィー工程やエッチング工程を改善することで支持部41を形成でき、従来の支持部41の無い凹凸格子5から成る偏光ホログラム素子と同程度の製造コストで凹凸格子5の傾きを抑制することができる。
さらに、支持部41はDVDの読み込みや書き込みに用いられる波長660nmのレーザー光が凹凸格子5に入射する入射領域の外に形成されているため、偏光分離素子1を通過するレーザー光に対して支持部41は波面を乱さない。その結果、前述した実施の形態の偏光分離素子1と比較して波面収差を小さくでき、支持部41の無い凹凸格子5からなる偏光ホログラム素子と同程度の波面収差を実現しながら、凹凸格子5の傾きを抑制することができる。
次に、本例の偏光分離素子1の製造方法について、図10〜図14を参照して、(a)〜(u)の工程で説明する。なお、以下の(a)〜(u)の説明と、図4〜図7に含まれる各図の符号は合致している。ここでは、本発明者が、現実に偏光分離素子1を製造したときの結果に基づいて具体的に説明する。
まず、(a)(b)では、直径100mm、厚さ1.0mmでオリエンテーションフラットを設けたショット製光学ガラスBK7からなる透明基板4をスピンテーブル21に乗せ、真空吸着によってスピンテーブル21に固定する。その後、スピンテーブル21を10〜50rpmで回転させながら、透明基板4の中央部にディスペンサー22を用いて屈折率1.52、粘度500cpのアクリル系紫外線硬化型接着剤2を3〜10g滴下する。その後、スピンテーブル21を400rpmで回転させ、透明基板4の全面に紫外線硬化型接着剤を広げ、スピンテーブル21の回転を停止する。
(c)その後、直径90mm、厚さ100μm 、有機複屈折の遅相軸と平行にオリエンテーションフラットをもつ有機複屈折膜3を、載置装置を用いて紫外線硬化型接着剤2の上に乗せた。載置の際は、有機複屈折膜3の中心をスピンテーブル21の回転中心にほぼ合せ、有機複屈折のオリエンテーションフラットと透明基板4のオリエンテーションフラットのなす角度を±0.5度以下とする。
(d)その後、スピンテーブル21を700rpmで10秒間回転し接着剤2を振り切る。
(e)その後、スピンテーブル21の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察したところ、有機複屈折膜3は透明基板4上でほとんど動いていない。
(f)その後、スピンテーブル21を1500rpmで3秒間回転して接着剤を振り切る。
(g)その後、スピンテーブル21の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察したところ、有機複屈折膜3は透明基板4上で3mm程度動いており、有機複屈折膜3の中心とスピンテーブル21の回転中心及び有機複屈折のオリエンテーションフラットと透明基板4のオリエンテーションフラットが平行から大きくずれている。そのため、調整治具24を用いて有機複屈折膜3を透明基板4上で滑動して有機複屈折膜3の位置修正を行なう。
その後、スピンテーブル21を再度1500rpmで8秒間回転して、接着剤2を振り切る。その後、スピンテーブル21の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察すると、有機複屈折膜3は透明基板4上で約3mm程度動いている。その後、調整治具24を用い、有機複屈折膜3を透明基板4上で滑動し、有機複屈折膜3の位置修正を行なう。
その後、スピンテーブル21を再度1500rpmで10秒間回転して、接着剤2を振り切る。その後、スピンテーブル21の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察すると、有機複屈折膜3は透明基板4上で約2mm程度動いている。その後、調整治具24を用い、有機複屈折膜3を透明基板4上で滑動し、有機複屈折膜3の位置修正を行なう。
その後、スピンテーブル21を再度1500rpmで9秒間回転して、接着剤2を振り切る。その後スピンテーブル21の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察したところ、有機複屈折膜3は透明基板4上でほとんど動いていなかった。
倍率4〜50倍の測長顕微鏡を用いて有機複屈折膜3と透明基板4の相対位置を観察した結果、有機複屈折膜3端と透明基板4端の距離は4mm以上あり、有機複屈折膜3のオリエンテーションフラットと透明基板4のオリエンテーションフラットのなす角度は0.62度である。
上記の顕微鏡の測定結果から、有機複屈折膜3端と透明基板4端の距離および有機複屈折膜3のオリエンテーションフラットと透明基板4のオリエンテーションフラットのなす角度が許容値内であることが確認される。
(h)その後、スピンテーブル21の回転を停止した状態で、有機複屈折膜3側から高圧水銀灯を用いて第1の紫外線を照射し、紫外線硬化型接着剤2を半硬化する。
(i)その後、透明基板4を700rpmで60秒間回転し、有機複屈折膜3膜と透明基板4の境界にイソプロピルアルコール25を滴下する。イソプロピルアルコールは本例に用いたアクリル系紫外線硬化型接着剤2を溶解し、かつ、有機複屈折膜3を溶解しない有機溶媒である。本工程によって(h)の工程後に基板4の周辺部に残っていた紫外線硬化型接着剤2はイソプロピルアルコールによって除去される。
(j)その後、スピンテーブル21の回転を停止し、有機複屈折膜3側から高圧水銀灯を用いて第2の紫外線を照射し、紫外線硬化型接着剤2を完全に硬化する。
(k)有機複屈折膜3を接着した基板4をスピンテーブル21から外し、倍率4〜50倍の測長顕微鏡で有機複屈折膜3と透明基板4の相対位置を再度測定した結果、有機複屈折膜3端と透明基板4端の距離、有機複屈折膜3のオリエンテーションフラットと透明基板4のオリエンテーションフラットのなす角度は(h)〜(j)の工程を経ても変化はない。
(l)その後,前記の基板にスピンコート法によってポジレジスト27を0.7μmの厚さに塗布し、60℃で30分のプリベークを行なう。
(m)その後,基板4を縮小投影露光装置(NA=0.30、波長;i線)に装着し、透明基板4のオリエンテーションフラットを縮小投影露光装置側で検出し、1st露光によって透明基板4のオリエンテーションフラットと平行な方向に凹凸格子5の反転パターンを露光する。
本露光に用いたレチクル26には2.0μmピッチの凹凸格子5の反転パターンが形成されており、凸部8の反転パターンの両端には凸部8に繋がった支持部41の反転パターンが凹部9に相当する領域に2個ずつ形成されている。そのため、凹凸格子5の反転パターンを露光すると同時に支持部41の反転パターンも露光できる。
(n)その後、現像液NMD−3を用いたパドル現像を行い、有機複屈折膜3上に凸部8の反転したレジストパターンと支持部41の反転したレジストパターンを形成する。
(o)その後、前記のレジストパターン28上に真空蒸着法によってAlの膜29を70nm蒸着する。
(p)その後、基板4をアセトン浴に浸漬し、超音波振動を与えてレジストを溶解してリフトオフを行なう。これによってレジストパターン28を反転させたAlからなる凸部8のマスクパターンと支持部41のマスクパターン30を完成できる。
(q)その後、NLDエッチング装置を用い、酸素ガスを主成分とするエッチングガス雰囲気中で、有機複屈折膜3を深さ3.2μmエッチングする。凸部8のマスクパターン30と支持部41のマスクパターン30はAlからなるため、酸素ガスを主成分とするエッチング雰囲気ではほとんどエッチングされず、Al膜のない領域のみがエッチングされ、凹凸格子5と凸部8に繋がった有機複屈折膜3からなる支持部41が同時に形成できる。また、支持部41の高さと凹凸格子5の凸部8の高さは同一で3.2μmとなる。なお、支持部41はレーザー光が凹凸格子5に入射する領域の外に設けられている。
(r)その後、基板4をリン酸系のAlエッチング液に浸漬し、Alからなる凸部8のマスクパターンと支持部41のマスクパターンを除去し、凹凸格子5と凹部9にある凸部8と繋がった有機複屈折膜3からなる支持部41を完成させる。
(s)その後、平面加工したφ200mm、厚み50mmのステンレス台上に凹凸格子5を形成した基板4を置き、凹凸格子5面に光学的に等方で透明なアクリル系紫外線硬化型接着剤(オーバーコート剤6)をマイクロシリンジで1.0ml滴下する。そして、両面を光学研磨した直径100mm、厚み1.5mmの対向透明基板12(材質;ショット製の光学ガラスBK7)に乗せ、更に対向透明基板12上に光学研磨した光学ガラスを乗せ、対向透明基板12に100gf/cmの圧力を加え、オーバーコート剤6を被接着面全面に広げて凹凸格子5を埋め込む。この状態で対向透明基板12を通して紫外線を照射し、オーバーコート剤6を硬化する。
(t)その後、真空蒸着法によって透明基板4と対抗透明基板12の表面にMgF/TiO/SiOの多層膜からなる反射防止膜13を形成する。
(u)その後、ダイシングソーを用いて5mm角に切り出し、複数の偏光分離素子1を完成させる。
上記のプロセスで作製した偏光分離素子1の透過率、±1次回折効率、波面収差を前述の実施の形態と同様な方法で測定する。その結果、光学仕様(透過率96±3%、±1次回折効率32±5%、波面収差0.02λrms以下)を達成したサンプルの歩留は83%であり、本例の製造方法によると前述の実施の形態よりも歩留良く偏光分離素子1を製造できることが確認できる。
本例の製造方法では、有機複屈折膜3上にリフトオフプロセスによって同一構成(本例ではAl膜を使用)の凸部8のマスクパターンと支持部41のマスクパターンを形成し、その後NLDエッチング装置を用いて有機複屈折膜3をエッチングしている。凸部8と支持部41のマスクパターンを有機複屈折膜3と選択比が良好な部材で構成したため、一度のエッチングで凹凸格子5と支持部41を同時に形成できる。
また、凹凸格子5のパターンが形成されたレチクルに凹部9に相当する領域に凸部8に繋がった支持部41のパターンを作り込んでおけば、一度のリソグラフィー/エッチングで凹凸格子5と支持部41を形成できる。その結果、従来の支持部41のない凹凸格子5からなる偏光ホログラム素子と同じプロセスを用いて凹凸格子5の傾きを抑制できるので、従来と同程度の製造コストで偏光分離素子1を実現できる。
なお、本例ではリフトオフプロセスを用いて有機複屈折膜3上に凸部8と支持部41のマスクパターンを形成したが、透明基板4に有機複屈折膜3を接着後、有機複屈折膜3上にAl,Cr,Co,Ni等の金属層ないし合金層を成膜し、その後、リソグラフィーによって凸部8と支持部41のレジストパターンを形成し、その後、金属層および合金層をエッチングし、更にレジストパターンを除去して凸部8と支持部41のマスクパターンを完成させ、その後、有機複屈折膜3をドライエッチングしても良い。
また、本例では、凸部8に繋がった支持部41は凹凸格子5に入射するレーザー光の入射領域外に設けたが、偏光分離素子1の光学特性を満たす場合は、レーザー光が入射する領域に凸部8に繋がった支持部41を設けてもよい。すなわち、レーザー光が入射する入射領域に支持部41を設けると、支持部41による回折によって透過率が僅かに低下する。また、支持部41による波面収差の低下もある。そこで、このような不具合を防ぐため、支持部41の形状や大きさを工夫して偏光分離素子1の透過率、波面収差が許容値内に入るように設計する必要がある。
[実施の形態4]
別の実施の形態について説明する。
以下の説明で図9〜図13と同一符号の部材などは、前述の実施の形態と共通であるため、詳細な説明は省略する。
本実施の形態の偏光分離素子1の構成を図14に示す。実施の形態3と本実施の形態との相違は、支持部41の形状にある。図14は、この偏光分離素子1の凹凸格子5の平面図である。この偏光分離素子1では、凹凸格子5の凸部8の最端部から僅かに内側の領域の凹部9に凸部8に繋がった支持部41を設けており、かつ、この支持部41は有機複屈折膜3からなる偏光分離素子1である。
本例においても、実施の形態3と同様に凹凸格子5に等方性のオーバーコート剤6を埋め込むときは、凹凸格子5の凹部9にある凸部8に繋がった支持部41が凹凸格子5を支えるため、凹凸格子5の傾きを抑制できる。なお、凸部8に繋がった支持部41は凹凸格子5に入射するレーザー光の領域外に設けておくと、支持部41は偏光分離素子1を通過するレーザー光の波面を乱さないので、より望ましい。
本例の偏光分離素子1を製造するためには、前述した実施の形態3と同様な方法を用いれば良い。具体的には、図11(m)のリソグラフィー工程において、レチクル26上に凹凸格子5の反転パターンと、凸部8の最端部から僅かに内側の凹部9に相当する領域に凸部8に繋がった支持部41の反転パターンを形成しておけば、実施の形態3の製造方法で本例の偏光分離素子1を製造することができる。
[実施の形態5]
別の実施の形態について説明する。
以下の説明で図9〜図13と同一符号の部材などは、前述の実施の形態と共通であるため、詳細な説明は省略する。
本実施の形態の偏光分離素子1の構成の説明図を図15に示す。実施の形態3と本実施の形態との相違は、支持部41の形状にある。図15は、この偏光分離素子1の凹凸格子5の平面図である。この偏光分離素子1では、凹凸格子5の凸部8に繋がった支持部41が凸部8の両側の凹部9のうちの一方の凹部9にのみ設けられており、かつ、支持部41は有機複屈折膜3からなる。
実施の形態3では、1個の凹部9には、その両側に位置する2つの凸部8の支持部41が各々形成されているため、支持部41の長さは凹部9の幅の1/2未満にしなければならなかった。
本例のような構造にすると、1つの凹部9には1つの凸部8から張り出している支持部41のみが存在するので、凸部8に繋がった支持部41の長さを実施の形態2の場合よりも大きくできる。その結果、凹凸格子5を支える支持部41の強度を向上できる。そのため、凹凸格子5に等方性のオーバーコート剤6を埋め込むときは、凹凸格子5の凹部9には凸部8に繋がった比較的長い支持部41が設けているので、凹凸格子5の傾きを更に抑制でき、所望の光学特性を持つ偏光分離素子1がより得られやすくなる。
本例の偏光分離素子1も実施の形態3と同様な製造方法を用いれば製造でき、図11(m)のリソグラフィー工程において、レチクル26上に凹凸格子5の反転パターンと凹部9に相当する領域には凸部8に繋がった支持部41の反転パターンを1個のみ設けておけば良い。
[実施の形態6]
別の実施の形態について説明する。
以下の説明で図9〜図13と同一符号の部材などは、前述の実施の形態と共通であるため、詳細な説明は省略する。
本実施の形態の偏光分離素子1の構成を図16に示す。実施の形態3と本実施の形態との相違は、支持部41の形状にある。図16は、この偏光分離素子1の凹凸格子5の平面図である。この偏光分離素子1では、凹凸格子5の凸部8に繋がった支持部41が隣接する凸部8にも繋がっており、かつ、支持部41は有機複屈折膜3からなる偏光分離素子1である。つまり、1つの凹部9に位置する支持部41は、その両側の2つの凸部8にも繋がっている。本例では、4本の凸部8が支持部41で連結されて一体化した構造となっている。
本例のような構造にすると、複数の凸部8が支持部41を介して一体化しているので、凸部8の剛性を更に大きくできる。その結果、凹凸格子5に等方性のオーバーコート剤6を埋め込むときは、凹凸格子5の剛性が実施の形態3の構造よりも大きいので、凹凸格子5の傾きを更に抑制できる。
本例の偏光分離素子1も実施の形態3と同様な方法で製造でき、図11(m)のリソグラフィー工程において、レチクル26上に凹凸格子5の反転パターンと隣接した凸部8に連結した支持部41の反転パターンを設けておけば良い。
なお、本例では4本の凸部8が支持部41を介して一体化した構造であるが、この構造に限定されるものではなく、少なくとも凸部8に繋がった支持部41が隣接する凸部8にも繋がっている構造であればよい。しかしながら、凹凸格子5の剛性を向上させることを考えると、できるだけ多くの凸部8を一体化することが望ましい。
[実施の形態7]
別の実施の形態について説明する。
以下の説明で図9〜図13と同一符号の部材などは、前述の実施の形態と共通であるため、詳細な説明は省略する。
本実施の形態の偏光分離素子1の構成を図17に示す。実施の形態3と本実施の形態との相違は、支持部41の形状にある。図17は、この偏光分離素子1の凹凸格子5の平面図である。この偏光分離素子1では、1つの凸部8の一つの端部に4個の支持部41を設けているので、1個の凸部8には8個の支持部41が繋がっている。凹凸格子5の一方の端部をみると、実施の形態3では1つの凸部8に2つの支持部41が連結されているが、本例では、1つの凸部8に4つの支持部41に連結されている。そのため、凸部8をより大きな力で支えることができる。その結果、凹凸格子5に等方性のオーバーコート剤6を埋め込むときに凹凸格子5の傾きを更に抑制できる。
なお、4つの支持部41は凹凸格子5に入射するレーザー光が入射する領域の外に設けておくと、1個の凸部8に繋がった複数の支持部41は偏光分離素子1を通過するレーザー光の波面を乱さないので、より望ましい。
本例の偏光分離素子1も実施の形態3と同様な方法で製造することができ、図11(m)のリソグラフィー工程において、レチクル26上に凹凸格子5の反転パターンと1個の凸部8に繋がった複数の支持部41の反転パターンを設けておけば良い。
なお、図17では、凹凸格子5の一方の端部で4個の支持部41が凸部8に連結されているが、本発明はこのような構造に限定されるものではなく、凹凸格子5の一方の端部で複数の支持部41、例えば、2,3,4,5,6,…個の支持部41が1個の凸部8に繋がっていれば、本例と同様の効果が期待できる。また、例えば、複数の支持部41のうち、一部の支持部41が実施の形態6と同様に隣接する2個の凸部8に繋がっている構造としてもよい。
[実施の形態8]
別の実施の形態について説明する。
以下の説明で図9〜図13と同一符号の部材などは、前述の実施の形態と共通であるため、詳細な説明は省略する。
本実施の形態の偏光分離素子1の構成を図18に示す。実施の形態3と本実施の形態との相違は、支持部41の形状にある。図18は、この偏光分離素子1の凹凸格子5の平面図である。この偏光分離素子1では、1つの凸部8の両側からそれぞれ支持部41(41a,41b)が繋がっており、これに隣接した凸部8には両側からそれぞれ支持部41(41c,41d)が繋がっており、かつ、支持部41a,41b,41c,41dは有機複屈折膜3からなる。また、4個の支持部41のうちで同じ凹部9に位置する支持部41bと41cは入れ子状になっている。なお、1つの凸部8に繋がった2つの支持部4141a,41b、あるいは、支持部41c,41dは、各々の凸部8の端部から等距離にある。
本例のような構造にすると、隣接した2つの凸部8に繋がった各支持部41b、41dが同じ凹部9に形成されても支持部41bと41cは入れ子状になっているため、実施の形態3と異なり、支持部41の長さを凹部9の幅の1/2未満にする必要がなく、支持部41の長さを凹部9の幅より若干短い程度まで長くできる。そのため、実施の形態3よりも支持部41の強度を強くできる。また、本例の構造では、一方の端部で1個の凹部9に2個の支持部41を設けることができるので、実施の形態5の場合よりも支持部41の数を多くできる。
これらの結果から、等方性のオーバーコート剤6を埋め込むときは、凹凸格子5の傾きを更に抑制できる。
また、上記の効果を実現する偏光分離素子1の構造の別の例としては、図19の平面図に示すものも挙げられる。図19の構成は、1個の凸部8に支持部41a,41bが繋がっており、隣接した凸部8には支持部41c,41dが繋がっており、かつ、支持部41a,41b,41c,41dは有機複屈折膜3からなる。また、4つの支持部41のうち同じ凹部9に位置する支持部41b,41cは入れ子状になっている。なお、1つの凸部8に繋がった支持部41a,41b、支持部41c,41dは各々の凸部8の最端部から異なる距離にある例である。
本例の構造でも、図18の構成と同様に支持部41の長さを実施例3よりも長くでき、かつ、1つの凹部9にはその一方の端部で複数の支持部41を設けることができるので、凹凸格子5に等方性のオーバーコート剤6を埋め込むときは凹凸格子5の傾きを更に抑制できる。
なお、図18、図19の偏光分離素子1も実施の形態3と同様の製造方法を用いれば製造でき、図11(m)のリソグラフィー工程において、レチクル26上に凹凸格子5の反転パターンと1つの凹部9に相当する領域に入れ子状になった支持部41の反転パターンを設けておけば良い。
本例では、1つの凸部8に一方の端部で2個の支持部41が繋がっていたが、実施の形態7と同様に片側の端部に複数の支持部41を設け、1つの凹部9に形成された複数の支持部41が全て入れ子状になっていてもよく、また、一部の支持部41が入れ子状になっていてもよい。また、一部の支持部41が実施の形態6と同様に隣接する2つの凸部8に繋がっていてもよい。
[実施の形態9]
別の実施の形態について説明する。
以下の説明で図9〜図13と同一符号の部材などは、前述の実施の形態と共通であるため、詳細な説明は省略する。
本実施の形態の偏光分離素子1の構成を図20に示す。図20は、本実施の形態の偏光分離素子1の説明図であり、偏光分離素子1の凹凸格子5の平面図(a)、凹凸格子5の側面図(b)、偏光分離素子1の側面図(c)である。この偏光分離素子1では、透明基板4上に接着された有機複屈折膜3に形成された凹凸格子5が、その凹凸格子5の周期方向に沿ってレーザー光の光軸から傾いた構造となっている。本例では、傾きは3°とした。また、凹凸格子5の凸部8の両端では凹部9には凸部8と繋がった2個の支持部41があり、かつ前記の支持部41は有機複屈折膜3から構成されている。
本例の構造とすると、有機複屈折膜3上の凹凸格子5には初めからレーザー光の光軸に対して3°傾いているため、±1次回折光に偏りが生じる。効率の大きい側の1次回折光を用いることで偏光分離素子1の光出力を45〜50%程度にまで向上することができる。また、本例の偏光分離素子1を光ピックアップに用い、回折効率の大きい側の1次回折光をフォトダイオードに導く構造とすると、光ピックアップの信号出力を大きくでき、より高速のデータの読み出し/書き込みが可能になる
なお、傾いた凹凸格子5の凸部8の両端には凸部8に繋がった支持部41が設けられているので、凹凸格子5を等方性のオーバーコート剤6を埋め込むときは支持部41が凹凸格子5を支えるので、凹凸格子5が更に傾くことを抑制できる。その結果、初期の傾きを維持しやすくなり、凹凸格子5の周期方向に沿ってレーザー光の光軸から所定の傾きを持った偏光分離素子1を安定的に製造できるようになる。
本例の偏光分離素子も実施の形態3と同様な製造方法を用いれば製造することができる。具体的にはAlからなる凸部8のマスクと支持部41のマスクを完成させた後、図13(q)のエッチング工程において、入射するイオンの方向に対して凸部8のマスクの周期方向に沿って透明基板4を3°傾けてエッチングを行なうことにより、凹凸格子5の周期方向に沿ってレーザー光の光軸から3°傾いた凹凸格子5を実現することができる。
なお、本例では凹凸格子5の傾きを3°としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、実施の形態2と同様に1°〜6°の範囲内にするのが望ましい。
[実施の形態10]
別の実施の形態について説明する。
以下の説明で図9〜図13と同一符号の部材などは、前述の実施の形態と共通であるため、詳細な説明は省略する。
本実施の形態の偏光分離素子1の構成を図21に示す。図21は、本実施の形態の偏光分離素子1の説明図であり、偏光分離素子1の側面図(a)、偏光分離素子1の斜視図(b)、支持部41の拡大図(c)である。
本例の偏光分離素子1も接着層2によって有機複屈折膜3が透明基板4上に接着されており、接着層2と対向する有機複屈折膜3の一方の面には周期的な凹凸格子5が形成され、凹凸格子5は等方性のオーバーコート剤6で充填されている。また、凹凸格子5の凹部9には凸部8に繋がった支持部41が設けられており、かつ、支持部41は有機複屈折膜3から構成されている。また、支持部41の高さをHs、凹凸格子5の凸部8の高さをHgとすると、支持部41の高さHsは凸部8の高さHgより低く構成されている。
本例に用いた透明基板4、対向透明基板12も実施の形態3と同様であり、厚さ1.0〜1.5mmのショット製の光学ガラスBK7からなる。
有機複屈折膜3は、ポリエステル系のフィルムを延伸させたことで複屈折性を持たせたものであり、進相軸方向の屈折率(Ny)は1.67,遅相軸方向の屈折率(Nx)は1.58となっており、膜厚は80μmである。有機複屈折膜3上の凹凸格子5は遅相軸に平行に配置されており、凹凸格子5のピッチは2.0μm、dutyは50%、格子の深さは3.2μmとなっている。
また、接着層2はエポキシ系紫外線硬化型接着剤からなり、光学的に等方で可視光に対して透明であり、屈折率は1.58となっている。
オーバーコート剤6も接着層2と同一の材料からなり、光学的に等方で可視光に対して透明で、屈折率は1.58である。
なお、偏光分離素子1の両面には波長660nmの光に対しての反射防止膜13が形成されている。
本例の構成においても、凹凸格子5に等方性のオーバーコート剤6を埋め込むときは、支持部41が凹凸格子5を支えるため凹凸格子5の傾きを抑制できる。更に本例の構成では支持部41の高さHsが凸部8の高さHgよりも低くなっているため、オーバーコート剤6の埋込み工程で凹凸格子5上をオーバーコート剤6が流動する場合、オーバーコート剤6の流れが支持部41でせき止められにくいので、支持部41の周辺もオーバーコート剤6が充填されやすい。その結果、オーバーコート埋込み工程で気泡の発生する頻度が小さくなり、偏光分離素子1の信頼性を向上できる。
次に、本例の偏光分離素子1の作製方法を、図22〜図26を参照して説明する。なお、以下の(a)〜(w)の説明と、図22〜図26に含まれる各図の符号は合致している。ここでは、本発明者が、現実に偏光分離素子1を製造したときの結果に基づいて具体的に説明する。
(a)(b)直径100mm、厚さ1.0mmでオリエンテーションフラットを設けたショット製の光学ガラスBK7からなる透明基板4をスピンテーブル21に乗せ、真空吸着によってスピンテーブル21に固定する。その後、スピンテーブル21を10〜50rpmで回転させながら、透明基板4の中央部にディスペンサー22を用いて屈折率1.58、粘度600cpのエポキシ系紫外線硬化型接着剤を3〜10g滴下する。その後、スピンテーブル21を300rpmで回転させ、透明基板4全面に紫外線硬化型接着剤2を広げ、その後、スピンテーブル21の回転を停止する。
(c)その後、直径90mm、厚さ80μm、有機複屈折の遅相軸と平行にオリエンテーションフラットをもつ有機複屈折膜3を、載置装置を用いて紫外線硬化型接着剤の上に乗せる。載置の際は、有機複屈折膜3の中心をスピンテーブル21の回転中心にほぼ合せ、有機複屈折のオリエンテーションフラットと透明基板4のオリエンテーションフラットのなす角度を±0.5度以下とする。
(d)その後、スピンテーブル21を700rpmで10秒間回転し接着剤2を振り切る。
(e)その後、スピンテーブル21の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察すると、有機複屈折膜3は透明基板4上でほとんど動いていない。
(f)その後、スピンテーブル21を1100rpmで4秒間回転して接着剤2を振り切る。
(g)その後、スピンテーブル21の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察すると、有機複屈折膜3は透明基板4上で4mm程度動いている。そのため、調整治具24を用いて透明基板4上で有機複屈折膜3を滑動し、位置修正を行なう。
その後、スピンテーブル21を再度1100rpmで5秒間回転して、接着剤2を振り切る。その後、スピンテーブル21の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察すると、有機複屈折膜3は透明基板4上で約2mm程度動いている。その後、調整治具24を用い有機複屈折膜3を透明基板4上で滑動し、有機複屈折膜3の位置修正を行なう。
その後、スピンテーブル21を再度1100rpmで5秒間回転して、接着剤2を振り切る。その後、スピンテーブル21の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察すると、有機複屈折膜3は透明基板4上でほとんど動いていない。
その後、スピンテーブル21を再度1100rpmで16秒間回転して、接着剤2を振り切る。その後、スピンテーブル21の回転を停止して有機複屈折膜3の位置ずれを目視で観察すると、有機複屈折膜3は透明基板4上でほとんど動いていない。
倍率4〜50倍の測長顕微鏡を用いて有機複屈折膜3と透明基板4の相対位置を観察した結果、有機複屈折膜3の端部と透明基板4の端部の距離は4mm以上あり、有機複屈折膜3のオリエンテーションフラットと透明基板4のオリエンテーションフラットのなす角度は0.27度であった。
この顕微鏡での測定結果から、有機複屈折膜3端と透明基板4端の距離および有機複屈折膜3のオリエンテーションフラットと透明基板4のオリエンテーションフラットのなす角度が許容値内であることが確認された。
(h)その後、スピンテーブル21の回転を停止した状態で、有機複屈折膜3側からメタルハライドランプを用いて第1の紫外線を照射し、紫外線硬化型接着剤2を半硬化する。
(i)その後、透明基板4を700rpmで60秒間回転し、有機複屈折膜3と透明基板4の境界にアセトンを滴下する。アセトンは本例に用いたエポキシ系紫外線硬化型接着剤2を溶解し、かつ、有機複屈折膜3を溶解しない有機溶媒である。本工程によって(h)の工程後に基板4の周辺部に残っていた紫外線硬化型接着剤2はアセトンによって除去される。
(j)その後、スピンテーブル21の回転を停止し、有機複屈折膜3側からメタルハライドランプを用いて第2の紫外線を照射し、紫外線硬化型接着剤2を完全に硬化する。
(k)有機複屈折膜3を接着した基板4をスピンテーブル21から外し、基板4にスピンコート法によってポジレジスト27を0.7μmの厚さに塗布し、60℃で30分のプリベークを行なう。
(l)その後、基板4を縮小投影露光装置(NA=0.30、波長;i線)に装着し、透明基板4のオリエンテーションフラットを縮小投影露光装置側で検出し、1st露光によって透明基板4のオリエンテーションフラットと平行な方向に凹凸格子5の反転パターンを露光する。
(m)その現像液NMD−3を用いたパドル現像を行い、有機複屈折膜3上に凸部8の反転したレジストマパターンを形成する。
(n)その後、レジストパターン上にスパッタ法によってAl膜29を50nm蒸着する。
(o)その後、基板4をアセトン浴に浸漬し、超音波振動を与えてレジストを溶解してリフトオフを行い、レジストパターンを反転させたAlからなる凸部8のマスクパターンを完成させる。
(p)その後、凸部8のマスクパターン上にスピンコート法によってポジレジストを1.0μmの厚さに塗布し、60℃で30分のプリベークを行なう。
(q)その後、基板4を縮小投影露光装置(NA=0.30、波長;i線)に装着し、凸部8のマスクパターンと重ね合わせを行い、凸部8のマスクパターンの両端に凹部9に相当する領域に支持部41のパターンを露光する。
(r)その現像液NND−3を用いたパドル現像を行い、凸部8のマスクパターンの両端の凹部9にレジスト41からなる支持部41のマスクパターンを形成する。なお、支持部41のマスクパターンは凸部8のマスクパターンと繋がっている構造となっている。
(s)その後、NLDエッチング装置を用い酸素ガスを主成分とするエッチングガス雰囲気中で、有機複屈折膜3を深さ3.2μmエッチングする。
凸部8のマスクパターンはAl膜29からなるため酸素ガスを主成分とするエッチング雰囲気ではほとんどエッチングされないため、深さ3.2μmの矩形性の良い凹部9が形成される。一方、支持部41のマスクパターンはレジスト41からなるため有機複屈折膜3とほぼ1:1の選択比でエッチングされ、エッチング終了時点では支持部41のマスクパターンは消失し、約1μm高さの支持部41が形成される。
なお、支持部41はレーザー光が凹凸格子5に入射する入射領域の外に設けられている。
(t)その後、基板4をリン酸系のAlエッチング液に浸漬しAl膜29からなる凸部8のマスクを除去し、凹凸格子5と、凹部9にある凸部8と繋がった有機複屈折膜3からなる凸部8よりも低い支持部41を完成させる。
(u)その後、平面加工したφ200mm、厚み50mmのステンレス台上に凹凸格子5を形成した基板4を置き、凹凸格子5面に光学的に等方で透明なエポキシ系紫外線硬化型接着剤(オーバーコート剤6)をマイクロシリンジで1.0ml滴下する。そして、両面を光学研磨した直径100mm、厚み2.0mmの対向透明基板12(材質;ショット製の光学ガラスBK7)に乗せ、更に対向透明基板12上に光学研磨した光学ガラスを乗せ、対向透明基板12に100gf/cmの圧力を加え、オーバーコート剤6を被接着面全面に広げて凹凸格子5を埋め込む。この状態で対向透明基板12を通して紫外線を照射し、オーバーコート剤6を硬化する。
(v)その後、真空蒸着法によって透明基板4と対抗透明基板12の表面にMgF/TiO/SiOの多層膜からなる反射防止膜13を形成する。
(w)その後、ダイシングソーを用いて5mm角に切りだし、複数の偏光分離素子1を完成させる。
上記のプロセスで作製した偏光分離素子1の透過率、±1次光回折効率、波面収差を実施の形態1と同様な方法で測定した。その結果、光学仕様(透過率96±3%、±1次回折効率32±5%、波面収差0.02λrms以下)を達成したサンプルの歩留は84%であり、本例の作製法によると歩留良く偏光分離素子1を作製できることが確認された。
本例の製造方法では、有機複屈折膜3上にAl,Cr,Co,Ni等の金属ないし合金からなる凸部8のマスクパターンとレジストからなる支持部41のマスクパターンを形成し、その後、有機複屈折膜3をエッチングする。凸部8のマスクパターンはAl,Cr,Co,Ni等の金属ないし合金からなるため酸素ガスを主成分とするエッチング雰囲気ではほとんどエッチングされず、所定の深さの凹部9が形成される。一方、支持部41のマスクパターンはレジストからなるので、有機複屈折膜3との選択比は非常に小さく1付近となる。またレジスト膜厚は通常1μm近傍で使用されるので、有機複屈折膜3を数μmエッチングするとエッチング終了時点では支持部41のマスクパターンは消失してしまい、支持部41のマスクパターンの膜厚に相当する高さの支持部41が形成できる。よって、1度のドライエッチングによって凹凸格子5と支持部41を形成し、かつ支持部41の高さHsが凹凸格子5の凸部8の高さHgより低い構造を実現できる。
これにより、実施の形態3で記載した方法に一度のリソグラフィー工程を追加することで、本例の偏光分離素子1を実現でき、製造コストのアップを抑えながら偏光分離素子1の信頼性を向上できる。
[実施の形態11]
別の実施の形態について説明する。
本実施の形態は、前述の各実施の形態のうちのいずれかの偏光分離素子1を用いた、光ピックアップである。
図27に、本実施の形態の光ピックアップ101の構成の一例を示す。光ピックアップ101は、DVD用の光ピックアップであって、発光素子であるレーザーダイオード107から出射された波長660nmのS偏光の光は、所定の光学系である、前述のいずれかの実施の形態の偏光分離素子1、コリメータレンズ102、λ/4波長板103、対物レンズ104を通った後、DVD−ROM105を照射し、DVD−ROM105の記録ピットからの反射光は、所定の光学系を介し、すなわち、λ/4波長板103で直線偏光になった後、前記の偏光分離素子1で回折してフォトダイオード106に導かれ、所定のフォーカス検出、トラック検出、信号検出が行われる。
本例の光ピックアップ101を用いてDVD−ROM105から情報信号の再生を行ったところ、前述の各実施の形態の偏光分離素子1を用いた場合とも十分な信号出力を得ることができる。
また、実施の形態2の偏光分離素子1を用いた場合は、実施の形態1と比較して1.2倍程度の信号出力が得られ、高速読み出しに有利である。実施の形態2の偏光分離素子1は有機複屈折膜3に形成された凹凸格子5が凹凸格子5の周期方向に沿ってレーザー光が垂直に入射する仮想面から5°傾いているため、+1次回折効率が実施の形態1の偏光分離素子1よりも大きい。そのため、実施の形態2の偏光分離素子1を用いた光ピックアップ101は大きな信号出力が得られたと考えられる。
さらに、本例の光ピックアップ101は偏光分離素子1がプリズムを接着した偏光ビームスプリッタよりも小さくなっているため、従来の光ピックアップよりも小型化できる。
[実施の形態12]
別の実施の形態について説明する。
本実施の形態は、前述の光ピックアップ101を備えた光ディスク装置201である。図28は、本実施の形態の光ディスク装置201の構成の一例を示す概略ブロック図である。
まず、光記録媒体Dとしてはその記録面にウォブリングされて形成されたトラックを有するものが用いられ、この光記録媒体Dを回転駆動させる回転駆動手段としてのスピンドルモータ202が設けられている。また、レーザーダイオード等の光源とレーザー光を集光する対物レンズや、光記録媒体1からの反射光を受光素子に導く光学系、フォーカシングサーボやトラッキングサーボを行うためのアクチュエータなどが搭載された光ピックアップ3が設けられている。その受光素子は、トラックの接線方向に対してその受光領域が2分割されて光スポットの記録面からの反射光を受光するように構成されている。
光ピックアップ203には検出された再生信号のフィルタリングとデジタル化等の処理を行う再生回路204が接続され、この再生回路204には生成されたユーザデータ成分のデータフォーマットを変換するデコーダ205が接続され、メモリ内蔵のCPU206を介して外部ホスト(図示せず)に送出する信号再生系が構成されている。
一方、記録すべき情報は外部ホストからCPU206を介してエンコーダ207に送られ、このエンコーダ207によりデータフォーマットを変換し、レーザー制御回路208で情報ビットに応じて光ピックアップ101内の光源の発光制御を行うことで光記録媒体D上に情報が書き込まれる。
また、光ピックアップ101中の2分割受光素子により検出された出力信号から演算回路209にてサーボ信号を生成し、サーボ回路210にて光ピックアップ101の位置制御を行なう。サーボ回路210ではクロック生成回路211のクロック信号を基に光記録媒体Dが搭載されているスピンドルモータ202の回転制御も行なう。
一方、演算回路209で演算された2分割受光素子の出力はウォブル信号検出回路212に送られ、抽出されたウォブル信号を基にクロック生成回路211ではディスク回転に追従した正確なクロックを生成する。また、物理アドレス情報を含んだウォブル信号はアドレス検出回路213に送られ、アドレスデコーダ214でアドレス情報に変換され、アクセス位置のアドレス情報を再生する。
このような光ディスク装置に関して、本実施の形態の特徴はウォブル信号検出回路212にある。また、本実施の形態では、クロック生成回路211、アドレス検出回路213、アドレスデコーダ214等により、ウォブル信号に基づき記録動作の制御等に供される処理装置が構成されている。
本発明の実施の形態1である偏光分離素子の側面図(a)、斜視図(b)、張出し部の拡大図(c)である。 張出し部の構造の詳細を示す平面図である。 凸部と張出し部の平面図である。 偏光分離素子の製造工程の説明図である。 偏光分離素子の製造工程の説明図である。 偏光分離素子の製造工程の説明図である。 偏光分離素子の製造工程の説明図である。 本発明の実施の形態2である偏光分離素子の凹凸格子の平面図(a)、凹凸格子の側面図(b)、偏光分離素子の側面図(c)である。 本発明の実施の形態3である偏光分離素子の側面図(a)、斜視図(b)、支持部の拡大図(c)である。 偏光分離素子の製造工程の説明図である。 偏光分離素子の製造工程の説明図である。 偏光分離素子の製造工程の説明図である。 偏光分離素子の製造工程の説明図である。 本発明の実施の形態4の偏光分離素子の構成の説明図である。 本発明の実施の形態5の偏光分離素子の構成の説明図である。 本発明の実施の形態6の偏光分離素子の構成の説明図である。 本発明の実施の形態7の偏光分離素子の構成の説明図である。 本発明の実施の形態8の偏光分離素子の構成の説明図である。 本発明の実施の形態8の偏光分離素子の別の構成の説明図である。 本発明の実施の形態9の偏光分離素子の構成の説明図である。 本発明の実施の形態10の偏光分離素子の説明図であり、偏光分離素子の側面図(a)、偏光分離素子1の斜視図(b)、支持部の拡大図(c)である。 偏光分離素子の製造工程の説明図である。 偏光分離素子の製造工程の説明図である。 偏光分離素子の製造工程の説明図である。 偏光分離素子の製造工程の説明図である。 偏光分離素子の製造工程の説明図である。 本発明の実施の形態11である光ピックアップの構成の説明図である。 本発明の実施の形態12である光ディスク装置の構成の説明図である。 発明が解決しようとする課題についての説明図である。
符号の説明
1 偏光分離素子
3 有機複屈折膜
4 透明基板
5 凹凸形状
6 オーバーコート剤
7 張出し部
8 凸部
41 支持部
101 光ピックアップ
106 受光素子
107 発光素子
201 光ディスク装置

Claims (16)

  1. 透明基板と、
    この透明基板上に形成された有機複屈折膜と、
    この有機複屈折膜の一方の面に周期的に形成されている凹凸形状と、
    この凹凸形状に充填されている等方性のオーバーコート剤と、
    前記凹凸形状の一個の凸部あたり複数個形成されており、前記凸部から前記凹凸形状の周期方向に張り出した張出し部と、
    を備え
    一個の凸部あたり複数個形成されている前記張出し部の間隔は前記凹凸形状の周期方向と直交する方向に不規則である偏光分離素子。
  2. 前記張出し部は、前記凹凸形状の周期方向で当該凹凸形状のピッチと前記凸部の線幅とを共通とし、当該凸部の一部が当該凸部の線幅より小さく張り出して形成されている、請求項1に記載の偏光分離素子。
  3. 前記張出し部は、前記凸部の長さ方向と直角をなして張り出して形成されている、請求項2に記載の偏光分離素子。
  4. 前記凹凸形状は前記周期方向に沿って本素子を透過する光の光軸から傾斜している、請求項のいずれかの一に記載の偏光分離素子。
  5. 前記有機複屈折膜からなり前記凸部を支持する支持部を備えている、請求項に記載の偏光分離素子。
  6. 前記支持部は、本素子を透過する光の入射領域の外に形成されている、請求項に記載の偏光分離素子。
  7. 前記支持部は、隣接する2つの前記凸部に繋がっている、請求項又はに記載の偏光分離素子。
  8. 前記支持部は、隣接する2つの前記凸部からそれぞれ同一の前記凹部に張り出していて、この2つの凸部は入れ子状である、請求項又はに記載の偏光分離素子。
  9. 前記支持部は、1つの前記凸部に複数個繋がれている、請求項のいずれかの一に記載の偏光分離素子。
  10. 前記凹凸形状は、当該凹凸形状の周期方向に沿って本素子を透過する光の光軸から傾いている、請求項のいずれかの一に記載の偏光分離素子。
  11. 前記支持部の高さは前記凸部の高さより低い、請求項10のいずれかの一に記載の偏光分離素子。
  12. 光記録媒体を照らす発光素子と、
    前記光記録媒体を受光する受光素子と、
    所定の光学系と、
    を備え、
    前記光学系には請求項1〜11のいずれかの一に記載の偏光分離素子を含む、光ピックアップ。
  13. 請求項12に記載の光ピックアップを備えている、光ディスク装置。
  14. 透明基板上に一方の面には周期的に凹凸形状が形成されている有機複屈折膜を形成する工程と、
    前記有機複屈折膜からなり前記凸部を支持する支持部を形成する工程と、
    前記凹凸形状に充填された等方性のオーバーコート剤を形成する工程と、
    を備え、
    前記有機複屈折膜上に同一構成の前記凸部のマスクパターンと前記支持部のマスクパターンを形成し、その後、有機複屈折膜をエッチングして前記凹凸形状と前記支持部とを同時に形成する、偏光分離素子の製造方法。
  15. 前記凹凸形状と前記支持部とを同時に形成する際には、前記有機複屈折膜のエッチング中に前記支持部のマスクパターンが消失して前記支持部の高さが前記凹凸形状の凸部の高さより低くなる、請求項14に記載の偏光分離素子の製造方法。
  16. 前記凸部のマスクパターンがAl,Cr,Co又はNiの金属又は合金からなり、前記支持部のマスクパターンがレジストからなる、請求項15に記載の偏光分離素子の製造方法。
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